(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】照明システム、電源装置、照明器具、マッピング方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/175 20200101AFI20240104BHJP
【FI】
H05B47/175
(21)【出願番号】P 2019196896
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 朝
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸本 龍海
(72)【発明者】
【氏名】中村 重雄
(72)【発明者】
【氏名】八木 佐奈
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213199(JP,A)
【文献】特開2019-067707(JP,A)
【文献】特開2016-091637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照明器具と、前記複数の照明器具を制御する端末装置とを備える照明システムであって、
前記複数の照明器具のそれぞれは、
電源装置と光源部を備え、前記端末装置に、識別情報と、計測により取得した情報とを送信し、
前記端末装置は、前記複数の照明器具のそれぞれが取得した前記情報に基づき前記複数の照明器具を
分類し、
前記電源装置は、電力変換部、制御部、通信部、記憶部、及び計測部、を含み、所定の操作または所定の動作に基づき前記計測部で前記情報を計測し、所定の検出がされたときに、前記計測部で計測した前記情報を前記記憶部に記憶する、
照明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明システムにおいて、
前記複数の照明器具のそれぞれにおいて、
前記計測部で計測する前記情報は、前記照明器具の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、電源のオンまたはオフの回数のいずれか1つ、または、いずれか2つ以上の組み合わせ、または前記組み合わせに時系列情報を加えたものである、
照明システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明システムにおいて、
前記電源装置の前記通信部は無線送受信部を含む、
照明システム。
【請求項4】
複数の照明器具と、前記複数の照明器具を制御する端末装置とを備える照明システムであって、
前記複数の照明器具のそれぞれは、前記端末装置に、識別情報と、計測により取得した情報とを送信し、
前記端末装置は、前記複数の照明器具のそれぞれが取得した前記情報に基づき前記複数の照明器具を分類する照明システムの照明器具に組み込まれる電源装置であって、
電力変換部、制御部、通信部、記憶部、及び計測部、を含み、所定の操作または所定の動作に基づき前記計測部で前記情報を計測し、所定の検出がされたときに、前記計測部で計測した前記情報を前記記憶部に記憶する、
電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記所定の操作により、外部から前記制御部への電力供給及び電力供給遮断の一連の動作が1回以上行われたときに、前記照明器具の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、電源のオンまたはオフの回数の1つ以上を、前記情報として、前記記憶部に記憶する、
電源装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電源装置を含む照明器具。
【請求項7】
請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の照明システムにおいて、前記複数の照明器具のそれぞれが有する前記識別情報と、前記複数の照明器具の位置情報とを関連付ける照明システムのマッピング方法であって、
前記複数の照明器具のそれぞれは、前記端末装置に、前記識別情報と、取得した前記情報とを送信し、
前記端末装置が、前記複数の照明器具のそれぞれが取得した前記情報に基づき前記複数の照明器具の前記識別情報を分類して表示し、
ユーザが、前記端末装置に表示された前記照明器具の前記識別情報と、前記照明器具の設置位置を表すマークとを関連付けるように、前記端末装置を操作する、
照明システムのマッピング方法。
【請求項8】
請求項1から
請求項3のいずれか1項の照明システムにおいて、前記端末装置に読み込み可能であり、前記端末装置に、前記複数の照明器具のそれぞれが取得した前記情報に基づき前記複数の照明器具を分類するように実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システム、電源装置、照明器具、マッピング方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の制御信号を受けて点消灯する照明器具が建物の天井などの設置位置に取り付けられた直後は、照明器具のそれぞれが有する識別情報と照明器具の位置を表す位置情報との関係が不明であり、各照明器具を点灯制御できない。このために、端末装置を用いて、複数の照明器具の識別情報と位置情報とを関連付ける作業であるマッピングが行われる。
【0003】
特許文献1には、複数の照明器具と、複数の照明器具の調光度を指示して調光できるようにする設定器とを備える照明システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の照明システムにおいて端末装置を用いてマッピングを行う場合には、作業者が、端末装置の画面に表示される照明器具の識別情報を選択すると、選択された識別情報に対応する照明器具が点滅するので、点滅した照明器具の近くに作業者が行く。そして、作業者が照明器具の位置を確認して照明器具の配置図の対応する位置のマークにタッチすることで識別情報と位置情報との関連付けを行う。このとき、部屋面積が広い1つの事務所では、照明器具の設置台数が多くなるので、作業者が照明器具の位置を確認して操作する作業に時間を要する。また、ショッピングモールのような吹き抜け部がある商業施設等に設置された大規模な照明システムでは、端末装置から無線信号を用いて照明器具からの識別情報を取得する場合に、異なる階のフロアに設置された照明器具からの識別情報も端末装置で取得してしまう場合があり、現在の階でマッピングが必要な照明器具か否かの確認に時間を要する。
【0006】
本開示の目的は、端末装置を用いて複数の照明器具のマッピングを行う場合の作業時間を短縮できる照明システム、電源装置、照明器具、マッピング方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様である照明システムは、複数の照明器具と、複数の照明器具を制御する端末装置とを備える照明システムであって、複数の照明器具のそれぞれは、端末装置に、識別情報と、取得した情報とを送信し、端末装置は、複数の照明器具のそれぞれが取得した情報に基づき複数の照明器具を分類する、照明システムである。
【0008】
本開示の一態様である電源装置は、本開示の照明システムの照明器具に組み込まれる電源装置であって、電力変換部、制御部、通信部、記憶部、及び計測部、を含み、所定の操作または動作に基づき計測部で情報を計測し、所定の検出がされたときに、計測部で計測した情報を記憶部に記憶する、電源装置である。
【0009】
本開示の一態様である照明器具は、本開示の電源装置を含む照明器具である。
【0010】
本開示の一態様であるマッピング方法は、本開示の照明システムにおいて、複数の照明器具のそれぞれが有する識別情報と、複数の照明器具の位置情報とを関連付ける照明システムのマッピング方法であって、複数の照明器具のそれぞれは、端末装置に、識別情報と、取得した情報とを送信し、端末装置が、複数の照明器具のそれぞれが取得した情報に基づき複数の照明器具の識別情報を分類して表示し、ユーザが、端末装置に表示された照明器具の識別情報と、照明器具の設置位置を表すマークとを関連付けるように、端末装置を操作する、照明システムのマッピング方法である。
【0011】
本開示の一態様であるプログラムは、本開示の照明システムにおいて、端末装置に読み込み可能であり、端末装置に、複数の照明器具のそれぞれが取得した情報に基づき複数の照明器具を分類するように実行させるための、プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様である照明システム、電源装置、照明器具、マッピング方法、及びプログラムによれば、端末装置を用いて複数の照明器具のマッピングを行う場合の作業時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の一例の照明システムを示す図である。
【
図2】実施形態の一例の照明システムにおいて、部屋内における複数の照明器具の配置位置と結線状態とを示す図である。
【
図3】
図1に示す照明器具及び端末装置の構成を示すブロック図である。
【
図4A】実施形態において、照明システムのマッピング方法を示すフローチャートである。
【
図4B】実施形態において、端末装置の操作表示部におけるマッピングプログラムの起動直後の画面を示す図である。
【
図4C】
図4Bにおいて、配置図読み込みボタンの押下によって表示される画面を示す図である。
【
図5A】実施形態において、複数のスイッチの通電時間を異ならせた場合に取得された、照明器具の通電時間と数との関係の1例を示す図である。
【
図5B】実施形態において、複数のスイッチの通電時間を異ならせた場合に取得された、照明器具の通電時間と数との関係の別例を示す図である。
【
図6】
図4Cにおいて、照明器具読み込みボタンの押下によって表示される画面におけるグループ化された照明器具の識別情報と、照明器具の通電時間及び数の関係との対応関係を示す図である。
【
図7】実施形態において、端末装置が、異なる階に分かれた複数の照明器具から照明制御コントローラを介して情報を受信する状態を示す模式図である。
【
図8】実施形態の別例の照明システムを示す図である。
【
図9】実施形態の別例の照明システムにおいて取得された、一部の照明器具の電源オンの回数とその回数に対応する通電時間との関係の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明システムの実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下で説明する実施形態に限定されない。以下の実施形態では、図面において同様の構成に同一の符号を付し、重複する説明を省略もしくは簡略化する。
【0015】
本開示のシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示のシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0016】
図1は、実施形態の一例の照明システム10を示す図である。照明システム10は、複数の照明器具12と、照明器具12に通信可能に接続された照明制御コントローラ30と、複数の照明器具12を制御する端末装置40とを含む。
【0017】
照明システム10が備える照明器具12の数は特に限定されない。複数の照明器具12のそれぞれは、例えばシーリングライトである。照明器具12は、ダウンライト、スポットライト等の他の種類としてもよい。
【0018】
図2は、照明システム10において、部屋100内における複数の照明器具12の配置位置と結線状態とを示す図である。
図2に示すように、複数の照明器具12は、1つの部屋100の天井に整列して取り付けられる。
図2では、複数の照明器具12が横方向(
図2の左右方向)に5列が略均等に配置され、各列で5つの照明器具12が縦方向(
図2の上下方向)に略均等に配置される。5列の照明器具12のうち、横方向一端部(
図2の左端部)の第1列及び第2列の照明器具12は、第1電線31で接続される。第1電線31の一端は、第1スイッチS1及びブレーカ35(
図1)を介して、外部交流電源37(
図1)に接続される。横方向中間部の第3列及び第4列の照明器具12は、第2電線32で電気的に直列に接続される。第2電線32の一端は、第2スイッチS2及びブレーカ35を介して、外部交流電源37に接続される。横方向他端部(
図2の右端部)の第5列の照明器具12は、第3電線33で接続される。第3電線33の一端は、第3スイッチS3及びブレーカ35を介して、外部交流電源37に接続される。これにより、第1列及び第2列の照明器具12と、第3列及び第4列の照明器具12と、第5列の照明器具12とは、対応するスイッチS1,S2,S3を用いて互いに独立してオンオフ操作が可能である。各照明器具12と照明制御コントローラ30は、無線通信可能に接続される。照明制御コントローラ30と端末装置40とは、無線通信可能に接続される。第1スイッチS1、第2スイッチS2及び第3スイッチS3は、総称してスイッチと記載する場合がある。
【0019】
図2において、L1,L2・・・L25は、各照明器具12が有する識別情報(ID)を示している。識別情報は、各照明器具12を他の照明器具12に対して識別できる情報であれば、いかなる情報でもよい。例えば、識別情報は、MACアドレス(Media Access Control address)、バーコード情報、RF(radio frequency)タグ、品番の情報、IPアドレス、または製造ナンバー等である。
【0020】
照明制御コントローラ30は、複数の照明器具12と同じ部屋に配置される。照明制御コントローラ30は、照明器具12のマッピング情報である、照明器具12の識別情報と位置情報との関連付けの情報を端末装置40から取得し、かつ、照明器具12とのペアリングが終了した後に、照明器具12の点灯制御を行う。照明制御コントローラ30は、ユーザが照明操作を可能な操作部を有するリモートコントローラとすることができる。照明制御コントローラ30は、端末装置40からの制御信号や、内部に記憶されたスケジュール機能により、照明制御コントローラ30から照明器具12を無線制御する。
【0021】
図3は、照明器具12及び端末装置40の構成を示すブロック図である。複数の照明器具12のそれぞれは、電源装置13と光源部20とを含む。電源装置13は、電力変換部14、通信部15、制御部16、記憶部17、及び計測部18を有し、照明器具12に組み込まれる。電力変換部14は、外部交流電源37から供給される交流電力を直流電力に変換すると共に、後述の制御部16による制御信号に基づいて電圧調整して後述の光源部20に出力する。
【0022】
通信部15は、照明器具12が、照明制御コントローラ30と無線通信するためのインターフェースである。通信部15は、無線送受信部を含む。
【0023】
制御部16は、通信部15及び電力変換部14を制御する。制御部16は、端末装置40から照明制御コントローラ30、通信部15を介して受信した操作信号に応じて、後述の記憶部17に記憶された情報を、通信部15及び照明制御コントローラ30を介して、端末装置40に送信する。制御部16は、例えば、CPUを有し、記憶部17に記憶されたプログラムによって演算処理が実行される。さらに、制御部16は、端末装置40に、識別情報と、後述のように計測部18で計測され取得した情報とを、通信部15により送信させる。
【0024】
記憶部17は、EEPROM等のROM、RAM、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部17は、受信した操作信号や、後述の計測部18で取得した情報を記憶する機能を有する。
【0025】
計測部18は、所定の操作または所定の動作に基づき情報を計測する。計測部18は、所定の検出がされたときに、計測部18で計測した情報を記憶部17に記憶する。「所定の操作」は、例えば、スイッチのオンまたはオフの操作である。「情報」は、例えば、照明器具12の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、及び電源のオンまたはオフの回数のいずれか1つである。なお、後述の実施の形態の別例で説明するように、「情報」は、照明器具12の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、及び電源のオンまたはオフの回数のいずれか2つ以上の組み合わせ、またはその組み合わせに時系列情報を加えたものとしてもよい。「通電時間」は、電源装置13に電源が投入され電源が遮断されるまでの時間である。「無通電時間」は、電源装置13を通電状態で電源を素早く所定時間内(例えば2秒以内)でオフからオンへ切り換えたときの電源オフの時間である。以下、電源のオフからオンへの切換は、「オフ-オン操作」と記載する場合がある。「所定の検出」は、例えば電源遮断の検出である。例えば、電源装置13は、電源遮断を検出したときに、計測部18で計測した情報を記憶部17に記憶する。電源のオンまたはオフの回数は、計測部18の内部のカウンタで計測してもよい。電源のオンまたはオフの回数は、電源装置13に電源が、短時間である所定時間以内で投入される「電源投入回数」としたり、電源が短時間で遮断される「電源遮断回数」としてもよい。また、計測部18で情報を計測せず、制御部16で時間や回数等の情報が計測されてもよい。照明器具12の短時間のオフ-オン操作時は、電源装置13の電力変換部14の出力は停止し光源部20は消灯するが、制御部16等への電源供給は例えば10秒程度の時間維持し制御部16は動作している。電源装置13の入力電圧検出部は図示していない。
【0026】
計測部18が情報の計測を開始するための所定の動作として、例えば次の動作がある。まず、電源動作として、回路により電源装置13の入力電圧を検出し、その数秒程度の後の電源遮断時に制御部16を制御電源で動作させる。例えば、電源装置13を通電状態で電源を素早く(約2秒以内で)オフ-オン操作することにより上記の動作が行われる。また、電源装置13を通電状態で電源を素早く(約2秒以内で)オフ-オン操作することを3回繰り返すことにより上記の動作が行われてもよい。
【0027】
記憶部17は、電源投入時に記憶部17にデータがない初期状態としてもよい。記憶部17を初期状態にするための動作を、例えば、通信部15が特定の信号を受信したり、または電源を素早く(約2秒以内)オフ-オン操作することを5回繰り返す等としてもよい。
【0028】
また、通信部15の所定の動作として、通信部15が特定の信号を受信したときに、計測部18が情報の計測を開始してもよい。
【0029】
さらに、制御部16の所定の動作として、上記の電源動作をして一度電源を遮断し、十分に(例えば数十秒程度)時間が経った後、次の電源投入時に、計測モードとして起動し、計測部18に情報の計測を開始させてもよい。
【0030】
電源装置13は、所定の操作により、外部から制御部16への電力供給及び電力供給遮断の一連の動作が1回以上行われたときに、照明器具12の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、電源のオンまたはオフの回数の1つ以上を、情報として、記憶部17に記憶する構成としてもよい。
【0031】
光源部20は、電力が供給されることにより、照明光を発する。例えば光源部20は、LED、蛍光灯、ハロゲンランプ等である。
【0032】
端末装置40及び照明制御コントローラ30の間、照明制御コントローラ30及び照明器具12の間は、それぞれ920MHz帯または2.4GHz帯の周波数を利用した特定小電力無線通信、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信により通信可能に接続される。
【0033】
端末装置40は、例えば信号を送受信する機能と、表示画面とを有するタブレットPCや、スマートフォンである。端末装置40は、照明器具12のそれぞれが有する識別情報と、部屋内における照明器具12の位置情報との関連付けであるマッピングを行う設定器である。照明器具12は、このマッピングが行われ、照明制御コントローラ30とのペアリングが行われることで、照明制御コントローラ30により、点灯制御することが可能となる。
【0034】
端末装置40は、操作表示部41、通信部42、制御部43、及び記憶部44を備える。操作表示部41は、表示部に相当する。操作表示部41は、例えば端末装置40は、表示画面であるタッチパネルスクリーンを有する。操作表示部41は、ユーザの操作を受け付ける入力部の機能と、複数の照明器具12の設置位置を表すマークと、複数の照明器具12の識別情報とを表示する機能とを有する。制御部43は、端末装置40に表示された照明器具12の識別情報とマークとを関連付けるように操作表示部41が操作された場合に、その識別情報とマークが表す照明器具12の位置情報との関連付けを記憶部44に記憶する。端末装置は、表示部と操作部とを別に持つ構成としてもよい。
【0035】
通信部42は、端末装置40が照明制御コントローラ30を介して、照明器具12と無線通信するためのインターフェースである。
【0036】
制御部43は、通信部42を制御する機能と、操作表示部41の表示状態を制御する機能を有する。制御部43は、例えば、CPUを有し、記憶部44に記憶されたプログラムによって演算処理が実行される。
【0037】
記憶部44は、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部44には、制御部43を動作させるためのアプリケーションプログラムが記憶される。ユーザは、制御部43にアプリケーションプログラムとしてのマッピングプログラムを実行させることで、操作表示部41に照明器具12のマッピングを行うための画面を表示させることができる。マッピングプログラムは、端末装置40に読み込み可能であり、端末装置40に、複数の照明器具12のそれぞれが取得した情報に基づき複数の照明器具12を分類し、操作表示部41に表示させるように実行させるために用いられる。マッピングプログラムが実行されると、端末装置40は、複数の照明器具12の配置図と、複数の照明器具12の識別情報とを操作表示部41に表示する。
【0038】
次に、照明システム10のマッピング方法を説明する。
図4Aは、照明システム10のマッピング方法を示すフローチャートである。まず、ステップS10では、ユーザに相当するマッピングの作業者によって、端末装置40でマッピングプログラムが起動される。
図4Bは、端末装置40の操作表示部41におけるマッピングプログラムの起動直後の画面を示している。この画面には、照明器具12の配置図の第1表示予定部41aと、照明器具12の識別情報の第2表示予定部41bとが上下に分かれてあり、下部には、配置図読み込みボタン41cと、照明器具読み込みボタン41dとが表示される。第2表示予定部41bには、「照明器具一覧」の文字が表示される。ステップS10では、この画面上で、作業者によって、配置図読み込みボタン41cが押し下げられると、第1表示予定部41aに、複数の照明器具12についての配置図が表示される。
【0039】
図4Cは、
図4Bにおいて、配置図読み込みボタン41cの押下によって表示される画面を示している。このとき、端末装置40では、予め作成された、設定したい部屋やエリアの照明器具12の配置図の読み込みが行われ、第1表示予定部41aにその配置図が表示される。
図4Cの配置図では、照明器具12がマークMで示される。
図4Cでは、マークMを矩形としているが、円形等の他の形状としてもよい。配置図は、室内に設置された複数の照明器具12を上側から見た図に対応する。マークMは、記号、文字または絵文字であってもよい。
図4Cに示す例では、
図2のように、縦方向、横方向共に5列に照明器具12のマークMが配置される。そして、
図4AのステップS12で、端末装置40が、照明器具12の識別情報(ID)を要求する信号を照明制御コントローラ30に送信し、照明制御コントローラ30が、全ての照明器具12に識別情報の送信を要求するように信号を送信する。具体的には、
図4Cの画面で、作業者によって、照明器具読み込みボタン41dが押し下げられることによって、
図4AのステップS12~S22が動作する。
【0040】
これにより、ステップS14で、複数の照明器具12が、照明制御コントローラ30に識別情報を送信し、照明制御コントローラ30が、端末装置40に識別情報を送信する。ステップS16では、端末装置40が、取得した複数の照明器具12の識別情報に対して、記憶している情報を要求する信号を、照明制御コントローラ30に送信する。照明制御コントローラ30は、該当する識別情報を有する複数の照明器具12に情報の送信を要求するように信号を送信する。
【0041】
これにより、ステップS18では、複数の照明器具12が、取得している情報を照明制御コントローラ30に送信し、照明制御コントローラ30は、端末装置40にその情報を送信する。このとき、
図1に示す各スイッチS1,S2,S3が、予め、ユーザに相当するマッピングの作業者によってオンされ、その後、スイッチS1,S2,S3で異なる任意の時間(通電時間)後に、オフされている。このスイッチS1,S2,S3のオンとオフが所定の操作に相当する。
【0042】
表1は、スイッチS1,S2,S3の通電時間の1例を示しており、スイッチS1,S2,S3の通電時間は互いに異なっている。
【0043】
【0044】
表2は、各照明器具12の識別情報(ID)と、通電時間との関係の1例を示している。
【0045】
【0046】
表2に示すように、スイッチS1,S2,S3の通電時間と、同じスイッチS1,S2,S3に接続された複数の照明器具12の通電時間とはわずかに異なる場合がある。この理由は、例えば同じスイッチに接続された複数の照明器具12の間では、照明器具12の内部のコンデンサ等の影響で、電流入力、電流遮断のタイミング等のばらつきが生じる等のためである。
【0047】
各照明器具12は、上記の所定の操作に基づき、計測部18で例えば通電時間を情報として計測し、上記の所定の検出がされたときに、計測部18で計測した通電時間を記憶部17に記憶する。各照明器具12は、端末装置40に、取得した通電時間を送信する。
【0048】
図4Aに戻って、ステップS20では、端末装置40は、アプリケーションプログラムの実行によって、照明器具12が取得した情報に基づき、複数の照明器具12の識別情報を分類する。
図5Aは、実施形態において、複数のスイッチS1,S2,S3の通電時間を異ならせた場合に取得された、照明器具12の通電時間と数との関係の1例を示している。
図5Aに示す例では、複数のスイッチS1,S2,S3に対応する照明器具12の複数のグループ1~3の要素数(照明器具数)の分布が交わることなく分かれている。
【0049】
一方、
図5Bは、実施形態において、複数のスイッチS1,S2,S3の通電時間を異ならせた場合に取得された、照明器具12の通電時間と数との関係の別例を示している。
図5Bのように、複数のスイッチS1,S2,S3に対応する照明器具12の複数のグループ1~3の要素数の分布が、一部で交わる場合も考えられる。以下では、まず、
図5Aの場合で説明する。
【0050】
端末装置40は、
図5Aのように、通電時間により、照明器具12を複数のグループ1~3に分類する。このとき、端末装置40は、アプリケーションプログラムの実行によって、取得した照明器具12の識別情報と、照明器具12から取得した情報としての通電時間とを関連付ける。さらに、端末装置40は、取得した通電時間を昇順にソートし、最小値から最大値まで並び替え、区間数であるグループ番号を1から増加させてグループ毎の要素数を算出する。
図5Aのように、通電時間の分布があり、要素数が0となる通電時間で要素が分離されると、照明器具12を、分離された通電時間で分けてグループ化する。要素が分離しなければ1つのグループとする。
【0051】
次に、
図4AのステップS22に示すように、端末装置40は、分類した識別情報と、照明器具12の位置情報を表す照明器具12の配置図とを、操作表示部41に表示する。
図6は、
図4Cにおいて、照明器具読み込みボタン41dの押下によって表示される画面におけるグループ化された照明器具12の識別情報L1~L25と、照明器具12の通電時間及び数の関係との対応関係を示している。
【0052】
図6では、右側に端末装置40の操作表示部41の画面を示し、左側に
図5Aと同様の通電時間と照明器具12の数との関係を示している。照明器具読み込みボタン41dの押下によって、
図6の画面における第2表示予定部41bには、照明器具12の分類された識別情報L1~L25が表示される。識別情報L1~L25は、通電時間が最小のグループがグループ1となり、通電時間が最大のグループがグループ3となり、通電時間が中間のグループがグループ2となり、グループ1~3が所定方向(
図6の上下方向)に分かれて、かつグループの番号が付されて表示される。第2表示予定部41bに、各グループ1~3について、識別情報がアドレス順に並んで表示されてもよい。
【0053】
そして、
図4AのステップS24に示すように、作業者が、端末装置40に表示された照明器具12の識別情報L1~L25と、複数の照明器具12の配置図におけるマークMとを関連付けるように、端末装置40を操作する。例えば、複数の識別情報の1つを選択する。例えば、
図6に示すように、グループ1の識別情報L3を指でタッチして選択する。これにより、端末装置40からの点滅指令信号が照明制御コントローラ30を介して選択された識別情報L3に対応する照明器具12に送信され、その照明器具12が点滅する。作業者は、点滅した照明器具12の位置を目視で確認することにより、識別情報L3に対応する照明器具12が複数のマークMのどの位置のマークMに対応するかを認識し、その照明器具12の実際の位置を特定する。次に、作業者は、点滅している照明器具12に対応する位置のマークMを指でタッチすることにより選択する。このとき、作業者が、識別情報L3をタップし、ドラッグした状態で、点滅している照明器具12に対応するマークMに移動させてドロップすることにより、マークMを選択できる構成としてもよい。これにより、照明器具12の識別情報と位置情報との関連付けであるマッピングが行われる。端末装置40においてマークMの選択が終了する毎に、端末装置40からそのマークMに対応する照明器具12に消灯指令信号が送信され、照明器具12の点滅を終了させる。端末装置40において、照明器具12の識別情報と位置情報との関連付けが完了した照明器具12の識別情報は、操作表示部41の画面の第2表示予定部41bにおける照明器具一覧での表示から削除される。
【0054】
また、ユーザによる端末装置40の関連付けの操作に応じて、照明器具12についての識別情報と位置情報との関連付けが記憶部44に記憶されると共に、照明制御コントローラ30にその関連付けの情報が送信される。このようなマッピングの作業が、操作表示部41に表示されたすべての識別情報に対して行われる。照明制御コントローラ30は、全ての識別情報についてのマッピング作業が終了し、照明器具12とのペアリングが終了した後に、複数の照明器具12についての照明制御が可能となる。端末装置40による照明器具12の選択操作により、各照明器具12の点灯、消灯、調光等の制御を個別で行えるようにするための設定を可能としてもよい。
【0055】
上記では、
図5Aに示す例のように、複数のスイッチS1,S2,S3に対応する照明器具12の複数のグループの分布が交わることなく分かれている場合に、識別情報を分類する場合を説明した。一方、
図5Bに示す例のように、複数のスイッチS1,S2,S3に対応する照明器具12の複数のグループの分布が一部で交わる場合には、一部の照明器具12を複数のグループに重複してグループ化してもよい。このとき、
図4AのステップS24で、重複した照明器具12が属する複数のグループのうち、1つのグループにおいて重複した照明器具12の識別情報及びマークの関連付けが行われたときに、端末装置40は、他のグループの表示から重複した照明器具12の識別情報を削除する構成としてもよい。これにより、重複した照明器具12の関連付けが1度行われた後、再度関連付けを要求されることがない。また、複数の照明器具12のグループ毎に接続されたスイッチの数を、端末装置40に入力可能とし、端末装置40は、その入力された数に応じたグループ数に、グループの分布を分けてグループ化してもよい。照明器具12が情報を取得していない場合には、端末装置40は1つのグループにまとめて表示する。
【0056】
上記の照明システム10、電源装置13、マッピング方法、及びプログラムによれば、端末装置40を用いて複数の照明器具12のマッピングを行う場合の作業時間を短縮できる。具体的には、端末装置40では、照明器具12からの情報に基づいて、同じスイッチに接続されている複数の照明器具12の識別情報を1つのグループとして表示する。このとき同じスイッチに接続される複数の照明器具12は近くに配置されている可能性が高い。これにより、同じグループの識別情報は、近い位置にある複数の照明器具12に対応する。このため、端末装置40において、同じグループの識別情報を選択するときに、実際の位置が近い複数の照明器具12を点滅させ、位置を特定するので、マッピングの作業時間を短縮できる。例えば、グループ1の照明器具12は、識別情報L3と同じ第1スイッチで接続されているため、作業者は、識別情報L3の関連付けを行った後、グループ1の他の照明器具12のマークの関連付けを行うときに、識別情報L3の照明器具12の近くの点滅している照明器具12を確認すればよい。これにより効率よくマッピング作業を行える。
【0057】
また、照明システム10が、ショッピングモールのような吹き抜け部がある商業施設等に設置されるような場合には、端末装置40から無線信号を用いて照明器具12からの識別情報を取得する場合に、異なる階に設置された照明器具12からの識別情報を端末装置40で取得してしまう場合が考えられる。
【0058】
図7は、実施形態において、端末装置40が、異なる階に分かれた複数の照明器具12から照明制御コントローラ30を介して情報を受信する状態を示す模式図である。
図7の例のように、作業者Wがいる階と異なる階の照明器具12からの識別情報を、その階に設置された照明制御コントローラ30を介して端末装置40で取得してしまう場合がある。この場合、端末装置40では、現時点で不要な識別情報も表示される。
【0059】
本例の場合には、この場合でも、端末装置40が、照明器具12から取得した情報に基づいて同じ階の同じスイッチで接続された近くの照明器具12をグループ化して表示することができるので、現在の階でマッピングが必要な照明器具12か否かの確認に時間を要することなく、マッピングを行う場合の作業時間を短縮できる。
【0060】
なお、本例では、端末装置40で照明器具12の識別情報を選択した場合に、照明器具12を点滅させているが、これに限定せず、照明器具12を暗くする、または明るくする等の調光を変化させることで、他の照明器具12との区別ができるようにしてもよい。
【0061】
また、計測部18で計測する情報として、上記では通電時間で、照明器具12の識別情報を分類する場合を説明したが、照明器具12の無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、及び電源のオンまたはオフの回数のいずれか1つを情報として、照明器具12の識別情報が分類されてもよい。
【0062】
また、上記では、端末装置40が照明制御コントローラ30を介して複数の照明器具12と通信される場合を説明したが、端末装置40は、照明制御コントローラ30を介さずに、直接に複数の照明器具12と無線信号で通信する構成としてもよい。
【0063】
図8は、実施形態の別例の照明システム10aを示す図である。本例の場合には、
図1~
図6の構成と異なり、照明制御コントローラ30が、有線の第1制御線50、第2制御線51、及び第3制御線52により複数の照明器具12に接続されている。照明器具12を示す矩形の内側には、照明器具12が有する識別情報を示している。識別情報L1,L2,L6,L7,L11,L12は、第1制御線50で接続される。識別情報L3,L4,L8,L9,L13,L14は、第2制御線51で接続される。識別情報L5,L10,L15は、第3制御線52で接続される。
【0064】
端末装置40のマッピングプログラムの実行によって、複数の照明器具12に照明制御コントローラ30を介して、照明器具12に情報を記憶させる指令信号が送信される。これにより、複数の照明器具12が情報を記憶部17(
図3)に記憶する。具体的には、照明制御コントローラ30から同じ制御線50~52につながる複数の照明器具12には同じデータ、例えばランダムな16ビットの同じ値を表すデータが送信される。異なる制御線50~52につながる複数の照明器具12には、照明制御コントローラ30から異なるデータが送信される。各照明器具12は、送信されたデータを情報として記憶部17に記憶する。端末装置40は、マッピングプログラムの実行によって、複数の照明器具12のそれぞれに、取得した情報としてデータを要求する信号を、照明制御コントローラ30を介して送信する。各照明器具12は、これに応じて、記憶部17に記憶されたデータを、端末装置40に、照明制御コントローラ30を介して送信する。
【0065】
例えば、表3に示すように、照明制御コントローラ30から第1~第3制御線50~52で異なるデータを、複数の照明器具12に送信する場合を考える。表3に示す各データは、16進数を表す。各データにおいて、Xは、任意の値を示している。
【0066】
【0067】
このとき、表4に示すように、各識別情報の照明器具12に、対応するデータが送信される。
【表4】
この場合には、各照明器具12の電源装置13(
図3)は、通信部15(
図3)が特定の信号として、照明制御コントローラ30からのデータを含む信号を受信したことに応じて、記憶部17でそのデータを記憶する。端末装置40から照明器具12に取得した情報を要求する指令信号の送信があったときには、その照明器具12が端末装置40に、取得している情報として記憶部17に記憶していたデータを送信する。端末装置40は、同じデータを有する照明器具12を同じグループとして、複数の照明器具12の識別情報を分類し、操作表示部41(
図6)に識別情報を、グループ化して表示する。
【0068】
本例の構成によれば、同じ制御線50~52で接続された照明器具12は、コスト面等から、近くに設置されている可能性が高い。これにより、端末装置40において、同じグループの識別情報を選択するときに、実際の位置が近い複数の照明器具12を点滅させ、位置を特定するので、マッピングの作業時間を短縮できる。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図6の構成と同様である。
【0069】
図9は、実施形態の別例の照明システムにおいて取得された、一部の照明器具12の電源オンの回数とその回数に対応する通電時間との関係の1例を示す図である。本例の照明システムの基本構成は、
図1~
図6の構成と同様である。本例の場合には、各照明器具12の電源装置13は、短時間でオフ-オン操作したとき、すなわち電源オフからオンに操作したときの電源オン毎の通電時間と、オフ-オン操作の回数とを、計測部18(
図3)で計測し、記憶部17(
図3)に記憶する。これについて、以下、
図6と同様に照明器具12の配置が行われる場合で説明する。まず、端末装置40が、照明器具12に取得した情報を要求する指令信号を送信し、その送信があったときには、その照明器具12が端末装置40に、取得している情報として記憶部17に記憶していた通電時間と、オフ-オン操作回数(オフ-オン回数)とを送信する。例えば、表5のように作業者がスイッチS1~S3を操作して、それぞれのスイッチS1~S3に接続された照明器具12が、オフ-オン回数と、通電時間とを記憶部17に記憶する。例えば、スイッチS1の操作によって、オフ-オン回数を1回とし、最初の電源オン時におけるスイッチS1の通電時間を2秒とし、次の通電時間を3秒とする。
【0070】
【0071】
このとき、各照明器具12のオフ-オン回数と通電時間との関係は、表6のようになっている。
【0072】
【0073】
そして、端末装置40は、複数の照明器具12から通電時間と、オフ-オン回数とを取得し、まずオフ-オン回数で、照明器具12の識別情報を分類する。次に、同じオフ-オン回数で、取得した通電時間を昇順にソートし、最小値から最大値まで並び替え、区間数としてのグループ番号を1から増加させグループごとの要素数を算出する。このとき、情報の分布があり、要素数が0となる情報で分離されると、照明器具12を、分離された情報で分けてグループ化する。要素が分離しなければ1つのグループとする。情報の分布において、複数のピークを持つ分布が重なる場合、一部の照明器具12は複数のグループに重複してグループ化する。重複した照明器具12の識別情報と位置情報との関連付けが終了すると、他方のグループの表示からその重複した照明器具12を削除する。
【0074】
例えば、表6の場合には、識別情報L1~L10でオフ-オン回数が1であり、識別情報L11~L25でオフ-オン回数が2となった。このとき、第1スイッチS1に接続された識別情報L1~L10の照明器具12ではオフ-オン回数が1で、かつ通電時間の分布が同じグループとして扱えたので、グループ1とする。
【0075】
第2スイッチS2及び第3スイッチS3に接続された識別情報L11~L25の照明器具12ではオフ-オン回数が2回で同じとなり、かつ、電源オン時の1回目と3回目とのそれぞれで通電時間の分布には、ピークが1つのみ生じた。一方、識別情報L11~L25の照明器具12では、電源オン時の2回目の通電時間の分布において、1秒前後にピークを持つものと、2秒前後にピークを持つものとの2つが生じた。このため、2回目の通電時間が1秒前後の照明器具12をグループ2とし、2回目の通電時間が3秒前後の照明器具12をグループ3とする。
図9では、識別情報L11,L12、L21,L22,L25の照明器具12についての電源オン回数と通電時間との関係を示している。実線a1、一点鎖線a2が識別情報L11,L12に対応し、長破線b1、短破線b2、二点鎖線b3が識別情報L21,L22,L25に対応する。
図9では、2回目の通電時間の分布に2つのピークがあることを確認できる。これにより、端末装置40は、照明器具12から取得した情報に基づいて、複数の照明器具12を分類することができる。
【0076】
このように本例の構成では、端末装置40は、照明器具12の通電時間と、電源のオン回数の組み合わせに時系列情報を情報として取得し、その情報に基づいて、複数の照明器具12を分類する。これにより、端末装置40で取得する情報の種類が増えることにより、照明器具12のグループ化の精度が向上し、それによってマッピングの作業時間を短縮できる。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図6の構成と同様である。
【0077】
上記の構成では、計測部18が「情報」として、照明器具12の通電時間、及び、電源のオン回数の組み合わせに時系列情報を加えたものを計測する場合を説明したが、これに限定せず、上記の「情報」は、照明器具12の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、及び電源のオンまたはオフの回数のいずれか2つ以上の組み合わせに時系列情報を加えたものとしてもよい。
【0078】
次に、実施形態の別例の照明システムを説明する。本例の照明システムの基本構成は、
図1~
図6の構成と同様である。
【0079】
本例の場合には、各照明器具12の電源装置13は、短時間でオフ-オン操作したとき、すなわち電源オフからオンに操作したときの電源オン毎の通電時間と、オフ-オン回数と、通電時間の累積(累積通電時間)、すなわち合計とを計測部18(
図3)で計測し、記憶部17(
図3)に記憶する。これについて、以下、
図6と同様に照明器具12の配置が行われる場合で説明する。まず、端末装置40が、照明器具12に取得した情報を要求する指令信号を送信し、その送信があったときには、その照明器具12が端末装置40に、取得している情報として記憶部17に記憶していた通電時間と、オフ-オン回数と、累積通電時間とを送信する。例えば、作業者がスイッチを操作して、そのスイッチに接続された照明器具12で、電源オン毎の通電時間と、オフ-オン回数と、累積通電時間とを記憶する。表7では、各照明器具12の電源オン毎の通電時間と、オフ-オン回数と、累積通電時間と関係の1例を示している。
【0080】
【0081】
そして、端末装置40は、複数の照明器具12から通電時間と、オフ-オン回数と、累積通電時間とを取得し、まずオフ-オン回数で、照明器具12の識別情報を分類する。次に、同じオフ-オン回数で、取得した通電時間を昇順にソートし、最小値から最大値まで並び替え、区間数としてのグループ番号を1から増加させグループごとの要素数を算出する。このとき、情報の分布があり、要素数が0となる情報で分離されると、照明器具12を、分離された情報で分けてグループ化する。要素が分離しなければ1つのグループとする。
【0082】
例えば、表7の場合には、識別情報L1~L10でオフ-オン回数が1であり、識別情報L11~L25でオフ-オン回数が2となった。このとき、第1スイッチS1に接続された識別情報L1~L10の照明器具12ではオフ-オン回数が1で、かつ通電時間の分布が同じグループとして扱えたので、グループ1とする。
【0083】
第2スイッチS2及び第3スイッチS3に接続された識別情報L11~L25の照明器具12ではオフ-オン回数が2回で同じとなった。一方、識別情報L11~L25の照明器具12では、累積通電時間の分布において、5秒前後にピークを持つものと、7秒前後にピークを持つものとの2つが生じた。このため、累積通電時間が5秒前後の照明器具12をグループ2とし、累積通電時間が7秒前後の照明器具12をグループ3とする。これにより、端末装置40は、照明器具12から取得した情報に基づいて、複数の照明器具12を分類することができる。
【0084】
このように本例の構成では、端末装置40は、照明器具12の通電時間と、電源のオン回数と、累積通電時間の組み合わせを情報として取得し、その情報に基づいて、複数の照明器具12を分類する。これにより、端末装置40で取得する情報の種類が増えることにより、照明器具12のグループ化の精度が向上し、それによってマッピングの作業時間を短縮できる。本例の場合、
図9、表5、表6を用いて説明した構成よりもグループ化の精度が低下する可能性はあるが、端末装置40での分離処理が容易になる。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図6の構成と同様である。
【0085】
上記の構成では、計測部18が「情報」として、照明器具12の通電時間、電源のオン回数、及び累積通電時間の組み合わせを計測する場合を説明したが、これに限定せず、上記の「情報」は、照明器具12の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、及び電源のオンまたはオフの回数のいずれか2つ以上の組み合わせとしてもよい。
【0086】
上記の各実施形態の少なくとも1つによれば、照明器具に組み込まれる電源装置が開示される。この電源装置は、電力変換部、制御部、通信部、記憶部、及び計測部、を含み、所定の操作または動作に基づき計測部で情報を計測し、所定の検出がされたときに、計測部で計測した情報を記憶部に記憶する。上記の電源装置によれば、端末装置を用いて照明器具のマッピングを行う場合の作業時間を短縮できる。
【0087】
また、上記の各実施形態の少なくとも1つによれば、上記の電源装置において、所定の操作により、外部から制御部への電力供給及び電力供給遮断の一連の動作が1回以上行われたときに、照明器具の通電時間、無通電時間、入力電圧のゼロクロス回数、電源のオンまたはオフの回数の1つ以上を、情報として、記憶部に記憶する、電源装置も開示される。
【符号の説明】
【0088】
10 照明システム、12 照明器具、13 電源装置、14 電力変換部、15 通信部、16 制御部、17 記憶部、18 計測部、20 光源部、30 照明制御コントローラ、31 第1電線、32 第2電線、33 第3電線、40 端末装置、41 操作表示部、42 通信部、43 制御部、44 記憶部、50 第1制御線、51 第2制御線、52 第3制御線、100 部屋。