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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】インソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
A43B17/00 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020069202
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021164579
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-01-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506374797
【氏名又は名称】株式会社ラシーヌ
(73)【特許権者】
【識別番号】520123445
【氏名又は名称】リーディング ドラゴン トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LEADING DRAGON TRADING LIMITED
【住所又は居所原語表記】FLT 902 9/F WIN CENTURY CENTRE 2A MONGKOK RD MONGKOK KLN HONGKONG
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】山田 真弘
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0257485(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0047767(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0010861(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0208620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履いた場合に踵がつま先よりも高く配置するように構成されたヒールが裏面側に固定され、表面側にアッパーが固定されると共に裏面側にアウトソールが固定され、
使用者の足の踏み付け部を支持する踏み付け部支持部と、前記踏み付け部支持部に連設され、後端部方向へ向かって立ち上がる傾斜を有して使用者の足の土踏まずに対応する土踏まず対応部と、前記土踏まず対応部に連設された踵支持部とを有するインソールにおいて、
前記踵支持部は使用者の踵を包み込める踵収納凹部を有し、
前記踵収納凹部は前記踵の底部及び側方下部を収納できるように形成され、
前記踵支持部は全体が下方へ膨出する凸状に形成され、前記踵支持部の最低部は前記アッパーとヒールとの境界部位よりも下方に位置し、
前記踵支持部は、前記ヒール及び前記アウトソールが接地面に接地した場合には、前記踵支持部の最低部は土踏まず対応部の頂部よりも下方に配置されるように形成されると共に、踵支持部一般面よりも下方となる踵支持凹部が形成され、
前記土踏まず対応部は、前記踵支持部に対して上方へ膨出する相対的凸部を形成すると共に、長さ方向に沿って全体が上方へ膨出する凸状に形成され、使用時には使用者の土踏まずに当接する形状に形成され、
前記踵支持部は、上端部と最低部との間隔寸法は8mm以上であって10mm以下に形成され、
前記踵支持部の裏面側に形成されるヒール固定面部の幅方向断面における曲率半径は
24mm以上27mm以下であると共に、前記踵支持部の表面側に形成される踵支持凹部の幅方向断面における曲率半径は40mm以上43mm以下であり、
前記踏み付け部支持部は、前記踏み付け部を収納できる踏みつけ部収納凹部により形成されていると共に、前記踏み付け部支持部は、幅方向に沿って下方へ膨出する凸状に形成され、前記踏み付け部を収納できるように形成されていることを特徴とするインソール。
【請求項2】
前記土踏まず対応部及び前記踵支持部の周縁部には上方へ突出する支持縁部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インソールに関し、特に、履いた場合に踵がつま先よりも高く配置されるヒール及びアウトソールが裏面側に固定されると共にアッパーが表面側に固定された女性靴に内装されるインソールの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、履いた場合に踵がつま先部よりも高くなるヒールを有する靴である、いわゆるパンプス又はハイヒールが広く女性により使用されている。
しかしながら、このようなパンプスや、特に、ハイヒールにあっては、履いた場合に、踵が爪先よりも高い位置になるため、使用者の体重のほとんどがつま先及び、その踵側の踏み付け部に集中して掛かった状態で歩行することとなる。
従って、足のつま先側及び踏み付け部に負担がかかりすぎることとなり、経年時には、外反母趾を発症する場合が多い。
【0003】
外反母趾は、第一中足骨が内反、母趾が外反する症状であり、第1中足趾節関節の関節構成体へのストレスで痛みが生じるものである。特に、いわゆるハイヒールにおいては、つま先部及び踏み付け部に全体重がかかることからその影響が顕在化しやすい。
そこで、このような外反母趾を抑止するために従来より様々な形態のインソールが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-130268号公報
【文献】特許第4933150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような外反母趾を抑止する観点から、特許文献1及び特許文献2には、踵分に椀形状凹部を形成したインソールが開示されている。特許文献1及び特許文献2に開示されたインソールは、合成樹脂製であって、前記椀形状凹部は、深さ寸法3mm~4.5mm程度の側方視弓状に形成されている。
【0006】
その結果、上記椀形状凹部は使用者の踵の底部を支持できることから、使用者の全体重がつま先部に係ることをある程度避けることができる。
しかしながら、このような従来のインソールにあっては、前記椀形状凹部は深さ3mm~4.5mmに形成されているため、ハイヒールに装着されて使用された場合には、使用者の踵を十分に支持できず、歩行中にどうしても踵が前記椀形状凹部から前出してしまい、結果的に全体重がつま先部に掛かってしまうことから、経年時においては有効に外反母趾を抑止することはできない、という不具合があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものでありその課題は、履いた場合に踵がつま先部よりも高くなるヒール部を有する靴を履いた場合であっても、有効に外反母趾を抑止することが可能なインソールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、履いた場合に踵がつま先よりも高く配置するように構成されたヒールが裏面側に固定され、表面側にアッパーが固定されると共に裏面側にアウトソールが固定され、使用者の足の踏み付け部を支持する踏み付け部支持部と、前記踏み付け部支持部に連設され、後端部方向へ向かって立ち上がる傾斜を有して使用者の足の土踏まずに対応する土踏まず対応部と、前記土踏まず対応部に連設された踵支持部とを有するインソールにおいて、前記踵支持部は使用者の踵を包み込める踵収納凹部を有し、前記踵収納凹部は前記踵の底部及び側方下部を収納できるように形成され、前記踵支持部は全体が下方へ膨出する凸状に形成され、前記踵支持部の最低部は前記アッパーとヒールとの境界部位よりも下方に位置し、前記踵支持部は、前記ヒール及び前記アウトソールが接地面に接地した場合には、前記踵支持部の最低部は土踏まず対応部の頂部よりも下方に配置されるように形成されると共に、踵支持部一般面よりも下方となる踵支持凹部が形成され、前記土踏まず対応部は、前記踵支持部に対して上方へ膨出する相対的凸部を形成すると共に、長さ方向に沿って全体が上方へ膨出する凸状に形成され、使用時には使用者の土踏まずに当接する形状に形成され、
前記踵支持部は、上端部と最低部との間隔寸法は8mm以上であって10mm以下に形成され、前記踵支持部の裏面側に形成されるヒール固定面部の幅方向断面における曲率半径は24mm以上27mm以下であると共に、前記踵支持部の表面側に形成される踵支持凹部の幅方向断面における曲率半径は40mm以上43mm以下であり、前記踏み付け部支持部は、前記踏み付け部を収納できる踏みつけ部収納凹部により形成されていると共に、前記踏み付け部支持部は、幅方向に沿って下方へ膨出する凸状に形成され、前記踏み付け部を収納できるように形成されていることを特徴とするインソールである。
【0009】
従って、請求項1記載の発明にあっては、使用時には、使用者の踵はインソールの踵支持部に形成された凹部により包み込まれる状態になり、歩行時等に踵が踵支持部により確実に支持され、踵が踵支持部から前方へ移動する事態を防止できる。
また、請求項1記載の発明にあっては、使用時には使用者の踵の底部及び側方下部は前記凹部に収納される。
また、使用者が本件発明に係るインソールが装着された靴を履いた場合に使用者の踵は踵支持凹部内に支持されることとなり、土踏まず対応部は使用者の土踏まずに当接する。また、請求項1記載の発明にあっては、使用者の足の踏み付け部は踏み付け部支持部内に支持されることとなる。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記土踏まず対応部及び前記踵支持部の周縁部には上方へ突出する支持縁部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインソールである。
従って、請求項2記載の発明にあっては、上記支持縁部が使用者の踵及び土踏まずを周縁から支持する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明にあっては、 履いた場合に踵がつま先よりも高く配置するように構成されたヒールが裏面側に固定され、表面側にアッパーが固定されると共に裏面側にアウトソールが固定され、使用者の足の踏み付け部を支持する踏み付け部支持部と、前記踏み付け部支持部に連設され、後端部方向へ向かって立ち上がる傾斜を有して使用者の足の土踏まずに対応する土踏まず対応部と、前記土踏まず対応部に連設された踵支持部とを有するインソールにおいて、前記踵支持部は使用者の踵を包み込める凹部を有するように形成されており、使用時には、使用者の踵はインソールの踵支持部に形成された凹部により包み込まれる状態になることから、歩行時等に踵が踵支持部により確実に支持され、踵が踵支持部から前方へ移動する事態を防止できる。
【0012】
その結果、履いた場合に踵がつま先よりも高く配置されるヒールを有する靴を履いた場合であっても、使用者の体重を踏み付け部のみならず踵においても支持することが可能となる。
【0013】
従って、従来のように、パンプスやハイヒールを履いて歩行した場合であっても、歩行時等に足の踏み付け部、つま先方向のみに使用者の全体重がかかる事態を有効に防止することが可能となり、その結果、長時間履いた場合であっても外反母趾の発症を抑止することができると共に、足全体にバランスよく体重が掛かることから、歩行時の疲労を有効に軽減することが可能となる。
【0014】
請求項1記載の発明にあっては、前記凹部は前記踵の底部及び側方下部を収納できるように形成されており、使用時には使用者の踵の底部及び側方下部は前記踵収納凹部に収納されるように構成されていることから、上記効果に加えて、使用者の踵は前記踵収納凹部によって確実に保持され、パンプス又はハイヒールにおいても使用時の使用者の踵のつま先方向への移動等を阻止でき、確実に踵を、使用者の体重を支持した状態で保持することが可能となる。
【0015】
請求項1記載の発明にあっては、前記踵支持部は全体が下方へ膨出する凸状に形成され、前記踵支持部の最低部は前記アッパーとヒールとの境界部位よりも下方に位置するように構成されており、また、請求項2記載の発明は、前記踵支持部は、幅方向両端部と前記最低部との間隔寸法は8mm以上であって10mm以下に形成されていることから、請求項1記載の発明の効果に加えて、確実に踵の支持が可能となり、パンプス又はハイヒールを履いた場合においても、使用者の体重を、つま先部、踏み付け部のみならず踵で支持した状態で保持することが可能となる。
【0016】
請求項1記載の発明にあっては、前記踵支持部は、前記ヒール及び前記アウトソールが接地面に接地した場合には、前記踵支持部の最低部は土踏まず対応部の頂部よりも下方に配置されるように形成されていることから、例えば、使用者が本件発明に係るインソールが装着されたパンプス又はハイヒールを履いた場合には、踵の位置が土踏まずよりも下方に位置することとなるため、より確実に踵での体重の支持が可能となり、使用者の体重を、つま先部、踏み付け部のみならず踵で支持した状態で保持することが可能となる。
【0017】
請求項1記載の発明にあっては、前記土踏まず対応部は、前記踵支持部に対して上方へ膨出する相対的凸部を形成すると共に、請求項1記載の発明は、前記土踏まず対応部は全体が上方へ膨出する凸状に形成され、使用時には使用者の土踏まずに当接する形状に形成されていることから、使用者が本件発明に係るインソールが装着された靴を履いた場合には土踏まず対応部は使用者の土踏まずに当接する。
【0018】
従って、使用者の土踏まずも、踵と同様に積極的にインソールにより支持されることとなるため、足はパンプス、又はハイヒール内において前後動がない状態に固定され、歩行時にもつま先、踏み付け部のみに体重が掛かる事態を防止することが可能となり、外反母趾の抑止に有効である。
【0019】
請求項1記載の発明は、前記踏み付け部支持部は、前記踏み付け部を収納できる踏み付け部収納凹部により形成されると共に、前記踏み付け部支持部は、全体が下方へ膨出する凹状に形成され、前記踏み付け部を収納できるように形成されていることから、使用者の踏み付け部は踏み付け部支持部内に支持され、前後方向の足のズレは確実に規制される。
【0020】
請求項1記載の発明にあっては、前記踏み付け部支持部は、幅方向に沿って下方へ膨出する凸状に形成され、前記踏み付け部を収納できるように形成されていることから、踏み付け部支持部を収納することができる。
【0021】
請求項1記載の発明にあっては、前記踵支持部の裏面側に形成されるヒール固定面部の幅方向断面における曲率半径は24mm以上27mm以下であるように形成されていることから、踵支持部の裏面側は所定の曲率を有するためヒール部を確実に固定することができる。
【0022】
請求項1記載の発明にあっては、前記踵支持部の表面側に形成される踵支持凹部の幅方向断面における曲率半径は40mm以上43mm以下であることから、使用者の踵を包み込めるような従来のインソールに比して大きな曲率半径を以て形成されており、請求項12に規定されたヒール固定面部の幅方向断面における曲率半径と相まって、ハイヒールの踵部分全体を幅方向において小型化することが可能となる。
【0023】
その結果、インソールに固定されるヒールの幅寸法を低減することができ、デザイン性に優れ、外観品質に富んだハイヒールを作製することができる。
【0024】
請求項2記載の発明は、前記土踏まず対応部及び前記踵支持部の周縁部には上方へ突出する支持縁部が形成されており、上記支持縁部が使用者の踵及び土踏まずを周縁から支持することから、上記支持縁部により使用者の足が周囲から支持されるため、左右及び前後動が規制されることにより、靴内における足の前後方向及び幅方向におけるズレを低減でき、つま先、踏み付け部及び踵における体重支持を有効に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態に係るインソールが内装されたハイヒールを示す側面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るインソールを前端部側から見た状態を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るインソールを後端部側から見た状態を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るインソールを裏面側から示す斜視図である。
図5】本発明の一実施の形態に係るインソールを示す側面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係るインソールを示し、図3におけるA-A線断面図である。
図7】本発明の一実施の形態に係るインソールを示し、図3におけるA-A線断面図である。
図8】本発明の一実施の形態に係るインソールを示し、図3におけるB-B線断面図である。
図9】本発明の一実施の形態に係るインソールを示し、図3におけるC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、本実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態に係るインソール10は、履いた場合に踵がつま先よりも高く配置されるヒール53が裏面側に固定され、表面側にはアッパー51が固定されると共に裏面側にはアウトソール52が固定される女性用靴、例えば、パンプス又はハイヒールに内装されるインソールである。本実施の形態にあってはハイヒール50を例に説明する。
【0028】
ハイヒール50は、インソール10と、インソール10の後端部裏面側に固定されるヒール53と、インソール10の表面側に取り付けられるアッパー51と、インソール10の裏面側に固定されるアウトソール52とを備えている。
また、後述するように、本実施の形態に係るインソール10が適用されるハイヒール50にあっては、ヒール53の上端部にはヒール凹部54が形成され、当該ヒール凹部54において適宜の固定手段によりヒール53がインソール10に対して固定されるように構成されている。
【0029】
本実施の形態に係るインソール10は、図2及び図3に示すように、全体略板状であって、使用者の足のつま先を支持するつま先部24と、つま先部24の後端部13方向に連設され、踏み付け部を支持する踏み付け部支持部11と、前記踏み付け部支持部11の後端部13側に連設され、後端部13方向へ向かって立ち上がる傾斜部を有して上方へ折曲され、使用者の足の土踏まずに対応する土踏まず対応部14と、前記土踏まず対応部14の後端部13側に連設された踵支持部15とを有している。
【0030】
本実施の形態に係るインソール10は合成樹脂製であって、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、またはウレタン樹脂等の合成樹脂材料が用いられており、型成形による一体成型で形成されている。
なお、上記の合成樹脂の発泡体を用いた場合には、クッション性のあるインソールを製造することができる。
【0031】
本実施の形態に係るインソール10にあっては、つま先部24及び踏み付け部支持部111は平面略三角形状に形成されており、踏み付け部支持部11の後端部13側に連設されている土踏まず対応部14は、踏み付け部支持部11よりも絞り込まれて細幅に形成され、踵支持部15は土踏まず対応部14と略同一幅に形成されている。踵支持部15の後端部13側は後方へ膨出する平面略半円状に形成されている。
踏み付け部支持部11は、前記踏み付け部を収納できる踏み付け部収納凹部26により形成されている。
【0032】
本実施の形態にあっては、図4及び図6に示すように、踵持部15は、下方へ大きく湾曲形成されて形成されている。そして、踵支持部15は、表面部側に使用者の踵を包み込める踵収納凹部16を有しており、踵収納凹部16は使用者の踵の底部及び側方下部を収納できるように形成されている。また、裏面部側には、下方へ膨出する所定の曲率半径からなる湾曲面部からなるヒール固定面部25が形成されている。
なお、上記のように本実施の形態に係るインソール10に装着されるヒール53にあっては、上端部に、上記ヒール固定面部25の曲率半径と同一の曲率半径もしくは、ヒール固定面部25の曲率半径よりも緩やかな曲率半径を以て形成された固定用のヒール凹部54により形成され、ヒール53のインソール10への装着時にはヒール固定面部25に対してヒールネイル(図示せず)により固定されるように構成されている。
また、踵支持部15には、踵収納凹部16内にさらに、踵支持部一般面15aよりもさらに下方に位置する踵支持凹部22が段部23を以て形成されている。
【0033】
図3図6及び図8に示すように、踵収納凹部16は、踵支持凹部22を含めて全体として、緩やかな傾斜を有する「すり鉢状」に形成され、中央部には最低部18が形成されている。
この最低部18は使用者がインソール10が装着されたハイヒールの装用時における踵に作用する体重を支持する中心点を形成する。
本実施の形態にあっては、図6に示すように、踵支持部15は全体が下方へ膨出する凹状に形成され、本実施の形態にあっては、上端部17と最低部18との間隔寸法Lは9mmに形成されている。
図6及び図7に示すように、踵支持部15は幅方向においては、前端部12方向に連設する土踏まず支持部14よりも大きな曲率半径を持った円弧状に形成されている。本実施の形態にあっては、踵支持凹部22の幅方向断面における曲率半径r1は41.3mmであると共に、ヒール固定面部25の幅方向断面における曲率半径r2は25.7mmに形成されている。
曲率半径r1は、仮想中心O1から踵支持凹部22との間に形成される半径寸法であり、曲率半径r2は、仮想中心O2からヒール固定面部25との間で形成される半径寸法である。
また、踵支持部15の厚さ寸法は土踏まず当接部14の厚さ寸法よりも小さく形成されている。その結果、踵支持部15の平面円弧状の周縁部15bは、後述の支持縁部21bを含めてどの部位においてもインソール10の一般面上方へ立ち上がって形成され、使用時に使用者の踵の底部及び側方下部を収納して包み込めるように構成されている。
【0034】
本実施の形態に係るインソール10がハイヒール50に内装された場合には、上記のようにヒール53は、上端部に形成されたヒール凹部54において踵支持部15の裏面側に適宜の固定手段であるヒールネイル(図示せず)により固定される。
【0035】
この場合、図1に示すように、ヒール53、アウトソール52及びアッパー51がインソール10に装着されて接地面19上に、接地部35及びトップリフト56を介して配置された場合には、踵支持部15の最低部18は前記ヒール53とアッパーとの間の境界部位に形成される境界線55よりも下方に位置するように、又は同じ高さになるように配置される。
また、図1に示すように、前記踵支持部15は、ハイヒール50に内装されて接地面19にヒール53及びアウトソール52が接地部35において接地した場合には、前記踵支持部15の最低部18は土踏まず対応部14の頂部20よりも下方に配置されるように形成されている。
【0036】
図2及び図3に示すように、本実施の形態にあっては、踵支持部15の前端部12方向には土踏まず対応部14が連設されており、土踏まず対応部14は、長さ方向に沿って全体が上方へ緩やかに膨出する凸状に形成されており、その結果、土踏まず対応部14は踵支持部15に対して上方へ膨出する相対的凸部を形成している。
【0037】
即ち、図1に示すように、インソール10がハイヒール50に内装されて接地面19にヒール53及びアウトソール52が接地部35において接地した場合には、インソール10の長さ方向において、前記踵支持部15の最低部18は土踏まず対応部14の頂部20よりも下方に配置される関係性を以て構成されている。
従って、結果的に、土踏まず対応部14は踵支持部15に対して上方へ突出する相対的凸部を形成することとなる。その結果、使用者が本実施の形態に係るインソール10が内装されたハイヒール50を装用した場合には、土踏まず対応部14は使用者の土踏まずに当接することとなる。
また、図8及び図5に示すように、土踏まず対応部14は、幅方向においては踵支持部15よりも緩やかな曲率半径を持った下方へ膨出する円弧状を描いて形成されている。
【0038】
また、図2及び図3図5に示すように、土踏まず対応部14及び踵支持部15の周縁部には上方へ突出する支持縁部21が形成されている。
この支持縁部21は、土踏まず対応部14においては、土踏まず対応部14の平面方向に沿って延出する支持縁部21aを形成しているが、土踏まず対応部14から踵支持部15にかけて次第に立ち上がって延出され、踵支持部15においてはほぼ直立する姿勢となり、起立した支持縁部21bとして配置されている。
【0039】
土踏まず対応部14の前端部12側には踏み付け部支持部11が延設されている。図1図4及び図5に示すように、本実施の形態にあっては、踏み付け部支持部11は幅方向全体に沿って下方へ膨出する凸部として形成され、使用者の足の踏み付け部を収納できるように構成されている。また、踏み付け部支持部11の先端部12側には平板状のつま先部24がさらに延設されている。
【0040】
以下、本実施の形態に係るインソール10の作用について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るインソール10を用いてハイヒール50を作製する場合には、インソール10の踵支持部15の裏面側のヒール固定面部25に対してヒール53の上端部に形成されたヒール凹部54を当接させた状態で、適宜のヒールネイル(図示せず)を介してヒール53をインソール10に対して固定する。
【0041】
その後、ヒール53の先端部にトップリフト56を固定すると共に、インソール10にアッパー51及びアウトソール52が適宜固定されることにより、ハイヒール10が作製される。
【0042】
この場合、上述のように、踵支持部15の平面円弧状の周縁部15bは、支持縁部21bを含めてどの部位においてもインソール10の一般面上方へ立ち上がって形成され、使用時に使用者の踵31の底部31a及び側方下部31bを収納して包み込めるように構成されていることから、踵31は踵支持部15において安定して保持される。
その結果、ハイヒール50を履いて歩行した場合であっても、安定した歩行が可能となると共に、踵の位置が固定されることから長時間の歩行においても疲労を軽減することが可能となる。
【0043】
また、踵支持部15の最低部18は前記ヒール53とアッパー51との間の境界部位に形成される境界線55よりも下方に位置するように配置されていると共に、前記踵支持部15は、ハイヒール50に内装されて地面等の接地面19にヒール53及びアウトソール52が接地部35を介して接地した場合には、前記踵支持部15の最低部18は土踏まず対応部14の頂部20よりも下方に配置されるように形成されていることから、使用者の踵30が踵支持部15において、使用者の体重を支持することができる。
その結果、従来のハイヒール内における足30が前方へ移動することによりつま先部34及び踏み付け部33に使用者の体重が集中して掛かる事態を排除でき、使用者の体重は踵31においても支持されることから、ハイヒールにおいても体重を分散して支持することが可能となる。
【0044】
従って、従来、ハイヒールを履いた場合に、使用者の体重がつま先34及び踏み付け部33のみに集中して掛かることが原因となった外反母趾を有効に抑止することが可能となる。
【0045】
また、踵支持部15の裏面部側には、下方へ膨出する湾曲面部からなるヒール固定面部25が形成されていることから、使用者の踵を包み込めるような、従来のインソールに比して幅方向断面において大きな曲率半径を以て形成されており、ハイヒールの踵部分全体を幅方向において小型化することが可能となる。その結果、インソール10に固定されるヒール53の幅寸法を低減することができ、デザイン性に優れ、外観品質に富んだハイヒールを作製することができる。
【0046】
また、本実施の形態にあっては、土踏まず対応部14は、長さ方向に沿って全体が上方へ緩やかに膨出する凸状に形成されており、その結果、土踏まず対応部14は踵支持部15に対して上方へ膨出する相対的凸部を形成していることから、使用者の装用時には、土踏まず支持部14は使用者の足30の土踏まず32に当接する。
【0047】
その結果、使用者の土踏まず32もインソール10により支持されることとなるため、足はハイヒール50内において前後動しにくい状態に固定されるため、歩行時にもつま先34及び踏み付け部33のみに体重が掛かる事態を防止することが可能となり、より有効に外反母趾を抑止することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態にあっては、踏み付け部支持部11は幅方向全体に沿って下方へ膨出する凹部として形成され、使用者の足の踏み付け部33を収納できるように構成されていることから、踏み付け部33において足30はしっかりと保持され、ハイヒール50内において前後動しにくい状態に保持される。
その結果、踏み付け部支持部11は、上記のように、踵31が踵支持部15に保持された状態を維持することに寄与することから、踏み付け部支持部11も相まって外反母趾の抑止及び歩行時の疲労を軽減することが可能となる。
【0049】
本実施の形態にあっては、インソール10をハイヒールに適用した場合を例に説明したが、いわゆるパンプス、さらにその他の同様の形態の靴に適用してもよく、本実施の形態には限定されない。
本実施の形態にあっては、踵支持部15の最低部18が前記ヒール53とアッパー51との間の境界部位に形成される境界線55よりも下方に位置するように配置されている場合を例に説明したが、本実施の形態に限定されず、踵支持部15の最低部18が前記ヒール53とアッパー51との間の境界部位に形成される境界線55と同じ高さ位置に配置するように構成してもよい。
【0050】
以上、本実施の形態を説明したが、本発明は、本実施の形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、インソールに広く適用することができることから産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0052】
10 インソール
11 踏み付け部支持部
12 前端部
13 後端部
14 土踏まず対応部
15 踵支持部
15a 踵支持部一般面
16 踵収納凹部
17 上端部
18 最低部
19 接地面(地面)
20 頂部
21 支持縁部
22 踵支持凹部
23 段部
24 つま先部
25 ヒール固定面部
26 踏みつけ部収納凹部
30 足
31 踵
31a 底部
31b 側方下部
32 土踏まず
33 踏み付け部
34 つま先部
35 接地部
50 ハイヒール
51 アッパー
52 アウトソール
53 ヒール
54 ヒール凹部
55 境界部位
56 トップリフト
L 間隔寸法
図1
図2
図3
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図9