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特許7411711アルカリ金属アルコキシドのエネルギー効率の良い製造のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】アルカリ金属アルコキシドのエネルギー効率の良い製造のための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/70 20060101AFI20231228BHJP
   C07C 31/30 20060101ALI20231228BHJP
   B01D 3/14 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
C07C29/70
C07C31/30
B01D3/14 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022067932
(22)【出願日】2022-04-15
(65)【公開番号】P2022164649
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】21168930
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディアク レトガー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ライマン
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス パウル
(72)【発明者】
【氏名】アーミン マティアス リクス
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ シュレーダー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ツィツェヴィツ
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-012968(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109627145(CN,A)
【文献】特開2008-297305(JP,A)
【文献】特表2012-518667(JP,A)
【文献】国際公開第2013/168113(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 29/
C07C 31/
B01D 3/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式MOR[式中、Rは、C~Cの炭化水素基であり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択される]の少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドを製造するための方法であって、
(a1) ROHを含む反応物流SAE1を、向流において、圧力p3Aおよび温度T3Aで、反応性精留塔RR内で、MOHを含む反応物流SAE2と反応させて、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む粗生成物RPを生成し、
ここで、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPをRRの下端で抜き取り、水とROHとを含む蒸気流SABをRRの上端で抜き取り、
(a2) および任意選択的に、ステップ(a1)と同時に、かつこれとは空間的に分離して、ROHを含む反応物流SBE1を、向流において、圧力p3Bおよび温度T3Bで、反応性精留塔RR内で、MOHを含む反応物流SBE2と反応させて、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む粗生成物RPを生成し、ここで、Mが、ナトリウム、カリウムから選択され、
ここで、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPをRRの下端で抜き取り、水とROHとを含む蒸気流SBBをRRの上端で抜き取り、
(b) 前記蒸気流SAB、およびステップ(a2)が実施される場合はSABと混合してまたはSABとは別に前記蒸気流SBBを、第1の精留塔RDに送り、
前記第1の精留塔RD内で、水およびROHを含む混合物GRD1を得て、
(c) 前記混合物GRD1を、前記第1の精留塔RD内で、圧力pおよび温度Tで、RDの上端のROHを含む蒸気流SRDB1と、RDの下端の水およびROHを含む底部流SRDS1とに分離し、
(d) 前記底部流SRDS1を完全または部分的に第2の精留塔RDに送り、
前記第2の精留塔RD内で、水およびROHを含む混合物GRD2を得て、
(e) 前記混合物GRD2を、圧力pおよび温度Tで、RDの頂部のROHを含む蒸気流SRDB2と、RDの下端の水を含む底部流SRDS2とに分離する、
方法において、
>p、p>p3Aであり、ステップ(a2)が実施される場合はp>p3Bであること、
および(f)SRDB2からのエネルギーを前記第1の精留塔RD内の前記混合物GRD1に伝達すること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップ(f)で、エネルギーをSRDB2からGRD1に直接的に伝達する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ステップ(α-i)、(α-ii)、(α-iii)のうちの少なくとも1つ:
(α-i) RDから排出された前記底部流SRDS1の第1の一部分であるSRDS11を前記第2の精留塔RDに送り、エネルギーを、SRDB2から、RDから排出された前記底部流SRDS1の第2の一部分であるSRDS12に伝達し、次いで、SRDS12をRDに再循環させるステップ、
(α-ii) ROHと水とを含む、SRDB1およびSRDS1とは異なる少なくとも1つの流れSRDX1をRDから排出し、次いで、エネルギーをSRDB2からSRDX1に伝達し、SRDX1をRDに再循環させるステップ、
(α-iii) SRDB2をRDに通過させ、このようにして、エネルギーをSRDB2からGRD1に伝達するステップ
を実施する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
ステップ(f)で、エネルギーをSRDB2からGRD1に間接的に伝達する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ステップ(β-i)、(β-ii)、(β-iii)のうちの少なくとも1つ:
(β-i) RDから排出された前記底部流SRDS1の第1の一部分であるSRDS11を前記第2の精留塔RDに通過させ、RDから排出された前記底部流SRDS1の第2の一部分であるSRDS12をRDに再循環させ、ここで、エネルギーを、SRDB2からSRDS12とは異なる少なくとも1つの熱伝達媒体Wi1に伝達し、次いで、前記少なくとも1つの熱伝達媒体Wi1からSRDS12に伝達し、次いで、SRDS12をRDに再循環させるステップ、
(β-ii) ROHと水とを含む、SRDB1およびSRDS1とは異なる少なくとも1つの流れSRDX1をRDから排出し、エネルギーを、SRDB2からSRDX1とは異なる少なくとも1つの熱伝達媒体Wii1に伝達し、次いで、前記少なくとも1つの熱伝達媒体Wii1からSRDX1に伝達し、次いで、SRDX1をRDに再循環させるステップ、
(β-iii) エネルギーを、SRDB2からGRD1とは異なる少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1に伝達し、次いで、前記少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1をRDに通過させ、このようにして、エネルギーを前記少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1からGRD1に伝達するステップ
を実施する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
i1、Wii1、Wiii1のそれぞれが水である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
RDX1をRDにおいて前記蒸気流SRDB1の下方で抜き取る、請求項3、5、および6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
RDB2を、前記反応性精留塔RR内で反応物流SAE1として少なくとも部分的に用い、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に前記反応性精留塔RR内で反応物流SBE1として用いる、請求項記載の方法。
【請求項9】
RDB1を、前記反応性精留塔RR内で反応物流SAE1として少なくとも部分的に用い、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に前記反応性精留塔RR内で反応物流SBE1として用いる、請求項記載の方法。
【請求項10】
ROHを含む、SAE1およびSBE1とは異なる流れSXE1を、精留塔RD、精留塔RD、反応性精留塔RRから選択される前記塔のうちの少なくとも1つに添加し、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に前記反応性精留塔RRに添加する、請求項記載の方法。
【請求項11】
Rがメチルまたはエチルである、請求項記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a2)を実施する、請求項記載の方法。
【請求項13】
3A>pであり、さらに、ステップ(a2)が実施される場合はp3B>pである、請求項記載の方法。
【請求項14】
前記底部流SRDS2が水およびROHを含む、請求項記載の方法。
【請求項15】
連続的に実施される、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性精留によって向流においてナトリウムおよび/またはカリウムアルコキシドを製造するための方法に関する。アルコールを向流においてそれぞれのアルカリ金属水酸化物と反応させる。アルコールと水とを含む蒸気は、少なくとも2つの直列的に配置された精留塔において分離される。第2の精留で得られる蒸気のエネルギーは、第1の精留を操作するために利用される。2つの精留段階での特定の圧力差の確立と組み合わされるこの特定のエネルギー統合によって、精留に必要なエネルギーの特に大きな割合を加熱蒸気で賄い、電気の使用を最小限に抑えることが可能になる。
【0002】
1.発明の背景
アルカリ金属アルコキシドの製造は重要な工業プロセスである。
【0003】
アルカリ金属アルコキシドは、多くの化学物質の合成、例えば医薬品または農薬の活性成分の製造において強塩基として使用される。アルカリ金属アルコキシドは、エステル交換およびアミド化反応の触媒としても使用される。
【0004】
アルカリ金属アルコキシド(MOR)は、向流蒸留塔内で、アルカリ金属水酸化物(MOH)およびアルコール(ROH)の反応蒸留によって製造され、ここで、以下の反応<1>に従って形成される反応水は、留出物とともに除去される。
【0005】
【化1】
【0006】
アルカリ金属水酸化物水溶液およびガス状メタノールを向流において精留塔内で流すそのような方法の原理は、例えば、米国特許第2,877,274号明細書に開示されている。この方法はまた、国際公開第01/42178号において、概して変更されていない形式で記載されている。
【0007】
例えばベンゼンなどの同伴剤をさらに用いる類似した方法が、英国特許出願公告第377,631号明細書および米国特許第1,910,331号明細書に開示されている。この同伴剤は、水および水溶性アルコールを分離するために使用される。どちらの特許においても、凝縮液が、反応水を分離するために相分離にかけられる。
【0008】
同様に、独国特許発明第968903号明細書には、反応塔内でアルカリ金属アルコキシドを連続的に製造するための方法であって、塔の頂部で抜き取られた水-アルコールの混合物を凝縮させて、次いで相分離にかける、方法が記載されている。水相は廃棄され、アルコール相は新鮮なアルコールとともに塔の頂部に返送される。欧州特許出願公開第0299577号明細書には、膜を用いて凝縮液中の水を分離する類似した方法が記載されている。
【0009】
最も工業的に重要なアルカリ金属アルコキシドは、ナトリウムとカリウムとのもの、特にメトキシドおよびエトキシドである。それらの合成は、先行技術、例えば欧州特許出願公開第1997794号明細書に頻繁に記載されている。
【0010】
従来技術に記載されている反応性精留によるアルカリ金属アルコキシドの合成によって、典型的には、用いられるアルコールと水とを含む蒸気が生成される。蒸気に含まれるアルコールを反応蒸留の反応物として再利用することが、経済的な理由から有利である。したがって、蒸気は、典型的には、精留塔に供給され、そこに存在するアルコールが分離される(例えば、英国特許出願公告第737453号明細書および米国特許第4,566,947号明細書に記載されている)。このようにして回収されたアルコールは、次いで、例えば反応物として反応蒸留に供給される。代替的または追加的に、アルコール蒸気の一部分が、精留塔を加熱するために利用され得る(国際公開第2010/097318号に記載されている)。しかしながら、これは、精留塔の加熱に必要な温度レベルを達成するために蒸気を圧縮することを必要とする。蒸気は圧縮段階の間で冷却され、その際、多段階圧縮が熱力学的に有利であり、中間冷却によって圧縮機の最大許容温度を上回らないことが確実になる。
【0011】
用いられるエネルギーを効率的に利用するための精留段階における熱統合は、Ott, J., Gronemann, V., Pontzen, F., Fiedler, E., Grossmann, G., Kersebohm, D.B., Weiss, G. and Witte, C. (2012). Methanol. in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, (Ed.). (doi:10.1002/14356007.a16_465.pub3)において、異なる文脈で記載されている。この引用の段落5.4には、複数の精留塔を使用した精留による従来の合成法で得られた粗メタノールの後処理が開示されている。これは、概して、比較的低い圧力の精留塔を加熱するために、比較的高い圧力の精留塔で得られた蒸気の凝縮熱を利用することを提案している。しかしながら、この引用には、アルカリ金属アルコキシドの反応性精留で生成される水-メタノール蒸気の分離における有利なエネルギー統合については何も開示されていない。
【0012】
アルカリ金属アルコキシドの製造では、操作に必要な可能な限り高い割合のエネルギー全体を、電流などの高エネルギー源に頼らねばならないのではなく、加熱蒸気などの低エネルギーのエネルギー源から賄うことが望ましい。この要件は、特に、加熱蒸気が生成されて利用されないままである統合プラント(化学パーク、技術パーク)において、産業規模で達成される。
【0013】
したがって、本発明の目的は、反応蒸留によるナトリウムおよびカリウムのアルコキシドの製造のための改善された方法を提供することであった。該方法は、特に、蒸気の圧縮および冷却中に放出される熱のエネルギー効率の良い利用を可能にすべきである。また、この方法は、可能な限り高い割合のエネルギー要件を外部エネルギー源としての加熱蒸気で賄い、かつ可能な限り低い電気需要を特徴とすべきである。
【0014】
2.発明の概要
したがって、本発明は、式MOR[式中、Rは、C~Cの炭化水素基、好ましくはメチルまたはエチルであり、Mは、ナトリウム、カリウムから選択され、Mは、好ましくはナトリウムである]の少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドを製造するための方法であって、
(a1) ROHを含む反応物流SAE1を、向流において、圧力p3Aおよび温度T3Aで、反応性精留塔RR内で、MOHを含む反応物流SAE2と反応させて、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む粗生成物RPを生成し、
ここで、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPをRRの下端で抜き取り、水とROHとを含む蒸気流SABをRRの上端で抜き取り、
(a2) および任意選択的に、ステップ(a1)と同時に、かつこれとは空間的に分離して、ROHを含む反応物流SBE1を、向流において、圧力p3Bおよび温度T3Bで、反応性精留塔RR内で、MOHを含む反応物流SBE2と反応させて、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む粗生成物RPを生成し、ここで、Mが、ナトリウム、カリウムから選択され、Mが、好ましくはカリウムであり、
ここで、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPをRRの下端で抜き取り、水とROHとを含む蒸気流SBBをRRの上端で抜き取り、
(b) 蒸気流SAB、およびステップ(a2)が実施される場合はSABと混合してまたはSABとは別に蒸気流SBBを、第1の精留塔RDに送り、
第1の精留塔RD内で、水およびROHを含む混合物GRD1を得て、
(c) 混合物GRD1を、第1の精留塔RD内で、圧力pおよび温度Tで、RDの上端のROHを含む蒸気流SRDB1と、RDの下端の水およびROHを含む底部流SRDS1とに分離し、
(d) 底部流SRDS1を完全または部分的に第2の精留塔RDに送り、
第2の精留塔RD内で、水およびROHを含む混合物GRD2を得て、
(e) 混合物GRD2を、圧力pおよび温度Tで、RDの頂部のROHを含む蒸気流SRDB2と、RDの下端の水および任意選択的にROHを含む底部流SRDS2とに分離する、
方法において、
>p、p>p3Aであり、ステップ(a2)が実施される場合はp>p3Bであり、好ましくは、p3A>pでもあり、ステップ(a2)が実施される場合はさらに好ましくはp3B>pでもあること、
および(f)SRDB2からのエネルギーを第1の精留塔RD内の混合物GRD1に伝達すること
を特徴とする、方法に関する。
【0015】
3.図面
3.1 図1
図1は、精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明によるものではない方法を示す。用いられるのは、圧力p3Aの反応性精留塔(以下、「反応性精留塔」を「反応塔」と略記する)RR<3A>、ならびにそれぞれ圧力pおよびpの2つの精留塔RD<1>およびRD<2>である。ここで、p>p3A>pである。
【0016】
RR<3A>内で、NaOH(流れSAE2<3A02>)をメタノール(流れSAE1<3A01>)と反応させて、水と、メタノールと、NaOHと、ナトリウムメトキシドとを含む粗生成物RP<3A07>を生成する。RR<3A>の下端で、メタノール-ナトリウムメトキシドの混合物SAP<3A04>を抜き取る。反応塔RR<3A>の下端の底部蒸発器VS3A<3A06>を使用して、得られた混合物SAP*<3A08>においてメトキシド溶液の濃度を所望の値に調整する。特に反応塔RR<3A>の始動のために、反応塔RR<3A>の底部にさらなる蒸発器を追加的に取り付けてもよい(図示せず)。
【0017】
RR<3A>の頂部で、メタノール-水の混合物を蒸気流SAB<3A03>として抜き取る。SAB<3A03>を、第1の水/メタノール塔RD<1>に供給し、ここで、任意選択的に、SAB<3A03>を、反応塔RR<3A>の頂部で、凝縮器KRRA<3A05>内で部分的に凝縮させ、還流として液体形態でRR<3A>の頂部に再循環させる。次いで、蒸気SAB<3A03>の少なくとも一部分を圧縮機VD31<10>に通過させ、このようにして、蒸気SAB<3A03>の圧力をp3Aから圧力pに増加させる。
【0018】
このようにして、メタノール/水の混合物GRD1<108>が、第1の精留塔RD<1>内で得られる。メタノールを、この第1の水/メタノール塔RD<1>内で蒸気SRDB1<101>として蒸留によって回収する。蒸気流SRDB1<101>として回収されたメタノールを、RD<1>の頂部の抜き取り点<109>で、そこから排出し、部分的に精留塔RD<1>の頂部で、凝縮器KRD1<102>内で凝縮させ、還流として液体形態でRD<1>の頂部に再循環させる。蒸気SRDB1<101>として回収されたメタノールの残りの部分を、例えば、スロットルD13<11>を介して圧力pに減圧し、メタノール流SAE1<3A01>としてRR<3A>に導入する。
【0019】
RD<1>の下端(「精留塔の下端」の別名は「精留塔の底部」である)で、水とメタノールとを含む底部流SRDS1<103>を抜き取り点<110>で排出する。流れSRDS1<103>の第1の一部分であるSRDS11<104>を第2の水/メタノール塔RD<2>に供給し、流れSRDS1<103>の第2の一部分であるSRDS12<105>を、底部蒸発器VSRD1<106>を介してRD<1>に再循環させる。SRDS11<104>を、例えば、RD<2>に導入する前に、スロットルD12<12>を介して圧力pに減圧する。
【0020】
このようにして、メタノール/水の混合物GRD2<206>が、第2の精留塔RD<2>内で得られる。精留塔RD<2>で、SRDS11<104>からのメタノールの残留物を水から分離し、RD<2>の頂部で蒸気流SRDB2<201>として蒸留によって回収する。蒸気流SRDB2<201>として回収されたメタノールを、RD<2>の頂部の抜き取り点<208>で、そこから排出し、部分的に精留塔RD<2>の頂部で、凝縮器KRD2<203>内で凝縮させ、還流として液体形態でRD<2>の頂部に再循環させる。蒸気SRDB2<201>として回収されたメタノールの残りの部分を圧縮機VD23<13>に通過させ、このようにして、圧力pに圧縮し、RD<1>からの蒸気SRDB1<101>とともに圧力pに減圧し、メタノール流SAE1<3A01>としてRR<3A>に導入する。
【0021】
RD<2>の下端で、水と任意選択的にメタノールとを含む底部流SRDS2<202>を抜き取り点<207>で排出する。SRDS2<202>を、底部蒸発器VSRD2<204>を介して部分的に加熱し、RD<2>に再循環させる。
【0022】
VSRD2<204>を介してRD<2>に再循環させられる底部流SRDS2<202>の一部分を加熱するために、精留塔RD<1>の頂部の凝縮器KRD1<102>におけるSRDB1<101>の凝縮時に放出されるエネルギーを利用する。破線の矢印<4>で示されているように、該エネルギーをVSRD2<204>に供給する。熱伝達は、間接的に、すなわち、SRDB1<101>およびSRDS2<202>とは異なる熱伝達媒体を使用して、または直接的に、すなわち、凝縮器KRD1<102>または底部蒸発器VSRD2<204>内でSRDB1<101>をSRDS2<202>と接触させることによって行われ得る。直接接触の場合は、凝縮器KRD1<102>のみを用いて底部蒸発器VSRD2<204>を省略するか、または底部蒸発器VSRD2<204>のみを用いて凝縮器KRD1<102>を省略し、次いで、いずれの場合も、流れSRDB1<101>と流れSRDS2<202>との両方を凝縮器KRD1<102>または底部蒸発器VSRD2<204>に通過させれば十分であり、それによって、エネルギー、好ましくは熱がSRDB1<101>からSRDS2<202>に伝達される。
【0023】
3.2 図2
図2は、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明によるものではないさらなる方法を示す。これは、それぞれの塔の圧力の点で、図1に示されている方法とは異なる。図1の実施形態では、p>p3A>pと示されており、その一方で、図2の実施形態では、p>p>p3Aと示されている。この異なる圧力レジームによって、圧縮機VD23<13>が不要になり、例えばスロットルD23<14>が取り付けられる。スロットルD23<14>が蒸気流SRDB2<201>をpから圧力p3Aに減圧し、その一方で、図1による実施形態では、圧縮機VD23<13>が蒸気流SRDB2<201>をpから圧力p3Aに増加させる。
【0024】
3.3 図3
図3は、反応性精留塔および精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法の一実施形態を示す。ここで用いられるのは、図1および図2に記載されている実施形態と同様に、圧力p3Aの反応性精留塔RR<3A>、ならびにそれぞれ圧力pおよびpを有する2つの精留塔RD<1>およびRD<2>である。ここで、p>p>p3Aである。図3に示されているセットアップは、以下の例外を除いて、図2に示されているセットアップに対応している:
1. 底部蒸発器VSRD1<106>の隣の精留塔RD<1>に配置されているのは、RD<1>内の混合物GRD1<108>にエネルギーを供給するために使用され得る中間蒸発器VZRD1<107>である。この目的のために、混合物GRD1<108>を、抜き取り点<111>で、精留塔RD<1>から流れSRDX1<112>として排出する。SRDX1<112>をVZRD1<107>内で加熱し、精留塔RD<1>に再循環させる。
2. 精留塔RD<1>およびRD<2>内の圧力が異なる(p>p)ことを理由に、スロットルD12<12>をポンプP<15>と置き換える。本発明によると、この違いの理由は、この流れがRD<2>に送られるときのSRDS11<104>の圧力がp増加していることである。
3. 任意選択的な実施形態では、流れSXE1<205>としての追加のメタノールを、精留塔RD<2>での還流を介して、精留塔RD<2>に添加する。
4. RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーは、中間蒸発器VZRD1<107>を介してSRDX1<112>に伝達され、RD<1>へのSRDX1<112>の再導入後に、SRDX1<112>からRD<1>内に存在する混合物GRD1<108>に伝達される。代替的または追加的に、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーは、底部蒸発器VSRD1<106>を介して流れSRDS1<103>の一部分であるSRDS12<105>に伝達される。SRDS12<105>は、RD<1>に再循環させられると、RD<1>内に存在する混合物GRD1<108>にエネルギーを伝達する。エネルギーの流れは、破線の矢印<4>で示されている。
【0025】
直接接触の場合は、凝縮器KRD2<203>のみを用いて底部蒸発器VSRD1<106>を省略するか、または底部蒸発器VSRD1<106>のみを用いて凝縮器KRD2<203>を省略し、次いで、いずれの場合も、流れSRDB2<201>と流れSRDS12<105>との両方を凝縮器KRD2<203>または底部蒸発器VSRD1<106>に通過させれば十分であり、それによって、エネルギー、好ましくは熱がSRDB2<201>からSRDS12<105>に伝達される。
【0026】
3.4 図4
図4は、精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法のさらなる実施形態を示す。ここで用いられるのは、図1および図2に記載されている実施形態と同様に、圧力p3Aの反応性精留塔RR<3A>、ならびにそれぞれ圧力pおよびpを有する2つの精留塔RD<1>およびRD<2>である。ここで、p>p3A>pである。図4に示されるセットアップは、圧力がp3A>pであることを除いて、図3に示されるセットアップに対応している。これによって、スロットルD13<11>を圧縮機VD13<16>で置き換えながらも、圧縮機VD31<10>を省略することが可能になる。
【0027】
3.5 図5
図5は、本発明による方法のさらなる実施形態を示す。該実施形態では、2つの反応性精留塔(圧力p3AのRR<3A>および圧力p3BのRR<3B>)および2つの精留塔(それぞれ圧力pおよびpを有するRD<1>およびRD<2>)が用いられる。ここで、p>p>p3Aおよびp>p3Bである。
【0028】
RR<3A>内で、NaOH(流れSAE2<3A02>)をメタノール(流れSAE1<3A01>)と反応させて、水と、メタノールと、NaOHと、ナトリウムメトキシドとを含む粗生成物RP<3A07>を生成する。
【0029】
RR<3A>の下端で、メタノール-ナトリウムメトキシドの混合物SAP<3A04>を抜き取る。塔RR<3A>の底部の底部蒸発器VS3A<3A06>を使用して、得られた混合物SAP*<3A08>においてメトキシド溶液の濃度を所望の値に調整する。特に塔RR<3A>の始動のために、塔RR<3A>の底部にさらなる蒸発器を追加的に取り付けてもよい(図示せず)。
【0030】
RR<3A>の頂部で、メタノール-水の混合物を蒸気SAB<3A03>として抜き取る。SAB<3A03>を、第1の水/メタノール塔RD<1>に供給し、ここで、任意選択的に、SAB<3A03>を、反応塔RR<3A>の頂部で、凝縮器KRRA<3A05>内で部分的に凝縮させ、還流として液体形態でRR<3A>の頂部に再循環させる。
【0031】
RR<3A>内での反応と同時に、RR<3B>内で、KOH(流れSBE2<3B02>)をメタノール(流れSBE1<3B01>)と反応させて、水と、メタノールと、KOHと、カリウムメトキシドとを含む粗生成物RP<3B07>を生成する。
【0032】
RR<3B>の下端で、メタノール-カリウムメトキシドの混合物SBP<3B04>を抜き取る。塔RR<3B>の下端の底部蒸発器VS3B<3B06>を使用して、得られた混合物SBP*<3B08>においてメトキシド溶液の濃度を所望の値に調整する。特に反応塔RR<3B>の始動のために、塔RR<3B>の下端にさらなる蒸発器を追加的に取り付けてもよい(図示せず)。
【0033】
RR<3B>の頂部で、メタノール-水の混合物を蒸気SBB<3B03>として除去し、ここで、任意選択的に、SBB<3B03>を、反応塔RR<3B>の頂部で、凝縮器KRRB<3B05>内で部分的に凝縮させ、還流として液体形態でRR<3B>の頂部に再循環させる。
【0034】
蒸気SAB<3A03>およびSBB<3B03>の少なくとも一部分を組み合わせ、次いで、組み合わされた蒸気を圧縮機VD31<10>に通過させ、それによって、組み合わされた蒸気の圧力を圧力pに増加させる。次いで、組み合わされた蒸気を第1の精留塔RD<1>に送り、次いで、それによって、メタノール/水の混合物GRD1<108>を生成する。
【0035】
RD<1>では、メタノールを、オーバーヘッド部で蒸気SRDB1<101>として蒸留によって回収する。蒸気流SRDB1<101>として回収されたメタノールを、RD<1>の頂部の抜き取り点<109>で、そこから排出し、部分的に精留塔RD<1>の頂部で、凝縮器KRD1<102>内で凝縮させ、還流として液体形態でRD<1>の頂部に再循環させる。蒸気SRDB1<101>として回収されたメタノールの残りの部分を、例えば、スロットルD13<11>を介して圧力p3A/p3Bに減圧し、メタノール流SAE1<3A01>およびSBE1<3B01>として2つの反応塔RR<3A>およびRR<3B>にそれぞれ導入する。
【0036】
底部蒸発器VSRD1<106>の隣の精留塔RD<1>に配置されているのは、RD<1>内の混合物GRD1<108>にエネルギーを供給するために使用され得る中間蒸発器VZRD1<107>である。この目的のために、混合物GRD1<108>を、抜き取り点<111>で、精留塔RD<1>から流れSRDX1<112>として排出する。SRDX1<112>をVZRD1<107>内で加熱し、精留塔RD<1>に再循環させる。
【0037】
RD<1>の下端で、水とメタノールとを含む底部流SRDS1<103>を抜き取り点<110>で排出する。流れSRDS1<103>の第1の一部分であるSRDS11<104>を第2の水/メタノール塔RD<2>に供給し、流れSRDS1<103>の第2の一部分であるSRDS12<105>を、底部蒸発器VSRD1<106>を介してRD<1>に再循環させる。この流れをRD<2>に導入する前に、SRDS11<104>の圧力を、ポンプP<15>を介して圧力pに増加させる。
【0038】
このようにして、メタノール/水の混合物GRD2<206>が、第2の精留塔RD<2>内で得られる。精留塔RD<2>で、SRDS11<104>からのメタノールの残留物を水から分離し、RD<2>の頂部で蒸気流SRDB2<201>として蒸留によって回収する。蒸気流SRDB2<201>として回収されたメタノールを、RD<2>の頂部の抜き取り点<208>で、そこから排出し、部分的に精留塔RD<2>の頂部で、凝縮器KRD2<203>内で凝縮させ、還流として液体形態でRD<2>の頂部に再循環させる。任意選択的に、流れSXE1<205>としての追加のメタノールを、精留塔RD<2>での還流を介して、精留塔RD<2>に添加する。
【0039】
凝縮器KRD2<203>に供給されなかった蒸気SRDB2<201>として回収されたメタノールの残りの部分をスロットルD23<14>に通過させ、このようにして、圧力p3Aまたはp3Bに減圧し、RD<1>からの蒸気SRDB1<101>とともに圧力p3Aまたはp3Bに減圧し、メタノール流SAE1<3A01>およびSBE1<3B01>としてRR<3A>およびRR<3B>にそれぞれ導入する。
【0040】
RD<2>の下端で、水と任意選択的にメタノールとを含む底部流SRDS2<202>を抜き取り点<207>で排出する。SRDS2<202>を、底部蒸発器VSRD2<204>を介して部分的に加熱し、RD<2>に再循環させる。
【0041】
RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーは、中間蒸発器VZRD1<107>を介してSRDX1<112>に伝達され、RD<1>へのSRDX1<112>の再導入後に、SRDX1<112>からRD<1>内に存在する混合物GRD1<108>に伝達される。代替的または追加的に、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーは、底部蒸発器VSRD1<106>を介して流れSRDS1<103>の一部分であるSRDS12<105>に伝達される。SRDS12<105>は、RD<1>に再循環させられると、RD<1>内に存在する混合物GRD1<108>にエネルギーを伝達する。エネルギーの流れは、破線の矢印<4>で示されている。
【0042】
3.6 図6
図6は、精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法のさらなる実施形態を示す。ここで用いられるのは、図5に記載されている実施形態と同様に、それぞれ圧力p3Aおよびp3Bの2つの反応性精留塔RR<3A>およびRR<3B>、ならびにそれぞれ圧力pおよびpを有する2つの精留塔RD<1>およびRD<2>である。図5による実施形態とは対照的に、p>p3A>pおよびp>p3B>pである。図6に示されるセットアップは、圧力がp3A>pであることおよび圧力がp3B>pであることを除いて、図5に示されるセットアップに対応しており、したがって、圧縮機VD31<10>を省略し、スロットルD13<11>を圧縮機VD13<16>によって置き換えることができる。
【0043】
3.7 図7
図7は、図5に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す。ここで、p>p>p3Aおよびp>p3Bである。これは、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーが、底部蒸発器VSRD1<106>を介して流れSRDS1<103>の一部分であるSRDS12<105>に直接的に伝達され、これがRD<1>に再循環させられる、実施形態を示す。蒸気SRDB2<201>がVSRD1<106>内でSRDS12<105>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>からSRDS12<105>へのエネルギー伝達が可能になるため、伝達は直接的に行う。図5に示される凝縮器KRD2<203>は省略してもよく、ここでは、新鮮なメタノール流SXE1<205>を塔RD<2>に直接的に導入する。
【0044】
3.8 図8
図8は、図6に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す。ここで、p>p3A>pおよびp>p3B>pである。これは、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーが、底部蒸発器VSRD1<106>を介して流れSRDS1<103>の一部分であるSRDS12<105>に直接的に伝達され、これがRD<1>に再循環させられる、実施形態を示す。蒸気SRDB2<201>がVSRD1<106>内でSRDS12<105>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>からSRDS12<105>へのエネルギー伝達が可能になるため、伝達は直接的に行う。図6に示される凝縮器KRD2<203>は省略してもよく、ここでは、新鮮なメタノール流SXE1<205>を精留塔RD<2>に直接的に導入する。
【0045】
3.9 図9
図9は、図5に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す。ここで、p>p>p3Aおよびp>p3Bである。これは、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーが、中間蒸発器VZRD1<107>を介してRD<1>からの水/メタノールの混合物GRD1<108>に伝達される、実施形態を示す。GRD1<108>を、精留塔RD<1>から、抜き取り点<111>で、流れSRDX1<112>として抜き取る。SRDB2<201>は、特にSRDX1<112>を加熱することによって、VZRD1<107>内でSRDX1<112>にエネルギーを伝達する。次いで、SRDX1<112>を精留塔RD<1>に再循環させる。
【0046】
次いで、RD<1>内では、流れSRDX1<112>が、RD<1>内に存在する混合物GRD1<108>にエネルギーを伝達する。蒸気SRDB2<201>がVZRD1<107>内でRD<1>からのSRDX1<112>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>から、RD<1>からのSRDX1<112>へのエネルギー伝達が可能になるため、SRDB2<201>からSRDX1<112>へのエネルギー伝達は直接的に行う。図5に示される凝縮器KRD2<203>は省略してもよく、ここでは、新鮮なメタノール流SXE1<205>を精留塔RD<2>に直接的に導入する。
【0047】
3.10 図10
図10は、図6に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す。ここで、p>p3A>pおよびp>p3B>pである。これは、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーが、中間蒸発器VZRD1<107>を介してRD<1>からの水/メタノールの混合物GRD1<108>に伝達される、実施形態を示す。GRD1<108>を、精留塔RD<1>から、抜き取り点<111>で、流れSRDX1<112>として抜き取る。SRDB2<201>は、特にSRDX1<112>を加熱することによって、VZRD1<107>内でSRDX1<112>にエネルギーを伝達する。次いで、SRDX1<112>を精留塔RD<1>に再循環させる。
【0048】
次いで、RD<1>内では、流れSRDX1<112>が、RD<1>内に存在する混合物GRD1<108>にエネルギーを伝達する。蒸気SRDB2<201>がVZRD1<107>内でRD<1>からのSRDX1<112>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>から、RD<1>からのSRDX1<112>へのエネルギー伝達が可能になるため、SRDB2<201>からSRDX1<112>へのエネルギー伝達は直接的に行う。図6に示される凝縮器KRD2<203>は省略してもよく、ここでは、新鮮なメタノール流SXE1<205>を精留塔RD<2>に直接的に導入する。
【0049】
3.11 図11
図11は、図7および図9による実施形態の組み合わせを示す、本発明による方法の実施形態を示す。ここで、p>p>p3Aおよびp>p3Bである。これは、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーが、底部蒸発器VSRD1<106>を介して流れSRDS1<103>の一部分であるSRDS12<105>に直接的に伝達され、これがRD<1>に再循環させられる、実施形態を示す。蒸気SRDB2<201>がVSRD1<106>内でSRDS12<105>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>からSRDS12<105>へのエネルギー伝達が可能になるため、伝達は直接的に行う。
【0050】
この熱伝達の後に、蒸気SRDB2<201>からのさらなるエネルギーが、中間蒸発器VZRD1を介してRD<1>からの水/メタノールの混合物GRD1<108>に伝達される。GRD1<108>を、精留塔RD<1>から、抜き取り点<111>で、流れSRDX1<112>として抜き取る。SRDB2<201>は、特にSRDX1<112>を加熱することによって、VZRD1<107>内でSRDX1<112>にエネルギーを伝達する。次いで、SRDX1<112>を精留塔RD<1>に再循環させる。
【0051】
蒸気SRDB2<201>がVZRD1<107>内でRD<1>からのSRDX1<112>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>から、RD<1>からのSRDX1<112>へのエネルギー伝達が可能になるため、SRDB2<201>からSRDX1<112>へのエネルギー伝達は直接的に行う。
【0052】
次いで、RD<1>内では、流れSRDX1<112>およびSRDS12<105>が、RD内に存在する混合物GRD1<108>に、SRDB2<201>によって吸収されたエネルギーを伝達する。
【0053】
3.12 図12
図12は、図8および図10の実施形態の組み合わせに対応する、本発明による方法の実施形態を示す。ここで、p>p3A>pおよびp>p3B>pである。これは、RD<2>の頂部の蒸気SRDB2<201>の凝縮時に放出されるエネルギーが、底部蒸発器VSRD1<106>を介して流れSRDS1<103>の一部分であるSRDS12<105>に直接的に伝達され、これがRD<1>に再循環させられる、実施形態を示す。蒸気SRDB2<201>がVSRD1<106>内でSRDS12<105>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>からSRDS12<105>へのエネルギー伝達が可能になるため、伝達は直接的に行う。
【0054】
この熱伝達の後に、蒸気SRDB2<201>からのさらなるエネルギーが、中間蒸発器VZRD1を介してRD<1>からの水/メタノールの混合物GRD1<108>に伝達される。GRD1<108>を、精留塔RD<1>から、抜き取り点<111>の後に、流れSRDX1<112>として抜き取る。SRDB2<201>は、特にSRDX1<112>を加熱することによって、VZRD1<107>内でSRDX1<112>にエネルギーを伝達する。次いで、SRDX1<112>を精留塔RD<1>に再循環させる。
【0055】
蒸気SRDB2<201>がVZRD1<107>内でRD<1>からのSRDX1<112>と接触させられ、このようにして、例えばさらなる熱伝達媒体を介在させることなく、SRDB2<201>から、RD<1>からのSRDX1<112>へのエネルギー伝達が可能になるため、SRDB2<201>からSRDX1<112>へのエネルギー伝達は直接的に行う。
【0056】
次いで、RD<1>内では、流れSRDX1<112>およびSRDS12<105>が、RD<1>内に存在する混合物GRD1<108>に、SRDB2<201>によって吸収されたエネルギーを伝達する。
【0057】
4.発明の詳細な説明
4.1 本発明による方法のステップ(a1)
式MORの少なくとも1つのアルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法のステップ(a1)では、ROHを含む反応物流SAE1を、向流において、圧力p3Aおよび温度T3Aで、反応性精留塔RR内で、MOHを含む反応物流SAE2と反応させて、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む粗生成物RPを生成する。
【0058】
本発明によると、「反応性精留塔」は、本発明による方法のステップ(a1)またはステップ(a2)による反応が少なくともいくつかの部分で進行する精留塔である。「反応塔」と略記することもある。
【0059】
本発明による方法のステップ(a1)では、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPをRRの下端で抜き取る。水とROHとを含む蒸気流SABをRRの上端で抜き取る。
【0060】
「蒸気流」は、それぞれの流れが気体流であることを意味する。
【0061】
本発明による方法において、Rは、C~C炭化水素基であり、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルなどのペンチル異性体からなる群から選択され、より好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルからなる群から選択され、さらにより好ましくは、メチル、エチルからなる群から選択される。Rは、特に好ましくはメチルであり、したがって、ROHはメタノールである。
【0062】
は、ナトリウム、カリウムから選択され、好ましくはナトリウムである。
【0063】
反応物流SAE1はROHを含む。好ましい実施形態では、反応物流SAE1の総質量に基づくSAE1中のROHの質量分率は、95重量%以上、さらにより好ましくは99重量%以上であり、SAE1は、他には、特に水を含む。
【0064】
本発明による方法のステップ(a1)で反応物流SAE1として使用されるアルコールROHはまた、反応物流SAE1の総質量に基づいて99.8重量%超の質量分率のアルコールと、反応物流SAE1の総質量に基づいて最大0.2重量%の質量分率の水とを有する市販のアルコールであり得る。
【0065】
反応物流SAE1は、好ましくは蒸気形態で導入される。
【0066】
反応物流SAE2はMOHを含む。好ましい実施形態では、SAE2は、MOHのみならず、水、ROHから選択される少なくとも1つのさらなる化合物も含む。SAE2は、より好ましくは、MOHに加えて水も含み、その場合、SAE2は、MOHの水溶液である。
【0067】
反応物流SAE2がMOHおよび水を含む場合、反応物流SAE2の総重量に基づくMOHの質量分率は、特に10重量%~55重量%、好ましくは15重量%~54重量%、より好ましくは30重量%~53重量%、特に好ましくは45重量%~52重量%の範囲、最も好ましくは50重量%である。
【0068】
反応物流SAE2がMOHおよびROHを含む場合、反応物流SAE2の総重量に基づくMOHの質量分率は、特に10重量%~55重量%、好ましくは15重量%~54重量%、より好ましくは30重量%~53重量%、特に好ましくは45重量%~52重量%の範囲にある。
【0069】
反応物流SAE2がMOHに加えて水およびROHの両方を含む特定の場合には、反応物流SAE2の総重量に基づくMOHの質量分率が、特に10重量%~55重量%、好ましくは15重量%~54重量%、より好ましくは30重量%~53重量%、特に好ましくは45重量%~52重量%の範囲にあると特に好ましい。
【0070】
本発明による方法のステップ(a1)は、反応性精留塔(または「反応塔」)RR内で実施される。
【0071】
本発明による方法のステップ(a2)は、反応性精留塔(または「反応塔」)RR内で実施される。
【0072】
反応塔RR/RRは、好ましくは内部構造物を含む。適切な内部構造物は、例えば、トレイ、構造化充填物、または非構造化充填物である。反応塔RR/RRがトレイを含む場合、バブルキャップトレイ、バルブトレイ、トンネルトレイ、トルマントレイ、クロススリットバブルキャップトレイ、またはシーブトレイが適している。反応塔RR/RRがトレイを含む場合、液体の5重量%以下、より好ましくは1重量%未満がそれぞれのトレイを通って細流するトレイを選択することが好ましい。液体が細流通過(trickle-through)することを最小限に抑えるために必要な構造的手段は、当業者によく知られている。バルブトレイの場合、例えば、特に密接に閉鎖するバルブ設計が選択される。バルブの数を減らすと、トレイ開口部における蒸気速度を一般に確立されている値の2倍に増加させることも可能になる。シーブトレイを使用する場合、開口部の数を維持またはさらには増加させながら、トレイ開口部の直径を縮小することが特に有利である。
【0073】
構造化または非構造化充填物を使用する場合、液体の均一な分布の観点から、構造化充填物が好ましい。この実施形態では、総塔断面積の2%超に相当するあらゆる部分の塔断面において、液体流と蒸気流との平均比率が、液体について、15%を超えて、より好ましくは3%を超えて上回らないとさらに好ましい。この最小限に抑えられた液体量によって、ワイヤーメッシュにおける毛細管効果で、液体の細流密度の局所的なピークを排除することが可能になる。
【0074】
非構造化充填物を含む、特にランダム充填物を含む塔の場合、および構造化充填物を含む塔の場合、液体分布の望ましい特性は、総塔断面積の約2%~5%に相当する、塔シェルに隣接する塔断面のエッジ領域における液体細流密度が、他の断面領域と比較して、最大100%、好ましくは5%~15%減少されると達成され得る。これは、例えば、液体分配器の滴下点またはそれらの穴を、狙いを定めて分布させることによって容易に達成することができる。
【0075】
本発明による方法は、連続的または非連続的に実施することができる。本発明による方法は、好ましくは連続的に実施される。
【0076】
本発明によると、「ROHを含む反応物流SAE1とMOHを含む反応物流SAE2との向流での反応」は、特に、ステップ(a1)で、ROHを含む反応物流SAE1の少なくとも一部分の供給点が、MOHを含む反応物流SAE2の供給点の下方で反応塔RRに配置される結果として達成される。
【0077】
反応塔RRは、好ましくは、反応物流SAE1の供給点と反応物流SAE2の供給点との間に、少なくとも2個、特に15~40個の理論段を備える。
【0078】
反応塔RRは、好ましくは、純粋なストリッピング塔として操作される。したがって、ROHを含む反応物流SAE1は、特に、反応塔RRの下部領域に蒸気形態で供給される。本発明による方法のステップ(a1)は、ROHを含む反応物流SAE1の一部分を、MOHを含む反応物流SAE2の供給点の下方で、それでいて、それでもなお反応塔RRの上端または上端領域で、蒸気形態で添加する場合も含む。これによって、反応塔RRの下部領域の寸法を縮小することができる。ROH、特にメタノールを含む反応物流SAE1の一部分を、反応塔RRの上端または上端領域で、特に蒸気形態で添加する場合、10重量%~70重量%、好ましくは30重量%~50重量%(いずれの場合も、ステップ(a1)でSAE1として用いられるアルコールROHの総量に基づく)だけの画分を、反応塔RRの下端で供給し、残りの画分は、単一の流れにおいて蒸気形態で添加するか、またはMOHを含む反応物流SAE2の供給点の下方で、複数の副流、好ましくは1~10個の理論トレイ、特に好ましくは1~3個の理論トレイに分割する。
【0079】
次いで、反応塔RR内で、ROHを含む反応物流SAE1を、上記の反応<1>に従って、MOHを含む反応物流SAE2と反応させて、MORおよびHOを生成し、ここで、これらの生成物は、平衡反応に関係するため、反応物ROHおよびMOHと混合して存在している。したがって、生成物MORおよび水のみならずROHおよびMOHも含有する粗生成物RPが、本発明による方法のステップ(a1)において、反応塔RR内で得られる。
【0080】
次いで、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPが得られ、RRの下端で抜き取られる。
【0081】
ここで「水とROHとを含む蒸気流SAB」と呼ばれる含水アルコール流は、RRの上端で、好ましくはRRの塔頂部で抜き取られる。
【0082】
反応物流SAE1に含まれるアルコールROHの量は、好ましくは、該アルコールが、底部生成物流SAPにおいて得られるアルカリ金属アルコキシドMORのための溶媒として同時に機能するように選択される。反応物流SAE1中のアルコールROHの量は、好ましくは、反応塔RRの底部で、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPとして抜き取られるアルカリ金属アルコキシド溶液の所望の濃度を達成するように選択される。
【0083】
本発明による方法の好ましい実施形態では、特に、SAE2がMOHに加えて水も含む場合には、ステップ(a1)において反応物流SAE2として使用されるMOHの総重量(質量;単位:kg)に対するステップ(a1)において反応物流SAE1として使用されるアルコールROHの総重量(質量;単位:kg)の比率が、1:1~50:1、より好ましくは5:1~48:1、さらにより好ましくは9:1~35:1、それよりもさらにより好ましくは10:1~30:1、それよりもさらにより好ましくは13:1~22:1、最も好ましくは14:1である。
【0084】
反応塔RRは、還流ありまたはなしで、好ましくは還流なしで操作される。
【0085】
「還流なし」とは、水とROHとを含む、RRの上端で抜き取られた蒸気流SABが、ステップ(b)によって第1の精留塔RDに完全に供給されることを意味する。水とROHとを含む蒸気流SABは、好ましくは、蒸気形態で第1の精留塔RDに供給される。
【0086】
「還流あり」とは、ステップ(a1)においてそれぞれの塔である反応塔RRの上端で抜き取られた、水とROHとを含む蒸気流SABが、完全に排出されないこと、すなわち、ステップ(b)において第1の精留塔RDに完全に供給されるのではなく、少なくとも部分的に、好ましくは部分的に、それぞれの塔、すなわち、ステップ(a1)の反応塔RRに還流として再循環させられることを意味する。そのような還流が確立されている場合、還流比率は、好ましくは0.05~0.99、より好ましくは0.1~0.9、さらにより好ましくは0.11~0.34、特に好ましくは0.14~0.27、非常に特に好ましくは0.17~0.24である。還流は、ステップ(a1)のそれぞれの塔である反応塔RRの頂部に、蒸気流SABを少なくとも部分的に凝縮させてステップ(a1)のそれぞれの塔である反応塔RRに送り返す凝縮器KRRAを取り付けることによって確立され得る。一般に、また本発明の文脈において、還流比率は、液体形態(留出物)または気体形態(蒸気)でそれぞれの塔から排出される質量流量(kg/h)に対する液体形態(還流)でそれぞれの塔に再循環させられる質量流量(kg/h)の比率を意味すると理解されるべきである。
【0087】
還流が反応塔RRで確立されている実施形態では、反応物流SAE2としてステップ(a1)で用いられるアルコールMOHもまた、少なくとも部分的に、好ましくは部分的に還流の流れと混合し、得られた混合物をこのようにしてステップ(a1)に供給することができる。
【0088】
本発明による方法のステップ(a1)は、特に、25℃~200℃の範囲、好ましくは45℃~150℃の範囲、より好ましくは47℃~120℃の範囲、より好ましくは60℃~110℃の範囲の温度T3Aで実施される。
【0089】
本発明による方法のステップ(a1)は、特に、0.5bar~40bar、好ましくは0.75bar~5barの範囲、より好ましくは1bar~2barの範囲、より好ましくは1bar~1.8barの範囲、さらにより好ましくは1.1bar~1.6barの圧力p3Aで実施される。圧力p3Aを確立する際、p>p3Aであることが本発明の本質的な特徴である。特に、p3A>pの場合も同様である。
【0090】
反応塔RRは、好ましい実施形態では、特に中間蒸発器VZ3Aおよび底部蒸発器VS3Aから選択される、少なくとも1つの蒸発器を備える。反応塔RRは、特に好ましくは、少なくとも1つの底部蒸発器VS3Aを備える。蒸発器は、熱交換体WTの特殊な実施形態である。
【0091】
凝縮器Kは、同様に、熱交換体WTの特殊な実施形態である。典型的な凝縮器は、当業者に公知である。これらは、好ましくは、精留塔および反応塔の頂部で液化装置として用いられる。ある塔の頂部流から別の塔の底部流または中間流への直接的なエネルギー伝達では、一方の塔の凝縮器を他方の塔の蒸発器として同時に用いることができる(例に示される)。
【0092】
本発明によると、「中間蒸発器」VZ(例えば、RRにおけるVZ3A、RRにおけるVZ3B、RDにおけるVZRD1、RDにおけるVZRD2)は、それぞれの塔の底部の上方、特に、反応塔RR/RRの底部の上方または精留塔RDもしくはRDの底部の上方に配置された蒸発器を意味するものとして理解されるべきである。特に、これらの蒸発器は、粗生成物RP/RPまたはSRDX1Zを副流として蒸発させる。
【0093】
本発明によると、「底部蒸発器」VS(例えば、RRにおけるVS3A、RRにおけるVS3B、RDにおけるVSRD1、RDにおけるVSRD2)は、それぞれの塔の底部、特に、反応塔RR/RRまたは精留塔RDもしくはRDの底部を加熱する蒸発器を意味するものとして理解されるべきである。これらの蒸発器は、底部生成物流(例えば、SAP/SBPまたはSRDX1S)を蒸発させる。
【0094】
蒸発器は、典型的には、それぞれの反応塔または精留塔の外側に配置されている。蒸発器内で蒸発させるべき混合物は、取出部または「抜き取り点」を介して塔から抜き取られ、少なくとも1つの蒸発器に供給される。
【0095】
蒸発した混合物は、供給部または「供給点」を介して、任意選択的に液体の残りの割合とともに、それぞれの塔に再循環させられる。蒸発器が中間蒸発器である場合、それぞれの混合物を抜き取って蒸発器に供給する取出部は、副流取出部であり、蒸発したそれぞれの混合物を塔に送り返す供給部は、副流供給部である。蒸発器が底部蒸発器である場合、すなわち、塔底部を加熱する場合、底部取出流の少なくとも一部分は、蒸発させられ、塔底部の領域においてそれぞれの塔に再循環で戻される。
【0096】
しかしながら、代替的には、例えば、中間蒸発器を使用する場合は適切なトレイ上に、またはそれぞれの塔の底部で、関連する熱媒体が通過する管を設けることも可能である。この場合、蒸発は、トレイ上で、または塔の底部で起こる。しかしながら、蒸発器をそれぞれの塔の外側に配置することが好ましい。
【0097】
中間蒸発器および底部蒸発器として用いることが可能な適切な蒸発器としては、例えば、自然循環蒸発器、強制循環蒸発器、減圧を伴う強制循環蒸発器、蒸気ボイラー、流下膜式蒸発器、または薄膜蒸発器が挙げられる。自然循環蒸発器および強制循環蒸発器の場合に典型的に用いられる蒸発のための熱交換体は、シェルアンドチューブまたはプレート装置である。シェルアンドチューブ交換器を使用する場合、熱媒体は、蒸発させるべき混合物が管の周りを流れた状態で管を通って流れることができるか、または熱媒体は、蒸発させるべき混合物が管を通って流れた状態で管の周りを流れることができる。流下膜式蒸発器の場合、蒸発させるべき混合物は、典型的には、管の内側に薄膜として導入され、管は、外部から加熱される。流下膜式蒸発器とは対照的に、薄膜蒸発器は、蒸発させるべき液体を管の内壁に分配して薄膜を形成するワイパーを有するローターをさらに備える。
【0098】
しかしながら、列挙された蒸発器タイプに加えて、当業者に公知であり、かつ精留塔での使用に適した任意の所望のさらなる蒸発器タイプを用いることも可能である。
【0099】
反応塔RR/反応塔RRが中間蒸発器VZ3AまたはVZ3Bを有する場合、それぞれの中間蒸発器が、反応塔RRのストリッピング領域に、すなわち、反応物流SAE1の供給点の領域に、または反応塔RRの場合は反応物流SBE1の供給点の領域に配置されていると好ましい。これによって、中間蒸発器VZ3A/VZ3Bを介して熱エネルギーの大部分を導入することが可能になる。したがって、例えば、中間蒸発器を介してエネルギーの80%超を導入することが可能である。本発明によると、中間蒸発器VZ3A/VZ3Bは、好ましくは、反応性精留に必要な総エネルギーの50%超、特に75%超を導入するように配置および/または構成されている。
【0100】
反応塔RR/反応塔RRが中間蒸発器VZ3AまたはVZ3Bを有する場合、反応塔RR/RRが、中間蒸発器の下方に1~50個の理論トレイを有し、かつ中間蒸発器の上方に1~200個の理論トレイを有するように中間蒸発器が配置されていると、さらに有利である。反応塔RR/RRが、中間蒸発器の下方に2~10個の理論トレイを有し、かつ中間蒸発器の上方に20~50個の理論トレイを有すると、特に好ましい。
【0101】
また、反応塔RR/反応塔RRが中間蒸発器VZ3A/VZ3Bを有する場合、粗生成物RP/RPを中間蒸発器VZ3A/VZ3Bに供給する副流取出部(すなわち、反応塔RRの「抜き取り点ERRA」/反応塔RRの「抜き取り点ERRB」)と、中間蒸発器VZ3A/VZ3Bからの蒸発した粗生成物RP/RPをそれぞれの反応塔RR/RRに送り返す副流供給部(すなわち、反応塔RRの「抜き取り点ZRRA」/反応塔RRの「抜き取り点ZRRB」)とが、反応塔RR/反応塔RRの同じ段の間に配置されていると有利である。しかしながら、副流取出部および副流供給部を異なる高さで配置することも可能である。
【0102】
好ましい実施形態では、RR/RRにおいて中間蒸発器VZ3A/VZ3Bを使用する場合、中間蒸発器RR/RRの上方の反応塔RR/RRの直径は、中間蒸発器VZ3A/VZ3Bの下方の反応塔RR/RRの直径よりも大きい。これには、資本的支出を節約できるという利点がある。
【0103】
そのような中間蒸発器VZ3A/VZ3B内で、反応塔RR中に存在する、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む液体粗生成物RP、または反応塔RR中に存在する、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む液体粗生成物RPを、気体状態に変換するか、またはすでに気体状態にある場合はさらに加熱して、このようにして、本発明による方法におけるステップ(a1)/(a2)による反応の効率を改善することができる。
【0104】
1つ以上の中間蒸発器VZ3Aを反応塔RRの上部領域に配置するか、または1つ以上の中間蒸発器VZ3Bを反応塔RRの上部領域に配置することによって、反応塔RR/RRの下部領域の寸法を縮小することが可能になる。少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の中間蒸発器VZ3A/VZ3Bを有する実施形態では、反応塔RR/RRの上部領域に液体形態のROHの副流を供給することも可能である。
【0105】
本発明によると、底部蒸発器は、反応塔RR/RRの底部に配置されており、「VS3A」および「VS3B」と呼ばれる。反応塔RR/RR内に存在する底部生成物流SAP/SBPをそのような底部蒸発器に通過させ、ROHを少なくとも部分的にそこから除去して、SAPと比較して高い質量分率のMORを有する底部生成物流SAP*を得ること/SBPと比較して高い質量分率のMORを有する底部生成物流SBP*を得ることができる。
【0106】
本発明による方法のステップ(a1)では、ROHとMORとを含む底部生成物流SAPを反応塔RRの下端で抜き取る。
【0107】
反応塔RRが少なくとも1つの底部蒸発器VS3Aを備えると好ましく、これに底部生成物流SAPを少なくとも部分的に通過させ、ROHを少なくとも部分的に除去し、このようにして、SAPと比較して高い質量分率のMORを有する底部生成物流SAP*を生成する。
【0108】
底部生成物流SAP*中のMORの質量分率は、特に、底部生成物流SAP中のMORの質量分率と比較して、少なくとも1%、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、さらにより好ましくは10%以上、それよりもさらにより好ましくは20%以上、それよりもさらにより好ましくは30%以上、それよりもさらにより好ましくは40%以上、それよりもさらにより好ましくは50%以上、それよりもさらにより好ましくは100%以上、それよりもさらにより好ましくは150%以上高くなっている。
【0109】
APは、または底部生成物流SAPを少なくとも部分的に通過させてROHを少なくとも部分的に除去する少なくとも1つの底部蒸発器VS3Aが使用される場合にはSAP*は、ROH中のMORの質量分率が、いずれの場合も、SAP/SAP*の総質量に基づいて、1重量%~50重量%、好ましくは5重量%~32重量%、より好ましくは15重量%~32重量%、最も好ましくは30重量%~32重量%の範囲にあると好ましい。
【0110】
AP/SAP*中の残留水の質量分率は、SAP/SAP*の総質量に基づいて、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満である。
【0111】
AP/SAP*中の反応物MOHの質量分率は、SAP/SAP*の総質量に基づいて、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満である。
【0112】
4.2 本発明による方法のステップ(a2)(任意選択)
本発明によると、ステップ(a2)は、実施されるか、または実施されない。本発明による方法のステップ(a1)と同時に、かつこれとは空間的に分離して進行する任意選択的なステップ(a2)では、ROHを含む反応物流SBE1を、向流において、圧力p3Bおよび温度T3Bで、反応性精留塔RR内で、MOHを含む反応物流SBE2と反応させて、MORと、水と、ROHと、MOHとを含む粗生成物RPを生成する。
【0113】
本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)では、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPをRRの下端で抜き取る。水とROHとを含む蒸気流SBBをRRの上端で抜き取る。
【0114】
は、ナトリウム、カリウムから選択され、好ましくはカリウムである。
【0115】
反応物流SBE1はROHを含む。好ましい実施形態では、反応物流SBE1の総質量に基づくSBE1中のROHの質量分率は、95重量%以上、さらにより好ましくは99重量%以上であり、SBE1は、他には、特に水を含む。
【0116】
本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)で反応物流SBE1として使用されるアルコールROHはまた、反応物流SBE1の総質量に基づいて99.8重量%超の質量分率のアルコールと、反応物流SBE1の総質量に基づいて最大0.2重量%の質量分率の水とを有する市販のアルコールであり得る。
【0117】
反応物流SBE1は、好ましくは蒸気形態で導入される。
【0118】
反応物流SBE2はMOHを含む。好ましい実施形態では、SBE2は、MOHのみならず、水、ROHから選択される少なくとも1つのさらなる化合物も含む。SBE2がMOHに加えて水を含み、したがって、SBE2がMOHの水溶液であると、さらにより好ましい。
【0119】
反応物流SBE2がMOHおよび水を含む場合、反応物流SBE2の総重量に基づくMOHの質量分率は、特に10重量%~55重量%、好ましくは15重量%~54重量%、より好ましくは30重量%~53重量%、特に好ましくは45重量%~52重量%の範囲、最も好ましくは50重量%である。
【0120】
反応物流SBE2がMOHおよびROHを含む場合、反応物流SBE2の総重量に基づくMOHの質量分率は、特に10重量%~55重量%、好ましくは15重量%~54重量%、より好ましくは30重量%~53重量%、特に好ましくは45重量%~52重量%の範囲にある。
【0121】
反応物流SBE2がMOHに加えて水およびROHの両方を含む特定の場合には、反応物流SBE2の総重量に基づくMOHの質量分率が、特に10重量%~55重量%、好ましくは15重量%~54重量%、より好ましくは30重量%~53重量%、特に好ましくは45重量%~52重量%の範囲にあると特に好ましい。
【0122】
本発明による方法のステップ(a2)は、反応性精留塔(または「反応塔」)RR内で実施される。反応塔RRの好ましい実施形態は、第4.1項に記載されている。
【0123】
本発明によると、「ROHを含む反応物流SBE1とMOHを含む反応物流SBE2との向流での反応」は、特に、任意選択的なステップ(a2)で、ROHを含む反応物流SBE1の少なくとも一部分の供給点が、MOHを含む反応物流SBE2の供給点の下方で反応塔RRに配置される結果として達成される。
【0124】
反応塔RRは、好ましくは、反応物流SBE1の供給点と反応物流SBE2の供給点との間に、少なくとも2個、特に15~40個の理論段を備える。
【0125】
反応塔RRは、好ましくは、純粋なストリッピング塔として操作される。したがって、ROHを含む反応物流SBE1は、特に、反応塔RRの下部領域に蒸気形態で供給される。本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)は、ROHを含む反応物流SBE1の一部分を、水酸化ナトリウム水溶液MOHを含む反応物流SBE2の供給点の下方で、それでいて、それでも反応塔RRの上端または上端領域で、蒸気形態で導入する場合も包含する。これによって、反応塔RRの下部領域の寸法を縮小することができる。ROH、特にメタノールを含む反応物流SBE1の一部分を、反応塔RRの上端または上端領域で、特に蒸気形態で添加する場合、特に10重量%~70重量%、好ましくは30重量%~50重量%(いずれの場合も、任意選択的なステップ(a2)で用いられるアルコールROHの総量に基づく)だけの画分を、反応塔RRの下端で供給し、残りの画分は、単一の流れにおいて蒸気形態で添加するか、またはMOHを含む反応物流SBE2の供給点の下方で、複数の副流、好ましくは1~10個の理論トレイ、特に好ましくは1~3個の理論トレイに分割する。
【0126】
次いで、反応塔RR内で、ROHを含む反応物流SBE1を、上記の反応<1>に従って、MOHを含む反応物流SBE2と反応させて、MORおよびHOを生成し、ここで、これらの生成物は、平衡反応に関係するため、反応物ROHおよびMOHと混合して存在している。したがって、生成物MORおよび水のみならずROHおよびMOHも含有する粗生成物RPが、本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)において、反応塔RR内で得られる。
【0127】
次いで、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPが得られ、RRの下端で抜き取られる。
【0128】
ここで「水とROHとを含む蒸気流SBB」と呼ばれる含水アルコール流は、RRの上端で、好ましくはRRの頂部で抜き取られる。
【0129】
水とROHとを含むこの蒸気流SBBは、本発明による方法のステップ(b)に供給される。該流は、本発明による方法のステップ(b)に供給される前にSABと混合されるか、または混合されず、すなわち、SABとは別に本発明による方法のステップ(b)に供給される。蒸気流SBBは、好ましくは、SABと混合され、次いで、得られた混合蒸気流が、本発明による方法のステップ(b)に導入される。
【0130】
反応物流SBE1に含まれるアルコールROHの量は、好ましくは、これが、底部生成物流SBP中に存在するアルカリ金属アルコキシドMORのための溶媒として同時に機能するように選択される。反応物流SBE1中のアルコールROHの量は、好ましくは、反応塔の底部で、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPとして抜き取られるアルカリ金属アルコキシド溶液の所望の濃度を達成するように選択される。
【0131】
本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)の好ましい実施形態では、特に、SBE2がMOHに加えて水も含む場合には、ステップ(a2)において反応物流SBE2として用いられるMOHの総重量(質量;単位:kg)に対するステップ(a2)において反応物流SBE1として用いられるアルコールROHの総重量(質量;単位:kg)の比率が、1:1~50:1、より好ましくは5:1~48:1、さらにより好ましくは9:1~35:1、それよりもさらにより好ましくは10:1~30:1、それよりもさらにより好ましくは13:1~22:1、最も好ましくは14:1である。
【0132】
反応塔RRは、還流ありまたはなしで、好ましくは還流なしで操作される。
【0133】
「還流なし」とは、水とROHとを含む、RRの上端で抜き取られた蒸気流SBBが、ステップ(b)によって精留塔RDに完全に供給されることを意味する。水とROHとを含む蒸気流SBBは、好ましくは、蒸気形態で精留塔RDに供給される。
【0134】
「還流あり」とは、ステップ(a2)においてそれぞれの塔である反応塔RRの上端で抜き取られた、水とROHとを含む蒸気流SBBが、完全に排出されないこと、すなわち、ステップ(b)において第1の精留塔RDに完全に供給されるのではなく、少なくとも部分的に、好ましくは部分的に、それぞれの塔、すなわち、ステップ(a2)の反応塔RRに還流として再循環させられることを意味する。そのような還流が確立されている場合、還流比率は、好ましくは0.05~0.99、より好ましくは0.1~0.9、さらにより好ましくは0.11~0.34、特に好ましくは0.14~0.27、非常に特に好ましくは0.17~0.24である。還流は、ステップ(a2)のそれぞれの塔である反応塔RRの頂部で、蒸気流SBBを少なくとも部分的に凝縮させてステップ(a2)のそれぞれの塔である反応塔RRに送り返す凝縮器KRRBを取り付けることによって確立され得る。
【0135】
還流が反応塔RRで確立されている実施形態では、反応物流SBE2として任意選択的なステップ(a2)で用いられるアルコールMOHもまた、少なくとも部分的に、好ましくは部分的に還流の流れと混合し、得られた混合物をこのようにしてステップ(a2)に供給することができる。
【0136】
本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)は、特に、25℃~200℃の範囲、好ましくは45℃~150℃の範囲、より好ましくは47℃~120℃の範囲、より好ましくは60℃~110℃の範囲の温度T3Bで実施される。
【0137】
本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)は、特に、0.5bar~40bar、好ましくは0.75bar~5barの範囲、より好ましくは1bar~2barの範囲、より好ましくは1bar~1.8barの範囲、さらにより好ましくは1.1bar~1.6barの圧力p3Bで実施される。圧力p3Bを確立する際、p>p3Bであることが本発明の本質的な特徴である。特に、p3B>pの場合も同様である。
【0138】
好ましい実施形態では、反応塔RRは、特に中間蒸発器VZおよび底部蒸発器VSから選択される、少なくとも1つの蒸発器を備える。反応塔RRは、特に好ましくは、少なくとも1つの底部蒸発器VS3Bを備える。
【0139】
本発明による方法の任意選択的なステップ(a2)では、ROHとMORとを含む底部生成物流SBPを反応塔RRの下端で抜き取る。
【0140】
反応塔RRが少なくとも1つの底部蒸発器VS3Bを備えると好ましく、次いでこれに底部生成物流SBPを少なくとも部分的に通過させ、ROHを少なくとも部分的に除去し、このようにして、SBPと比較して高い質量分率のMORを有する底部生成物流SBP*を生成する。
【0141】
底部生成物流SBP*中のMORの質量分率は、特に、底部生成物流SBP中のMORの質量分率と比較して、少なくとも1%、好ましくは2%以上、より好ましくは5%以上、さらにより好ましくは10%以上、それよりもさらにより好ましくは20%以上、それよりもさらにより好ましくは30%以上、それよりもさらにより好ましくは40%以上、それよりもさらにより好ましくは50%以上、それよりもさらにより好ましくは100%以上、それよりもさらにより好ましくは150%以上高くなっている。
【0142】
BPは、または底部生成物流SBPを少なくとも部分的に通過させてROHを少なくとも部分的に除去する少なくとも1つの底部蒸発器VS3Bが使用される場合にはSBP*は、ROH中のMORの質量分率が、いずれの場合も、SBP/SBP*の総質量に基づいて、1重量%~50重量%、好ましくは5重量%~32重量%、より好ましくは10重量%~32重量%、最も好ましくは15重量%~30重量%の範囲にあると好ましい。
【0143】
BP/SBP*中の残留水の質量分率は、SBP/SBP*の総質量に基づいて、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満である。
【0144】
BP/SBP*中の反応物MOHの質量分率は、SBP/SBP*の総質量に基づいて、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満である。
【0145】
ステップ(a2)も実施される本方法の実施形態では、底部生成物流SAPを少なくとも部分的に底部蒸発器VS3Aに通過させ、ROHを少なくとも部分的にSAPから除去して、SAPと比較して高い質量分率のMORを有する底部生成物流SAP*を生成すると、かつ/または好ましくは、底部生成物流SBPを少なくとも部分的に底部蒸発器VS3Bに通過させ、ROHを少なくとも部分的にSBPから除去して、SBPと比較して高い質量分率のMORを有する底部生成物流SBP*を生成すると好ましい。
【0146】
ステップ(a2)が実施される本発明の実施形態では、本発明による方法のステップ(a2)は、ステップ(a1)と同時に、かつこれとは空間的に分離して実施される。空間的分離は、2つの反応塔RRおよびRR内でステップ(a1)および(a2)を実施することによって確実になる。
【0147】
本発明の有利な実施形態において、反応塔RRおよびRRは、1つの塔シェル内に収容されており、塔は、少なくとも1つの仕切り壁によって少なくとも部分的に細分されている。本発明によると、少なくとも1つの仕切り壁を有するそのような塔は、「DWC」と呼ばれる。そのような仕切り壁塔は、当業者によく知られており、例えば、米国特許第2,295,256号明細書、欧州特許出願公開第0122367号明細書、欧州特許出願公開第0126288号明細書、国際公開第2010/097318号およびI. Dejanovic, Lj. Matijasevic, Z. Olujic, Chemical Engineering and Processing 2010, 49, 559-580に記載されている。本発明による方法に適した仕切り壁塔において、仕切り壁は、好ましくは塔床まで延在しており、特に、塔の高さの、好ましくは少なくとも4分の1、より好ましくは少なくとも3分の1、さらにより好ましくは少なくとも2分の1、さらにより好ましくは少なくとも3分の2、それよりもさらにより好ましくは少なくとも4分の3に及ぶ。仕切り壁は、塔を少なくとも2つの反応空間に分割し、そこで空間的に分離した反応を実行することができる。少なくとも1つの仕切り壁によって形成される反応空間は、同一または異なるサイズであり得る。
【0148】
この実施形態では、底部生成物流SAPおよびSBPを、仕切り壁によって分離されたそれぞれの領域で別々に抜き取り、好ましくは、少なくとも1つの反応壁によって形成された各反応空間に取り付けられた底部蒸発器VS3A/VS3Bに通過させて、そこでROHをSAP/SBPから少なくとも部分的に除去して、SAP*/SBP*を生成することができる。
【0149】
4.3 本発明による方法のステップ(b)
本発明による方法のステップ(b)では、蒸気流SAB、およびステップ(a2)が実施される場合はSABと混合してまたはSABとは別に蒸気流SBBを、第1の精留塔RDに送り、精留塔RD内で、水およびROHを含む混合物GRD1を得る。
【0150】
ステップ(a2)が実施される本発明による方法の任意選択的な実施形態では、蒸気流SBBを好ましくはSABと混合し、次いで、得られた混合蒸気SABBを精留塔RDに導入する。
【0151】
本発明の一実施形態(p3A<p/p3B<pの場合)では、蒸気流SAB、および任意選択的なステップ(a2)が実施される場合は蒸気流SBBを、これらを精留塔RDに送る前に圧縮してもよい。これは、圧縮機VD31を介して行われ得る。しかしながら、p3A>pおよびp3B>pである本発明の実施形態では、圧縮機VD31を設けることは必要ではなく、次いで、その提供、したがってそれに必要な電気エネルギーを節約することが可能である。
【0152】
任意選択的なステップ(a2)が実施され、SBBがSABとは別に精留塔RDに導入される実施形態でさえ、SABおよびSBBを精留塔RD内で混合にかけると、結果として、水およびROHを含む混合物GRD1が、ステップ(b)の実施後に、第1の精留塔RD内で常に得られると理解されるであろう。
【0153】
当業者に公知の任意の所望の精留塔を、本発明による方法のステップ(b)で精留塔RDとして用いることができる。精留塔RDは、好ましくは内部構造物を含む。適切な内部構造物は、例えば、トレイ、非構造化充填物、または構造化充填物である。トレイとしては、通常、バブルキャップトレイ、シーブトレイ、バルブトレイ、トンネルトレイ、またはスリットトレイが使用される。非構造化充填物は、通常、ランダム充填要素の床である。通常使用されるランダム充填要素は、ラシヒリング、ポールリング、ベルルサドル、またはIntalox(登録商標)サドルである。構造化充填物は、例えば、SulzerからMellapack(登録商標)の商標名で販売されている。上記の内部構造物とは別に、さらなる適切な内部構造物が当業者に公知であり、同様に使用することができる。
【0154】
好ましい内部構造物は、理論段あたりの比圧力損失が低い。構造化充填物およびランダム充填要素は、例えば、理論段あたりの圧力損失がトレイよりも大幅に低くなっている。これには、精留塔内の圧力損失が可能な限り低く保たれ、したがって、圧縮機の機械的動力および蒸発させるべきアルコール/水の混合物GRD1の温度が低いままであるという利点がある。
【0155】
精留塔RDが構造化充填物または非構造化充填物を含む場合、これらは、分割されていても、または途切れのない充填物の形態にあってもよい。しかしながら、典型的には、少なくとも2つの充填物が設けられ、一方の充填物は、蒸気流SABの供給点/2つの蒸気流SABおよびSBBの供給点の上方にあり、もう1つの充填物は、蒸気流SABの供給点/2つの蒸気流SABおよびSBBの供給点/混合蒸気SABBの供給点の下方にある。非構造化充填物、例えばランダム充填物が使用される場合、ランダム充填要素は、典型的には、適切なシーブトレイまたはメッシュトレイ上に配置されている。
【0156】
本発明による方法のステップ(b)の最後に、水およびROHを含む混合物GRD1が、最終的に精留塔RD内で得られる。混合物GRD1の組成は、特に蒸気流SABの組成に由来し、ステップ(a2)が実施される場合は、特に2つの蒸気流SABおよびSBBの組成に部分的に由来する。
【0157】
4.4 本発明による方法のステップ(c)
本発明による方法のステップ(c)では、水およびROHを含む混合物GRD1を、第1の精留塔RD内で、圧力pおよび温度Tで、RDの上端(頂部)のROHを含む蒸気流SRDB1と、RDの下端(底部)の水およびROHを含む底部流SRDS1とに分離する。
【0158】
ただし、p>pであることを除いて、RDにおける圧力pは、当業者によって当技術分野の知識に従って選択することができる。好ましくは、圧力pは、1bar~20bar、好ましくは1bar~15bar、より好ましくは1~10bar、さらにより好ましくは1.00~3.00bar、さらにより好ましくは1.00~2.00bar、さらにより好ましくは1.10~1.50barの範囲にあり、同時にp>pである。
【0159】
RDにおける温度Tは、当業者によって当技術分野の知識に従って選択することができる。好ましくは、温度Tは、40℃~220℃、好ましくは60℃~190℃の範囲にある。
【0160】
好ましい実施形態では、p3A>pであり、ステップ(a2)が実施される場合は、さらにp3B>pである。この確立された圧力の結果として、この方法の総エネルギー需要は、驚くべきことに、p3A<p/p3B<pである実施形態と比較して最小限に抑えられる。
【0161】
本発明による方法のステップ(c)による分離は、当業者に公知であるように、アルコール/水の混合物GRD1の蒸留分離である。
【0162】
精留塔RDの下端(「底部」とも言う)において、アルコールROHをなおも含む底部流SRDS1が得られる。SRDS1は、SRDS1の総質量に基づいて、特に0.005重量%~95重量%、好ましくは25重量%~95重量%の質量分率のROHを含む。SRDS1は、好ましくは、アルコールROHに加えて本質的に水を含む。
【0163】
本発明の好ましい実施形態では、SRDB1を、反応性精留塔RR内で反応物流SAE1として少なくとも部分的に用い、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に反応性精留塔RR内で反応物流SBE1として用いる。
【0164】
また、精留塔RDの頂部では、ROHを含む蒸気流SRDB1も得られる。この蒸気流SRDB1中のROHの好ましい質量分率は、いずれの場合も、SRDB1の総質量に基づいて、99重量%以上、好ましくは99.6重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上であり、残りは、特に水である。
【0165】
ステップ(c)では、ステップ(a1)、またはステップ(a1)および(a2)で得られた、蒸気SAB、またはSABおよびSBBを蒸留分離にかける。これらの蒸気は、本質的にアルコールROHおよび水を含む。特に、SAB、またはSABおよびSBBはそれぞれ、ROHの質量分率が、(SAB、またはSABおよびSBBの総質量に基づいて)好ましくは80重量%超、より好ましくは85重量%超、さらにより好ましくは90重量%超の範囲にある、水/アルコールの混合物である。したがって、特にGRD1もまた、ROHの質量分率が、(GRD1の総質量に基づいて)好ましくは80重量%超、より好ましくは95重量%超、さらにより好ましくは90重量%超の範囲にある、アルコール/水の混合物である。
【0166】
4.5 本発明による方法のステップ(d)
本発明による方法のステップ(d)では、底部流SRDS1を、完全または部分的に、好ましくは部分的に第2の精留塔RDに送る。
【0167】
これによって、第2の精留塔RD内で、水およびROHを含む混合物GRD2が得られる。
【0168】
RDS1が部分的にRDに送られる本発明の実施形態では、これは、特に、第1の精留塔RDから排出された底部流SRDS1の第1の一部分であるSRDS11が第2の精留塔RDに送られるように、かつ第1の精留塔RDから排出された底部流SRDS1の第2の一部分であるSRDS12が第1の精留塔RDに再循環させられるように実施される。エネルギーがSRDS12に伝達されるとさらにより好ましく、SRDS12が加熱されるとそれよりもさらにより好ましい。SRDS12は、RDに再循環させられると、RD内でGRD1と混合にかけられ、このようにして、ステップ(c)によるGRD1の分離のためのエネルギーをもたらす。
【0169】
本発明による方法のステップ(d)のこの好ましい実施形態では、SRDS12に対するSRDS11の質量(kg)の比が、9:1~1:9、さらにより好ましくは4:1~1:4、さらにより好ましくは7:3~3:7、さらにより好ましくは3:2~2:3の範囲、さらにより好ましくは1:1であると、さらにより好ましい。
【0170】
本発明による方法のステップ(d)のこの好ましい実施形態では、流れSRDS12にエネルギーを供給することが可能である。好ましい実施形態では、これは、流れSRDS12が、エネルギーをSRDB2または別の熱伝達媒体からSRDS12に伝達する底部蒸発器VSRD1に通過させられると達成される。このエネルギー伝達は、SRDS12、およびSRDB2/SRDS12、および熱伝達媒体が底部蒸発器VSRD1に通過させられると有利に行われ得る。反応塔RRへのSRDS12の再循環後に、SRDS12はエネルギーをGRD1に伝達する。
【0171】
当業者に公知の任意の所望の精留塔を、本発明による方法のステップ(d)で精留塔RDとして用いることができる。精留塔RDは、好ましくは内部構造物を含む。適切な内部構造物は、例えば、トレイ、非構造化充填物、または構造化充填物である。トレイとしては、通常、バブルキャップトレイ、シーブトレイ、バルブトレイ、トンネルトレイ、またはスリットトレイが使用される。非構造化充填物は、通常、ランダム充填要素の床である。通常使用されるランダム充填要素は、ラシヒリング、ポールリング、ベルルサドル、またはIntalox(登録商標)サドルである。構造化充填物は、例えば、SulzerからMellapack(登録商標)の商標名で販売されている。上記の内部構造物とは別に、さらなる適切な内部構造物が当業者に公知であり、同様に使用することができる。
【0172】
好ましい内部構造物は、理論段あたりの比圧力損失が低い。構造化充填物およびランダム充填要素は、例えば、理論段あたりの圧力損失がトレイよりも大幅に低くなっている。これには、精留塔RD内の圧力損失が可能な限り低く保たれ、したがって、圧縮機の機械的動力および蒸発させるべきアルコール/水の混合物GRD2の温度が低いままであるという利点がある。
【0173】
精留塔RDが構造化充填物または非構造化充填物を含む場合、これらは、分割されていても、または途切れのない充填物の形態にあってもよい。しかしながら、典型的には、少なくとも2つの充填物が設けられ、一方の充填物は、流れSRDS1の供給点/SRDS1の一部分、特にSRDS12の上方にあり、もう1つの充填物は、関連する供給点の下方にある。非構造化充填物、例えばランダム充填物が使用される場合、ランダム充填要素は、典型的には、適切なシーブトレイまたはメッシュトレイ上に置かれている。
【0174】
RDS1/RDに送られる、好ましくはSRDS12であるSRDS1の一部分は、少なくとも部分的に液体である。
【0175】
したがって、本発明によるとRDが最高圧力(p>p;p>p3A;p>p3B)であるため、この流れを、液体圧縮機またはポンプPを介してRDに通過させることがさらに好ましい。
【0176】
本発明による方法のステップ(d)の最後に、水およびROHを含む混合物GRD2が、最終的に精留塔RD内で得られる。混合物GRD2の組成は、特に、流れSRDS1/RDに送られた流れSRDS1の一部分、好ましくはSRDS12の組成に由来する。
【0177】
4.6 本発明による方法のステップ(e)
本発明による方法のステップ(e)では、水およびROHを含む混合物GRD2を、圧力pおよび温度Tで、RDの頂部のROHを含む蒸気流SRDB2と、RDの底部の水および任意選択的にROHを含む底部流SRDS2とに分離する。
【0178】
ただし、p>pであることを除いて、RDにおける圧力pは、当業者によって当技術分野の知識に従って選択することができる。好ましくは、圧力pは、1bar~20bar、好ましくは1bar~15bar、より好ましくは1~10bar、さらにより好ましくは3.00bar~9.00bar、さらにより好ましくは3.20~8.90barの範囲にあり、同時にp>pである。
【0179】
RDにおける温度Tは、当業者によって当技術分野の知識に従って選択することができる。好ましくは、温度Tは、40℃~220℃、好ましくは60℃~190℃の範囲にある。
【0180】
本発明による方法のステップ(e)による分離は、当業者に公知であるように、アルコール/水の混合物GRD2の蒸留分離である。
【0181】
精留塔RDの底部で得られるのは、SRDS2の総質量に基づいて1重量%未満のアルコールを含み得る流れSRDS2である。
【0182】
また、精留塔RDの頂部では、ROHを含む蒸気流SRDB2も得られる。この蒸気流SRDB2中のROHの好ましい質量分率は、いずれの場合も、SRDB2の総質量に基づいて、99重量%以上、好ましくは99.6重量%以上、より好ましくは99.9重量%以上であり、残りは、特に水である。
【0183】
本発明の好ましい実施形態では、SRDB2を、反応性精留塔RR内で反応物流SAE1として少なくとも部分的に用い、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に反応性精留塔RR内で反応物流SBE1として用いる。
【0184】
ステップ(e)では、ステップ(d)で完全または部分的に第2の精留塔RDに送られた流れSRDS1、好ましくは一部分であるSRDS12を蒸留分離にかける。
【0185】
4.7 特徴となる機能としての圧力管理
本発明による方法は、精留塔RDの操作(ステップ(c))および精留塔RDの操作(ステップ(e))中に特定の圧力比が確立されることを特徴とする。
【0186】
したがって、p>p、p>p3Aであり、ステップ(a2)が実施される場合はp>p3Bである。
【0187】
驚くべきことに、これらの圧力を維持することによって、外部から供給される電気エネルギーの需要を最小限に抑え、この方法に必要なエネルギーの大部分を加熱蒸気で賄うことができると見出された。
【0188】
さらに、圧力が、p3A>pとなるように、ステップ(a2)が実施される場合はp3B>pとなるように確立されると、さらにより有利である。そのようにして圧力p3Aおよびp3Bを確立すると、p3A<p/p3B<pの場合と比較して、必要な総エネルギー需要が削減される。
【0189】
4.8 特徴となるステップ(f):S RDB2 からG RD1 へのエネルギー伝達
圧力レジームに加えて特徴となる本発明による方法のステップ(f)は、エネルギーをSRDB2から第1の精留塔RD内の混合物GRD1に伝達することである。
【0190】
本発明によると、「エネルギー伝達」は、特に「熱伝達」を意味すると理解されるべきである。
【0191】
このステップ(f)および本発明による圧力レジームは、通常であれば散逸するであろうエネルギーの特に有利な統合を可能にし、それによって、電流の代わりに低エネルギーの加熱蒸気を使用することで、この方法のエネルギー需要の特に大きな部分を賄うことが可能になる。これによって、本発明による方法が特にエネルギー効率の良いものになる。
【0192】
本発明によると、SRDB2からRD内のGRD1へのエネルギーの伝達は、当業者によく知られている様々な手法で行うことができ、好ましくは、例えば熱交換体WTを介して、RD内のGRD1をSRDB2によって加熱することを含む。
【0193】
本発明によると、ステップ(f)では、エネルギーは、特に、直接的または間接的に、好ましくは直接的に、SRDB2からRD内のGRD1に伝達される。
【0194】
4.8.1 SRDB2からRD内のGRD1への直接的なエネルギー伝達
本発明によると、「SRDB2からRD内のGRD1への直接的なエネルギー伝達」は、GRD1をSRDB2と混合にかけることなくGRD1をSRDB2と接触させるように、SRDB2によるRD内のGRD1のエネルギー伝達、好ましくは加熱を行い、このようにして、SRDB2からGRD1にエネルギーを伝達することを意味する。しかしながら、本発明によると、直接的なエネルギー伝達の場合は、SRDB2をSと混合にかけることなく、SRDB2によるRDから排出された流れSのエネルギー伝達、好ましくは加熱を行い、このようにして、SRDB2からSにエネルギーを伝達し、次いで、SをRDに戻し、そこで、これをRD内のGRD1と混合にかけ、このようにして、SRDB2から吸収されたエネルギーをRD内のGRD1に伝達する場合も含むと理解されるべきである。
【0195】
本発明の特定の実施形態では、Sは、SRDS12、SRDX1からなる群から選択される。
【0196】
混合なしでの接触は、当業者に公知の方法によって、例えば、特に熱交換体WT、好ましくは凝縮器K、または特に底部蒸発器VSおよび中間蒸発器VZから選択される蒸発器V内での、金属、プラスチックなどから作製された仕切り壁を介した接触によって達成される。
【0197】
本発明によると、SRDB2から第1の精留塔RD内の混合物GRD1への直接的なエネルギー伝達は、ステップ(α-i)、(α-ii)、(α-iii)のうちの少なくとも1つによって実施されると好ましく、より好ましくは、ステップ(α-i)、(α-ii)のうちの少なくとも1つによって実施される。
【0198】
(α-i) RDから排出された底部流SRDS1の第1の一部分であるSRDS11を第2の精留塔RDに送り、エネルギーを、好ましくは熱交換体WTを介して、SRDB2から、RDから排出された底部流SRDS1の第2の一部分であるSRDS12に伝達し、次いで、SRDS12をRDに再循環させる。このステップ(α-i)はまた、エネルギーを、SRDB2から、好ましくは熱交換体WTを介して、底部流SRDS1全体に最初に伝達し、次いで、底部流SRDS1のみをSRDS11およびSRDS12に分割し、次いで、SRDS11をRDに送り、SRDS12をRDに再循環させる、実施形態も含む。
【0199】
(α-ii) ROHと水とを含む、SRDB1およびSRDS1とは異なる少なくとも1つの流れSRDX1をRDから排出し、次いで、エネルギーを、SRDB2からSRDX1に、好ましくは熱交換体WTを介して伝達し、SRDX1をRDに再循環させる。
【0200】
RDX1を、RDにおいて蒸気流SRDB1の下方で抜き取ると好ましい。次いで、SRDX1は、底部流SRDX1S、中間流SRDX1Zから特に選択される。
【0201】
底部流SRDX1Sは、RDにおける抜き取り点がSRDS1の抜き取り点と同じ高さまたはその下方にある流である。次いで、SRDX1Sを、熱交換体WT、特に底部蒸発器VSに通過させ、その内部で、エネルギーをSRDB2からSRDX1Sに伝達することができる。
【0202】
中間流SRDX1Zは、RDの抜き取り点がSRDB1およびSRDS1の抜き取り点の間にある流である。次いで、SRDX1Zを、RDから排出し、熱交換体WT、特に中間蒸発器VZに通過させ、その内部で、エネルギーをSRDB2からSRDX1Zに伝達することができる。
【0203】
(α-iii) SRDB2をRDに通過させ、このようにして、SRDB2からGRD1に、好ましくは熱交換体WTを介して、エネルギーを伝達する。そのような実施形態は、例えば、SRDB2を、表面SRDB2によってRD内のGRD1にエネルギーが伝達される導管に通して精留塔RDに通過させると実現することができる。
【0204】
4.8.1 SRDB2からRD内のGRD1への間接的なエネルギー伝達
本発明によると、「SRDB2からRD内のGRD1への間接的なエネルギー伝達」は、GRD1をSRDB2と直接的に接触させるのではなく、SRDB2からRD内のGRD1へのエネルギー伝達中にSRDB2およびRD内のGRD1のどちらとも混合にかけられない、GRD1およびSRDB2とは異なる、少なくとも1つのさらなる、好ましくは正確に1つのさらなる熱伝達媒体Wを用いるように、SRDB2によるGRD1のエネルギー伝達、好ましくは加熱をRD内で行うことを意味する。エネルギーは、SRDB2および少なくとも1つの熱伝達媒体Wを混合にかけることなく、SRDB2から少なくとも1つの熱伝達媒体Wに伝達され、次いで、少なくとも1つの熱伝達媒体WおよびGRD1を混合にかけることなく、少なくとも1つの熱伝達媒体WからRD内のGRD1に伝達される。
【0205】
本発明によると、間接的なエネルギー伝達の場合は、SRDB2および少なくとも1つの熱伝達媒体Wを混合にかけることなく、エネルギーを、SRDB2から少なくとも1つの、好ましくは正確に1つの熱伝達媒体Wに伝達し、続いて、少なくとも1つの熱伝達媒体WをSと混合にかけることなく、少なくとも1つの熱伝達媒体WによるRDから放出された流れSのエネルギー伝達、好ましくは加熱を行い、このようにして、少なくとも1つの熱伝達媒体WからSにエネルギーを伝達し、次いで、SをRDに再循環させ、そこで、これをRD内のGRD1と混合にかけ、このようにして、SRDB2によって吸収されたエネルギーを、少なくとも1つの熱伝達媒体Wを介してRD内のGRD1に伝達する場合も含むと理解されるべきである。
【0206】
本発明の特定の実施形態では、Sは、SRDS12、SRDX1からなる群から選択される。
【0207】
「少なくとも1つの熱伝達媒体W」は、Wのエネルギーを、GRD1およびSRDB2とは異なる1つ以上のさらなる熱伝達媒体W、W、W、Wなどに最初に伝達し、「W」と呼ばれる、これらの熱伝達媒体の最後のものを、RD内のGRD1と接触させて、このようにして、WおよびGRD1を混合にかけることなく、エネルギー、好ましくは熱をWからGRD1に伝達する場合を含む。エネルギー、好ましくは熱を、同様に、WおよびSを混合にかけることなく、Wから、RDから排出された流れSに伝達し、続いて、SをRDに再循環させることができ、そこで、これは、RD内のGRD1と混合にかけられ、このようにして、Wによって吸収されたエネルギーがRD内のGRD1に伝達される。
【0208】
記載されている接触は、それぞれの場合で、熱交換体WT、好ましくは、凝縮器K、または特に底部蒸発器VSおよび中間蒸発器VZから選択される蒸発器V内で実施されることが好ましい。
【0209】
本発明によると、SRDB2から第1の精留塔RD内の混合物GRD1への間接的なエネルギー伝達は、ステップ(β-i)、(β-ii)、(β-iii)のうちの少なくとも1つによって実施されると好ましく、より好ましくは、ステップ(β-i)、(β-ii)のうちの少なくとも1つによって実施される。
【0210】
(β-i) RDから排出された底部流SRDS1の第1の一部分であるSRDS11を第2の精留塔RDに送り、RDから排出された底部流SRDS1の第2の一部分であるSRDS12をRDに再循環させる。エネルギーを、SRDB2からSRDS12とは異なる少なくとも1つの、好ましくは正確に1つの熱伝達媒体Wi1に伝達し、次いで、少なくとも1つの熱伝達媒体Wi1からSRDS12に伝達し、次いで、SRDS12をRDに再循環させる。このステップ(β-i)はまた、エネルギーを、SRDS12とは異なる少なくとも1つの、好ましくは正確に1つの熱伝達媒体Wi1から、好ましくは熱交換体WTを介して、底部流SRDS1全体に最初に伝達し、次いで、底部流SRDS1のみをSRDS11およびSRDS12に分割し、次いで、SRDS11をRDに送り、SRDS12をRDに再循環させる、実施形態も含む。
【0211】
(β-ii) ROHと水とを含む、SRDB1およびSRDS1とは異なる少なくとも1つの流れSRDX1をRDから排出する。エネルギーを、SRDB2から、SRDX1とは異なる少なくとも1つの、好ましくは正確に1つの熱伝達媒体Wii1に、好ましくは熱交換体WTを介して伝達し、次いで、少なくとも1つの熱伝達媒体Wii1からSRDX1に伝達し、次いで、SRDX1をRDに再循環させる。
【0212】
RDX1は、RDにおいて蒸気流SRDB1の下方で抜き取られると好ましい。次いで、SRDX1は、底部流SRDX1S、中間流SRDX1Zから特に選択される。
【0213】
底部流SRDX1Sは、RDの抜き取り点がSRDS1の抜き取り点と同じ高さまたはその下方にある流である。次いで、SRDX1Sを、熱交換体WT、特に底部蒸発器VSに通過させ、その内部で、エネルギーをSRDB2からSRDX1Sに伝達することができる。
【0214】
中間流SRDX1Zは、RDの抜き取り点がSRDB1およびSRDS1の抜き取り点の間にある流である。次いで、SRDX1Zを、RDから排出し、熱交換体WT、特に中間蒸発器VZに通過させ、その内部で、エネルギーをSRDB2からSRDX1Zに伝達することができる。
【0215】
(β-iii) エネルギーを、SRDB2からGRD1とは異なる少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1に伝達し、次いで、少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1をRDに通過させ、このようにして、エネルギーを少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1からGRD1に伝達する。
【0216】
そのような実施形態は、例えば、少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1を、表面によって少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1からRD内のGRD1にエネルギーが伝達される導管に通して精留塔RDに通過させると実現することができる。
【0217】
用いることが可能な熱伝達媒体W、W、W、W、W/少なくとも1つの熱伝達媒体Wi1/少なくとも1つの熱伝達媒体Wii1/少なくとも1つの熱伝達媒体Wiii1は、当業者に公知の任意の熱伝達媒体を含む。そのような熱伝達媒体は、好ましくは、水;アルコール-水の溶液;イオン液体も含む塩-水の溶液、例えばLiBr溶液など、ジアルキルイミダゾリウム塩、例えば、特にジアルキルイミダゾリウムジアルキルホスフェート;鉱油、例えばディーゼル油など;熱媒油、例えばシリコーン油など;生物学的油、例えばリモネンなど;芳香族炭化水素、例えばジベンジルトルエンなどからなる群から選択される。最も好ましい熱伝達媒体は水である。
【0218】
使用可能な塩-水の溶液は、例えば、独国特許出願公開第102005028451号明細書および国際公開第2006/134015号にも記載されている。
【0219】
4.9 新鮮なアルコールの添加
アルコールROHは、本発明による方法で消費され、したがって、特に連続プロセスモードでは、新鮮なアルコールROHと交換する必要がある。
【0220】
新鮮なアルコールを、特に、精留塔RD、精留塔RD、反応性精留塔RRから選択される塔のうちの少なくとも1つに添加し、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に反応性精留塔RRに添加する。
【0221】
したがって、本発明の好ましい実施形態では、ROHを含む、SAE1およびSBE1とは異なる流れSXE1を、精留塔RD、精留塔RD、反応性精留塔RRから選択される塔のうちの少なくとも1つに添加し、ステップ(a2)が実施される場合、代替的または追加的に反応性精留塔RRに添加する。
【0222】
新鮮なアルコールROHの供給は、特に、ROHを含む反応物流SAE1として、反応塔RRに、またはステップ(a2)が実施される実施形態では、反応塔RRおよびRRに直接的に行われる。
【0223】
本発明による方法では、ROHを含む蒸気流SRDB1を、ステップ(a1)で少なくとも部分的に反応物流SAE1として、かつ任意選択的にステップ(a2)で反応物流SBE1として用いることがさらに好ましい。蒸気流SRDB2は、代替的または追加的に、ステップ(a1)で少なくとも部分的に反応物流SAE1として、かつ任意選択的にステップ(a2)で反応物流SBE1として用いられ得る。
【0224】
RDB1およびSRDB2が、ステップ(a1)で少なくとも部分的に反応物流SAE1として、かつ任意選択的にステップ(a2)で反応物流SBE1として用いられる特に好ましい実施形態では、SRDB1およびSRDB2は、互いに別々に、それぞれの反応性精留塔RR/RRに供給され得るか、または最初に互いに混合され、次いで、それぞれの反応性精留塔RR/RRに供給され得る。SRDB1およびSRDB2は、好ましくは、最初に互いに混合され、次いで、それぞれの反応性精留塔RR/RRに供給される。
【0225】
この好ましい実施形態では、新鮮なアルコールROHが、精留塔RD、RDのうちの1つ、好ましくはRDに添加されると、さらにより好ましい。
【0226】
新鮮なアルコールROHが精留塔RDまたはRDに添加される場合、新鮮なアルコールROHは、好ましくは、それぞれの精留塔の精留部で供給されるか、またはそれぞれの精留塔の頂部で直接的に供給されるかのいずれかである。最適な供給点は、用いられる新鮮なアルコールの水分含有量と、また蒸気流SRDB1/SRDB2中の所望の残留水分含有量とに応じる。用いられるアルコールにおける水の割合が高いほど、かつ蒸気流SRDB1/SRDB2の純度要件が高いほど、精留塔RD/RDの頂部の下方に複数の理論トレイを供給することがより有利になる。精留塔RD/RDの頂部の下方では、最大20個の理論トレイ、特に1~5個の理論トレイが好ましい。
【0227】
新鮮なアルコールROHが精留塔RD/RDに添加される場合、新鮮なアルコールROHは、沸点までの温度で、好ましくは室温で、精留塔RD/RDの頂部に添加される。新鮮なアルコールは、そのために設けられた専用の供給部を有していてもよく、あるいは、精留塔RD/RDの頂部で抜き取られたアルコールの一部分が再循環させられる場合、凝縮後にこれと混合され、精留塔RD/RDに一緒に供給されてもよい。この場合、蒸気流SRDB1/SRDB2から凝縮されたアルコールが収集される凝縮容器に新鮮なアルコールを添加すると、特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0228】
図1】精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明によるものではない方法を示す図である。
図2】アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明によるものではないさらなる方法を示す図である。
図3】反応性精留塔および精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法の一実施形態を示す図である。
図4】精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
図5】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
図6】精留塔の対応する相互接続を伴う、アルカリ金属アルコキシドを製造するための本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
図7図5に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す図である。
図8図6に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す図である。
図9図5に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す図である。
図10図6に記載されているものに対応する、本発明による方法の実施形態を示す図である。
図11図7および図9による実施形態の組み合わせを示す、本発明による方法の実施形態を示す図である。
図12図8および図10の実施形態の組み合わせに対応する、本発明による方法の実施形態を示す図である。
【0229】
5.実施例
5.1 例1(本発明によるものではない)
例1によるセットアップは、図1による二塔相互接続に対応し、p>p3A>pである。
【0230】
5t/hのNaOH水溶液(50重量%)の流れSAE2<3A02>を、25℃で反応塔RR<3A>の頂部に供給する。70.2t/hの蒸気状のメタノール流SAE1<3A01>を、向流において、反応塔RR<3A>の底部の上方で供給する。反応塔RR<3A>を1.6barの圧力p3Aで操作する。塔RR<3A>の底部で、10.8t/hの実質的に水不含の生成物流SAP*<3A08>を抜き取る(メタノール中に入ったナトリウムメトキシド30重量%)。反応塔RR<3A>の蒸発器VS3A<3A06>において、加熱蒸気を使用して約0.7MWの加熱力を導入する。蒸気状のメタノール-水の流れSAB<3A03>を反応塔RR<3A>の頂部で抜き取る。この流れの一部分を、凝縮器KRRA<3A05>を介して反応塔RR<3A>に再循環させ、残りの部分(64.4t/h)を、約4MWの圧縮機出力が必要である圧縮機VD31<10>内で7.1barに圧縮し、第1の精留塔RD<1>に供給する。精留塔RD<1>をp=約7barで操作する。精留塔RD<1>の頂部で、9.5t/hの液状の新鮮なメタノール流を供給し(図1には示されていない)、蒸気状のメタノール流SRDB1<101>を抜き取る。SRDB1<101>の一部分を、凝縮器KRD1<102>を介して塔RD<1>に再循環させる。SRDB1<101>の残りの部分(42.9t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。塔RD<1>の凝縮器KRD1<102>は、同時に第2の精留塔RD<2>の蒸発器VSRD2であり、塔RD<2>に加熱力を供給する。例1による実施形態は、凝縮器KRD1<102>が同時に底部蒸発器VSRD2<204>として用いられる直接接触を利用していた。
【0231】
精留塔RD<1>の底部で排出されるのは、水-メタノールの混合物の液体流SRDS1<103>であり、その一部分であるSRDS12<104>30.9t/hを精留塔RD<2>に送り、流れSRDS1<103>の残りの部分をSRDS11<105>としてRD<1>に再循環させる。精留塔RD<1>の蒸発器VSRD1<106>において、加熱蒸気を介して約5.4MWの加熱力を導入する。
【0232】
精留塔RD<2>を1.1barの圧力pで操作する。精留塔RD<2>の頂部で抜き取られるのは、蒸気状のメタノール流SRDB2<201>である。SRDB2<201>の一部分を、凝縮器KRD2<203>を介して塔RD<2>に再循環させる。SRDB2<201>の残りの部分(27.3t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。この部分の蒸気流SRDB2<201>を、約0.6MWの圧縮機出力が必要である圧縮機VD23<13>内で2barに圧縮する。精留塔RD<2>の底部で排出されるのは、3.7t/hの水の液体流SRDS2<202>(500ppmwのメタノールで汚染されている)である。精留塔RD<2>での蒸発の場合(直接的な熱統合が行われるため、図1に示される底部蒸発器VSRD2<204>の機能は、凝縮器KRD1<102>と共同のものと想定される)、約14.8MWの加熱力を、塔RD<1>との熱統合を介して導入する。
【0233】
RD<1>およびRD<2>の頂部で抜き取られた蒸気状のメタノール流SRDB1<101>およびSRDB2<201>のそれぞれの非再循環部分は、混合され、反応塔RR<3A>の底部に再循環させられる。
【0234】
全体として、この例では、加熱蒸気を介した約6.1MWの加熱力および約4.6MWの電力(圧縮機出力)が必要であり、外部から供給される必要がある。
【0235】
5.2 例2(本発明によるものではない)
例2によるセットアップは、図2による二塔相互接続に対応し、p>p>p3Aである。
【0236】
5t/hのNaOH水溶液(50重量%)の流れSAE2<3A02>を、25℃で反応塔RR<3A>の頂部に供給する。70.2t/hの蒸気状のメタノール流SAE1<3A01>を、向流において、反応塔RR<3A>の底部の上方で供給する。
【0237】
反応塔RR<3A>を1.1barの圧力p3Aで操作する。塔RR<3A>の底部で、10.8t/hの実質的に水不含の生成物流SAP*<3A08>を抜き取る(メタノール中に入ったナトリウムメトキシド30重量%)。反応塔RR<3A>の蒸発器VS3A<3A06>において、加熱蒸気を使用して約0.8MWの加熱力を導入する。蒸気状のメタノール-水の流れSAB<3A03>を反応塔RR<3A>の頂部で抜き取る。この流れの一部分を、凝縮器KRRA<3A05>を介して反応塔RR<3A>に再循環させ、残りの部分(64.4t/h)を、約5.8MWの圧縮機出力が必要である圧縮機VD31<10>内で9barに圧縮し、第1の精留塔RD<1>に供給する。精留塔RD<1>をp=約8.9barで操作する。精留塔RD<1>の頂部で、9.5t/hの液状の新鮮なメタノール流を供給し(図2には示されていない)、蒸気状のメタノール流SRDB1<101>を抜き取る。SRDB1<101>の一部分を、凝縮器KRD1<102>を介して塔RD<1>に再循環させる。SRDB1<101>の残りの部分(42.9t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。塔RD<1>の凝縮器KRD1<102>は、同時に第2の精留塔RD<2>の蒸発器VSRD2<204>であり、塔RD<2>に加熱力を供給する。例2による実施形態は、凝縮器KRD1<102>が同時に底部蒸発器VSRD2<204>として用いられる直接接触を利用していた。
【0238】
精留塔RD<1>の底部で排出されるのは、水-メタノールの混合物の液体流SRDS1<103>であり、その一部分であるSRDS12<104>31.9t/hを精留塔RD<2>に送り、流れSRDS1<103>の残りの部分をSRDS11<105>としてRD<1>に再循環させる。精留塔RD<1>の蒸発器VSRD1<106>において、加熱蒸気を介して約5.2MWの加熱力を導入する。
【0239】
精留塔RD<2>を1.5barの圧力pで操作する。精留塔RD<2>の頂部で抜き取られるのは、蒸気状のメタノール流SRDB2<201>である。SRDB2<201>の一部分を、凝縮器KRD2<203>を介して塔RD<2>に再循環させる。SRDB2<201>の残りの部分(28.2t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。精留塔RD<2>の底部で排出されるのは、3.7t/hの水の液体流SRDS2<202>(500ppmwのメタノールで汚染されている)である。精留塔RD<2>での蒸発の場合(直接的な熱統合が行われるため、図1に示される底部蒸発器VSRD2<204>の機能は、凝縮器KRD1<102>と共同のものと想定される)、約15.9MWの加熱力を、塔RD<1>との熱統合を介して導入する。
【0240】
RD<1>およびRD<2>の頂部で抜き取られた蒸気状のメタノール流SRDB1<101>およびSRDB2<201>のそれぞれの非再循環部分は、混合され、反応塔RR<3A>の底部に再循環させられる。
【0241】
全体として、この例では、加熱蒸気を介した約6.0MWの加熱力および約5.8MWの電力(圧縮機出力)が必要であり、外部から供給される必要がある。
【0242】
5.3 例3(本発明)
例3によるセットアップは、図3による二塔相互接続に対応し、p>p>p3Aである。図3に示されている抜き取り点<111>で抜き取られる流れSRDX1<112>を含む中間蒸発器VZRD1<107>も同様に、例3によるセットアップでは省略されている。凝縮器KRD2<203>は、同時に底部蒸発器VSRD1<106>でもある。新鮮なメタノール流SXE1<205>は、図3では精留塔RD<2>に供給されているが、例3によるセットアップではRD<1>に供給されている。
【0243】
5t/hのNaOH水溶液(50重量%)の流れSAE2<3A02>を、25℃で反応塔RR<3A>の頂部に供給する。70.2t/hの蒸気状のメタノール流SAE1<3A01>を、向流において、反応塔RR<3A>の底部の上方で供給する。反応塔RR<3A>を1.1barの圧力p3Aで操作する。塔RR<3A>の底部で、10.8t/hの実質的に水不含の生成物流SAP*<3A08>を抜き取る(メタノール中に入ったナトリウムメトキシド30重量%)。反応塔RR<3A>の蒸発器VS3A<3A06>において、加熱蒸気を使用して約1.4MWの加熱力を導入する。蒸気状のメタノール-水の流れSAB<3A03>を反応塔RR<3A>の頂部で抜き取る。この流れの一部分を、凝縮器KRRA<3A05>を介して反応塔RR<3A>に再循環させ、残りの部分(64.4t/h)を、約1.1MWの圧縮機出力が必要である圧縮機VD31<10>内で1.7barに圧縮し、第1の精留塔RD<1>に供給する。精留塔RD<1>をp=約1.5barで操作する。精留塔RD<1>の頂部で、9.5t/hの液状の新鮮なメタノール流SXE1<205>を供給し(図3の精留塔RD<2>の頂部に示されている)、蒸気状のメタノール流SRDB1<101>を抜き取る。SRDB1<101>の一部分を、凝縮器KRD1<102>を介して塔RD<1>に再循環させる。SRDB1<101>の残りの部分(56.8t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。例3による実施形態は、凝縮器KRD2<203>が同時に底部蒸発器VSRD1<106>として用いられる直接接触を利用していた。
【0244】
精留塔RD<1>の底部で排出されるのは、水-メタノールの混合物の液体流SRDS1<103>であり、その一部分であるSRDS12<104>17t/hを精留塔RD<2>に送り、流れSRDS1<103>の残りの部分をSRDS11<105>としてRD<1>に再循環させる。
【0245】
排出された流れSRDS12<104>の圧力をポンプP<15>内で9barに増加させ、流れSRDS12<104>を第2の精留塔RD<2>に供給する。精留塔RD<2>を8.9barの圧力pで操作する。同時に塔RD<1>の蒸発器である、塔RD<2>の凝縮器KRD2<203>において、塔RD<1>のために約8.2MWの加熱力を供給する。精留塔RD<2>の頂部で抜き取られるのは、蒸気状のメタノール流SRDB2<201>である。SRDB2<201>の一部分を、凝縮器KRD2<203>を介して塔RD<2>に再循環させる。SRDB2<201>の残りの部分(13.4t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。精留塔RD<2>の底部で排出されるのは、3.7t/hの水の液体流(500ppmwのメタノールで汚染されている)である。精留塔RD<2>の蒸発器VSRD2<204>において、加熱蒸気を使用して約12.9MWの加熱力を導入する。
【0246】
RD<1>およびRD<2>の頂部で抜き取られた蒸気状のメタノール流SRDB1<101>およびSRDB2<201>のそれぞれの非再循環部分は、混合され、減圧され、反応塔RR<3A>の底部に再循環させられる。
【0247】
全体として、この例では、加熱蒸気を介した約14.3MWの加熱力および約1.1MWの電力(圧縮機出力)が必要であり、外部から供給される必要がある。
【0248】
したがって、本発明によるものではない例1による実施形態と比較して、この変形例は、外部から供給すべき必要な圧縮機出力(電気エネルギー)の約75%を節約する。
【0249】
5.4 例4(本発明)
例4によるセットアップは、図4による二塔相互接続に対応し、p>p3A>pである。図4に示されている抜き取り点<111>で抜き取られる流れSRDX1<112>を含む中間蒸発器VZRD1<107>も同様に、例4によるセットアップでは省略されている。凝縮器KRD2<203>は、同時に底部蒸発器VSRD1<106>でもある。新鮮なメタノール流SXE1<205>は、図4では精留塔RD<2>に供給されているが、例4によるセットアップではRD<1>に供給されている。
【0250】
5t/hのNaOH水溶液(50重量%)の流れSAE2<3A02>を、25℃で反応塔RR<3A>の頂部に供給する。70.2t/hの蒸気状のメタノール流SAE1<3A01>を、向流において、反応塔RR<3A>の底部の上方で供給する。反応塔RR<3A>を1.6barの圧力p3Aで操作する。塔RR<3A>の底部で、10.8t/hの実質的に水不含の生成物流SAP*<3A08>を抜き取る(メタノール中に入ったナトリウムメトキシド30重量%)。反応塔RR<3A>の蒸発器VS3A<3A06>において、加熱蒸気を使用して約0.8MWの加熱力を導入する。蒸気状のメタノール-水の流れSAB<3A03>を反応塔RR<3A>の頂部で抜き取る。この流れの一部分を、凝縮器KRRA<3A05>を介して反応塔RR<3A>に再循環させ、残りの部分(64.4t/h)を第1の精留塔RD<1>に供給する。精留塔RD<1>をp=約1.1barで操作する。精留塔RD<1>の頂部で、9.5t/hの液状の新鮮なメタノール流SXE1<205>を供給し(図4の精留塔RD<2>の頂部に示されている)、蒸気状のメタノール流SRDB1<101>を抜き取る。
【0251】
RDB1<101>の一部分を、凝縮器KRD1<102>を介して塔RD<1>に再循環させる。SRDB1<101>の残りの部分(55t/h)を、約1.2MWの圧縮機出力が必要である圧縮機VD13<16>内で2barに圧縮し、反応塔RR<3A>に供給する。精留塔RD<1>の底部で排出されるのは、水-メタノールの混合物の液体流SRDS1<103>であり、その一部分であるSRDS12<104>18.9t/hを精留塔RD<2>に送り、流れSRDS1<103>の残りの部分をSRDS11<105>としてRD<1>に再循環させる。
【0252】
排出された流れSRDS12<104>の圧力をポンプP<15>内で3.4barに増加させ、この流れを第2の精留塔RD<2>に供給する。精留塔RD<2>を3.2barの圧力pで操作する。同時に塔RD<1>の蒸発器である、塔RD<2>の凝縮器KRD2<203>において、塔RD<1>のために約6.3MWの加熱力を供給する。精留塔RD<2>の頂部で抜き取られるのは、蒸気状のメタノール流SRDB2<201>である。SRDB2<201>の一部分を、凝縮器KRD2<203>を介して塔RD<2>に再循環させる。SRDB2<201>の残りの部分(15.2t/h)を反応塔RR<3A>に供給する。精留塔RD<2>の底部で排出されるのは、3.7t/hの水の液体流(500ppmwのメタノールで汚染されている)である。精留塔RD<2>の蒸発器VSRD2<204>において、加熱蒸気を使用して約11.4MWの加熱力を導入する。
【0253】
RD<1>およびRD<2>の頂部で抜き取られた蒸気状のメタノール流SRDB1<101>およびSRDB2<201>のそれぞれの非再循環部分は、混合され、反応塔RR<3A>の底部に再循環させられる。
【0254】
全体として、この例では、加熱蒸気を介した約12.2MWの加熱力および約1.2MWの電力(圧縮機出力)が必要であり、外部から供給される必要がある。
【0255】
したがって、本発明によるものではない例2による実施形態と比較して、この変形例は、外部から供給すべき必要な圧縮機出力(電気エネルギー)の約79%を節約する。
【0256】
5.5 結果
本発明の例および本発明によるものではない例におけるエネルギー需要を賄うために必要な加熱蒸気および電流の割合の比較によって、本発明の方法が、驚くべきことに、エネルギー需要の大部分を加熱蒸気で賄い、電気エネルギーで供給すべき出力の割合を最小限に抑えることを可能にすることが明らかとなる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12