(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】脳組織採取具
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
(21)【出願番号】P 2021120409
(22)【出願日】2021-07-21
【審査請求日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2020126276
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593174870
【氏名又は名称】高島産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】荻原 利浩
(72)【発明者】
【氏名】土屋 淳
【審査官】小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】特表平9-504451(JP,A)
【文献】特表2016-523118(JP,A)
【文献】特開2006-081889(JP,A)
【文献】米国特許第05267572(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0265097(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳組織を採取するための脳組織採取具であって、
先端部に切込み用の切断刃が形成される筒状の内筒と、前記内筒の外周側に配置される筒状の外筒とを備え、
前記内筒は、前記外筒の内周面に沿って前記外筒に対して相対移動可能となっており、
前記外筒の先端部は、採取される前記脳組織を切り離す切離し部となっており、
前記切離し部は、前記外筒の先端に向かって伸びるとともに前記外筒の周方向に配列される弾性変形可能な複数の弾性片によって構成され、
前記弾性片の先端は、凸曲面状になっており、
前記切離し部は、前記切離し部の内周側に前記内筒の先端部が配置されて複数の前記弾性片の先端同士が離れるように広がる開状態と、前記切離し部の内周側から前記内筒が外れて複数の前記弾性片の先端同士が近づくように窄む閉状態とに弾性変形可能となっており、
前記外筒の内周面と前記内筒の外周面との間には、通気用の隙間が形成されていることを特徴とする脳組織採取具。
【請求項2】
前記外筒は、円筒状に形成され、
前記内筒の外周面は、前記外筒の内周面の曲率半径に応じた曲率半径を有する凸曲面状の曲面部と、平面状の平面部とから構成されており、
前記通気用の隙間は、前記外筒の内周面と前記平面部との間に形成されていることを特徴とする請求項1記載の脳組織採取具。
【請求項3】
前記内筒の外周面には、前記切離し部が前記開状態であるときの前記弾性片の先端部の少なくとも一部が収容される凹部が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の脳組織採取具。
【請求項4】
前記切離し部が前記開状態であるときに、複数の前記弾性片のうちの少なくとも1個の前記弾性片では、前記外筒の軸方向における前記弾性片の中間部は、前記外筒の径方向の外側に膨らんでいて、前記弾性片の先端は、前記内筒の外周面に接触していることを特徴とする請求項1または2記載の脳組織採取具。
【請求項5】
前記切断刃の刃先の全体は、R面取り加工されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の脳組織採取具。
【請求項6】
前記外筒に対して移動可能な移動部材と、前記内筒に固定されるとともに前記移動部材に接触可能なストッパ部材とを備え、
前記移動部材は、前記外筒に固定される固定部材または前記外筒とネジ係合しており、
前記移動部材に前記ストッパ部材が接触している状態で、前記移動部材とネジ係合する前記固定部材または前記外筒に対して前記移動部材を所定方向に回転させると、前記外筒の内周面に沿って前記切離し部の内周側から外れる方向に前記外筒に対して前記内筒が移動することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の脳組織採取具。
【請求項7】
前記外筒の外周面には、目盛りが記されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の脳組織採取具。
【請求項8】
前記切離し部は、前記弾性片として、前記切離し部が前記閉状態であるときに先端が互いに接触する複数の第1弾性片と、前記第1弾性片よりも短い複数の第2弾性片とを備え、
前記第1弾性片の先端部の幅は、前記第1弾性片の基端部の幅よりも広くなっており、
前記第2弾性片の幅は、前記第1弾性片の先端部の幅よりも狭くなっており、
前記切離し部が前記閉状態であるときに、少なくとも前記外筒の周方向において複数の前記弾性片の間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の脳組織採取具。
【請求項9】
前記切離し部は、前記弾性片として、前記第2弾性片よりも長い第3弾性片を備え、
前記第3弾性片の先端部の幅は、前記第3弾性片の基端部の幅よりも広くなっており、
前記切離し部が前記閉状態であるときに、前記第3弾性片の先端部の少なくとも一部は、複数の前記第1弾性片の先端部の少なくとも一部と重なっていることを特徴とする請求項8記載の脳組織採取具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検用の脳組織を採取するための脳組織採取具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、胃や腸などの表面から生検用の組織を採取するための検体採取具が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の検体採取具は、円筒状の管状部材と、管状部材の外周側に配置される円筒状の切断部材とを備えている。切断部材の内周側に配置される管状部材は、切断部材に対して軸方向に相対移動可能となっている。管状部材の先端は、鋭利な刃部分となっている。切断部材の先端部は、半円錐状をなす2個の切断要素によって構成されており、切断部材の先端部は、円錐状になっている。切断要素の先端は、尖っている。切断要素の縁部は、組織の切取りが可能となるように鋭利になっている。
【0003】
特許文献1に記載の検体採取具では、切断要素は、形状記憶合金等の弾性材料で形成されており、切断要素の内周側に管状部材の先端部が配置されると、2個の切断要素が開放位置まで開く。この検体採取具によって患部から組織を採取するときには、まず、切断要素の内周側に管状部材の先端部が配置されて2個の切断要素が開放位置まで開くとともに、管状部材の刃部分(先端)が切断要素の先端よりも突き出している状態で、検体採取具を患部に差し込んで、管状部材の刃部分で組織に切込みを入れながら、管状部材の内周側に組織を配置する。
【0004】
その後、切断要素の内周側から管状部材が外れるまで、切断部材のみを患部にさらに差し込む。切断要素の内周側から管状部材が外れると、2個の切断要素が互いに接触する位置まで閉じて切断部材の先端部が円錐状になる。切断部材の先端部が円錐状になるときには、管状部材の内周側に配置された組織が切断要素によって患部から切り離されて、切り離された組織が管状部材の内周面と2個の切断要素によって画定される空間に収容される。その後、検体採取具を患部から抜き取ることで、管状部材の内周側に収容された組織が採取される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、脳組織を採取するための脳組織採取具の開発を進めており、特許文献1に記載された検体採取具の基本構造を脳組織採取具に利用することを検討している。すなわち、本願発明者は、上述の管状部材に相当する内筒と、上述の切断部材に相当する外筒とを備える脳組織採取具の開発を進めている。この脳組織採取具では、外筒の先端部は、採取される脳組織を切り離す切離し部となっており、切離し部は、上述の切断要素に相当する複数の弾性片によって構成されている。
【0007】
ここで、特許文献1に記載の検体採取具では、切断要素の先端が尖っているため、この検体採取具を用いて組織を採取する際には、尖っている切断要素の先端が、採取される組織の周囲にある血管等を傷つけるおそれが高くなる。胃や腸などの患部から組織を採取する場合には、採取される組織の周囲にある血管等が多少傷ついても大きな問題は生じにくい。そのため、特許文献1に記載の検体採取具のように切断要素の先端が尖っている検体採取具を用いて、胃や腸などの患部から組織を採取しても大きな問題は生じにくい。
【0008】
一方で、脳組織を採取する場合には、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくと大きな問題が生じるおそれが高くなる。そこで、本願発明者は、開発中の脳組織採取具において、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを抑制するために、弾性片の先端を尖らせるのではなく、弾性片の先端にR面取り加工を施して、弾性片の先端を凸曲面状にすることにした。
【0009】
しかしながら、弾性片の先端を凸曲面状にすると、複数の弾性片の先端同士が近づくように切離し部が窄んだときに、内筒の内周側に通じる穴が切離し部の先端に形成される。そのため、脳組織採取具を患部に差し込んで、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に脳組織を収容した後、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に収容された脳組織の一部が切離し部の先端の穴から飛び出して、採取したい脳組織を適切に採取することができなくなるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0010】
具体的には、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、患部の、脳組織が採取される部分が陰圧となるため、また、脳組織は柔らかいため、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に収容された脳組織の一部が切離し部の先端部の穴から飛び出して、採取したい脳組織を適切に採取することができなくなるおそれがあることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0011】
なお、弾性片の先端が凸曲面状に形成されていても、弾性片の先端部の形状を工夫することで、複数の弾性片の先端同士が近づくように切離し部が窄んだときに切離し部の先端に形成される穴を極力小さくすることは可能である。しかしながら、切離し部が窄んだときの切離し部の先端の穴を極力小さくしても、たとえば、外筒の周方向において複数の弾性片の間に隙間が形成されていると、脳組織採取具を患部に差し込んで、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に脳組織を収容した後、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、上述の原因によって、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に収容された脳組織の一部が弾性片の間の隙間から飛び出して、採取したい脳組織を適切に採取することができなくなるおそれがあることも本願発明者の検討によって明らかになった。
【0012】
そこで、本発明の課題は、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを抑制しつつ、採取したい脳組織を適切に採取することが可能な脳組織採取具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明の脳組織採取具は、脳組織を採取するための脳組織採取具であって、先端部に切込み用の切断刃が形成される筒状の内筒と、内筒の外周側に配置される筒状の外筒とを備え、内筒は、外筒の内周面に沿って外筒に対して相対移動可能となっており、外筒の先端部は、採取される脳組織を切り離す切離し部となっており、切離し部は、外筒の先端に向かって伸びるとともに外筒の周方向に配列される弾性変形可能な複数の弾性片によって構成され、弾性片の先端は、凸曲面状になっており、切離し部は、切離し部の内周側に内筒の先端部が配置されて複数の弾性片の先端同士が離れるように広がる開状態と、切離し部の内周側から内筒が外れて複数の弾性片の先端同士が近づくように窄む閉状態とに弾性変形可能となっており、外筒の内周面と内筒の外周面との間には、通気用の隙間が形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の脳組織採取具では、切離し部を構成する弾性片の先端は、凸曲面状になっていて尖っていない。そのため、本発明では、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを抑制することが可能になる。また、本発明では、外筒の内周面と内筒の外周面との間に、通気用の隙間が形成されているため、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、通気用の隙間と、閉状態の切離し部の先端に形成される穴や閉状態の切離し部において弾性片の間に形成される隙間を利用して、患部の、脳組織が採取される部分に空気を入り込ませることが可能になる。
【0015】
したがって、本発明では、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、患部の、脳組織が採取される部分が陰圧になるのを抑制することが可能になる。また、通気用の隙間の広さや閉状態の切離し部の先端に形成される穴の大きさや閉状態の切離し部において弾性片の間に形成される隙間の大きさによっては、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、患部の、脳組織が採取される部分を大気圧にすることが可能になる。さらに、通気用の隙間と、閉状態の切離し部の先端に形成される穴や閉状態の切離し部において弾性片の間に形成される隙間を利用して、患部に強制的に空気を送り込むことで、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、患部の、脳組織が採取される部分を陽圧にすることも可能になる。
【0016】
そのため、本発明では、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に収容された脳組織の一部が、閉状態の切離し部の先端に形成される穴や閉状態の切離し部において弾性片の間に形成される隙間から飛び出すのを抑制することが可能になり、その結果、採取したい脳組織を適切に採取することが可能になる。また、採取したい脳組織の状態や配置等を維持したまま、脳組織を採取することが可能になる。
【0017】
本発明において、外筒は、円筒状に形成され、内筒の外周面は、外筒の内周面の曲率半径に応じた曲率半径を有する凸曲面状の曲面部と、平面状の平面部とから構成されており、通気用の隙間は、外筒の内周面と平面部との間に形成されていることが好ましい。このように構成すると、外筒の内周面と内筒の外周面との間に、通気用の隙間を比較的容易に形成することが可能になる。
【0018】
本発明において、内筒の外周面には、切離し部が開状態であるときの弾性片の先端部の少なくとも一部が収容される凹部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、切離し部が開状態となっている脳組織採取具を患部に差し込む際に、採取される脳組織の周囲にある血管に弾性片の先端部が接触しにくくなる。したがって、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを効果的に抑制することが可能になる。
【0019】
本発明において、切離し部が開状態であるときに、複数の弾性片のうちの少なくとも1個の弾性片では、外筒の軸方向における弾性片の中間部は、外筒の径方向の外側に膨らんでいて、弾性片の先端は、内筒の外周面に接触していても良い。この場合には、少なくとも1個の弾性片において、弾性片の弾性力によって弾性片の先端が内筒の外周面に密着しやすくなる。したがって、この場合には、切離し部が開状態となっている脳組織採取具を患部に差し込む際に、採取される脳組織の周囲にある血管に弾性片の先端が接触しにくくなる。したがって、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを効果的に抑制することが可能になる。
【0020】
本発明において、切断刃の刃先の全体は、R面取り加工されていることが好ましい。このように構成すると、脳組織採取具を患部に差し込む際に、採取される脳組織の周囲にある血管に切断刃の刃先が接触したとしても、切断刃の表面に沿って血管を逃がすことが可能になる。したがって、脳組織採取具を患部に差し込む際に、採取される脳組織の周囲にある血管を切断刃が傷つけるのを抑制することが可能になり、その結果、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを効果的に抑制することが可能になる。
【0021】
本発明において、脳組織採取具は、外筒に対して移動可能な移動部材と、内筒に固定されるとともに移動部材に接触可能なストッパ部材とを備え、移動部材は、外筒に固定される固定部材または外筒とネジ係合しており、移動部材にストッパ部材が接触している状態で、移動部材とネジ係合する固定部材または外筒に対して移動部材を所定方向に回転させると、外筒の内周面に沿って切離し部の内周側から外れる方向に外筒に対して内筒が移動することが好ましい。
【0022】
このように構成すると、移動部材の回転量に応じて所定量ずつ切離し部の内周側から外れる方向に内筒を移動させることが可能になる。したがって、開状態から閉状態に状態が変わる切離し部の状態変化を制御しながら、切離し部を開状態から閉状態にすることが可能になる。また、患部に脳組織採取具が差し込まれた状態で、切離し部の内周側から外れる方向に内筒を急激に移動させると、患部の、脳組織が採取される部分が陰圧になるおそれがあるが、このように構成すると、切離し部の内周側から外れる方向に移動する内筒の移動速度を制御することが可能になる。したがって、患部の、脳組織が採取される部分が陰圧になるのを抑制しつつ、切離し部を開状態から閉状態にすることが可能になる。
【0023】
本発明において、外筒の外周面には、目盛りが記されていることが好ましい。このように構成すると、患部に対する脳組織採取具の差し込み量を目視で容易に確認することが可能になる。
【0024】
本発明において、たとえば、切離し部は、弾性片として、切離し部が閉状態であるときに先端が互いに接触する複数の第1弾性片と、第1弾性片よりも短い複数の第2弾性片とを備え、第1弾性片の先端部の幅は、第1弾性片の基端部の幅よりも広くなっており、第2弾性片の幅は、第1弾性片の先端部の幅よりも狭くなっており、切離し部が閉状態であるときに、少なくとも外筒の周方向において複数の弾性片の間に隙間が形成されている。
【0025】
この場合には、切離し部が閉状態であるときに先端が互いに接触する複数の第1弾性片によって、閉状態の切離し部の先端に形成される穴の大きさを小さくすることが可能になる。したがって、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に収容された脳組織の一部が、閉状態の切離し部の先端から飛び出すのを抑制することが可能になる。また、この場合には、切離し部が閉状態であるときに少なくとも外筒の周方向において複数の弾性片の間に隙間が形成されているため、切離し部が開状態から閉状態になるときに、採取される脳組織の、弾性片が接触する範囲を狭めることが可能になる。したがって、採取される脳組織に弾性片が接触することに起因する脳組織の損傷を抑制することが可能になる。
【0026】
本発明において、たとえば、切離し部は、弾性片として、第2弾性片よりも長い第3弾性片を備え、第3弾性片の先端部の幅は、第3弾性片の基端部の幅よりも広くなっており、切離し部が閉状態であるときに、第3弾性片の先端部の少なくとも一部は、複数の第1弾性片の先端部の少なくとも一部と重なっている。この場合には、脳組織採取具を患部から抜き取る際に、内筒の内周面と複数の弾性片とによって画定される空間に収容された脳組織の一部が、閉状態の切離し部の先端から飛び出すのを第3弾性片によってより効果的に抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の脳組織採取具では、採取される脳組織の周囲にある血管が傷つくのを抑制しつつ、採取したい脳組織を適切に採取することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】(A)、(B)は、本発明の実施の形態にかかる脳組織採取具の側面図であり、(C)は、(A)に示す内筒およびストッパ部材の側面図である。
【
図2】
図1に示す内筒の先端側部分の断面図である。
【
図4】
図3のF-F方向から内筒および外筒を示す図である。
【
図6】
図1(B)のJ-J方向から外筒を示す図である。
【
図8】
図1に示す脳組織採取具による脳組織の採取方法を説明するための図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態にかかる内筒の先端側部分の構成を説明するための断面図である。
【
図10】(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる弾性片の構成を説明するための側面図であり、(B)は、(A)に示す弾性片の構成を説明するための断面図である。
【
図11】(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる切離し部の構成を説明するための斜視図であり、(B)は、(A)に示す切離し部の底面図である。
【
図12】(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる切離し部の構成を説明するための側面図であり、(B)は、(A)に示す切離し部の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
(脳組織採取具の構成)
図1(A)、(B)は、本発明の実施の形態にかかる脳組織採取具1の側面図であり、
図1(C)は、
図1(A)に示す内筒2およびストッパ部材5の側面図である。
図2は、
図1に示す内筒2の先端側部分の断面図である。
図3は、
図1(A)のE部の拡大図である。
図4は、
図3のF-F方向から内筒2および外筒3を示す図である。
図5は、
図1(A)のH-H断面の断面図である。
図6は、
図1(B)のJ-J方向から外筒3を示す図である。
図7は、
図1(B)のK部の拡大図である。
【0031】
本形態の脳組織採取具1は、患者の脳から生検用の脳組織Bt(
図8参照)を採取するための器具である。脳組織採取具1は、先端部に切込み用の切断刃2aが形成される筒状の内筒2と、内筒2の外周側に配置される筒状の外筒3とを備えている。外筒3の内周側に配置される内筒2は、外筒3の内周面に沿って外筒3に対して相対移動可能となっている。すなわち、内筒2は、円筒状に形成される外筒3の軸方向へ外筒3に対して相対移動可能となっている。
【0032】
また、脳組織採取具1は、内筒2に固定されるストッパ部材5と、外筒3に固定される固定部材6と、外筒3に対して外筒3の軸方向に移動可能な移動部材7とを備えている。以下では、説明の便宜上、外筒3の軸方向(すなわち、内筒2の軸方向)である
図1のZ方向を「上下方向」とし、上下方向のうちの外筒3の先端側(すなわち、内筒2および脳組織採取具1の先端側、
図1のZ1方向側)を「下」側とし、その反対側である外筒3の基端側(すなわち、内筒2および脳組織採取具1の基端側、
図1のZ2方向側)を「上」側とする。
【0033】
内筒2は、細長い薄肉の筒状に形成されている。また、内筒2は、細長い円筒状の金属部材の外周面に複数の平面状の平面部2bを加工することで形成されている。平面部2bは、内筒2の上下方向の全域に形成されており、内筒2の外周面は、平面状の平面部2bと凸曲面状の曲面部2cとから構成されている。本形態では、内筒2の外周面は、内筒2の軸心に対して90°ピッチで配置される4個の平面部2bと、内筒2の軸心に対して90°ピッチで配置される4個の曲面部2cとから構成されており、内筒2の周方向において平面部2bと曲面部2cとが交互に配置されている。
【0034】
後述のように、外筒3は、円筒状に形成されており、曲面部2cの曲率半径は、円筒状に形成される外筒3の内周面の曲率半径に応じた曲率半径となっている。具体的には、曲面部2cの曲率半径は、外筒3の内周面の曲率半径とほぼ等しくなっている。内筒2の内周面は、内径が一定な円筒面となっている(
図4、
図5参照)。脳組織採取具1で採取される脳組織Btは、後述のように、内筒2の内周側に配置される。
【0035】
本願発明者の検討によると、内筒2の内径は、8(mm)以下となっていることが好ましい。より具体的には、安全に所定量の脳組織Btを採取するために、内筒2の内径は、3~8(mm)となっていることがより好ましい。内筒2の、曲面部2cが形成された部分の肉厚は、たとえば、0.25(mm)となっている。また、本願発明者の検討によると、内筒2の内周面の面粗さは、10(μm)以下となっていることが好ましい。より具体的には、内筒2の内周側に配置される脳組織Btの損傷を抑制するために、内筒2の内周面の面粗さは、6(μm)以下となっていることがより好ましい。
【0036】
上述のように、内筒2の先端部(下端部)は、切断刃2aとなっている。切断刃2aの刃先は、
図2に示すように、R面取り加工されている。具体的には、切断刃2aの刃先の全体がR面取り加工されており、切断刃2aの刃先の全体が凸曲面状になっている。すなわち、切断刃2aの刃先には、平面部分は形成されていない。切断刃2aの刃先の曲率半径(具体的には、内筒2の径方向における切断刃2aの刃先の曲率半径)は、
図2(A)に示すように比較的大きくなっていても良いし、
図2(B)に示すように比較的小さくなっていても良い。本願発明者の検討によると、切断刃2aの刃先の曲率半径は、0.01(mm)~0.5(mm)となっていることが好ましい。より具体的には、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを抑制するために、切断刃2aの刃先の曲率半径は、0.05(mm)~0.1(mm)となっていることがより好ましい。
【0037】
ストッパ部材5は、上下方向の長さが短い扁平な厚肉の円筒状に形成されている。ストッパ部材5の内周側には、内筒2の上端部が挿通されており、ストッパ部材5は、内筒2の上端部(基端部)の外周面に固定されている。
【0038】
外筒3は、超弾性合金で形成されている。すなわち、外筒3は、変態点が常温以下となっている形状記憶合金で形成されている。また、外筒3は、細長い薄肉の円筒状に形成されている。上述のように、外筒3の内周面の曲率半径は、内筒2の曲面部2cの曲率半径とほぼ等しくなっている。外筒3の下端部(先端部)は、採取される脳組織Btを患部AP(
図8参照)から切り離す切離し部3aとなっている。外筒3の外周面には、患部APに対する脳組織採取具1の差し込み量を目視で確認するための目盛り3bが記されている。
【0039】
切離し部3aは、外筒3の下端(先端)に向かって伸びるとともに外筒3の周方向に配列される弾性変形可能な複数の弾性片3cによって構成されている。本形態では、8個の弾性片3cによって切離し部3aが構成されている。8個の弾性片3cは、同形状に形成されている。なお、切離し部3aは、2~7個の弾性片3cによって構成されていても良いし、9個以上の弾性片3cによって構成されていても良い。ただし、本願発明者の検討によると、弾性片3cの数が6~8個であれば、弾性片3cの耐久性を高めることが可能になるため、弾性片3cの数は、6~8個であることが好ましい。
【0040】
8個の弾性片3cは、細長い円筒状に形成される外筒3の先端部に8個の切れ目を入れることで形成されている。切離し部3aは、切離し部3aの内周側に内筒2の下端部(先端部)が配置されて8個の弾性片3cの先端同士が離れるように広がる開状態(
図1(A)に示す状態)と、切離し部3aの内周側から内筒2が外れて(具体的には、上側に外れて)8個の弾性片3cの先端同士が近づくように窄む閉状態(
図1(B)参照)とに弾性変形可能となっている。外筒3の、切離し部3aを除いた部分の外径は、たとえば、4(mm)となっており、外筒3aの、切離し部3aを除いた部分の内径は、たとえば、3.5(mm)となっている。
【0041】
切離し部3aが閉状態であるときの弾性片3cは、凸曲板状になっている。本願発明者の検討によると、切離し部3aが閉状態であるときの弾性片3cの曲率半径R1(
図7参照)は、12(mm)以下となっていることが好ましい。より具体的には、採取される脳組織Btの損傷を抑制するために、弾性片3cの曲率半径R1は、10(mm)以下であることがより好ましい。切離し部3aが閉状態であるときには、外筒3の周方向で隣り合う弾性片3cは互いに接触しているか、または、外筒3の周方向で隣り合う弾性片3cの間にわずかな隙間が形成されている。
【0042】
弾性片3cの下端は、R面取り加工されており、弾性片3cの下端(先端)は、凸曲面状になっている。具体的には、切離し部3aが開状態となっているときに外筒3の径方向から見たときの弾性片3cの下端は、凸曲面状になっている。そのため、切離し部3aが閉状態となっているときには、内筒2の内周側に通じる穴3dが切離し部3aの先端に形成される(
図6参照)。穴3dは、内筒2の内径よりも小さくなっている。本願発明者の検討によると、穴3dの内径D(具体的には、穴3dの、8個の弾性片3cの先端に接触する仮想円が形成される部分の内径D、
図6参照)は、2(mm)以下であることが好ましい。より具体的には、脳組織Btを適切に採取するために、穴3dの内径Dは、0.8(mm)以下であることがより好ましい。
【0043】
弾性片3cの端面には、R面取り加工またはC面取り加工が施されている。本形態では、弾性片3cの端面にR面取り加工が施されている。本願発明者の検討によると、R面取り加工が施される弾性片3cの端面の曲率半径(具体的には、外筒3の径方向における弾性片3cの端面の曲率半径)は、0.01(mm)~0.5(mm)となっていることが好ましい。より具体的には、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを抑制するために、弾性片3cの端面の曲率半径は、0.05(mm)~0.1(mm)となっていることがより好ましい。
【0044】
また、本願発明者の検討によると、外筒3の外周面(外側の表面)の面粗さは、10(μm)以下となっていることが好ましい。より具体的には、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを抑制するために、外筒3の外周面の面粗さは、5(μm)以下となっていることがより好ましい。すなわち、切離し部3aの外側面の面粗さは、10(μm)以下となっていることが好ましく、5(μm)以下となっていることがより好ましい。
【0045】
図4、
図5に示すように、外筒3の内周面と内筒2の外周面との間には、通気用の隙間G(以下、「通気用隙間G」とする。)が形成されている。具体的には、外筒3の内周面と平面部2bとの間に通気用隙間Gが形成されている。すなわち、内筒2の軸心に対して90°ピッチで4箇所に通気用隙間Gが形成されている。また、通気用隙間Gは、外筒3の、切離し部3aを除いた部分の内周面と内筒2の外周面との間に形成されている。なお、本形態では、厚肉の円筒状に形成されるストッパ部材5の内周面と平面部2bとの間にも通気用の隙間が形成されている。すなわち、ストッパ部材5の内周面と内筒2の外周面との間にも通気用の隙間が形成されている。
【0046】
固定部材6は、厚肉の円筒状に形成されている。固定部材6は、外筒3の上端部の外周面に固定されている。円筒状に形成される固定部材6の軸心と外筒3の軸心とは一致している。固定部材6の内周面には、メネジが形成されている。
【0047】
移動部材7は、段付きの円筒状に形成されており、大径部7aと、大径部7aよりも外径の小さい小径部7bとから構成されている。移動部材7の内周側には、内筒2が挿通されている。移動部材7の内周面と内筒2の平面部2bとの間には通気用の隙間が形成されている。すなわち、移動部材7の内周面と内筒2の外周面との間には通気用の隙間が形成されている。
【0048】
大径部7aの外径は、固定部材6の外径とほぼ等しくなっている。また、大径部7aの外径は、ストッパ部材5の外径よりも大きくなっている。小径部7bの外周面には、固定部材6の内周面のメネジに係合するオネジが形成されている。すなわち、移動部材7は、固定部材6とネジ係合している。大径部7aは、小径部7bの上端に繋がっている。大径部7aには、ストッパ部材5が接触可能となっている。具体的には、大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触可能となっている。大径部7aの上端面には、下側に向かって窪む十字状の溝部7cが形成されている。
【0049】
大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触している状態で、移動部材7が上側に移動するように固定部材6に対して移動部材7を回転させると、外筒3の内周面に沿って内筒2がストッパ部材5および移動部材7と一緒に上側に移動する。一方、本形態では、上述のように、曲面部2cの曲率半径と外筒3の内周面の曲率半径とがほぼ等しくなっており、大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触している状態で、移動部材7が下側に移動するように固定部材6に対して移動部材7を回転させても、内筒2は外筒3に対して移動しない。
【0050】
すなわち、本形態では、移動部材7にストッパ部材5が接触している状態で、固定部材6に対して移動部材7を所定方向に回転させると、外筒3の内周面に沿って切離し部3aの内周側から外れる方向に外筒3に対して内筒2が移動するが、固定部材6に対して移動部材7を反対方向に回転させても、内筒2は外筒3に対して移動しない。ただし、固定部材6に対して移動部材7を反対方向に回転させたときに、外筒3に対して内筒2が移動しても良い。
【0051】
本形態では、ストッパ部材5と内筒2の上端部との接合部分に形成される隙間、および、固定部材6と外筒3の上端部との接合部分に形成される隙間は、ロウまたは樹脂等によって完全に埋められている。そのため、本形態では、脳組織採取具1の外部からこれらの隙間に体液や水等の浸入を防止することが可能になっており、これらの隙間で雑菌が発生するのを防止することが可能になっている。また、脳組織採取具1の洗浄性を高めることが可能になっている。
【0052】
(脳組織の採取方法)
図8は、
図1に示す脳組織採取具1による脳組織Btの採取方法を説明するための図である。
【0053】
脳組織採取具1によって脳組織Btを採取するときには、まず、移動部材7の大径部7aの下端面が固定部材6の上端面に接触するまで、移動部材7の小径部7bを固定部材6にねじ込む(
図1(A)参照)。その後、大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触するまで、外筒3および移動部材7の内周側に内筒2を押し込む。本形態では、内筒2の周方向において平面部2bと大径部7aの溝部7cとが一致するように外筒3および移動部材7の内周側に内筒2を押し込む。
【0054】
大径部7aの下端面が固定部材6の上端面に接触し、かつ、大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触している状態では、内筒2の下端(先端)が外筒3の下端(先端)よりも下側に突き出しており、切離し部3aの内周側には、内筒2の下端部が配置されている(
図1(A)、
図3参照)。すなわち、大径部7aの下端面が固定部材6の上端面に接触し、かつ、大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触している状態では、切離し部3aは、開状態となっている。また、大径部7aの下端面が固定部材6の上端面に接触し、かつ、大径部7aの上端面にストッパ部材5の下端面が接触している状態では、内筒2の下端が外筒3の下端よりも下側に、たとえば、1(mm)程度突き出している。
【0055】
その状態で、
図8(A)に示すように、脳組織採取具1の下端部(先端部)を患部APに差し込んで、内筒2の切断刃2aで患部APに切込みを入れながら、内筒2の内周側に断層状の脳組織Btを配置する。脳組織採取具1の先端部を患部APに差し込むときには、たとえば、脳組織採取具1を回転させながら脳組織採取具1の先端部を患部APに差し込む。その後、固定部材6に対して移動部材7を所定方向に回転させて、切離し部3aの内周側から外れる方向に内筒2を移動させる。本形態では、移動部材7が回転すると、内筒2およびストッパ部材5も移動部材7と一緒に回転する。切離し部3aの内周側から内筒2が外れると、切離し部3aは、閉状態になる(
図8(B)参照)。
【0056】
切離し部3aが閉状態になるときには、内筒2の内周側に配置された脳組織Btが弾性片3cによって患部APから切り離されて、切り離された脳組織Btが内筒2の内周面と8個の弾性片3cとによって画定される空間に収容される。切離し部3aが閉状態となっているときの8個の弾性片3cは、内筒2の下端に形成される開口を下側から部分的に覆っており、内筒2の内周面と8個の弾性片3cとによって画定される空間からの脳組織Btの抜けを防止する機能を果たしている。この状態で、
図8(C)に示すように、脳組織採取具1を患部APから抜き取ることで、内筒2の内周側に収容された脳組織Btが採取される。なお、採取された脳組織Btは、プッシャーによって脳組織採取具1の先端部から押し出される。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、切離し部3aを構成する弾性片3cの先端は、凸曲面状になっていて尖っていない。そのため、本形態では、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを抑制することが可能になる。
【0058】
本形態では、外筒3の内周面と内筒2の外周面との間に通気用隙間Gが形成されるとともに、移動部材7の内周面と内筒2の外周面との間、および、ストッパ部材5の内周面と内筒2の外周面との間に通気用の隙間が形成されている。また、本形態では、ストッパ部材5の下端面が接触する大径部7aの上端面に溝部7cが形成されるとともに、脳組織採取具1によって脳組織Btを採取するときには、内筒2の周方向において平面部2bと溝部7cとが一致するように外筒3および移動部材7の内周側に内筒2が押し込まれており、移動部材7が回転すると、内筒2も移動部材7と一緒に回転する。
【0059】
そのため、本形態では、内筒2の内周面と8個の弾性片3cとによって画定される空間に脳組織Btが収容された状態の脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、通気用隙間Gおよび閉状態の切離し部3aの先端に形成される穴3d等を利用して、患部APの、脳組織Btが採取される部分に空気を入り込ませることが可能になる。したがって、本形態では、内筒2の内周面と8個の弾性片3cとによって画定される空間に脳組織Btが収容された状態の脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、患部APの、脳組織Btが採取される部分が陰圧になるのを抑制することが可能になる。また、通気用隙間Gの広さや穴3dの大きさ等によっては、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、患部APの、脳組織Btが採取される部分を大気圧にすることが可能になる。
【0060】
その結果、本形態では、内筒2の内周面と8個の弾性片3cとによって画定される空間に脳組織Btが収容された状態の脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、収容された脳組織Btの一部が、閉状態の切離し部3aの先端に形成される穴3dから飛び出すのを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、採取したい脳組織Btを適切に採取することが可能になる。また、採取したい脳組織Btの状態や配置等を維持したまま、脳組織Btを採取することが可能になる。
【0061】
本形態では、内筒の外周面に平面部2bが形成されており、通気用隙間Gは、外筒3の内周面と平面部2bとの間に形成されている。そのため、本形態では、外筒3の内周面と内筒2の外周面との間に、通気用隙間Gを比較的容易に形成することが可能になる。
【0062】
本形態では、切断刃2aの刃先の全体がR面取り加工されている。そのため、本形態では、脳組織採取具1を患部APに差し込む際に、採取される脳組織Btの周囲にある血管に切断刃2aの刃先が接触したとしても、切断刃2aの表面に沿って血管を逃がすことが可能になる。したがって、本形態では、脳組織採取具1を患部APに差し込む際に、採取される脳組織Btの周囲にある血管を切断刃2aが傷つけるのを抑制することが可能になり、その結果、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを効果的に抑制することが可能になる。
【0063】
本形態では、切断刃2aの刃先の全体がR面取り加工されている。また、本形態では、内筒2の内周面の面粗さが10(μm)以下となっており、内筒2の内周面は比較的滑らかになっている。そのため、本形態では、断層状の脳組織Btを内筒2の内部に取り込んで採取することが可能になる。脳組織Btの病理診断においては、腫瘍部が正常部からどのように腫瘍へ変異したかが重要な情報になるが、本形態では、断層状の脳組織Btを内筒2の内部に取り込んで採取することが可能になるため、脳組織Btの病理診断において、この重要な情報を得ることが可能になる。
【0064】
本形態では、移動部材7が固定部材6とネジ係合しており、移動部材7にストッパ部材5が接触している状態で、固定部材6に対して移動部材7を所定方向に回転させると、外筒3の内周面に沿って切離し部3aの内周側から外れる方向に内筒2が移動する。そのため、本形態では、移動部材7の回転量に応じて所定量ずつ切離し部3aの内周側から外れる方向に内筒2を移動させることが可能になる。したがって、本形態では、開状態から閉状態に状態が変わる切離し部3aの状態変化を制御しながら、切離し部3aを開状態から閉状態にすることが可能になる。
【0065】
また、患部APに脳組織採取具1が差し込まれた状態で、切離し部3aの内周側から外れる方向に内筒2を急激に移動させると、患部APの、脳組織Btが採取される部分が陰圧になるおそれがあるが、本形態では、切離し部3aの内周側から外れる方向に移動する内筒2の移動速度を制御することが可能になる。したがって、本形態では、患部APの、脳組織Btが採取される部分が陰圧になるのを抑制しつつ、切離し部3aを開状態から閉状態にすることが可能になる。
【0066】
本形態では、外筒3の外周面に、患部APに対する脳組織採取具1の差し込み量を目視で確認するための目盛り3bが記されている。そのため、本形態では、患部APに対する脳組織採取具1の差し込み量を目視で容易に確認することが可能になる。
【0067】
本形態では、切離し部3aが閉状態であるときの弾性片3cの曲率半径R1が12(mm)以下となっており、弾性片3cの曲率半径R1が比較的小さくなっている。そのため、本形態では、採取される脳組織Btの先端部の潰れ(
図8の下端部の潰れ)を抑制することが可能になる。したがって、本形態では、採取された脳組織Btに基づいて、適切な組織診断を行うことが可能になる。なお、上述の特許文献1に記載の検体採取具では、切断部材の先端部が円錐状になっているため、検体採取具によって採取される組織の先端部は潰れる。
【0068】
(内筒の先端側部分の変更例)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる内筒の先端側部分の構成を説明するための断面図である。
【0069】
上述した形態において、
図9に示すように、内筒2の外周面に、切離し部3aが開状態であるときの弾性片3cの先端部の一部または全部が収容される凹部2eが形成されていても良い。この場合には、切離し部3aが開状態となっている脳組織採取具1を患部APに差し込む際に(
図8(A)参照)、採取される脳組織Btの周囲にある血管に弾性片3cの先端部が接触しにくくなる。したがって、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを効果的に抑制することが可能になる。
【0070】
(弾性片の変更例)
図10(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる弾性片3cの構成を説明するための側面図であり、
図10(B)は、
図10(A)に示す弾性片3cの構成を説明するための断面図である。なお、
図10(A)では、平面部2bの図示を省略している。
【0071】
上述した形態では、
図3に示すように、切離し部3aが開状態であるときに、弾性片3cは、弾性片3cの上端(基端)から下側に向かって真っすぐ伸びており、上下方向(すなわち、外筒3の軸方向)における弾性片3cの中間部は、外筒3の径方向の外側に膨らんでいないが、
図10に示すように、切離し部3aが開状態であるときに、弾性片3cの上下方向の中間部が外筒3の径方向の外側に膨らんでいて、弾性片3cの先端(下端)が内筒2の外周面に接触していても良い。
【0072】
この場合には、弾性片3cの弾性力によって弾性片3cの先端が内筒2の外周面に密着しやすくなる。したがって、この場合には、切離し部3aが開状態となっている脳組織採取具1を患部APに差し込む際に(
図8(A)参照)、採取される脳組織Btの周囲にある血管に弾性片3cの先端が接触しにくくなる。したがって、採取される脳組織Btの周囲にある血管が傷つくのを効果的に抑制することが可能になる。
【0073】
なお、本願発明者の検討によると、弾性片3cの上下方向の中間部の膨らみ量S(
図10参照)は、1(mm)以下であることが好ましい。より具体的には、採取される脳組織Btの周囲にある血管の損傷を抑制するために、弾性片3cの上下方向の中間部の膨らみ量Sは、0.5(mm)以下であることがより好ましい。また、
図10に示す例では、切離し部3aが開状態であるときに、全ての弾性片3cにおいて、弾性片3cの上下方向の中間部が外筒3の径方向の外側に膨らんでいて、弾性片3cの先端が内筒2の外周面に接触しているが、切離し部3aが開状態であるときに、複数の弾性片3cの中に、弾性片3cの上端から下側に向かって真っすぐ伸びていて上下方向における弾性片3cの中間部が外筒3の径方向の外側に膨らんでいない弾性片3cがあっても良い。
【0074】
(切離し部の変更例1)
図11(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる切離し部3aの構成を説明するための斜視図であり、
図11(B)は、
図11(A)に示す切離し部3aの底面図である。
【0075】
上述した形態では、切離し部3aを構成する複数の弾性片3cは同形状に形成されているが、
図11に示すように、切離し部3aは、切離し部3aが閉状態であるときに先端が互いに接触する複数の弾性片3eと、弾性片3eよりも短い複数の弾性片3f~3hとによって構成されていても良い。
図11に示す例では、切離し部3aは、2個の弾性片3eと2個の弾性片3fと4個の弾性片3gと8個の弾性片3hとによって構成されている。弾性片3e~3hは、外筒3の先端に向かって伸びるとともに外筒3の周方向に配列されている。弾性片3e~3hの先端は、R面取り加工されており、弾性片3e~3hの先端は、凸曲面状になっている。この変更例の弾性片3eは、第1弾性片であり、弾性片3f~3hは、第2弾性片である。
【0076】
2個の弾性片3eは、外筒3の軸心に対して180°ピッチで配置されている。2個の弾性片3fは、外筒3の軸心に対して180°ピッチで配置されている。4個の弾性片3gは、外筒3の軸心に対して90°ピッチで配置されている。8個の弾性片3hは、外筒3の軸心に対して45°ピッチで配置されている。弾性片3eと弾性片3fとは、外筒3の軸心に対して90°ピッチで交互に配置されている。弾性片3gは、外筒3の周方向における弾性片3eと弾性片3fとの中心位置に配置されている。弾性片3hは、外筒3の周方向における弾性片3eと弾性片3gとの中心位置と、外筒3の周方向における弾性片3fと弾性片3gとの中心位置とに配置されている。
【0077】
上述した形態と同様に、この変更例でも、切離し部3aは、切離し部3aの内周側に内筒2の下端部(先端部)が配置されて弾性片3e~3hの先端同士が離れるように広がる開状態と、切離し部3aの内周側から内筒2が外れて弾性片3e~3hの先端同士が近づくように窄む閉状態(
図11参照)とに弾性変形可能となっている。
【0078】
弾性片3eの先端部(下端部)の幅は、弾性片3eの基端部(上端部)の幅よりも広くなっている。上述のように、切離し部3aが閉状態であるときに2個の弾性片3eの先端同士は接触している。弾性片3fの幅は、弾性片3eの先端部の幅よりも狭くなっている。また、弾性片3fの先端部(下端部)の幅は、弾性片3fの基端部(上端部)の幅よりも広くなっている。弾性片3fの先端部は、切離し部3aが閉状態であるときに2個の弾性片3eの先端部の間に形成される隙間の一部を埋めている。弾性片3gは、弾性片3fよりも短くなっている。弾性片3hは、弾性片3gよりも短くなっている。弾性片3g、3fの幅は、弾性片3eの先端部の幅よりも狭くなっている。
【0079】
切離し部3aが閉状態であるときの弾性片3e~3hは、弾性片3e~3hの上端(基端)から下側に向かって真っすぐに伸びる部分と凸曲板状に膨らむ部分とによって構成されており、真っすぐに伸びる部分の下端に、凸曲板状に膨らむ部分が繋がっている。切離し部3aが閉状態であるときに、弾性片3f~3hは、互いに接触しておらず、また、弾性片3eにも接触していない。また、切離し部3aが閉状態であるときには、少なくとも外筒3の周方向において弾性片3e~3hの間に隙間が形成されている。また、切離し部3aが開状態であるときにも、少なくとも外筒3の周方向において弾性片3e~3hの間に隙間が形成されている。
【0080】
この変更例でも、内筒2の内周面と弾性片3e~3hとによって画定される空間に脳組織Btが収容された状態の脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、通気用隙間Gおよび閉状態の切離し部3aの先端に形成される穴や閉状態の切離し部3aにおいて弾性片3e~3hの間に形成される隙間等を利用して、患部APの、脳組織Btが採取される部分に空気を入り込ませることが可能になる。したがって、内筒2の内周面と弾性片3e~3hとによって画定される空間に脳組織Btが収容された状態の脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、患部APの、脳組織Btが採取される部分が陰圧になるのを抑制することが可能になる。また、通気用隙間Gの広さ等によっては、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、患部APの、脳組織Btが採取される部分を大気圧にすることが可能になる。
【0081】
その結果、内筒2の内周面と8個の弾性片3e~3hとによって画定される空間に脳組織Btが収容された状態の脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、収容された脳組織Btの一部が、閉状態の切離し部3aの先端側に形成される穴や隙間から飛び出すのを抑制することが可能になる。したがって、採取したい脳組織Btを適切に採取することが可能になる。また、採取したい脳組織Btの状態や配置等を維持したまま、脳組織Btを採取することが可能になる。
【0082】
また、この変更例では、切離し部3aが閉状態であるときに先端が互いに接触する2個の弾性片3eによって、閉状態の切離し部3aの先端に形成される穴の大きさを小さくすることが可能になる。したがって、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、内筒2の内周面と弾性片3e~3hとによって画定される空間に収容された脳組織Btの一部が、閉状態の切離し部3aの先端から飛び出すのを抑制することが可能になる。
【0083】
また、この変更例では、切離し部3aが閉状態であるときに少なくとも外筒3の周方向において弾性片3e~3hの間に隙間が形成されているため、切離し部3aが開状態から閉状態になるときに、採取される脳組織Btの、弾性片3e~3hが接触する範囲を狭めることが可能になる。したがって、採取される脳組織Btに弾性片3e~3hが接触することに起因する脳組織Btの損傷を抑制することが可能になる。
【0084】
(切離し部の変更例2)
図12(A)は、本発明の他の実施の形態にかかる切離し部3aの構成を説明するための側面図であり、
図12(B)は、
図12(A)に示す切離し部3aの底面図である。
【0085】
図11に示す変更例において、切離し部3aは、
図12に示すように、切離し部3aが閉状態であるときに、2個の弾性片3eの先端部の一部に、先端部の一部が重なる弾性片3kを備えていても良い。
図12に示す例では、切離し部3aは、弾性片3f~3hに代えて、弾性片3p~3uを備えている。弾性片3p~3uは、たとえば、この順番で次第に短くなっている。弾性片3p~3uの幅は、弾性片3eの先端部の幅よりも狭くなっている。弾性片3k、3p~3uの先端は、R面取り加工されており、弾性片3k、3p~3uの先端は、凸曲面状になっている。この変更例の弾性片3kは、第3弾性片であり、弾性片3p~3uは、第2弾性片である。
【0086】
弾性片3kは、たとえば、弾性片3eと同形状に形成されており、弾性片3p~3uよりも長くなっている。また、弾性片3kの先端部の幅は、先端部3kの基端部の幅よりも広くなっている。
図12に示す例では、2個の弾性片3eは、外筒3の軸心に対して略180°ピッチで配置されている。弾性片3kは、外筒3の周方向において2個の弾性片3eの間の中心位置に配置されている。上述のように、切離し部3aが閉状態であるときには、弾性片3kの先端部の一部は、2個の弾性片3eの先端部の一部と重なっている。具体的には、切離し部3aが閉状態であるときに、弾性片3kの先端部の一部は、2個の弾性片3eの先端部の一部に下側から重なっている。
【0087】
この変更例でも、切離し部3aは、切離し部3aの内周側に内筒2の下端部(先端部)が配置されて弾性片3e、3k、3p~3uの先端同士が離れるように広がる開状態と、切離し部3aの内周側から内筒2が外れて弾性片3e、3k、3p~3uの先端同士が近づくように窄む閉状態(
図12参照)とに弾性変形可能となっている。この変更例では、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、内筒2の内周面と弾性片3e、3k、3p~3uとによって画定される空間に収容された脳組織Btの一部が、閉状態の切離し部3aの先端から飛び出すのを弾性片3kによって効果的に抑制することが可能になる。
【0088】
なお、この変更例において、2個の弾性片3eの先端部の全体に弾性片3kの先端部の一部が重なっていても良いし、2個の弾性片3eの先端部の全体に弾性片3kの先端部の全体が重なっていても良い。また、2個の弾性片3eの先端部の一部に弾性片3kの先端部の全体が重なっていても良い。また、
図11、
図12に示す変更例において、切離し部3aは、3個以上の弾性片3eを備えていても良い。また、
図12に示す変更例において、切離し部3aは、2個以上の弾性片3kを備えていても良い。
【0089】
(他の実施の形態)
上述した形態において、平面部2bに代えて、内筒2の外周面に、内筒2の径方向の内側に向かって窪む凹部が形成されていても良い。この場合には、外筒3の内周面とこの凹部の側面との間に通気用隙間Gが形成されている。
【0090】
上述した形態において、内筒2の外周面は、外径が一定な円柱面状に形成されていても良い。すなわち、内筒2の外周面に平面部2bが形成されていなくても良い。この場合には、たとえば、外筒3の内周面に、平面状の平面部が形成されており、この平面部と内筒2の外周面との間に通気用隙間Gが形成されている。あるいは、外筒3の内周面に、外筒3の径方向の外側に向かって窪む凹部が形成されており、この凹部の側面と内筒2の外周面との間に通気用隙間Gが形成されていても良い。なお、この場合には、ストッパ部材5の内周面および移動部材7の内周面にも平面部や凹部が形成されている。
【0091】
上述した形態において、固定部材6は、移動部材7の大径部7aに相当する大径部と、小径部7bに相当する小径部とから構成されていても良い。この場合には、小径部の外周面にオネジが形成され、小径部が大径部の上側に配置されている。また、この場合には、移動部材7は、厚肉の円筒状に形成されており、移動部材7の内周面には、固定部材6の小径部に形成されるオネジと係合するメネジが形成されている。
【0092】
上述した形態において、脳組織採取具1は、固定部材6を備えていなくても良い。この場合には、外筒3の上端部の外周面にオネジが形成されている。また、この場合には、移動部材7は、厚肉の円筒状に形成されており、移動部材7の内周面には、外筒3の上端部に形成されるオネジと係合するメネジが形成されている。
【0093】
上述した形態において、脳組織採取具1は、脳組織採取具1の先端部(下端部)から患部APに強制的に空気を送り込むための送風機構を備えていても良い。この場合には、たとえば、送風機構は、脳組織採取具1の上端部に連結されており、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、脳組織採取具1の上側から下側に向かって空気を送り込む。送風機構から送り込まれた空気は、通気用隙間Gおよび穴3dを通過して、患部APに供給される。このときには、送風機構から送り込まれた空気は、ストッパ部材5の内周面と内筒2の外周面との間の通気用の隙間、および、移動部材7の内周面と内筒2の外周面との間の通気用の隙間も通過する。
【0094】
この場合には、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、患部APの、脳組織Btが採取される部分を陽圧にすることが可能になる。したがって、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、内筒2の内周面と8個の弾性片3cとによって画定される空間に収容された脳組織Btの一部が、穴3dから飛び出すのを効果的に抑制することが可能になり、その結果、採取したい脳組織Btをより適切に採取することが可能になる。また、採取したい脳組織Btの状態や配置等を確実に維持したまま、脳組織Btを採取することが可能になる。
【0095】
また、
図11、
図12に示す変更例において、脳組織採取具1は、脳組織採取具1の先端部(下端部)から患部APに強制的に空気を送り込むための送風機構を備えていても良い。この場合であっても、脳組織採取具1を患部APから抜き取る際に、患部APの、脳組織Btが採取される部分を陽圧にすることが可能になるため、閉状態の切離し部3aの先端から脳組織Btの一部が飛び出すのを効果的に抑制することが可能になる。
【0096】
上述した形態において、脳組織採取具1は、ストッパ部材5、固定部材6および移動部材7を備えていなくても良い。この場合には、脳組織採取具1によって脳組織Btを採取する際に、外筒3に対して内筒2を上側に引っ張ることで、切離し部3aの内周側から外れる方向に内筒2を移動させる。また、上述した形態において、内筒2の切断刃2aの刃先に、わずかな平面部分が形成されていても良い。また、上述した形態において、外筒3の外周面に目盛り3bが記されていなくても良い。
【符号の説明】
【0097】
1 脳組織採取具
2 内筒
2a 切断刃
2b 平面部
2c 曲面部
2e 凹部
3 外筒
3a 切離し部
3b 目盛り
3c 弾性片
3e 弾性片(第1弾性片)
3f~3h、3p~3u 弾性片(第2弾性片)
3k 弾性片(第3弾性片)
5 ストッパ部材
6 固定部材
7 移動部材
Bt 脳組織
G 通気用隙間(通気用の隙間)