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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】凍結乾燥容器
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/36 20060101AFI20231228BHJP
   F26B 5/10 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65B1/36
F26B5/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021516989
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 FR2019052228
(87)【国際公開番号】W WO2020065195
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】1858895
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517369461
【氏名又は名称】マー ファルマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】アリシア ドゥプレ
(72)【発明者】
【氏名】カロル シュワントナー
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205850(JP,A)
【文献】特開平05-306216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0049156(US,A1)
【文献】国際公開第2017/137637(WO,A2)
【文献】特開平08-094223(JP,A)
【文献】特開平02-195167(JP,A)
【文献】特開平10-103828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/36
F26B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体生成物又は半液体生成物を凍結乾燥させるための容器であって、水蒸気透過性のメンブレン(6)を備えた上側部分(2)と、前記生成物を底部(20)上に受容するのに適したリザーバ(19)を含む下側部分(3)とを含む容器本体(1)を含む形式のものにおいて、
前記容器が前記リザーバ(19)内の内部仕切り(21)を含み、前記内部仕切り(21)が複数の生成物受容容積(22~27)を形成しており、前記内部仕切り(21)が、前記受容容積のうちの予め定義された1つ(22)の中へ生成物を導入することによって、前記受容容積(22~27)が予め定められた順序で連続的に充填されるように形成されており、先行する受容容積が満杯である場合にのみ、受容容積が充填され始め、
そして、前記リザーバ(19)の前記底部(20)が金属箔を含むことを特徴とする、液体生成物又は半液体を凍結乾燥させるための容器。
【請求項2】
前記容器の上側部分(2)が、前記容器に生成物を充填するためのポート(29)を含み、前記ポートが前記予め定義された受容容積(22)への供給を行う、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器のリザーバが2~8つの生成物受容容積を含む、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記受容容積(22~27)が第1列及び第2列に沿って配置されており、前記第1列の前記受容容積が、第1高さ(h1)を有する横方向仕切りによって分離され、前記第1列が、前記第1高さ(h1)よりも大きい第2高さ(h2)を有する長手方向仕切りによって前記第2列から分離されており、前記長手方向仕切りが、前記受容容積のうちの1つの容積のレベルで、前記列の端部に凹部(28)を含み、前記凹部の上縁部が、前記第1高さ(h1)と前記第2高さ(h2)との間の第3高さ(h3)にある、請求項1から3までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記受容容積(22~27)を形成する前記内部仕切り(21)が、前記容器の前記底部(20)から上側部分(2)へ鉛直方向に延びており、前記受容容積を連続的に充填する前記予め定められた順序で見て最後の容積を除いて、前記容器の各受容容積が、凹部を含む内部仕切りによって、前記予め決められた順序で見て前記各受容容積にすぐに続く容積から分離されることにより、所与の受容容積が満杯となり生成物を供給され続けると、前記所与の受容容積を後続の受容容積から分離する仕切りに形成された凹部を通して、生成物が前記後続の受容容積内へオーバーフローするようになっている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
各凹部の上縁部が前記底部(20)に対して同一の高さにある、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記受容容積(22~27)が、第1列と第2列とを含む隣接する列を成して配置されており、前記第1列の全ての容積が満杯になり且つ前記第1列の最後の容積が前記第2列の第1容積内にオーバーフローするまで、前記第2列の前記第1容積の充填は始まらない、請求項5又は6に記載の容器。
【請求項8】
前記容器本体(1)が生体適合性プラスチック材料から成ることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記金属箔が取り外し可能である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
前記上側部分(2)が中心開口(5)を有しており、前記中心開口にメンブレン(6)が被せられている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
前記メンブレン(6)が抗菌性マイクロ多孔質親水性メンブレンである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器の上側部分(2)が、センサを所定の位置に配置するのを可能にするウェル(31)を含む、請求項1から11までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
前記上側部分(2)が、前記受容容積(22~27)のそれぞれに対向して配置された前圧砕デバイス(14)を含み、前記前圧砕デバイス(14)が、前記底部(20)に向いた1つ又は2つ以上の剛性突出構成部分を含み、前記容器がさらに、前記リザーバが充填されている間、そして前記生成物の凍結乾燥中に前記下側部分(3)に対して前記上側部分(2)を動けなくするように、そして前記生成物の凍結乾燥後には動かすことを可能にするように形成された保持手段を含み、前記上側部分(2)と前記下側部分(3)との相対運動が、前記前圧砕デバイス(14)が前記凍結乾燥済生成物を破砕するように、前記前圧砕デバイス(14)と前記底部(20)とを互いに接近させることを伴う、請求項1から12までのいずれか1項に記載の容器。
【請求項14】
前記前圧砕デバイス(14)が、下記剛性突出構成部分、すなわち、
- 周壁(15)、
- 1つ又は2つ以上の尖端(16)、
- らせん壁(17)、
- 平行六面体ブロック、
- 前記底部(20)に対向して突端を含む表面を有する平行六面体ブロック、
のうちの1つ又は少なくとも2つの組み合わせ
を含む、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
前記保持手段が、前記上側部分(2)と前記下側部分(3)との間に配置された取り外し可能な不正開封防止ベルト(8)を含む、請求項13又は14に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は凍結乾燥の分野、具体的には液体生成物又は半液体生成物を凍結乾燥させるのを可能にする設備に関する。
【背景技術】
【0002】
これは好ましくは製薬分野に適用される。具体的には、本発明は、タンパク質、抗体、抗原又は微生物(細菌、寄生生物、ウィルス、ファージ)を凍結乾燥させるための液体組成物に適用することができる。従って本発明は、具体的には腸内フローラの移植のための製剤という文脈において、糞便を凍結乾燥させるための液体組成物に適用することができる。
【0003】
凍結乾燥は実際には、製薬的生成物、例えば経口剤形又は注射剤形を成す生成物を調製するのに広く用いられるプロセスである。
【0004】
凍結乾燥は、昇華プロセスを用いて冷凍済生成物を真空乾燥させることから成る。凍結乾燥プロセスは、次の3つの連続的な段階、すなわち冷凍、一時乾燥、及び二次乾燥とを含む。
【0005】
これら3つの段階は概ね、しばしば「ラック」と呼ばれる棚を含むフリーズドライヤと呼ばれる設備の一部内で実施される。
【0006】
プロセス全体を通して2つのパラメータ、すなわち(棚内又は生成物中の)温度、及びチャンバ内部の圧力がモニタリングされる。
【0007】
被凍結乾燥生成物は容器内に保持される。容器はボックス又はエンクロージャと呼ぶこともでき、凍結乾燥中に被る温度及び圧力の変動に耐える。
【0008】
生成物を乾燥させるためには、容器は水蒸気の除去を可能にしなければならない。従って、凍結乾燥専用の大抵の容器は開放システムである。しかしながら、微生物含有懸濁液を凍結乾燥させる場合には、開放容器の使用は、生成物間の交差汚染、及びフリーズドライヤの汚染のリスクを伴う。これにより、設備を清浄化し、異なる生成物バッチを同時に処理するのを回避する必要がある。
【0009】
さらに、凍結乾燥は一般にはステンレス鋼容器内で行われる。ステンレス鋼容器は、この材料の熱伝導性が高いことに起因して、良好な熱交換を可能にする。しかしこのような容器は高価であり、また再使用するために信頼性高く洗浄し汚染除去しなければならない。
【0010】
汚染リスクを制限しながら生成物を凍結乾燥させるのを可能にするために、欧州特許第2157387号明細書には、蒸気透過性ではあるものの抗菌バリアを形成するメンブレンによって閉じられた剛性凍結乾燥ボックスが記載されている。このボックスはプラスチックから成っており、プラスチックは単回の使用を可能にするが、しかしボックスが保持する生成物との熱交換を容易にはしない。
【0011】
さらに、他の問題点がなおも存在する。
【0012】
凍結乾燥のために使用されるパラメータ(温度、圧力、期間など)は本質的に生成物の層高さ(すなわち、液体生成物の場合には容器の底部と、液体の自由面との間の距離)に応じて適合させなければならない。結果として、異なる凍結乾燥間でパラメータを不変のままにするためには、凍結乾燥バッチ処理中、各容器内で同じ量の生成物を凍結乾燥させることが必要であり、そしてこの同じ量を常に各バッチにおいて凍結乾燥させなければならない。他方では、被凍結乾燥生成物の量がバッチ間で変動する場合には、凍結乾燥容器内の生成物の層高さが変化し、凍結乾燥パラメータを適合させなければならない。このことは多大な時間を費やす。
【0013】
必要な場合に同一の凍結乾燥エンクロージャ内に配置された小さな個別の容器内に被凍結乾燥生成物を分配することは、申し分のない解決手段ではない。なぜならば、容器を充填するために、そして凍結乾燥後に容器を空にするために多大な時間が費やされるからである。さらに、寸法が小さい容器から凍結乾燥物を取り出すことは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って本発明の目的は、上記問題点の全て又はいくつかを解決するデバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って本発明は、液体生成物又は半液体生成物を凍結乾燥させるための容器であって、水蒸気透過性のメンブレンを備えた上側部分と、生成物を底部上に受容するのに適したリザーバを含む下側部分とを含む容器本体を含む形式のものに関する。容器はリザーバ内の内部仕切りを含み、内部仕切りが複数の生成物受容容積を形成しており、内部仕切りが、受容容積のうちの予め定義された1つの中へ生成物を導入することによって、受容容積が予め定められた順序で連続的に充填されるように形成されている。
【発明の効果】
【0016】
このことは、容器内にほぼ一定の高さの被凍結乾燥液体を有する状態で、個別化された可変の体積の液体を凍結乾燥させることを可能にする。実際には、容器を不完全に充填する事例では、受容容積のうちのいくつかだけが充填され、完全に満杯であるのに対して、他の受容容積は空である。ただし場合によっては1つの容積が部分的に充填される場合を除く。満杯の体積は同じ(又はほぼ同じ)被凍結乾燥生成物高さを有するので、凍結乾燥パラメータ、ひいてはフリーズドライヤの調節は2つの被凍結乾燥生成物バッチ間で不変のままにすることができ、あるいは僅かに修正することができる。
【0017】
大まかに言えば、本発明は、閉じた容器内で生成物を凍結乾燥させるのを可能にする。閉じた容器は、容器外部の環境による生成物の汚染リスク、又は例えば微生物含有生成物の場合の、生成物による容器外部の汚染リスク、あるいは(例えばタンパク質の凍結乾燥中の)同一バッチにおける生成物又はバッチ相互間のいかなる混合をも回避することが重要な場合の汚染リスクを回避する。
【0018】
容器の上側部分は、前記容器に生成物を充填するためのポートを含むことができ、前記ポートは前記予め定義された受容容積への供給を行う。
【0019】
単一のポートがこのように容器全体を充填するのを可能にする。前記予め定義された受容容積への供給は、前記受容容積を連続的に完全に充填することを伴う。
【0020】
非制限的な例としては、容器のリザーバは2~8つの生成物受容容積を含むことができる。
【0021】
本発明の実施態様によれば、受容容積が第1列及び第2列に沿って配置されており、第1列の受容容積が、第1高さを有する横方向仕切りによって分離され、第1列が、第1高さよりも大きい第2高さを有する長手方向仕切りによって第2列から分離されており、前記長手方向仕切りが、前記受容容積のうちの1つの容積のレベルで、列の端部に凹部を含み、凹部の上縁部が、第1高さと第2高さとの間の第3高さにある。
【0022】
本発明の実施態様によれば、受容容積を形成する内側仕切りが、容器の底部から上側部分へ鉛直方向に延びており、受容容積を連続的に充填する前記予め定められた順序で見て最後の容積を除いて、容器の各受容容積が、凹部を含む内側仕切りによって、前記予め決められた順序で見て各受容容積にすぐに続く容積から分離されることにより、所与の受容容積が満杯となり生成物を供給され続けると、所与の受容容積を後続の受容容積から分離する仕切りに形成された凹部を通して、生成物が前記後続の受容容積内へオーバーフローするようになっている。各凹部の上縁部は底部に対して同一の高さにあってよい。
【0023】
受容容積は、第1列と第2列とを含む隣接する列を成して配置することができ、第1列の全ての容積が満杯になり且つ第1列の最後の容積が第2列の前記第1容積内にオーバーフローするまで、第2列の第1容積の充填は始まらない。
【0024】
全ての実施態様では、容器本体は生体適合性プラスチック材料から成っていてよい。
【0025】
リザーバは取り外し可能な金属箔を含むことができる。
【0026】
容器を閉じるために金属箔、例えばアルミニウム箔を存在させることにより、具体的には容器の底部を形成するこの箔と生成物とが接触するので、生成物に対する熱伝導性が高められる。この特徴は本質的にプラスチック材料から成る容器の文脈において特に有利である。さらに、金属箔を除去又は破断することにより、凍結乾燥後に容器から生成物を取り出すことがより容易になる。
【0027】
容器の上側部分は中心開口を有することができ、中心開口にメンブレンが被せられている。
【0028】
メンブレンは有利には抗菌性マイクロ多孔質親水性メンブレンである。
【0029】
上側部分は、センサを所定の位置に配置するのを可能にするウェルを含むことができる。
【0030】
容器は、受容容積のそれぞれに対向して配置された前圧砕デバイスを含むことができ、前圧砕デバイスが、底部に向いた1つ又は2つ以上の剛性突出構成部分を含み、容器がさらに、リザーバが充填されている間、そして生成物の凍結乾燥中に下側部分に対して上側部分を動けなくするように、そして生成物の凍結乾燥後には動かすことを可能にするように形成された保持手段を含み、上側部分と下側部分との相対運動が、前圧砕デバイスが凍結乾燥済生成物を破砕するように、前圧砕デバイスと底部とを互いに接近させることを伴う。
【0031】
これは、凍結乾燥容器内部の凍結乾燥物を破砕するのを可能にする(これは前圧砕又は前細分化と呼ぶこともできる)。このことは、このステップ中の外部環境による生成物の、そして生成物による環境(機械、乳棒など)のあらゆる汚染リスクを回避する。このことはまた、前圧砕中の生成物のいかなる損失をも回避する。
【0032】
前圧砕デバイスは、下記剛性突出構成部分、すなわち、
- 周壁、
- 1つ又は2つ以上の尖端、
- らせん壁、
- 平行六面体ブロック、
- 底部に対向して突端を含む表面を有する平行六面体ブロック、
のうちの1つ又は少なくとも2つの組み合わせ
を含むことができる。
【0033】
保持手段は、上側部分と下側部分との間に配置された取り外し可能な不正開封防止ベルトを含むことができる。
【0034】
本発明の他の特徴及び利点が下記説明からも明らかになる。
【0035】
添付の図面では、非限定的な例が示される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、本発明の1実施態様に基づく容器を示す三次元的概略図である。
図2図2は、図1の実施態様に使用される容器本体を示す第1の三次元的概略図である。
図3図3は、図1の実施態様に使用される容器本体を示す第2の三次元的概略図である。
図4図4は、本発明の別の実施態様に基づく容器を示す三次元的概略図である。
図5図5は、図4の実施態様に使用される容器本体を示す三次元的概略図である。
図6図6は、本発明の1実施態様に基づく容器内に使用され得る前圧砕手段の集成体を示す三次元的概略図である。
図7図7は、本発明によるボックス内に使用され得るリザーバを示す三次元的概略図である。
図8図8は、図4の容器を示す断面図である。
図9図9は、図4の容器を前圧砕形態で、図8と同様に示す断面図である。
図10図10は、図4の容器の実施態様の詳細を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は本発明の1実施態様に基づく容器を示している。この容器は、液体生成物又は半液体生成物を含有するのに適しており、そして生成物の凍結乾燥を実施するためにフリーズドライヤの棚上に置くのに適している。
【0038】
容器は、上側部分2と下側部分3とから形成された容器本体1を含む。上側部分2は、容器が作業位置において水平平面上に位置しているとき、例えばフリーズドライヤ棚上に配置されているときに、容器の頂部に位置する部分に相当する。下側部分3は上側部分2の下に位置している。容器は下側部分3上に載置されている。ここで示す実施態様では、上側部分2と下側部分3とは一体であり、容器の本体を形成している。
【0039】
容器本体1の上側部分2は、開口5によって貫通された上壁4を含む。開口にはメンブレン6が被さっている。
【0040】
メンブレン6は、容器内に保持された生成物の凍結乾燥中に産出された水蒸気を除去するのを可能にするために形成されている。メンブレン6は従って水蒸気透過性である。しかしながら、メンブレン6は有利には抗菌バリアを構成している。直径0.22ミクロンのオーダーの親水性多孔質メンブレンが、このようなバリアを形成するのに適している。ポロシティはここでは従来通り表現される。メンブレンは言うまでもなく、厳密に楕円形の孔を含む材料に限定されることはなく、厳密に0.22ミクロンの孔に限定されることもない。0.22ミクロンのポロシティが、滅菌濾過メンブレンのコンベンショナルなポロシティに相当し、メンブレン上に観察される最大孔径に相当する。しかしながら、細菌に対してバリアを形成するいかなる多孔質メンブレンも考えられる。より大まかに言えば、用途に応じて、本発明の範囲を逸脱することなしに、他のポロシティを考えることもできる。メンブレンが水蒸気を除去するのを可能にする限り、より低いポロシティ(より小さな直径の孔を有するメンブレン)を用いて、タンパク質を凍結乾燥させることができる。ポロシティがより高いメンブレン(例えば5ミクロンのより大きい直径の孔を有するメンブレン)を、例えば酵母の凍結乾燥のために使用することもできる。
【0041】
メンブレン6は具体的には、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はニトロセルロースから成っていてよい。
【0042】
容器の上側部分2には、開口5の周囲に沿ってリム10を形成することができる。リム10は、フランジ11を受容するように形成されており、例えばフランジ11と容器本体の上側部分2との間に締め付けることにより、メンブレン6を固定するのを可能にする。
【0043】
フランジ11は、適宜の手段、例えばクリップ舌片34によって容器の本体にクリップ結合することができる。リム10に形成された切り欠き12、及びフランジ13上にこれに対応して形成されたピン13は、これらの2つの部分間の正確な角度インデキシングを可能にする。
【0044】
メンブレン6は、フランジ11とリム10との間に締め付けることによって固定することができる。あるいは、例えば上側部分2に(例えばリム10に)、又は上側部分2に取り付けられるように意図された集成体に(例えばフランジ11に)はんだ付けすることによって、メンブレンを固定することもできる。
【0045】
容器の内側と外側との間のガス交換を可能にしつつメンブレン6を保持し保護するために、フランジ11は、例えば六角形パターンで形成されたオープンメッシュ35を含む。
【0046】
被凍結乾燥生成物を容器に充填するために、第1受容容積22(この受容容積は予め定められた受容容積と呼ばれる)の上方で、容器本体の上壁4内にポート29が形成されている。
【0047】
ポート29は、ラボラトリ設備分野において普及している標準化されたタイプのコネクタに相当するタイプのルアーコネクタから成っていると有利である。具体的には、ポート29は例えばルアーコネクタの雌部分であってよい。容器の充填前後にポート29を閉じるためにキャップ(図1には示されていない)が提供されている。キャップは典型的には、ルアーコネクタの雄部分を有することができる。コネクタの雄部分と雌部分とは言うまでもなく逆に配分することもできる。さらに、具体的には大量の生成物のために他のコネクタを使用することができる。これらのコネクタは、MPXタイプのコネクタと呼ばれる、ラボラトリ内で広く使用される迅速着脱可能なカップリング、又はクリーンルーム又は層流キャビネット(LFC)の外部との無菌接続を可能にするメンブレンを備えたコネクタを含む。
【0048】
図2は、図1の容器本体1の一例を、上方から三次元的に示している。図3は、同じ容器本体1を下方から見た状態で示している。容器本体1は一体のものとして、リザーバ19を形成している。リザーバ19は液状(半液状)の被凍結乾燥生成物を受容するのに適した容積を示している。リザーバは底部20を含む。底部はこの実施態様では容器の底部20でもある。
【0049】
底部20は有利には金属箔から成っていてよい。金属箔は容器本体の下面に被着され、これに固定されている。金属箔は具体的には、接着(ボンディング)又ははんだ付けによって固定することができる。金属箔は有利には、リザーバの残りの部分から手で引き剥がすことができる。金属箔の縁部に位置していて、リザーバの残りの部分には固定されていないタブ36(図1に示されている)が、箔を引き剥がすのを容易にすることができる。このことは、凍結乾燥後に損失なしに生成物を容易に回収するのを可能にする。
【0050】
金属箔は、保護被膜を担持するか否かにかかわらず、アルミニウム箔であってよい。
【0051】
この実施態様においてリザーバを形成する容器本体(底部20を除く)、そしてより大まかに言えば容器を構成する構成部分は、プラスチック材料、具体的には生体適合性プラスチック材料、例えば医療等級プラスチック、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから成っていてよい。この場合には、金属箔から形成された底部20は、被凍結乾燥生成物に対する熱伝導性を大幅に高めるのを可能にする。
【0052】
リザーバはこの例に示されているように、内側仕切り21を含むことができる。内側仕切りは、液状又は半液状の被凍結乾燥生成物を充填し得るいくつかの受容容積(22~27)を形成している。
【0053】
容器は、同じ(第1の)予め定義された受容容積22のレベルに生成物を常に導入するように形成されている。これを目的として、ポート29は予め定義された受容容積22の上に張り出しているので、生成物はこの予め定義された受容容積22内へ導入される。
【0054】
内部仕切り21は、受容容積が予め定められた順序で連続的に充填されるように形成されている(先行する受容容積が満杯である場合にのみ、受容容積が充填され始める)。ここに示された実施態様では、仕切りが底部20から、すなわちリザーバ19及び容器の下面から、容器の上側部分2の上壁4の内面へ延びるような高さを、どの内側仕切り21も有している。
【0055】
図示の例では、内側仕切り21内に形成された凹部28を介して第1受容容積22からオーバーフローすることによって、第2受容容積23は充填される。内側仕切りは前記第1受容容積22を第2受容容積23から分離する。第3受容容積は、第2受容容積23が満杯であるときに、第2容積を第3容積24から分離する内側仕切り21内に形成された凹部28を介して、第2容積からオーバーフローすることによって充填される。次いで第4受容容積25は、第3受容容積24が満杯であるときに、これらの容積を分離する仕切り内に形成された凹部28を介してオーバーフローすることによって充填される。次いで第5受容容積26は、第5受容容積を第4受容容積25から分離する内側仕切り内に形成された凹部28を介して生成物がオーバーフローすることによって充填される。最後に、生成物の導入が連続するならば、第6受容容積27がその順番になると充填される。
【0056】
言うまでもなく、前記受容容積(22~27)のうちのいくつかだけが充填されるように、生成物の導入はいつでも停止することができる。このことは、どの容器内でも、又は被凍結乾燥生成物バッチ間でほぼ同一である被凍結乾燥生成物高さを得るのを可能にする(受容容積が部分的に充填される事例を場合によっては除く)。このことは、ほぼ一定の凍結乾燥パラメータを使用するのを可能にする。これにより、フリーズドライヤの調節が単純化され、一定の再現可能な凍結乾燥結果が保証される。
【0057】
内側仕切り21内に形成された凹部28は、底部20から同じ高さHのところに位置する上縁部を有することができる。あるいは、内側仕切り21内に形成された凹部28の上縁部の高さは、例えば受容容積を充填する順序に僅かに減少させることにより、僅かに変化させることができる。
【0058】
この結果に到達するために、内側仕切り21は底部20に水密に固定されている。例えば金属箔又はプラスチックフィルムの形態を成す底部20は、仕切り21の下面のレベルでシールすることができる。受容容積はこの事例では列を成すように、例えばそれぞれ第1列に対応する第1、第2、及び第3受容容積(22,23,24)と、第2列に対応する第4、第5、及び第6受容容積(25,26,27)とから成る2つの列を成すように編成することができる。
【0059】
図4に示された本発明の第2実施態様では、容器は凍結乾燥物を前圧砕するデバイスを含む。
【0060】
図4の容器は、これが具体的には上側部分2と下側部分3とから形成された容器本体1を含む点で、図1の容器と同一の全体的な構成を有している。同様に、上側部分2の上壁4は開口5によって貫通されており、この開口にはメンブレン6が被さるように位置決めされている。
【0061】
図1の実施態様とは異なり、上側部分2と下側部分3とは2つの部分から形成されており、これらの部分は互いに区別されるか、又は変形可能な構成部分によって分離されているので、これら2つの部分は下で詳述するように互いに動かすことができる。
【0062】
上側部分2はハンドル7を備えており、容器を輸送し操作するのを可能にする。この特徴はさらに本発明のいかなる実施態様にも適用可能である。ハンドル7は具体的には、上壁4内に形成された開口5の上方に配置することができる。ハンドル7は湾曲形状であり、この形状は剛性を高める。
【0063】
上側部分2は下側部分3に対して、これら2つの部分間の所定の場所に保持手段が位置している限り、固定されている。ここに示された例では、上側部分2と下側部分3との間の界面に不正開封防止ベルト8が配置されている。不正開封防止ベルト8は本質的に上側部分2と下側部分3との間に配置された剛性ベルトから成っている。不正開封防止ベルト8は容器本体1に取り外し可能に接合されている。不正開封防止ベルト8を取り外すと、上側部分2が下側部分3から部分的又は完全に分割されることにより、これらの部分2を鉛直方向に並進運動可能にする(すなわち容器の基底部に向かう上面4の運動)。ここに示された実施態様では、上側部分2を下側部分3の内側に部分的に戻すことができる。不正開封防止ベルト8を取り外すのをより容易にするために、不正開封防止ベルトはその端部の一方に把持タブ9を備えることができる。
【0064】
本発明の範囲を逸脱することなしに、他の保持手段を考えることができる。上側部分2と下側部分3との間に配置されたいかなる取り外し可能な構成部分も使用することができる。あるいは、破断可能な材料から形成されたピン又は他の構成部分を上側部分2と下側部分3との間に配置することができる。クリップを設けることができ、クリップは十分な力の作用下で強制的に開くことができる。
【0065】
図5は容器本体1を下方から見た状態で示している。ここでの容器本体1は水蒸気透過性メンブレンを備えていない状態で示されている。開口5の下には、すなわち容器本体1の内側には、リム10が形成されている。リムは、図3に示されているような前圧砕デバイスの集成体を保持するのを可能にする。
【0066】
図6に示された集成体は、例えばクリップ結合によってリム10上に取り付けるのに適したフランジ11を含む。リム10に形成された切り欠き12、及びフランジ13上にこれに対応して形成されたピン13は、これらの2つの部分間の正確な角度インデキシングを可能にする。
【0067】
メンブレン6は、フランジ11とリム10との間に締め付けることによって固定することができる。あるいは、例えば上側部分2に(例えばリム10に)、又は上側部分2に取り付けられるように意図された集成体に(例えばフランジ11に)はんだ付けすることによって、メンブレンを固定することもできる。
【0068】
フランジ11はさらに図示の実施態様では、リブ集成体を含む。リブ集成体は集成体の堅牢性及び剛性を保証し、1つ又は2つ以上の前圧砕デバイス14のための支持体を提供する。ここに示した例では、6つの前圧砕デバイスが設けられている。各前圧砕デバイスは、下で詳述するように、凍結乾燥物の一部を前圧砕するように意図されている。前圧砕デバイスは種々異なる形態を成すことができる。種々異なる前圧砕デバイスが図6に示されている。凍結乾燥物を前圧砕、すなわち破砕するために本発明において使用される集成体は、1つ又は2つ以上の前圧砕デバイス14を含むことができる。集成体がいくつかの前圧砕デバイス14を含むときには、前圧砕デバイス14は互いに同一であっても異なっていてもよく、そして具体的には下記タイプのうちの1つであってよい。
【0069】
ここに示された前圧砕デバイスはそれぞれ周壁15を含む。周壁15は、突出構成部分がその内側で延びる容積を仕切っている。突出構成部分は凍結乾燥物を破砕するのに適している。具体的には、いくつかの尖端16を形成することができる。あるいは、1つ(又は2つ以上)のらせん壁17を形成することもできる。らせん壁17はその中心かららせんの外側へ向かって高さを小さくすることができる。いずれの実施態様においても、周壁15は平滑な、又は切り欠き付きの縁部18を有することにより、凍結乾燥物を破砕するのをより容易にすることができる。
【0070】
大まかに言えば、使用される前圧砕デバイスは、前記前圧砕デバイスに加えられた圧力の作用下で乾燥生成物を破砕するのを可能にするように形成されている。
【0071】
大まかに言えば、前圧砕デバイスは1つ又は2つ以上の剛性の突出構成部分を含む。突出構成部分は、凍結乾燥容器内に取り付けられる(又は形成される)と、下記のように容器の底部に向く。
【0072】
前圧砕デバイス14は、プラスチック材料(生体適合性プラスチック材料、例えば医療等級プラスチック、例えばポリエチレン又はポリプロピレン)から成っていてよく、あるいは完全又は部分的に生体適合性金属、例えばアルミニウム又はステンレス鋼から成っていてもよい。
【0073】
集成体がリム10に固定されると、集成体は上壁4と一体的になり、より大まかに言えば容器本体の上側部分2と一体的になる。前圧砕デバイス14はこうして、下側部分3に対する運動中に上側部分2と一緒に動かされる。
【0074】
図7は、本発明において使用し得るリザーバ19の一例を示している。リザーバ19は、被凍結乾燥生成物を受容するための容積として本質的には、凍結乾燥前の液体(半液体)生成物を受容し得るタンクから成っている。リザーバは底部20を含む。底部はまた、リザーバが容器本体と集成された後に前記容器の底部20を形成する。
【0075】
リザーバの底部20は、図1~3の実施態様と同様に、リザーバの残りの部分の下面に被着されてこれに固定された金属箔から成っていると有利である。金属箔は具体的には、接着(ボンディング)又ははんだ付けによって固定することができる。金属箔は有利には、リザーバの残りの部分から手で引き剥がすことができる。金属箔の縁部に位置していて、リザーバの残りの部分には固定されていないタブが、箔を引き剥がすのを容易にすることができる。
【0076】
リザーバ(底部20を除く)は容器本体と同様に、そしてより大まかに言えば容器を構成する構成部分は、プラスチック材料、具体的には生体適合性プラスチック材料、例えば医療等級プラスチック、例えばポリエチレン又はポリプロピレンから成っていてよい。
【0077】
リザーバはこの例に示されているように、内側仕切り21を含むことができる。内側仕切りは、液状又は半液状の被凍結乾燥生成物を充填し得るいくつかの受容容積(22~27)を形成している。
【0078】
図1~3の実施態様と同様に、生成物は第1の予め定義された受容容積のレベルに導入される。
【0079】
図示の例では、前記第1受容容積22を第2受容容積23から分離する内側仕切り21の上方で、第1受容容積22からオーバーフローすることによって、第2受容容積23は充填される。第3受容容積は、第2受容容積23が満杯であるときに、これらの受容容積を分離する内側仕切りの上方で第2容積からオーバーフローすることによって充填される。次いで第4受容容積25は、第3受容容積が満杯であるときに、第4受容容積を第3受容容積24から分離する仕切りのレベルでオーバーフローすることによって充填される。次いで第5受容容積26は、第5受容容積を第4受容容積25から分離する内側仕切りの上方で生成物がオーバーフローすることによって充填される。最後に、生成物の導入が連続するならば、第6受容容積27がその順番になると充填される。
【0080】
図1~3の実施態様と同様に、言うまでもなく、前記受容容積(22~27)のうちのいくつかだけが充填されるように、生成物の導入はいつでも停止することができる。
【0081】
内側仕切り21は底部20に水密に固定され、適宜な高さを有している。こうして、受容容積はこの事例では列を成すように、例えばそれぞれ第1列に対応する第1、第2、及び第3受容容積(22,23,24)と、第2列に対応する第4、第5、及び第6受容容積(25,26,27)とから成る2つの列を成すように編成される。
【0082】
このように、第1受容容積22を第2受容容積23から、そして第2受容容積23を第3受容容積24からそれぞれ分離する内側仕切りは、(リザーバ19の底部20から測定して)同一の第1高さh1を有している。
【0083】
第1列を第2列から分離する長手方向仕切りと呼ばれる内側仕切りは、h1よりも大きい第2高さh2を有している。しかしながら、この仕切内には凹部28が形成されている。凹部28の上縁部は、第1高さh1と第2高さh2との間の第3高さh3にある。このように、リザーバの充填中、生成物が第1列の受容容積を充填すると、そのレベルは第1高さh1を超え、次いで第2高さh3に達する。この瞬間に、生成物は凹部28を通して第2列内へ注入し始める。注目すべきなのは、h3がh1と等しくてよいことである。
【0084】
第2列の受容容積を分離する内側仕切り21は、好ましくは同一の第4高さh4を有している。第4高さh4は、ゼロとh3との間の任意の値を有することができるが、しかし、異なる受容容積内でほぼ等しい生成物層高さを保証するために、h4はh1と等しいか又はほぼ等しく、さらにh3がh1よりも僅かだけ大きいことが有利であると思われる。
【0085】
上記原理に基づく数多くの他のリザーバ形態が考えられる。例えば充填順序を他の形で、らせん状に、一方の側から反対側へ、などの形で編成することもできる。用途に応じて、より小さい又はより大きい受容容積を形成することができる。具体的には、破断しやすい凍結乾燥物を含む生成物のためには大型の受容容積を形成することができ、そして破断しにくい、又は前圧砕により小さなサイズにすることを必要とする凍結乾燥物を含む生成物のためには小型寸法の受容容積が好ましいことがある。
【0086】
図8は、容器を図4の断面平面P1に沿って示す断面図である。リザーバ1は容器本体1の下側部分3内に固定的に集成されている。
【0087】
容器が集成されると、図8に示されているように、各受容容積(22~27)の上方に前圧砕デバイス14が配置される。
【0088】
不正開封防止ベルト8を取り外すと、上側部分2を下側部分3内に押し込むことにより、容器を図9に示された形態にすることが可能になる。ハンドル7を使用して前記上側部分2を押すことができる。従って、容器をハンドリングする役割に加えて、ハンドル7は、凍結乾燥物を前圧砕するために容器を作動させる機能を有することができる。図9の形態では、前圧砕デバイス14はリザーバ19及び容器の底部20に接近させられているので、リザーバの受容容積内に存在する凍結乾燥物が、この受容容積内へ導入される前圧砕デバイスによって破断され、破砕される。
【0089】
ハンドル7を使用して、上側部分2を上方に引き上げることにより、容器を初期形態にもたらすこともできる。このことは、図8及び図9にそれぞれ示された形態間を数回連続して容器が往復するのを可能にする。このような連続的な往復は凍結乾燥物をより容易に破砕し、且つ/又はより小さな寸法を有するより多数の小片に破砕するのを可能にする。
【0090】
図10は、図4の容器を図4の断面平面P2に沿って示す断面詳細図である。容器は、その上側部分2内に、図10により詳細に示された2つの界面を備えている。
【0091】
被凍結乾燥生成物を容器に充填するために、第1受容容積22(この受容容積は予め定められた受容容積と呼ばれる)の上方で、容器本体の上壁4内にポート29が形成されている。ポート29は例えば、図1の実施態様を参照しながら説明したタイプであってよい。ポート29を閉じるキャップ30は図4に示されている。
【0092】
上壁4はさらにセンサを所定の位置に配置するのに適したウェル31を含む。このセンサはウェル31内に直接に導入するか、又はウェル31内に固定されたシンブル内に位置決めすることができる。このようなセンサは例えば、凍結乾燥中、又は凍結乾燥後でも、容器内の環境パラメータ(温度、圧力、湿度など)をモニタリングするのを可能にすることができる。前記ウェル31がセンサを備えていない場合には、カバー32がウェル31を閉じるのを可能にする。ウェルがカバー32によって閉じられているか、センサを備えているかとは無関係に、ウェル31の水密性は例えばシール33に基づき得ることができる。このようなウェルは本発明の実施態様の全て、具体的には図1~3に示された実施態様に設けることができる。
【0093】
前述のような容器を使用する凍結乾燥プロセスは従って下記ステップを含むことができる。液体生成物又は半液体生成物(又は「組成物」)を供給する。これを所期の量で前述のような容器内へ、典型的にはポート29を介して導入する。次いでポートをキャップ30によって閉じる。リザーバ19の受容容積の全て、又はいくつかの受容容積だけを充填する。容器をフリーズドライヤ内に入れる。凍結乾燥プロセスを実施する。凍結乾燥プロセス中、金属箔から形成された底部20によって、生成物への熱伝達を促進し、また凍結乾燥プロセス中、容器からメンブレン6を通して水蒸気を除去する。生成物の凍結乾燥が完了すると、固形の凍結乾燥物がリザーバ1内(開始時に充填された受容容積内)に得られる。容器をフリーズドライヤから取り出す。
【0094】
容器が前圧砕器を含む実施態様に基づいて形成されている場合、不正開封防止ベルト8を取り外す。ハンドル7を押すことにより、前圧砕デバイス14を沈め込む底部20の方向に上側部分2を押すのを可能にする。前圧砕デバイス14は凍結乾燥物と接触し、これを貫通し、これを破砕する。ハンドル7は任意には数回昇降させることができる。
【0095】
金属箔から形成された底部20を引き剥がし、前圧砕された又はされていない凍結乾燥を放出する。凍結乾燥物を直接に又は破砕したあとにグラインダ内に導入することにより、その将来の用途を視野に入れてグラインダ内ですりつぶす。
【0096】
複数の受容容積を含む容器との関連において提供されはするものの、上記前圧砕デバイスは容器内の単一の受容容積と一緒に使用することもできる。前圧砕器の寸法は、受容容積の寸法に応じて適合される。
【0097】
実際には、生成物は凍結乾燥のために使用された容器から取り出されるときには、既知の凍結乾燥容器と一緒に、「ケーク」とも呼ばれるブロックの状態の凍結乾燥物形態を成している。液体生成物の凍結乾燥後には、包装形態がどのようなものであれ(サシェ、カプセル、錠剤、注射剤形など)、包装可能になる前に生成物をすりつぶすことにより粉末にすることが通常は必要である。
【0098】
ケークはいくつかの連続的なステップで圧砕しなければならない。凍結乾燥物ブロックを小片に破砕し、これらの小片をグラインダ内で効果的にすりつぶし得るようにするために、1つ(又は2つ以上)の前圧砕プロセスが必要である。
【0099】
この一連のステップは、凍結乾燥済生成物がツール及びこれらが処理される環境を汚染しやすい場合、且つ/又は生成物が高い付加価値を有する場合には不都合であることがある(生成物が高い付加価値を有する場合には、連続的な操作が生成物の潜在的な損失を招くからである)。
【0100】
従ってここに記載された態様は、液体生成物又は半液体生成物を凍結乾燥させるための容器であって、水蒸気透過性のメンブレンを備えた上側部分と、生成物を底部上に受容するのに適したリザーバを含む下側部分とを含む容器本体を含み、上側部分が前圧砕デバイスを含み、前圧砕デバイスが、底部に向いた1つ又は2つ以上の剛性突出構成部分を含み、容器がさらに、リザーバが充填されている間、そして生成物の凍結乾燥中に下側部分に対して上側部分を動けなくするように、そして生成物の凍結乾燥後には動かすことを可能にするように形成された保持手段を含み、上側部分と下側部分との相対運動が、前圧砕デバイスが凍結乾燥済生成物を破砕するように、前圧砕デバイスと底部とを互いに接近させることを伴う、容器に関する。
【0101】
具体的には、前圧砕デバイスは、下記剛性突出構成部分、すなわち、
- 周壁、
- 1つ又は2つ以上の尖端、
- らせん壁、
- 平行六面体ブロック、
- 底部に対向して突端を含む表面を有する平行六面体ブロック、
のうちの1つ又は少なくとも2つの組み合わせ
を含むことができる。
【0102】
リザーバが複数の受容容積を含む場合、受容容積のそれぞれに対向して前圧砕デバイスが配置されていると有利である。
【0103】
保持手段は、上側部分と下側部分との間に配置された取り外し可能な不正開封防止ベルトを含むことができる。
【0104】
上側部分は、凍結乾燥済生成物の破砕をハンドリングし作動させるためのハンドルを含むことができる。
【0105】
この態様は、凍結乾燥容器内部の凍結乾燥物を破砕するのを可能にする(これは前圧砕又は前細分化と呼ぶこともできる)容器を提供する。このことは、このステップ中の外部環境による生成物の、そして生成物による環境(機械、乳棒など)のあらゆる汚染リスクを回避する。このことはまた、前圧砕中の生成物のいかなる損失をも回避する。
【0106】
このように、本発明において、容器内にほぼ同一の高さの生成物層を有する状態で、種々異なる量の生成物を凍結乾燥させるのを可能にする、生成物を凍結乾燥させるための容器が提案される。従って、凍結乾燥パラメータ、ひいてはフリーズドライヤの調節は2つの被凍結乾燥生成物バッチ間で不変のままにすることができ、あるいは僅かに修正することができる。
【0107】
いくつかの実施態様では、本発明は、凍結乾燥物を容器内で直接に破砕するのを可能にする。容器の外部で実施されるステップを制限することにより、そして容器の充填及び凍結乾燥済生成物の回収を最適化することにより、容器はあらゆる汚染リスク及び生成物損失を回避する。
【0108】
本発明の主題である容器は好ましくは単回使用向けである。この容器は食品部門又は医療分野において数多くの用途を有することができる。本発明の1つの具体的な用途は、微生物の懸濁液、例えば、具体的には腸内フローラの移植又は「グラフト」のための細菌製剤療法生成物を凍結乾燥させることである。
【0109】
全体的にプラスチック材料から成る容器と比較して、本発明のいくつかの実施態様において金属箔から形成された底部の存在は、生成物に対する熱伝導性を改善し、ひいては凍結乾燥プロセスの継続時間を低減するのを可能にする。(例えば引き剥がすことによって)取り外し可能な底部も、凍結乾燥済生成物を単純に且つ損失なしに回収するのを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10