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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】流体製品を吐出するための装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20230101AFI20231228BHJP
   F04B 13/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B05B11/00 101G
F04B13/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021535883
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 FR2019053079
(87)【国際公開番号】W WO2020128269
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】1873361
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリュネ ドミニク
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04245967(US,A)
【文献】特開平09-103718(JP,A)
【文献】特開2002-035654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B11/00-11/10
F04B 9/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体製品を吐出するためのポンプであって、
入口弁(20)によって閉じられる開口部(29)を含むポンプ本体(14)と、
中空ロッド(15)の周囲で、前記ポンプ本体(14)内において密閉状態で摺動し、半径方向外側縁部に前記ポンプ本体(14)に対する密閉を確実にするための外側シールリップ(16a)が設けられ、半径方向内側縁部に前記中空ロッド(15)に対する密閉を確実にするための内側シールリップ(31)が設けられているピストン(16)と、
前記ピストン(16)の前記内側シールリップ(31)と協働するグランド(32)と、
前記中空ロッド(15)と前記ピストン(16)との間に配置された作動ばね(24)と、
戻りばね(25)と、
を備え、
前記入口弁(20)は、前記ポンプ本体(14)内に固定された弁ホルダー(21)によって所定の位置に保持されており、
前記戻りばね(25)は、前記弁ホルダー(21)と前記中空ロッド(15)との間に配置され、前記ピストン(16)をその静止位置に向けて付勢し、
前記中空ロッド(15)には、その軸方向の下側が閉じられ、半径方向オリフィス(15b)を介して前記中空ロッド(15)の外側と連通している内部軸方向チャネル(15a)が設けられ、
前記弁ホルダー(21)は、作動位置で前記中空ロッド(15)を受け入れる軸方向スリーブ(21c)を含み、前記軸方向スリーブ(21c)は、少なくとも1つの軸方向リブ(21a)を含み、当該ポンプの作動位置において、前記中空ロッド(15)の軸方向下端部(15c)と前記弁ホルダー(21)の少なくとも1つの前記軸方向リブ(21a)とで機械的停止機構を形成することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記軸方向スリーブ(21c)は、少なくとも2個の前記軸方向リブ(21a)を含む
請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
4個の前記軸方向リブ(21a)が、前記弁ホルダー(21)の軸方向開口部(21d)の周囲に、2個ずつごとに、各軸方向リブ(21a)が反対方向に延出されてなる
請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記軸方向スリーブ(21c)に貫通孔(21b)が形成されており、作動位置での液体の通過を確実にする
請求項1~3のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項5】
前記ポンプ本体(14)を容器に固定するために設けられ、前記容器との間にネックシール(11)が挿入されている固定リング(10)と、前記固定リング(10)を前記ポンプ本体(14)に確実に密閉するためのリングシール(13)と、が設けられている
請求項1~4のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項6】
前記静止位置において、前記ピストン(16)の軸方向上端部(16b)が、前記リングシール(13)と密閉状態で協働する
請求項5に記載のポンプ。
【請求項7】
前記ポンプ本体(14)に通気孔(35)が設けられており、当該ポンプによって排出された製品が作動時ごとに空気によって置き換えられることを可能にする
請求項1~6のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のポンプを含むことを特徴とする流体製品吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体製品を吐出するためのポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、ポンプを備えた装置が記載されている。このポンプには、ポンプ本体が設けられており、ポンプ本体内で移動可能なピストンがアクチュエーターロッド上を摺動するように取り付けられ、ユーザーによってアクチュエーターロッドに加えられる付勢力がばねを介してピストンに伝達されるようになっている。その結果、アクチュエーターロッドの作動により、そのロッドに対するピストンの相対的な動きが発生する。
【0003】
しかし、このポンプにはある欠点を有する。このため、連続する投与間における投与量のばらつきが比較的大きい。特に、ユーザーによる非軸方向の作動があった場合、ポンプの動作は悪影響を受ける可能性がある。
【0004】
特許文献3、特許文献4、特許文献5および特許文献6には、他の先行技術の装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】仏国特許出願公開第2343137号明細書
【文献】仏国特許出願公開第2403465号明細書
【文献】国際公開第1992/01183号
【文献】米国特許第4856677号明細書
【文献】国際公開第2004/054724号
【文献】欧州特許第1506818号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の欠点を有さない流体吐出用のポンプを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、連続する投与間における用量再現性を改善する、流体製品を吐出するためのポンプを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、特に非軸方向の作動があった場合に、動作の信頼性を改善する、流体製品を吐出するためのポンプを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、製造および組み立てが簡単で安価な、流体製品を吐出するためのポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって本発明は、流体製品を吐出するためのポンプであって、入口弁によって閉じられる開口部を含むポンプ本体と、中空ロッドの周囲で、ポンプ本体内において密閉状態で摺動し、半径方向外側縁部にポンプ本体に対する密閉を確実にするための外側シールリップが設けられ、半径方向内側縁部に中空ロッドに対する密閉を確実にするための内側シールリップが設けられているピストンと、ピストンの内側シールリップと協働するグランドと、中空ロッドとピストンとの間に配置された作動ばねと、戻りばねと、を備える。入口弁は、ポンプ本体内に固定された弁ホルダーによって所定の位置に保持されている。戻りばねは、弁ホルダーと中空ロッドとの間に配置され、ピストンをその静止位置に向けて付勢する。中空ロッドには、その軸方向の下側が閉じられ、半径方向オリフィスを介して中空ロッドの外側と連通している内部軸方向チャネルが設けられる。弁ホルダーは、作動位置で中空ロッドを受け入れる軸方向スリーブを含み、軸方向スリーブは、少なくとも1つの軸方向リブを含む。ポンプの作動位置において、中空ロッドの軸方向下端部と弁ホルダーの少なくとも1つの軸方向リブとで機械的停止機構を形成することを特徴とする。
【0011】
好ましくは、軸方向スリーブは、少なくとも2個の軸方向リブを含む。
【0012】
好ましくは、4個の軸方向リブが、弁ホルダーの軸方向開口部の周囲に、2個ずつごとに、各軸方向リブが反対方向に延出されてなる。
【0013】
好ましくは、軸方向スリーブに貫通孔が形成されており、作動位置での液体の通過を確実にする。
【0014】
好ましくは、ポンプ本体を容器に固定するために設けられ、容器との間にネックシールが挿入されている固定リングと、固定リングをポンプ本体に確実に密閉するためのリングシールと、が設けられている。
【0015】
好ましくは、静止位置において、ピストンの軸方向上端部が、リングシールと密閉状態で協働する。
【0016】
好ましくは、ポンプ本体に通気孔が設けられており、当該ポンプによって排出された製品が作動時ごとに空気によって置き換えられることを可能にする。
【0017】
本発明は、流体製品吐出装置であって、上記のポンプを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下に示す詳細な説明および添付図面は、非限定的な例として、本発明の特徴や利点を明確にするものである。
図1】流体製品を吐出するための従来のポンプの概略断面図であり、静止位置にある状態を示す。
図2図1に類似するポンプの概略図であり、作動位置にある状態を示す。
図3】本発明の有利な実施形態にかかる、流体製品を吐出するためのポンプの概略断面図であり、静止位置にある状態を示す。
図4図3に類似するポンプの概略断面図であり、作動位置にある状態を示す。
図5図4に示すポンプの拡大部分概略図である。
図6】弁ホルダーの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明において、用語「上」、「下」、「頂」および「底」は、図1図4に示される装置の直立状態に対するものである。また、用語「軸方向」および「半径方向」は、図1に示すポンプの垂直中心軸Aに対するものである。
【0020】
各図を参照するに、ポンプはポンプ本体14を備える。
【0021】
固定リング10は、ポンプ本体14を容器(図示せず)のネックに固定するために設けられており、固定リング10と容器のネック間にはネックシール11が挿入される。リングシール13は、固定リング10のポンプ本体14との密閉を確実にする。
【0022】
ピストン16は、内部軸方向チャネル15aを備えた中空ロッド15の周囲を取り囲み、ポンプ本体14内において密閉状態で摺動する。
【0023】
ピストン16の半径方向外側縁部には、ポンプ本体14の内面との密閉を確実にするための外側シールリップ16aが形成されている。
【0024】
ピストン16の軸方向上端部16bは、静止時に、リングシール13に対する密閉を確実にする。
【0025】
内部軸方向チャネル15aは、ロッド15の軸方向頂部が開口しており、軸方向底部が閉じられ、半径方向オリフィス15bを介してロッド15の外側と連通している。
【0026】
ポンプ本体14の底部は、弁ホルダー21によって所定の位置に保持された入口弁20によって閉じられている。この入口弁は、容器の内部と連通する開口部29を閉じ、開口部29には、従来からよく知られた方法でディップチューブ29aを接続することが可能である。
【0027】
ロッド15は、作動ばね24の一端から押される肩部23を有する。作動ばね24の他端は、ピストン16を押している。この作動ばね24は、押圧力をロッド15からピストン16に伝達するために設けられている。肩部23はまた、リングシール13とストッパーを形成することにより、ロッド15の上向きの動きを制限する機能を有する。
【0028】
戻りばね25は、ピストン16を上向きに付勢し、それに伴って、作動ばね24によってロッド15が上向きに付勢される。
【0029】
ポンプが静止しているとき、ピストン16の上端部16bがリングシール13に当てられる。
【0030】
ピストン16とロッド15間の密閉は、ピストン16の内部部分、好ましくは円錐形の内側シールリップ31を形成することによって確保される。密閉性の向上のために、特定の場合(例えば、非常に流動的な製品の場合または高圧が必要な場合)、必要に応じて、ロッド15の頂部に向かう延長部16cをピストン16に設けることも可能である。
【0031】
静止時には、半径方向オリフィス15bは、内側シールリップ31に対して垂直であり、完全に閉じられるようになっている。したがって、容器の外側と内側との間の密閉は、一方ではピストン16の上端部16bとリングシール13との間の接触によって、他方では内側シールリップ31とロッド15との間の接触によって確保される。
【0032】
密閉性を向上させ、内側シールリップ31の作動性を向上するために、ポンプは、図5でより良く分かるように、ベアリングピース(bearing piece)またはグランド(gland)32を備え、その上方に、ピストン16の内側シールリップ31の傾斜に適した斜めまたはフルスト円錐形(frustoconical)の表面32aを備える。
【0033】
したがって、戻りばね25によるピストン16への付勢力は、グランド32を介してピストン16に伝達される。
【0034】
グランド32の下面32bは、ピストン16の下向きストロークを制限するために、弁ホルダー21に対するストッパーとして機能する。
【0035】
静止時には、ピストン16の上端部16bがリングシール13に適切に当接するように、戻りばね25によって加えられる力が作動ばね24によって加えられる力よりも大きくなければならない。ロッド15が押されると、作動ばね24によって加えられる力が急速に増加し、戻りばね25によって加えられる力を実質的に上回る。ばね24、25によって加えられる力の差がポンプ本体14の下部内における所望の圧力の大きさに相当する。
【0036】
ポンプ本体14には通気孔35が設けられており、ポンプによって排出された製品が作動ごとに空気によって置き換えられることを可能にしている。
【0037】
上記のポンプは以下のように作動する。静止時には、容器内の密閉は、固定リング10と容器(図示せず)との間のネックシール11によって、固定リング10とポンプ本体14との間のリングシール13によって、ピストン16の上端部16bとリングシール13との接触によって、および、ロッド15に対するピストン16の内側シールリップ31によって、確保される。
【0038】
不図示の、任意のものでよい容器は、吐出、特に噴霧される液体、特に液体の薬剤で満たされている。
【0039】
固定リング10は、金属またはプラスチックで形成されていてもよい。固定リング10は、圧着、ねじ締め、スナップ式、またはその他の方法で容器に固定することができる。
【0040】
ユーザーは、ポンプ本体14の下部が液体で満たされるまで、ポンプを作動させて空気を排出することによって、まずポンプをプライミングしなければならない。
【0041】
次に、ユーザーはロッド15を押す。液体は実質的に非圧縮性であり、ピストン16はほとんど動かず、作動ばね24が圧縮される。ロッド15の下端部がポンプ本体14内で沈下するにつれて、液体の圧力がさらに増加する。その圧力が、戻りばね25の力を除いて、作動ばね24の力と等しくなると、ピストン16はもはや降下せず、ロッド15が沈下し続けることによって、内側シールリップ31よりも下に半径方向オリフィス15bが露出する。
【0042】
液体は、オリフィス15bおよびチャネル15aを通って、ポンプ上に組み立てられたディスペンサーヘッド(図示せず)に向かって急速に排出され、その圧力は、オリフィス15bが開いている間に所望の圧力を働かせる作動ばね24によってこの作動中に一定に保たれる。ユーザーによって加えられる圧力が減少するとすぐに、またはグランド32の下面32bがホルダー21に当接すると、作動ばね24によって作動されるピストン16がオリフィス15bを閉じる。これにより流体の吐出が停止する。この動作が、各ばねの選択によって正確に決定される一定の圧力下で完全に実行される。
【0043】
その後、ユーザーはロッド15に圧力をかけるのを止める。作動ばね24が直ちに伸長し、これによりオリフィス15bが確実に閉じられ、戻りばね25がそのアセンブリを元の頂部へ戻す。液体は開口部29から入口弁20を通じて吸引され、ロッド15の周囲のリングシール13の中央開口部を通過し、通気孔35を通過した空気が、この吸引された液体に置き換わる。ピストン16の上端部16bがリングシール13と接触すると、空気はもはや入ることができず、ピストン16はブロックされ、ポンプはその静止位置に戻り、新しい作動の準備が整う。
【0044】
グランド32は、ピストン16に一纏めにして形成された内側シールリップ31とともに、経時的および温度に対する高精度な特性が必要とされない安価な材料で優れた密閉性を提供する。グランド32のサイズ、特にその軸方向の長さの選択は、ピストン16のストローク、すなわち、各作動時に吐出される用量の大きさを調整することを可能にする。したがって、単一のポンプモデルでは、グランド32の長さを適切に選択することにより、非常に異なる投与量を得ることができる。
【0045】
図1および図2に示される従来技術のポンプの1つの欠点に、投与量のばらつきに関することがある。
【0046】
投与量の大きさは、一方ではピストン16およびグランド32からなるサブアセンブリが移動したときの移動容積によって、他方ではロッド15の移動容積によって規定される。計算により、幾何学的な投与量のばらつきの88パーセント(%)がピストン16とグランド32で構成されるサブアセンブリの移動容積に由来し、このばらつきの12%がロッド15の移動容積に由来することが確認されている。
【0047】
しかし、図1および図2に示される従来技術のポンプの1つの欠点は、非軸方向の作動における動作信頼性に関係している。
【0048】
従来技術のポンプでは、ロッド15の作動ストロークにおける終端での停止が、巻き線を有する作動ばね24が完全に圧縮されることで生じる。これは、変形可能な構成要素である。なぜなら、連続して巻き回された巻き線を有していても、作動ばね24は比較的柔軟なままであるからである。それゆえ、投与の終了は、この変形可能な構成要素、および、ユーザーによる作動力および/またはばねの精度に応じた変動に依存することになる。
【0049】
さらに、ピストン16は、外側シールリップ16aを通してのみポンプ本体14の内壁と接触しており、ロッド15の良好な案内を確実にすることができない。ポンプ本体14の内壁と接触していないグランド32は、これを改善することを可能にしない。
【0050】
ロッド15に加えられる非軸方向の作動力は、巻き線を有する作動ばね24を通過し、ピストン16の内側シールリップ31とグランド32の傾斜面32aとの間の円錐間接触部分を通過する。変形しやすいこれらの柔軟な要素は、作動位置においてポンプの誤動作を引き起こし、これは傾動(tilting)とも呼ばれ、投与される用量の大きさの望ましくない変動を引き起こす可能性がある。
【0051】
本発明によれば、ロッド15の作動ストロークの終端での停止を規定するために、ロッド15の軸方向下端部15cと弁ホルダー21とでポンプの機械的停止機構(mechanical stop)が形成されている。このために、弁ホルダー21は、作動位置でロッド15を受け入れる軸方向スリーブ21c内に形成された少なくとも1つの軸方向リブ21aを含む。ロッド15の軸方向下端部15cと軸方向リブ21aとの当接部分を越えて液体が確実に通過するようにするために、図6に示されるように、軸方向スリーブ21cに貫通孔21bが形成されている。
【0052】
好ましくは、図6に示されるように、4個の軸方向リブ21aが設けられる。これらの軸方向リブ21aは、弁ホルダー21の軸方向開口部21dの周囲に、2個ずつごとに、各軸方向リブ21aが反対方向に延出された構成とすることができる。
【0053】
作動位置においてロッド15の軸方向下端部15cと弁ホルダー21の軸方向リブ21aとが当接することによりロッド15の停止をなすこの機械的停止機構は、ロッド15から弁ホルダー21を介するポンプ本体14への直接の作動力の伝達を確実にし、投与量を決めるポンプにおける柔軟な要素の変形のリスクを生じさせない。したがって、投与量の再現性が向上し、傾動によるリスクが低減される。
【0054】
図1および図2に記載の従来技術のポンプと、図3図6に記載の本発明に係るポンプとの比較試験が実行され、その結果が次の表1に示されている。
【0055】
【表1】
【0056】
本発明は、体積においてわずかに平均投与量が低くなるが、標準偏差、すなわち、投与量のばらつきは、従来技術に比べて本発明では大幅に減少することが分かる。具体的には、この投与量のばらつきは48%減少し、これは、本発明の有効性を実証し、連続する各作動間における投与量の再現性が大幅に改善される。
【0057】
本発明について、有利な実施の形態を参照して説明したが、これに限られず、当然ながら、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者によって任意の変形を適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6