(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】気化器デバイス用のカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20231228BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20231228BHJP
A24F 40/465 20200101ALI20231228BHJP
A61M 15/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/485
A24F40/465
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021523941
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 US2019059880
(87)【国際公開番号】W WO2020097088
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-11-04
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523071097
【氏名又は名称】ジュール・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】JUUL Labs, Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 F Street NW, Washington DC, 20004, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドルー ジェイ. ストラットン
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0261488(US,A1)
【文献】特表2018-504926(JP,A)
【文献】特表2017-500011(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0343925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/485
A24F 40/465
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気化器デバイス用のカートリッジであって、前記カートリッジは、
第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバであって、前記第1の貯蔵チャンバが気化可能材料の第1のフラクションを保持するように構成され、前記第2の貯蔵チャンバが前記気化可能材料の第2のフラクションを保持するように構成される、前記第1の貯蔵チャンバ及び前記第2の貯蔵チャンバと、
前記第1の貯蔵チャンバ及び前記第2の貯蔵チャンバに流体連通している延在部材を含む気化チャンバであって、前記延在部材が第1の端部から第2の端部へと延在するとともに当該第1の端部と当該第2の端部との間に延在する通路を有し、かつ、前記延在部材が前記気化可能材料を受容するように構成されている、前記気化チャンバと、
前記延在部材の前記通路内に配置されるとともに、前記気化可能材料の前記延在部材内への流れを実質的に制御するように第1の位置と第2の位置との間で選択的に振動する構成とされる磁気要素と、
前記磁気要素と選択的に関連し、前記磁気要素を前記第1の位置から前記第2の位置へと駆動する第1の電流の流通に応じて第1の動力を生成するように構成され、かつ、前記磁気要素を前記第2の位置から前記第1の位置へと駆動する第2の電流の流通に応じて第2の動力を生成するように構成される伝導要素と、を備え、前記第2の位置は前記第1の位置の反対側であり、さらに、前記伝導要素は、前記第1の電流の流通に応じて及び前記第2の電流の流通に応じて前記延在部材内の前記気化可能材料を気化した材料へと実質的に気化させるように構成されている、
気化器デバイス用のカートリッジ。
【請求項2】
前記伝導要素は、交流磁場を生成するように構成されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記第1の電流は第1の極性を有し、前記第2の電流は前記第1の極性とは逆の第2の極性を有している、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記磁気要素は前記第1の位置にあるときに前記気化可能材料の前記第1のフラクションが前記延在部材内へと流入するのを防止するように構成され、かつ、前記磁気要素は前記第2の位置にあるときに前記気化可能材料の前記第2のフラクションが前記延在部材内へと流入するのを防止するように構成されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記磁気要素が前記第2の位置にあるとき、前記気化可能材料の前記第1のフラクションの一部が前記延在部材内に流入する、請求項4記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記延在部材の前記第1の端部に入口弁が配置されており、前記入口弁は、前記気化可能材料の前記第1のフラクションの一部が前記延在部材から前記第1の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成される、請求項5記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記磁気要素が前記第1の位置にあるとき、前記気化可能材料の前記第2のフラクションの一部が前記延在部材内に流入する、請求項4記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記延在部材の前記第2の端部に入口弁が配置されており、前記入口弁は、前記気化可能材料の前記第2のフラクションの一部が前記延在部材から前記第2の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成されている、請求項7記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記磁気要素は永久磁石である、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記伝導要素は、前記延在部材の少なくとも一部の周りに実質的に巻き付けられているコイルである、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記気化チャンバは、当該気化チャンバを貫通する空気流通路を画定しており、前記空気流通路は、前記気化した材料が流入空気に混合して前記気化チャンバから流出できるように構成されている、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項12】
気化器デバイスであって、
気化器本体と、
前記気化器本体に選択的に連結され、かつ前記気化器本体から取外し可能なカートリッジと、
を備え、前記カートリッジは、
第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバであって、前記第1の貯蔵チャンバが気化可能材料の第1のフラクションを保持するように構成され、前記第2の貯蔵チャンバが前記気化可能材料の第2のフラクションを保持するように構成される、前記第1の貯蔵チャンバ及び前記第2の貯蔵チャンバと、
前記第1の貯蔵チャンバ及び前記第2の貯蔵チャンバに流体連通している延在部材を含む気化チャンバであって、前記延在部材が第1の端部から第2の端部へと延在するとともに当該第1の端部と当該第2の端部との間に延在する通路を有し、かつ、前記延在部材が前記気化可能材料を受容するように構成されている、前記気化チャンバと、
前記延在部材の前記通路内に配置されるとともに、前記気化可能材料の前記延在部材内への流れを実質的に制御するように第1の位置と第2の位置との間で選択的に振動する構成とされる磁気要素と、
前記磁気要素と選択的に関連し、前記磁気要素を前記第1の位置から前記第2の位置へと駆動する第1の電流の流通に応じて第1の動力を生成するように構成され、かつ、前記磁気要素を前記第2の位置から前記第1の位置へと駆動する第2の電流の流通に応じて第2の動力を生成するように構成される伝導要素と、含み、前記第2の位置は前記第1の位置の反対側であり、さらに、前記伝導要素は、前記第1の電流の流通に応じて及び前記第2の電流の流通に応じて前記延在部材内の前記気化可能材料を気化した材料へと実質的に気化させるように構成されている、
気化器デバイス。
【請求項13】
前記気化器本体は電源を含む、請求項12記載のデバイス。
【請求項14】
前記伝導要素は、交流磁場を生成するように構成されている、請求項12記載のデバイス。
【請求項15】
前記第1の電流は第1の極性を有し、前記第2の電流は前記第1の極性とは逆の第2の極性を有している、請求項12記載のデバイス。
【請求項16】
前記磁気要素は前記第1の位置にあるときに前記気化可能材料の前記第1のフラクションが前記延在部材内へと流入するのを防止するように構成され、かつ、前記磁気要素は前記第2の位置にあるときに前記気化可能材料の前記第2のフラクションが前記延在部材内へと流入するのを防止するように構成されている、請求項12記載のデバイス。
【請求項17】
前記磁気要素が前記第2の位置にあるとき、前記気化可能材料の前記第1のフラクションの一部が前記延在部材内に流入する、請求項16記載のデバイス。
【請求項18】
前記延在部材の前記第1の端部に入口弁が配置されており、前記入口弁は、前記気化可能材料の前記第1のフラクションの一部が前記延在部材から前記第1の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成される、請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
前記磁気要素が前記第1の位置にあるとき、前記気化可能材料の前記第2のフラクションの一部が前記延在部材内に流入する、請求項16記載のデバイス。
【請求項20】
前記延在部材の前記第2の端部に入口弁が配置されており、前記入口弁は、前記気化可能材料の前記第2のフラクションの一部が前記延在部材から前記第2の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成されている、請求項19記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、参照によりその開示の全体が本明細書に援用され、許可された範囲で適用される、2018年11月5日に出願された「Cartridges For Vaporizer Devices」と題する米国仮特許出願第62/755,965号の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本明細書に記載される対象は、気化器カートリッジを含む気化器デバイスに関する。
【0003】
背景技術
気化器、電子気化器デバイス、又はe気化器デバイスとも称され得る気化器デバイスは、気化デバイスのユーザによるエアロゾルの吸入による、1つ以上の有効成分を含むエアロゾル(例えば、空気又は他の何らかの気体担体の静止している又は動いている質量中に懸濁された蒸気相及び/又は凝縮相の物質)の供給に使用することができる。例えば、電子ニコチン供給システム(ENDS)は、バッテリ電源が供給され、喫煙の体験をシミュレートするために使用することができるが、タバコ又は他の物質の燃焼を伴わない種類の気化器デバイスを含む。気化器デバイスは、薬剤の供給における規定された医療用途と、タバコ、ニコチン、及び他の植物ベースの材料の消費との両方において、人気が高まっている。気化器デバイスは、携行可能であり、自給式であり、かつ/又は使用に便利であり得る。
【0004】
気化器デバイスの使用において、ユーザは、口語で「蒸気」と称されるエアロゾルを吸入し、このエアロゾルは、液体、溶液、固体、ペースト、ワックス、及び/又は特定の気化器デバイスとの使用に適合する任意の他の形態であり得る気化可能材料を気化させる(例えば、液体又は固体を少なくとも部分的に気相に移行させる)加熱要素によって生成され得る。気化器デバイスと共に使用される気化可能材料は、ユーザによるエアロゾルの吸入のための出口(例えばマウスピース)を含むカートリッジ(例えば、気化可能材料を含む気化器デバイスの分離可能部分)内部に供給され得る。
【0005】
気化器デバイスによって生成された吸入可能なエアロゾルを受け取るために、ユーザは、所定の例では、パフを行うことによって、ボタンを押すことによって、かつ/又は何らかの他のアプローチによって、気化器デバイスを活性化させてもよい。本明細書で使用されるパフは、空気体積を気化器デバイス内に引き込ませる形式で行われるユーザによる吸入の意味であり、これにより、気化した気化可能材料と空気体積との組合せによって吸入可能なエアロゾルが生成される。
【0006】
気化器デバイスが気化可能材料から吸入可能なエアロゾルを生成するアプローチは、気化チャンバ(例えばヒータチャンバ)内で気化可能材料を加熱して気化可能材料を気相(又は蒸気相)に変換させることを含む。気化チャンバとは、気化器デバイス内の領域又は容積を意味することができる。この領域又は容積の内部において、熱源(例えば、伝導性、対流性、及び/又は放射性の熱源)が気化可能材料を加熱して、空気と気化した材料との混合物を生成し、気化器デバイスのユーザが気化可能材料を吸入するための蒸気を形成する。
【0007】
気化器デバイスは、気化器デバイス上の1つ以上のコントローラ、電子回路(例えば、センサ、加熱要素)及び/又はこれらに類するものによって制御され得る。気化器デバイスは、外部コントローラ(例えば、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス)と無線通信することもできる。
【0008】
いくつかの実施形態では、気化可能材料は、リザーバからウィッキング要素(例えばウィック)を介して気化チャンバ内に引き出され得る。気化チャンバ内へと気化可能材料を引き出すことは、少なくとも部分的に毛管作用に依存し得る。毛管作用は、ウィッキング要素が気化可能材料をウィッキング要素に沿って気化チャンバの方向に引く際に当該ウィッキング要素によって提供される。しかしながら、気化可能材料がリザーバから引き出されるとき、リザーバ内部の圧力が下がり、これにより真空が生成されて毛管作用に対抗する作用をする。このことは、ウィッキング要素が気化可能材料を気化チャンバ内に吸引する効率を低減し得、これにより、ユーザが気化器デバイスでパフを行うときなどに気化器デバイスが所望量の気化可能材料を気化する効率が低下し得る。さらに、リザーバ内に生成される真空は、最終的には全ての気化可能材料を気化チャンバ内に吸引できない結果をもたらし得、気化可能材料が浪費する。したがって、これらの問題を改善又は克服する、改良された気化器デバイス及び/又は気化器カートリッジが所望される。
【0009】
概要
本対象の態様は、気化器デバイス及び気化器デバイス内で使用するためのカートリッジに関する。
【0010】
いくつかのバリエーションでは、以下の特徴の1つ以上が、任意の実施可能な組合せにおいてオプションとして含まれてよい。
【0011】
一実施例では、カートリッジが設けられていて、このカートリッジは、第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバと、第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバに流体連通している延在部材を含む気化チャンバと、磁気要素と、磁気要素と選択的に関連する伝導要素と、を含んでいる。第1の貯蔵チャンバは気化可能材料の第1のフラクションを保持するように構成されており、第2の貯蔵チャンバは気化可能材料の第2のフラクションを保持するように構成されている。延在部材は、第1の端部から第2の端部へと延在しており、これら端部の間に延在する通路を有しており、かつ、延在部材は、気化可能材料を受容するように構成されている。磁気要素は、延在部材の通路内に配置されている。磁気要素は、気化可能材料の延在部材内への流れを実質的に制御するように第1の位置と第2の位置との間で選択的に振動する構成とされる。伝導要素は、磁気要素を第1の位置から第2の位置へと駆動する第1の電流の流通に応じて第1の動力を生成するように構成され、かつ、磁気要素を第2の位置から第1の位置へと駆動する第2の電流の流通に応じて第2の動力を生成するように構成される。この場合、第2の位置は第1の位置の反対側である。さらに、伝導要素は、第1の電流の流通に応じて及び第2の電流の流通に応じて延在部材内の気化可能材料を気化した材料へと実質的に気化させるように構成されている。
【0012】
伝導要素は様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施例では、伝導要素は、延在部材の少なくとも一部の周りに実質的に巻き付けられているコイルであり得る。いくつかの実施例では、伝導要素は、交流磁場を生成するように構成され得る。
【0013】
いくつかの実施例では、第1の電流は第1の極性を有することができ、第2の電流は第1の極性とは逆の第2の極性を有することができる。
【0014】
いくつかの実施例では、磁気要素は第1の位置にあるときに気化可能材料の第1のフラクションが延在部材内へと流入するのを防止するように構成され得、かつ、磁気要素は第2の位置にあるときに気化可能材料の第2のフラクションが延在部材内へと流入するのを防止するように構成され得る。所定の実施例では、磁気要素が第2の位置にあるとき、気化可能材料の第1のフラクションの一部が延在部材内に流入することができる。このような実施例では、延在部材の第1の端部に入口弁が配置され得、この入口弁は、気化可能材料の第1のフラクションの一部が延在部材から第1の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成され得る。所定の実施例では、磁気要素が第1の位置にあるとき、気化可能材料の第2のフラクションの一部が延在部材内に流入し得る。このような実施例では、延在部材の第2の端部に入口弁が配置され得、この入口弁は、気化可能材料の第2のフラクションの一部が延在部材から第2の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成され得る。
【0015】
磁気要素は様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施例では、磁気要素は永久磁石であり得る。
【0016】
気化チャンバは様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施例では、気化チャンバは、気化チャンバを貫通する空気流通路を画定することができる。この空気流通路は、気化した材料が流入空気に混合して気化チャンバから流出できるように構成され得る。
【0017】
別の実施例では、気化器デバイスが提供され、気化器デバイスは、気化器本体と、気化器本体に選択的に連結され、気化器本体から取外し可能なカートリッジとを備える。このカートリッジは、第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバと、第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバに流体連通している延在部材を含む気化チャンバと、磁気要素と、磁気要素と選択的に関連する伝導要素と、を含んでいる。第1の貯蔵チャンバは気化可能材料の第1のフラクションを保持するように構成されており、第2の貯蔵チャンバは気化可能材料の第2のフラクションを保持するように構成されている。延在部材は、第1の端部から第2の端部へと延在しており、これら端部の間に延在する通路を有しており、かつ、延在部材は、気化可能材料を受容するように構成されている。磁気要素は、延在部材の通路内に配置されている。磁気要素は、気化可能材料の延在部材内への流れを実質的に制御するように第1の位置と第2の位置との間で選択的に振動する構成とされる。伝導要素は、磁気要素を第1の位置から第2の位置へと駆動する第1の電流の流通に応じて第1の動力を生成するように構成され、かつ、磁気要素を第2の位置から第1の位置へと駆動する第2の電流の流通に応じて第2の動力を生成するように構成される。この場合、第2の位置は第1の位置の反対側である。さらに、伝導要素は、第1の電流の流通に応じて及び第2の電流の流通に応じて延在部材内の気化可能材料を気化した材料へと実質的に気化させるように構成されている。
【0018】
気化器本体は様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施例では、気化器本体は電源を含むことができる。
【0019】
伝導要素は様々な構成を有することができる。例えば、いくつかの実施例では、伝導要素は、交流磁場を生成するように構成することができる。
【0020】
いくつかの実施例では、第1の電流は第1の極性を有することができ、第2の電流は第1の極性とは逆の第2の極性を有することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、磁気要素は第1の位置にあるときに気化可能材料の第1のフラクションが延在部材内へと流入するのを防止するように構成され得、かつ、磁気要素は第2の位置にあるときに気化可能材料の第2のフラクションが延在部材内へと流入するのを防止するように構成され得る。所定の実施例では、磁気要素が第2の位置にあるとき、気化可能材料の第1のフラクションの一部が延在部材内に流入することができる。このような実施例では、延在部材の第1の端部に入口弁が配置され得、この入口弁は、気化可能材料の第1のフラクションの一部が延在部材から第1の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成され得る。所定の実施例では、磁気要素が第1の位置にあるとき、気化可能材料の第2のフラクションの一部が延在部材内に流入し得る。このような実施例では、延在部材の第2の端部に入口弁が配置され得、この入口弁は、気化可能材料の第2のフラクションの一部が延在部材から第2の貯蔵チャンバ内へと逆流するのを実質的に防止するように構成され得る。
【0022】
本明細書に記載された主題の1つ又は複数のバリエーションの詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本明細書に記載された主題の他の特徴及び利点は、説明及び図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるであろう。本開示に続く特許請求の範囲は、保護される対象の範囲を定義することを意図している。
【0023】
本明細書に組み込まれてその一部分を成している添付の図面は、本明細書で開示される対象の特定の態様を示しており、その説明と併せて、開示される実施形態に関連するいくつかの原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1B】気化器デバイス本体から分離された気化器カートリッジを示す、気化器デバイスの実施例の平面図である。
【
図1C】気化器デバイス本体に連結された気化器カートリッジを示す、
図1Bの気化器デバイスの平面図である。
【
図2A】磁気要素を有する気化器カートリッジの別の実施例の概略図であって、第1の位置における磁気要素を示す図である。
【
図2B】
図2Aの気化器カートリッジを示し、第2の位置にある磁気要素を示す図である。
【0025】
実施例において、同様の参照符号は、同様の構造、特徴、又は要素を示す。
【0026】
詳細な説明
本対象の実施形態は、ユーザによる吸入のための1種以上の材料の気化に関する方法、装置、製造品、及びシステムを含む。例示的な実施形態には、気化器デバイス及び気化器デバイスを含むシステムが含まれる。以下の説明及び特許請求の範囲において使用される「気化器デバイス」なる語は、任意の自給式装置、2つ以上の分離可能な部品(例えばバッテリ及び他のハードウェアを含む気化器本体、ならびに気化可能材料を含むカートリッジ)を含む装置、及び/又はこれらに類するものを意味する。本明細書で使用する「気化器システム」は、1つ以上の構成要素、例えば気化器デバイスを含むことができる。本対象の実施形態に一致する気化器デバイスの例には、電子気化器、電子ニコチン供給システム(ENDS)、及び/又はこれらに類するものが含まれる。一般に、そのような気化器デバイスは、吸入可能な材料用量を提供するために、気化可能材料を(例えば、対流、伝導、放射、及び/又はそれらの一部の組合せによって)加熱する手持ち式デバイスである。
【0027】
気化器デバイスと共に使用される気化可能材料は、カートリッジ(例えばリザーバ又は他の容器に気化可能材料を含む気化器デバイスの一部)内に提供することができ、カートリッジは、空になると補充可能であり得、又は、同じもしくは異なる種類の追加的な気化可能材料を含む新しいカートリッジが使用され得るように使い捨て可能であり得る。気化器デバイスは、カートリッジを使用する気化器デバイス、カートリッジなしの気化器デバイス、又はカートリッジの有無にかかわらず使用可能な多用途気化器デバイスであり得る。例えば、気化器デバイスは、気化可能材料を直接加熱チャンバ内に収容するように構成された加熱チャンバ(例えば、材料が加熱要素によって加熱されるオーブン又は他の領域)及び/又は気化可能材料を収容するためのリザーバ等を含んでいてよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、気化器デバイスは、液状の気化可能材料(例えば、有効成分及び/もしくは不活性成分が溶液中に懸濁又は保持されている担体溶液、又は気化可能材料自体の液状形態)と共に使用するように構成することができる。液状の気化可能材料は、完全に気化され得るようにし得る。代替的に、吸引に適した材料のすべてが気化した後に、液状の気化可能材料の少なくとも一部が残り得る。
【0029】
図1Aのブロック図を参照すると、気化器デバイス100は、電源112(例えば、充電池であり得るバッテリ)と、気化可能材料102を凝集形態(例えば、液体、溶液、懸濁液、少なくとも部分的に未処理の植物材料の一部等)から気相へと変換させるためのアトマイザ141への熱の供給を制御するためのコントローラ104(例えば、ロジックを実行可能なプロセッサ、回路機構など)とを含むことができる。コントローラ104は、本対象の特定の実施形態に一致する1つ以上のプリント回路基板(PCB)の一部であり得る。
【0030】
気化可能材料102の気相への変換後、気相の気化可能材料102の少なくとも一部は、凝縮して、エアロゾルの部分としての気相と少なくとも部分的に局所的平衡状態にある粒子状物質を形成し得る。エアロゾルは、気化器デバイス100でユーザがパフしたり吸引したりする間に、気化器デバイス100によって提供される吸引可能量の一部又は全部を形成し得る。気化器デバイス100によって生成されるエアロゾル中の気相と凝集相との間の相互作用は、エアロゾルの1つ以上の物理パラメータに影響を与えることがある要因、例えば、周囲温度、相対湿度、化学的性質、空気流路(気化器デバイスの内部及びヒト又は他の動物の気道の内部の両方)における流動条件、及び/又は気相もしくはエアロゾル相の気化可能材料102と他の空気流との混合などの要因により、複雑かつ動的であり得ることを理解されたい。いくつかの気化器デバイスでは、特に揮発性の気化可能材料の供給のために構成された気化器デバイスでは、吸入可能量は、主に気相で存在し得る(例えば、凝集相粒子の形成は極めて制限される場合がある)。
【0031】
気化器デバイス100内のアトマイザ141は、気化可能材料102を気化するように構成することができる。気化可能材料102は液体であり得る。気化可能材料102の例には、原液の液体、懸濁液、溶液、混合物、及び/又はこれらに類似のものが含まれる。アトマイザ141は、気化可能材料102の所定量を、加熱要素(
図1Aには示さず)を含むアトマイザ141の一部に搬送するように構成されたウィッキング要素(例えば、ウィック)を含むことができる。
【0032】
例えば、ウィッキング要素は、気化可能材料102を収容するように構成されたリザーバ140から、気化可能材料102を引き出すように構成することができる。こうして、気化可能材料102が加熱要素から供給される熱によって気化され得る。ウィッキング要素は、オプションとして、空気がリザーバ140に入り込み、除去された気化可能材料102の体積と置き換わることを許容することもできる。本対象のいくつかの実施形態では、加熱要素による気化のために毛管作用が気化可能材料102をウィック内に引き込み得、空気がウィックを通してリザーバ140に戻ってリザーバ140内の圧力を少なくとも部分的に均等化し得る。圧力を均等化するためにリザーバ140に空気を戻すことができる他の方法も、本対象の範囲内である。
【0033】
本明細書で使用する場合、「ウィック」又は「ウィッキング要素」という用語は、毛管圧を介して流体運動を引き起こすことのできる任意の材料を含む。
【0034】
加熱要素は、導電性ヒータ、放射性ヒータ、及び/又は対流性ヒータのうちの1つ以上を含んでいてよい。加熱要素の1つの形式は、抵抗性加熱要素であり、抵抗性加熱要素は、加熱要素の1つ以上の抵抗セグメントに電流が流されたときに、電力を熱の形で散逸させるように構成された材料(例えば、金属又は合金、例えばニッケルクロム合金、又は非金属抵抗)を含むことができる。本対象のいくつかの実施形態では、アトマイザ141は、抵抗コイルを含む加熱要素、又は、ウィッキング要素に巻き付けられる、ウィッキング要素内に配置される、ウィッキング要素のバルク形状に統合される、圧入されてウィッキング要素に熱接触する、あるいはウィッキング要素に熱を伝達するようにその他の形式で配置される他の加熱要素を含むことができ、これにより、気化可能材料102は、ウィッキング要素によってリザーバ140から引き出されて、その後のユーザによる吸入のために気相及び/又は凝集相(例えば、エアロゾル粒子又は液滴)に気化される。他のウィッキング要素、加熱要素、及び/又はアトマイザアッセンブリ構造も可能である。
【0035】
加熱要素は、気化器デバイス100のマウスピース130をユーザがパフすること(例えば、吸引、吸入など)に伴って活性化し得る。パフによって、空気が空気入口からアトマイザ141(すなわち、ウィッキング要素及び加熱要素)を通る空気流路に沿って流れる。オプションとして、空気は、空気入口から1つ以上の凝縮領域又はチャンバを通って、マウスピース130における空気出口へと流れることができる。空気流路に沿って流れる流入空気は、アトマイザ141を通過又は貫流して、ここで気相の気化可能材料102は、空気に混入される。加熱要素は、本明細書で説明するようにオプションとして気化器本体110の一部であり得るコントローラ104を介して活性化し得る。コントローラ104は、電源112から抵抗性加熱要素を含む回路に電流を流通させる。抵抗性加熱要素は、本明細書で説明するようにオプションとして気化器カートリッジ120の一部である。本明細書で述べるように、混入される気相の気化可能材料102は、空気流路の残りを通過するときに凝縮され得、これにより、エアロゾル形態の気化可能材料102の吸入可能な量が、ユーザによる吸入のための空気出口(例えば、マウスピース130)から送出され得る。
【0036】
加熱要素の活性化は、1つ以上のセンサ113によって生成された1つ以上の信号に基づくパフの自動検出によって行うこともできる。これらのセンサ113及びセンサ113によって生成される信号は、周囲圧力に対する空気流路に沿った圧力を検出するために(又はオプションとして、絶対圧力の変化を測定するために)配置される1つ以上の圧力センサ、気化器デバイス100の1つ以上のモーションセンサ(例えば、加速度計)、気化器デバイス100の1つ以上のフローセンサ、気化器デバイス100の容量性のリップセンサ、1つ以上の入力デバイス116(例えば、気化器デバイス100のボタン、又はその他の触覚制御デバイス)を介したユーザと気化器デバイス100との対話の検出、気化器デバイス100と通信するコンピューティングデバイスからの信号の受信、及び/又は、パフが行われている又は行われそうであることを決定するためのその他のアプローチのうちの1つ以上を含むことができる。
【0037】
本明細書で説明するように、本対象の実施形態と一致する気化器デバイス100は、気化器デバイス100と通信する1つのコンピューティングデバイス(又はオプションとして2つ以上のデバイス)に(例えば、無線で又は有線接続を介して)接続するように構成され得る。このために、コントローラ104は、通信ハードウェア105を含むことができる。コントローラ104は、メモリ108も含むことができる。通信ハードウェア105は、ファームウェアを含むことができ、かつ/又は通信のための1つ以上の暗号化プロトコルを実行するためのソフトウェアによって制御され得る。
【0038】
コンピューティングデバイスは、気化器デバイス100も含む気化器システムの構成要素であり得、気化器デバイス100の通信ハードウェア105との無線通信チャネルを確立することができる通信用の固有のハードウェアを含み得る。例えば、気化器システムの一部として使用されるコンピューティングデバイスは、汎用コンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、その他のポータブルデバイス、例えばスマートウォッチ等)を含み得る。汎用コンピューティングデバイスは、ユーザが気化器デバイス100と対話できるようにするためのユーザインタフェースを生成するソフトウェアを実行する。本対象の他の実施形態では、気化器システムの一部として使用されるそのようなデバイスは、1つ以上の物理的な又はソフト的な(すなわち、画面又は他のディスプレイデバイス上で構成可能であり、タッチパネル、又はマウス、ポインタ、トラックボール、カーソルボタンなどの他の入力デバイスとのユーザの対話を介して選択可能な)インターフェースコントロールを有するリモコン又はその他の無線もしくは有線デバイスのような、ハードウェアの専用部分であってよい。また、気化器デバイス100は、1つ以上のアウトプット117又はユーザに情報を提供するためのデバイスを含み得る。例えば、アウトプット117は、気化器デバイス100の状態及び/又は動作モードに基づいてユーザにフィードバックを提供するように構成された1つ以上の発光ダイオード(LED)を含むことができる。
【0039】
コンピューティングデバイスが抵抗性加熱要素の活性化に関連する信号を提供する例において、又は気化器デバイス100を様々な制御もしくは他の機能を実行するためのコンピューティングデバイスに結合させる他の例において、コンピューティングデバイスは、1つ以上のコンピュータ命令セットを実行して、ユーザインタフェース及び基礎となるデータ処理を提供する。一例では、1つ以上のユーザインタフェース要素とユーザとの対話をコンピューティングデバイスが検出することにより、コンピューティングデバイスが気化器デバイス100に信号を送り、加熱要素が活性化して蒸気/エアロゾルの吸入可能な用量を生成するための動作温度に達する。気化器デバイス100の他の機能は、気化器デバイス100と通信するコンピューティングデバイス上のユーザインタフェースとユーザとの対話によって制御され得る。
【0040】
気化器デバイス100の抵抗性加熱要素の温度は複数の要因に依存し得る。この要因には、抵抗性加熱要素に供給される電力量及び/又は電力が供給されるデューティサイクル、電子気化器デバイス100の他の部分及び/又は環境への伝導性熱伝達、気化可能材料102の気化に起因するウィッキング要素及び/又はアトマイザ141全体の潜熱損失、ならびに空気流(すなわち、ユーザが気化器デバイス100で吸入したときに加熱要素又はアトマイザ141全体にわたって移動する空気)に起因する対流熱損失が含まれる。本明細書で述べる通り、加熱要素を確実に活性化するために、又は加熱要素を所望の温度まで加熱するために、本対象のいくつかの実施形態において、気化器デバイス100は、センサ113(例えば、圧力センサ)からの信号を利用して、ユーザが吸入している時間を決定してもよい。センサ113は、空気流路に配置され得るし、かつ/又は、気化器デバイス100に入る空気のための入口と、生じた蒸気及び/又はエアロゾルをユーザが吸入するための出口と、を含む空気流路に(例えば、通路又は他の流路によって)接続され得る。これにより、センサ113は、空気が気化器デバイス100を通って空気入口から空気出口へと流通することに伴う変化(例えば、圧力変化)を検知する。本対象のいくつかの実施形態では、加熱要素は、ユーザのパフに関連して、例えば、パフの自動検出によって、又は、空気流路における(圧力変化のような)変化を検出するセンサ113によって、活性化され得る。
【0041】
センサ113は、コントローラ104(例えば、プリント回路基板アセンブリ又は他の形式の回路基板)上に配置され得るか、又は、コントローラ104に連結(すなわち、物理的接続又は無線接続を介して電気的又は電子的に接続)され得る。測定を正確に行い、気化器デバイス100の耐久性を維持するために、空気流路を気化器デバイス100の他の部分から分離するのに十分な弾性を有するシール127を設けることが有益であり得る。ガスケットであり得るシール127は、少なくとも部分的にセンサ113を取り囲むように構成され得、これにより、気化器デバイス100の内部回路機構へのセンサ113の接続部が空気流路に曝されたセンサ113の部分から分離される。カートリッジに基づく気化器デバイスの例では、シール127は、気化器本体110と気化器カートリッジ120との間の1つ以上の電気接続部の一部を分離することもできる。気化器デバイス100内のシール127のこのような配置は、蒸気相又は液相の水、あるいは、気化可能材料102のような他の流体等のような、環境要因との相互作用に起因する、気化器構成要素への潜在的で破壊的な影響を緩和するのに役立ち得、かつ/又は、気化器デバイス100内の特定の空気流路からの空気の漏れを低減するのに役立ち得る。気化器デバイス100の回路機構を通過及び/又は接触する望ましくない空気、液体、又はその他の流体は、圧力読取り値の変化のような様々な望ましくない作用を引き起こし得、かつ/又は、気化器デバイス100の一部での湿気、過剰な気化可能材料102等のような望ましくない材料の堆積を招き得る。それらの結果、圧力信号の不良、センサ113又は他の構成要素の劣化、及び/又は気化器デバイス100の寿命低下が生じ得る。また、シール127での漏れは、吸引するには望ましくないであろう材料を包含したり、このような材料から成る気化器デバイス100の部位を通って流通する空気をユーザが吸引する結果をもたらし得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、気化器本体110は、コントローラ104と、電源112(例えば、バッテリ)と、1つ以上のセンサ113と、(例えば電源112を充電するための)充電接点と、シール127と、カートリッジ受け口118とを含む。カートリッジ受け口118は、1つ以上の様々な取付け構造を介して気化器本体110と連結する気化器カートリッジ120を受け入れるように構成される。いくつかの例において、気化器カートリッジ120は、気化可能材料102を収容するためのリザーバ140と、吸入可能な用量をユーザに供給するためのエアロゾル出口を有するマウスピース130とを含む。気化器カートリッジ120は、ウィッキング要素及び加熱要素を有するアトマイザ141を含むことができる。あるいは代替的に、ウィッキング要素及び加熱要素のうちの一方又は両方を気化器本体110の一部とすることができる。アトマイザ141の任意の部分(すなわち、加熱要素及び/又はウィッキング要素)が気化器本体110の一部である実施形態では、気化器デバイス100は、気化器カートリッジ120内のリザーバ140から気化可能材料102を気化器本体110に含まれるアトマイザ141の1以上の部位に供給するように構成され得る。
【0043】
電源112が気化器本体110の一部とされ、かつ、加熱要素が気化器カートリッジ120内に配置されて気化器本体110に連結されるように構成される気化器デバイス100の実施例では、気化器デバイス100は、複数の電気接続機能(例えば、回路を完成させるための手段)を含むことができる。これらの電気接続機能は、コントローラ104(例えば、プリント回路基板、マイクロコントローラなど)と、電源112と、加熱要素(例えば、アトマイザ141内の加熱要素)とを含む回路を完成させる。これらの電気接続機能は、気化器カートリッジ120の下面における1つ以上の接点(本明細書ではカートリッジ接点124a及び124bと称される)と、気化器デバイス100のカートリッジ受け口118の基部付近に配置された少なくとも2つの接点(本明細書では受け口接点125a及び125bと称される)とを含むことができ、カートリッジ接点124a及び124bと受け口接点125a及び125bとは、気化器カートリッジ120がカートリッジ受け口118に挿入されて連結されたときに電気的に接続する。これら電気的な接続によって完成された回路は、電流を加熱要素に供給することを可能とし、さらに、付加的な機能のために利用することができる。この付加的な機能として、例えば、加熱要素の抵抗率の熱係数に基づく加熱要素の温度の決定及び/又は制御において利用するための加熱要素の抵抗測定等がある。
【0044】
本対象のいくつかの実施形態では、カートリッジ接点124a及び124bと受け口接点125a及び125bとは、少なくとも2つの向きのいずれかで電気的に接続するように構成され得る。換言すれば、気化器デバイス100の動作に必要な1つ以上の回路は、カートリッジ受け口118に気化器カートリッジ120を(気化器本体110のカートリッジ受け口118に気化器カートリッジ120を挿入する方向の軸線を中心として)第1の回転方向で挿入することにより完成され得、これにより、カートリッジ接点124aは受け口接点125aに電気的に接続され、カートリッジ接点124bは受け口接点125bに電気的に接続される。さらに、気化器デバイス100の動作に必要な1つ以上の回路は、カートリッジ受け口118に気化器カートリッジ120を第2の回転方向で挿入することにより完成され得、これにより、カートリッジ接点124aは受け口接点125bに電気的に接続され、カートリッジ接点124bは受け口接点125aに電気的に接続される。
【0045】
例えば、気化器カートリッジ120又は気化器カートリッジ120のうち少なくとも挿入可能な端部122は、気化器カートリッジ120をカートリッジ受け口118に挿入する方向の軸線を中心として180°回転するとき対称であってよい。このような構成では、気化器デバイス100の回路機構は、気化器カートリッジ120のどちらの対称的な向きが生じるかにかかわらず、同じ動作をサポートすることができる。
【0046】
気化器カートリッジ120を気化器本体110に連結するための取付け構造の一例では、気化器本体110は、カートリッジ受け口118の内面から内方に突出した1つ以上のディテント(例えば、くぼみ、突出部など)、カートリッジ受け口118内に突出する部分を含むように形成された追加材料(例えば、金属、プラスチックなど)、及び/又はこれらに類するものを含む。気化器カートリッジ120の1つ以上の外面は、気化器本体110上のカートリッジ受け口118に気化器カートリッジ120が挿入されたときにそのようなディテント又は突出部に嵌合及び/又はその他の形式でスナップ結合し得る対応凹部(
図1Aには示されていない)を含むことができる。気化器カートリッジ120と気化器本体110とが(例えば、気化器本体110のカートリッジ受け口118への気化器カートリッジ120の挿入により)連結される際には、気化器本体110のディテント又は突出部が気化器カートリッジ120の凹部内に嵌合、かつ/又はその他の形式で保持され得、組み立て時において気化器カートリッジ120の位置を保持する。このようなアセンブリは、カートリッジ接点124a,124bと受け口接点125a,125bとの間の良好な接触を保証する位置に気化器カートリッジ120を保持するのに十分なサポートを提供し得、その一方で、ユーザが気化器カートリッジ120をカートリッジ受け口118から取り外すために気化器カートリッジ120に適度な力を加えて引っ張った際に気化器カートリッジ120が気化器本体110から離脱することを許容する。
【0047】
いくつかの実施形態では、気化器カートリッジ120又は気化器カートリッジ120のうち少なくともカートリッジ受け口118への挿入用に構成された挿入可能な端部122は、気化器カートリッジ120をカートリッジ受け口118に挿入する方向の軸線を横切る非円形断面を有することができる。例えば、非円形断面は、近似の長方形、近似の楕円形(すなわち、近似の長円形)、2組の平行な又はほぼ平行な対向する辺を有しているが長方形ではない(すなわち、平行四辺形のような形状を有する)非長方形、又は少なくとも2回対称の他の形状であり得る。この文脈では、近似の形状とは、記述された形状に対する基本的な類似性は明らかであるが、問題となっている形状の側面が完全に直線状である必要はなく、頂点が完全に鋭角である必要がないことを示す。断面形状の縁部もしくは頂点の双方又は一方の丸みは、本明細書において言及した任意の非円形の断面として説明される。
【0048】
カートリッジ接点124a,124b及び受け口接点125a,125bは、様々な形態を取ることができる。例えば、一方又は両方の接点セットは、導電ピン、タブ、端子、ピン又は端子のための受容孔又はこれらに類するものを含むことができる。いくつかのタイプの接点は、気化器カートリッジ120上の接点と気化器本体110上の接点との間のより良好な物理的及び電気的な接続を容易にするために、ばね又は他の特徴を含むことができる。電気接点は、オプションとして金メッキすることができ、かつ/又は他の材料を含むことができる。
【0049】
図1B~
図1Dは、気化器カートリッジ120を取外し可能に挿入することができるカートリッジ受け口118を有する気化器本体110の実施例を示している。
図1B及び
図1Cは、気化器デバイス100の平面図を示していて、それぞれ、気化器本体110内へ挿入するために配置された気化器カートリッジ120、及び気化器本体110内に挿入された気化器カートリッジ120を示している。
図1Dは、気化可能材料102の充填レベルが気化器カートリッジ120に沿った窓132(例えば、半透明の材料)から見えるように、全体又は一部が半透明材料から形成されている気化器カートリッジ120のリザーバ140を示す。気化器カートリッジ120は、気化器本体110の気化器カートリッジ受け口118によって挿入可能に収容された場合に窓132が見えたままになるように構成され得る。例えば、1つの例示的な構成では、窓132は、気化器カートリッジ120がカートリッジ受け口118に連結された際にマウスピース130の下縁と気化器本体110の上縁との間に位置し得る。
【0050】
図1Eは、気化器デバイス100をユーザがパフする間に形成される空気流路134の一例を示す。空気流路134は、ウィックハウジング内に含まれる気化チャンバ150(
図1F参照)へと空気を方向付けることができ、気化チャンバ150において、空気は、マウスピース130を介してユーザに供給される吸入可能なエアロゾルと混合される。マウスピース130は、気化器カートリッジ120の一部であってもよい。例えば、ユーザが気化器デバイス100でパフを行うと、気化器カートリッジ120の外面(例えば、
図1Dに示された窓132)と気化器本体110上のカートリッジ受け口118の内面との間を空気が流通し得る。その後、空気は、気化器カートリッジ120の挿入可能な端部122内に引き込まれて、加熱要素とウィックとを含むか又は収容する気化チャンバ150を通過して、ユーザに吸引可能なエアロゾルを供給するためのマウスピース130における出口136から流出する。
【0051】
図1Eに示したように、この構成により、空気は、気化器カートリッジ120の挿入可能な端部122の周囲でカートリッジ受け口118内へと流れ落ち、次いで、気化チャンバ150に向かってカートリッジ本体内へと入る際には、気化器カートリッジ120の挿入可能な端部122(例えば、マウスピース130を含む端部の反対側の端部)の周囲を流通して、反対方向に逆流する。このとき、空気流路134は、気化器カートリッジ120の内部を貫通して、例えば(
図1Fに示されたカニューレ128のような)1つ以上の管又は内部通路を介して、さらに、マウスピース130に形成された(出口136のような)1つ以上の出口を通って延在する。マウスピース130は、気化器カートリッジ120の分離可能な構成要素であってもよいし、気化器カートリッジ120の他の構成要素と一体形成(例えば、リザーバ140及び/又はこれに類するものとの一体構造として形成)されてもよい。
【0052】
図1Fは、本対象の実施形態に一致する気化器カートリッジ120に含まれ得る付加的な特徴を示す。例えば、気化器カートリッジ120は、挿入可能な端部122に配置された(カートリッジ接点124a,124bのような)複数のカートリッジ接点を含むことができる。カートリッジ接点124a,124bは、オプションとしてそれぞれ、抵抗性加熱要素の2つの端部のうちの一方に接続された(導体構造126のような)導体構造を形成する単一の金属片の一部であり得る。導体構造は、オプションとして、加熱チャンバの逆側に形成することができ、気化器カートリッジ120の外壁への熱の伝達を減じるためのヒートシールド及び/又はヒートシンクとして機能することができる。また、
図1Fには、気化器カートリッジ120内のカニューレ128が示されている。このカニューレは、導体構造126とマウスピース130との間に形成された加熱チャンバ間の空気流路134の一部を画定している。
【0053】
上述したように、既存のカートリッジは、ウィッキング要素を含むことができる。ウィッキング要素は、一般的に、リザーバハウジングから気化可能材料を引き出すように構成されており、これにより、気化可能材料が(例えば、引き出された気化可能材料を加熱要素によって提供される熱に曝すことによって)実質的に気化されてもよい。リザーバハウジングからの気化可能材料のこの引き出しは、少なくとも部分的に毛管作用に起因し得る。この毛管作用は、気化可能材料をウィックに沿って気化チャンバに向かう方向に引っ張る当該ウィックによって提供される。結果として、気化可能材料は、毛管作用によってウィッキング要素内へ供給される。しかしながら、毛管作用の程度は、少なくとも部分的に、ウィッキング材料自体(例えば、ウィッキング材料の種類、ウィッキング材料の寸法(例えば、長さ)、ウィッキング材料の吸収率)やリザーバハウジング内に収容された気化可能材料がウィッキング要素に補充される量に依存する。したがって、気化可能材料の気化チャンバ内への一定の供給量を達成したり、及び/又は、維持したりすることは、ウィック内における毛管作用の度合いの変化によって困難であろう。
【0054】
このような状況下では、ユーザが気化器デバイスでパフを行うときなどに気化デバイスが所望量の気化可能材料を気化する効率が低減され得る。これらの問題を改善又は克服する、様々な特徴とデバイスとを以下に説明する。例えば、気化可能材料をリザーバハウジングから気化チャンバ内へと制御された供給量でポンピングするように構成されたポンピング機構を用いてウィッキング要素を交換する様々な特徴が本明細書に記載されている。ウィッキング要素を使用する場合とは対照的に、ポンピング機構を実装することによって、本明細書に記載されるように付加的な利点も導入しつつ既存のアプローチに対して利点及び改善を提供し得る。
【0055】
本明細書で説明される気化器カートリッジは、気化可能材料がリザーバハウジングから一定の供給量で供給されるように制御することを可能にする。概して、気化器カートリッジは、第1の貯蔵チャンバと第2の貯蔵チャンバとを含んでおり、それぞれの内部には気化可能材料が配置されている。さらに、気化器カートリッジは、第1の貯蔵チャンバ及び第2の貯蔵チャンバに流体連通する延在部材を有する気化チャンバを含む。より詳しく後述するように、延在部材内には磁気要素が配置されている。磁気要素は、第1の位置と第2の位置との間で選択的に振動するように構成されており、こうして、気化可能材料の延在部材内への流量を気化のために実質的に制御する。磁気要素は、第1の動力に応じて第1の位置から第2の位置へと移動し、第2の動力に応じて第2の位置から第1の位置へと戻る。これらの動力は、磁気要素と関連している伝導要素によって生成される。また、伝導要素は、延在部材内の気化可能材料を気化させるように構成されている。したがって、伝導要素は、磁気要素を振動させる動力とともに気化可能材料を気化するのに必要な熱を生成するように構成され得る。
【0056】
図2A~
図2Bは、例としての気化器カートリッジ200を示している。気化器カートリッジ200は、
図1A~
図1Dに示した気化器本体110のような気化器本体に選択的に連結することができ、かつ気化器本体から取り外すことができる。より詳細には、気化器カートリッジ200は気化チャンバ210を含む。気化チャンバ210は、第1の貯蔵チャンバ202及び第2の貯蔵チャンバ204から気化可能材料を受容するように構成された延在部材212と、延在部材212内への気化可能材料の流れを実質的に制御するために延在部材212内における第1の位置と第2の位置との間で選択的に振動するように構成された磁気要素224と、を有する。明瞭にするために、気化器カートリッジ200のいくつかの構成要素は図示されていない。
【0057】
図示したように、第1の貯蔵チャンバ202と第2の貯蔵チャンバ204とは互いに所定の間隔を置いて配置されており、第1の貯蔵チャンバ202と第2の貯蔵チャンバ204とがそれぞれ別個の壁によって画定されている。すなわち、第1の貯蔵チャンバ202は、第1の上壁202aと、第1の上壁202aの反対側にある第1の底壁202bと、これらの間に延在している対向する2つの第1の側壁202c,202dとによって画定されている。第2の貯蔵チャンバ204は、第2の上壁204aと、第2の上壁204aの反対側にある第2の底壁204bと、これらの間に延在している対向する2つの第2の側壁204c,204dとによって画定されている。第1の貯蔵チャンバ202は、気化可能材料206の第1のフラクションを保持するように構成され、第2の貯蔵チャンバ204は気化可能材料208の第2のフラクションを保持するように構成されている。気化可能材料206の第1のフラクションと気化可能材料208の第2のフラクションとは、本明細書ではまとめて「気化可能材料」と称される。
【0058】
第1及び第2の貯蔵チャンバ202,204の形状及びサイズは変更可能であるが、
図2A~
図2Bに示した各チャンバは実質的に長方形である。また、第1の貯蔵チャンバ202及び第2の貯蔵チャンバ204の形状及びサイズは互いに異なり得る。したがって、第1の貯蔵チャンバ202及び第2の貯蔵チャンバ204の形状及びサイズは、
図2A~
図2Bに示したものに限定されない。さらに、第1の貯蔵チャンバ202及び/又は第2の貯蔵チャンバ204は、少なくとも1つの通気口を含むことができる。この通気口は、周囲から各貯蔵チャンバ内に空気が流通することを実質的に許容するように構成されており、これにより、各貯蔵チャンバの内圧(例えば、雰囲気圧と実質的に等しい内圧)が実質的に維持される。したがって、少なくとも1つの通気口は、気化可能材料が第1の貯蔵チャンバ202又は第2の貯蔵チャンバ204から流出する際に生成される任意の負圧を低減したり排除したりし得る。この少なくとも1つの通気口は、受動的弁又は能動的弁であり得る。
【0059】
概して、上述したように、気化チャンバ210は、第1の貯蔵チャンバ202及び第2の貯蔵チャンバ204から気化可能材料を受容するように構成された延在部材212を含んでいる。
図2A~
図2Bに示したように、延在部材212は、第1の貯蔵チャンバ202から第2の貯蔵チャンバ204へと延在している。
【0060】
延在部材212は様々な構成を有することができるが、図示した延在部材212は、実質的に円筒状(例えば、管の形状)であり、第1の端部212aから第2の端部212bへと延在しており、これら端部の間に延在する通路214を有している。第1の端部212aは第1の貯蔵チャンバ202内に位置し、第2の端部212bは第2の貯蔵チャンバ204内に位置している。こうして、通路214、すなわち延在部材212は、第1及び第2の貯蔵チャンバ202,204に流体連通している。延在部材212は、気化した材料(エアロゾル)が流通することを許容するように構成された任意の適切な材料から形成され得る。より詳しく後述するように、延在部材212内を流通する気化可能材料は、第1の電流及び第2の電流のいずれかに応じて伝導要素228によって生成される熱によって気化されて、気化した材料(例えば、エアロゾル)を形成する。
【0061】
延在部材212の各端部は、気化可能材料206が通路214内、すなわち延在部材212内へと流通することを許容するように構成された入口を含む。
図2A~
図2Bに示したように、第1の端部212aは第1の入口216を含み、第2の端部212bは第2の入口218を含む。これら入口は、気化可能材料が気化した材料に気化するために第1の貯蔵チャンバ202及び第2の貯蔵チャンバ204のそれぞれから通路214内へと、すなわち延在部材212内へと流通することを可能にする。
【0062】
第1及び第2の入口216,218は、様々な形状及び/又はサイズを有することができる。単純化するために、本明細書では、第1の入口216のサイズについてのみ説明する。しかしながら、当業者であれば、以下の説明が、第2の入口218に対しても同様に適用可能であることを理解するだろう。
【0063】
例えば、第1の入口216は、第1の貯蔵チャンバ202の内圧が第1の貯蔵チャンバ202の外側の雰囲気圧と実質的に等しいときに気化可能材料206の第1のフラクションが通過するのを実質的に防止する直径とされ得る。すなわち、第1の入口216は、第1の入口216にわたって圧力が均等にされた際に気化可能材料206の第1のフラクションの表面張力が生成されて、このような気化可能材料が第1の入口を通って第1の貯蔵チャンバ202から流出することを実質的に防止するようなサイズの直径を含み得る。
【0064】
さらに、いくつかの実施例では、1つ以上の入口弁が延在部材212の第1の端部212a及び/又は第2の端部212bに配置され得る。1つ以上の入口弁は、延在部材212の通路214内の気化可能材料が延在部材212の入口の1つを通って貯蔵チャンバの1つへと逆流することを実質的に防止するように構成され得る。例えば、
図2A~
図2Bに示したように、延在部材212内における気化可能材料206の第1のフラクションの一部が第1の貯蔵チャンバ202内へと逆流するのを実質的に防止するために、第1の入口弁220が延在部材212の第1の端部212aに配置される。さらに、
図2A~
図2Bに示したように、延在部材212内の気化可能材料208の第2のフラクションの一部が第2の貯蔵チャンバ204内へと逆流するのを実質的に防止するために、第2の入口弁222が延在部材212の第2の端部212bに配置される。このように、第1の入口弁220及び第2の入口弁222は、それぞれ、延在部材212内への気化可能材料の流入を実質的に許容するとともに延在部材212からの気化可能材料の逆流を実質的に防止するように構成された一方向弁として実質的に機能し得る。
【0065】
上述したように、磁気要素224は、延在部材212の通路214内に配置されている。磁気要素224は、(例えば、
図2Aに示したような)第1の位置と、(例えば、
図2Bに示したような)第2の位置との間を選択的に振動するように構成されている。第1の位置と第2の位置との間のこの振動は、第1の貯蔵チャンバ202からの気化可能材料206の流れとを交互に引き起こし得る。例えば、磁気要素224は、第1の位置(
図2A)にある時に気化可能材料206の第1のフラクションが延在部材212内に流入するのを実質的に防止するように構成され、かつ、磁気要素224は、第2の位置(
図2B)にある時に気化可能材料208の第2のフラクションが延在部材212内に流入するのを実質的に防止するように構成されている。したがって、磁気要素224の振動は、延在部材212内への気化可能材料の供給を実質的に制御している。さらに、磁気要素224と延在部材212の入口のサイズとの組合せにより、気化可能材料の延在部材212内への流量も制御することができる。その結果、気化可能材料が一定の供給量で気化のための気化チャンバ210へと供給され得る。
【0066】
磁気要素224は、様々な構成及びサイズを有することができる。例えば、
図2A~
図2Bに示したように、磁気要素224は実質的に長方形である。さらに、磁気要素224は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁化され得る任意の適切な材料から形成され得る。一実施例では、磁気要素224は永久磁石である。
【0067】
上述したように、使用時において、磁気要素224は、第1の動力に応じて第1の位置から第2の位置へと移動し、第2の動力に応じて第2の位置から第1の位置へと戻る。第1の動力及び第2の動力は、それぞれ、第1の電流又は第2の電流が伝導要素228を流れることに応じて伝導要素228により生成される。
【0068】
伝導要素228は、第1及び第2の動力に応じて磁気要素224の振動をもたらすように磁気要素224と選択的に関連することを実質的に許容する様々な構成を有することができる。例えば、
図2A~
図2Bに示した伝導要素228は、延在部材212の周りに実質的に巻き付けられた伝導コイルである。伝導要素228は、鉄、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、青銅、導電性のセラミック及びポリマ複合体、又は誘導的に加熱され得る他の材料のような、電気的かつ熱的に伝導性のある任意の適切な材料から形成され得る。
【0069】
伝導要素228は、
図1A~
図1Dに示した気化器本体110内の電源112のような電源に接続されている。電源は、促されると(例えば、ユーザが、
図2A~
図2Bに示したマウスピース232のようなマウスピースでパフすると)、交流電流(例えば、第1の電流、及び第1の電流とは逆の又は反対の極性を有する第2の電流)を伝導要素228に供給する。例えば、いくつかの実施例では、気化器カートリッジ200は、例えば第1のカートリッジ接点234a及び第2のカートリッジ接点234bのような2つ以上のカートリッジ接点を含む。2つ以上のカートリッジ接点は、電源112と1つ以上の電気接続を形成するために、例えば受け口接点125a及び125bに結合するように構成され得る。これらの電気接続により完成される回路は、電流を伝導要素228に供給することを可能にし得る。
【0070】
交流の流通に応じて、伝導要素228は交流磁場を生成する。したがって、これらの交流磁場は磁気要素224に作用して、流れた電流に応じて磁気要素224を第1の位置から第2の位置へと又はその逆へと振動させる。すなわち、使用時において、伝導要素228に第1の極性を有する第1の電流が流れると、伝導要素228は、磁気要素224を第1の位置から第2の位置へと駆動させる第1の動力を提供する第1の磁場を生成し、伝導要素228に第1の極性とは逆の第2の極性を持った第2の電流が流れると、伝導要素228は、磁気要素224を第2の位置から第1の位置へと駆動させる第2の動力を提供する第2の磁場を生成する。このように、伝導要素228を流通する交流電流は、伝導要素228が磁気要素224を駆動する交流磁場を生成することを可能にする。
【0071】
さらに、伝導要素228によって生成される交流磁場は、延在部材212を流通して渦電流を引き起こす。これら渦電流は、延在部材212を気化可能材料の気化温度に少なくとも実質的に等しい温度まで加熱する。その結果、延在部材212内へと流通する気化可能材料の一部(例えば、気化可能材料206の第1のフラクションの一部又は気化可能材料208の第2のフラクションの一部)は、次いで気化されて、気化した材料(例えば、エアロゾル)を形成する。その後、この気化した材料は、気化チャンバ210の空気流通路229のような空気流通路を流通する空気230に混ざり、この空気230によって気化チャンバ210の外に運ばれ得る。このように、伝導要素228は、磁気要素224を駆動させて気化可能材料が延在部材212内へと流通することを可能にする動力を実質的に生成し、かつ、延在部材212内の気化可能材料を実質的に気化させるように構成され得る。
【0072】
伝導要素228に印加されて受容される第1及び/又は第2の電流は、例えば、電源と伝導要素228とを接続する電気回路にパルス幅変調器や可変抵抗器等のような調整機構を設けることによって調整され得る。代替的に又は付加的に、調整機構は回路に片切スイッチを含む。
【0073】
さらに、磁気要素224の振動速度は、交流の周波数を調整することによって調整され得る。いくつかの実施例では、延在部材212の加熱すなわち延在部材内の気化可能材料の気化を、磁気要素224の振動から分離させるように交流をオフセットするために、直流が伝導要素228に印加され得る。すなわち、延在部材212が加熱されている間、直流を印加することによって磁気要素224の振動を停止できるだろう。
【0074】
気化チャンバ210は様々な構成を有することができるが、
図2A~
図2Bに示した気化チャンバ210は、対向する2つの側壁210a,210bと、これら2つの側壁の間に延在する底壁210cとによって画定されている。気化チャンバ210の第1の側壁210aは、第1の貯蔵チャンバ202の側壁202cの1つでもあり、気化チャンバ210の第2の側壁210bは、第2の貯蔵チャンバ204の側壁204cの1つでもある。したがって、この図示した実施例では、気化チャンバ210は、第1及び第2の貯蔵チャンバ202,204によって少なくとも部分的に縁取られている。図示したように、気化チャンバ210は、気化チャンバを貫通する空気流通路229を画定している。
【0075】
空気流通路220は、点線矢印230として図示した空気を気化チャンバ210を流通する向きに向けるように構成されており、これにより、空気230が気化した材料と混合して、点線矢印231として図示したエアロゾルを形成する。空気流通路229は、さらに、エアロゾル231を気化チャンバ210の出口211を通る方向に向け、気化器カートリッジ200に連結されたユーザが吸入するためのマウスピース232へと向ける。
図2A~
図2Bにはマウスピース232が示されているが、当業者であれば、別の実施例では、マウスピース232が省略されて、ユーザは(気化チャンバ210の出口211のような)カートリッジ200の出口で直接パフできることを理解するだろう。
【0076】
いくつかの実施例では、気化チャンバ210における側壁210a及び/又は側壁210bのような少なくとも1つの壁は、気化チャンバ210内に凝縮物が蓄積するのを防止するように、疎水性の材料から形成又は疎水性の材料でコーティングされ得る。したがって、エアロゾル231や空気230の中に存在するであろう任意の水分は、ユーザがマウスピース232においてパフする際に気化チャンバ210を流通して気化チャンバ210の外に運ばれ得る。
【0077】
空気230は、ユーザがマウスピース232をパフする際に底壁210cを通って気化チャンバ210に流入する。したがって、底壁210cは、空気230が容易に通過して気化チャンバ210内に流入できるように構成されている。底壁210cは様々な構成を有することができるが、
図2A~
図2Bに示したように、底壁210cは穿孔されている。穿孔は、空気が底壁210cを通過できる任意の適切なサイズであり得る。所定の実施例では、穿孔のサイズは、第1又は第2の貯蔵チャンバ202,204から供給される任意の気化可能材料又はエアロゾル231が底壁210cを通過することを実質的に防止し得、これにより、気化器カートリッジ200に連結された
図1A~
図1Dに示した気化器本体110のような気化器本体の他の部位への不都合な漏れを抑制し得る。底壁210cは、任意の適切な数の穿孔を含むことができ、したがって、穿孔の数は
図2A~
図2Bに示したものによって限定されない。代替的に又は付加的に、底壁210cは空気透過性の材料から形成することができる。こうして、底壁210cは、気化チャンバ210の空気入口として機能する。
【0078】
また、底壁210cは、気化チャンバ210内の空気230及び/又はエアロゾル231が通過するのを防止するように構成され得る。すなわち、底壁210cは、一方向弁として構成され得、したがって、空気230が通過して気化チャンバ210内に流入することのみを許容し得る。いくつかの実施例では、気化チャンバ210の他の任意の壁が穿孔され得るか、かつ/又は、空気透過性の材料から形成され得る。これにより、空気が所望のように気化チャンバ210内に流入(又は気化チャンバ210から流出)することが許容される。
【0079】
用語
本教示を説明及び定義する目的で、別段の指示がない限りは、「実質的に」という用語は、本明細書では、任意の定量的比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る内在的な不確実性の程度を表すために使用されていることに留意されたい。「実質的に」という用語はまた、問題の主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が、記載した基準から変化し得る程度を表現するためにも、本明細書で用いられている。
【0080】
ある特徴又は要素が、本明細書において別の特徴又は要素の「上」にあるものとして言及される場合、その特徴又は要素は、他の特徴又は要素のすぐ上にあるものとすることができるし、あるいは介在する特徴及び/又は要素が存在してもよい。これとは対照的に、ある特徴又は要素が、別の特徴又は要素の「すぐ上」にあるものとして言及される場合、介在する特徴又は要素は存在しない。また、ある特徴又は要素が、別の特徴又は要素に「接続されている」、「取り付けられている」、又は「連結されている」ものとして言及される場合、その特徴又は要素は、他の特徴又は要素に直接、接続することができ、取り付けることができ、又は連結することができるし、あるいは介在する特徴又は要素が存在してもよいことは理解されるであろう。これとは対照的に、ある特徴又は要素が、別の特徴又は要素に「直接接続されている」、「直接取り付けられている」、又は「直接連結されている」ものとして言及される場合、介在する特徴又は要素は存在しない。
【0081】
1つの実施例に関して説明又は図示されているが、そのように説明又は図示された特徴及び要素は、他の実施例にも適用可能である。また、別の特徴に「隣接して」配置された構造又は特徴に関する言及は、隣接する特徴と重なり合う部分又はその下にある部分を有する場合もあることを、当業者には理解されるであろう。
【0082】
本明細書で使用される用語は、特定の実施例及び実施形態のみを説明する目的で使用されており、限定することを意図していない。例えば本明細書で用いられる単数形の不定冠詞及び定冠詞は、文脈から明確に別段の指示がない限りは、複数形も同様に含むことを意図している。
【0083】
上記の説明及び特許請求の範囲において、「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1つ又は複数」などの語句が、要素又は特徴の連言的なリストに続いて現れる場合がある。「及び/又は」という用語は、2つ以上の要素又は特徴のリスト中に現れる場合もある。使用された文脈によって他のやり方で暗黙的もしくは明示的に否定されない限り、そのような語句は、列挙された要素又は特徴のいずれかを個別に意味すること、あるいは列挙された要素又は特徴のいずれかと他の列挙された要素又は特徴のいずれかとの組合せを意味することを意図している。例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」、「A及びBのうちの1つ以上」、ならびに「A及び/又はB」との語句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBともに」を意味することを意図している。3つ以上の項目を含むリストについても同様の解釈が意図されている。例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうちの1つ以上」、ならびに「A、B及び/又はC」との語句は、それぞれ、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、又はA及びB及びCともに」を意味することを意図している。これまでの記載及び特許請求の範囲における用語「に基づく」の使用は、列挙されていない特徴又は要素も許容されるように、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図している。
【0084】
「前方」、「後方」、「下方に」、「下側に」、「下部に」、「上方に」、「上部に」及びこれらに類するものなどの空間的に相対的な用語が、図面に示されているような1つの要素又は特徴と、他の要素又は特徴との関係を説明するための記述を容易にするために、本明細書において使用されてよい。空間的に相対的な用語が、図面に描かれている配向に加え、使用時又は動作時におけるデバイスの様々な配向を包含することを意図していることは理解されるであろう。例えば、図中のデバイスが反転されたならば、その場合には他の要素又は特徴の「下方に」又は「真下に」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方に」配向されることになる。したがって、例として挙げた用語「の下方に」は、上方と下方との配向の双方を包含し得るものである。デバイスは(90度回転させられるか又は他の配向で)別の向きで配向されてよく、本明細書で使用される空間的に相対する記述もそれに応じて解釈され得る。同様に、用語「上方に向かって」、「下方に向かって」、「垂直に」、「水平に」及びこれらに類するものは、具体的に別段の指示がない限りは、本明細書では説明の目的で用いられるにすぎない。
【0085】
本明細書では、様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために用語「第1の」及び「第2の」が用いられる場合があるが、これらの特徴/要素は、文脈が別段の指示をしない限り、これらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、1つの特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用することができる。したがって、本明細書で提供される教示から逸脱することなく、以下で述べる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と称することができ、同様に、以下で述べる第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と称することができる。
【0086】
実施例において使用される場合を含め、特に別段の指定がない限りは、本明細書及び特許請求の範囲において使用されているすべての数は、「約」又は「ほぼ」といった単語が、たとえこれらの用語が明確に現れていないにしても、前置きされているかのように読むことができる。大きさ及び/又は位置を説明する場合、これらの「約」又は「ほぼ」という語句は、記載される値及び/又は位置が、当該値及び/又は位置の妥当な予測範囲内にあることを示すために使用される場合がある。例えば、数値は、所定値(又は値の範囲)の+/-0.1%、所定値(又は値の範囲)の+/-1%、所定値(又は値の範囲)の+/-2%、所定値(又は値の範囲)の+/-5%、所定値(又は値の範囲)の+/-10%などの値を含むことができる。本明細書で与えられる任意の数値は、文脈により別段の指定がない限り、その値付近の、又はほぼ同じ値を含むものと理解されたい。例えば値「10」が開示されているならば、その場合には「約10」も開示されている。本明細書で挙げられているいずれの数値範囲も、その中に包含されるすべての部分範囲を含むことを意図している。また、ある値が開示されている場合には、当業者が適切に理解するように、その値「以下」、「その値以上」、及びそれらの値の間の可能な範囲も開示されていることが理解されよう。例えば、値「X」が開示されているならば、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xは数値)も開示されている。また、本出願全体を通して、データが多くの異なる形式で提供されていること、ならびにこのデータは、終了点及び開始点、及びこれらのデータ点の任意の組合せに関する範囲を表すことが理解されよう。例えば、特定のデータポイント「10」及び特定のデータポイント「15」が開示されているならば、10及び15より大きい、10及び15以上の、10及び15より小さい、10及び15以下の、ならびに10及び15と等しいことも、10と15との間の範囲と同様に開示されていると見なされることが理解されよう。また、2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されているということも理解される。例えば10及び15が開示されているならば、その場合には11、12、13及び14も開示されている。
【0087】
様々な例示的な実施例を上述したが、本明細書の教示から逸脱することなく、様々な実施例に対して多数の変更のいずれかを行うことができる。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、代替的な実施例では多くの場合、変更されてもよく、他の代替的な実施例では、1つ以上の方法ステップが完全にスキップされてもよい。様々なデバイス及びシステムの実施例のオプションとしての特徴は、いくつかの実施例には含まれ、他の実施例には含まれなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示の目的で提供されており、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0088】
本明細書に記載された対象の1つ以上の態様又は特徴は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計された特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組合せにおいて実現することができる。これらの様々な態様又は特徴は、特別又は汎用的であり得る少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムへの実装を含むことができ、当該プログラマブルプロセッサは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力デバイス及び少なくとも1つの出力デバイスからデータ及び命令を受信及び送信するように連結される。プログラマブルシステム又はコンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは概して互いにリモートの状態にあり、通常、通信ネットワークを介して相互作用する。クライアント及びサーバの関係は、個々のコンピュータ上で実行され、クライアント-サーバ関係を相互に有するコンピュータプログラムによって発生する。
【0089】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードとも呼ぶことができるこれらのコンピュータプログラムは、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語で実施することができる。本明細書で使用されるときに、「機械可読媒体」という用語は、機械可読信号としての機械命令を受け取る機械可読媒体を含め、プログラム可能なプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために使用される、例えば磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブルロジックデバイス(PLD)などの任意のコンピュータプログラム製品、装置、及び/又はデバイスを指す。「機械可読信号」という用語は、機械命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに供給するために使用される任意の信号のことを指す。この機械可読媒体は、そのような機械命令を、例えば非一時的なソリッドステートメモリもしくは磁気ハードドライブ又は任意の同等の記憶媒体などのように非一時的に記憶することができる。機械可読媒体は、代替的又は付加的に、そのような機械命令を、例えばプロセッサキャッシュか又は1つ以上の物理プロセッサコアに関連付けられた他のランダムアクセスメモリなどのように一時的に記憶することができる。
【0090】
本明細書に含まれる実施例及び図面は、限定としてではなく例示として、本対象を実施することができる特定の実施例を示している。上述のように、本開示の範囲から逸脱することなく構造的及び論理的な置き換え及び変更を行うことができるように、他の実施形態を利用することができ、そこから導き出すことができる。本発明の対象のこうした実施例は、2つ以上が実際に開示されているならば、単に便宜上「発明」という用語によって本明細書では個別にもしくは集約的に言及することができ、この出願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。したがって、本明細書では特定の実施形態を図示及び説明してきたが、同じ目的を達成するために計算されたあらゆる配置を、図示された特定の実施形態に置き換えることができる。本開示は、様々な実施例の任意の及びすべての適応形態又は変形形態をカバーすることを意図している。上述の実施例と、本明細書に具体的に記載されていない他の実施例との組合せは、上述の説明を精査すれば、当業者には明らかになるであろう。本明細書の記載及び特許請求の範囲における用語「に基づく」の使用は、列挙されていない特徴又は要素も許容されるように、「に少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図している。
【0091】
本明細書に記載した対象は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品において具体化することができる。前述の説明に記載した実施形態は、本明細書に記載した対象に一致するすべての実施形態を表しているわけではない。むしろ、前述の説明に記載した実施形態は、記載した対象に関連する側面と一致するいくつかの例にすぎない。本明細書ではいくつかのバリエーションが詳細に説明されたが、他の変更又は追加も可能である。特に、本明細書に記載したものに加えてさらなる特徴及び/又はバリエーションを提供することができる。例えば、本明細書に記載した実施形態は、開示した特徴の様々な組合せ及び部分的組合せならびに/又は本明細書に開示したいくつかのさらなる特徴の組合せ及び部分的組合せに対して参照されてもよい。さらに、添付の図面に示した、かつ/又は本明細書に記載したロジックフローは、所望の結果を達成するために、示した特定の順番又は順序を必ずしも必要としない。他の実施形態も、以下の特許請求の範囲内にあってよい。