(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/235 20190101AFI20240104BHJP
【FI】
G07D11/235
(21)【出願番号】P 2020109198
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】西坂 彩
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021135(JP,A)
【文献】特開平03-256189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を貯留するとともに、複数のポジション間を移動可能な貯留部と、
前記貯留部が各ポジションに到達したことを検知する複数のポジション検知手段と、
前記貯留部の移動方向において所定の基準位置から前記貯留部までの距離を測定可能な距離測定手段と、
前記距離測定手段の測定値に基づいて、前記貯留部の現在位置を演算する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記貯留部が前記複数のポジションのうち何れか1つに到達したことを前記ポジション検知手段が検知した場合、予め記憶された前記基準位置から前記貯留部が到達したポジションまでの距離と前記距離測定手段が測定した前記基準位置から前記貯留部までの距離との差である補正値を演算することを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記補正値が所定の許容範囲を超えた場合に、前記距離測定手段に不良が生じたものと判定することを特徴とする請求項
1に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
入金された貨幣を単一の金種別の貨幣と金種混合の汚損貨幣とに区分し、区分された貨幣を貯留部に一時貯留し、一時貯留されている貨幣を収容部へ収容する貨幣処理装置が知られている。
【0003】
特許文献1記載の硬貨処理装置は、硬貨を一時的に貯留する貯留部を備えている。貯留部は、正常硬貨を受け入れる装填位置、装填された硬貨を硬貨収容部に受け渡す収容位置、装填された硬貨を硬貨返却部に受け渡す返却位置の3つの位置間を水平移動可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、貯留部の位置検知は、装填位置、収容位置及び返却位置の3カ所にそれぞれ対応して設けられたインタラプタによって行わるのが一般的であるが、例えば、貯留部が装填位置及び収容位置の間に停止する等してインタラプタが貯留部の位置検知を行えない場合、貯留部をインタラプタが位置検知可能な場所まで水平移動させるイニシャル動作が必要になり、処理時間が長大化する虞があった。
【0006】
また、インタラプタを増設することで貯留部の位置検知範囲を拡大することも考えられるが、インタラプタの増設に伴って部品点数が増えて組立コストが増加するため、コスト増が避けられないという問題があった。
【0007】
そこで、コスト増を抑制しつつ効率的に貯留部を駆動制御可能な貨幣処理装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る貨幣処理装置は、貨幣を貯留するとともに、複数のポジション間を移動可能な貯留部と、前記貯留部が各ポジションに到達したことを検知する複数のポジション検知手段と、前記貯留部の移動方向において所定の基準位置から前記貯留部までの距離を測定可能な距離測定手段と、前記距離測定手段の測定値に基づいて、前記貯留部の現在位置を演算する制御部と、を備え、前記制御部は、前記貯留部が前記複数のポジションのうち何れか1つに到達したことを前記ポジション検知手段が検知した場合、予め記憶された前記基準位置から前記貯留部が到達したポジションまでの距離と前記距離測定手段が測定した前記基準位置から前記貯留部までの距離との差である補正値を演算する。
【0009】
この構成によれば、貯留部の位置に関わらず貯留部のおおよその現在位置を特定可能なため、効率良く且つ低コストで貯留部の駆動制御を行うことができる。さらに、基準位置からポジション検知手段までの既知の距離を基準として距離測定手段の測定値の測定誤差を補正値として予め演算しておくことにより、距離測定手段の測定値の測定誤差を補正値で相殺して貯留部の駆動制御を精度良く行うことができる。
【0014】
また、本発明に係る貨幣処理装置は、前記制御部が、前記補正値が所定の許容範囲を超えた場合に、前記距離測定手段に不良が生じたものと判定することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、補正値が所定の許容範囲を超えたか否かを判定することにより、専用器具等を別途用意することなく距離測定手段の不具合を判断可能なため、センサ不良に起因する事故を未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、効率良く且つ低コストで貯留部の駆動制御を行うことができる貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の構成を示す模式図。
【
図2】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置を示す斜視図。
【
図3】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部に硬貨が一時的に貯留されている状態を示す図である。
【
図4】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部から硬貨収容部に硬貨が受け渡されている状態を示す図である。
【
図5】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部から硬貨返却部に硬貨が受け渡されている状態を示す図である。
【
図6】本発明に係る貨幣処理装置の一実施形態である硬貨処理装置の要部の斜視図であって、貯留部から硬貨収容繰出部に硬貨が受け渡されている状態を示す図である。
【
図7】装填位置、収容位置又は返却位置に位置する貯留部並びにポジションセンサ及び距離測定センサの配置関係を模式的に示す平面図。
【
図8】装填位置、収容位置又は返却位置の間に位置する貯留部並びにポジションセンサ及び距離測定センサの配置関係を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る硬貨処理装置10について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0019】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0020】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0021】
図1に示すように、硬貨処理装置10は、貨幣であるバラの硬貨(以下、単に「硬貨」という)に関する処理を行う硬貨処理部11と、硬貨を所定の包装単位枚数ずつ一体に纏めた棒金(包装硬貨)に関する処理を行う棒金処理部12と、を備えている。
【0022】
[硬貨処理部]
硬貨処理部11は、外部から入金された硬貨の入金処理を行う硬貨入金部21と、硬貨入金部21から硬貨を受け入れて収納する収納処理を行うとともに収納している硬貨を外部に取り出し可能に出金する硬貨収納出金部22と、を備えている。
【0023】
硬貨入金部21は、外部から硬貨が投入されるとともに投入された硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す入金ホッパ31と、入金ホッパ31から繰り出された硬貨を搬送しつつ入金識別計数部32で真偽、金種及び正損を識別して計数する入金搬送部33と、入金識別計数部32で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の入金リジェクト案内部34と、入金リジェクト案内部34で入金搬送部33から案内された硬貨を収容する入金リジェクト部35と、を備えている。
【0024】
入金リジェクト部35は、箱状であって、
図2に示す硬貨処理装置10の装置本体41の上部ユニット42から装置前方に引き出されることで上部ユニット42から取り外し可能である。入金リジェクト部35は、装置本体41の建屋フロアに設置されるベース筐体43に対し押し込まれた上部ユニット42に装填された状態で、
図1に示す入金リジェクト案内部34で案内された硬貨を収容し、上部ユニット42から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。なお、上部ユニット42は、ベース筐体43に対して装置前方に引き出し可能に連結されている。
【0025】
硬貨入金部21は、入金識別計数部32で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の放出案内部51と、放出案内部51で入金搬送部33から案内された硬貨を外部に放出する放出部52と、を備えている。
【0026】
放出部52は、外部から図示しない収納袋が装着されることになり、装着された収納袋内に、放出案内部51で案内された硬貨を放出する。ここで、入金ホッパ31に投入された硬貨の中から設定金種の硬貨を設定枚数だけ収納袋に収納するローカル袋取り処理を行う際には、入金識別計数部32の識別結果に基づいて、放出案内部51は、収納袋が装着された放出部52に設定金種の硬貨を設定枚数だけ案内し、入金リジェクト案内部34は、設定金種以外の硬貨及び設定枚数を超える硬貨を入金リジェクト部35に案内する。なお、入金リジェクト部35に別の収納袋を装着することにより、設定金種以外の硬貨及び設定枚数を超える硬貨を袋取りすることもできる。
【0027】
硬貨入金部21は、入金識別計数部32で真つまり受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する開閉式の包装案内部55を備えている。包装案内部55で案内された硬貨は棒金処理部12に搬送される。ここで、入金ホッパ31に投入された硬貨の中から設定金種の硬貨を包装して棒金とするローカル包装処理を行う際には、入金識別計数部32の識別結果に基づいて、包装案内部55は、設定金種の硬貨を棒金処理部12に案内し、入金リジェクト案内部34は、設定金種以外の硬貨を入金リジェクト部35に案内する。棒金処理部12は、硬貨処理部11から送り込まれた硬貨を所定の包装単位枚数(例えば50枚)ずつ集積させて包装する。
【0028】
硬貨入金部21は、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別された硬貨を入金搬送部33から落下案内する貯留案内部61と、貯留案内部61で入金搬送部33から案内された硬貨を一時貯留する貯留部62と、を備えている。
図3に示すように貯留部62は、単一金種の硬貨を貯留する金種別の貯留区分部63a~63fと、汚損硬貨を金種混合で貯留する汚損硬貨用の貯留区分部63gと、を備えている。
【0029】
図1に示す貯留案内部61は、入金搬送部33の装置前後方向に沿って直線状に設けられており、最も包装案内部55に近い側が開閉式で全金種の汚損硬貨を入金搬送部33から落下させて貯留部62に案内するように構成され、包装案内部55とは反対側では常時開の選別孔式であって汚損のない正常硬貨を小径のものから順に入金搬送部33から落下させて貯留部62に案内する。
【0030】
貯留案内部61の上述した振り分けの順番に合わせて、貯留部62は、
図3に示すように、汚損硬貨を貯留する貯留区分部63g、1円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63a、50円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63b、5円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63c、100円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63d、10円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63e、500円の正常硬貨を貯留する貯留区分部63fが、装置前側から後側に向けてこの順で直線状に並べられている。
【0031】
貯留部62は、貯留区分部63a~63gの側壁部分を形成する一体の貯留部本体64と、貯留区分部63a~63gの底部分を形成する底板65と、貯留部本体64を水平移動させる図示しない本体駆動モータと、底板65を水平移動させる図示しない底板駆動モータと、を備えている。
【0032】
貯留部62は、
図1に示す貯留案内部61の鉛直下方が装填位置であり、
図3に示すようにこの装填位置に貯留部本体64及び底板65が位置する状態で、貯留案内部61で案内された硬貨を貯留区分部63a~63gに分類して受け入れる。つまり、貯留部62は、入金ホッパ31に入金された正常硬貨を、金種別の貯留区分部63a~63fに金種別に分けて貯留するとともに、汚損硬貨を貯留区分部63gに貯留する。
【0033】
硬貨入金部21は、貯留部62が貯留区分部63a~63gに分類して貯留している硬貨を収納する硬貨収納部71を備えている。硬貨収納部71は、貯留部62が、
図4に示すように、底板65を装填位置に保持した状態のまま貯留部本体64を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで収納する。
【0034】
硬貨収納部71は、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収納する
図3に示す収納カセット71g、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を収納する収納カセット71a、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を収納する収納カセット71b、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を収納する収納カセット71c、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を収納する収納カセット71d、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を収納する収納カセット71e、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を収納する収納カセット71fが、装置前側から後側に向けてこの順で直線状に並べられている。
【0035】
硬貨収納部71を構成する収納カセット71a~71gは、それぞれが箱状であって、
図2に示す装置本体41のベース筐体43に対し装置前方に引き出し可能となるように連結された収納引出部72に個別に着脱可能に装填されている。収納カセット71a~71gは、収納引出部72に装填された後、収納引出部72がベース筐体43に押し込まれると、貯留部62から落下する硬貨を収納可能となる。また、収納カセット71a~71gは、ベース筐体43から収納引出部72が引き出された後、この収納引出部72から取り外されることで、個別に取り出し可能となる。なお、硬貨収納部71は、硬貨を金種別に分類せずに、金種混合で一括して収納するものであっても構わない。
【0036】
硬貨入金部21は、貯留部62が貯留区分部63a~63gに分類して貯留している硬貨を外部に取り出し可能に返却する硬貨返却部75を備えている。硬貨返却部75は、貯留部62が、底板65及び貯留部本体64を収納位置に移動させた後に、
図5に示すように、貯留部本体64のみをさらに側方の返却位置に移動させることで貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで収容する。
【0037】
硬貨返却部75は、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収容する
図3に示す返却区分部75g、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を収容する返却区分部75a、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を収容する返却区分部75b、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を収容する返却区分部75c、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を収容する返却区分部75d、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を収容する返却区分部75e、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を収容する返却区分部75fが、装置前側から後側に向けてこの順で直線状に並べられている。
【0038】
硬貨返却部75は、箱状であって返却区分部75a~75gが一体に設けられている。硬貨返却部75は、
図2に示すベース筐体43から装置前方に引き出されてベース筐体43から取り外される。硬貨返却部75は、ベース筐体43に装填された状態で貯留部62からの硬貨を収容し、ベース筐体43から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。なお、硬貨返却部75は、硬貨を金種別に分類せずに、金種混合で一括して収容するものであっても良い。
【0039】
図3に示す硬貨収納出金部22は、貯留部62が貯留区分部63a~63fに分類して貯留している硬貨を外部に出金可能に収納する硬貨収納繰出部81を備えている。硬貨収納繰出部81は、
図6に示すように、貯留部62が、貯留部本体64を装填位置に保持した状態のまま底板65を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63a~63fから落下する硬貨をその分類状態のままで出金可能に収納する。
【0040】
硬貨収納繰出部81は、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81a、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81b、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81c、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81d、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81e、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を外部に出金可能に収納する出金ホッパ81fが、装置前側から後側に向けて、この順に直線状に並べられている。
【0041】
よって、硬貨収納繰出部81は、それぞれが単一金種の硬貨を外部に出金可能に収納する金種別の出金ホッパ81a~81fを有しており、貯留部62は、入金ホッパ31に入金されて金種別の貯留区分部63a~63fに金種別に分けて貯留している硬貨を金種別に分けた状態のまま硬貨収納繰出部81の金種別の出金ホッパ81a~81fに収納可能となっている。
【0042】
すなわち、貯留部62は、硬貨を貯留するとともに貯留している硬貨の収納先を硬貨収納繰出部81と硬貨収納部71と硬貨返却部75とに選択的に切り替え可能である。そして、貯留部62は、収納先が硬貨収納繰出部81に設定されている場合には、貯留している硬貨を金種別に分けて金種別の出金ホッパ81a~81fに収納する。
【0043】
硬貨入金部21には、
図7~8に示すように、ポジションセンサ66a、66b、66cと、距離測定センサ67と、が設けられている。
図7(a)は、
図3に図示された硬貨入金部21の一部を平面から視た模式図にポジションセンサ66a、66b、66c及び距離測定センサ67を追記したものである。
図7(b)は、
図4に図示された硬貨入金部21の一部を平面から視た模式図にポジションセンサ66a、66b、66c及び距離測定センサ67を追記したものである。
図7(c)は、
図5に図示された硬貨入金部21の一部を平面から視た模式図にポジションセンサ66a、66b、66c及び距離測定センサ67を追記したものである。
【0044】
ポジションセンサ66a、66b、66cは、貯留部62の移動方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。ポジションセンサ66a、66b、66cは、貯留部62がポジションセンサ66a、66b、66cの検知範囲内に位置するか否かを検知するものである。ポジションセンサ66a、66b、66cは、例えば、フォトインタラプタ、光学センサ又はマイクロスイッチ等である。以下では、ポジションセンサ66a、66b、66cに、互いに垂直方向に離間して対向配置されたLEDとフォトトランジスタとから成り、LEDとフォトトランジスタとの間に位置する遮光物の有無に伴う電流変化によって物体検知を行うフォトインタラプタを用いた場合を例に説明する。
【0045】
具体的には、ポジションセンサ66aは、平面から視て硬貨収納繰出部81の側方に配置されており、貯留部62の側方に設けられた図示しない幅5mm程度の割り込み板が、ポジションセンサ66aのLEDとフォトトランジスタとの間に割り込んで光を遮光するか否かにより、ポジションセンサ66aは、貯留部62が装填位置に位置するか否かを検知する。同様にして、ポジションセンサ66bは、平面から視て硬貨収納部71の側方に配置されており、貯留部62の割り込み板が、ポジションセンサ66bのLEDの光を遮光するか否かにより、ポジションセンサ66bは、貯留部62が収納位置に位置するか否かを検知する。また、ポジションセンサ66cは、平面から視て硬貨返却部75の側方に配置されており、貯留部62の割り込み板が、ポジションセンサ66cのLEDの光を遮光するか否かにより、ポジションセンサ66cは、貯留部62が返却位置に位置するか否かを検知する。
【0046】
なお、本実施形態では、ポジションセンサ66a、66b、66cは、貯留部本体64及び底板65がほぼ一体となって水平移動することから、貯留部62のうち貯留部本体64のみを検知対象としているが、貯留部本体64及び底板65をそれぞれ検知対象としても構わない。
【0047】
距離測定センサ67は、例えば、光源から照射された光が貯留部62の側面で反射して受光されるまでの時間に基づいて、貯留部62の移動方向(
図8紙面上の左右方向)における基準位置から貯留部62までの距離を測定する位相差測距方式の測距センサであるが、他の方式の距離センサであっても構わない。なお、以下では、貯留部62の距離測定における基準位置が、距離測定センサ67の設置位置に設定された場合を例に説明するが、基準位置はこれに限定されるものではない。
【0048】
なお、本実施形態では、距離測定センサ67は、貯留部62のうち距離測定センサ67に対向する貯留部本体64の側面までの距離を測定しているが、貯留部本体64及び底板65の各側面までの距離をそれぞれ測定しても構わない。
【0049】
出金ホッパ81aの出金ホッパ81bとは反対側には、貯留部62が貯留部本体64を装填位置に保持した状態のまま底板65を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収納する汚損カセット82gが設けられており、出金ホッパ81fの出金ホッパ81eとは反対側には、後述する精査処理時に硬貨を貯留させる貨幣貯留部としての精査ホッパ83hが設けられている。
【0050】
出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hは、
図2に示す装置本体41のベース筐体43に対し装置前方に引き出し可能となるように連結された出金繰出引出部85に着脱不可に組み込まれている。出金ホッパ81a~81fは、出金繰出引出部85がベース筐体43に押し込まれると、貯留部62の貯留区分部63a~63fから落下する硬貨を収納可能となる。
【0051】
出金ホッパ81aは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91aで計数を行いながら一枚ずつ繰り出し、出金ホッパ81bは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91bで同様に繰り出し、出金ホッパ81cは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91cで同様に繰り出し、出金ホッパ81dは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91dで同様に繰り出し、出金ホッパ81eは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91eで同様に繰り出し、出金ホッパ81fは、収納している硬貨を下部の計数繰出部91fで同様に繰り出す。精査ホッパ83hは、収納している硬貨を下部の識別計数繰出部93hで金種を識別しつつ計数して繰り出す。すなわち、硬貨収納繰出部81は、硬貨を金種別に収納するとともに収納している硬貨を繰り出し可能に構成されている。
【0052】
出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hは、底部が図示しない一つの共通のベルトコンベアで構成されている。このベルトコンベアは、
図9に示す繰出駆動モータ301で駆動されて回転する。
【0053】
計数繰出部91a~91fは、繰出駆動モータ301と、繰出駆動モータ301で駆動されて回転するベルトコンベアと、このベルトコンベアで送り出される硬貨の移動を規制及び許容する図示しないゲートと、ゲートを開閉する繰出ソレノイド302a~302fと、硬貨の有無を検知してゲートを通過する硬貨の枚数を計数する計数センサ303a~303fと、を備えている。計数繰出部91aが繰出ソレノイド302a及び計数センサ303aを、計数繰出部91bが繰出ソレノイド302b及び計数センサ303bを、計数繰出部91cが繰出ソレノイド302c及び計数センサ303cを、計数繰出部91dが繰出ソレノイド302d及び計数センサ303dを、計数繰出部91eが繰出ソレノイド302e及び計数センサ303eを、計数繰出部91fが繰出ソレノイド302f及び計数センサ303fを、それぞれ備えている。
【0054】
識別計数繰出部93hは、繰出駆動モータ301と、繰出駆動モータ301で駆動されて回転するベルトコンベアと、このベルトコンベアで送り出される硬貨の移動を規制及び許容する図示しないゲートと、ゲートを開閉する繰出ソレノイド302hと、ゲートを通過する硬貨の金種を識別しつつ枚数を計数する識別計数センサ303hと、を備えている。
【0055】
出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hの各ゲートは、対応する繰出ソレノイド302a~302f、302hが駆動されることで開状態となって硬貨の通過を許容し、対応する繰出ソレノイド302a~302f、302hの駆動が停止されることで閉状態となって硬貨の通過を規制する。
【0056】
計数繰出部91a~91f及び識別計数繰出部93hは、出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hの底部を構成するベルトコンベアの繰出駆動モータ301の回転速度を切り替えたり回転と回転との間の停止時間を長短切り替えたり、又は繰出ソレノイド302a~302f、302hの駆動と停止の時間間隔を適宜切り替える等により、ゲートを開いた状態で連続的に繰り出される硬貨の繰り出しの時間間隔(1枚の硬貨が繰り出されてから次の1枚の硬貨が繰り出されるまでの時間間隔)を切り替えることが可能である。
【0057】
出金ホッパ81aには、その内部の硬貨の残留を検知する
図9に示す残留検知センサ304aが設けられており、同様に、出金ホッパ81bには残留検知センサ304bが、出金ホッパ81cには残留検知センサ304cが、出金ホッパ81dには残留検知センサ304dが、出金ホッパ81eには残留検知センサ304eが、出金ホッパ81fには残留検知センサ304fが、精査ホッパ83hには残留検知センサ304hが、それぞれ設けられている。
【0058】
汚損カセット82gは、
図2に示す出金繰出引出部85に着脱可能に設けられている。汚損カセット82gは、出金繰出引出部85に装填された後、出金繰出引出部85がベース筐体43に押し込まれると、貯留部62の貯留区分部63gから落下する硬貨を収納可能となる。また、汚損カセット82gは、ベース筐体43から出金繰出引出部85が引き出された後、出金繰出引出部85から取り外されることで、収納した硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0059】
図1に示すように、硬貨収納出金部22は、出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hから計数しつつ繰り出された硬貨を搬送する硬貨出金搬送部101と、硬貨出金搬送部101で搬送されてきた硬貨を収容する硬貨出金部102と、硬貨出金部102に収容されている出金に適さないと判断された硬貨を案内する出金リジェクト案内部103と、出金リジェクト案内部103で硬貨出金部102から案内された硬貨を収容する出金リジェクト部104と、を備えている。
【0060】
硬貨出金部102は、箱状であって、
図2に示す装置本体41の収納引出部72から装置前方に引き出されて収納引出部72から取り外し可能である。硬貨出金部102は、ベース筐体43に対して押し込まれた収納引出部72に装填された状態で硬貨を収容し、収納引出部72から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0061】
出金リジェクト部104は、箱状であって、収納引出部72から装置前方に引き出されて収納引出部72から取り外し可能である。出金リジェクト部104は、ベース筐体43に対して押し込まれた収納引出部72に装填された状態で、出金リジェクト案内部103で硬貨出金部102から案内された硬貨を収容し、収納引出部72から取り外されることで、収容した硬貨が外部に取り出し可能となる。
【0062】
図3に示すように、出金ホッパ81a~81fの計数繰出部91a~91f及び精査ホッパ83hの識別計数繰出部93hは、装置前後方向に直線状に並んで配置されており、これらの硬貨繰り出し方向の前方に、硬貨出金搬送部101を構成するベルトコンベア式の繰出側搬送路111が設けられている。また、硬貨出金搬送部101は、繰出側搬送路111の精査ホッパ83hとは反対側の端部から硬貨を受け取って繰出側搬送路111に垂直な水平方向に搬送するベルトコンベア式の出金側搬送路112を備えている。この出金側搬送路112は、繰出側搬送路111から汚損カセット82gの方向に延びている。
【0063】
繰出側搬送路111は、
図9に示す搬送駆動モータ306で回転駆動されることになり、出金側搬送路112は、
図9に示す搬送駆動モータ307で回転駆動されることになる。繰出側搬送路111及び出金側搬送路112は、互いに同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。繰出側搬送路111及び出金側搬送路112は、搬送駆動モータ306、307の回転速度を切り替えることで、硬貨の搬送速度が切り替え可能となっている。
【0064】
硬貨出金搬送部101は、出金側搬送路112の繰出側搬送路111とは反対側の端部に、出金側搬送路112で搬送中の硬貨の重なりを崩すローラ113と、出金側搬送路112とローラ113との間を通過して出金側搬送路112から一枚ずつ繰り出される硬貨を金種識別を行って計数する出金識別計数部114と、を備えている。出金識別計数部114の識別結果に基づいて、硬貨出金部102に出金すべき硬貨を収容させたり、硬貨出金部102の出金に適さない硬貨をさらに出金リジェクト案内部103で出金リジェクト部104に収容させたりする。
【0065】
出金側搬送路112と汚損カセット82gとの間には、出金側搬送路112と平行にベルトコンベア式の戻入下搬送路121が設けられており、出金側搬送路112と戻入下搬送路121との間には、出金側搬送路112で繰出側搬送路111から出金識別計数部114に向けて搬送中の硬貨を、
図9に示す振分ソレノイド308で駆動されて出金側搬送路112側に揺動することで戻入下搬送路121に移動させる揺動可能な精査ゲート122が設けられている。
【0066】
戻入下搬送路121は、
図9に示す搬送駆動モータ311で回転駆動されることになり、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112と同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。戻入下搬送路121の硬貨の搬送速度は、搬送駆動モータ311の回転速度を切り替えることにより切り替え可能となっている。戻入下搬送路121には、硬貨の残留を検知する
図9に示す残留検知センサ312が設けられている。
【0067】
戻入下搬送路121の上側には、戻入下搬送路121で搬送されてきた硬貨を上方に搬送するベルトコンベア式の戻入縦搬送路123が設けられている。
【0068】
戻入縦搬送路123は、
図9に示す搬送駆動モータ314で回転駆動されることになり、戻入下搬送路121と同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。戻入縦搬送路123の硬貨の搬送速度は、搬送駆動モータ314の回転速度を切り替えることにより切り替え可能となっている。戻入縦搬送路123には、末端位置に硬貨を計数する
図9に示す計数センサ315が設けられている。
【0069】
繰出側搬送路111の上方には、これと平行にベルトコンベア式の戻入上搬送路125が設けられており、戻入上搬送路125は戻入縦搬送路123から硬貨を受け取って搬送する。戻入上搬送路125は、
図9に示す搬送駆動モータ317で回転駆動されることになり、戻入縦搬送路123と同じ一定の搬送速度で硬貨を搬送する。戻入上搬送路125の硬貨の搬送速度は、搬送駆動モータ317の回転速度を切り替えることにより切り替え可能となっている。
【0070】
戻入上搬送路125の出金ホッパ81a~81fとは反対側には、戻入上搬送路125で搬送中の硬貨を出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hに振り分ける揺動可能な戻入ゲート126a~126fが設けられている。戻入ゲート126a~126fは、
図9に示す戻入ソレノイド321a~321fのうちの対応するものが駆動されることにより、出金ホッパ81a~81f側に揺動する一方、この駆動が停止されると出金ホッパ81a~81fとは反対側に揺動する。
【0071】
戻入ゲート126aは、
図9に示す戻入ソレノイド321aが駆動されて出金ホッパ81a側に揺動すると、戻入上搬送路125で搬送されている硬貨を出金ホッパ81aに収納する一方、戻入ソレノイド321aの駆動が停止させられて出金ホッパ81aとは反対側に揺動すると、戻入上搬送路125で搬送されている硬貨を出金ホッパ81aに収納せず、出金ホッパ81aよりも出金ホッパ81b側に移動させる。
【0072】
同様に、戻入ゲート126bは、戻入ソレノイド321bで駆動されて出金ホッパ81b側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81bに収納し、戻入ゲート126cは、戻入ソレノイド321cで駆動されて出金ホッパ81c側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81cに収納し、戻入ゲート126dは、戻入ソレノイド321dで駆動されて出金ホッパ81d側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81dに収納し、戻入ゲート126eは、戻入ソレノイド321eで駆動されて出金ホッパ81e側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81eに収納し、戻入ゲート126fは戻入ソレノイド321fで駆動されて出金ホッパ81f側に揺動することで硬貨を出金ホッパ81fに収納する。
【0073】
戻入上搬送路125は、戻入ゲート126a~126fで出金ホッパ81a~81fに収納されなかった硬貨を末端位置から精査ホッパ83hに収納する。戻入上搬送路125には、硬貨の残留を検知する
図9に示す残留検知センサ322が設けられている。
【0074】
繰出側搬送路111の中間位置には、小径側の3金種の硬貨を収納する出金ホッパ81a~81cから計数繰出部91a~91cで繰り出されて繰出側搬送路111で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部81側に揺動することで
図1に示す棒金処理部12側に繰り出す小径側中間ゲート131と、大径側の3金種の硬貨を収納する出金ホッパ81d~81fから計数繰出部91d~91fで繰り出されて繰出側搬送路111で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部81側に揺動することで棒金処理部12側に繰り出す大径側中間ゲート132とが設けられている。大径側中間ゲート132は、精査ホッパ83hから出金繰出引出部85で繰り出されて繰出側搬送路111で搬送される硬貨を、硬貨収納繰出部81側に揺動することで棒金処理部12側に繰り出す。
【0075】
図1に示すように、硬貨処理部11には、硬貨処理装置10の全体を制御する制御部141と、硬貨処理装置10に電源を供給する電源部142とが設けられている。硬貨処理装置10には、
図9に示すように、操作者の操作入力を受け付ける操作部145と、操作者に向けた表示を行う表示部146と、が設けられている。
【0076】
[棒金処理部]
棒金処理部12は、硬貨収納出金部22から繰り出された硬貨を受け入れて所定の包装単位枚数(纏め枚数)ずつ包装して一体に纏めた棒金とする包装処理(纏め処理)を行う包装部201と、包装部201で作製した棒金を収納する棒金収納部202と、包装部201及び棒金収納部202から棒金を受け入れて外部に取り出し可能に出金する棒金出金部203と、を備えている。
【0077】
包装部201は、硬貨収納出金部22の出金ホッパ81a~81fの何れか一金種の出金ホッパから計数繰出部91a~91fの対応するもので繰り出され、繰出側搬送路111と、小径側中間ゲート131あるいは大径側中間ゲート132とで棒金処理部12に搬送されてきた硬貨を受け取って包装する。また、包装部201は、精査ホッパ83hから識別計数繰出部93hで繰り出され、繰出側搬送路111と大径側中間ゲート132とで棒金処理部12に搬送されてきた硬貨を受け取って包装する。また、包装部201は、入金ホッパ31から繰り出され、包装案内部55で棒金処理部12に案内されてきた硬貨を受け取って包装する。
【0078】
ここで、硬貨処理装置10は、出金ホッパ81a~81fのいずれかの硬貨量が所定量である包装基準値を超えると、自動包装処理を行う。この自動包装処理では、出金ホッパ81a~81fのうちの硬貨量が包装基準値を超えたものから計数繰出部91a~91fの対応するもので硬貨を繰り出す繰出処理を行い、繰出側搬送路111と小径側中間ゲート131又は大径側中間ゲート132とで棒金処理部12に搬送されてきた硬貨を包装部201で受け取って包装する。
【0079】
また、硬貨処理装置10は、入金ホッパ31に投入された硬貨を包装するローカル包装処理において、入金ホッパ31に投入された硬貨から指定された金種以外の硬貨を入金リジェクト案内部34で入金リジェクト部35に案内する一方、指定された金種の硬貨を包装案内部55で棒金処理部12に案内することになり、包装部201は、このように包装案内部55で案内された硬貨を受け取って包装する。
【0080】
包装部201は、硬貨処理部11から硬貨を受け入れるとともに受け入れた硬貨を金種識別しつつ計数して包装単位枚数(50枚)ずつ繰り出す硬貨識別計数部211と、硬貨識別計数部211から繰り出された包装単位枚数の硬貨を集積させて紙あるいは樹脂フィルムからなる包装紙を巻き回し、包装紙を切断した後に集積方向の両側の包装紙の余長部分を内側に丸めるように加締めることにより棒金とする硬貨集積包装部212と、を備えている。
【0081】
包装部201は、硬貨集積包装部212で作製されて下方に繰り出された棒金を3方向に振り分けて搬送する棒金振分搬送部213と、棒金振分搬送部213で第1の方向に振り分けられた棒金を収納する自動時端数棒金収納部214と、棒金振分搬送部213で第2の方向に振り分けられた棒金を収納するローカル時端数棒金収納部215と、を備えている。自動時端数棒金収納部214は、自動包装処理において、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金を収納し、ローカル時端数棒金収納部215は、ローカル包装処理において、包装単位枚数に満たない数の硬貨を包装した端数棒金を収納する。
【0082】
自動時端数棒金収納部214及びローカル時端数棒金収納部215は、いずれも箱状であって、装置本体41から装置前方に引き出されて取り外される。自動時端数棒金収納部214及びローカル時端数棒金収納部215は、いずれも装置本体41に装填された状態で、棒金振分搬送部213により振り分けられた端数棒金を収容し、装置本体41から取り外されることで、収容した端数棒金が外部に取り出し可能となる。
【0083】
棒金出金部203は、棒金振分搬送部213で硬貨処理部11とは反対の第3の方向に振り分けられた棒金を受け取って昇降搬送する棒金出金リフト221を備えている。棒金振分搬送部213で第3の方向に振り分けられる棒金は、端数棒金以外の棒金つまり包装単位枚数の硬貨を包装して作製した正常棒金である。棒金出金部203は、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を外部に放出する下部棒金放出口222と、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を受け取って外部に取り出し可能に収容する上部棒金出金口223と、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を外部に取り出し可能に収納する棒金一括収納部224と、を備えている。
【0084】
下部棒金放出口222は、外部に臨んで設けられており、棒金出金リフト221から受け取った棒金を図示しない受箱に向けて放出する。上部棒金出金口223は、外部に臨んで設けられており、棒金出金リフト221から受け取った棒金を外部に取り出し可能に収容する。棒金一括収納部224は、箱状であって、装置本体41から引き出されて取り外される。棒金一括収納部224は、装置本体41に装填された状態で、棒金出金リフト221から受け取った棒金を収容し、装置本体41から取り外されることで、収容した棒金が外部に取り出し可能となる。
【0085】
棒金収納部202は、棒金出金リフト221で搬送されてきた棒金を受け取って硬貨処理部11の方向に搬送する棒金収納搬送部231と、棒金収納搬送部231から棒金を受け取って上方に搬送する棒金収納リフト232と、棒金収納リフト232で搬送されてきた棒金を受け取って金種別に分類して収納する棒金収納本体部233と、棒金収納本体部233から金種別に棒金を計数しつつ棒金出金リフト221に繰り出す棒金繰出部234と、を備えている。棒金出金リフト221は、棒金繰出部234で棒金収納本体部233から繰り出された棒金を受け取って、上部棒金出金口223及び棒金一括収納部224に振り分ける。
【0086】
硬貨処理装置10は、入金ホッパ31の図示しないシャッタを閉じ、貯留部62を空の状態でその貯留部本体64及び底板65の両方を
図3に示す装填位置に位置させた状態が待機状態となっている。また、この待機状態では、精査ゲート122を、出金側搬送路112で繰出側搬送路111からの硬貨を出金識別計数部114に搬送する状態としている。
【0087】
[入金処理]
操作部145に入金処理実行の操作入力がなされると、制御部141は、入金ホッパ31のシャッタを開く。入金ホッパ31内に硬貨が投入されたことを図示しないセンサで検出すると、制御部141は、入金ホッパ31のシャッタを閉じ、入金ホッパ31によって硬貨を一枚ずつ分離した状態で入金搬送部33に繰り出し、入金搬送部33で搬送しながら、入金識別計数部32で真偽、金種及び正損を識別して計数する。
【0088】
入金識別計数部32で偽つまり受け入れ不可と識別された硬貨を入金リジェクト案内部34で入金搬送部33から案内して入金リジェクト部35に収容する。
【0089】
他方、入金識別計数部32で受け入れ可能と識別された硬貨を貯留案内部61で入金搬送部33から案内して、貯留部本体64及び底板65の両方が装填位置に位置する状態の貯留部62に分類して貯留させる。
【0090】
貯留部62は、貯留区分部63gに全金種の汚損硬貨を、貯留区分部63aに1円の正常硬貨を、貯留区分部63bに50円の正常硬貨を、貯留区分部63cに5円の正常硬貨を、貯留区分部63dに100円の正常硬貨を、貯留区分部63eに10円の正常硬貨を、貯留区分部63fに500円の正常硬貨を、それぞれ貯留することになる。
【0091】
そして、入金ホッパ31内にあった全ての硬貨が入金リジェクト部35あるいは貯留部62に至ったと判定すると、制御部141は、入金識別計数部32の識別結果から、受け入れ可能な入金硬貨の金種別の枚数データを表示部146に表示させるとともに、操作部145に了解操作及びキャンセル操作のいずれか一方の選択入力を受け付ける状態になって入金処理を終了する。
【0092】
[入金収納処理]
入金処理後、操作部145に了解操作が入力されると、制御部141は、硬貨収納繰出部81が硬貨を繰り出す繰出処理を行っているか否かを判定する。
【0093】
硬貨収納繰出部81が硬貨を繰り出す繰出処理を行っている場合には、硬貨収納繰出部81への硬貨の収納処理が禁止されている。このため、制御部141は、貯留部62を、
図4に示すように、底板65を装填位置に保持した状態のまま貯留部本体64を側方の収納位置に移動させることで貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。
【0094】
収納部収納処理によって、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を収納カセット71gが収納し、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を収納カセット71aが収納し、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を収納カセット71bが収納し、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を収納カセット71cが収納し、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を収納カセット71dが収納し、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を収納カセット71eが収納し、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を収納カセット71fが収納する。その後、制御部141は、貯留部本体64を
図3に示す装填位置に戻して、収納部収納処理すなわち入金収納処理を終了する。
【0095】
一方、入金処理後、操作部145に了解操作が入力された時点で、硬貨収納繰出部81が硬貨を繰り出す繰出処理を行っていなければ、制御部141は、貯留部62の金種別の貯留区分部63a~63fに貯留している硬貨量と、硬貨収納繰出部81の金種別の出金ホッパ81a~81fに収納している硬貨量とを、金種別に加算して金種別の合計値を算出する。また、貯留区分部63gに貯留している汚損硬貨の硬貨量と、汚損カセット82gに貯留している硬貨量とを加算して汚損硬貨の合計値を算出する。そして、制御部141は、各金種別の合計値を各金種別に予め設定された上限値と比較するとともに、汚損硬貨の合計値を汚損硬貨の予め設定された上限値と比較する。
【0096】
すなわち、制御部141は、貯留区分部63aの硬貨量と出金ホッパ81aの硬貨量とを加算して1円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出し、この合計値を1円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較する。また、制御部141は、貯留区分部63bの硬貨量と出金ホッパ81bの硬貨量とを加算して50円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出し、この合計値を50円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較する。同様にして、制御部141は、5円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを5円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較し、100円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを100円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較し、10円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを10円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較し、500円の正常硬貨の硬貨量の合計値を割り出して、これを500円の正常硬貨の硬貨量の上限値と比較する。また、制御部141は、貯留部62の汚損硬貨用の貯留区分部63gに貯留している硬貨量と、硬貨収納出金部22の汚損硬貨用の汚損カセット82gに収納している硬貨量とを加算して合計値を割り出し、この合計値についても汚損硬貨用に設定された上限値と比較する。
【0097】
ここで、出金ホッパ81a~81f及び汚損カセット82gには、最大収納許容量が予め設定されている。したがって、出金ホッパ81aに1円の正常硬貨を問題なく収納できる最大収納量である満杯値が出金ホッパ81aにおける1円の正常硬貨の硬貨量の上限値に設定されている。また、出金ホッパ81bに50円の正常硬貨を問題なく収納できる最大収納量である満杯値が出金ホッパ81bにおける50円の正常硬貨の硬貨量の上限値に設定されている。5円の正常硬貨、100円の正常硬貨、10円の正常硬貨及び500円の正常硬貨についても、同様である。汚損硬貨については、市場流通枚数の比率に基づき、この比率で汚損硬貨が発生すると仮定して、汚損カセット82gに問題なく収納できる硬貨の最大収納量である満杯値が硬貨量の上限値に設定されている。あるいは、大きさが最大の500円硬貨を汚損カセット82gに問題なく収納できる最大収納量である満杯値を、汚損硬貨の硬貨量の上限値に設定している。
【0098】
そして、割り出した硬貨量の金種別の合計値がいずれか一金種でも上限値を超えると、制御部141は、硬貨収納繰出部81への硬貨の収納処理を禁止する状態になり、上記した収納部収納処理を行って、貯留区分部63gの硬貨を収納カセット71gに、貯留区分部63aの硬貨を収納カセット71aに、貯留区分部63bの硬貨を収納カセット71bに、貯留区分部63cの硬貨を収納カセット71cに、貯留区分部63dの硬貨を収納カセット71dに、貯留区分部63eの硬貨を収納カセット71eに、貯留区分部63fの硬貨を収納カセット71fに、それぞれ収納する。その後、制御部141は、貯留部本体64を
図3に示す装填位置に戻して、収納部収納処理つまり入金収納処理を終了する。
【0099】
つまり、制御部141は、貯留部62に分類別に貯留している硬貨を、その分類状態のまま、硬貨収納出金部22に収納すると、硬貨収納出金部22の出金ホッパ81a~81f及び汚損カセット82gのいずれかで最大収納量である満杯値を超えてしまう場合、貯留部62に分類別に貯留している硬貨を、その分類状態のまま、硬貨収納出金部22とは別の硬貨収納部71に収納する。言い換えれば、制御部141は、貯留部62の金種別の貯留区分部63a~63f及び硬貨収納繰出部81の金種別の出金ホッパ81a~81fの硬貨量の金種別の合計値が、いずれか一金種でも上限値を超えると、貯留部62に貯留している硬貨を硬貨収納部71に収納する。
【0100】
入金処理後、操作部145に了解操作が入力された時点で、硬貨収納出金部22が硬貨を繰り出す繰出処理を行っておらず、上記した貯留部62の金種別の硬貨量と硬貨収納出金部22の金種別の硬貨量との金種別の合計値が、いずれの金種についても上限値を超えず、貯留部62の汚損硬貨の硬貨量と硬貨収納出金部22の汚損硬貨の硬貨量との合計値も上限値を超えない場合に、制御部141は、硬貨収納繰出部81への硬貨の収納処理を許容する状態になり、
図6に示すように貯留部本体64を装填位置に保持した状態のまま底板65を側方の収納位置に移動させて貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨収納繰出部81及び汚損カセット82gに収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0101】
この硬貨収納繰出部等収納処理によって、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を汚損カセット82gが、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を出金ホッパ81aが、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を出金ホッパ81bが、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を出金ホッパ81cが、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を出金ホッパ81dが、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を出金ホッパ81eが、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を出金ホッパ81fが、それぞれ収納する。
【0102】
その後、制御部141は、
図3に示すように、底板65を装填位置に戻して、硬貨収納繰出部等収納処理つまり入金収納処理を終了する。ここで、制御部141は、この硬貨収納繰出部等収納処理を開始した後は、この硬貨収納繰出部等収納処理が終了するまでは、硬貨収納繰出部81の硬貨を繰り出す繰出処理を禁止する。そして、硬貨収納繰出部等収納処理が終了すると、硬貨収納繰出部81の硬貨を繰り出す繰出処理を許容する状態になる。
【0103】
[入金返却処理]
入金処理後、操作部145にキャンセル操作が入力されると、制御部141は、底板65及び貯留部本体64を収納位置に移動させた後に、
図5に示すように、貯留部本体64のみをさらに側方の返却位置に移動させて、貯留区分部63a~63gから落下する硬貨をその分類状態のままで硬貨返却部75に収容する。
【0104】
すなわち、貯留区分部63gから落下する汚損硬貨を返却区分部75gが、貯留区分部63aから落下する1円の正常硬貨を返却区分部75aが、貯留区分部63bから落下する50円の正常硬貨を返却区分部75bが、貯留区分部63cから落下する5円の正常硬貨を返却区分部75cが、貯留区分部63dから落下する100円の正常硬貨を返却区分部75dが、貯留区分部63eから落下する10円の正常硬貨を返却区分部75eが、貯留区分部63fから落下する500円の正常硬貨を返却区分部75fが、それぞれ収容する。その後、制御部141は、
図3に示すように、底板65及び貯留部本体64を装填位置に戻して、返却処理を終了する。この状態で、硬貨返却部75は、
図2に示すベース筐体43から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。
【0105】
[自動包装処理]
制御部141は、上述した硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fのそれぞれの硬貨量つまり金種別の硬貨量を金種別に設定されたニアフル値と比較する。出金ホッパ81a~81fのいずれかの硬貨量が対応するニアフル値を超えると、制御部141は、出金ホッパ81a~81fのニアフル値を超えたものから硬貨を棒金処理部12に向け繰り出す繰出処理を行って、出金ホッパ81a~81fのニアフル値を超えたものに収納している硬貨の硬貨量を、ニアフル値よりも所定値を超えて下回る量まで減らす。このとき、計数繰出部91a~91fの対応するもので包装単位枚数あるいはその倍数分の枚数を繰り出すようにする。そして、硬貨収納繰出部81から繰り出された硬貨を棒金処理部12で包装する。
【0106】
例えば、硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ81aに収納されている1円の正常硬貨の硬貨量が、1円の正常硬貨について設定されているニアフル値を超えると、繰出側搬送路111を、出金ホッパ81aから繰り出された硬貨を小径側中間ゲート131に向けて搬送する状態とし、小径側中間ゲート131を、繰出側搬送路111で搬送されてきた硬貨を棒金処理部12側に繰り出す状態として、出金ホッパ81aから硬貨をその計数繰出部91aで包装単位枚数あるいはその倍数分の枚数だけ繰り出し、出金ホッパ81aに収納されている1円の正常硬貨の硬貨量をニアフル値よりも所定値を超えて下回らせる。そして、出金ホッパ81aから繰り出された硬貨を棒金処理部12に搬送してその包装部201で包装する。出金ホッパ81b、出金ホッパ81cについても同様にする。
【0107】
また、例えば、硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ81dに収納されている100円の正常硬貨の硬貨量が、100円の正常硬貨について設定されているニアフル値を超えると、繰出側搬送路111を、出金ホッパ81dから繰り出された硬貨を大径側中間ゲート132に向けて搬送する状態とし、大径側中間ゲート132を、繰出側搬送路111で搬送されてきた硬貨を棒金処理部12側に繰り出す状態として、出金ホッパ81dから硬貨をその計数繰出部91dで包装単位枚数あるいはその倍数分の枚数だけ繰り出し、出金ホッパ81dに収納されている100円の正常硬貨の硬貨量をニアフル値よりも所定値を超えて下回らせる。そして、出金ホッパ81dから繰り出された硬貨を棒金処理部12に搬送してその包装部201で包装する。出金ホッパ81e、出金ホッパ81fについても同様にする。
【0108】
包装部201では、硬貨処理部11から受け入れた硬貨を硬貨識別計数部211で計数して包装単位枚数(50枚)の硬貨を硬貨集積包装部212に繰り出し、硬貨集積包装部212が、このように繰り出された包装単位枚数の硬貨を集積させて、その周囲に包装紙を巻き回し包装紙の両側を加締めて棒金とする。すなわち、包装部201は、硬貨収納繰出部81から繰出処理により繰り出された硬貨を集積させて包装する。
【0109】
制御部141は、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fのいずれか一つでも収納している硬貨量がニアフル値を超えると、ニアフル値を超過した出金ホッパから硬貨を繰り出す繰出処理を行うとともに、この繰出処理で繰り出された硬貨を包装部201で包装する。
【0110】
そして、このように硬貨集積包装部212で作製された棒金を、棒金振分搬送部213、棒金出金部203の棒金出金リフト221、棒金収納部202の棒金収納搬送部231及び棒金収納リフト232で搬送して棒金収納本体部233に金種別に収納させる。ここで、棒金収納本体部233の対応金種の棒金が満杯である場合、硬貨集積包装部212で作製された棒金を、棒金振分搬送部213及び棒金出金リフト221で棒金一括収納部224に収納する。
【0111】
硬貨収納繰出部等収納処理の終了後、出金ホッパ81a~81fのうちの複数の出金ホッパにおいて、収納している硬貨の硬貨量がニアフル値を超えている場合、制御部141は、いずれか一金種について繰出処理を開始したら、繰り出した全ての硬貨が、硬貨集積包装部212に送り込まれて包装されるまで待機して、次の金種について繰出処理を開始し、この金種について繰り出した全ての硬貨が、硬貨集積包装部212に送り込まれて包装されたら、次の金種について繰出処理を開始するということを繰り返して、一金種ずつ包装する。その場合、例えば、出金ホッパ81a~81fのうち、硬貨量が多いものから順に繰出処理を行う。逆に、出金ホッパ81a~81fのうち、硬貨量が少ないものから順に繰出処理を行っても良い。
【0112】
そして、硬貨収納繰出部81のすべての出金ホッパ81a~81fの硬貨量が、ニアフル値より所定値を超えて下回る状態となり、硬貨収納繰出部81から繰り出された硬貨がすべて棒金となって棒金収納本体部233あるいは棒金一括収納部224に収納されると、制御部141は、自動包装処理を終了する。
【0113】
自動包装処理としては、上記のように、出金ホッパ81a~81fの硬貨量が包装基準値よりも大きくなった場合に行われる処理以外に、棒金処理部12の棒金の収納量に応じて、出金ホッパ81a~81fから硬貨を繰り出して棒金処理部12に搬送して棒金を作製する処理もある。
【0114】
この場合、出金ホッパ81a~81fの硬貨量が、運用上必要な最小値である所定の基準値を下回らない範囲で、自動的に、出金ホッパ81a~81fから硬貨を繰り出して棒金処理部12に搬送して棒金を作製する。例えば、棒金処理部12における棒金の金種別の収納量の変化から、棒金での出金が多い金種を判別し、この金種の硬貨を硬貨処理部11から棒金処理部12に繰り出して棒金を作製する。
【0115】
ここで、硬貨処理装置10は、自動包装処理の実行中であって、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中であっても、これと並行して、上記した入金処理及び入金収納処理が可能となっている。そして、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、制御部141は、上記したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を禁止する状態になっていることから、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。すなわち、制御部141は、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と、入金収納処理において硬貨収納部71に硬貨を収納する収納部収納処理とを並行して行う。
【0116】
他方、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中にない場合、制御部141は、上記したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を許容する状態になっていることから、自動包装処理中でない場合、入金収納処理において貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。すなわち、制御部141は、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理時には、入金収納処理において、この繰出処理と並行して貯留部62によって硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う一方、この繰出処理時以外は、貯留部62によって硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0117】
なお、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行おうとした際に、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、自動包装処理の終了を待って、貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。また、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にあり、かつ、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、操作部145への入金処理の選択操作を受け付けない状態となる。
【0118】
または、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行おうとした際に、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、その旨を表示部146に表示させると共に警告音を鳴らし、最大収納量に達した収納カセット71a~71gを空の収納カセットと交換するようにユーザに促す。制御部141は、ユーザによる収納カセットの交換後に、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。このようにすることで、自動包装処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と並行して、収納カセット71a~71gの交換を行うことが可能になる。
【0119】
[硬貨出金処理]
操作部145に出金させる硬貨の金種別の枚数を含む出金処理操作が入力されると、制御部141は、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fの対応する金種のものから硬貨を繰り出す繰出処理を行って硬貨出金部102に搬送する。
【0120】
例えば、出金させる硬貨に1円の正常硬貨が含まれている場合、出金ホッパ81aから硬貨をその計数繰出部91aで出金枚数だけ繰り出し、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112で搬送して、出金識別計数部114で識別しつつ計数して、硬貨出金部102に搬送する。出金ホッパ81b~81fについても同様にする。そして、出金させる全金種の硬貨をそれぞれの設定枚数繰り出すと、制御部141は、硬貨出金処理を終了する。
【0121】
その後、硬貨出金部102が、装置本体41の収納引出部72から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。すなわち、硬貨出金部102は、硬貨収納繰出部81の繰出処理により繰り出された硬貨を外部に取り出し可能に出金する。ここで、硬貨出金処理において、出金識別計数部114で、出金させる硬貨に含まれない金種の硬貨や、出金枚数を超える枚数の硬貨が検出された場合、制御部141は、硬貨出金部102に貯留していた全ての硬貨を、出金リジェクト案内部103で出金リジェクト部104に収容して、硬貨出金処理をやり直す。
【0122】
硬貨処理装置10は、この硬貨出金処理の実行中であって、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中であっても、これと並行して、上記した入金処理及び入金収納処理が可能となっている。そして、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、制御部141は、上記したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を禁止する状態になっていることから、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。すなわち、制御部141は、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と、入金収納処理において硬貨収納部71に硬貨を収納する収納部収納処理とを並行して行う。
【0123】
他方、硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中にない場合、制御部141は、上述したように硬貨収納繰出部81へ硬貨を収納する硬貨収納繰出部等収納処理を許容する状態になっていることから、硬貨出金処理中でない場合、入金収納処理において貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。すなわち、制御部141は、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理時には、入金収納処理において、この繰出処理と並行して貯留部62によって硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う一方、この繰出処理時以外は、貯留部62によって硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0124】
なお、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理中、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行おうとした際に、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、硬貨出金処理の終了を待って、貯留部62の硬貨を硬貨収納繰出部81に収納する硬貨収納繰出部等収納処理を行う。
【0125】
また、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にあり、かつ、硬貨収納繰出部81の出金ホッパ81a~81fのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、操作部145への入金処理の選択操作を受け付けない状態となる。
【0126】
また、制御部141は、硬貨出金処理において硬貨収納繰出部81から硬貨を繰り出す繰出処理と、入金収納処理において硬貨収納部71に硬貨を収納する収納部収納処理とを並行して行っている場合、出金させる全金種の硬貨をそれぞれの設定枚数繰り出すと、硬貨出金処理を終了し、硬貨出金部102に収容した硬貨を外部に取り出し可能にする。そして、硬貨出金部102が、装置本体41の収納引出部72から取り外されて、収容していた硬貨が外部に取り出される。この状態で、制御部141は、硬貨収納部71の収納カセット71a~71gのいずれかにおいて硬貨量が最大収納量に達した満杯状態にある場合、制御部141は、その旨を表示部146に表示させると共に警告音を鳴らし、最大収納量に達した収納カセット71a~71gを空の収納カセットと交換するようにユーザに促す。制御部141は、ユーザによる収納カセットの交換後に、貯留部62の硬貨を硬貨収納部71に収納する収納部収納処理を行う。このようにすることで、装置本体41の収納引出部72から硬貨出金部102を取り外して収容されている硬貨を外部に取り出す処理と並行して、収納カセット71a~71gの交換を行うことが可能になる。
【0127】
[精査処理]
操作部145に精査処理(再勘処理)を行う旨の精査処理操作が入力されると、制御部141は、精査処理を行う金種の選択画面を表示部146に表示させて、操作部145への一金種または複数金種または全金種の選択操作を待機する。
【0128】
例えば、精査対象として全金種を選択する選択操作が入力されると、制御部141は、まず、繰出駆動モータ301を駆動して、出金ホッパ81a~81f及び精査ホッパ83hの底部の共通のベルトコンベアを回転させるとともに、搬送駆動モータ306、307、311、314、317を駆動して、繰出側搬送路111、出金側搬送路112、戻入下搬送路121、戻入縦搬送路123及び戻入上搬送路125を回転させる。
【0129】
この状態で、制御部141は、例えば、出金ホッパ81a~81fを、繰出側搬送路111の搬送方向上流側の出金ホッパ81fから、出金ホッパ81f、81e、81d、81c、81b、81aの順に、貨幣量である硬貨量を精査する。なお、これとは逆に、出金ホッパ81a、81b、81c、81d、81e、81fの順に精査しても良い。
【0130】
まず、出金ホッパ81fを精査対象として精査するため、制御部141は、精査処理の往路処理を開始し、出金ホッパ81fの計数繰出部91fの繰出ソレノイド302fを駆動し、計数繰出部91fのゲートを開いて硬貨を連続的に一枚ずつ、計数センサ303fで繰り出しを確認しながら、繰出側搬送路111に繰り出させる。
【0131】
これにより、出金ホッパ81fは、その内部の硬貨を1枚ずつ計数繰出部91fから繰出側搬送路111に繰り出し、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112により搬送し、精査ゲート122で出金側搬送路112から戻入下搬送路121に移動させて、戻入下搬送路121、戻入縦搬送路123及び戻入上搬送路125により搬送して、精査ホッパ83hに貯留させる。
【0132】
上記の繰り出し及び搬送を行うことで、最終的に、精査対象である出金ホッパ81fに収納されていた硬貨がすべて計数繰出部91fから繰り出されて出金ホッパ81fが空になったことを残留検知センサ304fで検知し、その上で、計数センサ303f、残留検知センサ312、計数センサ315及び残留検知センサ322で、出金ホッパ81fに収納されていた硬貨がすべて精査ホッパ83hに移動したことを検知すると、出金ホッパ81fの計数繰出部91fの繰出ソレノイド302fの駆動を停止させ、計数繰出部91fのゲートを閉じて、往路処理を終了する。
【0133】
次に、制御部141は、精査処理の復路処理を開始し、精査対象である出金ホッパ81fに対応する戻入ソレノイド321fを駆動して戻入ゲート126fを出金ホッパ81f側に揺動させるとともに、精査ホッパ83hの識別計数繰出部93hの繰出ソレノイド302hを駆動して、識別計数繰出部93hのゲートを開き、硬貨を連続的に一枚ずつ、識別計数センサ303hで金種識別及び計数を行いながら、繰出側搬送路111に繰り出す。
【0134】
これにより、精査ホッパ83hは、その内部の硬貨を一枚ずつ識別計数繰出部93hから識別計数センサ303hで識別及び計数しつつ繰出側搬送路111に繰り出し、繰出側搬送路111及び出金側搬送路112によって搬送し、精査ゲート122で出金側搬送路112から戻入下搬送路121に移動させて、戻入下搬送路121、戻入縦搬送路123及び戻入上搬送路125によって搬送し、出金ホッパ81f側に揺動している戻入ゲート126fで精査対象である出金ホッパ81fに戻す。
【0135】
ここで、識別計数センサ303hで、精査対象である出金ホッパ81fに収納すべき金種ではない異金種硬貨を検知すると、この異金種硬貨は、出金ホッパ81fよりも上流側の出金ホッパ81a~81eに収納するものであるため、制御部141は、この異金種硬貨を計数センサ315で検知したタイミングに基づき、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ソレノイド321a~321eのうちの、この異金種硬貨に対応するものを駆動して、戻入ゲート126a~126eのうちの対応するものを出金ホッパ81a~81e側に揺動させて、出金ホッパ81a~81eのうちの適正な金種のものに収納する。その後、制御部141は、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ソレノイド321a~321eのうちの、この異金種硬貨に対応するものの駆動を停止させて、戻入ゲート126a~126eのうちの、この異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81a~81eとは反対側に揺動させて、再び、硬貨を戻入ゲート126fで出金ホッパ81fに戻して収納する状態とする。
【0136】
上記の繰り出し及び搬送を行うことで、最終的に、精査ホッパ83hに貯留されていた硬貨がすべて識別計数繰出部93hから繰り出されて精査ホッパ83hが空になったことを残留検知センサ304hで検知し、その上で、識別計数センサ303h、残留検知センサ312、計数センサ315及び残留検知センサ322で、精査ホッパ83hに貯留されていた硬貨がすべて出金ホッパ81a~81fに移動したことを検知すると、制御部141は、復路処理を終了し、識別計数センサ303hの識別及び計数結果から、精査対象である出金ホッパ81f内の硬貨量を確定する。その後、残りの出金ホッパ81a~81eについて、出金ホッパ81e、81d、81c、81b、81aの順に、同様に往路処理と復路処理とからなる精査処理を行って硬貨量を確定する。
【0137】
なお、出金ホッパ81a~81eのいずれかの精査処理中に、識別計数センサ303hで、精査対象である出金ホッパに収納すべき金種ではない異金種硬貨を検知すると、制御部141は、戻入上搬送路125の硬貨搬送方向において、異金種硬貨が精査対象よりも上流側の出金ホッパに収納すべきものである場合、上述したように、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ソレノイド321a~321dのうちの、この異金種硬貨に対応するものを駆動して、戻入ゲート126a~126dのうちの、この異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81a~81d側に揺動させて、この異金種硬貨を出金ホッパ81a~81dのうちの適正な金種のものに収納する。その後、制御部141は、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126dのうちの、異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81a~81dとは反対側に揺動させて、再び、硬貨を戻入ゲート126b~126eのうちの精査対象のもので出金ホッパ81b~81eの精査対象のものに収納する状態とする。
【0138】
また、制御部141は、戻入上搬送路125の硬貨搬送方向において、異金種硬貨が精査対象よりも下流側に出金ホッパを有する場合、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126eのうちの精査対象の金種のものを出金ホッパ81a~81eとは反対側に揺動させるとともに、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126b~126fのうちの、この異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81b~81f側に揺動させて、この異金種硬貨を出金ホッパ81b~81fのうちの適正な金種のものに収納する。その後、制御部141は、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126a~126eのうちの精査対象のものを出金ホッパ81a~81e側に揺動させるとともに、硬貨の搬送速度に合わせたタイミングで、戻入ゲート126b~126fのうちの、異金種硬貨に対応するものを出金ホッパ81b~81fとは反対側に揺動させて、再び、硬貨を戻入ゲート126a~126eのうちの精査対象のもので出金ホッパ81a~81eの精査対象のものに収納する状態とする。異金種硬貨が、すでに硬貨量が確定した出金ホッパ81a~81fのいずれかに収納される場合、制御部141は、すでに確定した硬貨量にこの異金種硬貨の枚数分を加算する。
【0139】
[貯留部の移動制御]
制御部141は、貯留部62を装填位置、収容位置又は返却位置の何れかに水平移動させるにあたって、貯留部62の現在位置の位置情報を予め取得しておく必要がある。なお、以下では、ポジションセンサ66a、66b、66cを用いて貯留部62が装填位置、収容位置又は返却位置の何れかへの到達を検知することを「ポジション検知」と称し、後述する距離測定センサ67を用いて貯留部62の現在位置を検出する「位置検出」と区別する。
【0140】
ポジションセンサ66a、66b、66cが、貯留部62の現在位置をポジション検知可能な場合、例えば、
図7(a)に示すように、貯留部62の割り込み板がポジションセンサ66aのLEDの光を遮光する位置に位置する場合、ポジションセンサ66aは、貯留部62の装填位置への到達を検知する。同様に、
図7(b)に示すように、貯留部62のうち少なくとも貯留部本体64がポジションセンサ66bのLEDの光を遮光する位置に位置する場合、ポジションセンサ66bは、貯留部62の収容位置への到達を検知する。また、
図7(c)に示すように、貯留部62のうち少なくとも貯留部本体64がポジションセンサ66cのLEDの光を遮光する位置に位置する場合、ポジションセンサ66cは、貯留部62の返却位置への到達を検知する。
【0141】
一方、貯留部62の現在位置がポジションセンサ66a、66b、66cにより検知不能な場合、例えば、
図8(a)に示すように、貯留部62が装填位置と収容位置との間で停止している場合や、
図8(b)に示すように、貯留部62が収容位置と返却位置との間で停止している場合には、ポジションセンサ66a、66b、66cは、貯留部62の位置を検知することができない。
【0142】
このようにポジションセンサ66a、66b、66cが貯留部62の現在位置を検知不能な場合、距離測定センサ67が、距離測定センサ67から貯留部62までの距離を測定し、制御部141が、距離測定センサ67の測定値と予め記憶された距離測定センサ67から装填位置、収容位置及び返却位置までの距離とを大小比較して、貯留部62のおおよその現在位置を把握することで貯留部62の位置検出を行う。
【0143】
なお、貯留部62のポジション検知に際しては、ポジションセンサ66a、66b、66cに代えて、距離測定センサ67を用いて貯留部62が装填位置、収容位置又は返却位置の何れかに到達することを検出することも可能である。
【0144】
しかしながら、距離測定センサ67による位置検出は、1台で貯留部62の移動範囲全体に亘って貯留部62の現在位置を大局的に把握できる点で優れているものの、ポジションセンサ66a、66b、66cに比べて処理速度が遅くなりがちであることから、ポジションセンサ66a、66b、66cと距離測定センサ67とを組み合わせることが好ましく、これにより、貯留部62の駆動制御を効率良く且つ高い信頼性で実現することができる。
【0145】
次に、制御部141は、貯留部62の現在位置と移動先の所望のポジションとの位置関係から貯留部62の移動方向を導出し、貯留部62を最短距離で移動させる。なお、「最短距離で移動させる」とは、貯留部62が現在位置から所望のポジションへの移動中に、所定の待機位置(例えば、装填位置等のホームポジション)を経由することなく短時間で直接移動することを意味する。
【0146】
例えば、
図7(a)に示すような装填位置に位置する貯留部62を
図7(b)に示すような収容位置に水平移動させる場合、ポジションセンサ66aが、貯留部62の現在位置を検知した上で、制御部141は、貯留部62の現在位置と移動先のポジションとの相対的な位置関係から貯留部62の移動方向を導出し、本体駆動モータ及び底板駆動モータを駆動させて、貯留部62を側方の収容位置に向けて(
図7紙面上の左向きに)移動させ始める。
【0147】
そして、ポジションセンサ66bが、貯留部62の進行方向前端が収容位置へ到達したことを検知すると、制御部141は、本体駆動モータ及び底板駆動モータを所定時間(バッファタイム)だけ駆動させた後に停止させる。これにより、貯留部62が硬貨収納部71の上方に略一致した状態で貯留部62を収容位置に移動させることができる。
【0148】
また、
図8(a)に示すような装填位置と収容位置との間に位置する貯留部62を
図7(b)に示すような収容位置に水平移動させる場合、制御部141は、距離測定センサ67の測定値と既知の距離測定センサ67から装填位置、収容位置及び返却位置までの各距離とを大小比較して、貯留部62の現在位置が装填位置と収容位置との間であると演算した上で、貯留部62の現在位置と移動先のポジションとの相対的な位置関係から貯留部62の移動方向を導出し、本体駆動モータ及び底板駆動モータを駆動させて、貯留部62を側方の収容位置に向けて移動させ始める。
【0149】
そして、ポジションセンサ66bが、貯留部62の進行方向前端が収容位置へ到達したことを検知すると、制御部141は、本体駆動モータ及び底板駆動モータを所定のバッファタイムだけ駆動させた後に停止させる。これにより、貯留部62が硬貨収納部71の上方に略一致した状態で貯留部62を収容位置に短時間で移動させることができる。さらに、センサの増設を伴うことなく貯留部62の位置検出を行えることにより、部品点数の増加や組立コストの過度な増大を伴うことなく、貯留部62の駆動制御を効率的に行うことができる。
【0150】
なお、貯留部62の移動速度は、貯留部62の移動方向に応じて変更してもよく、例えば、貯留部62に硬貨が収容されている状態の移動速度を、貯留部62に硬貨が収容されていない状態の移動速度よりも低速に設定しても構わない。
【0151】
また、ポジションセンサ66a、66b、66cが貯留部62の進行方向前端を検知してから貯留部62を停止させるまでのバッファタイムは、貯留部62の移動方向に応じて変更してもよく、例えば、貯留部62が硬貨を収容した状態で低速移動する場合のバッファタイムを、貯留部62が硬貨を収容しない状態で高速移動する場合のバッファタイムより長く設定しても構わない。
【0152】
また、距離測定センサ67は、周囲の温度変化に応じた空気密度の変動に起因して距離測定センサ67の測定値に測定誤差が生じる虞があるため、距離測定センサ67の測定値を補正するのが好ましい。以下では、貯留部62が装填位置に位置している場合を例に説明するが、収容位置又は返却位置でも同様である。
【0153】
まず、貯留部62が静止状態において、ポジションセンサ66aが貯留部62を検知したときに、距離測定センサ67が貯留部62の距離測定センサ67からの距離(補正前距離)を測定する。
【0154】
制御部141は、距離測定センサ67が測定した補正前距離と予め記憶された装填位置における貯留部62の距離測定センサ67からの距離(基準距離)とを比較して、それらの差(補正値)を演算する。
【0155】
そして、制御部141が、距離測定センサ67の測定値に対して補正値を反映させることにより、貯留部62の現在位置を精度良く算出することができ、貯留部62の駆動制御の信頼性を向上させることができる。
【0156】
また、上述した補正値が所定の許容範囲(例えば、±1cm)を超えた場合には、距離測定センサ67に不良が生じたとして、制御部141は、その旨を表示部146に表示させると共に警告音を鳴らし、距離測定センサ67のメンテナンスを行うようにユーザに促す。これにより、距離測定センサ67の不具合判断に専用器具を別途用意することなく、センサ不良に起因する事故を未然に防ぐことができる。
【0157】
なお、上述した実施形態では、貯留部62の停止位置が装填位置、収容位置又は返却位置の3か所に設定されている場合を例に説明したが、貯留部62の停止位置は、2つであっても構わないし、4つ以上であっても構わない。
【0158】
また、本実施形態では、装填位置と収容位置との間又は収容位置と返却位置との間で停止した貯留部62の現在位置を距離測定センサ67を用いて位置検出する場合を例に説明したが、本発明は、装填位置の外側又は返却位置の外側に停止した貯留部62の現在位置を距離測定センサ67を用いて位置検出する場合にも適用可能である。
【0159】
また、本実施形態では、貨幣処理装置として、硬貨を処理する硬貨処理装置を例に説明したが、本発明は、紙幣を処理する紙幣処理装置にも適用することが可能である。例えば、バラ紙幣を施封して小束紙幣を作成した後に、小束紙幣を金種別に分類して小束収納庫へ収納する紙幣処理装置において、小束紙幣1束を受け取り、金種に応じた小束収納庫へ水平移動して小束紙幣を受け渡す機構に本発明を適用することが考えられる。
【0160】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、上記以外にも種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0161】
10 ・・・ 硬貨処理装置(貨幣処理装置)
62 ・・・ 貯留部
66a~66c・・・ポジションセンサ(ポジション検知手段)
67 ・・・ 距離測定センサ(距離測定手段)
141・・・ 制御部