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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/46 20240101AFI20240104BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20240104BHJP
【FI】
G05D1/10
G05D1/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021530476
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2019043949
(87)【国際公開番号】W WO2021005809
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2019127150
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】久原 俊介
(72)【発明者】
【氏名】小西 一暢
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ウィリアム ジョン
(72)【発明者】
【氏名】浅井 勝彦
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-140101(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0118945(US,A1)
【文献】特開2019-015670(JP,A)
【文献】特表2018-527669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0314268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/10
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
無人飛行体から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離及び垂直方向の成分である第1垂直距離を前記無人飛行体から取得する通信部と、
記情報処理装置の第1スティックを傾けることで入力される前記垂直方向の操作量と、前記情報処理装置の第2スティックを傾けることで入力される前記水平方向の操作量と、を共に同じとしたとき、共に同じとした前記操作量に対して、前記無人飛行体を前記水平方向及び前記垂直方向に同時に移動させるべき前記水平方向の移動量と、前記垂直方向の移動量との比が前記第1水平距離と、前記第1垂直距離との比となる関係を決定する決定部と、
前記情報処理装置において前記第1スティックを傾けたことで入力され前記垂直方向の前記操作量及び前記第2スティックを傾けたことで入力された前記水平方向の前記操作量が共に第1操作量であるとき、前記関係に基づき前記第1操作量に対応する前記水平方向の第1移動量及び前記垂直方向の第2移動量を決定し、決定した前記第1移動量及び前記第2移動量に基づいて前記無人飛行体を移動させる移動制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記通信部は、さらに、移動中における前記無人飛行体の姿勢を前記無人飛行体から取得し、
前記通信部は、前記姿勢において測定される、前記無人飛行体から前記特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を前記無人飛行体から取得し、
前記情報処理装置は、前記無人飛行体の前記姿勢、前記第2水平距離及び前記第2垂直距離に基づいて前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を算出する距離算出部をさらに備える、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離のいずれかが閾値以下になった場合、前記関係を再決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移動制御部は、前記第1水平距離が閾値以上になった場合又は前記第1水平距離が取得されない場合、前記特定の場所の終了地点まで前記関係を固定する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記無人飛行体の移動中において定期的に測定される、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を前記無人飛行体から取得し、
前記情報処理装置は、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離に基づいて、前記無人飛行体が前記特定の場所に位置するか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記決定部は、前記無人飛行体が前記特定の場所に位置すると判定された場合に、前記関係を決定する、
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離に基づき前記特定の場所の表面と前記無人飛行体との位置関係を提示する提示部をさらに備える、
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記無人飛行体は撮像装置を備え、
前記情報処理装置は、前記関係に基づく前記無人飛行体の移動方向を前記撮像装置の撮像方向に設定する設定部をさらに備える、
請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置のプロセッサが、
無人飛行体から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離及び垂直方向の成分である第1垂直距離を前記無人飛行体から取得し、
記情報処理装置の第1スティックを傾けることで入力される前記垂直方向の操作量と、前記情報処理装置の第2スティックを傾けることで入力される前記水平方向の操作量と、を共に同じとしたとき、共に同じとした前記操作量に対して、前記無人飛行体を前記水平方向及び前記垂直方向に同時に移動させるべき前記水平方向の移動量と、前記垂直方向の移動量との比が前記第1水平距離と、前記第1垂直距離との比となる関係を決定し、
前記情報処理装置において前記第1スティックを傾けたことで入力され前記垂直方向の前記操作量及び前記第2スティックを傾けたことで入力された前記水平方向の前記操作量が共に第1操作量であるとき、前記関係に基づき前記第1操作量に対応する前記水平方向の第1移動量及び前記垂直方向の第2移動量を決定し、決定した前記第1移動量及び前記第2移動量に基づいて前記無人飛行体を移動させる、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人飛行体の移動を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔操縦される小型の無人飛行体が普及している。この無人飛行体は、複数のプロペラを備えており、複数のプロペラのそれぞれの回転数を制御することにより、空中を自在に飛行することができる。
【0003】
無人飛行体の遠隔操縦には、操縦器が用いられる。従来の操縦器は、2つのスティックを備えている。操縦者は、2つのスティックを左右の指で操作することにより、無人飛行体を遠隔操縦する。
【0004】
従来の操縦器では、2つのスティックにより、上昇、下降、前進、後進、左回転、右回転、左移動及び右移動の操作を行う必要がある。そのため、操作が煩雑であり、特に初心者が無人飛行体を操縦するのは困難であり、充分な訓練が必要になる。そこで、例えば、特許文献1は、操縦の簡易化を図るための技術を開示している。
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、斜め方向に向かって移動する無人飛行体の操作を支援することが困難であり、更なる改善が必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-317528号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、斜め方向に向かって移動する無人飛行体の操作を支援することができるとともに、無人飛行体の操作を容易にすることができる技術を提供することを目的とするものである。
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、無人飛行体から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離及び垂直方向の成分である第1垂直距離を取得する距離取得部と、前記第1水平距離と前記第1垂直距離との比に基づいて、前記無人飛行体を前記水平方向及び前記垂直方向に同時に移動させる量である移動量を決定する決定部と、前記移動量に基づいて前記無人飛行体を移動させる移動制御部と、を備える。
【0009】
本開示によれば、斜め方向に向かって移動する無人飛行体の操作を支援することができるとともに、無人飛行体の操作を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態における飛行制御システムの構成を示す外観図である。
図2】本開示の実施の形態における無人飛行体の一例を示す全体図である。
図3】本開示の実施の形態における無人飛行体の構成を示すブロック図である。
図4】本開示の実施の形態における操縦器の一例を示す全体図である。
図5】本開示の実施の形態における操縦器の構成を示すブロック図である。
図6】本開示の実施の形態における初期移動量情報の一例を示す図である。
図7】本開示の実施の形態における設定移動量情報の一例を示す図である。
図8】本開示の実施の形態の変形例における設定移動量情報の一例を示す図である。
図9】本開示の実施の形態における無人飛行体の移動開始前の移動量調整処理について説明するためのフローチャートである。
図10】本開示の実施の形態における無人飛行体の移動中の移動量調整処理について説明するためのフローチャートである。
図11】本開示の実施の形態において、無人飛行体が傾いている場合に第1水平距離及び第1垂直距離を算出する方法について説明するための模式図である。
図12】本開示の実施の形態において、斜面の頂上付近を移動する無人飛行体の飛行制御処理について説明するための模式図である。
図13】本開示の実施の形態において、第1斜面、第1斜面に続く平坦面及び平坦面に続く第2斜面を移動する無人飛行体の飛行制御処理について説明するための模式図である。
図14】本開示の実施の形態において、階段までの距離を測定する際における無人飛行体の測定位置決定処理について説明するための模式図である。
図15】本開示の実施の形態において、階段までの距離を測定する際における無人飛行体の位置補正について説明するための模式図である。
図16】本開示の実施の形態において、操縦器の表示部に表示される撮影画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
無人飛行体が坂道又は階段などの斜面の上空を飛行する場合、上昇させてから前進させるよりも、斜面に沿って移動させた方が、移動距離が短くなり、効率的に移動させることができる。
【0012】
ここで、2つのスティックを備える操縦器には、モード1及びモード2と呼ばれる2種類の操作方法がある。モード1の操作方法では、左側のスティックで前後方向の移動と回転とが操作され、右側のスティックで上下方向と左右方向とが操作される。一方、モード2の操作方法では、左側のスティックで上下方向の移動と回転とが操作され、右側のスティックで前後方向と左右方向とが操作される。例えば、無人飛行体を斜め上方向に向かって移動させる場合、モード1及びモード2のいずれの操作方法であっても、左側のスティック及び右側のスティックをともに前方に向けて傾斜させる操作が行われる。
【0013】
しかしながら、無人飛行体を斜面に沿って移動させるには、2つのスティックの操作量を斜面の角度に合わせて適切に調整する必要があり、特に初心者には困難な操作であり、充分な訓練が必要になる。
【0014】
例えば、上記の従来技術に示す防虫剤等散布用の模型航空機は、対象作物等からの飛行高度を検出するための飛行高度センサと、飛行高度センサの検出結果と予め設定された高度とを比較して、適正高度を保つように飛行高度調節用駆動部に信号を出力する制御部とを備えている。
【0015】
上記従来の技術では、飛行方向(前後方向)の操縦を支援することについては開示されているが、上下方向の操縦を支援することについては開示されていない。坂道又は階段などの斜面に沿って無人飛行体を飛行させる場合には、前後方向と上下方向とをともに操作する必要がある。
【0016】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理装置は、無人飛行体から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離及び垂直方向の成分である第1垂直距離を取得する距離取得部と、前記第1水平距離と前記第1垂直距離との比に基づいて、前記無人飛行体を前記水平方向及び前記垂直方向に同時に移動させる量である移動量を決定する決定部と、前記移動量に基づいて前記無人飛行体を移動させる移動制御部と、を備える。
【0017】
この構成によれば、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面に沿って無人飛行体が移動するので、斜め方向に向かって移動する無人飛行体の操作を支援することができるとともに、無人飛行体の操作を容易にすることができる。
【0018】
また、上記の情報処理装置において、前記決定部は、操縦者による前記無人飛行体の操縦を受け付ける操縦器において入力される操作量と、前記比とに基づいて前記移動量を決定してもよい。
【0019】
この構成によれば、操縦者による無人飛行体の操縦を受け付ける操縦器において入力される操作量と、比とに基づいて移動量が決定されるので、操縦器に対する操作量に応じて無人飛行体の移動量を変化させることができ、操縦者が所望する速度で無人飛行体を移動させることができる。
【0020】
また、上記の情報処理装置において、移動中における前記無人飛行体の姿勢を取得する姿勢取得部をさらに備え、前記距離取得部は、前記姿勢において測定される、前記無人飛行体から前記特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を取得し、前記距離取得部は、前記無人飛行体の前記姿勢、前記第2水平距離及び前記第2垂直距離に基づいて前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を算出してもよい。
【0021】
この構成によれば、移動中における無人飛行体の姿勢、第2水平距離及び第2垂直距離に基づいて第1水平距離及び第1垂直距離が算出されるので、無人飛行体が移動中に傾いた場合であっても、特定の場所の表面に沿って無人飛行体を移動させることができる。
【0022】
また、上記の情報処理装置において、前記決定部は、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離のいずれかが閾値以下になった場合、前記移動量を再決定してもよい。
【0023】
この構成によれば、第1水平距離及び第1垂直距離のいずれかが閾値以下になった場合、移動量が再決定されるので、移動中に特定の場所の表面の傾斜角度が変化したとしても、特定の場所の表面に沿って無人飛行体を移動させることができる。
【0024】
また、上記の情報処理装置において、前記移動制御部は、前記第1水平距離が閾値以上になった場合又は前記第1水平距離が取得されない場合、前記特定の場所の終了地点まで前記移動量を固定してもよい。
【0025】
無人飛行体が特定の場所を斜め上方向に移動している場合に、特定の場所の終了地点の手前付近では、第1水平距離が閾値以上になったり、第1水平距離が取得されなくなったりする。そのため、第1水平距離と第1垂直距離との正確な比を得ることができなくなり、特定の場所の終了地点まで無人飛行体を移動させ続けることが困難になる。しかしながら、この構成によれば、第1水平距離が閾値以上になった場合又は第1水平距離が取得されない場合、特定の場所の終了地点まで移動量が固定されるので、特定の場所の終了地点まで無人飛行体を移動させ続けることができる。
【0026】
また、上記の情報処理装置において、前記距離取得部は、前記無人飛行体の移動中において定期的に測定される、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を取得し、前記移動制御部は、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を取得しながら前記無人飛行体を前記水平方向に移動させ、前記無人飛行体が前記水平方向に移動している間に前記第1垂直距離が変化した場合、変化直前の第1位置まで前記無人飛行体を移動させ、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を取得しながら前記無人飛行体を前記第1位置から前記垂直方向に移動させ、前記無人飛行体が前記垂直方向に移動している間に前記第1水平距離が変化した場合、変化直前の第2位置まで前記無人飛行体を移動させ、前記距離取得部は、前記第2位置における前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を取得してもよい。
【0027】
特定の場所が、例えば階段である場合に、階段上の無人飛行体が存在する位置によっては、取得される第1水平距離と第1垂直距離とが変化する。しかしながら、この構成によれば、特定の場所が、例えば階段であっても、第1水平距離と第1垂直距離とを取得する階段上の位置が予め決められているので、階段に衝突することなく、階段に沿って無人飛行体を移動させることができる。
【0028】
また、上記の情報処理装置において、前記距離取得部は、前記無人飛行体の移動中において定期的に測定される、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離を取得し、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離に基づいて、前記無人飛行体が前記特定の場所に位置するか否かを判定する判定部をさらに備え、前記決定部は、前記無人飛行体が前記特定の場所に位置すると判定された場合に、前記移動量を決定してもよい。
【0029】
この構成によれば、移動中の無人飛行体が、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の上空に到達した場合に、自動的に移動量を決定することができ、特定の場所の表面に沿って無人飛行体を移動させることができる。
【0030】
また、上記の情報処理装置において、前記第1水平距離及び前記第1垂直距離に基づき前記特定の場所の表面と前記無人飛行体との位置関係を提示する提示部をさらに備えてもよい。
【0031】
この構成によれば、第1水平距離及び第1垂直距離に基づき特定の場所の表面と無人飛行体との位置関係が提示されるので、操縦者は、特定の場所に対する無人飛行体の位置を確認することができる。
【0032】
また、上記の情報処理装置において、前記無人飛行体は撮像装置を備え、前記移動量に基づく前記無人飛行体の移動方向を前記撮像装置の撮像方向に設定する設定部をさらに備えてもよい。
【0033】
この構成によれば、無人飛行体の移動方向が撮像されるので、操縦者は、無人飛行体の移動方向を見ながら操縦することができる。
【0034】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、プロセッサが、無人飛行体から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離及び垂直方向の成分である第1垂直距離を取得し、前記第1水平距離と前記第1垂直距離との比に基づいて、前記無人飛行体を前記水平方向及び前記垂直方向に同時に移動させる量である移動量を決定し、前記移動量に基づいて前記無人飛行体を移動させる。
【0035】
この構成によれば、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面に沿って無人飛行体が移動するので、斜め方向に向かって移動する無人飛行体の操作を支援することができるとともに、無人飛行体の操作を容易にすることができる。
【0036】
本開示の他の態様に係る無人飛行体は、無人飛行体から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離及び垂直方向の成分である第1垂直距離を測定する測定部と、上記のいずれかに記載の情報処理装置と、を備える。この構成によれば、上記の情報処理装置を無人飛行体に適用することができる。
【0037】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0038】
(実施の形態)
図1は、本開示の実施の形態における飛行制御システムの構成を示す外観図である。図1に示す飛行制御システムは、無人飛行体1及び操縦器2を備える。
【0039】
操縦器2は、操縦者3によって操作され、無人飛行体1を遠隔操縦する。操縦器2は、例えば無線により、無人飛行体1を操縦するための操縦情報を無人飛行体1へ送信する。
【0040】
無人飛行体1は、例えば、ドローンである。無人飛行体1は、操縦器2を用いて操縦者3により遠隔操縦される。無人飛行体1は、遠隔操縦により飛行する。無人飛行体1は、操縦器2からの操縦情報を受信し、受信した操縦情報に基づいて飛行する。無人飛行体1は、例えば、坂道又は階段などの斜面4に沿って斜め上方向又は斜め下方向に向かって移動する。
【0041】
図2は、本開示の実施の形態における無人飛行体の一例を示す全体図である。図3は、本開示の実施の形態における無人飛行体の構成を示すブロック図である。
【0042】
無人飛行体1は、図2に示すように、各種センサ1001と推進器1002とを少なくとも備える。また、無人飛行体1の内部には、制御部11、記憶部12、電力供給部13、カメラ14、距離測定部15、姿勢測定部16、駆動部17及び通信部18が収納されている。
【0043】
各種センサ1001は、例えばイメージセンサ又は距離センサなどであり、無人飛行体1の使用目的に応じて自由に実装される。
【0044】
推進器1002は、無人飛行体1を飛行させるための揚力、推力及びトルクを得るためのプロペラと、プロペラを回転させるモータとからなる。図2の例では、無人飛行体1は4個の推進器1002を有しているが、推進器1002の数は例えば5個以上であってもよい。
【0045】
図3に示す無人飛行体1は、制御部11、記憶部12、電力供給部13、カメラ14、距離測定部15、姿勢測定部16、駆動部17及び通信部18を備える。
【0046】
電力供給部13は、無人飛行体1の電源であり、無人飛行体1が備える蓄電池(不図示)から各部に電力を供給する。
【0047】
カメラ14は、無人飛行体1に取り付けられ、無人飛行体1から見た映像を撮影する。カメラ14は、無人飛行体1の進行方向の映像を撮影し、撮影した映像を出力する。
【0048】
距離測定部15は、例えば、距離センサである。距離測定部15は、無人飛行体1から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定する。特定の場所は、例えば、坂道又は階段である。距離測定部15は、光を出射する光源と、測定対象により反射した光を受光する受光部と、光源から出射した光が測定対象により反射して受光部により受光されるまでの時間を計測し、計測した時間から光源から測定対象物までの距離を算出する演算部とを備える。距離測定部15は、無人飛行体1の前面が斜面4に対向する状態において、無人飛行体1から斜面4までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定する。
【0049】
なお、距離測定部15は、無人飛行体1と、無人飛行体1の前方の水平方向に存在する対象物との間の距離を測定する。また、距離測定部15は、無人飛行体1と、無人飛行体1の下方の垂直方向に存在する対象物との間の距離を測定する。
【0050】
また、距離測定部15は、無人飛行体1と、無人飛行体1の後方の水平方向に存在する対象物との間の距離を測定してもよい。これにより、無人飛行体1が斜面を斜め下方向に移動する場合に、距離測定部15は、無人飛行体1の後面が斜面4に対向する状態において、無人飛行体1から斜面4までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定することが可能になる。
【0051】
また、距離測定部15は、無人飛行体1が斜面に沿って斜め方向への移動を開始した後、定期的に、無人飛行体1から斜面4までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を測定する。
【0052】
姿勢測定部16は、例えば、ジャイロセンサであり、無人飛行体1の姿勢を測定する。具体的には、姿勢測定部16は、無人飛行体1の角度を検知する。無人飛行体1の角度は、ピッチ角、ロール角及びヨー角を含む。ピッチ角は、ピッチ軸周りの角度であり、無人飛行体1の前後方向の角度を表す。ロール角は、ロール軸周りの角度であり、無人飛行体1の左右方向の角度を表す。ヨー角は、ヨー軸周りの角度であり、無人飛行体1の左右の回転角度を表す。姿勢測定部16は、移動中における無人飛行体1の姿勢を測定する。
【0053】
駆動部17は、無人飛行体1を飛行させる複数の推進器1002をそれぞれ駆動する。駆動部17は、無人飛行体1を飛行させる複数のプロペラを回転させる。
【0054】
通信部18は、無線により、操縦器2に種々の情報を送信するとともに、操縦器2から種々の情報を受信する。通信部18は、無人飛行体1を操縦するための操縦情報を操縦器2から受信する。通信部18は、距離測定指示信号を操縦器2から受信する。通信部18は、距離測定部15によって測定された第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を操縦器2へ送信する。また、通信部18は、姿勢測定部16によって測定された無人飛行体1の姿勢を操縦器2へ送信する。また、通信部18は、カメラ14によって撮影された映像を操縦器2へ送信する。
【0055】
制御部11は、例えばCPU(中央演算処理装置)であり、無人飛行体1の動作を制御する。制御部11は、中央制御部111、飛行制御部112、距離測定制御部113、姿勢測定制御部114及び映像送信制御部115を備える。
【0056】
記憶部12は、例えば半導体メモリであり、種々の情報を記憶する。記憶部12は、飛行基本プログラム121を記憶する。
【0057】
中央制御部111は、無人飛行体1の各部の動作を制御する。飛行基本プログラム121は、無人飛行体1の飛行を制御するためのプログラムである。
【0058】
飛行制御部112は、飛行基本プログラム121を実行することにより、操縦者により遠隔操縦される無人飛行体1の飛行を制御する。飛行制御部112は、通信部18によって受信された操縦情報に応じて無人飛行体1の飛行を制御する。また、飛行制御部112は、姿勢測定部16によって測定される無人飛行体1の角度に基づいて無人飛行体1の姿勢を制御する。
【0059】
距離測定制御部113は、通信部18によって距離測定指示信号が受信された場合、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定するように距離測定部15に対して指示する。また、距離測定制御部113は、距離測定部15によって測定された第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を通信部18へ出力する。
【0060】
また、距離測定制御部113は、無人飛行体1が斜面に沿って斜め方向への移動を開始した後、定期的に、第2水平距離及び第2垂直距離を測定するように距離測定部15に対して指示する。
【0061】
姿勢測定制御部114は、移動中における無人飛行体1の姿勢を測定するように姿勢測定部16に対して指示する。また、姿勢測定制御部114は、姿勢測定部16によって測定された無人飛行体1の姿勢を飛行制御部112及び通信部18へ出力する。
【0062】
映像送信制御部115は、カメラ14によって撮影された映像を、通信部18を介して操縦器2へ送信する。映像送信制御部115は、カメラ14から出力された映像に対して所定の画像処理を施す。映像送信制御部115は、例えばRTSP(Real Time Streaming Protocol)を利用してリアルタイムに映像を送信する。
【0063】
図4は、本開示の実施の形態における操縦器の一例を示す全体図である。図5は、本開示の実施の形態における操縦器の構成を示すブロック図である。
【0064】
図4に示すように操縦器2の表面には、第1スティック入力部241、第2スティック入力部242、調整指示入力部243及び表示部25が配置されている。
【0065】
第1スティック入力部241は、操縦者の左手の親指によって操作される。第2スティック入力部242は、操縦者の右手の親指によって操作される。
【0066】
操縦器2には、モード1及びモード2と呼ばれる2種類の操作方法がある。モード1の操作方法では、左側の第1スティック入力部241で無人飛行体1の前後方向の移動と回転とが操作され、右側の第2スティック入力部242で無人飛行体1の上下方向と左右方向とが操作される。一方、モード2の操作方法では、第1スティック入力部241で無人飛行体1の上下方向の移動と回転とが操作され、右側の第2スティック入力部242で無人飛行体1の前後方向と左右方向とが操作される。なお、本実施の形態では、モード2の操作方法を例に説明する。
【0067】
調整指示入力部243は、移動量の調整指示の操縦者による入力を受け付ける。調整指示入力部243は、例えば、ボタンであり、無人飛行体1を斜面に沿って斜め上方向又は斜め下方向へ移動させる際に操縦者によって押下される。なお、調整指示入力部243は、斜め上方向へ移動させる場合に移動量の調整指示の操縦者による入力を受け付ける第1調整指示入力部と、斜め下方向へ移動させる場合に移動量の調整指示の操縦者による入力を受け付ける第2調整指示入力部とを含んでもよい。
【0068】
表示部25は、例えば、液晶表示装置であり、種々の情報を表示するとともに、無人飛行体1のカメラ14によって撮影された映像を表示する。
【0069】
図5に示す操縦器2は、制御部21、記憶部22、電力供給部23、操作入力部24、表示部25及び通信部26を備える。
【0070】
電力供給部23は、操縦器2の電源であり、操縦器2が備える蓄電池(不図示)から各部に電力を供給する。
【0071】
操作入力部24は、操縦者による操作入力を受け付ける。操作入力部24は、操縦者の左手側に設けられた第1スティック入力部241と、操縦者の右手側に設けられた第2スティック入力部242と、調整指示入力部243とを含む。操縦者によって第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242が傾けられることにより、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242のそれぞれは、傾き方向と、傾き角度に応じた操作量とを制御部21へ出力する。無人飛行体1の動きは、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の傾き方向及び傾き角度に応じて制御される。操縦情報は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の傾き方向及び操作量を含む。操作量は、傾き角度に応じた“0”~“6”の6段階で表される。
【0072】
モード2の操作方法において、第1スティック入力部241が前方(操縦者から離れる方向)へ傾けられた場合、無人飛行体1は上昇し、第1スティック入力部241が後方(操縦者に近づく方向)へ傾けられた場合、無人飛行体1は下降する。第1スティック入力部241が左方へ傾けられた場合、無人飛行体1は左回転し、第1スティック入力部241が右方へ傾けられた場合、無人飛行体1は右回転する。
【0073】
また、モード2の操作方法において、第2スティック入力部242が前方(操縦者から離れる方向)へ傾けられた場合、無人飛行体1は前進し、第2スティック入力部242が後方(操縦者に近づく方向)へ傾けられた場合、無人飛行体1は後進する。第2スティック入力部242が左方へ傾けられた場合、無人飛行体1は左方向に移動し、第2スティック入力部242が右方へ傾けられた場合、無人飛行体1は右方向に移動する。
【0074】
なお、本実施の形態では、操縦器2は表示部25を備えているが、本開示は特にこれに限定されず、操縦器2は、操縦器2と通信可能に接続されたスマートフォン又はタブレット型コンピュータの表示部に、無人飛行体1のカメラ14によって撮影された映像を表示してもよい。また、操縦器2は、表示部25を備えていなくてもよい。
【0075】
通信部26は、無線により、無人飛行体1に種々の情報を送信するとともに、無人飛行体1から種々の情報を受信する。通信部26は、無人飛行体1へ操縦情報を送信する。通信部26は、無人飛行体1へ距離測定指示信号を送信する。通信部26は、無人飛行体1へ距離測定指示信号を送信した後、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を無人飛行体1から受信する。すなわち、通信部26は、無人飛行体1から、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を取得する。
【0076】
また、通信部26は、移動中における無人飛行体1の姿勢、第2水平距離及び第2垂直距離を無人飛行体1から受信する。すなわち、通信部26は、移動中における無人飛行体1の姿勢を取得する。また、通信部26は、移動中の姿勢において測定される、無人飛行体1から特定の場所の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を取得する。
【0077】
制御部21は、例えばCPUであり、操縦器2の動作を制御する。制御部21は、中央制御部211、操縦制御部212、距離測定指示部213、比率算出部214、移動量決定部215、移動量設定部216及び距離算出部217を備える。
【0078】
記憶部22は、例えば半導体メモリであり、種々の情報を記憶する。記憶部22は、飛行操縦基本プログラム221、初期移動量情報222及び設定移動量情報223を記憶する。
【0079】
中央制御部211は、操縦器2の各部の動作を制御する。飛行操縦基本プログラム221は、無人飛行体1を操縦するためのプログラムである。
【0080】
操縦制御部212は、飛行操縦基本プログラム221を実行することにより、無人飛行体1を操縦する。操縦制御部212は、操作入力部24による操作入力に応じて、無人飛行体1を操縦するための操縦情報を生成する。
【0081】
距離測定指示部213は、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、距離測定指示信号を通信部26へ出力する。操縦者は、無人飛行体1を斜面に沿って移動させる場合、無人飛行体1の前面(機首)を斜面に向けた状態で静止させ、調整指示入力部243を押下する。これにより、調整指示入力部243は、移動量の調整指示の入力を受け付ける。
【0082】
比率算出部214は、通信部26によって取得された第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比を算出する。
【0083】
初期移動量情報222は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量と、上方向の移動量の初期値及び前方向の移動量の初期値とを対応付けたテーブル情報である。
【0084】
図6は、本開示の実施の形態における初期移動量情報の一例を示す図である。
【0085】
図6に示すように、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量“0”~“5”のそれぞれには、上方向の移動量の初期値及び前方向の移動量の初期値“0”~“5”が対応付けられている。例えば、第1スティック入力部241の操作量が“1”であれば、無人飛行体1の上方向の移動量は“1”となる。移動量は、“0”~“5”の6段階で表される。なお、無人飛行体1の記憶部12は、“0”~“5”の移動量に対してどの程度無人飛行体1を移動させるのかを予め記憶している。
【0086】
移動量決定部215は、第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比に基づいて、無人飛行体1を水平方向及び垂直方向に同時に移動させる量である移動量を決定する。移動量決定部215は、操縦者による無人飛行体1の操縦を受け付ける操縦器2において入力される操作量と、比とに基づいて移動量を決定する。
【0087】
移動量設定部216は、移動量決定部215によって決定された移動量を記憶部22に記憶する。移動量設定部216は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量と、移動量決定部215によって決定された上方向の移動量及び前方向の移動量とを対応付けた設定移動量情報223を記憶部22に記憶する。
【0088】
設定移動量情報223は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量と、移動量決定部215によって決定された上方向の移動量及び前方向の移動量とを対応付けたテーブル情報である。
【0089】
図7は、本開示の実施の形態における設定移動量情報の一例を示す図である。例えば、第1水平距離d11が1.5メートルであり、第1垂直距離d12が1メートルである場合、比率算出部214は、第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比を3:2と算出する。この場合、移動量決定部215は、前方向の移動量と上方向の移動量との比が3:2となるように、前方向の移動量の初期値及び上方向の移動量の初期値を変更する。
【0090】
すなわち、図7に示すように、移動量決定部215は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量“0”~“5”のそれぞれに対して、上方向の移動量を“0”、“1”、“2”、“3”、“4”及び“5”に決定し、前方向の移動量を“0”、“1.5”、“3”、“4.5”、“6”及び“7.5”に決定する。なお、本実施の形態では、上方向の移動量は、初期値と同じ値に決定されており、前方向の移動量は、各初期値に3/2を乗算した値に決定されている。
【0091】
なお、本実施の形態において、操作量は、離散値であるが、連続値であってもよい。また、本実施の形態では、移動量決定部215は、上方向の移動量を基準に前方向の移動量を決定しているが、前方向の移動量を基準に上方向の移動量を決定してもよい。すなわち、本実施の形態では、移動量決定部215は、上方向の移動量を初期値から変更せずに、前方向の移動量を初期値から変更しているが、本開示は特にこれに限定されず、上方向の移動量を初期値から変更し、前方向の移動量を初期値から変更しなくてもよい。また、移動量決定部215は、上方向の移動量及び前方向の移動量の両方を初期値から変更してもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、無人飛行体1を斜め上方向に斜面に沿って移動させる場合、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方を同じ角度で傾ける操作が行われる。すなわち、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242がともに前方に傾倒され、かつ両方の操作量が同じである場合に、無人飛行体1は、斜め上方向に向かって、斜面に沿って移動する。
【0093】
また、本実施の形態では、無人飛行体1を斜め下方向に斜面に沿って移動させる場合、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方を同じ角度で傾ける操作が行われる。すなわち、第1スティック入力部241が後方に傾倒され、第2スティック入力部242が前方に傾倒され、かつ両方の操作量が同じである場合に、無人飛行体1は、斜め下方向に向かって、斜面に沿って移動する。
【0094】
また、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242が操作量を段階的に入力する場合、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242が同じ段階にあるときに、操縦制御部212は、無人飛行体1の斜め方向への移動を開始させる。
【0095】
また、操縦制御部212は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方の操作量が同じであるか否かを判断してもよい。第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方の操作量が同じであると判断された場合、表示部25は、無人飛行体1が移動可能であることを操縦者に通知してもよい。また、操作入力部24は、無人飛行体1の移動開始を指示するための移動開始ボタンをさらに備えてもよい。表示部25に無人飛行体1が移動可能であることが通知され、移動開始ボタンが押下された場合、操縦制御部212は、無人飛行体1の斜め方向への移動を開始させてもよい。
【0096】
また、操縦制御部212は、移動開始ボタンが押下された場合、通常モードから斜め方向移動モードに切り替えてもよい。斜め方向移動モードでは、操縦制御部212は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方の操作量が同じである場合に、設定移動量情報223に応じた水平方向の移動量と垂直方向の移動量とで無人飛行体1を移動させる。斜め方向移動モードでは、操縦制御部212は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量が異なる場合、無人飛行体1を静止させる。斜め方向移動モードでは、操縦制御部212は、斜め方向以外の方向への操作を受け付けなくてもよい。また、操縦制御部212は、移動開始ボタンが再度押下された場合、斜め方向移動モードから通常モードに切り替えてもよい。また、操縦制御部212は、斜め方向以外の方向への操作が入力された場合、斜め方向移動モードから通常モードに切り替えてもよい。
【0097】
また、操作入力部24は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242とは別に、斜め方向へ移動させるための第3スティック入力部を備えてもよい。第3スティック入力部が前方に傾倒された場合に、無人飛行体1は、操作量に応じた移動量で、斜め上方向に斜面に沿って移動してもよい。また、第3スティック入力部が後方に傾倒された場合に、無人飛行体1は、操作量に応じた移動量で、斜め下方向に斜面に沿って移動してもよい。
【0098】
また、操作入力部24は、斜め方向へ移動させるためのボタン入力部を備えてもよい。ボタン入力部の押下量が操作量に対応する。ボタン入力部が押下された場合に、無人飛行体1は、操作量に応じた移動量で、斜め上方向又は斜め下方向に斜面に沿って移動してもよい。
【0099】
図8は、本開示の実施の形態の変形例における設定移動量情報の一例を示す図である。
【0100】
図8に示すように、移動量決定部215は、ともに初期値より低くなるように上方向の移動量及び前方向の移動量を決定してもよい。例えば、移動量決定部215は、上方向の移動量を初期値の1/2の値に決定し、前方向の移動量を初期値に3/4を乗算した値に決定してもよい。
【0101】
上記のように、無人飛行体1を斜め上方向に斜面に沿って移動させる場合、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方を同時に操作する必要がある。そのため、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の一方のみを操作する場合に比べて、操縦が困難になるが、上方向の移動量及び前方向の移動量が初期値より低い値に決定されることにより、無人飛行体1の操作量に対する移動量が少なくなり、操縦が容易になる。
【0102】
なお、上方向の移動量及び前方向の移動量がともに初期値より低い場合、移動量決定部215は、最大の操作量が所定時間連続して入力されたか否かを判断してもよい。最大の操作量が所定時間連続して入力されたと判断された場合、移動量決定部215は、最大の操作量に対応する上方向の移動量及び前方向の移動量を増加させてもよい。例えば、最大の操作量“5”が5秒間連続して入力されたと判断された場合、移動量決定部215は、上方向の移動量を“3”に決定し、前方向の移動量を“4.5”に決定してもよい。さらに、移動量決定部215は、1秒経過する毎に、上方向の移動量を0.5ずつ増加させてもよい。
【0103】
また、無人飛行体1と斜面との間の距離が長い場合、操作量に対する移動量が小さくなくても、無人飛行体1が斜面に衝突する可能性が低くなる。そこで、移動量決定部215は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12に応じて移動量を決定してもよい。例えば、移動量決定部215は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12が閾値より短い場合、初期値より小さくなるように移動量を決定してもよい。
【0104】
なお、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量が異なる場合、無人飛行体1を静止させてもよい。また、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の両方を同時に操作するのではなく、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242のうちの一方のみを操作してもよい。
【0105】
距離算出部217は、無人飛行体1の姿勢、第2水平距離及び第2垂直距離に基づいて第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を算出する。
【0106】
操縦制御部212は、移動量決定部215によって決定された移動量に基づいて無人飛行体1を移動させる。操縦制御部212は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対応する上方向の移動量及び前方向の移動量を記憶部22の設定移動量情報223から読み出し、読み出した上方向の移動量及び前方向の移動量を含む操縦情報を生成する。そして、操縦制御部212は、生成した操縦情報を、通信部26を介して無人飛行体1へ送信する。
【0107】
なお、本実施の形態において、操縦器2は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータであってもよい。この場合、操縦者は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータが備えるタッチパネルを操作する。
【0108】
続いて、本実施の形態における無人飛行体1の移動開始前の移動量調整処理について説明する。
【0109】
図9は、本開示の実施の形態における無人飛行体の移動開始前の移動量調整処理について説明するためのフローチャートである。
【0110】
まず、ステップS1において、操縦器2の調整指示入力部243は、操縦者による移動量の調整指示の入力を受け付ける。無人飛行体1を斜面に沿って移動させる場合、操縦者は、斜面の上空の任意の位置に無人飛行体1を移動させ、調整指示入力部243により移動量の調整指示を入力する。なお、無人飛行体1を斜め上方向に移動させる場合、操縦者は、無人飛行体1の前面(機首)を斜面に対向させる。また、無人飛行体1を斜め下方向に移動させる場合、操縦者は、無人飛行体1の後面(機首の反対側)を斜面に対向させる。なお、無人飛行体1の距離測定部15が無人飛行体1の前面側の水平方向の距離のみを測定する場合、無人飛行体1を斜め下方向に移動させる場合であっても、操縦者は、無人飛行体1の前面(機首)を斜面に対向させる。
【0111】
次に、ステップS2において、通信部26は、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定するように指示するための距離測定指示信号を無人飛行体1へ送信する。距離測定指示部213は、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、距離測定指示信号を通信部26へ出力する。通信部26は、距離測定指示部213から入力された距離測定指示信号を無人飛行体1へ送信する。
【0112】
次に、ステップS3において、無人飛行体1の通信部18は、操縦器2によって送信された距離測定指示信号を受信する。
【0113】
次に、ステップS4において、距離測定部15は、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定する。距離測定制御部113は、通信部18によって距離測定指示信号が受信された場合、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定するように距離測定部15に対して指示する。距離測定部15は、距離測定制御部113からの指示に従って、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を測定する。このとき、垂直方向は、重力の向きと一致する。また、水平方向は、重力の向きに垂直な方向である。距離測定部15は、測定した第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を距離測定制御部113へ出力する。距離測定制御部113は、距離測定部15から入力された第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を通信部18へ出力する。
【0114】
次に、ステップS5において、通信部18は、距離測定部15によって測定された無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を操縦器2へ送信する。
【0115】
次に、ステップS6において、操縦器2の通信部26は、無人飛行体1によって送信された無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12を受信する。
【0116】
次に、ステップS7において、比率算出部214は、通信部26によって受信された第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比を算出する。
【0117】
次に、ステップS8において、移動量決定部215は、比率算出部214によって算出された第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比に基づいて、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対する無人飛行体1の水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を決定する。なお、無人飛行体1を斜め上方向に移動させる場合、移動量決定部215は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対する無人飛行体1の前方向の移動量及び上方向の移動量を決定する。また、無人飛行体1を斜め下方向に移動させる場合、移動量決定部215は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対する無人飛行体1の前方向の移動量及び下方向の移動量を決定する。
【0118】
次に、ステップS9において、移動量設定部216は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量と、移動量決定部215によって決定された水平方向の移動量及び垂直方向の移動量とを対応付けた設定移動量情報223を記憶部22に記憶する。
【0119】
次に、ステップS10において、表示部25は、移動量の調整完了を操縦者に通知する。すなわち、表示部25は、移動量の調整完了を通知するための通知画面を表示する。操縦者は、表示部25に表示された通知画面を確認し、無人飛行体1を斜面に沿って移動させるための操作を開始する。
【0120】
移動量の調整が完了した後、操縦制御部212は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242がともに前方に傾けられた場合、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対応付けられている水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を記憶部22から読み出す。そして、操縦制御部212は、読み出した水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を含む操縦情報を作成し、通信部26を介して無人飛行体1へ送信する。無人飛行体1の通信部18は、操縦情報を受信する。飛行制御部112は、受信された操縦情報に含まれる水平方向の移動量及び垂直方向の移動量に応じて無人飛行体1を斜面に沿って移動させる。
【0121】
操縦者が第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242を前方に傾けた状態を維持することにより、無人飛行体1は、記憶部22に記憶されている設定移動量情報223に従った水平方向の移動量と垂直方向の移動量とにより斜め上方向に移動する。そして、操縦者が第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242を中立位置に戻した場合、無人飛行体1は斜め上方向への移動を停止する。または、操縦者が第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の少なくとも一方を前方以外の方向に傾けた場合、無人飛行体1は斜め上方向への移動を停止する。
【0122】
このように、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所の表面に沿って無人飛行体1が移動するので、斜め方向に向かって移動する無人飛行体1の操作を支援することができるとともに、無人飛行体1の操作を容易にすることができる。
【0123】
なお、坂道などの斜面の傾斜角度は一定であるとは限らない。そのため、操縦器2は、無人飛行体1の移動中も距離を取得し、設定移動量情報223を更新することが好ましい。また、無人飛行体1は、機首を下げた状態で前進する。そのため、操縦器2は、無人飛行体1が前傾した状態であっても、正確な第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得する必要がある。
【0124】
ここで、本実施の形態における無人飛行体1の移動中の移動量調整処理について説明する。
【0125】
図10は、本開示の実施の形態における無人飛行体の移動中の移動量調整処理について説明するためのフローチャートである。
【0126】
まず、ステップS21において、無人飛行体1の操縦制御部212は、無人飛行体が斜め方向へ移動中であるか否かを判断する。ここで、無人飛行体が斜め方向へ移動していないと判断された場合(ステップS21でNO)、ステップS21の処理が繰り返し行われる。
【0127】
一方、無人飛行体が斜め方向へ移動中であると判断された場合(ステップS21でYES)、距離測定部15は、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を測定する。距離測定制御部113は、無人飛行体1が斜め方向へ移動している際に、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を測定するように距離測定部15に対して指示する。距離測定部15は、距離測定制御部113からの指示に従って、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第2水平距離及び垂直方向の成分である第2垂直距離を測定する。距離測定部15は、測定した第2水平距離及び第2垂直距離を距離測定制御部113へ出力する。距離測定制御部113は、距離測定部15から入力された第2水平距離及び第2垂直距離を通信部18へ出力する。なお、上記したように、移動中の無人飛行体1は前傾するため、移動中の無人飛行体1によって測定された第2垂直距離が、重力の向きである第1垂直距離d12と一致するとは限らない。
【0128】
次に、ステップS23において、姿勢測定部16は、無人飛行体1の姿勢を測定する。無人飛行体1の姿勢は、無人飛行体1の傾き角度を表し、少なくとも無人飛行体1の前後方向の傾き角度を表す。姿勢測定制御部114は、移動中における無人飛行体1の姿勢を測定するように姿勢測定部16に対して指示する。姿勢測定部16は、姿勢測定制御部114からの指示に従って、無人飛行体1の姿勢を測定する。姿勢測定部16は、測定した無人飛行体1の姿勢を姿勢測定制御部114へ出力する。姿勢測定制御部114は、姿勢測定部16から入力された無人飛行体1の姿勢を通信部18へ出力する。
【0129】
次に、ステップS24において、通信部18は、無人飛行体1の姿勢、第2水平距離及び第2垂直距離を操縦器2へ送信する。
【0130】
次に、ステップS25において、操縦器2の通信部26は、無人飛行体1によって送信された無人飛行体1の姿勢、第2水平距離及び第2垂直距離を受信する。
【0131】
次に、ステップS26において、操縦制御部212は、通信部26によって受信された無人飛行体1の姿勢に基づいて、無人飛行体1が傾いているか否かを判断する。
【0132】
ここで、無人飛行体1が傾いていないと判断された場合(ステップS26でNO)、ステップS28において、比率算出部214は、通信部26によって受信された第2水平距離と第2垂直距離との比を、第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比として算出する。
【0133】
一方、無人飛行体1が傾いていると判断された場合(ステップS26でYES)、ステップS27において、距離算出部217は、無人飛行体1の姿勢、第2水平距離及び第2垂直距離に基づいて第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を算出する。
【0134】
図11は、本開示の実施の形態において、無人飛行体が傾いている場合に第1水平距離及び第1垂直距離を算出する方法について説明するための模式図である。
【0135】
無人飛行体1の傾きα、第2水平距離d21及び第2垂直距離d22は既知である。そのため、距離算出部217は、正弦定理を用いて、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を算出する。第1水平距離d11及び第1垂直距離d12は、以下の式(1)及び式(2)により算出される。
【0136】
11=d21*sin(180-tan-1(d22/d21))/sin(tan-1(d22/d21)-α)・・・(1)
【0137】
12=d21*sin(tan-1(d22/d21))/sin(α+tan-1(d21/d22))・・・(2)
【0138】
次に、ステップS28において、比率算出部214は、距離算出部217によって算出された第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比を算出する。
【0139】
次に、ステップS29において、移動量決定部215は、比率算出部214によって算出された第1水平距離d11と第1垂直距離d12との比に基づいて、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対する無人飛行体1の水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を決定する。
【0140】
次に、ステップS30において、移動量設定部216は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量と、移動量決定部215によって決定された水平方向の移動量及び垂直方向の移動量とを対応付けた設定移動量情報223を更新する。
【0141】
なお、本実施の形態では、無人飛行体1の傾きと、無人飛行体1が傾いた状態で測定された第2水平距離及び第2垂直距離とに基づいて、鉛直方向に垂直な方向である第1水平距離d11及び鉛直方向である第1垂直距離d12が算出されるが、本開示は特にこれに限定されず、無人飛行体1は、距離を測定する方向がそれぞれ異なる複数の距離測定部を備えてもよい。例えば、複数の距離測定部は、垂直方向の距離及び水平方向の距離を測定する第1距離測定部、垂直方向から前方に10度傾いた方向の距離及び水平方向から前方に10度傾いた方向の距離を測定する第2距離測定部、及び垂直方向から前方に20度傾いた方向の距離及び水平方向から前方に20度傾いた方向の距離を測定する第3距離測定部を含んでもよい。無人飛行体1は、無人飛行体1の傾きに応じて、複数の距離測定部のうち、鉛直方向の距離を算出することが可能な距離測定部を特定し、特定した距離測定部によって測定された第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を操縦器2へ送信してもよい。
【0142】
また、無人飛行体1は、自重により傾き、常に鉛直方向の距離及び鉛直方向に垂直な水平方向の距離を測定可能な距離測定部を備えてもよい。さらに、無人飛行体1は、無人飛行体1の傾きに応じて距離測定部を傾ける駆動部をさらに備えてもよく、距離測定部は、駆動部の動作により、常に鉛直方向の距離及び鉛直方向に垂直な水平方向の距離を測定してもよい。
【0143】
また、本実施の形態では、移動中における無人飛行体1の水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を決定し、設定移動量情報を更新しているが、斜面から所定の距離以上離れていれば、設定移動量情報を常時更新する必要はない。そこで、移動量決定部215は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12のいずれかが閾値以下になった場合、移動量を再決定してもよい。無人飛行体1が斜め上方向へ移動する場合、移動量決定部215は、第1水平距離d11が閾値以下であるか否かを判断し、第1水平距離d11が閾値以下であると判断した場合、移動量を再決定してもよい。また、無人飛行体1が斜め下方向へ移動する場合、移動量決定部215は、第1垂直距離d12が閾値以下であるか否かを判断し、第1垂直距離d12が閾値以下であると判断した場合、移動量を再決定してもよい。これにより、無人飛行体1が斜面に接近した場合にのみ、移動量が再決定され、設定移動量情報が更新されるので、処理量を減らすことができる。
【0144】
また、無人飛行体1が斜面から所定の距離以上離れた場合に、移動量を再決定してもよい。すなわち、移動量決定部215は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12のいずれかが閾値以上になった場合、移動量を再決定してもよい。これにより、無人飛行体1が斜面から徐々に離れることを防止することができ、無人飛行体1を斜面に沿って移動させることができる。
【0145】
また、無人飛行体1が屋内を移動する場合、斜面だけでなく、天井に衝突するおそれもある。そこで、距離測定部15は、無人飛行体1から天井の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第3水平距離及び垂直方向の成分である第3垂直距離を測定してもよい。操縦器2の通信部26は、無人飛行体1から天井の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第3水平距離及び垂直方向の成分である第3垂直距離を取得してもよい。移動量決定部215は、無人飛行体1から天井の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第3水平距離及び垂直方向の成分である第3垂直距離のいずれかが閾値以下になった場合、移動量を再決定してもよい。無人飛行体1が斜め上方向へ移動する場合、移動量決定部215は、無人飛行体1から天井の表面までの距離のうちの垂直方向の成分である第3垂直距離が閾値以下であるか否かを判断し、第3垂直距離が閾値以下であると判断した場合、移動量を再決定してもよい。また、無人飛行体1が斜め下方向へ移動する場合、移動量決定部215は、無人飛行体1から天井の表面までの距離のうちの水平方向の成分である第3水平距離が閾値以下であるか否かを判断し、第3水平距離が閾値以下であると判断した場合、移動量を再決定してもよい。これにより、無人飛行体1が天井に接近するのを防止することができる。
【0146】
また、本実施の形態では、無人飛行体1の移動中に移動量の再決定を行っているが、本開示は特にこれに限定されず、移動量の再決定を行う際には、無人飛行体1を静止させ、無人飛行体1をホバリングさせた状態で、移動量の再決定を行ってもよい。この場合、無人飛行体1が傾斜しないので、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12の測定精度を向上させることができる。
【0147】
続いて、斜面の頂上付近を移動する無人飛行体1の飛行制御処理について説明する。
【0148】
図12は、本開示の実施の形態において、斜面の頂上付近を移動する無人飛行体の飛行制御処理について説明するための模式図である。
【0149】
図12に示すように、本実施の形態において、斜面4を斜め上方向に移動している無人飛行体1が斜面4の頂上5の手前付近に到達すると、無人飛行体1の水平方向に斜面4がなくなる。そのため、距離測定部15は、第1水平距離d11を測定することができなくなるおそれがある。この場合、移動量決定部215は、操作量に対する水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を正確に決定することが困難になる。そこで、操縦制御部212は、第1水平距離d11が取得されない場合、特定の場所の終了地点まで移動量を固定してもよい。すなわち、操縦制御部212は、第1水平距離d11が取得されない場合、斜面4の終了地点まで設定移動量情報223を更新せずに、判断直前の設定移動量情報223を用いて移動量を制御してもよい。操縦制御部212は、取得した第1垂直距離d12が、直前に取得した第1垂直距離d12よりも大きくなった場合に、斜面4の終了地点に到達したと判断してもよい。
【0150】
なお、斜面4の終了地点に到達したと判断された場合、操縦制御部212は、無人飛行体1をその場所で静止させてもよい。また、斜面4の終了地点に到達したと判断された場合、表示部25は、無人飛行体1が斜面4の終了地点に到達したことを操縦者に通知してもよい。また、斜面4の終了地点に到達したと判断された場合、操縦制御部212は、初期移動量情報222を用いて無人飛行体1を制御してもよい。
【0151】
続いて、第1斜面、第1斜面に続く平坦面及び平坦面に続く第2斜面を移動する無人飛行体1の飛行制御処理について説明する。
【0152】
図13は、本開示の実施の形態において、第1斜面、第1斜面に続く平坦面及び平坦面に続く第2斜面を移動する無人飛行体の飛行制御処理について説明するための模式図である。
【0153】
図13に示すように、無人飛行体1は、第1斜面4A、第1斜面4Aに続く平坦面6及び平坦面6に続く第2斜面4Bを移動している。このとき、第1斜面4Aを斜め上方向に移動している無人飛行体1が平坦面6の手前付近に到達すると、無人飛行体1の距離測定部15は、無人飛行体1から第1斜面4Aまでの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11ではなく、無人飛行体1から第2斜面4Bまでの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11を測定する。この場合、第1垂直距離d12に比べて、第1水平距離d11が極端に長くなり、無人飛行体1は第1斜面4Aに接近する。そこで、操縦制御部212は、第1水平距離d11が閾値以上になった場合、特定の場所(第1斜面4A)の終了地点まで移動量を固定してもよい。すなわち、操縦制御部212は、第1水平距離d11が閾値以上になった場合、斜面4の終了地点まで設定移動量情報223を更新せずに、判断直前の設定移動量情報223を用いて移動量を制御してもよい。操縦制御部212は、取得した第1垂直距離d12が、直前に取得した第1垂直距離d12よりも大きくなった場合に、第1斜面4Aの終了地点に到達したと判断してもよい。
【0154】
また、操縦者は、無人飛行体1が第1斜面4Aを移動している間は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242をともに操作する。また、操縦者は、無人飛行体1が平坦面6を移動している間は、前進に対応する第2スティック入力部242のみを操作する。さらに、操縦者は、無人飛行体1が第2斜面4Bを移動している間は、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242をともに操作する。このように、2つの斜面の間に平坦面がある場合、操縦者の操作は煩雑になる。
【0155】
そこで、操縦制御部212は、無人飛行体1が2つの斜面の間にある平坦面6を移動する場合、垂直方向の移動量を無効にし、水平方向の移動量のみを用いて無人飛行体1の飛行を制御してもよい。より具体的には、操縦制御部212は、第1斜面4Aの終了地点に到達したと判断した場合、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242の操作量に対応する上方向の移動量及び前方向の移動量を記憶部22の設定移動量情報223から読み出し、上方向の移動量を無効にするとともに、読み出した前方向の移動量を含む操縦情報を生成する。
【0156】
これにより、操縦者は、無人飛行体1が平坦面6を移動している間も、第1スティック入力部241及び第2スティック入力部242をともに操作することができる。その結果、2つの斜面の間に平坦面がある場合であっても、操縦者の操作は容易になる。
【0157】
また、操縦制御部212は、無人飛行体1が平坦面6から第2斜面4Bの開始地点に到達した場合、垂直方向の移動量を再度有効にし、水平方向の移動量及び垂直方向の移動量を用いて無人飛行体1の飛行を制御してもよい。なお、操縦制御部212は、取得した第1垂直距離d12が、直前に取得した第1垂直距離d12よりも小さくなった場合に、第2斜面4Bの開始地点に到達したと判断してもよい。
【0158】
なお、無人飛行体1を斜面に沿って斜め下方向へ移動させる場合、操縦者は、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11及び垂直方向の成分である第1垂直距離d12が測定可能な位置に、無人飛行体1を移動させた後、調整指示入力部243を操作する。ただし、無人飛行体1が斜面の頂上近傍に存在する場合、無人飛行体1から斜面までの距離のうちの水平方向の成分である第1水平距離d11が測定できない可能性がある。そこで、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた後、第1水平距離d11が取得されない場合、操縦制御部212は、第1水平距離d11が取得されるまで、無人飛行体1を下方に移動させてもよい。また、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた後、第1水平距離d11が閾値以上である場合、操縦制御部212は、取得された第1水平距離d11が閾値より小さくなるまで、無人飛行体1を下方に移動させてもよい。
【0159】
このとき、操縦制御部212は、斜面に無人飛行体1が衝突しないように、無人飛行体1の高度を下げる必要がある。そのため、操縦制御部212は、第1垂直距離d12が所定の距離になるまで、無人飛行体1を下降させてもよい。そして、第1垂直距離d12が所定の距離になっても、第1水平距離d11が取得されない場合、操縦制御部212は、無人飛行体1を所定の距離だけ前進させてもよい。その後、操縦制御部212は、第1水平距離d11が取得されるまで、無人飛行体1を下方に移動させてもよい。そして、操縦制御部212は、第1水平距離d11が取得されるまで、無人飛行体1の前進と下降とを繰り返してもよい。
【0160】
また、第1水平距離d11が取得された場合、操縦制御部212は、第1水平距離d11が取得された位置から、斜め下方向への移動を開始してもよい。また、第1水平距離d11が取得された場合、操縦制御部212は、無人飛行体1を元の位置に移動させ、当該元の位置から、斜め下方向への移動を開始してもよい。さらに、第1水平距離d11が取得された場合、表示部25は、無人飛行体1が移動可能であることを操縦者に通知してもよい。
【0161】
また、無人飛行体1を斜面に沿って斜め下方向へ移動させる場合、操縦制御部212は、取得した第1垂直距離d12が、直前に取得した第1垂直距離d12よりも短くなった場合に、斜面の終了地点に到達したと判断してもよい。
【0162】
続いて、階段までの距離を測定する際における無人飛行体1の測定位置決定処理について説明する。
【0163】
図14は、本開示の実施の形態において、階段までの距離を測定する際における無人飛行体の測定位置決定処理について説明するための模式図である。
【0164】
階段7までの距離を測定する場合、無人飛行体1が存在する位置によって、測定される距離は変化する。そこで、操縦器2は、移動量の調整時における第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を測定する位置に無人飛行体1を自動的に移動させる。なお、移動する斜面が階段7であるか否かについては、カメラ14で撮影された画像を認識することにより判断してもよく、階段7の移動を開始することを示すボタンが押下されることにより判断してもよい。
【0165】
まず、操縦制御部212は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得しながら無人飛行体1を水平方向に移動させる。このとき、操縦制御部212は、階段7から離れる後方に無人飛行体1を移動させる。
【0166】
次に、操縦制御部212は、無人飛行体1が水平方向に移動している間に第1垂直距離d12が変化した場合、変化直前の第1位置71まで無人飛行体1を移動させる。
【0167】
次に、操縦制御部212は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得しながら無人飛行体1を第1位置71から垂直方向に移動させる。このとき、操縦制御部212は、階段7から離れる上方に無人飛行体1を移動させる。
【0168】
次に、操縦制御部212は、無人飛行体1が垂直方向に移動している間に第1水平距離d11が変化した場合、変化直前の第2位置72まで無人飛行体1を移動させる。
【0169】
次に、通信部26は、第2位置72における第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得する。
【0170】
なお、図14に示す例では、無人飛行体1を水平方向及び垂直方向に移動させた後、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12が取得されるが、本開示は特にこれに限定されず、垂直方向にのみ移動させた後、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12が取得されてもよい。
【0171】
この場合、まず、操縦制御部212は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得しながら無人飛行体1を垂直方向に移動させる。このとき、操縦制御部212は、階段7から離れる上方に無人飛行体1を移動させる。
【0172】
次に、操縦制御部212は、無人飛行体1が垂直方向に移動している間に第1水平距離d11が変化した場合、変化直前の位置まで無人飛行体1を移動させる。
【0173】
次に、通信部26は、変化直前の位置における第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得する。
【0174】
これにより、無人飛行体1の斜め方向の角度が、階段7の傾斜角度よりも大きくなるので、無人飛行体1が階段7に衝突するのを防止することができる。
【0175】
また、無人飛行体1の正面が階段7の正面に対向していない場合、正確な距離を測定することが困難である。そこで、操縦器2は、無人飛行体1の正面が階段7の正面に対向しているか否かを判断し、無人飛行体1の正面が階段7の正面に対向していない場合、無人飛行体1を回転させる。
【0176】
図15は、本開示の実施の形態において、階段までの距離を測定する際における無人飛行体の位置補正について説明するための模式図である。
【0177】
調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、通信部26は、距離測定指示信号を無人飛行体1へ送信する。距離測定指示信号が通信部18によって受信されると、無人飛行体1の距離測定部15は、現在の第1位置において、無人飛行体1から階段7までの水平方向の距離Xを測定する。次に、通信部18は、距離測定部15によって測定された第1位置における距離Xを操縦器2へ送信する。次に、操縦器2の通信部26は、無人飛行体1によって送信された第1位置における距離Xを受信し、操縦制御部212へ出力する。
【0178】
次に、操縦制御部212は、無人飛行体1を左方向又は右方向へ所定の距離だけ移動させる。図15では、操縦制御部212は、無人飛行体1を右方向へ所定の距離だけ移動させている。次に、通信部26は、距離測定指示信号を無人飛行体1へ送信する。距離測定指示信号が通信部18によって受信されると、無人飛行体1の距離測定部15は、第1位置から左方向又は右方向へ移動した第2位置において、無人飛行体1から階段7までの水平方向の距離Xを測定する。次に、通信部18は、距離測定部15によって測定された第2位置における距離Xを操縦器2へ送信する。次に、操縦器2の通信部26は、無人飛行体1によって送信された第2位置における距離Xを受信し、操縦制御部212へ出力する。
【0179】
次に、操縦制御部212は、第1位置における距離Xと第2位置における距離Xとが同じであるか否かを判断する。ここで、第1位置における距離Xと第2位置における距離Xとが同じであると判断された場合、無人飛行体1の正面が階段7の正面に対向しているため、操縦制御部212は、無人飛行体の測定位置決定処理を開始する。
【0180】
一方、第1位置における距離Xと第2位置における距離Xとが同じではないと判断された場合、無人飛行体1の正面が階段7の正面に対向していないため、操縦制御部212は、距離X及び距離Xのうちの距離の短い方向へ所定の角度だけ無人飛行体1を回転させる。図15では、距離Xが距離Xより短いため、操縦制御部212は、左方向へ所定の角度だけ無人飛行体1を回転させる。無人飛行体1を回転させた後、通信部26は、距離測定指示信号を無人飛行体1へ送信する。その後、第1位置における距離Xと第2位置における距離Xとが同じであると判断されるまで、第2位置における距離Xの測定と、第1位置における距離Xの測定と、無人飛行体1の回転とが繰り返し行われる。
【0181】
なお、本実施の形態では、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合に、操作量に対応する移動量を決定する処理が行われるが、本開示は特にこれに限定されず、操縦者によって操縦された無人飛行体1の移動中に、無人飛行体1が斜面に位置するか否かを判定してもよい。この場合、通信部26は、無人飛行体1の移動中において定期的に測定される、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12を取得する。操縦制御部212は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12に基づいて、無人飛行体1が、水平方向の位置に応じて高さが漸増又は漸減する特定の場所に位置するか否かを判定する。なお、操縦制御部212は、取得した第1水平距離d11及び第1垂直距離d12が、前回取得した第1水平距離d11及び第1垂直距離d12よりも短い場合、無人飛行体1が特定の場所(斜面)に位置すると判定してもよい。移動量決定部215は、無人飛行体1が特定の場所に位置すると判定された場合に、移動量を決定する。
【0182】
また、本実施の形態において、表示部25は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12に基づき特定の場所の表面と無人飛行体1との位置関係を提示してもよい。
【0183】
図16は、本開示の実施の形態において、操縦器の表示部に表示される撮影画像の一例を示す図である。
【0184】
図16に示すように、操縦器2の表示部25は、無人飛行体1のカメラ14によって撮像された撮像画像251を表示する。また、表示部25は、無人飛行体1が移動中の斜面と無人飛行体1との位置関係を示す画像252を表示する。
【0185】
制御部21は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12に基づき斜面と無人飛行体1との位置関係を示す画像252を作成してもよい。このとき、制御部21は、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12により、斜面の傾斜角度を算出することができる。制御部21は、斜面の傾斜角度に応じた形状の三角形画像と、斜面から無人飛行体1までの距離に応じた位置に描かれた無人飛行体画像とを含む画像252を作成する。
【0186】
表示部25は、撮像画像251に画像252を重畳して表示してもよいし、撮像画像251とは異なる位置に画像252を表示してもよい。
【0187】
また、表示部25は、無人飛行体1が移動中の斜面と無人飛行体1との位置関係を示すテキストを表示してもよい。さらに、操縦器2は、無人飛行体1が移動中の斜面と無人飛行体1との位置関係を示す音声情報を出力する音声出力部をさらに備えてもよい。
【0188】
このように、第1水平距離d11及び第1垂直距離d12に基づき特定の場所の表面と無人飛行体1との位置関係が提示されるので、操縦者は、無人飛行体1がどのように移動しているかを認識することができる。
【0189】
また、操縦制御部212は、移動量に基づく無人飛行体1の移動方向をカメラ14の撮像方向に設定してもよい。これにより、無人飛行体1の移動方向が撮像されるので、操縦者は、無人飛行体1の移動方向を見ながら操縦することができる。
【0190】
また、本実施の形態において、制御部21は、最初に設定移動量情報223を設定した時点、又は、無人飛行体1が斜面の頂上に到達した時点で、設定移動量情報223を登録するか否かを確認するための確認画面を表示部25に表示してもよい。設定移動量情報223を登録する場合、制御部21は、操縦者による識別情報の入力を受け付け、操縦者によって入力された識別情報と設定移動量情報223とを対応付けて記憶部22に記憶してもよい。そして、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、表示部25は、識別情報を選択可能な状態で操縦者に提示してもよい。操縦制御部212は、選択された識別情報に対応する設定移動量情報223を記憶部22から読み出し、読み出した設定移動量情報223を用いて無人飛行体1を移動させてもよい。このように、頻繁に利用する場所の設定移動量情報223を予め記憶しておくことにより、設定移動量情報223を設定するために要する時間を短縮することができる。
【0191】
また、無人飛行体1は、無人飛行体1の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部をさらに備えてもよい。位置取得部は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機である。操縦器2の制御部21は、最初に設定移動量情報223を設定した時点、又は、無人飛行体1が斜面の頂上に到達した時点で、無人飛行体1から位置情報を取得し、位置情報と設定移動量情報223とを対応付けて記憶部22に記憶してもよい。そして、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、操縦制御部212は、無人飛行体1から位置情報を取得し、取得した位置情報に対応する設定移動量情報223が記憶部22に存在するか否かを判断してもよい。取得した位置情報に対応する設定移動量情報223が記憶部22に存在する場合、操縦制御部212は、取得した位置情報に対応する設定移動量情報223を記憶部22から読み出し、読み出した設定移動量情報223を用いて無人飛行体1を移動させてもよい。このように、頻繁に利用する場所の位置情報と設定移動量情報223とを予め対応付けて記憶しておくことにより、設定移動量情報223を設定するために要する時間を短縮することができる。
【0192】
また、本実施の形態では、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、操縦器2は、移動量を決定し、設定した設定移動量情報223を用いて、無人飛行体1を斜め方向へ移動させているが、本開示は特にこれに限定されず、調整指示入力部243によって移動量の調整指示の入力が受け付けられた場合、操縦制御部212は、初期移動量情報222を用いて、無人飛行体1を斜め方向へ移動させてもよい。そして、無人飛行体1の移動中に、操縦器2は、移動量を決定し、設定した設定移動量情報223を用いて、無人飛行体1を斜め方向へ移動させてもよい。
【0193】
また、無人飛行体1の制御部11は、比率算出部214、移動量決定部215、移動量設定部216及び距離算出部217を備えてもよく、無人飛行体1の記憶部12は、初期移動量情報222及び設定移動量情報223を記憶してもよい。
【0194】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0195】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0196】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0197】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0198】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本開示に係る技術は、斜め方向に向かって移動する無人飛行体の操作を支援することができるとともに、無人飛行体の操作を容易にすることができるので、無人飛行体の移動を制御する技術に有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16