(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】組換えヒトXVII型コラーゲン、調製方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/78 20060101AFI20240104BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240104BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240104BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240104BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240104BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240104BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240104BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240104BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240104BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
C07K14/78 ZNA
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12P21/02 C
A61K38/39
A61P43/00 107
A61P17/02
A61K8/65
A61Q19/00
A61L27/24
A61L31/04
(21)【出願番号】P 2022548165
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2022071968
(87)【国際公開番号】W WO2022237224
(87)【国際公開日】2022-11-17
【審査請求日】2022-08-05
(31)【優先権主張番号】202110520499.9
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【微生物の受託番号】CGMCC CGMCC 18659
【微生物の受託番号】CGMCC CGMCC 20626
【微生物の受託番号】CGMCC CGMCC 20627
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522314304
【氏名又は名称】江蘇創健医療科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU TRAUTEC MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】28 Shuanglong Road,JintanDevelopment Zone,Changzhou,Jiangsu 213251,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】王 麗萍
(72)【発明者】
【氏名】銭 松
【審査官】藤澤 雅樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110845603(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111363029(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103102407(CN,A)
【文献】国際公開第2010/071938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラーゲンのアミノ酸配列は、配列番号2又は配列番号3に示すアミノ酸配列から選択されることを特徴とする、組換えヒトXVII型コラーゲン。
【請求項2】
前記のコラーゲンのペプチド鎖のアミノ末端とカルボキシ末端は、タンパク質タグが付加されるように設計され、前記のアミノ末端は、Strep-Tag IIタグが付加され、カルボキシ末端は6×His Tagタグが付加されることを特徴とする、請求項1に記載のコラーゲン。
【請求項3】
前記のコラーゲンは、細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織再生促進、及び毛包修復再生促進の活性を有することを特徴とする、請求項1に記載のコラーゲン。
【請求項4】
請求項1に記載のコラーゲンをコードするポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、配列番号6又は配列番号7に示されるヌクレオチド配列から選択されることを特徴とする、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター。
【請求項7】
請求項6に記載の組換え発現ベクターを含むエンジニアリングバクテリア。
【請求項8】
前記のエンジニアリングバクテリアは、ピキア酵母であることを特徴とする、請求項7に記載のエンジニアリングバクテリア。
【請求項9】
(1)エンジニアリングバクテリアの培養とスクリーニング:
請求項7に記載のエンジニアリングバクテリアをスクリーニングした後
、請求項1に記載のコラーゲンの発現量の多いエンジニアリングバクテリアをスクリーニングすること、及び
(2
)発酵、培養、及びタンパク質の精製:
前記発現量の多いエンジニアリングバクテリアを、発酵槽を採用して発酵させ、発酵上清を精製し
、コラーゲンを得ること
が含まれることを特徴とする、請求項1に記載のコラーゲンの調製方法。
【請求項10】
工程(1)に記載のスクリーニングされる発現量の多いエンジニアリングバクテリアは、ピキアパストリス酵母(Pichia pastoris)であり、寄託番号は、CGMCC No.20626又はCGMCC No. 20627であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のコラーゲ
ンを含む組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のコラーゲ
ン又は請求項11に記載の組成物を含み、薬物、医療機器、生体材料、組織工学製品、化粧品又は保健品が含まれる製品。
【請求項13】
最終製品は、薬物、医療機器、生体材料、組織工学製品、化粧品又は保健品が含まれる、請求項1に記載のコラーゲン、請求項4又は5に記載のポリヌクレオチド、請求項6に記載の組換え発現ベクター、請求項7に記載のエンジニアリングバクテリア又は請求項11に記載の組成物の最終製品を調製
するための使用。
【請求項14】
請求項1に記載のコラーゲン、請求項4又は5に記載のポリヌクレオチド、請求項6に記載の組換え発現ベクター、請求項7に記載のエンジニアリングバクテリア又は請求項11に記載の組成物の瘢痕治癒、組織修復を促進する又は毛包修復を促進する製品を調製するための使用。
【請求項15】
前記の製品は、外用薬であることを特徴とする、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記の製品は、外用塗り薬であることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記の製品は、外用ゲル塗り薬であることを特徴とする、請求項16に記載の
使用。
【請求項18】
請求項6に記載の組換え発現ベクターを含む細胞。
【請求項19】
前記の細胞は、ピキア酵母であることを特徴とする、請求項18に記載の細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えヒトXVII型コラーゲン、調製方法、及び使用に関与し、遺伝子工学の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、重要な天然生物タンパクとして化学工業、医薬、食品、化粧品などのさまざまな分野に広く適用でき、特にさまざまな生物器械の調製に適しており、最も理想的な生体材料源であり、幅広い適用の見通しがある。市販のコラーゲンは、主に動物の組織を酸、アルカリ、酵素分解法で処理して得られるコラーゲン抽出物である。該抽出物は、コラーゲンの自然な構造が処理中で基本的に破壊され、分解が深刻であるため、その生物学的活性が失い、抽出されたコラーゲンペプチドは、長さが異なり、特性が不均一で、品質が不安定で、ウィルス感染のリスクがある。そして、動物由来とヒト由来のコラーゲンは、アミノ酸配列がかなり異なり、免疫拒絶とアレルギー症状を引き起こす恐れがある。
【0003】
ヒトXVII型コラーゲンは、膜貫通型非線維芽細胞のコラーゲンであり、3つの同一のα1(XVII)鎖で構成される均質な三量体であり、細胞内、膜貫通、細胞外の3種類のドメイン。ヒトXVII型コラーゲンは、細胞内の半接着斑の成分の一つであり、上皮細胞と基底膜との相互作用において重要な役割を果たし、上皮細胞の接着、分離、発達分化を調節でき、角化細胞の分化と再生に重要な役割を果たす。ヒトXVII型コラーゲンは、含有量が人体に非常に少なく、XVII型コラーゲンも、その含有量が動物体において非常に少なく、抽出も非常に難しく、大量に生産することができず、動物由来コラーゲンの製品は、不可避的に免疫原性、潜在的なウィルス、流行病などの生物的な安全性の危険性があるため、広く適用されていない。法的及び倫理的制約によって制限され、ヒト由来XVII型コラーゲンは科学研究にのみ適用できるため、ヒト又は他の動物由来の市販のXVII型コラーゲン製品は、市場に存在せず、その結果、ヒトXVII型コラーゲンの研究と適用がさらに制限されていた。現在、そのような問題を解決する主な方法は、遺伝子工学などの生物学的技術によってコラーゲンを生産する。
【0004】
既存の組換えタンパクは、主に原核(大腸菌)発現系、ピキア酵母発現系、哺乳動物細胞発現系、昆虫細胞(バキュロウイルス)発現系の4種類の発現系で生産されている。哺乳動物細胞がヒトXVII型コラーゲンを発現することに関しては、あまり研究されておらず、いずれも実験的な研究段階にある。原核の発現(大腸菌、pGEX発現ベクター)の最初の使用は、非らせん領域NC16配列の融合タンパクの生産であり、他の発現系、特にピキア酵母発現系には、まだヒトXVII型コラーゲンが成功に発現された報告がない。
【0005】
ここで、哺乳動物細胞は、発現コストが高く、収量が低く、主に高価値の薬用タンパクの発現と生産に使用される。哺乳動物細胞で発現するヒトXVII型コラーゲンは、一過性のトランスフェクションの発現や安定したトランスフェクション細胞株の発現にかかわらず、タンパク質の発現量が非常に低いと共に、使用される培地は高価で、科学研究における微量の使用にしか対応できない。昆虫細胞(バキュロウイルス)発現系は、コストが高く、収量が低く、翻訳された後でヒト細胞とは大きく異なり、コラーゲンの大量生産には一般的にこれらの2種類の方法が使用されない。原核発現(大腸菌発現系)によって得られたコラーゲンは、タンパク質に翻訳後の修飾がなく、大規模な増幅が見込まれる原核発現は、細胞内でのみ実現できるため、菌体の溶解を必要とし、標的タンパクと混合された不純物タンパクが大量に存在し、精製プロセスに対する要求が非常に高く、原核発現系が自然に含まれる(細菌の細胞壁成分)エンドトキシン、ペプチドグリカンを除去するには、複雑な精製プロセスが必要である。
【0006】
上記のいくつかの発現系では、いずれも配列の単一性と生物学的活性の問題があり、配列の選択は比較的単一であり、コラーゲンペプチドは、すべて独立して発現などを行い、ヒトXVII型コラーゲン細胞外ドメインの1000個に近いアミノ酸(15個のトリプルヘリカル領域、15個の非トリプルヘリカル領域)の配列の豊富さと比べて、これらの2つはかけており、これも生物学的活性に直接影響しており、細胞接着活性は、コラーゲンの生物学的活性の最も基本的なものであり、残りの生物学的活性は関与していない。さらに、上記の哺乳動物細胞の発現であろうと、大腸菌の発現であろうとは、小規模の実験室レベルの培養や生産にとどまり、大規模な生産は計画されない。しかし、組換えコラーゲンの適用の前提としては、大規模、高密度、高発現された発酵生産と精製を行うことができることであり、一般的に500Lの容量でパイロット発酵実験を検証した後で、工業規模、大規模な生産の可能性が生まれる。
【0007】
ヒトXVII型コラーゲンは、発現が困難で、膜貫通型のコラーゲンに属し、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞外ドメインがある。一般的に、膜貫通タンパクは、真核細胞で発現する時に、ほとんど細胞外に分泌されず、細胞膜に固定されており、ヒトXVII型コラーゲンは、アミノ酸配列が長く(1497個のアミノ酸)、タンパク質の分子量が多く(180kDa)、理論的に細胞外に効果的に分泌されることが難しく、分解されやすく、発現を成功させるためには、関連する配列の選択を行う必要がある。同時に、現在のヒトXVII型コラーゲンのアミノ酸配列、構造、機能などに関する研究は、ほとんど知られていない。従って、ピキア酵母の発現系の利点(特に分泌発現)を維持することを前提に、生物学的機能を発揮できるようにアミノ酸配列を選択することは、顕著な困難であり、もちろん、他の発現系(包括大腸菌)でヒトXVII型コラーゲンを発現することも困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、組換えヒトXVII型コラーゲン配列(非単一性)の最適化と選択、及びピキア酵母で高効率的に分泌発現され得ることを如何に実現するか、既存の組換えヒトXVII型コラーゲンが細胞接着活性しかなく、既存の組換えヒトXVII型コラーゲンが大規模に調製できないという先行技術に存在するいくつかの技術的問題を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため、本発明は、コラーゲン、該コラーゲンをコードするポリヌクレオチド、該コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクター、エンジニアリングバクテリア、該コラーゲンを調製する方法、該コラーゲンを含む組成物、該コラーゲンの使用を提供する。本発明において、該コラーゲンは、ピキア酵母である真核生物宿主細胞におけるヒトXVII型コラーゲンの効率的な分泌・可溶性発現を実現できるだけではなく、市販の天然ヒトコラーゲンよりも優れた細胞接着活性も有し、細胞遊走促進活性、優れた組織再生、及び毛包修復再生促進の生物学的活性を有し、さらに工業的に適用することができる。
【0010】
本発明は、細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織再生促進、及び毛包修復再生促進の生物学的活性を有するコラーゲンを提供する。
【0011】
上記のコラーゲンは、(A)nに示すアミノ酸配列からなるか又は(A)nに示すアミノ酸配列を含み、ここで、
Aは、配列番号2に示すアミノ酸配列又は配列番号2に基づいてある程度アミノ酸交換、挿入、置換、付加、欠失などにより修飾されたアミノ酸配列又は配列番号2アミノ酸配列と80%を超える相同性を有するアミノ酸配列であり、ここで、nは1以上の整数であり、ここで、各Aは同じ又は異なるものであり、Aを基本単位としてタンデムで繰り返し、同じ又は異なる各Aのそれぞれは、ペプチド結合によって直接ライゲーションされている。
【0012】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記のコラーゲン(A)nに示すアミノ酸配列からなるか又は(A)nに示すアミノ酸配列を含み、ここで、Aは、配列番号2に示すアミノ酸配列であり、nは1以上の整数であり、ここで、各Aは相同かつAを基本単位としてタンデムで繰り返し、各Aのそれぞれは、ペプチド結合によって直接ライゲーションされている。
【0013】
さらに、本発明の一実施形態によれば、上記のコラーゲン(A)nに示すアミノ酸配列からなるか、nが1であると、上記のコラーゲンのアミノ酸配列は配列番号2に示され、本発明では170801とし、nが2であると、上記のコラーゲンのアミノ酸配列は配列番号3に示され、本発明では170802とする。
【0014】
さらに、本発明の記載によれば、本発明に記載のコラーゲン(A)nに示すアミノ酸配列からなるか又は(A)nに示すアミノ酸配列を含み、ここで、Aは、配列番号2に基づいてある程度アミノ酸挿入、置換、付加、欠失などにより修飾されたアミノ酸配列又は配列番号2アミノ酸配列と80%を超える相同性を有するアミノ酸配列であり、ここで、nは1以上の整数であり、ここで、各Aは同じ又は異なるものであり、Aを基本単位としてタンデムで繰り返し、同じ又は異なる各Aのそれぞれは、ペプチド結合によって直接ライゲーションされている。
【0015】
本発明は、さらに上記コラーゲンをコードするポリヌクレオチド、具体的に上記(A)nに示されるコラーゲンをコードするポリヌクレオチド配列を提供し、ピキア酵母を宿主細胞とすると、上記のポリヌクレオチドは、配列番号6又は配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含むか又は配列番号6、配列番号7に示されるヌクレオチド配列からなることが好ましい。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、上記のAは、配列番号2であり、nが1であると、ポリヌクレオチドは、配列番号6に示されるヌクレオチド配列であり、本発明の一実施形態によれば、上記のAは、配列番号2であり、nが2であると、上記(A)nをコードするポリヌクレオチドは、配列番号7に示されるヌクレオチド配列である。
【0017】
本発明のコラーゲンは、ヒトXVII型コラーゲンの15目のらせん領域、カルボキシの末端領域、中間領域などの複数のらせん領域配列から最適なスクリーニングして選択された組み合わせ配列であり、ヒトXVII型コラーゲンアミノ酸配列の対応する部分と100%相同であり、ピキア酵母である真核生物宿主細胞におけるヒトXVII型コラーゲンの高効率の分泌・可溶性発現を実現できるだけではなく、市販の天然ヒトコラーゲンよりも優れた細胞接着活性、細胞遊走促進活性及び組織再生促進、及び毛包修復再生促進の生物学的活性を有し、そのような組み合わせ配列は、各領域の配列の機能を統合することを可能にし、別々に発現することではなく、全体として発現するため、組換えコラーゲンの配列単一性を回避する。
【0018】
本発明は、さらに上記コラーゲンをコードするポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターを提供する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、本発明に記載の組換え発現ベクターの構築において、まず前記(A)nに示されるコラーゲンをコードするポリヌクレオチドを修飾し、コラーゲンアミノ酸配列のアミノ末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列を付加し、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列を付加し、二重特異性のアフィニティー精製タグが含まれるようにさせ、アフィニティークロマトグラフィー精製が可能になり、2種類のタグ配列に基づいて免疫抗体検出が可能になる。タグ付けされた配列を発現ベクターpPIC9Kにライゲーションし、組換え発現ベクター(実施例ではpPIC9K-170801、pPIC9K-170802に示される)を構築する。
【0020】
本発明は、さらに上記の組換え発現ベクターで構築されたエンジニアリングバクテリアを提供し、上記のエンジニアリングバクテリアの宿主細胞は、ピキア酵母であることが好ましい。上記のエンジニアリングバクテリアの寄託日は、2020年9月9日であり、寄託番号はそれぞれCGMCC NO.20626、CGMCC NO. 20627であり、分類名はピキアパストリス酵母(Pichia pastoris)であり、寄託機構は中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターであり、住所は北京市朝陽区北辰西路1号院3号。
【0021】
注意すべきは、宿主細胞が、真菌、酵母、植物細胞などの真核細胞、大腸菌のような腸内細菌科細菌などの原核細胞であり得、哺乳動物細胞CHO系列細胞などの動物細胞、HEK293系列細胞又は昆虫細胞であり得る。理解すべきは、当業者が上記のピキア酵母の代わりに他の発現宿主を発現宿主として使用することにより、同じアミノ酸配列を有するコラーゲンを発現させることができる。
【0022】
本発明は、さらに以下の工程が含まれる上記のコラーゲンの調製方法を提供する。
エンジニアリングバクテリアの培養とスクリーニング
【0023】
構築されたエンジニアリングバクテリアをスクリーニングした後、BMGY培地に接種して高発現されたエンジニアリングバクテリアを誘導発現してスクリーニングする。上記のスクリーニングされる発現量の多いエンジニアリングバクテリアは、ピキアパストリス酵母であり(Pichia pastoris)、寄託番号は、CGMCC No.20626又はCGMCC No. 20627である。
大規模な高密度発酵、培養、及びタンパク質の精製
【0024】
50L~500Lの発酵槽でリンクバッチの流加発酵を行い、発酵上清を精製して高純度のコラーゲンを得る。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、組換え発現ベクターをSac Iで線形化し、ピキア酵母のコンピテント細胞に電気形質転換し、エンジニアリングバクテリアを構築し、エンジニアリングバクテリアを一次スクリーニングのためにMDプレートに移してから、異なる濃度のG418を含むYPDプレートスクリーニングによりコロニーを選別してBMGY培地に接種し、BMMY培地で誘導発現させ、ポリクローナル菌種を選別し、発現量の多いエンジニアリングバクテリアを選択して後継ぎの実験を行う。本発明において、SDS-PAGE電気泳動、ウエスタンブロットにより発現タンパク質の予備同定を行い、その有効な分泌発現された能力を判断し、その結果、本発明の組換えヒトXVII型コラーゲンを高効率的に分泌発現できることが証明され、全長のヒトXVII型コラーゲンが主に細胞内に集中しており、細胞外に効果的に分泌できない。電気泳動によって得られた標的バンドについては、Nano-HPLC-MS/MS質量分析検出を行い、ペプチドセクションがヒトXVII型コラーゲン配列における最適に選択された領域に由来することが証明され、本発明の組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802は発現されることになる。
【0026】
50L~500Lの発酵槽を使用して48時間誘導発現する場合、本発明のコラーゲンの収量(UVで定量)は、12g/L、11g/Lに達することができる。
【0027】
本発明において、MALDI-TOF/TOFを分子量の測定に使用して、170801コラーゲンの分子量は23811.6797Da(理論値は23800Da)であり、170802コラーゲンの分子量は45689.5781Da(理論値は45400Da)であり、ピキア酵母での発現後、翻訳後修飾と分子量の実験測定に系統的な誤差があるが、実際に発現したコラーゲンの分子量は理論値と一致している。コラーゲンに赤外スペクトルスキャンして、そのアミドA、アミドB、アミドI、アミドII、アミドIIIの波数は、全て組換えコラーゲンの構造特性に適している。精製されたコラーゲン凍結乾燥スポンジは、電子顕微鏡で走査され、ラメラ構造を有しており、生体医学材料の分野で使用される可能性がある。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、得られたコラーゲンについて生物学的活性を検出し、その細胞接着活性、細胞遊走促進活性をインビトロ細胞実験で検証する。得られたコラーゲンについて、ウサギの耳の瘢痕治癒の効果的な促進、組織再生、特に非常に優れた毛包修復再生促進の活性を生物学的活性の動物実験、ウサギの耳の瘢痕モデルの実験で検証する。
【0029】
これに基づいて、本発明は、さらに上記のコラーゲンの組織再生促進、毛包修復促進ための使用を提供する。
【0030】
本発明は、さらに上記のコラーゲン又は上記方法で調製されたコラーゲンを含む組成物を提供する。
【0031】
本発明は、さらに上記のコラーゲン又は上記方法で調製されたコラーゲン又は上記組成物を含む製品を提供する。上記の製品は、薬物、薬物組成物、医療機器、生体材料、組織工学製品、化粧品又は保健品などが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明は、さらに上記のコラーゲン、ポリヌクレオチド、組換え発現ベクター、エンジニアリングバクテリア、組成物などの最終製品を調製ための使用を提供し、薬物、薬物組成物、医療機器、生体材料、組織工学製品、化粧品、保健品のための使用が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明は、さらに上記のコラーゲン、ポリヌクレオチド、組換え発現ベクター、エンジニアリングバクテリア、又は組成物の瘢痕治癒、組織修復を促進する又は毛包修復を促進する製品を調製するための使用を提供する。本発明の一実施形態によれば、上記の製品は、外用薬であり、好ましくは外用塗り薬であり、好ましくはゲル剤である。
【0034】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0035】
本発明は、ピキア酵母発現系を選択し、ピキア酵母は真核微生物であり、真核生物の完全な細胞小器官を有し、翻訳されたタンパク質に特定の翻訳後修飾(特にグリコシル化修飾)をし得て、タンパク質の生物学機能の実現を強力的に支援する。それにより発現系を樹立すると、微生物発現系の高密度の発酵生産可能、非常に低くの培養コスト、短いサイクル、高発現などの大規模な工業生産の利点を同時に有する。それは、細胞外に分泌され得る特性のため、菌体分解による不純物タンパクを完全に分解し得る。細胞壁の成分には、エンドトキシンとペプチドグリカンが含まれない。
【0036】
本発明における組換えヒトXVII型コラーゲンのために選択された配列は、スクリーニングされて最適化された配列を組み合わせることによって形成され、そのアミノ酸配列が天然コラーゲンアミノ酸配列の対応する部分との相同性は100%であり、免疫原性がなく、医薬、医療器械、生体材料、組織工学、化粧品などの分野に幅広く適用できる。
【0037】
本発明における組換えヒトXVII型コラーゲンは、市販の天然人コラーゲンと同等又はそれ以外の細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織修復、及び毛包修復再生促進などの多種の生物学的活性を有し、実際に製品への適用の目的を達成できることが実験的に検証された。
【0038】
本発明における組換えヒトXVII型コラーゲンは、ピキア酵母発現系で高効率的に分泌されて発現され得、高純度のコラーゲンを精製して獲得しやすい。アミノ酸配列をコードする遺伝子DNA配列は、構築されたエンジニアリングバクテリア株のタンパク発現量が非常に高く、高密度の発酵発現で高収量が得られるように最適に設計される。ピキア酵母は、高密度の発酵発現をしやすく、本発明によってスクリーニングされる菌種は、500Lレベルのパイロット規模の高密度の高発現量発酵を実現でき、既に工業化された大規模な生産の条件を備えている。
【0039】
本発明における宿主細胞であるピキア酵母は、発現された異種タンパクに対して、グリコシル化などの特定の翻訳後修飾を有する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明において構築されたpPIC9K-170801ベクターグラフである。
【
図2】本発明において構築されたpPIC9K-170802ベクターグラフである。
【
図3】本発明において構築されたpPIC9K-col17a1ベクターグラフである。
【
図4】組換え全長ヒトXVII型コラーゲンα1鎖の発現されたSDS-PAGEの結果図であり、その見かけ分子量は約180kDaである。
【
図5】抗Hisタグ抗体を使用した組換え全長ヒトXVII型コラーゲンα1鎖のウエスタンブロット検出の結果である。
【
図6】24時間の誘導後の170801、170802コラーゲンのエンジニアリングバクテリア発現された上清のSDS-PAGE結果である。
【
図7】抗Hisタグ抗体を使用した24時間の誘導後の170801、170802コラーゲンのエンジニアリングバクテリア発現上清のウエスタンブロット検出の結果である。
【
図8】抗Strep-Tag II タグ抗体を使用した24時間の誘導後の170801、170802コラーゲンのエンジニアリングバクテリア発現上清のウエスタンブロット検出の結果である。
【
図9】170801コラーゲンのSDS-PAGEバンドの質量分析と天然ヒトXVII型コラーゲン配列のアラインメント結果である。
【
図10】170802コラーゲンのSDS-PAGEバンドの質量分析と天然ヒトXVII型コラーゲン配列のアラインメント結果である。
【
図11】500L発酵槽での171801コラーゲンのエンジニアリングバクテリアのパイロット発酵菌増殖曲線とコラーゲン発現曲線である。
【
図12】500L発酵槽での171802コラーゲンのエンジニアリングバクテリアのパイロット発酵菌増殖曲線とコラーゲン発現曲線である。
【
図13】精製された170801コラーゲンのHPLCクロマトグラフである。
【
図14】精製された170802コラーゲンのHPLCクロマトグラフである。
【
図15】170801コラーゲンの分子量のMALDI-TOF MS検出の結果である。
【
図16】170802コラーゲンの分子量のMALDI-TOF MS検出の結果である。
【
図17】精製された170801、170802コラーゲンの赤外スペクトルである。
【
図18】170801(左)、170802(右)コラーゲンの凍結乾燥スポンジサンプルのSEM画像(200×)である。
【
図19】170801、170802コラーゲンの細胞接着活性検出の結果である。
【
図20】170801、170802コラーゲンと天然ヒトコラーゲンの細胞遊走状態の実際の比較結果である。
【
図21】24時間、48時間細胞遊走した後の170801、170802コラーゲンと天然ヒトコラーゲンの細胞遊走率である。
【
図22】170801、170802コラーゲンがウサギの耳の瘢痕に6週間介入した後の瘢痕の全体写真とスライス図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
当業者に本発明の技術的解決策をよりよく理解させるために、本発明の好ましい実施例を以下に詳細に説明するが、以下の実施例は、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0042】
本発明の実施例では、記載されていないことはすべて従来の分子生物学実験方法によって行われ、実施例に含まれるPCR、酵素消化、ライゲーション、およびコドン最適化などのプロセスは、製品仕様または当技術分野の基礎知識に従って当業者によって理解および容易に実施することができるため、詳細には説明しない。
【0043】
実施例1.組換えヒトXVII型コラーゲンの構築、発現と同定
(1)組換えヒトXVII型コラーゲンアミノ酸配列の設計
【0044】
本発明では、ヒトXVII型コラーゲン配列の最適化に基づいて、上記のヒトXVII型コラーゲンの具体的な配列は、Uniprot Q9UMD9-1配列(https://www.uniprot.org/uniprot/Q9UMD9)とNCBI参照配列Q9UMD9 .3(https://www .ncbi .nlm .nih .gov/protein/Q9UMD9.3)を参照し、2つの配列が同一であり、具体的に配列番号1に示される。
配列番号1:
MDVTKKNKRDGTEVTERIVTETVTTRLTSLPPKGGTSNGYAKTASLGGGSRLEKQSLTHGSSGYINSTGSTRGHASTSSYRRAHSPASTLPNSPGSTFERKTHVTRHAYEGSSSGNSSPEYPRKEFASSSTRGRSQTRESEIRVRLQSASPSTRWTELDDVKRLLKGSRSASVSPTRNSSNTLPIPKKGTVETKIVTASSQSVSGTYDATILDANLPSHVWSSTLPAGSSMGTYHNNMTTQSSSLLNTNAYSAGSVFGVPNNMASCSPTLHPGLSTSSSVFGMQNNLAPSLTTLSHGTTTTSTAYGVKKNMPQSPAAVNTGVSTSAACTTSVQSDDLLHKDCKFLILEKDNTPAKKEMELLIMTKDSGKVFTASPASIAATSFSEDTLKKEKQAAYNADSGLKAEANGDLKTVSTKGKTTTADIHSYGSSGGGGSGGGGGVGGAGGGPWGPAPAWCPCGSCCSWWKWLLGLLLTWLLLLGLLFGLIALAEEVRKLKARVDELERIRRSILPYGDSMDRIEKDRLQGMAPAAGADLDKIGLHSDSQEELWMFVRKKLMMEQENGNLRGSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPMGQRGREGPMGPRGEAGPPGSGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPRGLTGEPGMRGLPGAVGEPGAKGAMGPAGPDGHQGPRGEQGLTGMPGIRGPPGPSGDPGKPGLTGPQGPQGLPGTPGRPGIKGEPGAPGKIVTSEGSSMLTVPGPPGPPGAMGPPGPPGAPGPAGPAGLPGHQEVLNLQGPPGPPGPRGPPGPSIPGPPGPRGPPGEGLPGPPGPPGSFLSNSETFLSGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSTSGSSSFGLNLQGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPSGPSEGGSSSTMYVSGPPGPPGPPGPPGSISSSGQEIQQYISEYMQSDSIRSYLSGVQGPPGPPGPPGPVTTITGETFDYSELASHVVSYLRTSGYGVSLFSSSISSEDILAVLQRDDVRQYLRQYLMGPRGPPGPPGASGDGSLLSLDYAELSSRILSYMSSSGISIGLPGPPGPPGLPGTSYEELLSLLRGSEFRGIVGPPGPPGPPGIPGNVWSSISVEDLSSYLHTAGLSFIPGPPGPPGPPGPRGPPGVSGALATYAAENSDSFRSELISYLTSPDVRSFIVGPPGPPGPQGPPGDSRLLSTDASHSRGSSSSSHSSSVRRGSSYSSSMSTGGGGAGSLGAGGAFGEAAGDRGPYGTDIGPGGGYGAAAEGGMYAGNGGLLGADFAGDLDYNELAVRVSESMQRQGLLQGMAYTVQGPPGQPGPQGPPGISKVFSAYSNVTADLMDFFQTYGAIQGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQVYAGRRRRRSIAVKP
【0045】
上記の配列番号1の太字で下線が引かれた部分は、本発明によって選択された配列であり、合計233個のアミノ酸を有する。本発明によって選択された配列は、ヒトXVII型コラーゲンの15目のらせん領域、カルボキシ末端領域、中間領域などの複数らせん領域配列から最適なスクリーニングして選択された組み合わせ配列であり、ヒトXVII型コラーゲンのピキア酵母である真核生物宿主細胞での高効率の分泌・可溶性発現を実現できるだけではなく、市販の天然ヒトコラーゲンよりも優れた細胞接着活性を有し、細胞遊走活性及び優れた組織再生、及び毛包修復再生促進の生物学的活性も有する。そのような組み合わせは、各領域の配列の機能を統合することを可能にし、別々に発現することではなく、全体として発現するため、組換えコラーゲンの配列単一性を回避しており、非常に革新的であり、本発明において170801と名付けられ、ヒトXVII型コラーゲンの好ましい配列であり、具体的な配列は配列番号2に示される。
【0046】
配列番号2:
GSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQ
【0047】
170801をコードするDNA配列は、配列番号6に示される。
【0048】
配列番号6:
GGTTCTCCTGGTCCAAAAGGTGACATGGGTTCTCCAGGTCCTAAAGGTGACAGAGGTTTTCCTGGTACTCCAGGTATTCCTGGTCCATTGGGTCATCCAGGTCCTCAAGGTCCAAAAGGTCAAAAGGGTTCTGTTGGTGACCCTGGTATGGAAGGTCCAGGTGAAAAGGGTGAAAGAGGTGCTGCTGGTGAACCTGGTCCACACGGTCCACCTGGTGTTCCAGGTTCTGTTGGTCCTAAGGGTTCTTCTGGTTCTCCTGGTCCACAAGGTCCTCCTGGTCCAGTTGGTTTGCAAGGTTTGAGAGGTGAAGTTGGTTTGCCAGGTGTTAAGGGTGACAAGGGTCCAATGGGTCCTCCAGGTCCAAAAGGTGACCAAGGTGAAAAGGGTCCACCTGGTCCTCCTGGTCCACCTGGTCCAAAGGGTGACCAAGGTCCTCCAGGTCCTAGAGGTCATCAAGGTGAACAAGGTTTGCCTGGTTTTTCTGGTCCACCAGGTCCTCCAGGTCCACAAGGTCCTAAAGGTGACAAAGGTGACCCAGGTGTTCCTGGTGCTTTGGGTATTCCAGGTCCACCTGGTCAAAAAGGTGAAATGGGTACTCCAGGTCCTAAGGGTGACAGAGGTCCAGCTGGTCCACCTGGTCATCCTGGTCCACCAGGTCCAAGAGGTCATAAGGGTGAAAAAGGTGACAAGGGTGACCAA
【0049】
本発明におけるコラーゲンは、さらに170801を基本単位としてn回の縦列反復を行うことにより得られたアミノ酸配列を含み、ここで、nは1以上の整数である。
【0050】
170801を基本単位とし、nが2であると、170801を2回の縦列反復を行うことにより得られたアミノ酸配列は、合計466個のアミノ酸であり、170802と名付けられ、そのアミノ酸配列は配列番号3に示される。
【0051】
配列番号3:
GSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQGSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQ
【0052】
170802をコードするDNA配列は、配列番号7に示される。
【0053】
配列番号7:
GGTTCTCCAGGTCCTAAAGGTGACATGGGTTCTCCAGGTCCTAAGGGTGACAGAGGTTTTCCAGGTACTCCAGGTATTCCAGGTCCTTTGGGTCATCCAGGTCCTCAAGGTCCTAAAGGTCAAAAAGGTTCTGTTGGTGACCCTGGTATGGAAGGTCCTGGTGAAAAAGGTGAAAGAGGTGCTGCTGGTGAACCTGGTCCACACGGTCCTCCAGGTGTTCCTGGTTCTGTTGGTCCAAAAGGTTCTTCTGGTTCTCCTGGTCCACAAGGTCCTCCAGGTCCTGTTGGTTTGCAAGGTTTGAGAGGTGAAGTTGGTTTGCCAGGTGTTAAAGGTGACAAAGGTCCAATGGGTCCTCCAGGTCCAAAGGGTGACCAAGGTGAAAAAGGTCCACCTGGTCCTCCTGGTCCACCAGGTCCAAAAGGTGACCAAGGTCCACCTGGTCCAAGAGGTCACCAAGGTGAACAAGGTTTGCCTGGTTTTTCTGGTCCTCCAGGTCCTCCTGGTCCTCAAGGTCCAAAGGGTGACAAGGGTGACCCTGGTGTTCCAGGTGCTTTGGGTATTCCTGGTCCTCCAGGTCAAAAGGGTGAGATGGGTACTCCTGGTCCTAAGGGTGACAGAGGTCCAGCTGGTCCTCCTGGTCACCCAGGTCCTCCTGGTCCTAGAGGTCATAAAGGTGAAAAAGGTGACAAGGGTGACCAAGGTTCTCCAGGTCCAAAGGGTGACATGGGTTCTCCTGGTCCAAAAGGTGACAGAGGTTTCCCTGGTACTCCAGGTATTCCTGGTCCATTGGGTCACCCAGGTCCACAAGGTCCAAAAGGTCAAAAAGGTTCTGTTGGTGACCCAGGTATGGAAGGTCCAGGTGAAAAGGGTGAAAGAGGTGCTGCTGGTGAACCAGGTCCTCATGGTCCACCAGGTGTTCCAGGTTCTGTTGGTCCAAAGGGTTCTTCTGGTTCTCCAGGTCCACAAGGTCCTCCAGGTCCAGTTGGTTTGCAAGGTTTGAGAGGTGAAGTTGGTTTGCCTGGTGTTAAGGGTGACAAAGGTCCTATGGGTCCTCCTGGTCCTAAAGGTGACCAAGGTGAAAAGGGTCCACCAGGTCCTCCAGGTCCACCTGGTCCAAAAGGTGACCAAGGTCCACCAGGTCCTAGAGGTCATCAAGGTGAACAAGGTTTGCCAGGTTTTTCTGGTCCACCAGGTCCACCAGGTCCTCAAGGTCCTAAGGGTGACAAAGGTGACCCAGGTGTTCCTGGTGCTTTGGGTATTCCTGGTCCACCTGGTCAAAAGGGTGAAATGGGTACTCCTGGTCCTAAAGGTGACAGAGGTCCTGCTGGTCCACCTGGTCATCCAGGTCCACCTGGTCCAAGAGGTCACAAAGGTGAAAAGGGTGACAAGGGTGACCAA
【0054】
タンパク質の機能は、そのアミノ酸残基を整然と配置することによってのみ実現でき、本発明における組換えヒトXVII型コラーゲンの革新的な生物活性は、すべて最適なスクリーニングによって選択されたアミノ酸配列に基づいており、限定された配列修飾又は特定の相同性の比率(80%を超える)でも、同じまたは類似の生物学的活性を達成する可能性がある。
【0055】
従って、本発明において、上記のコラーゲンは、さらに配列番号2に基づいてある程度アミノ酸の挿入、置換、付加、欠失などにより修飾されたアミノ酸配列又は配列番号2アミノ酸配列と80%を超える相同性を有するアミノ酸配列を基本単元として、n回の縦列反復を行うことにより得られたアミノ酸配列である。ここで、nは1以上の整数であり、各基本単元は、同じ又は異なる。
【0056】
ここで、本発明に記載の相同性とは、配列の重複率を指し、部分的同一性および類似性のパーセンテージなどの2つの配列の直接的な定量的関係であり得る。同じ位置に同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基を持つ2つの配列の配列比率がさらに含まれる。共通の祖先から分岐進化してなる異なる配列である。従来のバイオインフォマティクス方法によって配列情報を整列させることによって取得できる。
【0057】
上記のアミノ酸の挿入とは、上記のタンパクが170801、170802コラーゲンと類似の生物学的活性を有する限り、配列番号2又は配列番号3の配列などのアミノ酸配列の適切な位置にアミノ酸残基を挿入することを指し、挿入されたアミノ酸残基は互いに隣接していてもよく、又は挿入されたアミノ酸のいずれも互いに隣接していなくてもよく、細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織再生促進、及び毛包修復再生促進の活性が含まれる。
【0058】
上記のアミノ酸の置換とは、上記のタンパクが170801、170802コラーゲンと類似の生物学的活性を有する限り、配列番号2又は配列番号3の配列などのアミノ酸配列のある位置の一つ又はいくつかのアミノ酸残基(いくつかの連続するアミノ酸残基又はいくつかの非連続のアミノ酸残基が含まれ)が他のアミノ酸残基に置換されることを指し、細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織再生促進、及び毛包修復再生促進の活性が含まれる。
【0059】
上記のアミノ酸の付加とは、上記のタンパクが170801、170802コラーゲンと類似の生物学的活性を有する限り、配列番号2又は配列番号3の配列などのアミノ酸配列のC末端又はN末端にアミノ酸を付加することを指し、細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織再生促進、及び毛包修復再生促進の活性が含まれる。
【0060】
上記のアミノ酸の欠失とは、上記のタンパクが170801、170802コラーゲンと類似の生物学的活性を有する限り、配列番号2又は配列番号3の配列などのアミノ酸配列から1、2又は3個及び3個以上のアミノ酸を欠失できることを指し、細胞接着活性、細胞遊走促進活性、組織再生促進、及び毛包修復再生促進の活性が含まれる。
【0061】
本発明では、上記のアミノ酸は、L型アミノ酸であることが好ましく、同時に、ここでの1個又は複数(如2~5個、2~4個又は2~3個)のアミノ酸も、ポリペプチドのバイオアベイラビリティ、安定性及び/又は抗ウィルス活性を改善するために、配座がD型であるアミノ酸、人工的に修飾されたアミノ酸、自然に存在する希少アミノ酸などに置換されてもよい。ここで、D型アミノ酸とは、構成タンパク質のL型アミノ酸に対応するアミノ酸を指し、人工的に修飾されたアミノ酸とは、メチル化、リン酸化などによって修飾された構成タンパク質の普通なL型アミノ酸を指し、自然に存在する希少アミノ酸は、5-ヒドロキシリシン酸、メチルヒスチジン、γ-アミノ酪酸、ホモセリンなどの構成タンパク質の普通でないアミノ酸とタンパク質を構成しないアミノ酸が含まれる。
【0062】
(2)組換えヒトXVII型コラーゲンアミノ酸配列とDNA配列の最適化
【0063】
本発明において、170801、170802のDNA配列を修飾し、2つのアミノ末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列を付加し、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列を付加し、二重特異性のアフィニティー精製タグが含まれるようにさせ、アフィニティークロマトグラフィー精製が可能になり、2種類のタグ配列に基づいて免疫抗体検出が可能になる。具体的には、170801、170802のアミノ酸配列及びその遺伝子配列に基づいて、DNA配列のコドンバイアス及びその転写、翻訳中での関わる最適化パラメーターが計算され、接合、組換え、及び最適化して、ピキア酵母での高効率の発現されたより適切なDNA配列が合成される。
【0064】
本発明において、170801の両末端はそれぞれ修飾され、アミノ末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列を付加し、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列を付加してから、170801は最終的に発現して得られたのは、タグを含むタンパクであり、合計249個のアミノ酸であり、最適化された170801のアミノ酸配列は配列番号4に示される。170801の両末端にはそれぞれ修飾され、アミノ末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列が付加され、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列、終止コドン(TAA)、及びNot Iの制限酵素消化切断部位が付加されたDNA配列は、配列番号8に示される。
【0065】
配列番号4:
YVWSHPQFEKGSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQHHHHHH
【0066】
配列番号8:
TACGTATGGTCTCATCCACAATTCGAGAAGGGTTCTCCTGGTCCAAAAGGTGACATGGGTTCTCCAGGTCCTAAAGGTGACAGAGGTTTTCCTGGTACTCCAGGTATTCCTGGTCCATTGGGTCATCCAGGTCCTCAAGGTCCAAAAGGTCAAAAGGGTTCTGTTGGTGACCCTGGTATGGAAGGTCCAGGTGAAAAGGGTGAAAGAGGTGCTGCTGGTGAACCTGGTCCACACGGTCCACCTGGTGTTCCAGGTTCTGTTGGTCCTAAGGGTTCTTCTGGTTCTCCTGGTCCACAAGGTCCTCCTGGTCCAGTTGGTTTGCAAGGTTTGAGAGGTGAAGTTGGTTTGCCAGGTGTTAAGGGTGACAAGGGTCCAATGGGTCCTCCAGGTCCAAAAGGTGACCAAGGTGAAAAGGGTCCACCTGGTCCTCCTGGTCCACCTGGTCCAAAGGGTGACCAAGGTCCTCCAGGTCCTAGAGGTCATCAAGGTGAACAAGGTTTGCCTGGTTTTTCTGGTCCACCAGGTCCTCCAGGTCCACAAGGTCCTAAAGGTGACAAAGGTGACCCAGGTGTTCCTGGTGCTTTGGGTATTCCAGGTCCACCTGGTCAAAAAGGTGAAATGGGTACTCCAGGTCCTAAGGGTGACAGAGGTCCAGCTGGTCCACCTGGTCATCCTGGTCCACCAGGTCCAAGAGGTCATAAGGGTGAAAAAGGTGACAAGGGTGACCAACACCATCATCACCATCATTAAGCGGCCGC
【0067】
同様に、170802の両末端にはそれぞれ修飾され、アミノ末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列を付加し、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列を付加してから、170802が最終的に発現して得られたのはタグを含むタンパクであり、合計482個のアミノ酸で、最適化された170802のアミノ酸配列は配列番号5に示される。170802の両末端にはそれぞれ修飾され、アミノ末端にStrep-Tag IIタグをコードするDNA配列が付加され、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列、終止コドン(TAA)、及びNot Iの制限酵素消化切断部位が付加されたDNA配列は、配列番号9に示される。
【0068】
配列番号5:
YVWSHPQFEKGSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQGSPGPKGDMGSPGPKGDRGFPGTPGIPGPLGHPGPQGPKGQKGSVGDPGMEGPGEKGERGAAGEPGPHGPPGVPGSVGPKGSSGSPGPQGPPGPVGLQGLRGEVGLPGVKGDKGPMGPPGPKGDQGEKGPPGPPGPPGPKGDQGPPGPRGHQGEQGLPGFSGPPGPPGPQGPKGDKGDPGVPGALGIPGPPGQKGEMGTPGPKGDRGPAGPPGHPGPPGPRGHKGEKGDKGDQHHHHHH
【0069】
配列番号9:
TACGTATGGTCTCATCCTCAATTTGAAAAGGGTTCTCCAGGTCCTAAAGGTGACATGGGTTCTCCAGGTCCTAAGGGTGACAGAGGTTTTCCAGGTACTCCAGGTATTCCAGGTCCTTTGGGTCATCCAGGTCCTCAAGGTCCTAAAGGTCAAAAAGGTTCTGTTGGTGACCCTGGTATGGAAGGTCCTGGTGAAAAAGGTGAAAGAGGTGCTGCTGGTGAACCTGGTCCACACGGTCCTCCAGGTGTTCCTGGTTCTGTTGGTCCAAAAGGTTCTTCTGGTTCTCCTGGTCCACAAGGTCCTCCAGGTCCTGTTGGTTTGCAAGGTTTGAGAGGTGAAGTTGGTTTGCCAGGTGTTAAAGGTGACAAAGGTCCAATGGGTCCTCCAGGTCCAAAGGGTGACCAAGGTGAAAAAGGTCCACCTGGTCCTCCTGGTCCACCAGGTCCAAAAGGTGACCAAGGTCCACCTGGTCCAAGAGGTCACCAAGGTGAACAAGGTTTGCCTGGTTTTTCTGGTCCTCCAGGTCCTCCTGGTCCTCAAGGTCCAAAGGGTGACAAGGGTGACCCTGGTGTTCCAGGTGCTTTGGGTATTCCTGGTCCTCCAGGTCAAAAGGGTGAGATGGGTACTCCTGGTCCTAAGGGTGACAGAGGTCCAGCTGGTCCTCCTGGTCACCCAGGTCCTCCTGGTCCTAGAGGTCATAAAGGTGAAAAAGGTGACAAGGGTGACCAAGGTTCTCCAGGTCCAAAGGGTGACATGGGTTCTCCTGGTCCAAAAGGTGACAGAGGTTTCCCTGGTACTCCAGGTATTCCTGGTCCATTGGGTCACCCAGGTCCACAAGGTCCAAAAGGTCAAAAAGGTTCTGTTGGTGACCCAGGTATGGAAGGTCCAGGTGAAAAGGGTGAAAGAGGTGCTGCTGGTGAACCAGGTCCTCATGGTCCACCAGGTGTTCCAGGTTCTGTTGGTCCAAAGGGTTCTTCTGGTTCTCCAGGTCCACAAGGTCCTCCAGGTCCAGTTGGTTTGCAAGGTTTGAGAGGTGAAGTTGGTTTGCCTGGTGTTAAGGGTGACAAAGGTCCTATGGGTCCTCCTGGTCCTAAAGGTGACCAAGGTGAAAAGGGTCCACCAGGTCCTCCAGGTCCACCTGGTCCAAAAGGTGACCAAGGTCCACCAGGTCCTAGAGGTCATCAAGGTGAACAAGGTTTGCCAGGTTTTTCTGGTCCACCAGGTCCACCAGGTCCTCAAGGTCCTAAGGGTGACAAAGGTGACCCAGGTGTTCCTGGTGCTTTGGGTATTCCTGGTCCACCTGGTCAAAAGGGTGAAATGGGTACTCCTGGTCCTAAAGGTGACAGAGGTCCTGCTGGTCCACCTGGTCATCCAGGTCCACCTGGTCCAAGAGGTCACAAAGGTGAAAAGGGTGACAAGGGTGACCAACACCATCACCATCATCATTAAGCGGCCGC
【0070】
本発明において、全長ヒトXVII型コラーゲンアミノ酸配列(すなわち、ヒトXVII型コラーゲンα1鎖)をコードするDNA配列(アミノ末端にEcoR Iの制限酵素消化切断部位、Strep-Tag IIタグのDNA配列が付加され、カルボキシ末端に6×His TagタグをコードするDNA配列、終止コドン(TAA)及びNot Iの制限酵素消化切断部位が付加された)は、配列番号10に示される。
【0071】
配列番号10:
GAATTCTGGAGTCATCCTCAATTCGAAAAAATGGATGTCACTAAAAAGAACAAGAGAGACGGAACTGAGGTCACTGAGAGAATCGTTACCGAAACTGTCACCACAAGACTTACTTCATTACCTCCAAAGGGTGGAACTTCTAATGGTTACGCAAAGACAGCATCATTAGGAGGTGGTTCAAGACTTGAGAAACAATCCCTTACTCATGGTTCAAGTGGATACATAAATTCAACTGGTTCAACAAGAGGACATGCAAGTACTTCTTCTTATAGAAGAGCACATAGTCCAGCATCAACTTTGCCCAACTCTCCTGGTTCAACATTTGAGAGAAAAACTCATGTAACCAGACATGCCTATGAGGGTTCTAGTTCTGGTAATTCATCTCCAGAATACCCTAGAAAAGAGTTTGCATCATCCTCAACTAGAGGTAGATCACAGACTAGAGAATCTGAAATCAGAGTCAGATTACAATCAGCATCTCCTTCAACTAGATGGACTGAGTTAGACGACGTGAAAAGATTATTAAAGGGATCAAGAAGTGCAAGTGTTTCCCCTACAAGAAATTCTTCCAACACCCTTCCCATTCCTAAGAAAGGAACCGTTGAAACTAAAATCGTTACAGCATCATCTCAGTCTGTATCCGGAACCTACGACGCTACCATTCTGGACGCCAACTTACCTTCTCATGTCTGGTCTTCAACTTTACCCGCAGGTTCCTCAATGGGAACTTACCACAATAACATGACTACTCAATCAAGTTCTCTTCTGAATACCAATGCATACTCAGCCGGTTCCGTTTTTGGAGTCCCTAACAATATGGCCTCTTGCTCCCCAACTCTTCATCCAGGTCTTTCAACCTCATCAAGTGTATTTGGTATGCAGAACAACTTAGCCCCTTCCTTGACAACCCTGTCTCATGGTACTACTACCACTAGTACAGCATATGGAGTCAAGAAGAACATGCCACAGTCACCTGCTGCCGTTAACACTGGAGTTTCAACATCTGCTGCCTGCACTACATCTGTTCAATCAGATGATCTTCTGCATAAGGACTGCAAGTTTTTAATTTTAGAGAAAGACAATACCCCTGCCAAAAAGGAAATGGAGTTACTTATAATGACCAAAGATTCTGGTAAAGTATTCACTGCTTCTCCCGCTAGTATCGCCGCAACTTCATTCTCTGAAGATACTTTAAAGAAGGAAAAACAAGCCGCATACAACGCAGACTCAGGTTTAAAAGCAGAAGCAAACGGTGACCTTAAAACAGTGTCAACTAAGGGAAAGACTACAACCGCAGACATCCATTCATATGGTTCTTCAGGTGGAGGAGGATCTGGAGGAGGTGGTGGAGTGGGAGGTGCTGGAGGAGGTCCATGGGGTCCTGCACCTGCATGGTGCCCTTGCGGTTCTTGCTGCAGTTGGTGGAAGTGGCTTCTGGGTTTATTATTAACTTGGCTGCTTTTACTGGGTCTTTTATTCGGTCTTATCGCATTAGCAGAAGAGGTCAGAAAACTTAAGGCCAGAGTTGATGAGTTAGAGAGAATCAGAAGATCAATCCTTCCCTATGGAGACTCCATGGACAGAATCGAAAAGGATAGACTTCAGGGTATGGCCCCTGCAGCAGGAGCTGATCTGGATAAAATCGGACTTCATTCAGATTCTCAAGAGGAATTATGGATGTTTGTTAGAAAGAAACTTATGATGGAGCAGGAGAACGGTAACCTGAGAGGTTCTCCTGGTCCAAAAGGAGATATGGGTTCACCCGGTCCCAAAGGAGATAGAGGATTCCCTGGTACTCCAGGTATCCCCGGTCCCCTGGGTCACCCTGGACCTCAAGGTCCTAAAGGTCAAAAGGGTTCTGTAGGAGATCCAGGTATGGAGGGTCCCATGGGTCAGAGAGGTAGAGAAGGTCCCATGGGACCAAGAGGTGAAGCTGGACCTCCCGGAAGTGGTGAAAAAGGAGAAAGAGGAGCAGCAGGAGAACCTGGACCCCATGGACCTCCAGGAGTTCCTGGATCAGTCGGACCCAAAGGTTCATCCGGTTCTCCTGGACCTCAAGGTCCACCAGGACCCGTCGGATTGCAAGGATTGAGAGGAGAAGTTGGACTTCCCGGAGTTAAGGGTGACAAGGGTCCTATGGGTCCTCCTGGTCCAAAGGGAGATCAGGGTGAAAAGGGTCCTAGAGGTCTGACTGGTGAACCAGGAATGAGAGGACTTCCCGGTGCCGTGGGTGAACCCGGTGCAAAAGGAGCAATGGGTCCTGCCGGTCCTGATGGACACCAGGGACCCAGAGGAGAGCAGGGATTAACAGGAATGCCTGGTATCAGAGGTCCCCCAGGTCCCTCAGGAGACCCAGGAAAGCCAGGACTTACTGGTCCCCAGGGTCCTCAAGGTCTGCCTGGAACTCCCGGAAGACCCGGAATCAAAGGTGAACCAGGAGCCCCAGGAAAAATCGTTACTAGTGAAGGATCTTCAATGCTGACTGTGCCAGGTCCACCTGGTCCTCCTGGAGCTATGGGTCCTCCCGGTCCCCCTGGAGCACCCGGTCCTGCAGGTCCTGCCGGATTACCTGGACATCAGGAAGTCTTAAACCTGCAAGGTCCACCAGGTCCTCCTGGTCCAAGAGGACCCCCTGGTCCTTCAATCCCTGGTCCACCTGGACCTAGAGGTCCACCCGGAGAGGGACTTCCCGGACCACCAGGACCTCCTGGATCATTTCTGTCTAATTCTGAGACATTTCTTTCAGGACCTCCTGGTCCTCCCGGACCACCTGGACCAAAAGGAGATCAGGGACCACCTGGTCCCAGAGGACATCAAGGAGAGCAGGGTCTTCCAGGTTTCTCTACTTCTGGATCATCATCATTTGGTCTTAATCTTCAAGGTCCTCCTGGACCCCCAGGACCACAGGGACCCAAGGGTGACAAGGGAGACCCTGGAGTCCCAGGTGCACTGGGAATCCCTTCAGGTCCTTCAGAAGGTGGTTCATCTTCAACCATGTATGTGTCTGGACCCCCAGGACCTCCCGGACCTCCAGGTCCTCCTGGTTCAATCTCTTCTTCTGGTCAAGAAATTCAGCAGTATATTTCTGAGTACATGCAATCTGACTCTATTAGAAGTTATTTGTCTGGTGTGCAGGGTCCACCAGGTCCTCCAGGTCCCCCTGGACCAGTCACTACTATCACTGGAGAGACATTTGATTATAGTGAATTAGCATCACACGTCGTTTCTTATCTGAGAACTTCAGGTTATGGTGTTTCATTATTTTCCTCCTCAATCTCTTCAGAAGACATCTTAGCCGTACTGCAGAGAGATGATGTAAGACAGTACCTTAGACAATACTTGATGGGTCCAAGAGGACCACCAGGTCCACCCGGTGCATCAGGAGACGGATCATTATTATCTTTGGATTACGCTGAATTATCATCAAGAATCCTTAGTTACATGTCCTCTTCTGGTATCTCCATAGGTCTGCCCGGTCCTCCTGGTCCTCCCGGACTTCCTGGTACTTCTTACGAAGAGCTTCTGTCACTTTTAAGAGGATCTGAGTTTAGAGGTATAGTTGGTCCCCCAGGACCTCCAGGTCCTCCAGGTATCCCAGGTAACGTGTGGTCATCTATCTCAGTTGAGGATCTTTCATCTTATCTTCACACCGCCGGATTGTCCTTTATACCTGGTCCTCCAGGACCCCCTGGACCTCCTGGACCCAGAGGTCCTCCAGGAGTATCCGGTGCTTTAGCAACTTATGCAGCAGAAAACTCCGATTCTTTTAGATCAGAATTGATCTCCTACCTTACTTCTCCTGATGTTAGATCATTCATCGTCGGACCTCCAGGACCACCTGGACCTCAAGGACCTCCTGGAGATTCAAGATTACTGAGTACAGATGCATCACATTCAAGAGGTTCAAGTTCTTCTTCTCACTCCTCTTCTGTTAGAAGAGGATCATCATATTCATCAAGTATGTCAACTGGTGGAGGAGGAGCTGGTTCATTGGGTGCCGGAGGTGCATTTGGTGAGGCCGCTGGTGACAGAGGACCTTATGGTACTGACATTGGACCTGGTGGAGGTTATGGTGCAGCAGCAGAAGGTGGAATGTATGCTGGTAATGGAGGTTTACTGGGAGCCGACTTTGCCGGAGACCTGGACTACAACGAGTTAGCTGTTAGAGTGTCAGAGTCAATGCAGAGACAAGGATTATTACAGGGTATGGCTTATACAGTTCAGGGACCCCCAGGTCAGCCAGGTCCTCAAGGACCCCCTGGTATTTCAAAAGTCTTCTCCGCTTATTCTAACGTTACTGCAGACCTGATGGATTTCTTCCAGACTTACGGTGCCATCCAAGGTCCTCCAGGACAGAAGGGTGAAATGGGAACTCCCGGTCCCAAGGGTGACAGAGGTCCTGCAGGACCTCCTGGTCACCCTGGACCACCTGGACCTAGAGGACACAAAGGTGAGAAGGGTGACAAGGGAGACCAGGTTTACGCAGGAAGAAGAAGAAGAAGAAGTATTGCCGTCAAGCCTCACCATCACCATCATCACTAAGCGGCCGC
【0072】
(3)DNA配列の合成と組換え発現ベクターの構築
【0073】
本発明において、最適化された配列番号8、配列番号9、及び配列番号10は、GenScript(Nanjing)Co.Ltd.に依頼して合成され、3つの遺伝子の断片はpUC57-170801、pUC57-170802、pUC57-col17a1として示される。合成された遺伝子の断片の配列番号8、配列番号9をSnaB IとNot Iで二重酵素消化して、酵素消化して得られた標的遺伝子の断片を同様に二重酵素消化されたpPIC9K空ベクター(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社から購入)にライゲーションする。同時に、合成された遺伝子の断片の配列番号10をEcoR IとNot Iで二重酵素消化し、比較として、酵素消化して得られた標的断片を同様に二重酵素消化されたpPIC9K空ベクターにライゲーションする。
【0074】
工程a.標的遺伝子、発現ベクターを増幅する。プラスミドミニプレップキット(Biotechnology(Shanghai)Ltd.から購入)によりpUC57-170801、pUC57-170802、pUC57-col17a1、pPIC9K空ベクターのプラスミドをそれぞれ抽出し、具体的な操作は、キットの説明書に従って実行される。
【0075】
工程b.工程a得られた標的遺伝子の断片とpPIC9Kベクターのプラスミドを37℃で30分間二重酵素消化し、酵素消化反応系は次の通りである(しようしたQuickCutTM制限酵素はTaKaRa Biotechnology (Dalian)Co.,Ltd.から購入され、酵素消化プロセスは、その説明書に従って実行される)。
【0076】
【0077】
得られた標的遺伝子の断片とベクター断片をPCR産物精製キットで精製する(TaKaRa Biotechnology (Dalian)Co.,Ltd.から購入され、具体的な操作は、キットの説明書に従って実行される)。二重酵素消化された標的遺伝子の断片とベクターpPIC9K線形化断片を回収し、SolutionIライゲーション試薬(ライゲーションキットはTaKaRa Biotechnology (Dalian)Co.,Ltd.から購入され)でライゲーションし(16℃で30分間ライゲーションする)、標的遺伝子の断片を分泌シグナルα-因子の分泌型ベクターのリーディングフレーム内に正確に挿入し、ライゲーション反応系は、次の通りである(ライゲーションキットの説明書に従って実行される)。
【表2】
【0078】
ライゲーション産物をコンピテントな大腸菌DH5α(Biotechnology(Shanghai)Ltd.から購入)に形質転換し、陽性クローンをAmpが含まれるLB抗性プレートでスクリーニングし、コロニーPCR検証を行い、組換えプラスミドを抽出してシーケンシング同定(Biotechnology(Shanghai)Ltd.により完成させる)し、本実施例は組換え発現ベクターpPIC9K-170801、pPIC9K-170802、pPIC9K-col17a1を構築したことがシーケンシング検証により正確に証明され、関連するプラスミドグラフは、
図1、
図2、及び
図3に示される。
【0079】
(4)組換えエンジニアリングバクテリア株の構築、菌種選別
工程(3)で得られた組換え発現ベクタープラスミド10μgをSacI(酵素消化キットは、TaKaRa Biotechnology(Dalian)Co.,Ltd.から購入され、具体的な操作はキットの説明書に従って実行される)により37℃で一晩酵素消化して線形化させ、PCR産物精製キット(Biotechnology(Shanghai)Ltd.から購入)を使用して線形化プラスミドを回収し、回収された体積が10μL程度に制御された。
【0080】
線形化したプラスミドを空の宿主菌種のピキア酵母GS115(China Center of Industrial Culture Collectionから購入)コンピテント細胞に電気形質転換し、電気形質転換された菌液をMDプレートに塗布し、100μL~200μL毎に1つのプレートに塗布し、室温で10分間静置して、単一のコロニー(陽性の形質転換体)が現れるまで30℃で2~5日間反転培養した。
【0081】
MDプレートの表面に2mLの滅菌再蒸留水を添加して、滅菌三角スプレッダーでプレート表面のHis+形質転換体(陽性の形質転換体)を手軽にこすり取り、50mLの遠心管に移り、滅菌再蒸留水で細菌懸濁液に希釈し、105個の細胞を含む細菌懸濁液を0.5mg/mL G418が含まれるYPDプレートに塗布し、反転して、単一のコロニーが現れるまで30℃で3~4日間培養した。YPDプレートからコロニーを滅菌96ウェルプレートに選別し(各ウェルには200μLのYPDが含まれる)、均一に混合して、30℃で48時間培養し、ウェル中の菌液を均一に混合し、10μLをそれぞれ取って新しい滅菌96ウェルプレートに接種し、30℃で24時間培養してから、該工程を一回繰り返し、24時間後で3番目の96ウェルプレートから1μL取って1.0mg/mLと4mg/mLのG418を含むYPDプレートにそれぞれスポットし、30℃で引き続き96時間~120時間培養した。ピキア酵母の形質転換体は、高濃度のG418を含むプレート上で増殖できれば、該形質転換体が複数のコピーの標的遺伝子を含み、すなわち、複数の組換え断片が酵母体内に入って相同組換えによって酵母の染色体に組み込まれた。コピー数が多く、効率的に発現できる組換え酵母エンジニアリングバクテリア種は、この段階のスクリーニングより得ることができる。
【0082】
pPIC9K-col17a1、pPIC9K-170801、pPIC9K-170802の3種類のエンジニアリングバクテリアのサンプルは、中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センターに送られ、菌種寄託番号は、CGMCC No.18659、CGMCC No.20626、CGMCC No. 20627である。住所は北京市朝陽区北辰西路1号院3号であり、寄託日はCGMCC No.18659が2019年10月10日であり、CGMCC No.20626、CGMCC No. 20627が2020年9月9日である。分類名は、ピキアパストリス酵母(Pichia pastoris)である。
【0083】
(5)誘導発現と組換えコラーゲンの同定
工程(4)において、1.0mg/mLと4mg/mLのG418をそれぞれ含むYPDプレートに単一のコロニーを選別し、10mLのBMGY培地を含む100mLの三角ボトルに入れ、28~30℃、220rpmでOD600が2~6(16~18時間)になるまで培養した。室温で1500~3000gで5分間遠心し、菌体を集めて、OD600が2程度になるまで菌体をBMMY培地に再懸濁し、28~30℃、220のrpmのシェーカー上に置いて3日間増殖させ、24時間ごとに培地に最終濃度が1.0%になるまで100%のメタノールを添加した。各時点(24時間以上、必要に応じて24時間、48時間、72時間、96時間でサンプリング)で菌液サンプルを採取し、サンプリング量は1mLであり、1.5mLのEPチュープに入れ、最大回転速度で2~3分間遠心して発現上清と菌体を収集した。菌体をガラス株(Sangon Biotech(Shanghai)Co.,Ltd.から購入)の破壊法により溶解し、溶解バッファー(1mMのPMSF、10mMのTris、pH7.4)、4℃、12000gで5分間遠心し、細胞内の溶解上清を採取し、8Mの尿素を加えて振とうして沈殿を溶解させ、標的タンパクの発現量と菌液の最佳採取時点を分析した。検出されるサンプルは、後で使用するために-80℃で保存された。
【0084】
採取した発現上清、細胞内溶解上清、細胞内沈殿溶解液に5×ローディングバッファー(250mMのTris-HCl、pH値は6.8であり、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロール、5%β-メルカプトエタノール)を加え、100℃の金属浴に置いて10分間加熱し、SDS-PAGE検出を行った。発現された標的タンパクは、アミノ末端にSrtep-TagIIタグがあり、カルボキシ末端に6×Hisタグがあるため、抗Srtep-Tag II、抗6×His Tagの抗体(GenScript(Nanjing)Co.Ltd.から購入)を使用してウエスタンブロット検出した。
【0085】
組換え全長ヒトXVII型コラーゲンα1鎖の発現と同定:
図4のSDS-PAGE結果図に示されるように、発現上清には予想される標的バンドが見られなかった(その見かけ分子量は約180kDaである)。
【0086】
抗6×His Tag抗体を使用してウエスタンブロット検出した結果、
図5に示されるように、発現上清には非常に少ない量の分解標的タンパクしか検出されず(見かけ分子量は予想よりも小さく、約120kDaである)、さらに長い間で誘導発現した後にのみ見られた。細胞内溶解上清には、分解された標的タンパクが多く(見かけ分子量は予想よりも小さい)、その見かけ分子量は約120kDaである(ヒトXVII型コラーゲンの細胞外ドメインの見かけ分子量とは一致)。細胞内沈殿溶解部でのみ、予想される見かけ分子量(180kDa)の標的タンパクが存在した。実験結果は、膜貫通型のコラーゲンとして、細胞内の膜系に固定されるべき、分解後にのみ細胞に脱落して溶解でき、発現上清で検出された分解した標的タンパク質は、長期間培養で死んでいた細胞が溶解された後で発現上清に放出された可能性があり、いずれの場合も、全長の組換えヒトXVII型コラーゲンは、ピキア酵母胞外に効率的に分泌することができなかった。
【0087】
170801、170802コラーゲンの発現と同定:
図6は、24時間誘導した後、170801、170802コラーゲンのエンジニアリングバクテリアの発現上清のSDS-PAGE結果であり、
図6に示されるように、170801、170802コラーゲンは、24時間誘導発現しただけで細胞外の培養上清に効率的に分泌して発現され、170801の見かけ分子量は約30kDaであり、170802の見かけ分子量は約52kDaである。
【0088】
図7は、24時間誘導した後、170801、170802コラーゲンのエンジニアリングバクテリアの発現上清のウエスタンブロット結果(Anti-His、抗体は、Biotechnology(Shanghai)Ltd.から購入、マウス抗Hisモノクローナル抗体、カタログ番号はD199987である)であり、
図8は、24時間誘導した後、170801、170802コラーゲンのエンジニアリングバクテリアの発現上清のウエスタンブロット結果(Anti-Strep-Tag II、抗体は、GenScript(Nanjing)Co.Ltd.から購入、ウサギ抗Strep-Tagポリクローナル抗体、カタログ番号はA00626)である。
図7、及び
図8の結果(ECL化学発光着色、全自動化学発光画像解析システムTanon 5200による画像中のタンパク質分子質量標準の合成)に見られるように、アミノ末端にSrtep-TagIIタグが検出され、カルボキシ末端に6×Hisタグが検出され得、標的バンドの大きさはSDS-PAGEにおける見かけ分子量と同じであり、組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802は、高効率的に分泌されて発現されたことを示している。
【0089】
切断誘導によって発現されたタンパクバンドを回収し、トリプシンによりそれを酵素分解して、Nano-HPLC-MS/MS質量分析により組換えコラーゲンのトリプシン酵素分解後のペプチドセクション(Suzhou Putai Bio-Technology Co.,Ltd.に依頼して完成させた)を検出し、検出されたペプチドセクションを配列アラインメントした(Uniprotデータベース)。その結果、
図9、
図10に示されるように、170801、170802コラーゲンは、酵素分解されて検出されたペプチドセクションは、アミノ酸配列の選択及び設計中に選択されたヒトXVII型コラーゲン配列の関連領域に属し、170801、170802コラーゲンは発現されたことを示している。
【0090】
実施例2.遺伝子工学菌のパイロット発酵とタンパク精製
(1)パイロット発酵
構築されたpPIC9K-170801、pPIC9K-170802をそれぞれ含むエンジニアリングバクテリアを50L~500Lのリンケージパイロット発酵に供して、組換えヒトXVII型コラーゲンを含む発酵液を得て、組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802の大規模な発現生産を実現した。
【0091】
種子培地YPG(処方は、酵母粉10g/L、酵母ペプトンFP102 20g/L、無水グリセロール10g/L)、発酵培地(処方は、NH4H2PO4 190.4 g/L、KH2PO4 10.06 g/L、CaSO4・2H2O 1.18 g/L、K2SO4 18.2 g/L、MgSO4・7H2O 14.9 g/L、グリセロール40 g/L)、フィード培地(50%W/Vグリセロール、1リットルあたり12mLのPTM1微量元素を加え)、誘導培地(100%メタノール、1リットルあたり12mLのPTM1微量元素を加え)、ここで、PTM1は、0.22μmのフィルターメンブレンでろ過除菌し、4℃で保存した。発酵培地を高温で滅菌した後、温度が室温まで下がった時にPTM1を加え、pH値をアンモニア水で5.0に調整した。
【0092】
構築されたエンジニアリングバクテリア株のバッチ培養条件と誘導発現の条件は次の通りである。
【0093】
バッチ流加培養法を採用し、培養温度を30℃にした。構築されたエンジニアリングバクテリアは、種子培地YPGを入れた振とうフラスコに接種され、薬瓶の容量が2Lで、220rpm、30℃で24時間培養し、10%の接種量で発酵培地を含む種子発酵槽に接種し(接種後のOD600が5になるように)、発酵槽の容量は50Lであり、培養を拡大し、攪拌回転速度を200r/min~600r/minに調整し、エアフラックスは2VVMであり、DOは30%以上であり、炭素源がなくなるまで培養し、発酵培地を含む発酵槽に移って発酵培養を開始し、発酵槽の容量は500Lである。発酵培養の条件は、攪拌回転速度は150r/min~500r/minであり、タンク圧は0~0.05MPaであり、エアフラックスは1VVMであり、DOは30%以上であり、溶存酸素がリバウンドするとフィード培地を流加し、流加速率はDOを30%以上に維持し、OD600が190~210になるまで増殖させ、フィードを停止した。溶存酸素がDO70%以上に跳ね返った後、誘導培地を流加して誘導発現し、DOが30%以上になるように回転速度、通気量、タンク圧、及び流加速度を調整する。誘導は40~72時間であり、UV測定によるタンパク濃度の増加が明らかでない又は低下する場合は、タンクに入れてもよい。
【0094】
UVタンパクの定量の式:C(mg/mL)=0.144*(A215-A225)、A215<1.5。
【0095】
構築されたエンジニアリングバクテリアを高密度のパイロット発酵させた結果、48時間誘導した時に、菌の濃度(OD
600)はいずれも250以上に達し、菌の湿重量は300g/L程度に達し、発酵液におけるタンパクの濃度はいずれも10g/L(UV定量)を超えたことが分かった。結果は、
図11、及び
図12、
図11に見られるように、171801のエンジニアリングバクテリアは、増殖が良好で、48時間誘導した時に菌の濃度(OD
600)が270に達し、菌の湿重量が355g/Lに達し、発酵液におけるタンパクの濃度が12g/L(UVで定量)に達し得る。
図12に見られるように、171802のエンジニアリングバクテリアは、増殖が良好で、48時間誘導した時に菌の濃度(OD600)が250に達し、菌の湿重量が293g/Lに達し、発酵液におけるタンパクの濃度が11g/L(UVで定量)に達し得る。
【0096】
(2)精製
本実施例で使用されるバッファーは、次の通りである。
バッファーA:20mMのKH2PO4、pH値は4.0である。
バッファーB:20mMのKH2PO4、1MのNaCl、pH値は4.0である。
得られたエンジニアリングバクテリアの発酵液を収集し、セラミック膜分離システム(Jiangsu Jiuwu Hi-Tech Co.,Ltd、JWCMF-9)を用いて菌体と発酵上清を分離した。A215の吸光値と電導率値が変わらなくなるまで、カチオン交換媒体をバッファーAで平衡化した(クロマトグラフィーパッキングは、Suzhou Nanomicro Technology Co.,Ltd.製のUniGel-80spであり、Jiangsu Hanbon Science & Technology Co.,Ltd.製の自動クロマトグラフィーシステムにロードされる)後で、サンプルローディングの流速は100us/cmであり、サンプルローディングの容量は20L/回であり、検出した紫外線A215の吸光値が上がる時に、流出物を受け取り始めた。サンプルローディングが終わったら、サンプルの受け取りを閉じ、カチオンクロマトグラフィー媒体をバッファーAで平衡化し、A215の吸光値が低下した時に、紫外線と電気伝導が最小になるまでサンプルの受け取りを開き、サンプルの受け取りを停止した。500mMと1Mの塩化ナトリウムでそれぞれ溶出し、溶出液を収集し、500mMの溶出液と1Mの溶出液の画分における精製タンパクの状態をそれぞれ検出し、画分を決定した後、透析し(透析液は超純水である)、濃縮して冷凍結乾燥燥させ、凍結乾燥したコラーゲンスポンジを収集した。
【0097】
170801、170802コラーゲンの凍結乾燥スポンジを超純水で2mg/mLに溶解し、0.22μmのフィルターメンブレンでろ過し、10μL(Sepax Bio-C18カラム、高速液体クロマトグラフィーはWaters2695又はAgilent LC1260である)を注入し、精製されたコラーゲン170801、170802の純度を分析した。
【0098】
精製の結果は、
図13、
図14に示し、図に見られるように、精製された170801、170802コラーゲンは、単一ピークが明らかで、純度が高く(91.2%、90%)、本精製法の信頼性と効果が高く、得られたコラーゲンの純度が高いことが分かった。
【0099】
本実施例で使用した精製法に加えて、170801、170802コラーゲンは、アミノ末端にSrtep-TagIIタグがあり、カルボキシ末端に6×Hisタグがあるため、Ni-NTA、Strep-Tactinなどのアフィニティー媒体でシンプル又はダブルアフィニティー精製を行ってもよく、本実例と類似する効果を得ることもできる。
【0100】
(3)組換えコラーゲンの特徴づけ
分子量の測定:
得られた170801、170802タンパクの理論的に予測された分子量は、それぞれ23.8kDa、45.4kDaであり、SDS-PAGEによって検出された見かけ分子量は、理論的に予測された値よりも大きかった。組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802タンパクを精製して得られた凍結乾燥品をマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(AB SCIEX 5800 MALDI-TOF/TOF)でその相対分子量を検出し、タンパクの実際分子量を判断し、Sangon Biotech(Shanghai)Co.,Ltd.に依頼して検出された結果は、
図15、
図16に示されるように、MALDI-TOF MS(電荷数+1)で検出された170801コラーゲンの分子量は23811.6797Da(理論値は23800Da)であり、170802コラーゲンの分子量は45689.5781Da(理論値は45400Da)であり、ピキア酵母での発現後の翻訳後修飾及び分子量実験的測定における系統的な誤差のために、実際に発現されたコラーゲンの分子量は理論値と一致している。
【0101】
フーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)分析:
コラーゲン基の特徴的な吸収ピークは、赤外スペクトル分析により検出でき、試験では170801、170802コラーゲンを微量採取して精製されて得られた凍結乾燥サンプルは、KBrで粉末に研磨して錠剤化し、室温、4000~400cm-1の範囲内の走査(Thermo Scientific、NicoletTM iSTM 10 FT-IR分光計)、方法及び結果の分析は、Jeong、H.、J.Venkatesan and S. Kim、Isolation and characterization of collagen from marine fish (Thunnus obesus). Biotechnology and Bioprocess Engineering、2013. 18(6): p. 1185-1191.を参照した。
【0102】
170801、170802コラーゲンは、精製サンプルの赤外スペクトルスキャンの
図17から見られるように、アミドA、アミドB、アミドI、アミドII、アミドIIIの波数は、全て組換えコラーゲンの構造特性に適している(文献[1].陳静涛ら、組換えコラーゲンとウシ由来I型コラーゲン赤外スペクトル研究.材料導報、2008(03):第119-121頁.[2].Doyle、B.B.、E.G.Bendit and E.R. Blout、Infrared spectroscopy of collagen and collagen‐like polypeptides. Biopolymers、1975. 14(5): p. 937-957. [3].周愛梅ら、組換えヒト由来コラーゲンの分離精製及びその構造的特徴づけ.食品と発酵工業、2015(03): 第46-52頁.を参照)。
【0103】
コラーゲン凍結乾燥スポンジサンプルの走査型電子顕微鏡走査分析:
走査型電子顕微鏡(Hitachi TM3030PLUS)を使用して170801、170802コラーゲン凍結乾燥スポンジサンプルの表面を走査した結果、
図18に示し、図に見られるように、組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802は、いずれも明らかなラメラ構造を有し、人体でヒトXVII型コラーゲンの基底膜での層状分布と類似し、そのような構造は、生体医学材料の分野に適用できる可能性があることを示している。
【0104】
実施例3.組換えコラーゲンの細胞接着活性の検出
組換えコラーゲンの細胞接着活性の検出方法は、文献Juming Yao、Satoshi Yanagisawa、Tetsuo Asakura. Design、Expression and Characterization of Collagen-Like Proteins Based on the Cell Adhesive and Crosslinking Sequences Derived from Native Collagens 、J Biochem .136、643-649(2004)を参照した。常州大学薬学部機能性ナノ材料と生体医学試験実験室に依頼して完成させた。
【0105】
具体的な実施方法は、次の通りである。
【0106】
NIH/3T3細胞(中国科学院のセルバンクから購入され、カタログ番号はGNM6で、培養、継代方法は細胞の説明書に従って実行された)を正常に培養した。170801、170802タンパクの精製凍結乾燥品、対照品としての天然ヒトコラーゲン(Sigmaから購入、カタログ番号C7774)及びウシ血清アルブミン(BSA、Sangon Biotech(Shanghai)Co.,Ltd.から購入)を採取して溶解し(超純水又は1MのHCl溶液)、UVでタンパクの定量的経験式C(mg/mL)=0.144*(A215-A225)を使用してタンパクの濃度を測定し、PBS(pH値は7.4)で0.5mg/mLに希釈した。96ウェル細胞培養プレートに100μLの各タンパク溶液とブランクPBS溶液対照を加え、室温で60分間静置し、良好な培養状態の3T3細胞を各ウェルに105個接種し、37℃、5%CO2で60分間培養した。ウェル中の細胞をPBSで4回洗浄した。LDH検出キット(Roche、04744926001)を使用してOD492nmの吸光度値(具体的な操作は説明書に従って実行させた)を検出した。
【0107】
OD492nmの吸光度では、吸光度の値が高いほど、タンパクが接着する細胞が多くなり、接着活性が高くなり、コラーゲンは、細胞が細胞壁又は細胞外マトリックスに短時間で接着するのを助け、より良い細胞外環境を構築するのに寄与するコラーゲンサンプルの細胞接着活性を対応的に特徴づけて得る。その結果は、
図19の結果に示されるように、組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802は、市販の天然ヒトコラーゲンよりも優れた細胞接着活性を有する。
【0108】
実施例4.スクラッチ法による組換えコラーゲン細胞遊走活性の検出
組換えコラーゲンの細胞遊走活性を検出及び分析するための方法は、文献Bobadilla、A.、et al.、In vitro cell migration quantification method for scratch assays. J R Soc Interface、2019. 16(151): p. 20180709.を参照し、常州大学薬学部機能性ナノ材料と生体医学試験実験室に依頼して完成させた。
【0109】
具体的な実施方法は、次の通りである。
【0110】
170801、170802コラーゲンの精製凍結乾燥品、対照品としての天然ヒトコラーゲン(Sigmaから購入、カタログ番号C7774)及びウシ血清アルブミン(BSA、Sangon Biotech(Shanghai)Co.,Ltd.から購入)を溶解し(超純水又は1MのHCl溶液)、UVでタンパクの定量的経験式:C(mg/mL)=0.144*(A215-A225)を使用してタンパクの濃度を測定し、DMEM無血清培地(GIBCO、カタログ番号12800017、pH 7.4)で0.5mg/mL(希釈した後、pH値を7.0~7.4で安定するように調節する)に希釈した。NIH/3T3細胞(中国科学院のセルバンクから購入、カタログ番号GNM6、培養、継代方法は、細胞の説明書に従って実行された)を正常に培養、継代した。良好な状態の細胞を6ウェルプレートに接種し、各ウェルに2万個の細胞/mLの密度で細胞懸濁液を2mL接種し、36時間培養した。200μLのピペットチップによってスクラッチを作成し、細胞をPBSで3回洗浄し、スクラッチされた細胞を除去した。DMEM無血清培地で希釈されたタンパク溶液をウェルに加え、引き続き37℃、5%CO2培養箱で培養し、0時間、24時間、48時間でサンプリングして写真を撮った。細胞遊走の写真をImage Jソフトウェアにより処理し、初期のスクラッチ面積と無細胞ブランク領域の面積データを取得し、遊走率=(1-無細胞ブランク領域面積/初期スクラッチ面積)*100%で遊走率を算出した。
【0111】
インビトロ細胞遊走実験は、インビボ細胞遊走のプロセスをある程度シミュレートし、細胞と細胞外マトリックス及びマトリックスの影響での細胞との間の相互役割を直接反映する。細胞遊走活性は、コラーゲンの生物学的活性をより効果的に特徴づける指標であり、遊走率が高く、速度が速いほど、コラーゲンの生物学的活性が良くなる。その結果、
図20に示されるように、異なる時で撮られた細胞遊走の実際の比較図(2つの黒い線内は、初期及び細胞遊走後のスクラッチ傷の領域であり)、及び
図21に示される算出した細胞遊走率(Image Jによって計算された無細胞ブランク領域)の比較によると、組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802は、いずれも市販の天然ヒトコラーゲンよりも優れた細胞遊走活性を有することを示している。
【0112】
実施例5.170801、170802組換えコラーゲンゲルの調製とウサギの耳の瘢痕モデルでの実験
ナトリウムカルボキシメチルセルロースを取り、170801、170802コラーゲンの精製凍結乾燥品をそれぞれ取って超純水に溶解し、0.01%の濃度のナトリウムカルボキシメチルセルロース、5%のコラーゲンを得て、0.01%のナトリウムカルボキシメチルセルロースを5%のコラーゲンと均一に混合してコラーゲンゲルを調製し、コラーゲンが含まれないナトリウムカルボキシメチルセルロースゲルを陰性対照とした。
【0113】
ニュージーランド白ウサギ(中国人民解放軍海軍軍医大学実験動物センターから購入)は、体重が2~3kgである。ニュージーランド白ウサギは、21℃の室温、12時間の昼夜サイクル、シングルケージ、換気の良い部屋で飼育され、実験前に2週間飼育されて環境に適応させた。次に、実験動物は、耳静脈麻酔のために30g/Lのペントバルビタールナトリウム1.0mL/kg(30mg/kg)を投与されることにより、瘢痕モデルを構築した。麻酔を確定した後、皮膚をアルコールで3回擦り洗った。直径1cmの皮膚生検装置を使用してウサギの耳の内側にきちんとした皮膚切開端を描き、眼のはさみで直径約1cmの全層皮膚欠損創を切り出し、耳の軟骨の表面を露出させた。傷口を滅菌ワセリンガーゼで覆い、外側を滅菌ガーゼで覆い、包帯を巻いて固定した。2~3日ごとにヨードフォアで創傷を消毒および創面切除し、創傷被覆材を交換した。
【0114】
21日目に、創傷が治癒した後、創傷を各群に分け、それぞれ170801コラーゲンゲル、170802コラーゲンゲルを使用して創傷を塗り、ヨウ素含有抗菌手術用フィルム(Drape Antimicrob(登録商標)、Minnesota Mining and Manufacturing Company、USA)、自己接着性シリコーンフィルムドレッシング(Cica-Care(登録商標)、Smith&Nephew、England)を使用して瘢痕介入治療をした。
【0115】
デジタルカメラ及びダーモスコピーを使用して瘢痕介入実験の1~6週間の瘢痕の全体的な外観を記録し、6週目の麻酔後、耳の静脈に過飽和塩化カリウム溶液を注射して犠牲させ、耳の瘢痕のサンプルを採取し、固定液に浸し、HEで染色し、マッソンで染色し、顕微鏡で観察して写真を撮った。具体的な方法は、[1]劉▲トン▼.組換えヒトコラーゲンヒドロゲルと人工真皮は、それぞれマイクロスキングラフトカバーとして全層皮膚欠損を修復する実験研究[D].中国人民解放軍海軍軍医大学、2019.[2]李継承編集.組織学および発生学実験ガイド[M].北京:人民衛生出版社、2018.09.を参照してもよい。
【0116】
実験結果を
図22に示し、170801、170802コラーゲンゲルによっては、ウサギ耳の皮膚の傷に対す治癒後の瘢痕が良く回復し、ウサギ耳の内側には明らかな新しい毛が成長し、生物学的機能を備えた明らかな毛包が形成されて毛が成長することを示し、組織スライスのマッソン染色、HE染色の結果によると、組織内のコラーゲン繊維が整然と配置され、真皮組織が形成され始め、特に新しい毛包構造の存在と明確な発毛(図の矢印で示された円内)は、効果的な真皮組織の回復と生物学的機能(毛の生成)を伴う毛包再生の明確な兆候であり、対照群では、予後の瘢痕は、瘢痕構造と同様に、依然として大量の規則的な緻密なコラーゲン沈着であり、毛包構造、真皮組織形成、及び回復した成長を伴うウサギの毛はない。実験結果は、組換えヒトXVII型コラーゲン170801、170802が組織修復及び毛包修復再生促進の優れた生物学的活性を有することを示している。
【配列表】