(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】カメラシステム、及び車両走行制御システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/667 20230101AFI20240104BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240104BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240104BHJP
【FI】
H04N23/667
G03B15/00 H
G03B15/00 Q
G03B15/00 V
H04N23/60 100
(21)【出願番号】P 2022159892
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2019008726の分割
【原出願日】2019-01-22
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2018021977
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康夫
(72)【発明者】
【氏名】西村 佳壽子
(72)【発明者】
【氏名】岩井 浩
(72)【発明者】
【氏名】柴田 修
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-066221(JP,A)
【文献】特開2010-244301(JP,A)
【文献】特開2017-216743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/667
G03B 15/00
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、
制御回路と、
を備え、
前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第2画像を取得し、
前記制御回路は、前記第1フレーム期間に取得された前記第2画像に基づいて、前記第1フレーム期間の後の第2フレーム期間に、通常露光により画像を取得するか多重露光により画像を取得するかを決定する、
カメラシステム。
【請求項2】
画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置が、前記第1フレーム期間に取得された前記第2画像において第1対象物を検出できなかった場合、前記制御回路は、前記第2フレーム期間に前記通常露光により画像を取得することを決定する、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置が、前記第1フレーム期間に取得された前記第2画像において第1対象物を検出した場合、前記制御回路は、前記第2フレーム期間に前記多重露光により画像を取得することを決定する、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項4】
1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、
制御回路と、
を備え、
前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第1画像を取得し、
前記制御回路は、前記第1フレーム期間に取得された前記第1画像に基づいて、前記第1フレーム期間の後の第2フレーム期間に、通常露光により画像を取得するか多重露光により画像を取得するかを決定する、
カメラシステム。
【請求項5】
画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置が、前記第1フレーム期間に取得された前記第1画像において第1対象物を検出できなかった場合、前記制御回路は、前記第2フレーム期間に前記通常露光により画像を取得することを決定する、
請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項6】
画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置が、前記第1フレーム期間に取得された前記第1画像において第1対象物を検出した場合、前記制御回路は、前記第2フレーム期間に前記多重露光により画像を取得することを決定する、
請求項4に記載のカメラシステム。
【請求項7】
前記多重露光は、第1露光と、前記第1露光と異なる第2露光とを含み、
前記第1露光時の感度は、前記第2露光時の感度と異なる、
請求項1から
6のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項8】
前記多重露光の前記複数回の露光の間の期間における感度は、ゼロよりも大きく前記複数回の露光時の感度よりも小さい、
請求項1から
7のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項9】
1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、
制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記撮像装置に対し、
第1フレーム期間に前記第1画像を取得させ、
前記第1フレーム期間の後の1以上の第2フレーム期間に前記第2画像を取得させ、
前記1以上の第2フレーム期間の後の第3フレーム期間に前記第1画像を取得させ、
前記多重露光は、第1露光と、前記第1露光と異なる第2露光とを含み、
前記第1露光時の感度は、前記第2露光時の感度と異なる、
カメラシステム。
【請求項10】
1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、
制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記撮像装置に対し、
第1フレーム期間に前記第1画像を取得させ、
前記第1フレーム期間の後の1以上の第2フレーム期間に前記第2画像を取得させ、
前記1以上の第2フレーム期間の後の第3フレーム期間に前記第1画像を取得させ、
前記多重露光の前記複数回の露光の間の期間における感度は、ゼロよりも大きく前記複数回の露光時の感度よりも小さい、
カメラシステム。
【請求項11】
画像処理装置をさらに備え、
前記画像処理装置は、前記第2画像に基づいて、第1対象物の運動方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを算出する、
請求項1、4、
9、10のいずれか1項に記載のカメラシステム。
【請求項12】
請求項
11に記載のカメラシステムと、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記運動方向、前記速度、前記加速度のうちの少なくとも1つに基づいて車両の走行を制御する、
車両走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数回露光を行うことで多重露光画像を取得する撮像装置を備えたカメラシステムが知られている。例えば、特許文献1には、撮像装置によって取得される多重露光画像から被写体の特徴量を抽出し、抽出した特徴量をもとに、多重露光画像における被写体の位置を特定するカメラシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多重露光画像における被写体の位置を、より高い精度で特定し得るカメラシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るカメラシステムは、1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、制御回路と、を備え、前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第2画像を取得し、前記制御回路は、前記第1フレーム期間に取得された前記第2画像に基づいて、前記第1フレーム期間の後の第2フレーム期間に、通常露光により画像を取得するか多重露光により画像を取得するかを決定する。
【0006】
また、本開示の一態様に係るカメラシステムは、1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、制御回路と、を備え、前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第1画像を取得し、前記制御回路は、前記第1フレーム期間に取得された前記第1画像に基づいて、前記第1フレーム期間の後の第2フレーム期間に、通常露光により画像を取得するか多重露光により画像を取得するかを決定する。
【0007】
また、本開示の一態様に係るカメラシステムは、1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記撮像装置に対し、第1フレーム期間に前記第1画像を取得させ、前記第1フレーム期間の後の1以上の第2フレーム期間に前記第2画像を取得させ、前記1以上の第2フレーム期間の後の第3フレーム期間に前記第1画像を取得させる。
【0008】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、カメラシステム、集積回路、方法、コンピュータプログラムまたはプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、装置、カメラシステム、集積回路、方法、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0009】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0010】
多重露光画像における被写体の位置を、より高い精度で特定し得るカメラシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る車両走行制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る撮像装置の回路構成例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る画素の回路構成例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る光電変換部及びFDの構造を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る画素の回路構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る撮像装置における、2つのフレーム期間におる通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図7A】
図7Aは、実施の形態1に係る撮像装置によって取得された多重露光画像の一例である。
【
図7B】
図7Bは、実施の形態1に係る撮像装置によって取得された基準画像の一例である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図9】
図9は、第1動体検出処理のフローチャートである。
【
図10】
図10は、被写体から特徴量が抽出される様子を模式的に示す概念図である。
【
図13】
図13は、実施の形態1に係る撮像装置が電荷量を非破壊で読み出す動作タイミングを示す。
【
図15】
図15は、第2動体検出処理のフローチャートである。
【
図16】
図16は、第3動体検出処理のフローチャートである。
【
図17】
図17は、第4動体検出処理のフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施の形態4に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図19A】
図19Aは、実施の形態5に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図19B】
図19Bは、実施の形態5に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図19C】
図19Cは、実施の形態5に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図20A】
図20Aは、実施の形態6に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図20B】
図20Bは、実施の形態6に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図21】
図21は、実施の形態7に係る撮像装置における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。
【
図22A】
図22Aは、第1動体検出処理において取得された多重露光画像の一例である。
【
図22B】
図22Bは、第7動体検出処理において取得された多重露光画像の一例である。
【
図23】
図23は、変形例に係る車両走行制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明者らの知見)
被写体が撮像装置に対して相対的に動いている場合、撮像装置によって取得される多重露光画像では、複数の被写体像が互いにずれて重畳される。このような場合には、従来のカメラシステムでは、多重露光画像から、被写体像の形状、数等を誤って検出してしまうことがある。このような誤検出に起因して、多重露光画像における被写体像の位置を特定する精度が低下してしまうことがある。
【0013】
本開示の一態様の概要は以下のとおりである。
[項目1]
1回の露光を行う通常露光により第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、
前記第1画像から第1対象物の特徴量を抽出し、前記第2画像において前記特徴量に対応する少なくとも一つの第1位置を特定する画像処理装置と、
を備える、カメラシステム。
[項目2]
前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第1画像を取得し、前記第1フレーム期間の後の第2フレーム期間に前記第2画像を取得する、項目1に記載のカメラシステム。
[項目3]
前記第2画像に基づいて、前記第2フレーム期間の後の第3フレーム期間に、前記通常露光により画像を取得するか前記多重露光により画像を取得するかを決定する制御回路をさらに備える、項目2に記載のカメラシステム。
[項目4]
前記第2画像において前記特徴量に対応する前記少なくとも一つの第1位置を特定できなかった場合、前記制御回路は、前記第3フレーム期間に、前記通常露光により画像を取得することを決定する、項目3に記載のカメラシステム。
[項目5]
前記第2画像において前記第1対象物とは異なる第2対象物を検出した場合、前記制御回路は、前記第3フレーム期間に、前記通常露光により画像を取得することを決定する、項目3又は項目4に記載のカメラシステム。
[項目6]
前記第2画像の予め定められた領域において前記第1対象物とは異なる第2対象物を検出した場合、前記制御回路は、前記第3フレーム期間に、前記通常露光により画像を取得することを決定する、項目3又は項目4に記載のカメラシステム。
[項目7]
前記撮像装置は、前記複数回の露光のうちの少なくとも1回の露光により生成した信号を非破壊で読み出す、項目1から6のいずれか一項に記載のカメラシステム。
[項目8]
前記撮像装置は、複数の画素を含み、前記複数の画素のうちの一部の画素からの前記信号を非破壊で呼び出す、項目7に記載のカメラシステム。
[項目9]
前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第1画像および前記第2画像を取得し、
前記撮像装置は、前記多重露光のうちの最初の1回の露光により前記第1画像を取得し、前記多重露光により前記第2画像を取得する、項目1に記載のカメラシステム。
[項目10]
前記撮像装置は、前記最初の1回の露光により発生した信号を非破壊で読み出す、項目9に記載のカメラシステム。
[項目11]
前記多重露光は、第1露光と、前記第1露光と異なる第2露光とを含み、
前記第1露光時の感度は、前記第2露光時の感度と異なる、項目1から10のいずれか一項に記載のカメラシステム。
[項目12]
前記多重露光の前記複数回の露光の間の期間における感度は、ゼロよりも大きく前記複数回の露光時の感度よりも小さい、項目1から11のいずれか一項に記載のカメラシステム。
[項目13]
前記第1対象物は、自動車、バイク、電車、自転車、人、動物のうちの少なくとも1つを含む、項目1から12のいずれか一項に記載のカメラシステム。
[項目14]
前記画像処理装置は、前記第2画像に基づいて、前記第1対象物の運動方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを算出する、項目1から13のいずれか一項に記載のカメラシステム。
[項目15]
前記画像処理装置によって算出された前記運動方向、前記速度、前記加速度のうちの少なくとも1つを表示する表示装置をさらに備える、項目14に記載のカメラシステム。
[項目16]
前記画像処理装置は、前記第1対象物の前記特徴量に基づいて、第2画像において前記第1対象物に対応する少なくとも一つの像を検出する、項目1に記載のカメラシステム。
[項目17]
項目1に記載のカメラシステムと、
制御装置と
を備え、
前記カメラシステムは、前記第2画像に基づいて、前記第1対象物の運動方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを算出し、
前記制御装置は、前記運動方向、前記速度、前記加速度のうちの少なくとも1つに基づいて車両の走行を制御する、車両走行制御システム。
[項目18]
少なくとも1回の露光を行うことにより第1画像を取得し、複数回の露光を行う多重露光により第2画像を取得する撮像装置と、
前記第1画像から第1対象物の特徴量を抽出し、前記第2画像において前記特徴量に対応する少なくとも一つの第1位置を特定する画像処理装置と
を備える、カメラシステム。
[項目19]
前記撮像装置は、第1フレーム期間に前記第1画像および前記第2画像を取得し、
前記撮像装置は、前記多重露光のうちの最初の前記少なくとも1回の露光により前記第1画像を取得し、前記多重露光により前記第2画像を取得する、項目18に記載のカメラシステム。
[項目20]
前記画像処理装置は、前記第1対象物の前記特徴量に基づいて、第2画像において前記第1対象物に対応する少なくとも一つの像を検出する、項目18に記載のカメラシステム。
【0014】
また、本開示の一態様の概要は以下のとおりである。
【0015】
本開示の一態様に係るカメラシステムは、画像を取得する撮像装置と、画像処理を行う画像処理装置と、を備え、前記撮像装置は、1回の露光を行って第1画像を取得し、複数回の露光を行って第2画像を取得し、前記画像処理装置は、前記第1画像から、第1対象物の特徴量を抽出し、前記特徴量をもとに、前記第2画像における前記第1対象物の位置を特定する。
【0016】
このカメラシステムは、多重露光画像ではない第1画像から、被写体である第1対象物の像の特徴量を抽出する。そして、抽出された特徴量を用いて、多重露光画像から第1対象物の複数の像を抽出する。これにより、このカメラシステムは、多重露光画像から被写体像の特徴量を抽出する従来のカメラシステムに比べて、被写体像の形状、数等を誤って検出してしまう頻度を低減し得る。
【0017】
従って、このカメラシステムは、多重露光画像における被写体の位置の特定の精度を、従来よりも向上し得る。
【0018】
また、例えば、前記撮像装置は、前記1回の露光を第1フレーム期間に行い、前記複数回の露光を前記第1フレーム期間の後の第2フレーム期間に行ってもよい。
【0019】
これにより、第2画像の取得を開始する前に、又は第2画像の取得と並行して、第1対象物の特徴量の抽出を開始することができるようになる。
【0020】
また、例えば、さらに、前記撮像装置を制御する制御回路を備え、前記制御回路は、前記第2画像をもとに、前記第2フレーム期間後の第3フレーム期間に、前記撮像装置が前記1回の露光を行うか、前記複数回の露光を行うかを決定するとしてもよい。
【0021】
これにより、第3フレーム期間に行う露光を1回の露光とするか複数回の露光とするかを、動的に決定し得るようになる。
【0022】
また、例えば、前記制御回路は、前記第3フレーム期間に、前記撮像装置が前記1回の露光を行うとの前記決定を、前記画像処理装置が、前記第2画像において前記第1対象物を検出できなかった場合に行うとしてもよい。
【0023】
これにより、第3フレーム期間に、新たな対象物の特徴量を抽出するための画像を取得することができるようになる。
【0024】
また、例えば、前記制御回路は、前記第3フレーム期間に、前記撮像装置が前記1回の露光を行うとの前記決定を、前記画像処理装置が、前記第2画像において、前記第1対象物とは異なる第2対象物を検出した場合に行うとしてもよい。
【0025】
これにより、第3フレーム期間に、第2対象物の特徴量を抽出するための画像を取得することができるようになる。
【0026】
また、例えば、前記制御回路は、前記第3フレーム期間に、前記撮像装置が前記1回の露光を行うとの前記決定を、前記画像処理装置が、前記第2画像のうちの一部の予め定められた領域において、前記第1対象物とは異なる第2対象物を検出した場合に行うとしてもよい。
【0027】
これにより、第3フレーム期間に1回の露光を行うか複数回の露光を行うかの決定に係る処理量を低減し得るようになる。
【0028】
また、例えば、前記複数回の露光のうち、少なくとも1回の露光によって得られる電荷は、非破壊で読み出されるとしてもよい。
【0029】
これにより、上記少なくとも1回の露光以前の露光による画像を取得することができるようになる。
【0030】
また、例えば、前記非破壊での読み出しの対象となる画素は、前記撮像装置に含まれる画素の一部であるとしてもよい。
【0031】
これにより、非破壊での読み出しの対象とする画素を撮像装置に含まれる画素の全てとする場合に比べて、非破壊での読み出しにおける読み出し時間又は/及び非破壊での読み出しにおける電力消費量を削減し得るようになる。
【0032】
また、例えば、前記1回の露光は、前記複数回の露光のうちの最初の露光であり、前記撮像装置は、前記複数回の露光を、同一のフレーム期間に行うとしてもよい。
【0033】
これにより、第2画像の取得の開始よりも前に、又は第2画像の取得と並行して、第1対象物の特徴量の抽出を開始し得るようになる。
【0034】
また、例えば、前記1回の露光によって得られる電荷は、非破壊で読み出されるとしてもよい。
【0035】
これにより、第1回の露光による被写体を、第2画像に重畳させることができるようになる。
【0036】
また、例えば、前記複数回の露光は、第1の露光感度で行われる第1露光と、前記第1の露光感度とは異なる第2の露光感度で行われる第2露光と、を含むとしてもよい。
【0037】
これにより、第2画像において重畳される、第1露光による被写体の明度と、第2露光によるその被写体の明度とを、互いに異ならせることができるようになる。
【0038】
また、例えば、前記複数回の露光の各々は、所定の露光感度で行われる高感度露光であり、前記撮像装置は、前記高感度露光と、前記所定の露光感度よりも低い露光感度で行われる低感度露光とを、交互に連続して行うことで、前記複数回の露光を行うとしてもよい。
【0039】
これにより、第2画像に、時系列における被写体の位置の推移の軌跡を残すことができるようになる。
【0040】
また、例えば、前記第1対象物は、自動車、バイク、電車、自転車、人、動物のいずれかであるとしてもよい。
【0041】
これにより、第2画像において、自動車、バイク、電車、自転車、人、動物のいずれかの位置を特定し得るようになる。
【0042】
また、例えば、前記画像処理装置は、前記第2画像をもとに、前記第1対象物の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを算出するとしてもよい。
【0043】
これにより、第1対象物の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを算出できるようになる。
【0044】
また、例えば、さらに、前記方向、前記速度、前記加速度のうちの少なくとも1つを表示する表示装置を備えるとしてもよい。
【0045】
これにより、このカメラシステムを利用するユーザは、第1対象物の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを視認し得るようになる。
【0046】
本開示の一態様に係る車両走行制御システムは、走行している自車両の走行を制御する車両走行制御システムであって、上記カメラシステムを備え、前記画像処理装置は、前記第2画像をもとに、前記第1対象物の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを算出し、上記車両走行制御システムは、前記方向、前記速度、前記加速度のうちの少なくとも1つをもとに、上記制御を行う。
【0047】
この車両走行制御システムでは、第1対象物の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つをもとに、自車両の走行を制御できるようになる。
【0048】
以下、本開示の一態様に係るカメラシステム、及び車両走行制御システムの具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意に付加可能な構成要素である。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0049】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係るカメラシステム、及び実施の形態1に係る車両走行制御システムの構成について、図面を参照しながら説明する。
【0050】
[1-1.構成]
図1は、車両走行制御システム1の構成を示すブロック図である。車両走行制御システム1は、車両に搭載され、その車両の走行を制御する。
【0051】
図1に示されるように、車両走行制御システム1は、カメラシステム10と、電子制御ユニット80とを含んで構成される。
【0052】
カメラシステム10は、撮像装置20と、画像処理装置30と、制御回路40と、光学系50と、画像送信部60と、表示装置70とを含む。
【0053】
光学系50は、レンズ群を有する。光学系50は、カメラシステム10の外部から入力される光を、撮像装置20に集光する。レンズ群は、フォーカスレンズを含んでいてもよい。フォーカスレンズは、レンズ群の光軸方向に移動することで、撮像装置20における被写体像の合焦位置を調整してもよい。
【0054】
撮像装置20は、画像を取得する。撮像装置20は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサであってよい。
【0055】
図2は、撮像装置20の回路構成例を示す模式図である。
図2では、撮像装置20がCMOS型イメージセンサである場合を示している。
【0056】
図2に示されるように、撮像装置20は、行列状に配列された複数の画素101と、行走査回路102と、列走査回路103と、列毎に設けられた電流源104と、AD(Analog to Digital)変換回路105とを含んで構成される。
【0057】
同じ行に位置する画素101は、共通の水平信号線107を介して、行走査回路102に接続される。そして、同じ列に位置する画素101は、共通の垂直信号線108と共通のAD変換回路105とを介して、列走査回路103に接続される。また。各画素101への電力は、全ての画素101に共通の電源線106から供給される。
【0058】
なお、ここでは、各列にAD変換回路105を設けることで、列走査回路103からデジタル信号が出力される構成を例に挙げて説明した。しかし、AD変換回路105を設けずに、列走査回路103からアナログ信号が出力される構成であってもよい。また、列走査回路103は、各列に、その列の画素101からの信号を加算又は減算する加減算回路を備え、加算結果又は減算結果を出力する構成であってもよい。
【0059】
画素101は、光電変換を行う光電変換部を備える。光電変換部は、例えば光電変換膜を利用するものであってもよいし、半導体基板中に設けられたフォトダイオードであってもよい。
【0060】
図3は、画素101の回路構成の一例を示す回路図である。
図3では、画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
【0061】
図3に示されるように、画素101は、光電変換部21と、フローティングディフュージョン(以下、「FD」と呼ぶ。)22と、増幅トランジスタ23と、選択トランジスタ24と、リセットトランジスタ25とを含む。
【0062】
光電変換部21は、入射光を光電変換する。FD22は、光電変換部21で生成された電荷を蓄積する。
【0063】
図4は、
図3に示された光電変換部21及びFD22の構造を模式的に示す断面図である。
【0064】
図4に示されるように、光電変換部21は、薄膜状の光電変換層110Cと、光電変換層110Cの上方に位置する薄膜状の透明電極110Aと、光電変換層110Cの下方に位置する薄膜状の画素電極110Bとを含む。画素電極110Bは、コンタクトプラグ110Eを介して、半導体基板110D内に設けられたFD22に接続される。FD22は、例えば不純物を含む拡散層である。
【0065】
光電変換層110Cは、透明電極110Aと画素電極110Bとの間にバイアス電圧が印加された状態で受光すると、光電効果による電荷を生成する。生成された電荷のうち、正の電荷と負の電荷とのうちの一方が、画素電極110Bに収集される。画素電極110Bに収集された電荷は、FD22に蓄積される。
【0066】
光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧を変化させることで、光電変換層110Cの光電変換効率、すなわち感度を変更することができる。例えば、光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧が比較的高ければ、光電変換層110Cの光電変換効率、すなわち感度は比較的高くなる。一方、光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧が比較的低ければ、光電変換層110Cの光電変換効率、すなわち感度は比較的低くなる。
【0067】
また、光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧を所定の閾値よりも小さくすることで、光電変換層110Cの光電変換効率を実質的に0とすることができる。以下、この閾値のことを露光閾値と呼ぶ。
【0068】
つまり、光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧が、露光閾値よりも大きい状態と小さい状態とを切り替えることで、光電変換部21の露光状態と非露光状態とを切り替えることができる。これにより、撮像装置20は、断続的に複数回の露光を行う多重露光動作を行うことができる。
【0069】
【0070】
Vrst信号によってリセットトランジスタ25をオン状態とすることにより、FD22の電位は、所望のリセット電位V1にリセットされる。
【0071】
増幅トランジスタ23は、FD22に蓄積された電荷の量に対応する信号を出力する。
【0072】
Vsel信号によって選択トランジスタ24のオン状態とオフ状態とを切り替えることにより、増幅トランジスタ23から出力された信号を、垂直信号線108へ出力するか否かが選択される。
【0073】
図5は、画素101の回路構成の別の例を示す回路図である。
図5では、画素101は、光電変換部としてフォトダイオードを備える。
【0074】
図5に示されるように、画素101は、フォトダイオード26と、フローティングディフュージョン(以下、「FD」と呼ぶ。)22と、増幅トランジスタ23と、選択トランジスタ24と、リセットトランジスタ25と、転送トランジスタ27と、排出トランジスタ28を含んで構成される。
【0075】
フォトダイオード26は、入射光を光電変換する。
【0076】
Vtrs信号によって転送トランジスタ27をオン状態とすることにより、フォトダイオード26で発生した電荷がFD22に転送される。
【0077】
Vdr信号によって排出トランジスタ28をオン状態とすることにより、フォトダイオード26で発生した電荷が排出される。
【0078】
撮像装置20は、フォトダイオード26で発生した電荷のうち、有効とする露光により生じた電荷を、転送トランジスタ27を介してFD22へ転送し、無効とする露光により生じた電荷を、排出トランジスタ28を介して排出する。これにより、断続的に複数回の露光を行う多重露光動作を行うことができる。
【0079】
再び
図1に戻って、車両走行制御システム1の説明を続ける。
【0080】
画像処理装置30は、撮像装置20によって取得された画像に対して、各種処理を行う。画像処理装置30の行う第1動体検出処理については、後ほどフローチャートを用いて説明する。
【0081】
図1に示されるように、画像処理装置30は、画像処理プロセッサ(Image Signal Processor)(以下、「ISP」と呼ぶ。)31と、動き検出部32とを含んで構成される。
【0082】
ISP31は、主として、補正処理等を行う。
【0083】
動き検出部32は、主として、ISP31から出力される画像に対して、特徴量の抽出、及び、動き検出、動体検出等といった動体に関する処理、を行う。動き検出部32は、例えばプロセッサを含み、プロセッサがプログラムを実行することで動体に関する処理が実現される。動き検出部32は、画像を格納するフレームメモリを含んでもよいし、プログラム、抽出された特徴量等を格納するメモリを含んでもよい。
【0084】
画像送信部60は、ISP31から出力された画像等のデータを、外部に出力する。外部とは、例えば電子制御ユニット80である。画像送信部60から出力される画像は、例えば、未圧縮、未加工の生データであってもよいし、画像圧縮や所定の画像処理が行われた所定のフォーマットのデータであってもよい。
【0085】
制御回路40は、カメラシステム10を制御する。また、制御回路40は、撮像装置20を制御する。
【0086】
図1に示されるように、制御回路40は、例えば、出力部41と、入力部42と、マイコン45と、マイコン45が実行するプログラムを記憶するプログラムメモリ43と、マイコン45が利用するワーキングメモリ44とを含んで構成されてもよい。
【0087】
表示装置70は、動き検出部32によって実行された処理の結果を表示する。表示装置70は、例えば、動き検出部32によって算出された、被写体の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つを表示してもよい。
【0088】
電子制御ユニット80は、いわゆるECU(Engine Control Unit)と呼ばれるユニットである。電子制御ユニット80は、搭載される車両の、エンジン、制動、加速等を制御する。電子制御ユニット80は、例えば、動き検出部32によって算出された、被写体の動く方向、速度、加速度のうちの少なくとも1つをもとに、上記制御を行うとしてもよい。
【0089】
以下、上記構成のカメラシステム10が行う動作について、図面を参照しながら説明する。
【0090】
[1-2.動作]
[1-2-1.撮像]
以下、撮像装置20が行う撮像の詳細について説明する。なお、光電変換部が光電変換膜を利用するものである場合と、フォトダイオードである場合とに分けて、図面を参照しながら説明する。
【0091】
図6は、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。なお、撮像装置20の画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
【0092】
図6において、VDのグラフは、所定のフレームレート(例えば、60fps)でパルス状に変化する垂直同期信号VDの変化を示す。
【0093】
撮像装置20は、VDが立ち上がるタイミングで、各画素101から画素信号を読み出すことで、画像を取得する。画素信号は、FD22に蓄積された電荷量に対応する。
【0094】
図6において、VITOのグラフは、透明電極110Aに印加されるバイアス電圧VITOの変化を示す。バイアス電圧VITOは、光電変換層110Cにかかる電圧とみなすこともできる。バイアス電圧VITOは、露光閾値よりも低いローレベルと、露光閾値よりも高いハイレベルとに交互に設定される。
【0095】
図6に示される例では、VITOがハイレベルとなる期間は、第1フレーム期間では1回、第1フレーム期間の後の第2フレーム期間では3回である。これにより、各画素101は、第1フレーム期間において、露光状態となる期間が1回あり、第2フレーム期間において、露光状態となる期間が3回ある。つまり、第1フレーム期間においては1回の露光を行った画像が取得され、第2フレーム期間においては複数回の露光を行った画像が取得される。以下、1回の露光のことを通常露光、同じフレーム期間において複数の露光が行われることを多重露光と呼ぶことがある。通常露光を行って取得される画像のことを基準画像、多重露光を行って取得される画像のことを多重露光画像と呼ぶ。例えば、各画素101が1回露光状態となる第1フレーム期間においてFD22に蓄積された電荷量が読み出される画像は、基準画像となり、各画素101が複数回露光状態となる第2フレーム期間においてFD22に蓄積された電荷量が読み出される画像は、多重露光画像となる。例えば、被写体が撮像装置20に対して相対的に動いている場合、多重露光画像は、被写体の動きの方向に互いにずれて重畳された複数の被写体像を含む画像となる。一方、基準画像は、被写体が撮像装置20に対して相対的に動いている場合であっても、動いていない場合であっても、単一の被写体像を含む画像となる。言い換えれば、基準画像は、被写体の動きの方向に互いにずれて重畳された複数の被写体像を含む画像とはならない。
【0096】
図7Aは、自車両に搭載された撮像装置20によって取得された、多重露光画像の例である。
図7Bは、自車両に搭載された撮像装置20によって取得された基準画像の例である。
【0097】
図7A、
図7B共に、自車両の前方を、他の1台の車両201と、互いに外観が似ている3台のバイク211、バイク212、及びバイク213とが走行している状況において取得された画像である。車両201は、自車両に対して所定の相対速度で移動しており、バイク211、212、213は、自車両に対して相対速度がほぼゼロである。
【0098】
図7Aに例示されるように、多重露光画像では、他の車両201の像はその相対的な動きの方向にずれた複数の像となる。一方で、3台のバイク211、212、213は、多重露光画像においても、それぞれが一つの像となる。このため、これら3台のバイク211、212、213の像が、異なる3台のバイクの像なのか、同一のバイクの多重露光による像なのかを、この多重露光画像から判定することは比較的難しい。
【0099】
これに対して、
図7Bに例示されるように、基準画像では、同一の被写体に対して複数の被写体像が得られることはない。
【0100】
図8は、撮像装置20における、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。なお、撮像装置20は、光電変換部としてフォトダイオードを備える画素101を備えている。
【0101】
図8において、VDのグラフは、所定のフレームレート(例えば、60fps)でパルス状に変化する垂直同期信号VDの変化を示す。
【0102】
撮像装置20は、VDが立ち上がるタイミングで、各画素101から画素信号を読み出すことで、画像を取得する。画素信号は、FD22に蓄積された電荷量に対応する。
【0103】
Vtrsのグラフは、転送トランジスタ27を制御するパルス状の信号Vtrsの変化を示す。Vtrsがハイレベルの期間、転送トランジスタ27はオン状態となり、Vtrsがローレベルの期間、転送トランジスタ27はオフ状態となる。言い換えると、Vtrsがハイレベルの期間には、フォトダイオード26で発生した電荷がFD22に転送され、Vtrsがローレベルの期間には、フォトダイオード26で発生した電荷がFD22に転送されない。
【0104】
Vdrのグラフは、排出トランジスタ28を制御するパルス状の信号Vdrの変化を示す。Vdrがハイレベルの期間には、排出トランジスタ28はオン状態となり、Vdrがローレベルの期間には、排出トランジスタ28はオフ状態となる。言い換えると、フレーム期間の開始から、Vdrがハイレベルになる前までの期間、およびVtrsがローレベルになってからVdrがハイレベルになる前までの期間には、フォトダイオード26に発生した電荷が排出され、Vdrがローレベルの期間には、フォトダイオード26に発生した電荷が排出されない。
【0105】
従って、Vdrが立ち下がってから、次にVtrsが立ち下がるまでの期間が、露光期間となる。
【0106】
図8に示される例では、VdrとVtrsとがハイレベルとなる期間は、第1フレーム期間では1回、第2フレーム期間では3回である。いずれの期間においても、まずVdrがハイレベルとなり、その後にVtrsがハイレベルとなる。これにより、各画素101は、第1フレーム期間において、露光状態となる期間が1回あり、第2フレーム期間において、露光状態となる期間が3回ある。つまり、第1フレーム期間においては1回の露光を行った画像が取得され、第2フレーム期間においては複数回の露光を行った画像が取得される。各画素101が1回だけ露光状態となる第1フレーム期間においてFD22に蓄積された電荷量が読み出された画像は、基準画像となる。また、各画素101が複数回露光状態となる第2フレーム期間においてFD22に蓄積された電荷量が読み出された画像は、多重露光画像となる。
【0107】
[1-2-2.第1動体検出処理]
カメラシステム10は、第1動体検出処理を行う。
【0108】
以下、この第1動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0109】
【0110】
第1動体検出処理は、例えば、カメラシステム10が、カメラシステム10を利用するユーザから、カメラシステム10の動作モードを、動体検出モードに設定する旨の操作を受け付けることで開始される。
【0111】
図9に示されるように、第1動体検出処理が開始されると、撮像装置20は、通常露光を行って、基準画像を取得する(ステップS100)。ここで得られる基準画像の例を
図7Bに示す。
【0112】
基準画像が取得されると、画像処理装置30は、その基準画像から、全ての被写体の特徴量を抽出する。そして、その特徴量に基づいて、その被写体が動きベクトルを抽出する対象となる特定種類の被写体であるか否かを判定する(ステップS110)。以下、動きベクトルを抽出する対象となる特定種類の被写体のことを「特定被写体」と呼ぶ。
【0113】
ここでの特徴量とは、被写体の照合や判別に利用される、形状の定量的な特徴であり、例えば、エッジパターン、輝度パターン、色パターン、アスペクト比である。エッジパターンとは、例えば被写体の頂点の位置、頂点の個数、エッジの勾配方向、エッジの角度である。輝度パターン、色パターンとは、画像中の輝度、色の分布を特徴量として数値化したものである。アスペクト比とは、画像の縦・横比等を特徴量として数値化したものである。なお、他にも、局所領域間の関係に注目した、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)特徴量、HOG(Histogram of oriented gradient)特徴量、EOH(Edge of Orientation Histograms)特徴量、Edgelet特徴量などがある。また、これらに限定されない多様な特徴量が抽出され得る。
【0114】
また、ここでの特定被写体は、例えば、自身で動くことができる物体である。特定被写体は、より具体的には、例えば、自動車、バイク、電車、自転車、人、動物である。
【0115】
車両走行制御システム1においては、動きベクトルを抽出する対象を、動力源を持った移動体、自立して移動することが可能な生体に限定することで、その処理量を低減しつつ、車両走行において危険となり得る対象を効果的にモニタできる。動力源を持った移動体は、例えば自動車、バイク、電車、自転車である。自立して移動することが可能な生体は、例えば、人、動物である。
図10に、基準画像から、被写体の特徴量1000a~1000nが抽出される様子を模式的に示す。
【0116】
画像処理装置30は、抽出された特徴量から、被写体が何であるかを認識する(ステップS120)。
【0117】
画像処理装置30は、例えば、特定被写体とその特徴量との関係を定義したテーブルを予め記憶しており、抽出された特徴量と、そのテーブルにおける特徴量との一致度を調べることで、その被写体を認識してもよい。以下、この認識された被写体のことを、「第1対象物」と呼ぶ。そして、画像処理装置30は、抽出された第1対象物の特徴量を記憶する。
【0118】
被写体が認識されると、撮像装置20は、多重露光を行って、多重露光画像を取得する(ステップS130)。
【0119】
なお、ここでは、便宜上、ステップS110からステップS120までの処理が終了してからステップS130の処理を行うとした。しかし、撮像装置20と画像処理装置30とは、互いに独立して動作し得るため、ステップS110からステップS120までの処理と、ステップS130の処理とを、同時に実行することも可能である。
【0120】
多重露光画像が取得されると、画像処理装置30は、記憶された特徴量をもとに、多重露光画像における第1対象物を抽出する(ステップS140)。例えば、画像処理装置30は、記憶された特徴量をテンプレートとするテンプレートマッチングを行うことで、第1対象物を抽出してもよい。また、画像処理装置30は、多重露光画像において、記憶された特徴量に対応する位置を特定してもよい。
【0121】
多重露光画像から第1対象物が抽出されると、画像処理装置30は、多重露光画像における第1対象物の位置を特定する(ステップS150)。
【0122】
そして、画像処理装置30は、特定された、多重露光画像における第1対象物の位置から、第1対象物の運動方向、速度、加速度を算出する(ステップS160)。
【0123】
以下、運動方向、速度、加速度を算出する方法について説明する。
【0124】
<運動方向の算出>
ここでは、多重露光画像から、第1対象物の運動方向を算出する具体的な方法の例について述べる。
【0125】
多重露光画像からは、第1対象物の時間毎の位置が特定される。このため、各位置の時間的変化が判別できれば、第1対象物の運動方向を算出できる。また、微小時間であれば、第1対象物は、運動の始点における位置から徐々に遠ざかる。このため、始点となる位置がわかれば、始点に近いほど過去の位置であると推定でき、運動方向を算出できる。1フレーム前の画像が基準画像である場合には、その基準画像における第1対象物の位置を始点とすることで、多重露光画像から第1対象物の運動方向を算出できる。1フレーム前の画像が基準画像でなく多重露光画像である場合には、1フレーム前の多重露光画像における第1対象物の運動の終点の位置を始点とすることで、対象とする多重露光画像から第1対象物の運動方向を算出できる。
【0126】
<速度の算出>
ここでは、多重露光画像から、第1対象物の速度を算出する具体的な算出方法の例について述べる。
【0127】
図11は、時間t毎に複数回(ここでは、3回)の露光を行うことで取得された多重露光画像の一例である。この多重露光画像において、第1対象物は自動車である。
【0128】
図11に示されるように、多重露光画像において、第1対象物の位置の変位量dを算出する。実空間における第1対象物の大きさがわかれば、実空間において時間tの間に第1対象物が移動した実距離Dがわかる。ここで言う時間tは、
図6、8における露光周期tに対応する。実空間における第1対象物の大きさは、例えば、車のナンバープレート等といった、規格で寸法が決まっているものを基準に推定することができる。また、実空間における第1対象物の大きさは、例えば、第1対象物の種類(例えば、自動車、人等)から、おおよその大きさを推定することもできる。そして、実距離Dがわかれば、実距離Dを時間tで除算することで、第1対象物の速度を算出することができる。
【0129】
なお、ここでは、複数回の露光のうち、1回目の露光による第1対象物の位置と、2回目の露光による第1対象物との位置とに基づいて、第1対象物の速度を算出する算出方法を説明した。しかし、任意の2つの露光による第1対象物の位置に基づいて、第1対象物の速度を算出することもできる。さらには、複数回の露光のうち任意に組合せた2回の露光による第1対象物の位置に基づいて速度の算出を行い、算出された速度を平均して第1対象物の速度としてもよい。
【0130】
なお、ここで算出される速度は、撮像装置20が移動している場合には、撮像装置20を基準とした第1対象物の相対速度となる。撮像装置20が静止している場合には、第1対象物の絶対速度となる。
【0131】
<加速度の算出>
ここでは、多重露光画像から第2対象物の加速度を算出する、具体的な算出方法の例について述べる。
【0132】
上述したように、多重露光画像において、複数回の露光のうち任意に組合せた2回の露光による第1対象物の位置に基づいて速度の算出を行ってもよい。これにより、互いに異なる期間における第1対象物の速度を算出することができる。そして、互いに異なる期間における速度の差分から、第1対象物の加速度を算出することができる。
【0133】
再び、
図9に戻って、第1動体検出処理の説明を続ける。
【0134】
ステップS160の処理が終了すると、カメラシステム10は、動体検出モードを終了するか否かを判定する(ステップS170)。
【0135】
カメラシステム10は、例えば、カメラシステム10を利用するユーザから、カメラシステム10の動作モードを、動体検出モード以外のモードに設定する旨の操作を受け付けていた場合に、動体検出モードを終了すると判定してもよい。また、カメラシステム10は、例えば、電子制御ユニット80から、エンジンが停止した旨の信号を受け付けていた場合に、動体検出モードを終了すると判定してもよい。
【0136】
ステップS170の処理において、動体検出モードを終了しないと判定する場合に(ステップS170:No)、制御回路40は、次のフレーム期間に、通常露光を行うか多重露光を行うかを決定する(ステップS180)。
【0137】
以下、次のフレーム期間に、通常露光を行うか多重露光を行うかを決定する方法について説明する。
【0138】
<次のフレーム期間の露光方法の決定>
一度、基準画像から第1対象物の特徴量を抽出すると、その後の多重露光画像における第1対象物の位置の特定において、その特徴量を繰り返し利用することができる。
【0139】
一方で、その後の多重露光画像において第1対象物が消失した場合、及び、第1対象物とは異なる新たな対象物(以下、「第2対象物」と呼ぶ。)が出現した場合には、再度基準画像から、新たな特徴量の抽出を行う必要がある。
【0140】
このため、制御回路40は、多重露光画像をもとに、次のフレーム期間に、撮像装置20が、通常露光を行うか多重露光を行うかを決定する。より具体的には、例えば、制御回路40は、多重露光画像において第1対象物を検出できなかった場合、及び、多重露光画像において第2対象物を検出した場合、次のフレーム期間には通常露光を行うことを決定する。そして、それら以外の場合には、制御回路40は、次のフレーム期間に多重露光を行うことを決定する。
【0141】
多重露光画像において第1対象物が消失する場合とは、例えば、第1対象物が、撮像装置20の撮像範囲外に移動した場合、第1対象物の向きや角度が変化して見え方が変化した場合、第1対象物に他の物体が重なり、撮像装置20側から見て第1対象物が手前の物体の死角となった場合等が考えられる。
【0142】
第1対象物の消失は、例えば、多重露光画像において、検出された第1対象物の数が多重露光撮影における露光回数よりも少ないかどうかで検出することができる。
【0143】
【0144】
第2対象物は、
図12に示されるように、撮像装置20の撮像範囲における上端領域200a、下端領域200b、左端領域200c、右端領域200dから撮像範囲に進入すると考えられる。そこで、これらの領域に対応する画素領域において、多重露光の各露光間で非破壊読み出しを行ってもよい。これにより、撮像装置20の撮像範囲内へ第2対象物が進入したことを検知することができる。この第2対象物の進入を検知するための領域を、以下の説明において「移動体検出領域」とも呼ぶ。
【0145】
図13は、移動体検出領域に対応する画素101から、FD22に蓄積された電荷量を非破壊で読み出す動作タイミングを示す。なお、撮像装置20の画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
【0146】
図13において、非破壊読み出し信号のグラフは、画素101から、FD22に蓄積された電荷量の非破壊読み出しを開始させるパルス信号のタイミングを示す。非破壊読み出し信号がローレベルからハイレベルへと立ち上がるタイミングで、FD22に蓄積された電荷が非破壊で読み出される。
【0147】
このように、多重露光の各露光の間に非破壊読み出しを行うことで、撮像装置20の撮像範囲内へ進入してくる対象物の位置の変化を検出でき、多重露光画像において対象物を検出し易くなる。移動体検出領域の大きさは特に限定されないが、処理量と対処物の大きさとの兼ね合いから移動体検出領域の大きさを決定することが望ましい。
【0148】
なお、ここでは多重露光の各露光の間の全てで非破壊読み出しを行う例を図示して説明したが、各露光の間のうちのいずれか一つにおいて1回だけ非破壊読み出しを行ってもよい。
【0149】
なお、撮像装置20が車両に搭載される場合には、撮像装置20の撮像範囲の上部は空である。このような場合、移動体検出領域のうちの上端領域200eを、
図14に示されるように撮像範囲の中央寄りに設定してもよい。
【0150】
また、移動体検出領域は、固定された領域ではなく、可変の領域であってもよい。
【0151】
再び、
図9に戻って、第1動体検出処理の説明を続ける。
【0152】
ステップS180の処理において、次のフレーム期間に通常露光を行うと決定された場合、カメラシステム10は、再びステップS100の処理に進む(ステップS190:Yes)。その後、ステップS100以降の処理を行う。
【0153】
ステップS180の処理において、次のフレーム期間に、通常露光を行うと決定されなかった場合、すなわち、次のフレーム期間に、多重露光を行うと決定された場合、カメラシステム10は、再びステップS130の処理に進む(ステップS190:No)。その後、ステップS130以降の処理を行う。
【0154】
ステップS170の処理において、動体検出モードを終了すると判定する場合(ステップS170:Yes)、カメラシステム10は、その第1動体検出処理を終了する。
【0155】
[1-3.考察]
カメラシステム10は、多重露光画像において第1対象物の位置の変化を追跡することで、第1対象物の相対的な運動方向を検出することができる。また、第1対象物の実際の大きさと、光学系50の焦点距離と、多重露光における露光周期とがわかれば、第1対象物の相対速度、相対加速度等を算出することができる。
【0156】
また、上述した通り、カメラシステム10は、多重露光画像ではない第1画像から、第1対象物の特徴量を抽出する。そして、抽出された特徴量を用いて、多重露光画像から第1対象物を抽出する。これにより、カメラシステム10は、第1対象物の形状、数等を誤って検出してしまう頻度を低減し得る。
【0157】
従って、カメラシステム10は、多重露光画像において第1対象物の位置を精度良く特定できる。
【0158】
(実施の形態2)
[2-1.概要]
以下、実施の形態2に係るカメラシステムについて説明する。
【0159】
実施の形態1では、基準画像を取得した後には多重露光画像を取得することとしていた。
【0160】
これに対して、実施の形態2では、基準画像を取得した後、取得された基準画像に基づいて、次に基準画像を取得するか多重露光画像を取得するかを決定する。
【0161】
[2-2.構成]
実施の形態2に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステム10と同様の構成であってよい。よって、各構成要素の説明を省略する。
【0162】
[2-3.動作]
実施の形態2に係るカメラシステムは、実施の形態1に係る第1動体検出処理に替えて、第2動体検出処理を行う。
【0163】
以下、この第2動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0164】
図15は、第2動体検出処理のフローチャートである。
【0165】
図15に示されるように、第2動体検出処理は、ステップS120の処理をステップS220の処理に変更した点で、実施の形態1の第1動体検出処理と異なる。
【0166】
ここでは、ステップS220の処理を中心に説明する。
【0167】
ステップS110の処理において、基準画像から、特定被写体の特徴量が抽出されると、画像処理装置30は、抽出された特定被写体の特徴量をもとに、その基準画像に対して、特定被写体が何であるか認識することを試みる(ステップS220)。
【0168】
ステップS220の処理において特定被写体を認識できた場合(ステップS220:Yes)、ステップS130の処理に進んで多重露光画像を取得する。
【0169】
ステップS220の処理において特定被写体を認識できなかった場合(ステップS220:No)、ステップS100の処理に進んで基準画像を取得する。
【0170】
[2-4.考察]
実施の形態2に係るカメラシステムは、ステップS220の処理において基準画像から特定被写体が認識されるまで、すなわち、車両走行において危険となり得る対象が認識されるまで、基準画像の取得を繰り返す。そして、ステップS220の処理において基準画像から特定被写体が認識された場合に限って、多重露光画像を取得する。
【0171】
このように、実施の形態2に係るカメラシステムは、基準画像から走行車両において危険となり得る対象が検出されない場合には、多重露光画像の取得を行わない。
【0172】
このため、実施の形態2に係るカメラシステムは、動体検出処理の処理量を低減しつつ、車両走行において危険となり得る対象を効果的にモニタし得る。
【0173】
(実施の形態3)
[3-1.概要]
以下、実施の形態3に係るカメラシステムについて説明する。
【0174】
実施の形態1では、多重露光画像が取得される毎に、次のフレーム期間に基準画像を取得するか多重露光画像を取得するかを判定し、判定結果に基づいて次の画像の取得を行った。
【0175】
これに対して実施の形態3では、基準画像を1回取得した後、多重露光画像を所定の回数だけ連続して取得する。また、基準画像の取得と多重露光画像の取得とを交互に繰り返して行う。
【0176】
[3-2.構成]
実施の形態3に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステム10と同様の構成であってよい。よって、各構成要素の説明を省略する。
【0177】
[3-3.動作]
実施の形態3に係るカメラシステムは、実施の形態1に係る第1動体検出処理に替えて、第3動体検出処理を行う。
【0178】
以下、この第3動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0179】
図16は、第3動体検出処理のフローチャートである。
【0180】
図16に示されるように、第3動体検出処理は、ステップS100の処理の前にステップS300の処理を追加した点、ステップS180の処理をステップS380の処理に変更した点、ステップS190の処理をステップS390の処理に変更した点で、実施の形態1の第1動体検出処理と異なる。
【0181】
ここでは、ステップS300の処理と、ステップS380の処理と、ステップS390の処理とを中心に説明する。
【0182】
図16に示されるように、第3動体検出処理が開始されると、制御回路40は、インテジャ型の変数nを初期化する(ステップS300)。ここでは、変数nを初期化するとは、変数nに0を代入することをいう。
【0183】
変数nを初期化すると、ステップS100の処理に進んで、基準画像を取得する。
【0184】
ステップS170の処理において、動体検出モードを終了しないと判定する場合(ステップS170:No)、制御回路40は、変数nにn+1を代入する(ステップS380)。
【0185】
そして、制御回路40は、変数nに代入された新たな値が、予め設定された1以上の整数Xと等しいか否かを調べる(ステップS390)。すなわち、制御回路40は、多重露光画像の連続取得回数が、予め設定された所定の回数であるX回に達しているか否かを調べる。
【0186】
ここで、Xの値は、例えば、撮像装置20が搭載される車両の走行速度に応じて設定してもよい。Xの値は、撮像装置20が搭載される車両が走行する道路の種類に応じて設定されてもよい。Xの値は、撮像装置20が搭載される車両付近の天候に応じて設定されてもよい。道路の種類としては、例えば高速道路、一般道路が挙げられる。天候としては、例えば晴天、雨天が挙げられる。
【0187】
ステップS390の処理において、変数nに代入された新たな値が整数Xと等しい場合(ステップS390:Yes)、ステップS100の処理に進んで、ステップS300以降の処理を繰り返す。すなわち、変数nを初期化して(ステップS300)、基準画像を撮像する(ステップS100)。なお、変数nに代入された新たな値が整数Xと等しい場合とは、多重露光画像の連続取得回数が予め設定された所定の回数であるX回に達した場合である。
【0188】
ステップS390の処理において、変数nに代入された新たな値が、整数Xと等しくない場合(ステップS390:No)、ステップS130の処理に進んで、ステップS130以降の処理を繰り返す。すなわち、さらに多重露光画像の連続取得を続ける。なお、変数nに代入された新たな値が整数Xと等しくない場合とは、多重露光画像の連続取得回数が予め設定された所定の回数であるX回に達していない場合である。
【0189】
[3-4.考察]
実施の形態1では、多重露光画像を取得する毎に、次のフレーム期間に通常露光を行うか多重露光を行うかを決定していた。
【0190】
これに対して、実施の形態3では、多重露光画像を取得する毎に、次のフレーム期間に通常露光を行うか多重露光を行うかを決定しない。
【0191】
このため、実施の形態3に係るカメラシステムは、動体検出処理の処理量を、実施の形態1に係るカメラシステムよりもさらに低減し得る。
【0192】
また、上述した通り、実施の形態3に係るカメラシステムは、基準画像を1回取得した後、多重露光画像を予め設定された所定の回数だけ連続して取得する。また、実施の形態3に係るカメラシステムは、上記した処理を繰り返し行う。
【0193】
このため、実施の形態3に係るカメラシステムは、基準画像の取得を定期的に行うことができる。
【0194】
例えば、基準画像を取得するか、多重露光画像を取得するかを判定するための機構に不具合があった場合、あるいは、判定に誤りがあった場合を想定する。そのような場合、基準画像を取得すべきであるにも関わらず、多重露光画像が取得されてしまう可能性がある。そのようなことが起こると、基準画像が一定期間の間取得されず、多重露光画像から対象物を適切に抽出し難くなる可能性がある。
【0195】
これに対し実施の形態3に係るカメラシステムによれば、基準画像が一定期間の間取得されないという状況が発生することを抑止できる。
【0196】
(実施の形態4)
[4-1.概要]
以下、実施の形態4に係るカメラシステムについて説明する。
【0197】
実施の形態1では、通常露光による基準画像から被写体の特徴量を抽出した。
【0198】
実施の形態4では、多重露光のうちの最初のN回の露光による画像から特徴量の抽出を行う。ここでNは、多重露光画像を取得するときの露光回数よりも小さい1以上の整数とする。
【0199】
[4-2.構成]
実施の形態4に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステム10と同様の構成であってよい。よって、各構成要素の説明を省略する。
【0200】
[4-3.動作]
実施の形態4に係るカメラシステムは、実施の形態1に係る第1動体検出処理に替えて、第4動体検出処理を行う。
【0201】
以下、この第4動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0202】
図17は、第4動体検出処理のフローチャートである。
【0203】
図17に示されるように、第4動体検出処理は、ステップS100~ステップS120の処理を削除した点、ステップS400~ステップS460の処理を追加した点、ステップS180の処理をステップS480の処理に変更した点、ステップS190の処理をステップS490の処理に変更した点で、実施の形態1の第1動体検出処理と異なる。
【0204】
よって、ステップS400~ステップS460の処理と、ステップS480の処理と、ステップS490の処理とを中心に説明する。
【0205】
図17に示されるように、第4動体検出処理が開始されると、撮像装置20は、多重露光による多重露光画像の撮像を開始する(ステップS400)。そして、多重露光のうちN回目の露光が終了するタイミングで、各画素101から非破壊による画素値の読み出しを行う(ステップS410、S420)。これによりN回の露光による画像を取得する。以下、この画像のことを「非破壊画像」と呼ぶ。ここで、Nは1であることが望ましいが、必ずしも1に限定される必要はない。
【0206】
なお、以下の説明において、多重露光におけるN回目の露光が終了するタイミングで非破壊画像を取得する動作モードのことを「非破壊読み出しモード」と呼ぶ。また、多重露光の途中で非破壊画像を取得しない動作モードのことを「通常読み出しモード」と呼ぶ。このとき、ステップS400の処理は、非破壊読み出しモードによる多重露光画像の撮像を開始する処理と言える。
【0207】
図18は、2つのフレーム期間における多重露光の動作タイミングの例を示す。なお、撮像装置20の画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
【0208】
図18に示される非破壊読み出し信号のグラフは、非破壊読み出しのタイミングを制御するパルス状の信号の変化を示す。
【0209】
非破壊読み出し信号は、動作モードが非破壊読み出しモードとなるフレーム期間において、N回目の露光が終了するタイミングで立ち上がる。
図18は、多重露光の回数が3であり、Nが1である場合を例示している。
【0210】
撮像装置20は、非破壊読み出し信号の立ち上がりのタイミングで非破壊画像を取得する。よって、撮像装置20は、第1フレーム期間において非破壊画像と多重露光画像とを取得する。また、撮像装置20は、第2フレーム期間において非破壊画像を取得せずに多重露光画像を取得する。
【0211】
再び
図17に戻って、第4動体検出処理の説明を続ける。
【0212】
非破壊画像が取得されると、画像処理装置30は、その非破壊画像から全ての被写体の特徴量を抽出する(ステップS430)。そして、特徴量に基づいて被写体が何であるかを認識する(ステップS440)。多重露光画像の取得が終了すると(ステップS450)、ステップS130の処理に進み、ステップS130以降の処理を行う。
【0213】
ステップS170の処理において、動体検出モードを終了しないと判定する場合に(ステップS170:No)、制御回路40は、次のフレーム期間に非破壊読み出しモードで多重露光画像を取得するか、通常読み出しモードで多重露光画像を取得するかを決定する(ステップS480)。
【0214】
次のフレーム期間に非破壊読み出しモードで多重露光画像を取得するか、通常読み出しモードで多重露光画像を取得するかを決定する方法は、実施の形態1に係る第1動体検出処理のステップS180の処理において説明した方法と同じである。具体的には、ステップS180の処理の説明において、「通常露光を行う」を「非破壊読み出しモードで多重露光画像を取得する」に読み替え、「多重露光を行う」を「通常読み出しモードで多重露光画像を取得する」に読み替えた方法と同じである。よって、その詳細な説明を省略する。
【0215】
ステップS480の処理において、次のフレーム期間に、非破壊読み出しモードで多重露光画像を取得すると決定された場合(ステップS490:Yes)、再びステップS400の処理に進みステップS400以降の処理を行う。
【0216】
ステップS480の処理において、次のフレーム期間に非破壊読み出しモードで多重露光画像を取得すると決定されなかった場合、すなわち、次のフレーム期間に通常読み出しモードで多重露光画像を取得すると決定された場合(ステップS490:No)、通常読み出しモードで多重露光画像を取得し始める(ステップS460)。そして、多重露光画像を取得し終わると(ステップS450)、ステップS130の処理に進み、ステップS130以降の処理を行う。
【0217】
[4-4.考察]
実施の形態4に係るカメラシステムは、非破壊読み出しモードで取得された非破壊画像から特徴量を抽出する。
【0218】
よって、実施の形態4に係るカメラシステムによれば、通常露光を行うフレーム期間を別に設けなくても、多重露光画像において被写体の位置を精度よく特定できる。また、基準画像を取得するためのフレーム期間を設ける必要がないため、多重露光画像を連続的に取得することができる。したがって、連続して動体の検出を行うことができる。
【0219】
(実施の形態5)
[5-1.概要]
以下、実施の形態5に係るカメラシステムについて説明する。
【0220】
実施の形態1では、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度は一定であった。
【0221】
これに対して、実施の形態5では、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度を変化させている。
【0222】
[5-2.構成]
実施の形態5に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステム10と同様の構成であってよい。よって、各構成要素の説明を省略する。
【0223】
[5-3.動作]
実施の形態5に係るカメラシステムは、実施の形態1に係る第1動体検出処理に替えて、第5動体検出処理を行う。
【0224】
以下、この第5動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0225】
第5動体検出処理は、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度を2種類の互いに異なる感度のいずれかに設定するように変更した点で、実施の形態1の第1動体検出処理と異なる。第5動体検出処理のフローチャートは、実施の形態1に係る第1動体検出処理のフローチャートと同じである。よって、各ステップの説明を省略する。
【0226】
図19A~
図19Cは、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。なお、撮像装置20の画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
図19A~
図19Cにおいて、第1フレーム期間に通常露光が行われ、第2フレーム期間に多重露光が行われている。
【0227】
図19A~
図19Cに示されるように、多重露光を行う第2フレーム期間における透明電極110Aの電圧は、ローレベルである期間を除いて、ハイレベルの電圧V1と、V1よりも低くローレベルよりも高い電圧V2との2種類の電圧のいずれかに設定される。
【0228】
前述したように、光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧が比較的高いとき光電変換効率は高くなり、光電変換層110Cに印加されるバイアス電圧が比較的低いとき光電変換効率は低くなる。このため、透明電極110Aの電圧がV1である期間の感度は、透明電極110Aの電圧がV2である期間の感度よりも高くなる。
【0229】
[5-4.考察]
実施の形態5に係るカメラシステムは、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち特定の露光による像の明度を変化させることができる。
【0230】
例えば、
図19Aに示されるように、多重露光のうち最後の露光期間だけ透明電極110Aの電圧をV1とし、他の露光期間の透明電極110Aの電圧をV2としてもよい。これにより、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち最後の露光による像の明度を他の像の明度よりも高くすることができる。これにより、多重露光画像において、最後の露光による被写体の像を比較的容易に特定し得る。
【0231】
例えば、
図19Bに示されるように、多重露光のうち最初の露光期間だけ透明電極110Aの電圧をV1とし、他の露光期間の透明電極110Aの電圧をV2としてもよい。これにより、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち最初の露光による像の明度を他の像の明度よりも高くすることができる。これにより、多重露光画像において、最初の露光による被写体の像を比較的容易に特定し得る。
【0232】
例えば、
図19Cに示されるように、多重露光のうち最初と最後の露光期間だけ透明電極110Aの電圧をV1とし、他の露光期間の透明電極110Aの電圧をV2としてもよい。これにより、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち最初と最後の露光による像の明度を他の像の明度よりも高くすることができる。これにより、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち最初と最後の露光による被写体の像を比較的容易に特定し得る。
【0233】
上記したいずれの場合においても、実施の形態5に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステムよりも、被写体の運動方向を容易に算出し得る。
【0234】
(実施の形態6)
[6-1.概要]
以下、実施の形態6に係るカメラシステムについて説明する。
【0235】
実施の形態5では、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度を2種類とした。
【0236】
これに対して、実施の形態6では、多重露光を取得するときの各露光時の感度を3種類以上としている。
【0237】
[6-2.構成]
実施の形態6に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステム10と同様の構成であってよい。よって、各構成要素の説明を省略する。
【0238】
[6-3.動作]
実施の形態6に係るカメラシステムは、実施の形態5に係る第5動体検出処理に替えて、第6動体検出処理を行う。
【0239】
以下、この第6動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0240】
第6動体検出処理は、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度を3種類以上の互いに異なる感度のいずれかに設定するように変更した点で実施の形態1と異なる。第6動体検出処理のフローチャートは、実施の形態1の第1動体検出処理のフローチャートと同じである。よって、各ステップの説明を省略する。
【0241】
図20A、
図20Bは、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。なお、撮像装置20の画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
図20A、
図20Bにおいて、第1フレーム期間に通常露光が行われ、第2フレーム期間に多重露光が行われている。
【0242】
図20A、
図20Bに示されるように、多重露光を行う第2フレーム期間における透明電極110Aの電圧は、ローレベルである期間を除いて、ハイレベルの電圧V1と、V1よりも低くローレベルよりも高い電圧V2と、V2よりも低くローレベルよりも高い電圧V3との3種類の電圧のいずれかに設定される。透明電極110Aの電圧がV1である期間の方が、透明電極110Aの電圧がV2である期間よりも感度は高くなる。また、透明電極110Aの電圧がV2である期間の方が、透明電極110Aの電圧がV3である期間よりも感度は高くなる。
【0243】
実施の形態6では、透明電極110Aの電圧が、ローレベルを除いて、V1、V2、およびV3の3種類の場合について説明するが、透明電極110Aの電圧は、ローレベルを除いて4種類以上であってもよい。
【0244】
[6-4.考察]
実施の形態6に係るカメラシステムによれば、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のそれぞれの明度を変化させることができる。
【0245】
例えば、
図20Aに示されるように、多重露光画像を取得するときの各露光時の透明電極110Aの電圧を、後の露光時ほど高くしてもよい。これにより、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち後に取得された像ほど明度を高くすることができる。これにより、多重露光画像において、同一被写体の像の時系列の順番を比較的容易に特定し得る。従って、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度を変化させない場合よりも容易に、被写体の運動方向を算出し得る。
【0246】
例えば、
図20Bに示されるように、多重露光画像を取得するときの各露光時の透明電極110A電圧を、後の露光時ほど低くしてもよい。これにより、多重露光画像において、同一被写体の複数の像のうち後に取得された像ほど明度を低くすることができる。これにより、多重露光画像において、同一被写体の像の時系列の順番を比較的容易に特定し得る。従って、多重露光画像を取得するときの各露光時の感度を変化させない場合よりも容易に、被写体の動く方向を算出し得る。
【0247】
(実施の形態7)
[7-1.概要]
以下、実施の形態7に係るカメラシステムについて説明する。
【0248】
実施の形態1では、多重露光画像を取得するとき、露光期間と非露光期間とを交互に設けて複数回の露光を行う例を示した。
【0249】
ここで、非露光期間とは、例えば、撮像装置20の画素101が、光電変換膜を利用する光電変換部を備える場合には、透明電極110Aの電圧VITOがローレベルになる期間(
図6参照)が該当する。また、非露光期間は、例えば、撮像装置20の画素101が、光電変換部としてフォトダイオードを備える場合には、Vtrsが立ち下がってから、次にVdrが立ち下がるまでの期間(
図8参照)が該当する。
【0250】
これに対して、実施の形態7では、多重露光画像を取得するとき、高感度露光と低感度露光とを交互に行う。
【0251】
[7-2.構成]
実施の形態7に係るカメラシステムは、実施の形態1に係るカメラシステム10と同様の構成であってよい。よって、各構成要素の説明を省略する。
【0252】
[7-3.動作]
実施の形態7に係るカメラシステムは、実施の形態1に係る第1動体検出処理に替えて、第7動体検出処理を行う。
【0253】
以下、この第7動体検出処理について、図面を参照しながら説明する。
【0254】
第7動体検出処理は、多重露光画像を取得するとき、高感度露光と低感度露光とを交互に連続して行う点で、実施の形態1に係る第1動体検出処理と異なる。第7動体検出処理のフローチャートは、実施の形態1に係る第1動体検出処理と同様のフローチャートとなる。よって、各ステップの説明を省略する。
【0255】
図21は、2つのフレーム期間における通常露光および多重露光の動作タイミングの例を示す。なお、撮像装置20の画素101は、光電変換膜を利用する光電変換部を備える。
図21において、第1フレーム期間に通常露光が行われ、第2フレーム期間に多重露光が行われている。
【0256】
図21に示されるように、多重露光を行う第2フレーム期間における透明電極110Aの電圧は、撮像装置20の感度が所定の感度となるV1と、上記所定の電圧よりも低くローレベルよりも高いV4とを交互に連続して繰り返す。
【0257】
[7-4.考察]
上記実施の形態7に係るカメラシステムは、第7動体検出処理において、多重露光画像を取得する際に、透明電極110Aの電圧がV1となる高感度露光期間と、透明電極110Aの電圧がV2となる低感度露光期間とを交互に連続して繰り返す。これにより、取得された多重露光画像には、被写体の運動の軌跡が残る。
【0258】
図22Aは、実施の形態1に係る第1動体検出処理によって取得された多重露光画像の一例である。
図22Bは、実施の形態7に係る第7動体検出処理によって取得された多重露光画像の一例である。
【0259】
図22Aでは、同一被写体の像のそれぞれが離散的に存在している。これに対して
図22Bでは、高感度露光時に取得された同一被写体の複数の像の間に、低感度露光時に取得された被写体の像が軌跡として現れる。
【0260】
このように、第7動体検出処理によって取得された多重露光画像には、被写体の運動の軌跡が現れる。被写体の像を探索する場合、予測される進行方向およびその周辺を探索する必要がある。本実施の形態においては、被写体の運動の軌跡を辿ることで、高感度露光による同一被写体の複数の像のそれぞれを探索する範囲を絞ることができる。従って、実施の形態7に係るカメラシステムは、多重露光画像において、高感度露光時に取得された同一被写体の複数の像のそれぞれを比較的容易に検出することができる。
【0261】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から実施の形態7について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0262】
以下に、本開示における変形例の一例について列記する。
【0263】
(1)実施の形態1において、車両走行制御システム1は、
図1に図示される各構成要素を含んで構成されると説明した。しかしながら、本開示における車両走行制御システムは、車両走行制御システム1と同様の機能を実現することができれば、必ずしも、
図1に図示された構成例に限定される必要はない。
【0264】
図23は、変形例に係る車両走行制御システム1aの構成を示すブロック図である。
【0265】
図23に示されるように、車両走行制御システム1aは、動き検出部32が削除されている点、ISP31がISP31aに変更されている点で、車両走行制御システム1と異なる。これに伴って、画像処理装置30が画像処理装置30aに変更され、カメラシステム10がカメラシステム10aに変更されている。
【0266】
ISP31aは、ISP31により実現される機能と、動き検出部32により実現される機能とを実現する。これにより、車両走行制御システム1aは、車両走行制御システム1と同様の機能を実現することができる。
【0267】
(2)実施の形態3において、多重露光画像の連続取得を続けるか、多重露光画像の連続取得をやめて基準画像の取得を行うかの決定を、多重露光画像の連続取得回数に基づいて行うと説明した。しかしながら、実施の形態3に係るカメラシステムは、上記決定を、他の基準に基づいて行ってもよい。
【0268】
一例として、上記決定を、多重露光画像の連続して取得し続けた時間に基づいて行ってもよい。また、他の一例として、上記決定を、撮像装置20が搭載される車両の走行距離に基づいて行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本開示に係るカメラシステム、及び車両走行制御システムは、画像を取得するシステムに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0270】
1 車両走行制御システム
10 カメラシステム
20 撮像装置
30 画像処理装置
40 制御回路
50 光学系
60 画像送信部
70 表示装置
80 電子制御ユニット