(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】改良された移動防止特性を有するステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/848 20130101AFI20231228BHJP
【FI】
A61F2/848
(21)【出願番号】P 2022528600
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 US2020060839
(87)【国際公開番号】W WO2021101861
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フォラン、マーティン ジー.
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0099589(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0280166(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0338846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/848
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体管腔内の狭窄部にわたるように構成されたステントであって、
該ステントは送達形態と展開形態との間で移行するように構成された管状本体を備え、該管状本体は第1の端部及び第2の端部を有し、
前記展開形態では、
前記管状本体は、前記第1の端部に近接する第1のフランジ部分と、前記第2の端部に近接する第2のフランジ部分と、前記第1のフランジ部分から前記第2のフランジ部分まで延びるサドル部分とを画定し、
前記管状本体は、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる全長をさらに画定し、
前記サドル部分は外径を有し、前記第1のフランジ部分が第1の外径を有し、前記第2のフランジ部分が第2の外径を有し、
前記第1の外径が、前記サドル部分の前記外径よりも大きく、
前記第2の外径が、前記サドル部分の前記外径よりも大きく、
前記サドル部分の長手方向長さが、前記管状本体の前記全長の少なくとも50%である、
ステントにおいて、
前記展開形態では、
前記第1のフランジ部分が前記第1の端部に近接する第1のフランジと、前記第1のフランジから前記第2の端部に向かって長手方向に離隔する第2のフランジとを備え、前記展開形態において、前記第2のフランジは、狭窄部に隣接して本ステントを固定するべく、当該第1のフランジと当該第2のフランジとの間に前記体管腔の壁の第1の部分を捕捉するために、前記第1のフランジから約5mm~約10mm離れており、
前記第2のフランジ部分が前記第2の端部に近接する第3のフランジと、前記第3のフランジから前記第1の端部に向かって長手方向に離隔する第4のフランジとを備え、前記第4のフランジは、狭窄部に隣接して本ステントを固定するべく、当該第3のフランジと当該第4のフランジとの間に前記体管腔の壁の第2の部分を捕捉するために、前記第3のフランジから約5mm~約10mm離れている、
ことを特徴とするステント。
【請求項2】
前記展開形態では、
前記サドル部分の前記長手方向長さが、前記管状本体の前記全長の少なくとも75%であり、前記第1のフランジ部分が、第1の半径方向内向き力に抵抗するように構成され、前記第2のフランジ部分が、第2の半径方向内向き力に抵抗するように構成され、前記サドル部分が、前記第1の半径方向内向き力及び前記第2の半径方向内向き力よりも小さい第3の半径方向内向き力に抵抗するように構成される、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記展開形態では、前記第1の半径方向内向き力が、前記第2の半径方向内向き力の10%以内である、請求項2に記載のステント。
【請求項4】
前記展開形態では、前記第3の半径方向内向き力が、前記第1の半径方向内向き力又は前記第2の半径方向内向き力の75%未満である、請求項
2に記載のステント。
【請求項5】
前記サドル部分が、前記第1のフランジ部分から前記第2のフランジ部分に向かって延びる第1の半径方向内向きテーパを含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のステント。
【請求項6】
前記展開形態では、前記サドル部分が、前記第2のフランジ部分から前記第1のフランジ部分に向かって延びる第2の半径方向内向きテーパを含む、請求項
5に記載のステント。
【請求項7】
前記展開形態では、前記第2の外径が、前記第1の外径の10%以内である、請求項1~
6のいずれか一項に記載のステント。
【請求項8】
前記展開形態では、前記第2の外径が、前記第1の外径の5%以内である、請求項1~
7のいずれか一項に記載のステント。
【請求項9】
前記管状本体の少なくとも一部が、カバー部材を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載のステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置、並びに医療装置を製造及び/又は使用する方法に関する。より詳細には、本開示は、体内プロテーゼ又はステントの改良された設計に関する。
【背景技術】
【0002】
病状によっては、体管腔(例えば、食道、胆道、気管、消化管、血管系等)が狭窄部形成等により制限されることになる可能性がある。その結果、正常な機能を可能にするために体管腔を切開する必要がある場合がある。体管腔によっては、自己拡張型ステントを用いて治療する場合がある。しかしながら、体管腔によってはまた、ステントの意図しない且つ/又は望ましくない動き又は移動が生じやすい。体管腔内の固定を改善するために意図して一端又は両端にフレアがあるように設計されているステントもある。しかしながら、フレア状端部は、時に、体管腔の穿孔及び/又は狭窄の形成を含む、望ましくない結果をもたらす可能性がある。代替的な体内プロテーゼ又はステントとともに、体内プロテーゼ又はステントを製造及び使用する代替的な方法を提供することが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、食道ステント等のステントは、狭窄部にわたるように構成され、送達形態と展開形態との間で移行するように構成された管状本体を備え得る。管状本体は、第1の端部及び第2の端部を有する。展開形態では、管状本体は、第1の端部に近接する第1のフランジ部分と、第2の端部に近接する第2のフランジ部分と、第1のフランジ部分から第2のフランジ部分まで延びるサドル部分とを画定し得る。展開形態では、管状本体は、第1の端部から第2の端部まで延びる全長をさらに画定し得る。展開形態では、サドル部分は、外径を有することができ、第1のフランジ部分は、第1の外径を有することができ、第2のフランジ部分は、第2の外径を有し得る。展開形態では、第1の外径は、サドル部分の外径よりも大きくし得る。展開形態では、第2の外径は、サドル部分の外径よりも大きくし得る。展開形態では、サドル部分の長手方向長さは、管状本体の全長の少なくとも50%であり得る。
【0004】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第1のフランジ部分は、第1の端部に近接する第1のフランジと、第1のフランジから第2の端部に向かって長手方向に離隔した第2のフランジとから構成され得る。
【0005】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第2のフランジは、約5mm~約10mmだけ第1のフランジから離隔させ得る。
追加的に又は代替的に、展開形態では、第2のフランジ部分は、第2の端部に近接する第3のフランジと、第3のフランジから第1の端部に向かって長手方向に離隔した第4のフランジとから構成され得る。
【0006】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第4のフランジは、約5mm~約10mmだけ第3のフランジから離隔させ得る。
追加的に又は代替的に、展開形態では、第1のフランジ部分は、第1の半径方向内向き力に抵抗するように構成することができ、第2のフランジ部分は、第2の半径方向内向き力に抵抗するように構成することができ、サドル部分は、第1の半径方向内向き力及び第2の半径方向内向き力よりも小さい第3の半径方向内向き力に抵抗するように構成することができる。
【0007】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の10%以内であり得る。
追加的に又は代替的に、展開形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力又は第2の半径方向内向き力の75%未満であり得る。
【0008】
追加的に又は代替的に、展開形態では、サドル部分の長手方向長さは、管状本体の全長の少なくとも75%であり得る。
追加的に又は代替的に、管状本体の少なくとも一部は、カバー部材を含み得る。
【0009】
追加的に又は代替的に、狭窄部にわたるように構成された食道ステントは、送達形態と展開形態との間で移行するように構成された管状本体を備え得る。管状本体は、第1の端部及び第2の端部を有する。展開形態では、管状本体は、第1の端部に近接する第1のフランジ部分と、第2の端部に近接する第2のフランジ部分と、第1のフランジ部分から第2のフランジ部分まで延びるサドル部分とを画定し得る。展開形態では、管状本体は、第1の端部から第2の端部まで延びる全長をさらに画定し得る。展開形態では、サドル部分は、外径を有することができ、第1のフランジ部分は、第1の外径を有することができ、第2のフランジ部分は、第2の外径を有し得る。展開形態では、第1の外径は、サドル部分の外径よりも大きくし得る。展開形態では、第2の外径は、サドル部分の外径よりも大きくし得る。展開形態では、サドル部分は、第1のフランジ部分から第2のフランジ部分に向かって延びる第1の半径方向内向きテーパを含み得る。
【0010】
追加的に又は代替的に、展開形態では、サドル部分は、第2のフランジ部分から第1のフランジ部分に向かって延びる第2の半径方向内向きテーパを含み得る。
追加的に又は代替的に、展開形態では、第1のフランジ部分は、第1の端部に近接する第1のフランジと、第1のフランジから第2の端部に向かって長手方向に離隔した第2のフランジとから構成され得る。
【0011】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第2のフランジは、約5mm~約10mmだけ第1のフランジから離隔させ得る。
追加的に又は代替的に、展開形態では、第2のフランジ部分は、第2の端部に近接する第3のフランジと、第3のフランジから第1の端部に向かって長手方向に離隔した第4のフランジとから構成され得る。
【0012】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第4のフランジは、約5mm~約10mmだけ第3のフランジから離隔させ得る。
追加的に又は代替的に、展開形態では、第2の外径は、第1の外径の10%以内であり得る。
【0013】
追加的に又は代替的に、展開形態では、第2の外径は、第1の外径の5%以内であり得る。
追加的に又は代替的に、管状本体の少なくとも一部は、カバー部材を含み得る。
【0014】
追加的に又は代替的に、体管腔内で狭窄部を治療する方法は、体管腔内においてステントを送達形態で位置決めするステップを含むことができ、ステントのサドル部分が狭窄部にわたり、第1のフランジ部分が狭窄部の近位側にあり、第2のフランジ部分が狭窄部の遠位側にある状態で、ステントが位置決めされ得る。本方法は、ステントを送達形態から展開形態に移行させるステップをさらに含み得る。展開形態では、第1のフランジ部分は、サドル部分の外径よりも大きい第1の外径を有し得る。展開形態では、第2のフランジ部分は、サドル部分の外径よりも大きい第2の外径を有し得る。展開形態では、第1のフランジ部分の第1のフランジと第1のフランジから長手方向に離隔した第1のフランジ部分の第2のフランジとは、それらの間に体管腔の壁の第1の部分を捕捉して、狭窄部に隣接してステントを固定し得る。展開形態では、第2のフランジ部分の第3のフランジと第3のフランジから長手方向に離隔した第2のフランジ部分の第4のフランジとは、それらの間に体管腔の壁の第2の部分を捕捉して、狭窄部に隣接してステントを固定し得る。
【0015】
いくつかの実施形態、態様及び/又は例の上記概要は、本開示の各開示する実施形態又はすべての実施態様を記載するようには意図されていない。以下の図面及び詳細な説明(発明を実施するための形態)は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0016】
本開示は、添付図面に関連して以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】体管腔内の狭窄部を治療する方法の態様を示す図。
【
図5】体管腔内の狭窄部を治療する方法の態様を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の態様は、さまざまな変形形態及び代替形態が可能であるが、その特定のものについて、図面に例として示すとともに、以下詳細に説明する。しかしながら、その意図は、本開示の態様を記載する特定の実施形態に限定することではないことが理解されるべきである。逆に、本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての変更形態、均等物及び代替形態を包含することを意図している。
【0019】
以下の説明は、必ずしも正確な縮尺ではない図面を参照して読むべきであり、図面では、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の要素を示している。詳細な説明及び図面は、請求項に係る発明を限定するのではなく例示するように意図されている。当業者であれば、記載及び/又は図示するさまざまな要素は、本開示の範囲から逸脱することなくさまざまな組合せ及び構成で配置され得ることを理解するであろう。詳細な説明及び図面は、請求項に係る発明の実施形態例を例示する。
【0020】
以下の定義する用語について、特許請求の範囲又は本明細書の他の場所において異なる定義がなされていない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書では、明示的に示されているか否かに関わらず、すべての数値は、「約」という用語によって修飾されているものと想定する。数値の文脈における「約」という用語は、概して、当業者が列挙された値に等価であるとみなす(例えば、同じ機能又は結果を有する)数字の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数字を含む可能性がある。(例えば、数値以外の文脈における)「約」という用語の他の使用は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され且つ文脈に一貫するような、それらの通常の慣習的な定義を有するものと想定され得る。
【0021】
端点による数値範囲の記述は、それら端点を含むその範囲内のすべての数字を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4及び5を含む)。
さまざまな構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの好適な寸法、範囲及び/又は値を開示するが、本開示によって示唆を受ける当業者は、所望の寸法、範囲及び/又は値が明示的に開示されているものから外れる場合があることを理解するであろう。
【0022】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合の単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」は、内容に別段明白な指示がない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合の「又は」と言う用語は、内容に別段明白な指示がない限り、概して、「及び/又は」を含む意味で採用されている。理解を容易にするために、本開示のいくつかの特徴は、開示する実施形態内で複数であるか又は繰返し発生する場合があっても、単数で記載されている場合があることに留意されたい。特徴の各事例は、明確に特段の記載がない限り、単数形の開示を含み且つ/又は単数形の開示に包含され得る。簡単のために且つ明確にするために、開示する発明の全ての要素が、必ずしも各図に示されているか又は以下に詳細に考察されているとは限らない。しかしながら、以下の考察は、明確に特段の記載がない限り、2つ以上が存在する構成要素のうちの任意のもの及び/又はすべてに等しく適用され得ることが理解されよう。さらに、明確にするために、各図には、いくつかの要素又は特徴のすべての事例が示されていない場合がある。
【0023】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形等の相対的な用語は、概して、装置の使用者/操作者/操縦者に対するさまざまな要素の位置決め、方向及び/又は動作に関して考慮され得るものであり、「近位」及び「後退」は、使用者に近い方又は向かうことを示すか又は指し、「遠位」及び「前進」は、使用者から遠い方又は離れることを示すか又は指す。場合により、「近位」及び「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられる可能性があり、こうした場合は、当業者には容易に明らかとなろう。「上流」、「下流」、「流入」及び「流出」等の他の相対的な用語は、体管腔、血管等の管腔内、又は装置内の流体流の方向を指す。「軸方向」、「周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」及び/又はそれらの変形等のさらに他の相対的な用語は、概して、開示する構造又は装置の中心長手方向軸線に対する方向及び/又は向きを指す。
【0024】
「範囲」という用語は、当該範囲又は寸法の前に、述べられているか又は特定されている寸法の最小測定値を意味するように理解され得る「最小」があるか、又は当該範囲又は寸法が「最小」として特定されていない限り、述べられているか又は特定されている寸法の最大測定値を意味するように理解することができる。例えば、「外側範囲」は、外寸を意味すると理解することができ、「半径方向範囲」は、半径方向の寸法を意味すると理解することができ、「長手方向範囲」は、長手方向の寸法を意味すると理解することができる、等である。ある「範囲」は事例ごとに異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、周方向等)、個々の使用の文脈から当業者には明らかとなろう。概して、ある「範囲」は、意図された使用に従って測定されるあり得る最大寸法とみなすことができ、「最小範囲」は、意図された使用に従って測定されるあり得る最小寸法とみなすことができる。事例により、ある「範囲」は、概して、平面及び/又は断面内で対角線方向に測定される場合があるが、特定の文脈から明らかであるように、異なるように(限定されないが、斜めに、半径方向に、周方向に(例えば、弧に沿って)等)測定される場合もある。
【0025】
「モノリシック」及び「一体」という用語は、概して、単一の構造又は基本ユニット/要素から作製されるか又はそうしたものからなる1つの要素又は複数の要素を指すものとする。モノリシック及び/又は一体の要素は、複数の別個の構造又は要素を合わせて組み立てるか又は他の方法で接合することによって作製される構造及び/又は特徴を排除するものとする。
【0026】
明細書中の「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」等への言及は、記載する実施形態が特定の特徴、構造又は特性を含むことができるが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造又は特性を必ずしも含むとは限らないことを示すことに留意されたい。さらに、こうした言い回しは、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は測定について一実施形態に関連して記載する場合、明確に特段の記載がない限り、明示的に記載されているか否かに関わらず、その特定の特徴、構造又は特性を他の実施形態に関連して実施することが、当業者の知識の範囲内にある。すなわち、後述するさまざまな個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていない場合であっても、当業者には理解されるように、他の追加の実施形態を形成するか又は記載する実施形態を捕捉及び/又は拡充するように、互いに組合せ可能又は配置可能であるものとして想定されている。
【0027】
明確にする目的で、明細書及び特許請求の範囲を通して、ある特定の識別するための数値的命名法(例えば、第1の、第2の、第3の、第4の等)を使用して、さまざまな記載する且つ/又は請求項に係る特徴を命名及び/又は識別する場合がある。この数値的命名法は、限定的であるようには意図されておらず、単に例示的であることが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、簡潔且つ明確であるために、それより前に使用された数値的命名法から変更され、外れる場合もある。すなわち、「第1の」要素として識別された特徴が、後に「第2の」要素、「第3の」要素等と称される場合があり、若しくは完全に省略される場合があり、且つ/又は、異なる特徴が「第1の」要素と称される場合がある。各事例における意味及び/又は指定は、当業者には明らかとなろう。
【0028】
図は、体内プロテーゼ又はステントの選択された構成要素及び/又は配置を示す。任意の所与の図において、体内プロテーゼ又はステントのいくつかの特徴は、簡単のために、示されていない場合があり、又は概略的に示されている場合があることが留意されるべきである。体内プロテーゼ又はステントの構成要素のうちのいくつかに関する追加の詳細は、他の図においてより詳細に示されている場合がある。理解を容易にするために、本開示のいくつかの特徴は、開示する実施形態内で複数であるか又は繰返し発生する場合があっても、単数で記載されている場合があることに留意されたい。特徴の各事例は、明確に特段の記載がない限り、単数形の開示を含み且つ/又は単数形の開示に包含され得る。例えば、「フランジ」、「端部」、「フィラメント」又は他の特徴に対する言及は、前記特徴のもの以外のすべての事例及び量を等しく指す場合がある。従って、以下の考察は、明示的に特段の記載がない限り、体内プロテーゼ又はステント内に複数存在する構成要素のうちの任意のもの及び/又はすべてに等しく適用され得ることが理解されよう。さらに、明確にするために、各図にはいくつかの要素又は特徴のすべての事例が示されていない場合がある。
【0029】
図1は、例示のステント(この用語は、「体内プロテーゼ」という用語と同義で使用され得る)を示す。同ステントは、送達形態(例えば、
図4)と展開形態との間で移行するように構成された管状本体100を備え、管状本体100が第1の端部102及び第2の端部104を有する。いくつかの実施形態では、送達形態は、展開形態と比較して、軸方向に長く、且つ/又は半径方向に潰れているか若しくは圧縮されている場合がある。展開形態は、送達形態と比較して軸方向に短く、且つ/又は半径方向に拡張されている場合がある。
【0030】
いくつかの実施形態では、管状本体100は、拡張可能なフレームワークからなり得る。少なくともいくつかの実施形態では、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、自己拡張型であり得る。例えば、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、形状記憶材料から形成し得る。いくつかの実施形態では、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、機械的に拡張可能であり得る。例えば、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、膨張可能なバルーンを用いて、作動部材を用いて、又は他の好適な手段を用いて、拡張可能であり得る。治療部位への送達中、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、送達形態で送達シースのルーメン内に配置し得る。送達シースのルーメンから放出されることにより、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、展開形態に移行し得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、展開形態では、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、第1の端部102に近接する第1のフランジ部分110と、第2の端部104に近接する第2のフランジ部分120と、第1のフランジ部分110から第2のフランジ部分120まで延びるサドル部分130とを画定し得る。サドル部分130は、例えば、全長に沿って一定の外径を有する円筒状部分であり得る。管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、第1の端部102から第2の端部104まで延びる全長108を画定し得る。いくつかの実施形態では、サドル部分130の長手方向長さ138は、管状本体100の全長108の少なくとも50%であってもよい。いくつかの実施形態では、サドル部分130の長手方向長さ138は、管状本体100の全長108の少なくとも75%であってもよい。管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークは、その内部を通って第1の端部102から第2の端部104まで延びる長手方向に向けられたルーメンを画定し得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のフランジ部分110及び第2のフランジ部分120は、サドル部分130と同軸であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のフランジ部分110及び第2のフランジ部分120は、単一の一体構造としてサドル部分130とモノリシックに形成し得る(例えば、サドル部分130を形成する複数の織り合わされたフィラメントは、第1のフランジ部分110全体を通って延びて第1のフランジ部分110を形成し、且つ/又は第2のフランジ部分120全体を通って延びて第2のフランジ部分120を形成する)。いくつかの実施形態では、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、第1のフランジ部分110の近位側に延びる。いくつかの実施形態では、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、第2のフランジ部分120の遠位側に延びる。
【0032】
いくつかの実施形態において、展開形態では、サドル部分130は外径132を有し得る。第1のフランジ部分110は第1の外径112を有し得る。第2のフランジ部分120は第2の外径122を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の外径112は、サドル部分130の外径132よりも大きくし得る。いくつかの実施形態では、第2の外径122は、サドル部分130の外径132よりも大きくし得る。いくつかの実施形態では、第2の外径122は、第1の外径112の約25%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径122は、第1の外径112の約10%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径122は、第1の外径112の約5%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径122は、第1の外径112と等しくてもよい。いくつかの実施形態では、サドル部分130の外径132は、約10mm(ミリメートル)~約30mm、約14mm~約25mm、約16mm~約22mm、又は別の好適な範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の外径112及び/又は第2の外径122は、約20mm~約40mm、約24mm~約35mm、約26mm~約32mm、又は別の好適な範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の端部102における管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの外径は、第2の端部104における管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの外径と実質的に等しくてもよい。他の構成も想定される。
【0033】
いくつかの実施形において、展開形態では、第1のフランジ部分110は、第1の端部102に近接する第1のフランジ114や第1のフランジ114から第2の端部104に向かって長手方向に離隔している第2のフランジ116等、複数の離隔したフランジで構成され得る。第1のフランジ114及び第2のフランジ116は、管状本体100の中心長手方向軸線を横断する向きに向き得る。いくつかの実施形態では、第2のフランジ116は、第1のフランジ114から、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm、約5mm~約10mm、又は別の好適な範囲だけ、長手方向に離隔させ得る。いくつかの実施形態では、第1のフランジ114及び/又は第2のフランジ116は、約1mm~約7mm、約2mm~約6mm、約3mm~約5mm、又は別の好適な範囲の軸方向厚さを有し得る。他の構成も想定される。
【0034】
いくつかの実施形態において、展開形態では、第2のフランジ部分120は、第2の端部104に近接する第3のフランジ124や第3のフランジ124から第1の端部102に向かって長手方向に離隔している第4のフランジ126等、複数の離隔したフランジで構成され得る。第3のフランジ124及び第4のフランジ126は、管状本体100の中心長手方向軸線を横断する向きに向き得る。いくつかの実施形態では、第4のフランジ126は、第3のフランジ124から、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm、約5mm~約10mm、又は別の好適な範囲だけ、長手方向に離隔させ得る。いくつかの実施形態では、第3のフランジ124及び/又は第4のフランジ126は、約1mm~約7mm、約2mm~約6mm、約3mm~約5mm、又は別の好適な範囲の軸方向厚さを有し得る。他の構成も想定される。
【0035】
いくつかの実施形態において、展開形態では、第1のフランジ部分110(並びに/又は第1のフランジ114及び第2のフランジ116)は、第1の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成することができ、第2のフランジ部分120(並びに/又は第3のフランジ124及び第4のフランジ126)は、第2の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成することができ、サドル部分130は、第1の半径方向内向き力及び第2の半径方向内向き力よりも小さい第3の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成し得る。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約25%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約10%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約5%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力の約75%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力の約50%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力は、第3の半径方向内向き力よりも約300%~約500%大きくてもよい。他の構成も想定される。
【0036】
いくつかの実施形態において、展開形態では、管状本体100は外面を画定し得る。該外面は、第1の端部から始まって、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、及び長手方向を経て、第2の端部まで連続的に延び得る。言い換えれば、各フランジは、互いに長手方向に離隔した第1の半径方向に延びる壁部分及び第2の半径方向に延びる壁部分を含むことができ、それらの間にわたる先端湾曲領域が当該フランジの外側範囲にあり、第1の半径方向に延びる壁部分は、中心長手方向軸線からフランジの外側範囲まで半径方向外向きに延び、第2の半径方向に延びる壁部分は、フランジの外側範囲から中心長手方向軸線に向かって半径方向内向きに延びている。他の構成も想定される。
【0037】
いくつかの実施形態では、管状本体100は、中心長手方向軸線を中心に織られ、編み組まれ、巻かれ、編まれ、それらの組合せがなされて管状本体100を形成し得る、複数のフィラメント又はワイヤから形成し得る。管状本体100は、例えば、ニチノール若しくはニチノール含有材料、又は他のニッケル-チタン合金等、金属材料の複数のフィラメント又はワイヤを含み得る。いくつかの事例では、フィラメント又はワイヤは、例えば、約0.011インチ(0.2794mm)の直径を有し得る。フィラメント又はワイヤの数及び直径は、同じであっても異なっていてもよい。フィラメント又はワイヤの数及び直径は、限定的ではなく、他の数及び他の直径のフィラメント又はワイヤを好適に使用し得る。望ましくは、偶数のフィラメント又はワイヤ、例えば、約2~約50本のフィラメント又はワイヤ、約6~約40本のフィラメント又はワイヤ、約10~約36本のフィラメント又はワイヤ等を使用し得る。
【0038】
望ましくは、フィラメント又はワイヤは、限定なしに、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)(登録商標)等のコバルト基合金、白金、金、チタン、タンタル、ニオブ、ポリマー材料及びそれらの組合せを含む、任意の好適な移植可能な生体適合性材料から作製される。ポリマーステント材料の有用且つ非限定的な例としては、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン)ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)PLA/PCL)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリ(リン酸エステル)等が挙げられる。ポリマー材料で作製されたフィラメント又はワイヤは、ポリマー材料に組み込むことができる金属系の粉末、粒子又はペースト等の放射線不透過性材料も含み得る。例えば、放射線不透過性材料を、ポリマーフィラメント又はワイヤが形成されるポリマー組成物と混合し、その後、本明細書に記載するような管状本体100に形成し得る。別法として、管状本体100の金属又はポリマーのフィラメント又はワイヤの表面に、放射線不透過性材料を塗布し得る。いずれの実施形態においても、限定なしに、ビスマス、バリウム、及び、硫酸バリウム、タンタル、タングステン、金、白金及びチタン等、その塩を含む、さまざまな放射線不透過性材料並びにそれらの塩及び誘導体を使用し得る。追加の有用な放射線不透過性材料は、米国特許第6,626,936号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。放射線不透過性材料として有用な金属錯体も想定される。管状本体100は、フィラメント又はワイヤに沿った所望の領域で選択的に放射線不透過性にしてもよく、又は完全に放射線不透過性にし得る。
【0039】
いくつかの事例では、フィラメント又はワイヤは、タンタル、金、白金、タングステン、イリジウム又はそれらの組合せの内側コアと、ニチノールの外側部材又は層とを有する複合構造を有して、放射線不透過性又は視認性を向上させる複合ワイヤを提供し得る。1つの例では、内側コアは白金である場合があり、外側層はニチノールである場合がある。白金の内側コアは、全断面の割合に基づいて、フィラメント又はワイヤの少なくとも約10%となる場合がある。さらに、ニチノールをそのマルテンサイト相及びオーステナイト相で加熱、成形及び冷却する等により、形状記憶のために処理されていないニチノールもまた、外層として有用である。こうした複合ワイヤのさらなる詳細は、米国特許第7,101,392号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。フィラメント又はワイヤは、ニチノール、又は白金の中心コア及びニチノールの外層を有する複合フィラメント又はワイヤから作製し得る。さらに、MIG等の溶接工程で必要とされる場合には、充填する溶接材料もまた、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)等のコバルト基合金、白金、金、チタン、タンタル、ニオブ及びそれらの組合せから作製し得る。管状本体100で使用されるのに好適な追加の且つ/又は他の材料については後述する。
【0040】
いくつかの実施形態では、管状本体100は、任意選択的に、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部の上に配置されたポリマーカバー140を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、例えば
図1に示すように、サドル部分130の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、さらに又は別法として、第1のフランジ部分110及び/又は第2のフランジ部分120の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、第1のフランジ部分110、第2のフランジ部分120及びサドル部分130の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの外面の上に且つ/又は外面に沿って配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140に、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークの内面に且つ/又は内面に沿って配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、管状本体100及び/又は拡張可能なフレームワークに動かないように又は解除可能に固定し、接合し、又は他の方法で取り付け得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー140は、流体、残骸、医療器具等に不浸透性であり得る。ポリマーカバー140のいくつかの好適な、ただし非限定的な材料については、後述する。
【0041】
図2は、例示のステント(この用語は、「体内プロテーゼ」という用語と同義で使用され得る)を示す。同ステントは、送達形態(例えば、
図4)と展開形態との間で移行するように構成された管状本体200を備え、管状本体200が第1の端部202及び第2の端部204を有する。いくつかの実施形態では、送達形態は、展開形態と比較して、軸方向に伸長させ、且つ/又は半径方向に潰すか若しくは圧縮し得る。展開形態は、送達形態と比較して軸方向に短縮させ且つ/又は半径方向に拡張させ得る。管状本体200は、言及する任意の具体的な相違を除き、本明細書に記載する管状本体100と同様に構成することができ、且つ/又は同様に機能し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、管状本体200は、拡張可能なフレームワークを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、自己拡張型であり得る。例えば、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、形状記憶材料から形成し得る。いくつかの実施形態では、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、機械的に拡張可能であり得る。例えば、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、膨張可能なバルーンを用いて、作動部材を用いて、又は他の好適な手段を用いて、拡張可能であり得る。治療部位への送達中、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、送達形態で送達シースのルーメン内に配置し得る。送達シースのルーメンから放出されることにより、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、展開形態から移行させ得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、展開形態では、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、第1の端部202に近接する第1のフランジ部分210と、第2の端部204に近接する第2のフランジ部分220と、第1のフランジ部分210から第2のフランジ部分220まで延びるサドル部分230とを画定し得る。管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、第1の端部202から第2の端部204まで延びる全長208を画定し得る。いくつかの実施形態では、サドル部分230の長手方向長さ238は、管状本体200の全長208の少なくとも50%であってもよい。いくつかの実施形態では、サドル部分230の長手方向長さ238は、管状本体200の全長208の少なくとも75%であってもよい。管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、その内部を通って第1の端部202から第2の端部204まで延びる長手方向に向けられたルーメンを画定し得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のフランジ部分210及び第2のフランジ部分220は、サドル部分230と同軸であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のフランジ部分210及び第2のフランジ部分220は、単一の一体構造としてサドル部分230とモノリシックに形成し得る。いくつかの実施形態では、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、第1のフランジ部分210の近位側に延びる。いくつかの実施形態では、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、第2のフランジ部分220の遠位側に延びる。
【0044】
いくつかの実施形態において、展開形態では、サドル部分230は、外径232を有することができ、第1のフランジ部分210は、第1の外径212を有することができ、第2のフランジ部分220は、第2の外径222を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の外径212は、サドル部分230の外径232よりも大きくし得る。いくつかの実施形態では、第2の外径222は、サドル部分230の外径232よりも大きくし得る。いくつかの実施形態では、第2の外径222は、第1の外径212の約25%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径222は、第1の外径212の約10%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径222は、第1の外径212の約5%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径222は、第1の外径212と等しくてもよい。いくつかの実施形態では、サドル部分230の外径232は、約10mm(ミリメートル)~約30mm、約14mm~約25mm、約16mm~約22mm、又は別の好適な範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の外径212及び/又は第2の外径222は、約20mm~約40mm、約24mm~約35mm、約26mm~約32mm、又は別の好適な範囲であり得る。他の構成も想定される。
【0045】
いくつかの実施形態において、展開形態では、サドル部分230は、第1のフランジ部分210から第2のフランジ部分220までテーパ状の円錐形状とし得る。例えば、管状本体200のサドル部分230は、第1のフランジ部分210から第2のフランジ部分220に向かって延びる第1の半径方向内向きテーパ234を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向きテーパ234は、第1のフランジ部分210から第2のフランジ部分220まで延び得る。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向きテーパ234は、第2のフランジ部分220を通過して第2の端部204に向かって且つ/又は第2の端部204まで延び得る。いくつかの実施形態では、第2の端部204における管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの外径は、第1の端部202における管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの外径よりも実質的に小さくし得る。いくつかの実施形態では、第2の端部204における管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの外径は、第1の端部202管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの外径よりも約25%~約50%小さくてもよい。他の構成も想定される。
【0046】
いくつかの実施形において、展開形態では、第1のフランジ部分210は、第1の端部202に近接する第1のフランジ214や第1のフランジ214から第2の端部204に向かって長手方向に離隔している第2のフランジ216等、複数の離隔したフランジで構成され得る。第1のフランジ214及び第2のフランジ216は、管状本体200の中心長手方向軸線を横断する向きに向き得る。いくつかの実施形態では、第2のフランジ216は、第1のフランジ214から、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm、約5mm~約10mm、又は別の好適な範囲だけ、長手方向に離隔させ得る。いくつかの実施形態では、第1のフランジ214及び/又は第2のフランジ216は、約1mm~約7mm、約2mm~約6mm、約3mm~約5mm、又は別の好適な範囲の軸方向厚さを有し得る。他の構成も想定される。
【0047】
いくつかの実施形態において、展開形態では、第2のフランジ部分220は、第2の端部204に近接する第3のフランジ224や第3のフランジ224から第1の端部202に向かって長手方向に離隔している第4のフランジ226等、複数の離隔したフランジで構成され得る。第3のフランジ224及び第4のフランジ226は、管状本体200の中心長手方向軸線を横断する向きに向き得る。いくつかの実施形態では、第4のフランジ226は、第3のフランジ224から、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm、約5mm~約10mm、又は別の好適な範囲だけ、長手方向に離隔させ得る。いくつかの実施形態では、第3のフランジ224及び/又は第4のフランジ226は、約1mm~約7mm、約2mm~約6mm、約3mm~約5mm、又は別の好適な範囲の軸方向厚さを有し得る。他の構成も想定される。少なくともいくつかの実施形態では、第2のフランジ部分220、第3のフランジ224及び/又は第4のフランジ226は、第1のフランジ部分210、第1のフランジ214及び/又は第2のフランジ216よりも大きい距離、サドル部分230から半径方向外向きに延び得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、展開形態では、第1のフランジ部分210(並びに/又は第1のフランジ214及び第2のフランジ216)は、第1の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成することができ、第2のフランジ部分220(並びに/又は第3のフランジ224及び第4のフランジ226)は、第2の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成することができ、サドル部分230は、第1の半径方向内向き力及び第2の半径方向内向き力よりも小さい第3の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成し得る。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約25%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約10%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約5%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力の約75%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力の約50%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力は、第3の半径方向内向き力よりも約300%~約500%大きくてもよい。他の構成も想定される。
【0049】
いくつかの実施形態において、展開形態では、管状本体200は外面を画定し得る。該外面は、第1の端部から始まって、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向きに、半径方向内向きテーパに沿う長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向(少なくともいくつかの実施形態では、半径方向内向きテーパに沿う長手方向)、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向(少なくともいくつかの実施形態では、半径方向内向きテーパに沿う長手方向)を経て、第2の端部まで連続的に延び得る。言い換えれば、各フランジは、互いに長手方向に離隔した第1の半径方向に延びる壁部分及び第2の半径方向に延びる壁部分を含むことができ、それらの間にわたる先端湾曲領域が当該フランジの外側範囲にあり、第1の半径方向に延びる壁部分は、中心長手方向軸線からフランジの外側範囲まで半径方向外向きに延び、第2の半径方向に延びる壁部分は、フランジの外側範囲から中心長手方向軸線に向かって半径方向内向きに延びている。他の構成も想定される。
【0050】
いくつかの実施形態では、管状本体200は、中心長手方向軸線を中心に織られ、編み組まれ、巻かれ、編まれ、それらの組合せがなされて管状本体200を形成し得る、複数のフィラメント又はワイヤから形成し得る。管状本体200は、例えば、ニチノール若しくはニチノール含有材料、又は他のニッケル-チタン合金等、金属材料の複数のフィラメント又はワイヤを含み得る。いくつかの事例では、フィラメント又はワイヤは、例えば、約0.011インチ(0.2794mm)の直径を有し得る。フィラメント又はワイヤの数及び直径は、同じであっても異なっていてもよい。フィラメント又はワイヤの数及び直径は、限定的ではなく、他の数及び他の直径のフィラメント又はワイヤを好適に使用し得る。望ましくは、偶数のフィラメント又はワイヤ、例えば、約2~約50本のフィラメント又はワイヤ、約6~約40本のフィラメント又はワイヤ、約10~約36本のフィラメント又はワイヤ等を使用し得る。
【0051】
望ましくは、フィラメント又はワイヤは、限定なしに、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)(登録商標)等のコバルト基合金、白金、金、チタン、タンタル、ニオブ、ポリマー材料及びそれらの組合せを含む、任意の好適な移植可能な生体適合性材料から作製される。ポリマーステント材料の有用且つ非限定的な例としては、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン)ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)PLA/PCL)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリ(リン酸エステル)等が挙げられる。ポリマー材料で作製されたフィラメント又はワイヤは、ポリマー材料に組み込むことができる金属系の粉末、粒子又はペーストなどの放射線不透過性材料も含み得る。例えば、放射線不透過性材料を、ポリマーフィラメント又はワイヤが形成されるポリマー組成物と混合し、その後、本明細書に記載するような管状本体200に形成し得る。別法として、管状本体200の金属又はポリマーのフィラメント又はワイヤの表面に、放射線不透過性材料を塗布し得る。いずれの実施形態においても、限定なしに、ビスマス、バリウム、及び、硫酸バリウム、タンタル、タングステン、金、白金及びチタン等、その塩を含む、さまざまな放射線不透過性材料並びにそれらの塩及び誘導体を使用し得る。追加の有用な放射線不透過性材料は、米国特許第6,626,936号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。放射線不透過性材料として有用な金属錯体も想定される。管状本体200は、フィラメント又はワイヤに沿った所望の領域で選択的に放射線不透過性にしてもよく、又は完全に放射線不透過性にし得る。
【0052】
いくつかの事例では、フィラメント又はワイヤは、タンタル、金、白金、タングステン、イリジウム又はそれらの組合せの内側コアと、ニチノールの外側部材又は層とを有する複合構造を有して、放射線不透過性又は視認性を向上させる複合ワイヤを提供し得る。1つの例では、内側コアは白金である場合があり、外側層はニチノールである場合がある。白金の内側コアは、全断面の割合に基づいて、フィラメント又はワイヤの少なくとも約10%となる場合がある。さらに、ニチノールをそのマルテンサイト相及びオーステナイト相で加熱、成形及び冷却する等により、形状記憶のために処理されていないニチノールもまた、外層として有用である。こうした複合ワイヤのさらなる詳細は、米国特許第7,101,392号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。フィラメント又はワイヤは、ニチノール、又は白金の中心コア及びニチノールの外層を有する複合フィラメント又はワイヤから作製し得る。さらに、MIG等の溶接工程で必要とされる場合には、充填する溶接材料もまた、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)等のコバルト基合金、白金、金、チタン、タンタル、ニオブ及びそれらの組合せから作製し得る。管状本体200で使用されるのに好適な追加の且つ/又は他の材料については後述する。
【0053】
いくつかの実施形態では、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークは、任意選択的に、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部の上に配置されたポリマーカバー240を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、例えば
図2に示すように、サドル部分230の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、さらに又は別法として、第1のフランジ部分210及び/又は第2のフランジ部分220の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、第1のフランジ部分210、第2のフランジ部分220及びサドル部分230の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの外面の上に且つ/又は外面に沿って配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240に、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークの内面に且つ/又は内面に沿って配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、管状本体200及び/又は拡張可能なフレームワークに動かないように又は解除可能に固定し、接合し、又は他の方法で取り付け得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー240は、流体、残骸、医療器具等に不浸透性であり得る。ポリマーカバー240のいくつかの好適な、ただし非限定的な材料については、後述する。
【0054】
図3は、例示のステント(この用語は、「体内プロテーゼ」という用語と同義で使用され得る)を示す。同ステントは、送達形態(例えば、
図4)と展開形態との間で移行するように構成された管状本体300を備え、管状本体300が第1の端部302及び第2の端部304を有する。いくつかの実施形態では、送達形態は、展開形態と比較して、軸方向に伸長させ、且つ/又は半径方向に潰すか若しくは圧縮し得る。展開形態は、送達形態と比較して軸方向に短縮させ且つ/又は半径方向に拡張させ得る。管状本体300は、言及する任意の具体的な相違を除き、本明細書に記載する管状本体100/200と同様に構成することができ、且つ/又は同様に機能し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、管状本体300は、拡張可能なフレームワークを含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、自己拡張型であり得る。例えば、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、形状記憶材料から形成し得る。いくつかの実施形態では、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、機械的に拡張可能であり得る。例えば、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、膨張可能なバルーンを用いて、作動部材を用いて、又は他の好適な手段を用いて、拡張可能であり得る。治療部位への送達中、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、送達形態で送達シースのルーメン内に配置し得る。送達シースのルーメンから放出されることにより、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、展開形態から移行させ得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、展開形態では、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、第1の端部302に近接する第1のフランジ部分310と、第2の端部304に近接する第2のフランジ部分320と、第1のフランジ部分310から第2のフランジ部分320まで延びるサドル部分330とを画定し得る。管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、第1の端部302から第2の端部304まで延びる全長308を画定し得る。いくつかの実施形態では、サドル部分330の長手方向長さ338は、管状本体300の全長308の少なくとも50%であってもよい。いくつかの実施形態では、サドル部分330の長手方向長さ338は、管状本体300の全長308の少なくとも75%であってもよい。管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、その内部を通って第1の端部302から第2の端部304まで延びる長手方向に向けられたルーメンを画定し得る。少なくともいくつかの実施形態では、第1のフランジ部分310及び第2のフランジ部分320は、サドル部分330と同軸であり得る。少なくともいくつかの実施形態において、第1のフランジ部分310及び第2のフランジ部分320は、単一の一体構造としてサドル部分330とモノリシックに形成し得る。いくつかの実施形態では、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、第1のフランジ部分310の近位側に延びる。いくつかの実施形態では、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部は、第2のフランジ部分320の遠位側に延びる。
【0057】
いくつかの実施形態において、展開形態では、サドル部分330は、外径332を有することができ、第1のフランジ部分310は、第1の外径312を有することができ、第2のフランジ部分320は、第2の外径322を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の外径312は、サドル部分330の外径332よりも大きくし得る。いくつかの実施形態では、第2の外径322は、サドル部分330の外径332よりも大きくし得る。いくつかの実施形態では、第2の外径322は、第1の外径312の約25%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径322は、第1の外径312の約10%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径322は、第1の外径312の約5%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の外径322は、第1の外径312と等しくてもよい。いくつかの実施形態では、サドル部分330の外径332は、約10mm(ミリメートル)~約30mm、約14mm~約25mm、約16mm~約22mm、又は別の好適な範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の外径312及び/又は第2の外径322は、約20mm~約40mm、約24mm~約35mm、約26mm~約32mm、又は別の好適な範囲であり得る。いくつかの実施形態では、第1の端部302における管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの外側半径範囲は、第2の端部304における管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの外側半径範囲と実質的に等しくてもよい。他の構成も想定される。
【0058】
いくつかの実施形態において、展開形態では、サドル部分330は、砂時計形状とし得る。同形状は、第1のフランジ部分310から縮径中央領域まで、及び、第2のフランジ部分320から縮径中央領域までのそれぞれがテーパ状である。例えば、管状本体300のサドル部分330は、第1のフランジ部分310から第2のフランジ部分320に向かって延びる第1の半径方向内向きテーパ334を含み得る。いくつかの実施形態では、管状本体300のサドル部分330は、第2のフランジ部分320から第1のフランジ部分310に向かって延びる第2の半径方向内向きテーパ336を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向きテーパ334及び第2の半径方向内向きテーパ336は、第1のフランジ部分310と第2のフランジ部分320との間に配置されたサドル部分330の縮径くびれ領域333において収束し且つ/又は衝合し得る。いくつかの実施形態では、縮径くびれ領域333は、第1の半径方向内向きテーパ334と第2の半径方向内向きテーパ336との間をサドル部分330の長手方向長さ338の一部に沿って延びる一定直径セクションを含み得る。いくつかの実施形態では、サドル部分330の縮径くびれ領域333は、第1のフランジ部分310及び/又は第2のフランジ部分320における且つ/又はそれに隣接するサドル部分330の外径332よりも、約25%~約50%小さくし得る。他の構成も想定される。
【0059】
いくつかの実施形において、展開形態では、第1のフランジ部分310は、第1の端部302に近接する第1のフランジ314、及び第1のフランジ314から第2の端部304に向かって長手方向に離隔している第2のフランジ316等、複数の離隔したフランジで構成され得る。第1のフランジ314及び第2のフランジ316は、管状本体300の中心長手方向軸線を横断する向きに向き得る。いくつかの実施形態では、第2のフランジ316は、第1のフランジ314から、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm、約5mm~約10mm、又は別の好適な範囲だけ、長手方向に離隔させ得る。いくつかの実施形態では、第1のフランジ314及び/又は第2のフランジ316は、約1mm~約7mm、約2mm~約6mm、約3mm~約5mm、又は別の好適な範囲の軸方向厚さを有し得る。他の構成も想定される。
【0060】
いくつかの実施形態において、展開形態では、第2のフランジ部分320は、第2の端部304に近接する第3のフランジ324、及び第3のフランジ324から第1の端部302に向かって長手方向に離隔している第4のフランジ326等、複数の離隔したフランジで構成され得る。第3のフランジ324及び第4のフランジ326は、管状本体300の中心長手方向軸線を横断する向きに向き得る。いくつかの実施形態では、第4のフランジ326は、第3のフランジ324から、約2mm~約20mm、約4mm~約15mm、約5mm~約10mm、又は別の好適な範囲だけ、長手方向に離隔させ得る。いくつかの実施形態では、第3のフランジ324及び/又は第4のフランジ326は、約1mm~約7mm、約2mm~約6mm、約3mm~約5mm、又は別の好適な範囲の軸方向厚さを有し得る。他の構成も想定される。
【0061】
いくつかの実施形態において、展開形態では、第1のフランジ部分310(並びに/又は第1のフランジ314及び第2のフランジ316)は、第1の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成することができ、第2のフランジ部分320(並びに/又は第3のフランジ324及び第4のフランジ326)は、第2の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成することができ、サドル部分330は、第1の半径方向内向き力及び第2の半径方向内向き力よりも小さい第3の半径方向内向き力が作用する下で、半径方向内向きに潰れることに抵抗するように構成し得る。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約25%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約10%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力は、第2の半径方向内向き力の約5%以内であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力の約75%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の半径方向内向き力は、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力の約50%未満であってもよい。いくつかの実施形態では、第1の半径方向内向き力及び/又は第2の半径方向内向き力は、第3の半径方向内向き力よりも約300%~約500%大きくてもよい。他の構成も想定される。
【0062】
いくつかの実施形態において、展開形態では、管状本体200は外面を画定し得る。該外面は、第1の端部から始まって、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、半径方向内向きテーパに沿う長手方向、半径方向外向きテーパに沿う長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、長手方向、半径方向外向き、Uターンして半径方向内向き、及び長手方向を経て、第2の端部まで連続的に延び得る。言い換えれば、各フランジは、互いに長手方向に離隔した第1の半径方向に延びる壁部分及び第2の半径方向に延びる壁部分を含むことができ、それらの間にわたる先端湾曲領域が当該フランジの外側範囲にあり、第1の半径方向に延びる壁部分は、中心長手方向軸線からフランジの外側範囲まで半径方向外向きに延び、第2の半径方向に延びる壁部分は、フランジの外側範囲から中心長手方向軸線に向かって半径方向内向きに延びている。他の構成も想定される。
【0063】
いくつかの実施形態では、管状本体300は、中心長手方向軸線を中心に織られ、編み組まれ、巻かれ、編まれ、それらの組合せがなされて管状本体300を形成し得る、複数のフィラメント又はワイヤから形成し得る。管状本体300は、例えば、ニチノール若しくはニチノール含有材料、又は他のニッケル-チタン合金等、金属材料の複数のフィラメント又はワイヤを含み得る。いくつかの場合では、フィラメント又はワイヤは、例えば、約0.011インチ(0.2794mm)の直径を有し得る。フィラメント又はワイヤの数及び直径は、同じであっても異なっていてもよい。フィラメント又はワイヤの数及び直径は、限定的ではなく、他の数及び他の直径のフィラメント又はワイヤを好適に使用し得る。望ましくは、偶数のフィラメント又はワイヤ、例えば、約2~約50本のフィラメント又はワイヤ、約6~約40本のフィラメント又はワイヤ、約10~約36本のフィラメント又はワイヤ等を使用し得る。
【0064】
望ましくは、フィラメント又はワイヤは、限定なしに、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)(登録商標)等のコバルト基合金、白金、金、チタン、タンタル、ニオブ、ポリマー材料及びそれらの組合せを含む、任意の好適な移植可能な生体適合性材料から作製される。ポリマーステント材料の有用且つ非限定的な例としては、ポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L-ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(L-ラクチド-co-D,L-ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L-ラクチド-co-グリコリド)(PLLA/PGA)、ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)(PLA/PGA)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)(PGA/PTMC)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHBT)、ポリ(ホスファゼン)ポリ(D,L-ラクチド-co-カプロラクトン)PLA/PCL)、ポリ(グリコリド-co-カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリ(リン酸エステル)等が挙げられる。ポリマー材料で作製されたフィラメント又はワイヤは、ポリマー材料に組み込むことができる金属系の粉末、粒子又はペーストなどの放射線不透過性材料も含み得る。例えば、放射線不透過性材料を、ポリマーフィラメント又はワイヤが形成されるポリマー組成物と混合し、その後、本明細書に記載するような管状本体300に形成し得る。別法として、管状本体300の金属又はポリマーのフィラメント又はワイヤの表面に、放射線不透過性材料を塗布し得る。いずれの実施形態においても、限定なしに、ビスマス、バリウム、及び、硫酸バリウム、タンタル、タングステン、金、白金及びチタン等、その塩を含む、さまざまな放射線不透過性材料並びにそれらの塩及び誘導体を使用し得る。追加の有用な放射線不透過性材料は、米国特許第6,626,936号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。放射線不透過性材料として有用な金属錯体も想定される。管状本体300は、フィラメント又はワイヤに沿った所望の領域で選択的に放射線不透過性にしてもよく、又は完全に放射線不透過性にし得る。
【0065】
いくつかの場合では、フィラメント又はワイヤは、タンタル、金、白金、タングステン、イリジウム又はそれらの組合せの内側コアと、ニチノールの外側部材又は層とを有する複合構造を有して、放射線不透過性又は視認性を向上させる複合ワイヤを提供し得る。1つの例では、内側コアは白金である場合があり、外側層はニチノールである場合がある。白金の内側コアは、全断面の割合に基づいて、フィラメント又はワイヤの少なくとも約10%となる場合がある。さらに、ニチノールをそのマルテンサイト相及びオーステナイト相で加熱、成形及び冷却する等により、形状記憶のために処理されていないニチノールもまた、外層として有用である。こうした複合ワイヤのさらなる詳細は、米国特許第7,101,392号明細書に記載されており、その内容は参照により本明細書に援用される。フィラメント又はワイヤは、ニチノール、又は白金の中心コア及びニチノールの外層を有する複合フィラメント又はワイヤから作製し得る。さらに、MIG等の溶接工程で必要とされる場合には、充填する溶接材料もまた、ニチノール、ステンレス鋼、エルジロイ(Elgiloy)等のコバルト基合金、白金、金、チタン、タンタル、ニオブ及びそれらの組合せから作製し得る。管状本体300で使用されるのに好適な追加の且つ/又は他の材料については後述する。
【0066】
いくつかの実施形態では、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークは、任意選択的に、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの少なくとも一部の上に配置されたポリマーカバー340を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、例えば
図3に示すように、サドル部分330の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、さらに又は別法として、第1のフランジ部分310及び/又は第2のフランジ部分320の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、第1のフランジ部分310、第2のフランジ部分320及びサドル部分330の上に配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの外面の上に且つ/又は外面に沿って配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340に、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークの内面に且つ/又は内面に沿って配置し得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、管状本体300及び/又は拡張可能なフレームワークに動かないように又は解除可能に固定し、接合し、又は他の方法で取り付け得る。いくつかの実施形態では、ポリマーカバー340は、流体、残骸、医療器具等に不浸透性であり得る。ポリマーカバー340のいくつかの好適な、ただし非限定的な材料については、後述する。
【0067】
図4及び
図5は、体管腔10内で狭窄部12を治療する方法の態様を示す。本方法について、本明細書では、管状本体100に関して説明する。しかしながら、当業者であれば、同じ方法及び/ステップを管状本体200及び/又は管状本体300に等しく適用することができ、提供する説明の中でそれらの要素を交換可能に使用及び/又は適用し得ることを理解するであろう。
【0068】
いくつかの実施形態において、本方法は、送達形態にある送達カテーテル50内に管状本体100を含むステントを装填及び/又は位置決めすることを含み得る。送達形態は、管状本体100の長尺状の且つ/又は半径方向に圧縮された形態であり且つ/又はそうした形態を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、本方法は、送達カテーテル50を使用して、体管腔10内でステントを送達形態で位置決めすることを含むことができ、ステントは、例えば
図4に示すように、ステントのサドル部分130が狭窄部12にわたり、第1のフランジ部分110が狭窄部12の近位側にあり、第2のフランジ部分120が狭窄部12の遠位側にある状態で、位置決めされる。本方法は、狭窄部12及び/又は体管腔10から送達カテーテル50を後退させ且つ/又は引き抜いて、狭窄部12において送達形態にあるステント及び/又は管状本体100を解放することをさらに含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、本方法は、ステント及び/又は管状本体100を送達形態から展開形態に移行させることを含み得る。展開形態は、管状本体100の長手方向に短縮した且つ/又は半径方向に拡張した形態であり且つ/又はそうした形態を含み得る。いくつかの実施形態において、展開形態では、第1のフランジ部分110は、サドル部分130の外径よりも大きい第1の外径を有し得る。いくつかの実施形態において、展開形態では、第2のフランジ部分120は、サドル部分130の外径よりも大きい第2の外径を有し得る。少なくともいくつかの実施形態において、展開形態では、サドル部分130は、狭窄部12の長手方向長さ全体にわたり得る。
【0071】
例えば
図5に見ることができるように、いくつかの実施形態において、展開形態では、第1のフランジ部分110の第1のフランジ114と、第1のフランジ114から長手方向に離隔した第1のフランジ部分110の第2のフランジ116とは、それらの間に体管腔10の壁20の第1の部分22を捕捉して、狭窄部12に隣接してステント及び/又は管状本体100を固定し得る。いくつかの実施形態では、体管腔10の壁20の第1の部分22は、第1のフランジ114と第2のフランジ116との間に捕捉されたときに壁20から半径方向内向きに延びる実質的に環状の構造を形成し得る。いくつかの実施形態では、壁20は、展開形態にある第1のフランジ114及び/又は第2のフランジ116によって半径方向外向きに撓む可能性がある。
【0072】
さらに又は別法として、いくつかの実施形態において、展開形態では、第2のフランジ部分120の第3のフランジ124と第3のフランジ124から長手方向に離隔した第2のフランジ部分120の第4のフランジ126とは、それらの間に体管腔10の壁20の第2の部分24を捕捉して、狭窄部12に隣接してステント及び/又は管状本体100を固定し得る。いくつかの実施形態では、体管腔10の壁20の第2の部分24は、第3のフランジ124と第4のフランジ126との間に捕捉されたときに壁20から半径方向内向きに延びる実質的に環状の構造を形成し得る。いくつかの実施形態では、壁20は、展開形態にある第3のフランジ124及び/又は第4のフランジ126によって半径方向外向きに撓む可能性がある。
【0073】
本明細書に開示するステント100/200/300及びそのさまざまな要素のさまざまな構成要素に使用し得る材料としては、一般に医療装置に関連するものを挙げ得る。簡単にする目的で、以下の考察は、ステント100/200/300に言及する。しかしながら、これは、本明細書に記載する装置及び方法を限定するようには意図されておらず、それは、この考察が、限定されないが、拡張可能なフレームワーク、第1のフランジ部分、第2のフランジ部分、サドル部分、ポリマーカバー及び/又はその要素若しくは構成要素等、本明細書に開示する他の要素、部材、構成要素又は装置に適用され得るためである。
【0074】
いくつかの実施形態では、ステント100/200/300及び/又はその構成要素は、金属、合金、ポリマー(そのいくつかの例を後に開示する)、金属-ポリマー複合材、セラミック、それらの組合せ等、又は他の好適な材料から作製し得る。
【0075】
好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社(DuPont)から入手可能なデルリン(DELRIN)(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリング・プラスチックス(DSM Engineering Plastics)から入手可能なアーニテル(ARNITEL)(登録商標))、エーテル又はエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン社(DuPont)から入手可能なハイトレル(HYTREL)(登録商標)等の他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社(Bayer)から入手可能なデュレタン(DURETHAN)(登録商標)又はエルフ・アトケム社(Elf Atochem)から入手可能なクリスタミド(CRISTAMID)(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、例えば、商品名ペバックス(PEBAX)(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス(Marlex)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、レクセル(REXELL)(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、ケブラー(KEVLAR)(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社(EMS American Grilon)から入手可能なグリルアミド(GRILAMID)(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニルデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS50A)、ポリカーボネート、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、エイオーテック・バイオマテリアル社(Aortech Biomaterials)のエラストエオン(ElastEon)(登録商標)又はアドバンソース・バイオマテリアルズ社(AdvanSource Biomaterials)のクロノシル(ChronoSil)(登録商標))、生体適合性ポリマー、他の適切な材料又はこれらの混合物、組合せ、コポリマー、及びポリマー/金属複合材等を挙げ得る。いくつかの実施形態では、シースを液晶ポリマー(LCP)と混合し得る。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含有し得る。
【0076】
好適な金属及び合金のいくつかの例としては、304V、304L、316LVステンレス鋼等のステンレス鋼;軟鋼;線形弾性及び/若しくは超弾性ニチノール等のニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、インコネル(INCONEL)(登録商標)625等のUNS:N06625、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C-22(登録商標)等のUNS:N06022、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)C276(登録商標)、他のハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)合金等のUNS:N10276)、ニッケル銅合金(例えば、モネル(MONEL)(登録商標)400、ニッケルバック(NICKELVAC)(登録商標)400、ニコロス(NICORROS)(登録商標)400等のUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、ハステロイ(HASTELLOY)(登録商標)アロイ(ALLOY)B2(登録商標)等のUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステン若しくはタングステン合金等の他のニッケル合金;コバルトクロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)等のUNS:R30003);白金富化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;これらの組合せ等;又は任意の他の適切な材料を挙げ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金では、ニッケルが約50~約60重量パーセントの範囲であり、残りは本質的にチタンであり得る。いくつかの実施形態では、組成物において、ニッケルは約54~約57重量パーセントの範囲である。好適なニッケル-チタン合金の1つの例は、神奈川県の古河テクノマテリアル株式会社から市販されているFHP-NT合金である。他の好適な材料としては、(ネオ-メトリックス社(Neo-Metrics)から入手可能なウルタニウム(ULTANIUM)TMと、(トヨタから入手可能な)ゴムメタル(GUM METAL)TMとを挙げ得る。他のいくつかの実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用して、所望の特性を達成し得る。
【0078】
少なくともいくつかの実施形態では、ステント100/200/300の一部若しくは全て及び/又はその構成要素は、放射線不透過性材料でドープするか、放射線不透過性材料から作製するか、又は他の方法で放射線不透過性材料を含むこともできる。放射線不透過性材料は、医療処置中にX線透視画面又は別の撮像技法で比較的明るい画像を生成し得る材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、ステント100/200/300の使用者がその位置を決定するのに役立つ。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、限定されないが、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填剤が充填されたポリマー材料等を挙げ得る。さらに、同じ結果を達成するために、ステント100/200/300の設計に、他の放射線不透過性マーカバンド及び/又はコイルも組み込み得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示したステント100/200/300及び/又は他の要素に、ある程度の磁気共鳴画像法(MRI)適合性が与えられる。例えば、ステント100/200/300及び/又はその構成要素若しくは一部は、実質的に画像を歪めず且つ実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)をもたらさない材料から作製し得る。例えば、ある種の強磁性材料は、MRI画像においてアーチファクトをもたらす可能性があるため、適していない場合がある。ステント100/200/300又はその一部は、MRI装置が撮像し得る材料から作製することも可能である。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、エルジロイ(ELGILOY)(登録商標)、フィノックス(PHYNOX)(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)等のUNS:R30035)、ニチノール等が挙げられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示したステント100/200/300及び/又は他の要素は、構造の上に又は中に配置された布(fabric)材料を含み得る。布材料は、組織内部成長を促進するように適合された、ポリマー材料又は生体材料等の生体適合性材料から構成し得る。いくつかの実施形態では、布材料は、生体吸収性材料を含み得る。好適な布材料のいくつかの例としては、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン材料、ポリエステル、ポリウレタン、及び/又はそれらの混合物若しくは組合せを挙げ得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示したステント100/200/300及び/又は他の要素は、織物(textile)材料を含み、且つ/又は織物材料から形成し得る。好適な織物材料のいくつかの例としては、平坦な、成形された、撚られた、織られた、防縮加工した又は未収縮であり得る合繊糸を挙げ得る。本発明での使用に適した合成生体適合性糸としては、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、天然シルク及びポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。さらに、合繊糸の少なくとも1つは、金属糸、又はガラス若しくはセラミック糸若しくは繊維であり得る。有用な金属糸としては、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル又はNi-Co-Cr基合金から作製された、又はそれらを含む糸が挙げられる。糸は、さらに炭素、ガラス又はセラミック繊維を含み得る。望ましくは、糸は、限定されないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレン等を含む熱可塑性材料から作製される。糸は、マルチフィラメント、モノフィラメント又はスパンタイプのものであり得る。選ばれる糸のタイプ及びデニールは、生体適合性且つ移植可能なプロテーゼ、より詳細には、望ましい特性を有する血管構造を形成するように選択し得る。
【0082】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示したステント100/200/300及び/又は他の要素は、好適な治療薬を含み、且つ/又は好適な治療薬で処理し得る。好適な治療薬のいくつかの例としては、抗血栓薬(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)等);抗増殖剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖を阻害し得るモノクローナル抗体、ヒルジン及びアセチルサリチル酸等);抗炎症薬(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン及びメサラミン等);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン及びチミジンキナーゼ阻害剤等);麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン及びロピバカイン等);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板ペプチド);血管細胞成長促進剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写活性化因子及び翻訳促進剤等);血管細胞成長阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害因子、阻害抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素とからなる二官能性分子、抗体と細胞毒素とからなる二官能性分子);コレステロール低下薬;血管拡張剤;内因性血管作用機序を妨害する薬剤を挙げ得る。
【0083】
本開示は、多くの点で、単に例示的であることが理解されるべきである。本発明の範囲を越えることなく、詳細において、特に形状、サイズ、及びステップの配置の事項に関して変更を加え得る。これは、適切な範囲で、使用されている1つの実施形態例の特徴のうちの任意ものを他の実施形態で使用することを含み得る。本発明の範囲は、当然ながら、添付の請求項が表現される文言で定義される。