(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】改善されたUV保護特性を有するアクリル箔
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20231228BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B32B27/18 A
(21)【出願番号】P 2021531004
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2019081141
(87)【国際公開番号】W WO2020108992
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-26
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319013746
【氏名又は名称】レーム・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Deutsche-Telekom-Allee 9, 64295 Darmstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クロード グエナンタン
(72)【発明者】
【氏名】ジルメイ セイオム
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エンダース
(72)【発明者】
【氏名】ヘアベアト グローテュス
(72)【発明者】
【氏名】キム シュトルーヴェ
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/068329(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/104293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの層Aと1つの層Bとを含む多層箔であって、前記層Aは、前記層Aの総質量に基づいて:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
第1のUV吸収剤0.1~5.0質量%
、ここで、該第1のUV吸収剤は、トリアジン系UV吸収剤である;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%
を含有しており、前記層Aにおける前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび前記1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、前記層Aの質量に基づいて、少なくとも50質量
%であり、かつ99.9質量%以下であり、
任意の波長λ
Aにおける前記層Aの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λ
A≦360nmであり、かつ
前記層Bは、前記層Bの総質量に基づいて、:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~85.0質量%;
第1のUV吸収剤とは異なる第2のUV吸収剤 0.1~5.0質量%、
ここで、該第2のUV吸収剤は、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤である、
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%、および
接着促進コポリマー 0.0~20.0質量%
を含有しており、前記接着促進コポリマーは、
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%、および
(iii)前記接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー 0.0~25.0質量%
を含有しており、前記層Bにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび前記1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、前記層Bの質量に基づいて、少なくとも50質量
%であり、かつ99.9質量%以下であり、
任意の波長λ
Bにおける前記層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λ
B≦370nmであり、かつ
前記層Aは、0.1質量%以
下の第2のUV吸収剤を含有しており、かつ
前記層Bは、0.1質量%以
下の第1のUV吸収剤を含有して
おり、
かつ
前記層Bは、層Aの下に位置されている、
多層箔。
【請求項2】
前記箔がさらに接着促進層Cを含んでおり、前記層Cは、前記層Cの総質量に基づいて:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~95.0質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~75.0質量%;
UV吸収剤
0.0~5.0質量%、
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%、および
接着促進コポリマー 5.0~80.0質量%
を含有しており、前記接着促進コポリマーは、
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%、および
(iii)前記接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー 0.0~25.0質量%
を含有しており、前記層Cにおける前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび前記1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、前記層Cの質量に基づいて、少なくとも20質量
%であり、かつ95.0質量%以下であり、かつ
前記層Bは、前記層Bの質量に基づいて、前記接着促進コポリマーを3.0質量%以
下含有している、請求項
1に記載の箔。
【請求項3】
前記箔は、前記層Aに隣接するフルオロポリマー系の層Dをさらに含み、前記層Dは、前記層Dの総質量に基づいて、
少なくとも1種のフルオロポリマー 40.0~100.0質量%;
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~60.0質量%;
実質的に球状のガラスビーズ 0.0~30.0質量%
を含有する、請求項1
または2に記載の箔。
【請求項4】
前記フルオロポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、またはそれらの混合物もしくはコポリマーから選択される、請求項1から
3までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項5】
前記箔はさらに、前記層Aと前記層Bとの間に位置し、前記第1のUV吸収剤と前記第2のUV吸収剤との組み合わせを含有する層Eを含む、請求項1から
4までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項6】
前記層Aは、前記層Aの質量に基づいて、第1のUV吸収剤として、トリアジン系化合物を0.5~3.0質量%含有しており、かつ
前記層Bは、前記層Bの質量に基づいて、第2のUV吸収剤として、ベンゾトリアゾール系化合物を0.5~4.0質量%含有している、請求項
1から
5までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項7】
前記UV安定剤が、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)または酸化防止剤である、請求項1から
6までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項8】
前記ポリメチル(メタ)アクリレートが、80000g/mol~220000g/mol以下の質量平均分子量Mwを有しており、かつ重合性成分として、重合性組成物の質量に基づいて、
(a)50.0~99.9質量
%のメチルメタクリレート、
(b)0.1~50.0質量
%のC1~C4アルコールのアクリル酸エステル、
(c)0.0~10.0質量%の、前記モノマー(a)および(b)と共重合可能な、少なくとも1種の他のモノマー
を含有する組成物を重合することにより得られるポリメチルメタクリレートである、請求項1から
7までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項9】
前記層Aの厚さは、10.0μm~100.0μ
mであり、かつ
前記層Bの厚さは、10.0μm~80.0μ
mであり、
存在する場合には、層Cの厚さは、1.0μm~20.0μ
mであり、
存在する場合には、層Dの厚さは、1.0μm~40.0μ
mであり、
存在する場合には、層Eの厚さは、10.0μm~80.0μ
mである、請求項1から
8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
箔の平均透過率は、350nm~390nmの波長範囲で、40%以
下である、請求項1から
9までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項11】
任意の波長λにおける箔の分光透過率は、標準規格ISO 4892-2(2013)、方法1、30GJ/m
2の放射露光による15000時間の促進耐候性試験後に、5%以
下であり、ここで、270nm≦λ≦370nmである、請求項1から
10までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項12】
前記箔は、標準規格DIN EN ISO 13468-2(2006)による耐候性試験の前に測定して、400nm~800nmの各波長に対して、60%
超の光透過率D
65を有する、請求項1から
11までのいずれか1項に記載の箔。
【請求項13】
外側表面を有し、請求項1から
12までのいずれか1項に記載の箔によって少なくとも部分的に被覆された基材を含む被覆物品であって、前記箔
は共押出箔であり、前記外側表面から出発して、次の順序で配置された以下の層を含む、被覆物品:
・任意で、層D、
・層A、
・任意で、層E、
・層B、および
・任意で、層C。
【請求項14】
前記被覆物品が、高圧ラミネート(HPL)、中圧ラミネート(MPL)、または連続圧力ラミネート(CPL)である、請求項
13に記載の被覆物品。
【請求項15】
前記基材が、メラミン樹脂含浸紙、任意で繊維強化された高分子材
料、または金
属であり、かつ共押出箔は、基材に直接適用される、請求項
13または
14に記載の被覆物品。
【請求項16】
前記高分子材料が、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネートまたはポリプロピレン(PP)である、請求項15に記載の被覆物品。
【請求項17】
前記金属が、鋼またはアルミニウムである、請求項15に記載の被覆物品。
【請求項18】
基材をコーティングするため
、共押出、積層、または押出積層から選択される方法によって基材をコーティングするための、請求項1から
12までのいずれか1項に記載の箔の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれが少なくとも1つのUV吸収剤を含む少なくとも2つの別個の層を含む多層PMMA系箔に関する。典型的には、本発明の箔は共押出箔である。この箔は、特に高い耐UV性、高い耐候性および優れた機械的特性を有する。したがって、本発明の箔は、ポリ塩化ビニル(PVC)のような材料の表面保護および高圧ラミネート(HPL)での使用のような屋外用途に非常に適している。
【0002】
HPLは、典型的には、少なくとも3MPa(面圧)の高圧下に、120℃を超える温度で、一般に30~100分間のサイクル時間で、メラミン-およびフェノール樹脂含浸紙を互いに積層することによって製造される。結果として得られる複合材料は、木材模倣物または単一色の装飾効果のような視覚効果を実現するための装飾外層を備えている。これらの加飾高圧ラミネートは、テーブルトップ、ドア、家具、キッチンワークトップ、および壁、バルコニー、もしくはファサードの外装のためのシートを含むが、これらに限定されることなく様々な用途で使用される。屋内の用途は通常、特に紫外線から保護する必要はないが、保護されていないメラミン樹脂表面が比較的短い時間の後でさえも有意な劣化を示すであろう屋外での使用のためには、メラミン樹脂表面は追加の保護層を備えていなければならない。
【背景技術】
【0003】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、優れた耐候性を有しており、従って、屋外での風化を受ける用途のいずれにも特に適している。この理由のために、PMMA系の箔は、着色されたポリ塩化ビニル(PVC)窓のプロファイルのための表面保護箔として使用するために市場で確立されてきた。表面保護箔の耐候性のための既存の要求を顕著に超える表面保護箔に対する需要がある。市場で得られる箔は、典型的には、UV放射(波長300~400nm)に対する安定化のためにベンゾトリアゾール系UV吸収剤を使用する。これらのUV吸収剤は、約15年の期間で、その活性を有意に失うことが知られている。このように改質された耐候性保護箔は、まず艶を失い、次いでマイクロクラックが形成され、続いてクラックが形成される。しかし、これらのUV吸収剤は、それらが色中性(黄色度指数がない)、不揮発性(箔の押出に重要である)および安価であるという有利な特性を有している。
【0004】
国際公開第2007/0074138号には、耐候性の点で市販されている箔よりも優れており、10年以上にわたって改善された耐候安定性を提供するPMMA系箔が記載されている。この箔は、典型的には、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤、トリアジン系UV吸収剤、立体障害アミン(HALS、ヒンダードアミン光安定剤)の組み合わせを使用する。これらの成分は、箔の製造中に混合物として使用される。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0311406号明細書は、外部PVDF層と、例えばTinuvin(登録商標)234のようなUV吸収剤を含むPVDF-PMMAブレンドからなる中間層と、とりわけメタクリル酸の無水物を含む接着促進層からなる3層フィルムを教示している。このフィルムの特別な利点は、100℃において2時間、水中で試験したときに白色の変色を示さず、さらにメラミン樹脂含浸紙との良好な接着性を示すことである。しかし、フィルムは適度な長期耐候性を有しているにすぎない。
【0006】
国際公開第2015/180995号は、高圧ラミネート(HPL)にラミネートするために適したUV保護フィルムを開示している。フィルムは、外側から内側に向かって相互に結合している、フルオロポリマーを含む層A、少なくとも1つのUV安定剤および/またはUV吸収剤を含むPMMA層B、および少なくとも1つの接着促進剤および少なくとも1つのポリ(メタ)アクリレートを含む層Cを有する。ここで、層Cは、樹脂含浸紙と積層されて、HPLを与えることができ、層Bおよび/またはCは、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含む。このフィルムは、優れた長期耐候性を有し、層間剥離を示さず、青色光沢を示さず、有利な光学特性、特に低いヘイズ値を有する。
【0007】
近年、HPLは、比較的暖かくかつ湿度の高い気候と、比較的長い平均日照時間を有する国における建築用途における使用の増加を見出した。さらに、そのような用途に使用されるHPLは、地球温暖化およびオゾン層破壊の進行に起因して、より高い温度およびますます強い太陽の紫外線に露出される。これは、これらの国々で使用するためのPMMA系の箔にさらに厳しい要求をもたらす。
【0008】
例えば、可塑化されていないポリ塩化ビニル(PVC-U)の窓プロファイルおよび積層された装飾箔を備えたドアは、標準規格RAL-GZ 716(気候M、全放射露光量30GJ/m2)に適合している必要がある。積層された装飾箔を有するPVCの窓プロファイルおよびドアの製造業者は、ますます高い長期耐候性を有する製品を継続的に開発している。従って、このような用途のための保護アクリルフィルムを備えた装飾PVC箔は、中央ヨーロッパで約30年の期間にわたって天候曝露に耐えることが期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
耐候性の点で市販されている箔よりも優れており、特に、高温多湿の気候および比較的長い平均日照時間を有する地域においても、長期間(15年以上)にわたって改善された屋外安定性を提供するPMMA系の箔が求められている。このような箔は、紫外線作用および風化作用に関して箔の固有安定性を改善し、そのUV保護作用(保護箔で被覆された着色層の色軌跡の安定性から認識できる)の安定性を改善するべきである。さらに、箔は実質的に色が中性であり、良好な機械的特性を有し、応力白化を実質的に含まないことが望ましい。
【0010】
本明細書で使用される「安定性」という用語は、風化効果および機械的損傷に対する箔の固有の安定性だけでなく、その保護作用の持続性にも言及するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、国際公開第2007/0074138号に記載されているUV吸収剤が少なくとも2つの別個の層に配置されている場合、国際公開第2007/0074138号に記載された箔の長期耐候安定性をさらに改善することができるという驚くべき発見に基づいている。特に、屋外の日射に曝される層は、少なくとも1つのトリアジン系UV吸収剤を含み、一方、その下の層は、少なくとも1つのベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含むことが有利であることが判明した。本発明の箔において、国際公開第2007/0074138号のUV吸収剤が別々の層に配置されているにもかかわらず、それらの存在に起因する相乗効果がさらに増強される。さらに、本発明者らは、トリアジン系UV吸収剤を、得られた箔の長期安定性に影響を与えることなく、ガラスビーズまたはガラス粉末の形態で、二酸化チタン、二酸化スズまたはガラスのような無機UV吸収剤に置き換えることができることを見出した。
【0012】
したがって、本発明の箔は、上で定義された技術的問題を首尾よく解決する。
【0013】
さらに、本発明の箔は、以下の利点を提供する:
・これは、様々な基材を様々な温度で積層するために使用することができ、異なる積層装置を使用することができる。得られた積層製品の外観は、非常に均一であり、積層ロールの積層温度または材料のような加工条件に実質的に依存しない。
・耐候性に優れ、かつ例えば、商業的に入手可能な洗浄組成物に関して耐薬品性が非常に良好である。
・長期にわたって魅力的で均一な外観が維持される。
・これは、押出プラントにおいて高い費用効果で製造することができる。
【0014】
当業者には容易に理解されるように、本明細書で使用される用語「箔」は、5mm未満の厚さ、より好ましくは1mm未満の厚さを有するシートを指す。本発明の箔は保護コーティングとして有利に使用することができるが、本出願で使用される用語「箔」は、一般に、用語「コーティング」と区別されるべきである。コーティングは、典型的には多層基材の最上層であり、前記基材とは別個に取り扱うことができない。コーティングとは対照的に、本発明の箔は、必ずしも多層物品の層ではなく、言い換えれば必ずしも任意の基材に取り付けられているものではないので、別々に取り扱うことができ、種々の異なる目的のために使用することができる。
【0015】
第1の態様では、本発明は、少なくとも層Aと層Bとを含む多層箔に関するものであり、層Aは、層Aの総質量に基づいて、下記:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
第1のUV吸収剤 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%
を含有し、層Aにおける前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび1つもしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Aの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、さらに好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下であり、任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は、10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦360nmであり、かつ
層Bは、層Bの総質量に基づいて、下記:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~85.0質量%;
第1のUV吸収剤とは異なる第2のUV吸収剤 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;および
接着促進コポリマー 0.0~20.0質量%
を含有し、前記接着促進コポリマーは、
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%;
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%;および
(iii)接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー 0.0~25.0質量%
を含有し、前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層B中の質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%、なおいっそう好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下であり、任意の波長λAにおける層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦370nmである。
【0016】
さらに、層Aは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第2のUV吸収剤を含有し、層Bは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第1のUV吸収剤を含有する。
【0017】
本発明によれば、第1のUV吸収剤は、第2のUV吸収剤とは異なる。
【0018】
本発明によれば、箔は、層Aが環境に向けられ、層Bが基材の表面に向けられるように、基材上に塗布される。
【0019】
この実施形態では、第1のUV吸収剤は、典型的には、トリアジン系UV吸収剤のような有機UV吸収剤である。特に好ましい態様において、層Aは第1のUV吸収剤としてトリアジン系化合物を含み、層Bは第2のUV吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物を含む。
【0020】
層Aおよび層Bの分光透過率は、旧Varian Inc.(米国カリフォルニア州Palo Alto在)から入手可能なCary 5000分光光度計などの適切な機器を用いて、所定の厚さの押出単層箔を用いて測定することができる。この目的のために、測定に使用される単層箔の厚さは、本発明の多層箔の対応する層の厚さに相当する。あるいは、特に、前記層の厚さが10μm未満である場合、前記層の分光透過率は、石英ガラス(溶融シリカ)プレート上に単層コーティングを適用し、コーティングの分光透過率を測定することによって決定することができる。前記コーティングを適用する方法は、特に限定されず、例えば、次のものを含む:前記層の材料の溶液を石英ガラスプレート上に押し出し、積層し、塗布した後、溶媒等を蒸発させる。たとえば単層は、アセトン中の前記層の材料の溶液/分散液のスピンコーティングを使用して有利に適用される。
【0021】
あるいは、分光透過率を決定するために、問題の層は、関心のある波長において特に低い分光透過率を有する熱可塑性ポリマー材料と共押出しすることができる。例えば、問題の層は、Roehm GmbH (ドイツ国Darmstadt在)から入手可能な、厚さ40μmのPlexiglas(登録商標)7Hと共押出しすることができる。
【0022】
層Aおよび層Bの分光透過率は、ISO 13468-2:1999に従って波長の関数として測定される。さらに、測定機器は、UVスペクトル領域で測定することができるように、拡張された波長範囲を有していなければならない。測定は23±2℃、および相対湿度50±5%で行う。
【0023】
さらに別の態様では、本発明は、少なくとも1つの層Aと1つの層Bとを含む多層箔に関するものであり、層Aは、層Aの総質量に基づいて、以下:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.0質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
第1のUV吸収剤 1.0~30.0質量%、ここで、前記第1のUV吸収剤は、好ましくは酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化セリウム、二酸化スズ、シリカおよびガラスから選択される無機粒子材料である;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;
を含有し、層Aにおける前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Aの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、さらに好ましくは少なくとも80質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ97.0質量%以下であり、任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は20%以下であり、270nm≦λA≦310nmであり、かつ
層Bは、層Bの総質量に基づいて、以下のもの:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~85.0質量%;
第1のUV吸収剤とは異なる第2のUV吸収剤 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;および
接着促進コポリマー 0.0~20.0質量%
を含有し、前記接着促進コポリマーは、
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%
(iii)接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー 0.0~25.0質量%
を含有し、層Bにおける前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Bの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、さらに好ましくは少なくとも80質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらに好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下であり、任意の波長λAにおける層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦370nmである。
【0024】
さらに、本発明のさらなる態様では、多層箔は、少なくとも1つの層Aと1つの層Bとを含み、層Aは、層Aの総質量に基づいて、次のもの:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~97.0質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
第1のUV吸収剤 3.0~30.0質量%、ここで、第1のUV吸収剤は、好ましくは、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化セリウム、二酸化スズ、シリカおよびガラスから選択される無機微粒子材料である;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;
を含有し、層Aにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Aの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ97.0質量%以下であり、かつ任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は、10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦310nm以下であり、かつ
層Bは、層Bの総質量に基づいて、次のもの:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~85.0質量%;
第1のUV吸収剤とは異なる第2のUV吸収剤 0.1~5.0質量%、
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;および
接着促進コポリマー 0.0~20.0質量%
を含有し、前記接着促進コポリマーは
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%;
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%;
(iii)接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー0.0~25.0質量%
を含有し、かつ
層Bにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Bの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下であり、かつ任意の波長λBにおける層Bの分光透過率は、10%以下であり、ここで、270nm≦λB≦370nm以下であり、かつ層Aは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第2のUV吸収剤を含み、層Bは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第1のUV吸収剤を含む。
【0025】
ここでも、層Aは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第2のUV吸収剤を含み、層Bは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第1のUV吸収剤を含む。
【0026】
この実施形態では、第1のUV吸収剤として作用する無機粒子材料は、層Aの材料中に実質的に均一に分散されていることが好ましい。ここで使用される用語「均一な」は、箔内の粒子材料の濃度が実質的に一定であることを意味する。
【0027】
本発明のさらなる態様は、その表面に本発明の箔を含む被覆物品に関する。前記被覆物品は、箔によって少なくとも部分的に覆われた基材を含み、箔の層は次の順序で配置されている:
層Dは、存在する場合には、被覆物品の外側表面を形成する;
層Aは、層Dと基材との間に位置している;
層Eは、存在する場合には、層Aと層Bとの間に位置している;
層Bは、層Aと基材との間に位置している;
層Cは、存在する場合には、層Bと基材との間に位置している。
【0028】
最後に、本発明のさらなる態様は、好ましくは共押出、積層または押出ラミネートから選択されるプロセスによって基材をコーティングするための、上記で定義された箔の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、製造例7~16における積層プロセスの概略図である
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の多層箔は、少なくとも層Aおよび層Bを含むことが好ましい。本発明の箔は共押出箔であることが好ましい。
【0031】
本発明によれば、層Bは以下の組成:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~85.0質量%;
層Aの第1のUV吸収剤とは異なる第2のUV吸収剤 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;および
接着促進コポリマー 0.0~20.0質量%
を有しており、層Bは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第1UV吸収剤を含有している。
【0032】
層接着促進コポリマーは、従来技術において知られており、基材との接着性を改善するためにアクリル箔に一般的に使用されている。層B中の層接着促進コポリマーは、存在する場合には、以下のものを含有している:
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%;
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%;および
(iii)ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル共重合性モノマー 接着促進性コポリマーの質量に基づいて0.0~25.0質量%。
【0033】
層Bにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Bの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下である。層Bにおける1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の含有量は、意図された用途に応じて当業者によって容易に調整することができる。例えば、高度に可撓性の軟質箔が必要とされる用途では、85質量%までの比較的高い耐衝撃性改良剤含有量を使用することができる。一方、比較的脆い硬質箔を必要とする用途では、層Bは、それより低い含有量の耐衝撃性改良剤を含有していてもよいし、実質的に耐衝撃性改良剤を含有していなくてもよい。
【0034】
多層箔の下に位置する基材材料の適切な保護を確実にするために、任意の波長λBにおける層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λB370nmである。また、波長370nmにおける層Bの光透過率は好ましくは10%以下となるように選択される。
【0035】
層Aの正確な組成は、層Aにおいて使用される第1のUV吸収剤の性質に依存する。本発明の1つの態様では、層Aは次のもの:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
第1のUV吸収剤 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;
を含有し、層Aは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第2のUV吸収剤を含有している。
【0036】
層Aにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Aの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下である。ここでも、層Aにおける1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の含有量は、当業者であれば、上記のような意図された用途に応じて容易に調整することができる。
【0037】
理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、驚くべきことに、本実施形態において優れた長期耐候安定性を達成するためには、任意の波長λAにおける層Aの分光透過率10%以下であることが重要であることを発見した。ここで、270nm≦λA≦360である。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態では、層Aは以下の組成:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.0質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
第1のUV吸収剤 1.0~30.0質量%;ここで、前記第1のUV吸収剤は、好ましくは酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化セリウム、二酸化スズ、シリカおよびガラスから選択される無機粒子材料である;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;
を含有しており、層Aは、0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下の第2のUV吸収剤を含む。
【0039】
層Aにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Aの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ97.0質量%以下である。
【0040】
この特定の実施形態では、任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は20%以下であり、ここで、270nm≦λA≦310nmである。
【0041】
上記の層Aおよび層Bに加えて、本発明の多層箔は、さらに、接着促進層Cを含んでいてもよい。層Cはさらに、基材上での本発明の箔の接着性を改善し、HPLの製造に特に有利である。典型的には、層Cは、層Cの総質量に基づいて、以下のもの:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~95.0質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~75.0質量%;
UV吸収剤、好ましくは第2のUV吸収剤 0.0~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%;および
接着促進コポリマー 5.0~80.0質量%
を含有する。
【0042】
層Cにおける前記ポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Cの質量に基づいて、少なくとも20.0質量%、好ましくは少なくとも30.0質量%、より好ましくは40.0質量%以上であり、かつ95.0質量%以下である。さらに本発明の箔と基材との間の良好な接着性を確保するために、接着促進層Cは、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%の1もしくは複数の耐衝撃性改良剤を含む。
【0043】
さらに、接着促進層Cにおける1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の合計含有量が、層Bにおける含有量よりも少なく、かつ層Bにおける1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の合計含有量が、層Aにおける含有量よりも低い場合には、箔の機械的特性に関して有利であることが判明している。
【0044】
接着促進層Cが存在する場合には、層Bは、層Bの質量に基づいて、3.0質量%未満、好ましくは1.0質量%未満の接着促進コポリマーを含有している。
【0045】
所望であれば、本発明の多層箔は、任意で、最上層に位置しており、層Aに隣接するフルオロポリマー系の層Dを備えていることにより、特に耐候性にすることができる。層Dは、層Dの総質量に基づいて、以下のもの:
少なくとも1種のフルオロポリマー 40.0~100.0質量%;
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~60.0質量%;および
実質的に球状のガラスビーズ 0.0~30.0質量%
を含有していることができる。
【0046】
層Dの構造および組成は、国際公開第2018/104293号に詳細に記載されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0047】
層Dにおけるフルオロポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、またはそれらの混合物またはコポリマーから選択することができる。
【0048】
さらに、いくつかの実施形態では、箔は、層Aと層Bとの間に配置され、上記の第1のUV吸収剤と第2のUV吸収剤との組み合わせを含む層Eをさらに含んでいてもよい。典型的には、層Eは以下の組成:
ポリメチル(メタ)アクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
フルオロポリマー 0.0~30.0質量%;
接着促進コポリマー 0.0~20.0質量%、これは
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%;
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%;
(iii)接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー 0.0~25.0質量%
を含有する;
第1のUV吸収剤と第2のUV吸収剤との組み合わせ 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%。
を有しており、層Eにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Eの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下である。
【0049】
有利には、層Eは、層Eの総質量に基づいて、以下のもの:
ポリ(メチル)メタクリレート 0.0~99.9質量%;
1もしくは複数の耐衝撃性改良剤 0.0~95.0質量%;
第1のUV吸収剤と第2のUV吸収剤との組み合わせ 0.1~5.0質量%;
1もしくは複数のUV安定剤 0.0~5.0質量%
を含有しており、層Eにおけるポリメチル(メタ)アクリレートおよび1もしくは複数の耐衝撃性改良剤の累積含有量は、層Eの質量に基づいて、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも80質量%、さらにより好ましくは少なくとも90質量%、特に好ましくは少なくとも95質量%であり、かつ99.9質量%以下である。
【0050】
本発明の箔は、想定される目的に応じて、1.0μm~300.0μm、より好ましくは1.0μm~200.0μm、さらにより好ましくは30.0μm~150.0μmの間の全厚さを有していてもよい。
【0051】
PMMA系の層Aは、典型的には、10.0μm~100.0μm、好ましくは15.0μm~50.0μm、より好ましくは20.0μm~40.0μmの厚さを有する。
【0052】
PMMA系の層Bは、一般に、10.0μm~80.0μm、好ましくは15.0μm~50.0μm、より好ましくは20.0μm~40.0μmの厚さを有する。
【0053】
接着促進層Cは、存在する場合には、1.0μm~20.0μm、好ましくは2.0μm~15.0μm、より好ましくは3.0μm~10.0μmの厚さを有する。
【0054】
フルオロポリマー系の層Dは、存在する場合には、1.0μm~40.0μm、好ましくは2.0μm~30.0μm、より好ましくは3.0μm~20.0μmの厚さを有する。
【0055】
PMMA系の層Eは、存在する場合には、10.0μm~80.0μm、好ましくは15.0μm~50.0μm、より好ましくは20.0μm~40.0μmの厚さを有する。
【0056】
本発明の箔の厚さおよびその層の厚さは、標準規格ISO 4593-199に従って機械的走査によって決定することができる。しかし、本発明の箔の厚さおよびその個々の層の厚さは、JEOL JSM-IT 300(ドイツ国Freshing在、JEOL GmbHから市販されている)のような走査型電子顕微鏡を用いて得られた顕微鏡写真を用いて決定されることが好ましい。この目的のために、箔試料を液体窒素中で凍結させ、機械的に破壊し、新たに得られた表面を分析することができる。測定は、例えば、以下のパラメータを用いて行うことができる:
電流源:タングステンフィラメント(カソード)からの電子の可変流量
真空システム:ロータリーポンプ/オイル拡散ポンプ
X-Y-Z-回転-チルト:全モータ化
加工距離(WD):5~70mm(共通:10mm)
試料の回転:360°
試料傾斜:-5から最大90°(WDに依存)
倍率:10倍~30000倍
最大解像度:最大3nm
検出器:二次電子(SE)
後方散乱電子(BSE、5セグメント)
エネルギー分散型X線分析(EDS)
要約すると、本発明の多層箔は以下の層の順序を有する:
フルオロポリマーをベースとする層Dは、存在する場合には、環境に直接曝される;
PMMA系の層Aは、層Dの下に位置している;
PMMA系の層Eは、存在する場合には、層Aと層Bとの間に位置している;
PMMA系の層Bは、層Aの下に位置しているか、または層Eが存在する場合には、層Eの下に位置している;および
接着促進層Cは、存在する場合には、層Bの下に位置している。
【0057】
本発明の多層箔の以下の実施形態は、特に有利な特性を示した:
(1)・第1のUV吸収剤としてガラスビーズを含有する層A;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0058】
(2)・第1のUV吸収剤として、酸化セリウム、二酸化チタンまたは酸化亜鉛から選択される無機微粒子材料を含む層A;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0059】
(3)・トリアジン系UV吸収剤を第1のUV吸収剤として含む層Aであり、前記第1のUV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0060】
(4)・フルオロポリマーマトリックス中に分散されたガラスビーズを含む層D
・第1のUV吸収剤としてトリアジン系UV吸収剤を含む層Aであって、前記UV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0061】
(5)・フルオロポリマー系の層D、好ましくは、層Dの質量に基づいて、少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、より好ましくは少なくとも95質量%、さらにより好ましくは少なくとも99質量%のPVDFを含むフルオロポリマー系の層D;
・第1のUV吸収剤としてトリアジン系UV吸収剤を含む層Aであって、前記UV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1、2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0062】
(6)・酸化セリウム、二酸化チタンまたは酸化亜鉛から選ばれる無機粒子材料を第1のUV吸収剤として含む層A;
・第1のUV吸収剤としてトリアジン系UV吸収剤を含む層Eであって、前記UV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1、2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0063】
(7)・トリアジン系UV吸収剤を第1のUV吸収剤として含有する層Aであって、前記UV吸収剤は、好ましくは、6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはこれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;
・第1のUV吸収剤としてのトリアジン系UV吸収剤を含む層Eであって、前記UV吸収剤は、好ましくは、6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1、2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノールまたはそれらの組み合わせから選択され、および好ましくは2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、またはこれらの少なくとも2種の混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0064】
(8)・フルオロポリマーマトリックス中に分散されたガラスビーズを含む層D;
・第1のUV吸収剤としてトリアジン系UV吸収剤を含む層Aであって、前記UV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1、2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサン-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはこれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B;および
・層C。
【0065】
(9)・第1のUV吸収剤としてガラスビーズを含む層A;
・第1のUV吸収剤としてのトリアジン系UV吸収剤を含む層Eであって、前記UV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサン-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはそれらのうちの少なくとも2つの組み合わせから選択され、かつ好ましくは2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、またはそれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤;および
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0066】
(10)・第1のUV吸収剤としてガラスビーズを含む層A;
・第1のUV吸収剤としてのトリアジン系UV吸収剤を含む層Eであって、前記UV吸収剤は、好ましくは6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1、2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)フェノール、2-[4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル]-5-(オクチルオキシ)フェノール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせから選択される;
・2,2′-メチレン-ビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノールまたはこれらの混合物から選択されるベンゾトリアゾール系UV吸収剤を含む層B。
【0067】
以下に、層A、B、C、DおよびEの個々の成分について、より詳細に説明する。
【0068】
ポリメチル(メタ)アクリレート
既に上記で述べたように、PMMA系の層Aおよび層Bは、99.9質量%までのポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)を含むことができる。PMMAは、一般に、メチルメタクリレートを含む混合物のラジカル重合によって得られる。これらの混合物は、一般に、モノマーの質量に基づいて、少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも80質量%、さらに好ましくは少なくとも90質量%のメチルメタクリレート(MMA)を含む。
【0069】
PMMAを製造するための混合物は、メチルメタクリレートと共重合可能な他の(メタ)アクリレートも含むことができる。本明細書で使用される用語「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート、アクリレートおよびそれらの混合物を包含することを意味する。(メタ)アクリレートは、飽和アルコール、たとえばアクリル酸メチル、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、および2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート;または不飽和アルコール、例えばオレイル(メタ)アクリレート、2-プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、およびアリール(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えば3-ビニルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4-ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、例えば1,4-ブタンジオール(メタ)アクリレート、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアミドおよびニトリル、たとえばN-(3-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(ジエチルホスホノ)-(メタ)アクリルアミド、1-メタクリロイルアミド-2-メチル-2-プロパノール;硫黄を含有するメタクリレート、たとえばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4-チオシアナトブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナトメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)硫化物、多官能性(メタ)アクリレート、例えばトリメチロイルプロパントリ(メタ)アクリレートから誘導することができる。
【0070】
重合反応は、一般に、公知のフリーラジカル開始剤によって開始される。好ましい開始剤の中でも、とりわけ、当業者に周知のアゾ開始剤は、例えば、AIBNおよび1,1-アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、およびペルオキシ化合物、例えば、メチルエチルケトン過酸化物、アセチルアセトン過酸化物、ジラウリルペルオキシド、tert-ブチル2-エチルペルヘキサノエート、ケトン過酸化物、メチルイソブチルケトン過酸化物、シクロヘキサノン過酸化物、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、tert-ブチル2-エチルペルオキシヘキサノエート、tert-ブチル-3,5,5-トリメチルペルオキシヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、2種以上の上記化合物の混合物、および上記化合物と、言及されていないが、同様にフリーラジカルを形成することができる化合物との混合物である。
【0071】
重合される組成物は、上記の(メタ)アクリレートだけでなく、メチルメタクリレートと、および上記の(メタ)アクリレートと共重合可能な他の不飽和モノマーも含むことができる。これらの中でも、特に、1-アルケン、たとえば1-ヘキセン、1-ヘプテン;分岐アルケン、例えば、ビニルシクロヘキサン、3、3-ジメチル-1-プロペン、3-メチル-1-ジイソブチレン、4-メチル-1-ペンテン;アクリロニトリル;ビニルエステル、たとえば酢酸ビニル;スチレン、側鎖にアルキル置換基を有する置換されたスチレン、例えばα-メチルスチレンおよびαーエチルスチレン、環にアルキル置換基を有するスチレン、例えばビニルトルエンおよびp-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン;ヘテロ環式ビニル化合物、例えば2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、3-エチル-4-ビニルピリジン、2,3-ジメチル-5-ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9-ビニルカルバゾール、3-ビニルカルバゾール、4-ビニルカルバゾール、1-ビニルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピロリドン、N-ビニルピロリジン、3-ビニルピロリジン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾールおよび水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾール;ビニルエーテルおよびイソプレニルエーテル;マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド;およびジエン、たとえばジビニルベンゼンが挙げられる。
【0072】
一般的に使用されるこれらのコモノマーの量は、モノマーの質量に基づいて、0.0質量%~60.0質量%、好ましくは0.0~40.0質量%、特に好ましくは0.0~20.0質量%であり、ここに記載の化合物は単独でまたは混合物の形態で使用することができる。
【0073】
さらに好ましいのは、重合可能な成分として以下のものを含有する組成物の重合によって得られるPMMAである:
(a)50.0~99.9質量%、好ましくは80.0~99.9質量%、より好ましくは91.0~99.9質量%のメチルメタクリレート、
(b)0.1~50.0質量%、好ましくは0.1~20.0質量%、より好ましくは0.1~9.0質量%の、C1~C4アルコールのアクリル酸エステル、
(c)0.0~10.0質量%の、モノマー(a)および(b)と共重合可能な少なくとも1種の他のモノマー。
【0074】
成分(c)を8.0~10.0質量%の範囲で使用し、成分(c)が好ましくはn-ブチルアクリレートであると、箔の固有安定性が高められる。成分(c)の割合が増加すると、箔の安定性が増大する。しかし、制限値を超える増加は不利である。
【0075】
さらに別の実施形態では、80.0~99.9質量%のメチルメタクリレートおよび0.1~20.0質量%のメチルアクリレートから構成されるPMMAが好ましいが、ここでの量は、重合性成分100質量%に基づくものである。特に有利なコポリマーは、95.0~99.9質量%のメチルメタクリレートと、0.1~5.0質量%のメチルアクリレートとの共重合によって得られるものであり、その量は重合性成分100質量%に基づくものである。例えば、PMMAは、96.0質量%のメチルメタクリレートと4.0質量%のメチルアクリレート、98.0質量%のメチルメタクリレートと2.0質量%のメチルアクリレート、または99.0質量%のメチルメタクリレートと1.0質量%のメチルアクリレートと含んでいてもよい。前記PMMAのビカー軟化点VSP(ISO 306-B50)は、典型的には少なくとも90℃、好ましくは95℃~112℃である。
【0076】
PMMAポリマーの鎖長およびその分子量は、分子量調節剤の存在下でモノマー混合物を重合することにより調整することができ、その具体例は、この目的のために公知のメルカプタン、例えばn-ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、2-メルカプトエタノールまたは2-エチルヘキシルチオグリコレート、またはペンタエリスリトールテトラチオグリコレートであり;分子量調節剤の使用量は、一般に、モノマー混合物の質量に基づいて0.05~5.0質量%であり、好ましくはモノマー混合物の質量に基づいて0.1~2.0質量%、および特に0.2~1.0質量%の量が好ましい(H.Rauch-Puntigam、Th.Voeler、Acryl- und Methacrylverbindungen(Acrylic and Methacrylic Compounds)、Springer、Heidelberg、1967;Houben-Weyl、Methoden der organischen Chemie(Methods of Organic Chemistry)、Vol.XIV/1、p.66、Georg Thieme、Heidelberg、1961、またはKirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、Vol.1、p.296 et seq.、J.Wiley、New York、1978を参照のこと)。
【0077】
使用されるPMMAの質量平均分子量Mwは、ゲル透過クロマトグラフィー(較正標準としてPMMAを基準にしたGPC、PMMAマトリックスについての全てのMwの決定に関する)により測定して、通常、80000g/mol以上であり、より好ましくは120000g/mol以上である。本発明の目的のために、PMMAの質量平均分子量Mwが140000g/molを超える場合、より耐候性が高い箔を得ることが可能である。PMMAの質量平均分子量Mwは、一般に、80000g/mol~220000g/molの範囲である。特に良好な耐候性は、PMMAの較正標準に対するGPCにより決定される各場合において、80000g/mol~180000g/mol、好ましくは100000g/mol~180000g/mol、より好ましくは120000g/mol~180000g/molの範囲の平均モル質量Mwを有するPMMAを用いた箔から得られる。
【0078】
特に有利な耐候安定性および箔の加工性は、ポリメチル(メタ)アクリレートが、80000g/mol~220000g/molの平均分子量Mwを有するPMMAであり、重合可能な成分が、重合可能な組成物の質量に基づいて、以下のものを含有す重合可能な組成物の重合によって得られる場合に観察される:
(a)50.0~99.9質量%、好ましくは80.0~99.9質量%、より好ましくは91.0~99.9質量%のメチルメタクリレート、
(b)0.1~50.0質量%、好ましくは0.1~20.0質量%、より好ましくは0.1~9.0質量%の、C1~C4アルコールのアクリル酸エステル、
(c)0.0~10.0質量%の、モノマー(a)および(b)と共重合可能な少なくとも1種の他のモノマー。
【0079】
典型的には、PMMAは架橋されず、従って熱可塑性加工に適している。それにもかかわらず、別の実施形態では、架橋PMMAは、例えば、eビーム、UVまたは熱架橋可能なPMMAコーティングとして、1もしくは複数の層に使用され得る。
【0080】
耐衝撃性改良剤
本発明で使用するための耐衝撃性改良剤自体は周知であり、異なる化学組成および異なるポリマー構造を有することができる。耐衝撃性改良剤は、架橋されていても熱可塑性であってもよい。さらに、耐衝撃性改良剤は、コア-シェル粒子として、またはコア-シェル-シェル粒子として、粒子状の形態であってもよい。典型的には、粒子状の耐衝撃性改良剤は、20~400nmの間の平均粒径、好ましくは50~300nmの間、より好ましくは100~285nmの間、最も好ましくは150~270nmの間の平均粒径を有する。この文脈における「粒子状」とは、一般に、コア-シェルまたはコア-シェル-シェル構造を有する架橋された耐衝撃性改良剤を意味する。
【0081】
最も簡単なケースでは、粒状耐衝撃性改良剤は、平均粒径が10~150nmの範囲、好ましくは20~100nm、特に30~90nmの範囲にある乳化重合によって得られる架橋粒子である。これらは、一般に、少なくとも40.0質量%、好ましくは50.0~70.0質量%のメチルメタクリレート、20.0~40.0質量%、好ましくは25.0~35.0質量%のブチルアクリレート、および0.1~2.0質量%、好ましくは0.5~1.0質量%の架橋性モノマー、例えば、メタクリル酸アリルなどの多官能性(メタ)アクリレートと、適切な場合には、他のモノマー、例えば、0.0~10.0質量%、好ましくは0.5~5.0質量%のC1~C4-アルキルメタクリレート、例えばアクリル酸エチルまたはメタクリル酸ブチル、好ましくはメチルアクリレート、または他のビニル系重合性モノマー、例えば、スチレンとから構成されている。
【0082】
好ましい耐衝撃性改良剤は、2層または3層のコア-シェル構造を有することができ、乳化重合によって得られるポリマー粒子である(例えば、欧州特許出願公開第0113924号明細書、欧州特許出願公開第0522351号明細書、欧州特許出願公開第0465049号明細書および欧州特許出願公開第0683028号明細書を参照のこと)。本発明は、典型的には、10~150nm、好ましくは20~120nm、特に好ましくは50~100nmの範囲のこれらのエマルジョンポリマーの適切な粒径を必要とする。
【0083】
1つのコアと2つのシェルとを有する三層または三相構造は以下のように調製することができる。最も内側の(硬質)シェルは、例えば、本質的に、メチルメタクリレート、少量のコモノマー、例えば、エチルアクリレート、および架橋剤、例えば、メタクリル酸アリルの割合から構成することができる。中間(軟質)シェルは、例えばブチルアクリレートと、適切な場合には、スチレンとから構成することができ、その一方で、最も外側の(硬質)シェルは、本質的にマトリックスポリマーと同じであり、従ってマトリックスとの適合性と良好な結合とをもたらす。耐衝撃性改良剤中のポリブチルアクリレートの割合は、耐衝撃性改善作用にとって決定的であり、好ましくは20.0~40.0質量%、特に好ましくは25.0~35.0質量%の範囲である。
【0084】
さらに好ましいのは、原則として欧州特許出願公開第0528196号明細書から知られている系の使用であり、これは次のように構成された二相の耐衝撃性変性ポリマーである:
a1)ガラス転移温度Tgが70℃を超える可干渉性の硬質相 10.0~95.0質量%であって、前記硬質相は、
a11)(a1)に基づいて)80.0~100質量%のメチルメタクリレート、
a12)0.0質量%~20.0質量%の、ラジカル重合が可能な1種以上の他のエチレン性不飽和モノマー
から構成されており、
a2)前記硬質相中に分布しており、ガラス転移温度Tgが-10℃未満の強靭相 90.0~5.0質量%であって、前記強靭相は、
a21)(a2)に基づいて)50.0~99.5質量%のC1~C10-アルキルアクリレート
a22)0.5~5.0質量%の、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋性モノマー、
a23)適切であれば、ラジカル重合可能な他のエチレン性不飽和モノマー
から構成されており、硬質相a1)の少なくとも15.0質量%は、強靭相a2)との共有結合を有する。
【0085】
2相耐衝撃性改良剤は、たとえばドイツ特許出願公開第3842796号明細書に記載されているように、水中で二段階の乳化重合反応により製造することができる。第1段階では、強靭相a2)が生成され、これは、少なくとも50.0質量%、好ましくは80.0質量%以上の低級アルキルアクリレートから構成されおり、従って、この相に関しては-10℃より低いガラス転移温度Tgが生じる。使用される架橋性モノマーa22)はジオールの(メタ)アクリレート、例えばエチレングリコールジメタクリレートまたは1、4-ブタンジオールジメタクリレート、2個のビニル基またはアリル基を有する芳香族化合物、たとえばジビニルベンゼン、またはラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を2個有する他の架橋剤、例えば、メタクリル酸アリルを、グラフト結合剤として含有している。例として言及することができ、ラジカル重合可能な不飽和基、例えばアリル基または(メタ)アクリル基を3個以上有する架橋剤は、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリトリチルテトラアクリレートおよびペンタエリトリチル(メタ)アクリレートである。米国特許第4,513,118号明細書は、その更なる例を記載している。
【0086】
ラジカル重合が可能なエチレン性不飽和モノマーであって、a23)として挙げられるものの例として、アクリル酸またはメタクリル酸、または1~20個の炭素原子を有しており、上記で記載されていないこれらのアルキルエステルであり、ここでアルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状であってもよい。さらに、a23)は、ラジカル重合が可能であり、アルキルアクリレートa21)と共重合可能なさらなる脂肪族コモノマーを含んでいてもよい。しかし、その意図は、スチレン、α-メチルスチレンまたはビニルトルエンのような芳香族コモノマーの顕著な割合を排除することであり、というのも、これらは、得られる生成物の望ましくない特性を、特に耐候性に望ましくない特性をもたらすからである。
【0087】
第1段階で強靭相が生成される場合、粒子サイズおよびその多分散性の設定に慎重な注意が払われなければならない。ここで強靭相の粒径は、本質的に乳化剤の濃度に依存する。粒径は、有利には、シードラテックスを使用することによって制御することができる。平均(質量平均)粒径が130nm未満であり、好ましくは70nm未満であり、粒子サイズの多分散性P80が0.5未満である粒子(P80は超遠心分離によって決定される粒度分布の累積評価から決定され、ここで、P80=[(r90-r10)/r50]-1であり、r10、r50、r90=平均累積粒径であり、これらは粒子半径の10%、50%、90%より大きく、かつ粒子半径の90%、50%、10%より小さい値である)好ましくは0.2未満である粒子は、水性相に基づいて0.15~1.0質量%の乳化剤濃度を使用して達成される。これは、アニオン性乳化剤に適用され、その例として特に好ましいのは、アルコキシル化および硫酸化パラフィンである。使用される重合開始剤の例は、水性相に基づいて0.01~0.5質量%のアルカリ金属ペルオキソ二硫酸塩またはアンモニウムペルオキソ二硫酸塩であり、重合反応は20~100℃の温度で開始される。レドックス系を使用することが好ましく、その例は、有機ヒドロペルオキシド0.01~0.05質量%と、およびヒドロキシメチルスルフィン酸ナトリウム0.05~0.15質量%との組合せを、20~80℃の温度使用することである。
【0088】
少なくとも15質量%が強靭相a2)と共有結合している硬質相a1)のガラス転移温度は、少なくとも70℃であり、この相はメチルメタクリレートのみからなっていてもよい。ラジカル重合が可能な1種以上の他のエチレン性不飽和モノマーの20質量%までは、硬質相中のコモノマーa12)として存在していてもよく、ここで使用されるアルキル(メタ)アクリレート、好ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキルアクリレートの量は、ガラス転移温度が上記ガラス転移温度以下とならない良である。
【0089】
硬質相a1)の重合は、第2段階のエマルションと同様に、従来の助剤、例えば、強靭相a2)の重合にも使用されるものを使用して進行する。
【0090】
熱可塑性耐衝撃性改良剤は、粒子状耐衝撃性改良剤とは異なる作用機構を有する。それらは一般にマトリックス材料と混合される。ドメインが形成される場合、例えば、ブロックコポリマーが使用される場合、これらのドメインのための好ましいサイズは、例えば、電子顕微鏡によって決定することができ、コア-シェル粒子にとって好ましいサイズに対応する。
【0091】
種々のクラスの熱可塑性耐衝撃性改良剤がある。その一例は、脂肪族TPU(熱可塑性ポリウレタン)、例えば、Covestro AGから市販されているDesmopan(登録商標)製品である。例えば、TPUであるDesmopan(登録商標)WDP 85784A、WDP 85092A、WDP 89085AおよびWDP 89051Dは、すべて、1.490~1.500の屈折率を有し、特に耐衝撃性改良剤として好適である。
【0092】
耐衝撃性改良剤として本発明の箔に従って使用するためのさらなるクラスの熱可塑性ポリマーは、PMMN-ポリ-n-ブチルアクリレート-PMMAトリブロックコポリマーを含むメタクリレート-アクリレート-ブロックコポリマー、特にアクリルTPEであり、クラレ(Kuraray)によりKurlity(登録商標)製品名の下で市販されている。ポリ-n-ブチルアクリレートブロックは、10~20nmのサイズを有するポリマーマトリックス中でナノドメインを形成する。
【0093】
UV吸収剤
本発明は、別個のPMMA系の層に異なるUV吸収剤を配置することにより、得られる多層箔の耐候安定性を劇的に改善することができるという驚くべき発見に基づく。これにより、第1のUV吸収剤および第2のUV吸収剤の選択が特に重要である。
【0094】
一実施形態では、層A中の第1のUV吸収剤は、有機UV吸収剤である。層A中の第1のUV吸収剤およびその量は、任意の波長λAにおける層Aの分光透過率が10%以下であるように選択され、ここで270nm≦λA≦360nmである。
【0095】
好ましくは、第1のUV吸収剤はトリアジン系UV吸収剤であり、2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンが特に好ましい。好ましくは、2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンは、特に2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピル-オキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)―4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ)フェニル-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-{2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}-4,6-ビス(2,4-ジ-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(4-[2-エチルヘキシルオキシ]-2-ヒドロキシフェニル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンである。トリアジン系UV吸収剤、たとえば2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノールも使用することができる。これらの化合物は、例えば、商標Tinuvin(登録商標)1600、Tinuvin(登録商標)1577またはTinuvin(登録商標)1545の商標名の下でBASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から市販されている。
【0096】
層Aのトリアジン系UV吸収剤の量は、層Aの質量に基づいて、0.1~5.0質量%、好ましくは0.2~3.0質量%、および特に好ましくは0.5~2.0質量%である。異なるトリアジン系UV吸収剤の混合物を使用することも可能である。
【0097】
さらなる好ましい実施形態では、層A中の第1のUV吸収剤は、無機粒子材料である。このような材料は、有利には、酸化亜鉛、二酸化チタン、二酸化セリウム、二酸化スズ、酸化鉄、シリカ、またはガラスビーズもしくはガラス粉末の形態であってもよいガラスから選択することができる。層A中の第1のUV吸収剤およびその量は、任意の波長λAにおける層Aの分光透過率が10%以下であるように選択され、ここで、270nm≦λA≦310nmである。好適な無機粒子材料の例は、例えばCroda International Plc (英国Snaith在)から入手可能なSolasorb(商標)UV100(二酸化チタン分散液、無機および有機被覆二酸化チタン45質量%を含有、平均粒径40nm)、Solasorb(商標)UV200(酸化亜鉛分散液、酸化亜鉛60質量%を含有、平均粒径60nm)である。
【0098】
第1のUV吸収剤としてガラスを使用する実施形態では、10μm未満の粒径を有するガラス粉末またはガラスビーズの使用は、効率的なUV吸収および可視光の高い透過度の点で特に有利である。この目的のためのガラスの選択は特に制限されないが、Schott AG(ドイツ国マインツ在)から入手可能な、GG395、GG400、GG420、GG435、GG475、OG515、OG530のようなガラス種が特に有用であることが示された。層Aで使用するためのガラスビーズは、以下の「ガラスビーズ」の部において詳細に記載される。
【0099】
本発明によれば、層B中の第2のUV吸収剤は、層A中の第1のUV吸収剤とは別種である。層Bにおける第2のUV吸収剤およびその量は、任意の波長λBにおける層Bの分光透過率が10%以下であるように選択され、ここで、270nm≦λB≦370nmである。好ましくは、波長370nmにおける層Bの光透過率は10%以下である。
【0100】
好ましくは、第2のUV吸収剤は有機化合物であり、これは、置換ベンゾフェノン、サリチル酸エステル、桂皮酸エステル、オキサニリド、ベンゾオキサジノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾールまたはベンジリデンマロネートの群から有利に選択され得る。しかし、第2のUV吸収剤としてベンゾトリアゾール系UV吸収剤を使用することが特に有利であることが示された。
【0101】
特に、層Aにおける第1のUV吸収剤としてのトリアジン系化合物と、層Bにおける第2のUV吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物との組合せは、驚くべきことに、本発明の多層箔の特に高い耐候安定性をもたらした。例えば、層Aは、層Aの質量に基づいて、第1のUV吸収剤としてトリアジン系化合物を0.5~3.0質量%含有していてもよく、層Bは、層Bの質量に基づいて、第2のUV吸収剤としてベンゾトリアゾール系化合物を0.5~4.0wt%含有していてもよい。
【0102】
ベンゾトリアゾール系UV吸収剤は、従来技術において知られており、典型的には2-(2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールである。対応する化合物には、特に2-(2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(3′-sec-ブチル-5′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-4′-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ジ-tert-アミル-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′,5′-ビス-(α,α-ジメチルベンジル)-2′-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-5′-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)-カルボエチル]-2′-ヒドロキシフェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロ-ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-metH-オキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-オクチルオキシカルボニル-エチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-5′-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2′-ヒドロキシ-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-ドデシル-2′-ヒドロキシ-5′-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3′-tert-ブチル-2′-ヒドロキシ-5′-(2-イソオクチルオキシ-カルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2′-メチレン-ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール];2-[3′-tert-ブチル-5′-(2-メトキシカルボニルエチル)-2′-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R-CH2CH2-COO-CH2CH2-(式中、R=3′-tert-ブチル-4′-ヒドロキシ-5′-2H-ベンゾトリアゾール-2-イルフェニル、2-[2′-ヒドロキシ-3′-(α,α-ジメチルベンジル)-5′-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル]-ベンゾトリアゾール;2-[2′-ヒドロキシ-3′-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-5′-(α,α-ジメチルベンジル)-フェニル]ベンゾトリアゾールが含まれる。使用することができるベンゾトリアゾール系UV吸収剤のさらなる例は、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ジ(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-sec-ブチル-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、および2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、フェノール、2,2′-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)]である。これらの化合物は、BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から市販されており、例えばTinuvin(登録商標)360およびTinuvin(登録商標)234である。
【0103】
ベンゾトリアゾール系UV吸収剤はまた、他のUV吸収剤と組み合わせて使用することができ、例えば、ビス-マロネイン型UV吸収剤を用いてもよい。このような組み合わせの一例は、Eusorb(登録商標)BLA 4200M(Tinuvin(登録商標)329およびHostavin(登録商標)B-CAPを含む市販製品)であり、これは、Eutec Chemical Co.Ltd.から入手可能である。
【0104】
層Bにおけるベンゾトリアゾール系UV吸収剤の量は、PMMA系の層Bの質量に基づいて、0.1~5.0質量%、好ましくは0.2~4.0質量%、特に好ましくは0.5~3.0質量%である。
【0105】
好適な2-ヒドロキシベンゾフェノンは、とりわけ、4-ヒドロキシ、4-メトキシ、4-オクチルオキシ、4-デシルオキシ、4-ドデシルオキシ、4-ベンジルオキシ、4,2′,4′-トリヒドロキシおよび2′-ヒドロキシ-4,4′-ジメトキシ誘導体が含んでいてもよい。
【0106】
置換および非置換安息香酸の適切なエステルは、例えば、4-tert-ブチル-フェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2、4-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートである。
【0107】
さらなる添加剤
所望であれば、本発明の箔の層は、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤などとして典型的に作用する1種以上のUV安定剤をさらに含有することができる。特に好ましいUV安定剤は立体障害フェノールおよびHALS型添加剤である。
【0108】
立体障害アミン、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)UV安定剤は、それ自体知られている。これらは、塗料およびプラスチック、特にポリオレフィンプラスチック(Kunststoffe、74(1984)10、pp.620~623;Farbe+Lack、Volume 96、9/1990、pp.689~693)における老化現象を抑制するために使用することができる。HALS化合物中に存在するテトラメチルピペリジン基は、安定化効果を担う。このクラスの化合物は、ピペリジン窒素上で置換されていないか、またはピペリジン窒素上でアルキル基もしくはアシル基によって置換されていない。立体障害アミンは、UV領域で吸収しない。これらは、形成されたフリーラジカルを捕捉するが、UV吸収剤はこれを行うことができない。安定化効果を有し、混合物の形態で使用することができるHALS化合物の例は、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ(4,5)-デカン-2,5-ジオン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)スクシネート、ポリ(N-β-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンスクシネート)またはビス(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートである。
【0109】
層中のHALS化合物の使用量は、典型的には、層の質量に基づいて0.0~5.0質量%、好ましくは0.1~3.0質量%、特に好ましくは0.2~2.0質量%である。異なるHALS化合物の混合物を使用することも可能である。
【0110】
使用可能な他の共安定剤は、上記のHALS化合物、二硫化ナトリウムのような二硫化物、および立体障害フェノールおよびホスファイトである。このような共安定剤は、各層の質量に基づいて0.1~5.0質量%の濃度で存在してもよい。
【0111】
立体障害フェノールはまた、本発明の箔に使用するのに適している。好ましい立体障害フェノールには、とりわけ、6-tert-ブチル-3-メチルフェニル誘導体、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2,6-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,2′-メチレンビス-(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4′-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4′-ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3′,5′-ジ-tert-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4′-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェニル)、4,4′-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール))、ステアリル-β(3,5-ジ-4-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3(3′,5′-ジ-tert-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが含まれる。商業的に入手可能な立体障害フェノールには、Sumilizer(商標)BHT BP-76、WXR、GN-80およびBP-101(住友化学、日本国大阪在)、Irganox(登録商標)1076、565、1035、1425WL、3114、1330および1010(BASF SE、ドイツ国Ludwigshafen在)、MARK AO-50、-80、-30、-20、-330および-60(ADEKA Polymer Additives、フランス国Mulhouse在)、およびTominox(登録商標)SS、TT(三菱ケミカル株式会社、日本国吉富在)が含まれる。
【0112】
接着促進コポリマー
層Bおよび/または、層Cが存在する場合には、層Cにおける接着促進コポリマーは以下のものを含む:
(i)メチルメタクリレート 70.0~95.0質量%;
(ii)無水マレイン酸 0.5~15.0質量%;および
(iii)接着促進コポリマーの質量に基づいて、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル系共重合性モノマー 0.0~25.0質量%。
【0113】
モノマー(i)は、エステル基中に1~6個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート、例えばエチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、イソペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2、2-ジメチルブチルメタクリレート、シクロペンチルメタクリレート、およびシクロヘキシルメタクリレートならびに特に好ましくはメチルメタアクリレートから選択される。
【0114】
モノマー(iii)は、α-ハロゲンスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルナフタレンから、ならびに好ましくはα-メチルスチレンおよびスチレンのようなビニル芳香族物質の群から選択することができ、ここでスチレンは特に好ましい。
【0115】
接着促進モノマー(ii)は、コーティングされる材料と相互作用することができる官能基を有するラジカル重合が可能なモノマーである。この相互作用は、少なくとも化学的(共有)結合を介して行われるべきである。さらに、例として、水素結合、錯化、双極子力、または熱力学的適合性(ポリマー鎖の撚り合わせ)などによって促進されてもよい。これらの相互作用は、一般に、窒素または酸素のようなヘテロ原子が関与している。上記の官能基としては、アミノ基、特にジアルキルアミノ基、(環状)アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、エポキシもしくはオキシ基、カルボキシ基、(イソ)シアノ基、カルボン酸基、無水物基、またはイミド基が挙げられる。これらのモノマーは、それ自体公知である(H.Rauch Puntigam、Th.Voelker、Acryl und Methacrylverbindungen、Springer-Verlag 1967;Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第1巻、pp.394~400、J.Wiley 1978;ドイツ国特許出願公開第2556080号明細書;ドイツ国特許出願公開第2634003号明細書を参照のこと)。
【0116】
従って、接着改良モノマーは、好ましくは、6員環に加えて5員環を有する含窒素ビニル複素環のモノマークラス、および/または共重合可能なビニルカルボン酸および/またはヒドロキシアルキル-、アルコキシアルキル、エポキシ-もしくはアミノアルキル置換エステル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸またはメタクリル酸の無水物またはアミドである。特に言及することができる窒素-複素環式モノマーは、ビニルイミダゾール、ビニルラクタム、ビニルカルバゾール、およびビニルピリジンのクラスからのものである。これらのモノマーイミダゾール化合物の例は、いかなる形態の制限をも表すことを意図していないが、N-ビニルイミダゾール(ビニル-1-イミダゾールとも呼ばれる)、N-ビニルメチル-2-イミダゾール、N-ビニルエチル-2-イミダゾール、N-ビニルフェニル-2-イミダゾール、N-ビニルジメチル-2,4-イミダゾール、N-ビニルベンズイミダゾール、N-ビニルイミダゾリン(ビニル-1-イミダゾリンとも呼ばれる)、N-ビニルメチル-2-イミダゾリン、N-ビニルフェニル-2-イミダゾリンおよびビニル-2-イミダゾールである。
【0117】
特に、ラクタムから誘導されるモノマーの具体例として挙げられるのは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルメチル-5-ピロリドン、N-ビニルメチル-3-ピロリドン、N-ビニルエチル-5-ピロリドン、N-ビニルジメチル-5,5-ピロリドン、N-ビニルフェニル-5-ピロリドン、N-アリルピロリドン、N-ビニルチオピリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルジエチル-6,6-ピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルメチル-7-カプロラクタム、N-ビニルエチル-7-カプロラクタム、N-ビニルジメチル-7,7-カプロラクタム、N-アリルカプロラクタム、N-ビニルカプリロラクタムである。
【0118】
カルバゾールから誘導されるモノマーの中からは、特に、N-ビニルカルバゾール、N-アリルカルバゾール、N-ブテニルカルバゾール、N-ヘキセニルカルバゾール、およびN-(メチル-1-エチレン)カルバゾールが挙げられる。共重合可能なビニルカルボン酸の中からは、特に、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、およびそれらの適切な塩、エステルまたはアミドを挙げることができる。また、(メタ)アクリル酸のエポキシ置換、オキシ置換もしくはアルコキシ置換されたアルキルエステル、つまりグリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルメタクリレート、2-(エトキシエチルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-[2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ]エチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル-1-(メタ)アクリレート、2-アルコキシメチルエチル(メタ)アクリレート、2-ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレートも挙げることができる。
【0119】
また、(メタ)アクリル酸のアミン置換されたアルキルエステル、つまり2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-ジメチルアミノ-2、2-ジメチルプロピル1-(メタ)アクリレート、3-ジメチルアミノ-2、2-ジメチルプロピル1-(メタ)アクリレート、2-モルホリノエチル(メタ)アクリレート、2-tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、3-(ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノエトキシエチル)(メタ)アクリレートを挙げることもできる。
【0120】
(メタ)アクリルアミドの代表例として、次のモノマーを挙げることができる:N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N-デシル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)-2,2-ジメチルプロピル]メタクリルアミド、N-[2-ヒドロキシエチル](メタ)アクリルアミド。
【0121】
特に、GMA(グリシジルメタクリレート)、マレイン酸誘導体、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸(MA)、メチルマレイン酸無水物、マレイミド、メチルマレイミド、マレイン酸アミド(MA)、フェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミド、フマル酸誘導体、メタクリル酸無水物、アクリル酸無水物からなる群から選択される「接着促進モノマー」(ii)を使用することが有利である。
【0122】
好ましくは、接着促進モノマー(ii)は無水マレイン酸である。
【0123】
アルキルアクリレート(iv)は、接着促進コポリマーのレオロジー特性を改善するために、任意に5.0質量%までの量で組み込まれてもよい。エステル基に1~6個の炭素原子を有するアルキルアクリレートは、例えば、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ならびに好ましくはブチルアクリレートおよび特に好ましいメチルアクリレートであってよい。
【0124】
好ましい実施態様では、接着促進コポリマーは、コポリマーの質量に基づいて、以下のものを含む:
(i)50.0~95.0質量%、好ましくは60.0~90.0質量%、より好ましくは70.0~85.0質量%、さらに好ましくは70~80質量%のメチルメタクリレート;
(ii)0.2~25.0質量%、好ましくは0.5~20.0質量%、より好ましくは1.0~15.0質量%、さらにより好ましくは5.0~12.0質量%の無水マレイン酸;
(iii)0.0~25.0質量%、好ましくは2.0~15.0質量%の、ビニル官能基以外の官能基を有していない他のビニル共重合性モノマー。
【0125】
特に好ましい態様において、接着促進コポリマーは、MMA、スチレンおよび無水マレイン酸のコポリマーである。
【0126】
接着促進コポリマーは、ラジカル重合によって自体公知の方法で得ることができる。例として、欧州特許出願公開第264590号明細書は、非重合性有機溶媒の存在下または非存在下で重合を50%の転化率まで実施し、有機溶剤の存在下に75~150℃の温度範囲で少なくとも50%の転化率を超えて重合を継続し、次いで低分子量の揮発性成分を蒸発させることにより、メチルメタクリレート、ビニル芳香族化合物、無水マレイン酸、および、適当な場合には、低級アルキルアクリレートからなるモノマー混合物からコポリマーを製造する方法を記載している。
【0127】
特開昭60-147417号公報には、溶液重合または塊状重合に適した重合反応器中に、100~180℃の温度で、メチルメタクリレート、無水マレイン酸および少なくとも1種のビニル芳香族化合物からなるモノマー混合物を供給し、材料を重合することにより、好適な接着促進コポリマーを製造する方法が記載されている。ドイツ特許出願公開第4440219号明細書は、さらなる製造法を記載している。
【0128】
本発明の箔には、欧州特許第264590号公報および特開昭60-147417号公報に記載されている接着促進コポリマーを有利に用いることができる。
【0129】
フルオロボマー
本発明の箔の意図される用途に応じて、フルオロポリマーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、またはそれらの混合物またはコポリマーから選択することができる。本発明の箔の耐候安定性をさらに改善するために、フルオロポリマーは、共重合されたUV吸収剤をさらに含んでいてもよい。
【0130】
箔に使用されるPVDFポリマーは、一般に透明で半結晶性の熱可塑性フルオロプラスチックである。有利には、PVDFは高い結晶融点を有する。箔の耐熱性は、PVDFの結晶融点が少なくとも150℃であり、より好ましくは少なくとも160℃である場合に特に高い。結晶性融着点の上限は、PVDFの結晶融点に等しい約175℃であることが好ましい。PVDFの質量平均分子量Mwは、GPCで測定して、50000~300000g/mol、より好ましくは80000~250000g/mol、さらにより好ましくは150000~250000の範囲であることが好ましい。
【0131】
PVDFの基本単位はフッ化ビニリデンであり、これは特定の触媒により制御された圧力および温度条件下で重合されて、高純度の水中のPVDFが得られる。フッ化ビニリデンは、たとえば、出発物質としてフッ化水素およびメチルクロロホルムから、前駆体としてクロロジフルオロエタンを使用して得ることができる。原則として、Arkemaが製造しているKynar(登録商標)グレード、Dyneonが製造しているDyneon(登録商標)グレード、またはSolvayが製造しているSolef(登録商標)グレードのような任意の商業グレードのPVDFが、本発明での使用に適している。例えば、次の市販製品を使用することができる:ARKEMAが製造しているKynar(登録商標)720(フッ化ビニリデン含量:100質量%、結晶融点:169℃)およびKynar(登録商標)710(フッ化ビニリデン含量:100質量%、結晶融点:169℃);KUREHA Corporationが製造しているT850(フッ化ビニリデン含有量:100質量%、結晶融点:173℃);Solvay Solexisが製造しているSolef(登録商標)1006(フッ化ビニリデン含有量:100質量%、結晶融点:174℃)およびSolef(登録商標)1008(フッ化ビニリデン含有量:100質量%、結晶融点:174℃)。
【0132】
PVDFは、モノマーの結合モードとして、ヘッド-ヘッド結合、テール-テール結合およびヘッド-テール結合という3つの結合モードを有しており、ここで、ヘッド-ヘッド結合とテール-テール結合は、「ヘテロ結合」と呼ばれている。層Aの耐薬品性は、PVDF中の「ヘテロ結合率」が10モル%以下である場合に特に高い。ヘテロ結合の速度を低下させる観点から、PVDFは懸濁重合により製造された樹脂であることが好ましい。
【0133】
ヘテロ結合の速度は、欧州特許出願公開第2756950号明細書に規定されているようにPVDFの19F-NMRスペクトルのピークから決定することができる。
【0134】
典型的には、フルオロポリマーは架橋されず、従って熱可塑性加工に適している。
【0135】
PVDFは、層Aの透明度が劣化しない程度まで平坦化剤(flatting agent)を含んでいてもよい。平坦化剤としては、有機平坦化剤および無機平坦化剤を用いることができる。
【0136】
一実施形態では、フルオロポリマーは、主に非晶質であるか、または5より小さいヘイズ値を有する微結晶性PVDFである。この目的のために、ASTM D1003に従って23℃で30μm厚の純粋なフルオロポリマー(PVDF)箔上でヘイズ値が測定される。適切に低いヘイズ値を有する特に良好な適合性を有するPVDFのタイプの例は、SolvayからのSolef(登録商標)6008、KurehaからのT850およびArkemaからのKynar(登録商標)9000HDである。
【0137】
ガラスビーズ
フルオロポリマーをベースとする層Dは、存在する場合、任意にガラスビーズを含むことができる。この実施形態では、層Dのポリマーマトリックス中に分散されたガラスビーズの含有量は、通常、層Dの総質量に基づいて、3.0~30.0質量%、より好ましくは5.0~20.0質量%、特に好ましくは7.0~15.0質量%である。
【0138】
さらに、ガラスビーズを層A中の第1のUV吸収剤として使用してもよい。
【0139】
ガラスビーズは、少なくとも約4:1、より好ましくは少なくとも約2:1のアスペクト比を有することができ、理想的には、ガラスビーズは、実質的に球状、すなわち、約1:1のアスペクト比を有する。
【0140】
ガラスビーズは、有利には、狭い粒度分布を有する。粒度分布は、Malvern粒子サイズ分析器のような従来の装置、例えばMastersizer 2000によって測定することができ、典型的には、ガラスビーズは、中実(すなわち、中空でない)ガラスビーズであり、いかなる化学組成物にも限定されず、平滑な表面またはエッチングされた表面を有することができる。表面エッチングは通常、所望の表面のエッチングの程度を与えるのに十分な時間にわたって、ガラスビーズを硝酸と接触させることによって実施することができる。ガラスビーズとフルオロポリマー系のマトリックスとの間の最適な接着を達成するために、ガラスビーズはまたシロキサン層を有していてもよい。
【0141】
箔の所望の光学特性および所望の表面粗さに依存して、ガラスビーズのサイズ(平均直径、質量平均)は、典型的には、2.0μm~30.0μm、好ましくは3.0μm~20.0μm、さらにより好ましくは5.0μm~15.0μmとなるように選択される。典型的には、2.0μm未満の平均直径を有するガラスビーズが使用される場合、得られた箔の表面はもはや艶消し表面とはならない。一方、30.0μm以上の平均直径を有するガラスビーズを使用すると、比較的高い表面粗さが得られ、これは多くの用途にとって望ましくない。
【0142】
いわゆるd50値(粒子の50容量%が特定の平均粒径未満の粒径を有する)として示されるガラスビーズの大きさは、レーザ回折測定ISO 13320(2009)の標準規格に従って測定することができる。典型的には、ガラスビーズのサイズは、それぞれの場合(酢酸ブチル屈折率:1462における粒子の分散において)、Malvern Mastersizer 2000を用いて、2000回転/分でミニ分散用MS1を用い、フラウンホーファーによる評価によって決定される。この目的のための、同様に適した機器は、Beckman Coulter LS 13 320レーザ回折粒子サイズ分析器である。
【0143】
箔の良好な機械的特性を達成するためには、ガラスビーズは好ましくは非中空、すなわち中実である。
【0144】
20℃におけるNa-D線(589nm)について測定されたガラスビーズの屈折率は、フルオロポリマー系の層A中のポリマー材料マトリックスの屈折率とは、0.01~0.2単位異なるように選択される。
【0145】
ガラスビーズの化学組成は特に限定されず、実質的に任意の商業的に入手可能な種類のガラスを使用することができる。これらには、特に溶融シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、鉛酸化物ガラス、アルミノケイ酸ガラス、および酸化物ガラスが含まれ、ソーダ石灰シリカガラスの使用が特に好ましい。
【0146】
ソーダ石灰シリカガラスの屈折率は、通常、1.51~1.52である。特に好ましい実施態様では、ガラスビーズは以下の組成を有している:
SiO2 70.0~75.0質量%
Na2O 12.0~15.0質量%
K2O 0.0~1.5質量%
CaO 7.0~12.0質量%
MgO 0.0~5.0質量%
Al2O3 0.1~2.5質量%
Fe2O3 0.0~0.5質量%。
【0147】
適切なガラスビーズの例は、Potters Industries LLC.から入手可能なSpheriglass(登録商標)、たとえばSpheriglass(登録商標)7025およびSpheriglass(登録商標)5000、またはSovitec Mondial S.A.から入手可能なOmicron(登録商標)NP3およびOmicron(登録商標)NP5である。さらに、10μm未満の粒径を有する着色ガラスビーズの使用は、効率的なUV吸収および可視光の高い透過度の点で特に有利である。この目的のためのガラスの選択は特に限定されないが、Schott AG(ドイツ国Mainz在)から入手可能)GG395、GG400、GG420、GG435、GG475、OG515、OG530のようなガラス種は、特に有用であることが示された。
【0148】
箔の特性
典型的には、本発明の箔は、350nm~390nmの波長範囲で、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下の平均透過率を有する。
【0149】
既に概説したように、本発明の箔は、優れた耐候安定性および機械的特性を有する。特に、標準ISO 527-3(2003)に記載されているような一般的な方法によって測定された箔の破断時の伸びは、標準ISO 4892-2(2013)、方法A、サイクル1に従って実施された、6000時間の促進耐候性試験の後に、当初の箔の破断時の伸びの少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%である。
【0150】
さらに、多層箔中で比較的少量の第1のUV吸収剤および第2のUV吸収剤を使用しても、標準ISO 4892-2(2013)、方法A、サイクル1に従って実施された、15000h(放射露光30GJ/m2)にわたる促進耐候性試験の後で、任意の波長λにおける箔の光学透過率は、通常、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下であり、ここで、270nm≦λ≦370nmである。
【0151】
耐候性試験は、DIN EN ISO 4892-2(2013)に従って実施され、方法Aは以下の条件の下でサイクルNo.1で実施される:
露光期間(乾燥/水噴霧)[min]102/18
黒色標準温度[℃]65±3
放射照度(300~400nm)[W/m2]60±2
相対湿度[%]65±10
チャンバー空気温度[℃]38±3。
【0152】
典型的には、本発明の箔は、標準規格DIN EN ISO 13468-2(2006)による耐候性試験の前に測定された、400nm~800nmの各波長に関して、60%を超える、好ましくは70%を超える、より好ましくは80%を超える光透過率(D65)を有する。
【0153】
箔の製造方法
意図された用途に応じて、本発明の箔は、実質的に任意の所望の厚さで製造することができる。ここで驚くべき要因は、優れた耐候性および機械的安定性を得ることができる性能であり、非常に高い耐候性および機械的保護が基材に提供されることである。しかし、本発明の目的にとっては、10.0~200.0μmの範囲の厚さ、好ましくは40.0~120.0μm、特に好ましくは50.0~90.0μmの範囲の厚さを特徴とする比較的薄い箔が好ましい。
【0154】
層の個々の成分の混合物は、粉末状、顆粒状、または好ましくはペレット状である成分を乾式混合することによって調製することができる。このような混合物はまた、個々の成分の溶融および溶融状態での混合によって、または個々の成分の乾燥プレミックスを溶融することにより、使用準備が整った(ready-to-use)成形組成物を与えることができる。一例として、これは単軸もしくは二軸スクリュー押出機で行うことができる。次いで、得られた押出成形体をペレット化してもよい。従来の添加剤、助剤および/または充填剤は、必要に応じて最終的な使用者によって直接またはその後に添加されてもよい。
【0155】
次に、本発明の多層箔は、それ自体公知の方法によって製造することができ、その例は共押出または積層であり、または押出積層法によって製造することができる。
【0156】
基材上への箔の適用
本発明の箔は広範囲の用途を有する。箔の1つの好ましい使用は、プラスチック成形体または金属物品のコーティングである。特に、箔によって保護される基材は、メラミン樹脂含浸紙、任意に繊維強化されたポリマー材料、好ましくはポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)またはポリプロピレン(PP)または金属、好ましくは鋼またはアルミニウムであり、共押出箔は基材に直接塗布される。
【0157】
ここで、PVCを含むか、またはPVCから構成されるプラスチック成形体を被覆することが特に有利である。保護された基材は、有利には、例えば、アルミニウム、木材、プラスチックまたは複合材料からなる窓形状であり、好ましくはPC、SANまたはPVCからなる装飾箔を有していてもよい。次いで、本発明の箔を使用することにより、この物品は風化から保護される。本発明の箔の別の好ましい使用は、基材材料のための高仕様、耐久性のある表面仕上げの設計である。さらに、箔は、交通制御材料(TCM)において有利に使用することができる。
【0158】
当業者には容易に理解されるように、本発明の箔は、層Aが被覆された基材の外側表面に向けられるように、基材に適用される。換言すれば、本発明の箔が実質的に層Aおよび層Bからなる場合、層Bは層Aと基材との間に位置する。本発明の箔が層Cをさらに含む実施形態では、層Cは、層Bと被覆された基材の表面との間に位置する。
【0159】
本発明のさらなる態様は、箔を前記基材の表面上に適用する工程を含む、被覆物品の製造方法である。この被覆物品は、基材を含み、外側表面を有し、基材は、少なくとも部分的に箔によって被覆され、前記箔は、被覆物品の外表面から始まり、次の順序で配置された層を有する:
・存在する場合には、層D
・層A
・存在する場合には、層E
・層B、および
・存在する場合には、層C。
【0160】
本発明の箔を基材上に適用することは、全ての場合に比較的簡単である。箔は、好ましくは、保護されるべき材料に共押出しする手段によって塗布される。保護されるべき材料への箔積層による箔の適用も可能である。また、箔は、保護されるべき材料に押出ラミネートにより適用されることを特徴とする使用にも与えられる。好ましくは、押出積層は、120℃以上で、好ましくは1MPa以上、好ましくは2MPa以上、より好ましくは4MPa以上、より好ましくは6MPa以上、より好ましくは7MPa以上の機械的圧力を加えることにより行われる。
【0161】
本発明の1つの実施形態では、物品自体が箔またはシートであってもよく、これはロールの形で便利に保管および/または取り扱うことができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、本発明の被覆物品は、高圧ラミネート(HPL)、中圧ラミネート(MPL)または連続圧力ラミネート(CPL)であってもよい。特に好ましい実施態様では、本発明の箔を使用して得ることができる多層材料は、繊維材料のウェブ(たとえば紙)の層から構成され、硬化性樹脂が含浸された、EN 438-6による装飾的な高圧ラミネート(HPL)であり、これは、以下に記載する高圧法によって互いに接着される。材料の表面層は、その一方または両方が、装飾的な色または模様を有しており、アミノプラスチック、例えばメラミン樹脂をベースとする樹脂で含浸される。高圧プロセスの間、装飾層に存在するこれらのアミノ基またはメチロールアミノ基は、表面仕上げ用のポリメタクリレート層(この場合は箔)との共有結合のための反応相手として働く。対応する高圧ラミネートは、とりわけ、米国特許出願公開第2017/0197391号明細書に記載されている。
【0163】
従って、本発明の一態様は、上記の箔を用いた高圧ラミネートの製造方法に関する。
【0164】
高圧プロセスは、本発明により適用される装飾層とポリメタクリレート層との間に長期間の結合を生じる。この方法の間に設定される温度およびメラミン樹脂で飽和した化粧紙の箔への相互浸透は、共有結合を十分に形成し、したがって材料への長期間の結合を確実にする。
【0165】
高圧プロセスは、熱(120℃以上の温度)と高圧(3MPa以上)とを同時に使用することとして定義され、その結果、硬化性樹脂が流動し、次いで硬化して、必要な表面構造を有する比較的高密度(少なくとも1.35g/cm3)の均質な非多孔質材料が製造される。
【0166】
典型的には、本発明の被覆物品は、多層箔内に以下の層の配置を有する:
存在する場合には、層Dは、被覆物品の外表面を形成する;
層Aは、層Dと基材との間に位置している;
層Eは、存在する場合には、層Aと層Bとの間に位置している;
層Bは、層Aと基材との間に位置している;および
層Cは、存在する場合には、層Bと基材との間に位置している。
【0167】
以下の実施例は、本発明を制限することなく、より詳細に説明するものである。
【実施例】
【0168】
耐候性試験は、DIN EN ISO 4892-2(2013)、方法A、サイクルNo.1に従って、以下の条件の下に300~400nmの波長範囲で実施した:
露光期間(乾燥/水噴霧)[min]102/18
黒色標準温度[℃]65±3
放射照度(300~400nm)[W/m2]60±2
相対湿度[%]65±10
チャンバー空気温度[℃]38±3。
【0169】
光学的評価は、0h、1000h、2000h、4000h、6000h、8000h、10000h、12000h、14000h、16000h後に行った。
【0170】
保護箔は、直径35mmの単一スクリュー共押出機と、直径25mmの単一スクリュー共押出機とを使用して、押出速度7.3m/分、240~250℃(溶融温度)でチルロール法を使用して製造され、3層箔の場合、第2の直径25mmの単一スクリュー共押出機を使用した。あるいは、多マニホールド式の共押出法、またはアダプターと多マニホールド式共押出との組合せによって製造することができる。
【0171】
使用される接着促進剤は、75質量%のMMAと、15質量%のスチレンと、10質量%の無水マレイン酸とのコポリマーであった。このコポリマーの質量平均分子量Mwは約100000g/mol(PMMA標準に対するGPCにより測定)であった。
【0172】
促進耐候性試験は、上記の標準規格ISO 4892-2(2013)に従って行われた。
【0173】
製造例1(国際公開第2007/0074138号による比較箔)
総厚さが53μmであるPMMA単層箔を、直径35mmの単軸スクリュー押出機および直径25mmの単軸スクリュー共押出機を用いて、240~250℃(溶融温度)において押出速度7.3m/分で押出成形することにより製造した。
【0174】
単層箔は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.7質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 1.0質量%、
d)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1600(6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン) 0.7質量%、
e)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.3質量%。
【0175】
実施例2(本発明による箔)
実施例1と同様の条件で共押出しにより、厚さ53μmのPMMA系2層箔を製造した。
【0176】
層Aの厚さは23μmであり、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.7質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1600 1.72質量%、
d)Sabo S.p.Aから入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119 0.3質量%。
【0177】
波長360nmにおける層Aの透過率は1.7%であった。任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦360nmであった。
【0178】
層Bの厚さは30μmであり、以下の組成は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.7質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)360 1.7質量%、
d)Sabo S.p.Aから入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119 0.3質量%。
【0179】
任意の波長λBにおける層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λB≦370nmであった。
【0180】
製造例3(比較箔)
実施例1と同様の条件で共押出しにより、厚さ58μmのPMMA系2層箔を製造した。
【0181】
層Dの厚さは5mμであり、以下の組成を有していた:
a)株式会社クレハから入手可能なKFポリマー850PVDF 100.0質量%。
【0182】
層Cの厚さは53mμであり、以下の組成は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.7質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 1.0質量%、
d)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1600(6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン) 0.7質量%、
e)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.3質量%。
【0183】
実施例4(本発明による箔)
実施例1と同様の条件で共押出しにより、厚さ58μmのPMMA系3層箔を製造した。
【0184】
層Dの厚さは5μmであり、以下の組成を有していた:
a)株式会社クレハから入手可能なKFポリマー850PVDF 100.0質量%。
【0185】
層Aの厚さは23μmであり、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.7質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1600 1.72質量%、
d)Sabo S.p.Aから入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119 0.3質量%。
【0186】
360nmの波長における層Aの透過率は1.7%であった。任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦360nmであった。
【0187】
層Bの厚さは30μmであり、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.35質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)360 2.05質量%、
d)Sabo S.p.Aから入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119 0.3質量%。
【0188】
任意の波長λBにおける層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λB≦370nmであった。
【0189】
製造例5(比較箔)
実施例1と同様の条件で共押出しにより、厚さ58μmのPMMA系2層箔を製造した。
【0190】
層Dの厚さは5μmであり、以下の組成を有していた:
b)株式会社クレハから入手可能なKFポリマー850PVDF 100.0質量%。
【0191】
層Cの厚さは53μmであり、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 83.0質量%、
b)接着促進剤 15.0質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 1.0質量%、
d)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1600(6-[4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,2-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イリデン]-3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]シクロヘキサ-2,4-ジエン-1-オン) 0.7質量%、
e)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.3質量%。
【0192】
実施例6(本発明による箔)
実施例1と同様の条件で共押出しにより、厚さ58μmのPMMA系3層箔を製造した。
【0193】
層Dの厚さは5μmであり、以下の組成を有していた:
c)株式会社クレハから入手可能なKFポリマー850PVDF 100.0質量%。
【0194】
層Aの厚さは23mμであり、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.7質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.3質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1600 1.72質量%、
d)Sabo S.p.Aから入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119 0.3質量%。
【0195】
360nmの波長における層Aの透過率は1.7%であった。任意の波長λAにおける層Aの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λA≦360nmであった。
【0196】
層Bの厚さは30μmであり、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 82.65質量%、
b)接着促進剤 15.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)360 2.05質量%、
d)Sabo S.p.Aから入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119 0.3質量%。
【0197】
370nmにおける層Bの透過率は0.7%であった。任意の波長λBにおける層Bの分光透過率は10%以下であり、ここで、270nm≦λB≦370nmであった。
【0198】
次いで、製造例1、2、3および4の箔をPVC装飾箔上に積層し、一方、製造例2の層Bと共にPVC箔上に積層した(例2a)。比較例として、製造例2の箔を、層Aと共にPVC箔上に積層した(例2b)。製造例3および4の箔を、層Cと共に、または実施例4の場合は層Bと共に、PVC箔上に積層した(例3および4)。
【0199】
製造例5および6の箔を、HPLの製造のために使用した。樹脂含浸紙の層と、重ね合わせた保護箔(製造例5および6)とを同時に積層することにより、HPLを製造した。コア層は、フェノール樹脂含浸紙から構成されていた。これらと保護箔との間には、メラミン樹脂含浸化粧紙が存在していた。無煙炭着色したHPLを調製し、その後の試験に使用した。
【0200】
例1、2aおよび2b、3、4、5および6の試料を、標準規格ISO 4892-2(2013)、方法1に従って、促進耐候性試験に供した。引き続き、各試料の色差ΔE CIELAB 1976(D65、10°)を、標準規格DIN EN ISO 1164-4:2011-07に従って測定した。
【0201】
得られたデータを以下の第1表にまとめた:
【表1】
【0202】
例1、2bおよび3(比較例)では、箔によって提供される360nm未満の波長でのUV保護は、中程度であり、したがって約10000時間後には2を超える色差、約15000時間後には、3を超える色差が観察された。例5(比較例)では、箔によって提供される360nm未満の波長でのUV保護は中程度であり、従って約20000時間後には2.5を超える色差が観察された。これらの値は、肉眼であっても、PVC装飾箔またはHPL上のインクのUV損傷として観察者によって容易に認識可能である。
【0203】
対照的に、例2a、4および6(本発明の実施例)の箔によって提供されるUV保護は、著しく良好なUV保護を提供する。20000時間後でさえ、検出された色差は2未満、すなわち、実質的に観察者には見えないものであった。箔の目に見える損傷は生じなかった。
【0204】
製造例7~16では、保護箔は、直径35mmの単軸スクリュー押出機を用いて、押出速度7.3m/分、240~250℃(溶融温度)でチルロール法を用いて単層箔を押出成形することにより製造された。異なる耐候性挙動を比較するために、全てのUV吸収剤を含む単層箔を、それぞれが使用されたUV吸収剤の1つを阻害する、積層された層からなる箔と比較した。例えば、3つのUV吸収剤を有する90μm単層箔を、各々がUV吸収剤の1つを含む3つの層から作られた90μm箔と比較した。積層は、140℃でプレスを使用して行われ、その中で、それぞれ30μmの厚さを有する積層された単層箔は、最大プレス時間1分で一緒にプレスされた。
【0205】
2枚のゴム板と分離シートとの間に箔を配置して、
図1に示すように、箔がゴム板に付着するのを防止した。
【0206】
気泡を有する積層箔の部分を切断し、得られた多層箔の厚さを測定した。
【0207】
あるいは、多マニホールド式の共押出法により、またはアダプターと多マニホールド式の共押出との組合せにより製造を行うことができる。
【0208】
製造例7(比較箔)
総厚さが90μmであるPMMA単層箔を、直径35mmの単軸スクリュー押出機を用いて、240~250℃(溶融温度)、押出速度7.3m/分で押出成形することにより製造した。
【0209】
単層箔は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.69質量%、
b)Roehm GmbH(ドイツ国Darmstadt在)から入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 0.67質量%、
d)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 0.66質量%、
e)Croda GmbH(ドイツ国Nettetal在)から入手可能なSolaSorb(登録商標)UV200Fを使用することによりナノスケールの酸化亜鉛 0.66質量%、
f)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0210】
製造例8(比較箔)
全厚みが60μmであるPMMA単層箔を、実施例7と同様の条件で押出成形することにより製造した。
【0211】
単層箔は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 1.00質量%、
d)Croda GmbHから入手可能なSolaSorb(登録商標)UV200Fを使用することによりナノスケールの酸化亜鉛 1.00質量%、
f)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0212】
製造例9(比較箔)
実施例7と同様の条件で押出成形することにより、全厚さ90μmのPMMA単層箔を製造した。
【0213】
単層箔は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.68質量%、
b)Roehm GmbH(ドイツ国Darmstadt在)から入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 0.67質量%、
d)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 0.66質量%、
e)EUTEC CHEMICAL CO.LTD.から入手可能なEusorb(登録商標)BLA 4200M(Tinuvin(登録商標)329およびHostavin(登録商標)B-CAPを含有する市販品) 0.67質量%、
f)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0214】
製造例10(比較箔)
実施例7と同様の条件で押出成形することにより、全厚さ90μmのPMMA単層箔を製造した。
【0215】
単層箔は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 86.13量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.193質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 0.67質量%、
d)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 0.66質量%、
e)BASF SEから入手可能なOracet Yellow 180(1,8-ビス(フェニルチオ)アントラキノン;1,8-ビス(フェニルチオ)-9,10-アントラセンジオン) 0.017質量%、
f)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0216】
製造例11(比較箔)
実施例7と同様の条件で押出成形することにより、全厚さ60μmのPMMA単層箔を製造した。
【0217】
単層箔は以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 86.3質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.325質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 1.02質量%、
d)BASF SEから入手可能なOracet Yellow 180(1,8-ビス(フェニルチオ)アントラキノン;1,8-ビス(フェニルチオ)-9,10-アントラセンジオン) 0.025質量%、
f)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0218】
製造例12(本発明の箔)
上記の条件に従って、厚さ30μmの単層箔を3つ積層することによって、全厚さが90μmであるPMMA3層箔を製造した。
【0219】
3層箔は以下の組成を有していた:
1.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、30μmの厚さを有する単層箔を製造した。これは、以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)Croda GmbHから入手可能なSolaSorb(登録商標)UV200Fを使用することによりナノスケールの酸化亜鉛 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0220】
2.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、30μmの厚さを有する単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0221】
3.実施例7と同じ条件で押出成形することにより、30μmの厚さを有する単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成物を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0222】
製造例13(本発明の箔)
上記の条件に従って、厚さ30μmの単層箔を2つ積層することによって、60μmの全厚さを有するPMMA2層箔を製造した。
【0223】
前記2層箔は以下の組成を有していた:
1.実施例7と同じ条件で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)Croda GmbHから入手可能なSolaSorb(登録商標)UV200Fを使用することによりナノスケールの酸化亜鉛 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0224】
2.実施例7と同じ条件で押出成形することにより、厚さ30μmの単層泊を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成物を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0225】
製造例14(本発明の箔)
上記の条件に従って厚さ30μmの単層箔を3つ積層することによって、全体の厚さが90μmであるPMMA3層箔を製造した。
【0226】
3層箔は以下の組成を有していた:
1.実施例7と同じ条件で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0227】
2.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 2.00質量%
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0228】
3.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)Eutec Chemical Co.Ltd.から入手可能なEusorb(登録商標)BLA4200M(Tinuvin(登録商標)329とHostavin(登録商標)B-CAPとを含有する市販品) 2.00質量%
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0229】
製造例15(本発明の箔)
上記の条件に従って厚さ30μmの単層箔を3つ積層することによって、全体の厚さが90μmであるPMMA3層箔を製造した。
【0230】
3層箔は以下の組成を有していた:
1.実施例7と同じ条件で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)1577(2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール) 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0231】
2.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SE(ドイツ国Ludwigshafen在)から入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 2.00質量%
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0232】
3.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 86.97質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.65質量%、
c)BASF SEから入手可能なOracet Yellow(1,8-ビス(フェニルチオ)アントラキノン;1,8-ビス(フェニルチオ)-9,10-アントラセンジオン) 0.05質量%
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0233】
製造例16(本発明の箔)
上記の条件に従って厚さ30μmの2つ積層することによって、総厚さが60μmであるPMMA2層箔を製造した。
【0234】
この2層箔は以下の組成を有していた:
1.実施例7と同じ条件で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 85.67質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.0質量%、
c)BASF SEから入手可能なTinuvin(登録商標)360(フェノール-2,2′-メチレン-ビス(6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)) 2.00質量%、
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【0235】
2.実施例7と同じ条件下で押出成形することにより、厚さ30μmの単層箔を製造した。これは以下の組成を有していた:
a)メチルメタクリレート 61.3質量%、ブチルアクリレート 38.0質量%、アリルメタクリレート 0.7質量%の組成を有するポリマーアクリルコアシェル耐衝撃性改良剤 86.97質量%、
b)Roehm GmbHから入手可能なPLEXIGLAS(登録商標)7H 12.65質量%、
c)BASF SEから入手可能なOracet Yellow(1,8-ビス(フェニルチオ)アントラキノン;1,8-ビス(フェニルチオ)-9,10-アントラセンジオン) 0.05質量%
d)Sabo S.p.A(イタリア国Levate在)から入手可能なSabo(登録商標)stab UV 119(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン、N2,N2″-1,2-エタンジイルビス[N2-[3-[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N′,N″-ジブチル-N′,N″-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)) 0.33質量%。
【符号の説明】
【0236】
1 鋼板
2 ゴム板
3 分離紙
4 単層箔1
5 単層箔2