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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】界面検出センサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20240104BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20240104BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240104BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G01F23/292 A
G01N21/27 Z
G01N33/48 E
G01N33/49 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020033247
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135232
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鄭 望
(72)【発明者】
【氏名】松浦 孝泰
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】長坂 憲士朗
(72)【発明者】
【氏名】大塚 友範
(72)【発明者】
【氏名】小宮 友紀
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211288(JP,A)
【文献】特表2005-516212(JP,A)
【文献】特開平9-133568(JP,A)
【文献】特開平5-249037(JP,A)
【文献】米国特許第4727247(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/292
G01N21/17 -21/61
G01N33/48 -33/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と第2層とを含む検出対象に対して検出光を投光し、前記第1層と前記第2層との界面を検出するための界面検出センサであって、
第1波長の第1検出光を投光する第1投光部と、
前記第1波長と異なる第2波長の第2検出光を投光する第2投光部と、
前記第1投光部及び前記第2投光部から投光され前記検出対象を透過した前記第1検出光と前記第2検出光とを受光し、前記第1層と前記第2層とで変化する前記第1検出光及び前記第2検出光に応じた単一の受光信号を出力する単一の受光部と、
を備えた界面検出センサ。
【請求項2】
前記第1検出光と前記第2検出光とを同一光路に合流させる光合流部を備える請求項1に記載の界面検出センサ。
【請求項3】
前記受光信号の受光量に基づいて、前記第1層と前記第2層との界面を判定する判定部を備えた請求項1に記載の界面検出センサ。
【請求項4】
前記第1投光部と前記第2投光部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1検出光及び前記第2検出光をパルス状にて投光するとともに、前記第1検出光と前記第2検出光とが同時に前記受光部に入射するように前記第1投光部及び前記第2投光部を制御する、
請求項1に記載の界面検出センサ。
【請求項5】
前記検出対象は、血液サンプルを収容した試験管であり、
前記第1層は、血清又は血漿であり、
前記第2層は、血清及び血漿を除く成分からなり、
前記第1波長及び前記第2波長は、赤外線領域の波長であり、
前記第2波長は、前記第1波長よりも長波長側の波長である、
請求項1に記載の界面検出センサ。
【請求項6】
前記試験管には、1枚又は複数枚の識別ラベルが貼付されている、請求項5に記載の界面検出センサ。
【請求項7】
前記第1波長及び前記第2波長は、近赤外線領域である、請求項1に記載の界面検出センサ。
【請求項8】
前記第1波長は、800nm以上1100nm以下であり、
前記第2波長は、1300nm以上2000nm以下である、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の界面検出センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、界面検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、界面検出センサは、互いに異なる2つの層(相)の界面の位置を検出するために用いられる。例えば、血液サンプルを検査する検体検査では、試験管(採血管)に採取した血液サンプルを遠心分離機で分離し、分析に必要な血清又な血漿を試験管から取り出す。このように、血清又は血漿を取り出すため、血清又は血漿からなる層と、血清及び血漿以外を含む層との界面の検出が行われる。界面の検出のため、2つの波長成分の光を用い、それぞれを受光した結果を演算して界面位置を決定する装置が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、互いに血液のサンプルに対する透過特性の異なる2つの波長の光を使って、それぞれの光において、試験管の高さ方向の位置に対応する受光変化として別々に捉え、第1の光による受光変化と第2の光による受光変化との2つから1つの界面位置を決定する方法が開示されている。また、特許文献2には、透過特性の異なる2つの波長の光を使い、受光側で第1および第2の波長成分に分離し、その2つの波長成分同士の商に基づいて、界面を決定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2005-502877号公報
【文献】特表2005-516212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の方法では、2つの光を試験管の高さ方向の位置に対応する受光変化として別々に捉えて、その2つの結果から1つの界面位置を決定する必要があるため、少なからず演算が必要であり処理が煩雑である。また、上記特許文献2の方法では、受光側で一度、波長成分毎にデジタル測定値に変換し、その後で、その波長成分同士の商を算出して、界面を決定する必要があるため、この方法においても、演算が必要であり処理が煩雑である。このように、2つの波長成分の光をそれぞれ受光するものでは、演算が必要であり処理が煩雑である。
【0006】
本開示の目的は、簡易な処理で界面を検出可能とした界面検出センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示の界面検出センサは、第1層と第2層とを含む検出対象に対して検出光を投光し、前記第1層と前記第2層との界面を検出するための界面検出センサであって、第1波長の第1検出光を投光する第1投光部と、前記第1波長と異なる第2波長の第2検出光を投光する第2投光部と、前記第1投光部及び前記第2投光部から投光され前記検出対象を透過した前記第1検出光と前記第2検出光とを受光し、前記第1層と前記第2層とで変化する前記第1検出光及び前記第2検出光に応じた単一の受光信号を出力する単一の受光部と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、簡易な処理で界面を検出可能とした界面検出センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の界面検出センサを示すブロック図。
図2】血液サンプルを収容した試験管の説明図。
図3】血液サンプルを収容した試験管の説明図。
図4】識別ラベルが貼付された試験管の説明図。
図5】血液サンプルにおける波長-透過率特性を示す説明図。
図6】血液サンプルにおける界面検出を示す説明図。
図7】血液サンプルにおける界面検出を示す説明図。
図8】第2実施形態の界面検出センサを示すブロック図。
図9】第1検出光及び第2検出光の光路を示す説明図。
図10】第1検出光及び第2検出光の光路を示す説明図。
図11】第1検出光及び第2検出光の光路を示す説明図。
図12】第1検出光及び第2検出光の光路を示す説明図。
図13】第3実施形態の界面検出センサを示すブロック図。
図14】変更例の界面検出センサを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態を添付図面に従って説明する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1図7に従って説明する。
【0011】
図1に示すように、界面検出センサ1は、検出対象として試験管(採血管)50に収容された血液サンプル60の界面を検出するためのセンサである。血液サンプル60は、試験管に対して施された遠心分離により、複数の層から構成される。界面検出センサ1は、検出光により非接触にて試験管50に収容された血液サンプル60の界面を検出する。
【0012】
図2図3は、試験管50及び血液サンプル60の例を示す。
図2に示す試験管50に収容された血液サンプル60は、第1層61と第2層62とを含む。第1層61は、例えば血清又は血漿であり、第2層62は、血清及び血漿以外の成分であり、例えば血餅、血球、等を含む。
【0013】
図3に示す試験管50に収容された血液サンプル60は、第1層61と及び第2層62と、第1層61と第2層62との間の第3層63を含む。第3層63は、分離剤の層である。分離剤は、例えば有機性分離ゲルである。
【0014】
界面検出センサ1は、図2に示す血液サンプル60において、第1層61と第2層62との界面66、第1層61と空気64との界面(第1層61の表面)65を検出する。また、界面検出センサ1は、図3に示す血液サンプル60において、第1層61と第3層63との界面67、第3層63と第2層62との界面68、第1層61と空気64との界面65を検出する。
【0015】
図4に示すように、試験管50の表面には、1枚又は複数枚の識別ラベル51が貼付される。識別ラベル51は、試験管の種類、検査項目、検体である血液サンプル60、等の識別に用いられる。識別ラベル51は、例えばバーコードラベルである。界面検出センサ1が用いる検出光は、この識別ラベル51を透過する性質を有する。従って、識別ラベルによって血液サンプル60の界面が視認できない試験管50においても、この界面検出センサ1によって界面を検出できる。
【0016】
界面検出センサ1は、投光部10及び受光部20を有している。本実施形態において、投光部10と受光部20は、試験管50を挟んで配置される。更に、本実施形態の界面検出センサ1は、投光部10と試験管50との間に配置された光合流部30を有している。
【0017】
界面検出センサ1と試験管50は、高さ方向(Z方向)に沿って相対的に移動可能である。本実施形態において、界面検出センサ1は、移動機構80によって試験管50に対して高さ方向(Z方向)に沿って移動される。なお、界面検出センサ1の位置を固定し、試験管50を高さ方向(Z方向)に移動させるようにしてもよい。
【0018】
投光部10は、第1波長の第1検出光L1と、第2波長の第2検出光L2とを投光するように構成されている。投光部10は、第1投光素子11及び第2投光素子12と、第1投光素子11を駆動する第1ドライバ13と、第2投光素子12を駆動する第2ドライバ14とを備えている。第1投光素子11は、第1検出光L1を投光する。第2投光素子12は、第2検出光L2を投光する。
【0019】
例えば、第1ドライバ13は、パルス状の第1検出光L1を投光するように第1投光素子11を制御する。同様に、第2ドライバ14は、パルス状の第2検出光L2を投光するように第2投光素子12を制御する。
【0020】
第1検出光L1の第1波長と第2検出光L2の第2波長は、検出対象に応じて設定される。本実施形態の検出対象は血液サンプル60であり、この血液サンプル60を遠心分離した血清又は血漿の第1層61と、血清及び血漿以外の成分を含む第2層62と、第1層61と第2層62との間の分離剤からなる第3層63とを含む。第1検出光L1の第1波長と第2検出光L2の第2波長は、第1検出光L1と第2検出光L2とが第1層61と第2層62とで変化するように設定される。
【0021】
第1検出光L1と第2検出光L2は、赤外線領域の波長の光である。また、第2検出光L2は、第1検出光L1の波長よりも長波長側の波長領域の波長の光である。第1検出光L1と第2検出光L2は、近赤外線領域の波長の光であることが好ましい。本実施形態において、第1検出光L1の第1波長は、800nm以上1100nm以下である。第2検出光L2の第2波長は、1300nm以上2000nm以下である。第1波長は例えば975nmであり、第2波長は例えば1550nmである。第1検出光L1と第2検出光L2の波長、つまり第1投光素子11と第2投光素子12は、検出対象物において透過光量、つまり受光量に変化が生じるものであること、素子の入手が容易であること、等が考慮されてもよい。
【0022】
図5は、血液サンプルにおける波長-透過率特性を示す。なお、透過率は、図1に示す受光素子21で検出光を直接受光したときの受光量と、厚さ16mmの検体を透過した検出光を受光素子21で受光したときの受光量との割合である。図5において、実線の特性線A1は血清(第1層61)の透過率、破線の特性線A2は分離剤(第3層63)の透過率、破線の特性線A3は、血餅(第2層62)の透過率、一点鎖線の特性線A4は識別ラベル51の透過率をそれぞれ示す。
【0023】
図1に示すように、光合流部30は、第1検出光L1と第2検出光L2とを同一光路に合流させる。同一光路は、光合流部30から、試験管50を透過して受光部20に向かう光路である。本実施形態の光合流部30は、反射ミラー31とダイクロイックミラー32とを備え、第1検出光L1と第2検出光L2とを同一光路に合流させる。合流された第1検出光L1及び第2検出光L2は、試験管50を透過して受光部20に向かう。
【0024】
第1検出光L1と第2検出光L2は、光合流部30を介して試験管50に向けて出力される。第1検出光L1及び第2検出光L2は、受光部20に入射する。
受光部20は、単一の受光素子21と増幅器22とを有している。受光素子21は、第1検出光L1と第2検出光L2とを受光する受光特性を有している。受光素子21は、受光した光量に応じたレベルの受光信号を出力する。増幅器22は、受光素子21から出力される信号を増幅した受光信号S21を出力する。なお、受光素子21が出力する信号を受光信号S21としてもよい。
【0025】
本実施形態の界面検出センサ1は、制御部40を有する。制御部40は、投光部10を制御する機能を有している。また、界面検出センサ1は、受光部20が出力する受光信号S21に基づいて、検出対象の界面を検出する機能を有している。
【0026】
制御部40は、CPU41、出力部42、増幅器43、A/D変換器44、出力部45を備えている。CPU41は、出力部42及びドライバ13,14を介して第1投光素子11と第2投光素子12とを制御する。CPU41は、受光素子21に対して第1検出光L1と第2検出光L2とが同時に入射するように、第1投光素子11と第2投光素子12とを制御する。例えば、CPU41は、第1投光素子11と第2投光素子12とが第1検出光L1と第2検出光L2とを同期して投光するように、第1投光素子11及び第2投光素子12を制御する。
【0027】
CPU41は、増幅器43及びA/D変換器44を介して、受光部20が出力する受光信号のデジタル値を入力する。このデジタル値は、受光部20が同時に受光する第1検出光L1及び第2検出光L2の受光量を示す。このデジタル値を受光部20における受光量とする。CPUは、受光部20の受光量に基づいて、検出対象の界面を検出する。そして、CPU41は、出力部45を介して、検出した界面を示す検出信号S41を出力する。
【0028】
一例として、CPU41は、メモリに記憶されたしきい値と受光量とを比較し、比較結果により界面を検出する。しきい値は、検出対象に応じて設定される。
例えば、図2に示す検出対象において、第1層61と第2層62との界面66を検出する場合、第1層61と第2層62とで変化する受光量に応じてしきい値が設定される。また、第1層61と空気との界面65を検出する場合、第1層61と空気とで変化する受光量に応じて設定される。同様に、図3に示す検出対象において、第1層61と第3層63の界面67、第3層63と第2層62との界面68、第1層61と空気との界面65を検出する場合、各層により変化する受光量に応じてしきい値が設定される。
【0029】
図4に示すように、試験管50に識別ラベル51が貼付された検出対象の場合、識別ラベル51を透過する第1検出光L1及び第2検出光L2の光量が減少する、つまり図1に示す受光部20の受光量が減少する。しかし、図4に示すように、識別ラベル51の透過率に波長依存性が少ない場合もあるため、上記した各層にて変化する受光量に応じてしきい値を設定することで、各層の界面を検出できる。なお、波長依存性については、識別ラベル51の種類(厚さ、色、材質等)によって異なるものがあるため、第1検出光L1と第2検出光L2の波長は、識別ラベル51の種類毎に、透過や吸収を考慮して選択される。
【0030】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
図6に示すように、血液サンプル60として第1層61と第2層62とを含む検出対象とする。検出対象を透過する第1検出光L1及び第2検出光L2の位置をZ位置とし、各位置における受光量を示す。第2層62(血清及び血漿以外)は、血餅や血球を含むため、第1検出光L1及び第2検出光L2が透過し難く、受光部20における受光量が少ない。第1層61(血清又は血漿)は、図5に示すように、第1波長(800~1100nm)の第1検出光L1の透過率は高く、第2波長(1300~2000nm)の第2検出光L2の透過率は低い。従って、受光部20の受光量は、第2層62と比べ、第1層61が多くなる。このため、第2層62における受光量と第1層61における受光量とに応じて設定されたしきい値により、第1層61と第2層62との界面66を検出できる。
【0031】
更に、第1層61より上の空気64では、第1検出光L1及び第2検出光L2の透過率が高い。従って、受光部20の受光量は、第1層61と比べ、空気64の受光量が多くなる。このため、第1層61における受光量と空気64における受光量とに応じて設定されたしきい値により、第1層61と空気64との界面65を検出できる。
【0032】
図7に示すように、血液サンプル60として第1層61と第2層62と第3層63とを含む検出対象とする。検出対象を透過する第1検出光L1及び第2検出光L2の位置をZ位置とし、各位置における受光量を示す。第1層61及び第2層62の受光量は、図6に示す例と同様である。第3層63は、分離剤であり、図5に示すように、第1検出光L1及び第2検出光L2の透過率が高くなる場合がある。従って、受光部20の受光量は、第1層61における受光量、第2層62における受光量よりも多くなる。このため、第2層62と第3層63における受光量、第3層63と第1層61における受光量に応じて設定されたしきい値により、第2層62と第3層63との界面68、第3層63と第1層61との界面67を検出できる。また、図6に示す血液サンプル60と同様に、図7に示す血液サンプル60においても、第1層61と空気64との界面65を検出できる。なお、分離剤の種類によって、波長と透過率の関係(透過率が高い波長帯、透過率が低い波長帯)は異なるものがあるため、第1検出光L1と第2検出光L2の波長は、分離剤毎に、透過や吸収を考慮して選択される。
【0033】
(効果)
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1-1)界面検出センサ1は、第1層61と第2層62とを含む血液サンプル60に対して第1検出光L1と第2検出光L2とを投光し、第1層61と第2層62との界面を検出する。界面検出センサ1は、2つの第1投光素子11及び第2投光素子12と、単一の受光素子21とを有する。第1投光素子11は、第1波長の第1検出光L1を投光する。第2投光素子12は、第1波長と異なる第2波長の第2検出光L2を投光する。単一の受光素子21は、第1投光素子11及び第2投光素子12から投光され血液サンプル60を透過した第1検出光L1と第2検出光L2とを受光し、第1検出光L1及び第2検出光L2に応じた受光信号S21を出力する。第1検出光L1と第2検出光L2は、透過する第1層61と第2層62とで変化する。したがって、単一の受光素子21において、第1検出光L1及び第2検出光L2との受光量により、第1層61と第2層62との境界を検出できる。つまり、受光素子21から出力される単一の受光信号は、第1検出光L1に応じた受光量の変化と、第2検出光L2に応じた受光量変化とを合成した(加算した)単一の受光変化を示す。このように、複雑な処理を行うことなく、第1検出光L1と第2検出光L2とを単一の受光素子21で受光するという簡易な処理で界面を検出できる。
【0034】
(1-2)識別ラベル51が試験管50に貼付された場合、その識別ラベル51は、第1層61と第2層62による第1検出光L1及び第2検出光L2の変化に対する影響は少ないため、識別ラベル51が貼付された試験管50に収容された血液サンプル60の第1層61と第2層62の界面、又は第1層61と第3層63との界面を容易に検出できる。
【0035】
(1-3)界面検出センサ1は、第1検出光L1及び第2検出光L2を受光する単一の受光素子21を有する。この単一の受光素子21における受光量は、第1検出光L1と第1検出光L1とをそれぞれ別の受光素子にて受光するものと比べて多い。従って、単一の受光素子21における受光量を多くすることができる。このため、複数の識別ラベル51が貼付された試験管50について十分な透過光量を確保でき、試験管50に収容した血液サンプル60の界面を容易に検出できる。
【0036】
(1-4)界面検出センサ1は、第1検出光L1と第2検出光L2とを同一光路に合流させる光合流部30を有する。これにより、第1検出光L1を投光する第1投光素子11と第2検出光L2を投光する第2投光素子12との試験管50に対する傾きが許容され、界面検出センサ1の構成、取付けを高精度とする必要がなく、簡易な構成により界面を掲出できる。
【0037】
(第1実施形態の変更例)
図1に示す増幅器43から受光量を示す信号S42を出力するようにしてもよい。なお、受光部20の増幅器43から信号S42を出力するようにしてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、受光部20の受光量としきい値とにより界面を検出したが、受光量の変化量又は変化率により界面を検出するようにしてもよい。例えば、図6に示す血液サンプル60では、Z位置に対して受光量の変化量又は変化率が所定値以上の場合、そこに界面があることが検出できる。そして、第1検出光L1及び第2検出光L2と試験管50との相対位置(Z位置)により、検出した界面が第2層62と第1層61との界面66か、第1層61と空気64との界面65かを判定できる。
【0039】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図8図9に従って説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部又は全てを省略する。
【0040】
図8に示すように、第2実施形態の界面検出センサ2は、投光部10と受光部20を有しており、図1に示す光合流部30を備えていない。
本実施形態において、投光部10から投光される第1検出光L1と第2検出光L2は、それぞれの光路にて受光部20の受光素子21に受光される。本実施形態において、第1投光素子11は、受光素子21に向けて第1検出光L1を投光するように配置され、第2投光素子12は、受光素子21に向けて第2検出光L2を投光するように配置される。つまり、第1投光素子11及び第2投光素子12は、単一の受光素子21に向けて第1検出光L1及び第2検出光L2を投光するように配置される。本実施形態の界面検出センサ2は、図1に示す光合流部30を備えていないため、簡略化された構成により、検出対象である血液サンプル60の界面65,67,68(図2に示す界面65,66)を検出できる。
【0041】
(効果)
以上記述したように、本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0042】
(2-1)投光部10から投光される第1検出光L1と第2検出光L2は、それぞれの光路にて受光部20の受光素子21に受光される。本実施形態の界面検出センサ2は、第1実施形態の界面検出センサ1と比べ、より簡略化された構成により、検出対象である血液サンプル60の界面65,67,68(図2に示す界面65,66)を検出できる。
【0043】
(第2実施形態の変更例)
・上記第2実施形態では、第1検出光L1と第2検出光L2とがそれぞれ単一の受光素子21に受光されればよく、第1検出光L1と第2検出光L2の光路は適宜変更できる。
【0044】
図9から図12は、高さ方向(Z方向)から視た試験管50、第1投光素子11、第2投光素子12及び受光素子21を示す。
図9に示すように、第1検出光L1と第2検出光L2とが平行となるように第1投光素子11及び第2投光素子12が配置されてもよい。
【0045】
図10に示すように、第1投光素子11と第2投光素子12は、第1検出光L1と第2検出光L2とが試験管50及び血液サンプルへの入射、出射において屈折した後に単一の受光素子21に入射するように配置されてもよい。
【0046】
図11に示すように、第1投光素子11と第2投光素子12は、第1検出光L1と第2検出光L2とが試験管50の内面で反射した後に単一の受光素子21に入射するように配置されてもよい。この場合、第1投光素子11及び第2投光素子12と単一の受光素子21とが試験管50に対して同じ側に配置されるため、界面検出センサの小型化を図ることができる。
【0047】
図12に示すように、第1投光素子11と第2投光素子12は、第1検出光L1と第2検出光L2とがミラー35にて反射された後に単一の受光素子21に入射するように配置されてもよい。
【0048】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態を図13に従って説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0049】
本実施形態の界面検出センサ3の投光部10は、1つの投光素子15と、その1つの投光素子15を駆動するドライバ16とを有している。この投光素子15は、第1検出光L1と第2検出光L2とを投光可能に構成されている。つまり、この投光素子15は、2つの発光領域を備え、ドライバ16によって駆動されることにより、それぞれの発光領域から第1検出光L1と第2検出光L2とを投光する。
【0050】
1つの投光素子15により、第1検出光L1と第2検出光L2とを容易に投光できる。また、1つの投光素子15により第1検出光L1と第2検出光L2とを投光させることにより、1つの受光素子21にて第1検出光L1と第2検出光L2との同時受光を容易とすることができる。
【0051】
(効果)
以上記述したように、本実施形態によれば、上記実施形態の効果に加え、以下の効果を奏する。
【0052】
(3-1)投光部10は、第1検出光L1と第2検出光L2とを投光する1つの投光素子15を有している。これにより、第1検出光L1と第2検出光L2とを容易に投光できる。
【0053】
(3-2)1つの投光素子15により第1検出光L1と第2検出光L2とを投光させることにより、1つの受光素子21にて第1検出光L1と第2検出光L2との同時受光を容易とすることができる。
【0054】
(変更例)
上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0055】
・上記各実施形態における検出対象を適宜変更することができる。
図14に示すように、検出対象70は、互いに重ねられた第1層71と第2層72とからなる。第1層71及び第2層72は、固体である。この検出対象70は、例えばレーザ加工により互いに溶着されるものである。第1層71の材料は、例えばレーザ透過性を有する樹脂である。第2層72の材料は、レーザ吸収性を有する樹脂である。
【0056】
界面検出センサ1により、第1層71と第2層72とが接する界面を検出する。この検出した界面に対し、加工するレーザ光をフォーカスする、又は界面からレーザ光を少しデフォーカスするように、レーザ光の焦点距離を調整する。これにより第1層71と第2層72とを効率よく溶着できる。
【0057】
なお、第1層71と第2層72とを同じ材料とし、第1層71と第2層72との間に接着剤73を介在させる。この接着剤をレーザ光や紫外線光にて溶融させ、第1層71と第2層72とを接着する。第1層71と第2層72との間の界面を検出することにより、接着剤層の厚さを検出することができる。
【0058】
また、第1層71と第2層72とを有する成形品を検査対象としてもよい。例えば、金型による2色成形品の場合、界面検出センサにより、成形後の第1層71と第2層72との厚さの検査を検査できる。また、第1層71と第2層72との間に2つの界面を検出した場合、第1層71と第2層72との間に空気等の層が形成されていることが判る。これにより、成形品の良否判定を行うことができるようになる。
【0059】
・上記各実施形態では、第1層61と第2層62とを含む血液サンプル60(第1層61と第2層62と第3層63とを含む血液サンプル60)を検査対象とした。界面は、空気等の気体と液体又は固体との間の境界にも形成される。従って、1層のみからなるものを検査対象とし、その検査対象と外部雰囲気(空気等)との境界を検出するようにしてもよい。
【0060】
・上記実施形態に対し、検出対象の層をゲル状としてもよい。
・上記各実施形態に対し、第1検出光L1と第2検出光L2とを投光する投光部10の構成を適宜変更してもよい。
【0061】
例えば、ファイバーレーザを用い、ファイバーに入射する第1のレーザ光をと、その第1のレーザ光を増幅する励起光とを2つの検出光として用いるようにしてもよい。
また、ファイバカプラにて第1検出光L1と第2検出光L2とを合流して検出対象に向けて投光するようにしてもよい。
【0062】
・上記実施形態に対し、3つ以上の検出光を投光する投光部としてもよい。
[付記]
[付記1]
第1層と第2層とを含む検出対象に対して検出光を投光し、前記第1層と前記第2層との界面を検出するための界面検出センサであって、
第1波長の第1検出光を投光する第1投光部と、
前記第1波長と異なる第2波長の第2検出光を投光する第2投光部と、
前記第1投光部及び前記第2投光部から投光され前記検出対象を透過した前記第1検出光と前記第2検出光とを受光し、前記第1層と前記第2層とで変化する前記第1検出光及び前記第2検出光に応じた単一の受光信号を出力する単一の受光部と、
を備えた界面検出センサ。
[付記2]
前記第1検出光と前記第2検出光とを同一光路に合流させる光合流部を備える付記1に記載の界面検出センサ。
[付記3]
前記受光信号の受光量に基づいて、前記第1層と前記第2層との界面を判定する判定部を備えた付記1又は付記2に記載の界面検出センサ。
[付記4]
前記第1投光部と前記第2投光部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1検出光及び前記第2検出光をパルス状にて投光するとともに、前記第1検出光と前記第2検出光とが同時に前記受光部に入射するように前記第1投光部及び前記第2投光部を制御する、
付記1から付記3のいずれか一つに記載の界面検出センサ。
[付記5]
前記検出対象は、血液サンプルを収容した試験管であり、
前記第1層は、血清又は血漿であり、
前記第2層は、血清及び血漿を除く成分からなり、
前記第1波長及び前記第2波長は、赤外線領域の波長であり、
前記第2波長は、前記第1波長よりも長波長側の波長である、
付記1から付記4のいずれか一つに記載の界面検出センサ。
[付記6]
前記試験管には、1枚又は複数枚の識別ラベルが貼付されている、付記5に記載の界面検出センサ。
[付記7]
前記第1波長及び前記第2波長は、近赤外線領域である、付記1から付記6のいずれか一つに記載の界面検出センサ。
[付記8]
前記第1波長は、800nm以上1100nm以下であり、
前記第2波長は、1300nm以上2000nm以下である、
付記1から付記7のいずれか一つに記載の界面検出センサ。
【符号の説明】
【0063】
1~3 界面検出センサ
10 投光部
11 第1投光素子(第1投光部)
12 第2投光素子(第2投光部)
13 第1ドライバ
14 第2ドライバ
15 投光素子
16 ドライバ
20 受光部
21 受光素子(単一の受光部)
22 増幅器
30 光合流部
31 反射ミラー
32 ダイクロイックミラー
35 ミラー
40 制御部(判定部、制御部)
41 CPU
42 出力部
43 増幅器
44 A/D変換器
45 出力部
50 試験管
51 識別ラベル
60 血液サンプル(検出対象)
61 第1層(血清,血漿)
62 第2層(血清,血漿以外)
63 第3層(分離剤)
64 空気
65~68 界面
70 検出対象
71 第1層
72 第2層
73 接着剤
80 移動機構
A1~A4 特性線
L1 第1検出光
L2 第2検出光
S21 受光信号
S41 検出信号
S42 信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14