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  • 特許-ホースクランプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ホースクランプ
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/025 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
F16L33/025
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022528700
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2020082276
(87)【国際公開番号】W WO2021104918
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】19211750.5
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514052379
【氏名又は名称】オエティカ シュヴァイツ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】ベター・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベージガー・マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ウィドリグ・マルクス
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504501(JP,A)
【文献】特開平02-051696(JP,A)
【文献】特開昭61-027386(JP,A)
【文献】特開平01-026089(JP,A)
【文献】特開平07-083368(JP,A)
【文献】特開2000-018460(JP,A)
【文献】米国特許第03789463(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/025
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプバンド(10)を備えるホースクランプであって、前記クランプバンド(10)は、前記ホースクランプを閉じるためのフック(12、19)が配置され、前記ホースクランプが閉じられた状態において互いに重なるバンドセクションと、アウターバンドセクションに配置された、クランプ対象の周りに前記ホースクランプを締め付けるための締め付けデバイス(15)と、を有するホースクランプにおいて、
前記締め付けデバイスは、外向きに突出した2つの脚部と、前記脚部をつなぐバーと、を備え、
前記クランプバンドのインナーバンドセクションに、前記クランプバンドの側縁部間において当該側縁部に対して平行に伸びた少なくとも1つの波形ビード(21)が、前記クランプバンドの長手方向に連なった複数のくぼみとして形成されており、前記波形ビードの少なくとも一部分は、前記クランプバンドが閉じられた状態において前記締め付けデバイスとクランプ対象との間に配置される
ことを特徴とするホースクランプ。
【請求項2】
請求項1記載のホースクランプであって、
前記少なくとも1つの波形ビード(21)は、前記クランプバンドの長手方向に連なった径方向内向きの、前記クランプバンド(10)の複数のくぼみで構成されている、
ことを特徴とするホースクランプ。
【請求項3】
請求項1記載のホースクランプであって、
前記少なくとも1つの波形ビード(21)は、前記クランプバンドの長手方向に連なった径方向外向きの、前記クランプバンド(10)の複数のくぼみで構成されている、
ことを特徴とするホースクランプ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のホースクランプであって、
前記クランプバンドのそれぞれの側縁部に互いに平行に伸びた2つの前記波形ビード(21)はインナーバンドセクション上に配置されている、
ことを特徴とするホースクランプ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のホースクランプであって、
閉じられた状態の前記ホースクランプの内径は、前記重なり合ったバンドセクションのフック(12、19)を用いて、異なる径に調整可能であり、
前記ホースクランプがホースの周りに締め付けられる程度によらず、前記ホースクランプが閉じられた状態において1つまたは複数の前記波形ビードの一部分が前記締め付けデバイス(15)の下に配置されるように、1つまたは複数の前記波形ビードの長さが決定されている、
ことを特徴とするホースクランプ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のホースクランプであって、
径方向内向きまたは径方向外向きに形成された、連続的に伸びた補強ビード(22)によって、1つまたは複数の前記波形ビード(21)が一端または両端において続けられる、
ことを特徴とするホースクランプ。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のホースクランプであって、
前記締め付けデバイス(15)の前記脚部をつなぐバーは、閉じた、内側に凹状の補強ビード(16)を備える、
ことを特徴とするホースクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、パイプニップルにホースを接続するためのホースクランプは、通常、締め付け時に、クランプバンドの内側面がホースとその全周に渡って隙間なく接触するとともにホースとパイプニップルとの間に連続的な表面圧がかかるように、所定の呼び径で設計されている。
【0002】
ホースクランプは、WO2017/005283A1から知られており、径方向外側に突出した2つの脚部とそれらを接続するバーとから形成されたイヤー状の締め付けデバイスがクランプバンドに形成されている。締め付けデバイスを予め変形させることにより、確実に、可能な限りあそびのない状態でホースクランプをホースに取り付けることができるようになる。それから、クランプは、予め変形された締め付けデバイスの弾性抵抗に逆らって引っ張られて塑性変形し、これにより、パイプニップルにホースをしっかりと漏れなく固定することができる。
【0003】
組付け状態では、クランプバンドのアウターセクションは、外側に突出した締め付けデバイスも含んでおり、インナークランプバンドセクションに重なっている。ホースクランプが締め付けられた後、インナークランプバンドセクションの一部分は締め付けデバイスの真下に配置されている。この部分は、アウターバンドセクション内の締め付けデバイスの2つの脚部の間に位置しており、それの2つの隣接部(インナーバンドセクションが、直接隣接するアウターバンドセクションによって補強されている部分)とは異なり、径方向の座屈に対してまたはねじれに対してもあまり保護されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/005283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に係る同等のホースクランプで生じるデメリットを少なくとも部分的に解消するという一般的な目的に基づく。本発明のより具体的な目的は、径方向の曲げまたは他のねじれによるクランプバンドの座屈に対する保護を向上させた、径を調整可能なホースクランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決は、請求項1において特定されるホースクランプにより達成される。これにおいて、クランプバンドのエッジ間においてそれらに平行に伸びた少なくも1つの波形ビードが、クランプバンドを閉じた状態において波形ビードの少なくとも一部分が締め付けデバイスの下に位置するようにクランプバンドのインナーバンドセクションに形成されている。特に、クランプバンドの両側縁部上で互いに平行に伸びた2つの波形ビードはインナーバンドセクション上に配置することができる。
【0007】
クランプバンドの、対応する引っ張りおよび位置決めフックを係合させることによって、装着時にホースクランプの直径を特定の範囲内で調整することができる。いずれの引っ張りおよび位置決めフックを互いに係合させるかに応じて、組付け状態において、クランプバンドの異なる部分が締め付けデバイスの下の位置に到達する。したがって、適切なクランプ直径で締め付けデバイス下の位置に到達するために問題となるすべての部分を含んでいるクランプバンドの領域上に、1つまたは複数の波形ビードを設けることが推奨される。
【0008】
波形ビードは一連の長手方向の波形くぼみとしてクランプバンドの板金に形成されている。これらのくぼみをクランプバンドプレートに径方向内側に垂直に押し込んで、それにより、それらが組み付け時にホース材料に突き出して、締め付け前または締め付け中の両方でホースクランプをホースにしっかりと保持させることは理にかなっている。組み立ておよびその後の操作中、波形ビードは、その波形状で、ホース上のホースクランプのねじれを打ち消す。さらに、波形ビードの個々のくぼみ間の中断部によって、手でクランプバンドを変形することが容易になり、このことは、加工および組み付けにおいて有利である。
【0009】
また、クランプバンドに波形ビードを垂直に径方向外向きに形成し、これによりホースに必要以上の圧力がかかるのを回避することが考えられる。この場合、締め付けデバイスを越えて伸びた1つまたは複数の波形ビードの部分がアウタークランプバンドセクションの内側の面に押し当てられる。したがって、締め付けデバイスに隣接するアウタークランプバンドセクションの部分に、波形ビードを収容するための、外向きに突き出した長手方向の対応ビードを形成することが推奨される。
【0010】
曲げ強度の向上に加え、波形ビードは、引っ張り強度の向上に寄与し、したがって周方向における力の吸収の向上にも寄与するため、ホースクランプ全体の安定性向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下において、本発明の実施形態を、図面を参照しながらより詳細に説明する。ここにおいて、
図1は、閉じた状態の、本発明の実施形態に係るホースクランプの斜視図であり、
図2は、閉じた状態のホースクランプの、別の視野角からのさらなる斜視図であり、
図3は、開いた状態における外側から見た、伸ばされた初期状態のホースクランプを示し、
図4は、開いた状態における内側から見た、伸ばされた初期状態のホースクランプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る、図1および図2に示されたホースクランプは、開放式のクランプバンド10から構成されており、これは、インナークランプバンド端から順に、タン11と、一連の位置決めフック12(図示した例では7つ)と、2つの平行な長手方向切り込みによってクランプバンド10から切り出され、ウエブ(Stege)13によりクランプバンド10の側部に接続されたバンド状円弧部14と、外側に曲げられた一対の脚部およびそれらを接続するとともにビード16により補強されたバー(Steg)を有するいわゆる"オエティカ"イヤーの形態の締め付けデバイス15と、リリースフード17と、を有しており、他方のアウターバンドセクションには、3つの引っ張りフック19およびオープンフード18を有している。
【0013】
このようなホースクランプは、特に、熱可塑性材料、またはショア硬度が高く、かつ変形しにくい他の材料で形成された、例えばカルダンシャフトで用いられるベローズをシールおよび固定するためのものである。
【0014】
使用時には、閉じられた状態でメーカから供給されたホースクランプを、パイプニップルおよびそれを囲むホースなどの、結合すべき部品上に軸方向に押し込まれるか、あるいは、径方向に組み付けるために開いて、結合すべき部品の周りに、タン11がバンド状円弧部14の下にくるように配置する。
【0015】
アウターバンドセクションの3つの引っ張りフック19を、その後、締結すべきそれぞれの可能な限り最小の直径に対応する、インナーバンドセクションの位置決めフック12と係合させる。
【0016】
図示した例においては、3つ引っ張りフック19が設けられている。力および強度の要件に応じて、1つまたは2つの引っ張りフックで十分なこともあるし、3つ以上の引っ張りフック19が必要なこともある。
【0017】
位置決めフック12の数は、適切な範囲のクランプ径変動を実現するために、引っ張りフック19よりも多い。図示された例では、7つの位置決めフック12が設けられている。図1において、ホースクランプは中間の直径で閉じられている。最小の閉じ径では、この場合、7つの位置決めフック12の中央フックがリリースフード17の下にあり、バンドの中央に向って配置された3つの位置決めフック12が3つの引っ張りフック19と係合する。
【0018】
本発明に係るホースクランプは、長手方向に伸びた2つの波形ビード21を備える。波形ビード21は、タン11から最後の位置決めフック12までの領域において、クランプバンドの側縁部10上で互いに平行に伸びている。この領域は、ホースクランプがホースに固定される直径にかかわらず、組み付け状態において、確実に波形ビード21の一部が締め付けデバイス15の下に配置されるように選択される。ホースクランプの構造によっては、波形ビードのための他の領域、特に、より小さなまたはより大きな領域もこの基準を満たし得る。
【0019】
特に図3および図4に示すように、位置決めフック12は、クランプバンド10から切り取られた開放ウインドウ20に配置されている。これは突出部を備えており、この突出部は、締め付けデバイス15から離れる側に向いたそのエッジでクランプバンド10に接続され、クランプバンド10に実質的に平行に伸びている。突出部への移行部には、径方向内向きに、締め付けデバイス15から離れる方向に向いた段差部が形成されている。
【0020】
引っ張りフック19は、それぞれ、径方向内側にドーム状に湾曲しており、位置決めフック12の突出部上に係合する突出部を備えている。オープンフード18は、引っ張りフックの反対側に径方向外向きに形成されており、引っ張りフック19の突出部が位置決めフック12の突出部上に完全に係合できるように、位置決めフック12に必要なスペースを提供する。突出部への移行部には、径方向外向きに、締め付けデバイス15に向かい合う段差部が形成されている。
【0021】
位置決めおよび引っ張りフック12、19の突出部が、互いの上にアウターおよびインナークランプバンドセクションを保持し、一方、ホースクランプが引っ張られると、クランプバンド10の長手方向を横切る引っ張りフック19の横方向の面と、クランプバンド10の長手方向を横切る位置決めフック12の横方向の面との間で力が伝達する。
【0022】
突出部の設計長さによっては、ホースクランプが閉じられた状態において、位置決めフック12の段差部が引っ張りフック19の突出部の自由端に当接することができるとともに、引っ張りフック19の段差部が位置決めフック12の突出部の自由端に当接することができ、これにより、第二の力伝達点が生じて、インナーバンドセクションおよびアウターバンドセクションに配置されたフックを相互に安定させることになる。
【0023】
ホースクランプが閉じられた状態では、位置決めフック12のうちの3つが引っ張りフック19と係合している。要求される密閉状態を確保できるように、引っ張りフックと係合させるための位置決めフックが、ホース直径に応じて選択される。そのタン側では、バンドの内側端部の一部分が締め付けデバイス15の下の位置に達している。クランプバンド10の問題となる部分に設けられた側方の波形ビード21により、締め付けデバイス15の下において、径方向の座屈に対してクランプバンド10が安定する。波形ビード21は、断続的なチャネル形態で設計してもよく、または、一連の個々のビードとして設計してもよい。本実施形態では、クランプバンド10の両側縁部において、それらは、それぞれタンに向かう方向に連続しているチャネル状の補強ビード22(代替的または追加的に、波形ビードを、そのような連続する補強ビードとして、締め付けデバイスに向かう方向に続けることもできる)に合流する。
【0024】
本実施形態では、波形ビード21に加えて、バンド状円弧部14の領域に、連続したチャネル状の側方の補強ビード23が設けられており、これは、タンのためのタンチャネルを形成し、閉じられた状態においてタンを受ける。しばしばバンド状円弧部14の領域に破損が生じるため、追加の補強ビード23がここでバンド状円弧部の安定化に効果的に寄与することができる。
【0025】
本実施形態においては、途切れていない補強ビード22、23が、ホースクランプ全体の安定性に共同して寄与するために位置決めフック12のエリアとバンド状円弧部14のエリアの両方に設けられている。しかし、波形ビード21の他に、補強ビード22のみまたは補強ビード23のみを設けることもあり得る。
【0026】
本実施形態では、引っ張りフック19およびオープンフード18は、さらに、クランプバンド10にプレス加工された補強ビードにより囲まれており、これにより、所定の材料厚さに対する曲げ強度が高まるとともにより大きな力の伝達が可能になる。
【0027】
同様な理由により、位置決めフック12の開放ウインドウ20は、ウインドウ20とクランプバンド10の側縁との間のエンボスにより補強されている。
【符号の説明】
【0028】
10:クランプバンド
11:タン
12:位置決めフック
13:ウエブ(Stege)
14:バンド状円弧部
15:締め付けデバイス
16:ビード
17:リリースフード
18:オープンフード
19:引っ張りフック
20:開放ウインドウ
21:波形ビード
22:補強ビード
23:補強ビード

図1
図2
図3
図4