(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】テラヘルツ測定装置およびテラヘルツ測定装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
G01B 15/02 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
G01B15/02 Z
(21)【出願番号】P 2021519610
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020064440
(87)【国際公開番号】W WO2020239694
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メストル リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】アンクラム ラース・クリスチャン
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-127699(JP,A)
【文献】国際公開第2018/138523(WO,A1)
【文献】特表2007-503582(JP,A)
【文献】特表2019-500629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 15/00-15/08
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物(10)にテラヘルツ(THz)信号(TS)を放射するように構成されたTHz送信機(110)と、前記測定対象物(10)によって反射された前記THz信号(TS)の反射部分(TSR)を受信するように構成されたTHz受信機(120)とを備え、前記THz送信機(110)および前記THz受信機(120)が測定装置(100)の測定ヘッド(130)に配置された測定装置(100)の作動方法であって、
前記測定ヘッド(130)と
既知の幾何学的形状を有する基準測定対象物(10
’a)との間の距離(d)を変化させるステップ(200)と、
前記THz送信機(110)により、前記THz信号(TS)を前記
基準測定対象物(10
’a)に放射するステップ(202)と、
前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)を受信するステップ(204)と、
前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータ(P1)を決定するステップ(206)と
を含み、
さらに、以下のA)および/またはB)をさらに含む作動方法であって、
A)予め設定された第1の範囲内の、前記測定ヘッド(130)と前記
基準測定対象物(10
’a)との間の前記距離(d)の複数の距離値(dv)について、
前記複数の距離値(dv)を決定するステップ(220)および/または記憶するステップ(222)と、
前記
複数の距離値(dv)に関連する前記THz信号(TS)の受信された反射部分(TSR)を特徴付ける第1の参照測定情報(rmi1)を決定して記憶するステップ(224)と、をさらに含み、
B)測定される前記
基準測定対象物(10
’a)に対する前記測定ヘッド(130)の相対角度位置(a1)を変化させるステップ(210)と、
前記THz送信機(110)により、前記THz信号(TS)を前記
基準測定対象物(10
’a)に放射するステップ(212)と、
前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)を受信するステップ(214)と、
前記THz信号(TS)の前記受信された反射部分(TSR)に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第2のパラメータ(P2)を決定するステップ(216)とをさらに含み、
予め設定された第2の範囲内の、前記測定ヘッド(130)と前記
基準測定対象物(10
’a)との間の前記相対角度位置の複数の相対角度位置値(apv)について、
前記複数の相対角度位置値(apv)を決定するステップ(230)および/または記憶するステップ(232)と、
前記
複数の相対角度位置値(apv)に関連する前記THz信号(TS)の受信された反射部分(TSR)を特徴付ける第2の参照測定情報(rmi2)を決定および記憶するステップ(234)と、をさらに含
み、
前記測定装置(100)に対して最適測定距離(оmd)及び/又は最適測定角度(оma)に位置決めされていない、前記基準測定対象物(10’a)とは異なる試験測定対象物(10’b)を測定して測定結果(mr)を得るステップ(242)と、
前記試験測定対象物(10’b)の前記測定結果(mr)を、前記複数の距離値(dv)と前記第1の参照測定情報(rmi1)、及び前記複数の相対角度位置値(apv)と前記第2の参照測定情報(rmi2)を使用して補正するステップ(244)を含み、
それにより補正された測定結果(mr’)を取得する、測定装置(100)の作動方法。
【請求項2】
前記距離(d)は、予め設定された第1の範囲内で変化し(200)、
前記測定ヘッド(130)と前記
基準測定対象物(10
’a)との間の距離(d)を変化させるステップ(200)、前記THz送信機(110)により、前記THz信号(TS)を前記
基準測定対象物(10
’a)に放射するステップ(202)、前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)を受信するステップ(204)、および、前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける前記第1のパラメータ(P1)を決定するステップ(206)を、
前記第1のパラメータ(P1)が予め設定された第1の閾値(T1)を超えるまで、および/または、前記予め設定された第1の範囲の最大値に達するまで繰り返すステップ(208)をさらに含み、
前記第1のパラメータ(P1)の前記最大値に関連する前記距離(d)の値は、最適測定距離(omd)であり、
前記最適測定距離(omd)は、少なくとも一時的に保存される(206d)
請求項1に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項3】
前記相対角度位置を変化させるステップ(210)は、前記相対角度位置を2つ以上の空間方向(a1)に互いに変化させるステップを含む
請求項1または2に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項4】
前記相対角度位置は、予め設定された第2の範囲内で変化し(210)、
前記相対角度位置を変化させるステップ(210)、前記THz送信機(110)により、前記THz信号(TS)を前記
基準測定対象物(10
’a)に放射するステップ(212)、前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)を受信するステップ(214)、および、前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)に比例および/または関連する前記検出信号を特徴付ける前記第2のパラメータ(P2)を決定する(216)ステップを、
前記第2のパラメータ(P2)が予め設定された第2の閾値(T2)を超えるまで、および/または、前記予め設定された第2の範囲の最大値に達するまで繰り返すステップ(218)をさらに含み、
前記第2のパラメータ(P2)の前記最大値に関連する前記相対角度位置(a1)の値は、最適測定角度(oma)であり、
前記最適測定角度(oma)は、少なくとも一時的に保存される(216d)である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項5】
前記第1のパラメータ(P1)を決定する前記ステップ(206)、および/または、前記第2のパラメータ(P2)を決定する前記ステップ(216)、および/または、第1の参照測定情報(rmi1)を決定および記憶する前記ステップ(224)、および/または、第2の参照測定情報(rmi2)を決定および記憶する前記ステップ(234)は、
前記THz信号(TS)の前記反射部分(TSR)にフィルタリング処理を適用するステップ(206a、216a)を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項6】
a)少なくとも1つの距離センサ(132)によって、前記距離(d)を決定するステップ(220)、
および/または、
b)少なくとも1つの角度位置センサ(134)によって、前記相対角度位置を決定するステップ(230)
をさらに含む
請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項7】
前記測定ヘッド(130)と前記
基準測定対象物(10
’a)との間の前記距離(d)を変
化させる前記ステップ
(200)は、
並進運動で、第1のドライブ(140)により、前記測定ヘッド(130)を前記
基準測定対象物(10
’a)に対して移動するステップ(200a)、
および/または、
並進運動で、第2のドライブ(142)により、前記
基準測定対象物(10
’a)を前記測定ヘッド(130)に対して移動するステップ(200b)
を含む
請求項1から6のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項8】
前記
基準測定対象物(10
’a)に対する前記測定ヘッド(130)の前記相対角度位置を変化させる前記ステップ(210)は、
第1のドライブ(140)または前記第1のドライブ(140)によって、前記測定ヘッド(130)を前記
基準測定対象物(10
’a)に対して回転するステップ(210a)、
および/または、
第2のドライブ(140)または前記第2のドライブ(140)によって、前記
基準測定対象物(10
’a)を前記測定ヘッド(130)に対して回転するステップ(210b)
を含み、
前記回転するステップ(210a、210b)におけるピボット点(PP)は、前記
基準測定対象物(10
’a)の表面領域(10a’)内に配置され、
前記THz信号(TS)の焦点(FP)もまた、前記表面領域(10a’)内に配置される
請求項1から7のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項9】
a)請求項1から8のいずれか1項の方法を実行することにより、最適測定距離(omd)または前記最適測定距離(omd)を決定するステップ、
および/または、
b)請求項1から8のいずれか1項の方法を実行することにより、最適測定角度(oma)または前記最適測定角度(oma)を決定するステップ
を含む
請求項1から8のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項10】
複数の距離値(dv)、および/または、複数の相対角度位置値(apv)、および、
前記複数の距離値(dv)に関連する第1の参照測定情報(rmi1)、および/または、前記複数の相対角度位置値(apv)に関連する第2の参照測定情報(rmi2)を含むデータベース(DB)を構築するステップ(240)をさらに
含む、
請求項1から9のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項11】
測定結果(mr)を取得するために、前記THz信号(TS)を使用し
て試験測定対象物(10’b)の層厚測定、を実行するステップ(242)をさらに含み、
前記データベース(DB)からの情報(dv、apv、rmi1、rmi2)に基づいて前記測定結果(mr)を補正(244)することにより、補正された測定結果(mr’)が取得される
請求項10に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項12】
さらなる測定を実行する前記ステップ(242)において、第3のドライブ(144)は、前記
試験測定対象物(10
’b)に対して測定ヘッド(130)を配置するために使用され、
前記第3のドライブ(144)は、第1のドライブ(140)または前記第1のドライブ(140)、および/または、第2のドライブまたは前記第2のドライブとは異なる
請求項11に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項13】
3Dスキャナ(134)により、測定ヘッド(130)と対象物(10; 10’)又はサンプル(10; 10’b)、との間の距離(d)、および、測定ヘッド(130)とサンプル(10; 10’b)との間の、2つの角度範囲に沿った、相対角度位置(a1)を決定するステップ(280)と、
データベース(DB)または前記データベース(DB)が、決定された距離(d)および/または決定された相対角度位置(a1)の参照測定値(RM)を特徴付けるデータセットを含むかどうか決定するステップ(282)と
をさらに含み、
前記データベース(DB)が、決定された距離(d)および/または決定された相対角度位置(a1)の参照測定値(RM)を特徴付けるデータセットを含む場合に、
少なくとも1つの将来の層厚測定(284)のためであって、距離誤差および/または相対角度位置誤差を補正(286)するための、さらなる処理(286)のために、前記参照測定値(RM)を使用し、
前記データベース(DB)が、決定された距離(d)および/または決定された相対角度位置(a1)の参照測定値(RM)を含まない場合に、
a)距離(d)および/または相対角度位置(a1)の決定値が、データベース(DB)の参照測定値(RM)で対応される範囲内にある場合に、距離および/または角度位置の異なる組み合わせについての既存の参照測定値間を補間し(283a)、補間された参照測定値(iRM)を取得する、
または
b)決定された距離および/または決定された相対角度位置の測定値が、データベース(DB)の参照測定値(RM)で対応される範囲内でない場合に、サンプル(10’b)に対して測定ヘッド(130)を再配
置(283b)する、
請求項1から12のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項14】
前記再配置(283b)の後、測定ヘッド(130)と対象物又はサンプル(10; 10’b)との間の距離(d)、および相対角度位置(a1)を決定し(280)、データベース(DB)または前記データベース(DB)が、決定された距離(d)および/または決定された相対角度位置(a1)の参照測定値(RM)を特徴付けるデータセットを含むかどうか決定する(282)ステップを繰り返し、
1つまたは複数の層厚測定を実行する(284)、および/または、1つまたは複数の層厚測定を実行(284)している間に存在し得る、距離誤差および/または相対角度位置誤差を補正および/または補正するため、保存された参照測定値(RM)または補間された参照測定値(iRM)を使用する、
請求項13に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項15】
本体(10; 10’a; 10’b)上に配置された複数の層(11、12)の層厚を決定するステップ(250; 284)を含む
請求項1から14のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法。
【請求項16】
測定対象物(10)にテラヘルツ(THz)信号(TS)を放射するように構成されたTHz送信機(110)と、前記測定対象物(10)によって反射された前記THz信号(TS)の反射部分(TSR)を受信するように構成されたTHz受信機(120)と
、制御装置(150)とを備え、前記THz送信機(110)および前記THz受信機(120)は、測定装置(100)の測定ヘッド(130)に配置された測定装置(100)であって、
前記制御装置(150)は、請求項1から15のいずれか1項に記載の測定装置の作動方法を実行するように構成されている測定装置(100)。
【請求項17】
本体(10’b)上に配置された複数の層(11、12)であって、
a)まだ乾燥していない濡れたペイント層(11、12)、および/または、
b)乾燥中のペイント層(11、12)、および/または、
c)乾燥したペイント層(11、12)、
の層厚測定(250)を実行および/または準備するための、請求項1から15のいずれか1項に記載の測定装置(100)の作動方法、および/または、請求項16に記載の測定装置(100)の使用方法であって、
ロボット(144)とともに、A)静止構成、および/または、B)非静止構成により、前記測定装置(100)の作動方法および/または前記測定装置(100)が使用される
測定装置(100)の作動方法および/または測定装置(100)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テラヘルツ(THz)放射を用いた測定装置の作動方法に関する。
【0002】
本開示は、さらに、テラヘルツ(THz)放射を用いた測定装置に関する。
【発明の概要】
【0003】
測定装置の作動方法の好ましい実施形態は、測定対象物にテラヘルツ(THz)信号を放射するように構成されたTHz送信機と、測定対象物によって反射されたTHz信号の反射部分を受信するように構成されたTHz受信機とを備え、THz送信機およびTHz受信機は、測定装置の測定ヘッドに配置された測定装置の作動方法であって、測定ヘッドと測定対象物との間の距離を変化させるステップと、THz送信機により、THz信号を測定対象物に放射するステップと、THz信号の反射部分を受信するステップと、THz信号の反射部分に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータを決定するステップと、を含む。このようにして、第1のパラメータに応じて、例えば、距離の特定の値の適合性を評価することができ、および/または、例えば、さらなる測定のための距離に関する調整プロセスを容易にすることができる。さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号の反射部分に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータを決定するステップは、THz信号の受信された反射部分に関連するTHz電力、好ましくは積分THz電力を決定することを含み、ここで好ましくは、(積分)THz電力は、時間領域および/または周波数領域で決定されてもよい。さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号の受信された反射部分に比例および/または関連する検出信号は、当業者に知られているように、THz信号を検出するための手順を使用して決定することができる。
【0004】
特に、さらなる好ましい実施形態によれば、以下の説明を参照すると、測定ヘッドと測定対象物との間の実際の距離が、最適な距離に対応するかどうかを判定することも可能である。
【0005】
さらなる好ましい実施形態によれば、距離は2つの異なる値の間で少なくとも変化し、少なくとも2つの異なる値について、放射するステップ、受信するステップ、および、第1のパラメータを決定するステップが実行され、これにより、少なくとも2つの異なる距離値について第1のパラメータを評価することが可能になる。
【0006】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号の放射は、例えば、少なくとも一時的に、好ましくはTHzパルスの形態で、好ましくは(新しい)距離が設定された特定の時点で実行されてもよい(すなわち、さらなる好ましい実施形態によれば、放射および受信のステップは、好ましくは距離が変化する間は実行されない)。同様に、さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号の反射部分の受信は、少なくとも一時的に、好ましくは放射ステップと同期して実行されてもよい。
【0007】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号は、0.3THz~100THzの範囲、好ましくは0.5THz~10THzの範囲の少なくとも1つの周波数成分を含むTHz放射線を含む。さらなる好ましい実施形態によれば、THz放射線は、0.3THz~100THzの範囲、好ましくは0.5THz~10THzの範囲のいくつかの周波数成分を含む。
【0008】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号はTHzパルスを含むTHz放射線を含み、単一のTHzパルスの信号エネルギーの少なくとも60パーセントが0.3THzと100THzとの間、好ましくは0.5THzと10THzとの間の周波数範囲に割り当てられ、より好ましくはTHzパルスの信号エネルギーの少なくとも80パーセントが0.3THzと100THzとの間、好ましくは0.5THzと10THzとの間の周波数範囲に割り当てられる。
【0009】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の距離は予め設定された第1の範囲内で(さらなる好ましい実施形態に従って使用される少なくとも1つの駆動に応じて、連続的にまたは離散的なステップのいずれかで)変化され、上記方法は測定ヘッドと測定対象物との間の距離を変化させるステップを繰り返すステップと、THz送信機によって、THz信号を測定対象物に(少なくとも一時的に、例えば、パルスの形態で)放射するステップと、THz信号の反射部分を受信するステップと、THz信号の受信された反射部分に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータを決定するステップと、をさらに含み、これらのステップの繰り返しは、好ましくは第1のパラメータが予め設定された第1のしきい値を超えるまで、および/または予め設定された第1の範囲に関して最大値に達するまで実行される。
【0010】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のパラメータの最大値に関連する距離の値は、好ましくは、測定装置による将来の測定に使用される最適な測定距離を表す。
【0011】
さらに好ましい実施形態によれば、最適な測定距離は、第1のパラメータに基づいて決定される。
【0012】
さらなる好ましい実施形態によれば、最適な測定距離は、例えば将来の使用のために、少なくとも一時的に記憶される。
【0013】
さらなる好ましい実施形態によれば、特に、最適な測定距離が決定されると、最適な測定距離は、THz信号を送信し、THz信号の反射部分を受信することに基づく(さらなる)測定に使用される。さらなる好ましい実施形態によれば、そのような(さらなる)測定は例えば、1つ以上の層厚測定、例えば、測定対象物上に配置された複数の層、例えば、本体(例えば、車両部品上に配置された塗料のいくつかの層など)を含んでもよい。
【0014】
さらなる好ましい実施形態によれば、さらなる測定、例えば層厚測定などは、以下のステップを含むことができる:基準対象物を使用して1つまたは複数の測定値に基づいて基準測定情報を決定するステップと、測定されるべき実際の物体、例えば被試験デバイスを使用して1つまたは複数の測定値に基づいて測定情報を決定するステップと、測定結果を得るために基準測定情報に応じて測定されるべき実際の物体の測定情報を評価するステップ。これは、有利に、個々の測定装置(および/またはその構成要素)の望ましくない特性または基準特性からの逸脱を排除することを可能にし、より正確な測定結果をもたらす。
【0015】
さらなる好ましい実施形態によれば、基準測定情報を決定するための測定は、THz信号を、好ましくは基準対象物に放射することと、基準対象物によって反射されたTHz信号の反射部分を受信することとを含むことができ、基準測定情報は、THz信号の受信された反射部分に基づいて決定されることができる。さらなる好ましい実施形態によれば、基準測定情報は、基準対象物によって反射されたTHz信号の受信された反射部分を特徴付ける信号形状、特に時系列および/または周波数スペクトルを含むおよび/または特徴付けることができる。同様に、さらなる好ましい実施形態によれば、測定情報は、被試験デバイスによって反射されたTHz信号の受信された反射部分を特徴付ける信号形状、特に時系列および/または周波数スペクトルを含むか、または特徴付けることができる。
【0016】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、測定ヘッドと測定される物体との間の距離の少なくとも1つの距離値について、好ましくは予め設定された第1の範囲内の複数の距離値について、距離値を決定および/または記憶すること(場合によっては距離値を決定するステップが、例えば、距離値が十分な精度で既に知られている場合には省略されてもよい)、少なくとも1つの距離値に関連するTHz信号の受信された反射部分を特徴付ける第1の基準測定情報を決定および記憶することをさらに含む。
【0017】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の基準測定情報と同様に、第1の基準測定情報は、信号形状、特に、THz信号の受信された反射部分を特徴付ける時系列(例えば、受信反射THzパルスのパルス形状を特徴付ける)および/または周波数スペクトルを含むか、または特徴付けることができる。
【0018】
このように、第1の基準測定情報の少なくとも1つのセットは、上述のように、距離値の各々について決定されてもよく、それは、とりわけ、測定ヘッドと測定対象物との間の(上述の距離値に関連する)光信号経路に関する情報を含む。
【0019】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1の基準測定情報は、測定装置によるさらなる測定のために、例えば、さらなる測定によって得られた結果を修正するために使用されてもよい。
【0020】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、測定対象物に対する測定ヘッドの相対角度位置を変化させるステップと、THz送信機によって、(好ましくは1つまたは複数のパルスの形態の)THz信号を測定対象物に(少なくとも一時的に)放射するステップと、THz信号の反射部分を受信するステップと、THz信号の受信された反射部分に比例し、および/または関連する検出信号を特徴付ける第2のパラメータを決定するステップと、をさらに含む。
【0021】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1および/または第2のパラメータによって特徴付けられる検出信号は、時間領域および/または周波数領域において決定されてもよい。
【0022】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のパラメータを決定するステップ、および/または、第2のパラメータを決定するステップ、および/または、第1の基準測定情報を決定して記憶するステップ、および/または、第2の基準測定情報を決定して記憶するステップ(さらなる詳細については以下を参照されたい)が、THz信号の受信された反射部分に(それぞれ)フィルタリング処理を適用することを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、第1のパラメータを決定するとき、および第2のパラメータおよび/またはそれぞれの基準測定情報を決定するときに、異なるフィルタリング処理を適用することができる。このように、さらなる好ましい実施形態によれば、第1および/または第2のパラメータおよび/またはそれぞれの基準測定情報を決定する前に、例えば、信号対雑音比(SNR)が低い信号成分を除去することができ、したがって、精度を向上させることができる。さらなる好ましい実施形態によれば、所望のフィルタ特性を選択することによって、それぞれの第1および/または第2のパラメータおよび/またはそれぞれの基準測定情報の決定に関する最適化を実行することができる。さらに好ましい実施形態によれば、好ましくは、以下に説明されるようなフィルタリング処理に応じて取得された基準測定情報を使用する場合、類似または同一のフィルタリング処理が基準測定情報に応じて処理される測定情報に適用されてもよい。
【0023】
さらなる好ましい実施形態によれば、相対角度位置を変化させるステップは、相対角度位置を複数の空間方向、できれば2つの空間方向であり、好ましくは互いに直交している2つの空間方向に変化させることを含む。
【0024】
さらなる好ましい実施形態によれば、相対角度位置は、予め設定された第2の範囲内で変更され、上述の方法は相対角度位置を変更するステップを繰り返すステップと、(少なくとも一時的に)THz送信機によって、THz信号を測定対象物に放射するステップと、THz信号の反射部分を受信するステップと、好ましくは第2のパラメータが予め設定された第2の閾値を超え、および/または、予め設定された第2の範囲に関して最大値に達するまで、THz信号の受信された反射部分に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第2のパラメータを決定するステップと、をさらに含み、好ましくは第2のパラメータの最大値に関連する相対角度位置の値が最適な測定角度を表し、好ましくは最適な測定角度が少なくとも一時的に記憶される。さらなる好ましい実施形態によれば、最適な測定角度は、測定対象物の表面法線が測定装置および/またはその測定ヘッドの基準軸(例えば、光軸)に平行であることを特徴とすることができる。
【0025】
さらなる好ましい実施形態によれば、特に、最適な測定角度が決定されると、最適な測定角度は、THz信号を送信し、THz信号の反射部分を受信することに基づく(さらなる)測定のために使用される。さらなる好ましい実施形態によれば、そのような(さらなる)測定は例えば、1つ以上の層厚測定、例えば、本体上に配置された複数の層(例えば、車両部品上に配置された塗料のいくつかの層など)を含んでもよい。さらに好ましい実施形態によれば、予め設定された第2の範囲は、1次元範囲または2次元範囲を表すことができる。
【0026】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号を放射するステップは、好ましくは予め設定された数のTHzパルス、好ましくは予め設定されたパルス繰返し率で、THzパルスを放射することを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、特定の数のTHzパルス、特に2つ以上のTHzパルスが、距離および/または相対角度位置の各値に対して放射されてもよく、これにより精度がさらに向上であろう。
【0027】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、測定ヘッドと測定対象物との間の相対角度位置の少なくとも1つの相対角度位置値について、好ましくは予め設定された第2の範囲の複数の相対角度位置値について、相対角度位置値を決定および/または記憶するステップ(場合によっては相対角度位置を決定するステップが、例えば、相対角度位置が十分な精度で既に知られている場合、省略されてもよい)と、少なくとも1つの相対角度位置値に関連するTHz信号の受信された反射部分を特徴付ける第2の基準測定情報を決定および記憶するステップと、をさらに含む。
【0028】
さらなる好ましい実施形態によれば、第2の基準測定情報は、THz信号の受信された反射部分を特徴付ける信号形状、特に時系列および/または周波数スペクトルを含み、および/または、特徴付けることができる。この点で、さらなる実施形態によれば、第1の基準測定情報および第2の基準測定情報によって具現化されるデータのタイプに関して、差異がなくてもよい。
【0029】
このように、第2の基準測定情報の少なくとも1つのセットは、上述のように角度位置値の各々について決定されてもよく、それは、特に、測定ヘッドと測定対象物との間の(角度位置値(複数可)に関連する)光信号経路に関する情報を含む。
【0030】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定対象物に対する測定ヘッドの特定の空間方位は、これらの要素間の距離および相対角度位置によって特徴付けられてもよく、この特定の空間方位は、第1の基準測定情報および/または第2の基準測定情報の1つまたは複数のセットに関連付けられてもよい。
【0031】
さらなる好ましい実施形態によれば、第2の基準測定情報は、測定装置の手段によるさらなる測定のために(単独で、または必要に応じて、提供される第1の基準測定情報と組み合わされて)使用されてもよい。
【0032】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、好ましくは、例えば三角測量センサおよび/または3次元(3D)スキャナ等の、少なくとも1つの距離センサによって、上述の距離を決定することをさらに含む。
【0033】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、好ましくは、例えば、表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することができる光学角度位置センサ、好ましくは3Dスキャナ等の、少なくとも1つの角度位置センサによって、相対角度位置を決定することをさらに含む。さらなる好ましい実施形態によれば、光角度位置センサは、その光軸が測定ヘッドの基準軸、例えば光軸と同軸および/または平行であるように配置される。好ましくはさらなる実施形態によれば、光学角度位置センサの測定スポットは、測定ヘッドのTHz信号の焦点内に存在する。
【0034】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定ヘッドと測定対象物との間の距離を変化させるステップは、好ましくは並進運動で、好ましくは第1のドライブによって、測定対象物に対して測定ヘッドを移動させること、および/または、好ましくは並進運動で、好ましくは第2のドライブによって、測定ヘッドに対して測定対象物を移動させることを含む。
【0035】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のドライブおよび/または第2のドライブは、好ましくは並進運動させるための高精度リニアアクチュエータを含み、並進運動の分解能は、例えば5マイクロメートル(μm)以下である。さらなる好ましい実施形態によれば、第1のドライブおよび/または第2のドライブは代替的にまたは追加的に回転運動させることができ、回転運動の角度分解能は、例えば0.05°(度)以下である。
【0036】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定対象物に対する測定ヘッドの相対角度位置を変化させるステップは、好ましくは1つまたは複数の第1のドライブによって、測定ヘッドに対して測定対象物を回転させるステップ、および/または、好ましくは1つまたは複数の第2のドライブによって、測定ヘッドに対して測定対象物を回転させるステップを含む。
【0037】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のドライブは、測定対象物に対する測定ヘッドの並進運動および回転運動の両方を行うように構成されてもよい。さらなる好ましい実施形態によれば、第2のドライブは、測定ヘッドに対する測定対象物の並進運動および回転運動の両方を行うように構成されてもよい。さらなる実施形態によれば、測定ヘッドおよび/または測定対象物の異なるタイプの移動を行わせるために、異なる、特に別個のドライブを使用することもできる。
【0038】
さらなる好ましい実施形態によれば、回転に関連するピボット点は、測定対象物の表面領域内に配置され、さらに好ましくはTHz信号の焦点(「測定スポット」、ドイツ語:「Messfleck」)も表面領域内に配置され、したがって、測定対象物の表面領域内にない、および/または、焦点の外側にあるピボット点による回転運動によって引き起こされる距離誤差を回避することができる。
【0039】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、好ましくは実施形態による方法を実行することによって、最適な測定距離を決定することをさらに含む。
【0040】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、好ましくは実施形態による方法を実行することによって、最適な測定角度を決定することをさらに含む。
【0041】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、好ましくは実施形態による方法を実行することによって、最適な測定距離を決定するステップと、最適な測定角度を決定するステップと、をさらに含む。さらなる好ましい実施形態によれば、最適な測定距離および最適な測定角度は、さらなる測定を実行するために使用される。
【0042】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、複数の距離値および/または複数の相対角度位置値と、複数の距離値に関連する第1の基準測定情報および/または複数の相対角度位置値に関連する第2の基準測定情報とを含むデータベースを構築するステップをさらに含み、好ましくは、データベースを構築するステップのために、第1の対象物が測定対象物として使用される。
【0043】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1の対象物は、THz放射線、特にTHz信号を反射し、好ましくは例えば平面等の予め設定された幾何学的形状を有する基準対象物とすることができる。
【0044】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1の対象物は、例えば非平面(1次元または2次元)等の予め設定された幾何学的形状を有する基準対象物とすることができる。
【0045】
さらなる好ましい実施態様によれば、上述の方法は、複数の距離値および複数の相対角度位置値と、複数の距離値に関連する第1の基準測定情報と、複数の相対角度位置値に関連する第2の基準測定情報とを含むデータベースを構築することを含む。このようにして、第1および/または第2の基準測定情報は、例えばさらなる測定のために、所与の距離および/または所与の相対角度位置により、データベースから効率的にアクセスおよび/または検索されてもよい。一例として、データベースを使用する場合、例示的に言及された層厚測定などのさらなるTHz信号に基づく測定が行われてもよく、上述の(層厚)測定の評価のために、基準測定情報は、例えば、基準測定を実行する代わりに、データベースから有利に検索されてもよい。
【0046】
言い換えれば、データベース内に含まれる情報は、測定装置(または、同一/類似のタイプの少なくとも1つのさらなる測定装置)のさらなる測定のための基準情報として使用されてもよい。
【0047】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、THz信号を使用してさらなる測定を実行して、測定結果を取得するステップをさらに含み、好ましくはさらなる測定を実行するステップのために、第1の対象物とは異なる第2の対象物が、測定対象物として使用される。一例として、第1の対象物は、例えば既知の幾何学的形状を有する基準対象物とすることができ、第2の対象物は、特に未知の幾何学的形状または基準対象物とは異なる幾何学的形状を含む実際の被試験デバイスとすることができる。
【0048】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、データベースからの情報に応じて測定結果を修正することをさらに含み、それによって修正された測定結果が得られる。このようにして、特に個々の測定装置(および/またはその構成要素)の特性および/またはさらなる望ましくない影響が、データベースからの情報を使用して少なくとも部分的に排除されて、より高い精度が達成される。特に、場合によっては、例えば、第2の対象物を測定装置に対して位置決めするために使用されるドライブの位置決め精度の低下(および/またはその逆)のために、さらなる測定で位置決めおよび/または位置合わせ誤差が生じることがある。位置決めおよび/または位置合わせ誤差は、さらなる測定のために設定される最適ではない測定距離および/または測定角度によって特徴付けることができる。これらの場合、最適な測定距離および/または最適な測定角度で行われた基準測定を使用して、このような基準測定情報で測定情報を処理するときに、より正確でない測定結果が得られることがある。さらなる好ましい実施形態によれば、このような場合、例えば、実際の最適ではない測定距離および/または実際の最適ではない測定角度に応じて、(第1および/または第2の)基準情報の適切なセットを使用することにより、より正確な測定を達成することが可能になる。
【0049】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定を実行するステップのために、第3のドライブが、測定対象物に対して測定ヘッドを位置決めするために使用される。言い換えれば、第3のドライブは例えば、測定ヘッドと試験対象物との間の距離および/または試験対象物に対する測定ヘッドの相対角度位置を制御するために使用されてもよい。
【0050】
さらなる好ましい実施形態によれば、第3のドライブは、例えば、ロボットおよび/またはロボットアーム、または、一般に、測定ヘッドを試験対象物に対して位置決めするように構成された任意のマニピュレータを備えてもよい。ロボットの位置決め精度は、第1のドライブおよび/または第2のドライブの精度ほど高くないことがあるので、THz信号を使用して測定を実行するときに、位置決めおよび/または位置合わせ誤差が生じることがある。さらなる好ましい実施形態によれば、実際の測定距離および/または実際の測定角度に関連する基準測定情報を使用して測定情報を評価することが望ましい場合がある。さらなる好ましい実施形態によれば、そのような情報は、上述で説明したようなさらなる好ましい実施形態に従って取得されたデータベースに含まれ、位置決めおよび/または位置合わせ誤差を少なくとも部分的に補正するために使用されてもよい。
【0051】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、本体上に配置された複数の層(例えば、車両部品上に配置された塗料のいくつかの層など)の層厚を決定するステップを含み、決定は、例えば、THz信号の受信された反射部分に基づいて、例えば、時間領域反射率測定(TDR)技法を適用することによって行うことができる。
【0052】
さらなる好ましい実施形態は、テラヘルツ(THz)信号を放射するように構成されたTHz送信機と、測定対象物によって反射されたTHz信号の反射部分を受信するように構成されたTHz受信機とを備える測定装置に関し、THz送信機およびTHz受信機は、測定装置の測定ヘッドに配置され、測定装置は、測定ヘッドと測定対象物との間の距離を変化させるステップと、THz送信機により、THz信号を測定対象物に放射するステップと、THz信号の反射部分を受信するステップと、THz信号の受信された反射部分に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータを決定するステップと、を実行するように構成されている。
【0053】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の測定装置は、実施形態による方法を実行するように構成される。
【0054】
さらなる好ましい実施形態は、特に、a)まだ乾燥していない濡れたペイント層、および/または、b)乾燥中のペイント層、および/または、c)乾燥したペイント層の層厚測定を実行および/または準備するための、実施形態による方法および/または実施形態による測定装置の使用に関し、好ましくは、特にロボット、その中でも特に産業用ロボットとともに、A)静止構成、および/または、B)非静止構成により、上述の方法および/または上述の測定装置が使用される。
【0055】
さらなる有利な態様および実施形態は、従属請求項に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】好ましい実施形態による測定装置の簡略化されたブロック図を概略的に示す。
【
図2】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図3】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図4】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図5】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図6】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図7】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図8】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図9】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図10】さらに好ましい実施形態の制御ユニットの簡略化されたブロック図を概略的に示す。
【
図11A】さらに好ましい実施形態の第1の動作シナリオを概略的に示す。
【
図11B】さらに好ましい実施形態の第2の動作シナリオを概略的に示す。
【
図12】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図13】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図14】さらに好ましい実施形態の動作シナリオの簡略化された側面図を概略的に示す。
【
図15A】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図15B】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図15C】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図16A】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【
図16B】さらに好ましい実施形態による方法の簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
さらなる実施形態の特徴、態様、および利点は、図面を参照して以下の詳細な説明において与えられる。
【0058】
図1は、好ましい実施形態による測定装置100の簡略化されたブロック図を概略的に示す。測定装置100は、測定対象物10にTHz信号TSを放射するように構成されたテラヘルツ(THz)送信機110と、測定対象物10によって反射されたTHz信号TSの反射部分TSRを受信するように構成されたTHz受信機120とを備える。この目的のために、THz送信機110は、THzエミッタ110aおよび関連するエミッタ光学系112を含み、THz受信機120は、THz検出器および関連する検出器光学系122を含む。
【0059】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz送信機110およびTHz受信機120は、測定装置100の、好ましくは気密封止された測定ヘッド130内に配置され、この測定ヘッド130は、THz信号TSが測定ヘッド130の外側に位置する測定対象物10上に照射されることを可能にし、かつ受信された反射部分TSRが測定ヘッド130に入ることを可能にするTHz送信要素(例えば、保護窓および/または光学レンズ)111を備えることができる。さらなる好ましい実施形態によれば、保護窓111は交換可能である。
【0060】
さらなる好ましい実施形態によれば、要素110a、112、120a、122は、それぞれの光軸(図示せず)が基準軸RAに平行であり、基準軸RAが測定ヘッド130の光軸となるように、測定ヘッド130の基準軸RAと位置合わせされる。
【0061】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定装置100は、
図2の簡略化されたフローチャートを参照すると、測定ヘッド130(例えば、測定ヘッド130の外面130a)と測定対象物10(例えば、測定対象物10の表面10a)との間の距離d(
図1)を変化させるステップ200と、THz送信機110により、THz信号TSを測定対象物10に放射するステップ202(
図2)と、THz信号TSの反射部分TSRを受信するステップ204と、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータP1を決定するステップ206と、を実行するように構成される。
【0062】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータP1を決定するステップ206は、THz信号TSの受信された反射部分TSRに関連する、好ましくは積分THz電力を決定することを含み、好ましくは(積分)THz電力は、時間領域および/または周波数領域において決定される。
【0063】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号は、当業者に知られているように、THz信号を検出するための手順を使用して決定することができる。言い換えれば、このような検出技術を適用することによって、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を、THz信号TSの受信された反射部分TSRから決定することができ、上述したように、好ましくは、ステップ206において、検出信号を特徴付ける第1のパラメータP1を決定する。一例として、さらなる好ましい実施形態によれば、検出信号の決定は、受信するステップ204において実行されてもよい。
【0064】
このようにして、第1のパラメータP1に応じて、例えば特定のタイプのさらなる測定または一般的に精密な測定に対する、距離d(
図1)の特定の値の例えば適合性を評価することができ、および/または、例えばさらなる測定のための上述の距離に関する調整プロセスを容易にすることができる。
【0065】
さらなる実施形態によれば、制御装置150は、特に実施形態による方法を実行するために、測定装置100の動作を制御するために提供されてもよい。
【0066】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TS(
図1)を放射するステップ202(
図2)は、例えば、少なくとも一時的に、好ましくはTHzパルスの形態で実行されてもよい。同様に、さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号の反射部分TSRを受信するステップ204は、少なくとも一時的に、好ましくは放射するステップ202と同期して実行されてもよい。
【0067】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TS(
図1)は、0.3THz~100THzの範囲、好ましくは0.5THz~10THzの範囲の少なくとも1つの周波数成分を含むTHz放射線を含む。さらなる好ましい実施形態によれば、THz放射線は、0.3THz~100THzの範囲、好ましくは0.5THz~10THzの範囲のいくつかの周波数成分を含む。
【0068】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TSは、THzパルスを含むTHz放射線を含み、単一のTHzパルスの信号エネルギーの少なくとも60パーセントが0.3THzと100THzとの間、好ましくは0.5THzと10THzとの間の周波数範囲に割り当てられ、より好ましくはTHzパルスの信号エネルギーの少なくとも80パーセントが0.3THzと100THzとの間、好ましくは0.5THzと10THzとの間の周波数範囲に割り当てられる。
【0069】
さらなる好ましい実施形態によれば、距離d(
図1)は、
図2のステップ200を参照すると、予め設定された第1の範囲内で変化し、上述の方法は、好ましくは第1のパラメータP1が予め設定された第1の閾値を超え、および/または、予め設定された第1の範囲に対して最大値に達するまで、ステップ200、202、204、206を繰り返すステップ208をさらに含む。さらなる好ましい実施形態によれば、予め設定された第1の範囲は、装置100(
図1)および/または装置の少なくとも1つのドライブ140、142によって使用または設定される全距離範囲の20%以上、好ましくは50%以上を含む。さらなる好ましい実施形態によるドライブ140、142の詳細は、以下でさらに説明される。
【0070】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のパラメータP1(
図2)の最大値に関連する距離d(
図1)の数値は、測定装置100(および/または類似または同一のさらなる測定装置)の手段による、さらなるおよび/または将来の測定に好ましくは使用される最適な測定距離omd(
図4)を表す。さらなる好ましい実施形態によれば、最適測定距離omdは、例えば将来の使用のために、少なくとも一時的に記憶される。
【0071】
この点に関して、
図4は、さらなる好ましい実施形態による、第1のパラメータP1を決定するステップ206に関連する簡略化されたフローチャートを例示的に示す。ステップ206aにおいて、第1のパラメータP1が決定される。必要に応じて、以下でさらに説明するステップ206bを参照して、フィルタリング処理を実行することができる。ステップ206cにおいて、第1のパラメータP1(ステップ206aによって決定される)が予め設定された第1の閾値T1を超えるかどうかが決定される。あるいは、ステップ206cにおいて、第1のパラメータP1が距離d(
図1)が変化する予め設定された第1の範囲に関して最大値に達するかどうかを決定することができる(
図2のステップ200参照)。そうである場合、現在の距離(ステップ206aによる第1のパラメータP1の決定のために使用される)は、最適な測定距離omdを表し、これは、少なくとも一時的に記憶されてもよい(オプションのステップ206dを参照)。
【0072】
さらなる実施形態によれば、最適測定距離omdの決定は、予め設定された第1の範囲内で距離dを変化させるステップ200と、各距離値に関連する第1のパラメータP1の値を決定するステップ(ステップ202、204、206を参照)と、第1のパラメータP1の最大値に関連する予め設定された第1の範囲内の特定の距離値を識別するステップと、特定の距離値を最適測定距離omdとして使用するステップとを含むことができる。予め設定された第1の範囲のサイズと、距離dの変化200を特徴付ける最小ステップサイズとに応じて、対応する数の、ステップ200、202、204、206を繰り返すステップ208(
図2)を、さらなる実施形態に従って実行することができる。
【0073】
さらなる実施形態によれば、最適な測定距離omdが得られると、最適な測定距離omdを距離dとして使用してさらなる測定が実行される。
【0074】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図6の簡略化されたフローチャートを参照すると、上述の方法は測定ヘッド130と測定対象物10との間の距離dの少なくとも1つの距離値dvについて、好ましくは予め設定された第1の範囲内の複数の距離値について、距離値dvを決定するステップ220および/または記憶するステップ222(場合によっては距離値dvを決定するステップ220は省略されてもよく、例えば、距離値dvが例えば、測定によって得られる絶対値および/または以前に設定された距離に対する相対(増分)値として、十分な精度で既に知られている場合)、少なくとも1つの距離値dvに関連するTHz信号TSの受信された反射部分TSRを特徴付ける第1の基準測定情報rmi1を決定および記憶するステップ224をさらに含む。
【0075】
一例として、
図6を参照して上述したプロセスが4つの別個の距離値dvに対して実行される場合、第1の基準測定情報rmi1は、それぞれ第1の基準測定情報rmi1の4つの異なる値またはデータセットを含み、各値は4つの別個の距離値dvのそれぞれ1つに関連付けられる。
【0076】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1の基準測定情報rmi1は、特定の距離dについて得られた受信された反射部分TSRを特徴付ける信号形状(時系列および/または周波数スペクトルおよび/またはそこから導出された情報)を含むか、または特徴付けることができる。言い換えれば、複数の異なる距離値dvについて、第1の基準測定情報rmi1は、対応する複数の信号形状(時系列および/または周波数スペクトルおよび/またはそれから導出される情報)によって特徴付けられる。
【0077】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1の基準測定情報rmi1は、
図6のプロセスと比較して、特に、例えば、低減された位置決め精度が与えられ得る将来の測定のために、測定装置100、特にその測定ヘッド130、および測定対象物10の不整合による誤差を回避および/または補正するために使用され得る。これらの状況では、将来の測定の距離誤差が、例えば、第1の基準測定情報rmi1を使用することによって補正され得る。第1の基準測定情報rmi1を使用することのさらなる例示的な詳細および利点は例えば、
図11A、11Bを参照して、以下でさらに説明される。
【0078】
さらに好ましい実施形態によれば、
図3の簡略化されたフローチャートを参照すると、測定装置100(
図1)を動作させる方法は、測定対象物10に対する測定ヘッド130の相対角度位置を変化させるステップ210と、THz送信機110(
図1)により、THz信号TSを測定対象物10に放射するステップ212(少なくとも一時的に)と、THz信号TSの反射部分TSRを受信するステップ214(
図3)と、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第2のパラメータP2を決定するステップ216とを含むことができる。
【0079】
さらなる好ましい実施形態によれば、(同様に)第2のパラメータP2は、THz信号の受信された反射部分に比例および/または関連する検出信号を特徴付ける。さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号の受信された反射部分の第2のパラメータP2は、第1のパラメータP1と同様に、時間領域および/または周波数領域において決定されてもよい(
図2参照)。さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第2のパラメータP2を決定するステップ216は、THz信号TSの受信された反射部分TSRに関連し、好ましくは積分THz電力を決定することを含み、好ましくは(積分)THz電力は、時間領域および/または周波数領域において決定される。
【0080】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のパラメータP1を決定するステップ206(
図2)および/または第2のパラメータP2を決定するステップ216(
図3)は、206b(
図4)、216b(
図5)(それぞれ)のフィルタリング処理をTHz信号の受信された反射部分TSRに適用することを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、第1のパラメータP1を決定するとき、および第2のパラメータP2を決定するときに、異なるフィルタリング処理206b、216bを適用することができる。このようにして、例えば、比較的低い信号対雑音比(SNR)を有する信号成分は、第1および/または第2のパラメータP1、P2を決定する前に除去され、その結果、精度が向上する。
【0081】
さらなる好ましい実施形態によれば、同様に、第1の基準測定情報rmi1を決定するときに(および必要に応じて、第2の基準測定情報rmi2を決定するときにも、以下をさらに参照されたい)、1つまたは複数のフィルタリング処理を適用することができる。
【0082】
さらなる好ましい実施形態によれば、所望のフィルタ特性を選択することによって、それぞれの第1および/または第2のパラメータP1、P2の決定に関する最適化を実行することができる。参照測定情報rmi1、rmi2の決定についても同様である。
【0083】
図3の簡略化されたフローチャートを参照するさらなる好ましい実施形態によれば、相対角度位置を変化させるステップ210は、2つ以上の空間方向において、好ましくは互いに直交する2つの空間方向において、相対角度位置を変化させることを含む。例示的に
図1の図面平面内の座標に対応する第1の空間方向における相対角度位置の第1の変化は、参照符号a1によって
図1に例示的に示される。さらなる例として、相対角度位置の変動のために使用される第2の空間方向は、
図1の図面平面を通って直交方向に延びてもよい。
【0084】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図3のステップ210を参照すると、相対角度位置は予め設定された第2の範囲内で変更され、上述の方法は好ましくは第2のパラメータP2が予め設定された第2の閾値T2(
図5)を超えるまで、および/または、予め設定された第2の範囲に対して最大値に達するまで、ステップ210、212、214、216を繰り返すステップ218をさらに含み、好ましくは第2のパラメータP2の最大値に関連する相対角度位置の値が、最適測定角度を表し、好ましくは最適測定角度が少なくとも一時的に記憶される。さらなる好ましい実施形態によれば、最適測定角度は、測定対象物10の表面10aの表面法線SN(
図1)が、測定装置100および/またはその測定ヘッド130の基準軸RAに平行であることを特徴とすることができる。
【0085】
さらなる好ましい実施形態によれば、予め設定された第2の範囲は、上述のように、1次元範囲または2次元範囲を表すことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、2次元角度範囲の場合、変化させるステップ210は、2つの角度範囲のうちの第1の角度範囲において、相対角度位置を変化させるステップと、その後、2つの角度範囲のうちの第2の角度範囲において、相対角度位置を変化させるステップとを含むことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、他の順序、および/または、2つの角度位置のうちの異なる角度位置における角度範囲の後続の変化も可能である。
【0086】
さらなる好ましい実施形態によれば、予め設定された(1次元または2次元の)第2の範囲は、装置100(
図1)および/または装置100の少なくとも1つのドライブ140、142、144によって使用または設定される全角度範囲の20%以上、好ましくは50%以上を含む。すでに上述したように、ドライブ140、142、144の詳細は、以下でさらに説明される。
【0087】
図5は、さらなる好ましい実施形態による、第2のパラメータP2を決定するステップ216に関連する簡略化されたフローチャートを例示的に示す。ステップ216aにおいて、第2のパラメータP2が決定される。必要に応じて、ステップ216bを参照して、フィルタリング処理を実行することができる。ステップ216cにおいて、第2のパラメータP2(ステップ216aによって決定される)が予め設定された第2の閾値T2を超えるかどうかが決定される。あるいは、ステップ216cにおいて、第2のパラメータP2が相対角度位置d(
図1)が変化する予め設定された第2の範囲に対して最大値に達するかどうかが決定されてもよい(
図3のステップ210参照)。そうである場合、現在の相対角度位置(ステップ216aによる第2のパラメータP2の決定のために使用される)は最適な測定角度omaを表し、これは、少なくとも一時的に記憶されてもよい(任意のステップ216d参照)。
【0088】
さらなる実施形態によれば、最適測定角度omaの決定は、予め設定された第2の範囲内で相対角度位置を変化させるステップ210(
図3)と、各角度位置値に関連する第2のパラメータP2の値を決定するステップ212と(ステップ212、214、216を参照)、第2のパラメータP2の最大値に関連する予め設定された第2の範囲内の特定の角度位置値を識別するステップと、特定の角度位置値を最適測定角度omaとして使用するステップとを含むことができる。予め設定された第2の範囲のサイズと、角度位置a1(1つの次元について例示的)の変化210を特徴付ける最小ステップサイズとに応じて、対応する数の、ステップ210、212、214、216を繰り返すステップ218(
図3)を、さらなる実施形態に従って実行することができる。
【0089】
さらなる実施形態によれば、最適な測定角度omaが得られると、さらに、将来の測定が、相対角度位置に対する最適な測定角度omaを使用して実行される。
【0090】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TSを放射するステップ202、212は、好ましくは所定数のTHzパルス、好ましくは予め設定されたパルス繰返し率でTHzパルスを放射することを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、特定の数のTHzパルス、特に2つ以上のTHzパルスが、距離および/または相対角度位置の各値に対して放射され(202、212)、これにより精度をさらに向上させることができる。
【0091】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図7の簡略化されたフローチャートを参照すると、上述の方法は、測定ヘッド130(
図1)と測定対象物10との間の相対角度位置の少なくとも1つの相対角度位置値apvについて、好ましくは予め設定された第2の範囲の複数の相対角度位置値apvについて、相対角度位置値apvを決定するステップ230および/または記憶するステップ232(場合によっては、例えば、相対角度位置が十分な精度で既に知られている場合、相対角度位置(値)を決定するステップ230を省略してもよい)、少なくとも1つの相対角度位置値apvに関連するTHz信号TSの受信された反射部分TSRを特徴付ける第2の基準測定情報rmi2を決定するステップ234および記憶するステップ、をさらに含む。
【0092】
さらなる好ましい実施形態によれば、第2の基準測定情報rmi2は、特定の相対角度位置値apvについて受信された反射部分TSRを特徴付ける信号形状(時系列および/または周波数スペクトルおよび/またはそこから導出された情報)を構成する、および/または、特徴付けることができる。
【0093】
さらなる好ましい実施形態によれば、第2の基準測定情報rmi2は、さらなる測定のために、例えば、測定装置100、特にその測定ヘッド130、および測定対象物10の不整合による誤差を回避および/または補正するために、(単独で、または必要に応じて、提供される第1の基準測定情報rmi1と組み合わせて)使用されてもよい。任意選択的に第1の基準測定情報rmi1と共に第2の基準測定情報rmi2を使用することのさらなる例示的な詳細および利点は、例えば
図11A、11Bを参照して以下でさらに説明される。
【0094】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定装置100を動作させる上述の方法は、好ましくは少なくとも1つの距離センサ132(
図1)、特に三角測量センサおよび/または3次元(3D)スキャナにより、距離d(すなわち、1つまたは複数の距離値dv)を決定するステップ220(
図6)をさらに含む。さらなる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの距離センサ、例えば、三角測量センサ132は、測定ヘッド130に配置される(例えば、取り付けられる)か、または測定ヘッド130に一体化される。
【0095】
さらなる好ましい実施形態によれば、センサ132、すなわち三角測量センサ132により距離dを決定する代わりに、またはそれに加えて、距離dを変化させるために使用されるドライブ140(
図1、詳しくは以下を参照)によってもたらされる既知の相対変位は、距離、すなわち、例えば
図2のステップ200で適用される既知の距離の増加分を決定するために評価される。
【0096】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述の方法は、好ましくは少なくとも1つの角度位置センサ134、例えば光学角度位置センサ134(
図1)、特に3Dスキャナにより、相対角度位置を決定するステップ230(
図7)をさらに含む。さらなる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの光学角度位置センサ134は、測定ヘッド130に配置される(例えば、取り付けられる)か、または測定ヘッド130に一体化される。
【0097】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図8のフローチャートを参照すると、測定ヘッド130と測定対象物10との間の距離d(
図1)を変化させるステップ200は、好ましくは第1のドライブ140(
図1)により、好ましくは並進運動により、測定対象物10に対して測定ヘッド130を移動するステップ200a(
図8および
図1の破線のブロック矢印M1参照)、および/または、好ましくは第2のドライブ142により、好ましくは並進運動により、測定対象物10に対して測定ヘッド130を移動するステップ200b(
図8および
図1の破線のブロック矢印M2参照)、を含む。
【0098】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のドライブ140および/または第2のドライブ142は、好ましくは並進運動を行うための少なくとも1つの、好ましくは高精度の、リニアアクチュエータを備える。
【0099】
図9のフローチャートを参照するさらなる好ましい実施形態によれば、測定対象物10に対する測定ヘッド130の相対角度位置を変化させるステップ210は、好ましくは第1のドライブ140(
図1)により、測定ヘッド130を測定対象物10に対して回転させるステップ210a、および/または、好ましくは第2のドライブ142により、測定対象物10を測定ヘッド130に対して回転させるステップ210bを含む。この目的のために、ドライブ140、142の少なくとも一方は例えば、好ましくは高精度のゴニオメータを含むことができ、このゴニオメータは、好ましくは例えば0.05°の分解能および/または精度を有する。
【0100】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1のドライブ140(
図1)は、測定対象物10に対する測定ヘッド130の並進運動および回転運動の両方の移動M1を行うように構成されてもよい。さらなる好ましい実施形態によれば、第2のドライブ142は、測定ヘッド130に対する測定対象物10の並進運動および回転運動の両方の移動M2を行うように構成されてもよい。さらなる実施形態(図示せず)によれば、測定ヘッド130および/または測定対象物10の異なるタイプの移動(並進および/または回転)を行うために、異なる、特に別個のドライブを使用することができる。
【0101】
さらなる好ましい実施形態によれば、(測定ヘッド130および/または測定対象物10の)上述の回転に関連するピボット点PP(
図1)は、測定対象物10の表面10aの表面領域10a’内に配置され、さらに好ましくはTHz信号TSの焦点FP(「測定スポット」、ドイツ語:「Messfleck」)も表面領域10a’内に配置され、したがって、測定対象物の表面10a内にない、および/または、焦点FPの外側にあるピボット点による回転運動によって引き起こされる距離誤差を回避することができる。一例として、さらなる実施形態によれば、距離dは焦点FPが測定対象物10の表面10a内にあることを保証するために、上述の最適な測定距離omdに設定されてもよい。さらなる実施形態によれば、ドライブ140、142のうちの少なくとも1つ、例えばそのゴニオメータは、ドライブによってもたらされる回転のピボット点PPが、測定対象物10の表面10a内に位置し、好ましくは焦点FPと一致するように配置および/または調整されてもよい。
【0102】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定装置100(
図1)を動作させる上述の方法は、好ましくは、例えば
図2、4を参照して上述で説明したように、実施形態による方法を実行することによって、最適な測定距離omd(
図4)を決定することをさらに含む。
【0103】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定装置100を動作させる上述の方法は、好ましくは、例えば
図3、5を参照して上述で説明したように、実施形態による方法を実行することによって、最適な測定角度oma(
図5)を決定することをさらに含む。
【0104】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定装置100を動作させる上述の方法は、好ましくは実施形態による方法を実行することによって、
図2~5に示すように、最適測定距離omdを決定するステップと、最適測定角度omaを決定するステップとの両方をさらに含む。さらなる好ましい実施形態によれば、最適測定距離omdは例えば
図4によるプロセスに従って最初に決定され(これにより、THz放射線の焦点FPが、
図1の表面領域10aによって画定される仮想平面内にあることが保証され、さらなる測定に最適な精度が保証される)、その後、最適測定角度omaは、例えば
図5によるプロセスに従って決定される。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、最適測定角度omaが最初に決定され、その後、最適測定距離omdが決定されることも可能である。
【0105】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図12の簡略化されたフローチャートを参照すると、測定装置を動作させる上述の方法は、複数の距離値dv(
図6)、および/または、複数の相対角度位置値apv(
図7)、および、複数の距離値dvに関連する第1の参照測定情報rmi1、および/または、複数の相対角度位置値apvに関連する第2の参照測定情報rmi2を含むデータベースDB(
図1)を構築するステップ240をさらに含み、好ましくは、データベースDBを構築するステップ240において、第1の対象物10’aが測定対象物として使用される(ステップ240aおよび
図11Aの概略側面図を参照)。
【0106】
さらなる好ましい実施形態によれば、第1の対象物10’a(
図11A)は、THz放射線、特にTHz信号TSを反射し、予め設定された形状、例えば平面(すなわち非湾曲)表面を有する基準対象物とすることができる。さらなる好ましい実施形態によれば、特にTHzベースの測定中に、基準対象物10’aを受容および/または固定するための支持体10’a’が提供されてもよい。さらなる好ましい実施形態によれば、支持体10’a’は、また、1つ以上のドライブ140、142を備えてもよい。
【0107】
さらに好ましい実施形態によれば、第1の対象物10’aは、予め設定された幾何学的形状を有する基準対象物とすることもでき、この基準対象物はまた、非平面(1方向または2方向)表面を含むこともできる。
【0108】
さらなる好ましい実施形態によれば、データベースDBを構築するステップ240(
図12)は、複数の距離値dv、複数の相対角度位置値apv、複数の距離値dvに関連する第1の参照測定情報rmi1、および、複数の相対角度位置値apvに関連する第2の参照測定情報rmi2を含むデータベースDBを構築することを含む。このようにして、例えば4つの次元を有する特徴空間が定義される。4つの次元は、距離、相対角度位置、第1の基準測定情報、および第2の基準測定情報に対応する。
【0109】
さらなる好ましい実施形態によれば、データベースDB内に含まれる情報の少なくとも一部は、例えば、所望の(最適である)距離dおよび/または(最適である)相対角度位置からの偏差に起因して測定値に導入される誤差を補正および/または回避することによって、測定装置100(または同一/類似のタイプの少なくとも1つのさらなる測定装置(図示せず))のさらなる(将来の)測定値を検証および/または修正および/または改善するために使用されてもよく、ここで、誤差は、例えば、上述の第1および第2のドライブ140、142と比較して、例えば、より精度の低い位置決め装置によって引き起こされてもよい。
【0110】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図12を参照して説明した上述の方法は、測定結果mrを得るためにTHz信号TSを使用して(さらに)測定を実行するステップ242をさらに含み、好ましくは、測定を実行するステップ242について、測定対象物として第2の対象物10’bが使用され(ステップ242bを参照)、ここで、第2の対象物10’bは、第1の対象物とは異なる(同様に
図11Bを参照)。一例として、第1の対象物10’a(
図11A)は、既知の幾何学的形状を有する上述の基準対象物とすることができ、一方、第2の対象物10’bは、特に未知の幾何学的形状または基準対象物の幾何学的形状とは異なる幾何学的形状を含む実際の被試験デバイスとすることができる。例示的なシナリオが
図11Bに示されており、このシナリオでは、測定ヘッド130が第3のドライブ144に取り付けられ、THzベースの(さらなる)測定が行われ、例えば非平面(本例では凸面)を有する試験対象物10’bにTHz信号TSを放射する。
【0111】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図12に示す上述の方法は、データベースDBからの情報に応じて測定結果mrを修正するステップ244をさらに含み、それによって修正された測定結果mr’が得られる。このようにして、上述したように、位置決め誤差および/または位置合わせ誤差などの誤差は、特に測定の繰り返しおよび/または基準測定の実行を必要とせずに、少なくとも部分的に補正することができる。
【0112】
さらなる好ましい実施形態によれば、さらなる測定を実行するステップ242(
図12)のために、第3のドライブ144(
図11B)が、測定対象物10’bに対して測定ヘッド130を位置決めするために使用される。言い換えれば、第3のドライブ144は、例えば、測定ヘッド130と試験対象物10’bとの間の距離d(
図1)および/または試験対象物10’bに対する測定ヘッド130の相対角度位置を制御するために使用されてもよい。
【0113】
さらなる好ましい実施形態によれば、第3のドライブ144は、例えば、ロボットおよび/またはロボットアーム、あるいは、一般に測定ヘッド130を試験対象物10’bに対して位置決めするように構成された任意のマニピュレータを備えてもよい。さらなる好ましい実施形態によれば、ロボット144のピボット点は、測定ヘッド130のTHz信号の焦点FP(
図1)と一致するように配置されてもよく、これは、例えば、ロボット144のための制御ツールを適切に構成することによって、例えば、焦点FPへのロボットの移動のための座標系の原点を設定することによって達成されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態によれば、ロボット144の位置決め精度は、第1のドライブ140(
図1)および/または第2のドライブ142の精度ほど高くない場合があるので、
図11Bの構成を有するTHz信号TSを使用して、さらなる測定を実行するステップ242(
図12)を実行するときに、位置決め誤差および/または位置合わせ誤差が生じる場合がある。これを考慮して、さらなる好ましい実施形態によれば、上述で説明した好ましい実施形態に従って得られたデータベースDB(
図1)に含まれる情報を使用して、これらの位置決め誤差および/または位置合わせ誤差を少なくとも部分的に補正することにより、より正確な補正された測定結果mr’を得ることができる。
【0115】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図13の簡略化されたフローチャートを参照すると、測定装置100を動作させる上述の方法は、本体10’b上に配置された複数の層11、12(
図14)(例えば、車両部品10’b上に配置されたペイント層11、12)のそれぞれの層厚を決定するステップ250を含み、決定するステップ250は、例えば、THz信号TSの受信された反射部分TSR(
図11B)に基づいて、例えば、時間領域反射率測定(TDR)技法を適用することによって行うことができる。
【0116】
さらなる好ましい実施形態によれば、複数の層11、12のそれぞれの層厚を決定するステップは、a)例えば、基準対象物10’a(好ましくは、平面金属物体または平面金属表面を有する物体)にTHz信号TSを放出することにより、基準パルス形状を決定するステップと、b)例えば、試験対象物10’b(例えば、1つまたは複数の層10、11、例えば、濡れたペイント層および/または乾燥中のペイント層および/または乾燥したペイント層でコーティングされた車両部品)にTHz信号TSを放出することにより、層厚測定パルス形状を決定するステップと、c)必要に応じて、上記の基準パルス形状にFFT(高速フーリエ変換)を適用することにより、基準パルス形状の周波数領域分析を実行するステップと、d)必要に応じて、層厚測定パルス形状にFFTを適用することにより、層厚測定パルス形状の周波数領域分析を実行するステップと、e)必要に応じて、層厚測定パルス形状の周波数領域分析および基準測定パルス形状の周波数領域分析に応じて、好ましくは、層厚測定パルス形状のFFTを基準測定パルス形状のFFTで割ることによって、測定装置100に関連する正規化された伝達関数を決定するステップと、を含む。
【0117】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップa)は、例えば、較正および/または基準測定のために提供される第1の測定システムによって実行されてもよく、第1の測定システムは、例えば、高精度ドライブ140、142および基準対象物10’aを備えてもよい(例えば、
図11A参照)。さらなる好ましい実施形態によれば、ステップb)は、例えば、好ましくは自動化された層厚測定のために、好ましくはプラント、例えば(自動車)塗装ラインのフロープロセスに組み込まれる第2の測定システムによって実行されてもよく、これは、例えば、測定装置130を試験対象物10’bに対して位置決めするための1つ以上のロボット144を備えてもよい(例えば、
図11B参照)。
【0118】
この例示的に言及された層厚測定の適用において、実施形態による原理は、層厚測定の精度を改善するステップ252(
図13)のために、すなわち、測定対象物10’bの位置決め誤差および/または曲面10aなどを考慮して、有利に使用される。
【0119】
一例として、さらなる好ましい実施形態によれば、層厚測定250について、測定ヘッド130(
図11B)が例えばロボット144の比較的低い位置決め精度のために、本体10’bに対して、すなわち最適測定距離omdおよび/または最適測定角度omaにおいて適切に位置決めされ得ない場合、実際の(準最適)距離および/または相対角度位置が決定され、実際の距離および/または実際の相対角度位置のそれぞれの値について、対応する基準測定情報が、例えば第1の基準測定情報rmi1および/または第2の基準測定情報rmi2の形態で、データベースDBから取り出される。そのようにしてデータベースDBから検索された対応する基準測定情報は、例えば、上述の任意のステップe)に従って、基準測定パルス形状のFFTを決定するために使用されてもよい。
【0120】
このように、有利には、順最適な位置決めおよび/または配置に起因する可能性があり、また、例えば層厚測定に影響を及ぼす可能性がある、パルス形状の望ましくない変化、したがって、関連する伝達関数の変化も回避することができる。
【0121】
さらなる好ましい実施形態によれば、上述のタイプの望ましくない変化は、例えば、測定のためのそれぞれの最適値omd、omaを使用して、測定対象物10に対する測定ヘッド130の距離dおよび/または相対角度位置a1を微調整することによって回避することができる。
【0122】
しかしながら、さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、そのような微調整が実用的でない場合(または例えば、ドライブ140、142と比較して、例えば、ロボット144の不十分な位置決め精度のために、技術的または経済的に実現可能でない場合)、有利には、実施形態(例えば、
図6、7を参照)に従って取得され、現在の順最適な測定距離および/または順最適な測定角度a1に関連する適切な基準測定情報(rmi1および/またはrmi2)が、例えば、層厚測定パルス形状を評価する等、測定結果mr(
図12)を修正するために使用されてもよい。さらなる好ましい実施形態によれば、これらの場合、基準測定情報を測定する必要はなく、この基準測定情報は、むしろ、例えばデータベースDBから取り出すことができる。
【0123】
さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、測定のためのそれぞれの最適値omd、omaを使用して、測定対象物10に対してロボット144に取り付けられた測定ヘッド130の距離dおよび/または相対角度位置a1の微調整を可能にするために、少なくとも1つのドライブ、特に高精度ドライブ(ドライブ140、142と同様)を追加することによって、それ自体は層厚測定などのTHzベースの測定に関する所望の精度に対して十分な位置決め精度を有さないロボット144(
図11B)などの特定のドライブ144を拡張することも可能である。
【0124】
実施形態による原理は、有利には、THz信号TSに基づく任意の測定分野に使用することができ、特に層厚測定の用途に限定されない。
【0125】
さらなる好ましい実施形態は、以下の要素のうちの少なくとも1つのための、実施形態による方法および/または実施形態による測定装置100(
図1)の使用に関する、a)測定ヘッド130と測定対象物10との間の距離dを決定するステップ、b)測定対象物10に対する測定ヘッド130の相対角度位置を決定するステップ、c)データベースDB(
図1)からの情報を使用することにより、測定ヘッド130と測定対象物10との間の準最適な距離dを補正するステップ、ここで、データベースDBは、少なくとも複数の距離値と、複数の距離値に関連する第1の参照測定情報rmi1とを含み、準最適な距離は、好ましくは、測定ヘッドと測定対象物との間の実際の距離について、測定対象物がTHz信号TSの焦点FPを含まない測定対象物10の表面10a(
図1)であることにより特徴付けられる、d)データベースDBからの情報を使用することにより測定対象物に対する測定ヘッドの準最適な相対角度位置を補正するステップ、ここでデータベースDBは、少なくとも複数の相対角度位置値と、複数の相対角度位置値に関連する第2の参照測定情報rmi2を含み、測定対象物10に対する測定ヘッド130の準最適な相対角度位置は、好ましくは、測定対象物10の表面10aの表面法線SN(
図1)が、測定ヘッド130の基準軸RAと平行ではないことにより特徴付けられる、e)データベースDBからの情報を使用することにより、測定ヘッド130と測定対象物10との間の準最適な距離、および測定対象物10に対する測定ヘッド130の準最適な相対角度位置を補正する。
【0126】
図10は、さらなる好ましい実施形態による制御装置1500の簡略化されたブロック図を概略的に示す。さらなる好ましい実施形態によれば、
図1のオプションの制御装置150は、
図10の制御装置1500と同一または少なくとも同様の構成を備えることができる。
【0127】
さらに好ましい実施形態によれば、制御装置1500は、少なくとも1つの計算ユニット1502と、コンピュータプログラムPRGを少なくとも一時的に記憶するための、少なくとも1つの計算ユニット1502に関連する(すなわち、それにより使用可能である)少なくとも1つのメモリユニット1504と、を備え、ここで、コンピュータプログラムPRGは、制御装置150、1500、および/または、測定装置100の動作、および/または、測定装置100の少なくとも1つの構成要素、例えば、110、120、132、134、140、142、144を、少なくとも一時的に制御するように構成される。
【0128】
さらなる好ましい実施形態によれば、計算ユニット1502は、以下の要素のうちの少なくとも1つを備える:マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブル論理素子(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、ASIC(特定用途向け集積回路)。さらなる好ましい実施形態によれば、これらの要素の2つ以上の任意の組み合わせも可能である。
【0129】
さらなる好ましい実施形態によれば、メモリユニット1504は、以下の要素のうちの少なくとも1つを備える:揮発性メモリ1504a(特にランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ1504b(特にフラッシュEEPROM)。好ましくは、コンピュータプログラムPRGが、不揮発性メモリ1504bに記憶される。測定装置100またはその構成要素の少なくとも1つのための構成データなどのさらなるデータDATも、不揮発性メモリ1504bに格納されてもよい。
【0130】
メモリユニット1504は、また、上述したように、データベースDB(または完全なデータベース)の構成要素dv、apv、rmi1、rmi2を少なくとも一時的に記憶することができ、ここで、データベースDBのデータは、例えば、測定結果mrを修正および/または評価および/または精緻化するために、および/または、例えば、位置決め誤差を補正するために使用することができる。
【0131】
さらなる好ましい実施形態によれば、制御装置1500は、THz送信機110および/またはTHz受信機120および/またはセンサ132、134および/またはドライブ140、142、144とデータを交換するための少なくとも1つのインターフェース1506も備えることができる。
【0132】
さらなる好ましい実施形態は、本体10’b上に配置された複数の層11、12(
図14)、特に、乾燥していない濡れたペイント層12および/または乾燥中のペイント層12および/または乾燥したペイント層11のそれぞれの層厚を測定するステップ250を実行および/または準備するための実施形態による方法および/または実施形態による測定装置100の使用に関し、好ましくは、測定装置100が、A)静止構成(例えば、実験室システムおよび/または基準および/または較正システム、
図11A参照)、および/または、B)非静止構成(特にロボット144(
図11B)、その中でも特に産業用ロボット144)で使用される。
【0133】
さらなる実施形態によれば、ロボット144は、測定ヘッド130、および必要に応じて、センサ132(
図1)および/または134を担持するように構成された6軸マニピュレータであってもよい。あるいは、センサ132、134の少なくとも1つは、測定ヘッド130に一体化されてもよい。
【0134】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定ヘッド130(
図1)は、THz信号TSの焦点FPの位置(および/または測定ヘッドの基準軸RAの向き)を、好ましくは人間の可視波長範囲内で視覚的に示すように構成されたレーザポインタ(図示せず)または同様の発光デバイスを備えることができる。
【0135】
さらなる好ましい実施形態によれば、測定ヘッド130および/または制御装置150は、例えば外部装置(図示せず)が測定ヘッド130および/または制御装置150の動作を少なくとも一時的に制御することを可能にするために、外部装置とのデータ交換のための、例えばフィールドバスインターフェースのようなデータインターフェース1506(
図10)を備えることができる。
【0136】
以下では、さらなる好ましい実施形態およびシナリオが
図15A等を参照して説明され、
図15Aは、例えば、好ましくは基準対象物10’a(
図11)に対する測定ヘッド130の距離d(
図1)および/または相対角度位置a1の最適化および/または微調整のために使用される例示的なプロセスの簡略化されたフローチャートを概略的に示す。
【0137】
第1の任意選択のステップ260では、基準対象物10’aに対する測定ヘッド130の回転運動に関連するピボット点PP(
図1)が基準対象物10’aの表面領域内に配置されることが保証され、さらに好ましくは、THz信号TSの焦点も表面領域内に配置され、これにより、基準対象物10’aの表面の外側および/または焦点FPの外側のピボット点PPによる回転運動によって引き起こされる距離誤差が回避される。さらなる好ましい実施形態によれば、任意選択の保証するステップ260は、例えば、基準対象物10’aを受容および/または固定するための、測定ヘッド130および/または支持体10’a’(
図11A)の適切な設計によって達成されてもよい。
【0138】
図15Aに戻ると、さらなるステップ262において、最適な測定距離omd(
図4も参照)が決定される。さらなる好ましい実施形態によれば、最適な測定距離omdを決定するステップ262は、測定ヘッド130(
図1)と基準対象物10’a(
図11A)との間の距離dを、好ましくは、例えば、上述した
図2によるプロセスのステップ200と同様に、十分に大きな距離範囲で変化させるステップを含むことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、決定ステップ262は、
図2を参照して上述したステップ202、204、206(またはその少なくともいくつかの反復)も含むことができ、ここで、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第1のパラメータP1は、例えば、THz信号TSの受信された反射部分TSRに関連する、好ましくは積分THz電力を表し、好ましくは(積分の)THz電力は、時間領域および/または周波数領域で決定することができる。
【0139】
さらなる好ましい実施形態によれば、好ましくは、距離dの変化によって得られる各距離値dについて、THz信号TSの受信された反射部分TSRに関連する、好ましくは積分THz電力P1が決定される。このように、さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、複数の一対の値または複数の2つの値からなる組を取得することができ、一対の値または2つの値からなる組の各々は、距離値および関連するTHz電力を含む。
【0140】
一例として、さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ262は、複数の一対の値の中から、THz電力P1の最大値を含む一対の値を選択するステップを含んでもよく、ここで、選択された一対の値の距離値は最適測定距離omdに対応する。
【0141】
さらなる好ましい実施形態によれば、例えばステップ262のような上述の方法は、好ましくは、例えば三角測量センサのような少なくとも1つの距離センサ132(
図1)、および/または、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3次元(3D)スキャナにより、距離を決定するステップをさらに含む。
【0142】
図15Aのさらなるステップ264では、最適な測定角度oma(
図5も参照)が決定される。さらなる好ましい実施形態によれば、最適測定角度omaを決定するステップ264は、測定ヘッド130(
図1)と基準対象物10’a(
図11A)との間の相対角度位置a1を、好ましくは、例えば、上述の
図3によるプロセスのステップ210と同様に、十分に大きい(1次元または2次元)角度範囲で変化させるステップを含むことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、決定ステップ264(
図15A)は、また、
図3を参照して、上述で説明したステップ212、214、216(またはその少なくともいくつかの反復)を含むことができ、ここで、THz信号TSの受信された反射部分TSRに比例および/または関連する検出信号を特徴付ける第2のパラメータP2は、例えば、THz信号TSの受信された反射部分TSRに関連する、好ましくは積分THz電力を表し、好ましくは(積分の)THz電力は、時間領域および/または周波数領域で決定することができる。
【0143】
さらなる好ましい実施形態によれば、THz信号TSの受信された反射部TSRに関連する、好ましくは積分のTHz電力P2は、相対角度位置a1の変化によって得られる各角度位置値a1に対して決定される。このように、さらに好ましい実施形態によれば、例えば、複数の一対の値または複数の2つ(3つ)の値からなる組を取得することができ、一対の値または複数の2つ(3つ)の値からなる組の各々は、少なくとも1つの角度位置値および関連するTHz電力を含む。一例として、相対角度位置a1が2次元角度範囲内で変化される場合、例えば、3つの値からなる組は、第1の角度範囲に関連する第1の角度位置値、第2の角度範囲に関連する第2の角度位置値、およびそれに関連するそれぞれのTHz電力P2を含む。
【0144】
一例として、さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ264(
図15A)は、また、複数の一対の値または組の中からTHz電力P2の最大値を含む一対の値または組を選択するステップを含んでもよく、選択された組の対応する相対角度位置値は、最適測定角度omaに対応する。
【0145】
さらなる好ましい実施形態によれば、例えばステップ264のような上述の方法は、好ましくは、例えば光学角度位置センサのような少なくとも1つの角度位置センサ134(
図1)、および/または、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3Dスキャナにより、相対角度位置a1を決定するステップをさらに含む。
【0146】
その結果、ステップ264の後、基準対象物10’aに対する装置100の最適測定距離omdおよび最適測定角度omaの両方が得られ、さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、装置100のさらなる動作に使用することができる。
【0147】
図15Bは、例えば、データベースDB(
図10)を構築するために、またはさらなるデータをデータベースDBにそれぞれ追加するために使用される例示的なプロセスの簡略化されたフローチャートを概略的に示す。一例として、第1のステップ270は、測定ヘッド130(
図1)と基準対象物10’a(
図11A)との間の距離dを、好ましくは十分に大きな距離範囲で、例えば上述した
図2によるプロセスのステップ200と同様に変化させることを含む。
【0148】
さらなるステップ272は、好ましくは距離dを変化させるステップ270で設定される各距離値について、測定ヘッド130(
図1)と基準対象物10’a(
図11A)との間の相対角度位置a1を、好ましくは、例えば、上述の
図3によるプロセスのステップ210と同様に、十分に大きい(1次元、好ましくは、2次元)角度範囲で変化させるステップを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、2つの、好ましくは直交する角度範囲に沿って相対角度位置a1を変化させる場合、変化させるステップ272は、任意の順番で、第1の角度範囲および/または第2の角度範囲に沿って、相対角度位置を変化させるステップを含む。
【0149】
さらなるステップ274は、好ましくはステップ270に従って変化する距離値と相対角度位置値(1次元、好ましくは2次元)との各組み合わせについて、例えば、組み合わせに関連するTHz信号TSの受信された反射部分TSRを特徴付ける基準測定RMを実行することを含む。一例として、特定の距離d1および特定の相対角度位置a1、a2における特定の基準測定値RM1を特徴付けるデータセットは、以下の形態(d1、a1、a2、RM1)を含むことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、基準測定値RMおよび/またはデータセットは、それぞれ、データベースDBに格納されてもよい。
【0150】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ274内で使用される距離値および/または相対角度位置値は、例えば三角測量センサのような少なくとも1つの距離センサ132(
図1)、および/または、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3次元(3D)スキャナ、および/または、例えば光学角度位置センサのような少なくとも1つの角度位置センサ134(
図1)、好ましくは、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3Dスキャナにより決定されてもよい。
【0151】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ274(
図15B)内で使用される距離値dv(
図10も参照)および/または相対角度位置値apvの両方を、3Dスキャナ134を使用して決定することができる。
【0152】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ274内で使用される距離値dvおよび/または相対角度位置値apvは、距離dおよび/または相対角度位置の変化をもたらすために、ドライブ140、142のうちの1つまたは複数を制御するために使用される制御信号から決定される。
【0153】
図15Cは、例えば、試料10’b(
図11B)などの対象物を測定するために使用される例示的なプロセスの簡略化されたフローチャートを概略的に示す。さらなる好ましい実施形態によれば、第1のステップ280の前に、測定ヘッド130がサンプル10’bに対して配置されていると仮定される。
【0154】
第1のステップ280において、測定ヘッド130とサンプル10’bとの間の距離dが決定され、測定ヘッド130とサンプル10’bとの間の(好ましくは2つの角度範囲に沿った)相対角度位置が決定される。好ましくは、間隔および/または相対的な角度位置は、3Dスキャナ134により決定される。代替的にまたは追加的に、距離および/または相対角度位置は、少なくとも1つの他のタイプの距離センサ132および/または角度位置センサ134を使用して決定されてもよい。
【0155】
ステップ282において、データベースDBがデータセット、すなわち、ステップ280において決定された距離および/または相対角度位置に対する基準測定値RMを含むかどうかが決定される(基準測定値は、例えば、距離値および/または角度位置値の組合せ、および/または、例えば、距離値および/または角度位置値に対して測定された少なくとも1つのTHz信号のような基準測定情報を含む)。そうである場合、すなわち、(例えば、
図15Bのステップ274を参照して、以前の測定プロセスから)データベースDBに格納された基準測定値RMがある場合、格納された基準測定値RMは、さらなる処理のために使用されてもよい。そうでない場合、すなわち、データベースDBが、ステップ280で決定された距離および/または相対角度位置の基準測定値RMをまだ含んでいない場合、ステップ283aまたはステップ283bのいずれかが実行される。ステップ283aは、距離および/または角度位置の(例えば、好ましくはわずかに)異なる組み合わせについての既存の基準測定値間を補間するステップを含み、補間された基準測定値iRMが得られる。さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ283aは、例えば、ステップ280で決定された距離および/または相対角度位置の測定値が、データベースDBの基準測定値によってカバーされる範囲内にある場合に実行されてもよい。そうでない場合、すなわち、ステップ280で決定された距離および/または相対角度位置の測定値がデータベースDBの基準測定値によってカバーされる範囲内にない場合、ステップ283bはステップ282の後に実行され、ステップ283bはサンプル10’bに対して測定ヘッド130を再位置決めすることを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、283bを再配置した後、ステップ280、282を繰り返すことができる。
【0156】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ284は、
図13のステップ250と同様に、1つまたは複数の層厚測定を実行するステップを含むことができる。ステップ286では、記憶された基準測定値RM(例えば、データベースDBから取得するか、必要に応じて、ステップ282においても)またはステップ283aによって取得された補間された基準測定値iRMが、ステップ284の1つまたは複数の層厚測定を実行する間に発生する可能性がある距離誤差(例えば、最適測定距離omdからの非ゼロ偏差)および/または相対角度位置誤差(例えば、最適測定角度omaからの非ゼロ偏差)を補正および/または修正するために使用される。さらに好ましい実施形態によれば、ステップ284、286を組み合わせることもできる。さらなる好ましい実施形態によれば、特に、(補間された)基準測定値(i)RMを考慮して、例えば、測定値284について、最適な測定距離omdおよび/または最適な測定角度omaが現在設定されていない場合、(補間された)基準測定値(i)RMが、距離誤差および/または角度誤差を少なくとも部分的に補正および/または修正することが可能であるため、ステップ284および/または286を実行するための再配置を実行する必要はない。
【0157】
図16Aは、例えば試料10’b(
図11B)などの対象物を測定するために使用することができる例示的なプロセスの簡略化されたフローチャートを概略的に示し、例えばロボット144(
図11B)などの第3のドライブ144は、少なくとも一時的に、試料10’bに対する測定ヘッド130の相対運動(並進および/または回転)を行うために使用することができる。さらに好ましい実施形態によれば、第3のドライブ144は、ロボット144、例えば6軸(産業用)ロボット144を備えることができ、これに測定ヘッド130が取り付けられる。さらなる好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの距離センサ132および/または少なくとも1つの角度位置センサ134も、距離および/または角度位置測定を可能にするために、ロボット144に設けられる。
【0158】
さらなる好ましい実施形態によれば、ロボット144に加えて、少なくとも1つの他のドライブ、例えば、好ましくは高精度のドライブ140、142(
図1)のうちの1つまたは複数を、試料10’bに対する測定ヘッド130の相対運動(並進および/または回転)(および/またはその逆)を実施するために少なくとも一時的に使用することができる。さらなる好ましい実施形態によれば、一般性を失うことなく、本例では、第1のドライブ140は、例えば、好ましくはロボット144の位置決め精度よりも高い精度で距離dを変更するために、測定ヘッド130とサンプル10’bとの間の並進相対運動を行うように構成され、第2のドライブ142は、例えば、ロボット144の位置決め精度よりも高い精度で(好ましくは2つの角度範囲に沿って)相対角度位置を変更するために、測定ヘッド130とサンプル10’bとの間の回転相対運動を行うように構成されると仮定される。
【0159】
さらなる好ましい実施形態によれば、(好ましくは高精度の)ドライブ140、142のうちの1つまたは複数は、例えば(好ましくは少なくとも準静止した)基準および/または較正装置の形態で提供されてもよく、これは、サンプル10’bおよび/または測定されるべき別の測定対象物10を少なくとも一時的に受け取り、ロボット144およびロボット144に取り付けられた測定ヘッド130に対して並進および/または回転運動でサンプル10’bを少なくとも一時的に移動させるように構成されてもよい。換言すれば、1つ以上の高精度ドライブ140、142は、好ましくはロボット144と比較してより高い精度で、測定ヘッド130と試料10’bとの間の(相対)距離dおよび/または相対角度位置を少なくとも一時的に変更するように構成される。さらなる好ましい実施形態によれば、
図11Aの支持体10’a’は、基準および/または較正装置、および/または、(好ましくは高精度)ドライブ140、142のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0160】
図16Aに示す第1の任意選択のステップ290では、試料10’bに対する測定ヘッド130の回転運動に関連するピボット点PP(例えば、第2のドライブ142の、
図1参照)が試料10’bの表面領域内に配置され、さらに好ましくは、THz信号TSの焦点も表面領域内に配置され、したがって、試料10’bの表面の外側のピボット点PPとの回転運動によって生じ得る任意の距離誤差を回避することが補正される。さらなる好ましい実施形態によれば、任意の補正ステップ290は、例えば、基準および/または較正装置10’a’のマウント(図示せず)、および/または、試料10’bを受容および/または固定するための(好ましくは高精度の)ドライブ140、142のうちの少なくとも1つの適切な設計によって達成されてもよい。
【0161】
さらに好ましい実施形態によれば、好ましくは、ステップ290においても、ロボット144のピボット点が、測定ヘッド130のTHz信号TSの焦点FP(
図1)内にあることが保証される。さらなる好ましい実施形態によれば、ロボット144の移動のための座標系の原点は、焦点FPにも設定される。さらなる好ましい実施形態によれば、測定ヘッド130は、ロボット144によって、基準および/または較正装置10’a’、および/または、その上に配置された試料10’bに近い公称位置に移動される。さらなる好ましい実施形態によれば、任意のステップ290のためのz軸(並進)移動は、第1のドライブ140によって少なくとも一時的に行われてもよい。一例として、z軸に沿った(並進)移動により、距離dを変更することができる。好ましくは、測定ヘッド130の光軸RAが、試料10’bの表面に垂直であり、例えば、z軸に平行である。
【0162】
さらなるステップ292では、
図15Aのステップ262と同様に、最適な測定距離omdが決定される。さらなる好ましい実施形態によれば、最適測定距離omdを決定するステップ292は、好ましくは、例えば、上述の
図2によるプロセスのステップ200と同様に、十分に大きな距離範囲で、測定ヘッド130(
図1)と試料10’b(
図11B)との間の距離dを(好ましくは繰り返し)変化させるステップを含むことができる。さらに好ましい実施形態によれば、間隔dの変更は、第1のドライブ140により行われる。このようにして、ロボット144の位置決め精度は、通常第1のドライブ140の位置決め精度ほど高くないので、最適な測定距離omdは、特に距離dを変化させるためにロボット144を使用する場合と比較して、特に正確に決定されてもよい。
【0163】
さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、ステップ292のような上述の方法は、好ましくは、例えば三角測量センサのような少なくとも1つの距離センサ132(
図1)、および/または、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3次元(3D)スキャナにより、距離dを決定するステップをさらに含む。
【0164】
図16Aのさらなるステップ294では、
図15Aのステップ264と同様に、最適な測定角度oma(
図5も参照)が決定される。さらなる好ましい実施形態によれば、最適測定角度omaを決定するステップ264は、測定ヘッド130(
図1)と試料10’b(
図11B)との間の相対角度位置a1を、好ましくは、例えば、上述の
図3によるプロセスのステップ210と同様に、十分に大きい(1次元、好ましくは2次元)角度範囲で変化させるステップを含むことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、相対的な角度位置の変更は、第2のドライブ142により行われる。このようにして、ロボット144の(角度)位置決め精度は、通常第2のドライブ142の位置決め精度ほど高くないので、最適な測定角度omaは、特に角度位置を変化させるためのロボット144を使用する場合と比較して、特に正確に決定されてもよい。
【0165】
さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、ステップ294のような上述の方法は、例えば光学角度位置センサのような少なくとも1つの角度位置センサ134(
図1)、好ましくは、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3Dスキャナにより、相対角度位置a1を決定するステップをさらに含む。
【0166】
その結果、ステップ294の後、サンプル10’bに対する測定ヘッド130の最適測定距離omdおよび最適測定角度omaの両方が得られ、さらなる好ましい実施形態によれば、例えば、さらなる測定に使用することができる。
【0167】
さらなる好ましい実施形態によれば、
図16Aを参照して上述で説明したプロセスは、特にロボット144に取り付けられたときに、試料10’bに対する測定ヘッド130の調整を最適化するために使用され、したがって第1のシーケンスを特徴付けることができる。
【0168】
図16Bは例示的なプロセスの簡略化されたフローチャートを概略的に示し、これは例えば、データベースDB(
図10)を構築するために、またはさらなるデータをデータベースDBにそれぞれ追加するために使用され、そしてこれは、例えば、
図16Aを参照して上述で説明された第1のシーケンスと共に/第1のシーケンスの後に、使用可能な第2のシーケンスを特徴付けることができる。一例として、第1のステップ300は、
図15Bのステップ270と同様に、測定ヘッド130(
図1)とサンプル10’b(
図11B)との間の距離dを、好ましくは、例えば、上述した
図2によるプロセスのステップ200と同様に、十分に大きな距離範囲で変化させることを含む。さらに好ましい実施形態によれば、間隔dの変更は、第1のドライブ140により行われる。
【0169】
さらなるステップ302は、
図15Bのステップ272と同様に、好ましくは、距離dを変化させるステップ300において設定される各距離値について、測定ヘッド130(
図1)と試料10’bとの間の相対角度位置a1を、好ましくは十分に大きい(1次元、または好ましくは2次元)角度範囲で、例えば、上述で説明した
図3によるプロセスのステップ210と同様に、変化させることを含む。さらなる好ましい実施形態によれば、相対的な角度位置の変更は、第2のドライブ142により行われる。さらなる好ましい実施形態に従って、2つの、好ましくは直交する、角度範囲に沿って相対角度位置a1を変化させるとき、変化させるステップ302は、第1の角度範囲および/または第2の角度範囲に沿って、相対角度位置を変化させる任意のシーケンスを含んでもよい。
【0170】
さらなるステップ304(
図16B)は、
図15Bのステップ274と同様に、好ましくは、ステップ300に従って変化する距離値と相対角度位置値(1次元、または好ましくは2次元)との各組み合わせについて、例えば、組み合わせに関連するTHz信号TSの受信された反射部分TSRを特徴付ける基準測定RMを実行することを含む。一例として、
図15Bを参照して既に説明したように、特定の距離d1および特定の相対角度位置a1、a2における特定の基準測定値RM1を特徴付けるデータセットは、以下の形態(d1、a1、a2、RM1)を含むことができる。さらなる好ましい実施形態によれば、基準測定値RMおよび/またはデータセットは、それぞれ、データベースDBに格納されてもよい。
【0171】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ304内で使用される距離値および/または相対角度位置値は、例えば三角測量センサのような少なくとも1つの距離センサ132(
図1)、および/または、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3次元(3D)スキャナ、および/または、例えば光学角度位置センサのような少なくとも1つの角度位置センサ134(
図1)、好ましくは、例えば表面の形および/または表面の位置および/または表面の向きを検出することが可能な3Dスキャナにより決定されてもよい。
【0172】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ304内で使用される距離値および/または相対角度位置値の両方を、3Dスキャナ134を使用して決定することができる。
【0173】
さらなる好ましい実施形態によれば、ステップ304内で使用される距離値および/または相対角度位置値は、距離dおよび/または相対角度位置の変化をもたらすために、ドライブ140、142のうちの1つまたは複数を制御するために使用される制御信号から決定される。
【0174】
例えば、
図16Bを参照して説明したプロセスによって得られるデータベースDBに基づいて、サンプル10’b(および/またはさらなるサンプル)について1つまたは複数の層厚測定を実行することができ、この層厚測定はさらなる好ましい実施形態によれば、第3のシーケンスとして特徴付けることができる。層厚測定を実行するために、
図15Cを参照して説明したようなプロセスを実行することができ、
図16A、16Bを参照して説明したような基準および/または較正装置は必ずしも必要ではない。むしろ、さらなる好ましい実施形態によれば、層厚測定は、ロボット144により、例えば自動車の車体部品等の試料10’bに対して測定ヘッド130を位置決めすることにより実行されてもよい。有利には、そのようにして得られた層厚測定値またはそれぞれのTHz信号が
図16Bに従って得られたデータベースDBに基づいて処理、すなわち評価することができ、それによって、ロボット144による距離および/または角度位置決め誤差(すなわち、最適値omdおよび/またはomaからの偏差)を、データベースDBからの基準測定値(またはそれから導出された補間値)を使用して有利に補正することができる。このように、さらなる好ましい実施形態によれば、特に、ロボット144による測定ヘッド130の潜在的に長時間および/または高価な再位置決めを回避することができ、その結果、好ましい実施形態による方法は、工業的製造環境、例えば、測定ヘッド130を有するロボット144が製造ライン内に配置されるインラインTHz放射線ベースの層厚測定に特に適している。