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特許7411649降温フィルタロッド、及びシガレットフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】降温フィルタロッド、及びシガレットフィルタ
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20231228BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20231228BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/17
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021520267
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019092306
(87)【国際公開番号】W WO2020001383
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】201810667130.9
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820988243.4
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820988160.5
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】507308153
【氏名又は名称】チャイナ タバコ フーナン インダストリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】譚 海風
(72)【発明者】
【氏名】金 勇
(72)【発明者】
【氏名】范 紅梅
(72)【発明者】
【氏名】王 詩太
(72)【発明者】
【氏名】陳 潜
(72)【発明者】
【氏名】李 克
(72)【発明者】
【氏名】▲喩▼ 賽波
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】譚 超
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】岩▲崎▼ 則昌
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108113051(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107536100(CN,A)
【文献】中国実用新案第207505912(CN,U)
【文献】国際公開第2018/110834(WO,A2)
【文献】韓国公開特許第2003-0093631(KR,A)
【文献】国際公開第2019/220904(WO,A1)
【文献】特表2020-527936(JP,A)
【文献】中国実用新案第206079018(CN,U)
【文献】米国特許第5392793(US,A)
【文献】特表2009-542249(JP,A)
【文献】特開平4-262773(JP,A)
【文献】実開昭58-167596(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
降温フィルタロッドであって、
中空管を備え、前記中空管の内部において、3~5層のセパレータが軸心に垂直な方向に設けられ、1層のセパレータには2~4個の貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、円形であり、孔径が0.7~2mmであり、前記セパレータの厚さが0.8~1mmであり、隣接するセパレータの貫通孔の位置が異なるものであり、降温フィルタロッドは単独でシガレットフィルタとして使用される、ことを特徴とする降温フィルタロッド。
【請求項2】
前記中空管は中空丸管であり、前記セパレータの面積が中空丸管の内径断面積と同じである、ことを特徴とする請求項1に記載の降温フィルタロッド。
【請求項3】
前記中空管の長さが10~40mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の降温フィルタロッド。
【請求項4】
前記中空管の内部のいずれのセパレータも、中空管の両端開口からの間隔が2mm以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の降温フィルタロッド。
【請求項5】
任意の隣接する2層のセパレータの間の間隔が2~10mmの範囲である、ことを特徴とする請求項1に記載の降温フィルタロッド。
【請求項6】
1層のセパレータの貫通孔は、セパレータの中心位置から0~3.0mm離れた領域内に設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の降温フィルタロッド。
【請求項7】
隣接する2層のセパレータの貫通孔の相対位置はランダムに配置されるか、若しくは、セパレータの中心軸に対して対称的に配置されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の降温フィルタロッド。
【請求項8】
1層のセパレータの貫通孔は、セパレータの中心位置から0~3.0mm離れた領域内にランダムに配置されるか、幾何学的図形のように均等に配置されており、前記幾何学的図形には、三角形、角形又は多角形のうちの1種が含まれる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の降温フィルタロッド。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の降温フィルタロッドを有するシガレットフィルタ。
【請求項10】
前記シガレットフィルタは加熱不燃シガレットフィルタである、ことを特徴とする請求項9に記載のシガレットフィルタ。
【請求項11】
降温フィルタロッドであって、
中空管を備え、前記中空管の内部において、3~5層のセパレータが軸心に垂直な方向に設けられ、1層のセパレータには2~4個の貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、円形であり、孔径が0.7~2mmであり、前記セパレータの厚さが0.8~1mmであり、隣接するセパレータの貫通孔の位置が同じであり、降温フィルタロッドは、アセテート繊維製フィルタロッド、刻みタバコ型フィルタロッド、及び顆粒型フィルタロッドのうちの少なくとも1種と組み合わせて、二元以上の複合型シガレットフィルタとして使用される、
ことを特徴とする降温フィルタロッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シガレットフィルタロッドに関し、特に、吸着量が極めて小さく、新型タバコ製品の煙濃度及び香りの濃度を極力維持しながら、口腔で感じられる煙の温度を大幅に低下できるフィルタロッド、及びその使用に関し、シガレット被害低減の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
禁煙運動の激化及び健康意識の高まりに伴い、近年、新型タバコ製品は盛んに発展している。新型タバコ製品は、加熱するが燃焼しない方式を採用しており、タバコが高温燃焼により分解して発生する有害成分を減少させ、主流煙の化学成分の放出量を大幅に低減させる。また、くすぶりによって多くの煙を発生させる従来のシガレットと異なり、その副流煙と環境煙が大幅に減少し、喫煙と公共の場所での喫煙禁止との矛盾を一定の程度緩和させる。
【0003】
しかし、新型加熱不燃シガレットは煙量が少なく、煙の濃度が低いため、通常のフィルタの吸着性能では、消費者の満足感をさらに低下させ、また、喫煙頻度を増加させ、喫煙総量を増加させるという問題を引き起こしやすく、そして、このようなシガレットが一般的に短くて細く、特に喫煙器具を使用して持続的に加熱する必要があるため、口腔に吸い込む煙の温度が高く、灼熱感を与えやすい。これらは、すべてこのようなシガレットの喫煙感に大きく影響し、喫煙者の満足感を低下させる。これにより、このようなシガレットの受け入れを損ない、シガレットの危害を低減するという目的を達成できない。したがって、口腔で感じられる煙の温度を効果的に低下させることができるとともに、煙の濃度を極力維持できるシガレットフィルタロッドが期待される。
【0004】
業界の内外でシガレットフィルタの材料及び構造に関しては多くの顕著な成果の研究を行った。既存の結果から明らかなように、伝統的なシガレットでは、吸い終わる前の2~3パフには、フィルタからの煙の温度は最高70~80℃に達し、深くパフする場合は、フィルタ側の煙の温度は更に100℃以上に達し、フィルタの温度が過度に高くなることは、煙のエアロゾル顆粒物質に対するフィルタの遮断効果を損なうだけでなく、消費者の煙への官能品質に対する満足度にも影響する。また、フィルタロッドに半幅の仕切り板や微細孔装置を追加することで、煙の流れを案内することにより、煙を遮断する効果を得ることも研究されている。また、ポリ乳酸フィルム、アルミ箔紙などをシガレットフィルタとして使用することで、シガレットの温度を下げる設計も行われている。しかし、煙温度の制御及び煙の官能品質の改善は、従来から、新型加熱不燃シガレットのフィルタの設計における重点及び難点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シガレットフィルタの官能品質に悪影響を与える欠陥、及び口腔で感じられる温度が高すぎるなどの従来技術の欠陥などに対して、本発明の第1目的は、シガレットの煙への吸着を低下させながら、口腔で感じられる煙の温度を大幅に低下させ、シガレットの官能品質を改善する降温フィルタロッドを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、前記フィルタロッドの使用を提供することであり、前記フィルタロッドを、低吸着性及び降温機能を備えたシガレットフィルタとして使用することで、新型加熱不燃シガレットの喫煙感を維持しながら、高温煙による灼熱感を低減させることができ、特に発煙量の低い現在の新型加熱不燃シガレットに適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的目的を達成するために、本発明の技術案は以下のとおりとなる。
【0008】
降温フィルタロッドであって、中空管を備え、前記中空管の内部において少なくとも1層のセパレータが軸心に垂直な方向に設けられ、1層のセパレータには少なくとも1つの貫通孔が設けられる。
【0009】
さらに、前記中空管は中空丸管であり、前記セパレータの面積が中空丸管の内径断面積と同じである。
【0010】
さらに、前記中空丸管の周長が15~24mmである。
【0011】
さらに、前記中空管の肉厚が0.5~2mmである。
【0012】
さらに、前記中空管の長さは、10~40mm、さらに20~35mmであり、中空管の内部には、1~6層のセパレータが設けられる。セパレータの数を制御することにより、中空管をいくつかの領域に仕切ることができ、通常、セパレータの層数が多いほど、煙温度の低下に有効であり、その反面、タバコの喫煙抵抗や煙の遮断への影響も大きくなる。したがって、好ましくは、各中空丸管のセパレータの数が1~6層であり、この場合、最適な総合的効果が得られる。
【0013】
さらに、前記中空管の内部のいずれのセパレータも、中空管の両端開口からの間隔が2mm以上、好ましくは、3mm以上である。
【0014】
さらに、前記中空管の内部には、2~6層のセパレータが設けられ、任意の隣接する2層のセパレータの間の間隔が2~10mmの範囲である。間隔が小さすぎると、緩衝導流エリアが必要以上に小さくなり、フィルタロッドによるスロットル・降温の効果が損なわれ、間隔が大きすぎると、フィルタロッド全体の長さの設計が制限され、シガレットが長すぎたり、フィルタロッドとタバコの長さとにミスマッチが生じたりするなどの問題を招きやすく、喫煙時に中空部が存在するように感じさせてしまい、その結果、新型加熱不燃シガレットの受け入れを低減させる。中空管の内部の任意の隣接するセパレータの間の間隔は、同じであっても、異なってもよく、好ましくは同じである。
【0015】
さらに、前記セパレータの厚さが0.5~3mmである。
【0016】
さらに、1層のセパレータには、1~10個の貫通孔が別々に設けられ、さらに、1層のセパレータには、1~6個の貫通孔が別々に設けられ、好ましくは、1層のセパレータには、2~4個の貫通孔が別々に設けられる。貫通孔の数が多すぎると、プロセスが複雑になり、またフィルタロッドを直接連通して圧力低下をなくすことを引き起こしやすく、スロットル・降温効果が損なわれる。各層のセパレータには、数の異なる流通孔が設けられてもよいし、数の同じ流通孔が設けられてもよい。好ましくは、数の同じ流通孔が設けられる。
【0017】
さらに、1層のセパレータの貫通孔は、セパレータの中心位置から0~3.0mm離れた領域内、さらに、セパレータの中心位置から0~2.5mm離れた領域内に設けられる。
【0018】
さらに、前記セパレータの層数は少なくとも2層であり、隣接する2層のセパレータの貫通孔の相対位置はランダムに配置される。
【0019】
さらに、隣接する2層のセパレータの貫通孔は、位置が同じであるか、又はセパレータの中心軸に対して対称的に配置されている。貫通孔がセパレータの中心軸に対して対称的に配置されている場合、製造プロセスが簡素化され、そしてスロットルや導流(又は分流)の効果が高まる。また、煙を中空管内で導流・分流状態にすることで、煙が流れる経路を大幅に増大し、降温効果をさらに高める。
【0020】
さらに、1層のセパレータの貫通孔は、セパレータの中心位置から0~3.0mm離れた領域内にランダムに配置され、さらに、セパレータの中心位置から0~2.5mm離れた領域内にランダムに配置されている。
【0021】
さらに、1層のセパレータの貫通孔は、幾何学的図形のように均等に配置され、前記幾何学的図形には、三角形、角形又は多角形のうちの1種が含まれる。
【0022】
さらに、前記セパレータは、樹脂、プラスチック、ナイロン、木材、プレキシグラス、金属、紙のうちの少なくとも1種の材料で構成される。
【0023】
一般には、前記貫通孔の形状は、理論的には、任意の形状としてもよく、さらに、円形、正多角形、葉の形又は心形などに設計できる。
【0024】
さらに、前記貫通孔の横断面積が、0.2~3.14mm、一般には、0.3~2.5mm、さらに0.5~2mmである。
【0025】
さらに、前記貫通孔は円形であり、孔径が0.5~2mm、さらに0.7~1.5mmである。
【0026】
同一の発明構想に基づいて、本発明は、上記降温フィルタロッドのシガレットフィルタにおける使用をさらに提供する。
【0027】
このようにして、シガレットフィルタへ低吸着性及び降温機能を付与し、パフエクスペリエンスを効果的に向上させる。
【0028】
さらに、前記降温フィルタロッドは、単独でシガレットフィルタとして使用されるか、アセテート繊維製フィルタロッド、刻みタバコ型フィルタロッド、及び顆粒型フィルタロッドのうちの少なくとも1種と組み合わせて、二元以上の複合型シガレットフィルタとして使用される。一般には、シガレットフィルタでは、前記降温フィルタロッドの位置については特に制限がなく、唇側、タバコ側や中央の位置に配置できる。アセテート繊維製フィルタロッド(非中空管型アセテート繊維製フィルタロッド)と組み合わせて使用する場合は、好ましくは、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。
【0029】
さらに、前記シガレットフィルタは新型加熱不燃シガレットフィルタである。
【0030】
本発明の降温フィルタロッドは、中空管を主体とし、中空管内部にセパレータと貫通孔を設計することで、セパレータにより中空管を複数の個別の領域に分け、そしてセパレータにサイズの適切な貫通孔を設けることにより各領域を連通させる。このようにして、シガレットのパフ中に、シガレットの煙が中空管を流れるときに、各領域で拡散を緩和させたりスロットルを受けて圧力を低下させたりし、それによって、段階的なスロットル・降温を実現し、さらに、孔径の適切な貫通孔を通じてフィルタロッドの喫煙抵抗を効果的に調整し、煙への遮断を減少させ、煙濃度を高め、煙温度を下げる。一方、類似したセパレータが設けられた従来のシガレットフィルタでは、煙への遮断効果の向上が主な目的であり、煙への吸着及び煙温度を低減させる効果がなく、一般には、半円形又は円弧形セパレータが使用されるので、スロットル・降温作用がない。そして、一般には設計された貫通孔構造にはサイズが合理的ではなく、サイズが小さすぎるものでは、フィルタロッドの喫煙抵抗の大幅な上昇を引き起こしやすく、煙を遮断させ、サイズが大きすぎるものでは、スロットル・降温の作用を実現できない。
【0031】
本発明の降温フィルタロッドは、特に、従来技術における新型加熱不燃タバコ製品(加熱方式で煙を放出させるシガレット)に好適である。主に、現在の新型シガレットタバコでは、煙量が小さく、煙濃度が低いなどの特徴を有し、一方、通常のフィルタロッドでは、吸着性能が高く、シガレットの官能品質への消費者の満足感をより低下させ、その受け入れを低減させ、また喫煙頻度を増加させ、喫煙総量を増加させるという問題を招く。そして、新型加熱不燃シガレットタバコは、一般には短くて細く、喫煙器具を用いて持続的に加熱する必要があるため、口腔に吸い込む煙の温度が高く、灼熱感を与えやすく、これらは、パフエクスペリエンスに悪影響を与え、このようなシガレットの受け入れ程度を損なう。一方、本発明の降温フィルタロッドは、新型加熱不燃タバコ製品のフィルタに存在する問題を効果的に解決する。降温フィルタロッドによる煙への遮断及び吸着を低減させ、口腔で感じられるシガレットからの煙の温度を低下させ、消費者の満足感を向上させる。
【0032】
本発明では、中空管に使用される材料は、セパレータの材料と同じであってもよいし、異なってもよい。好適には、樹脂、プラスチック、ナイロン、木材、プレキシグラス、金属、紙、アセテート繊維、ポリプロピレン繊維又はポリ乳酸繊維のうちの少なくとも1種の材料で構成される。
【0033】
本発明に係る円柱型降温フィルタロッドの製造
まず、貫通孔を備えたセパレータ付きの中空半円柱体を製造する金型を作製し、ここで、非円弧面を「雄」と「雌」という2つのタイプに分け、そのうち、「雄」面である円柱側面とセパレータ側面には、前方へ伸びている長さ0.5~1mm、厚さ0.1~0.5mmのシートを均等に配置し、「雌」面である円柱側面とセパレータ側面には、長さ0.5~1mm、厚さ0.1~0.5mmの係合溝を前記シートに対応して配置し、次に、射出成形を行い、その後、非円弧面が雄と雌となる2つの中空半円柱体を強固に結合して、完全な円柱型降温フィルタロッドを形成し、適切な長さのシガレット又は複合フィルタロッドに分割する。また、3Dプリント方式、たとえば、スロット付き円柱型降温フィルタロッドと貫通孔付きセパレータを加工し、貫通孔付きセパレータをスロットに挿入して成形する方式を用いてもよく、このような方式では、フィルタへ通風支援機能を付与するフィルタロッドを簡便に加工したり、貫通孔を備えたセパレータ付き降温フィルタロッドを一次成形したりすることができる。
【発明の効果】
【0034】
従来技術に比べて、本発明の技術案による有益な技術的効果は以下のとおりである。
【0035】
本発明の降温フィルタロッドは、極低吸着型フィルタロッドであり、簡単で好適な構造を設計することによって、シガレットの煙への吸着及び遮断を極力低下させながら、煙濃度及び香りの濃度を維持し、このように、口腔で感じられるシガレットからの煙の温度を大幅に低下させる。フィルタロッドは、中空管型フィルタロッド主体を用いるため、フィルタロッドによる煙の吸着を極力低下させる。そして、中空管内部にいくつかのセパレータを設置して、煙チャンネルを複数の部分に仕切り、それによって、シガレットの煙に対して緩衝導流の働きを果たし、また、サイズの適切な貫通孔を通じてフィルタロッドの喫煙抵抗を効果的に調整し、煙への遮断を低減させ、このように、多段階のスロットル・降温を実現する。したがって、本発明のフィルタロッド構造全体の設計は、タバコ製品の煙濃度及び香りの濃度を良好に維持し、パフした煙を十分にビーズ状を維持させ、満足のいく喫煙感を実現し、また、口腔で感じられる煙の温度を大幅に低下させ、シガレットの官能品質を改善する。
【0036】
本発明の降温フィルタロッドは、構造の設計がシンプルであり、原料が入手しやすく、コストが低く、量産に有利である。
【0037】
本発明の降温フィルタロッドは、タバコ製品の煙濃度及び香りの濃度を良好に維持できるだけではなく、口腔で感じられる煙の温度を大幅に低下させ、特に従来の新型加熱不燃タバコ製品に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明のフィルタロッドの一例の構造模式図である。
図2】本発明の別のフィルタロッドの構造模式図である。
図3】本発明のまた別のフィルタロッドの構造模式図である。
図4】本発明のさらなるフィルタロッドの構造模式図である。
図5】本発明の複合フィルタロッドの一例の構造模式図である。
図6】本発明の別の複合フィルタロッドの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものであるが、本発明の特許範囲を限定しない。
【0040】
実施例1~3
まず、下記の3種類の長さ30mm、周長24.0mmのフィルタロッドを製造した。
【0041】
1つは、中空円柱状をしており、4層のセパレータを円柱の内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱全体の厚さが0.8mm、セパレータの厚さがすべて0.8mmである。各層のセパレータには2個又は3個の貫通孔を有し、1層目のセパレータはフィルタ側から4mm離れており、2個の貫通孔を有し、2層目のセパレータは、フィルタ側から12mm離れており、3個の貫通孔を有し、3層目のセパレータは、フィルタ側から16mm離れており、2個の貫通孔を有し、4層目のセパレータは、フィルタ側から24mm離れており、3個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置は、セパレータの中心位置から0~2.5mm離れた範囲内にランダムに配置されており、貫通孔の直径はすべて1.5mmであり、このフィルタロッドは、3#(図3参照)と記載した。
【0042】
その他の2種は、二元複合フィルタロッドであり、複合構造が両方ともに長さ20mmの中空円柱にセパレータを備えたものであって、セパレータには円形貫通孔を有するフィルタロッドを、長さ10mmのアセテート繊維製フィルタロッドと複合したものであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。そのうち、一方は、1層のセパレータを内部に備え、中空円柱の肉厚が1.5mm、セパレータの厚さが2mmであり、セパレータには1個の貫通孔を有し、貫通孔はフィルタロッドの円状横断面の中央にあり、その直径が1.5mmであり、セパレータは、フィルタ側から10mm離れており、このフィルタロッドは、5#(図5参照)と記載した。他方は、4層のセパレータを円柱の内部に備え、各層のスロットルセパレータには4個の円形貫通孔を有し、各貫通孔の中心位置がフィルタロッドの円状横断面の中央から2mm離れており、4個の貫通孔は、フィルタロッドの円状横断面上に正角形状に配置されており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が同じであり、貫通孔の直径はすべて1mmであり、中空円柱の外壁と各層のセパレータの厚さがすべて0.8mmであり、1層目のセパレータのフィルタ側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔はともに4mmであり、このフィルタロッドは、6#(図6参照)と記載した。
【0043】
比較例1~2
同じく長さ30mm、周長24.0mmの円柱中空管型アセテート繊維製複合フィルタロッドを0A#と記載し、この複合フィルタロッドは、セパレータ無しで、複合構造が長さ10mmのアセテート繊維製フィルタロッド+20mmの中空管型フィルタロッドであり、アセテート繊維製フィルタロッドが唇側に配置されており、同じく長さ30mm、周長24.0mmの通常のアセテート繊維製フィルタロッドを0B#と記載した。
【0044】
上記5種類のフィルタロッドをそれぞれ、同じプロセス及び処方を用いたタバコに接続して長さ48mm、周長24.3mmの新型加熱不燃シガレットとし、フィルタロッドの番号と一致するように、シガレットに番号を付けた。同じ喫煙器具を用いて加熱し、最高加熱温度を350℃とし、ISO規格に準じた方法でシガレットをパフし、フィルタの外縁の唇側の最高煙温度及び煙をテストし、結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から分かるように、フィルタロッド3#、5#、及び6#を周長24.3mmの新型加熱不燃シガレットに用いた場合、比較となる通常のアセテート繊維製フィルタロッド0B#に比べて、測定したフィルタの外縁の唇側の最高温度が大幅に低下し、煙中のタール及びニコチンがともに大幅に増加した。
【0047】
フィルタロッド3#を周長24.3mmの新型加熱不燃シガレットに用いた場合、比較となるアセテート繊維製中空管複合フィルタロッド0A#に比べて、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度が大幅に低下し、煙中のタールやニコチンなどの成分が大幅に増加した。フィルタロッド5#及び6#をアセテート繊維製中空管二元複合フィルタロッド0A#に用いた場合に比べて、測定したフィルタの外縁の唇側の煙最高温度が、同様に有意に低下し、煙中のタールやニコチンなどは差異が小さかった。
【0048】
さらに、フィルタロッド0A#、及び0B#では、シガレットのパフ中に、アセテート繊維製フィルタロッド部の喫煙器具の加熱エリアに近い一方側は、高温煙の影響を受けるため、いずれも溶融により収縮して固まるような不良が認められ、その結果、三番目のパフ、さらに2番目のパフから、喫煙抵抗が上昇し、煙量が有意に低下した。0B#アセテート繊維製フィルタロッドの方はより深刻である。一方、複合フィルタロッド5#及び6#では、煙温度を低下させる役割のため、このような現象が明らかではなかった。
【0049】
本発明のフィルタロッドは、煙へのシガレットの吸着を低減させながら、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度を大幅に低下させた。シガレットフィルタロッドの新型加熱不燃シガレットの煙への遮断及び吸着の作用を効果的に低下させ、口腔で感じられるシガレットからの煙の温度を下げ、シガレットの官能品質を改善し、消費者の満足感を高めた。
【0050】
実施例4~5
下記の2種類の長さ30mm、周長16.8mmのフィルタロッドを製造した。
【0051】
一方は、中空円柱状をしており、4層のセパレータを円柱の内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱全体の厚さが0.8mm、セパレータの厚さがすべて0.8mmである。各層のセパレータには2個又は3個の円形貫通孔を有し、1層目のセパレータはフィルタ側から4mm離れており、2個の貫通孔を有し、2層目のセパレータは、フィルタ側から12mm離れており、3個の貫通孔を有し、3層目のセパレータは、フィルタ側から16mm離れており、2個の貫通孔を有し、4層目のセパレータは、フィルタ側から24mm離れており、3個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置は、セパレータの中心位置から0~1.2mm離れた範囲内にランダムに配置されており、貫通孔の直径はすべて1mmであり、このフィルタロッドは、9#と記載した。
【0052】
他方は、二元複合フィルタロッドであり、複合構造が長さ20mmの中空円柱にセパレータを備え、セパレータには円形貫通孔を有するフィルタロッドを、長さ10mmのアセテート繊維製フィルタロッドと複合したものであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されており、この二元複合フィルタロッドは、1層のセパレータを内部に備え、中空円柱の肉厚が1.5mm、セパレータの厚さが2mmであり、セパレータには1個の貫通孔を有し、貫通孔はフィルタロッドの円状横断面の中央にあり、その直径が1.5mmであり、セパレータは、フィルタ側から10mmであり、この二元複合フィルタロッドは11#と記載した。
【0053】
比較例3~4
同じく長さ30mm、周長16.8mmの円柱中空管型アセテート繊維製複合フィルタロッドを0C#と記載し、この複合フィルタロッドは、セパレータ無しで、複合構造が長さ10mmのアセテート繊維製フィルタロッド+20mmの中空管型フィルタロッドであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。同じく長さ30mm、周長16.8mmの通常のアセテート繊維製フィルタロッドを0D#と記載した。
【0054】
上記4種類のフィルタロッドをそれぞれ、同じプロセス及び処方を用いたタバコに接続して長さ70mm、周長17.1mmの細い新型加熱不燃シガレットとし、フィルタロッドの番号と一致するように、シガレットに番号を付けた。同じく細くした新型シガレット喫煙器具を用いて加熱し、最高加熱温度を230℃とし、ISO規格に準じた方法でシガレットをパフし、フィルタの外縁の唇側の最高煙温度及び煙をテストし、結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2から分かるように、フィルタロッド9#及び11#を周長17.1mmの新型加熱不燃シガレットに用いた場合、比較となる通常のアセテート繊維製フィルタロッド0D#に比べて、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度が大幅に低下し、煙中のタール、ニコチン及び水分のいずれも大幅に増加した。
【0057】
フィルタロッド9#を周長17.1mmの新型加熱不燃シガレットに用いた場合、比較となるアセテート繊維製中空管複合フィルタロッド0C#に比べて、フィルタの外縁の唇側の最高煙温度が大幅に低下し、煙中のタールやニコチンが大幅に増加した。フィルタロッド11#をアセテート繊維製中空管二元複合フィルタロッド0C#に用いた場合に比べて、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度が同様に有意に低下し、煙中のタールやニコチンなどに差異が小さかった。さらに、フィルタロッド0C#及び0D#では、シガレットのパフ中に、アセテート繊維製フィルタロッド部の喫煙器具の加熱エリアに近い一方側は、高温煙による影響を受けるため、いずれも加熱により溶融して固まるような不良が認められ、その結果、3番目のパフ、さらに2番目のパフから、喫煙抵抗が上昇し、煙量が明らかに低下した。アセテート繊維製フィルタロッド0D#の方はより深刻である。一方、複合フィルタロッド11#では、煙温度を低下させる作用を有するため、このような現象が明らかではなかった。
【0058】
実施例6~12
まず、下記7種類の長さ34mm、周長22.0mmのフィルタロッドを製造した。
【0059】
そのうち、3種類は、中空円柱状をしており、4層のセパレータを円柱の内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱全体の厚さが0.8mm、セパレータの厚さがすべて0.8mmである。そのうち、1つは、各層のセパレータに1個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置がフィルタロッドの円状横断面の中央から2mm離れており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が円の中心に対して対称的に配置されており、交互するセパレータの貫通孔は、位置が同じであり、その直径が1.2mmであり、1層目のセパレータのフィルタ側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔がすべて6mm離れており、このフィルタロッドは、A1#(図1参照)と記載した。別のフィルタロッドは、各層のセパレータに2個の円形貫通孔を有し、そのうち一方の貫通孔の位置がフィルタロッドの円状横断面の真中央にあり、他方の貫通孔の中心位置が、フィルタロッドの円状横断面の中央から2mm離れており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が円の中心に対して対称的に配置されており、交互するセパレータの貫通孔は、位置が同じであり、その直径が1.0mmであり、1層目のセパレータのフィルタ側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔がすべて6mm離れており、このフィルタロッドは、A2#(図2参照)と記載した。3番目のフィルタロッドは、各層のセパレータに2個又は3個の貫通孔を有し、1層目のセパレータはフィルタ側から4mm離れており、2個の貫通孔を有し、2層目のセパレータは、フィルタ側から12mm離れており、3個の貫通孔を有し、3層目のセパレータは、フィルタ側から16mm離れており、2個の貫通孔を有し、4層目のセパレータは、フィルタ側から24mm離れており、3個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置は、セパレータの中心位置から0~2.1mm離れた範囲内にランダムに配置されており、貫通孔の直径はすべて1.0mmであり、このフィルタロッドはA3#(図3参照)と記載した。
【0060】
別の1種は、中空円柱状をしており、3層のセパレータを内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱全体の厚さが0.8mm、セパレータの厚さがすべて0.8mmである。各層のセパレータには3個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置が、すべてフィルタロッドの円状横断面の中央の一方側であって、フィルタロッドの円状横断面の中央から2mm離れた箇所で、三角形に配置されており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が円の中心に対して対称的に配置されており、交互するセパレータの貫通孔は、位置が同じであり、その直径が1.0mmであり、1層目のセパレータはフィルタ側から4mm離れており、隣接するセパレータの間隔がすべて10mmであり、このフィルタロッドはA4#(図4参照)と記載した。
【0061】
その他の2種は、二元複合フィルタロッドであり、複合構造が両方ともに長さ27mmの中空円柱にセパレータを備えたものであって、セパレータには円形貫通孔を有するフィルタロッドを、長さ7mmのアセテート繊維製フィルタロッドと複合したものであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。そのうち、一方は、1層のセパレータを内部に備え、中空円柱の肉厚が1.5mm、セパレータの厚さが2mmであり、セパレータには1個の貫通孔を有し、貫通孔はフィルタロッドの円状横断面の中央にあり、その直径が1.2mmであり、セパレータはアセテート繊維製フィルタロッド部側から8mm離れており、このフィルタロッドはA5#(図5参照)と記載した。他方は、4層のセパレータを円柱の内部に備え、各層のスロットルセパレータには4個の円形貫通孔を有し、各貫通孔の中心位置がフィルタロッドの円状横断面の中央から2mm離れており、4個の貫通孔がフィルタロッドの円状横断面上に正角形状に配置されており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が同じであり、貫通孔の直径はすべて0.9mmであり、中空円柱の外壁と各層のセパレータの厚さがすべて0.8mmであり、1層目のセパレータのアセテート繊維製フィルタロッド部側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔がすべて4mmであり、このフィルタロッドはA6#(図6参照)と記載した。
【0062】
別に、1種の二元複合フィルタロッドを製造し、この二元複合フィルタロッドは、複合構造が同じく長さ27mmの中空円柱にセパレータを備えたものであって、セパレータには円形貫通孔を有するフィルタロッドを、長さ7mmのアセテート繊維製フィルタロッドと複合したものであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。ここで、中空円柱型フィルタロッドの4層のセパレータを円柱の内部に備え、中空円柱の肉厚が0.8mm、セパレータの厚さが0.8mmであり、各層のセパレータに1個の貫通孔を有し、貫通孔はフィルタロッドの円状横断面の中央にあり、貫通孔の直径は2.5mmであり、1層目のセパレータのフィルタ側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔がすべて4mmであり、このフィルタロッドはF1#と記載した。
【0063】
比較例5
同じく長さ34mm、周長22.0mmの円柱中空管型アセテート繊維製複合フィルタロッドは、セパレータ無しで、複合構造が長さ7mmのアセテート繊維製フィルタロッド+27mmの中空管型フィルタロッドであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されており、このフィルタロッドはA0#と記載した。
【0064】
上記8種類のフィルタロッドをそれぞれ、同じプロセス及び処方を用いたタバコに接続して長さ46mm、周長22.6mmの新型加熱不燃シガレットとし、フィルタロッドの番号と一致するように、シガレットに番号を付けた。同じ喫煙器具を用いて加熱し、最高加熱温度を300~350℃とし、ISO規格に準じた方法でシガレットをパフし、フィルタの外縁の唇側の最高煙温度及び煙をテストし、結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
表3から分かるように、フィルタロッドA1#、A2#、A3#及びA4#を周長24.3mmの新型加熱不燃シガレットに用いた場合、比較となるアセテート繊維製中空管複合フィルタロッドA0#に比べて、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度が大幅に低下し、煙中のタールやニコチンなどの成分が大幅に増加した。フィルタロッド5#及び6#をアセテート繊維製中空管複合フィルタロッドA0#に用いた場合に比べて、測定したフィルタの外縁の唇側の煙最高温度が同様に有意に低下し、煙中のタールやニコチンなどは差異が小さかった。
【0067】
さらに、フィルタロッドA0#では、シガレットのパフ中に、アセテート繊維製フィルタロッド部の喫煙器具の加熱エリアに近い一方側は、高温煙による影響を受けるため、加熱により溶融して収縮して固まるような不良が認められ、その結果、3番目のパフ、さらに2番目のパフから、喫煙抵抗が上昇し、煙量が明らかに低下した。複合フィルタロッド5#及び6#では、煙温度を効果的に低下できるため、アセテート繊維製フィルタロッド部が加熱により溶融して収縮して固まるような不良が明らかではなかった。
【0068】
フィルタロッドF1#では、シガレットのパフ中に、貫通孔の直径が大きすぎ、そのパフ特徴がフィルタロッドA0#と類似し、測定したフィルタの外縁の唇側の煙最高温度が有意に低下できなかった。同様に、アセテート繊維製フィルタロッド部が加熱により溶融して収縮して固まるような不良が認められた。
【0069】
実施例13~19
下記7種類の長さ30mm、周長16.8mmのフィルタロッドを製造した。
【0070】
これらのうち、2種類は、中空円柱状をしており、4層のセパレータを円柱の内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱全体の厚さが0.8mm、セパレータの厚さがすべて0.8mmである。1番目は、各層のセパレータに1個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置が、フィルタロッドの円状横断面の中央から1mmであり、隣接するセパレータの貫通孔の位置が円の中心に対して対称的に配置されており、交互するセパレータの貫通孔は、位置が同じであり、その直径が1.2mmであり、1層目のセパレータのフィルタ側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔がすべて6mmであり、このフィルタロッドはB1#と記載した。2番目は、各層のセパレータに2個の円形貫通孔を有し、貫通孔の中心位置がセパレータの中心位置から0~1.2mm離れた範囲内にランダムに配置されており、その直径が1mmであり、1層目のセパレータのフィルタ側からの間隔及び隣接するセパレータの間隔がすべて6mmであり、このフィルタロッドはB2#と記載した。
【0071】
3番目は、中空円柱状をしており、5層セパレータを内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱の厚さが0.7mm、セパレータの厚さがすべて1mmである。各層のセパレータには2個又は3個の円形貫通孔を有し、1層目のセパレータはフィルタ側から4mm離れており、2個の貫通孔を有し、2層目のセパレータは、フィルタ側から8mm離れており、3個の貫通孔を有し、3層目のセパレータは、フィルタ側から12mm離れており、2個の貫通孔を有し、4層目のセパレータは、フィルタ側から20mm離れており、3個の貫通孔を有し、第5層セパレータフィルタ側から24mm離れており、2個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置が、すべてセパレータの中心位置から0~1.4mm離れた範囲内にランダムに配置されており、貫通孔の直径はすべて0.9mmであり、このフィルタロッドはB3#と記載した。
【0072】
別の1種は、中空円柱状をしており、3層のセパレータを内部に備え、且つ各層のセパレータに円形貫通孔を有するフィルタロッドであり、中空円柱全体の厚さが0.8mm、セパレータの厚さがすべて0.8mmである。各層のセパレータには3個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置がフィルタロッドの円状横断面の中央から1.2mmであり、三角形に配置されており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が円の中心に対して対称的に配置されており、交互するセパレータの貫通孔は、位置が同じであり、その直径が0.8mmであり、1層目のセパレータはフィルタ側から4mm離れており、隣接するセパレータの間隔がすべて10mmであり、このフィルタロッドはB4#と記載した。
【0073】
その他の2種は、二元複合フィルタロッドであり、複合構造が両方ともに長さ23mmの中空円柱にセパレータを備えたものであって、セパレータには円形貫通孔を有するフィルタロッドを、長さ7mmのアセテート繊維製フィルタロッドと複合したものであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。そのうち、一方は、1層のセパレータを内部に備え、中空円柱の肉厚が1.5mm、セパレータの厚さが2mmであり、セパレータには1個の貫通孔を有し、貫通孔はフィルタロッドの円状横断面の中央にあり、その直径が1mmであり、セパレータはアセテート繊維製フィルタロッド側から8mmであり、このフィルタロッドは、B5#と記載した。他方は、4層のセパレータを円柱の内部に備え、各層のセパレータに4個の貫通孔を有し、各貫通孔の中心位置がフィルタロッドの円状横断面の中央から1.2mm離れており、4個の貫通孔は、フィルタロッドの円状横断面上に正角形状に配置されており、隣接するセパレータの貫通孔の位置が同じであり、貫通孔の直径はすべて0.8mmであり、中空円柱の外壁と各層のセパレータの厚さがすべて0.8mmであり、1層目のセパレータのアセテート繊維製フィルタロッド側からの間隔、及び隣接するセパレータの間隔がすべて4mmであり、このフィルタロッドはB6#と記載した。
【0074】
別に、二元複合フィルタロッドを製造し、この二元複合フィルタロッドは、複合構造が同じく長さ23mmの中空円柱にセパレータを備えたものであって、セパレータには円形貫通孔を有するフィルタロッドを、長さ7mmのアセテート繊維製フィルタロッドと複合したものであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されている。ここで、中空円柱型フィルタロッドは、1層のセパレータを内部に備え、セパレータがアセテート繊維製フィルタロッド側から6mmであり、中空円柱の肉厚が0.8mm、セパレータの厚さが1mmであり、セパレータに6個の貫通孔を有し、貫通孔の中心位置が、セパレータの中心位置から0~1.5mm離れた範囲内にランダムに配置されており、貫通孔の直径はすべて0.4mmであり、この二元複合フィルタロッドはF2#と記載した。
【0075】
比較例6
同じく長さ30mm、周長16.8mmの円柱中空管型アセテート繊維製複合フィルタロッドは、セパレータ無しで、複合構造が長さ7mmのアセテート繊維製フィルタロッド+23mmの中空管型フィルタロッドであり、アセテート繊維製フィルタロッドは唇側に配置されており、この複合フィルタロッドは、B0#と記載した。
【0076】
上記8種類のフィルタロッドをそれぞれ、同じプロセス及び処方を用いたタバコに接続して長さ72mm、周長17.1mmの細い新型加熱不燃シガレットとし、フィルタロッドの番号と一致するように、シガレットに番号を付けた。同じく細くした新型シガレット喫煙器具を用いて加熱し、最高加熱温度を230~280℃とし、ISO規格に準じた方法でシガレットをパフし、フィルタの外縁の唇側の最高煙温度及び煙をテストし、結果を表4に示す。
【0077】
【表4】
【0078】
表4から分かるように、フィルタロッドB1#、B2#、B3#及びB4#を周長17.1mmの新型加熱不燃シガレットに用いた場合、比較となるアセテート繊維製中空管複合フィルタロッドB0#に比べて、フィルタの外縁の唇側の最高煙温度が大幅に低下し、煙中のタールやニコチンが大幅に増加した。フィルタロッドB5#及びB6#をアセテート繊維製中空管複合フィルタロッドB0#に用いた場合に比べて、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度が同様に有意に低下し、煙中のタールやニコチンなどは差異が小さかった。
【0079】
フィルタロッドF2#では、シガレットのパフ中に、貫通孔の直径が小さすぎ、測定したフィルタの外縁の唇側の煙最高温度が低いものの、パフ時の煙量が少なく、煙中のタールやニコチンなどが少なすぎ、喫煙抵抗が大きく、満足するほど喫煙できない感じが強かった。
【0080】
さらに、フィルタロッドB0#では、シガレットのパフ中に、アセテート繊維製フィルタロッド部の喫煙器具の加熱エリアに近い一方側は、高温煙による影響を受けるため、加熱により溶融して収縮して固まるような不良が認められ、その結果、3番目のパフ、さらに2番目のパフから、喫煙抵抗が上昇し、煙量が明らかに低下した。一方、複合フィルタロッドB5#及びB6#では、煙温度を効果的に低下できるため、アセテート繊維製フィルタロッド部が加熱により溶融して収縮して固まるような不良が明らかではなかった。
【0081】
本発明のフィルタロッドは、煙へのシガレットの吸着を低減させながら、フィルタの外縁の唇側の煙最高温度を大幅に低下させる。シガレットフィルタロッドの新型加熱不燃シガレットの煙への遮断及び吸着の作用を効果的に低下させ、口腔で感じられるシガレットからの煙の温度を下げ、シガレットの官能品質を改善し、消費者の満足感を高める。
【符号の説明】
【0082】
1中空管
2セパレータ
3貫通孔
4酢酸繊維製フィルタロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6