(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】偏心傾斜位置機構を有するアンテナポジショナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/08 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
H01Q3/08
(21)【出願番号】P 2020544933
(86)(22)【出願日】2019-03-07
(86)【国際出願番号】 US2019021170
(87)【国際公開番号】W WO2019173603
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツィンマーマン、カート、エー.
(72)【発明者】
【氏名】オックスフォード、タデウス、ディ.
(72)【発明者】
【氏名】リーチ、スコット、ディ.
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-205411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0077585(US,A1)
【文献】特開平09-284033(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188752(WO,A1)
【文献】特開平09-177927(JP,A)
【文献】特開平08-277901(JP,A)
【文献】特開2003-347821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース構造体(305)と、
第1の軸(306)を中心として前記ベース構造体(305)に回転可能に結合された中間構造体(310)と、
前記中間構造体(310)に結合されており、前記中間構造体(310)に対する少なくとも2の角度自由度に関してアンテナ照準(111)を配向させるように構成された位置決めシステム(340)と、
前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間のアクチュエータ(301)と、を備えるシステムであって、
前記アクチュエータ(301)は、
第2の軸(321)を中心として回転するように構成された回転要素(320)と、
前記回転要素(320)の、前記第2の軸(321)
を中心にする回転を駆動するように構成された駆動要素と、
前記回転要素(320)及び前記中間構造体(310)に結合され
た偏心要素(325)であって、前記駆動要素によって生じる前記回転要素(320)の回転に応答して、前記ベース構造体(305)に対して前記偏心要素(325)の位置
が変更
された場合に前記第1の軸(306)を中心とした前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の相対角度を変化させるように構成された偏心要素(325)と、を含む、
システム。
【請求項2】
前記第1の軸(306)を中心とした前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の相対角度は、前記ベース構造体(305)の第1の接触点(405)と、前記中間構造体(310)の第1の接触点(410)との間の物理的な接触により第1の角度に制限されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記偏心要素(325)は、適合性要素(420)を介して、前記中間構造体(310)に結合されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記適合性要素(420)は、前記ベース構造体(305)の前記第1の接触点(405)と、前記中間構造体(310)の前記第1の接触点(410)との間に物理的な接触が維持されている間は、前記第2の軸(321)を中心とする前記回転要素(320)の角度変位に少なくとも部分的に基づく予荷重を蓄積するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の軸(306)を中心とした前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の相対角度は、前記ベース構造体(305)の第2の接触点(405)と前記中間構造体(310)の第2の接触点(410)との間の物理的な接触により第2の角度に制限されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
目標装置(150)の予測経路(205)に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ(301)を制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記目標装置(150)の予測経路(205)に少なくとも部分的に基づいて、前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の相対角度を、第1の角度から第2の角度に変更するように前記アクチュエータ(301)を作動させるか、又は前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の相対角度を前記第1の角度に維持するように前記アクチュエータ(301)を保持するかを判定するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の相対角度を第1の角度に維持するように前記アクチュエータ(301)を保持し、
前記アクチュエータ(301)を保持しながら、前記アンテナ照準(111)を前記目標装置(150)に向けて配向させるように前記位置決めシステム(340)を制御するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
当該システムに対する前記目標装置(150)の予測位置に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ(301)を制御するように構成されたコントローラを更に備える、請求項
6~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記位置決めシステム(340)は、
仰角ポジショナと、
前記仰角ポジショナと前記中間構造体(310)との間にある方位角ポジショナと、を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記偏心要素(325)は、前記中間構造体(310)のスロットに係合されたピンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記偏心要素(325)は、連結部(330)の第1の端部に結合されており、前記中間構造体(310)は、前記連結部(330)の第2の端部に結合されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の軸(306)は、水平である、請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2の軸(321)は、水平である、請求項1~
13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の軸(321)は、前記第1の軸(306)に対して平行である、請求項1~
14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記アクチュエータ(301)は、前記第2の軸(321)を中心として前記回転要素(320)を回転させるように構成された旋回駆動部を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
アンテナを向ける方法であって、
目標装置(150)の予測経路(205)を決定する工程と、
前記目標装置(150)の前記予測経路(205)に少なくとも部分的に基づいて、アクチュエータ(301)を制御する工程であって、前記アクチュエータ(301)は、ベース構造体(305)と、第1の軸(306)を中心として前記ベース構造体(305)に回転可能に結合された中間構造体(310)との間に結合されており、かつ、第2の軸(321)を中心として回転するように構成された回転要素(320)と、前記回転要素(320)の、前記第2の軸(321)
を中心にする回転を駆動するように構成された駆動要素と、前記回転要素(320)及び前記中間構造体(310)に結合された偏心要素(325)と、を含み、前記アクチュエータ(301)を制御する工程が、前記ベース構造(305)に対して前記偏心要素(325)の位置を変更し、かつ前記第1の軸(306)を中心とした前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の第1の角度を設定するように、前記駆動要素を用いて前記回転要素(320)の回転を駆動させることを含む、工程と、
位置決めシステム(340)を使用して、前記第1の角度を維持しながら、アンテナ照準(111)を用いて前記目標装置(150)を追跡する工程
であって、前記位置決めシステムは、前記中間構造体(310)に結合されており、かつ前記中間構造体(310)に対する少なくとも2の角度自由度に関して前記アンテナ照準(111)を配向させるように構成されて
いる、工程と、を包含する、アンテナを向ける方法。
【請求項18】
前記制御する工程は、
前記中間構造体(310)の接触点(410)と前記ベース構造体(305)の接触点(405)との間に物理的な接触が達成されるまで、前記回転要素(320)を回転させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記制御する工程は、
前記中間構造体(310)の接触点(410)と前記ベース構造体(305)の接触点(405)との間に前記物理的な接触が達成された後に、前記回転要素(320)を回転させる工程を含み、前記物理的な接触が達成された後に前記回転させる工程は、前記アクチュエータ(301)と、前記ベース構造体(305)又は前記中間構造体(310)のうちの一方との間の適合性要素(420)を予荷重する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第2の目標装置(150)の第2の予測経路(205)を決定する工程と、
前記第2の目標装置(150)の前記第2の予測経路(205)に少なくとも部分的に基づいて、前記アクチュエータ(301)を制御する工程であって、前記制御する工程では、前記第1の軸(306)を中心とした前記ベース構造体(305)と前記中間構造体(310)との間の前記第1の角度を維持する、工程と、
前記位置決めシステム(340)を使用して、前記第1の角度を維持しながら、前記アンテナ照準(111)を用いて前記第2の目標装置(150)を追跡する工程と、を更に含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の目標装置(150)は、前記目標装置(150)と同じである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記制御する工程は、
前記第1の角度及び第2の角度からなる集合から前記第1の角度を選択することを含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記制御する工程は、前記位置決めシステム(340)の方位角能力、前記位置決めシステム(340)の仰角能力、又はこれらの組み合わせに少なくとも部分的に基づく、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記制御する工程は、少なくとも2の角度自由度のうちの一方の軸(341、342)と、閾値を満たす前記目標装置(150)の前記予測経路(205)との間の角度偏差に少なくとも部分的に基づく、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記制御する工程は、閾値を満たす前記目標装置(150)の前記予測経路(205)に沿って前記目標装置(150)を追跡することに関連する、前記位置決めシステム(340)の予測角速度に少なくとも部分的に基づく、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記制御する工程は、閾値を満たす前記目標装置(150)の前記予測経路(205)に沿って前記目標装置(150)を追跡することに関連する、前記位置決めシステム(340)の予測仰角に少なくとも部分的に基づく、請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
相互参照
本特許出願は、Zimmermanらによる「ANTENNA POSITIONER WITH ECCENTRIC TILT POSITION MECHANISM」と題する、2018年3月8日に出願された米国仮特許出願第62/640,386号の利益を主張し、その出願は、この文書の出願人に譲渡され、その全体が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
アンテナ位置決めシステムは、一般に、無線通信システムにおいて使用され、アンテナは、目標装置との通信リンクの確立及び維持をサポートするための特定の配向に整列される。目標装置には、衛星、飛行機、地上車両、静止した地上目標などが含まれる。
【0003】
アンテナ照準をこれらの目標装置に整列させるための位置決めシステムは、特定の性能を要求することがある。例えば、アンテナに対して広い範囲の位置を有することがある1つ又は複数の目標装置との通信をサポートするために、目標装置を追跡するための比較的大きな角度範囲(例えば、約1以上の角度自由度)を提供するための位置決めシステムが必要とされる。いくつかのシナリオの下では、位置決めシステムは、目標装置の経路若しくは位置と、アンテナの位置との間の関係、又は位置決めシステムの位置決め軸の構成に基づく作動速度をサポートする必要がある。
【0004】
一例では、位置決めシステムが方位角軸及び仰角軸に関してアンテナ照準を配向させるように構成されている場合(例えば、仰角-方位角構成で)、目標装置の頭上通過は、目標装置の追跡における問題を提示することがある。例えば、目標装置の頭上通過を追跡することに関連付けられた方位角速度は、無限大であり得る(例えば、目標装置が90度の仰角で頭上を通過するときに、方位角方向が180度に移行する間)。位置決めシステムがそのような高い方位角速度をサポートすることができない場合、関連するシステムが、位置決めシステムが頭上通過後に目標装置の方向に沿ってアンテナ照準を再位置決めすることができるまで、目標装置との通信リンクを停止させることがある。そのような通信喪失は、そのようなアンテナシステムの性能を制限、減退、又は劣化される。
【発明の概要】
【0005】
偏心傾斜指向機構を使って位置決めするアンテナのための方法、システム、及び装置が記載されている。例えば、本開示によるシステムは、ベース構造体と、第1の軸(例えば、傾斜軸)を中心としてベース構造体に回転可能に結合された中間構造体とを備えることができる。このシステムはまた、中間構造体に結合され、中間構造体に対して少なくとも2の角度自由度に関してアンテナ照準を配向させるように構成された位置決めシステムも含むことができ、この角度の自由度は、いくつかの例では、一般に、方位角位置決め軸及び仰角位置決め軸に対応し得る(例えば、仰角-方位角構成で)。このシステムはまた、ベース構造体と中間構造体との間にアクチュエータ(例えば、傾斜アクチュエータ)も備えることができ、このアクチュエータは、ベース構造体と中間構造体との間の角度を設定、変更、又は維持するように構成されており、いくつかの例では、目標装置の予測経路に少なくとも部分的に基づく制御部又は作動部を含むことができる。
【0006】
ベース構造体と中間構造体との間のアクチュエータは、第2の軸(例えば、第1の軸とは異なり、第1の軸と一致せず、第1の軸と同心円上にない)を中心として回転するように構成された回転要素、並びに回転要素及び中間構造体に結合されている偏心要素を含むことができる。この偏心要素は、偏心距離又はオフセットだけ第2の軸からオフセットされた位置において、回転要素に取り付けられるか、又は別の方法で接続される。いくつかの例では、ベース構造体と中間構造体との間の角度を変化させるために、回転要素を回転させることによって(例えば、ベース構造体に対して偏心要素の位置を変更することによって)、第1の軸からオフセットされた位置において、ベース構造体と中間構造体との間の距離を変化させることができる。様々な例では、偏心要素は、中間構造体のスロットに係合されたピンを含み得るか、又は偏心要素は、連結器の第1の端部に結合され、かつ中間構造体は、連結器の第2の端部に結合されるか、又は偏心要素は、中間構造体とベース構造体との間の角度を調節するための他の形状又は構成を取る。
【0007】
いくつかの例では、ベース構造体と中間構造体との間のアクチュエータを制御することは、回転要素を作動(例えば、回転、駆動、保持)させて第1の軸を中心とした、ベース構造体と中間構造体との間の第1の角度を設定、変更、又は維持することを含み、その場合、第1の角度は、目標装置の予測経路に少なくとも部分的に基づいて決定される。続いて、システムは、中間構造体に結合された位置決めシステムを使用して、第1の角度を維持しながら(例えば、回転要素の角度位置を維持しながら)、アンテナ照準を用いて目標装置を追跡することができる。このシステムは、第2の予測経路(例えば、異なる目標装置の経路、同じ目標装置の異なる経路)に少なくとも部分的に基づく第2の角度を選択し、そして第2の角度を維持しながら、アンテナ照準を用いて目標装置を追跡することができる。
【0008】
記載の方法及び装置の適用性に関する更なる範囲は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。その詳細な説明及び具体的な例は、例示のみを目的に与えられており、その理由は、本説明の範囲内の様々な変更及び修正が、当業者にとって明らかになるからである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面を参照することによって、本開示の様々な態様の性質及び利点を更に理解することが実現される。添付図面において、同様の構成要素又は特徴は、同じ参照ラベルを有する。更に、同じタイプの様々な構成要素は、ダッシュ記号による参照ラベル、及びその同様の構成要素の間を区別する第2のラベルを後に続けることによって、区別される。第1の参照ラベルのみが本明細書で使用される場合、説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似の構成要素のうちのいずれか1つに適用可能である。
【0010】
【
図1】本開示の様々な態様に基づく無線通信システムの略図を示す。
【0011】
【
図2】本開示の様々な態様に基づく、経路に沿ったアンテナシステムの上空を通過する目標装置aの例を示す。
【0012】
【
図3A】本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステムの例示的な構成を示す。
【
図3B】本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステムの例示的な構成を示す。
【0013】
【
図4A】本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステムの例示的な構成を示す。
【
図4B】本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステムの例示的な構成を示す。
【0014】
【
図5】本開示の様々な態様に基づく、経路に沿ったアンテナシステムの上空を通過する目標装置aの例を示す。
【0015】
【
図6A】本開示の様々な態様に基づく、傾斜位置機構を使用するアンテナシステムの図を示す。
【
図6B】本開示の様々な態様に基づく、傾斜位置機構を使用するアンテナシステムの図を示す。
【0016】
【
図7】本開示の様々な態様に基づく、傾斜位置機構を使用するアンテナシステムの図を示す。
【0017】
【
図8】本開示の様々な態様に基づく、アンテナ位置決めシステムのための制御システムを例証するブロック図を示す。
【0018】
【
図9】本開示の態様に基づく、偏心傾斜指向機構を使って位置決めするアンテナをサポートする方法を例証するフローチャートを示す。
【0019】
【
図10】本開示の態様に基づく、傾斜指向機構を使って位置決めするアンテナをサポートする方法を例証するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の特徴は、一般に、アンテナ位置決め装置に関し、特に、ベース構造体と中間構造体との間の相対角度(例えば、傾斜角度)を設定、変更、又は維持することができる偏心傾斜位置機構を備えるアンテナ位置決め装置に関する。
【0021】
アンテナ位置決めシステムが1つ又は複数の位置決め軸を中心としてアンテナ照準を配向させるように構成されている場合、位置決め軸のうちの1つに一致する経路に沿って移動する目標装置は、アンテナ位置決めシステムにとって追跡するのが困難である。例えば、位置決めシステムが方位角軸及び仰角軸に関してアンテナ照準を配向させるように構成されている場合(例えば、仰角-方位角構成で)、目標装置の頭上通過を追跡することに関連付けられた方位角速度は、無限大であり得る(例えば、目標装置が90度の仰角で頭上を通過するときに、方位角方向が180度移行する間)。
【0022】
本開示の技術によれば、偏心傾斜位置機構を備えるアンテナ位置決め装置は、目標装置の予測経路に対して位置決め軸を再配向することをサポートすることができる。ベース構造体と中間構造体との間の相対角度のそのような制御を提供することによって、本開示の機構を含むシステムは、そのような機構を欠いているか又は他のタイプのポジショナに依拠するシステムと比較して、良好な性能又は設計特性を有することができ、2の回転自由度に関してアンテナ照準を配向させる位置決めシステムに関連する欠点を克服することができる。
【0023】
本開示では、複数の例を提供するが、本明細書に記載された原理の実施形態の範囲、適用可能性、又は構成を限定することを意図するものではない。逆に、後続する説明は、本明細書に記載された原理の実施形態を実施するための可能な説明と共に当業者に提供するものである。様々な変更が、各要素の機能及び配置において、行われ得る。
【0024】
したがって、様々な実施形態が、様々な動作又は構成要素を適宜、省略、代替、又は追加することができる。例えば、各方法は、記載された順番と異なる順番で実行されてもよく、様々なステップが、追加、省略、又は組み合わされてもよいことを理解されたい。また、特定の実施形態に関して記載された態様及び要素は、様々な他の実施形態において組み合わされてもよい。また、以下のシステム、方法、装置、及びソフトウェアは、別々に又は集合的に、より大規模なシステムの構成要素であってもよく、他の手順は、それらのアプリケーションを優先するか、ないし修正してもよいことも理解されたい。
【0025】
図1は、本開示の様々な態様に基づく無線通信システム100の略図を示す。無線通信システム100は、アンテナシステム105を備え、そのアンテナシステムは、アンテナ110及びアンテナ位置決め装置115を含む。アンテナ110は、アンテナ照準111に関連付けられており、そのアンテナ照準は、アンテナ110の信号利得の最も高い方向、又はアンテナ110の名目上の指向方向を指すことができる。無線通信システム100のいくつかの例では、目標装置150の位置に対応する方向に指向されたアンテナ照準111を有することが望ましい。目標装置150は、例えば、軌道経路(例えば、静止軌道、低地球軌道、中地球軌道等)に従う衛星であってもよい。他の例では、目標装置150は、飛行中の航空機、地上若しくは水上車両などの地上目標、又は移動する若しくは静止した地上アンテナであってもよい。アンテナ110は、通信リンク(複数可)130を介して目標装置150との通信を提供し、その通信リンクは、一方向又は双方向通信リンクであってもよい。
【0026】
いくつかの例では、アンテナ110は、衛星通信システムのためのゲートウェイシステムの一部であってもよい。このゲートウェイシステムは、ゲートウェイターミナル125を備えることができ、そのゲートウェイターミナルは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又は任意の他の好適なパブリック若しくはプライベートネットワークなどのネットワーク(図示せず)と通信することができ、インターネット、電話通信ネットワーク(例えば、公衆交換電話網(PSTN)等)などの他の通信ネットワークに接続することができる。
【0027】
アンテナ110の(例えば、アンテナ照準111の)配向は、アンテナ位置決め装置115(例えば、アンテナ位置決めシステム)によって提供することができ、そのアンテナ位置決め装置は、2つ以上の空間軸を中心としたアンテナ110の配向を調節することができる。いくつかの例では、アンテナ位置決め装置115は、アンテナ110の方位角位置決め(例えば、水平基準面において、傾斜基準面において)、及びアンテナ110の仰角位置決め(例えば、水平面又は傾斜基準面から垂直方向に)を提供することができる。このようにして、アンテナ照準111は、アンテナ110と目標装置150との方向に沿って信号利得を高めるように目標装置150に向けられる。
【0028】
場合によっては、アンテナ位置決め装置115は、アンテナシステム105に対する目標装置150の経路(例えば、動的移動に関連付けられる)又はアンテナシステム105に対する目標装置150の位置と、アンテナ位置決め装置115の位置決め軸の構成との間の関係に基づく作動速度をサポートする必要がある。例えば、アンテナ位置決め装置115が垂直の方位角軸(例えば、水平面の配向)及び水平の仰角軸(例えば、水平面から垂直方向の配向)に関してアンテナ照準111を配向させるように構成されている場合、目標装置150の頭上通過の追跡に関連付けられた方位角速度は、無限大であり得る。言い替えると、目標装置150の経路がアンテナ位置決め装置115の方位角軸に一致するとき、アンテナ位置決め装置115は、目標装置150がその経路に沿って方位角軸を通過するときに目標装置150との整列を維持するように、方位角方向において瞬時に180度移行を提供することが必要とされる。そのようなシナリオは、極軌道における中地球軌道(MEO)及び低地球軌道(LEO)衛星などの目標装置150を追跡するときに、特に当てはまり、この場合、目標衛星の地球軌道がより低いほど、また目標衛星の数がより多いほど、頭上通過の出現頻度がより大きくなる。
【0029】
別の例では、静止衛星(例えば、目標装置150の別の例)を追跡することは、ターミナル(例えば、アンテナシステム105を含む)が衛星の直下に配置されている場合、同様の問題と関連付けられる。そのような例では、風又は基地局保持運動が、衛星をドリフトさせ、そのため(例えば、地上局の)アンテナ位置決め装置115による指向補正が必要になることがある。天頂における様々な例では、方位角軸は、指向補正をサポートするための能力を提供することができない。逆に、そのようなシナリオの下では、補正は、仰角軸によってのみ提供され、方位角は、補正のための2つの直交軸間で仰角を移動させるために使用される。
【0030】
アンテナ位置決め装置115がそのような高い方位角速度又は仰角範囲をサポートすることができない場合、アンテナ位置決め装置115が目標装置150の方向に沿ってアンテナ照準111を再配置することができるまで(例えば、頭上通過後、アンテナ位置決め装置115の軸を再配向した後に)、目標装置150との通信リンク130が喪失欠落することがある(例えば、通信の停止を引き起こすことがある)。そのような通信の喪失は、アンテナシステム105の性能を制限、減退、又は劣化させる。いくつかのシステムは、様々な技術を使用してそのような位置決めシステム(例えば、X/Yポジショナ、方位角ポジショナ下の傾斜形くさび若しくはトレイン軸、又は3軸仰角及び交差仰角-方位角)の制限を克服することができるが、そのような技術は、比較的高いコスト、複雑さ、又は不正確さ(例えば、構成要素のバックラッシュに起因して)などの様々な欠点に関連する。
【0031】
本開示の態様によれば、アンテナシステム105(例えば、アンテナ位置決め装置115)は、ベース構造体と、第1の軸(例えば、傾斜軸)を中心としてベース構造体と回転可能に結合された中間構造体とを備えることができる。アンテナシステム105はまた、ベース構造体と中間構造体との間にアクチュエータも備えることができ、このアクチュエータは、ベース構造体と中間構造体との間の角度を設定、変更、又は維持するように構成されている。いくつかの例では、このアクチュエータは、目標装置150の予測経路に少なくとも部分的に基づく制御又は作動を含むことができる。いくつかの例では、ベース構造体と中間構造体との間の角度は、中間構造体とベース構造体との間の角度位置の離散的な数などの角度の集合(傾斜角度の離散的な集合)から選択することができる。
【0032】
いくつかの例では、アクチュエータを制御することは、アンテナシステム105の第1のモード(例えば、傾斜モード、トレインモード、再位置決めモード、通信をサポートしないアイドリングモード)に対応することができ、目標装置150を追跡することは、アンテナシステム105の第2のモード(例えば、追跡モード、通信をサポートするアクティブモード)に対応することができる。いくつかの例では、アンテナシステム105(例えば、アンテナ位置決め装置115)は、第2のモードの間に中間構造体とベース構造体との間の相対角度を維持することができ、又はそれ以外の場合では、第2のモードの間に回転要素を回転させることを控えることができる。いくつかの例では、アンテナシステム105は、第1のモードの間に目標装置150を追跡することを控えることができる(例えば、同じ又は異なる目標装置150に関連付けられた追跡通過の間に、新たな傾斜角度に変更するとき)。しかしながら、アンテナシステム105は、第1のモードの間に他の位置決め軸(例えば、仰角軸に関して、方位角軸に関して)を作動させることができる。これは例えは、名目上の位置(例えば、名目上の仰角、名目上の方位角)に作動させること、目標装置150の別の通過のための予測された位置(例えば、異なる次の予測経路に沿って観測に戻るかないしは通信をサポートする目標装置150に関連付けられた仰角又は方位角)に作動させること、又は他の作動(例えば、アンテナシステム105に関連付けられたケーブル束のねじれ又は巻き上げを管理するための)などである。
【0033】
ベース構造体と中間構造体との間に、本開示のアクチュエータを備えることによって、アンテナシステム105は、他のシステムと比較して、目標装置との通信リンク130を維持するためのサポートを改善することができる。例えば、アンテナシステム105は、アンテナ位置決め装置を調節して、目標装置150の異なる予測経路に適合させることができ、その場合、そのような適応により、アンテナ位置決め装置115への動作要求を減らすことができる。いくつかの例では、ベース構造体と中間構造体との間の角度を設定することによって、アンテナシステム105は、アンテナ照準111を用いて目標装置150を追跡しながら、アンテナ位置決め装置115の低減した仰角又は低減した方位角速度をサポートすることができ、これにより、アンテナシステム105の能力を向上させて目標装置150との通信リンク130を維持することができる。
【0034】
アンテナ位置決めのための本開示の技術はまた、地上ゲートウェイシステムに関連して説明しているが、車載アンテナ又は衛星搭載アンテナ110などのモバイル用途にも適用可能であり、その用途は、ゲートウェイターミナル125との通信においてであってもなくてもよい。例えば、中間構造体を選択的に傾斜させるための本開示の機構、又はそれ以外では位置決め自由度に関連するアンテナ位置決め装置115の軸を選択的に傾斜させるため(例えば、非追跡モードで)の本開示の機構は、アンテナ110を備える、定置の又は移動する目標装置150を通過する航空機又は衛星で使用することもできる。したがって、本開示の傾斜機構は、一般的に、アンテナシステム105に対する目標装置150の予測経路又は位置に基づいて、アンテナ位置決め装置の位置決め軸を選択的に傾斜させる様々な分野に適用することができ、これにより、位置決め軸と一致ないし整列する目標装置150に関連する通信停止が防止又は低減される。
【0035】
図2は、本開示の様々な態様に基づく、経路205-aに沿ってアンテナシステム105-aの頭上を通過する目標装置150-aの例200を示す。例200では、目標装置150-aは、MEO又はLEO衛星であってもよく、アンテナシステム105-aは、ゲートウェイシステムの構成要素などの地上施設であってもよい。目標装置150-aに関連付けられた経路205-aは、概ね又は主に南北配向に従うことができ、これは極軌道の実例である。
【0036】
経路205-aに沿って目標装置150-aを追跡するために、アンテナシステム105-aのアンテナ位置決め装置115は、時間の経過と共に、異なる仰角及び方位角に沿ってアンテナシステム105-aのアンテナ照準111(図示せず)を指向するように構成される。例200では、アンテナ位置決め装置115は、真上(例えば、水平面に対して垂直)に指向される方位角軸により構成することができ、その結果、経路205-aは、方位角軸に一致する。言い替えると、目標装置150-aの位置は、真上に指向される方位角軸を有するように構成されたアンテナシステム105-aに対する、tOにおける方位角軸に一致する。
【0037】
例200の場合、時間の経過と共に目標装置150-aを追跡するためのアンテナ照準111の仰角は、仰角グラフ210によって示され、時間の経過と共に目標装置150-aを追跡するためのアンテナ照準111の方位角は、方位角グラフ220によって示すことができる。仰角グラフ210及び方位角グラフ220は、時間tOを基準にして角度を示し、その時間tOは、目標装置150-aが直上を通過するときの時間に対応する。アンテナ照準111は、北寄りの方向から開始し、その方向は、ゼロ度の初期方位角(例えば、θA,1a)に対応する。その方位角は、頭上がt0で通過するまで、初期方位角に維持することができる。目標装置150-aが経路205-aに沿って進行する間、前もって仰角を上昇させ、そして目標装置150-aが頭上位置に近づくにつれて加速させる。
【0038】
目標装置150-aが頭上位置に到達すると、目標装置150-aは、アンテナシステム105-aの方位角軸と一致する。このとき、目標装置150-aを追跡するために、仰角は、最大値θE,max,1に到達してもよく、その最大値は、90度に等しくてもよい。頭上通過の特定の瞬間において(例えば、tOにおいて)、任意の方位角が、目標装置150-aの追跡をサポートしてもよい。その理由は、アンテナ照準111が90度の仰角で目標装置150-aと整列するからである。しかしながら、経路205-aに沿って追跡することをサポートするために、時間tOは、時間tOの直前の初期方位角θA,1aから、時間tOの直後の最終方位角θA,1bへの瞬間的な移行に関連付けられ、例200では、その移行は、180度である。時間tOはまた、アンテナシステム105-aの方位角軸及び仰角軸のうちの一方又は両方に関して無限大の指向加速度に関連付けられる(例えば、tOにおいて正の仰角速度から負の仰角速度への瞬間的な移行をサポートするために、tOにおいて1つの方位角位置から別の方位角位置への瞬間的な移行をサポートするために)。
【0039】
アンテナシステム105-a(例えば、アンテナ位置決め装置115)は、θA,1aからθA,1bへの移行中に通信リンク130を維持するために必要とされる方位角速度をサポートすることができなくてもよく、又は最大仰角θE,max,1をサポートすることができなくてもよく(例えば、90度の仰角をサポートすることができなくてもよく)、又はそれ以外の場合では、tOで要求された位置決め速度若しくは加速度をサポートすることができなくてもよい。したがって、本開示の例によれば、アンテナシステム105-a(例えば、アンテナシステム105-aのアンテナ位置決め装置115)は、目標装置150-aが経路205-aに従うときに、仰角グラフ210及び方位角グラフ220によって例示された条件を選択的に又は適宜回避するための偏心傾斜位置機構を備えることができる。
【0040】
図3A及び
図3Bは、本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステム105-bの例示的な構成300-a及び300-bを示す。アンテナシステム105-bは、アンテナ照準111-bを有するアンテナ110-b、及びアンテナ照準111-bを(例えば、目標装置150に向けて)配向させるように構成されたアンテナ位置決め装置115-bを備える。
【0041】
アンテナシステム105-bの例では、アンテナ位置決め装置115-bは、2の回転自由度に関して(例えば、中間構造体310-aに対して、第1の位置決め軸341-a及び第2の位置決め軸342-aを中心として)、アンテナ照準111-bを配向させるように構成されたアンテナポジショナ340-a(例えば、位置決めシステム、追跡システム)を含む。いくつかの例では、第1の位置決め軸341-aは、方位角軸として説明してもよく、第2の位置決め軸342-aは、仰角軸として説明してもよいが、他の命名法及び構成は、説明される技術に従って可能である。いくつかの例では、アンテナポジショナ340-bは、仰角ポジショナ、及び仰角ポジショナと中間構造体との間の方位角ポジショナを含むことができる(例えば、仰角-方位角構成で)。いくつかの例では、アンテナポジショナ340-aは、アンテナ照準111-bに対して平行である軸(例えば、第3の回転自由度)を中心としてアンテナ110-bの要素を回転させ、垂直偏波、水平偏波、又は他の信号の偏波に応じて、アンテナ110-bを整列させるように更に構成してもよい。
【0042】
アンテナシステム105-bの実施例では、アンテナ位置決め装置115-bはまた、偏心傾斜位置機構301-a(例えば、アクチュエータ、傾斜アクチュエータ)の実施例も含む。例えば、アンテナシステム105-b(例えば、アンテナ位置決め装置115-b)は、ベース構造体305-a及び中間構造体310-aを備え、そこでは、中間構造体310-aは、軸306-aを中心としてベース構造体305-aに回転可能に結合されている。回転可能な結合により、ベース構造体305-aと中間構造体310-aとの間に回転自由度が与えられ、この回転可能な結合は、ボールベアリング、ローラーベアリング、ジャーナルベアリング、ブッシング、球面ベアリング、玉継手等のうちのいずれかを含み得る。ベース構造体305-aは、例えば、地上、又は任意の他の静止若しくは移動アセンブリに固定して結合することができ、そこでは、固定した結合により、構造体間又は物体間に固定的な関係がもたらされる。様々な例では、軸306-aは、水平であっても、なくてもよい(例えば、固定された地上アンテナシステム105の実施態様を示す場合)。
【0043】
偏心傾斜位置機構301-aは、軸321-aを中心としてベース構造体に回転可能に結合されている回転要素320-aを含む。様々な例では、軸321-aは、水平であっても、なくてもよく、軸321-aは、軸306-aに対して平行であっても、軸306-aに対して平行でなくてもよい。回転要素320-aは、軸321-aからオフセットされた距離において偏心要素325-aを含み、その偏心要素は、アンテナシステム105-bの例では、連結器330の第1の端部に取り付けられた結合部である。連結器330-aの第2の端部は、軸306-aからオフセットされている結合位置331-aにおいて中間構造体310-aに取り付けられる。言い替えると、連結器330は、軸306-aからオフセットされた位置において中間構造体310-aに(例えば、間接的に連結器330-aを介して)結合されている偏心要素325-aをサポートする場合の例を示す。回転要素320-aは、ベース構造体305-aに回転可能に結合されているものとして示されているが、他の例では、偏心傾斜位置機構301-aの回転要素320-aは、択一的に中間構造体310-aに回転可能に結合してもよい(例えば、回転要素320-aの相対位置と、ベース構造体305-aと中間構造体310-aとの間の連結器330-aを入れ替えて)。回転要素320-aの回転は、電気モータ、ギヤモータ、油圧モータ、及び同様のものなどの回転要素320-aに結合された任意の好適な機構(例えば、駆動要素)によって提供される。
【0044】
図3Aの構成300-aは、アンテナ位置決め装置115-bの(例えば、偏心傾斜位置機構301の)ニュートラル又はゼロの傾斜位置を示す。言い替えると、第1の位置決め軸341-aは、垂直位置にあってもよく、アンテナポジショナ340-aは、図示の平面365-a-1(例えば、第1の位置決め軸341-aに垂直な水平面)内で測定される回転自由度に関する制御を提供する。このような構成は、第1の位置決め軸341-aを中心とする方位角制御、及び第2の位置決め軸342-aを中心とする仰角制御を提供するための、アンテナポジショナ340-aの典型的又は慣例的な配向の実例である。例えば、アンテナポジショナ340-aの方位角θ
Aは、平面365-a-1内のアンテナ照準111-bの投影と、平面365-a-1内の名目上の方向370-a-1などの任意の好適な基準との間で測定することができ、アンテナポジショナ340-aの仰角θ
Eは、アンテナ照準111-bと平面365-a-1との間の角度として測定することができる。
【0045】
図3Aの構成300-aは、
図2を参照して説明した例200の仰角グラフ210及び方位角グラフ220に関連付けられた構成の実例である(例えば、経路205-aの頭上通過を通して目標装置150-aを追跡する場合)。例えば、例200の目標装置150-aの頭上通過の間、経路205-aは、第1の位置決め軸341-aと一致してもよい。したがって、アンテナシステム105-bの(例えば、アンテナ位置決め装置115-bの)構成300-aでは、経路205-aに沿って目標装置150-aを追跡することは、第1の位置決め軸341-aを中心とする無限大の位置決め速度、又は第1の位置決め軸341-a若しくは第2の位置決め軸342-aのうちの一方若しくは両方を中心とする無限大の角加速度に関連付けられ、アンテナ照準111-bの目標装置150-aとの追跡を維持することができる。
【0046】
いくつかの例では、アンテナシステム105-b(例えば、アンテナ位置決め装置115-b)は、偏心傾斜位置機構301を作動させる(例えば、回転要素320-aを回転させる)ことによって、仰角グラフ210及び方位角グラフ220によって示された条件を選択的に回避するように構成することができる。例えば、
図3Aに示された構成300-aから、
図3Bに示された構成300-bに変更するために、アンテナシステム105-bは、予測経路に関連する様々な条件に少なくとも部分的に基づいて、(例えば、図示しない駆動要素を介して、)回転要素320-aの回転を制御するコントローラを備えることができる。様々な例では、回転要素320-aの回転は、予測経路に沿って追跡することに関連付けられた最大仰角θ
E、予測経路に沿って追跡することに関連付けられた方位角θ
Aの変化の速度、(例えば、変化の最大速度、t
Oに関連付けられた変化の速度)、予測経路に沿って追跡することに関連付けられた第1の位置決め軸341-a又は第2の位置決め軸342-aのうちの一方又は両方を中心とする角加速度(例えば、最大加速度、時間t
Oに関連付けられた追跡加速度)、第1の位置決め軸341-aと、予測経路に沿った方向との間の偏差(例えば、第1の位置決め軸341-aと、時間t
Oにおける経路205の方向との間の角度の偏差)、又は予測経路に沿って目標装置150を追跡することに関連付けられたいくつかの他の特性、のうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づくことができる。したがって、様々な条件に基づいて、アンテナシステム105-bは、回転要素320-aを回転させて、例200に示された条件を回避することができる。
【0047】
図3Bの構成300-bは、アンテナシステム105-bの(例えば、偏心傾斜位置機構301-aの)傾斜位置又は非ゼロ傾斜位置を示す。例えば、
図3Aの構成300-aにより示された位置から
図3Bの構成300-bにより示された位置まで回転要素320-aを回転させることによって、偏心要素325-a、及びしたがって連結器330-aは、垂直方向に(例えば、上向きに)移動することができ、結合位置331-aにおけるベース構造体305-aと中間構造体310-aとの間の距離を、相応に又は対応して変化させることができる。言い替えると、ベース構造体305-aに対して上向きに結合位置331-aを移動させることによって、中間構造体310-aは、軸306-aを中心として回転し、図に示すように、中間構造体の傾斜を傾斜角度θ
Tだけ生じさせることができる。
【0048】
アンテナシステム105-bの例では、傾斜角度θTは、ベース構造体305-aに関連付けられた(例えば、固定された、整列した)ベース構造体基準線307-aと、中間構造体310-aに関連付けられた(例えば、固定された、整列した)中間構造体基準線311-aとの間で測定することができる。ベース構造体基準線307-aは、軸306-aを通過する線として示されており、中間構造体基準線311-aは、軸306-a及び結合位置331-aを通過する線として示されているが、傾斜角度θTは、中間構造体310-a及びベース構造体305-aの任意の基準点、又は軸306-aを中心とする(例えば、ベース構造体305-aに対する)中間構造体310-aの回転又は角度の変化を伝達するための他の基準点、線、若しくは平面を基準にして測定又は説明することができる。
【0049】
いくつかの例では、ベース構造体基準線307-a又は中間構造体基準線311-aのうちの一方又は両方は、軸306-aに対して垂直であってもよい。いくつかの例では、ベース構造体基準線307-aは、中間構造体基準線311-aと同一平面上にあってもよい(例えば、軸306-aに対して垂直である平面内に)。いくつかの例では(例えば、アンテナシステム105-bが地上ベースシステムに関連付けられている場合)、ベース構造体基準線307-aは、水平線であってもよい。いくつかの例では、中間構造体基準線311-aはまた、中間構造体310-aが特定の配向にあるとき(例えば、ニュートラル傾斜位置において位置決め軸341-aが垂直方向に整列しているとき、傾斜角度θT=0であるとき)、水平であってもよい。
【0050】
別の例(図示せず)では、中間構造体基準線311-aは、位置決め軸341-aに対して平行であっても又は一致してもよく、ベース構造体基準線307-aは、中間構造体310-aが特定の配向(例えば、ニュートラル傾斜角又は位置)にあるときに、中間構造体基準線311-aに対して平行であっても又は一致してもよい。例えば、アンテナシステム105-bが地上ベースシステムに関連付けられている場合に、ベース構造体基準線307-aは、垂直線であってもよく、中間構造体基準線311-a又は位置決め軸341-aのうちの一方又は両方はまた、中間又はニュートラルの傾斜位置又は角度において垂直方向に整列していてもよい。しかしながら、様々な他の標準的規定を使用して、中間構造体310とベース構造体305との間の回転又は角度を表現することができる。例えば、中間構造体基準線311-aは、より一般的には、基準方向に関連付けられており、その場合、中間構造体310-aが特定の配向(例えば、中間的な傾斜位置又は角度、第1の位置決め軸341-aに関連付けられた位置又は角度が特定の配向にある)にあるときに、中間構造体基準線311-aは、ベース構造体基準線307-aに対して平行であるか又は一致する(例えば、ゼロ又はニュートラルの傾斜角に対応する)。
【0051】
軸306-aを中心とする中間構造体310-aの回転は、第1の位置決め軸341-aの対応の傾斜を引き起こし、その傾斜を、中間構造体310-aに対して固定してもよい。したがって、アンテナポジショナ340-aは、水平ではない平面365-a-2(例えば、第1の位置決め軸341-aに対して垂直である)で測定される回転自由度に関しての制御を提供することができる。そのような構成は、第1の位置決め軸341-aを中心とする方位角制御、及び第2の位置決め軸342-aを中心とする仰角制御を提供するための傾斜した配向(例えば、アンテナポジショナ340-aの)の実例である。例えば、
図3Bの構成300-bによれば、アンテナポジショナ340-aの方位角θ
Aは、平面365-a-2における、アンテナ照準111-bの射影と名目上の方向370-a-2との間で測定することができ、アンテナポジショナ340-aの仰角は、アンテナ照準111-bと平面365-a-2との間で測定することができる。そこでは、平面365-a-2は、水平面からθ
Tだけ傾斜している。平面365-a-2は、中間構造体310-aと同じ角度で傾斜してもよいが、第2の位置決め軸342-aは、軸306-aに対して平行であっても又はなくてもよい。例えば、第1の位置決め軸341-aに沿って見たとき、第2の位置決め軸342-aは、第1の位置決め軸341-a(例えば、方位角位置決め角度)を中心とする位置決め角度に対応する角度だけ軸306-aから離間されてもよい。言い替えると、第1の位置決め軸341-aを中心とする位置決めは、軸306-aに対する第2の位置決め軸342-aの角度配向を変化させることができる。
【0052】
図3Bの構成300-bは、アンテナ位置決め装置115-bの構成の実例であり、アンテナ位置決め装置は、頭上通過を通じて目標装置150-aを追跡するときに、仰角グラフ210及び方位角グラフ220の特定の特性を回避することができる。例えば、
図3Bの構成300-bによれば、軸306-aが南北方向に沿って整列される場合、傾斜角度θ
Tを使用して、第1の位置決め軸341-aを東又は西方向に傾斜させることができる。したがって、傾斜した第1の位置決め軸341-aは、経路205-aと一致しなくてもよく、アンテナポジショナ340-aの傾きは、アンテナポジショナ340-aのより穏やかな動作をサポートすることができる。例えば、例200に関連して、構成300-bの傾斜した配向は、構成300-aのニュートラル配向と比較すると、低減された仰角(例えば、θ
Tの量だけ)、及び方位角θAの変化の低減された速度に関連付けられる。したがって、様々な条件に基づいて、アンテナシステム105-b(例えば、アンテナ位置決め装置115-b)は、経路205の予測又はその他の知識に基づいて回転要素320-aを回転させて、構成300-bの傾斜した配向を提供することができ、それによって、構成300-aの仰角グラフ210及び方位角グラフ220に示された条件を回避することができる。
【0053】
図3A及び
図3Bを参照して説明した偏心傾斜位置機構301-aなどの偏心傾斜位置機構は、アンテナシステム105-bの動作にとって有利である様々な設計特性に応じて構成することが。例えば、偏心要素325-aが、垂直上方位置に保持されていると(例えば、
図3Bの構成300-bに示すように、偏心要素325-aが軸321-aの垂直上方にあるとき)、又は垂直下方位置に保持されていると(例えば、回転要素320が
図3Bの構成300-bから180度回転されたときなどの、偏心要素325-aが、図示されていない軸321-aの垂直下方にあるとき)、目標装置150を追跡するのに有利である。様々な例では、回転要素320-aは、アンテナポジショナ340-aを使用して目標装置150を追跡することに関連付けられた持続時間又はモードなどの、特定の時間間隔の間、動作位置に保持してもよく、この場合、そのような保持は、受動的に(例えば、摩擦によって)又は能動的に(例えば、制御可能なブレーキ又はロックによって)サポートすることができる。いくつかの例では、偏心要素325-aのそのような構成は、指向精度におけるバックラッシュの影響を低減することができる。例えば、偏心傾斜位置機構301-aが、駆動要素又は回転要素320-aの回転バックラッシュに関連付けられた他の機構を含む場合、指向精度におけるそのようなバックラッシュの影響は、偏心要素325-aが軸321-aに垂直方向に整列されていると、最小限に抑えることができる。その理由は、そのような位置での偏心要素325-aの主に左右の動き(例えば、バックラッシュの範囲内のトグリングに呼応したもの)が、軸306-aを中心とする中間構造体310-aの回転を比較的小さくするからである。これに対して、偏心要素325-aが軸321-aに水平に整列されていると(例えば、
図3Aの構成300-aに示すように)、回転要素320-aのバックラッシュに対応するそのような位置における偏心要素325-aの主に上下の動きが、軸306-aを中心とする中間構造体310-aの回転を比較的大きくする。
【0054】
更に、アンテナシステム105-bに示された幾何形状などの偏心幾何形状は、偏心要素325-aが軸321-aと垂直な整列の付近にある位置において、中間構造体310-aの比較的小さい角速度に関連付けられる。言い替えると、偏心要素325-aの動き(例えば、回転要素320-aの駆動回転に起因する)は、主にそのような位置において左右の方向であるため、回転要素320-aの回転(例えば、角速度)は、中間構造体310-aの比較的緩慢な回転に変換される。これに対して、偏心要素325-aの動き(例えば、回転要素320-aの駆動回転に起因する)は、偏心要素325-aが軸321-aとほぼ水平に整列されていると、主に上下の方向になり、その結果、回転要素320-aの回転は、中間構造体310-aの比較的速い回転に変換される。したがって、図示された幾何形状は、中間構造体310-aの比較的小さい角速度で中間構造体310-aを動作位置(例えば、偏心要素325-aが軸321-aと垂直方向に整列する場所又は近く)に円滑に進めるのを容易にすることができる。
【0055】
そのような幾何形状はまた、回転要素320-aを、特定の動作点から離れるように移動させ、特定の動作点に接近させ、又は特定の動作点に保持するように、駆動するように構成された駆動要素のための好適な機械的利点も提供することができる。言い替えると、偏心要素325-aが軸321-aと垂直方向に整列されていると、中間構造体310-a及びそれに取り付けられた任意の構成要素は、回転要素320-aの駆動回転に対して比較的小さい抵抗力を示す。例えば、駆動要素は、(例えば、軸306-aを中心とする)中間構造体310-aの角加速度、中間構造体310-aの角減速度を提供するために比較的小さいトルクにより構成することができ、又は偏心要素325-aが軸321-aと水平方向に整列する位置と比較して、偏心要素325-aが軸321-aと垂直方向に整列する動作点の近傍に中間構造体310-aの角度位置を維持するために次のようなトルクにより構成することができる。すなわち前記トルクは、中間構造体310-aの比較的小さい角加速度に関連付けられるトルクである(例えば、中間構造体310-aの角速度は、回転要素320-aが一方の動作位置と他方の動作位置との間のそのような配向を通過するときには、既に発達している場合があるからである)。
【0056】
したがって、これら及び他の理由から、アンテナ位置決め装置115-bは、偏心要素325-a及び軸321-aが垂直方向に整列されているか、又はほぼ垂直方向に整列されている2つの位置(例えば、離散した位置の組)のうちのいずれか一方において偏心傾斜位置機構301-aを動作させることを選択する(例えば、制御アルゴリズムで)ように構成することができる。
【0057】
いくつかの例では、偏心傾斜位置機構301-aのバックラッシュは、偏心傾斜位置決め機構に予荷重を提供することによって更に制限することができる。そのような予荷重の一例では、回転要素320-aの角度移動は、物理的な停止具によって制限することができ、その停止具は、偏心要素325-aが軸321-aと垂直方向に整列するか又はほぼ垂直方向に整列する位置に対応することができる。様々な例では、回転要素320-aは、そのような物理的な停止具に対して、受動的に(例えば、アンテナシステム105-bの様々な構成要素上で作用する重力によって駆動されるように)、能動的に(例えば、駆動要素、又はトルクを回転要素320-aに与える他の動力伝達系統によって駆動されるように)、又はこれらの組み合わせで荷重される。例えば、偏心傾斜位置機構301-aのある程度のバックラッシュは、軸306-aがそのような構成要素の重心と垂直方向に整列する場合、中間構造体310-a及びそれに取り付けられた構成要素の重量によって付勢することができ、回転要素320-aの角度位置を、物理的な停止具に対する回転要素320-aのトルクバイアスにより維持することができる。いくつかの例では、そのような荷重は、柔軟部材に向けることができ、その柔軟部材は、圧縮、引っ張り、又はねじれの予荷重の形態で潜在的エネルギーを蓄積することができ(例えば、予荷重を蓄積すること)、そのエネルギーは、アンテナシステム105-b内の様々な構成要素間のバックラッシュを軽減することができる。いくつかの例では、そのような技術は、再現性又は指向精度の向上に関連付けられる。その理由は、(例えば、機械的停止具への予荷重又は移動の制限として)説明した移動の極限は、機械的な剛性の増加又はバックラッシュの低減に関連付けられるからである。対照的に、回転くさびなどのトレイン軸を含むアンテナシステムは、バックラッシュを除去するような重量バイアスを有しないので、そのようなアンテナシステムの風による負荷は、そのようなシステムのバックラッシュをトグリングさせることがあり、そのため、アンテナポジショナ340-aを傾斜させるための本開示の技術を使用することにより回避することのできる指向の不正確さが生じてしまう。
【0058】
いくつかの例では、偏心傾斜位置機構301-aは、2つの傾斜角のうちの一方で動作するように構成してもよく、予測された目標装置150の経路に少なくとも部分的に基づいて、ある傾斜角に保持するか、又は他の傾斜角に変化するかのどちらかである。一実施例では、偏心傾斜位置機構301-aは、7.5度又は-7.5度のどちらかの傾斜角θTで動作するように構成してもよく、その傾斜角は、いくつかの例では、偏心要素325-a及び軸321-aが垂直方向に整列するか又はほぼ垂直方向に整列する回転要素320-aの角度位置に対応してもよい。偏心傾斜位置機構301が毎秒6度の傾斜速度をサポートする実施例では、アンテナポジショナ340-aは、一方の傾斜位置から他方の傾斜位置に2.5秒で傾斜されることができる(例えば、回転要素320-aを180度又はほぼ180度だけ2.5秒で回転させることによって)。対照的に、回転くさびを含むアンテナシステムは、傾斜位置のそのような変化を行うには(例えば、垂直軸を中心として回転くさびを180度だけ回転させるには)、30秒以上を必要とする場合がある。
【0059】
様々な例では、偏心傾斜位置決めのための本開示の技術は、他の利点を含む。例えば、傾斜運動のための小さい角度範囲を設定することは、他の技術と比較して、方位角ケーブルループなどの高信頼性ケーブルルーティングの場合に有利である。更に、軸306-aに関連付けられた枢動クレビスが、半径方向の推力瞬間荷重に耐えるように構成してもよく、自動車用テーパ状ローラーベアリングなどの低コストで容易に利用可能なベアリングを利用してもよい。これに対して、回転くさびを有するトレイン軸を伴うアンテナシステムは、くさびを回転させる駆動部にはるかに大きいサイズの中空のリングベアリングを必要とすることがある。
【0060】
図4A及び
図4Bは、本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステム105-cの例示的な構成400-a及び400-bを示す。アンテナシステム105-cは、アンテナ照準111-cを有するアンテナ110-c、及びアンテナ照準111-cを(例えば、目標装置150に向けて)配向させるように構成されたアンテナ位置決め装置115-cを含む。
【0061】
アンテナシステム105-cの例では、アンテナ位置決め装置115-cは、2の回転自由度に関して(例えば、第1の位置決め軸341-b及び第2の位置決め軸342-bを中心として)アンテナ照準111-cを配向させるように構成されたアンテナポジショナ340-b(例えば、位置決めシステム、追跡システム)を含む。いくつかの例では、第1の位置決め軸341-bは、方位角位置決め軸として説明することができ、第2の位置決め軸342-bは、仰角位置決め軸として説明することができるが、他の命名法及び構成が、本開示の技術に応じて可能である。いくつかの例では、アンテナポジショナ340-bは、仰角ポジショナ、及び仰角ポジショナと中間構造体との間の方位角ポジショナを含むことができる(例えば、仰角-方位角構成で)。いくつかの例では、アンテナポジショナ340-bは、アンテナ照準111-cと平行である軸(例えば、第3の回転自由度)を中心としてアンテナ110-cを回転させて、垂直偏波、水平偏波、又は他の信号偏波に応じてアンテナを整列させるように更に構成することができる。
【0062】
構成400-a及び400-bは、反対の方位角方向を指向するアンテナ照準111-cを有するものとして図示されているが、様々な実施例では、構成400-a及び400-bは、方位角の全範囲にわたって目標装置150を追跡するための能力又は構成に関連付けてもよく、又は関連付けなくてもよい。例えば、構成400-a及び400-bの各々は、目標装置150を追跡するために必要な仰角がアンテナポジショナ340-aによってサポートされており、位置決め軸341-aが目標装置150の経路205から閾値未満で分離している限り、360度の方位角でのアンテナ照準111-cの指向をサポートすることができる。そのような条件が構成400-a又は400-bのうちの一方に対して満たされない場合、アンテナシステム105のコントローラは、構成400-a又は400-bのうちの他方に選択的に移行することができる。
【0063】
アンテナシステム105-cの例では、アンテナ位置決め装置115-cは、偏心傾斜位置機構301-b(例えば、アクチュエータ、傾斜アクチュエータ)の実施例を含む。例えば、アンテナシステム105-c(例えば、アンテナ位置決め装置115-c)は、ベース構造体305-b及び中間構造体310-bを含み、そこでは、中間構造体310-bは、軸306-bを中心としてベース構造体305-bに回転可能に結合されている。回転可能な結合により、ベース構造体305-bと中間構造体310-bとの間の回転自由度を提供する。様々な例では、軸306-bは、水平であってもよく、又は水平でなくてもよい(例えば、固定された地上アンテナシステム105の実施態様を示す場合)。
【0064】
アンテナシステム105-cの例では、傾斜角度θTは、ベース構造体305-bに関連付けられた(例えば、固定された、整列した)ベース構造体基準線307-bと、中間構造体310-bに関連付けられた(例えば、固定された、整列した)中間構造体基準線311-bとの間で測定することができる。所定のように配置されたベース構造体基準線307-bと、所定のように配置された中間構造体基準線311-bとの間で測定されるものとして示されているが、傾斜角度θTは、中間構造体310-b及びベース構造体305-bの任意の基準点、又は軸306-bを中心とする(例えば、ベース構造体305-bに対する)中間構造体310-bの回転又は角度の変化を伝達するための他の基準点、線、若しくは平面に関して測定又は図示することができる。
【0065】
偏心傾斜位置機構301-bはまた、軸321-bを中心としてベース構造体に回転可能に結合されている回転要素320-bも含む。様々な例では、軸321-bは、水平であってもよく、又は水平でなくてもよく、軸321-bは、軸306-bに対して平行であってもよく、又は軸306-bに対して平行でなくてもよい。回転要素320-bは、軸321-bからオフセットされた距離において偏心要素325-bを含み、その偏心要素は、アンテナシステム105-cの例では、連結器330-bの第1の端部に取り付けられた結合部である。連結器330-bの第2の端部は、軸306-bからオフセットされている結合位置331-bにおいて中間構造体310-bに取り付けられる。言い替えると、連結器330-bは、軸306-bからオフセットされた位置において中間構造体310-bに結合されている(例えば、間接的に、連結器330-bを介して)偏心要素325-bをサポートする場合の例を示す。回転要素320-bは、ベース構造体305-bに回転可能に結合されているものとして示されているが、他の例では、偏心傾斜位置機構301の回転要素320は、別のやり方で、中間構造体310-bに回転可能に結合してもよい(例えば、回転要素320-bと、ベース構造体305-bと中間構造体310-bとの間の連結器330-bとの相対位置を入れ替える)。
【0066】
アンテナシステム105-cの例では、ベース構造体305-bと、軸306-bを中心とする中間構造体310-bとの間の相対的な回転又は角度は、ベース構造体305-bの接触点405-a-1と、中間構造体310-bの対応する接触点410-a-1との間の物理的な接触によって、第1の角度(例えば、
図4Aの構成400-aに示すように、負の傾斜角、-θ
T)において制限することができる。更に、ベース構造体305-bと、軸306-bを中心とする中間構造体310-bとの間の相対的な回転又は角度を、ベース構造体305-bの接触点405-a-2と、中間構造体310-bの対応する接触点410-a-2との間の物理的な接触によって、第2の角度(例えば、
図4Bの構成400-bに示すように、正の傾斜角度、θ
T)に制限することができる。いくつかの例では、中間構造体310-bは、能動的手段、受動的手段、又はこれらの組み合わせによって、接触点405-a-1又は接触点405-a-2のうちの一方に予荷重することができ、これにより、バックラッシュ(例えば、偏心傾斜位置機構301-bの)に関連付けられる指向誤差を低減又は解消することができる。いくつかの例では、接触点405-a又は410-aを設けることにより、傾斜位置決めの再現性又は精度を向上させることができ、したがって、ベース構造体305-bに対する中間構造体310-bの回転を再現可能な位置にサポートすることによって、アンテナ照準111-cの追跡精度を向上させることができる。例えば、説明した移動の極限(例えば、接触点405-aと410-aとの間で予荷重されているとき)は、機械的剛性の増大又はバックラッシュの低減に関連付けられる。いくつかの例では、アンテナシステム105-cは、目標装置150を能動的に追跡することに関連付けられた動作を位置決めするために、(例えば、予測された、又は他の方法で決定された経路205に基づいて)構成400-a又は400-bのうちの一方を選択するように構成することができる。いくつかの例では、アンテナシステム105-cは、目標装置150を追跡しながら、構成400-a又は400-bの間の位置を保持することを選択的に回避する(例えば、ニュートラル又はゼロ傾斜の構成を選択的に回避する)ように構成することができる。
【0067】
アンテナシステム105-cの例は、偏心要素325-bが、適合性要素420-aを介して中間構造体310-bに結合されている例を示す。例えば、適合性要素420-aは、連結器330-bのサブ構成要素であるか、又はその連結器と共に一体成型されたばねであってもよい。本開示された技術に基づく適合性要素420は、連結器330-bの中間部分を形成するものとして示されているが、偏心要素325-bと結合位置331-bとの間の任意の位置に物理的に配置してもよく、偏心要素325-b又は結合位置331-bの一方又は両方との物理的な直接接続を含む。様々な例では、適合性要素420-aは、コイルバネ、梁ばね、板ばね、ゴム製ブッシング、空気ばね、若しくは任意の他の構成要素、又は調節可能な力を提供する構成要素の組み合わせ(例えば、偏心要素325-bと結合位置331-bとの相対的な変位、又は偏心要素325-bと中間構造体310-bとの間の他の変位に少なくとも部分的に基づいて)を含む。様々な例では、連結器330-bは、全体的に又は部分的に、適合性要素420-aであるように構成されるか、又は別のやり方でそれと見なされる(例えば、連結器330-b及び適合性要素420-aは、同じものであってもよい)。例えば、連結器330-bは、全体的に又は部分的に、ゴム製、又は別の方法で適合性若しくは変形可能である材料若しくは構成要素を使って形成してもよい。
【0068】
様々な例では、適合性要素420-aは、軸321-bを中心とする回転要素320-bの角度変位に少なくとも部分的に基づいて、予荷重(例えば、圧縮予荷重、引っ張り予荷重、屈曲予荷重、ねじり予荷重)を蓄積するように構成してもよい。例えば、回転要素320-bを回転させて(例えば、偏心傾斜位置機構301-bを作動させて)
図4Aに示された構成400-aに到達するときに、連結器330-bは、結合位置331-bを上向きに押圧することができ、中間構造体310-b(例えば、接触点410-a-1)がベース構造体305-bの接触点405-a-1に接触するまで、軸306-bを中心として中間構造体310-bを回転させることができる。中間構造体310-bは、偏心要素325-bが軸321-bに垂直方向(例えば、正に上方)に整列する前に、接触点405-a-1に到達してもよく、回転要素320-bの、そのような整列への更なる回転により、(例えば、偏心要素325-bと結合位置331-bとの間の離間距離が減少することに起因して)適合性要素420-aを圧縮する一方で、ベース構造体305-bの接触点405-a-1と、中間構造体310-bの対応する接触点410-a-1との間の物理的な接触が維持される。したがって、
図4Aに示された構成400-aでは、適合性要素420-aは、回転要素320-bが、接触点410-a-1を接触点405-a-1に駆動させることに応答して、圧縮予荷重を蓄積することができる。
【0069】
別の例では、回転要素320-bを回転させて(例えば、偏心傾斜位置機構301-bを作動させて)
図4Bに示された構成400-bに到達するときに、連結器330-bは、結合位置331-bを下方に引張することができ(又は重力により駆動される場合は、中間構造体310-bの下方の動きに抵抗することができ)、その結果、中間構造体310-bは、中間構造体310-b(例えば、接触点410-a-2)がベース構造体305-bの接触点405-a-2に接触するまで、軸306-bを中心として回転する。中間構造体310-bは、偏心要素325-bが軸321-bに垂直方向(例えば、正に下方)に整列する前に、接触点405-a-2に到達してもよく、回転要素320-bの、そのような整列への更なる回転により、(例えば、偏心要素325-bと結合位置331-bとの間の離間距離が増加したことに起因して)適合性要素420-aを伸展又は延長し得る一方で、ベース構造体305-bの接触点405-a-2と、中間構造体310-bの対応する接触点410-a-2との間の物理的な接触が維持される。したがって、
図4Bに示された構成400-bでは、適合性要素420-aは、回転要素320-bが接触点410-a-2を接触点405-a-2に駆動させることに応答して、引張予荷重を蓄積することができる。
【0070】
様々な例では、適合性要素420-aに予荷重を蓄積することにより、アンテナ位置決め装置115-cの様々な構成要素におけるバックラッシュの影響を低減することができる。例えば、構成要素間の緩い物理的な接触(例えば、「遊び」)が、軸306-b(例えば、ベース構造体305-bと中間構造体310-bとの間の直接結合)、軸321-b(例えば、回転要素320-bとベース構造体305-bとの間の直接結合)、偏心要素325-b(例えば、偏心要素325-bと回転要素320-bとの間の直接結合、偏心要素325-bと連結器330-bとの間の直接結合)、又は結合位置331-b(例えば、連結器330-bと中間構造体310-bとの間の直接結合)のうちの任意の1つ又は複数において存在してもよい。適合性要素420-aに予荷重を蓄積することによって、構成要素間の物理的な接触は、特定の位置を付勢又は負荷することができ、その結果、そのような構成要素は、自由に動くことができず、又は少なくとも一部の荷重、力、若しくは他のトグリング運動に抵抗することができる。例えば、そのような予荷重は、アンテナシステム105-cで起こりがちな運用上の風のあおりを受けて、偏心傾斜位置機構301の構成要素間でトグリングすることを防止することができる。
【0071】
適合性要素420-aに予荷重を蓄積することによって、中間構造体310-bとベース構造体305-bとの間の相対的な運動を、(例えば、
図4A及び
図4Bに示された構成400-a及び400-bなどの、予荷重が蓄積される動作点において)低減又は解消することができ、これにより、アンテナポジショナ340-bに提供される更に安定したプラットフォーム(例えば、中間構造体310-b)に起因して、アンテナ照準111-cの指向精度を向上させることができる。そのようなシステムは、様々な構成要素におけるバックラッシュにそれほど脆弱ではないため、そのような配置は、様々な接続点における、公差のより小さいベアリング、カップリング、又はブッシングなどの、簡易化した又はより低コストの構成要素の使用を可能にすることができる。更に、接触点405又は410に対して柔軟な予荷重を含むことによって、アンテナシステム105-cは、通常の風による負荷を越える極限の風力などの、運用上の要因に対する安全性を向上させる要因を有することができる。
【0072】
図4A及び
図4Bの構成400-a及び400-bは、アンテナ位置決め装置115-cの2つの異なる構成の実例であり、これらの構成は、頭上通過を通じて目標装置150-aを追跡するときに、
図2を参照して説明した仰角グラフ210及び方位角グラフ220の特定の特性を回避することができる。例えば、軸306-bが南北方向に沿って整列されている場合(例えば、
図4A又は
図4Bの頁の北寄りの方向を見るときに)、構成400-aの傾斜角θ
Tを使用して第1の位置決め軸341-bを東方向に向けて傾斜させてもよく、又は構成400-bの傾斜角θ
Tを使用して第1の位置決め軸341-bを西方向に向けて傾斜させてもよい。したがって、例200に関連してどちらかの構成を使用すれば、傾斜した第1の位置決め軸341-bは、経路205-aと一致しなくてもよく、それゆえに、アンテナポジショナ340-bの傾斜は、アンテナポジショナ340-bのより穏やかな動作をサポートすることができる。
【0073】
図4A及び
図4Bを参照して説明した偏心傾斜位置機構301-bなどの偏心傾斜位置機構は、アンテナシステム105-cの動作に有利である様々な設計特性に従って構成することができる。例えば、偏心要素325-bが垂直上部位置(例えば、
図4Aの構成400-aに示すように)又は垂直下部位置(例えば、
図4Bの構成400-bに示すように)に保持されていると、目標装置150を追跡するのに、少なくとも
図3A及び
図3Bのアンテナシステム105-bを参照して説明した理由から、有利である。
【0074】
更に、接触点405又は410を含むアンテナシステム105-cに関連して、アンテナシステム105-cで示された幾何形状などの偏心幾何形状は、物理的な接触点に到達したときに(例えば、偏心要素325-bが、軸321-bとほぼ垂直に整列している位置で)、中間構造体310-aの比較的小さい角速度に関連付けられる。したがって、例示された幾何形状は、中間構造体310-bが、中間構造体310-bの比較的小さい角速度でベース構造体305-bの接触点405に緩く接触するのを容易にすることができる。
【0075】
更に、420-aを含むアンテナシステム105-cの関連において、そのような幾何形状はまた、回転要素320-bを駆動して適合性要素420-aに予荷重を蓄積するように構成された駆動要素のための有利な機械的利点も提供することができる。言い替えると、偏心要素325-bが軸321-bに対して垂直に整列されている場合、適合性要素420-aを圧縮又は延長することにより、回転要素320-aの駆動回転に対して比較的小さい抵抗を提示すことができる。したがって、これら及び他の理由から、アンテナ位置決め装置115-cは、構成400-a又は構成400-bのどちらかで(例えば、離散した一組の傾斜角、回転要素320-bの離散した一組の角度)偏心傾斜位置機構301-bを動作させることを(例えば、制御アルゴリズム内で)選択するように構成してもよく、ここで、各構成において、偏心要素325-b及び軸321-bは、垂直に整列してもよいし、又はほぼ垂直に整列してもよい。
【0076】
図5は、本開示の様々な態様に基づく、経路205-bに沿ってアンテナシステム105-dの上空を通過する目標装置150-dの例500を示す。例500では、目標装置150-dは、MEO又はLEO衛星であってもよく、アンテナシステム105-dは、ゲートウェイシステムの構成要素などの地上施設であってもよい。目標装置150-dに関連付けられた経路205-bは、予測経路の例であり、その経路は、目標装置150-dがアンテナシステム105-dを通過する前に、目標装置150-dがアンテナシステム105-dの視界に入る前に、又はアンテナシステム105-dが目標装置150-dを能動的に追跡する前に、アンテナシステム105-dによって予測することができるか、又は別のやり方で既知である。例500では、経路205-bは、(例えば、極軌道に沿って)概して又は主に南北配向に追従し、目標装置150-aは、t
Oにおいてアンテナシステム105-dから直上に存在し得る。
【0077】
経路205-bに沿って目標装置150-dを追跡するために、アンテナシステム105-dのアンテナ位置決め装置115は、時間の経過と共に異なる仰角及び方位角に沿ってアンテナシステム105-dのアンテナ照準111(図示せず)を指向させるように構成することができる。しかしながら、
図2を参照して説明した例200とは異なり、例500のアンテナシステム105-dのアンテナ位置決め装置115は、(例えば、偏心傾斜位置機構301を作動させることによって)傾斜角を選択するように構成することができ、その結果、位置決め軸(例えば、第1の位置決め軸341、方位角軸)は、直上を指向されない。言い替えると、経路205-dに少なくとも部分的に基づいて、アンテナシステム105-dは、位置決め軸が経路205-dと一致しないように位置決め軸(例えば、方位軸)を配向させることができる。例えば、主に南北方向に沿った目標装置150の軌道経路205をサポートするために、アンテナシステム105-dは、南北方向に沿っても配向される軸306を含むことができる。ただし、様々な他の例では、アンテナシステム105の軸306は、他の方向に配向されてもよく、その方向は、経路205の主な方向に沿って整列するように選択してもよい。
【0078】
アンテナシステム105-dの軸306が南北に整列されていれば、点505-a-1及び505-2は、特定の傾斜構成の位置決め軸が経路205-bに対応する仰角と交差し得る位置を示すことができる。例えば、アンテナシステム105-dの位置決め軸は、アンテナシステム105-dの位置から発することができ、所与の構成の場合、点505-a-1若しくは点505-a-2は、時間tOにおいて目標装置150-dと一致する水平基準面と位置決め軸との交点を示してもよいし、又は点505-a-1若しくは点505-a-2は、時間tOにおいて目標装置150-dと同じ仰角を有する球状基準面と位置決め軸との交点を示してもよい。
【0079】
図4A及び
図4Bを参照して説明したアンテナシステム105-cの例を参照すると、点505-a-1は、
図4Aの構成400-aに従って(例えば、負の傾斜角-θ
Tに従って)、第1の位置決め軸341-bの交点に対応し、そこでは、中間構造体310-bの上部、したがって、位置決め軸341-bは、東の方向に向かって傾いている。更に、
図4A及び
図4Bを参照して説明したアンテナシステム105-cの例を参照すると、点505-a-2は、
図4Bの構成400-bに従って(例えば、正の傾斜角θ
Tに従って)、第1の位置決め軸341-bの交点に対応し、そこでは、中間構造体310-bの上部、したがって、位置決め軸341-bは、西の方向に向かって傾いている。したがって、アンテナシステム105-cの例を参照すると、構成400-a又は構成400-bを、経路205-bに少なくとも部分的に基づいて、アンテナシステム105-cによって選択することができ、これにより、経路205-bと一致している第1の位置決め軸341-bに関連付けられる不利な性能特性を回避することをサポートすることができる。
【0080】
例500の場合、時間の経過と共に目標装置150-dを追跡するためのアンテナ照準111の仰角は、仰角グラフ510によって示され、時間の経過と共に目標装置150-dを追跡するためのアンテナ照準111の方位角は、方位角グラフ520によって示される。仰角グラフ510及び方位角グラフ520は、目標装置150-dが直上を通過するときの時間に対応する時間tOを基準にして角度を示す。
【0081】
例200を参照して説明した仰角グラフ210及び方位角グラフ220と比較すると、例500によって示された傾斜した位置決め構成(例えば、構成400-a又は構成400-b)の選択は、関連するアンテナポジショナ340の緩い性能要件に関連付けられる。例えば、例500の最大仰角θE,max,2は、例200の最大仰角θE,max,1よりも小さくてもよい(例えば、θE,max,2は、90度未満であってもよく、90度からθTを引いた値に等しくてもよい)。例500の方位角位置決めについては、経路205-dに沿って追跡することをサポートするために、時間tOを、初期方位角θA,2aから最終方位角θA,1bへの瞬間的な移行に関連付けなくてもよく、逆に、(例えば、時間tOにおける有限なピーク方位角速度を有する)方位角の比較的平滑な移行に関連付けることができる。更に、例500の方位角θA,2a~θA,2bの範囲は、例200の方位角θA,1aの範囲よりも小さくてもよい(例えば、方位角θA,2a~θA,2bの範囲は、180度未満であってもよい)。更に、例200とは対照的に、例500の時間tOは、アンテナシステム105-dの方位角軸か又は仰角軸のどちらかを中心とする無限大の指向加速度に関連付けられなくてもよい(例えば、tOにおいて正の仰角速度から負の仰角速度への瞬間的な移行を必要とせず、tOにおいて一方の方位角位置から別の方位角位置への瞬間的な移行を必要としない)。
【0082】
したがって、本開示の様々な例によれば、偏心傾斜位置機構301を含む例500のアンテナシステム105-d(例えば、アンテナ位置決め装置115)は、目標装置150-dが経路205-dに従うときに、仰角グラフ210及び方位角グラフ220によって示された不利な条件を回避することができ、これにより、アンテナシステム105-dの能力を向上させて目標装置150-dとの通信リンク130を維持することができる。
【0083】
アンテナシステム105(例えば、アンテナシステム105に関連付けられたコントローラ、アンテナシステム105と通信するゲートウェイシステムのコントローラ)は、様々な動作、計算、又は決定を実行して、予測経路に関連付けられた条件に基づいて、アンテナシステム105のための特定の傾斜構成(例えば、アンテナシステム105-cの関連における構成400-a又は構成400-b)を選択することをサポートすることができる。いくつかの例では、そのような選択は、予測経路205が軸306aのどちらの側を通過するかに少なくとも部分的に基づいてもよい。点505-a-1に関連付けられた構成は、例えば、経路205がアンテナシステム105-dの西にあるときはいつでも選択することができ、いくつかの例では、点505-a-1に関連付けられた構成は、180度から360度までの角度範囲内で追跡する方位角に関連付けられる。点505-a-2に関連付けられた構成は、例えば、経路205がアンテナシステム105-dの東にあるときはいつでも選択することができ、いくつかの例では、点505-a-1に関連付けられた構成は、0度から180度までの角度範囲内で追跡する方位角に関連付けられる。点505-a-1か又は505-a-2かのどちらかに関連付けられた構成は、直上の経路205の場合に使用してもよいが、様々な例では、1つの構成若しくは別の構成を直上の通過に割り当ててもよく、又はコントローラは、直上の通過を検出することに基づき、特定の構成を維持する(例えば、構成を変更することを控え、ベース構造体305に対する中間構造体310の角度回転を維持する)ことを決定してもよい。
【0084】
追加的に又は択一的に、各傾斜構成間の選択は、最大仰角θE、方位角θAの変化の速度、第1の位置決め軸341若しくは第2の位置決め軸342のうちの一方若しくは両方の周りの角加速度、第1の位置決め軸341と予測経路に沿った方向との間の分離、又は1つ若しくは複数の傾斜構成における経路205に沿って追跡することに関連付けられた何らかの他の特性のうちの1つ若しくは複数に少なくとも部分的に基づき、これらは、現在の傾斜構成と新たな傾斜構成との間の比較を含む。例えば、アンテナシステム105に関連付けられたコントローラは、アンテナシステム105の一組の傾斜構成のそれぞれにおいてそのような計算を実行することができ、現在の傾斜構成における特定の計算が閾値を超えない限り(この閾値は、例えば、第1の位置決め軸341と経路205との間の閾値偏差以内にあり、仰角ポジショナの閾値仰角又は動作範囲の外にある)、アンテナシステム105に命令して傾斜角を維持することができる。
【0085】
アンテナポジショナ340の能力に基づく選択の例では、各傾斜構成間の選択は、アンテナポジショナ340の仰角能力(例えば、位置決め軸342を中心とする角度範囲)に少なくとも部分的に基づく。例えば、アンテナポジショナ340が中間構造体310に対して0~90度の範囲の仰角制御に関連付けられている場合、地上アンテナシステム105は、点505-a-1に関連付けられた傾斜構成で動作するときに、西の地平線近くにある目標装置150を追跡することができない場合がある(例えば、目標装置150が、関連するアンテナポジショナ340によってサポートされる最小仰角未満であるため)。したがって、いくつかの状況下では、経路205がアンテナシステム105-dの西側から特に遠い場合、点505-a-2に関連付けられた傾斜構成は、経路205がアンテナシステム105-dの西側にあるにもかかわらず、選択することができる。言い替えると、いくつかの例では、1つの傾斜構成又は別の傾斜構成は、経路205が軸306の周りの1つ又は複数の角度範囲の中でどこに配置されるかに少なくとも部分的に基づいて選択してもよく、これは、位置決め軸342の周りの角度範囲(例えば、ポジショナ能力)を考慮又は補償してもよい。
【0086】
追加的に又は択一的に、アンテナポジショナ340は、偏心傾斜位置機構301の態様を補償するように設計又は構成してもよい。例えば、±7度の傾斜で(例えば、軸306の周りの)傾斜構成に関連付けられた地上アンテナシステム105は、-7度以下と83度以上との間に(例えば、位置決め軸342の周りの)中間構造体310-aに対する範囲を有する仰角ポジショナ(例えば、アンテナポジショナ340の)を使って構成することができ、その仰角ポジショナは、一組の傾斜構成のうちのそれぞれにおいてアンテナポジショナ340の拡張された追跡範囲をサポートすることができる。
【0087】
図6A及び
図6Bは、本開示の様々な態様に基づく、アンテナシステム105-eの例を示す。アンテナシステム105-eは、アンテナ照準111-eを有するアンテナ110-e、及びアンテナ照準111-eを(例えば、目標装置150に向けて)配向させるように構成されたアンテナ位置決め装置115-eを含む。
【0088】
アンテナシステム105-eの例では、アンテナ位置決め装置115-eは、2の回転自由度に関して(例えば、第1の位置決め軸341-c及び第2の位置決め軸342-cを中心として)アンテナ照準111-eを配向させるように構成されたアンテナポジショナ340-c(例えば、位置決めシステム、追跡システム)を含む。いくつかの例では、第1の位置決め軸341-cは、方位角位置決め軸として説明してもよく、第2の位置決め軸342-cは、仰角位置決め軸として説明してもよいが、説明される技術に応じて、他の命名法及び構成が可能である。いくつかの例では、アンテナポジショナ340-cは、仰角ポジショナ640、及び仰角ポジショナ640と中間構造体310-cとの間の方位角ポジショナ630を含む(例えば、仰角-方位角構成で)。いくつかの例では、アンテナポジショナ340-cは、アンテナ照準111-eに対して平行である軸(例えば、第3の回転自由度)を中心としてアンテナ110-e(例えば、アンテナ110-eの放射要素又は受信要素)を回転させて、垂直偏波、水平偏波、又は他の信号偏波に従ってアンテナを整列させるように構成してもよい。
【0089】
アンテナシステム105-eの例では、アンテナ位置決め装置115-eはまた、偏心傾斜位置機構301-c(例えば、アクチュエータ、傾斜アクチュエータ)の実施例も含む。例えば、アンテナシステム105-e(例えば、アンテナ位置決め装置115-e)は、ベース構造体305-c及び中間構造体310-cを含み、そこでは、中間構造体310-cは、軸306-cを中心としてベース構造体305-cに回転可能に結合されている。回転可能な結合により、ベース構造体305-cと中間構造体310-cとの間の回転自由度を提供する。様々な例では、軸306-cは、水平であっても、又は水平でなくてもよい。
【0090】
偏心傾斜位置機構301-cはまた、軸321-cを中心としてベース構造体に回転可能に結合されている回転要素320-cも含む。様々な例では、軸321-cは、水平であっても、又は水平でなくてもよく、軸321-cは、軸306-cに対して平行であってもよく、又は軸306-cに対して平行でなくてもよい。回転要素320-cは、軸321-cからオフセットされた距離において偏心要素325-cを含み、その偏心要素は、アンテナシステム105-eでは、連結器330-cの第1の端部に取り付けられた結合部である。連結器330-cの第2の端部は、適合性要素420-bに取り付けられ、その適合性要素は、偏心傾斜位置機構301-cの例では、軸306-cからオフセットされた結合位置331-cにおいて中間構造体310-cに固定して結合されている梁ばねであってもよい。言い替えると、連結器330-cは、軸306-cからオフセットされた位置において中間構造体310-cに結合されている(例えば、連結器330-b及び適合性要素420-bを介して、間接的に)偏心要素325-cを支持する実施例を示す。
【0091】
アンテナシステム105-eの例では、駆動要素610は、旋回駆動装置として示され、その旋回駆動装置は、モータにより駆動されるウォームギヤを含み、そのモータは、ウォームギヤの軸に垂直なギヤを回転させる(例えば、その軸は、回転要素320-cに結合されている)。旋回駆動装置は、回転要素320-cの制御される回転を支持するために使用されるギヤボックス又はギヤモータの一例である。旋回駆動装置は、本開示の偏心傾斜位置機構301において特定の利点を有する。例えば、本開示のシステム内の旋回駆動装置は、60対1~80対1のギヤ比をサポートすることができ、これは、逆方向の駆動に適切に抵抗することができる。したがって、旋回駆動装置は、より低コストのギヤモータ及び駆動装置重量をサポートすることができる。更に、比較的小さい移動範囲、及びほぼゼロバックラッシュでは、結果として得られるより高い比率により、より低いコストに向けた単一の駆動動作をサポートすることができる(例えば、バックラッシュを補償するために複数のモータを必要とし得る他の技術と比較して)。更に、旋回駆動装置及びギヤモータは、相対的にコンパクトであり、全方位角運動(例えば、方位角における360度)及び全仰角運動(例えば、仰角における90度)を妨害することがない。他のアクチュエータを使用しても傾斜運動駆動力を提供することができるが、そのような他のアクチュエータは、同じサイズの駆動力発生のために小型化することができない。
【0092】
アンテナシステム105-eの例では、偏心傾斜位置機構301-cは、エンコーダ620を含み、そのエンコーダは、現在の傾斜位置(例えば、軸306-cを中心とする)を示す信号を提供することができ、その信号は、本明細書に記載されている様々な傾斜位置決め又は照準追跡動作のためのコントローラに提供される。エンコーダ620は、中間構造体310-cとベース構造体305-cとの間の相対的な角度配向を決定するための任意の好適なエンコーダであってもよく、そのエンコーダは、角度配向を直接測定することができ、又は角度配向を決定することができる別の好適な測定を行ってもよい。様々な例では、エンコーダ620は、磁気エンコーダ、光学エンコーダ、導電エンコーダ、レゾルバ、シンクロなどのいずれかであってもよい。偏心傾斜位置機構301は、傾斜位置(例えば、軸306-cを中心とする)を示すためのエンコーダ620を含んでもよいが、偏心傾斜位置機構301は、追加的に又は択一的に、回転要素320の角度位置(例えば、軸321を中心とする)の示度を提供するエンコーダを含み、その示度は、本明細書に記載されている様々な傾斜位置決め又は照準追跡動作のためのコントローラに提供される。
【0093】
アンテナシステム105-eの例では、ベース構造体305-cと、軸306-cを中心とする中間構造体310-cとの間の相対的な回転又は角度は、ベース構造体305-cの接触点405-b-1と、中間構造体310-cの対応する接触点410-b-1との間の物理的な接触によって、第1の角度又は位置において制限される。更に、ベース構造体305-cと、軸306-bを中心とする中間構造体310-cとの間の相対的な回転又は角度は、ベース構造体305-cの接触点405-b-2と、中間構造体310-cの対応する接触点410-b-2との間の物理的な接触によって、第2の角度又は位置において制限される。いくつかの例では、中間構造体310-cを、能動的手段(例えば、駆動要素610を使用して)、受動的手段、又はこれらの組み合わせによって、接触点405-b-1又は接触点405-b-2のうちの一方に予荷重することができ、これにより、バックラッシュ(例えば、偏心傾斜位置機構301-cの)に関連付けられた指向誤差を低減又は解消することができる。いくつかの例では、接触点405-b又は410-bを設けることにより、傾斜位置決めの再現性を向上させることができ、したがって、ベース構造体305-cに対する中間構造体310-cの回転を再現可能な位置に支持することによって、アンテナ照準111-eの追跡精度を向上させることができる。
【0094】
偏心傾斜位置機構301-cの例では、適合性要素420-bは、軸321-cを中心とする回転要素320-cの角度変位に少なくとも部分的に基づく屈曲予荷重を蓄積するように構成することができる。例えば、
図6Bの図の中で(例えば、駆動要素610を駆動することによって)時計回りの方向に回転要素320-cを回転させると、連結器330-cは、結合位置605を上向きに押圧することができ、その結合位置は、それに応じて結合位置331-bを上向きに押圧することができ、それによって、中間構造体310-c(例えば、接触点410-b-1)がベース構造体305-cの接触点405-b-1に接触するまで、軸306-cを中心として中間構造体310-cを回転させることができる。中間構造体310-cは、偏心要素325-bが軸321-cに垂直に(例えば、正に上方に)整列する前に接触点405-b-1に到達することができ、更に回転要素320-cがそのような整列に回転すると、適合性要素420-bを屈曲させることができる(例えば、結合位置331-cが接触点410-b-1と接触点405-b-1との間の接触に対応する位置を維持する間、結合位置605の上向き運動に起因して)。したがって、接触点405-b-1及び接触点410-a-1が物理的に接触するよう駆動される構成では、適合性要素420-bは、駆動された接触に応じて第1の屈曲予荷重を蓄積することができる(例えば、偏心要素325-cが軸321-cを中心として垂直方向に整列する構成に対応する)。
【0095】
別の例では、
図6Bの図の中で(例えば、駆動要素610を駆動することによって)反時計回りの方向に回転要素320-cを回転させると、連結器330-cは、結合位置605を下向きに引張することができ、その結合位置は、それに応じて結合位置331-bを下向きに引張することができ、それによって、中間構造体310-c(例えば、接触点410-b-2)がベース構造体305-cの接触点405-b-2に接触するまで、軸306-cを中心として中間構造体310-cを回転させることができる。中間構造体310-cは、偏心要素325-cが軸321-cに垂直に(例えば、正に下方に)整列する前に接触点405-b-2に到達することができ、更に回転要素320-cがそのような整列に回転すると、適合性要素420-bを屈曲させることができる(例えば、結合位置331-cが接触点410-b-2と接触点405-b-2との間の接触に対応する位置を維持する間、結合位置605の下向き運動に起因して)。したがって、接触点405-b-2及び接触点410-a-2が物理的に接触するよう駆動される構成では、適合性要素420-bは、(例えば、偏心要素325-cが軸321-cを中心として垂直方向に整列する構成に対応する)駆動された接触に応じて第2の屈曲予荷重を蓄積することができる。第2の屈曲予荷重は、第1の屈曲予荷重と比較して、負又は反対の屈曲と見なすことができる。
【0096】
様々な例では、適合性要素420-bに予荷重を蓄積することにより、アンテナ位置決め装置115-eの様々な構成要素におけるバックラッシュの影響を低減することができる。例えば、構成要素間の緩い物理的な接触(例えば、「遊び」)が、軸306-c(例えば、ベース構造体305-cと中間構造体310-cとの間の直接結合)、軸321-c(例えば、回転要素320-cとベース構造体305-cとの間の直接結合)、偏心要素325-c(例えば、偏心要素325-cと回転要素320-cとの間の直接結合、偏心要素325-cと連結器330-cとの間の直接結合)、結合位置605(例えば、連結器330-cと適合性要素420-bとの間の直接結合)、又は結合位置331-c(例えば、適合性要素420-bと中間構造体310-cとの間の直接結合)のうちの任意の1つ又は複数において存在してもよい。
【0097】
適合性要素420-bに予荷重を蓄積することによって、構成要素間の物理的な接触は、特定の位置を付勢又は負荷することができ、その結果、そのような構成要素は、自由に動くことができず、又は少なくとも何らかの負荷、力、若しくは他のトグリング運動に抵抗することができる。例えば、そのような予荷重は、アンテナシステム105-eで起こりがちな運用上の風のあおりを受けて、偏心傾斜位置機構301-cの構成要素間のトグリングを防止することができる。したがって、適合性要素420-bに予荷重を蓄積することによって、中間構造体310-cとベース構造体305-cとの間の相対運動を、低減又は解消することができ(例えば、そのような予荷重が蓄積される動作点において)、これにより、位置決めシステム340-cのために設けられたより安定したプラットフォーム(例えば、より安定した中間構造体310-cの位置)に起因して、アンテナ照準111-eの指向精度を向上させることができる。そのようなシステムは、様々な構成要素におけるバックラッシュにそれほど脆弱ではないため、そのような配置は、様々な接続点において、公差の小さいベアリング、カップリング、又はブッシングなどの、簡易化した又はより低コストの構成要素の使用を可能にする。
【0098】
アンテナシステム105-eの駆動要素610は、旋回駆動装置として示されているが、様々な他のタイプの駆動要素610を使用して、傾斜位置決めのための本開示の技術をサポートすることができ、その技術は、物理的な停止具(例えば、接触点405、接触点410)と組み合わせて使用してもよい。更に、そのような他のタイプの駆動要素610は、予荷重を蓄積するための様々なタイプの適合性要素420と組み合わせて使用することができ、バックラッシュの影響を軽減し、アンテナ照準111を指向又は位置決めするための精度を向上させることができる。
【0099】
図7は、本開示の様々な態様に基づく、アンテナポジショナ340-d及び偏心傾斜位置機構301-dを採用するアンテナシステム105-fの図を示す。アンテナポジショナ340-dは、(例えば、中間構造体310-dに対して)第1の位置決め軸341-d及び第2の位置決め軸342-dを中心とするアンテナ照準111(図示せず)の位置決めを提供することができる。偏心傾斜位置機構301-dは、軸306-dを中心としてベース構造体305-dに対する中間構造体310-d、及びしたがってアンテナポジショナ340-dを回転させるように構成することができる。
【0100】
偏心傾斜位置機構301-dは、ベース構造体305-dと中間構造体310-dとの間の相対的な回転又は角度が、中間構造体310-dのスロット710に係合されている偏心要素325-d(例えば、ピン)を用いて回転要素320を作動させる(例えば、軸321-dを中心として回転要素320-cを回転させる)ことによって制御、設定、又は維持される例を示す。言い替えると、偏心傾斜位置機構301-dは、軸306-dからオフセットされた位置において中間構造体310-dに(例えば、スロット710を介して直接)結合されている偏心要素325-dを支持する実施例を示す。いくつかの例では、そのような作動は、駆動要素610-b(例えば、旋回駆動装置)を使用して、回転要素320-cを回転させることを含んでもよく、その結果、偏心要素325-dが特定の位置に存在するようになる(例えば、その結果、偏心要素325-dは、軸321-dに垂直方向に整列するか、又はほぼ垂直方向に整列するようになる)。いくつかの例では、そのような実施形態を使用して、傾斜ポジショナから連結器330を省略することができる。
【0101】
接触点405、接触点410、又は適合性要素420は、アンテナシステム105-fには示されていないが、スロット710に係合された偏心要素325-d(例えば、ピン)を含む偏心傾斜位置機構301は、本明細書に記載されている技術に従って、接触点405、接触点410、又は適合性要素420のうちの1つ又は複数を含むことができる(例えば、
図4A及び
図4Bの図のアンテナシステム105-cを参照して説明されているように)。
【0102】
図8は、本開示の様々な態様に基づく、アンテナ位置決め装置115のための制御システム810を例示するブロック
図800を示す。制御システム810は、
図1~
図6を参照して説明した傾斜ポジショナ(例えば、偏心傾斜位置機構301)又はアンテナ照準ポジショナ(例えば、アンテナポジショナ340)のうちの一方又は両方を制御するように構成することができる。例えば、制御システム810は、傾斜軸を中心とした(例えば、目標装置150の予測又は将来の経路又は位置に基づく、軸306を中心とした)中間構造体310又はアンテナポジショナ340の整列を制御するための傾斜位置コントローラ830と、2以上の回転自由度に関して(例えば、目標装置150の現在位置に基づく、第1の位置決め軸341又は第2の位置決め軸342を中心とした)アンテナ照準111を位置決めすることによって、目標装置150を能動的に追跡するための目標装置追跡コントローラ840と、を含むことができる。制御システム810は、設置又は始動後に初期位置(例えば、初期傾斜位置、初期照準整列)を設定し、目標装置150の種々の予測された若しくは現在の目標経路(例えば、経路250)あるいは位置を補正し、新たな目標装置150若しくは目標経路205に向けてアンテナ照準111を位置決めするように、又は任意の他の制御コマンドに応答するように構成することができる。
【0103】
制御システム810は、アンテナ位置決め装置115の様々な状態を規定若しくはモニタリングし、又はアンテナ位置決め装置115の他の高水準の機能を提供するための位置決め軸コントローラ820を含むことができる。アンテナ位置決め装置115の状態は、初期化状態、動作状態、又は故障状態を含むことができ、位置決め軸コントローラ820は、経路検出構成要素850から受信した予めプログラムされたコマンド若しくは信号、傾斜位置コントローラ830、目標装置追跡コントローラ840、又は位置検出器、エンコーダ、センサ、リレー、ユーザコマンド、若しくは任意の他の制御信号などの、制御システム810の外側からの信号に応答して、各状態間を変更するか又は特定の状態を維持することができる。いくつかの例では、位置決め軸コントローラ820は、異なるモードに従って動作を管理することができ、それらのモードは、例えば、再位置決めモード、傾斜モード、若しくは再教育モードに対応する第1のモード(例えば、中間構造体310又はアンテナポジショナ340を、ベース構造体305に対して1つの角度位置から別の角度位置に傾斜させるとき、目標装置150を能動的には追跡しないとき、通信リンク130が目標装置150に対して確立されていないとき)、又は追跡モード若しくは追跡通過に対応する第2のモード(例えば、目標装置150の位置を追跡して通信リンク130を介した能動的通信をサポートするとき)である。位置決め軸コントローラ820はまた、経路検出構成要素850から受信した予めプログラムされたコマンド若しくは信号、傾斜位置コントローラ830、目標装置追跡コントローラ840、又は位置検出器若しくはエンコーダ、リゾルバ、シンクロ、センサ、リレー、入力装置(例えば、ユーザコマンド又は自動式制御コマンド)、若しくは他の制御システムなどの、制御システム810の外側の構成要素からの信号に応答して、傾斜位置コントローラ830又は目標装置追跡コントローラ840に配信される様々な制御信号も生成することができる。
【0104】
位置決め軸コントローラ820は、目標装置150の予測経路205、目標装置150の現在位置、現在の傾斜位置、アンテナ照準の現在の整列、及びコマンド若しくは信号を傾斜位置コントローラ830若しくは目標装置追跡コントローラ840に提供するための他のものに関連する信号又はコマンドを受信することができる。例えば、位置決め軸コントローラ820は、中間構造体310又はアンテナポジショナ340を特定の角度配向(例えば、傾斜角)に回転させるための傾斜位置コントローラ830にコマンドを提供することができ、次いで角度配向(例えば、位置決め軸コントローラ820、制御システム810、又は関連するアンテナシステム105の第1のモードの作動)を維持することができる。中間構造体310又はアンテナポジショナ340が(例えば、傾斜位置コントローラ830によって)一定の角度配向に維持されている間、位置決め軸コントローラ820は、コマンドを目標装置追跡コントローラ840に提供してアンテナポジショナ340を作動させ、選択されたアンテナ位置決めを提供することができる(例えば、目標装置150を能動的に追跡するために)。
【0105】
様々な例では、位置決め軸コントローラ820により提供される制御(例えば、傾斜位置コントローラ830又は目標装置追跡コントローラ840に提供される動作モード、コマンド、又はパラメータの選択)は、関連するアンテナシステム105の様々な条件、特性、又は能力に基づいてもよい。例えば、制御の様々な態様は、アンテナポジショナ340の方位角能力、アンテナポジショナ340の仰角能力、若しくはそれらの組み合わせに基づいてもよく、又は別の方法で応答してもよい。いくつかの例では、制御の様々な態様は、位置決めシステムの角度自由度の位置決め軸(例えば、第1の位置決め軸341、第2の位置決め軸342)と、目標装置150の予測経路205(例えば、軸306か、又は第1の位置決め軸341の方向と、閾値を満たすか若しくは閾値未満である予測経路205との間の第2の位置決め軸342か、を中心とする角度)との間の角度偏差に基づいてもよく、又は別の方法で応答してもよい。いくつかの例では、制御の様々な態様は、目標装置150の予測経路205に沿って目標装置150を追跡することに関連付けられている(例えば、追跡のために必要とされる)位置決めシステム340の予測角速度(例えば、閾値を満たすか又は閾値を超える方位角若しくは仰角の速度若しくは加速度)に基づいてもよく、又は別の方法で応答してもよい。いくつかの例では、制御の様々な態様は、目標装置150の予測経路205に沿って目標装置150を追跡することに関連付けられている(例えば、追跡のために必要とされる)アンテナポジショナ340の予測角度(例えば、閾値を満たすか又は閾値を超える仰角)に基づいてもよく、又は別の方法で応答してもよい。
【0106】
経路検出構成要素850は、目標装置の予測されたパッチを識別又は決定するように構成することができる。いくつかの例では、経路検出構成要素850は、軌道経路に対応する情報、又はアンテナシステム105に対する衛星の経路の経度又は他の方向若しくは位置、傾斜軸(例えば、軸306)、又は位置決め軸(例えば、第1の位置決め軸341)などの、衛星に関連付けられた情報を受信することができる。いくつかの例では、経路検出構成要素850は、時間の経過と共に目標装置150に関する位置情報を受信又は判定することができ、そのような情報から目標装置150の予測経路を計算することができる(例えば、推定によって)。そのような計算は、説明した傾斜ポジショナが、飛行機、地上車両、又は他のそのような目標装置150若しくはアンテナシステム105などの、所定の経路を持たない移動目標装置150又は移動アンテナシステム105に応答して、アンテナポジショナ340の1つ又は複数の軸を再配向させるために使用されるシナリオでは、有効であり得る。経路検出構成要素850は、様々な情報を位置決め軸コントローラ820に通過させることができ、そのコントローラは、そのような情報に基づいて様々な計算又は判定(例えば、傾斜ポジショナを保持するか又は作動させるかどうか)を行うことができる。
【0107】
傾斜位置コントローラ830は、目標装置150の予測経路205に少なくとも部分的に基づいて、傾斜アクチュエータ(例えば、偏心傾斜位置機構301)を制御するために構成することができる。いくつかの例では、そのようなアクチュエータは、ベース構造体305と、軸306を中心としてベース構造体305に回転可能に結合されている中間構造体310との間に結合することができる。いくつかの例では、この制御は、駆動要素610(例えば、旋回駆動装置、モータ、駆動トレイン)に電力を供給するか、又は別の方法で作動させることを含み、駆動要素は、回転要素320を回転させて、ベース構造体305と中間構造体310との間の角度を設定、変更、又は維持することができる。いくつかの例では、そのような作動は、中間構造体310とベース構造体305との間に物理的な接触が達成されるまで、中間構造体310の回転を含むか、又は別の方法でその回転を引き起こすことができる。いくつかの例では、そのような作動は、アクチュエータ(例えば、駆動要素間)と、ベース構造体305又は中間構造体(310)のうちの一方との間に適合性要素420の予荷重を含んでもよく、又は別の方法でその予荷重を引き起こすことができる。いくつかの例では、そのような作動は、離散的な角度位置の集合から選択されている特定の角度位置(例えば、
図4A及び
図4Bを参照して説明した構成400-a又は400-bのうちの一方に対応する傾斜角などの、2つの角度位置のうちの一方)に変更すること、又はその位置に保持することを含むことができる。
【0108】
いくつかの例では、傾斜位置コントローラ830は、予めプログラムされた命令、又は位置決め軸コントローラ820若しくは目標装置追跡コントローラ840からの他の信号、傾斜位置駆動要素からのフィードバック信号、又はエンコーダ信号若しくは任意の他の信号などの、制御システム810の外側から受信した他の命令若しくは信号に基づいて、傾斜位置駆動要素のための制御信号を生成することができる。傾斜位置コントローラ830は、傾斜ポジショナ(例えば、偏心傾斜位置機構301)のための移動の大きさ及び方向に関して、傾斜位置駆動要素にコマンド又は信号を配信することができる。傾斜位置駆動要素は、ベース構造体305に対する中間構造体310の選択された角度位置を提供するためのコマンド又は信号に従って、電力源からモータ又は他のアクチュエータのための駆動電流を生成するためのパワートランジスタを含むことができる。
【0109】
目標装置追跡コントローラ840は、アンテナ照準111用いて目標装置150を追跡するように構成することができ、これは、傾斜位置コントローラ830が中間構造体310とベース構造体305との間の相対角度を維持(例えば、保持)する間の追跡とすることができる。いくつかの例では、目標装置追跡コントローラ840は、中間構造体310に結合されている位置決めシステム(例えば、アンテナポジショナ340)を制御するように構成することができ、この位置決めシステムは、中間構造体310に対する少なくとも2の角度自由度に関してアンテナ照準111を配向させることが可能である。
【0110】
目標装置追跡コントローラ840は、位置決め軸コントローラ820若しくは傾斜位置コントローラ830からの予めプログラムされた命令、若しくはそれから受信した他の信号、1つ若しくは複数のアンテナポジショナ駆動要素からのフィードバック信号、又はエンコーダ信号若しくは任意の他の信号などの、制御システム810の外側から受信した他の命令若しくは信号に基づいて、1つ若しくは複数のアンテナポジショナ駆動要素のための制御信号を生成することができる。目標装置追跡コントローラ840は、アンテナ照準111の動きの大きさ及び方向に関して(例えば、アンテナポジショナ340を位置決めするために)、1つ又は複数のアンテナポジショナ駆動要素にコマンド又は信号を配信することができる。1つ又は複数のアンテナポジショナ駆動要素は、第1の位置決め軸341又は第2の位置決め軸342を中心とするアンテナ照準111の配向などの、選択された照準配向を提供するためのコマンド又は信号に従って、電力源から1つ若しくは複数のモータ又は他のアクチュエータのための駆動電流を生成するためのパワートランジスタを含むことができる。
【0111】
いくつかの例では、位置決め軸コントローラ820、経路検出構成要素850、傾斜位置コントローラ830、及び目標装置追跡コントローラ840は、別個の装置であってもよく、又は一体型の制御システム810のうちの別個の部分であってもよい。他の例では、位置決め軸コントローラ820、経路検出構成要素850、傾斜位置コントローラ830、及び目標装置追跡コントローラ840は、同じ構成要素又はモジュールに統合化されてもよい。
【0112】
いくつかの例では、制御システム810はまた、アンテナ信号フィードバック情報計測構成要素を含んでもよく、このアンテナ信号フィードバック情報計測構成要素は、信号強度、干渉、脱落データパケットなどを識別又は推定することを含む、様々な位置におけるアンテナ信号の特性を計測するように構成することができる。いくつかの例では、測定されたアンテナ信号フィードバック情報は、位置決め軸コントローラ820、又は制御システム810の内部若しくは外部にある別のコントローラプロセッサ(例えば、傾斜位置コントローラ830、目標装置追跡コントローラ840)に送信することができる。追加的に又は択一的に、測定された信号フィードバック情報は、アンテナ信号フィードバック情報計測構成要素で使用することができる。
【0113】
制御システム810は、位置決め軸コントローラ820、傾斜位置コントローラ830、目標装置追跡コントローラ840、及び経路検出構成要素850を含み、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、状態機械、若しくは他のプログラマブルロジックデバイス、個別ゲート若しくはトランジスタロジック、個別ハードウェア構成要素、又は本明細書に記載されている機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを使って実現又は実行することができる。プロセッサはまた、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ、又はそのような任意の他の構成などのコンピューティングデバイスの組み合わせとして実現してもよい。
【0114】
図9は、本開示の態様に基づく、偏心傾斜指向機構を有するアンテナ位置決めをサポートする方法900を説明するフローチャートを示す。方法900の動作は、本明細書に記載されているように、システム又はその構成要素によって実施することができる。例えば、方法900の動作は、
図1~
図8を参照して説明したように、アンテナ位置決め装置115によって実行することができる。いくつかの例では、システム(例えば、制御システム810)は、アンテナ位置決め装置115の機能要素を制御するための一組の命令を実行して、記載の機能を実行することができる。追加的に又は別の方法として、システムは、専用ハードウェアを使用して、記載された機能の態様を実行してもよい。
【0115】
905において、システムは、目標装置の予測経路を決定することができる。905の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、905の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、経路検出構成要素850によって実行することができる。
【0116】
910において、システムは、目標装置の予測経路に基づいてアクチュエータを制御することができる。アクチュエータは、ベース構造体と、第1の軸を中心としてベース構造体に回転可能に結合された中間構造体との間に結合される。アクチュエータは、第2の軸を中心として回転するように構成された回転要素、並びに回転要素及び中間構造体に結合された偏心要素を含むことができる。いくつかの例では、アクチュエータを制御することにより、回転要素を回転させて、第1の軸を中心とするベース構造体と中間構造体との間の第1の角度を設定する。910の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、910の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、傾斜位置コントローラ830によって実行することができる。
【0117】
915において、システムは、中間構造体に結合された位置決めシステムを使用して、第1の角度を維持しながら、アンテナ照準を用いて目標装置を追跡することができる。いくつかの例では、位置決めシステムは、中間構造体に対する少なくとも2つ角度自由度に関してアンテナ照準を配向させるように構成することができる。915の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、915の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、目標装置追跡コントローラ840によって実行することができる。
【0118】
いくつかの例では、本明細書に説明した装置は、方法900などの方法又は複数の方法を実行することができる。本装置は、目標装置の予測経路を決定し、目標装置の予測経路に基づいてアクチュエータを制御してベース構造体と、第1の軸を中心としてベース構造体に回転可能に結合されている中間構造体との間に第1の角度を設定し、そして中間構造体に結合された位置決めシステムを使用して、第1の角度を維持しながらアンテナ照準を用いて目標装置を追跡するための特徴、手段、又は命令(例えば、プロセッサにより実行可能である命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体)を含むことができる。いくつかの例では、アクチュエータは、ベース構造体の間に結合されており、そのアクチュエータは、第2の軸を中心として回転するように構成された回転要素、並びに回転要素及び中間構造体に結合された偏心要素を含むことができる。いくつかの例では、アクチュエータを制御することにより、回転要素を回転させる。いくつかの例では、位置決めシステムは、中間構造体に対する少なくとも2の角度自由度に関してアンテナ照準を配向させるように構成されている。
【0119】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、別の目標装置の第2の予測経路を決定することと、第2の目標装置の第2の予測経路に基づいてアクチュエータを制御することであって、その制御が、第1の軸を中心とするベース構造体と中間構造体との間の第1の角度を維持することと、位置決めシステムを使用して第1の角度を維持し続けながらアンテナ照準を用いて他の目標装置を追跡することと、のための動作、特徴、手段、又は命令を更に含むことができる。様々な例では、他の目標装置は、目標装置と同じであってもよく、又は目標装置と異なってもよい。
【0120】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することには、第1の角度及び第2の角度からなる集合、又はいくつかの他の個別の角度の集合から第1の角度を選択するための動作、特徴、手段、又は命令が含まれる。
【0121】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することは、位置決めシステムの方位角能力、位置決めシステムの仰角能力、又はこれらの組み合わせに基づいてもよい。
【0122】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することは、少なくとも2の角度自由度のうちの一方の軸と、閾値を満たす目標装置の予測経路との間の角度偏差に基づいてもよい。
【0123】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することは、閾値を満たす目標装置の予測経路に沿って目標装置を追跡することに関連付けられている位置決めシステムの予測角速度に基づいてもよい。
【0124】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することは、閾値を満たす目標装置の予測経路に沿って目標装置を追跡することに関連付けられている位置決めシステムの予測仰角に基づいてもよい。
【0125】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することは、中間構造体の接触点とベース構造体の接触点との間に物理的な接触が達成されるまで、回転要素を回転させるための動作、特徴、手段、又は命令を含んでもよい。
【0126】
方法900及び本明細書に記載された装置のいくつかの例では、制御することは、中間構造体の接触点とベース構造体の接触点との間に物理的な接触が達成された後に、回転要素を回転させるための動作、特徴、手段、又は命令を含んでもよく、その場合、物理的な接触が達成された後の回転は、アクチュエータと、ベース構造体又は中間構造体のうちの一方との間の適合性要素を予荷重する。
【0127】
図10は、本開示の態様に基づく、傾斜指向機構を用いて位置決めするアンテナをサポートする方法1000を説明するフローチャートを示す。方法1000の動作は、本明細書に記載されているように、システム又はその構成要素によって実施することができる。例えば、方法1000の動作は、
図1~
図8を参照して説明したように、アンテナ位置決め装置115によって実行することができる。いくつかの例では、システム(例えば、制御システム810)は、システムの機能要素を制御するための一組の命令を実行して、記載された機能を実行することができる。追加的に又は択一的に、システムは、専用ハードウェアを使用して、記載された機能の態様を実行することができる。
【0128】
1005において、システムは、目標装置の予測経路を決定することができる。1005の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、1005の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、経路検出構成要素850によって実行することができる。
【0129】
1010において、システムは、目標装置の予測経路に基づいて、アクチュエータを制御することができる。アクチュエータは、ベース構造体と、第1の軸を中心としてベース構造体に回転可能に結合されている中間構造体との間に結合される。いくつかの例では、アクチュエータを制御することにより、第1の軸を中心としたベース構造体と中間構造体との間の第1の角度を設定する。いくつかの例では、この制御は、中間構造体の接続点とベース構造体の接続点との間に物理的な接触が達成されるまでの作動を含む。いくつかの例では、この制御は、中間構造体の接続点とベース構造体の接続点との間に物理的な接触が達成された後の作動を更に含み、その作動により、アクチュエータと、ベース構造体又は中間構造体のうちの一方との間の適合性要素に予荷重を形成ないし蓄積することができる。1010の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、1010の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、傾斜位置コントローラ830によって実行することができる。
【0130】
1015において、システムは、中間構造体に結合された位置決めシステムを使用して、第1の角度を維持しながら、アンテナ照準を用いて目標装置を追跡することができる。いくつかの例では、位置決めシステムは、中間構造体に対して少なくとも2の角度自由度に関してアンテナ照準を配向させるように構成することができる。1015の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、1015の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、目標装置追跡コントローラ840によって実行することができる。
【0131】
1020において、システムは、第2の目標装置の第2の予測経路を決定することができる。1020の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、1020の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、経路検出構成要素850によって実行することができる。
【0132】
1025において、システムは、第2の目標装置の第2の予測経路に基づいてアクチュエータを制御することができ、その場合、この制御は、第1の軸を中心としてベース構造体と中間構造体との間の第1の角度を維持する。いくつかの例では、この制御は、中間構造体の接続点とベース構造体の接続点との間の物理的な接触を維持することができる。いくつかの例では、この制御は、アクチュエータと、ベース構造体又は中間構造体のうちの一方との間の適合性要素の予荷重を維持することを更に含むことができる。1025の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、1025の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、傾斜位置コントローラ830によって実行することができる。
【0133】
1030において、システムは、位置決めシステムを使用して、第1の角度を維持しながら、アンテナ照準を用いて第2の目標装置を追跡することができる。1030の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、1030の動作の態様は、
図8を参照して説明したように、目標装置追跡コントローラ840によって実行することができる。
【0134】
上述した方法は、可能である実施態様を説明していること、並びに動作及び工程は、再編成ないし修正され得ること、並びに他の実施態様が可能であることに留意されたい。更に、2つ以上の方法から組み合わされた態様であってもよい。
【0135】
したがって、方法900及び1000は、複数アセンブリアンテナポジショナを使用するシステムにおけるアンテナ位置決めを提供することができる。方法900及び1000は、典型的な実施態様を考察していること、及び方法900又は1000の動作は、他の実施態様が可能であるように再編成ないし修正され得ることに留意されたい。例えば、方法900又は1000のうちの2つ以上から組み合わされた態様であってもよい。
【0136】
添付図面と関連して上述された詳細な説明は、典型的な実施形態を記載しており、実施され得るか又は請求項の範囲内にある実施形態のみを必ずしも表していない。本明細書全体を通じて使用されている「例」という用語は、「実施例、事例、又は実例としての役割を果たすこと」を意味し、「好ましい」又は「他の実施形態よりも有利である」ことを意味しない。詳細な説明には、記載された技術の理解を提供する目的のための具体的な詳細内容が含まれる。しかしながら、これらの技術は、これらの具体的な詳細内容なしに実践することができる。いくつかの事例では、周知の構造体及び装置が、ブロック図の形式で示され、記載された実施形態の概念を曖昧にすることを回避している。
【0137】
前述の説明及び特許請求の範囲は、各要素又は各特徴を、共に「接続される」又は「結合される」ものとして意味し得る。本明細書で使用されるとき、特段の明示的な記載がない限り、「接続される」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に接続されることを意味する。同様に、特段の明示的な記載がない限り、「結合される」とは、1つの要素/特徴が別の要素/特徴に直接的又は間接的に結合されることを意味する。
【0138】
本明細書で使用されるとき、特段の明示的な記載がない限り、「回転可能に結合される」とは、結合位置において物体間の位置的な制約を有し、かつ物体間の少なくとも1つの回転自由度を有する、物体間の結合を意味し、この場合、少なくとも1つの回転自由度は、結合位置を通過する少なくとも1つの軸を中心とする。例えば、物体は、ボールベアリング、ローラーベアリング、ジャーナルベアリング、ブッシング、球面ベアリング、玉継手等のうちのいずれかによって回転可能に結合されてもよい。物体が「回転可能に結合される」という説明は、その物体間の線形自由度を排除しない。例えば、回転可能に結合された物体は、円筒の軸を中心とする回転自由度、並びに円筒の軸に沿った線形自由度を提供する円筒形ジャーナルベアリングによって結合されてもよい。そのような例では、物体間の位置的な制約は、円筒の軸から半径方向に存在することになる。
【0139】
本明細書で使用されるとき、特段の明示的な記載がない限り、「固定して結合される」とは、物体間に線形自由度も回転自由度も有さない物体間の結合を指す。例えば、物体は、ねじ、ボルト、クランプ、磁石のうちのいずれか1つ又は複数によって、又は溶接、ろう付け、半田付け、にかわ付け、融着などのプロセスによって、固定して結合されてもよい。物体が「固定して結合される」という説明は、その物体間の移動を完全には排除しない。例えば、固定して結合される物体は、物体間のある程度の動きを可能にする結合位置において緩さ又は摩耗を有してもよい。更に、固定して結合される物体は、物体間の動きの程度を、物体内部又は物体間の適合性の結果として経験することができる。更に、固定して結合される2つの物体は、直接接触していなくてもよく、逆に2つの物体間で固定して結合される他の構成要素を有してもよい。
【0140】
したがって、各図に示された様々な概略図は、各要素及び各構成要素の例示的な配置を描いているが、介在する追加の要素、装置、特徴、又は構成要素は、実際の実施形態の中に存在してもよい(図示してある回路の機能性が不利に影響されないことを前提として)。
【0141】
情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体を通じて参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光場若しくは光学粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって表すことができる。
【0142】
本明細書に記載された機能は、異なる材料、特徴、形状、サイズなどを使って様々な方法で実施され得る。他の例及び実施態様は、本開示及び添付の請求項の範囲内にある。また、機能を実施する特徴は、様々な位置において物理的に配置されてもよく、機能の一部が物理的に異なる配置において実施されるように分散されることも含む。また、特許請求の範囲も含めて本明細書で使用されるとき、項目の列挙(例えば、「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1つ又は複数」などの熟語によって前置きされる項目の列挙)で使用されるときの「又は」は、離接的な列挙を示し、その結果、例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」とは、A若しくはB若しくはC、又はAB若しくはAC若しくはBC、又はABC(すなわち、AかつBかつC)を意味する。
【0143】
本開示の以前の説明は、当業者が本開示を作製又は使用することができるように提供されている。本開示に対する様々な修正が、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に定義された包括的な原理が、本開示の範囲から逸脱することなく他のバリエーションに適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載された例及び設計に限定されるべきではなく、本明細書に開示された原理及び新規の特徴に合致する最も広い範囲に与えられるべきものである。