(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】運動制御システム、制御装置、運動制御方法、及び、建物
(51)【国際特許分類】
A63B 24/00 20060101AFI20240104BHJP
A63B 26/00 20060101ALI20240104BHJP
A63B 23/00 20060101ALI20240104BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A63B24/00
A63B26/00
A63B23/00 Z
A63B69/00 C
(21)【出願番号】P 2023502217
(86)(22)【出願日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 JP2022003486
(87)【国際公開番号】W WO2022181213
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2021029300
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松村 吉浩
(72)【発明者】
【氏名】石丸 雅司
(72)【発明者】
【氏名】岩川 幹生
(72)【発明者】
【氏名】末広 善文
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-215342(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0367079(US,A1)
【文献】特開2000-245863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
A63B 69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに運動負荷を与える運動装置と、
前記ユーザが前記運動装置を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、前記ユーザの発汗量を推定する推定部と、
推定された前記発汗量に基づいて前記運動装置を制御する第1制御部と、
推定された前記発汗量に基づいて前記環境制御装置を制御する第2制御部と、を有
し、
前記検知器は、前記ユーザの周囲の温度、前記ユーザの周囲の湿度、前記ユーザに作用する風の風速、前記ユーザの体表面温度、前記ユーザの運動量、及び、前記ユーザの運動量に対する前記運動装置に与えられた仕事量の比率である外部仕事率を検知する
運動制御システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記運動装置を制御することで、前記発汗量が小さいほど前記運動装置による運動の運動負荷を上昇させる機能を有し、
前記第2制御部は、前記環境制御装置を制御することで、前記発汗量が小さくなるように前記環境状態を変化させる機能を有する
請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項3】
前記第2制御部は、発汗量が第1閾値以上の場合に、前記環境制御装置を制御することで前記発汗量が小さくなるように前記環境状態を変化させる
請求項2に記載の運動制御システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記発汗量が第2閾値を下回る場合に、前記運動装置を制御することで運動負荷を上昇させる
請求項2に記載の運動制御システム。
【請求項5】
前記第2制御部は、発汗量が第1閾値以上の場合に、前記環境制御装置を制御することで前記発汗量が小さくなるように前記環境状態を変化させ、
前記第1制御部は、前記環境状態が変化したことにより前記発汗量が前記第1閾値を下回ったあとに、前記運動装置を制御することで運動負荷を上昇させる
請求項2に記載の運動制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、さらに、前記検知器の検知結果に基づいて算出される暑さ指数が閾値を超える場合に前記第1制御部による前記運動装置の運動負荷を上昇させる制御を禁止する禁止部を有する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の運動制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、さらに、前記検知器の検知結果に基づいて算出される暑さ指数が閾値を超える場合にレコメンド情報を出力する出力部を有する
請求項1~
5のいずれか1項に記載の運動制御システム。
【請求項8】
前記第2制御部は、前記環境制御装置を制御することで、前記空間内において空気が移動する気流を発生させる
請求項1~
7のいずれか1項に記載の運動制御システム。
【請求項9】
前記第2制御部は、前記環境制御装置を制御することで、
(a)移動する空気の温度が前記ユーザの周囲の温度と異なる、
(b)移動する空気の湿度が前記ユーザの周囲の湿度と異なる、
の少なくとも一方を満たす前記気流を発生させる
請求項
8に記載の運動制御システム。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の
制御装置。
【請求項11】
ユーザに運動負荷を与える運動装置と、
前記ユーザが前記運動装置を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置と、
前記運動装置及び前記環境制御装置が内部に設けられた建物本体と、を備え、
前記運動装置及び前記環境制御装置は、制御装置によって制御され、
前記制御装置は、
前記空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、前記ユーザの発汗量を推定する推定部と、
推定された前記発汗量に基づいて前記運動装置を制御する第1制御部と、
推定された前記発汗量に基づいて前記環境制御装置を制御する第2制御部と、を有
し、
前記検知器は、前記ユーザの周囲の温度、前記ユーザの周囲の湿度、前記ユーザに作用する風の風速、前記ユーザの体表面温度、前記ユーザの運動量、及び、前記ユーザの運動量に対する前記運動装置に与えられた仕事量の比率である外部仕事率を検知する
建物。
【請求項12】
ユーザが運動に用いる運動装置と、
前記ユーザが運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置と、を制御する運動制御方法であって、
前記空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、前記ユーザの発汗量を推定する推定ステップと、
推定された前記発汗量に基づいて前記運動装置を制御する第1制御ステップと、
推定された前記発汗量に基づいて前記環境制御装置を制御する第2制御ステップと、を含
み、
前記検知器は、前記ユーザの周囲の温度、前記ユーザの周囲の湿度、前記ユーザに作用する風の風速、前記ユーザの体表面温度、前記ユーザの運動量、及び、前記ユーザの運動量に対する前記運動装置に与えられた仕事量の比率である外部仕事率を検知する
運動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運動制御システム、制御装置、運動制御方法、及び、建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個人識別情報を利用して、当該個人識別情報によって識別された個人ごとに最適な運動メニューが提供される運動管理システムなどが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、効率的に運動を実施する観点では、単に運動メニューが提供されるだけでは十分でない場合がある。そこで、本開示は、ユーザに対して、より効率的に運動を実施させることが可能な運動制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る運動制御システムは、ユーザに運動負荷を与える運動装置と、前記ユーザが前記運動装置を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、前記ユーザの発汗量を推定する推定部と、推定された前記発汗量に基づいて前記運動装置を制御する第1制御部と、推定された前記発汗量に基づいて前記環境制御装置を制御する第2制御部と、を有する。
【0006】
また、本開示の一態様に係る制御装置は、上記に記載の制御装置である。
【0007】
また、本開示の一態様に係る建物は、ユーザに運動負荷を与える運動装置と、前記ユーザが前記運動装置を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置と、前記運動装置及び前記環境制御装置が内部に設けられた建物本体と、を備え、前記運動装置及び前記環境制御装置は、制御装置によって制御され、前記制御装置は、前記空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、前記ユーザの発汗量を推定する推定部と、推定された前記発汗量に基づいて前記運動装置を制御する第1制御部と、推定された前記発汗量に基づいて前記環境制御装置を制御する第2制御部と、を有する。
【0008】
また、本開示の一態様に係る運動制御方法は、ユーザが運動に用いる運動装置と、前記ユーザが運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置と、を制御する運動制御方法であって、前記空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、前記ユーザの発汗量を推定する推定ステップと、推定された前記発汗量に基づいて前記運動装置を制御する第1制御ステップと、推定された前記発汗量に基づいて前記環境制御装置を制御する第2制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の運動制御システム等によれば、より効果的に運動を実施することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る運動制御システムの使用例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る運動制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る禁止部によって参照される暑さ指数算出表である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るレコメンド情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る運動制御システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るユーザの発汗量と、装置の制御態様とを説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[概要]
図1は、実施の形態における運動制御システムの使用例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態における運動制御システム100では、ユーザ90が運動装置10を用いて運動を実施中に、各種の検知器から得られた検知結果に基づいて、環境制御装置20及び運動装置10を制御する。運動制御システム100では、上記により、ユーザ90が運動することを不快に感じることなく、かつ、効率的に運動を実施することが可能となる。
【0014】
上記の検知器は、ここでは、運動装置10に搭載されるもの、環境制御装置20に搭載されるもの、及び、検知装置40に搭載されるものがある。検知器は、このように複数の装置のそれぞれにおいて、異なる検知を行い、検知結果を制御装置30へと送信する。制御装置30では、検知結果に基づいて、ユーザ90の発汗量を推定する。更に制御装置30では、推定した発汗量に基づいて運動装置10及び環境制御装置20を制御することで、ユーザ90は、推定された発汗量に基づく適切な運動を行うことができる。特に、本実施の形態においては、発汗量を直接的に推定する装着型の発汗量センサを用いないことにより、装着型センサを装着することによる煩わしさを解消することができる。
【0015】
また、発汗量の推定をするための各パラメータ(上記の検知結果に対応)は、実際に発汗が開始されるよりも前に変動を示すことから、体表面に汗が吹き出す以前にユーザ90の周囲の環境状態を変化させて発汗の抑制を開始することができる。また、環境状態の変化によって、発汗が抑えられた上で、さらに、運動負荷を上昇させて運動の効果を高めることができる。このようにして、本実施の形態における運動制御システム100では、汗をほとんどかくことなく、運動負荷の大きい運動を行うことができる。
【0016】
例えば、オフィスワークの合間などに多量の発汗を伴うような運動負荷の大きな運動をすることは避けられることが多いが、本実施の形態による運動制御システム100を用いることで、このような運動負荷の大きい運動を、汗をほとんどかかずに行うことができるので、オフィスワークの合間などの空き時間を有効に活用して、より効率的な運動の実施が可能となる。
【0017】
[構成]
図2は、実施の形態に係る運動制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、運動制御システム100は、運動装置10と、環境制御装置20と、制御装置30と、検知装置40と、を備える。運動制御システム100は、上記の概要にて説明したように、運動制御システム100を構成する各装置を駆使して、ユーザ90の発汗量の推定を行い、発汗量に基づいて、発汗量が低下するように環境状態を変化させつつ、運動負荷を上昇させていく。
【0018】
運動装置10は、トレッドミル、及び、自転車エルゴメータなど、対象となるユーザ90の身体の少なくとも一部に運動負荷を与える装置である。運動装置10は、負荷付与部11及び第1検知器12を有する。負荷付与部11は、ユーザ90に対して運動負荷を与える機能部である。負荷付与部11は、ユーザ90が運動装置10での運動において、必要になる仕事量を調整することで、ユーザ90が行う運動の強度を調整する。例えば、自転車エルゴメータであれば、踏力に対するペダルの回転のしやすさが調整される。この結果、ユーザ90に対して与えられる運動負荷が決定される。
【0019】
第1検知器12は、ユーザ90におけるパラメータであるユーザ90の運動量、及び、ユーザ90の運動量に対する運動装置10に与えられた仕事量の比率である外部仕事率を検知する機能部である。第1検知器12を含む検知器によって検知される各種のパラメータについては後述する。
【0020】
第1検知器12による検知結果を制御装置30へと送信し、負荷付与部11の動作パラメータなどを受信するため、運動装置10は、図示しない通信モジュールなどを備えている。
【0021】
環境制御装置20は、空気調和装置、送風機、加湿機、及び、除湿機など、対象となるユーザ90が運動装置10を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる装置である。環境制御装置20は、環境制御部21及び第2検知器22を有する。環境制御部21は、例えば、ユーザ90が運動を行っている空間において、空気が移動する気流を発生させる。この気流は、制御装置30によって設定可能な風速で発生される。また、この気流は、制御装置30によって設定可能な風量で発生されてもよい。さらに、環境制御部21において発生される気流は、温度及び湿度を制御することができる。これにより、例えば、気流によって移動する空気の温度がユーザ90の周囲の温度と異なる場合、温度の観点で、ユーザ90の環境状態を変化させることができる。また、例えば、気流によって移動する空気の湿度がユーザ90の周囲の湿度と異なる場合、湿度の観点で、ユーザ90の環境状態を変化させることができる。また、環境制御部21によって発生される気流は、霧状の水滴(いわゆるミスト)を含むこともできる。このような水滴は、気流が発生された空間において気体(水蒸気)に状態変化するので、周囲から気化に要する熱量を奪い取るので、温度低下に寄与することができる。
【0022】
第2検知器22は、ユーザ90におけるパラメータであるユーザ90の周囲の温度、ユーザ90の周囲の湿度、ユーザ90に作用する風の風速を検知する機能部である。第2検知器22を含む検知器によって検知される各種のパラメータについては、第1検知器12と同様に後述する。
【0023】
第2検知器22による検知結果を制御装置30へと送信し、環境制御部21の動作パラメータなどを受信するため、環境制御装置20は、図示しない通信モジュールなどを備えている。
【0024】
検知装置40は、検知のみを行うことに特化した装置である。検知装置40は、第3検知器41を有する。第3検知器41は、ユーザ90におけるパラメータであるユーザ90の体表面温度を検知する機能部である。第3検知器41を含む検知器によって検知される各種のパラメータについては、第1検知器12及び第2検知器22と同様に後述する。なお、第3検知器41によって検知されるユーザ90の体表面温度が、運動装置10において検知可能である場合がある。このときには、第3検知器41、すなわち、検知装置40は運動制御システム100に含まれなくてもよい。
【0025】
第3検知器41による検知結果を制御装置30へと送信するため、検知装置40は、図示しない通信モジュールなどを備えている。
【0026】
制御装置30は、プロセッサとメモリとを用いて各種のプログラムを実行することで実現される演算装置である。なお、以下説明される制御装置30の各構成は、1つのプロセッサと1つのメモリとで実行される1つのプログラム上の複数の機能として実現されてもよいし、複数のプロセッサと複数のメモリとで実行される複数のプログラムで並列に機能するように実現されてもよい。制御装置30は、例えば、クラウドサーバ上で実現される。このため、運動装置10、環境制御装置20及び検知装置40は、上記の通信モジュールを用いてインターネット等のネットワークに通信接続可能に構成されている。このように、制御装置30は、ネットワークを介して通信接続することで、ユーザ90が運動を行う空間とは物理的に離れた位置に配置することもできる。
【0027】
つまり、運動装置10と、環境制御装置20と、検知装置40と、運動装置10、環境制御装置20、及び検知装置40が内部に設置された建物本体とを備える建物に、例えば、建物本体の外部に設置された制御装置30を加えて運動制御システム100を構成することもできる。この場合、建物本体とは、単に複数の部屋からなる建築物のうちの1つの部屋を意味してもよく、複数の部屋を含む建築物そのものを意味してもよい。
【0028】
制御装置30は、推定部31、第1制御部32、第2制御部33、禁止部34、及び、出力部35を有する。
【0029】
推定部31は、第1検知器12、第2検知器22、及び、第3検知器41の検知結果に基づいて、ユーザ90の発汗量を推定する処理部である。推定部31による発汗量の推定について、以下詳しく説明する。
【0030】
推定部31によって推定される発汗量は、以下式(1)により総発汗量qwswとして算出される。
【0031】
【0032】
ただし、上記式(1)では、qwdifが蒸散密度を示し、qwsweが運動性発汗量を示し、qwswtが温熱性発汗量を示している。
【0033】
蒸散密度qwdifは、以下式(2)によって得られる。
【0034】
【0035】
ただし、上記式(2)では、wswが発汗による濡れ率を示し、kwdifが拡散による蒸散率を示し、pskがユーザ90の体表面温度における飽和水蒸気圧を示し、paが空気の水蒸気圧を示している。
【0036】
拡散による蒸散率kwdifは、以下式(3)によって得られる。
【0037】
【0038】
ただし、上記式(3)では、Rdifが拡散蒸散に関わる皮膚の透湿熱抵抗を示し、Rcleが着衣の透湿熱抵抗を示し、Rseが人体の表面湿気熱抵抗を示し、kLが潜熱変換係数を示している。拡散蒸散に関わる皮膚の透湿熱抵抗Rdifは、例えば、0.328[(kPa・m2)/W]の値が用いられる。着衣の透湿熱抵抗Rcleは、例えば、以下式(4)によって得られる。
【0039】
【0040】
ただし、上記式(4)では、Iclが人体表面増加率を示し、iclが着衣の透湿効率を示し、LRがルイス数を示している。ルイス数LRは、例えば、16.5[K/kPa]の値が用いられる。上記式(3)の人体の表面湿気熱抵抗Rseは、例えば、以下式(5)によって得られる。
【0041】
【0042】
ただし、上記式(5)では、hcが対流熱伝達率を示し、fclが人体表面増加率を示している。対流熱伝達率hcは、例えば、ユーザ90に作用する風の風速vopを用いて、12.1vop[W/(m2/K)]の値が用いられる。
【0043】
式(2)に戻り、ユーザ90の体表面温度における飽和水蒸気圧pskは、以下式(6)によって得られる。
【0044】
【0045】
ただし、上記式(6)では、ask及びbskが、ユーザ90の体表面温度における飽和水蒸気圧pskをユーザ90の体表面温度であるtskの一次式で近似した場合における傾き及び切片を示している。すなわち、上記式(6)は、ユーザ90の体表面温度における飽和水蒸気圧pskをユーザ90の体表面温度であるtskの一次式として近似した近似式である。ask及びbskとしては、例えば、-0.383[kPa/K]、及び、0.270[kPa]の値が用いられる。ただし、このask及びbskを用いた近似式は、tskの値が27℃より大きく、37℃より小さい範囲でのみ成立する。
【0046】
また、上記式(2)の空気の水蒸気圧paは、ユーザ90の周囲の湿度に対して、ユーザ90の周囲の温度における飽和水蒸気圧を乗じて得られる。
【0047】
式(1)に戻り、運動性発汗量qwsweは、以下式(7)によって得られる。
【0048】
【0049】
ただし、上記式(7)では、qHがユーザ90の体内で発生する熱を示している。ユーザ90の体内で発生する熱qHは、以下式(8)によって得られる。
【0050】
【0051】
ただし、上記式(8)では、qMが代謝率を示し、ηが外部仕事率を示している。代謝率qMは、ユーザ90の運動量に対応している。したがって、上記式(8)では、ユーザ90がなした運動量から、外部仕事率と運動量との積によって示される仕事量を差し引いた熱損失として、ユーザ90の体内で発生する熱qHが表現されている。
【0052】
式(1)に戻り、温熱性発汗量qwswtは、以下式(9)によって得られる。
【0053】
【0054】
ただし、上記式(2)では、kwswtが温熱性発汗率を示し、kadpが暑熱鍛錬係数を示し、tskswが、温熱性発汗が開始される臨界平均皮膚温度を示している。温熱性発汗率kwswtとしては、例えば、39.7[g/h・m2・K]の値が用いられる。また、暑熱鍛錬係数kadpとしては、ユーザ90に応じて、例えば、0.4~1.2の範囲内の値が用いられる。また、暑熱鍛錬係数kadpとして、0.85などの平均的な値が用いられてもよい。温熱性発汗が開始される臨界平均皮膚温度tskswとしては、例えば、31.84[℃]の値が用いられる。
【0055】
推定部31は、上記の各式に則り、検知されたユーザ90の周囲の温度、ユーザ90の周囲の湿度、ユーザ90に作用する風の風速、ユーザ90の体表面温度、ユーザ90の運動量、及び、ユーザ90の運動量に対する運動装置10に与えられた仕事量の比率である外部仕事率から総発汗量qwswとしての発汗量の算出を行う。
【0056】
図2の説明に戻り、第1制御部32は、推定部31によって推定された発汗量に基づいて、運動装置10を制御する処理部である。第1制御部32は、運動装置10を制御することで、発汗量が小さいほど運動装置10による運動の運動負荷を上昇させる機能を有する。一方で、第1制御部32は、後述する禁止部34の機能と関連して、運動装置10の運動負荷の上昇を停止又は低下させる機能も有する。
【0057】
第2制御部33は、推定部31によって推定された発汗量に基づいて、環境制御装置20を制御する処理部である。第2制御部33は、環境制御装置20を制御することで、発汗量が小さくなるように環境状態を変化させる機能を有する。具体的には、第2制御部33は、環境制御装置20が発生する気流の風速を増加したり、気流によって移動する空気の温度を低下させたり、気流によって移動する空気の湿度を低下させたりする。
【0058】
禁止部34は、第1検知器12、第2検知器22、及び、第3検知器41の検知結果に基づいて算出される暑さ指数が閾値を超える場合に第1制御部32による運動装置10の運動負荷を上昇させる制御を禁止する処理部である。この暑さ指数について説明する。
図3は、実施の形態に係る禁止部によって参照される暑さ指数算出表である。禁止部34は、図示しない記憶部などに格納された、
図3に示すような暑さ指数算出表を参照して、現在の検知されたユーザ90の周囲の温度とユーザ90の周囲の湿度とから暑さ指数を算出する。暑さ指数は、具体的な数値として算出されてもよいし、4段階に分けられた段階のいずれであるかとして算出されてもよい。
【0059】
図3では、より低温かつ低湿度側の白抜きの領域から、より高温かつ高湿度側の高密度のドットハッチングが付された領域にかけて、ドットハッチングのドットの密度が異なる複数の領域が区分けされている。ここでは、4段階目に相当する高密度のドットハッチングが付された領域に該当すれば閾値を超えるものとして判定される。例えば、禁止部34は、温度28℃、相対湿度100%では、暑さ指数が4段階目に相当するとして、第1制御部32による運動装置10の運動負荷を上昇させる制御を禁止する。一方で、例えば、禁止部34は、温度27℃、相対湿度100%では、暑さ指数が3段階目に相当するとして、第1制御部32による運動装置10の運動負荷を上昇させる制御を禁止しない。
【0060】
また、このような閾値は、ユーザ90に応じて段階的に決定されてもよい。例えば、比較的暑さに耐性のある10代~20代のユーザ90に対しては、4段階目が閾値として設定され、10歳未満、又は30歳以上のユーザ90に対しては、2段階目が閾値として設定されてもよい。なお、禁止部34は、暑さ指数の算出を行わなくてもよい。例えば、推定部31など他の処理部によって暑さ指数の算出が行われ、禁止部34は、その算出結果を取得して第1制御部32の機能を禁止するか否かのみを行ってもよい。
【0061】
出力部35は、第1検知器12、第2検知器22、及び、第3検知器41の検知結果に基づいて算出される暑さ指数が閾値を超える場合にユーザ90へのレコメンド情報を出力する処理部である。出力部35も上記の禁止部34と同様に、暑さ指数の算出をしてもよいし、しなくてもよい。
【0062】
出力部35は、例えば、ユーザ90が使用している運動装置10の表示部(不図示)などに、レコメンド情報を表示させる。
図4は、実施の形態に係るレコメンド情報の一例を示す図である。
図4に示すように、表示部に表示されるレコメンド情報R1は、例えば、ユーザ90に水分補給を促すような内容を含む。この他レコメンド情報R1としては、ユーザ90自身による運動装置10の運動負荷を低下させる操作を促す内容や、環境制御装置20の動作を切り替えるなどして環境状態を変化させることを促す内容等が含まれる。
【0063】
個人プロパティ記憶部36は、記憶装置用のコントローラ機能を有する処理部である。個人プロパティ記憶部36は、図示しない記憶装置に格納された情報により、ユーザ90ごとの年齢、性別、及び、運動習慣などの情報を蓄積するデータベースを構築している。個人プロパティ記憶部36によって構築されたデータベースは、上記の禁止部34及び出力部35による暑さ指数に対する閾値の設定のために用いられる。
【0064】
[動作]
次に、
図5及び
図6を参照して、上記に説明した運動制御システム100の動作について説明する。
図5は、実施の形態に係る運動制御システムの動作を示すフローチャートである。
図6は、実施の形態に係るユーザの発汗量と、装置の制御態様とを説明するグラフである。
図6では、上段にユーザ90の運動時間に対する発汗量の多少との関係を表すグラフが示され、中段にユーザ90の運動時間に対する運動装置10の運動負荷の大きさの関係を表すグラフが示され、下段にユーザ90の運動時間に対する環境制御装置20の出力値(ここでは出力値が大きいほど、低温かつ低湿度の高風速気流、もしくは、霧状の水滴を含有する気流であることを示す)の関係を表すグラフが示されている。なお、
図6では、各グラフの関連するタイミングを2点鎖線によって接続して示しており、各装置の制御に関連するタイミング同士の間を(a)~(e)の5つの期間で示している。
【0065】
まず、運動制御システム100の動作が開始されると、第1検知器12、第2検知器22、及び、第3検知器41による検知が行われて発汗量の推定が開始される(推定ステップS101)。なお、以降継続的に発汗量の推定、すなわち、推定ステップS101が実施されているとして説明する。運動制御システム100では、開始から一定の期間が経過すると、発汗量が第2閾値よりも大きいか否かの判定が行われる(ステップS102)。これは、ある程度の運動効果が得られる最低限の発汗量として設定された第2閾値を超えていない場合、ユーザ90にとって、運動負荷が十分でないと考えられるためである。したがって、発汗量が第2閾値よりも大きいと判定されない場合(ステップS102でNo)、第1制御部32は、運動装置10を制御して運動負荷を上昇させる(第1制御ステップS103)。
【0066】
ステップS102及びステップS103を繰り返すことで、ある程度の運動効果が得られる最低限の発汗量が維持されるように運動負荷が上昇される。
図6では、(a)に示す期間及び(b)に示す期間において、発汗量が第2閾値以下であることから段階的に運動負荷の上昇が行われていることが示されている。
【0067】
発汗量が第2閾値よりも大きいと判定された場合(ステップS102でYes)、さらに発汗量が第1閾値以上であるかが判定される(ステップS104)。これは、はじめに説明したように発汗量が多すぎる運動は、適切でない場合があるために設定されている。このため第1閾値は、ユーザ90が汗ばむ臨界の発汗量の付近に設定されている。発汗量が第1閾値以上であると判定されない場合(ステップS104でNo)、運動負荷及び環境状態を維持してユーザ90に運動を継続させつつ、ステップS104の判定を繰り返し実施する。
図6では、(c)に示す期間において、発汗量が第1閾値を下回っており、運動負荷及び環境状態(下段のグラフにおける出力値に対応)が維持されている。
【0068】
その後、発汗量が第1閾値以上であると判定されると(ステップS104でYes)、第2制御部33は、環境制御装置20を制御して発汗量を小さくするように環境状態を変化させる(第2制御ステップS105)。運動制御システム100では、この制御によって、ユーザ90の発汗量が低下すると、さらに運動負荷を上昇させる処理が行われる。具体的には、発汗量が第1閾値を下回っているか否かが判定される(ステップS106)。発汗量が第1閾値を下回っていないと判定された場合(ステップS106でNo)、第1制御ステップS105及びステップS106を繰り返し実施して、発汗量を第1閾値よりも小さくさせる。
図6では、(d)に示す期間において、発汗量が第1閾値を下回るように、環境制御装置20の出力値が上昇されている。
【0069】
その後、発汗量が第1閾値を下回っていると判定された場合(ステップS106でYes)、第1制御部32は、運動装置10を制御して運動負荷を上昇させる(第1制御ステップS107)。その後、ステップS104に戻り、処理を繰り返し実行する。
図6では、(e)に示す期間において、運動装置10が制御されて運動負荷が上昇されている。
【0070】
このようにして、発汗量が適切な量を維持させながら(特に、第1閾値付近の発汗がされるか否かの境界付近を維持しながら)可能な範囲で運動負荷を上昇させることで、より効率的に運動を実施することが可能な運動制御システム100が実現される。さらに、温度や湿度から見て運動負荷の上昇が適切でない場合には、禁止部34及び出力部35等が作動することで、運動負荷の上昇を抑制するなどして、適切な運動を行うことが可能となる。
【0071】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態に係る運動制御システム100は、ユーザ90に運動負荷を与える運動装置10と、ユーザ90が運動装置10を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置20と、制御装置30と、を備え、制御装置30は、空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、ユーザ90の発汗量を推定する推定部31と、推定された発汗量に基づいて運動装置10を制御する第1制御部32と、推定された発汗量に基づいて環境制御装置20を制御する第2制御部33と、を有する。
【0072】
このような運動制御システム100は、検知器による検知結果によって運動装置10及び環境制御装置20の両方を制御できる。この結果、環境制御装置20によってユーザ90が運動をするのに適切な環境状態を提供しつつ、適切な運動負荷をユーザ90に与えることができる。これにより、ユーザ90に対して、より効率的に運動を実施させることが可能となる。
【0073】
また、例えば、第1制御部32は、運動装置10を制御することで、発汗量が小さいほど運動装置10による運動の運動負荷を上昇させる機能を有し、第2制御部33は、環境制御装置20を制御することで、発汗量が小さくなるように環境状態を変化させる機能を有してもよい。
【0074】
これによれば、ユーザ90の発汗量が小さいことから、ユーザ90がより上昇した運動負荷にも対応できると判断される際に運動負荷を上昇させ、一方で、発汗量を小さくさせるように環境制御装置20を制御することができる。
【0075】
また、例えば、第2制御部33は、発汗量が第1閾値以上の場合に、環境制御装置20を制御することで発汗量が小さくなるように環境状態を変化させてもよい。
【0076】
これによれば、第1閾値以上の発汗量であれば環境制御装置20が制御されて発汗量を小さくできる。したがって、ユーザ90は、第1閾値以上の発汗量になりにくく、運動を所定の発汗量以下に抑えながら実施することができる。
【0077】
また、例えば、第1制御部32は、発汗量が第2閾値を下回る場合に、運動装置10を制御することで運動負荷を上昇させてもよい。
【0078】
これによれば、第2閾値を下回る発汗量であれば運動装置10が制御されて運動負荷を上昇させることができる。したがって、ユーザ90は、第2閾値を下回るような運動負荷の低い運動を実施することが起こりにくいので、効率的に運動による効果を得ることが可能な運動を実施することができる。
【0079】
また、例えば、第2制御部33は、発汗量が第1閾値以上の場合に、環境制御装置20を制御することで発汗量が小さくなるように環境状態を変化させ、第1制御部32は、環境状態が変化したことにより発汗量が第1閾値を下回ったあとに、運動装置10を制御することで運動負荷を上昇させてもよい。
【0080】
これによれば、第1閾値以上の発汗量であれば環境制御装置20が制御されて発汗量を小さくできる。したがって、ユーザ90は、第1閾値以上の発汗量になりにくく、運動を所定の発汗量以下に抑えながら実施することができる。さらに、環境状態が変化したことにより発汗量が第1閾値を下回ったあとには、ユーザ90がより上昇した運動負荷にも対応できると判断されるので、運動負荷がより上昇される。このように発汗量の低下と運動負荷の上昇とを繰り返すサイクルが構築され、ユーザ90は、徐々に運動負荷が上昇される効率的な運動を実施することができる。
【0081】
また、例えば、検知器は、ユーザ90の周囲の温度、ユーザ90の周囲の湿度、ユーザ90に作用する風の風速、ユーザ90の体表面温度、ユーザ90の運動量、及び、ユーザ90の運動量に対する運動装置10に与えられた仕事量の比率である外部仕事率を検知してもよい。
【0082】
これによれば、検知器によって検知されたユーザ90の周囲の温度、ユーザ90の周囲の湿度、ユーザ90に作用する風の風速、ユーザ90の体表面温度、ユーザ90の運動量、及び、ユーザ90の運動量に対する運動装置10に与えられた仕事量の比率である外部仕事率によって運動装置10及び環境制御装置20の両方を制御できる。
【0083】
また、例えば、制御装置30は、さらに、検知器の検知結果に基づいて算出される暑さ指数が閾値を超える場合に第1制御部32による運動装置10の運動負荷を上昇させる制御を禁止する禁止部34を有してもよい。
【0084】
これによれば、暑さ指数に基づき運動負荷の上昇が適切でないと判断されるような環境状況において、これが実施されないように禁止することができる。
【0085】
また、例えば、制御装置30は、さらに、検知器の検知結果に基づいて算出される暑さ指数が閾値を超える場合にレコメンド情報を出力する出力部35を有してもよい。
【0086】
これによれば、暑さ指数に基づき運動の継続が適切でないと判断されるような環境状況において、運動を継続するための休憩や給水、又は、ユーザ90の判断による運動の中止などができるように、レコメンド情報を出力することができる。
【0087】
また、例えば、第2制御部33は、環境制御装置20を制御することで、空間内において空気が移動する気流を発生させてもよい。
【0088】
これによれば、第2制御部33が環境制御装置20を制御することで、空間内において空気が移動する気流を発生させることができる。
【0089】
また、例えば、第2制御部33は、環境制御装置20を制御することで、(a)移動する空気の温度がユーザ90の周囲の温度と異なる、(b)移動する空気の湿度がユーザ90の周囲の湿度と異なる、の少なくとも一方を満たす気流を発生させてもよい。
【0090】
これによれば、第2制御部33が環境制御装置20を制御することで、空間内において(a)移動する空気の温度がユーザ90の周囲の温度と異なる、(b)移動する空気の湿度がユーザ90の周囲の湿度と異なる、の少なくとも一方を満たす気流を発生させることができる。
【0091】
また、本実施の形態に係る制御装置30は、上記のいずれかに記載の制御装置30である。
【0092】
このような制御装置30は、上記に記載の運動制御システム100と同様の効果を得るために利用できる。
【0093】
また、本実施の形態に係る建物は、ユーザ90に運動負荷を与える運動装置10と、ユーザ90が運動装置10を用いた運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置20と、運動装置10及び環境制御装置20が内部に設けられた建物本体と、を備え、運動装置10及び環境制御装置20は、制御装置30によって制御され、制御装置30は、空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、ユーザ90の発汗量を推定する推定部31と、推定された発汗量に基づいて運動装置10を制御する第1制御部32と、推定された発汗量に基づいて環境制御装置20を制御する第2制御部33と、を有する。
【0094】
このような建物は、その内部で上記に記載の運動制御システム100の効果を奏することができる。
【0095】
また、本実施の形態に係る運動制御方法は、ユーザ90が運動に用いる運動装置10と、ユーザ90が運動を行う空間の環境状態を変化させる環境制御装置20と、を制御する運動制御方法であって、空間に配置された検知器の検知結果に基づいて、ユーザ90の発汗量を推定する推定ステップと、推定された発汗量に基づいて運動装置10を制御する第1制御ステップと、推定された発汗量に基づいて環境制御装置20を制御する第2制御ステップと、を含む。
【0096】
このような運動制御方法は、上記に記載の運動制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【0097】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0098】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0099】
例えば、本開示の内容を、運動制御システムと、内部に運動制御システムが設けられた建物本体(壁及び天井などを含む構造体)とを備える建物として実現してもよい。このとき、制御装置については、上記の建物本体の内部に設けられずに、通信回線を介して接続されるなどしてもよい。
【0100】
また、例えば、上記の運動装置として、表示ディスプレイと、当該表示ディスプレイ上に投影される映像と連動する機能を有する、運動量を検知可能な検知デバイスとを用いてもよい。この例では、検知デバイスに対してユーザから与えられた運動量(例えば、デバイスの変形部分の変形量など)をもとに表示ディスプレイ上に投影される映像が切り替わるように構成されている。一例として、運動負荷を上昇させる際には、映像が切り替わるまでに必要な運動量の閾値を上昇させることで、ユーザに要求する運動量を増加させる。一方で、運動負荷を低下させる際には、映像が切り替わるまでに必要な運動量の閾値を低下させることで、ユーザに要求する運動量を減少させる。このように、運動装置とは、ユーザによる何らかの運動を伴っていれば、運動とユーザ体験とが必ずしも一致するものでなくてもよく、ユーザに対して疑似体験的に運動を行わせる種類の装置であってもよい。
【0101】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
10 運動装置
20 環境制御装置
30 制御装置
31 推定部
32 第1制御部
33 第2制御部
34 禁止部
35 出力部
90 ユーザ
100 運動制御システム