(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】人工知能基盤の射出成形システムおよび射出成形システムでの成形条件生成方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B29C45/76
(21)【出願番号】P 2022514961
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(86)【国際出願番号】 KR2020012107
(87)【国際公開番号】W WO2021049848
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0113137
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0105270
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509023012
【氏名又は名称】エル エス エムトロン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS Mtron Ltd.
【住所又は居所原語表記】127, LS-ro, Dongan-gu, Anyang-si, Gyeonggi-do, 14119 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヒョンジェ
(72)【発明者】
【氏名】パク、キョンホ
(72)【発明者】
【氏名】サロブ、アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】リー、スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】リー、チヒョン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-119172(JP,A)
【文献】特開平04-077219(JP,A)
【文献】特開2006-289874(JP,A)
【文献】特開平04-209004(JP,A)
【文献】特開2017-030152(JP,A)
【文献】特開2007-313852(JP,A)
【文献】特開2000-258151(JP,A)
【文献】特開2016-124249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 45/00 - 45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を生産するための溶融状態の第1成形材料が供給される金型をスキャンすることによって、または、前記製品の金型図面を受けることによって、金型情報を生成し、金型に対する前記金型情報から前記金型から生産される前記製品のターゲット規格データを抽出する規格データ抽出部(210);
抽出された前記ターゲット規格データを予め学習された成形条件生成モデル(230)に入力して成形条件を出力する成形条件出力部(220);
前記成形条件に従って前記第1成形材料を前記金型に供給して前記製品を生産する射出成形機(100);および
生産された前記製品の生産規格データと前記ターゲット規格データを比較して前記成形条件の適合の有無を判断する判断部(250)を含み、
前記判断部(250)により前記成形条件が不適合なものと判断されると、前記成形条件出力部(220)は、前記生産規格データと前記成形条件を一つのフィードバックデータセットにして生成し、前記フィードバックデータセットで前記成形条件生成モデル(230)を学習させるものであり、
前記規格データは、前記製品の形状情報および前記製品の重さ情報を含み、
前記形状情報は、
前記製品の全体の体積、前記金型のキャビティ(cavitiy)に対応する部分の体積、前記キャビティに対応する前記部分の個数、前記製品の表面積、前記製品の第1投影面積(XY)、前記製品の第2投影面積(YZ)、前記製品の第3投影面積(ZX)、前記製品の最大厚さ、前記製品の平均厚さ、前記製品の厚さの標準偏差、前記
金型のゲートに対応する部分の直径、前記ゲートから前記製品の末端までの最大流動距離、前記最大流動距離対前記製品の平均厚さの比のうち少なくとも一つを含む、ことを特徴とする、人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項2】
前記成形条件出力部(220)は、
前記成形条件生成モデル(230)を前記フィードバックデータセットで転移学習(Transfer Learning)させることを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項3】
前記成形条件出力部(220)は、前記成形条件生成モデル(230)の学習が完了すると、前記ターゲット規格データを前記成形条件生成モデル(230)に入力して修正された成形条件を出力することを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項4】
前記成形条件生成モデル(230)は、複数個の加重値および複数個のバイアス(bias)に基づいて前記ターゲット規格データにより前記成形条件が出力されるようにするニューラルネットワークで構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項5】
前記成形条件生成モデル(230)を生成するモデル生成部(260)をさらに含み、 前記モデル生成部(260)は、
複数個の学習成形条件と各学習成形条件に従って生産される製品の学習規格データを統合して複数個の学習データセットを生成し、前記複数個の学習データセットでニューラルネットワークを学習させて前記成形条件生成モデル(230)を生成することを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項6】
前記成形条件は、
前記金型の温度、バレルの温度、前記射出成形機の射出速度、前記射出成形機の保圧時間、および前記射出成形機の保圧圧力のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項7】
複数個の成形材料の固相密度が保存された材料物性データベース(215)をさらに含み、
前記規格データ抽出部(210)は、
前記材料物性データベース(215)から複数個の成形材料のうち前記第1成形材料の固相密度を抽出し、前記製品の全体の体積と前記第1成形材料の固相密度を利用して前記製品の重さを算出することを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項8】
生産された前記製品の前記生産規格データを測定する規格データ測定部(240)をさらに含み、
前記規格データ測定部(240)は、
前記金型から生産された前記製品を取り出す取り出しユニット(242);取り出された前記製品を撮影して生成される第1形状情報および前記製品の重さを測定して生成される第1重さ情報を含む前記生産規格データを生成する規格データ生成ユニット(244)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の人工知能基盤の射出成形システム。
【請求項9】
溶融状態の成形材料が供給される金型に対する金型情報から製品の規格となるターゲット規格データを抽出する段階;
抽出された前記ターゲット規格データを予め学習された成形条件生成モデルに入力して成形条件を出力する段階;
前記成形条件に従って前記成形材料を前記金型に供給して製品を生産する段階;
生産された前記製品の生産規格データを測定する段階;
測定された前記生産規格データと前記ターゲット規格データを比較して成形条件の適合の有無を判断する段階;および
前記成形条件の適合の有無の判断結果、前記成形条件が不適合なものと判断すると、不適合な成形条件と前記生産規格データを一つのフィードバックデータセットにして前記成形条件生成モデルを学習させる段階を含むものであり、
前記金型情報は、前記製品を生産するための金型をスキャンすることによって、または、前記製品の金型図面を受けることによって、生成されるものであり、
前記規格データは、前記製品の形状情報および前記製品の重さ情報を含み、
前記形状情報は、
前記製品の全体の体積、前記金型のキャビティ(cavitiy)に対応する部分の体積、前記キャビティに対応する前記部分の個数、前記製品の表面積、前記製品の第1投影面積(XY)、前記製品の第2投影面積(YZ)、前記製品の第3投影面積(ZX)、前記製品の最大厚さ、前記製品の平均厚さ、前記製品の厚さの標準偏差、前記
金型のゲートに対応する部分の直径、前記ゲートから前記製品の末端までの最大流動距離、前記最大流動距離対前記製品の平均厚さの比のうち少なくとも一つを含む、
ことを特徴とする、射出成形システムでの成形条件生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形は、プラスチック製品を製造するにおいて最も広範囲に利用される製造方法である。例えば、テレビ、携帯電話、PDAなどのような製品においてカバー、ケースをはじめとする多様な部品が射出成形を通じて製造され得る。
【0003】
一般的に射出成形を通じての製品の製造は、次のような工程を経てなされる。まず、顔料、安定剤、可塑剤、充填剤などが添加された成形材料をホッパーに投入して溶融状態にする。次に、溶融状態の成形材料を金型内に注入した後に冷却を通じて凝固させる。次に、金型から凝固した成形材料を抽出した後に不要な部分を除去する。このような工程を経て多様な種類および大きさを有する製品が製造される。
【0004】
このような射出成形を遂行する設備として、射出成形機が利用される。射出成形機は溶融状態の成形材料を供給する射出装置、および溶融状態の成形材料を冷却を通じて凝固させる型締装置を含む。
【0005】
射出成形機で製品を製造するためには、温度、速度、圧力、時間などの多様な変数を人が直接設定しなければならず、このため、現場では専門家に対する依存度が高くならざるを得ない限界があり、たとえ多様な変数を専門家が設定するとしても設定する人によって工程条件が大きく異なるため、製品の品質が一定ではない問題が発生し得る。
【0006】
このような問題を解決するためにシミュレーション技法が提案されたことがあるが、シミュレーション技法の場合、一般的な計算環境で約30分~2時間の時間が必要とされるため長い時間が要求されるという問題点があり、実際の実験を正確に模写することもできないため正確度が低いという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述した問題点を解決するためのものであり、短い時間内で高い正確度を有する成形条件を提供できる人工知能基盤の射出成形システムおよび射出成形システムでの成形条件生成方法を提供することをその技術的課題とする。
【0008】
本発明は、ディープラーニング基盤の成形条件生成モデルを利用して成形条件を生成できる人工知能基盤の射出成形システムおよび射出成形システムでの成形条件生成方法を提供することをその技術的課題とする。
【0009】
本発明は、成形条件生成モデルから誤出力される成形条件を追加で学習して、最適の成形条件を提供できる人工知能基盤の射出成形システムおよび射出成形システムでの成形条件生成方法を提供することをその技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の一側面に係る人工知能基盤の射出成形システムは、溶融状態の第1成形材料が供給される金型に対する金型情報から前記金型から生産される製品のターゲット規格データを抽出する規格データ抽出部210;抽出された前記ターゲット規格データを予め学習された成形条件生成モデル230に入力して成形条件を出力する成形条件出力部220;前記成形条件に従って前記第1成形材料を前記金型に供給して前記製品を生産する射出成形機100;および生産された前記製品の生産規格データと前記ターゲット規格データを比較して前記成形条件の適合の有無を判断する判断部250を含み、前記判断部250により前記成形条件が不適合なものと判断されると、前記成形条件出力部220は、前記生産規格データと前記成形条件を一つのフィードバックデータセットにして生成し、前記フィードバックデータセットで前記成形条件生成モデル230を学習させることを特徴とする。
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の他の側面に係る人工知能基盤の射出成形システムの 成形条件生成方法は、溶融状態の成形材料が供給される金型に対する金型情報から製品の規格となるターゲット規格データを抽出する段階;抽出された前記ターゲット規格データを予め学習された成形条件生成モデルに入力して成形条件を出力する段階;前記成形条件に従って前記成形材料を前記金型に供給して製品を生産する段階;生産された前記製品の生産規格データを測定する段階;測定された前記生産規格データと前記ターゲット規格データを比較して成形条件の適合の有無を判断する段階;および前記成形条件の適合の有無の判断結果、前記成形条件が不適合なものと判断すると、不適合な成形条件と前記生産規格データを一つのフィードバックデータセットにして前記成形条件生成モデルを学習させる段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、熟練した専門家がいなくても短い時間内で高い正確度を有する成形条件を提供できるという効果がある。
【0013】
本発明によると、ディープラーニング基盤の成形条件生成モデルを利用して成形条件を生成できるため、成形条件生成モデルの性能を保障することができるという効果がある。
【0014】
本発明は成形条件生成モデルから誤出力される成形条件を追加で学習することによって、漸次成形条件生成モデルの性能が向上し得るため、最適な成形条件を生成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係る人工知能基盤の射出成形システムを示している図面である。
【0016】
【
図2】本発明の一実施例に係る射出成形機の構成を示している図面である。
【0017】
【
図3】固定金型と移動金型が型開されていることを示している図面である。
【0018】
【
図4】移動部によって固定金型と移動金型が型閉されることを示している図面である。
【0019】
【
図5】本発明の一実施例に係る成形条件生成装置の構成を示している図面である。
【0020】
【
図6】本発明の一実施例に係る射出成形システムでの成形条件生成方法を示しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、添付される図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施例に係る人工知能基盤の射出成形システムを示している図面である。
【0023】
本発明に係る人工知能基盤の射出成形システム(10、以下「射出成形システム」という)は、成形材料を利用して最適な成形条件に従って製品を生産する。このために
図1に図示された通り、射出成形システム10は射出成形機100および成形条件生成装置200を含む。
【0024】
本発明に係る射出成形機100は製品を製造するために射出成形を遂行する。
【0025】
図2は、本発明の一実施例に係る射出成形機100の構成を示している図面である。
図1および
図2を参照して射出成形機100についてより具体的に説明する。
【0026】
図1および
図2に図示された通り、本発明に係る射出成形機100は射出装置102および型締装置103を含む。
【0027】
射出装置102は型締装置103に溶融状態の成形材料を供給する。射出装置102はバレル121、バレル121の内部に配置された射出スクリュー122、および射出スクリュー122を駆動させる射出駆動部123を含むことができる。バレル121は第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。第1軸方向(X軸方向)は射出装置102および型締装置103が互いに離隔した方向に対して平行な方向であり得る。バレル121の内部に成形材料が供給されると、射出駆動部123は射出スクリュー122を回転させることによってバレル121の内部に供給された成形材料を第1方向(FD矢印方向)に移動させることができる。この過程で、成形材料は摩擦および加熱によって溶融し得る。第1方向(FD矢印方向)は射出装置102から型締装置103に向かう方向であって、第1軸方向(X軸方向)に対して平行な方向であり得る。溶融状態の成形材料が射出スクリュー122に対して第1方向(FD矢印方向)側に位置すると、射出駆動部123は射出スクリュー122を第1方向(FD矢印方向)に移動させることができる。これに伴い、溶融状態の成形材料はバレル121から型締装置103に供給され得る。
【0028】
型締装置103は溶融状態の成形材料を冷却を通じて凝固させる。型締装置103は固定金型150が結合された固定型板131、移動金型160が結合された移動型板132、および移動型板132を第1軸方向(X軸方向)に沿って移動させる移動部133を含むことができる。
【0029】
図3および
図4は、移動部が固定金型と移動金型を型閉させることを示している図面である。
【0030】
移動部133が移動型板132を第2方向(SD矢印方向)に移動させて移動金型160と固定金型150を型閉させると、射出装置102は移動金型160と固定金型150の内部に溶融状態の成形材料を供給する。第2方向(SD矢印方向)は第1軸方向(X軸方向)に対して平行し、かつ第1方向(FD矢印方向)に対して反対となる方向である。その後、型締装置103が移動金型160と固定金型150の内部に満たされた溶融状態の成形材料を冷却を通じて凝固させると、移動部133は移動型板132を第1方向(FD矢印方向)に移動させることによって移動金型160と固定金型150を型開させる。
【0031】
型締装置103はタイバー134を含むことができる。タイバー134は移動型板132の移動をガイドする。移動型板132はタイバー134に移動可能に結合され得る。移動型板132はタイバー134に沿って第1軸方向(X軸方向)に移動することができる。タイバー134は第1軸方向(X軸方向)に対して平行に配置され得る。タイバー134は固定型板131および移動型板132それぞれに挿入されるように結合され得る。
【0032】
一方、本発明に係る射出成形機100は成形条件生成装置200により生成された成形条件に従って成形材料を型閉された移動金型160と固定金型150に供給して製品を生産する。以下では、移動金型160および固定金型150を金型と記載することにする。
【0033】
成形条件生成装置200は成形条件を生成して射出成形機100に伝達する。この時、成形条件生成装置200は最適な成形条件を生成するために、該当成形条件に従って生産された製品を利用して成形条件が適合であったかどうかを判断する。
【0034】
以下、
図5を参照して本発明に係る成形条件生成装置200についてより具体的に説明する。
【0035】
図5は、本発明の一実施例に係る成形条件生成装置200の構成を示している図面である。
図5に図示された通り、成形条件生成装置200は規格データ抽出部210、成形条件出力部220、成形条件生成モデル230、および判断部250を含む。
【0036】
規格データ抽出部210は金型情報から製品の規格となるターゲット規格データを抽出する。具体的には、規格データ抽出部210は溶融状態の第1成形材料が供給される金型に対する金型情報から、該当金型から生産される製品のターゲット規格データを抽出する。この時、第1成形材料は生産する製品に利用される成形材料を意味する。
【0037】
一実施例において、規格データは形状情報および製品の重さ情報のうち少なくとも一つを含む。
【0038】
一実施例において、形状情報は金型から生産される製品の全体の体積、金型のキャビティ(cavitiy)の体積、キャビティの個数、金型のゲートの個数、製品の表面積、キャビティの表面積、製品の第1投影面積(XY)、製品の第2投影面積(YZ)、製品の第3投影面積(ZX)、製品の最大厚さ、製品の平均厚さ、製品の厚さの標準偏差、ゲートの直径、ゲートから製品の末端までの最大流動距離、最大流動距離対製品の平均厚さの比のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0039】
この時、第1~第3投影面積は製品の各軸面(XY、YZ、ZX)から垂直に投影した面積を意味する。また、ゲートの直径は円形直径または水力直径を意味する。
【0040】
一実施例において、規格データ抽出部210は該当製品を生産するための金型をスキャンして金型情報を生成し、金型情報から製品の形状情報を抽出することができる。このような実施例とは異なり、規格データ抽出部210は製品の金型図面の入力を受けて金型情報を生成し、これから製品の形状情報を抽出してもよい。
【0041】
一実施例において、規格データ抽出部210は材料物性データベース215から複数個の成形材料のうち第1成形材料の固相密度を抽出する。そして、規格データ抽出部210は抽出された第1成形材料の固相密度と製品の全体の体積を利用して製品の重さを抽出することができる。
【0042】
材料物性データベース215には複数個の成形材料の固相密度が保存される。
図5では説明の便宜のために、成形条件生成装置200が材料物性データベース215を含むものとして図示したが、これは一例に過ぎず、材料物性データベース215は成形条件生成装置200と別個の構成で構成されてもよいであろう。
【0043】
成形条件出力部220は、規格データ抽出部210により抽出されたターゲット規格データを予め学習された成形条件生成モデル230に入力して成形条件を出力する。一実施例において、成形条件は金型の温度、バレル121の温度、射出成形機100の射出速度、射出成形機100の保圧時間、および射出成形機100の保圧圧力のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0044】
成形条件出力部220は出力された成形条件を射出成形機100に伝達する。これに伴い、射出成形機100は成形条件に従って第1成形材料を金型に供給して製品を生産することになる。
【0045】
一実施例において、成形条件出力部220は出力された成形条件を利用して製品を生産した結果、該当成形条件が不適合なものと判断される場合、不適合な成形条件で生産された製品の生産規格データと該当成形条件を一つのフィードバックデータセットにして生成する。そして、成形条件出力部220はフィードバックデータセットで成形条件生成モデル230を学習させる。
【0046】
一実施例において、成形条件出力部220は成形条件生成モデル230の学習時にフィードバックデータセットで転移学習(Transfer Learning)をさせることができる。
【0047】
成形条件出力部220はフィードバックデータセットを利用した成形条件生成モデル230の学習が完了すると、ターゲット規格データを成形条件生成モデル230に入力して修正された成形条件を出力することができる。
【0048】
このように本発明は、不適合な成形条件で生産された製品の生産規格データと該当成形条件を一つのデータセットにして生成して成形条件生成モデル230を学習させることによって、漸次成形条件生成モデル230の性能が向上し得るだけでなく、これによって自動で最適化された成形条件を探していくことができるため、熟練した専門家がいなくても最高品質の製品を生産することができるという効果がある。
【0049】
成形条件生成モデル230は、成形条件出力部220を通じてターゲット規格データが入力されると、それに従う成形条件を生成する。成形条件生成モデル230は成形条件出力部220により学習され得る。特に、本発明に係る成形条件生成モデル230は、成形条件出力部220により出力された成形条件を利用して製品を生産した結果、該当成形条件が不適合なものと判断される場合、不適合な成形条件に従って生産された製品の生産規格データと該当成形条件を一つのフィードバックデータセットにして追加で学習され得る。
【0050】
一実施例において、成形条件生成モデル230は複数個の加重値および複数個のバイアス(bias)に基づいてターゲット規格データによって成形条件が出力され得るようにするニューラルネットワークであり得る。このような実施例に従う場合、成形条件生成モデル230はANN(Artificial Neural Network)アルゴリズムで具現され得る。
【0051】
判断部250は、成形条件出力部220により出力された成形条件を利用して生産された製品の生産規格データと、規格データ抽出部210により抽出されたターゲット規格データと、を比較して成形条件の適合の有無を判断する。具体的には、判断部250は生産規格データがターゲット規格データから予め定められた基準範囲を逸脱すると、該当成形条件を不適合なものと判断する。また、判断部250は生産規格データがターゲット規格データから予め定められた基準範囲内であれば、該当成形条件を適合なものと判断する。
【0052】
例えば、判断部250は生産規格データに含まれた製品の重さが100gと測定され、ターゲット規格データに含まれた製品の重さが90gと抽出され、基準範囲が5gであれば、生産規格データの重さがターゲット規格データの重さから基準範囲を外れるため、該当成形条件を不適合なものと判断する。
【0053】
判断部250は成形条件が不適合なものと判断すると、射出成形機100に停止命令を伝達する。これに伴い、射出成形機100は製品の生産を停止する。また、判断部250は成形条件が不適合なものと判断すると、成形条件出力部220にフィードバック学習命令を伝送する。これに伴い、成形条件出力部220は不適合な成形条件と生産規格データを一つのフィードバックデータセットにして成形条件生成モデル230を学習させる。
【0054】
一方、本発明に係る成形条件生成装置200は
図5に図示された通り、規格データ測定部240およびモデル生成部260を追加で含むことができる。
【0055】
規格データ測定部240は射出成形機100から生産される製品の生産規格データを測定する。このために、
図5に図示された通り、規格データ測定部240は取り出しユニット242および規格データ生成ユニット244を含む。
【0056】
取り出しユニット242は金型から生産された製品を取り出す。例えば、取り出しユニット242は多関節取り出しロボットであり得る。
【0057】
規格データ生成ユニット244は取り出された製品から生産規格データを生成する。具体的には、規格データ生成ユニット244は製品を撮影して第1形状情報を生成し、製品の重さを測定して第1重さ情報を生成し、第1形状情報および第2重さ情報を含む生産規格データを生成する。この時、規格データ生成ユニット244は第1形状情報を生成するためにビジョンシステム(図示されず)で具現され得る。
【0058】
一実施例において、製品の第1形状情報は製品の全体の体積、金型のキャビティ(cavitiy)に対応する部分の体積、キャビティに対応する部分の個数、金型のゲートに対応する部分の個数、製品の表面積、製品の第1投影面積(XY)、製品の第2投影面積(YZ)、製品の第3投影面積(ZX)、製品の最大厚さ、製品の平均厚さ、製品の厚さの標準偏差、ゲートに対応する部分の直径、ゲートに対応する部分から製品の末端までの最大流動距離、最大流動距離対製品の平均厚さの比のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0059】
規格データ生成ユニット244は生成された生産規格データを判断部250に伝達する。
【0060】
モデル生成部260は成形条件生成モデル230を生成する。具体的には、モデル生成部260は複数個の学習データセットを利用してニューラルネットワークを学習させることによって成形条件生成モデル230を生成することができる。
【0061】
モデル生成部260は予め収集された複数個の学習成形条件と各学習成形条件に従って生産される製品の学習規格データを統合して複数個の学習データセットを生成する。この時、学習成形条件は金型の温度、バレル121の温度、射出成形機100の射出速度、射出成形機100の保圧時間、射出成形機100の保圧圧力のうち少なくとも一つを含むことができる。学習規格データは形状情報および製品の重さ情報のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0062】
モデル生成部260は、生成された複数個の学習データセットでニューラルネットワークを学習させることによって成形条件生成モデル230を生成する。
【0063】
一例として、モデル生成部260は予め定められたレイヤ構造を有するニューラルネットワークを学習データセットで学習させて重さ予測システムを構築し、学習データセットを同一の値の領域に変換する最小-最大正規化(Min-Max normalization)を遂行する。この時、学習データセットは形状情報と成形条件からなるn次元入力データと製品の重さ情報からなる1次元出力データに分かれ得る。nは形状情報と成形条件に含まれた情報の数を意味し得る。例えば、形状情報が15個の情報を含み、成形条件が5個の情報を含むと、nは20である。
【0064】
そして、モデル生成部260は入力データと出力データを学習用、検証用、およびテスト用に予め定められた比率によって分配する。モデル生成部260は成形条件生成モデル230の正確度を高めるために、形状情報のうち製品の重さ情報に関連した形状情報を抽出し、これを利用して製品の重さ予測システムを生成することになる。一実施例において、モデル生成部260は形状情報のうち製品の重さ情報に関連した形状情報を抽出するために敏感度分析を遂行できる。
【0065】
一実施例において、モデル生成部260はニューラルネットワークのハイパーパラメータを決定するために、グリッドサーチ(Grid Search)またはランダムサーチ(Random Search)を進行することができる。この時、グリッドサーチは活性化関数、最適化方法、初期化方法に適用され得、ランダムサーチはハイパーパラメータに対して適用され得る。
【0066】
モデル生成部260は生成された重さ予測システムを利用して逆に重さを提示すれば、該当重さに対応する成形条件が導き出されるようにする成形条件生成モデル230を生成する。これに伴い、成形条件生成モデル230は形状情報と重さ情報を入力すれば、該当形状情報による重さ情報が入力されてそれによる成形条件が導き出され得る。
【0067】
一実施例において、モデル生成部260はパーティクルスウォーム最適化(Particle swarm optimization)またはランダムサーチ(random search)を利用して重さ予測システムから成形条件生成モデル260を生成することができる。
【0068】
本発明はモデル生成部260により生成された成形条件生成モデル230を通じて、使用者が射出成形に関する専門的な知識がなくても工程条件を探すことができるようにガイドできるため専門家の依存度が低くなり、該当成形条件生成モデル230がフィードバックデータを利用した追加学習を通じて改良され得るため、さらに高い正確度を確保して無人射出成形システムを基盤として射出分野のスマートファクトリーを構築できるようにするという効果がある。
【0069】
以下、本発明に係る射出成形システムでの成形条件生成方法について
図6を参照して具体的に説明する。この時、本発明に係る射出成形システムでの成形条件生成方法は、
図1に図示された射出成形システムによって遂行され得る。
【0070】
図6は、本発明の一実施例に係る射出成形システムでの成形条件生成方法を示しているフローチャートである。
【0071】
射出成形システム10は金型情報から製品の規格となるターゲット規格データを抽出する(S600)。具体的には、射出成形システム10は溶融状態の第1成形材料が供給される金型に対する金型情報から、該当金型から生産される製品のターゲット規格データを抽出する。この時、第1成形材料は生産する製品に利用される成形材料を意味する。
【0072】
一実施例において、規格データは形状情報および製品の重さ情報のうち少なくとも一つを含む。
【0073】
一実施例において、製品の形状情報は金型から生産される製品の全体の体積、金型のキャビティ(cavitiy)の体積、キャビティの個数、金型のゲートの個数、製品の表面積、キャビティの表面積、製品の第1投影面積(XY)、製品の第2投影面積(YZ)、製品の第3投影面積(ZX)、製品の最大厚さ、製品の平均厚さ、製品の厚さの標準偏差、ゲートの直径、ゲートから製品の末端までの最大流動距離、最大流動距離対製品の平均厚さの比のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0074】
この時、第1~第3投影面積は製品の各軸面(XY、YZ、ZX)から垂直に投影した面積を意味する。また、ゲートの直径は円形直径または水力直径を意味する。
【0075】
射出成形システム10は、材料物性データベース215から複数個の成形材料のうち第1成形材料の固相密度を抽出する。そして、射出成形システム10は抽出された第1成形材料の固相密度と製品の全体の体積を利用して製品の重さを抽出することができる。
【0076】
その後、射出成形システム10は抽出されたターゲット規格データを予め学習された成形条件生成モデル230に入力して成形条件を出力する(S610)。一実施例において、成形条件は金型の温度、バレル121の温度、射出成形機100の射出速度、射出成形機100の保圧時間、および射出成形機100の保圧圧力のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0077】
その後、射出成形システム10は成形条件に従って第1成形材料を金型に供給して製品を生産することになる(S620)。
【0078】
その後、射出成形システム10は生産された製品の生産規格データを測定する(S630)。
【0079】
その後、射出成形システム10は測定された生産規格データとターゲット規格データを比較して成形条件の適合の有無を判断する(S640)。具体的には、また、射出成形システム10は生産規格データがターゲット規格データから予め定められた基準範囲内であれば、該当成形条件を適合なものと判断する(S650)。射出成形システム10は生産規格データがターゲット規格データから予め定められた基準範囲を逸脱すると、該当成形条件を不適合なものと判断する(S660)。
【0080】
射出成形システム10は成形条件が不適合なものと判断すると、製品の生産を中止する。
【0081】
その後、射出成形システム10は成形条件が不適合なものと判断すると、不適合な成形条件と生産規格データを一つのフィードバックデータセットにして成形条件生成モデル230を学習させる(S670)。
【0082】
一実施例において、射出成形システム10は成形条件生成モデル230をフィードバックデータセットで転移学習(Transfer Learning)させることができる。
【0083】
その後、射出成形システム10はフィードバックデータセットを利用した成形条件生成モデル230の学習が完了すると、ターゲット規格データを成形条件生成モデル230に入力して修正された成形条件を出力する。
【0084】
本発明が属する技術分野の当業者は、前述した本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施され得るということが理解され得るであろう。
【0085】
また、本明細書に説明されている方法は少なくとも部分的に、一つ以上のコンピュータプログラムまたは構成要素を使って具現され得る。この構成要素は、揮発性および不揮発性メモリを含むコンピュータ読み取り可能な媒体または機械読み取り可能な媒体を通じて一連のコンピュータ指示語で提供され得る。前記指示語はソフトウェアまたはファームウェアで提供され得、全体的または部分的に、ASICs、FPGAs、DSPs、またはその他の類似素子のようなハードウェア構成に具現されてもよい。前記指示語は一つ以上のプロセッサまたは他のハードウェア構成によって実行されるように構成され得るが、前記プロセッサまたは他のハードウェア構成は前記一連のコンピュータ指示語を実行する時、本明細書に開示された方法および手続きのすべてまたは一部を遂行したり遂行できるようにする。
【0086】
したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないものと理解されるべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および範囲そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態は本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。