(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】医療流体送達システムのためのプライミングセンサ
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61M1/28 130
(21)【出願番号】P 2021559528
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 US2020026842
(87)【国際公開番号】W WO2020210150
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-23
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ザフィリス, ジョン
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/101278(US,A1)
【文献】特開平1-314573(JP,A)
【文献】実開昭64-039748(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析装置であって、前記装置は、
透析流体の源から透析流体を受け取るように構成された患者管と、
透析流体を前記源から前記患者管に移動させるように構成された少なくとも1つのポンプと、
第1のエミッタと、第2のエミッタと、第3のエミッタと、検出器とを含むプライミングセンサであって、前記検出器は、前記第1のエミッタ、前記第2のエミッタ、および前記第3のエミッタによって放出された光を検出するように構成され、前記光は、前記患者管と相互作用する、プライミングセンサと、
前記プライミングセンサを動作させるように構成されたプロセッサと、
命令を記憶しているメモリと
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
(i)掃引期間中、掃引パターンにおいて、前記第1のエミッタ、前記第2のエミッタ、および前記第3のエミッタに動作させることであって、前記第1のエミッタのピーク輝度は、前記第2のエミッタのピーク輝度の前に生じ、前記第2のエミッタの前記ピーク輝度は、前記第3のエミッタのピーク輝度の前に生じる、ことと、
(ii)前記掃引期間中に検出された光を示す出力データを前記検出器から受信することと、
(iii)前記出力データに基づいて、前記掃引期間に対応する出力波形を作成することと、
(iv)前記出力波形を少なくとも1つの基準波形と比較し、(a)管なし状態、(b)乾燥管状態、または、(c)湿潤管状態のうちの1つを決定することと、
(v)前記比較を示す出力を提供することと
を前記プロセッサに行わせ
、
前記プロセッサは、
前記メモリ内の命令によって定義されるアクティブ化パターンに従って、第1の期間中、第1の時間に前記第1のエミッタに光を放出させることと、
前記アクティブ化パターンに従って、第2の期間中、前記第1の期間中に始まる第2の時間に前記第2のエミッタに光を放出させることと、
前記アクティブ化パターンに従って、第3の期間中、前記第2の期間中に始まる第3の時間に前記第3のエミッタに光を放出させることと
によって、前記掃引パターンにおいて前記エミッタに動作させる、装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記湿潤管状態が決定された場合、前記湿潤管状態を示すメッセージが伝送されるようにさらに構成され、
(i)-(iv)は、プライミングシーケンス中、繰り返され、前記少なくとも1つのポンプは、前記湿潤管状態が決定されるまで、前記透析流体に前記源から前記患者管に移動させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記湿潤管状態が決定された場合、腹膜透析治療が可能にされるようにさらに構成されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記出力波形の導関数を計算することによって、分析出力波形を決定することと、
前記分析出力波形を前記少なくとも1つの基準波形と比較し、前記状態(a)-(c)のうちの1つを決定することと
を行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも3つの基準波形を含み、前記プロセッサは、前記基準波形のうちの1つを前記出力波形に合致させ、前記状態(a)-(c)を決定するように構成されている、請求項1または4に記載の装置。
【請求項6】
前記決定された状態(a)-(c)に対応するテキストまたはグラフィックのうちの少なくとも1つを表示するように構成されたユーザインターフェースを含む、請求項1、4、または5に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサと前記検出器とは、10~100個のサンプルを入手し、前記掃引期間中の前記検出された光を示す前記出力データを形成するように協働する、請求項1または6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記湿潤管状態が決定される度にカウンタを増加させることと、
前記カウンタの値をカウンタ閾値と比較することと、
前記カウンタの前記値が前記カウンタ閾値に等しいか、またはそれを超えるとき、前記湿潤管状態を決定することと
を行うように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記カウンタ閾値は、2~10である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の時間は、前記第1の期間の中間と3/4との間に始まり、前記第3の時間は、前記第2の期間の中間と3/4との間に始まる、請求項
1に記載の装置。
【請求項11】
前記アクティブ化パターンは、それぞれの期間の開始から前記ピーク輝度が達せられる前記それぞれの期間の半分までデューティサイクルを増加させ、前記それぞれの期間の半分から前記それぞれの期間の終了まで前記デューティサイクルを減少させることによって、前記第1、第2、および第3のエミッタによって放出される前記光の輝度の制御を規定する、請求項
1または10に記載の装置。
【請求項12】
前記アクティブ化パターンは、ガウスインパルス波形に対応する、請求項
1に記載の装置。
【請求項13】
前記患者管が前記プライミングセンサの中に挿入されているとき、前記第1のエミッタは、前記検出器から反対側の前記患者管の第1の側に位置し、前記検出器は、前記患者管の第2の側に位置している、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のエミッタは、前記第1のエミッタに隣接して前記患者管の第1の側に位置し、前記第3のエミッタは、前記第2のエミッタに隣接して位置し、前記第3のエミッタは、前記第1のエミッタおよび前記第2のエミッタから放出される光に対して30~60度で光を向けるように整列させられている、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のエミッタは、前記検出器に対して透過型発光ダイオードであるように位置付けられ、前記第2のエミッタは、前記検出器に対して中間発光ダイオードであるように位置付けられ、前記第3のエミッタは、前記検出器に対して反射型発光ダイオードであるように位置付けられている、請求項1、
13、または
14に記載の装置。
【請求項16】
前記プライミングセンサは、前記プライミングセンサ内に前記患者管を保持するように構成された少なくとも1つの保持具区分を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
腹膜透析装置であって、前記装置は、
第1のエミッタと、第2のエミッタと、検出器とを含むプライミングセンサであって、前記検出器は、前記第1のエミッタおよび前記第2のエミッタによって放出された光を透析管を通して検出するように構成されている、プライミングセンサと、
前記プライミングセンサを動作させるように構成されたプロセッサと、
命令を記憶しているメモリと
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
(i)掃引期間中、掃引パターンにおいて、前記第1のエミッタおよび前記第2のエミッタに動作させることと、
(ii)前記掃引期間中に検出された光を示す出力データを前記検出器から受信することと、
(iii)前記出力データに基づいて、前記掃引期間に対応する
波形を作成することと、
(iv)前記
波形に基づいて、前記透析管の状態を決定することであって、前記状態は、(a)管なし状態、(b)乾燥管状態、および、(c)湿潤管状態のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
(v)前記湿潤管状態が決定された場合、前記透析管がプライミングされていることを示すメッセージを伝送することと
を前記プロセッサに行わせ
、
前記プロセッサは、
前記メモリ内の命令によって定義されるアクティブ化パターンに従って、第1の期間中、前記掃引期間中の第1の時間に前記第1のエミッタに光を放出させることと、
前記アクティブ化パターンに従って、第2の期間中、前記第1の期間中に始まる前記掃引期間中の第2の時間に前記第2のエミッタに光を放出させることと、
によって、前記掃引パターンにおいて前記エミッタに動作させる、装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記
波形の共通モードオフセットを除去し、周囲光効果を除外することと、
前記共通モードオフセットに基づいて前記
波形をスケーリングし、前記
波形の形状を正規化することと、
前記スケーリングされた
波形の一次導関数を算出することと、
前記スケーリングされた
波形の一次導関数から前記3つの状態の各々に関する基準曲線を減算することと、
前記スケーリングされた
波形から前記それぞれの基準曲線を減算することによって、前記3つの基準曲線の各々に関する面積の絶対値を計算することと、
前記基準曲線に関する前記面積の最も小さい絶対値に対応する前記基準曲線を選択することによって、前記透析管の前記状態を決定することと
によって、前記透析管の前記状態を決定するように構成されている、請求項
17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
損傷した、または不適切に機能する腎臓を伴う人々は、血液から老廃物を除去するために透析治療を受け得る。1つの一般的なタイプの透析は、腹膜透析流体と称される清浄流体が、カテーテルを介して患者の腹部の患者の腹膜腔の中に移動させられる腹膜透析(「PD」)である。清浄流体は、滞留期間中に老廃物を吸収する。滞留期間が終了した後、清浄流体は、吸収された老廃物とともに患者の腹膜腔から除去され、それによって、患者の損傷した腎臓を補償する。
【0002】
多くの場合、PD機械が、処方された量の清浄流体を患者の腹膜腔の中に圧送するために使用される。PD機械は、清浄流体が滞留期間中に患者内に留まることを可能にする。滞留期間後、PD機械は、患者の腹膜腔から老廃物とともに清浄流体を排出する。あるPD機械は、典型的に、空気を除去するために、患者に洗浄流体を送給する管および管類組をプライミングし、したがって、空気が患者の腹膜腔の中に伝達されることを防止する。プライミングは、典型的に、PD療法中に患者に接続される管等の管の端部に清浄流体を圧送し、管内の空気を除去することを伴う。
【0003】
PD機械は、患者の自宅、診療所、または病院に位置し得る。何回も、患者は、治療のために自身の機械を準備する(プライミングシーケンスを実行することを含む)。患者が管をプライミングすることに役立つために、PD機械は、管が適切にプライミングされているときを検出するセンサを含み得る。あるセンサは、光を使用し、清浄流体が管の端部に到達したときを検出し、それは、成功したプライミングを示す。しかしながら、周囲光、管特性、および/または流体タイプにおける変動は、光センサが所望されるものより低い正確度であるようにし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示される例示的システム、装置、および方法は、周囲光輝度、管特性、および/または流体タイプに比較的に敏感ではない正確な透析プライミングセンサを提供するように構成される。透析プライミングセンサは、少なくとも2つの光エミッタと、少なくとも1つの光検出器とを含む。プロセッサが、PD機械のためのプライミングシーケンス中に少なくとも1つの光検出器から出力をサンプリングしながら、掃引パターンにおいて少なくとも2つの光エミッタをアクティブにするように構成される。例示的プロセッサは、サンプリングされた出力からのデータを1つ以上の基準曲線と比較し、いかなる管も存在しないとき、管が存在するが乾燥しているとき、または、管が存在し、流体(プライミング流体等)を含むときを検出するように構成される。プロセッサは、管が存在し、流体を含むこと(例えば、湿潤管状態)を検出した後、プロセッサが、PDのための患者ラインのプライミングが成功した指示を提供し、プライミングシーケンスが継続/終了すること、および/または、PD治療が開始されることを可能にするようにさらに構成される。プロセッサは、例えば、湿潤管状態が定義された期間内に検出されない場合、患者ラインの失敗したプライミングの指示を提供するようにも構成され得る。
【0005】
例示的システム、装置、および方法は、ある実施形態において、管および管内の任意の流体と相互作用する光によって引き起こされる透過および反射光に基づいて分析を実施するために、光エミッタを用いて掃引パターンを実施する。エミッタは、各エミッタに関する光透過率および反射率に差異を生じさせ、掃引パターンにおいて変動性を作成するために、管および検出器に対して異なる角度に位置付けられ得る。掃引中、光検出器は、例えば、10~100回、一好ましい実施形態において、50~75回サンプリングされる。例示的システム、方法、および装置は、サンプリングされた光輝度データを使用し、掃引期間中の検出された光輝度の波形を作成するように構成される。異なる波形パターンが、管が存在するかどうか、および流体が管の内側にあるかどうかに基づいて形成される。例示的システム、方法、および装置は、検出またはサンプリングされた波形との比較のために異なる基準波形を使用し、管が存在するかどうか、および存在する管が流体を含むかどうかを決定する。異なる可能な管状態の各々に関する波形形状間の差異は、周囲光条件、管特性、および/または流体特性を変動させることによって引き起こされる潜在的検出誤差を排除する。
【0006】
本明細書の開示に照らして、かつ本開示をいかようにも限定することなく、別様に規定されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせられ得る本開示の第1の側面では、腹膜透析装置は、透析流体の源から透析流体を受け取るように構成された患者管と、透析流体を源から患者管に移動させるように構成された少なくとも1つのポンプと、第1のエミッタと、第2のエミッタと、第3のエミッタと、検出器とを含むプライミングセンサであって、検出器は、患者管と相互作用する、またはそれを通過する第1のエミッタ、第2のエミッタ、および第3のエミッタによって放出された光を検出するように構成されている、プライミングセンサと、プライミングセンサを動作させるように構成されたプロセッサと、プロセッサによって実行されると、(i)掃引期間中、掃引パターンにおいて、第1のエミッタ、第2のエミッタ、および第3のエミッタを動作させることであって、第1のエミッタのピーク輝度は、第2のエミッタのピーク輝度の前に生じ、第2のエミッタのピーク輝度は、第3のエミッタのピーク輝度の前に生じる、ことと、(ii)掃引期間中に検出された光を示す出力データを検出器から受信することと、(iii)出力データに基づいて、掃引期間に対応する出力波形を作成することと、(iv)出力波形を少なくとも1つの基準波形と比較し、(a)管なし状態、(b)乾燥管状態、または、(c)湿潤管状態のうちの1つを決定することと、(v)比較を示す出力を提供することとをプロセッサに行わせる命令を記憶しているメモリとを含む。
【0007】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第2の側面によると、プロセッサはさらに、湿潤管状態が決定された場合、湿潤管状態を示すメッセージが伝送されるように構成され、(i)-(iv)が、プライミングシーケンス中に繰り返される間、少なくとも1つのポンプは、湿潤管状態が決定されるまで、透析流体を源から患者管に移動させる。
【0008】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第3の側面によると、プロセッサは、湿潤管状態が決定された場合、腹膜透析治療が可能にされるようにさらに構成される。
【0009】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第4の側面によると、プロセッサは、出力波形の導関数を計算することによって、分析出力波形を決定し、分析出力波形を少なくとも1つの基準波形と比較し、状態(a)-(c)のうちの1つを決定するように構成される。
【0010】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第5の側面によると、装置は、少なくとも3つの基準波形を含み、プロセッサは、基準波形のうちの1つを出力波形に合致させ、状態(a)-(c)を決定するように構成される。
【0011】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第6の側面によると、装置は、決定された状態(a)-(c)に対応するテキストまたはグラフィックのうちの少なくとも1つを表示するように構成されたユーザインターフェースを含む。
【0012】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第7の側面によると、プロセッサおよび検出器は、10~100個のサンプルを入手し、掃引期間中の検出された光を示す出力データを形成するように協働する。
【0013】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第8の側面によると、プロセッサは、湿潤管状態が決定される度にカウンタを増加させ、カウンタの値をカウンタ閾値と比較し、カウンタの値がカウンタ閾値に等しいか、またはそれを超えるとき、湿潤管状態を決定するように構成される。
【0014】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第9の側面によると、カウンタ閾値は、2~10である。
【0015】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第10の側面によると、プロセッサは、第1の期間中、第1の時間に、メモリ内の命令によって定義されるアクティブ化パターンに従って、第1のエミッタに光を放出させることと、第2の期間中、第1の時間の後の第2の時間に、アクティブ化パターンに従って、第2のエミッタに光を放出させることと、第3の期間中、第2の時間の後の第3の時間に、アクティブ化パターンに従って、第3のエミッタに光を放出させることとによって、エミッタを掃引パターンにおいて動作させる。
【0016】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第11の側面によると、第2の時間は、第1の期間中、または第1の期間の後に始まり、第3の時間は、第2の期間中、または第2の期間の後に始まる。
【0017】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第12の側面によると、第2の時間は、第1の期間の中間と3/4との間に始まり、第3の時間は、第2の期間の中間と3/4との間に始まる。
【0018】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第13の側面によると、アクティブ化パターンは、それぞれの期間の開始からピーク輝度が達せられるそれぞれの期間の半分までデューティサイクルを増加させ、それぞれの期間の半分からそれぞれの期間の終了までデューティサイクルを減少させることによって、第1、第2、および第3のエミッタによって放出される光の輝度の制御を規定する。
【0019】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第14の側面によると、アクティブ化パターンは、ガウスインパルス波形に対応する。
【0020】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第15の側面によると、患者管がプライミングセンサの中に挿入されているとき、第1のエミッタは、患者管の第2の側に位置する検出器から反対側の患者管の第1の側に位置する。
【0021】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第16の側面によると、第2のエミッタは、第1のエミッタに隣接して患者管の第1の側に位置し、第3のエミッタは、第2のエミッタに隣接して位置し、第1のエミッタおよび第2のエミッタから放出される光に対して30~60度で光を向けるように整列させられる。
【0022】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第17の側面によると、第1のエミッタは、検出器に対して透過型発光ダイオードであるように位置付けられ、第2のエミッタは、検出器に対して中間発光ダイオードであるように位置付けられ、第3のエミッタは、検出器に対して反射型発光ダイオードであるように位置付けられる。
【0023】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第18の側面によると、プライミングセンサは、プライミングセンサ内に患者管を保持するように構成された少なくとも1つの保持具区分を含む。
【0024】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第19の側面によると、腹膜透析装置は、第1のエミッタと、第2のエミッタと、検出器とを含むプライミングセンサであって、検出器は、透析管を通して第1のエミッタおよび第2のエミッタによって放出された光を検出するように構成されたプライミングセンサと、プライミングセンサを動作させるように構成されたプロセッサと、プロセッサによって実行されると、第1のエミッタおよび第2のエミッタを掃引期間中、掃引パターンにおいて動作させることと、掃引期間中に検出された光を示す出力データを検出器から受信することと、出力データに基づいて、掃引期間に対応するアレイ曲線を作成することと、アレイ曲線に基づいて、透析管の状態を決定することであって、状態は、管なし状態、乾燥管状態、および湿潤管状態のうちの少なくとも1つを含む、ことと、湿潤管状態が決定された場合、透析管がプライミングされていることを示すメッセージを伝送することとをプロセッサに行わせる命令を記憶しているメモリとを含む。
【0025】
別様に記載されない限り、本明細書に列挙される任意の他の側面と組み合わせて使用され得る本開示の第20の側面によると、プロセッサは、アレイ曲線の共通モードオフセットを除去し、周囲光効果を除外することと、共通モードオフセットに基づいて、アレイ曲線をスケーリングし、アレイ曲線の形状を正規化することと、スケーリングされたアレイ曲線の一次導関数を算出することと、スケーリングされたアレイ曲線の一次導関数から3つの状態の各々に関する基準曲線を減算することと、スケーリングされたアレイ曲線からそれぞれの基準曲線を減算することによって、3つの基準曲線の各々に関する面積の絶対値を計算することと、基準曲線に関する面積の最も小さい絶対値に対応する基準曲線を選択することによって、状態を決定することとによって、透析管の状態を決定するように構成される。
【0026】
本開示の第21の側面では、
図1-28のうちのいずれか1つ以上のものに関連して開示される構造、機能性、および代替のうちのいずれかは、
図1-28のうちの任意の他の1つ以上のものに関連して開示される任意の他の構造、機能性、および代替と組み合わせられ得る。
【0027】
本開示および上記の側面に照らして、したがって、医療流体送達システムのための改良されたプライミングシステム、デバイス、および方法を提供することが、本開示の利点である。
【0028】
周囲光、管特性、および/または流体特性にかかわらず、流体が透析管内のある位置に到達するときを正確に検出することが、本開示の別の利点である。
【0029】
異なるタイプの医療流体送達機械に適用され得るプライミングセンサおよび方法論を提供することが、本開示のまた別の利点である。
【0030】
本明細書に議論される利点は、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ、またはいくつかにおいて見出され、おそらく、その全てに見出されるわけではないこともある。追加の特徴および利点が、本明細書に説明され、以下の発明を実施するための形態および図から明白となるであろう。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
腹膜透析装置であって、前記装置は、
透析流体の源から透析流体を受け取るように構成された患者管と、
透析流体を前記源から前記患者管に移動させるように構成された少なくとも1つのポンプと、
第1のエミッタと、第2のエミッタと、第3のエミッタと、検出器とを含むプライミングセンサであって、前記検出器は、前記第1のエミッタ、前記第2のエミッタ、および前記第3のエミッタによって放出された光を検出するように構成され、前記光は、前記患者管と相互作用する、プライミングセンサと、
前記プライミングセンサを動作させるように構成されたプロセッサと、
命令を記憶しているメモリと
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
(i)掃引期間中、掃引パターンにおいて、前記第1のエミッタ、前記第2のエミッタ、および前記第3のエミッタに動作させることであって、前記第1のエミッタのピーク輝度は、前記第2のエミッタのピーク輝度の前に生じ、前記第2のエミッタの前記ピーク輝度は、前記第3のエミッタのピーク輝度の前に生じる、ことと、
(ii)前記掃引期間中に検出された光を示す出力データを前記検出器から受信することと、
(iii)前記出力データに基づいて、前記掃引期間に対応する出力波形を作成することと、
(iv)前記出力波形を少なくとも1つの基準波形と比較し、(a)管なし状態、(b)乾燥管状態、または、(c)湿潤管状態のうちの1つを決定することと、
(v)前記比較を示す出力を提供することと
を前記プロセッサに行わせる、装置。
(項目2)
前記プロセッサは、前記湿潤管状態が決定された場合、前記湿潤管状態を示すメッセージが伝送されるようにさらに構成され、
(i)-(iv)は、プライミングシーケンス中、繰り返され、前記少なくとも1つのポンプは、前記湿潤管状態が決定されるまで、前記透析流体に前記源から前記患者管に移動させる、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記プロセッサは、前記湿潤管状態が決定された場合、腹膜透析治療が可能にされるようにさらに構成されている、項目1または2に記載の装置。
(項目4)
前記プロセッサは、
前記出力波形の導関数を計算することによって、分析出力波形を決定することと、
前記分析出力波形を前記少なくとも1つの基準波形と比較し、前記状態(a)-(c)のうちの1つを決定することと
を行うように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目5)
少なくとも3つの基準波形を含み、前記プロセッサは、前記基準波形のうちの1つを前記出力波形に合致させ、前記状態(a)-(c)を決定するように構成されている、項目1または4に記載の装置。
(項目6)
前記決定された状態(a)-(c)に対応するテキストまたはグラフィックのうちの少なくとも1つを表示するように構成されたユーザインターフェースを含む、項目1、4、または5に記載の装置。
(項目7)
前記プロセッサと前記検出器とは、10~100個のサンプルを入手し、前記掃引期間中の前記検出された光を示す前記出力データを形成するように協働する、項目1または6に記載の装置。
(項目8)
前記プロセッサは、
前記湿潤管状態が決定される度にカウンタを増加させることと、
前記カウンタの値をカウンタ閾値と比較することと、
前記カウンタの前記値が前記カウンタ閾値に等しいか、またはそれを超えるとき、前記湿潤管状態を決定することと
を行うように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目9)
前記カウンタ閾値は、2~10である、項目8に記載の装置。
(項目10)
前記プロセッサは、
前記メモリ内の命令によって定義されるアクティブ化パターンに従って、第1の期間中、第1の時間に前記第1のエミッタに光を放出させることと、
前記アクティブ化パターンに従って、第2の期間中、前記第1の時間の後の第2の時間に前記第2のエミッタに光を放出させることと、
前記アクティブ化パターンに従って、第3の期間中、前記第2の時間の後の第3の時間に前記第3のエミッタに光を放出させることと
によって、前記掃引パターンにおいて前記エミッタに動作させる、項目1に記載の装置。
(項目11)
前記第2の時間は、前記第1の期間中、または前記第1の期間の後に始まり、前記第3の時間は、前記第2の期間中、または前記第2の期間の後に始まる、項目10に記載の装置。
(項目12)
前記第2の時間は、前記第1の期間の中間と3/4との間に始まり、前記第3の時間は、前記第2の期間の中間と3/4との間に始まる、項目10に記載の装置。
(項目13)
前記アクティブ化パターンは、それぞれの期間の開始から前記ピーク輝度が達せられる前記それぞれの期間の半分までデューティサイクルを増加させ、前記それぞれの期間の半分から前記それぞれの期間の終了まで前記デューティサイクルを減少させることによって、前記第1、第2、および第3のエミッタによって放出される前記光の輝度の制御を規定する、項目10、11、または12に記載の装置。
(項目14)
前記アクティブ化パターンは、ガウスインパルス波形に対応する、項目10に記載の装置。
(項目15)
前記患者管が前記プライミングセンサの中に挿入されているとき、前記第1のエミッタは、前記検出器から反対側の前記患者管の第1の側に位置し、前記検出器は、前記患者管の第2の側に位置している、項目1に記載の装置。
(項目16)
前記第2のエミッタは、前記第1のエミッタに隣接して前記患者管の第1の側に位置し、前記第3のエミッタは、前記第2のエミッタに隣接して位置し、前記第3のエミッタは、前記第1のエミッタおよび前記第2のエミッタから放出される光に対して30~60度で光を向けるように整列させられている、項目15に記載の装置。
(項目17)
前記第1のエミッタは、前記検出器に対して透過型発光ダイオードであるように位置付けられ、前記第2のエミッタは、前記検出器に対して中間発光ダイオードであるように位置付けられ、前記第3のエミッタは、前記検出器に対して反射型発光ダイオードであるように位置付けられている、項目1、15、または16に記載の装置。
(項目18)
前記プライミングセンサは、前記プライミングセンサ内に前記患者管を保持するように構成された少なくとも1つの保持具区分を含む、項目1に記載の装置。
(項目19)
腹膜透析装置であって、前記装置は、
第1のエミッタと、第2のエミッタと、検出器とを含むプライミングセンサであって、前記検出器は、前記第1のエミッタおよび前記第2のエミッタによって放出された光を透析管を通して検出するように構成されている、プライミングセンサと、
前記プライミングセンサを動作させるように構成されたプロセッサと、
命令を記憶しているメモリと
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
(i)掃引期間中、掃引パターンにおいて、前記第1のエミッタおよび前記第2のエミッタに動作させることと、
(ii)前記掃引期間中に検出された光を示す出力データを前記検出器から受信することと、
(iii)前記出力データに基づいて、前記掃引期間に対応するアレイ曲線を作成することと、
(iv)前記アレイ曲線に基づいて、前記透析管の状態を決定することであって、前記状態は、(a)管なし状態、(b)乾燥管状態、および、(c)湿潤管状態のうちの少なくとも1つを含む、ことと、
(v)前記湿潤管状態が決定された場合、前記透析管がプライミングされていることを示すメッセージを伝送することと
を前記プロセッサに行わせる、装置。
(項目20)
前記プロセッサは、
前記アレイ曲線の共通モードオフセットを除去し、周囲光効果を除外することと、
前記共通モードオフセットに基づいて前記アレイ曲線をスケーリングし、前記アレイ曲線の形状を正規化することと、
前記スケーリングされたアレイ曲線の一次導関数を算出することと、
前記スケーリングされたアレイ曲線の一次導関数から前記3つの状態の各々に関する基準曲線を減算することと、
前記スケーリングされたアレイ曲線から前記それぞれの基準曲線を減算することによって、前記3つの基準曲線の各々に関する面積の絶対値を計算することと、
前記基準曲線に関する前記面積の最も小さい絶対値に対応する前記基準曲線を選択することによって、前記透析管の前記状態を決定することと
によって、前記透析管の前記状態を決定するように構成されている、項目19に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本開示の例示的実施形態による、プライミングセンサと、透析機械とを含む例示的医療流体送達システムの略図を図示する概略図である。
【0032】
【
図2】
図2は、本開示の例示的実施形態による、
図1の例示的医療流体送達システムの透析機械に対するプライミングセンサの略図を図示する斜視図である。
【0033】
【
図3】
図3および4は、本開示の例示的実施形態による、
図1および2のプライミングセンサの回路基板を示す上面平面図である。
【
図4】
図3および4は、本開示の例示的実施形態による、
図1および2のプライミングセンサの回路基板を示す上面平面図である。
【0034】
【
図5】
図5は、本開示の例示的実施形態による、
図3および4のプライミングセンサのエミッタに関する指向性放射パターンの略図である。
【0035】
【
図6】
図6は、本開示の例示的実施形態による、
図3および4のプライミングセンサの検出器の指向性放射感度パターンの略図である。
【0036】
【
図7A】
図7A-7Eは、本開示の例示的実施形態による、プロセッサが掃引パターンを作成するために
図3および4のプライミングセンサとともに動作する方法を図示する略図である。
【
図7B】
図7A-7Eは、本開示の例示的実施形態による、プロセッサが掃引パターンを作成するために
図3および4のプライミングセンサとともに動作する方法を図示する略図である。
【
図7C】
図7A-7Eは、本開示の例示的実施形態による、プロセッサが掃引パターンを作成するために
図3および4のプライミングセンサとともに動作する方法を図示する略図である。
【
図7D】
図7A-7Eは、本開示の例示的実施形態による、プロセッサが掃引パターンを作成するために
図3および4のプライミングセンサとともに動作する方法を図示する略図である。
【
図7E】
図7A-7Eは、本開示の例示的実施形態による、プロセッサが掃引パターンを作成するために
図3および4のプライミングセンサとともに動作する方法を図示する略図である。
【0037】
【
図8】
図8および9は、本開示の例示的実施形態による、管なし状態に関する
図7Aの掃引パターンのサブセットまたは一部を図示する例示的グラフである。
【
図9】
図8および9は、本開示の例示的実施形態による、管なし状態に関する
図7Aの掃引パターンのサブセットまたは一部を図示する例示的グラフである。
【0038】
【
図10】
図10は、本開示の例示的実施形態による、管なし状態に関する
図7Aの掃引期間中のサンプリングされた出力データを集約すること、または別様に組み合わせることによって形成される波形の略図である。
【0039】
【
図11】
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形および対応して計算された導関数波形のグラフである。
【
図12】
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形および対応して計算された導関数波形のグラフである。
【
図13】
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形および対応して計算された導関数波形のグラフである。
【
図14】
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形および対応して計算された導関数波形のグラフである。
【
図15】
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形および対応して計算された導関数波形のグラフである。
【
図16】
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形および対応して計算された導関数波形のグラフである。
【0040】
【
図17】
図17-19は、本開示の例示的実施形態による、基準波形と
図11-16からの計算された導関数波形との間のマージンを図示する略図である。
【
図18】
図17-19は、本開示の例示的実施形態による、基準波形と
図11-16からの計算された導関数波形との間のマージンを図示する略図である。
【
図19】
図17-19は、本開示の例示的実施形態による、基準波形と
図11-16からの計算された導関数波形との間のマージンを図示する略図である。
【0041】
【
図20】
図20は、本開示の例示的実施形態による、患者管の管状態を決定するための例示的手順の略図である。
【0042】
【
図21】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【
図22】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【
図23】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【
図24】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【
図25】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【
図26】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【
図27】
図21-27は、本開示の例示的実施形態による、透析療法の準備においてプライミング手順を実施することにおいて患者を支援するために透析機械によって表示され得るグラフィックの略図である。
【0043】
【
図28】
図28は、本開示の例示的実施形態による、患者管の管状態を決定するように構成された例示的手順の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
医療流体送達システムが、本明細書に開示される。例示的医療流体送達システムは、腹膜透析機械および/または血液透析機械を含み得る。医療流体送達システムは、少なくとも1つの管またはラインセットが、洗浄液またはプライミング液等の適切な流体を用いてプライミングされているときを検出するように構成されたプライミングセンサを含む。プライミングセンサは、複数の光エミッタと、少なくとも1つの光検出器とを含む。プライミング動作中、光エミッタは、掃引パターンにおいてアクティブにされる一方、検出器は、光輝度の周期的サンプルを記録する。サンプリングされたデータは、掃引期間にわたって検出された光輝度を示す波形(例えば、アレイ曲線)に集約されるか、または、別様に組み合わせられる。波形は、例えば、管なし状態、乾燥管状態、および湿潤管状態を含む異なる可能な状態に対応する基準波形と比較される。検出された波形に最も近い基準波形が、透析管に関連付けられたプライミングの現在の状態を決定するために選択される。
【0045】
いくつかの例では、医療流体送達システムは、管なし状態が検出された場合、医療流体送達システムが、透析管がプライミングセンサの中に挿入される必要があることを示すアラートを提供するように構成される。医療流体送達システムは、管がセンサによって検出されるまで、透析管のプライミングが開始されることを防止し得る。乾燥管状態が検出された場合、医療流体送達システムは、流体を流体源から透析管の中に圧送することによって、プライミングシーケンスを開始および/または継続し得る。湿潤管状態が検出された場合、医療流体送達システムは、流体源から流体を圧送することを停止すること、および/または、プライミングシーケンスを終了することを行い得る。いくつかの実施形態において、医療流体送達システムは、プライミングが終了する前、湿潤管状態を複数回(例えば、適切な結果が検証されることを確実にするために、2~10回)検出するように構成され得る。
【0046】
例示的システム、方法、および装置は、光を使用して管状態を検出する公知のプライミングセンサに優る改良を提供する。現在、光ベースのプライミングセンサは、光エミッタの全てを同時にアクティブにするか、または、各エミッタを別個にアクティブにする。エミッタは、同じ輝度レベルを有するようにアクティブにされる。エミッタの全てが、同時にアクティブにされる場合、検出された光は、異なる閾値と比較され、状態は、どの閾値が超えられたか基づいて決定される。エミッタが、個々にアクティブにされる場合、各エミッタからの検出された光は、別個の閾値と比較され(またはある比率に組み合わせられ、ある閾値と比較され)、管状態は、超えられた閾値の加重平均に基づいて決定される。
【0047】
これらの公知の検出方法の両方は、エミッタによって放出される光の検出に影響を及ぼす周囲光の結果として、不正確であり得る。これらの公知の管検出方法は、検出される光に基づき、比較が、絶対静的閾値と行われる。周囲光の増加は、光センサによって検出される光の量を増加させ、それによって、管検出に関連付けられた誤差を作成する。類似する誤差が、管特性(例えば、管厚、管組成、材料透明度/反射率、光吸収、管直径)および流体特性(例えば、粘度、密度、濁度/透明度、色、光吸収)に基づいて導入され得る。
【0048】
公知の方法と対照的に、本明細書に開示される例示的システム、方法、および装置は、ある実施形態において、掃引パターンにおいて光エミッタをアクティブにする。掃引パターン中、エミッタによって伝送される光の輝度は、経時的に変化させられ、エミッタのうちの少なくともいくつかは、同時にアクティブにされ得る。掃引パターンの使用は、各可能な検出状態に関して1つ以上の固有の波形を作成し、それによって、アンチエイリアシングを提供する。異なる管状態の各々に関する波形間の差異は、有意かつ繰り返し可能である。加えて、異なる管状態の波形間の有意な差異は、周囲光、管特性、流体特性、器材、および/または信号雑音に起因する変動性が管状態検出に影響を及ぼすことを防止するか、または、それを低減させる。波形間の有意な差異は、本開示のプライミングセンサが、異なる周囲光条件、管特性、および/または流体特性のための較正を伴わずに用意されることも可能にする。本明細書に開示される例示的システム、方法、および装置は、従って、透析管のための改良されたプライミング状態検出を提供する。
【0049】
例示的開示は、腹膜透析、および患者管にプライミングすることに言及する。本明細書に開示される例示的システム、装置、および方法が、血液透析機械または持続的置換治療機械を含む任意のタイプの透析機械とともに動作するように提供され得ることを理解されたい。また、本明細書に議論される改良されたプライミング感知は、透析に限定されず、医療送達機械(例えば、注入ポンプ)等の任意のタイプの医療流体機械とともに使用され得る。さらに、本開示は、患者管に関するが、他の例では、加熱管、排出管、源管等の他の管も、プライミングセンサを使用してプライミングされ得る。さらに、本開示は、透析液または透析流体を使用して管をプライミングすることに言及するが、例示的システム、装置、および方法が、生理食塩水、腎療法流体、血液、滅菌水等を含む任意のタイプの流体とともに動作し得ることを理解されたい。加えて、改良された感知は、管が存在するかどうか、および該当する場合、管が液体を含むかどうかを把握することが所望される任意の目的のために使用され得る。
(透析システム実施形態)
【0050】
ここで図面を参照すると、
図1は、本開示の例示的実施形態による、例示的医療流体送達システム100を図示する。図示される実施形態における医療流体送達システム100は、腎不全療法を1人以上の患者に提供するように構成された透析機械102を含む。腎不全療法は、患者が水分およびミネラルのバランスを取ることに役立つ。腎不全療法は、血液および組織中に蓄積する患者の窒素代謝の有毒な最終産物(尿素、クレアチニン、尿酸、およびその他)を除去することによって、毎日の代謝負荷を排泄することにも役立つ。腎機能の置換のための腎不全療法は、治療が命に関わるので、多くの人々に重要である。
【0051】
いくつかの例では、透析機械102は、腹膜透析(「PD」)機械である。ここでは、透析機械102は、透析流体または腎不全療法流体とも呼ばれる透析溶液をカテーテルを介して患者の腹膜腔の中に注入するように構成される。透析流体は、滞留期間と称されるある期間にわたって腹膜腔の腹膜に接触する。老廃物、毒素、および過剰な水分が、拡散および浸透に起因して(すなわち、浸透勾配が、膜を横断して生じる)、患者の血流から、腹膜を通して、透析流体の中に入る。透析における浸透圧剤が、浸透勾配を提供する。使用済みまたは消耗済み透析流体は、患者から排出され、患者から老廃物、毒素、および過剰な水分を除去する。このサイクルは、例えば、複数回繰り返される。
【0052】
持続的携行型腹膜透析(「CAPD」)、自動化腹膜透析(「APD」)、および潮流透析および持続的流動腹膜透析(「CFPD」)を含む種々のタイプの腹膜透析療法が、存在する。CAPDは、手動透析治療である。ここでは、患者は、手動で、埋め込まれたカテーテルをドレインに接続し、使用済みまたは消耗済み透析流体が腹膜腔から排出されることを可能にする。患者は、次いで、カテーテルを新鮮な透析流体のバッグに接続し、新鮮な透析流体をカテーテルを通して患者の中に注入する。患者は、新鮮な透析流体のバッグからカテーテルを接続解除し、透析流体が腹膜腔内で滞留することを可能にし、老廃物、毒素、および過剰な水分の移送が、起こる。滞留期間後、患者は、手動透析手順を、例えば、1日あたり4回繰り返し、各治療は、約1時間続く。手動腹膜透析は、患者からかなりの量の時間および労力を要求し、改良の余地を十分に残している。
【0053】
自動化腹膜透析(「APD」)は、透析治療が排出、充填、および滞留サイクルを含む点において、CAPDに類似する。しかしながら、透析機械102等のAPD機械は、典型的に、患者が眠っている間、自動的にサイクルを実施する。APD機械は、手動で治療サイクルを実施する必要性および日中に補給品を運搬する必要性から患者を解放する。APD機械は、埋め込まれたカテーテル、新鮮な透析流体の源またはバッグ、および流体ドレインに流体的に接続する。APD機械は、透析流体源から、カテーテルを通して、患者の腹膜腔の中に新鮮な透析流体を圧送する。APD機械も、透析流体が腔内に滞留することを可能にし、老廃物、毒素、および過剰な水分の移送が起こることを可能にする。源は、複数の滅菌透析流体バッグを含み得る。
【0054】
APD機械は、腹膜腔から、カテーテルを通して、ドレインに使用済みまたは消耗済み透析流体を圧送する。手動プロセスのように、いくつかの排出、充填、および滞留サイクルが、透析中に行われる。「最後の充填」が、APDの終了時に行われ、次の治療まで患者の腹膜腔内に留まる。
【0055】
いくつかの実施形態において、透析機械102は、血液透析(「HD」)を実施するように構成され得る。HD中、透析機械102は、拡散を使用し、患者の血液から老廃物を除去するように構成される。拡散勾配が、患者の血液と透析液または透析流体と呼ばれる電解質溶液との間の半透性透析器を横断して生じ、拡散を引き起こす。血液濾過(「HF」)は、患者の血液からの毒素の対流輸送に依拠する代替腎置換療法である。HFは、治療中に体外回路に代用または置換流体(典型的に、10~90リットルのそのような流体)を添加することによって遂行される。代用流体および治療中に患者によって蓄積された流体は、HF治療の過程にわたって限外濾過され、中および大分子を除去することにおいて特に有益である対流輸送機構を提供する(血液透析では、少量の老廃物が、透析セッション中に得られた流体とともに除去されるが、しかしながら、その限外濾過液の除去からの溶質牽引は、対流クリアランスを提供するために十分ではない)。
【0056】
血液透析濾過(「HDF」)は、対流クリアランスと拡散クリアランスとを組み合わせる治療モダリティである。HDFは、標準的血液透析と同様、透析器を通して流動する透析流体を使用し、拡散クリアランスを提供する。加えて、代用溶液が、体外回路に直接提供され、対流クリアランスを提供する。
【0057】
例示的透析機械102は、センター、病院、または患者の自宅に位置し得る。部分的に、在宅透析が毎日実施され、センター内透析治療(典型的に、週2または3回行われる)に優る治療利益をもたらし得るので、在宅透析への傾向が、今日存在する。研究は、頻繁な治療が、あまり頻繁ではないが、おそらくより長い治療を受ける患者より、多くの毒素および老廃物を除去することを示している。より頻繁に治療を受ける患者は、センター内患者(治療に先立って2日または3日分の毒素を蓄積している)が経験するほど多くのダウンサイクルを経験しない。ある地域では、最も近い透析センターは、患者の自宅から何マイルもあり、ドアツードアの治療時間が1日の大部分を費やすことを引き起こし得る。在宅透析は、1晩中、または日中に行われ得、患者は、リラックスしているか、働いているか、または、別様に生産的である。患者のための在宅治療の魅力の多くは、生活様式の柔軟性を中心に展開し、それは、患者が主に自身のスケジュールに従って自宅で治療を実施することを可能にすることによって提供される。
【0058】
透析機械102によって実施される上記の透析モダリティのうちのいずれかは、スケジュールベースで実行され得、始動手順を要求し得る。例えば、透析患者は、典型的に、隔日、毎日等のスケジュールベースで治療を実施する。透析治療機械は、典型的に、設定のために、例えば、プライミングおよび/または消毒手順を実行するために、治療前にある量の時間を要求する。プライミング手順中、流体が、空気および/またはライン内微粒子を除去するために、1つ以上の透析管/ラインおよび/またはカセットを通して圧送される。透析管/ラインおよび/またはカセットをプライミングすることは、空気および/または微粒子が患者と接触することを防止する。
【0059】
図1の例示的透析機械102は、少なくとも1つの透析管/ラインの適切なプライミングを検出するように構成されたプライミングセンサ104を含む。図示される実施形態において、プライミングセンサ104は、患者管106のプライミングを検出するように構成される。他の実施形態において、プライミングセンサ104は、持続的流動腹膜透析セットの患者への管/患者からの管、排出管、加熱管、源流体管、濃縮液管等の追加のまたは代替管のプライミングのために構成される。HDに関して、プライミングセンサ104は、体外回路、透析器への管、透析器からの管、源管、血液管、生理食塩水管、および/または排出管をプライミングするように構成され得る。患者管106は、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、シリコーン、または他の非PVC材料等の任意の好適な医療等級材料から作製され得る。一実施形態における管106は、0.5インチ(12ミリメートル)以下である内径または外径を有する。
【0060】
図示される実施形態における透析機械102は、流体を流体源112から患者管106に移動させるように構成された少なくとも1つのポンプ110を含む。ポンプ110は、蠕動ポンプ、回転ポンプ、ギヤポンプ、線形アクチュエータポンプ、ダイヤフラムポンプ等を含む任意のタイプのポンプを含み得る。ポンプ110は、透析流体を用いて患者管106をプライミングするように動作させられ得る。ポンプ110は、患者管106が患者の腹膜腔の中に挿入されたカテーテルに接続されると、透析流体を流体源112から患者に提供するようにも動作させられ得る。プライミングは、代替として、または加えて、重力を使用して実施され得、例えば、流体の源が、頭部高において提供され、1つ以上の管を通して流動することを可能にされる。
【0061】
いくつかの実施形態において、透析機械102は、管に流体的に接続された使い捨てカセットを含む。カセットは、透析機械102内の弁および/またはポンプとともに動作する1つ以上の可撓性膜またはチャンバを含み得る。プライミングは、1つ以上の管に加えて、使い捨てカセットを通して流体を移動させることを含み得る。
【0062】
流体源112は、事前混合された透析流体の1つ以上の容器を含み得る。いくつかの実施形態において、流体源112は、透析流体を形成するために純水と混合された濃縮液の容器またはリザーバを含み得る。加えて、または代替として、流体源112は、精製水の源等のオンライン源を含み得、精製水は、透析流体を形成するために1つ以上の濃縮液と混合される。また、いくつかの例では、流体源112は、1つ以上の流体接続を介して、調製された透析流体を透析機械102に提供する流体調製デバイスを含み得る。
【0063】
図1の例示的透析機械102は、プロセッサ120と、メモリ122とも含む。プロセッサ120は、入力を処理し、1つ以上の計算を実施し、1つ以上の出力を決定することが可能な任意のタイプのデバイスを含み得る。プロセッサ120は、マイクロコントローラ、コントローラ、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、1つ以上の集積回路上に含まれる中央処理ユニット等を含み得る。メモリ122は、任意の揮発性または不揮発性データ/命令記憶デバイスを含み得る。メモリ122は、例えば、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、読み取り専用メモリ(「ROM」)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(「EEPROM」)等を含み得る。例示的メモリ122は、プロセッサ120によって実行可能である1つ以上の命令を記憶するように構成され、命令は、本明細書に開示される動作をプロセッサ120に実施させる。命令は、1つ以上のソフトウェアプログラムまたはアプリケーションの一部であり得る。プロセッサ120が動作を実施するように構成されるという本明細書の言及は、メモリ122が、プロセッサ120に、説明される動作を実施させるように構成される命令を記憶する実施形態を含み得る。
【0064】
例示的メモリ122は、プロセッサ120に透析機械102を動作させる命令を記憶するように構成される。プロセッサ120によって実施される動作は、制御信号または命令をポンプ110に提供することを含み、それは、プライミングシーケンス中または透析治療中、ポンプ110に透析流体を流体源112から患者管106に移動させる。プロセッサ120によって実施される動作は、信号および/またはメッセージをプライミングセンサ104に送信し、1つ以上の光エミッタをアクティブにし、検出器から出力データを受信することも含む。本明細書に開示されるように、メモリ122は、患者管106の状態を決定するために、プロセッサ120に出力データを分析させる命令を含む。
【0065】
例示的プロセッサ120は、タッチスクリーン等のディスプレイ画面上に情報を表示するために、または別様に伝えるために、透析機械102のユーザインターフェース124に1つ以上のメッセージを伝送するようにも構成される。プロセッサ120は、プライミングシーケンスの準備をするアクションを含む治療のために透析機械102を準備するための患者への命令をユーザインターフェース124に表示させ得る。ユーザインターフェース124は、アラート条件を示す指示(プライミングセンサ104内に患者管106を設置するための警告、またはプライミングシーケンスが完了された後に患者管106をカテーテルに接続するための警告等)も表示し得るか、または、別様に伝え得る。ユーザインターフェース124は、オペレータが情報を入力することを可能にするために、タッチスクリーンオーバーレイおよび/または電気機械的アクチュエータ、ボタン、および/またはスイッチを含み得る。入力は、プライミングシーケンスまたは透析治療を開始するためのオペレータからのプロンプトを含み得る。
【0066】
透析機械102が療法準備および/または透析療法の実施のための追加の構成要素を含み得ることを理解されたい。追加の構成要素は、ポンプアクチュエータ、コンプレッサ空気圧機器、弁アクチュエータ、加熱器、オンライン流体発生機器、流体圧力センサ、流体温度センサ、伝導率センサ、空気検出センサ、血液漏出検出センサ、フィルタ、透析器、平衡チャンバ、吸着剤カートリッジ等を含み得る。加えて、透析機械102は、プロセッサ120がネットワーク(例えば、インターネット)を介して遠隔または一元化サーバからデータ/処方箋を受信し、それに透析療法ステータス情報を伝送することを可能にするための1つ以上のネットワーク接続(例えば、イーサネット(登録商標)接続)を含み得る。ある実施形態において、プロセッサ120は、プライミングの指示、患者管状態変化の検出、状態変化が生じたときの日付/時間、および/または提供されるアラームの指示を含むデータ構造またはログを作成し得る。
(プライミングセンサ実施形態)
【0067】
図2は、本開示の例示的実施形態による、
図1の例示的医療流体送達システム100の透析機械102に対して位置付けられているプライミングセンサ104の略図を図示する。図示される例では、プライミングセンサ104は、透析機械102の筐体201上に提供される。プライミングセンサ104は、測定が行われることを可能にするために、患者管106を定位置に保持するように構成された保持器区分202を含む。保持器区分202は、患者管106に取り付けられたキャップ204と係合するように構成されたクリップを含み得る。例えば、保持器区分202は、キャップ204を定位置に保持するために、キャップ204の寸法に対応する、またはそれと整合する開口を含み得る。患者は、患者管106を保持器区分202の開放チャネルの中に設置することによって、キャップ204を保持器区分202に結合する。患者は、次いで、それが保持器区分202内に据えられるまで、キャップ204を下げる。保持器区分202は、透析機械102の側面上にあるものとして示されるが、他の実施形態において、保持器区分は、透析機械の上面、前面、裏面、および/または対向する側面上にあり得る。
【0068】
例示的キャップ204は、患者管106の端部コネクタ206に機械的に接続するように構成される。キャップ204は、空気がプライミングシーケンス中に患者管106から排出されることを可能にする疎水性通気孔またはフィルタを含み得る。通気孔またはフィルタは、ある実施形態において、流体が患者管106から外にあふれ出ることを防止する。プライミングセンサ104は、流体が患者管106の端部コネクタ206(またはコネクタ206の直下)に到達するときを検出し、流体圧送または重力プライミングが停止されるべきであるときを決定するように構成される。プライミングシーケンスが、完了された後、患者は、端部コネクタ206からキャップ204を接続解除し得る。患者は、次いで、患者管106の端部コネクタ206をカテーテルに接続し得、それは、患者の腹膜腔に流体的に接続される。
【0069】
図2は、患者管106が管クランプ208を含み得ることも図示する。管クランプ208は、流体が意図せず患者管106から退出することを防止するために、プライミングに先立って管106にクランプ締めされ得る。管クランプは、プライミングシーケンスに先立って係合解除されるが、プライミング後、患者が治療を開始するために端部コネクタ206をカテーテル(または関連する移送セット)に接続する間、クランプ締めされ得る。いくつかの実施形態において、管クランプ208は、省略され得る。
【0070】
図3は、本開示の例示的実施形態による、
図1および2のプライミングセンサ104の回路基板302の略図を図示する。図示される例では、回路基板302は、患者管106および/または端部コネクタ206の少なくとも一部を受け取るための切り抜きまたは開口304を含む。開口304は、図示される実施形態において、U形状を有する。他の実施形態において、開口304は、円形または長円形形状を有し得る。カバー306が、回路基板302の開口端部に提供され、回路基板全体を覆うように延び得る。
【0071】
例示的カバー306は、透明またはほぼ透明であり、溢流または滴下した透析流体から回路基板302を保護するように構成される。図示される実施形態において、カバー306は、任意のプラスチックまたはガラス材料から作製され得る。カバー306は、図示される実施形態において、円形形状を有する保持具区分308を含む。保持具区分308は、開口304と整列させられ、プライミングセンサ104内に患者管106および/または端部コネクタ206を受け取るように、保持するように、または別様に維持するように構成される。
【0072】
図3は、プライミングセンサ104が、ある実施形態において、検出器320と、3つのエミッタ322とを含むことを図示する。他の例では、プライミングセンサ104は、追加の検出器320およびエミッタ322を含み得る。図示される例では、検出器320は、3つのエミッタ322から対向する回路基板の側に位置する。エミッタから放出された光は、開口304を横断して通過し、検出器320に到達し、それによって、患者管106が、保持具区分308内に設置されているとき、管測定が実施されることを可能にする。
【0073】
図4は、回路基板302上のエミッタ322に対する検出器320の1つの可能な位置付けの略図を図示する。ある例では、第1のエミッタ322aが、検出器320の対向する側にあるように位置付けられ、約0°角度において検出器320に向かって直接光を放出するように位置付けられる。加えて、第2のエミッタ322bは、第1のエミッタ322aに隣接して回路基板302上に位置付けられ、第1のエミッタ322aと同じ約0°角度において光を放出するように構成される。第3のエミッタ322cは、回路基板上に第2のエミッタ322bに隣接して位置付けられるが、第1のエミッタ322aおよび第2のエミッタ322bから放出される光に対して20°~70°の角度において位置付けられる。他の例では、エミッタ322が、検出器320に向かって異なる角度において光を向けるように位置付けられ得ることを理解されたい。
【0074】
例示的検出器320は、第1のエミッタ322aを真っ直ぐに指す状態から約10°オフセットの角度において位置付けられる。他の例では、10°オフセットは、より大きい、またはより小さくあり得る。エミッタ322に対する検出器320の位置付けは、検出器320が、第1のエミッタ322aからの透過光と、第2のエミッタ322bからの中間/部分的反射光および部分的透過光と、第3のエミッタ322cからの反射光とを受け取ることを可能にする。掃引パターン中の透過光および反射光の受け取りは、プロセッサ120が、異なる管状態間で独特の差分パターンを伴う波形を作成することを可能にすることに役立つ。
【0075】
図4に示される寸法は、例証目的のみのためにインチにおいて提供され、検出器320および患者管106に対してエミッタ322を位置付けるための可能な寸法の例示である。他の実施形態において、寸法は、センチメートルにおいて表され得る。代替として、プライミングセンサ104の寸法は、より大きい、および/またはより小さくあり得る。
【0076】
図3および4の例示的検出器320は、フォトトランジスタ等の任意のタイプの光検出器を含み得る。検出器320は、検出された光の輝度を示すデジタルまたはアナログ出力を提供するように構成される。いくつかの事例では、検出器320は、サンプルレートにおいて、および/またはプロセッサ120による要求に応じて、出力データを伝送し得る。代替として、検出器320は、検出された光輝度を示す出力データを連続的に伝送し得、プロセッサ120は、受信されたデータをサンプリングする。
【0077】
図3および4の例示的エミッタ322は、赤外発光ダイオード(「LED」)等の任意のタイプの光エミッタを含み得る。エミッタ322は、例えば、透析機械102の電力供給源構成要素を介して、またはプロセッサ120を介して、5ボルトDC電力を受け取ることによって給電され得る。エミッタ322の輝度は、ある実施形態において、プロセッサ120によって提供されるフィルタリングされたパルス幅変調(「PWM」)信号を介して制御される。PWM信号のデューティサイクルは、エミッタ322によって放出される光の輝度を調節するために、プロセッサ120によって制御される。いくつかの事例では、プロセッサ120は、ある期間にわたってデューティサイクルを0%から100%に漸増させ、エミッタ322のうちのいずれか1つ以上のものをオフ状態から最大またはピーク輝度に移行させ得る。
【0078】
図5は、本開示の例示的実施形態による、
図3および4のエミッタ322に関する指向性放射パターン500の略図を図示する。パターン500は、光強度が、この例では、直接放射(0°における)から+/-10°~15°で最も大きいことを示す。放出された光は、直接放射から+/-20°~30°で有意に強度が減少し、それは、精密な光指向性制御を可能にする。他の例では、異なるエミッタ500は、異なる放射パターンを生成し得る。
【0079】
図6は、本開示の例示的実施形態による、
図3および4の検出器320の指向性放射感度パターン600の略図を図示する。図示される例では、検出器320は、+/-5°の角度変位の間に最も敏感である。検出器320の感度は、+/-20°の角度変位後に有意に減少する。
【0080】
図5および6のパターン500および600は、検出器320とエミッタ322との間の+/-5°を上回る任意の角度変位が、ピーク強度において測定されるように、検出された光輝度が放出された輝度を下回ることをもたらすことを図示する。加えて、パターン500および600における急激な下落は、管および任意の流体内容物が放出された光の少なくとも一部に反射/屈折させるので、かなり異なる波形が、患者管106の異なる状態に基づいて形成されることを可能にする。
(プロセッサ実施形態)
【0081】
図1の例示的プロセッサ120は、部分的に患者管の状態を検出するための波形を決定するように構成される。
図7Aは、本開示の例示的実施形態による、プロセッサ120が掃引パターン700を形成し、放出された光を検出するためにプライミングセンサ104とともに動作する方法を図示する略図を示す。プロセッサ120は、掃引パターンを周期的に動作させ、管状態を決定するように構成される。例えば、プロセッサ120は、1ミリ秒毎、100ミリ秒毎、500ミリ秒毎、1,000ミリ秒毎、2,500ミリ秒毎等で掃引パターン700を動作させ得る。他の例では、プロセッサ120が、
図7Aに示されるパターン700と異なる掃引パターンを適用するように構成され得ることを理解されたい。例えば、プロセッサ120は、第1のエミッタ322が非アクティブまたはオフにされるまで、後続エミッタ322をアクティブにしないこともある。
【0082】
例示的プロセッサ120は、掃引パターン700を作成するように、制御された様式で、エミッタ322の各々に提供される1つ以上のメッセージを伝送するように、またはアナログ信号を制御するように構成される。メッセージは、例えば、デューティサイクルパーセンテージを規定し得る。代替として、輝度を制御するためのアナログ信号が、所望のデューティサイクルに従って、プロセッサ120によって設定され得る。メモリ122内に記憶される命令が、掃引パターン700を作成するために、エミッタ322の各々に関して、デューティサイクルがある期間にわたって変化する方法を定義し得る。
【0083】
図示される例では、プロセッサ120は、エミッタ322aに、第1の期間704の間に第1のインパルスパターン702を放出させ、それは、集約的掃引パターン700の第1の成分である。インパルスパターン702は、エミッタ322が0%または5%等の比較的に低いデューティサイクルに設定されることから始まる。期間704の中間点において、デューティサイクルは、比較的に高く(例えば、75%~100%)、それは、光輝度の強度を増加させる。期間704の残りの部分に関して、プロセッサ120は、デューティサイクルを減少させ、エミッタ322aに放出される光の輝度を低減させるように構成される。
図7Bは、非ガウス形状を有するインパルスパターン702の別の実施形態を示す。x軸に沿った値は、エミッタ322aに提供される電力レベル(第1の期間704にわたる)を表し、それは、放出された光輝度に関するデューティサイクルに比例する。
【0084】
図7Aに再び目を向けると、第2の期間708の間、プロセッサ120は、エミッタ322bに、第2のインパルスパターン706を放出させる。図示されるように、第2の期間708は、第1の期間704の中間点において始まる。他の例では、第2の期間708は、第1の期間704を通した1/4、1/3、2/3、3/4、7/8、または他の時間において始まり得る。代替として、第2の期間708は、第1の期間704が終了した後、またはその直後に始まり得る。インパルスパターン706は、インパルスパターン702と同じであることも、異なる形状を有することもある。
図7Cは、非ガウス形状を有するインパルスパターン706の別の実施形態を示す。
【0085】
第3の期間712の間、プロセッサ120は、エミッタ322cに、第3のインパルスパターン710を放出させる。図示されるように、第3の期間712は、第2の期間708の中間点において始まる。他の例では、第3の期間712は、第2の期間708を通した1/4、1/3、2/3、3/4、7/8、または他の時間において始まり得る。代替として、第3の期間712は、第2の期間708が終了した後、またはその直後に始まり得る。インパルスパターン710は、インパルスパターン702および706と同じであることも、異なる形状を有することもある。
図7Dは、非ガウス形状を有するインパルスパターン710の別の実施形態を示す。
【0086】
図7Eは、経時的なインパルスパターン702と706と710との複合波形750の略図を示す。示されるように、パターン702、706、および710は、それらの間で傾斜および幅におけるわずかな差異を有する。加えて、パターン702、706、および710は、実質的に重複する。いくつかの実施形態において、パターン702、706、および710における重複は、
図3および4に示されるエミッタ322の間隔に対応し得る。一緒に、複合波形750として集合的に示されるインパルスパターン702、706、および710は、掃引期間にわたって生じる全体的掃引パターン700を形成する。
【0087】
インパルスパターン702、706、および710は、ベルカーブ形状を有するものとして示される。他の例では、インパルスパターン702、706、および710は、方形波形状、二峰性形状、鋸歯形状等のデューティサイクルの変化に対応する異なる形状を有し得る。さらに、インパルスパターン702、706、および710は、同じ形状を有するものとして示されるが、他の例では、パターン702、706、および710の各々は、異なり得る。
【0088】
図7Aに再び目を向けると、掃引パターン700中、例示的プロセッサ120は、検出器320から出力データサンプル720を収集または受信するように構成される。図示される例では、データサンプル720を表す線の高さは、光輝度を示さない。むしろ、データサンプル720に関する線は、光輝度が掃引パターン700に対して検出器320および/またはプロセッサ120によってサンプリングされるときの指示を提供する。サンプリングされた出力データ720(デジタルまたはアナログ形態にかかわらず)は、検出器320の少なくとも1つのフォトトランジスタによって感知された光の強度の指示を提供する。サンプリングされた出力データ720は、検出された光強度に比例するアナログ電圧または光強度を示すデジタルメッセージとして伝送され得る。いくつかの例では、検出器320は、フォトトランジスタをサンプリングし、サンプリングされた時間に出力データを伝送するように構成される。他の例では、検出器320は、検出される光を連続的に監視し得る。これらの他の例では、検出器320は、プロセッサ120からのサンプリングメッセージ/信号の受信時に測定された光強度を示すメッセージまたはアナログ信号を伝送するか、または、出力データのストリームを提供する。出力データのストリームの事例では、プロセッサ120は、出力データをサンプリングおよび処理する。ある例では、プロセッサ120および/または検出器320は、掃引パターン700中に10~100個のサンプル、好ましくは、50~80個のサンプルを入手するように構成される。
【0089】
図8および9は、本開示の例示的実施形態による、管なし状態に関する掃引パターン700のサブセットまたは一部を図示する例示的グラフ800、825、850、900、925、および950を示す。インデックス802、826、および852は、それぞれのサブセットグラフ800、825、および850中の所与の時点においてエミッタの各々によって放出される光強度を図示し、最左のバーは、第1のエミッタ322aに対応し、中間のバーは、第2のエミッタ322bに対応し、最右のバーは、第3のエミッタ322cに対応する。バー804、828、および854は、サブセットグラフ800中の時間のそれぞれの事例において検出器320によって感知される光強度を示す。
【0090】
例示的グラフ800は、掃引パターン700の開始時に、第1のエミッタ322aのみが、比較的に低い強度において光を放出することを示す。例示的サブセットグラフ825は、後続時間にわたって、第1のエミッタ322aの強度が、増加する一方、他の2つのエミッタ322bおよび322cが、オフのままであることを示す。例示的サブセットグラフ850は、別の後の時間の間、第1のエミッタ322aが、比較的に明るい光を放出し(高デューティサイクルによって設定される)、第2のエミッタ322bが、少なくとも一部の光に寄与するので、検出された光の強度が、より大きいことを示す。
【0091】
グラフ900は、両方のエミッタが、比較的に同じ強度において光を放出するので、掃引が、第1のエミッタ322aから第2のエミッタ322bに進行することを示す。グラフ925は、第3のエミッタ322cが、最も明るい光を放出する一方、第1のエミッタ322aが、オフにされ、第2のエミッタ322cが、減光されているときの掃引パターン700を示す。掃引パターン700のこの時点で、光強度の勢力は、右に向かう波形のシフトによって示されるように、第2のエミッタ322bと第3のエミッタ322cとの間の点にシフトしている。グラフ950は、第1のエミッタ322aおよび第2のエミッタ322bがオフにされ、第3のエミッタ322cの輝度が減少させられている掃引パターン700の終了を示す。
【0092】
図10は、本開示の例示的実施形態による、管なし状態に関する掃引期間700中のサンプリングされた出力データを集約することによって、または、別様に組み合わせることによって形成される波形1000の略図を示す。波形1000は、掃引パターン700中に検出器320によって感知される光輝度を表す。例示的波形1000は、エミッタ322の重複するインパルスパターン(
図7Aに関連して上記に議論される)の結果として、ベル形状を有する。波形1000が、選択されるインパルスパターンの間隔および形状に基づいて変化し得ることを理解されたい。
【0093】
例示的プロセッサ120は、サンプリングされた出力データをコンパイルし、
図10に示される波形等の波形を作成するように構成される。プロセッサ120は、コンパイルされた波形を1つ以上の基準波形と比較し、患者管106の状態を決定するように構成され得る。例えば、プロセッサ120は、波形と基準波形との間の差異を決定するように構成される。差異は、掃引期間に沿った異なる点において検出されたピーク輝度の比較を含み得る。プロセッサ120は、測定された波形との最も小さい差異を有する基準波形を決定する。プロセッサ120は、次いで、最も小さい差異を有する選択された基準波形に基づいて、患者管106の状態を決定する。他の例では、プロセッサ120は、入手された波形への基準波形のテンプレート合致を実施し、管106の状態を識別するための最良適合を決定するように構成される。
【0094】
いくつかの例では、プロセッサ120は、共通モードオフセットを除去し、それに応じて、入手された波形を再スケーリングし、周囲光からの効果を除去し得る。加えて、または代替として、プロセッサ120は、波形の一次導関数を算出し、波形の傾斜が変化するエリアを決定するように構成され得る。
図11-16は、本開示の例示的実施形態による、異なる管状態に関する入手された波形と、対応して計算された導関数波形(例えば、分析出力波形)とのグラフを示す。
【0095】
図11は、管なし状態に対応する入手された波形1100の略図を示す。入手された波形1100は、プライミングセンサ104の大集団に対する500回の異なる掃引からの約500個の個々の波形を含む。
図10の波形1000と同様、波形1100は、ほぼベル形状を有する。線1102(例えば、最も太い線)は、波形1100の平均値を表し、管なし状態に関する基準波形として使用され得る。
図12は、プロセッサ120が波形1100の一次導関数を決定することによって計算した波形1200を示す。線1202は、波形1200の平均値を表し、加えて、または代替として、管なし状態に関する基準波形として使用され得る。図示されるように、一次導関数の計算は、データにおける変動性を低減させ、波形1100の傾斜が掃引パターンに対して変化するより一貫した波形区分を提供し得る。
【0096】
図13は、乾燥管状態に対応する入手された波形1300の略図を図示する。
図11と同様、入手された波形1300は、500回の異なる掃引からの約500個の個々の波形を含む。線1302は、波形1300の平均値を表し、乾燥管状態に関する基準波形として使用され得る。波形1300は、中間に落ち込みを伴う一貫したベル形状パターンを示す。落ち込みは、例えば、少なくとも一部の光が患者管106から反射する結果としての掃引の中間からの光の下落によって引き起こされ得る。
図14は、波形1300の一次導関数を決定することによってプロセッサ120によって計算される、波形1400を図示する。線1402は、波形1400の平均値を表し、加えて、または代替として、乾燥管状態に関する基準波形として使用され得る。この例では、乾燥管状態に関して、波形1400は、掃引期間中の同じサンプリングされた点に関する波形1200における傾斜の変化とは異なるサンプリングされた点25と55との間の傾斜の変化を示す。傾斜の変化は、波形1300における落ち込みからもたらされる。理解し得るように、サンプル点25と55との間の波形1200と1400との間の大きな差異は、管なし状態および乾燥管状態が十分に異なることを確実にすることに役立ち、プロセッサ120が、正確な決定を行い、例えば、誤検出を防止することを可能にする。
【0097】
図15は、湿潤管状態に対応する入手された波形1500の略図を図示する。
図11および13と同様、入手された波形1500は、500回の異なる掃引からの約500個の個々の波形を含む。線1502は、波形1500の平均値を表し、湿潤管状態に関する基準波形として使用され得る。波形1500は、ほぼサンプル点35まで波形1300に類似する。その点の後、波形1500は、流体が、第2および第3のエミッタ322からより多くの光を吸収または反射するので、強度において低下する。
図16は、プロセッサ120が波形1500の一次導関数を決定することによって計算する波形1600を図示する。線1602は、波形1600の平均値を表し、加えて、または代替として、湿潤管状態に関する基準波形として使用され得る。湿潤管状態に関して、波形1600は、波形1200および1400の傾斜とは異なるサンプリングされた点25と55との間の傾斜の変化を示す。傾斜の変化は、点35の後の波形1400における強度の低下からもたらされる。サンプル点25と55との間の波形1200と、1400と、1600との間の大きい差異は、管なし状態、乾燥管状態、および湿潤管状態が十分に異なることを確実にすることに役立ち、プロセッサ120が、正確な決定を行い、例えば、誤検出を防止することを可能にする。
【0098】
入手された波形から導関数波形を決定した後、例示的プロセッサ120は、導関数波形を基準波形と比較し、管状態を決定するように構成される。例示的プロセッサ120は、入手された波形を異なる管状態に対応する基準波形と比較するように構成され得る。ある例では、線1202、1402、および1602の各々は、それぞれの管状態に関する基準波形を示し得る。各入手された波形の導関数に関して、プロセッサ120は、導関数波形と基準波形の各々との間の差異を計算するように構成される。プロセッサ120は、次いで、計算された差異(例えば、面積)を合計または積分し、最も小さい差異(例えば、面積)を決定し得る。プロセッサ120は、識別された管状態に関する最も小さい差異(例えば、面積)を選択し、それは、入手された出力データの導関数波形に最良に合致する基準波形を示す。
【0099】
波形1000-1600が、検出器320に対するエミッタ322の数および間隔に依存し得ることを理解されたい。波形1000-1600は、より少ないエミッタ322またはより多いエミッタ322に関して異なる形状および/または振幅を有し得る。さらに、波形1000-1600は、エミッタ322および/または検出器320間の間隔および/または角度に基づいて、異なる形状および/または振幅を有し得る。しかしながら、異なる実施形態にもかかわらず、例示的プロセッサ120は、管状態の各々に関する(エミッタ322および/または検出器320の配列および数から決定された)基準波形を使用し、サンプリングされた出力データに基づいて、管状態を決定するように構成される。
【0100】
図17-19は、基準波形1202、1402、および1602と計算された導関数波形1200、1400、および1600との間のマージンを例証する、略図を図示する。
図17は、x軸上の0~500の値としての500個の異なる管なし波形1200の各々と、y軸上の波形1200と基準波形1202、1402、および1602の各々との間の面積差を示す。線1702は、乾燥管基準波形1402との面積差を表し、線1704は、湿潤管基準波形1602との面積差を表し、線1706は、管なし基準波形1202との面積差を表す。線1708は、最も近い合致と次に最も近い合致との間の比較のマージンを示す。
図17に示されるように、波形1200は、基準波形1202に最も密接に合致し、次に最も近い合致と比較して少なくとも50%のマージンを伴ったので、管なし状態は、一貫して検出された。したがって、プロセッサ120は、全ての事例において管なし状態を正しく識別した。
【0101】
図18は、乾燥管基準波形1402が、全ての512個の波形1400に最も密接に合致することを図示する。マージンは、いくつかの波形に関してより小さかったが、プロセッサ120が正しい状態を選択することを可能にするための十分な差異が、存在した。
図19は、湿潤管基準波形1602が、全ての520個の波形1600に最も密接に合致したことを図示する。マージンは、乾燥管基準波形1402とで少なくとも40%であった。再び、プロセッサ120は、正しい管状態を選択した。
【0102】
いくつかの実施形態において、例示的プロセッサ120は、導関数波形を決定するのではなく、入手された波形のフーリエ変換を計算し得る。フーリエ変換は、管状態を決定するために、プロセッサ120によって、1つ以上の基準波形と比較され得る。また他の例では、プロセッサ120は、入手された波形のピアソン相関を使用し、管状態を決定するように構成される。さらに、いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、入手されたデータを平滑化、オーバーサンプリング、および/またはフィルタリングし、外れ値データを調節するように構成される。また、いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、管状態決定の信頼度を計算し得る。管状態は、マージンデータ、または2つの基準波形が入手された波形の導関数に近い程度に基づき得る。例示的プロセッサ120は、信頼度が、ある閾値(例えば、65%)を下回る場合、波形を破棄し、および/または、管状態が決定されることができないことを示すためのアラームをアクティブにし得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、検出された管状態が有効であることを決定する前、または示す前、ある管状態を閾値回数検出するように構成される。そのような構成は、誤った管状態検出が医療流体送達システム100の動作に影響を及ぼす機会を低減させる。閾値は、ある期間(例えば、5秒、10秒、30秒、1分、2分等)内の5回の検出~20回の検出、および/または、可能な7~25回の検出のうちの5~20回の検出であり得る。ある例では、プロセッサ120は、管なし状態であり得る。プライミングセンサ104の中への患者管106の挿入時、プロセッサ120は、掃引パターンが動作させられると、乾燥管状態の検出を蓄積し始める。乾燥管状態の閾値回数の検出が、ある期間内または規定された回数の検出内で行われた後、プロセッサ120は、乾燥管状態が存在することを検証し、適切なメッセージ/命令を伝送する。
【0104】
いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、比較において使用されるある基準波形を省略し得る。例えば、プロセッサ120が、管なし状態である場合、プロセッサ120は、概して、次の移行として湿潤管状態を検出しない。したがって、管なし状態では、プロセッサ120は、誤った状態検出を低減させるために、湿潤管状態に関連付けられた基準波形を省略し得る。
【0105】
図20は、本開示の例示的実施形態による、
図1の患者管106の管状態を決定するための例示的手順2000の略図を図示する。例示的プロセッサ120は、手順2000によって記述される機械読み取り可能な命令を実行するように、または動作させるように構成される。手順2000は、
図20に図示されるフロー図を参照して説明されるが、手順2000に関連付けられた行為を実施する多くの他の方法が、使用され得ることを理解されたい。例えば、ブロックのうちの多くの順序は、変更され得、あるブロックは、他のブロックと組み合わせられ得、説明されるブロックのうちの多くは、随意である。例えば、ブロック2808、2810、および2812のうちのいずれかは、省略され得る。
【0106】
初めに、例示的プロセッサ120は、患者が透析療法を開始するべきであるという指示を受信する、またはそれを決定する(ブロック2002)。例示的プロセッサ120は、ユーザインターフェース124を介して、患者が療法を開始することを選択したという入力を受信し得る。代替として、プロセッサ120は、電子的に記憶されるスケジュールを介して、患者が透析療法を受けるべきであると決定し得る。療法の準備をするために、例示的プロセッサ120は、一実施形態において、設定ルーチンを動作させ、それは、管を適切な容器に接続することと、プライミングおよび/または消毒手順を実施することとを含み得る。患者管106をプライミングする時間になると、例示的プロセッサ120は、患者が患者管106をプライミングセンサ104の中に差し込むべきであるという表示のためのメッセージ2001を伝送する(ブロック2004)。
図21は、メッセージ2001に基づいて、ユーザインターフェース124によって表示され得る例示的グラフィック2100を図示する。グラフィック2100は、患者管106がプライミングセンサ104内に設置されるべき方法に関するテキストおよび図示を含む。
【0107】
患者が管106をプライミングセンサ104の中に正しく挿入したかどうかを決定するために、例示的プロセッサ120は、1つ以上の掃引パターンを実施し、管状態を決定するように構成される(ブロック2006)。各実施される掃引パターンに関して、プロセッサ120は、サンプリングされた出力データ2003を受信し、それは、
図7-19に関連して上で議論されるように、入手された波形に処理され、管状態を決定するために使用される。管なし状態が検出された場合、プロセッサ120は、患者管106が見つからないことを示す1つ以上のメッセージ2007を伝送するように構成される。
図22は、メッセージ2007に基づいて、ユーザインターフェース124によって表示され得るグラフィック2200の略図を図示する。グラフィック2200は、患者管106が挿入されていないことを患者にアラートするポップアップウィンドウを含む。
【0108】
乾燥管状態が検出された場合、例示的プロセッサ120は、患者が管を流体源に接続するべきであることを示す1つ以上のメッセージ2009を伝送する(ブロック2008)。他の実施形態において、メッセージ2009は、プライミングシーケンスを開始するように患者に命令し得る。
図23は、メッセージ2009に基づいて、ユーザインターフェース124によって表示され得るグラフィック2300の略図を示す。グラフィック2300は、流体源が透析機械の1つ以上の源管に接続されるべき方法に関するテキストおよび画像を含む。患者が、管を接続した後、患者は、グラフィック2300に示されるプライミングボタンを選択し得る。プライミングボタンの選択は、プロセッサ120がプライミングシーケンスを開始するための指示を提供する(ブロック2010)。プライミングシーケンスは、少なくとも1つのポンプ110に透析流体を少なくとも1つの源容器から患者管106に移動させることを含む。このシーケンス中、プロセッサ120は、エミッタ322の複数の掃引を実施することからサンプリングされた出力データ2003を受信する(ブロック2012)。加えて、このシーケンス中、プロセッサ120は、
図24のグラフィック2400がユーザインターフェース124上に表示されるようにし、プライミングシーケンスが実行されていることを示し得る。
【0109】
各乾燥管状態の検出に関して、プロセッサ120は、閾値カウンタを更新し、または、それを増加させ、カウンタが時間閾値/限界を超えるかどうかを決定し得る(ブロック2014)。時間閾値が、超えられた場合、患者管106は、予期される期間内にプライミングすることが可能ではなく、患者管106は、閉塞、漏出、狭窄、または透析流体が管を充填することを妨げている他の条件を有し得る。状況を訂正する試みにおいて、プロセッサ120は、1つ以上のメッセージ2015を伝送するように構成され、それは、
図25のグラフィック2500が表示されるようにする。加えて、アラームが、アクティブにされ得る。グラフィック2500は、プライミングエラーを示すテキストと、患者が源流体からの管および患者管106をチェックするための命令とを含む。患者が、管に関する問題を識別および訂正した後、患者は、次へのボタンを選択し、プライミングシーケンスを再開し得る。
【0110】
ブロック2012に再び目を向けると、湿潤管状態が検出された場合、例示的プロセッサ120は、プライミングしているポンプ110を停止するように構成され得る(ブロック2016)。いくつかの実施形態において、例示的プロセッサ120は、プライミングが正しく実施されていることを確認するように構成される。例示的プロセッサ120は、治療を開始するために、患者管106を患者ラインセットおよび/またはカテーテルに接続するように患者に命令する1つ以上のメッセージ2017を伝送し得る(ブロック2018)。
図26は、メッセージ2017に基づいて、ユーザインターフェース124によって表示され得るグラフィック2600の略図を図示する。グラフィック2600は、患者管106をラインセットまたはカテーテルに接続する方法に関する患者情報を提供するテキストおよび画像を含む。
【0111】
例示的プロセッサ120は、プライミングセンサ104を使用し、患者管106が依然としてセンサ内に存在するかどうかを決定するように構成される(ブロック2020)。プロセッサ120は、サンプリングされた出力データ2003の1つ以上の組を受信し、管が依然としてプライミングセンサ104内にあるかどうかを決定する。管が、依然として存在する場合、プロセッサ120は、患者がプライミングセンサ104から管を除去するべきであることを示す1つ以上のメッセージ2021を伝送する。
図27は、メッセージ2021に基づいて、ユーザインターフェース124によって表示され得るグラフィック2700の略図を図示する。グラフィック2700は、患者管が、ラインセットまたはカテーテルへの接続のためにプライミングセンサから除去されていない警告を提供するポップアップウィンドウを含む。患者管106が、もはや検出されない場合、例示的プロセッサ120は、プライミングシーケンスを終了するように、および/または、透析療法が開始されることを可能にするように構成される(ブロック2022)。例示的手順2000は、次いで、終了する。
【0112】
図28は、本開示の例示的実施形態による、患者管106の管状態を決定するように構成された例示的手順2800の略図を示す。例示的プロセッサ120は、手順2800によって記述される機械読み取り可能な命令を実行するように、または動作させるように構成される。手順2800は、
図28に図示されるフロー図を参照して説明されるが、手順2800に関連付けられた行為を実施する多くの他の方法が、使用され得ることを理解されたい。例えば、ブロックのうちの多くの順序は、変更され得、あるブロックは、他のブロックと組み合わせられ得、説明されるブロックのうちの多くは、随意である。
【0113】
例示的手順2800は、プロセッサ120が、プライミングシーケンスを実施し、掃引パターン700が掃引期間中にプライミングセンサ104によって実施されるときに開始される(ブロック2802)。掃引パターン700が、プライミングセンサ104によって実施される間、例示的プロセッサ120は、プライミングセンサ104からサンプリングされた出力データ2003を受信する(ブロック2804)。データ2003は、掃引パターン700が、プライミングセンサ104において実施されている間に検出器320において検出された光輝度を示す。例示的プロセッサ120は、サンプリングされた出力データを波形または空間アレイ曲線にコンパイルすること、組み合わせること、または集約することを行う(ブロック2006)。
【0114】
例示的プロセッサ120は、管状態を識別するために、アレイ曲線に対して以下の動作のうちの1つ以上を実施する。例えば、プロセッサ120は、空間アレイ曲線内の共通モードオフセットを識別し得る(ブロック2808)。共通モードオフセットは、検出器320に対する周囲光効果によって引き起こされ得る。プロセッサ120は、アレイ曲線をスケーリングし、共通モードオフセットを除去し、曲線形状を正規化するが、振幅データを保ち得る(ブロック2010)。
【0115】
例示的プロセッサ120は、加えて、または代替として、スケーリングされた(またはスケーリングされていない)アレイ曲線または波形から一次導関数波形を算出し得る(ブロック2812)。プロセッサ120は、次いで、導関数波形と可能な管状態に対応する基準波形との間の差異を決定する(ブロック2814)。波形を減算することは、掃引パターンに対応するサンプル点の各々における波形の間の振幅の差異を決定することを含み得る。プロセッサ120は、基準波形の各々に関して決定された差異の面積の絶対値を計算する(ブロック2816)。プロセッサ120は、面積を比較し、最も小さい面積を決定し、最も小さい面積に関連付けられた基準波形を決定する(ブロック2818)。プロセッサ120は、次いで、選択された基準波形に対応する管状態を選択し、決定された管状態を示す1つ以上のメッセージを伝送する(ブロック2820)。
【0116】
いくつかの実施形態におけるプロセッサ120は、決定された結果の信頼度またはマージンを決定し得る。信頼度またはマージンが、ある閾値を下回る場合、プロセッサ120は、結果を破棄すること、および/または、管状態が決定されることができないことを示すエラーメッセージを伝送することを行い得る。いくつかの事例では、プロセッサ120は、各管状態が検出された回数を追跡するカウンタを更新し得る。ある閾値が、満たされるか、または、超えられる場合、プロセッサ120は、プライミングシーケンスに関する問題を示すエラーまたはプライミングセンサ104の中への患者管の挿入をチェックするように患者に命令するメッセージを伝送し得る。例示的手順2800は、追加の掃引パターンをプライミングセンサ104によって実施させることによって、管状態を繰り返し決定するために、ブロック2802に戻る。
(結論)
【0117】
本明細書に説明される本好ましい実施形態の種々の変更および修正が、当業者に明白となるであろうことを理解されたい。そのような変更および修正は、本主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図される利点を減じることなく行われることができる。したがって、そのような変更および修正が、添付される請求項によって網羅されることを意図している。