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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-27
(45)【発行日】2024-01-11
(54)【発明の名称】操縦自在な回転式止血クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20231228BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/94
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022544668
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 US2020065370
(87)【国際公開番号】W WO2021158297
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】62/969,353
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ソラーノ モンテネグロ、エステバン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス フォレロ、ダイアナ カタリーナ
(72)【発明者】
【氏名】バルガス メナ、ハイロ マウリシオ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505521(JP,A)
【文献】特開平08-047498(JP,A)
【文献】米国特許第05762069(US,A)
【文献】特開平09-000528(JP,A)
【文献】特開昭61-170447(JP,A)
【文献】特開平07-051272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0213363(US,A1)
【文献】特開2006-116194(JP,A)
【文献】特開2005-046488(JP,A)
【文献】特表2008-541797(JP,A)
【文献】特開平08-033639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-17/94
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
該装置は、止血クリップ用の第1のアクチュエータを含むハンドルを備え、
該装置は、前記ハンドルから延びる可撓性コイル状シャフトを備え、前記可撓性コイル状シャフトは、内視鏡の作業チャンネルを通過するようなサイズ及び形状にされており、前記可撓性コイル状シャフトの遠位端が前記止血クリップを含み、前記止血クリップを作動させるためにプルワイヤが前記ハンドルから前記止血クリップまで延びており、
該装置は、前記可撓性コイル状シャフトの長手方向軸線に対して前記遠位端を曲げるための第2のアクチュエータを備える操縦機構を備え、該操縦機構は前記可撓性コイル状シャフトの前記遠位端まで延びる第1の操縦用ワイヤを有する第1の操縦ホイールを備え、
前記第2のアクチュエータを回転させることによって、前記第1の操縦ホイールを回転させるとともに前記可撓性コイル状シャフトを曲げるための張力を前記第1の操縦用ワイヤに加え、前記止血クリップ用の前記プルワイヤは、前記遠位端が曲げられているとき、作動可能な状態にある、装置。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータは、前記プルワイヤに結合して前記プルワイヤを前記可撓性コイル状シャフトの前記長手方向軸線に対して相対的に近位側及び遠位側へ動かし、前記プルワイヤを動かすことによって、前記止血クリップを作動させて第1の形態と第2の形態との間で動かす、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータは、摺動自在なスプールである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記操縦機構は、
前記第1の操縦ホイールの底面に固定されて、前記第1の操縦用ワイヤに加わる張力を制限する操縦ストッパ
をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記操縦機構は、
前記止血クリップを所望の位置に保持するためのロック機構
をさらに備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ロック機構は、
ロックノブと、
前記ロックノブから前記第1の操縦ホイールの方へ向かって延びるネジシャフトと、
前記ネジシャフトの端部にあって、前記第1の操縦ホイールにつながる円環状のブレーキ板と
をさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記可撓性コイル状シャフトに堅固に固定された回転ノブ
をさらに備え、
前記回転ノブ及び前記可撓性コイル状シャフトは、前記可撓性コイル状シャフトの前記長手方向軸線の周りで、一緒に回転する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記回転ノブは、
第1の回転ノブ半体と、
第2の回転ノブ半体と
をさらに備え、
前記第1及び第2の回転ノブ半体のそれぞれは、近位端に第1の凹部を有するとともに遠位端に第2の凹部を有し、前記第1の凹部は、前記ハンドルの遠位端を受け入れるようなサイズ及び形状にされるとともに前記第2の凹部は、前記可撓性コイル状シャフトの近位端を受け入れるようなサイズ及び形状にされている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記操縦機構は、
前記可撓性コイル状シャフトの前記遠位端まで延びる第2の操縦用ワイヤを有する第2の操縦ホイールをさらに備え、
前記第2のアクチュエータを回転させることによって、前記第2の操縦ホイールを回転させるとともに前記可撓性コイル状シャフトを曲げるための張力を前記第2の操縦用ワイヤに加え、前記止血クリップ用の前記プルワイヤは、前記遠位端が曲げられているとき、作動可能な状態にある、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の操縦ホイールを作動させることによって前記可撓性コイル状シャフトを第1の方向に曲げるとともに前記第2の操縦ホイールを作動させることによって前記可撓性コイル状シャフトを第2の方向に曲げ、前記第2の方向は前記第1の方向とは反対である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
ロックノブと、
前記ロックノブから前記第2の操縦ホイールの方へ向かって延びるネジシャフトと、
前記ネジシャフトの端部にあって、前記第2の操縦ホイールにつながる円環状のブレーキ板と
をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記円環状のブレーキ板は、前記第2の操縦ホイールの第1の面から突出するホイールリングに密嵌する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の操縦ホイールの第1の面に固定されて、前記第2の操縦用ワイヤ
に加わる張力を制限する操縦ストッパ
をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
装置であって、
該装置は、クリップ用の第1のアクチュエータを含むハンドルを備え、
該装置は、前記ハンドルから延びる可撓性コイル状シャフトを備え、前記可撓性コイル状シャフトの遠位端は前記クリップを含み、前記クリップを作動させるためにプルワイヤが前記ハンドルから前記クリップまで延びており、
該装置は、前記可撓性コイル状シャフトの長手方向軸線に対して前記遠位端を曲げるための第2のアクチュエータを備える操縦機構を備え、該操縦機構は、前記可撓性コイル状シャフトの前記遠位端まで延びる操縦用ワイヤを有する操縦ホイールを備え、
前記第2のアクチュエータを回転させることによって、前記操縦ホイールを回転させるとともに前記可撓性コイル状シャフトを曲げるための張力を前記操縦用ワイヤに加え、前記クリップ用の前記プルワイヤは、前記遠位端が曲げられているとき、作動可能な状態にある、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、止血クリップ、特に、回転自在及び操縦自在な遠位端を備える止血クリップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的な胃腸(GI:gastrointestinal)の処置中、患者は、GI管壁の穿孔のリスクを負い得るか、又は処置の一部としてGI管壁を塞ぐ必要があり得る。止血クリップは、例えば、管腔の穿孔を塞ぐことと共に、粘膜/粘膜下欠損、出血性潰瘍、動脈、ポリープ、又は憩室の止血に使用され得る。患者の一部の解剖学的構造、例えば十二指腸は、その狭さゆえに、前視スコープを使用して治療することが困難であり、且つ、一部の止血クリップシステムは、側視スコープ、例えば十二指腸内視鏡とは互換性がない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、ハンドル、シャフト及び操縦機構を含む、装置に関する。ハンドルは、エンドエフェクタ用の第1のアクチュエータを含む。シャフトはハンドルから延びるとともに内視鏡の作業チャンネルを通過するようなサイズ及び形状にされている。シャフトの遠位端はエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタを作動させるためにプルワイヤがハンドルからエンドエフェクタまで延びる。機構は、シャフトの長手方向軸線に対して遠位端を曲げるための第2のアクチュエータを含む。機構は、シャフトの遠位端まで延びる第1の操縦用ワイヤを有する第1の操縦ホイールを含む。第2のアクチュエータを回転させることによって、第1の操縦ホイールを回転させるとともにシャフトを曲げるための張力を第1の操縦用ワイヤに加え、エンドエフェクタ用のプルワイヤは、遠位端が曲げられているとき、作動可能な状態にある。
【0004】
ある実施形態では、第1のアクチュエータはプルワイヤに結合して、プルワイヤをシャフトの長手方向軸線に対して近位側及び遠位側へと動かす。プルワイヤを動かすことによって、エンドエフェクタを作動させて第1の形態と第2の形態との間で動かす。
【0005】
ある実施形態では、第1のアクチュエータは、摺動自在なスプールである。
ある実施形態では、エンドエフェクタはクリップである。
ある実施形態では、操縦機構は、第1の操縦ホイールの底面に固定されて、第1の操縦用ワイヤに加わる張力を制限する操縦ストッパをさらに含む。
【0006】
ある実施形態では、操縦機構は、エンドエフェクタを所望の位置に保持するためのロック機構をさらに含む。
ある実施形態では、ロック機構は、ロックノブ、ロックノブから第1の操縦ホイールの方へ向かって延びるネジシャフト、及びネジシャフトの端部にあって、第1の操縦ホイールにつながる円環状のブレーキ板をさらに含む。
【0007】
ある実施形態では、装置は、シャフトに堅固に固定された回転ノブをさらに含む。回転ノブ及びシャフトは、シャフトの長手方向軸線の周りで一緒に回転する。
ある実施形態では、回転ノブは、第1の回転ノブ半体、及び第2の回転ノブ半体をさらに含む。第1及び第2の回転ノブ半体のそれぞれは、近位端に第1の凹部を有するとともに遠位端に第2の凹部を有し、第1の凹部は、ハンドルの遠位端を受け入れるようなサイズ及び形状にされるとともに第2の凹部は、シャフトの近位端を受け入れるようなサイズ及び形状にされている。
【0008】
ある実施形態では、操縦機構は、シャフトの遠位端まで延びる第2の操縦用ワイヤを有する第2の操縦ホイールをさらに含む。第2のアクチュエータを回転させることによって、第2の操縦ホイールを回転させるとともにシャフトを曲げるための張力を第2の操縦用ワイヤに加え、エンドエフェクタ用のプルワイヤは、遠位端が曲げられているとき、作動可能な状態にある。
【0009】
ある実施形態では、第1の操縦ホイールを作動させることによってシャフトを第1の方向に曲げるとともに第2の操縦ホイールを作動させることによってシャフトを第2の方向に曲げ、第2の方向は第1の方向とは反対方向である。
【0010】
ある実施形態では、装置は、ロックノブ、ロックノブから第2の操縦ホイールの方へ向かって延びるネジシャフト、及びネジシャフトの端部にあって、第2の操縦ホイールにつながる円環状のブレーキ板をさらに含む。
【0011】
ある実施形態では、円環状のブレーキ板は、第2の操縦ホイールの第1の面から突出するホイールリングに密嵌する。
ある実施形態では、装置は、加えて、第2の操縦ホイールの第1の面に固定されて、第2の操縦用ワイヤに加わる張力を制限する操縦ストッパを含む。本開示はまた、クリップ用の第1のアクチュエータを含むハンドルと、ハンドルから延びるシャフトであって、シャフトの遠位端がクリップを含み、クリップを作動させるためにプルワイヤがハンドルからクリップまで延びるシャフトと、シャフトの長手方向軸線に対して遠位端を曲げるための第2のアクチュエータを含む操縦機構であって、シャフトの遠位端まで延びる操縦用ワイヤを有する操縦ホイールを含む操縦機構とを含む装置に関する。第2のアクチュエータを回転させることによって、操縦ホイールを回転させるとともにシャフトを曲げるための張力を操縦用ワイヤに加え、クリップ用のプルワイヤは、遠位端が曲げられているとき、作動可能な状態にある。加えて、本開示は、方法に関する。該方法は、装置のハンドルから延びるシャフトを、内視鏡の作業チャンネルを通して挿入することであって、装置は、シャフトの遠位端にエンドエフェクタ用の第1のアクチュエータを含むこと、操縦機構の第1の操縦ホイールを、シャフトの長手方向軸線に対して遠位端を曲げるように動作させることによって、ハンドルからエンドエフェクタまで延びるプルワイヤを近位側へ引き寄せることであって、第1の操縦ホイールは、そこからシャフトの遠位端まで延びる第1の操縦用ワイヤに結合されていること、及びプルワイヤを作動させてエンドエフェクタを作動させることを含む。
【0012】
ある実施形態では、エンドエフェクタは、第1のアクチュエータを近位側へ摺動させてエンドエフェクタを第1の形態へ動かし、及び、第1のアクチュエータを遠位側へ摺動させてエンドエフェクタを第2の形態へ動かすことによって、作動される。
【0013】
ある実施形態では、方法は、シャフトに結合された回転ノブを第1の方向に回転させて、シャフトを第1の方向に回転させること、及び回転ノブを第2の方向に回転させて、シャフトを、第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることをさらに含む。
【0014】
ある実施形態では、方法は、操縦機構に結合されたロックノブを作動させて、ロックノブから第1の操縦ホイールの方へ向かって延びるネジシャフトを第1の方向に回転させ、ネジシャフトの端部にあるブレーキ板を第1の操縦ホイールに接触するように位置決めして、シャフトの遠位端を所望の形態にロックすることをさらに含む。
【0015】
ある実施形態では、方法は、ロックノブを、第1の方向とは反対の第2の方向に回転させて、ブレーキ板を第1の操縦ホイールとの接触から外れるように動かし、操縦機構の回転を可能にすることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】遠位端の向きを制御するための回転及び操縦機構を有するクリップ装置を示す図。
図2図1のクリップ装置の側面図。
図3図1のクリップ装置の斜視図。
図4図1のクリップ装置のコイル状シャフトの、クリップに結合する遠位端を示す図。
図5図1のクリップ装置の回転ノブの分解図。
図6図1のクリップ装置の上側操縦ホイールの底面斜視図。
図7図1のクリップ装置の上側操縦ホイールの底面図。
図8図1のクリップ装置の下側操縦ホイールの上面図。
図9】曲がった状態にある図1のクリップ装置の遠位端を示す図。
図10】上側操縦ホイールと係合した、図1のクリップ装置の操縦ストッパを示す図。
図11図1のクリップ装置のRSMの分解図。
図12】回転ノブを除いた、図1のクリップ装置の組立てられたRSMを示す図。
図13a図5の上側回転ノブ半体の内部の図を示す図。
図13b図5の下側回転ノブ半体の内部の図を示す図。
図14図1のクリップ装置の下側操縦ホイールの斜視的な底面図。
図15図1のクリップ装置の下側操縦ホイールの側面の半透視図。
図16】円環状のブレーキ板及び図1の装置のロックノブと一緒に、下側操縦ホイールの側面図。
図17図16のロックノブの上面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、以下の説明及び添付図面を参照してさらに理解され得、図面では、同様の要素には同じ参照符号が付されている。本開示は、クリップを展開するための回転自在及び操縦自在な遠位端を備えるクリップ装置に関する。遠位端は、クリップを側視内視鏡の視野内に持っていくのに十分な程度まで曲げることができる。加えて、全360度の回転性によって、困難な解剖学的構造にアクセスする。装置ハンドルは、回転ノブ及び操縦ノブを備える操縦及び回転機構アクチュエータ(RSM:steering and rotation mechanism actuator)を含み、ハンドルは、クリップのアームの動きを制御するためのアクチュエータをさらに含む。例示的な実施形態では止血クリップ装置について説明しているが、下記で詳細に説明するように、本開示の原理は、他のプルワイヤ作動型エンドエフェクタ装置にも応用され得る。クリップの操縦性によって、クリップを、十二指腸内視鏡及び側視スコープと一緒に使用できるようにする。加えて、前視内視鏡と併用されるときでも、これらのクリップは、他のクリップでは届かないか又はスコープの操作よりもクリップの操縦によって簡単に到達される組織に到達するように、操作可能とし得る。
【0018】
図1は、内視鏡等の挿入装置から延ばされた後、使用者が、装置100の遠位端106の向きを複数(例えば、6)の自由度で制御できるようにする回転及び操縦機構を含む、クリップ装置100を示す。ハンドル102は、例えば、回転ノブ132と、操縦ノブ150と、クリップ120を展開するための摺動自在なスプール112とを含む、アクチュエータを含む。ハンドル102から遠位側へ操縦自在な遠位端106まで延びる可撓性コイル状シャフト104が、その内部に、操縦用及びエンドエフェクタ用プルワイヤを収納するためのルーメンを画成している。この実施形態では、下記で詳細に説明するように、遠位端106は、操縦機構によって、有効角度範囲にわたって曲げることができる。一実施形態では、有効角度範囲は0度~90度であるが、別の実施形態では、有効角度範囲は0度~70度である。
【0019】
ハンドル102は、ハンドル102を把持するために使用者が親指を挿入できるようにするように構成された近位親指用リング108を含む。ハンドルシャフト110は、親指用リング108から遠位側へ延び、及び、摺動自在なスプール112内を通過して、コイル状シャフト104の近位端に結合する。この実施形態では、摺動自在なスプール112は、クリップ機構用のアクチュエータの機能を果たす。摺動自在なスプール112は、プルワイヤ118の近位端に結合され、プルワイヤは、ハンドル102内に設けられたチャンネルを通って遠位側へ、連続してコイル状シャフト104のルーメンを通って延びる。プルワイヤ118は、図4及び図9に示されるような、クリップ120を収納しているカプセル126の近位端に取り付けられたカップリング124(例えば、ブシュ)を通って遠位側へ延び、クリップ120に結合する。それゆえ、ハンドルシャフト110に対してスプール112を動かすことによって、コイル状シャフト104を通してプルワイヤ118を近位側及び遠位側へ動かして、下記で詳細に説明するようにクリップ120を作動させる。米国特許出願第15/589,620号明細書には、内視鏡的処置において使用するための、ブシュ、カプセル及びクリップを含む、例示的なクリップ装置が説明されており、この文献を本願明細書に援用する。
【0020】
プルワイヤ118は、直接又は間接的に、クリップ120に結合される。もって、スプール112を初期の遠位の位置からハンドル102の長手方向軸線に沿って近位側へ摺動させると、プルワイヤ118を近位側へ引き寄せ、カプセルの壁とクリップ120のアームとの間の接触によって両アームを一緒に閉じた組織把持形態へ引き寄せ、クリップ120をカプセル126内に引き入れる。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、クリップ120のアームを閉じるために他のプルワイヤ作動型機構が使用されてもよい。この実施形態では、スプール112は、ハンドルシャフト110に設けられた長手方向スロット内で摺動自在である。
【0021】
ハンドルシャフト110に沿ったスプール112の遠位側への動きによって、プルワイヤ118を遠位側へ動かし、クリップ120をカプセル126から遠位側へ押し出す。この実施形態では、クリップ120のアームは、開いた組織受け入れ形態にバイアスがかかっているため、クリップ120のアームがカプセル126から遠位側へ延出されるとき、クリップアームは、もはやカプセル126によって閉じた組織把持形態へと拘束されることなく、開いた組織受け入れ形態へと互いに広がる。当業者によって理解されるように、本開示の範囲から逸脱することなく、他のクリップアクチュエータを使用してもよい。さらに、上述の通り、他のプルワイヤ作動型エンドエフェクタが、下記で説明する回転及び操縦機構と一緒に使用されてもよい。例えば、エンドエフェクタは、ハサミ、結紮バンド展開等とし得る。
【0022】
回転及び操縦機構アクチュエータ(RSM)130は、ハンドルシャフト110の遠位端から延び、且つ、図2及び図3に示すように、回転ノブ132及び操縦ノブ150を含む。回転ノブ132は、互いにつながれた第1の(上側の)半体132a及び第2の(下側の)半体132bで構成されており、回転ノブ132の近位部分134は、図5に示すように、ハンドルシャフト110の遠位端114の上側に被さってつながれて、それに回転ノブ132を結合しており、これについては下記でさらに説明される。組立て済みの回転ノブ132は、使用者によって把持され、且つ、ハンドル102の長手方向軸線の周りで回転され得る近位部分134と、シャフト104が回転ノブ132と一緒に回転するように、クリンプ箱状体122(下記で説明する)を介して回転ノブ132をコイル状シャフト104に結合する遠位部分138と、下記で説明するように、近位部分134及び遠位部分138につながり、且つ、さらなる装置構成要素を収容するための空間をもたらす中間部分136とを有する。
【0023】
本実施形態では、近位部分の半体134a、134bのそれぞれは、ハンドル102の横断面に対して半円形の断面を有し、且つ、半体134a及び134bは、ハンドルシャフト110の遠位端114に被さって互いにクリップ留めされる。ハンドルシャフト110の遠位端114はシリンダ状であり、シリンダ状リッジ116がその遠位先端にあり、リッジ116の直径は、遠位端114の残りの部分と比べて大きい。凹部140が、回転ノブ132a、132bの近位部分134a、134bのそれぞれの内側面の、回転ノブ132a、132bのそれぞれの遠位端の近くにある凹部半体140a、140bから形成される。凹部140は、ハンドルシャフト110の遠位端114のシリンダ状リッジ116を受け入れるようなサイズ及び形状にされている。近位部分半体134a、134bのそれぞれは、半体134a、134bの相手方へ向かって延びるピン142を有する。
【0024】
回転ノブ半体132a、132bが互いにつながれるとき、図13a~図13bに示すように、各ピン142は、回転ノブ半体132a、132bがスナップ留めするように、対応するピン孔144に挿入される。近位部分半体134a、134bが、ハンドルシャフト110の遠位端114の辺りでスナップ留めされるとき、遠位リッジ116が凹部140に挿入されて、回転ノブ132をハンドル102に対して長手方向に固定する一方で、回転ノブ132をハンドル102の長手方向軸線の周りで回転できるようにする。図13a~図13bは、回転ノブ半体132a、132bのそれぞれに設けられた、1つのピン142及び1つのピン孔144を示すが、当業者は、回転ノブ半体132a、132bのそれぞれが、より多数のピン142、及び対応して、より多数のピン孔144を有してもよいことを理解するであろう。
【0025】
この実施形態では、回転ノブ132の遠位部分半体138a、138bのそれぞれは実質的にシリンダ状の外面を有するが、任意の外形が使用されてもよい。遠位部分半体138a、138bのそれぞれの内側面は、箱状体122を受け入れるようなサイズ及び形状にされた長方形の断面の凹部146a、146bを有し、箱状体122は、コイル状シャフト104の近位端の方へ向かって圧接されている。回転ノブ半体132a、132bがつながれているとき、クリンプ箱状体122は、回転ノブ132の回転がそれと共にコイル状シャフト104を回転させるように、回転ノブ132に対して定位置で保持される。それゆえ、RSM130及びコイル状シャフト104が、ハンドルシャフト110に対して全360度の回転性を有することが理解され得る。
【0026】
要するに、RSM130は、回転ノブ132の近位部分134に設けられたシリンダ状凹部140に受け入れられるハンドルシャフト110のシリンダ状遠位リッジ116を介して、ハンドルシャフト110に結合されて、RSM130がハンドルシャフト110に対して自由に回転できるようにする一方で、コイル状シャフト104は、回転ノブ132の遠位部分138に設けられた長方形の凹部146に受け入れられた、クリンプ箱状体122によって、RSM130に対する回転が固定されるようにする。それゆえ、クリップ120を含む、装置100のコイル状シャフト104及び遠位端106は、回転ノブ132と一致して、一緒に自由に回転されてもよい。下記で説明するように、遠位端106がさらに操縦されるとき、当業者によって理解されるように、操縦不能のスコープでは到達が困難であるか又は不可能である、切除するか又は他の方法で治療されるべき到達困難な解剖学的構造へのアクセスが、遠位端106の回転性によって容易になる。
【0027】
回転ノブ132の中間部分136は、一部において操縦ノブ150のための支持構造として機能し、その複数の要素が、中間部分136の内部及び外部に見られる。各中間部分半体136a、136bは中空のシリンダ状の形状を有し、孔148がその外面及び開口している内面を通って延びているため、つながれたとき、中間部分136は概ね中空のシリンダになり、孔148がその上面及び底面を貫通する。
【0028】
この実施形態では、操縦機構は、図6及び図7に示すような上側操縦ホイール152と、図8に示すような下側操縦ホイール154とを含み、各操縦ホイールは、RSM130からコイル状シャフト104内を通って、図4に示すようにコイル状シャフト104をクリップ120に接続するカップリング124の近位端まで延びるそれぞれの操縦用プルワイヤ156a、156bに結合されている。操縦用ワイヤ156a、156bの一方に、操縦ノブ150によって張力が加えられるとき、コイル状シャフト104は、張力が加えられたワイヤの方向へ曲がるため、装置100の遠位端106は、例えば図9に示すように、装置100の長手方向軸線から離れるように方向付けられる。ワイヤ156a、156bは、コイル状シャフト104の対向する両側面に接着され及び両側面に沿って延び、2つの反対の方向のいずれかの方向に曲げることができるようにする。
【0029】
しかしながら、別の実施形態では、操縦能力と組み合わせられると装置は依然として任意の所望の向き/方向に向けられ及び方向付けられ得るため、単一の方向の曲がりを含む単一の操縦用ワイヤのみを含んでもよい。図4に示すように、クリップ120用のプルワイヤ118は、操縦用プルワイヤ156a、156bとは無関係であり、及びそれらとは無関係に動き得る。下記で詳細に説明するように、操縦機構は、下側操縦ホイール154に固定された操縦ストッパ172を含み、操縦ストッパは、操縦用ワイヤ156a、156bのいずれかに加えられ得る張力を制限する。操縦機構は、加えて、ロックノブ180を含み、ロックノブは、医師がワイヤの張力を、それゆえ遠位端106の曲がりを、一定程度に保つことができるようにする。
【0030】
上側操縦ホイール152は、円環状であり、薄いディスク状本体を有し、その中心に孔が延びており、下記でさらに説明するように、円環体の内側面158は、操縦ノブ150の歯車付セクション170とかみ合う歯車付輪郭を有する。この実施形態の下側操縦ホイール154は、同様にディスク状であるが、貫通孔は有していない。上側操縦ホイール152は、回転ノブ132の中間部分136の上側半体136aの中空内部に配置される一方で、下側操縦ホイール154は、回転ノブ132の中間部分136の下側半体136bの中空内部に配置される。
【0031】
上側操縦ホイール152の下面から延びる2つのピン160が、下側操縦ホイール154に設けられた対応するピン孔162に挿入されるようなサイズにされて、操縦ホイール152、154を取り付ける。ピン孔162は、下側操縦ホイール154を通って延びるとともに、ピン160がそこに十分に挿入されると、ピン160は、下側操縦ホイール154の下面を越えて延びて、操縦ストッパ172に係合する。操縦ホイール152、154のそれぞれは内部チャンネル164を有し、操縦用ワイヤ156が、そこを通って、取付用圧接部166から延びる。チャンネル164は、ディスクの外径の近くの、操縦ホイール152、154の一部分を巡って延びる。
【0032】
具体的には、図7及び図8に示すように、上側操縦ホイール152には内部チャンネル164aが設けられており、その内部チャンネルは、操縦ホイール152の第1の側面から始まり、且つ、操縦ホイール152の外径の近くの概ね円形の経路を通って操縦ホイール152の第2の対向する側面まで延びる。上側操縦ホイール152が非作動位置にあるとき、操縦ホイール152の第1の側面は近位側にあり、及び操縦ホイール152の第2の側面は遠位側にある。しかしながら、近位及び遠位のこれらの相対的な向きは、操縦ホイール152が回転されると変わる。内部チャンネル164aは、操縦用ワイヤ156aが圧接部166aを介して操縦ホイール152に取り付けられ得るように、第1の側面で開口している。
【0033】
内部チャンネル164aは、操縦用ワイヤ156aがチャンネル164aから出てコイル状シャフト104内へと延び得るように、第2の側面で同様に開口している。チャンネル164aの残りの部分は閉鎖されており、下記で説明するように、操縦用ワイヤ156aに張力を加えているか又はそれを弛ませている間、ワイヤ156aをチャンネルの経路に拘束する。下側操縦ホイール154には、上側操縦ホイール152と同様に、内部チャンネル164bが設けられており、その内部チャンネルは、操縦ホイール154の第1の側面から始まり、及び操縦ホイール154の外径の近くの実質的に円形の経路を通って操縦ホイール154の第2の対向する側面まで延びる。しかしながら、操縦ホイール152、154がピン160及びピン孔162によってつながれているとき、操縦ホイールチャンネル164a、164bの円形の経路は、反対方向に延びる。例えば、上側操縦ホイール152が、組立て済みの非作動RSM130を上面で見たとき、時計回りに延びるチャンネル164aを有する場合、下側操縦ホイールは、上面で見たとき、反時計回りに延びるチャンネル164bを有する。
【0034】
下側操縦ホイール154が非作動位置にあるとき、操縦ホイール154の第1の側面は近位側にあり、及び操縦ホイール154の第2の側面は遠位側にある。上側操縦ホイール152と同様に、下側操縦ホイール154に関する近位及び遠位の相対的な向きは、操縦ホイールが回転されると、変わる。下側操縦ホイール154は第1の側面で開口しているため、操縦用ワイヤ156bは、圧接部166bを介して操縦ホイール154に取り付けられ得る。内部チャンネル164bは同様に第2の側面で開口しているため、操縦用ワイヤ156bは、チャンネル164bから出てコイル状シャフト104内へと延び得る。チャンネル164bの残りの部分は閉鎖されており、操縦用ワイヤ156bに張力を加えているか又はそれを弛ませている間、ワイヤ156bをチャンネルの経路に拘束する。
【0035】
上側操縦ホイール152と下側操縦ホイール154との間の堅固にした取り付け及び操縦用ワイヤチャンネル164a、164b用の互いに反対方向の経路を考慮すると、操縦ホイール152、154の回転によって、ワイヤ156の一方に張力を加える一方で、他方のワイヤ156を弛ませることが理解され得る。具体的には、上側の操縦用ワイヤ156aが近位取付点から遠位点まで時計回りに延び、その後コイル状シャフト104を通って延びる上述の例を考慮すると、ワイヤ156aの取付点、すなわち圧接部166aをワイヤ156aの経路から離れるように回転させることによる、上側操縦ホイール152の反時計回りの回転によって、ワイヤ156aに張力を加え、それゆえ、ワイヤ156aをコイル状シャフト104から近位側へ引き寄せることが理解され得る。反対に、下側操縦用ワイヤ156bは、近位取付点から遠位点まで反時計回りに延び、その後、コイル状シャフト104を通って延びるため、ワイヤ156bの取付点、すなわち圧接部166bをワイヤ156bの経路の方へ向かって回転させることにより下側操縦ホイール154が反時計回りに回転されると、弛み、それゆえ、ワイヤ156bをさらに遠位側へ、コイル状シャフト104へと押し込む。
【0036】
2本の操縦用ワイヤ156の対立する緊張/弛みによって、装置100の遠位端106を、張力が加えられた操縦用ワイヤ156の方向に曲げる一方で、弛まされた操縦用ワイヤ156は、曲がりを可能にするように十分に弛まされる。操縦用ワイヤ156のそれぞれは、遠位端106に溶接されて、遠位端106の曲がりを制御し得る。別の実施形態では、操縦用ワイヤ156は、シースを通って延びてもよく、そのため、シースは、コイル状シャフト104に取り付けられてもよい(例えば、溶接される)。上側及び下側操縦ホイール152、154の回転の程度は、遠位端106の曲がりの程度に直接相関する。それゆえ、操縦ノブ150を回すことによって操縦ホイール152、154を作動させる医師は、遠位端106の曲がり、それゆえ、クリップ120の位置を正確に制御する。
【0037】
操縦ノブ150は、操縦ノブ150のディスク状本体を横切って延びるリッジ状のハンドル部分168を有し、ハンドル部分168は、加えて、ディスク状本体の側面に覆いかぶさる端部を有する。リッジ又はハンドル部分168のいずれかの側面が、操縦ノブ150を回転させるために医師によって把持される。操縦ノブ150は、上側操縦ホイール152の歯車付内側面158に収まるようなサイズ及び形状にされた歯車付セクション170を介して、上側操縦ホイール152に結合される。操縦ノブ150は、歯車付セクション170を、上側回転ノブ半体132aの中間部分に設けられた孔148を通って延ばして上側操縦ホイール152に係合させた状態で、歯車付セクション170を除いた部分が、回転ノブ132の外部に留まる。ピン160及びピン孔162を介した下側操縦ホイール154との上側操縦ホイール152のさらなる嵌め合わせによって、医師が操縦ノブ150によって効果的に操縦ホイール152、154の双方を同期させて回転できるようにする。
【0038】
操縦ホイール152、154の回転の程度は、下側回転ノブ132bに固定された操縦ストッパ172によって限定される。操縦ストッパ172は、固定機構(例えば、スナップ嵌め、ピン/孔の嵌め合わせ等)によって下側回転ノブ132bに固定され得、固定機構は、操縦ストッパ172が下側回転ノブ132bに対して回転するのを防止する。操縦ストッパ172は円環状であり、操縦ホイール152、154の直径と実質的に同様の外径を有し、及びそこを通って延びる貫通孔174を含む。操縦ストッパ172は、加えて、2つのピンチャンネル176を有し、それらピンチャンネルは、上側操縦ホイール152から、下側操縦ホイール154に設けられたピン孔162を通って延びるピン160を受け入れるようなサイズにされている。
【0039】
ピンチャンネル176のそれぞれは、円弧の一部分、例えば、全円の約90度に延びて、操縦ホイール152、154が回転されるときに、チャンネル176の両端によって、上側操縦ホイール152のピン160のさらなる回転が制約されるようにする。操縦ノブ150が非作動状態にあるとき、すなわち、操縦用ワイヤ156のどちらにも張力が加えられていないとき、ピン160は、ピンチャンネル176の中心に又はその近くに位置する。操縦ノブ150をいずれかの方向に約45度だけ回転させることによって、ピン160の双方をチャンネル176の両端の一方に接触させ、それゆえ、操縦ホイール152、154の動きの範囲及び装置100の遠位端106の曲がりの程度が限界となる。
【0040】
図14図17に示すように、RSM130は、遠位端106の曲がりを所望の位置に保持するロック機構をさらに有する。ロック機構は円環状のブレーキ板182を含み、このブレーキ板は、ロックノブ180を介して回転されるときに、下側操縦ホイール154を、固定された操縦ストッパ172につなぎ、操縦ホイール152、154が回転しないようにする。ブレーキ板182は、操縦ストッパ172の孔174に密に嵌入する。それゆえ、ブレーキ板182は、下側操縦ホイール154のホイールリング178と密嵌し、ブレーキ板182とホイールリング178との間に結果として生じる摩擦力からの下側操縦ホイール154の動きを抑える。ホイールリング178は、ロックノブ180のネジシャフト184に対応する雌ネジ部分を有する。ネジシャフト184は、ロックノブ180の中心からホイールリング178の方へ向かって延びる。ネジシャフト184は、ロックノブ180に対して回転が固定される、換言すると、ネジシャフト184は、下記で説明するように、ロックノブ180と一緒にそれと同期して回転される。
【0041】
ロックノブ180は、第1の面181から第2の面183まで延びる。加えて、ロックノブ180は、第1のキャビティ186及び第2のキャビティ188を有する。第1のキャビティ186は、下側操縦ホイール154のホイールリング178を受け入れるようなサイズ及び形状にされている。第2のキャビティ188は、ブレーキ板182を受け入れるようなサイズ及び形状にされている。第1のキャビティ186及び第2のキャビティ188は、ロックノブ180の中心から半径方向に延び、第1のキャビティ186の直径は、第2のキャビティ188の直径よりも小さい。第1のキャビティ186及び第2のキャビティ188は、第1の面181から第2の面183の方へ向かって延びる。
【0042】
第1のキャビティ186は、第2のキャビティ188と比べて第2の面183の方へ向かってさらなる距離延びている。換言すると、第1のキャビティ186の底部は、第2のキャビティ188の底部よりも第2の面183に近い。ロックノブ180は、加えて、第1の面181から第2の面183の方へ向かって延びる孔187を含む。孔187は、ピン160を受け入れるようなサイズ及び形状にされ、ピン160は、上側操縦ホイール152から下側操縦ホイール154及び操縦ストッパ172を通って延びる。ピン160は、ロックノブ180の孔187内で終わり、それにより、ロックノブ180に対してピン160をロックする。
【0043】
ロックノブ180を第1の方向、例えば時計回りに回転させることによって、ブレーキ板182を上方へ平行移動させて、下側操縦ホイール154を操縦ストッパ172と係合させ、その操縦ストッパは、上述の通り、回転ノブ132に固定されている。それゆえ、操縦ホイール152、154は、それらの現在の回転の向きで固定されて、装置100の遠位端106を現在の曲がりの程度にロックする。ロックノブ180を逆方向、例えば反時計回りに回転させることによって、ブレーキ板182を解放し、自由に操縦自在な回転を可能にする。ブレーキ板182が解放されたときに医師が操縦ノブ150に関与していない場合、遠位端106は、周囲組織によって加えられる力がなければ、操縦用ワイヤ156に加えられる張力がないため、実質的に直線の位置に戻る。
【0044】
図11は、クリップ装置100のRSM130の分解図を示し、ここでは、明瞭にするために、RSM130の様々な層が、分離した状態で示されている。図12は、回転ノブ132を除いた、組立て済みのRSM130を示すため、内部構成要素の配置構成が示され得る。
【0045】
当業者には、発明の概念から逸脱することなく、上述の実施形態に変更がなされ得ることが認識されるであろう。実施形態のいずれか1つに関連する構造的特徴及び方法は、他の実施形態に組み込まれ得ることがさらに認識されるべきである。それゆえ、本発明は、説明した特定の実施形態に限定されず、修正例も、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲内に網羅されることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17