(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】窒化ケイ素によるジルコニア強化アルミナの表面機能化方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/10 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61L27/10
(21)【出願番号】P 2022511396
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2020037170
(87)【国際公開番号】W WO2021034385
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2019-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519324710
【氏名又は名称】シントクス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア、ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボック、ライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】バル、バジャンジット シン
【審査官】井上 政志
(56)【参考文献】
【文献】Bioglassfunctionalization of laser-patterned bioceramic surfaces and their enhanced bioactivity,Heliyon,2018年,Volume 4, issue 12,1-24,e010116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物医学的インプラントの表面を機能化する方法であって、
前記生物医学的インプラントを提供することと、
前記生物医学的インプラントの水濡れ表面上に
、6重量%の酸化イットリウムおよび4重量%の酸化アルミニウムと混合された窒化ケイ素粉末
のみから実質的になる層を塗布することと、
前記窒化ケイ素の層上にレーザをパルスして
、前記生物医学的インプラントの表面全体に渡って前記窒化ケイ素を焼結することと、
焼結された前記窒化ケイ素層が
10μm~
20μmの厚さを有するまで、前記塗布およびパルス工程を繰り返すことと、を含
み、
前記生物医学的インプラントが、アルミナを含む、方法。
【請求項2】
前記生物医学的インプラントが、ジルコニア強化アルミナを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記窒化ケイ素が、β-Si
3N
4である、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザが、1064nmの波長を有するNd:YAGレーザである、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザが、
17kWの公称最大電力、
70Jの最大パルスエネルギー、
400Vの電圧、
2μmのスポットサイズ、および/または
4msのパルス時間を有する、請求項
1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窒化ケイ素による生物医学的インプラントの表面機能化の方法に関する。より具体的には、本開示は、窒化ケイ素で機能化されたジルコニア強化アルミナインプラントを使用して骨形成を促進することに関する。
【背景技術】
【0002】
骨形成中、有機マトリックス(すなわち、主にI型コラーゲン)は、様々な糖タンパク質、遺伝子マーカー、および骨シアロタンパク質を分泌する細胞によって合成される。細胞アパタイト石灰化のための好適な環境は、骨芽細胞アルカリホスファターゼ(ALP)、ピロホスファターゼ活性、およびオステオカルシン産生を伴う細胞外液の局所的過飽和に依存する。ALPは、リン酸基を切断することによってリン酸塩濃度を増加させ、ピロホスファターゼはリン酸切断を阻害するピロリン酸塩を分解し、オステオカルシンはカルシウムに結合する。したがって、組織/インプラント界面での骨形成を促進するように設計された整形外科用インプラントの表面化学は、重要な考慮事項である。セラミック材料は生体不活性と考えられるが、実際には、骨芽細胞活性を刺激または抑制することができる。例えば、窒化ケイ素(Si3N4)インプラントは、材料の表面化学により、骨修復を加速することが知られている。Si3N4表面上のケイ酸および反応性窒素種(RNS)の放出は、骨肉腫および間葉系細胞における骨形成活性を増強する。回収されたSi3N4ヒト頸部融合インプラントの分析により、天然ヒドロキシアパタイトの結晶格子にケイ素および窒素が組み込まれていることが確認された。データはまた、Si3N4表面での加水分解が、骨形成を有利にするSiおよびRNSイオンを放出する一方で、アルミナ(Al2O3)表面は、代わりにAl3+および活性酸素種(ROS)の溶出をもたらすことを示している。Al3+イオンは、ヒドロキシアパタイト結晶形成を遅くし、骨細胞からのカルシウムの流入および流出を変化させることによって、石灰化を阻害する。さらに、ROSの形成は、細胞の正常な抗酸化系の著しい撹乱を伴う細胞における酸化ストレスにつながる。インビボおよびインビトロデータは、Al3+およびROS誘導酸化ストレスが細胞アポトーシスシグナル伝達経路を活性化することを示している。ROSは、細胞タンパク質、脂質、およびDNAに損傷を引き起こす。ROSは、カルシウムおよびその細胞内受容体カルモジュリンの重要な調節経路を標的とする。最終的には、これが骨芽細胞アポトーシスにつながる。これらの特性のため、アルミナベースの整形外科用インプラントは、人工股関節のベアリング等の低摩耗用途に限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、骨形成を促進しながら、Al3+およびROSの溶出を低減または排除するために、代替のバイオセラミックスまたは表面機能化バイオセラミックスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ある態様において、本開示は、生物医学的インプラントの表面を機能化する方法を包含する。この方法は、生物医学的インプラントを提供することと、等距離のパターン化されたウェルのグリッドを生成するためにレーザを生物医学的インプラントの表面に導くことと、パターン化されたウェルを、バイオガラスおよび窒化ケイ素を含む粉末混合物で充填することとを含み得る。窒化ケイ素は、約5mol%~約10mol%で粉末混合物中に存在し得る。いくつかの態様において、生物医学的インプラントは、ジルコニア強化アルミナで作製され、表面は窒化ケイ素で機能化される。いくつかの実施形態において、窒化ケイ素は、α-Si3N4である。いくつかの態様において、生物医学的インプラントは、ジルコニア強化アルミナで作製され、表面は窒化ケイ素で機能化される。一態様において、パターン化されたウェルは、インプラントの表面に延在する二次元特徴であり、パターン化されたウェルの各々は、約1.0mmの間隔で約0.2mm2の断面積を有し得る。いくつかの実施形態において、パターン化されたウェルは、4×4のグリッドであってもよい。バイオガラスは、45重量%のSiO2、24.5重量%のCaO、24.5重量%のNa2O、および6重量%のP2O5を含んでもよい。いくつかの実施形態において、粉末混合物は、5.5重量%~約10.7重量%の窒化ケイ素を含んでもよい。さらなる特徴において、粉末混合物は、5.5重量%~約10.7重量%の窒化ケイ素を含んでもよい。さらに、パターン化されたウェルを充填する方法は、粉末混合物を生物医学的インプラント表面上に押し付けることと、過剰の粉末混合物を除去することとを含んでもよい。さらに別の態様において、方法は、窒素ガス雰囲気中の白金るつぼ中で、バイオガラスと窒化ケイ素との粉末混合物を均質化および溶融することにより、粉末混合物を形成することを含む。別の実施形態において、レーザは、1064nmの波長を有するNd:YAGレーザであってもよく、レーザは、約250nmの集束距離、約17kWの公称最大電力、約70ジュールの破裂エネルギー、約160~500Vの印加電位、および/または約1~20msの放電時間を有してもよい。
【0005】
さらに、生物医学的インプラントの表面を機能化する方法であって、生物医学的インプラントを提供することと、生物医学的インプラントの水濡れ表面上に窒化ケイ素粉末の層を塗布することと、窒化ケイ素の層上にレーザをパルスして窒化ケイ素を焼結することと、焼結された窒化ケイ素層が約10μm~約20μmの厚さを有するまでパルス工程を繰り返すこととを含む方法が本明細書に提供される。一実施形態において、生物医学的インプラントは、ジルコニア強化アルミナを含み、窒化ケイ素は、β-Si3N4であり、窒化ケイ素は、6重量%の酸化イットリウムおよび4重量%の酸化アルミニウムと混合され得る。いくつかの実施形態において、レーザは、1064nmの波長を有するNd:YAGレーザであってもよく、レーザは、約17kWの公称最大電力、約70ジュールの最大パルスエネルギー、約400Vの電圧、約2μmのスポットサイズ、および/または約4msのパルス時間を有してもよい。
【0006】
窒化ケイ素で機能化されたジルコニア強化アルミナインプラント表面を使用して骨形成を促進する方法も本明細書に提供される。一態様において、窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上で骨芽細胞増殖が増加する。別の態様において、粉末混合物中に窒化ケイ素を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上で骨芽細胞増殖が増加する。いくつかの実施形態において、表面機能化生物医学的インプラント上の生体組織の面積被覆率および比体積は、コーティングされていないインプラントのものより少なくとも200%高い。別の実施形態において、窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、石灰化組織が生物医学的インプラント上で増加する。一態様において、窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上の石灰化ヒドロキシアパタイトの増加があってもよい。
【0007】
本発明の他の態様および反復は、以下でより徹底的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は、本発明のいくつかの実施形態を例示し、この説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【
図1A】
図1Aは、ZTA基板上の表面レーザパターン化、ならびにBioglass(登録商標)およびSi
3N
4の粉末混合物によるパターン化されたウェルの充填の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aに示されるプロセスによるウェルのレーザ穿孔中のZTA試料断面の概略図である。
【
図1C】
図1Cは、自動3D付加レーザ焼結手順を使用したマイクロメートル厚のSi
3N
4層の堆積を示す図である。
【
図1D】
図1Dは、
図1Cに示されるプロセス中のSi
3N
4コーティング/レーザ相互作用の断面を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、光学顕微鏡法を使用したZTA表面上のレーザ穿孔ウェルの高倍率画像である。
【
図2B】
図2Bは、レーザトポグラフィを使用したZTA表面上のレーザ穿孔ウェルの高倍率画像である。
【
図2C】
図2Cは、Bioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末を充填した後のウェルの光学画像である。
【
図2D】
図2Dは、Bioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末を充填した後のウェルのレーザ画像である。
【
図3A】
図3Aは、ZTA表面上にパターン化された直径500μmのウェルの4×4のグリッドの光学顕微鏡写真である。
【
図3B】
図3Bは、ZTA表面上にパターン化された直径500μmのウェルの4×4のグリッドのレーザ顕微鏡写真である。
【
図3C】
図3Cは、ウェルの形態の三次元レーザ顕微鏡の特性評価を示す図である。
【
図3D】
図3Dは、Bioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末を充填した後のウェルのグリッドの光学画像である。
【
図3E】
図3Eは、Bioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末を充填した後のウェルのグリッドのレーザ画像である。
【
図4A】
図4Aは、未加工のZTA表面上の蛍光顕微鏡検査結果を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、パターン化されたZTA上の蛍光顕微鏡検査結果を示す図である。
【
図4C】
図4Cは、Bioglass(登録商標)粉末混合物で充填されたパターン化されたZTA表面上の蛍光顕微鏡検査結果を示す図である。
【
図4D】
図4Dは、Bioglass(登録商標)/5重量%Si
3N
4粉末混合物で充填されたパターン化されたZTA上の蛍光顕微鏡検査結果を示す図である。
【
図4E】
図4Eは、Bioglass(登録商標)/10重量%Si
3N
4粉末混合物で充填されたパターン化されたZTA上の蛍光顕微鏡検査の結果を示す図である。試料は、SaOS-2細胞に1週間曝露された。
【
図5】異なる基板上の骨芽細胞によって増殖した生体組織の面積被覆率および比体積の定量的レーザ顕微鏡検査データを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、非パターン化、パターン化、およびパターン化/充填されたZTA試料(標識における試料指定)におけるFTIRの特性評価の結果を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、ZTA基板の種類の関数としての、FTIRスペクトルからのアパタイトおよび有機マトリックスシグナルの間の強度比のプロットである。
【
図7A】
図7Aは、コーティング領域と非コーティング領域との間の界面にわたる部分的にSi
3N
4コーティングされたBIOLOX(登録商標)デルタZTA表面の上面で撮影された光学顕微鏡写真である。
【
図7B】
図7Bは、コーティング領域と非コーティング領域との間の界面にわたる部分的にSi
3N
4コーティングされたBIOLOX(登録商標)デルタZTA表面の上面で撮影されたレーザ顕微鏡写真である。
【
図7C】
図7Cは、ZTA非コーティング側で収集されたラマンスペクトルを示す。
【
図7D】
図7Dは、Si
3N
4コーティング側で収集されたラマンスペクトル7Cを示す。
【
図8A】
図8Aは、生物学的環境におけるSaOS-2骨芽細胞への1週間のインビトロ曝露後の
図7Aに示される同じ領域のSEM画像である。
【
図8B】
図8Bは、生物学的環境におけるSaOS-2骨芽細胞への1週間のインビトロ曝露後の
図7Aに示される同じ領域で収集されたSiのEDSマップである。
【
図8C】
図8Cは、生物学的環境におけるSaOS-2骨芽細胞への1週間のインビトロ曝露後の
図7Aに示される同じ領域で収集されたAlのEDSマップである。
【
図8D】
図8Dは、生物学的環境におけるSaOS-2骨芽細胞への1週間のインビトロ曝露後の
図7Aに示される同じ領域で収集されたCaのEDSマップである。
【
図9A】
図9Aは、BIOLOX(登録商標)デルタZTA表面のSi
3N
4コーティング側の骨芽細胞によって増殖された骨組織の大きな島の光学顕微鏡写真である。
【
図9B】
図9Bは、BIOLOX(登録商標)デルタZTA表面のSi
3N
4コーティング側の骨芽細胞によって増殖された骨組織の大きな島のレーザ顕微鏡写真である。
【
図9C】
図9Cは、同じ骨組織の島の三次元レーザ顕微鏡像である。
【
図9D】
図9Dは、石灰化アパタイトの(PO
4)
3-バンドを含む、Si
3N
4コーティングされたゾーンとZTA非コーティングゾーンとの間の界面の近傍で収集された平均FTIRスペクトルである。
【
図10】Si
3N
4基板と増殖ヒト骨芽細胞との間のRNSベースおよびシラノールベースの化学相互作用(左側)、ならびにBIOLOX(登録商標)デルタZTAとアポトーシス骨芽細胞との間のROSベースおよびアルミノールベースの化学相互作用(右側)の概略図である。Al
3+イオンで修飾されたヒドロキシアパタイトの化学式における正方形のボックスは、Ca空孔を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の様々な実施形態を、以下で詳細に説明する。具体的な実施態様が議論されているが、これは例示のみの目的で行われることが理解されるべきである。当業者は、他の構成要素および構成が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく使用され得ることを認識するであろう。したがって、以下の説明および図面は、例示的なものであり、限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、ある特定の例において、説明が不明瞭となることを避けるため、周知または従来技術の詳細は説明されない。本開示における1つまたはある実施形態への言及は、同じ実施形態または任意の実施形態への言及となり得、そのような言及は、実施形態の少なくとも1つを意味する。
【0010】
「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態において」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すものではなく、また他の実施形態と互いに排他的な別個のまたは代替的な実施形態でもない。さらに、いくつかの実施形態によって示され得るが他の実施形態によっては示され得ない様々な特徴が説明される。
【0011】
本明細書で使用される用語は、概して、当該技術分野における、本開示の文脈内における、および各用語が使用される特定の文脈におけるそれらの通常の意味を有する。代替の言語および同義語は、本明細書で議論される用語のうちの任意の1つ以上に対して使用されてもよく、用語が本明細書で詳述または議論されているかどうかが特別に重視されるべきではない。いくつかの場合では、ある特定の用語の同義語が提供される。1つ以上の同義語の列挙は、他の同義語の使用を排除しない。本明細書で議論される任意の用語の例を含む本明細書の任意の場所における例の使用は例示に過ぎず、本開示または任意の例示的な用語の範囲および意味をさらに制限することを意図しない。同様に、本開示は、本明細書で示される様々な実施形態に限定されない。
【0012】
本開示の追加の特徴および利点は、続く説明に記載され、一部は説明から明白であるか、または本明細書に開示される原理の実践により学ぶことができる。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される器具および組み合わせにより実現および獲得され得る。本開示のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または本明細書に記載の原理の実践によって学ぶことができる。
【0013】
活性細胞骨格タンパク質は、骨芽細胞がその構造的完全性を維持し、合成表面への結合を促進することを可能にする。有機マトリックス(すなわち、主にI型コラーゲン)の合成は、様々な糖タンパク質、遺伝子マーカー、および骨シアロタンパク質を分泌する細胞を必要とし、前石灰化骨マトリックスを下敷きにしてその石灰化を促進する。骨芽細胞が骨組織を合成する際に同時に利用する複数の機能は、環境条件の影響を強く受ける繊細な平衡に従う。細胞によるアパタイト石灰化に有利な環境は、細胞外液の局所的な過飽和にも有利でなければならない。過飽和細胞外環境は、骨芽細胞性アルカリホスファターゼ(ALP)、ピロホスファターゼ活性、およびリン酸塩およびカルシウム濃度を局所的に上昇させるためのオステオカルシン産生の同時増加の結果として発達する。ALPは、リン酸基を切断することによってリン酸塩濃度を増加させ、ピロホスファターゼはリン酸切断を阻害するピロリン酸塩を分解し、オステオカルシンはカルシウムに結合する。細胞が生物学的環境で曝露される合成基板の表面化学は、細胞機能および骨形成を調節する上で重要である。基板表面からのイオン溶出の動態は、細胞によるALP活性およびオステオカルシン産生に大きく影響し得る。したがって、基板化学は、骨吸収病態に対抗し、組織/インプラント界面での骨形成を促進するように調整することができる。
【0014】
上記のように、アルミナを含むバイオセラミックインプラントは、Al
3+およびROSの溶出をもたらす。生化学の観点から、アルミニウムは、リン酸カルシウム結晶の成長を防止することによって、オステオイド石灰化に干渉する。骨の石灰化フロントとの界面におけるアルミニウムの局在は、Al
3+イオンが石灰化の物理化学的阻害剤として作用することを示す。Al
3+カチオンは、アパタイトの構造中でCa
2+に置き換わることができる。しかしながら、それらの存在は、構造を「ロック」し、ヒドロキシアパタイト結晶形成の速度を遅くすることによってさらなる石灰化を阻害すると同時に、骨細胞からのカルシウムの流入および流出も変化させる。
図10は、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)表面(Al
2O
3に富む)とアポトーシス骨芽細胞との間の相互作用を示す。図の対応する上部で明示される、水性環境における細胞/ZTA基板相互作用を統御する非化学量論的式は、Al
3+イオンの溶出およびヒドロキシルアルミノールの形成を示す。前者の種は、Al修飾アパタイト構造について示された化学式に従って、最終的に骨組織の石灰化構造に組み込まれる。Al
2O
3クラスタからヒドロキシル、酸素、およびプロトンラジカルへの電荷の移動を伴う解離性吸着は、H
2Oがその電荷をAl
2O
3クラスタに供与する分子吸着よりもエネルギー的に有利であるため、最も可能性の高い事象を表している。生体分子細胞/基板界面でのROSの結果的な(外因性)発達は、タンパク質および核酸を不可逆的に損傷し、膜脂質の過酸化を引き起こし、最終的に細胞アポトーシスをもたらす可能性がある。したがって、細胞/基板界面における上記の化学的状況は、細胞増殖および明白な骨形成阻害が非機能化ZTA表面上で観察されない理由につながり得る。
【0015】
窒化ケイ素(Si3N4)は、骨の修復を加速する独自の表面化学を有する。Si3N4の表面からのケイ酸および反応性窒素種(RNS)の放出は、細胞分化の初期段階およびその後の骨性アパタイト堆積中の両方で、骨肉腫および間葉系細胞の骨形成活性を増強し得る。元素ケイ素および窒素の両方は、天然のヒドロキシアパタイトの結晶格子に、骨芽細胞によって堆積され得る。これらの異元素は、前駆細胞分化および骨芽細胞活性を刺激し、最終的に骨内部成長の加速をもたらし得る。
【0016】
本明細書では、窒化ケイ素表面機能化生物医学的インプラント、窒化ケイ素(Si3N4)により生物医学的インプラントの表面を機能化する方法、および表面機能化生物医学的インプラントを使用して骨形成を促進する方法が提供される。表面機能化の方法は、(i)表面レーザパターン化およびパターン化されたウェルのバイオガラスおよびSi3N4の粉末混合物による連続充填;ならびに(ii)自動3D付加レーザ焼結手順を使用したマイクロメートル厚Si3N4層の堆積を含む。これらの手順はいずれも、酸化物ZTAセラミックの好ましくないAl3+/ROS表面化学をSi4+/RNSの好ましいものに変える一方で、そのバルク機械的特性を保存することを目的としている。加えて、窒化ケイ素は、生体適合性であり、同時骨形成、骨誘導、骨伝導、および静菌を含む多数の生物医学的用途を提供する独自の表面化学を有する。両方の表面機能化方法のためのZTA材料の骨形成特性がインビトロで試験され、以下の実施例に示すように、表面機能化の前後で得られた結果を比較することによって表面化学に関連付けられた。
【0017】
生物医学的インプラントは、骨に接触する領域または骨付近の領域で患者の体内に植え込まれるように操作可能であってもよい。生物医学的インプラントの非限定的な例は、椎間脊椎インプラント、骨ねじ、脊椎ケージ、整形外科用プレート、ワイヤ、および他の固定デバイス、脊椎、股関節、膝、肩、足首および指骨の関節屈曲デバイス、顔面または他の再生整形手術用のインプラント、中耳インプラント、歯科デバイス等を含む。
【0018】
生物医学的インプラントまたは生物医学的インプラントの一部は、患者に長期間植え込まれるように操作可能な生体適合性材料で作製され得る。いくつかの例において、生物医学的インプラントは、アルミナ、ジルコニア、ジルコニア強化アルミナ(ZTA)等の酸化物セラミック材料から形成されてもよい。少なくとも1つの例において、生物医学的インプラントは、ZTAから形成されたバルクまたはモノリシックインプラントであってもよい。しかしながら、酸化物セラミック表面は、長期間骨組織に直接曝露されるべきではないため、生物医学的インプラントの表面は、レーザおよび窒化ケイ素を使用してさらに機能化され得る。
【0019】
ある実施形態において、生物医学的インプラントの表面機能化は、生物医学的インプラントを提供することと、複数のパターン化されたウェルを生成するためにレーザを生物医学的インプラントの表面に誘導することと、パターン化されたウェルをバイオガラスおよび窒化ケイ素の粉末混合物で充填することとを含み得る。
【0020】
レーザは、等距離のパターン化されたウェルのグリッドを生成するために、生物医学的インプラントの表面に誘導され得る。パターン化されたウェルは、実質的に円筒形状および/または円形、楕円形、正方形、もしく長方形の断面を有してもよく、あるいは、生物医学的インプラントの表面に延在する任意の他の二次元特徴を有してもよい。様々な例において、パターン化されたウェルはそれぞれ、少なくとも約100μm、少なくとも約200μm、少なくとも約300μm、少なくとも約400μm、少なくとも約500μm、少なくとも約600μm、少なくとも約700μm、少なくとも約800μm、または少なくとも約900μmの直径またはサイズを有し得る。少なくとも1つの例において、パターン化されたウェルはそれぞれ、約500μmの直径を有する。他の例において、パターン化されたウェルは、約0.01mm2、約0.1mm2、約0.2mm2、約0.3mm2、約0.4mm2、約0.5mm2、または約0.6mm2の断面積を有し得る。パターン化されたウェルは、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、または約2mmの間隔を有するように、規則的に離間してもよい。少なくとも1つの例において、パターン化されたウェルは、約1mmの間隔を有する。パターン化されたウェルは、グリッドをさらに形成し得る。いくつかの例において、パターン化されたウェルは、4×4のグリッドである。
【0021】
いくつかの例において、レーザは、Nd:YAGレーザであってもよい。レーザは、1064nmの波長、約250mmの集束距離、約17kWの公称最大電力、約70Jの破裂エネルギー、約160~500Vの印加電位、および/または約1~20msの放電時間を有してもよい。
【0022】
次いで、パターン化されたウェルは、バイオガラスおよび窒化ケイ素の粉末混合物で充填され得る。粉末混合物を形成するために、バイオガラスおよび窒化ケイ素の粉末をまず均質化し、窒素ガス雰囲気中の白金のるつぼ中で溶融してもよい。次いで、溶融混合物を急冷してから、急冷した混合物を粉末状に粉砕して粉末混合物を形成してもよい。パターン化されたウェルを充填することは、粉末混合物を生物医学的インプラント表面上に押し付けることと、過剰の粉末混合物を除去することとを含んでもよい。
【0023】
少なくともいくつかの例において、バイオガラスは、45重量%のSiO2、24.5重量%のCaO、24.5重量%のNa2O、および6重量%のP2O5で構成される。いくつかの例において、窒化ケイ素は、α-Si3N4である。
【0024】
いくつかの例において、窒化ケイ素は、粉末混合物中に約5mol%、約6mol%、約7mol%、約8mol%、約9mol%、または約10mol%で存在する。代替として、粉末混合物は、少なくとも約5重量%、少なくとも約5.5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約6.5重量%、少なくとも約7重量%、少なくとも約7.5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約8.5重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約9.5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約10.5重量%、または少なくとも約11重量%の窒化ケイ素を含んでもよい。
【0025】
別の実施形態において、生物医学的インプラントの表面機能化は、生物医学的インプラントを提供することと、生物医学的インプラントの水濡れ表面上に窒化ケイ素粉末の層を塗布することと、窒化ケイ素の層上にレーザをパルスして窒化ケイ素を焼結することと、焼結された窒化ケイ素層が所望の厚さを有するまで、塗布およびパルス工程を繰り返すこととを含んでもよい。
【0026】
この実施形態において、窒化ケイ素は、β-Si3N4であってもよい。いくつかの例において、窒化ケイ素は、約6重量%の酸化イットリウムおよび約4重量%の酸化アルミニウムと混合される。
【0027】
様々な例において、表面上で焼結された窒化ケイ素の所望の厚さは、約10μm、約15μm、または約20μmであってもよい。
【0028】
いくつかの例において、レーザは、Nd:YAGレーザである。レーザは、1064nmの波長、約17kWの公称最大電力、約70Jの最大パルスエネルギー、約400Vの電圧、約2μmのスポットサイズ、および/または約4msのパルス時間を有し得る。
【0029】
本明細書では、骨形成を促進する方法がさらに提供される。方法は、窒化ケイ素表面機能化を有する生物医学的インプラントを組織と接触させることを含んでもよい。いくつかの例において、組織は骨組織である。
【0030】
いくつかの例において、バイオガラス/窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上で骨芽細胞の増殖が増加し得る。他の例において、粉末混合物中に窒化ケイ素を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上で骨芽細胞増殖が増加し得る。いくつかの例において、表面機能化生物医学的インプラント上の生体組織の面積被覆率および比体積は、コーティングされていないインプラントのものよりも少なくとも200%、少なくとも225%、または少なくとも250%高くなり得る。
【0031】
追加の例において、窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上で石灰化組織が増加する。少なくとも1つの例において、窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、生物医学的インプラント上の石灰化ヒドロキシアパタイトの増加がある。
【0032】
驚くべきことに、ZTAの貧弱な骨形成挙動は、本明細書に記載の表面機能化方法によって補正され得る。レーザパターン化およびレーザコーティングは、酸化物表面と骨組織との間の直接接触の欠点を制限することができる2つの異なる製造アプローチを表す。任意の特定の理論に限定されるものではないが、Si
3N
4粉末混合物は、高品質の骨組織の骨芽細胞による合成を刺激することができ、前者は骨マトリックスの石灰化に有利であり、後者は骨マトリックスの細胞増殖および形成を促進する。
図10の左側は、Si
3N
4と極めて活性な骨芽細胞との間の相互作用の概略図を示す。図の対応する上部は、水性環境における細胞/Si
3N
4基板相互作用を統御する非化学量論式のカスケードを明示的に示す。Si
3N
4加水分解後の表面動態は、NH
4
+/NH
3イオンの溶出およびヒドロキシルシラノールの形成を示す。遊離電子の利用可能性は、他のRNSとともに外因性NO(細胞によりさらなる骨芽細胞形成をシグナル伝達するために使用される)の形成とともにアンモニア分子の分解をもたらし、一方でNH
4
+は、栄養素として特定のチャネルを通じて細胞質空間に入る。外因性RNSは、リン酸基を切断することもできるため、リン酸塩濃度を増加させる内因性ALPを支持することに留意されたい。同時に、ケイ酸の存在は骨形成を促進する。
【0033】
Al2O3およびZTA生体材料は、歯科および脊椎融合インプラントの部品として業界で推奨されている。しかしながら、1990年代のAl2O3コーティングされたインプラントの界面化学および過去の臨床経験に基づくと、ZTAセラミック製のインプラントでは長期的持続的骨形成は達成できない可能性がある。ZTA材料が長期的な構造的信頼性のために選択される場合、その表面は、細胞とインプラント表面との間の直接的な接触を回避するために機能化されるべきである。この文脈において、骨形成性ZTAインプラントを生成するためにSi3N4による表面機能化が本明細書で示される。したがって、いくつかの例において、インプラントは、レーザを使用してZTAインプラントの表面を窒化ケイ素粉末で機能化することによって形成されてもよい。
【0034】
SaOS-2細胞の骨形成応答を、(i)Bioglass(登録商標)/Si3N4粉末混合物で充填する前後に円筒形ウェルでパターン化されたZTAセラミック表面、および(ii)レーザ焼結Si3N4でコーティングされたZTA表面上で監視した。機能化基板と未加工ZTA表面との間に、統計学的に有意な差が見出された。この材料の好ましくない表面化学に起因して、未加工ZTA表面で培養された骨芽細胞はアポトーシスを生じる傾向があり、したがって、ZTA表面については、骨形成特性を認識することができなかった。直径および深さの両方が500μmの円筒形ウェルのグリッドを用いたZTA表面の表面パターン化は、それ自体では細胞増殖および骨形成を改善しなかった。Bioglass(登録商標)のみでパターン化ウェルを充填すると、ZTA表面上の石灰化アパタイトの量が増加したが、細胞増殖には影響しなかった。10重量%の画分Si3N4をBioglass(登録商標)混合物に添加することによって、大幅に増強された骨芽細胞増殖およびヒト骨と同様の石灰化/マトリックス比を有する骨組織を得ることができた。焼結したSi3N4の層でZTA表面をコーティングすることは、Si3N4バイオセラミックスの骨形成特性をZTA表面に直接移すことによって、骨形成を大幅に増強した。
【0035】
したがって、ZTAの表面化学は、骨芽細胞に対して不適切であり、骨組織との長期的な直接接触(例えば、歯科用インプラントおよび脊椎関節形成)を必要とするヒト体内のインプラント用途には適していないと見なされるべきである。しかしながら、驚くべきことに、Si3N4またはBioglass(登録商標)およびSi3N4の混合物を使用することによってZTA表面を機能化することで、それはヒト原核細胞に対して生物活性となり適切となる。
【実施例】
【0036】
実施例1:表面機能化手順
ZTA試料(BIOLOX(登録商標)デルタ、CeramTec,GmbH、Plochingen、Germany)を、直径36mmの大腿骨ヘッド(製造年:2014)から機械加工した。低速ダイヤモンドコーティングブレードを使用して試料(3mmの厚さで10×10mm)を切断し、10~20ナノメートル程度の粗度まで細かく研磨した。
【0037】
レーザパターン化手順
ZTA表面のレーザパターン化に使用したデバイスは、Nd:YAGレーザ(波長1064nm)を備えたVision LWI V ERGO-Workstationであった。集束距離、公称最大電力、破裂エネルギーはそれぞれ250mm、17kW、70Jに設定し、印加電位、放電時間はそれぞれ160~500Vおよび1~20msの範囲で調節した。レーザパターン化ワークステーションは、レーザ衝突の場所での酸素の存在を局所的に制限するために、1.2atmでアルゴン源に接続されたガスノズルを備えていた。10μmの精度を有する電動式x-yステージを使用して、試料をレーザ源と整列させ、1.0mmの間隔を有する直径500μmの等距離ウェルの規則的なグリッドを作製した。
【0038】
標準45S5 Bioglass(登録商標)粉末(Mo-Sci Corporation、Rolla、MO、USA)を使用して、パターン化されたウェルを充填した。Bioglass(登録商標)の重量%での組成は、以下のとおりであった。45%のSiO
2、24.5%のCaO、24.5%のNa2O、6%のP
2O
5。Bioglass(登録商標)粉末を5mol%または10mol%のnmサイズのα-Si
3N
4粉末(SN-E10、宇部興産、宇部市、日本)と混合した。5mol%および10mol%(5.51重量%および10.69重量%に対応)のα-Si
3N
4を有するBioglass(登録商標)の粉末混合物を均質化し、窒素ガス雰囲気中の白金るつぼ内で溶融した。急冷後、溶融物を粉砕して微粉末とした。純粋なBioglass(登録商標)、ならびに5重量%および10重量%のSi
3N
4を有するBioglass(登録商標)混合物を使用して、異なるZTA試料のウェルを充填した(充填剤の種類ごとにn=6)。パターン化および粉末供給手順の概略図を
図1Aに示す。パルスレーザビームによるZTA表面上の円筒形ウェルの掘削中の試料断面を
図1Bに示す。
【0039】
レーザ焼結手順
ZTA基板上のSi
3N
4コーティングをレーザ焼結するために使用された出発粉末は、6重量%の酸化イットリウム(Y
2O
3、グレードC、H.C.Starck、Munich、Germany)および4重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3、SA8-DBM、Baikowski/Malakoff、Charlotte、North Carolina)と混合したβ-Si
3N
4(SINTX Co.、Salt Lake City、UT、USA)から構成されていた。ワークステーションおよびNd:YAGレーザは、上述のものと同じであった。Si
3N
4粉末の連続層をZTA試料の水濡れ表面に配置し、パルスレーザを繰り返し衝突させてコーティングを焼結/高密度化した。Si
3N
4コーティング高密度化を達成するために適用された条件は、以下のとおりである:レーザ波長1064nm、最大パルスエネルギー:70ジュール、ピーク電力17kW、電圧範囲400V、パルス時間4ms、スポットサイズ2μm。装置は、Si
3N
4の分解および酸化を制限するために、窒素ガス流の一定の流束下で動作した。この操作を、ZTA基板の表面全体にわたってt=15±5μmの厚さを有する均質なSi
3N
4コーティングを得るまで繰り返した。全体的なレーザ焼結手順の概略図を
図1Cに示す。粉末ベッドからのSi
3N
4コーティングの焼結/高密度化中の試料/レーザ相互作用を、
図1Dの断面に示す。
【0040】
実施例2:表面特性評価の方法
Bioglass(登録商標)/Si3N4粉末混合物を充填する前後のテクスチャ加工ZTA表面の表面形態を、深度選択性を有する高解像度光学画像を可能にする共焦点走査レーザ顕微鏡(レーザ顕微鏡3Dおよびプロファイル測定、キーエンス、VKx200シリーズ、大阪、日本)で特性評価した。すべての画像は20倍の倍率を使用して収集された。走査型電子顕微鏡法(SEM)およびエネルギー分散型X線分光法(EDS)(JSM-700 1F、JEOL、東京、日本)を使用して、Si3N4コーティング基板の高解像度画像および化学組成マップを取得した。
【0041】
高感度分光器(Spectrum 100FT-IR Spotlight400;Perkin-Elmer Inc.、Waltham、MA、USA)を使用して、FTIRスペクトルを得た。この機器の分光分解能は、0.4cm-1であった。8つの独立した測定から、各基板の平均FTIRスペクトルを計算した。ベースライン減算、平滑化、正規化、および生スペクトルのフィッティングを含む生データの前処理は、「R」を使用して実行した。
【0042】
実施例3:細胞培養および生物学的試験
10%ウシ胎仔血清を補充した4.5g/LグルコースDMEM(D-グルコース、L-グルタミン、フェノールレッド、およびピルビン酸ナトリウム;ナカライテスク、京都、日本)中で、SaOS-2ヒト骨肉腫細胞を培養およびインキュベートした。次いで、細胞をペトリ皿中で24時間、37℃で増殖させた。最終細胞濃度を5×105細胞/mlで調整した後、培養細胞を、UV光への曝露によって以前に滅菌されたSi3N4コーティングおよび非コーティングZTA基板(n=3種類)の表面に堆積させた。細胞を骨形成培地(50μg/mLのアスコルビン酸、10mMのβ-グリセロールリン酸、100mMのヒドロコルチゾン、および約10%のウシ胎仔血清を添加したDMEM)に播種し、次いで試料を37℃で7日間インキュベートして、骨導電性試験を実施した。培地は、インキュベーション週中に2回交換した。
【0043】
SaOS-2細胞を4%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、次いでマウス抗ヒトGlaオステオカルシン(タカラバイオ、草津市、日本)およびウサギ抗ヒトオステオポンチン(希釈=1:500)(IBL、前橋市、群馬、日本)の一次抗体で試料を室温で30分間インキュベートすることによって免疫細胞染色を行った。蛍光コンジュゲートおよび二次抗体ヤギ抗マウス抗体FITCコンジュゲート(Bethyl Laboratories、Montgomery、TX、USA)およびヤギ抗ウサギ抗体PEコンジュゲートおよび(1:200)(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)で細胞をインキュベートした。細胞核をHoechst33342(1:100)(同仁堂、熊本市、日本)で染色した。染色した試料を蛍光顕微鏡(BZX710;キーエンス、大阪、日本)下で観察した。基板への1週間の曝露後にSaOS-2細胞によって産生された骨組織の単位面積当たりの体積量を評価するために、3Dレーザ共焦点顕微鏡(OLS4000-SAT;オリンパス株式会社、東京、日本)で共焦点走査レーザ顕微鏡画像を得た。堆積した骨組織中のオステオカルシンおよびオステオポンチンの量も、自動ソフトウェアを使用した蛍光顕微鏡写真上の直接ピクセル計数によって推定した。
【0044】
骨形成に関するデータを、平均値±1標準偏差を計算することにより分析した。スチューデントt-検定を使用して、データ間の統計的有意差を検出した。p値<0.01は統計的有意差と見なされ、図中のアスタリスクでラベル付けされている。
【0045】
実施例4:レーザパターン化およびBioglass(登録商標)/Si
3N
4充填ZTA表面
図2Aおよび2Bは、それぞれ、光学顕微鏡法およびレーザトポグラフィによって得られたZTA表面上のレーザ穿孔ウェルの高倍率画像を示す。Bioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末で充填した後のウェルの類似した画像を、それぞれ
図2Cおよび
図2Dに示す。予備的な較正は、ZTA表面をパターン化するための最適な条件を特定した。
図2A~
図2Dから見られるように、パルスレーザ穿孔は規則的な円形形状であり、比較的鮮明な輪郭を有するウェルを生成した。しかしながら、ZTAがレーザビームの下で部分的に溶融し、溶融材料がウェルから排出され、ウェル境界の隣接部でいくらか粗さが生じたことに留意されたい。次いで、ウェルの連続粉末充填を行った。レーザパターン化されたウェルの充填は、最初にBioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末混合物をZTA表面上に押し付け、次いで鋭利なブレードを使用して余分な材料を手動で除去することによって達成された。粉末混合物は、ウェルの内壁に付着した。この研究では、パターン化されたウェルの直径500μmを選択した。この孔隙率の範囲は、細胞接着、増殖、および骨芽細胞活性の刺激に最適であると考えられる。
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ光学およびレーザ走査顕微鏡によって撮像されるように、ZTA表面上にパターン化された直径500μmのウェルの4×4のグリッドを示す。ウェルの形態の詳細な特性評価を
図3Cに示す。この後者の特性評価は、ウェルの直径と同等の深さでの底面の不規則な形態を有する、ウェルの規則的な円筒形状を明らかにした。ウェルのBioglass(登録商標)/Si
3N
4粉末充填を示す光学およびレーザ顕微鏡法の結果を、それぞれ
図3Dおよび3Fに示す。これらの後者の観察は、ウェルが粉末混合物で完全に充填されていることを示した。
【0046】
図4A~4Eは、SaOS-2細胞に1週間曝露した後の(
図4A)未加工ZTA表面、(
図4B)パターン化ZTA表面、(
図4C)Bioglass(登録商標)粉末のみが充填されたパターン化ZTA表面、(
図4D)Bioglass(登録商標)/5重量%Si
3N
4粉末混合物が充填されたパターン化ZTA表面、および(
図4E)Bioglass(登録商標)/10重量%Si
3N
4粉末混合物が充填されたパターン化ZTA表面からの蛍光顕微鏡法の結果を示す。
図4A~4Eの各断面の上部、中部、および下部の画像において、核(青色)、オステオポンチン(赤色)、およびオステオカルシン(緑色)が蛍光顕微鏡によってタグ付けされている。SaOS-2細胞に1週間曝露した後、未加工ZTA基板(
図4A)は、細胞増殖を示さず、オステオカルシンおよびオステオポンチンの弱いシグナルのみを示したが、これは骨芽細胞に対する限定的な生物活性応答を示す。同様に、パターン化された未充填ZTA試料(
図4B)は、ウェル内および平坦領域上に細胞増殖を示さず、非常に弱いオステオカルシン/オステオポンチンシグナルを示した。しかしながら、Bioglass(登録商標)が充填されたパターン化ZTA表面では、細胞増殖およびオステオカルシン/オステオポンチンの改善が記録された(
図4C)。Bioglass(登録商標)/Si
3N
4混合物が充填されたパターン化ZTA表面では、大幅に増大した細胞増殖(青色シグナル)およびオステオポンチン(赤色シグナル)が記録されたが、粉末混合物中のSi
3N
4画分が高いほど、青色および赤色蛍光シグナルが強力であった(
図4Dおよび
図4Eを参照されたい)。さらに、石灰化組織領域を表す緑色のオステオカルシン蛍光は、ウェルがBioglass(登録商標)/Si
3N
4混合物で充填されたときに、充填されたウェルから、およびZTA表面の非パターン化領域からの明確なシグナルを示した。
図5は、レーザ顕微鏡によって得られた定量的データを、異なる基板上の骨芽細胞によって成長した生体組織の面積被覆率および比体積の観点から要約したものである。両方のデータセットは、異なる試料を比較する際の精度を向上させるために、ウェル領域を除外することによって計算されたが、これは強い蛍光領域が難しい評価領域であったためである。Bioglass(登録商標)/Si
3N
4混合物でパターン化されたZTA上の生体組織の面積被覆率および比体積は、非パターン化ZTAのものよりも約200%および約250%高かった。ウェル領域外のBioglass(登録商標)のみおよび異なるBioglass(登録商標)/Si
3N
4混合物を充填したパターン化ZTA試料の間では、統計的に有意な差はなかった。しかしながら、
図4A~4Eの蛍光画像は、ウェルを充填する粉末混合物がSi
3N
4粉末の画分を含んだ場合、パターン化されたZTA表面からの緑色蛍光シグナルの強力な増加を明確に示す。これらのデータは、レーザパターン化戦略が細胞増殖および生体組織産生を大幅に刺激することを裏付けた。Bioglass(登録商標)充填剤の添加はまた、生物学的応答を刺激したことに留意されたい。しかしながら、粉末混合物中のSi
3N
4の存在の増加は、骨芽細胞増殖を増強し(
図4Cおよび
図4Dを参照されたい)、骨の質の観点から重要な機能を果たした。
図6Aは、非パターン化、パターン化、およびパターン化/充填ZTA試料のフルセットにおけるFTIR特性評価の結果を示す。2つの主な結果がスペクトルから抽出された:(i)Bioglass(登録商標)充填剤のみを添加したことにより、石灰化ヒドロキシアパタイトを表す約1000cm
-1のスペクトル領域におけるシグナル強度の有意な増加がもたらされ;また、(ii)Si
3N
4の画分をBioglass(登録商標)充填剤に添加したことにより、約1500cm
-1のシグナルの相対強度の増加がもたらされたが、これはアミドと関連付けられ、骨組織の生物学的マトリックスを表す。
図4A~
図4Eの蛍光データおよび
図5のそれらの定量化と一致して、未加工またはパターン化されたZTA表面のいずれにおいても、石灰化組織は検出されなかった。
図6Bは、ZTA基板の種類の関数として、FTIRスペクトルにおけるアパタイトシグナルと有機マトリックスシグナルとの間の強度比のプロットを示す。パターン化されたウェルにBioglass(登録商標)充填剤のみを添加すると、石灰化ヒドロキシアパタイトバンドの強度が明らかに増加した。しかしながら、充填剤混合物中に10重量%のSi
3N
4画分を添加すると、健常な骨組織について記録された同じ範囲のZTAのFTIR無機/有機バンド比がもたらされた。
【0047】
実施例5:Si
3N
4コーティングZTA表面のレーザ焼結
図7Aおよび
図7Bは、それぞれ、コーティング領域と非コーティング領域との間の界面(それぞれ顕微鏡写真の左側および右側)にわたって部分的にSi
3N
4コーティングされたBIOLOX(登録商標)デルタZTA表面の上面で撮影された光学顕微鏡写真およびレーザ顕微鏡写真を示す。
図7Bの三次元像は、Si
3N
4コーティングの平均厚さがt=15±5μm程度であったことを示す。
図7Cおよび
図7Dの断面におけるラマンスペクトルは、それぞれ、ZTA非コーティング側およびSi
3N
4コーティング側で得られた。
図7Cにおいて、ZTAスペクトルは、正方晶および単斜晶ジルコニア多形に属するいくつかのバンド(それぞれTおよびMとラベル付けされる)ならびにアルミナ相からの1つのバンド(約397cm
-1;Aでラベル付けされる)で構成される。逆に、Si
3N
4コーティング領域では、ラマンスペクトルは、低周波でのSi-N骨格三重項および約510cm
-1でのSi-Si振動バンドのみを示している。この後者のラマンバンドは、レーザ焼結中のSi
3N
4構造の部分的分解の産物としての遊離ケイ素クラスタの存在を証明している。
【0048】
図8A~
図8Dは、生体環境におけるSaOS-2骨芽細胞への1週間のインビトロ曝露後に、
図7Aおよび7Bの同じ領域に対して行ったSEM/EDS分析を示す。
図8AのSEM顕微鏡写真における主な特徴は、顕微鏡写真の左側(すなわち、Si
3N
4でコーティングされた部分)にのみ、骨性アパタイトの厚い被覆の存在である。Si、Al、およびCa(それぞれ、
図8B、
図8C、および
図8D)のEDS分析では、コーティング領域におけるSiに富む領域、およびレーザ焼結中のコーティングへのAl元素の拡散輸送がないことが明らかであった(
図8Cに見られるように、コーティング/非コーティング界面付近のコーティング領域における非常に弱いAl汚染は、レーザ処理中に生成される残留物の溶融から生じると考えられる)。Siに富む領域の存在は、骨性ヒドロキシアパタイトからのCaの存在に対応していた。BIOLOX(登録商標)デルタZTA表面のSi
3N
4コーティング側の骨芽細胞によって成長した骨組織の大きな島の光学顕微鏡写真およびレーザ顕微鏡写真を、それぞれ
図9Aおよび
図9Bに示す。
図9Cの三次元レーザ顕微鏡像は、コーティングされた構造の平面上約100μmに達する骨構造の高さの詳細を明らかにしている。Si
3N
4コーティングされたゾーンとZTA非コーティングゾーンとの間の界面の近傍で収集された平均FTIRスペクトルでは、後者と比較して前者のゾーンにおける石灰化アパタイトの(PO
4)
3-バンドの4倍の強度を明らかとなった(
図9D)。要約すると、EDS、レーザ顕微鏡法、およびFTIRデータ間の一貫性は、BIOLOX(登録商標)デルタZTAセラミック対ヒト骨芽細胞の骨形成性能を向上させるためのSi
3N
4コーティングのプラスの効果を実証している。
【0049】
いくつかの実施形態を説明してきたが、様々な修正、代替的構成、および均等物が、本発明の趣旨から逸脱することなく使用され得ることが、当業者によって認識されるであろう。加えて、本発明が不必要に不明瞭となることを避けるために、いくつかの周知のプロセスおよび要素は説明されていない。したがって、上記の説明は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0050】
当業者は、本開示の実施形態が、限定ではなく例として教示されることを理解するであろう。したがって、上記の説明に含まれる、または添付の図面に示される主題は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されるすべての一般的および特定の特徴、ならびに言語の問題としてそれらの間に含まれると言える本方法およびシステムの範囲のすべての記述を網羅することが意図される。
<付記>
本発明の態様は以下を含む。
<項1>
生物医学的インプラントの表面を機能化する方法であって、
前記生物医学的インプラントを提供することと、
前記生物医学的インプラントの表面にレーザを誘導することであって、前記レーザは等距離のパターン化されたウェルのグリッドを生成する、誘導することと、
前記等距離のパターン化されたウェルのグリッドを、Bioglass(商標)および窒化ケイ素を含む粉末混合物で充填することであって、前記窒化ケイ素は、約5mol%~約10mol%で前記粉末混合物中に存在する、充填することと、を含む方法。
<項2>
前記生物医学的インプラントが、ジルコニア強化アルミナを含む、<項1>に記載の方法。
<項3>
前記窒化ケイ素が、α-Si
3
N
4
である、<項1>に記載の方法。
<項4>
前記パターン化されたウェルが、前記インプラントの前記表面に延在する二次元特徴を含む、<項1>に記載の方法。
<項5>
前記パターン化されたウェルが、それぞれ約1.0mmの間隔で約0.2mm
2
の断面積を有する、<項4>に記載の方法。
<項6>
前記パターン化されたウェルが、4×4のグリッドである、<項1>に記載の方法。
<項7>
前記Bioglass(商標)が、45重量%のSiO
2、
24.5重量%のCaO、24.5重量%のNa
2
O、および6重量%のP
2
O
5
を含む、<項1>に記載の方法。
<項8>
前記粉末混合物が、5.5重量%~約10.7重量%の窒化ケイ素を含む、<項1>に記載の方法。
<項9>
前記パターン化されたウェルを充填することは、
前記粉末混合物を前記生物医学的インプラント表面上に押し付けることと、
過剰の前記粉末混合物を除去することと、を含む、<項1>に記載の方法。
<項10>
窒素ガス雰囲気中の白金るつぼ中で、前記Bioglass(商標)と窒化ケイ素との粉末混合物を均質化および溶融すること、
溶融された前記混合物を急冷すること、および
急冷された前記混合物を微粉末に粉砕することにより、前記粉末混合物を形成することをさらに含む、<項1>に記載の方法。
<項11>
前記レーザが、1064nmの波長を有するNd:YAGレーザである、<項1>に記載の方法。
<項12>
前記レーザが、約250mmの集束距離、約17kWの公称最大電力、約70Jの破裂エネルギー、約160~500Vの印加電位、および/または約1~20msの放電時間を有する、<項1>に記載の方法。
<項13>
生物医学的インプラントの表面を機能化する方法であって、
前記生物医学的インプラントを提供することと、
前記生物医学的インプラントの水濡れ表面上に窒化ケイ素粉末の層を塗布することと、
前記窒化ケイ素の層上にレーザをパルスして前記窒化ケイ素を焼結することと、
焼結された前記窒化ケイ素層が約10μm~約20μmの厚さを有するまで、前記塗布およびパルス工程を繰り返すことと、を含む方法。
<項14>
前記生物医学的インプラントが、ジルコニア強化アルミナを含む、<項13>に記載の方法。
<項15>
前記窒化ケイ素が、β-Si
3
N
4
である、<項13>に記載の方法。
<項16>
前記窒化ケイ素が、6重量%の酸化イットリウムおよび4重量%の酸化アルミニウムと混合される、<項15>に記載の方法。
<項17>
前記レーザが、1064nmの波長を有するNd:YAGレーザである、<項13>に記載の方法。
<項18>
前記レーザが、約17kWの公称最大電力、約70Jの最大パルスエネルギー、約400Vの電圧、約2μmのスポットサイズ、および/または約4msのパルス時間を有する、<項13>に記載の方法。
<項19>
骨形成を促進する方法であって、
先行請求項のいずれか一項による窒化ケイ素表面機能化を含む生物医学的インプラントを組織と接触させることを含む方法。
<項20>
窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、前記生物医学的インプラント上で骨芽細胞増殖が増加する、<項19>に記載の方法。
<項21>
前記粉末混合物中に窒化ケイ素を含まないインプラントと比較して、前記生物医学的インプラント上で骨芽細胞増殖が増加する、<項19>に記載の方法。
<項22>
前記表面機能化生物医学的インプラント上の生体組織の面積被覆率および比体積が、コーティングされていないインプラントの面積被覆率および比体積より少なくとも200%高い、<項19>~<項21>のいずれか一項に記載の方法。
<項23>
前記窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、前記生物医学的インプラント上で石灰化組織が増加する、<項19>~<項22>のいずれか一項に記載の方法。
<項24>
前記窒化ケイ素粉末混合物を含まないインプラントと比較して、前記生物医学的インプラント上の石灰化ヒドロキシアパタイトの増加がある、<項19>~<項23>のいずれか一項に記載の方法。
<項25>
<項1>~<項18>のいずれか一項に記載の方法を使用して機能化された表面を含む、生物医学的インプラント。