(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】サーボアンプ装置、および多軸サーボ制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 5/74 20060101AFI20240104BHJP
H02P 25/16 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H02P5/74
H02P25/16
(21)【出願番号】P 2021515866
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(86)【国際出願番号】 JP2020011110
(87)【国際公開番号】W WO2020217765
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】P 2019083528
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】下垣 勇介
(72)【発明者】
【氏名】塚田 彰太
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-183711(JP,A)
【文献】特開平8-205556(JP,A)
【文献】実開平6-57093(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/74
H02P 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御し駆動する制御駆動回路を内蔵するサーボアンプ装置であって、
前記制御駆動回路を収納する筐体と、
前記筐体を設置部材に取り付けるための取付部と、
直流電源ラインに接続されて、直流電力が供給される直流電源接続部と、
外部のコントローラと接続されて、通信信号が供給される通信用コネクタと、
前記モータを駆動する駆動線が接続されるモータ駆動用コネクタと、
表示部材を配置した表示部とを備え、
前記筐体は、
面積が最も大きくかつ互いに対面する一対の第1の面を有した箱型の形状を成し、
前記第1の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第2の面に、前記通信用コネクタと前記モータ駆動用コネクタとが配置され、
前記第1の面および前記第2の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第3の面において、前記第3の面の一方を背面として、前記背面の側に、前記取付部が配置され、
前記第3の面の他方を前面として、前記前面に、前記表示部と前記直流電源接続部とが配置されているサーボアンプ装置。
【請求項2】
前記直流電源ラインは、金属板を利用したバスバーであり、
前記直流電源接続部は、前記バスバーの前記金属板を接続するように構成されたバスバーコネクタである請求項1に記載のサーボアンプ装置。
【請求項3】
前記直流電源接続部は、前記筐体の前面において、前記表示部よりも中心側に配置されている請求項1に記載のサーボアンプ装置。
【請求項4】
前記通信用コネクタは、前記一対の第2の面の一方の面に配置され、前記モータ駆動用コネクタは、前記一対の第2の面の他方の面に配置されている請求項1に記載のサーボアンプ装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記筐体の前面において、前記モータ駆動用コネクタよりも前記通信用コネクタに近い側に配置されている請求項1に記載のサーボアンプ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のサーボアンプ装置を複数台備え、複数台の前記モータを制御し駆動する多軸サーボ制御装置であって、
前記直流電力を出力する直流電源出力部を有し、前記直流電源出力部からそれぞれの前記サーボアンプ装置に直流電力を供給する電源装置と、
前記電源装置と複数台の前記サーボアンプ装置とを取り付ける前記設置部材である設置盤と、
前記サーボアンプ装置それぞれの前記直流電源接続部を接続する前記直流電源ラインとを備え、
前記複数台のサーボアンプ装置は、前記第1の面に対する法線方向に並べて配置されるとともに、前記筐体の前記背面の側に設けられた前記取付部を介して前記設置盤に取り付けられている多軸サーボ制御装置。
【請求項7】
前記直流電源ラインとして金属板を利用した複数の分割バスバーを有し、
互いに隣接する前記サーボアンプ装置が備えるそれぞれの前記直流電源接続部どうしは、前記分割バスバーで接続した請求項6に記載の多軸サーボ制御装置。
【請求項8】
前記電源装置は、
商用電源が供給され、直流電力を生成する電源回路を収納する電源筐体と、
前記電源筐体を前記設置盤に取り付けるための電源取付部と、
前記直流電力を出力する直流電源出力部とを備え、
前記電源筐体は、面積が最も大きくかつ互いに対面する一対の第1の面を有した箱型の形状を成し、
前記電源装置の前記電源筐体の前記第1の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第2の面に、前記商用電源が供給される商用電源入力線が配置され、
前記電源装置の前記電源筐体の前記第1の面および前記電源装置の前記電源筐体の前記第2の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第3の面において、前記電源装置の前記電源筐体の前記第3の面の一方を背面として、前記電源装置の前記電源筐体の前記背面の側に、前記電源取付部を配置し、
前記電源装置の前記電源筐体の前記第3の面の他方を前面として、前記電源装置の前記電源筐体の前記前面に、前記直流電源出力部を配置した請求項6に記載の多軸サーボ制御装置。
【請求項9】
前記電源装置と前記複数台のサーボアンプ装置とは、前記サーボアンプ装置の前記筐体の前記第1の面に対する法線方向に並べて配置されるとともに、前記サーボアンプ装置の前記筐体の前記背面の側に設けられた前記取付部を介して前記設置盤に取り付けられている請求項8に記載の多軸サーボ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータを制御し駆動するサーボアンプ装置、およびこのサーボアンプ装置を複数台備え、複数台のサーボモータを制御し駆動する多軸サーボ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用のサーボモータの用途のひとつとして、複数軸で構成されたアームを有する加工機などがある。このような多軸を制御する加工機では、通常、サーボモータを制御し駆動するサーボアンプ装置(以下、適宜、単にサーボアンプと呼ぶ)も軸数に合わせて複数台が必要となる。このため、軸数が多くなると、サーボアンプ群が大きくスペースを占めることになる。さらに、サーボモータと接続する配線やサーボアンプ制御用の配線なども増加する。このため、配線の処理が複雑になり、接続ミスなども生じやすくなる。そこで、従来、配線の簡素化による作業性の向上などを目的とした多軸サーボドライブ装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
従来の多軸サーボドライブ装置は、直流電力を出力するコンバータユニットとサーボモータを駆動する複数のサーボアンプユニットとを備えている。各ユニットはそれぞれ、例えば直流電力供給用またはモータ動力線用として、ケーブル接続が可能な配線用のコネクタを有している。さらに、従来の多軸サーボドライブ装置は、回路基板を有するマウントベースを備えている。この回路基板には、各ユニットのコネクタに合わせた受側コネクタが配置されるとともに、予め配線処理も施されている。ユニットごとのそれぞれのコネクタが、マウントベースの受側コネクタに嵌合接続するように配置されることで、従来の多軸サーボドライブ装置が構成されている。
【0004】
しかしながら、従来の多軸サーボドライブ装置の場合、各ユニットを保持するためには、各ユニットを棚枠内に収納するようなラック構造のマウントベースが必要となる。このため、棚枠内に収納するユニット数が制限され、大幅なユニット増設には不向きである。
【0005】
さらに、従来の多軸サーボドライブ装置は、ラック構造に加えて配線用の回路基板の配設も必要となる。このため、各ユニットを保持する構成としては、この装置専用となるマウントベースが必要である。したがって、柔軟に構成を変更するには不向きであるとともに、コスト的にも高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明は、簡易な構成で多軸を成す複数のサーボモータについてサーボ制御する多軸サーボ制御装置を実現できるとともに、配線のしやすさを考慮した構成とする。これにより、本発明は、作業性の向上も図ったサーボアンプ装置、および多軸サーボ制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のサーボアンプ装置は、モータを制御し駆動する制御駆動回路を内蔵するサーボアンプ装置であって、制御駆動回路を収納する筐体と、筐体を設置部材に取り付けるための取付部と、直流電源ラインに接続されて、直流電力が供給される直流電源接続部と、外部のコントローラと接続されて、通信信号が供給される通信用コネクタと、モータを駆動する駆動線が接続されるモータ駆動用コネクタと、表示部材を配置した表示部とを備えている。筐体は、面積が最も大きくかつ互いに対面する一対の第1の面を有した箱型の形状を成している。第1の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第2の面に、通信用コネクタとモータ駆動用コネクタとが配置される。第1の面および第2の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第3の面において、第3の面の一方を背面として、背面の側に、取付部が配置され、第3の面の他方を前面として、前面に、表示部と直流電源接続部とが配置されている。
【0009】
この構成により、本サーボアンプ装置は背面側でのみ取り付ければよいため、ラック構造のような専用の設置部材などは必要ない。例えば、壁または安価な板状の設置部材にも取付部を利用して簡易に筐体を取り付けることができる。さらに、設置部材などに設置する場合には、このサーボアンプ装置の個数についても制約を受けない。しかも、コネクタまたは接続部を機能別に筐体の各面に振り分けた構成としているため、配線のしやすさとともに作業性の向上も図ることができる。
【0010】
また、直流電源ラインは、金属板を利用したバスバーであり、直流電源接続部は、バスバーの金属板を接続するように構成されたバスバーコネクタであることが好ましい。
【0011】
また、直流電源接続部は、筐体の前面において、表示部よりも中心側に配置されていることが好ましい。
【0012】
また、通信用コネクタは、一対の第2の面の一方の面に配置され、モータ駆動用コネクタは、一対の第2の面の他方の面に配置されていることが好ましい。
【0013】
また、表示部は、筐体の前面において、モータ駆動用コネクタよりも通信用コネクタに近い側に配置されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の多軸サーボ制御装置は、上記サーボアンプ装置を複数台備え、複数台のモータを制御し駆動する多軸サーボ制御装置である。本多軸サーボ制御装置は、直流電力を出力する直流電源出力部を有し、直流電源出力部からそれぞれのサーボアンプ装置に直流電力を供給する電源装置と、電源装置と複数台のサーボアンプ装置とを取り付ける設置部材である設置盤と、サーボアンプ装置それぞれの直流電源接続部を接続する直流電源ラインとを備える。複数台のサーボアンプ装置は、第1の面に対する法線方向に並べて配置されるとともに、筐体の背面の側に設けられた取付部を介して設置盤に取り付けられている。
【0015】
このような構成により、各サーボアンプ装置の固定は、設置盤のような簡易な構成の設置部材への取り付けのみでよい。このため、サーボアンプ装置の増設、または、設置盤上でのサーボアンプ装置の配置構成の変更なども容易に実施できる。さらに、サーボアンプ装置において、機能別に振り分けてコネクタまたは接続部が筐体の各面に配置されている。このため、横方向に並ぶサーボアンプ装置の上部の空間または下部の空間を利用して、配線処理も機能別に行うことができる。このため、配線がしやすくなり、作業ミスなども抑制できる。
【0016】
また、直流電源ラインとして金属板を利用した複数の分割バスバーを有し、互いに隣接するサーボアンプ装置が備えるそれぞれの直流電源接続部どうしは、分割バスバーで接続することが好ましい。
【0017】
また、本発明の電源装置は、商用電源が供給され、直流電力を生成する電源回路を収納する電源筐体と、電源筐体を設置盤に取り付けるための電源取付部と、直流電力を出力する直流電源出力部とを備える。電源筐体は、面積が最も大きくかつ互いに対面する一対の第1の面を有した箱型の形状を成し、第1の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第2の面に、商用電源が供給される商用電源入力線が配置され、第1の面および第2の面に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第3の面において、第3の面の一方を背面として、背面の側に、電源取付部を配置し、第3の面の他方を前面として、前面に、直流電源出力部を配置する。
【0018】
また、電源装置と複数台のサーボアンプ装置とは、サーボアンプ装置の筐体の第1の面に対する法線方向に並べて配置されるとともに、サーボアンプ装置の筐体の背面の側に設けられた取付部を介して設置盤に取り付けられていることが好ましい。
【0019】
このように、本発明によれば、簡易な構成で多軸を成す複数のサーボモータについてサーボ制御する多軸サーボ制御装置を実現できる。また、配線のしやすさを考慮した構成による作業性の向上も図ったサーボアンプ装置、および多軸サーボ制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態におけるサーボアンプ装置を複数台備えた多軸サーボ制御装置を含む多軸サーボ制御システムの構成図
【
図4】本発明の実施の形態における電源装置と複数台のサーボアンプ装置とを幅方向に並べて配置した構成図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【0022】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態におけるサーボアンプ装置10を複数台備えた多軸サーボ制御装置100を含むサーボシステム200の構成図である。
【0023】
図1に示すように、サーボシステム200は、多軸サーボ制御装置100と、多軸サーボ制御装置100によって制御され駆動される複数台のサーボモータ(以下、適宜、単にモータと呼ぶ)80と、各サーボアンプ装置10を制御する上位コントローラ71とを含む構成である。
図1では、サーボアンプ装置10とモータ80とを1つのペアとして3台分を装備した、3軸のサーボシステム200の構成例を示している。
【0024】
サーボシステム200における多軸サーボ制御装置100は、3台のサーボアンプ装置10と、各サーボアンプ装置10に直流電力を供給する電源装置50と、各サーボアンプ装置10および電源装置50が設置される設置盤60とを含む。
【0025】
サーボシステム200において、まず、多軸サーボ制御装置100によって制御し駆動されるモータ80としては、サーボモータの他、例えばブラシレスモータが好適である。すなわち、モータ80の構成例としては、
図1においてモータ80の1つを用いて示すように、ブラシレスモータが挙げられる。ブラシレスモータは、モータ筐体81内において、モータ筐体81に固定されるステータ83と、ステータ83の内周側に配置されるロータ84と、ロータ84を支持する軸受85とを収納している。ここで、ステータ83は、ステータコアにU相、V相、W相とする3相の巻線を巻回して形成される。ロータ84は、ロータコアに永久磁石を保持して回転軸82を中心に回転する。モータ80の巻線に対して、サーボアンプ装置10から、その制御に応じた駆動波形の駆動電圧を印加することで、回転軸82が回転する。これにより、モータ80によって、例えば回転軸82に接続された負荷が回転される。
【0026】
本実施の形態では、このように回転制御するための駆動電圧は、サーボアンプ装置10からモータ80に対し、駆動線87を介して供給される。モータ80は、ロータ84の回転位置を検出するためのエンコーダ86を備えている。エンコーダ86からの信号がエンコーダ線88を介してサーボアンプ装置10に供給される。
【0027】
一方、サーボアンプ装置10は、モータ80を制御し駆動するための制御駆動回路を内蔵している。この制御駆動回路に電源を供給するため、多軸サーボ制御装置100は、サーボアンプ装置10それぞれに直流電力を供給するための電源装置50を備えている。電源装置50は、商用電源入力線79を介して、商用電源である交流電源78に接続されている。電源装置50は、交流電源78から供給される交流電力を直流電力に変換して、それぞれのサーボアンプ装置10にこの直流電力を供給する。電源装置50は、このような直流電力変換回路を、箱型の形状の電源筐体51内に収納している。サーボアンプ装置10も同様に、制御駆動回路を箱型の形状の筐体であるアンプ筐体11内に収納している。サーボアンプ装置10は、電源装置50から供給された直流電力を利用して、制御駆動回路に電気的な動作をさせるとともに、モータ80を駆動するための駆動電圧を生成する。
【0028】
本実施の形態は、このように直流電力を供給する直流電源ラインを構成するために、いわゆるバスバーを利用して電力供給することを特徴としている。バスバーは、大容量の電流を導電するために利用される部材であり、その導電部が銅やアルミニウムなどの金属で形成される導体板または導体棒で構成されている。具体的には、バスバーは、
図1に示すように、電源装置50および各サーボアンプ装置10の前面の中央部において、ジャンパ線のように装置間を跨いで接続する分割バスバー55を利用して、電源接続を行っている。なお、分割バスバー55を利用した電源接続については、追って、さらに詳細に説明する。
【0029】
各サーボアンプ装置10は、各サーボアンプ装置10に内蔵される制御駆動回路を制御するため、上位コントローラ71と接続されている。
図1では、上位コントローラ71と各サーボアンプ装置10とが、通信線72を介して通信されている。なお、本実施の形態では、通信線72を用いた有線により通信した例を挙げているが、無線により通信される構成としてもよい。
【0030】
上位コントローラ71の具体的な例としては、例えばパラメータ設定などの場合にはパーソナルコンピュータ、回転位置または速度などを指示する動作指令を与える場合にはPLC(Programable Logic controler)またはモーションコントローラが利用できる。また、この通信における具体的な通信手法としては、例えば、RS232C/485などのシリアル通信規格、USB(Universal Serial Bus)規格に対応したデータ通信、あるいはFAネットワーク専用の通信仕様であるRTEX(Realtime Express)またはEtherCAT(登録商標)通信なども好適である。上位コントローラ71と各サーボアンプ装置10とのこのような接続により、上位コントローラ71は、モータ80が所望の動作をするように、各サーボアンプ装置10に対しての動作指令などを含めた各種情報を送出するとともに、各サーボアンプ装置10から各種情報を受信する。例えば、サーボアンプ装置10によってモータ80が有するロータ84の位置を制御する場合には、目標とする位置指令を、ロータ84の速度を制御する場合には、目標とする速度指令を、上位コントローラ71がそれぞれ通知する。
【0031】
それぞれのサーボアンプ装置10は、上位コントローラ71からの動作指令に基づいてモータ80の動き動作を制御し駆動する。このため、サーボアンプ装置10は、主な回路構成として、制御部および駆動部を備えている。この制御部による主な動作としては、次のようなフィードバック制御の機能がある。すなわち、制御部に対して、上述の上位コントローラ71からは通信線72を介して動作指令を示す指令信号、また、モータ80のエンコーダ86からはエンコーダ線88を介して、エンコーダ86が検出した位置または速度を示す検出信号が供給される。制御部は、例えばフィードバック制御に基づき、この指令信号と検出信号とを利用して制御信号を生成し、モータ80の動き位置または速度が動作指令に追従するように、モータ80の動作を制御する。制御部は、具体的には、例えばCPU(Central Processing Unit)またはプログラムを記憶したメモリを内蔵したマイクロコンピュータが好適である。駆動部としては、いわゆるインバータを備えている。インバータは、スイッチング素子およびダイオードなどの電力変換素子で構成される。インバータは、これらの素子を用いて、制御信号に応じた駆動波形の駆動電圧を生成する。この駆動電圧は、駆動線87を介してモータ80の巻線に供給される。これによって、モータ80の巻線が通電され、モータ80内のロータ84およびその回転軸82が回転する。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態におけるサーボアンプ装置10の外観図である。
【0033】
図1および
図2を参照しながら、サーボアンプ装置10の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、サーボアンプ装置10は、外観が薄い箱型の形状を成している。すなわち、それぞれ一対となる第1の面、第2の面および第3の面を有した直方体形状のアンプ筐体11によって、サーボアンプ装置10の外観の基礎部を成している。一対の第1の面を、
図1のように、面積が最も大きい側面111としている。この第1の面である側面111に対して垂直となる一対の第2の面を、
図1のように、上面114tおよび下面114bとしている。第1の面および第2の面に対して垂直となる一対の第3の面を、
図1のように、前面112および背面113としている。
【0034】
以下、一対の側面111どうしが対面する方向を幅方向、上面114tと下面114bとが対面する方向を高さ方向、前面112と背面113とが対面する方向を奥行方向として説明する。特に、便宜上、
図2に示す高さ方向において、上面114t側を上側、下面114b側を下側として説明する。同様に、奥行方向において、前面112側を前側、背面113側を後側として説明する。これより、サーボアンプ装置10は、
図2のように、高さ方向と奥行方向との長さは同程度であるとともに、幅方向はそれら高さおよび奥行方向に比べて薄い箱型の形状となっている。
【0035】
次に、サーボアンプ装置10の外形を形成する各面での詳細な構成について説明する。
【0036】
図1で示すように、多軸サーボ制御装置100の基本構成としては、各サーボアンプ装置10の側面111に対して垂直となる幅方向に、電源装置50および各サーボアンプ装置10を並べた配置としている。言い換えれば、3台のサーボアンプ装置10は、第1の面である側面111に対する法線方向に並べて配置されている。このため、
図2に示すように、サーボアンプ装置10において、両側面111には、基本的には、側板を固定するためのビスのような固定用部材を除いて、部材を配置しない構成としている。両側面111は、突出部のないフラットな面となっている。
【0037】
多軸サーボ制御装置100では、サーボアンプ装置10の背面113においての固定を基本としている。このため、背面113の側には、サーボアンプ装置10自体を設置盤60に固定するための取付部33を設けている。設置盤60は、サーボアンプ装置10を設置するための設置部材として、
図1に示すように、設置箇所に配置するときの土台となる基部61と、基部61から高さ方向に延びて板状に広がる取付板62とで構成されている。設置盤60に対して、サーボアンプ装置10の背面113を固定するため、背面113での面においては、側面111と同様に、部材を配置しない構成としている。取付部33は、
図2に示すように、背面113の側において、アンプ筐体11の背面113の面から高さ方向の上側に延びる小面積の板状の上部取付部33tと、高さ方向の下側に延びる板状の下部取付部33bとしている。上部取付部33tおよび下部取付部33bは、ビスまたはネジのような固定用部材を用いてサーボアンプ装置10自体を設置盤60に固定するために、それぞれ取付用穴34t、34bを有している。このような構成に基づき、サーボアンプ装置10の背面113の面を、取付板62の所定の位置で取付板62の面に合わせ、取付用穴34t、34bそれぞれに、ビス等を挿入して、ビス固定する。これにより、設置盤60にサーボアンプ装置10が1台分固定される。
図1では、取付用穴34tを介してビス35tを、取付用穴34bを介してビス35bを取付板62にねじ込み、サーボアンプ装置10自体を設置盤60に固定する。また、取付板62において、取付用穴34t、34bのそれぞれの箇所に対応する位置に、あらかじめネジ穴を形成しておくことで、サーボアンプ装置10を設置盤60に着脱する作業が容易となる。さらに、このようなネジ穴を取付板62の横方向(幅方向)に複数形成しておくことで、サーボアンプ装置10の増設なども容易となる。
【0038】
図2に示すように、サーボアンプ装置10において、アンプ筐体11の上面114tには、通信用コネクタ41を配置している。通信用コネクタ41は、通信線72を接続するためのコネクタである。通信用コネクタ41は、通信線72およびこの通信用コネクタ41を介して、上位コントローラ71からサーボアンプ装置10に通信信号が供給される。
図2では、各通信タイプまたは仕様に合わせた複数種類の通信用コネクタ41を、上面114tに配置した例を示している。アンプ筐体11の上面114tには、I/O(入/出力)コネクタ41aを配置している。I/Oコネクタ41aは、例えば、多軸サーボ制御装置が制御する加工機に搭載された、各種スイッチまたはセンサからの入力信号またはリレーなどを駆動する出力信号などの入出力に利用される。さらに、
図2に示すように、アンプ筐体11の上面114tには、放熱用として放熱孔42などが形成されている。
【0039】
サーボアンプ装置10において、アンプ筐体11の下面114bには、モータ駆動用コネクタ45およびエンコーダ用コネクタ46を配置している。モータ駆動用コネクタ45は、駆動線87を接続するためのコネクタである。モータ駆動用コネクタ45および駆動線87を介して、サーボアンプ装置10からモータ80に駆動電圧が供給される。エンコーダ用コネクタ46は、エンコーダ線88を接続するためのコネクタである。エンコーダ線88およびエンコーダ用コネクタ46を介して、モータ80からサーボアンプ装置10には、検出位置などを示す検出信号が供給される。
【0040】
このように、本実施の形態では、接続を行うためコネクタの配置箇所を、サーボアンプ装置10の上面114tの側と下面114bの側とで機能別に分けて配置している。これより、
図1からも分かるように、通信線72など上位コントローラ71との接続の配線には、設置盤60に設置された各サーボアンプ装置10に対して、上面114tの側の空きスペースを利用できる。駆動線87またはエンコーダ線88などとモータ80との接続の配線には、下面114bの側の空きスペースを利用できる。このように、本実施の形態では、コネクタの配置およびこの配置に伴う配線処理のスペースについては、サーボアンプ装置10の上面114tの側と下面114bの側とで機能別に分けている。これによって、配線のしやすさを図るとともに、線処理における作業性の向上も図っている。
【0041】
図3は、サーボアンプ装置10の前面112を示す正面図である。
図1、
図2および
図3を参照しながら、サーボアンプ装置10のアンプ筐体11を成す前面112の構成について説明する。
図1~
図3に示すように、アンプ筐体11の前面112については、高さ方向において上面114tの側より下面114bの側へと、前面上部112t、前面中部112cおよび前面下部112bに分割している。概略、前面112には、表示部材により簡易に情報を表示する表示部と、直流電源を接続するための直流電源接続部とを配置している。前面上部112tについては、表示部を含むインタフェースエリアとしている。表示部よりも中心側となる前面中部112cを直流電源接続部である電源分配用のエリアとしている。
【0042】
前面下部112bでは、その下部の箇所において、アースに接続するためのアース端子29を設けている。前面下部112bでは、アース端子29を除いて、その表面をフラット状としている。
【0043】
前面上部112tにおいて、表示部材としての7セグメント表示器23dを配置し、表示部を構成している。
図1~
図3では、7セグメント表示器23dを2個配置した例を示している。
【0044】
前面上部112tのより具体的な構成を示す。前面上部112tは、透明かつ縦開き式の扉である上扉21を有している。閉じた上扉21に対して奥行方向の本体側を、簡易インタフェース用の部材などを配置した部材配置部22としている。部材配置部22には、7セグメント表示器23dを含む装置アドレス設定用およびユーザによる簡易操作用の部材を配置している。上扉21は、縦開き式に開閉可能な樹脂製の扉としている。上扉21は、横方向から見たときに上面114tの近辺を中心として上下に回転するように開閉できる。上扉21を開いた状態で、サーボアンプ装置10への簡単な操作が可能なように、部材配置部22には、操作部が取り付けられている。部材配置部22では、より具体的には、7セグメント表示器23dに加えて、ロータリ式スイッチ23sおよびUSBコネクタなどを装備している。上扉21を閉じた状態とすることで、前面上部112tはフラット状の面になるとともに、
図1や
図3に示すように、上扉21を介して、発光する7セグメント表示器23dの表示を見ることができる。
【0045】
前面中部112cにおいて、上述したように、装置間を接続する分割バスバー55を利用して、直流電力を供給するための直流電源ラインを構成し、各サーボアンプ装置10に対して電源供給を行っている。このため、サーボアンプ装置10では、前面中部112cを、次に説明する直流電源接続部25としている。つまり、直流電源接続部25には、分割バスバー55の金属板を接続するように構成されたバスバーコネクタを配置している。より具体的には、分割バスバー55を差込プラグ式としている。前面中部112cにおいて、バスバーコネクタとして、分割バスバー55が抜き差し可能なソケット部26をサーボアンプ装置10本体に設けている。ソケット部26に分割バスバー55を差し込むことで、電気接続が成される構成としている。
【0046】
より具体的な前面中部112cの構成は、以下のとおりである。すなわち、前面中部112cも、前面上部112tと同様に、縦開き式の扉である中扉24を有している。閉じた中扉24に対して奥行方向の本体側を直流電源接続部25としている。直流電源接続部25に、ソケット部26を配置している。中扉24も、縦開き式に開閉可能な扉としており、横方向から見たときに、前面中部112cの上側近辺を中心として上下に回転するように開閉できる。
【0047】
前面中部112cにおいて、分割バスバー55が抜き差しできる2つのソケット部26を配置している。
図1には、中扉24を閉じた状態で、サーボアンプ装置10を正面から見た図を示している。
図1中、ソケット部26に分割バスバー55が取り付けられた状態については破線で示している。
図2では、分割バスバー55が装着されていない状態を示している。
図3では、両ソケット部26の一方側のみに分割バスバー55を装着した状態を示している。以下、これらの図面を参照しながら、直流電源接続部25における詳細な構成について説明する。
【0048】
2つのソケット部26において、その一方は、高電圧の直流電源供給としている。一方のソケット部26は、例えば、交流の商用電源電圧を直流へと整流し、安定化させた百数十ボルトから数百ボルトの直流電圧の供給用である。この高電圧の直流電力は主に、サーボアンプ装置10の駆動部に供給され、モータ80の駆動用として用いられる。他方のソケット部26は、低電圧の直流電源供給としている。他方のソケット部26は、例えば、5ボルト以上30ボルト以下の直流電圧である。この低電圧の直流電力は主に、サーボアンプ装置10の制御部に供給され、モータ80の制御用として用いられる。
【0049】
ソケット部26は、供給する直流電圧での正極側の端子と負極側の端子との一対とともに、入力側の端子と出力側の端子とを備える。ソケット部26は、合計4つの端子を備える。
【0050】
具体的には、
図3に示すように、前面上部112tの側のソケット部26であるソケット部26Hを高電圧の直流電源用としており、前面下部112bの側のソケット部26であるソケット部26Lを低電圧の直流電源用としている。ソケット部26において、横方向の一方側の一対の端子を入力側の端子とし、横方向の他方側の一対の端子を出力側の端子としている。
図3では、分割バスバー55が接続されていない側の端子を入力側の端子、分割バスバー55が接続されている側の端子を出力側の端子としている。本構成により、ソケット部26Hにおいて、入力側で正極側の端子には、正極の高電圧DC+が供給され、入力側で負極側の端子には、負極の高電圧DC-が入力される。出力側で正極側の端子からは、正極の高電圧DC+が出力され、出力側で負極側の端子からは、負極の高電圧DC-が出力される。同様に、ソケット部26Lにおいては、入力側の端子には、正極の低電圧Vcc+と負極の低電圧Vcc-とが入力され、出力側の端子からは、正極の低電圧Vcc+と負極の低電圧Vcc-とが出力される。
【0051】
上述したように、本実施の形態では、ソケット部26に対して分割バスバー55が抜き差し可能な構成としている。この抜き差しを可能とするため、ソケット部26での4つの端子については、バネ性を有する2枚の金属板27bを対面接触させた構造をもつ刃受部27としている。
【0052】
ソケット部26に対応させるため、分割バスバー55は、金属板で形成される2つの金属バー55bと、2つの金属バー55bを2か所で保持するバー保持部55rとで構成されている。ここで、
図3に示すように、金属バー55bはそれぞれ、ソケット部26の正極側と負極側とに対応している。バー保持部55rはそれぞれ、ソケット部26の入力側と出力側とに対応している。金属バー55bは、それぞれの金属バー55bの両端近辺において、バー保持部55rとは反対の方向に金属バー55bから突出する突出刃(図示せず)を有している。すなわち、分割バスバー55の突出刃を、ソケット部26の刃受部27に差し込むことで、刃受部27の2枚の金属板27bが突出刃を挟持する。これによって、金属バー55bと刃受部27とが電気的に接続される。
【0053】
図3では、以上のような構成に基づき、ソケット部26の出力側に分割バスバー55を差し込んだ様子を示している。
図3に示すように、あるサーボアンプ装置10の出力側と、隣接するサーボアンプ装置10の入力側とを跨いで、分割バスバー55を接続する。これにより、隣り合うサーボアンプ装置10間で直流電源を供給している。すなわち、隣接する方向に、順次分割バスバー55を接続していくことで、各サーボアンプ装置10に直流電源を供給する直流電源ラインが構成できる。このように、本実施の形態では、電源供給に関してはバスバー形式としている。このため、線どうしが絡みつくなど配線処理における複雑さや作業性の悪さはなく、分割バスバー55を差し込むという簡単な操作で電源供給を行うことができる。分割バスバー55の差し込み完了後、中扉24を閉じておくことにより、感電を防ぐなど安全性も容易に確保できる。
【0054】
次に、以上のような構成のサーボアンプ装置10を複数台用いて構成される多軸サーボ制御装置100の詳細について説明する。
【0055】
概略は上記にて説明したとおりである。
図1に示すように、多軸サーボ制御装置100は、複数台のサーボアンプ装置10と、それぞれのサーボアンプ装置10に直流電力を供給する1台の電源装置50とを設置盤60に設置して構成される。また、電源装置50とサーボアンプ装置10との高さ方向を同じ寸法、かつ電源装置50とサーボアンプ装置10との奥行方向を同じ寸法とし、複数台のサーボアンプ装置10に対して電源装置50を幅方向の端部に配置した構成としている。
図4は、本発明の実施の形態における電源装置50と複数台のサーボアンプ装置10とを幅方向に並べて配置した構成図である。
【0056】
このような多軸サーボ制御装置100において、各サーボアンプ装置10の構成については上述したとおりである。電源装置50の構成について説明する。
【0057】
図4に示すように、各サーボアンプ装置10と並べて配置する電源装置50も、サーボアンプ装置10と同様に、外観が薄い箱型の形状を成している。すなわち、電源装置50は、それぞれ一対となる第1の面、第2の面および第3の面を有した直方体形状の電源筐体51によって、外観の基礎部を成している。電源筐体51内に、直流電力を生成する電源回路を収納している。そして、サーボアンプ装置10と同様に、一対の第1の面が面積の最も大きい側面であり、第2の面が上面および下面であり、第3の面が前面および背面である。
図4では、電源装置50を前面から見た状態を示している。
【0058】
電源装置50の両側面も、サーボアンプ装置10と同様に、基本的には、側板を固定するためのビス等の固定用部材を除いて、部材を配置しない構成としている。両側面は、突出部のないフラットな面となっている。サーボアンプ装置10と同様に、電源装置50の背面には、部材を配置しない構成とする。設置部材に取り付けるための電源取付部として、サーボアンプ装置10と同様に、上部取付部33tおよび下部取付部33bを含む取付部33を設けている。上部取付部33tや下部取付部33bは、それぞれ取付用穴34t、34bを有している。取付用穴34t、34bにビスを挿入して、ビス固定することで、設置盤60に電源装置50が固定される。電源装置50においては、その下面から、交流電源78に接続される商用電源入力線79が引き出されている。
【0059】
電源装置50の前面については、
図4に示すような構成としている。電源装置50の前面でも、サーボアンプ装置10と同様に、高さ方向において上面の側より下面の側に向かって、前面上部512t、前面中部512cおよび前面下部512bに分割されている。前面上部512t、前面中部512cおよび前面下部512bの高さ方向の寸法も、サーボアンプ装置10の前面上部112t、前面中部112cおよび前面下部112bに合わせている。
【0060】
電源装置50の前面下部512bでは、サーボアンプ装置10と同様に、前面下部512bの下部の箇所において、アース端子29を設けている。前面下部512bでは、アース端子29を除いて、その表面をフラット状としている。電源装置50については、前面上部512tには何も配置しない構成としており、前面上部512tの表面をフラット状としている。
【0061】
上記の説明からも分かるとおり、電源装置50の前面中部512cでは、分割バスバー55を利用した直流電源の電源供給を行っている。すなわち、
図1および
図4に示すように、電源装置50の前面中部512cおよび各サーボアンプ装置10の前面中部112cにおいて、幅方向に直流電源ラインを構成している。電源装置50から出力される直流電力が、このように構成された直流電源ラインを介して、それぞれのサーボアンプ装置10に供給される。
【0062】
より具体的な前面中部512cの構成は、つぎのとおりである。すなわち、電源装置50は、前面中部512cにおいて、縦開き式の扉である中扉524を有している。閉じた中扉524に対して奥行方向の本体側を直流電源出力部525とする。直流電源出力部525に、サーボアンプ装置10と同様に、2つのソケット部26を配置している。なお、
図4では、電源装置50は、直流電源出力部525が見えるように、中扉524が開いた状態を示している。電源装置50に隣接するサーボアンプ装置10は、中扉24が開いた状態を示しており、他の2台のサーボアンプ装置10については、中扉24が閉じられた状態を示している。
【0063】
電源装置50の2つのソケット部26において、その一方である上側は、高電圧の直流電源出力用であり、例えば、百数十ボルトから数百ボルトの直流電圧が出力される。その他方である下側のソケット部26は、低電圧の直流電源出力用であり、例えば、5ボルト以上30ボルト以下の直流電圧が出力される。このように、電源装置50の前面中部512cにおいて、ソケット部26を利用して直流電力を出力する直流電源出力部525を配置している。
【0064】
図4では、電源装置50およびサーボアンプ装置10のソケット部26に、分割バスバー55を差し込んだ様子を示している。ここで、電源装置50でのソケット部26については、電源出力用のみとした例を示しており、サーボアンプ装置10間の接続用の分割バスバー55cとは異なる形状の分割バスバー55pを例示している。以下、
図3に示した刃受部27の構成なども参照しながら説明する。分割バスバー55cでは、両側のバー保持部55rがそれぞれ2つの刃受部27に対応する。分割バスバー55pは、一方側のバー保持部55rが4つの刃受部27、他方側のバー保持部55rが2つの刃受部27に対応する。
図1および
図4で示すように、電源装置50からサーボアンプ装置10への接続については分割バスバー55pを利用し、サーボアンプ装置10間の接続については分割バスバー55cを利用して直流電源ラインを構成している。
【0065】
以上、本実施の形態に係る多軸サーボ制御装置100は、
図1に示すように、上述の電源装置50と複数台のサーボアンプ装置10とを、設置盤60の板面上に幅方向に並べて配置し、取付部33を利用したビス固定により取り付けた構成としている。多軸サーボ制御装置100は、このような簡易な構成のため、サーボアンプ装置10の増設、または、設置盤60上でのサーボアンプ装置10の配置構成の変更なども容易に実施できる。直流電源を供給する直流電源ラインについては、電源装置50の前面512と複数台のサーボアンプ装置10の前面112とにおいて構成する。上面114tには通信用コネクタ41を配置し、下面114bにはモータ駆動用コネクタ45およびエンコーダ用コネクタ46を配置している。このため、通信線72など上位コントローラ71との接続の配線には、各サーボアンプ装置10に対して、上面114tの側の空きスペースを利用できる。駆動線87またはエンコーダ線88などモータ80との接続の配線には、下面114bの側の空きスペースを利用できる。このように、本実施の形態によれば、配線処理を機能別に行うことができるため、配線がしやすくなり、作業ミスなども抑制できる。
【0066】
以上のように、本実施の形態のサーボアンプ装置10は、モータ80を制御し駆動する制御駆動回路を内蔵するサーボアンプ装置10であって、制御駆動回路を収納するアンプ筐体11に相当する筐体と、筐体を設置部材に取り付けるための取付部33と、直流電源ラインに接続されて、直流電力が供給される直流電源接続部25と、上位コントローラ71に相当する外部のコントローラと接続されて、通信信号が供給される通信用コネクタ41と、モータ80を駆動する駆動線が接続されるモータ駆動用コネクタ45と、表示部材を配置した表示部とを備えている。筐体は、面積が最も大きくかつ互いに対面する一対の第1の面111を有した箱型の形状を成している。第1の面111に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第2の面114b、114tに、通信用コネクタ41とモータ駆動用コネクタと45が配置される。第1の面111および第2の面114b、114tに対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第3の面112、113において、第3の面112、113の一方を背面113として、背面113の側に、取付部33が配置され、第3の面112、113の他方を前面112として、前面112に、表示部と直流電源接続部25とが配置されている。
【0067】
この構成により、本サーボアンプ装置10は背面113側でのみ取り付ければよいため、ラック構造のような専用の設置部材などは必要ない。例えば、壁または安価な板状の設置部材にも取付部33を利用して簡易に筐体を取り付けることができる。さらに、設置部材などに設置する場合には、このサーボアンプ装置10の個数についても制約を受けない。しかも、コネクタまたは接続部を機能別に筐体の各面に振り分けた構成としているため、配線のしやすさとともに作業性の向上も図ることができる。
【0068】
また、直流電源ラインは、金属板を利用したバスバーであり、直流電源接続部25は、バスバーの金属板を接続するように構成されたバスバーコネクタであることが好ましい。
【0069】
また、直流電源接続部25は、筐体の前面112において、表示部よりも中心側に配置されていることが好ましい。
【0070】
また、通信用コネクタ41は、一対の第2の面114b、114tの一方の面に配置され、モータ駆動用コネクタ45は、一対の第2の面114b、114tの他方の面に配置されていることが好ましい。
【0071】
また、表示部は、筐体の前面112において、モータ駆動用コネクタ45よりも通信用コネクタ41に近い側に配置されていることが好ましい。
【0072】
また、本実施の形態の多軸サーボ制御装置100は、上記サーボアンプ装置10を複数台備え、複数台のモータ80を制御し駆動する多軸サーボ制御装置100である。本多軸サーボ制御装置100は、直流電力を出力する直流電源出力部525を有し、直流電源出力部525からそれぞれのサーボアンプ装置10に直流電力を供給する電源装置50と、電源装置50と複数台のサーボアンプ装置10とを取り付ける設置部材である設置盤60と、サーボアンプ装置10それぞれの直流電源接続部25を接続する直流電源ラインとを備える。複数台のサーボアンプ装置10は、第1の面111に対する法線方向に並べて配置されるとともに、筐体の背面113の側に設けられた取付部33を介して設置盤60に取り付けられている。
【0073】
このような構成により、各サーボアンプ装置10の固定は、設置盤60のような簡易な構成の設置部材への取り付けのみでよい。このため、サーボアンプ装置10の増設、または、設置盤上でのサーボアンプ装置10の配置構成の変更なども容易に実施できる。さらに、サーボアンプ装置10において、機能別に振り分けてコネクタまたは接続部が筐体の各面に配置されている。このため、横方向に並ぶサーボアンプ装置10の上部の空間または下部の空間を利用して、配線処理も機能別に行うことができる。このため、配線がしやすくなり、作業ミスなども抑制できる。
【0074】
また、直流電源ラインとして金属板を利用した複数の分割バスバー55を有し、互いに隣接するサーボアンプ装置10が備えるそれぞれの直流電源接続部25どうしは、分割バスバー55で接続することが好ましい。
【0075】
また、本実施の形態の電源装置50は、商用電源が供給され、直流電力を生成する電源回路を収納する電源筐体51と、電源筐体51を設置盤60に取り付けるための取付部33に相当する電源取付部と、直流電力を出力する直流電源出力部525とを備える。電源筐体51は、面積が最も大きくかつ互いに対面する一対の第1の面111を有した箱型の形状を成し、第1の面111に対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第2の面114b、114tに、商用電源が供給される商用電源入力線79が配置され、第1の面111および第2の面114b、114tに対して垂直で、かつ互いに対面する一対の第3の面112、113において、第3の面112、113の一方を背面113として、背面113の側に、電源取付部を配置し、第3の面112、113の他方を前面112として、前面112に、直流電源出力部525を配置する。
【0076】
また、電源装置50と複数台のサーボアンプ装置10とは、第1の面111に対する法線方向に並べて配置されるとともに、筐体の背面113の側に設けられた取付部33を介して設置盤に取り付けられていることが好ましい。
【0077】
このように、本実施の形態によれば、簡易な構成で多軸を成す複数のサーボモータについてサーボ制御する多軸サーボ制御装置100を実現できる。また、配線のしやすさを考慮した構成による作業性の向上も図ったサーボアンプ装置10、および多軸サーボ制御装置100を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のサーボアンプ装置、および多軸サーボ制御装置は、容易な構成で多軸のモータを制御し駆動できる。このため、例えば半導体製造装置や電子部品実装機などに有用である。
【符号の説明】
【0079】
10 サーボアンプ装置
11 アンプ筐体
21 上扉
22 部材配置部
23d 7セグメント表示器
23s ロータリ式スイッチ
24,524 中扉
25 直流電源接続部
26,26H,26L ソケット部
27 刃受部
27b 金属板
29 アース端子
33 取付部
33b 下部取付部
33t 上部取付部
34b,34t 取付用穴
35b,35t ビス
41 通信用コネクタ
41a I/Oコネクタ
42 放熱孔
45 モータ駆動用コネクタ
46 エンコーダ用コネクタ
50 電源装置
51 電源筐体
55,55c,55p 分割バスバー
55b 金属バー
55r バー保持部
60 設置盤
61 基部
62 取付板
71 上位コントローラ
72 通信線
78 交流電源
79 商用電源入力線
80 モータ
81 モータ筐体
82 回転軸
83 ステータ
84 ロータ
85 軸受
86 エンコーダ
87 駆動線
88 エンコーダ線
100 多軸サーボ制御装置
111 側面(第1の面)
112,512 前面(第3の面)
112t,512t 前面上部
112b,512b 前面下部
112c,512c 前面中部
113 背面(第3の面)
114b 下面(第2の面)
114t 上面(第2の面)
200 サーボシステム
525 直流電源出力部