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特許7411671レーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定するためのシステム、デバイス、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】レーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定するためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/41 20060101AFI20231228BHJP
   B64G 3/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G01S7/41
B64G3/00
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2021549966
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-14
(86)【国際出願番号】 US2020019513
(87)【国際公開番号】W WO2020214242
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】62/811,373
(32)【優先日】2019-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/574,464
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520137279
【氏名又は名称】レオラボズ,インコーポレイテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン,マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロスナー,クリス
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-277542(JP,A)
【文献】特開2018-008021(JP,A)
【文献】特開2001-059869(JP,A)
【文献】特開2000-128095(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0050136(US,A1)
【文献】佐藤 亨,スペースデブリの電波観測,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,1997年10月17日,第97巻 第328号,Pages: 43-48
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
13/00 - 13/95
G01C 21/00 - 21/36
23/00 - 25/00
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
プロセッサを介して、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信することであって、前記RCS測定値が、前記視野への前記宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信することと、
前記プロセッサを介して、前記宇宙物体が前記レーダーに対して第1の仰角において前記視野内にあるときの前記RCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、前記宇宙物体が前記レーダーに対して第2の仰角において前記視野内にあるときの前記RCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定することであって、前記第1の仰角が前記第2の仰角よりも大きい、推定することと、
前記プロセッサを介して、前記第1の予測RCS値および前記第2の予測RCS値に基づいてSIを決定することと、
前記宇宙物体が前記第1の仰角または前記第2の仰角において前記視野内にあるときに、前記プロセッサを介して前記レーダーからRCS測定値を受信することであって、前記RCS測定値が、前記SIが決定された後に受信される、受信することと、
スライド可能にウィンドウ処理されている前記RCS測定値に基づいて前記SIが更新された後、前記プロセッサを介して、前記SIをFSMに入力することであって、前記FSMが、複数の状態の間で前記宇宙物体を追跡する、入力することと、
前記プロセッサを介して、前記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記レーダーがフェーズドアレイレーダーである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記状態が、姿勢安定状態および不確定状態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記FSMが、前記SIが更新された後の前記SIと、振幅閾値または時間ベースの閾値のうちの少なくとも一方との間の比較を介して、前記状態間を遷移する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記比較が、前記SIが更新された後の前記SIと、前記振幅閾値との間で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記比較が、前記SIが更新された後の前記SIと、前記時間ベースの閾値との間で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記比較が、前記SIが更新された後の前記SIと、前記振幅閾値および前記時間ベースの閾値の両方との間で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記FSMが、前記SIが更新される前の前記SIと、振幅閾値または時間ベースの閾値のうちの少なくとも一方との間の比較を介して、前記状態間を遷移する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記比較が、前記SIが更新される前の前記SIと、前記振幅閾値との間で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記比較が、前記SIが更新される前の前記SIと、前記時間ベースの閾値との間で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記比較が、前記SIが更新される前の前記SIと、前記振幅閾値および前記時間ベースの閾値の両方との間で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記FSMが、前記SIが更新された後の前記SI、前記SIが更新される前の前記SI、振幅閾値、および時間ベースの閾値の間の比較を介して、前記状態間を遷移する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記FSMが、ランダムサンプリングシミュレーションアルゴリズムを介して調整される複数の閾値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ランダムサンプリングシミュレーションアルゴリズムが、モンテカルロシミュレーションを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記状態のうちの1つが、姿勢安定状態であり、前記変化が、前記姿勢安定状態において検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記アクションが、前記変化に関連付けられるソフトウェアイベントをトリガすることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ソフトウェアイベントが、前記プロセッサに関連付けられるフロントエンドAPIを介してアクセス可能である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記宇宙物体が、展開される複数の光起電性パネルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記宇宙物体が、非球形である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記宇宙物体が前記第1の仰角において前記視野内にあるときに、前記RCS測定値が、前記レーダーを介して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記宇宙物体が前記第2の仰角において前記視野内にあるときに、前記RCS測定値が、前記レーダーを介して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記アクションが、前記プロセッサを介して、姿勢操縦可能な宇宙物体の識別に関与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記宇宙物体が、前記姿勢操縦可能な宇宙物体である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記レーダーが、複数のレーダー基地を含むレーダーネットワークのものである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも2つの前記基地が、地上にあり、異なる場所にある、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記レーダー基地の各々が、フェーズドアレイレーダーを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記SIが第1のSIであり、前記アクションが、前記プロセッサを介して、前記第1のSIが基準に基づいて第2のSIと十分に類似していることに基づいて、前記宇宙物体を宇宙物体の集団に関連付けることを含み、前記宇宙物体の集団の少なくとも1つのメンバが、前記第2のSIに関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の予測RCS値が、中央値である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の予測RCS値が、平均値である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の予測RCS値が、中央値である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の予測RCS値が、平均値である、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記SIが、前記第1の予測RCSと前記第2の予測RCS値との比に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記SIが、前記比の対数に基づく、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
システムであって、
サーバを備え、前記サーバが、
ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信することであって、前記RCS測定値が、前記視野への前記宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信することと、
前記宇宙物体が前記レーダーに対して第1の仰角において前記視野内にあるときの前記RCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、前記宇宙物体が前記レーダーに対して第2の仰角において前記視野内にあるときの前記RCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定することであって、前記第1の仰角が前記第2の仰角よりも大きい、推定することと、
前記第1の予測RCS値および前記第2の予測RCS値に基づいてSIを決定することと、
前記宇宙物体が前記第1の仰角または前記第2の仰角において前記視野内にあるときに、前記レーダーからRCS測定値を受信することであって、前記RCS測定値が、前記SIが決定された後に受信される、受信することと、
スライド可能にウィンドウ処理されている前記RCS測定値に基づいて前記SIが更新された後、前記SIをFSMに入力することであって、前記FSMが、複数の状態の間で前記宇宙物体を追跡する、入力することと、
前記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行することと、を行うようにプログラムされている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
著作権表示
本開示の一部は、著作権保護の対象となる素材を含む。本文献はUSPTOレコードに表示されるため、この著作権の所有者は、本文献の誰による複製にも異議を唱えないが、それ以外の場合は、何であれすべての著作権を留保する。
【0002】
関連特許出願への相互参照
本特許出願は、2019年2月27日に提出された米国仮特許出願第62/811,373号に対する優先権の利益を主張する、2019年9月18日に提出された米国特許出願第16/574,464号に対する優先権の利益を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、宇宙物体の姿勢安定性を決定することに関する。
【背景技術】
【0004】
ユーザ(例えば、衛星オペレータ、規制当局)は、衛星が安定した姿勢(例えば、地球に対する回転方向)を有するか否かを知ることを所望する。この知識を得るために、連続するレーダートラック(例えば、操縦可能なレーダーアンテナ)または光学機器(例えば、望遠鏡)を使用することができる。ただし、これらの技術は、製造に手間がかかり、維持に費用がかかり、十分な指向性がなく、スケーリングが難しく、天候によって複雑になるか、または衛星の物理的なサイズもしくは高度のために制限される。
【発明の概要】
【0005】
概して、本開示は、レーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定するための様々な技術を可能にする。特に、そのような決定は、宇宙物体が視野に入るときに様々な期間(例えば、分、時間、日、週、月)にわたって様々な宇宙物体(例えば、衛星、宇宙廃棄物、ロケット本体、宇宙ステーション)を監視することができる、様々な視野を有する様々なフェーズドアレイレーダーを利用することによって行うことができる。例えば、1つの技法は、様々なレーダー(例えば、レーダー群、フェーズドアレイレーダーネットワーク)からのレーダー断面(RCS)統計を使用して、低軌道常在宇宙物体(RSO)の姿勢安定性を推定することができる。非等方性の形状を想定すると、地球指向RSOは、地上レーダーから見たときに仰角に依存するRCSを有することができる。
【0006】
したがって、RSOを様々な仰角において見たときに、RCSの中央値または平均値の差を求めることによって、RSOの姿勢の安定性をテストすることができる。例えば、この技法は、地球の北半球、南半球、東半球、西半球(例えば、陸上プラットフォームベース、陸上車両ベース、海上車両ベース、航空車両ベース、海上プラットフォームベース)に位置付けられたレーダー(例えば、フェーズドアレイ)からのデータを使用して実行することができる。
【0007】
一実施形態では、方法は、プロセッサを介して、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信することであって、RCS測定値は、その視野への宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信することと、プロセッサを介して、宇宙物体がレーダーに対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、宇宙物体がレーダーに対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定することであって、第1の仰角は第2の仰角よりも大きい、推定することと、プロセッサを介して、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいて安定性指数(SI)を決定することと、宇宙物体が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、プロセッサを介してレーダーからRCS測定値を受信することであって、RCS測定値は、SIが決定された後に受信される、受信することと、スライド可能にウィンドウ処理されているRCS測定値に基づいてSIが更新された後、プロセッサを介して、SIを有限状態機械(FSM)に入力することであって、FSMは、複数の状態の間で宇宙物体を追跡する、入力することと、プロセッサを介して、上記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行することとを含む。
【0008】
一実施形態では、システムはサーバを備え、サーバは、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信することであって、RCS測定値は、その視野への宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信することと、宇宙物体がレーダーに対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、宇宙物体がレーダーに対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定することであって、第1の仰角は第2の仰角よりも大きい、推定することと、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいてSIを決定することと、宇宙物体が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、レーダーからRCS測定値を受信することであって、RCS測定値は、SIが決定された後に受信される、受信することと、スライド可能にウィンドウ処理されているRCS測定値に基づいてSIが更新された後、SIをFSMに入力することであって、FSMは、複数の状態の間で宇宙物体を追跡する、入力することと、上記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行することとを行うようにプログラムされている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示によるネットワークの一実施形態の図を示す。
図2】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態のフローチャートを示す。
図3】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図4】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図5】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図6】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図7】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図8】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図9】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図10】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図11】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図12】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図13】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図14】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図15】本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。
図16】本開示による複数のレーダー設備を備えたレーダーネットワークの一実施形態を示す。
図17】本開示によるレーダーネットワークを情報源としている宇宙物体追跡ソフトウェアのスクリーンショットの一実施形態を示す。
図18】本開示による、転倒しているRSOの一実施形態の図を示す。
図19】本開示による等方性RSOの一実施形態の図を示す。
図20】本開示によるRCS分布の一実施形態の図を示す。
図21】本開示によるSI指数の一実施形態の図を示す。
図22】本開示によるFSMの一実施形態図を示す。
図23】本開示による日単位で測定された複数の宇宙物体のSIの一実施形態の図を示す。
図24】本開示による平均SIによって測定された宇宙物体集団の中央値RCSの一実施形態の図を示す。
図25】本開示による、閾値、SI、および安定性状態について、経時的に測定されたSIの一実施形態の図を示す。
図26】本開示による複数のロケット本体の平均SIに対する中央値RCSの一実施形態の図を示す。
図27】本開示による、宇宙物体集団の平均SIに対する中央値RCSの一実施形態の図を示す。
図28】本開示による宇宙物体の複数の状態の一実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概して、本開示は、レーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定するための様々な技術を可能にする。特に、そのような決定は、宇宙物体が視野に入るときに様々な期間(例えば、分、時間、日、週、月)にわたって様々な宇宙物体(例えば、衛星、宇宙廃棄物、ロケット本体、宇宙ステーション)を監視することができる、様々な視野を有する様々なフェーズドアレイレーダーを利用することによって行うことができる。例えば、様々なレーダー(例えば、レーダー群、フェーズドアレイレーダーネットワーク)からのRCS統計を使用して、低軌道RSOの姿勢安定性を推定するための技法。非等方性の形状を想定すると、地球指向RSOは、地上レーダーから見たときに仰角に依存するRCSを有することができる。したがって、RSOを様々な仰角において見たときに、RCSの中央値または平均値の差を求めることによって、RSOの姿勢の安定性をテストすることができる。例えば、この技法は、地球の北半球、南半球、東半球、西半球(例えば、陸上プラットフォームベース、陸上車両ベース、海上車両ベース、航空車両ベース、海上プラットフォームベース)に位置付けられたレーダー(例えば、フェーズドアレイ)からのデータを使用して実行することができる。
【0011】
そのため、本技法はRSO安定性を解釈するためのアプリケーションを有することができ、その出力は高度な物体またはミッション分類に使用することができる。例えば、レーダーは、北米、南米、欧州、アジア、アフリカ、北極、南極、テキサス、アラスカ、フロリダ、ニュージーランド、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン、インドネシア、コンゴ、マダガスカル、チリ、南アフリカなどに位置付けることができる。例えば、レーダーは、テキサス州ミッドランドに位置付けられた、極超短波(UHF)帯域において動作するレーダーとすることができる。例えば、レーダーは一次元または多次元のフェーズドアレイレーダーとすることができる。例えば、レーダーは1時間当たり数十、数百、数千、またはそれ以上の宇宙物体を追跡することができるか、または、直径10センチメートル(またはそれ以下)程度の小さい宇宙廃棄物を感知することができる。
【0012】
ここで、本開示を、本開示のいくつかの実施形態が示されている図1図28を参照してより十分に説明する。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、必ずしも本明細書に開示されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の様々な概念を当業者に十分に伝達するように提供される。
【0013】
本明細書において使用される様々な用語は、直接的または間接的、完全または部分的、一時的または永続的な、活動または無活動を意味することができる。例えば、ある要素が別の要素「の上にある」、「に接続されている」、または「に結合されている」と言及される場合、その要素は、直接的にその他の要素上にあることができ、接続することができ、もしくは結合することができ、ならびに/または、間接的および/もしくは直接的な変形形態を含む、介在する要素が存在することができる。対照的に、要素が別の要素に「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と言及されている場合、介在する要素は存在しない。
【0014】
本明細書において使用される用語は特定の例示的な実施形態を説明するためのものであり、必ずしも本開示の限定であるようには意図されない。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途文脈が明確に指示していない限り、複数形も含むように意図される。また、本明細書において使用される場合、「a」および/または「an」という用語は、「1つ以上」という句もまた本明細書において使用されていたとしても、「1つ以上」を意味するものとする。「備える」(comprises)、「含む」(includes)、および/または「備えている」(comprising)、「含んでいる」(including)という用語は、本明細書において使用される場合、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループが存在することおよび/または追加されることを除外するものではない。さらに、本開示が本明細書において、何かが他の何かに「基づく」と記載する場合、そのような記載は、同様に1つ以上の他のものに基づき得る基礎を指す。言い換えれば、特に明記しない限り、本明細書において使用される「に基づく」は、「少なくとも一部に基づく」または「少なくとも部分的に基づく」を包括的に意味する。
【0015】
本明細書において使用される場合、「または」という用語は、排他的「または」ではなく、包括的「または」を意味することを意図している。すなわち、別途指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを利用する」は、自然な包含的置換のうちのいずれかを意味するように意図される。すなわち、XがAを利用する、XがBを利用する、またはXがAとBの両方を利用する場合、上記の事例のいずれかの下で、「XはAまたはBを利用する」が満たされる。
【0016】
図1は、本開示によるネットワークの一実施形態の図を示す。特に、図100は、クライアント102、サーバ104、レーダー106、および宇宙物体108を含む。クライアント102、サーバ104、またはレーダー106のうちの少なくとも2つは、互いにローカルであるか、または互いに遠隔であり得る。
【0017】
サーバ104は、クライアント102およびレーダー106と通信している(例えば、有線、無線、導波管)。クライアント102は、端末(例えば、デスクトップ、ラップトップ、ワークステーション、スマートフォン、タブレット、ワークステーション)を含むことができ、ユーザ(例えば、衛星オペレータ、規制当局)によって操作される。サーバ104は、ハードウェアまたはソフトウェアサービスロジック(例えば、ウェブサーバ、アプリケーションサーバ、データベースサーバ、仮想サーバ、クラスタサーバ)を含むことができる。
【0018】
レーダー106は、無線波を使用して物体の距離、角度、または速度を決定するハードウェアまたはソフトウェアロジックを含む。例えば、レーダー106は、アンテナのアレイを動かすことなく、様々な方向を指すように電子的に操縦することができる無線波のビームを生成するコンピュータ制御のアンテナアレイを含むフェーズドアレイレーダーを含むことができる。レーダー106は、複数の視野を有することができる。レーダー106は、地球の北半球、南半球、東半球、西半球(例えば、陸上プラットフォームベース、陸上車両ベース、海上車両ベース、航空車両ベース、海上プラットフォームベース)に位置付けることができる。例えば、レーダー106は、北米、南米、欧州、アジア、アフリカ、北極、南極、テキサス、アラスカ、フロリダ、ニュージーランド、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチン、インドネシア、コンゴ、マダガスカル、チリ、南アフリカなどに位置付けることができる。例えば、レーダー106は、テキサス州ミッドランドに位置付けることができ、UHF帯域において動作する。例えば、レーダー106は一次元または多次元のフェーズドアレイレーダーとすることができる。例えば、レーダー106は1時間当たり数十、数百、数千、またはそれ以上の宇宙物体108を追跡することができるか、または、直径10センチメートル(またはそれ以下)程度の小さい宇宙廃棄物を感知することができる。
【0019】
宇宙物体108は、地球(例えば、静止軌道、対地同期軌道、低軌道、中軌道、高軌道、非地球軌道、惑星軌道、星軌道)を周回するか、または、他の物体を周回する物体(例えば、衛星、宇宙廃棄物、ロケット本体、宇宙ステーション)を含むことができる。宇宙物体108は、レーダー106を介して読み取り可能な、レーダー断面および非等方性形状を有することができる。宇宙物体108は、レーダー106に対して複数の仰角を有することができ、これらの角度は互いに異なる。宇宙物体108は、地球指向であり得、レーダー106から見たときに仰角に依存するRCSを有することができる。宇宙物体108は、展開される複数の光起電性パネルを含むことができる。宇宙物体108は、非球形であり得る。
【0020】
図2は、本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態のフローチャートを示す。特に、方法200は、ネットワーク100を介して実行され、複数のブロック202~214を含む。
【0021】
ブロック202において、プロセッサ(例えば、サーバ)は、本明細書に開示されるように、ある視野を有するレーダー106から宇宙物体108の複数のRCS測定値を受信する。RCS測定値は、宇宙物体108が惑星軌道(例えば、低軌道)内で移動するときに、レーダー106の視野への宇宙物体108の複数回の通過から取得される。レーダー106は、フェーズドアレイレーダーであり得る。
【0022】
ブロック204において、プロセッサは、本明細書に開示されるように、宇宙物体108がレーダー106に対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値(例えば、平均、中央値)、および、宇宙物体108がレーダー106に対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS値に基づく第2の予測RCS値(例えば、平均、中央値)を推定する。第1の仰角は、第2の仰角よりも大きくすることができる。第1の予測RCS値は、中央値または平均値とすることができる。第2の予測RCS値は、中央値または平均値とすることができる。
【0023】
ブロック206において、プロセッサは、本明細書に開示されるように、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいて、SI(例えば、比、対数比、平均値対数比、中央値対数比)を決定する。SIは、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値の比に基づくことができる(例えば、第2の値に対する第1の値、第1の値に対する第2の値)。SIは、比の対数(例えば、10進数)に基づくことができる。例えば、SIは対数比を介して例示することができる。例えば、対数比の1つの推定値は、中央値対数比または平均値対数比とすることができる。
【0024】
ブロック208において、プロセッサは、本明細書に開示されるように、宇宙物体108が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、レーダー106から新しいRCS測定値を受信する。新しいRCS測定値は、プロセッサがSIを決定した後に受信される。新しいRCS測定値は、宇宙物体が第1の仰角において視野内にあるときに、レーダーを介して測定することができる。新しいRCS測定値は、宇宙物体が第2の仰角において視野内にあるときに、レーダーを介して測定することができる。
【0025】
ブロック210において、プロセッサは、本明細書に開示されるように、スライディングウィンドウを介して新しいRCS測定値に基づいてSIを更新する。
【0026】
ブロック212において、プロセッサは、本明細書に開示されるように、複数の状態の間で宇宙物体108を追跡するFSMに、更新されているものとしてのSIを入力する。状態は、姿勢が安定した状態および不確定な状態を含み得る。FSMは、SIが更新された後のSIと、振幅閾値または時間ベースの閾値のうちの少なくとも一方との間の比較を介して、状態間を遷移することができる。FSMは、SIが更新される前のSIと、振幅閾値または時間ベースの閾値のうちの少なくとも一方との間の比較を介して、状態間を遷移することができる。FSMは、SIが更新された後のSI、SIが更新される前のSI、振幅閾値、および時間ベースの閾値の間の比較を介して、状態間を遷移することができる。FSMは、ランダムサンプリングシミュレーションアルゴリズムを介して調整される複数の閾値を含むことができる。ランダムサンプリングシミュレーションアルゴリズムは、モンテカルロシミュレーションを含むことができる。
【0027】
ブロック214において、プロセッサは、本明細書に開示されるように、状態の1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行する。状態のうちの1つは姿勢安定状態とすることができ、変化は姿勢安定状態において検出することができる。アクションは、変化に関連付けられるソフトウェアイベントをトリガすることを含むことができる。ソフトウェアイベントには、プロセッサに関連付けられたフロントエンドアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)を介してアクセスすることができる。SIが第1のSIである場合、アクションは、第1のSIが基準に基づいて第2のSIと十分に類似している(例えば、値またはパラメータまたは特性が十分に近いか等しい)ことに基づいて、宇宙物体108を宇宙物体の集団に計算的に関連付けることを含むことができ、宇宙物体の集団の少なくとも1つのメンバが、第2のSIに関連付けられる。アクションは、データ構造を作成すること、データ構造を変更すること、データ構造を削除すること、入力デバイスに入力を受信させること、出力デバイスに出力を出力させることなど、他の形式を含むことができることに留意されたい。
【0028】
図3図12は、本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。特に、1つの技法は、グローバルレーダーネットワーク(例えば、LeoLabsグローバルレーダーネットワーク)からのRCS統計を使用して、低軌道RSOの姿勢安定性を推定することができる。例えば、レーダーは、複数のレーダー基地を含むレーダーネットワークのものであり得る。例えば、基地のうちの少なくとも2つは、地上にあることができ、または、異なる場所にあることもできる。例えば、レーダー基地のうちの少なくとも1つは、フェーズドアレイレーダーを含むことができる。
【0029】
非等方性の形状を想定すると、地球指向RSOは、地上レーダー(例えば、フェーズドアレイレーダー)から見たときに仰角に依存するRCSを有することができる。そのため、地球指向RSOを様々な仰角において見たときに、平均値または中央値RCSの差を求めることによって、RSOの姿勢の安定性をテストすることができる。この技術は、LeoLabsのMidland Space Radar(または本明細書に記載されている他のレーダー、レーダー群、もしくはレーダーネットワーク)からのデータを使用して実証することができる。この技術はRSO安定性を解釈するためのアプリケーションを有し、その出力は高度な物体およびミッション分類に使用することができる。
【0030】
1.前書き
宇宙状況把握(SSA)の要件は、RSOの特性評価である。RSOの特性は、それらの姿勢安定性である。具体的には、RSOが制御された安定した姿勢を有するか、または転倒もしくは不規則な姿勢を有するかについて、分類学的な関心が寄せられている。さらに、RSOの姿勢安定性の変化を追跡することで、ペイロードシステムの無効化または有効化、RSO断片化、またはそれ以外の原因による、そのRSOの特性の軌道上変化の検出が可能になる。
【0031】
RSO姿勢安定性の特性評価は、いくつかの理由で困難である。多くのRSOの分解光学イメージングは、物体の物理的な距離およびサイズのために高額である。これは、RSOの姿勢特性とその物理的形状との間の測定における退化につながっている。高時間分解能の測光または放射測定の測定値を使用して、RSOの姿勢および形状の特性を分離する実行可能性を示すための研究が行われている。これらの手法は有望であるが、より大きいRSO集団にスケールアップすると、法外に費用がかかり得る。
【0032】
低軌道(LEO)には2cmを超えるサイズの推定200,000個のRSOがある。これらすべての物体の姿勢安定性を特性評価するには、低コストでスケーラブルな方法が必要である。そのため、様々なレーダー施設(例えば、LeoLabs、NORAD、NASA、ESA、ROSCOSMOS)からのRCS測定値の統計を使用して、LEO内の空間的に未解決のRSOの姿勢安定性を推定する技法が提案される。これらのRCS測定値は、軌道追跡測定の副産物として生成され、場合によっては、追加のレーダーリソースを必要としない。RSOの形状に関するこの技法の仮定は、それらのRCSがアスペクト角に対して非等方性であるということである。この仮定は、空間次元が等しくないRSOにも当てはまる傾向がある。例えば、大型の展開されたソーラーパネルを備えた衛星はこの仮定を満たす傾向があるが、球形衛星は場合によって満たさない傾向がある。
【0033】
この技法は、本明細書に開示されているように、RSOがレーダーの上を通過するときのRSOのRCS測定値の統計を、いくつかまたは多くの軌道および多種多様なアスペクト角にわたって使用する。これらのRCS統計を使用して、SIが構築される。セクション2ではSIについて説明し、セクション3ではSIを使用してRSOの姿勢安定性を分類する方法について説明し、セクション4ではSIの実際の適用を実証するいくつかのケーススタディを提案する。セクション5では、SIが将来どのように改善すると予測されるかについて論じる。最後に、セクション6でいくつかの結論を提供する。例えば、LeoLabsは、少なくともLEO内のRSOを追跡する目的で、世界中の専用レーダー基地のネットワークを運用し、構築し続けている。この技法は、テキサス州ミッドランドのMidland Space Radar(MSR)からのデータを利用し、アラスカ、ニュージーランド、および他の場所にある他のLeoLabsレーダー施設に拡張することができる。
【0034】
2.安定性指数(SI)
RCS統計を介してRSOの姿勢安定性を特性評価することが所望されている。この技法では、姿勢安定化RSOは、軌道フレームに対して姿勢がほぼ一定であるRSOとして定義することができる。この技法は、異なるアスペクト角から見たときに、RSOのRCS値の平均値または中央値が異なることを前提としている。
【0035】
いくつかの実施形態では、個々のRCS測定値ではなく、平均または中央値のRCS値を扱うことに利点がある。これは、アスペクト角のわずかな変化が複雑なレーダー目標の測定されたRCSに大きな変化をもたらす可能性があるためにそうなり得る。この効果は、非常に顕著であり得るため、RCS測定値を確率分布関数からランダムに抽出されたものとして扱うと好都合であることが多い。したがって、数週間にわたって測定されたRCS値の平均または中央値を推定することで、任意の個々のRCS測定値よりも目標のレーダー反射特性をより直接的に調べることができる。場合によっては、RCS測定値の平均ではなく中央値を使用して、結果として、外れRCS測定値に対する感度を下げることができる。
【0036】
非等方性RCSを有するRSOが姿勢安定化している場合、その中央値RCSは、それが測定される測心視野角によって変化し得る(図3を参照)。逆に、RSOが転倒している場合は、測心視野角に関係なく、レーダーにランダムな態様が提示される。これにより、測心視野角に依存しない平均または中央値RCSがもたらされる。図3は、異なるアスペクト角から見た、安定化された衛星のおおよその平均または中央値RCSの概略図300であることに留意されたい。衛星をレーダー基地に比べて低い標高から見た場合、衛星はレーダーに対してより小さい幾何学的断面を示し、その結果、平均または中央値RCSがより低くなる。
【0037】
本明細書に開示されるような姿勢安定化の測定基準は、高高度において測定される衛星の平均または中央値RCSを低高度において測定されるその衛星の平均または中央値RCSと比較することによってこの概念を利用する。より正確には、以下の通りである。
【数1】
【0038】
非等方性RCSを備える姿勢安定化RSOの場合、式1のSIは非ゼロになる傾向がある。RSOが天底に対して最大のRCSを示す場合、SIは正になる傾向がある。RSOが天底に対して最小のRCSを示す場合、SIは負になる傾向がある。
【0039】
対数の使用は、2つの理由で選択される。すなわち、比が数桁に及ぶことが観察され、〈RCShi-el〉>〈RCSlo-el〉であるとき、および、〈RCShi-el〉<〈RCSlo-el〉であるとき、対数は対称なスケーリングを有するためである。
【0040】
この測定基準の実施形態では、加重中央値(または平均)が、60日の時間尺度(ただし、より多いまたはより少ない日数が可能である)にわたって使用するために選択される。加重中央値が選択されたのは、これが、外れ値に対する感度の中央値の欠如と、無相関の統計的ノイズよりも低速に変化する構造の加重平均の強調とを組み合わせるためである。60日間の時間尺度が選択されたのは、アーカイブMSRデータの短期間の変動を大幅にさらに抑制することが観察されたためである(ただし、より小さいまたは大きい他の時間尺度が可能である)。レーダーネットワークにより多くのレーダー設備が追加されると、データ量の増大によって、この時間尺度を大幅に短縮することを可能にすることができる。これについては、セクション5において詳細に論じる。
【0041】
不均一に時間サンプリングされたRCS測定値のセットの加重中央値(または平均)は、以下のように決定される。所与のRSOの新しいRCS測定が高高度または低高度において行われると、過去60日(または他の期間)内の高高度または低高度におけるそのRSOの以前のRCS測定値の一部、多数、ほとんど、またはすべてが選択される。例えば、期間は数日、数週間、または数か月であってもよい。次に、ハミング窓(または別の窓関数)を使用して、それらのRCS測定値の一部または各々に重みが割り当てられ、終了点は現在の測定にあり、開始点は60日前である。次に、RCS測定値およびそれらの対応する重みが、RCSの昇順でソートされる。ソートされた重みの累積合計が計算され、その累積合計がすべての重みの合計の半分を超える指標が、加重中央値RCSの指標である。
【0042】
高度が高いか低いかにかかわらず、RSOの加重中央値RCSへの一部のまたは各更新の後に、SIが再計算される。このようにして、SIの時系列が形成され、これはRSOのRCS測定が行われるたびに更新される。いくつかの実施形態では、非等方性RCSの仮定は、この手法が、例えば、姿勢安定化球を転倒球から区別できないことがあるため、重要であり得る。したがって、ヌルSI検出は、等方性RCSを有する姿勢制御RSOと一致し得る。ただし、他の実施形態では、非等方性RCSの仮定を回避できる。
【0043】
一部の姿勢制御衛星は、60日(または別の期間)の間に多くの異なる姿勢を有するように命令される場合がある。例えば、期間は数時間、数日、数週間、または数か月であってもよい。SIは、RSOが天底に対して常に同じ態様を示すかどうかを検出するように設計されており、そのため、SI計算時間窓中に何度も望ましい姿勢変化を経験しているアクティブな衛星は、ヌルSI値を有する傾向がある。60日の期間は、より多くのレーダーネットワーク設備が運用可能になることを減少させると予測され、そのため、そのような衛星のSI感度の利得が将来予測される。
【0044】
3.安定性分類
SIに基づいてRSOを分類することは簡単ではない。RCS測定の統計的性質による混乱を最小限に抑えながら、RSO挙動の変化に対応する分類を設計する際に競合する懸念のバランスを取る。これは、分類アルゴリズムをトレーニングするための参照データの量が限られている可能性があるという事実によってさらに複雑になる。
【0045】
この技法では、経験的に選択される分布関数から抽出されるRCS値を用いたモンテカルロシミュレーション(または他のランダムサンプリングシミュレーション)を使用する。さらに、この技法により、安定性分類の目標誤検出率を設定し、使用される測定値の数およびそれらの信号対雑音比(SNR)の関数として適切なSI閾値を逆算することができる。さらに、RSOの安定性分類を変更する前に、SIが閾値を超えたままになるために必要な期間を計算するために、SI時系列のアンサンブルをシミュレートすることができる。SI閾値と同様に、これらの時間閾値は、安定性分類の変更に対して目標誤検出率を与えるように選択される。測定RCS値は、対数正規分布に従うことがわかっている。
【数2】
【0046】
RCS測定値の確率分布関数(PDF)は、所与のRSOのRCS測定値を取得し、それらの測定値をそのRSOの中央値RCSによって正規化し、次いで、ヒストグラムを構築してPDFを推定することによって推定された。これは、RCS測定が行われている一部、多数、ほとんど、またはすべてのRSOに対して繰り返された。結果として得られたPDF推定値は、μ=0およびσ=1.2の分析対数正規曲線とともに図4に示されている。いくつかの実施形態では、対数正規分布がRCS測定値をモデル化するために使用されることは多いため、これは予測外ではない。したがって、RCSモンテカルロシミュレーションに対数正規PDFを使用することは正当化される。
【0047】
SI閾値のモンテカルロ選択は、様々な等方性RCS値および測定回数を使用してRSOの大規模なアンサンブルをシミュレーションすることによって実行される。所与の反復について、測定のタイミングは、(まれなRCS測定をシミュレートするために)60日間(または別の期間)にわたるディリクレ分布(または連続多変量確率分布の別の分布)から抽出され、これらの測定の高度は、一様分布から抽出された。例えば、期間は数日、数週間、または数か月であってもよい。実際のRCS値は、μ-0およびσ=1.2の対数正規分布から抽出される。既知のレーダー特性を所与として、これらの測定の予測SNRが決定され、さらなるガウスノイズを追加して(測定ノイズをシミュレートするため)、閾値を適用して本発明のレーダー感度制限をシミュレートすることが可能になる(RCSからSNRへの会話は高度に依存し得、これがSIに顕著なバイアスを導入する可能性がある)。したがって、モンテカルロシミュレーションのこの反復のSIの推定値を達成することができる。このプロセスが繰り返されて、様々なRCS値および測定回数を使用してRSOの大規模なアンサンブルが作成される。図4は、<RCS>=1に正規化された、すべてのRSOについてのRCS測定値の測定PDFの図400であることに留意されたい。対数正規曲線が、μ-0およびσ=1.2で参照のためにプロットされている。対数正規曲線が、正規化RCS10に対して測定PDFの良好な説明を提供することは明らかである。
【0048】
次に、SI値のアンサンブルは、SNR値および統計的重みに従ってビンに配置される。統計的重みは、所与のSI値の測定値のすべてのハミング重みの合計として定義される。各ビンにおいて、SI値のヒストグラムが構築され、1%および10%の誤検出率を可能にするSI閾値の選択が行われる。これらの閾値は、SNRおよび測定回数に対してほぼ線形的に変化し、そのため、線形関数がそれらに適合する。この線形に変化する閾値関数を使用すると、そのSI値をもたらしたSNRおよび個々の測定数を所与として、所与のSI値の適切な閾値を決定できる。
【0049】
10%閾値の場合のこの例500が図5に示されている。この図では、測定SNR閾値に起因して、負のSI値に向かって明確なバイアスがある。おそらく直感に反して、SNRが増加するにつれて閾値が高くなる。これは、対数正規分布の分散がその中央値とともに増加するためである。したがって、SNRはRCSと相関しているため、SNR目標が高いほど、SI測定基準の分散が大きくなる傾向がある。図5は、測定SNRおよび統計的重みNの関数としての10%誤検出率閾値についてのモンテカルロ結果を示していることに留意されたい。閾値に対する線形モデルは実線として示されている。
【0050】
SI閾値を使用して、SI時系列のアンサンブル、ならびにそれらの対応する1%および10%閾値をシミュレートする。次に、等方性RCS RSOの10%のみが1年間の測定においてその期間にわたってSI閾値を超えるように、時間閾値が選択される。これは、図6図600に示されている。このように、安定性分類の時間閾値が計算される。図6は、等方性RCS RSOが1年間のうちの所与の連続日数にわたって1%または10%閾値を超えるSIを有する確率のモンテカルロ結果を示していることに留意されたい。これは、そのようなRSOがSI閾値を超えている連続日数の累積分布関数(CDF)を1から減算するように計算される。垂直の黒い線は、10%の年間誤検出率を与える時間閾値を示している。
【0051】
安定性分類アルゴリズムは、状態機械を介して上記のSIおよび時間閾値をデータに適用する。各RSOは最初、データ収集前は安定化されていない状態であると想定される。RCS測定の過程で、そのRSOのSIが閾値を超えていることが判明した場合、そのRSOの安定性分類状態は変化しないままになる。安定性分類状態遷移は、SIが時間閾値よりも長い期間にわたって閾値を超えていることが確認された後にのみ発生する。このアルゴリズム700は、図7に示されている。図7は、SIが必要な連続日数にわたって正または負の閾値を超える場合、安定性分類状態遷移が発生する安定性分類アルゴリズムを示していることに留意されたい。
【0052】
図8は、2つのRSOの例示的なSI曲線の図800を示している。上のパネルは、明確で一貫した安定性信号を有するIridium 134(NORAD ID 43075)を示している。安定性分類アルゴリズムは、Iridium 134を安定化しているものとして識別する。下のパネルは、明確な安定性信号のないEnvisat(NORAD ID 27386)を示している。アルゴリズムは、Envisatを安定化の証拠がないものとして分類する。これは、Envisatの制御されていない転倒の証拠を示す独立した測定値と一致している。図8は、Iridium 134(NORAD ID 43075)およびEnvisat(NORAD ID 27386)衛星のSI時系列を開示する図800を示していることに留意されたい。黒い曲線は、これらのデータセットの10%誤検出閾値である。Iridium 134は明確で一貫した姿勢安定化信号を示しているが、Envisatはそのような信号を示していない。
【0053】
4.例示的な応用形態
4.1 TDS-1デオービットセイルの配備
TechDemoSat-1(TDS-1、NORAD ID 40076)は、Surrey Satellite Technology Ltd.が主導するコンソーシアムによって構築された姿勢制御衛星である。これは、デオービットセイル(DOS)を含む多種多様な技術実証ペイロードを含む。DOSは2019年4月24日に配備された。
【0054】
TDS-1のSIは、図9図900として示されている。DOSの配備日は、黒い縦線によって示される。配備前は、SIは正の閾値近くで停滞していた。セイルの配備直後、SIははるかに大きな変動を示し始めた。これは、TDS-1の姿勢挙動の明確な変化を示し、これは、RSO姿勢の変化(天底に対して最大RCSが示されなくなるような)または姿勢制御の喪失と一致している。
【0055】
図9は、この期間中のTDS-1の安定性分類状態も示している。DOS配備イベントの前は、SIがSI閾値に近かったため、状態が変動していた。セクション5では、将来の新しいレーダー基地の追加によってこの性能がどのように改善されるかについて論じる。図9は、TDS-1(NORAD ID 40076)衛星のSI時系列を示していることに留意されたい。黒い曲線はこのデータセットの10%誤検出閾値であり、オレンジ色の線は姿勢安定性分類状態を示している(低い場合は安定化の証拠がないことを示し、高い場合は姿勢の安定化を示す)。2019年4月24日のDOS配備イベントが、垂直な黒い実線で示される。
【0056】
4.2 Iridium衛星の識別
Iridium Communicationは、地球規模の電気通信サービスのために約200個の衛星を打ち上げた。それらの元々の集団は1997年から2002年の間に打ち上げられ、より新しい集団(Iridium NEXTと呼ばれる)が2017年から2019年の間に打ち上げられた。この開示において特に興味深いことは、2つの集団の物理的形状が大幅に異なることである。
【0057】
図10は、各Iridium衛星の中央値RCS対その衛星の平均SIの散布図1000を示している。元々の集団は青で示されており、一方、NEXT集団はオレンジで示されている。SI軸上で2つの集団の間には顕著な分離があり、NEXT集団は非常に強い安定性信号を示している。元々の集団の安定性信号の欠如は、必ずしもこれらの衛星の安定性制御の欠如を意味するとは限らないことに留意されたい。ゼロのSIも、等方性に近いRCSを有する安定した衛星を示すことができる。図10は、Iridium衛星のRCSの中央値およびSIの平均値を示していることに留意されたい。元々の集団は青で示されており、一方、NEXT集団はオレンジである。2つの集団の間には明確な分離がある。
【0058】
4.3 軌道を周回するロケット本体の姿勢安定性
レーダー(例えば、LeoLabsレーダー)は、CSpoCによってロケット本体として分類される、低軌道の700個を超えるRSOを追跡することができる。これらは通常、ペイロードを送達した後に軌道上に残された車両の上段である。多くは数十年にわたって軌道に存在している。
【0059】
場合によっては、ペイロードが送達された後、ロケット本体がアクティブな姿勢制御を行うことは期待されていない。したがって、それらが転倒運動することが想定され得る。図11は、738個のロケット本体の中央値RCS対平均SIの図1100を示している。SIの大部分はゼロに近いが、正のSIの分布には興味深い話がある。これは、ロケット本体の一部が実際には受動的安定化の状態にあり得ることを示している。これは、受動的安定化の状態に達し得ると予測している、ロケット本体のスピン動態の理論的研究と一致し得る。図1100では、LEOのロケット本体のRCSの中央値およびSIの平均値。ほとんどの物体のSI値はゼロに近いが、SI値が高い物体が相当数ある。これは、一部のロケット本体が受動的安定化の状態に達したことを示唆している可能性がある。
【0060】
4.4 Cosmos集団の識別
1962年以来、ソビエト連邦およびロシア連邦は、Cosmosという名称で2500個を超える衛星を打ち上げてきた。これらの衛星には、多種多様な目的および軌道がある。その後、衛星の多くは非アクティブになったが、軌道上にとどまっている。単純には、非アクティブな衛星は最終的に転倒運動の状態に入ると予測され得る。ただし、Cosmos衛星の多くは受動的重力勾配安定化を使用していた。これらの衛星の重力勾配ブームが無傷のままであると仮定すると、古いCosmos衛星の多くは姿勢が安定し続けている可能性が高い。
【0061】
図12は、現在LEOにあるCosmos衛星の中央値RCS対平均SIを有する図1220を示している。上のパネルでは、衛星がどの集団に属しているかを示すために色分けされている。様々な集団の分布には明確な差がある。下のパネルは、重力勾配安定化していることが知られている集団で色分けされている。
【0062】
重力勾配安定化集団は、重力勾配安定化していない集団よりも高いSIを示す傾向があることに留意されたい。高いSIを示さない重力勾配安定化集団がいくつかあり、これは等方性RCS分布を有する衛星と一致している。これは、SIを含むRCS統計が、集団内の衛星を特性評価するための明確な値を有することを実証している。図12は、LEOにおけるCosmosペイロードの中央値RCSおよび平均SI値が示されている図1220を示していることに留意されたい。上のパネルでは、物体が親集団によって色分けされている。下のパネルは同じ物体を示しているが、それらの親集団に重力勾配安定化設計があるか否かによって色分けされている。上のパネルは、様々な集団が異なるRCS対SI特性を有することを示し、一方、下のパネルは、重力勾配安定化衛星のSI値がより高くなる傾向を示している。
【0063】
5.将来の性能の改善
本開示に示されている結果のいくつかは、単一のレーダー基地からのRCSデータを使用している。この分析は、他のレーダー基地からのRCSデータを追加することで強化することができる。そのため、本技法の性能は、少なくとも2つのメカニズム、すなわち、RCS測定数の増加および異なる周波数におけるRCS測定によって向上すると予測される。
【0064】
追加のレーダー基地を使用すると、所与のRSOが1日当たりより多くの回数、レーダー(例えば、LeoLabsレーダー)上を通過する。これにより、各RSOについてより多数のRCS測定値が提供される。これにより、低い誤検出率を維持しながら、SI計算の60日間を短縮し、SI閾値を下げることができる。これにより、RCS異方性が顕著でない、または姿勢の変化が頻繁に制御されているRSOからの安定性シグネチャを検出することができる。
【0065】
一部のレーダー基地(例えば、LeoLabs次世代レーダー基地)は、現在の世代よりも高い周波数で動作する。RCSは周波数に依存し、そのため、所与のRSOのRCS等方性は、2つのレーダー周波数で異なり得る。これは、様々なRSOのSIが、様々なレーダー周波数で測定されたときに姿勢安定性への感度がより高いか、より低くなり得る可能性を意味する。したがって、測定スイートにレーダー周波数が追加されるにつれて、姿勢安定性感度が広がることが予測される。
【0066】
結論
RCS測定を使用して、SIを介してRSOの姿勢安定性を特性評価する技法が実証された。データ特性評価およびモンテカルロシミュレーションの注意深いプロセスを通じて、このSIにいくつかの閾値を適用することに成功した。これにより、データセット内のRSOを安定化分類によってラベル付けすることができるようになった。
【0067】
本技法では、SIの使用が、いくつかの個別のケーススタディにおいて実証されており、アクティブな衛星の姿勢の変化を検出し、RCSおよびSI統計に基づいて異なる集団を分離し、非ペイロードRSOおよび非アクティブな衛星の受動的安定化を検出する能力が示された。専用レーダーネットワーク(例えば、LeoLabs)が構築され続けるにつれて、この能力は引き続き向上するはずである。
【0068】
図13図15は、本開示によるレーダー断面統計から宇宙物体の姿勢安定性を決定する方法の一実施形態を示す。特に、図13は、新しいRCSレーダー測定値が取得されたときのデータパイプラインのフローチャートを示している。図14は、FSMのフローチャートを示す。平均対数比(MLR)>0およびMLR<0の状態は姿勢が安定していると考えられ、一方、MLR=0の状態は不確定であると考えられることに留意されたい。図15は、モンテカルロシミュレーション技法を使用するFSM調整手順のフローチャートである。
【0069】
一部の姿勢操縦可能衛星は、MLR安定性状態(および経時的にどのように変化するか)に関する追加の統計を実行することによって識別することができることに留意されたい。同様に、一部の衛星は、それらのMLR統計が(当業者に知られている基準に基づいて)それらの集団内の他の衛星のMLR統計と類似している場合、所与の衛星集団に関連付けることができる。同様に、異なる周波数における様々なレーダーからのRCS値に基づいて、プロセッサを使用して、本明細書に記載されている技法の正確度および精度を高めることができる。また、いくつかの実施形態では、単一のレーダー側(例えば、テキサス)からの結果および技法は、より多くのレーダー基地およびそこからのデータによって改善され得る。さらに、レーダー測定値を追加することができる(例えば、60日の中央値の時間尺度を減らし、SI閾値を減らす)。さらに、レーダー周波数を追加することができる(例えば、RCSは周波数に依存し得、補完的なSI推定値を提供する)。
【0070】
図16は、本開示による複数のレーダー設備を備えたレーダーネットワークの一実施形態を示す。特に、レーダーネットワークは、同じまたは異なる半球または大陸または水域または車両に位置付けられているかを問わない、動作的にまたは形式的に互いに同じであるかまたは異なるかを問わない、レーダー設備を含むことができる。例えば、レーダーネットワークは、サーバ104と通信するレーダー106を含むことができる。示されるように、レーダー設備は、アラスカ、テキサス、およびニュージーランドに位置する複数のフェーズドアレイレーダー設備を含む。例えば、フェーズドアレイレーダー設備のうちの少なくとも1つは、フラットポリゴンレーダー(例えば、アラスカ)またはパラボラレーダー(例えば、テキサス)を含む。しかしながら、これらの場所、動作、モダリティ、および構造は例であり、本明細書に開示されるように、他の場所、動作、モダリティ、および構造が可能である。
【0071】
図17は、本開示によるレーダーネットワークを情報源としている宇宙物体追跡ソフトウェアのスクリーンショットの一実施形態を示す。特に、宇宙物体追跡ソフトウェアは、本明細書に開示されるように、レーダーネットワークを情報源とするデータに基づいて、複数の宇宙物体(スクリーンショットでは地球物体を周回する緑色、黄色、および茶色の物体として表示される)を追跡する。宇宙物体追跡ソフトウェアは、ユーザが選択可能なフィルタリング構成要素のセット(スクリーンショットの地球物体の左側に表示)と、凡例(スクリーンショットの地球物体の右側に表示)とを有する。宇宙物体追跡ソフトウェアは、サーバ104上で作動し、クライアント102によってアクセス可能である。宇宙物体追跡ソフトウェアは、本明細書に開示されるように、レーダーネットワークであり得るか、または、レーダーネットワークに含まれ得るレーダー106から宇宙物体データを受信する。
【0072】
スクリーンショットは、アラスカに位置付けられたレーダー設備(多次元多角形形状ビーム)およびテキサスに位置付けられたレーダー設備(単一次元形状ビーム)を表示している。レーダーネットワークに別のレーダー設備がある場合、そのレーダー設備がフェーズドアレイレーダーであるかまたは非フェーズドアレイレーダーであるかにかかわらず、そのレーダー設備は、多次元多角形形状ビームまたは単一次元形状ビームを有することができることに留意されたい。しかしながら、これらの場所、動作、モダリティ、および構造は例であり、本明細書に開示されるように、他の場所、動作、モダリティ、および構造が可能である。
【0073】
図18は、本開示による、転倒しているRSOの一実施形態の図を示す。転倒しているRSOは、時間の経過とともに寸法が異なるRCS(レーダービーム内のRSOの下の水平線)を有する。
【0074】
図19は、本開示による等方性RSOの一実施形態の図を示す。等方性RSOは、時間の経過とともに寸法が異ならないRCS(レーダービーム内のRSOの下の水平線)を有する。
【0075】
図20は、本開示によるRCS分布の一実施形態の図を示す。特に、本明細書において開示されているように、左のグラフは度数単位で測定されている回転(x軸)に対するシミュレートされたRCS(y軸)を示し、右のグラフは正規化RCS(x軸)に対するPDF(y軸)を示している。
【0076】
図21は、本開示によるSI指数の一実施形態の図を示す。この実施形態では、SI指数は、log[<RCS>hi-el/<RCS>lo-el]に等しい。(1)RCSは60日間にわたる加重中央値(例えば、全体的な分散、外れRCS測定値の影響を低減する)であり、(2)対数は利点を提供し(例えば、RCSの小さいまたは大きい差のダイナミックレンジ、<RCS>lo-elよりも大きい/小さい<RCS>hi-elの対称な挙動)、(3)新たな測定後に動的に更新され、SI時系列を提供することに留意されたい。
【0077】
図22は、本開示によるFSMの一実施形態図を示す。FSMは、図7と同様であり、SIデータに基づき、本明細書に開示されるように、楕円が宇宙物体の状態を示す。
【0078】
図23は、本開示による日単位で測定された複数の宇宙物体のSIの一実施形態の図を示す。SI(y軸)は、Iridium宇宙物体およびESA宇宙物体について示されている。黒い線は閾値を示し、青い線は日付(x軸)に対して測定されたときのそのそれぞれの宇宙物体のSIを示していることに留意されたい。
【0079】
図24は、本開示による平均SI(x軸)によって測定された宇宙物体集団の中央値RCS(y軸)の一実施形態の図を示す。宇宙物体集団はIridium集団であるが、他の宇宙物体集団も可能である。青い点(元々の)およびオレンジの点(NEXT)は、Iridium集団内の異なる宇宙物体を表していることに留意されたい。
【0080】
図25は、本開示による、閾値、SI、および安定性状態について、経時的に(x軸)測定されたSI(y軸)の一実施形態の図を示す。宇宙物体はTDS-1であり、その宇宙物体の断面積を増大させ、したがって大気抵抗を増大させて大気圏再突入を高速化するためにドラッグセイルが配備されていることに留意されたい。この構成は、本明細書に開示されているように、RCSおよびSIに影響を及ぼす。
【0081】
図26は、本開示による複数のロケット本体の平均SI(x軸)に対する中央値RCS(y軸)の一実施形態の図を示す。
【0082】
図27は、本開示による宇宙物体集団の平均SI(x軸)に対する中央値RCS(y軸)の一実施形態の図を示す。グラフは同じ宇宙物体のものであるが、異なる概念を示していることに留意されたい。
【0083】
図28は、本開示による宇宙物体の複数の状態の一実施形態の図を示す。宇宙物体が惑星(例えば、地球)を周回するとき、宇宙物体は、ヨー運動を含む姿勢安定状態と、ピッチ運動またはロール運動を含む非姿勢安定状態とを有することができる。
【0084】
コンピュータ実装方法も開示され、本方法は、プロセッサを介して、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信するステップであって、RCS測定値は、その視野への宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信するステップと、プロセッサを介して、宇宙物体がレーダーに対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、宇宙物体がレーダーに対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定するステップであって、第1の仰角は第2の仰角よりも大きい、推定するステップと、プロセッサを介して、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいてSIを決定するステップと、宇宙物体が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、プロセッサを介してレーダーからRCS測定値を受信するステップであって、RCS測定値は、SIが決定された後に受信される、受信するステップと、スライド可能にウィンドウ処理されているRCS測定値に基づいてSIが更新された後、プロセッサを介して、SIをFSMに入力するステップであって、FSMは、複数の状態の間で宇宙物体を追跡する、入力するステップと、プロセッサを介して、上記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行するステップとを含む。
【0085】
コンピュータプログラムコードであって、命令を備え、命令は、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに、プロセッサを介して、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信するステップであって、RCS測定値は、視野への宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信するステップと、プロセッサを介して、宇宙物体がレーダーに対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、宇宙物体がレーダーに対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定するステップであって、第1の仰角は第2の仰角よりも大きい、推定するステップと、プロセッサを介して、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいてSIを決定するステップと、宇宙物体が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、プロセッサを介してレーダーからRCS測定値を受信するステップであって、RCS測定値は、SIが決定された後に受信される、受信するステップと、スライド可能にウィンドウ処理されているRCS測定値に基づいてSIが更新された後、プロセッサを介して、SIをFSMに入力するステップであって、FSMは、複数の状態の間で宇宙物体を追跡する、入力するステップと、プロセッサを介して、上記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行するステップとを実施させる、コンピュータプログラムコード。
【0086】
上記のコンピュータプログラムコードを備えたコンピュータ可読媒体またはデータキャリア。コンピュータプログラム製品であって、命令を備え、命令は、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに、プロセッサを介して、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信するステップであって、RCS測定値は、視野への宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信するステップと、プロセッサを介して、宇宙物体がレーダーに対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、宇宙物体がレーダーに対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定するステップであって、第1の仰角は第2の仰角よりも大きい、推定するステップと、プロセッサを介して、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいてSIを決定するステップと、宇宙物体が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、プロセッサを介してレーダーからRCS測定値を受信するステップであって、RCS測定値は、SIが決定された後に受信される、受信するステップと、スライド可能にウィンドウ処理されているRCS測定値に基づいてSIが更新された後、プロセッサを介して、SIをFSMに入力するステップであって、FSMは、複数の状態の間で宇宙物体を追跡する、入力するステップと、プロセッサを介して、上記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行するステップとを実施させる、コンピュータプログラム製品。
【0087】
複数のRCS測定を実行するために地上レーダーが制御される、上記のコンピュータプログラムまたはコンピュータ実装方法のいずれか。システムも開示され、システムはサーバを備え、サーバは、ある視野を有するレーダーから宇宙物体の複数のRCS測定値を受信することであって、RCS測定値は、視野への宇宙物体の複数回の通過から取得される、受信することと、宇宙物体がレーダーに対して第1の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第1の予測RCS値、および、宇宙物体がレーダーに対して第2の仰角において視野内にあるときのRCS測定値に基づく第2の予測RCS値を推定することであって、第1の仰角は第2の仰角よりも大きい、推定することと、第1の予測RCS値および第2の予測RCS値に基づいてSIを決定することと、宇宙物体が第1の仰角または第2の仰角において視野内にあるときに、レーダーからRCS測定値を受信することであって、RCS測定値は、SIが決定された後に受信される、受信することと、スライド可能にウィンドウ処理されているRCS測定値に基づいてSIが更新された後、SIをFSMに入力することであって、FSMは、複数の状態の間で宇宙物体を追跡する、入力することと、上記状態のうちの1つにおいて検出された変化に基づいてアクションを実行することとを行うようにプログラムされている。
【0088】
このシステムのいくつかの実施形態では、複数のRCS測定を実行するために地上レーダーを制御するように構成されたレーダーコントローラがさらに提供される。コンピュータプログラムコード、コンピュータ実装方法、コンピュータ、コンピュータ可読媒体、および以下の特許請求の範囲の様々なステップを実行する、または実行させることができるコンピュータプログラムコードを備えたデータキャリアも開示されている。
【0089】
本開示の様々な実施形態は、システムバスを通じてメモリ要素に直接的にまたは間接的に結合されている少なくとも1つのプロセッサを含む、プログラムコードを記憶および/または実行するのに適したデータ処理システムに実装されてもよい。メモリ要素は、例えば、プログラムコードの実際の実行中に利用されるローカルメモリ、大容量記憶装置、および、実行中に大容量記憶装置からコードを取り出さなければならない回数を低減するために少なくともいくらかのプログラムコードの一時記憶を提供するキャッシュメモリを含む。
【0090】
I/Oデバイス(限定ではないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス、DASD、テープ、CD、DVD、サムドライブ、および他のメモリ媒体などを含む)が、直接的に、または、介在するI/Oコントローラを通じてのいずれかでシステムに結合され得る。さらにネットワークアダプタも、データ処理システムが、介在するプライベートネットワークまたはパブリックネットワークを通じて他のデータ処理システムまたは遠隔のプリンタまたは記憶デバイスに結合されることを可能にするように、システムに結合することができる。モデム、ケーブルモデム、およびEthernetカードは、利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの一部に過ぎない。
【0091】
本開示は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品において具現化されてもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに、本開示の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有する1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定ではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上記の任意の適切な組合せであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体のより特定的な例の包括的でないリストは、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、パンチカードまたは命令が記録されている溝の中の隆起構造のような機械的に符号化されているデバイス、および、上記の任意の適切な組合せを含む。
【0092】
本明細書において記載されているコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスへ、または、ネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワークおよび/もしくはワイヤレスネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスへダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含んでもよい。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するために、コンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0093】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、または、Smalltalk、C++などのようなオブジェクト指向プログラミング言語、および、「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書かれているソースコードもしくはオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コードセグメントまたは機械実行可能命令は、プロシージャ、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、または命令、データ構造、もしくはプログラム文の任意の組み合わせを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、またはメモリ内容を渡すことおよび/または受信することによって、別のコードセグメントまたはハードウェア回路に結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、とりわけ、メモリ共有、メッセージパッシング、トークンパッシング、ネットワーク送信を含む任意の適切な手段を介して、受け渡し、転送、または送信されてもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、その全体をユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的に遠隔コンピュータ上で、またはその全体を遠隔コンピュータもしくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、LANもしくはWANを含む任意のタイプのネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続され得るか、または、接続は、外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)行われ得る。いくつかの実施形態において、例えば、プログラム可能論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラム可能論理アレイ(PLA)を含む電子回路が、本開示の態様を実施するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路をカスタマイズすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0094】
本開示の態様は、本明細書において、本開示の実施形態による、方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャートの図および/またはブロック図を参照して説明されている。フローチャートの図および/またはブロック図の各ブロック、ならびに、フローチャートの図および/またはブロック図の中の複数のブロックの組合せは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得ることが理解されよう。本明細書において開示されている実施形態に関連して記載されている様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組み合わせとして実装されてもよい。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップは上記で概してそれらの機能に関して記載されている。このような機能がハードウェアとして実装されるか、またはソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に対して課される特定の用途および設計制約に応じて決まる。当業者は、各々の特定の用途のために様々な方法で所望の機能を実装することができるが、このような実装の決定は本開示の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0095】
図内のフローチャートおよびブロック図は本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装態様のアーキテクチャ、機能、および動作を例示する。これに関連して、フローチャートおよびブロック図内の各ブロックは、指定の論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部分を表すことができる。いくつかの代替的な実装態様において、ブロックに記載されている機能は、図に記載されている順序と一致せずに行われてもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは実際には、関与する機能に応じて、実質的に同時に実行されてもよく、または、これらのブロックは、場合によっては、逆順に実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャートの図の各ブロック、ならびに、ブロック図および/またはフローチャートの図のブロックの組合せは、指定の機能若しくは動作を実施するか、または、専用ハードウェアとコンピュータ命令との組合せを実行する専用ハードウェアベースシステムによって実装することができることも留意されよう。
【0096】
「次いで(then)」、「次の(next)」などの単語は、ステップの順序を限定することを意図したものではなく、これらの単語は単純に、方法の説明を通じて読者を案内するために使用される。プロセスフロー図では、動作を順次プロセスとして説明している場合があるが、動作の多くは並行してまたは同時に実行され得る。さらに、動作の順序が再構成されてもよい。プロセスは、メソッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応してもよい。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼び出し関数またはメイン関数への関数の戻りに対応し得る。
【0097】
特定の例示的な実施形態に関して説明された特徴または機能は、様々な他の例示的な実施形態内でおよび/またはそれとともに組み合わされても、部分組み合わせされてもよい。また、本明細書に開示されるような例示的な実施形態の異なる態様および/または要素も、同様の方法で組み合わされても、部分組み合わせされてもよい。さらに、いくつかの例示的な実施形態は、個別かおよび/または集合的かを問わず、より大規模なシステムの構成要素であってもよく、他の手順が優先してもよく、および/または、他の方法でそれらの適用を変更してもよい。さらに、本明細書に開示されるように、例示的な実施形態の前、後、および/または同時に、いくつかのステップが必要とされてもよい。少なくとも本明細書に開示されるように、任意および/またはすべての方法および/またはプロセスは、任意の方法で少なくとも1つのエンティティまたは動作主体を介して少なくとも部分的に実行され得ることに留意されたい。
【0098】
第1、第2などの用語は、本明細書においては様々な要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために使用できるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションは、必ずしもそのような用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、構成要素、領域、層、またはセクションを別の要素、構成要素、領域、層、またはセクションから区別するために使用される。したがって、以下に論じられる第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、本開示の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと称され得る。
【0099】
さらに、本明細書では、「下方」、「下側」、「上方」、および「上側」などの相対的な用語を使用して、添付の図面に示されるような、ある要素と別の要素との関係を説明することができる。そのような相対的な用語は、添付の図面に示されている向きに加えて、示されている技術の異なる向きを包含することを意図している。例えば、添付の図面でデバイスが裏返されている場合、他の要素の「下」側にあると説明されている要素は、他の要素の「上」側に向けられる。同様に、図面のうちの1つにあるデバイスが裏返されている場合、他の要素の「下方」または「下」として説明されている要素は、他の要素の「上方」に向けられる。したがって、「下方」および「下側」という例示的な用語は、上方および下方の両方の向きを包含することができる。
【0100】
別途規定されない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書において定義されているもののような用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように規定されていない限り、理想化されたおよび/または過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
【0101】
好ましい実施形態が本明細書において詳細に描写および説明されてきたが、関連技術の当業者には、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な修正、追加、置換などを行うことができ、したがって、これらは以下の特許請求の範囲において定義されるような、本開示の範囲内にあるとみなされることが諒解されよう。
図1
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