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特許7411785イントラ予測のための補間フィルタリング方法と装置、コンピュータプログラム及び電子装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】イントラ予測のための補間フィルタリング方法と装置、コンピュータプログラム及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/117 20140101AFI20231228BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20231228BHJP
   H04N 19/176 20140101ALI20231228BHJP
   H04N 19/134 20140101ALI20231228BHJP
【FI】
H04N19/117
H04N19/593
H04N19/176
H04N19/134
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022514720
(86)(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2020122791
(87)【国際公開番号】W WO2021093538
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】201911122284.0
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514187420
【氏名又は名称】テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,インビン
(72)【発明者】
【氏名】リ,イミン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,シアオジョォン
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,シャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジェンジョォン
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/221817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/117
H04N 19/593
H04N 19/176
H04N 19/134
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオ復号装置及び/又はビデオ符号化装置が実行する、イントラ予測のための補間フィルタリング方法であって、
所定予測ユニットに含まれる予測画素の情報を取得し、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得するステップ;
前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲットフィルターを選択するステップ;及び
前記ターゲットフィルターにより前記予測画素の第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行い、前記予測画素の予測値を取得するステップを含み、
異なるフィルターに含まれるパラメータ、即ち、平滑化フィルタリング強度、タップ数、サブ画素位置精度、及びフィルタリング係数精度は完全に同じではない、補間フィルタリング方法。
【請求項2】
請求項1に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを得る前に、前記補間フィルタリング方法は、さらに、
ビデオフレームに含まれる予測ユニットの情報に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップであって、各クラスの予測ユニットが1組のフィルタリングパラメータに対応する、ステップを含み、
前記の、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得することは、
前記所定予測ユニットの属するクラスに対応するフィルタリングパラメータに基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを決定するステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項3】
請求項2に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記の、ビデオフレームに含まれる予測ユニットの情報に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップは、
前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップ;
前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットが採用するイントラ予測モードに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップ;又は
前記ビデオフレームに含まれる各予測ユニットに隣接する参照画素の特徴に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項4】
請求項3に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記の、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップは、
前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを、設定される少なくとも1つのサイズ間隔に対応するクラスに分類するステップであって、前記予測ユニットのサイズは予測ユニットの幅と高さの積、予測ユニットの幅と高さの和、予測ユニットの幅、及び予測ユニットの高さのうちの何れか1つを含む、ステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項5】
請求項3に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記の、前記ビデオフレームに含まれる各予測ユニットに隣接する参照画素の特徴に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップは、
前記各予測ユニットに隣接する複数の参照画素に基づいて、前記複数の参照画素の統計的特徴を計算するステップ;及び
前記複数の参照画素の統計的特徴に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項6】
請求項5に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記複数の参照画素は、画素座標系において前記各予測ユニットの上側に位置する参照画素、及び、画素座標系において前記各予測ユニットの左側に位置する参照画素のうちの少なくとも1つを含み、
前記複数の参照画素の統計的特徴は、前記複数の参照画素の勾配値の分散、前記複数の参照画素の勾配のうちの最大値、前記複数の参照画素の勾配の平均値、前記複数の参照画素の画素値の分散、及び、前記複数の参照画素のうちの画素最大値と画素最小値との間の差のうちの何れか1つを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項7】
請求項1に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記の、前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲットフィルターを選択するステップは、
前記所定予測ユニットに含まれる各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離を計算するステップ;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行い、少なくとも1つのクラスの予測画素を取得するステップ;
各クラスの予測画素と前記第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択するステップ;及び
前記各クラスの予測画素に対応するフィルターに基づいて前記ターゲットフィルターを決定するステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項8】
請求項7に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータには前記所定予測ユニットに対応する少なくとも1つの距離閾値が含まれ、
前記の、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行うことは、
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離、及び、前記少なくとも1つの距離閾値に基づいて、前記所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行うステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項9】
請求項7に記載の補間フィルタリング方法であえって、
前記の、前記所定予測ユニットに含まれる各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離を計算するステップは、
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間のユークリッド距離を計算し、前記ユークリッド距離を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とするステップ;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値を計算し、前記横座標の差の絶対値と前記縦座標の差の絶対値との和を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とするステップ;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値を計算し、前記横座標の差の絶対値及び前記縦座標の差の絶対値のうちの最小値又は最大値を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とするステップ;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値を計算し、前記横座標の差の絶対値を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とするステップ;及び
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の縦座標の差の絶対値を計算し、前記縦座標の差の絶対値を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とするステップ
のうちの何れか1つを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項10】
請求項7に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記各予測画素の第一参照画素は、前記所定予測ユニットに隣接する再構成後画素、前記所定予測ユニットに隣接しかつ前記所定予測ユニットの左上方に位置する画素、及び、前記所定予測ユニットが使用する角度予測モードに基づいて前記各予測画素の隣接画素のうちから選択される1つの画素のうちの何れか1つを含み;又は
前記所定予測ユニットの左上角の1番目の画素を前記第一参照画素とする、補間フィルタリング方法。
【請求項11】
請求項7に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記の、各クラスの予測画素と前記第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択するステップは、
距離と、フィルターの平滑化フィルタリング度合いとの間の正の相関関係に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択するステップ;及び
距離と、フィルターに含まれるタップ数との間の正の相関関係に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択するステップ
のうちの少なくとも1つを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちの何れか1項に記載の補間フィルタリング方法であって、
前記予測画素の予測値を得た後に、さらに、
前記予測画素の予測値に基づいて、前記予測画素に対して符号化処理を行うステップ;又は
前記予測画素の予測値に基づいて、前記予測画素に対して復号処理を行うステップを含む、補間フィルタリング方法。
【請求項13】
イントラ予測のための補間フィルタリング装置であって、
所定予測ユニットに含まれる予測画素の情報を取得し、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得するための取得ユニット;
前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲットフィルターを選択するための選択ユニット;及び
前記ターゲットフィルターにより前記予測画素の第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行い、前記予測画素の予測値を取得するための処理ユニットを含み、
異なるフィルターに含まれるパラメータ、即ち、平滑化フィルタリング強度、タップ数、サブ画素位置精度、及びフィルタリング係数精度は完全に同じではない、補間フィルタリング装置。
【請求項14】
コンピュータに、請求項1乃至12のうちの何れか1項に記載のイントラ予測のための補間フィルタリング方法を実行させるためのプログラム。
【請求項15】
1つ又は複数の処理器;及び
前記処理器に接続される記憶器を含む、電子装置であって、
前記記憶器にはプログラムが記憶されており、
前記処理器は、前記プログラムを実行することにより、請求項1乃至12のうちの何れか1項に記載のイントラ予測のための補間フィルタリング方法を実現するように構成される、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月15日に中国専利局に出願した、出願番号が201911122284.0、発明の名称が「イントラ予測のための補間フィルタリング方法、装置、媒体及び電子装置」である中国特許出願に基づく優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。
【0002】
本出願は、コンピュータ及び通信技術の分野に関し、特に、イントラ予測(フレーム内予測ともいう)のための補間フィルタリング方法、装置、記憶媒体及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0003】
フレーム内予測補間フィルタリングとは、画素(ピクセル)の空間相関性を用いて補間を行うことで参照画素のサブ画素(サブピクセル(sub-pixel))位置の画素値を得ることによって、より正確な予測値を取得することである。線形補間の機能に加えて、フレーム内予測サブ画素補間フィルターはさらに平滑化フィルタリングの機能をも有し、平滑化フィルタリングは、イントラ予測に対するノイズの影響を軽減することができるため、変換後のエネルギーの集中に有利であり、符号化効率を向上させることができる。
【0004】
しかし、フレーム内予測補間フィルターの平滑化フィルタリングの作用により、幾つかの高周波テクスチャの細部情報が失われる可能性がある。また、平滑化し過ぎる補間フィルターにより、隣接する予測角度から導出される予測値の差が小さくなりすぎて、符号化パフォーマンスや利得に悪影響を与える恐れがある。また、今のところ、AVS3(Audio Video coding Standard 3、オーディオビデオ符号化規格3)では、サブ画素フィルターが予測ユニットの中の異なる位置の画素についてすべて同一のグループのフィルター係数を用いて補間フィルタリングを行い、このような方法により、予測値が不正確になり、符号化パフォーマンスや復号効率に悪影響を及ぼす可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、少なくともある程度まで予測画素の位置情報に基づいて異なる補間フィルタリングパラメータを適応的に選択することができ、イントラ予測時の画素補間予測の正確性の向上に役たち、かつ符号化圧縮パフォーマンス及び復号効率の向上に有利である、イントラ予測のための補間フィルタリング方法と装置、コンピュータプログラム及び電子装置を提供することを課題とする。
【0006】
本出願の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を通じて明らかになるか、又は、本出願の実施を通じて部分的に習得することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の実施例の1つの側面によれば、イントラ予測のための補間フィルタリング方法が提供され、該方法は、
所定(指定)予測ユニットに含まれる予測画素の情報を取得し、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得し;
前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲット(目標)フィルターを選択し;及び
前記ターゲットフィルターにより前記予測画素の第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行い、前記予測画素の予測値を取得するステップを含む。
【0008】
本出願の実施例の1つの側面によれば、イントラ予測のための補間フィルタリング装置が提供され、該装置は、
所定予測ユニットに含まれる予測画素の情報を取得し、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得するための取得ユニット;
前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲットフィルターを選択するための第一処理ユニット;及び
前記ターゲットフィルターにより前記予測画素の第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行い、前記予測画素の予測値を取得するための第二処理ユニットを含む。
【0009】
本出願の実施例の1つの側面によれば、コンピュータ可読媒体が提供され、その中にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムは処理器により実行されるときに、上述の実施例に記載のようなイントラ予測のための補間フィルタリング方法を実現する。
【0010】
本出願の実施例の1つの側面によれば、電子装置が提供され、それは、1つ又は複数の処理器、及び記憶装置を含み、該記憶装置には1つ又は複数のプログラムが記憶されており、前記1つ又は複数のプログラムは前記1つ又は複数の処理器により実行されるときに、前記電子装置に、上述の実施例に記載のようなイントラ予測のための補間フィルタリング方法を実現させる。
【発明の効果】
【0011】
本出願の幾つかの実施例により提供される技術案では、予測画素と第一参照画素との間の距離に基づいて、所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから該距離にマッチしたターゲットフィルターを選択し、そして、該ターゲットフィルターにより第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行って予測画素の予測値を取得することで、予測画素の位置情報(即ち、予測画素と第一参照画素との間の距離)に基づいて異なる補間フィルターを適応的に選択することができるため、イントラ予測時の画素補間予測の正確性の向上に役たち、かつ符号化圧縮パフォーマンス及び復号効率の向上に有利である。
【0012】
なお、上記の一般的な説明及び後述の詳細な説明は例示的かつ説明的なものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここでの図面は明細書に含まれて本明細書の一部を構成し、それは本出願の実施例を例示し、明細書とともに本出願の原理を説明するために用いられる。また、明らかのように、以下に記載される図面は本出願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者は創造性のある労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願の実施例の技術案を適用する例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。
図2】ストリームトランスファー環境におけるビデオ符号化装置及びビデオ復号装置の配置方式を示す図である。
図3】本出願の1つの実施例によるイントラ予測のための補間フィルタリング方法のフローチャートである。
図4】本出願の1つの実施例による図3に示すステップS320の1つの処理のフローチャートである。
図5】本出願の1つの実施例によるイントラ予測モードの分布を示す図である。
図6】本出願の1つの実施例によるイントラ予測のための補間フィルタリング装置のブロック図である。
図7】本出願の実施例における電子装置を実現するためのコンピュータシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら例示的な実施例をより全面的に説明する。なお、例示的な実施例は様々な形式で実施することができ、かつここで説明される好適な実施例に限定されると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施例の提供は、本出願をより包括的かつ完全にし、かつ例示な実施例の構想を当業者に全面的に伝えることができる。
【0015】
また、説明される特徴、構造又は特性は任意の適切な方式で1つ又は複数の実施例において組み合わせることができる。以下の説明では、本出願の実施例を十分に理解し得るために、多くの具体的な細部が提供される。しかし、当業者が理解すべきは、以下のような具体的な細部のうちの1つ又は複数が無くても本出願の技術案を実施することができ、又は、他の方法、構成要素、装置、ステップなどを採用して本出願の技術案を実施することもできるということである。さらに、他の場合に、本出願の様々な側面を曖昧にすることを避けるために、周知の方法、装置、実装又は操作を詳しく示せず又は説明しない。
【0016】
図面に示すブロック図は単なる機能実体(エンティティ)であり、必ずしも物理的に独立した実体に対応しているわけではない。即ち、ソフトウェアの形式でこれらの機能実体を実現しても良く、又は、1つ又は複数のハードウェアモジュール又は集積回路においてこれらの機能実体を実現しても良く、又は、異なるネットワーク及び/又は処理装置及び/又はマイクロプロセッサにおいてこれらの機能実体を実現しても良い。
【0017】
図面に示すフローチャートは単なる例示的な説明であり、必ずしもすべての内容及び操作/ステップを含むわけではなく、また、説明される順序に従って実行する必要もない。例えば、幾つかの操作/ステップがさらに分解されても良く、幾つかの操作/ステップが合併され又は部分的に合併されても良いので、実際の実行順序は実際の状況に応じて変更される場合がある。
【0018】
図1は、本出願の実施例の技術案を応用する例示的なシステムアーキテクチャを示す図である。
【0019】
図1に示すように、システムアーキテクチャ100は複数の端末装置を含み、前記端末装置は例えばネットワーク150を介して互いに通信することができる。例を挙げて言えば、システムアーキテクチャ100はネットワーク150を介して互いに接続される第一端末装置110及び第二端末装置120を含み得る。図1の実施例では、第一端末装置110及び第二端末装置120は一方向のデータ伝送を実行する。例えば、第一端末装置110はビデオデータ(例えば、第一端末装置110により収集されるビデオピクチャーストリーム)に対して符号化を行い、そして、ネットワーク150を介して第二端末装置120に伝送することができる。符号化済みのビデオデータは1つ又は複数の符号化済みのビデオストリームの形式で伝送される。第二端末装置120はネットワーク150から符号化済みのビデオデータを受信し、符号化済みのビデオデータに対して復号を行ってビデオデータを復元し、そして、復元したビデオデータに基づいてビデオピクチャーを表示することができる。
【0020】
本出願の1つの実施例において、システムアーキテクチャ100は符号化済みのビデオデータを実行する双方向伝送の第三端末装置130及び第四端末装置140を含んでも良く、前記双方向伝送は例えばビデオ会議中に発生し得る。双方向データ伝送について、第三端末装置130及び第四端末装置140のうちの各端末装置はビデオデータ(例えば、端末装置により収集されるビデオピクチャーストリーム)に対して符号化を行い、そして、ネットワーク150を介して第三端末装置130及び第四端末装置140のうちのもう1つの端末装置に伝送することができる。第三端末装置130及び第四端末装置140のうちの各端末装置はさらに、第三端末装置130及び第四端末装置140のうちのもう1つの端末装置により伝送される符号化済みのビデオデータを受信し、前記符号化済みのビデオデータに対して復号を行ってビデオデータを復元し、そして、復元したビデオデータに基づいてアクセス可能な表示装置にビデオピクチャーを表示することができる。
【0021】
図1の実施例では、第一端末装置110、第二端末装置120、第三端末装置130及び第四端末装置140はサーバー、パーソナルコンピュータ及びスマートフォンであり得るが、本出願に開示の原理はこれに限られない。本出願に開示の実施例はラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、メディアプレーヤー及び/又は専用のビデオ会議デバイスに適用することもできる。ネットワーク150は、第一端末装置110、第二端末装置120、第三端末装置130及び第四端末装置140の間で符号化済みのビデオデータを伝送する任意の数のネットワークを表し、例えば、有線及び/又は無線通信ネットワークを含む。通信ネットワーク150は回路交換及び/又はパケット交換チャネルにおいてデータを交換することができる。該ネットワークは電気通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/又はインターネットを含み得る。本出願の目的のため、以下で説明されない限り、ネットワーク150のアーキテクチャ及びトポロジーは本出願に開示の操作にとって重要ではない可能性がある。
【0022】
本出願の1つの実施例において、図2は、ビデオ符号化装置及びビデオ復号装置のストリームトランスファー環境における配置方式を示している。本出願に開示の主題は、ビデオをサポートし得る他のアプリケーション、例えば、CD、DVD、メモリスティックなどを含むデジタル媒体への圧縮ビデオの保存、ビデオ会議、デジタルTVなどに同等に適用することができる。
【0023】
ストリームトランスファーシステムは収集サブシステム213を含んでも良く、収集サブシステム213はデジタルカメラなどのビデオソース(ビデオ源)201を含んでも良く、ビデオソース201は未圧縮のビデオピクチャーストリーム202を生成し得る。実施例では、ビデオピクチャーストリーム202はデジタルカメラにより撮影されるサンプルを含む。符号化済みのビデオデータ204(又は符号化済みのビデオストリーム204)に比較して、ビデオピクチャーストリーム202は大きいデータ量のビデオピクチャーストリームを強調するために太い線として描かれており、ビデオピクチャーストリーム202は電子装置220により処理することができ、電子装置220はビデオソース201に接続されるビデオ符号化装置203を含む。ビデオ符号化装置203は、以下のようにさらに詳細に説明される本出願に開示の主題の様々な側面を実現又は実施するために、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせを含み得る。ビデオピクチャーストリーム202に比べて、符号化済みのビデオデータ204(又は符号化済みのビデオストリーム204)は比較的小さいデータ量の符号化済みのビデオデータ204(又は符号化済みのビデオストリーム204)を強調するために細い線として描かれており、それは将来の使用のためにストリームトランスファーサーバー205に保存することができる。1つ又は複数のストリーム・トランスファー・クライアント・サブシステム、例えば、図2におけるクライアントサブシステム206及びクライアントサブシステム208は、ストリームトランスファーサーバー205にアクセスして符号化済みのビデオデータ204のコピー207及びコピー209をサーチすることができる。クライアントサブシステム206は例えば電子装置230におけるビデオ復号装置210を含み得る。ビデオ復号装置210は符号化済みのビデオデータの受信コピー207に対して復号を行い、表示器212(例えば、表示スクリーン)又はもう1つの表示装置に表示され得る出力ビデオピクチャーストリーム211を生成することができる。幾つかのストリームトランスファーシステムにおいて、幾つかのビデオ符号化/圧縮規格に従って符号化済みのビデオデータ204、ビデオデータ207及びビデオデータ209(例えば、ビデオストリーム)に対して符号化を行うことができる。これらの規格の実施例はITU-T H.265を含む。実施例では、開発中のビデオ符号化規格が非公式に次世代ビデオ符号化(即ち、多機能ビデオ符号化(Versatile Video Coding、VVC))と呼ばれ、本出願はVVC規格のコンテキストに適用することができる。
【0024】
なお、電子装置220及び電子装置230は図面に示されない他の部品を含んでも良い。例を挙げて言えば、電子装置220はビデオ復号装置を含んでも良く、かつ電子装置230はさらにビデオ符号化装置を含んでも良い。
【0025】
以下、本出願の実施例の技術案の実現について詳細に説明する。
【0026】
図3は、本出願の1つの実施例によるイントラ予測のための補間フィルタリング方法のフローチャートを示している。このイントラ予測のための補間フィルタリング方法は前述の実施例におけるビデオ復号装置及び/又はビデオ符号化装置により実行され得る。図3に示すように、このイントラ予測のための補間フィルタリング方法は少なくともステップS310乃至ステップS330を含む。詳しくは以下のとおりである。
【0027】
ステップS310では、所定予測ユニットに含まれる予測画素の情報を取得し、そして、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得する。
【0028】
本出願の1つの実施例において、所定予測ユニットはビデオフレームに含まれる任意の1つの予測ユニットであっても良い。そのうち、予測ユニットは予測ブロック、符号化ユニット又は1つの2次元の画素ブロックであっても良い。フィルタリングパラメータはフィルター、距離閾値(距離閾値は、所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行うときに使用される)などを含んでも良い。フィルターのパラメータは、平滑化フィルタリング強度、タップ数、サブ画素位置精度、及びフィルタリング係数精度のうちの1つ又は複数を含んでも良く、かつ異なるフィルターのパラメータは完全に同じではない。
【0029】
本出願の1つの実施例において、ビデオフレームに含まれる予測ユニットの情報に基づいて、ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラス(種類やカテゴリーともいう)に分ける(分類する)ことができ、そのうち、各クラスの予測ユニットは1組のフィルタリングパラメータに対応する。このように、予測ユニットの情報(例えば、サイズ、予測モードなど)に基づいて各クラスの予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを設定することで、イントラ予測の正確性を向上させることができるため、符号化圧縮パフォーマンス及び復号効率の改善に有利である。このような場合、先に所定予測ユニットの属するクラスを決定し、その後、所定予測ユニットの属するクラスに対応するフィルタリングパラメータを所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータとすることができ;又は、所定予測ユニットの属するクラスに対応するフィルタリングパラメータのうちから一部を所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータとして選択することができる。
【0030】
本出願の1つの実施例において、ビデオフレームに含まれる予測ユニットに対して分類を行うときに、ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することができる。例えば、少なくとも1つのサイズ間隔(区間(interval))を設定し、その後、ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、ビデオフレームに含まれる予測ユニットを、設定した少なくとも1つのサイズ間隔に対応するクラスに分類することができる。そのうち、予測ユニットのサイズは予測ユニットの幅と高さの積であっても良く、予測ユニットの幅と高さの和であっても良く、あるいは、予測ユニットの幅又は予測ユニットの高さなどであっても良い。
【0031】
本出願の1つの実施例において、ビデオフレームに含まれる予測ユニットに対して分類を行うときに、ビデオフレームに含まれる予測ユニットが採用するイントラ予測モードに基づいて、ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することができる。例えば、垂直方向下向きのイントラ予測モードを採用する予測ユニットを1つのクラスに分類しても良く、水平方向左向きのイントラ予測モードを採用する予測ユニットを1つのクラスに分類しても良い。
【0032】
本出願の1つの実施例において、ビデオフレームに含まれる予測ユニットに対して分類を行うときに、ビデオフレームに含まれる各予測ユニットに隣接する参照画素の特徴に基づいて、ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することができる。例えば、各予測ユニットに隣接する複数の参照画素に基づいて、この複数の参照画素の統計的特徴を計算し、その後、この複数の参照画素の統計的特徴に基づいて、ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することができる。
【0033】
本出願の1つの実施例において、複数の参照画素は、画素座標系において各予測ユニットの上側に位置する参照画素を含んでも良く、又は、画素座標系において各予測ユニットの左側に位置する参照画素を含んでも良く、又は、画素座標系において各予測ユニットの上側及び左側に位置する参照画素を含んでも良い。
【0034】
本出願の1つの実施例において、上述の複数の参照画素の統計的特徴は次のようなもののうちの少なくとも1つを含み、即ち、複数の参照画素の勾配値の分散、複数の参照画素の勾配のうちの最大値、複数の参照画素の勾配の平均値、複数の参照画素の画素値の分散、及び複数の参照画素のうちの画素最大値と画素最小値との間の差である。
【0035】
引き続き図3を参照する。ステップS320では、前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲットフィルターを選択する。
【0036】
本出願の1つの実施例において、同一の予測ユニット内の異なる予測画素の第一参照画素は同じであっても良く、異なっても良い。例えば、予測画素の第一参照画素は所定予測ユニットに隣接する再構成後画素であっても良く、又は、所定予測ユニットに隣接し、かつ所定予測ユニットの左上方にある画素であっても良く、又は、所定予測ユニットが使用する角度予測モードに基づいて各予測画素の隣接画素のうちから選択される1つの画素であっても良く、又は、予測ユニットの左上角(左上隅)の1番目の画素を該予測ユニット内の予測画素の第一参照画素としても良い。そのうち、符号化プロセスでは、再構成後画素は符号化済みの画素であり、復号プロセスでは、再構成後画素は復号済みの画素である。
【0037】
本出願の1つの実施例において、図4に示すように、図3に示すステップS320に記載の、所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから距離にマッチしたターゲットフィルタリングパラメータを選択するプロセスは、ステップS410乃至ステップS440を含んでも良い。詳しくは以下のとおりである。
【0038】
ステップS410では、所定予測ユニットに含まれる各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離を計算する。
【0039】
本出願の1つの実施例において、各予測画素と第一参照画素との間の距離を計算するときに複数の実施例があり得る。以下、それぞれについて説明する。
【0040】
本出願の1つの実施例において、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間のユークリッド距離を計算し、その後、該ユークリッド距離を各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離とすることができる。例えば、画素座標系において、或る予測画素の座標が(x0,y0)であり、該予測画素の第一参照画素の座標が(x1,y1)である場合、公式
【0041】
【数1】
により該予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。
【0042】
本出願の1つの実施例において、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値を計算し、その後、該横座標の差の絶対値と該縦座標の差の絶対値との和を各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離とすることができる。例えば、画素座標系において、或る予測画素の座標が(x0,y0)であり、該予測画素の第一参照画素の座標が(x1,y1)である場合、公式
【0043】
【数2】

により該予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。
【0044】
本出願の1つの実施例において、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値を計算し、その後、横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値のうちの最小値又は最大値を各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離とすることができる。例えば、画素座標系において、或る予測画素の座標が(x0,y0)であり、該予測画素の第一参照画素の座標が(x1,y1)である場合、公式
【0045】
【数3】
又は
【0046】
【数4】
により該予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。
【0047】
本出願の1つの実施例において、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値を計算し、その後、該横座標の差の絶対値を各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離とすることができる。例えば、画素座標系において、或る予測画素の座標が(x0,y0)であり、該予測画素の第一参照画素の座標が(x1,y1)である場合、公式
【0048】
【数5】

により該予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。例えば、第一参照画素が予測ユニットのちょうど左側に位置する場合(例えば、水平方向を向く予測モードを採用するときに)、公式
【0049】
【数6】

により予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。
【0050】
本出願の1つの実施例において、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の縦座標の差の絶対値を計算し、その後、該縦座標の差の絶対値を各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離とすることができる。例えば、画素座標系において、或る予測画素の座標が(x0,y0)であり、該予測画素の第一参照画素の座標が(x1,y1)である場合、公式
【0051】
【数7】

により該予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。例えば、第一参照画素が予測ユニットの真上に位置する場合(例えば、垂直方向を向く予測モードを採用するときに)、公式
【0052】
【数8】

により予測画素(x0,y0)と第一参照画素(x1,y1)との間の距離を計算することができる。
【0053】
引き続き図4を参照する。ステップS420では、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行い、少なくとも1つのクラスの予測画素を取得する。
【0054】
本出願の1つの実施例において、設定された距離間隔(区間(interval))、及び、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行うことができる。
【0055】
本出願の1つの実施例において、所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータには、該所定予測ユニットに対応する少なくとも1つの距離閾値が含まれても良い。その後、該少なくとも1つの距離閾値に基づいて少なくとも1つの距離間隔を取得し、そして、該少なくとも1つの距離間隔、及び、各予測画素と各予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行うことができる。
【0056】
ステップS430では、各クラスの予測画素と前記第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択する。
【0057】
本出願の1つの実施例において、距離と、フィルターの平滑化フィルタリング度合いとの間の正の相関関係に基づいて、所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択することができる。即ち、予測画素と第一参照画素との間の距離が小さい場合、平滑度が比較的低いフィルターを選択し;予測画素と第一参照画素との間の距離が大きい場合、平滑度が比較的高いフィルターを選択する。
【0058】
本出願の1つの実施例において、距離と、フィルターに含まれるタップ数との間の正の相関関係に基づいて、所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択することができる。即ち、予測画素と第一参照画素との間の距離が小さい場合、タップ数が比較的少ないフィルターを選択し;予測画素と第一参照画素との間の距離が大きい場合、タップ数が比較的多いフィルターを選択する。
【0059】
引き続き図4を参照する。ステップS440では、前記各クラスの予測画素に対応するフィルターに基づいて前記ターゲットフィルターを決定する。
【0060】
本出願の1つの実施例において、決定する必要のある予測画素の属するクラスに基づいて、該クラスに対応するフィルターをターゲットフィルターとすることができ;又は、該クラスに対応するフィルターのうちから一部のフィルターをターゲットフィルターとして選択することができる。
【0061】
引き続き図3を参照する。ステップS330では、前記ターゲットフィルターにより前記予測画素の第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行い、前記予測画素の予測値を取得する。
【0062】
本出願の1つの実施例において、予測画素の第二参照画素と予測画素の第一参照画素とは同じ画素であっても良く、異なる画素であっても良い。
【0063】
本出願の1つの実施例において、符号化側では、予測画素の予測値を得た後に、さらに予測画素の予測値に基づいて、予測画素に対して符号化処理を行うことができ、復号側では、予測画素の予測値を得た後、予測画素の予測値に基づいて予測画素に対して復号処理を行うことができる。
【0064】
図3に示す実施例の技術案により、予測画素の位置情報に基づいて、異なる補間フィルターを適応的に選択することができるため、イントラ予測時の画素補間予測の正確性の向上に役たち、かつ符号化圧縮パフォーマンス及び復号効率の改善に有利である。
【0065】
本出願の実施例の技術案はオーディオビデオ符号化の技術分野に適用することができ、具体的には、2組以上のサブ画素補間フィルター係数を事前定義し、予測ユニット内の画素値について、予測待ち画素の位置及びその所在する予測ユニットのサイズに基づいてフィルター係数組の選択を行い、最後に参照画素に対して補間フィルタリングを行って該予測画素の予測値を得ることができる。以下、本出願の実施例の実現について詳細に説明する。
【0066】
本出願の1つの実施例において、K(K>1)種類の補間フィルター
【0067】
【数9】

を事前定義することができ、異なるフィルターの情報は完全に同じではない。具体的には、異なるフィルターの平滑化フィルタリング強度、タップ(tap)数、サブ画素位置精度、及びフィルター係数精度は完全に同じではない。例えば、異なるフィルターのタップ数がすべてnであっても良く、又は、異なるフィルターのタップ数が異なり;また、例えば、異なるフィルターのサブ画素位置精度がすべて32であっても良く;又は、異なるフィルターの係数精度がすべて128であっても良い。
【0068】
本出願の1つの実施例において、各予測ユニットは1組の対応するフィルタリングパラメータ
【0069】
【数10】

を有しても良く、フィルタリングパラメータはフィルター組
【0070】
【数11】

及び距離閾値
【0071】
【数12】

を含んでも良く、そのうち、mは距離閾値の個数である。予測ユニットのフィルタリングパラメータを決定するときに、先に予測ユニットに対して分類を行い、次に各種類の予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータ組を決定し、そして、各予測ユニットのフィルタリングパラメータを得ることができる。
【0072】
本出願の実施例では、予測ユニットに対して分類を行うときに、以下のように幾つかの分類方法がある。
【0073】
(1)予測ユニットのサイズに基づく分類
本出願の1つの実施例において、小から大へと並べ替えられるサイズ閾値
【0074】
【数13】

が設定されており、予測画素の所在する予測ユニットのサイズに基づいて複数のクラス
【0075】
【数14】

に分け、そのうち、クラスSxの予測ユニットのサイズはtsx-1よりも大きく、かつtsx以下であり、即ち、xが小さいほど、Sxに属する予測ユニットのサイズが小さくなり、かつ異なるクラスの予測ユニットについて、対応するフィルタリングパラメータ
【0076】
【数15】

が設定されている。
【0077】
本出願の1つの実施例において、予測ユニットのサイズは予測ユニットの幅と高さの積であっても良く、又は、予測ユニットの幅と高さの和であっても良く、又は、予測ユニットの幅であっても良く、又は、予測ユニットの高さであっても良い。
【0078】
1つの例において、サイズ閾値tsi=256である場合、面積が256以上の予測ユニット及び面積が256よりも小さい予測ユニットをそれぞれ1つのクラスに分類し、対応するフィルタリングパラメータはそれぞれ
【0079】
【数16】

及び
【0080】
【数17】

であり、また、異なるクラスのフィルタリングパラメータFx及びTDxが同じ又は異なる要素を含む可能性があり、即ち、F1とF2、TD1とTD2は同じであっても、異なっても良い。
【0081】
(2)予測ユニットのイントラ予測モードに基づく分類
本出願の1つの実施例において、異なるイントラ予測モードを採用する予測ユニットについて、異なるフィルタリングパラメータ
【0082】
【数18】

を使用することができる。
【0083】
例えば、1つの例において、垂直方向下向き及びそれに近い予測モードを採用する予測ユニットを1つのクラスに分類し、また、水平方向左向き及びそれに近い予測モードを採用する予測ユニットをもう1つのクラスに分類することができる。具体的に言えば、例えば、図5に示すイントラ予測モードの場合、番号が{18-32,51-65}のイントラ予測モードを採用する予測ユニットを1つのクラスに分類し、他の予測ユニットをもう1つのクラスに分類することができる。対応するフィルタリングパラメータはそれぞれ
【0084】
【数19】

及び
【0085】
【数20】

であり、異なるクラスのフィルタリングパラメータFx及びTDxは同じ又は異なる要素を含む可能性があり、即ち、F1とF2、TD1とTD2は同じであっても良く、異なっても良い。
【0086】
(3)参照画素の統計的特徴に基づく分類
本出願の1つの実施例において、予測ユニットの周囲(周り)の符号化済み(又は復号済み)の参照画素を利用して統計分析を行い、統計的特徴に基づいて予測ユニットに対して分類を行うことができ、異なるクラスが異なるフィルタリングパラメータ
【0087】
【数21】

に対応する。
【0088】
本出願の1つの実施例において、予測ユニットの周囲の符号化済み(又は復号済み)の参照画素は予測ユニットの上側に位置する参照画素であっても良く、又は、予測ユニットの左側に位置する参照画素であっても良く、又は、予測ユニットの上側及び左側に位置する参照画素であって良い。
【0089】
本出願の1つの実施例において、参照画素の統計的特徴は参照画素の勾配値の分散、参照画素の勾配の最大値又は参照画素の勾配の平均値であっても良く;又は、参照画素の統計的特徴はさらに、参照画素の画素値の分散、参照画素の画素最大値と画素最小値との差などであっても良い。
【0090】
予測ユニットに対して分類を行い、各クラスの予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを決定した後に、距離に基づいて予測画素に対して分類を行い、そして、異なる予測画素について異なるフィルターを選択して補間フィルタリング処理を行うことができる。
【0091】
本出願の1つの実施例において、画素座標系では、予測画素の座標が(x0,y0)であり、参照画素の座標が(x1,y1)であり、予測ユニットの左上角の1番目の画素の座標が(x2,y2)であるとする。前述のフィルタリングパラメータにおける距離閾値TDが小から大へと順次
【0092】
【数22】

と並べ替えられる場合、予測画素と参照画素との間の距離に基づいて予測画素を複数のクラス
【0093】
【数23】

に分類し、そのうち、クラスDxに属する予測画素と参照画素との間の距離はtdx-1よりも大きく、かつtdx以下であり、即ち、xが小さいほど、Dxに属する予測画素と参照画素との間の距離が近くなる(小さくなる)。
【0094】
本出願の1つの実施例において、参照画素までの距離が比較的近い予測画素について、平滑度が比較的低いフィルターを使用することができ;参照画素までの距離が比較的遠い(比較的大きい)予測画素について、平滑度が比較的高いフィルターを使用することができる。
【0095】
本出願の1つの実施例において、参照画素までの距離が比較的近い予測画素について、tap数が比較的少ないフィルターを使用することができ;参照画素までの距離が比較的遠い予測画素について、tap数が比較的多いフィルターを使用することができる。
【0096】
例えば、1つの具体例において、予測ユニットのフィルタリングパラメータが
【0097】
【数24】

であり、予測ユニット内のすべての予測画素の参照画素が何れも予測ユニットの上側に位置し、かつ公式
【0098】
【数25】

に基づいて予測画素と参照画素との間の距離を計算する場合、予測ユニット内の第一行、第二行及び他の行の予測画素をクラス
【0099】
【数26】

に分けることができ、クラスDxに属する予測画素について、対応するフィルターfxを使用して補間フィルタリングを行い、予測値を生成する。
【0100】
本出願の上述の実施例の技術案は、予測ユニットのサイズ、予測モードなど、及び予測待ち画素点の位置情報に基づいて、異なるサブ画素補間フィルターを適応的に選択することができるため、イントラ予測時のサブ画素補間予測の正確性の向上に役たち、圧縮パフォーマンス及び復号効率を向上させることができる。
【0101】
以下、本出願の装置の実施例を説明し、それは本出願の上述の実施例におけるイントラ予測のための補間フィルタリング方法を実行するために用いられ得る。なお、本出願の装置の実施例に未披露の細部については、本出願の上述のイントラ予測のための補間フィルタリング方法の実施例を参照することができる。
【0102】
図6は、本出願の1つの実施例によるイントラ予測のための補間フィルタリング装置のブロック図である。
【0103】
図6に示すように、本出願の1つの実施例によるイントラ予測のための補間フィルタリング装置600は取得ユニット602、第一処理ユニット604及び第二処理ユニット606を含む。
【0104】
そのうち、取得ユニット602は所定予測ユニットに含まれる予測画素の情報を取得し、そして、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを取得し;第一処理ユニット604は前記予測画素と前記予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記距離にマッチしたターゲットフィルターを選択し;第二処理ユニット606は前記ターゲットフィルターにより前記予測画素の第二参照画素に対して補間フィルタリング処理を行い、前記予測画素の予測値を取得するために用いられる。
【0105】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、上述の補間フィルタリング装置600はさらに分類ユニットを含み、それはビデオフレームに含まれる予測ユニットの情報に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類するために用いられ、そのうち、各クラスの予測ユニットは、1組のフィルタリングパラメータに対応し、前記取得ユニット602は、前記所定予測ユニットの属するクラスに対応するフィルタリングパラメータに基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータを決定するように構成される。
【0106】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記分類ユニットは次のように構成され、即ち、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類し;又は、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットが採用するイントラ予測モードに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類し;又は、前記ビデオフレームに含まれる各予測ユニットに隣接する参照画素の特徴に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類する。
【0107】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記分類ユニットが前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することは、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットのサイズに基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを、設定された少なくとも1つのサイズ間隔に対応するクラスに分類することを含み、そのうち、前記予測ユニットのサイズは、予測ユニットの幅と高さの積、予測ユニットの幅と高さの和、予測ユニットの幅、及び予測ユニットの高さのうちの何れか1つを含む。
【0108】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記分類ユニットが前記ビデオフレームに含まれる各予測ユニットに隣接する参照画素の特徴に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することは、前記各予測ユニットに隣接する複数の参照画素に基づいて、前記複数の参照画素の統計的特徴を計算し;及び、前記複数の参照画素の統計的特徴に基づいて、前記ビデオフレームに含まれる予測ユニットを少なくとも1つのクラスに分類することを含む。
【0109】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記複数の参照画素は、画素座標系において前記各予測ユニットの上側に位置する参照画素、及び画素座標系において前記各予測ユニットの左側に位置する参照画素のうちの少なくとも1つを含む。
【0110】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記複数の参照画素の統計的特徴は、前記複数の参照画素の勾配値の分散、前記複数の参照画素の勾配のうちの最大値、前記複数の参照画素の勾配の平均値、前記複数の参照画素の画素値の分散、及び前記複数の参照画素のうちの画素最大値と画素最小値との間の差のうちの任意の1つを含む。
【0111】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記第一処理ユニット604は、計算ユニットであって、前記所定予測ユニットに含まれる各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離を計算するためのもの;分類ユニットであって、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行い、少なくとも1つのクラス予測画素を得るためのもの;選択ユニットであって、各クラスの予測画素と前記第一参照画素との間の距離に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選ぶためのもの;及び、決定ユニットであって、前記各クラスの予測画素に対応するフィルターに基づいて前記ターゲットフィルターを決定するためのものを含む。
【0112】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータには、前記所定予測ユニットに対応する少なくとも1つの距離閾値が含まれ、前記分類ユニットは、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離、及び前記少なくとも1つの距離閾値に基づいて、前記所定予測ユニットに含まれる予測画素に対して分類を行うように構成される。
【0113】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記計算ユニットは、以下の何れか1つの方法により、前記所定予測ユニットに含まれる各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離を計算するように構成され、即ち、
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間のユークリッド距離を計算し、前記ユークリッド距離を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とし;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値を計算し、前記横座標の差の絶対値と前記縦座標の差の絶対値との和を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とし;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値及び縦座標の差の絶対値を計算し、前記横座標の差の絶対値及び前記縦座標の差の絶対値のうちの最小値又は最大値を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とし;
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の横座標の差の絶対値を計算し、前記横座標の差の絶対値を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とし;及び
前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の縦座標の差の絶対値を計算し、前記縦座標の差の絶対値を、前記各予測画素と前記各予測画素の第一参照画素との間の距離とする方法である。
【0114】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記各予測画素の第一参照画素は、前記所定予測ユニットに隣接する再構成後画素、前記所定予測ユニットに隣接し、かつ前記所定予測ユニットの左上方に位置する画素、及び、前記所定予測ユニットが使用する角度予測モードに基づいて前記各予測画素の隣接画素のうちから選択される1つの画素のうちの何れか1つを含み;あるいは、前記所定予測ユニットの左上角の1番目の画素を前記第一参照画素とする。
【0115】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記選択ユニットは、次の少なくとも1つの方法により、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択するように構成され、即ち、距離と、フィルターの平滑化フィルタリング度合いとの間の正の相関関係に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択し;及び、距離と、フィルターに含まれるタップ数との間の正の相関関係に基づいて、前記所定予測ユニットに対応するフィルタリングパラメータのうちから前記各クラスの予測画素に対応するフィルターを選択する方法である。
【0116】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、異なるフィルターに含まれる次のパラメータは完全に同じではなく、即ち、平滑化フィルタリング強度、タップ数、サブ画素位置精度、及びフィルタリング係数精度である。
【0117】
本出願の幾つかの実施例において、前述の技術案によれば、前記第二処理ユニット606はさらに、前記予測画素の予測値を取得した後に、前記予測画素の予測値に基づいて、前記予測画素に対して符号化処理を行い;又は、前記予測画素の予測値に基づいて、前記予測画素に対して復号処理を行うために用いられる。
【0118】
図7は、本出願の実施例の電子装置を実現し得るコンピュータシステムの構成を示す図である。
【0119】
なお、図7に示す電子装置のコンピュータシステム700は1つの例に過ぎず、本出願の実施例の機能及び適応範囲を限定するものではない。
【0120】
図7に示すように、コンピュータシステム700は中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)701を含み、それはリードオンリーメモリ(Read-Only Memory、ROM)702に記憶されたプログラム又は記憶部708からランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)703にロードされたプログラムに基づいて各種の適切な動作及び処理を実行することができ、例えば、上述の実施例に記載の方法を実行することができる。RAM703は、システム操作に必要な各種のプログラム及びデータをさらに記憶することができる。CPU701、ROM702及びRAM703はバス704を介して互いに接続される。入力/出力(Input/Output、I/O)インターフェース705もバス704に接続される。
【0121】
また、次の部品もI/Oインターフェース705に接続され、即ち、キーボード、マウスなどを含む入力部706、陰極線チューブ(Cathode Ray Tube、CRT)、液晶表示器(Liquid Crystal Display、LCD)など及びスピーカーなどを含む出力部707、ハードディスクなどを含記憶部708、並びにLAN(Local
Area Network、ローカルエリアネットワーク)カード、モデムなどのネットワークインターフェースカードを含む通信部709である。通信部709は、例えば、インターネットのようなネットワークを介して通信処理を行う。ドライブ710も必要に応じてI/Oインターフェース705に接続される。取り外し可能な媒体711、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリなどは、ニーズに応じて、ドライブ710にセットされることにより、その中から読み取られたコンピュータプログラムを記憶部708にインストールすることができる。
【0122】
本出願の実施例によれば、フローチャートを参照して説明された上記のプロセスはコンピュータソフトウェアプログラムとして実現され得る。例えば、本出願の実施例はコンピュータプログラムプロダクトを含み、それはコンピュータ可読媒体にキャリー(carry)されるコンピュータプログラムを含み、該コンピュータプログラムはフローチャートに示す方法を実行するためのコンピュータプログラムを含む。このような実施例では、該コンピュータプログラムは通信部709によりネットワークからダウンロード及びインストールすることができ、及び/又は、取り外し可能な媒体711からインストールすることができる。該コンピュータプログラムは中央処理ユニット(CPU)701により実行されるときに、本出願のシステムにおける様々な機能を実行することができる。
【0123】
なお、本出願の実施例に示すコンピュータ可読媒体はコンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体又は両者の任意の組み合わせであっても良い。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電気的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、あるいはそれらの任意の組み合わせであっても良いが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数の導線を有する電気接続、ポータブルコンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、EPROM)、フラッシュメモリ、光ファイバ、ポータブルコンパクト磁気ディスクリードオンリーメモリ(Compact Disc Read-Only Memory、CD-ROM)、光ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、あるいは、これらの任意の適切な組み合わせであり得るが、これらに限られない。本出願の実施例では、コンピュータ可読記憶媒体はプログラムを含む又は記憶する任意の有形媒体であっても良く、該プログラムは、命令実行システム、装置又はデバイスにより使用することができ、又はそれと組み合わせて使用することができる。本出願の実施例では、コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンドに含まれ、又はキャリアの一部として伝播するデータ信号であっても良く、その中にはコンピュータ可読コンピュータプログラムがキャリーされる。このように伝播するデータ信号は、電磁信号、光信号又はこれらの任意の適切な組み合わせを含む様々な形式を採用しても良いが、これらに限定されない。コンピュータ可読信号媒体はさらに、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であっても良く、該コンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスにより使用される又はそれと組み合わせて使用されるプログラムの送信、伝播又は伝送を行うことができる。コンピュータ可読媒体に含まれるコンピュータプログラムは、無線、有線など、又はこれらの任意の適切な組み合わせの方式で、任意の適切な媒体により伝送することができる。
【0124】
図面におけるフローチャート及びブロック図は本出願の各種の実施例のシステム、方法及びコンピュータプログラムプロダクトの実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示している。そのうち、フローチャート又はブロック図における各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表し、これらのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は所定の論理機能を実行し得る1つ又は複数の指令を含む。なお、幾つかの代替としての実現では、ブロックにマークされた機能は図面にマークされた順序とは異なる順序に従って発生しても良い。例えば、接続されている2つのブロックは実際には並列実行されても良く、また、逆の順序に従って実行される場合もあり、これは関わる機能によって決定される。さらに、ブロック図又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行するハードウェアベースの専用システムにより実現することができ、又は、専用ハードウェアとコンピュータ指令の組み合わせにより実現することができる。
【0125】
本出願の実施例に言及されているユニットはソフトウェアの方式で実現されても良く、ハードウェアの方式で実現されても良い。また、説明されたユニットは処理器に構成することもできる。そのうち、これらのユニットの名称はユニット自体を限定しない。
【0126】
もう1つの側面において、本出願はさらにコンピュータ可読媒体を提供し、該コンピュータ可読媒体は上述の実施例に説明された電子装置に含まれても良く、該電子装置に組み立てられずに単独で存在しても良い。上述のコンピュータ可読媒体は1つ又は複数のプログラムをキャリーしており、上述の1つ又は複数のプログラムは1つの該電子装置により実行されるときに、該電子装置に、上述の実施例に記載の方法を実行させる。
【0127】
なお、上記の詳細な説明では、動作実行のための装置の複数のモジュール又はユニットが言及されているが、このような分割は必須ではない。実際の応用にあたって、本出願の実施例に基づいて、上述の2つ又はより多くのモジュール又はユニットの特徴及び機能は1つのモジュール又はユニットに具現化することができる。逆に、上述の1つのモジュール又はユニットの特徴及び機能は、複数のモジュール又はユニットにより具現化されるようにさらに分割することもできる。
【0128】
以上の実施例の説明により、当業者が理解すべきは、ここで説明された例示的な実施例は、ソフトウェアにより実現することができ、ソフトウェアと必要なハードウェアとの組み合わせの方式で実現することもできるということである。よって、本出願の実施例の技術案は、ソフトウェアプロダクトの形式で具現化することができ、該ソフトウェアプロダクトは、不揮発性記憶媒体(CD-ROM、Uディスク、移動ハードディスクなどを含む)に又はネットワーク上で記憶され、計算装置(パーソナルコンピュータ、サーバー、タッチ端末、ネットワーク装置などであっても良い)に、本出願の実施例による方法を実行させるための複数の命令を含み得る。
【0129】
以上、本出願の好ましい実施例を説明したが、本出願はこの実施例に限定されず、本出願の趣旨を離脱しない限り、本出願に対するあらゆる変更は本出願の技術的範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7