(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】魚類の集まりに有利な資源増殖礁及び増殖方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/70 20170101AFI20231228BHJP
【FI】
A01K61/70
(21)【出願番号】P 2022126127
(22)【出願日】2022-08-08
【審査請求日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】202110921846.9
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522316308
【氏名又は名称】江蘇省淡水水産研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】劉 燕山
(72)【発明者】
【氏名】唐 晟凱
(72)【発明者】
【氏名】李 大命
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲トン▼晴
(72)【発明者】
【氏名】劉 国興
(72)【発明者】
【氏名】鐘 立強
(72)【発明者】
【氏名】趙 沐子
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209120996(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106135075(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105900890(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107926803(CN,A)
【文献】特開平03-266924(JP,A)
【文献】特開2019-004862(JP,A)
【文献】特開2006-246868(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091731(JP,U)
【文献】実開昭57-100864(JP,U)
【文献】特開2002-165564(JP,A)
【文献】特開昭49-024789(JP,A)
【文献】特開2002-045078(JP,A)
【文献】特開平10-295214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0249384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
礁本体ユニットと、撮影ユニットと、誘引部材とを含み、
前記撮影ユニットは前記礁本体ユニットの側壁の表面及び/又は上部に設けられ、それぞれ側壁撮影部材と上部撮影部材であり、前記上部撮影部材は弾性接続部材を介して前記礁本体ユニットに設けられ、前記誘引部材は前記礁本体ユニットに設けられ、前記誘引部材は前記撮影ユニットの撮影領域内に設けられる、ことを特徴とする
漁業資源増殖礁。
【請求項2】
前記弾性接続部材は第1接続ベースと第1伸縮部材とから構成され、
前記上部撮影部材の底面側に設置した上部撮影部材側の第1ベースと、前記礁本体ユニットの上面に設置した礁本体ユニット側の第1ベースとの間を、前記第1伸縮部材で接続することにより、前記上部撮影部材を水流に対して安定的に弾性支持する
ことを特徴とする請求項1に記載の
漁業資源増殖礁。
【請求項3】
前記礁本体ユニットの上部に支持ユニット
を有し、
前記支持ユニットは上に位置する板状の第1面と、下に位置する板状の第2面とを有し、
前記弾性接続部材は第2接続ベースと第2伸縮部材とをさらに備える構成において、
前記第1面の上面には前記
礁本体ユニット側の第1ベースを備えると共に、
前記第1の底面側に設置した第1面側の第2ベースと、前記第2面の上面に設置した第2面側の第2ベースとの間を、前記第2伸縮部材で接続することにより、前記第1面及び前記上部撮影部材を弾性支持する
ことを特徴とする請求項2に記載の
漁業資源増殖礁。
【請求項4】
前記上部撮影部材の光反射面が、水域の上方に向かって設けられ、水平面に対して傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載の
漁業資源増殖礁。
【請求項5】
前記礁本体ユニットには、ケーブルを介して接続された浮き玉が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の
漁業資源増殖礁。
【請求項6】
請求項1ないし5に記載の漁業資源増殖礁を製造するステップ(1)と、
ステップ(1)で製造された前記漁業資源増殖礁を、栄養不足水域又は浅水域である水域に入れるステップ(2)と、
前記漁業資源増殖礁の資源増殖効果を、ダイビングして観察するか又は監視カメラを利用することによって観察するステップ(3)とを含む、ことを特徴とする
漁業資源増殖礁に基づく増殖方法。
【請求項7】
前記撮影ユニットの表面には
鏡面が設けられる、ことを特徴とする請求項
6に記載の増殖方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類資源増殖の技術分野に属し、具体的には、魚類の集まりに有利な資源増殖礁及び増殖方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湖や河などの淡水の水域は海洋の水域と比べて深さが浅く、水域条件も明らかに違い、異なる水域中の魚類の生活行為には違いがある。魚類は側線による水流の感知以外に、その視覚、聴覚、嗅覚、味覚、丘状受容器の触覚などは光照射と生息地の底質の色の選択に影響を与え、魚類の穴居性、回遊習性、昼夜活動リズムなどの行動学的特徴にも影響を与える。群れることは魚類生物の中でよく見られる行為であり、魚類が群れる行為習性は魚類間の交流と繁殖を増進し、採食効率を高め、天敵に対抗する能力を増強し、捕食される確率を下げることができる。生物学者の観測によると、魚類の80%が群遊特性を持ち、特に小型魚類はほぼ100%が群遊特性を持つことが指摘されている。また、魚が低速で泳いでいる場合には、すれ違い追従の形をとることが多いことが報告されている。
【0003】
河や湖の水域での漁業資源の回復に対して、回復方式は海洋漁業資源の回復方式をそのまま模倣することができず、特定の水域、生物群などに対して的確な改善を行う必要があってこそ、河や湖の水域など、淡水水域の資源回復に対する切実な需要を満たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術に存在する欠陥を解決するために、本発明は魚類の集まりに有利な資源増殖礁及び増殖方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明で提供される技術案に係る生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁は、礁本体ユニットと、撮影ユニットと、誘引部材とを含み、前記撮影ユニットは前記礁本体ユニットの側壁の表面及び/又は上部に設けられ、それぞれ側壁撮影部材と上部撮影部材であり、前記上部撮影部材は弾性接続部材を介して前記礁本体ユニットに設けられ、前記誘引部材は前記礁本体ユニットに設けられ、前記誘引部材は前記撮影ユニットの撮影領域内に設けられる。
【0006】
好ましくは、前記弾性接続部材は第1接続ベースと、第1伸縮部材とを含み、前記第1接続ベースは少なくとも2つ設けられ、一方は前記上部撮影部材の表面に固定して接続され、他方は前記礁本体ユニットの上面に接続され、前記第1伸縮部材の両端はそれぞれ2つの前記第1接続ベースに固定して接続される。
【0007】
好ましくは、前記礁本体ユニットの上部に支持ユニットが設けられ、前記支持ユニットは第1面と、第2面とを有し、前記第1面と第2面との間にキャビティが形成される。
【0008】
好ましくは、前記弾性接続部材は第2接続ベースと、第2伸縮部材とをさらに含み、前記第2接続ベース、前記第2伸縮部材は全て前記キャビティ内に設けられ、かつ相互接続され、前記第1面の上方に前記第1接続ベースが設けられ、前記第1面の下方に前記第2接続ベースが設けられ、前記第2面の上には前記第2接続ベースが設けられる。
【0009】
好ましくは、前記上部撮影部材の光反射面が、水域の上方に向かって設けられ、水平面に対して傾斜している。
【0010】
好ましくは、前記礁本体ユニットには、ケーブルを介して接続された浮き玉が設けられる。
【0011】
本発明の別の態様としては、本発明は、生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁を製造するステップ(1)と、ステップ(1)で製造された前記漁業資源増殖礁を栄養不足水域又は浅水域である水域に入れるステップ(2)と、前記漁業資源増殖礁の資源増殖効果を、ダイビングして観察するか又は監視カメラを利用することによって観察するステップ(3)とを含む、生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁に基づく増殖方法を提供する。
【0012】
好ましくは、前記撮影ユニットの表面には、比表面積が小さい鏡面が設けられる。
【0013】
好ましくは、前記礁本体ユニットには貫通孔が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は次の通りである。
【0015】
1)上部光反射面が水平面に対して傾斜していることによって、水に入射された光の経路が変わり、中上層での光の伝播が促進され、光への植物プランクトンの利用率が高まり、水中の溶存酸素が増加し、餌生物の生物量が増加し、この分布が調整される。
【0016】
2)水の動きに伴い、上部光反射面には水の上層にある魚類などの動的な映像が表示されるとともに、側壁の光反射面には誘引ユニットの動的な映像が示され、これにより、魚類などの生物は、すれ違い追従をしたり採食のために水層を越えて同層の水から増殖礁付近に至って遊泳、採食又は繁殖をしたりすることに有利であり、礁の生態学的役割がより効率的に発揮される。
【0017】
3)光反射面又は鏡面がより光滑であり、比表面積が小さいので、増殖礁のうち生物が付着され得る付着領域が減少し、付着生物による礁の機能や構造の変化が遅くなり、礁の生態学的効果の保持時間が延ばされ、また、セメントなどの材料の使用量が減少し、従来の礁による水のpHへの影響が改善される。
【0018】
4)海洋に入れた従来の人工魚礁に比べて、該増殖礁は、体積が小さく、大型船を必要としないので施工しやすく、浅水域や生物量の少ない浄水域に適しており、淡水湖や川などの水域により適している。
【0019】
5)従来の漁業資源増殖監視方法に比べて、本発明は、礁内の生物の増殖状況をリアルタイムで観察することができ、資源生物量、種類や集まりを監視する領域外では、各時刻での資源の回復効果を取得することができ、漁業資源を調査するために多くの多様な基本データを提供し、漁業資源調査作業のスマート化、効率化、高精度化を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の前記生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁全体の概略図である。
【
図2】本発明の前記生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁の上部撮影部材の概略図である。
【
図3】本発明の前記生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁の上部撮影部材全体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明についてさらに説明する。
【0022】
実施例1
図1に示すように、本発明は生物の集まりに有利な漁業資源増殖礁を提供し、該増殖礁は、礁本体ユニット1と、撮影ユニット2と、誘引部材3とを含み、礁本体ユニット1は主要な礁構造であり、撮影ユニット2は映像を表示する役割を果たし、誘引部材3は生物を誘引して近づかせる役割を果たし、撮影ユニット2及び誘引部材3の両方が礁本体ユニット1に設けられて、完全な礁が構成され、誘引部材3は撮影ユニット2の撮影領域内に設けられ、撮影ユニット2は誘引部材1の映像を表示し、誘引部材3及び撮影ユニット2でのその映像によって魚類などの生物を直接且つ間接的に誘引して増殖礁に近づく又は進入するようにし、生態学的役割を効率的に果たし、生物体が近づくと、撮影ユニット2はこの該生物体の映像も表示し、生物の数や生物体の映像が増加することにより生物体が群れ生活のような感じをして、間接的に生活状態が調整され、増殖エリアでの生物体の生息、成長、繁殖に有利である。礁本体ユニット1は一般的な鉄筋コンクリートで製造された礁であってもよく、好ましくは貫通孔11を有する礁、例えば「回」字形礁又はコーン状中空礁であり、撮影ユニット2の表層には光反射面が設けられ、礁本体ユニット1の表面に設けられた鏡面としてもよく、例えば、鉄筋コンクリートの打設において鏡面が鉄筋コンクリートの表面に固定されればよく、誘引部材3は魚形の構造体、擬似餌、模倣魚やソナーなどとしてもよく、撮影ユニット2の撮影領域内の礁本体ユニット1の表面に固定されるか、又はケーブルや釣り糸などを介して礁本体ユニット1の対応する領域に吊り上げられており、さまざまな手段によって生物を誘引して集める。該増殖礁では、撮影ユニット2以外、残りの構造は主に鉄筋コンクリートで製造されたものであり、ヒカゲノカズラ、ヤシの樹皮や人工孵化ブラシなどの材料で製造される産卵付着基質がケーブルを介して鉄筋の端部に接続されてもよく、これにより、礁の表面に所定の粗さを付与し、水中の付着卵に付着場所を提供し、増殖礁による卵保護や増殖の効果を効率的に発揮させ、魚類の生存率を向上させ、漁業資源を回復させる。
【0023】
該増殖礁は浅水域又は生物量の少ない浄水域、栄養不足水域に適しており、水中の浮遊物質の含有量が低いほど好適である。該増殖礁は、体積が小さく、入れられて安定になると、水中で泳いでいる魚類などの生物が誘引部材3及び撮影ユニット2でのその映像により直接且つ間接的に誘引されて増殖礁に近づいたり進入したりし、これは、増殖エリアでの生物の生息、成長、繁殖に有利であり、増殖礁の生態学的価値を効率的に果たす。
【0024】
実施例2
図2に示すように、実施例1に比べて、本実施例では、、撮影ユニット2は礁本体ユニット1の側壁の表面及び/又は上部に設けられ、さまざまな水層で各種の生物に対する増殖や調整を行い、水層を越えた生物の誘引を行う点が異なる。
【0025】
具体的には、礁本体ユニット1の側壁の表面に設けられた撮影ユニット2は側壁撮影部材21であり、中下層であって同層にある魚類生物が礁内部に近づいたり進入したりするようにし、礁本体ユニット1の上部に設けられた撮影ユニット2は上部撮影部材22であり、中上層の光の経路を調整し、水中の溶存酸素や餌生物の生物量を豊富にし、魚類を吸引して水層を越えて泳ぐようにする。
【0026】
側壁撮影部材21だけが設けられる場合、水の動きに伴い、側壁撮影部材21の光反射面には水域の中下層にある魚類などの生物の映像が表示されており、動的な生物体映像により生物体は群れ生活の感じをしており、これは、魚類などの生物のすれ違い追従に有利であり、中下層にある魚類などの生物に対して吸引効果が高く、中下層にある魚類が増殖礁付近に近づいて泳動、採食又は繁殖を行い、これにより、礁の生態学的役割が効率的に果たされる。好適には、側壁撮影部材21は礁本体ユニット1の側壁の外面に設けられ、動的な生物映像を形成し、外部の生物を吸引して礁に近づかせることに有利であり、好適には、誘引部材3は鉄筋を介して礁本体ユニット1の外部であって、側壁撮影部材21の撮影領域内に吊設される。
【0027】
上部撮影部材22だけが設けられる場合、礁の上部にある中上層水へ入射された光の光路が調整され得る。具体的には、上部撮影部材22の光反射面は水域の上方に向かって設けられ、水平面に対して傾斜し、水平面と夾角をなし、光が水に入射されてから上部撮影部材22の光反射面に放射されると、光の反射距離に応じて、水に入射された光の経路が下向きから水平又は上方に向かうように調整され、光の中上層での伝播をより容易とし、光に対する植物プランクトンの利用率を向上させ、水の溶存酸素を増加し、餌生物の生物量を増加させてその分布を調整し、魚類を吸引して水の中上層へ泳ぐようにする。また、水の動きに伴い、上部撮影部材22の光反射面には水の上層にある魚類などの動的な映像が表示され、さらに魚類などがすれ違い追従式の泳動を行い、水の中上層から水の下層や礁の内部に泳ぐ。好適には、上部撮影部材22の光反射面が複数組設けられ、1組ごとに、対称に設けられた上部撮影部材22が2つ設けられ、複数組の上部撮影部材22の光反射面は互いに千鳥状に配置され、このように、射入方向の異なる様々な光の受光が可能になり、植物プランクトンの光利用率が最大化する。
【0028】
好ましくは、撮影ユニット2は礁本体ユニット1の側壁の表面及び上部に設けられ、側壁撮影部材21及び上部撮影部材22となり、上部撮影部材22は水中での光の伝播方式を改良し、光に対する植物プランクトンの利用率を向上させ、水中の溶存酸素を増加させ、餌生物の生物量を向上させてその分布を調整し、魚類などの水生物が中上層に動いで採食することに有利であり、水の動きに伴い、上部撮影部材22においては水域の上層にある魚類などの動的な映像が表示されるとともに、側壁撮影部材21においては中下層にある生物映像が動的に表示され、これは、魚類などの生物のすれ違い追従、又は水層を越えた採食又は同層の水から増殖礁付近に至って泳動、採食又は繁殖を行うことに有利であり、礁の生態学的役割がより効率的に果たされる。
【0029】
さらに、誘引部材3は吊設、吊り上げなどによって礁本体ユニット1の内部、例えば貫通孔11内にも設けられてもよく、この場合、誘引部材3の形状は魚状の形状又は擬似餌の形状であり、魚状の形状の誘引部材3は魚類などの生物を誘引してすれ違い追従式の泳動を行うようにする餌又は擬似餌として機能する。好適には、魚状の形状の誘引部材3が使用される場合、礁本体ユニット1の内部の側壁又は貫通孔11の内壁には、光反射面を有する撮影部材22が設けられておらず、これにより、魚類が生息地や産卵場所を競争するために攻撃行動を起こすことを回避する。
【0030】
実施例3
図2に示すように、上記の実施例に比べて、本実施例では、上部撮影部材22は弾性接続部材4を介して礁本体ユニット1に接続され、これにより、上部撮影部材22は水に入射された光への受光効果を確保するように水の流動や水深の変化に応じて位置調整を行う点が異なる。
【0031】
具体的には、弾性接続部材4は第1接続ベース41と、第1伸縮部材42とを含み、第1接続ベース41と第1伸縮部材42が組み合わせられて、傾斜して設けられた上部撮影部材22を支持する構造を構成し、水平方向の水流状態が変化したときの上部撮影部材22の安定定を向上させ、好適には、第1接続ベース41は2つ設けられ、一方は上部撮影部材22の表面に固定して接続され、他方は礁本体ユニット1の上面に接続され、第1伸縮部材42の両端はそれぞれ2つの第1接続ベース41に固定して接続される。好適には、第1伸縮部材42は上部撮影部材22の表面に垂直となるように設けられ、これにより、上部撮影部材22に対する傾斜支持や動きへの緩衝の効果が果たされる。好ましくは、1つの第1伸縮部材42と2つの第1接続ベース41は1組のサポートとし、上部撮影部材22ごとに2組のサポートが設けられる。上部撮影部材22は組をなして傾斜して設けられるので、それぞれは礁本体ユニット1に接近して第3接続ベース45に共通して設けられてもよく、第3接続ベース45は礁本体ユニット1に固定して設けられる。第1接続ベース41は鉄筋コンクリートで製造された接続ベース又はステンレス鋼接続ベースであってもよく、第1伸縮部材42は一般的な防水性伸縮構造、又は一般的な伸縮構造の外部に防水構造や防水層が設けられることにより製造されたもの、例えば防水層を塗布した又は防水膜を被覆したばね、スライドスロット・スライドロッドやスクリュー構造などであってもよく、固定接続の方式は、打設、一体成形、溶接、ボルト・ナットによる接続などの方式としてもよい。
【0032】
さらに、弾性接続部材4は第2接続ベース43と、第2伸縮部材44とをさらに含み、第2接続ベース43と第2伸縮部材44は組み合わせられて上部撮影部材22を支持する構造を構成し、水の深さが変化した場合に上部撮影部材22が水に入射された光を多く受光するように、上部撮影部材22の水中の深さを調整する。具体的には、第2伸縮部材44の両端はそれぞれ2つの第2接続ベース43に接続されて、伸縮構造を構成し、礁本体ユニット1を安定的に支持するために、該伸縮構造は複数組設けられてもよい。礁本体ユニット1の上部に支持ユニット15が設けられ、支持ユニット15は第1面12と、第2面13とを含み、第1面12と第2面13との間にキャビティMが形成されており、第1面12の上部に第1接続ベース41が設けられ、下部には第2接続ベース43が設けられ、第2面13には第2接続ベース43が設けられ、第2接続ベース43、第2伸縮部材44は全てキャビティM内に設けられ、相互接続され、第2伸縮部材44の伸縮方向が垂直方向であり、これにより、上部撮影部材22の深さ調整が行われる。第2接続ベース43、第2伸縮部材44は防水性能を有する。好ましくは、キャビティMの外周にはPE防水膜14が1周設けられており、PE防水膜14の上端と下端はそれぞれ第1面12、第2面13に固定して接続され、キャビティMを密閉させ、水の侵入を回避し、寿命を延ばす。さらに、密閉させたMは観察領域としてもよく、密閉させたM空間内には監視カメラ16が配置され、第2面13には透明な撮像窓17が設けられてもよく、監視カメラ16自体は電源や信号伝送機能を備え、透明な撮像窓17を介して礁内の生物の集まりや生活の状況を観察し、情報を信号受信端に送信することができ、これにより、漁業資源の回復状況がリアルタイム理で観察、記録される。礁の水中での安定性を確保するために、キャビティMの体積による浮力を適切に制御しなければならず、好ましくは、礁本体ユニット1の水中の重力の五分の一よりも小さくする。
【0033】
さらに、礁本体ユニット1の表面にはケーブル5及び浮き玉6が設けられ、ケーブル5の一端は第1面12に接続されてから、第1接続ベース41、第2接続ベース43又は第3接続ベース45に設けられ、他端は浮き玉6に接続され、浮き玉6が水面上にあるように、ケーブル5の長さは礁を入れる領域の水域の最大深さよりも大きくし、水位が変化した場合、ケーブル5を介して第1面12に印加される力が変わり、第2伸縮部材44が伸縮駆動され、上部撮影部材22の水中での深さが変わり、このように、水深が変化した場合に上部撮影部材22は水に入射された光を多く受光するようにする。
【0034】
本発明は、魚類の集まりに有利な資源増殖礁及び増殖方法を提供し、設計された新型増殖礁は、礁の増殖方式を変化させ、従来の受動増殖を主動増殖に変更し、生物への礁の誘引作用を向上させ、漁業資源生物の成長習性と組み合わせて、礁の領域へ泳いで群れ、生活を行うように生物を誘引し、礁が生態学的役割を発揮する周期を大幅に短縮させる。海洋に入れた従来の人工魚礁と比較して、この増殖礁は、体積が小さく、大型船を必要としないので、施工しやすく、浅水域や生物量の少ない浄水域に適しており、淡水湖や川などの水域により適しており、また、内蔵監視カメラなどにより、漁業資源増殖効果が視覚的かつリアルタイムで取得され、漁業資源増殖の管理のための基本データが提供される。
【0035】
以上は本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明における配置や接続の方式は当該分野によく見られた技術的手段、例えばワイヤー、釣り糸等を用いた縛り、吊り上げなどの方式による接続、及び溶接、一体成形、挿着、嵌合又はバルトによる接続、ヒンジ連結などの方式によって行われてもよい。なお、当業者であれば、本発明の原理を逸脱することなく、さまざまな改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾は本発明の特許範囲に含まれるものとする。