(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】作業補助ミトン
(51)【国際特許分類】
A41D 13/08 20060101AFI20240104BHJP
A41D 19/015 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A41D13/08 102
A41D19/015 210Z
(21)【出願番号】P 2023122164
(22)【出願日】2023-07-27
【審査請求日】2023-07-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519277405
【氏名又は名称】倉田 純生
(72)【発明者】
【氏名】倉田 純生
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-112441(JP,A)
【文献】特開2016-065336(JP,A)
【文献】米国特許第05725268(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/08
A41D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔らかく弾性が有る材質製で、中央部の厚みは薄く両端に向かって厚みが増した対称の向い合う傾斜面を把持面とした構造で、中央部から折り曲げて物を掴む補助具で、手のひらの内側に嵩上げして装着し、手の中手指節関節を使って中央部から折り曲げて掴
み、手のひらに接触する装着面の形状は手根部で位置が決まるよう、母指球と小指球部を逃がした形状を特徴とし、指側に接触する装着面の形状は中指の先端が掛かって示指と環指で支えて固定できるよう、示指側と環指側の指先部を逃がした形状を特徴とするミトン。
【請求項2】
把持部が密着するよう、向い合う前記傾斜面の中間には折り曲げ動作にて膨らんだ部分を逃がす空間として溝を備え、更に掴む物を固定するため前記傾斜面の内部に複数の空洞を備え、物が押し付けられると前記空洞は変形し前記傾斜面が倣う特徴を持った請求項1に記載のミトン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加齢や病気などで手指関節の可動域が狭くなり、指を使った動作や作業が困難となった人に対して、補助や支援を受けずに生活を送るために連続した作業を可能とする補助具としてのミトンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業ごとに専用の補助具は有るが、一連の作業に於いて作業が変わる度に補助具を交換する必要が有り、補助や支援を受けて着け替えしている。
【0003】
先行技術では、握る力を伝達する機構を備える専用の補助具や、手に覆いかぶせて使用する専用のミトン、また不足する機能を補う目的の道具も有る。
【0004】
つまり、作業毎に専用の補助具を準備して、着け替えを行いながら作業はできるが、着け替えには時間がかかり、また、自ら着け替えが困難な補助具については補助や支援を受ける必要が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-085487号公報
【文献】特開2006-280885号公報
【文献】特開2012-180107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、日常にある道具を使って、持ち替えを行いながら連続した作業を行うことを可能とするミトンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のミトンは、手のひら内側に納まる大きさで、指に代わって摘まむ動作や手に代わって掴む動作の作業を可能とし、日常にある一般的な道具や用具を使って、自ら持ち替えながら連続した作業を行うことを可能にする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るミトンは、柔らかく弾性のある材料製の補助具で、物を掴む二山形状をした把持部を備え、把持部の中央でキャップや蓋を押えて固定した後、ボトルや瓶を回すと締め緩めができ、続いて二山形状の把持部を使ってキャップや蓋を掴んで持上げ着脱作業まで連続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】手に装着したミトンの把持面を閉じた状態の正面図
【
図2】手に装着したミトンの把持面を閉じた状態の側面図
【
図3】手に装着したミトンの把持面を開いた状態の正面図
【
図4】手に装着したミトンの把持面を開いた状態の側面図
【
図8】ミトンを使って食事道具を持った姿勢の状態図
【
図9】ミトンを使って筆記用具を持った姿勢の状態図
【
図10】ミトンを使ってキャップを締め緩めする姿勢の状態図
【
図11】ミトンを使ってキャップを掴み脱着する姿勢の状態の図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態についての添付図面を基に説明する。
【0011】
図1はミトン(1)を手に装着して把持面(3)を閉じた状態の正面図で、
図2は
図1を把持面側から視た側面図、
図3はミトン(1)を手に装着して把持面(3)を開いた状態の正面図で、
図4は
図3を把持面側から視た側面図。
【0012】
図5はミトン(1)の正面図で、
図6は
図5を装着面側から視た側面図で、
図7は
図5を把持面側から視た側面図。
【0013】
本発明のミトン(1)は、手のひら内側に納まる大きさで、フッ素樹脂などのゴムやウレタン樹脂などの発泡した素材など、柔らかく弾性が有る樹脂系材質製で造った補助具で、手のひらの内側を嵩上げして中央部から二つ折りに曲げ指の動作少なく物を挟んで掴むことの出来る補助具。
【0014】
更に、ミトン(1)が掴む動作は、装着した手の中手指節関節を曲げて行い、折り曲げる中央の厚みが最も薄く両端に向かって厚みが増した対称の向い合う傾斜面が二山形状をした把持部を備えた補助具。
【0015】
更に、手のひら側に接触するミトン(1)の装着面(2)は、手根部逃がし面(6)で位置決めできるよう母指球逃がし面(7)と小指球部逃がし面(8)を斜めに逃がし削った立体形状を持つ補助具。
【0016】
更に、指側に接触するミトン(1)の装着面(2)は、指先引っ掛け面(9)で中指の先端が掛かり示指と環指の先端で押えて位置決めし固定できるよう示指側部逃がし面(10)と環指側部逃がし面(11)を斜めに逃がし削った立体形状を持つ補助具。
【0017】
更に、手根部逃がし面(6)と、指先引っ掛け面(9)の形状を折り曲げ位置を基準として対称とし、更に、手のひら側の装着具(4)と指側の装着具(4)の形状も折り曲げ位置を基準として対称にすることで、装着する挿入の方向性が無くなり、左手用と右手用も兼用とできる補助具。
【0018】
更に、ミトン(1)を折り曲げ動作させた時に把持面(3)どうしが密着するよう、把持面(3)の中央には曲げ動作に依って膨らみ変形した部分を逃がす空間として、把持部逃がし溝(5)を備えた補助具。
【0019】
更に、物を確実に固定し把持できるよう、把持面(3)の内部には複数の小さな空洞を備え、物を掴んで把持面(3)に当てると空洞が変形して把持面(3)は物の形状に倣う二山形状をした把持部の補助具。
【0020】
更に、ミトン(1)を外した場合の保管用として、把持部の形状と対になる山形状をした三角柱を横に寝かした置台を準備し、ミトン(1)の把持部を合わせて置くと装着面(2)は水平姿勢で位置決めされ、輪形状をした装着具(4)への抜き差し動作が容易にできる補助具。
【実施例】
【0021】
一実施形態におけるミトン(1)の使い方と機能について説明する。
【0022】
図8は、ミトン(1)を使って食事道具を親指側方向の内向きに持った姿勢の図で、食事にあたっては、主に自分自身に向けての姿勢の動作となり、スプーン(21)やフォーク、ナイフなどの機能部を親指側へ向けた姿勢で握り、料理に合った道具へ持ち替えながら楽しく食事をとることができる。
【0023】
図9は、ミトン(1)を使って筆記用具を小指側方向の外向きに持った姿勢の図で、事務にあたっては、主に事務用品に向けての姿勢の動作となり、ボールペン(22)や修正液、鉛筆や消しゴムなどの機能部を小指側へ向けた姿勢で握り、必要となる用具に持ち替えながら負担少なく作業を続けることができる。
【0024】
図10は、ミトン(1)を使ってキャップ(23)を締め緩めする状態の図、
図11は、キャップ(23)を掴んで持上げ脱着する状態の図で、ミトン(1)の二山形状をした把持部の中央でキャップ(23)を上から押え固定させた後、ボトル(24)を回転させて締め緩めが行え、引き続きキャップ(23)をミトン(1)の把持面(3)で挟み掴んで持上げ着脱まで行うことができる。
【0025】
人が行う行為は、道具を自分自身に向けて使う姿勢と、道具を対象物に向けて使う姿勢が有り、道具を持つ姿勢に自由度が有れば様々な動作に対応することができ、更に日常にある一般的な道具や用具を使って、持ち替えながら動作を組合せ連続した作業を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のミトンを使用することで、指先を使う動作が困難となって離職した人が事務作業や軽作業を行うことを可能とし、身体に負担の少ない業務への就労機会が増えて、社会問題となっている労働力不足に貢献できる。
【符号の説明】
【0027】
1 ミトン
2 装着面
3 把持面
4 装着具
5 把持部逃がし溝
6 手根部逃がし面
7 母指球部逃がし面
8 小指球部逃がし面
9 指先引っ掛け面
10 示指側部逃がし面
11 環指側部逃がし面
21 スプーン
22 ペン
23 キャップ
24 ボトル
【要約】
【課題】
加齢や病気などで、手指関節の可動域が狭くなり指を使った作業が困難となった人が支援や補助を受けずに、自力で日常生活を送るために連続した動作や作業を可能とする補助具である。
【解決手段】
柔らかく弾性のある材質製の手のひら内側に納まる大きさのミトン(1)で、指に代わって摘まむ動作や、一般的な道具を使って持ち替えながら連続した作業を可能とし、把持面(3)の中央でキャップ(23)を押えて固定し、次にボトル(24)を回して締め緩めを行い、引き続き把持面(3)でキャップ(23)を掴み着脱ができるミトン。
【選択図】
図10