(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】振動検出装置
(51)【国際特許分類】
G01V 1/00 20240101AFI20240104BHJP
【FI】
G01V1/00 A
(21)【出願番号】P 2019136481
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-07-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会出品による開示(平成30年10月10日)
(73)【特許権者】
【識別番号】301039066
【氏名又は名称】株式会社アイティーコスモス
(74)【代理人】
【識別番号】100181250
【氏名又は名称】田中 信介
(72)【発明者】
【氏名】粂井 康秀
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 稔夫
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-142528(JP,A)
【文献】米国特許第05010531(US,A)
【文献】特開2006-047249(JP,A)
【文献】特開2005-017084(JP,A)
【文献】特開平11-230790(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141304(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-9/00
G01H 1/00-17/00
G01N 29/00-29/52
E02D 1/00-3/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
速度検出型の振動センサと、
前記振動センサを取り付けるとともに、設置面からの振動を前記振動センサに伝達する基部と、
前記基部を前記設置面に設置する設置部と、
前記振動センサ及び前記基部を内包するように筒状、かつ、軸方向の一部で上側から下側に向かって内径及び外径が小から大へ変化する肩部を有し、前記設置面部からの振動を、前記基部を介して前記振動センサに伝達するカバー本体と、
を備え、
前記基部は、円形に形成され、前記カバー本体の前記肩部において内径及び外径が小さい部分の内側に配置され、
前記設置部は、円形に形成され、前記カバー本体の軸方向で、前記肩部より下側において内径及び外径が大きくなっている端面部分に密着するように配置され、
ていることを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動検出装置において、
前記設置部は、
地中に埋没するように前記基部に設けられ、前記基部を介して前記振動センサに振動を伝える突起部を備えることを特徴とする振動検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の振動検出装置において、
前記突起部は、
前記設置部から突出している位置が、前記設置部に対して略正三角形となる位置に3本設けられていることを特徴とする振動検出装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の振動検出装置において、
前記カバー本体の上端面を密閉する蓋部を備え、
前記カバー本体、前記蓋部及び前記設置部により前記振動センサ及び前記振動センサが取り付けられた状態の前記基部を覆う防水カバー(40)を備えていることを特徴とする振動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に地表面に設置した状態で侵入者等の発する振動を検出する振動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風雨など劣悪な環境下においても外乱の影響を受けることを少なくした振動検出装置がある。この振動検出装置は、地盤の振動を検知する振動センサと、振動センサに非接触に設けられ、地盤とともに振動センサの外周を覆うカバーとから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の振動検出装置では、振動センサが地表面に直接置かれており、地表面が軟弱であったり、湿気があったりする場合には、振動を検出できないという問題があった。また、地盤とともに振動センサの外周を覆うカバーを有しているが、そのカバーは地表面に直接設置された振動センサを覆うものであるため、そのカバーがあっても、地表面が軟弱であったり、湿気があったりする場合には、振動を検出できないという問題は残る。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、設置する地表面が軟弱であったり、湿気があったりする場合であっても振動を検出できる振動検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。なお、本欄における括弧内の参照符号や補足説明等は、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0007】
[適用例1]
適用例1に記載の振動検出装置(1)は、
速度検出型の振動センサ(10)と、
前記振動センサ(10)を取り付けるとともに、設置面(5)からの振動を前記振動センサ(10)に伝達する基部(20)と、
前記基部(20)を前記設置面(5)に設置する設置部(30)と、
前記振動センサ(10)及び前記基部(20)を内包するように筒状、かつ、軸方向の一部で上側から下側に向かって内径及び外径が小から大へ変化する肩部を有し、前記設置部(30)からの振動を、前記基部(20)を介して前記振動センサ(10)に伝達するカバー本体(41)と、
を備え、
前記基部(20)は、円形に形成され、前記カバー本体(41)の前記肩部において内径及び外径が小さい部分の内側に配置され、
前記設置部(30)は、円形に形成され、前記カバー本体(41)の軸方向で、前記肩部より下側において内径及び外径が大きくなっている端面部分に密着するように配置され、
ていることを要旨とする。
【0008】
このような振動検出装置(1)は、設置部(30)により、基部(20)が土やコンクリートなどの設置面(5)に設置される。したがって、設置面(5)に設置された状態で地表面(7)あるいは地表面(7)近傍の地中(6)を伝搬する振動を、基部(20)を介して検出することができる。
【0009】
ここで、地表面(7)や地表面(7)近傍の地中を伝播する振動としては、振動検出装置(1)を設置している位置の近傍の領域に侵入者が会った場合、その侵入者が歩行などで移動する際に侵入者が足で地表面(7)を踏む際の振動などがある。
【0010】
このような振動を検出する場合、振動センサ(10)として圧電素子やストレインゲージを用いる加速度型の振動センサ(10)を用いると、ノイズが多く侵入者の歩行などによって発生する振動を正確に検出することができない。
【0011】
そこで、振動センサ(10)として動電型など速度検出型の振動センサ(10)を用いることにより振動を検出する際のノイズの量を低減することができる。したがって、その振動が基部(20)を介して振動センサ(10)に効率よく伝達されるため、感度のよい振動検出装置(1)とすることができる。
【0012】
[適用例2]
適用例2に記載の振動検出装置(2)は、適用例1に記載の振動検出装置(1)において、
前記設置部(30)は、
地中(6)に埋没するように前記基部(20)に設けられ、前記基部(20)を介して前記振動センサ(10)に振動を伝える突起部(31)を備えることを要旨とする。
【0013】
このような振動検出装置(2)は、設置部(30)に、地中(6)に埋没する突起部(31)を設けることにより、地表面(7)近傍を伝搬する振動が突起部(31)によって、基部(20)を介して振動センサ(10)に効率よく伝達されるため、感度のよい振動検出装置(1)とすることができる。
【0014】
さらに、振動検出装置(1)を設置する地表面(7)が柔軟であったり、湿気があったりした場合でも突起部(31)が地中(6)に埋没しているため、振動を振動センサ(10)に伝達することが可能となる。したがって、振動を検出することができる。
【0015】
[適用例3]
適用例3に記載の振動検出装置(3)は、適用例2に記載の振動検出装置(2)において、
前記突起部(31)は、
前記設置部(30)から突出している位置が、前記設置部(30)に対して略正三角形となる位置に3本設けられていることを要旨とする。
【0016】
このような振動検出装置(3)では、3本の突起部(31)で振動検出装置(1)を支持することになるとともに、3本の突起部(31)の各々の少なくも一部(先端)が地中(6)に埋没することになるため、感度よく振動を検出することができる。
【0017】
また、突起部(31)の先端を尖らせることにより、振動検出装置(1)を埋設する際に地面に穴を穿つことなく、配置した後に軽く地面側に押さえることにより簡単に埋設することができ、しかも感度よく振動を検出することができる。
【0018】
[適用例4]
適用例4に記載の振動検出装置(1、2,3)は、適用例1~適用例3の何れか1項に記載の振動検出装置(1,2,3)において、
前記カバー本体(41)の上端面を密閉する蓋部(42)を備え、
前記カバー本体(41)、前記蓋部(42)及び前記設置部(30)により前記振動センサ及び前記振動センサが取り付けられた状態の前記基部を覆う防水カバー(40)を備えていることを要旨とする。
【0019】
このような振動検出装置(1,2,3)では、野外で安定して使用することができる。つまり、振動検出装置(1,2,3)を野外に配置する場合、雨や砂埃などに晒される。そのような環境下であっても防水カバー(40)を備えているため、長期間に亘って安定した作動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態における振動検出装置の概略の構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における振動検出装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】第2実施形態における振動検出装置の概略の構成を示す図である。
【
図4】第2実施形態における振動検出装置の使用態様を説明するための図である。
【
図5】第3実施形態における振動検出装置の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0022】
[第1実施形態]
図1及び
図2に基づいて振動検出装置1の構成について説明する。
図1は、振動検出装置1の概略の構成を示す図であり、
図1(A)は正面図、
図1(B)は平面図、
図1(C)はA-A断面図である。また、
図2は、振動検出装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、振動検出装置1は、振動センサ10、基部20、設置部30、防水カバー40、制御部50、送信機60及びバッテリ70を備えている。
【0024】
振動センサ10は、防水カバー40に内蔵された部品であり、図示しないケースに固定されたマグネット(図示せず)と、検出コイル11(
図2参照)を保持したボビン(図示せず)、そのボビンを支持するバネ(図示せず)で構成された、いわゆる動電型の振動センサである。
【0025】
また、検出コイル11の出力信号は、後述する制御部50を介して後述する送信機60によって外部に出力される。
【0026】
基部20は、アルミ合金の板材であり、一方の面(接地面と反対面)に振動センサ10が取り付けられている。本実施形態では、A5056やA6063などのアルミ合金の板材を円形に形成し、その板材の一方の面に振動センサ10を接着剤で固定してある。基部20の直径は、後述するカバー本体41の他方の底部の外径と同じとなっている。
【0027】
設置部30は、基部20において、振動センサ10を取り付けてある面の大きさを大きくし、四隅に取付孔32を設けた部分である。この四隅の取付孔32に図示しないアンカーボルトなどで、土やコンクリートの表面などの設置面5に基部20が密着するように振動検出装置1を固定する。
【0028】
防水カバー40は、振動センサ10及び振動センサ10が取り付けられた状態の基部20を覆うカバーであり、A5056やA6063などのアルミ合金で形成された有底の円筒状の部分である。
【0029】
制御部50は、防水カバー40に内蔵された、振動検出装置1全体の機能的な制御を行う装置であり、入力部51と処理部52とを備えている。
入力部51は、フィルタ・アンプ53及びA/D変換器54を備えている。また、処理部52は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えている。
【0030】
フィルタ・アンプ53は、図示しないローパスフィルタと図示しない増幅器から構成され、振動センサ10からの信号(以下、「振動信号」と呼ぶ)を入力し、入力した振動信号の高周波のノイズ成分をカットして平滑化する。そして、平滑化した振動信号をA/D変換器54でデジタルデータに変換する。
【0031】
制御部50のROMには、制御プログラムが格納されており、バッテリ70の電源スイッチ71のオンとともに、制御プログラムがROMから読み出されCPUにおいて処理が実行される。
【0032】
制御部50では、CPUにより下記(ア)~(ウ)に示す処理が行われる。
(ア)所定期間振動センサ10からの振動信号を取得し、A/D変換器54においてデジタルデータへ変換してRAMに格納する。
【0033】
(イ)RAMに格納した振動信号大きさの所定期間の平均値を算出し、算出した平均値が予め定めた範囲の値であるか否かを判定する。
(ウ)RAMに格納した振動信号のうち予め定めた値以上の信号が所定期間内に出現する回数が予め定めた範囲の値であるか否かを判定する。
【0034】
なお、(イ)項における予め定めた平均値の範囲及び所定期間、(ウ)項における振動信号の予め定めた値、所定期間、予め定めた信号の出願回数の範囲は、振動検出装置1の設置場所、設置する地中の層6a,6bの状態(硬さなど)、検出対象となる侵入者の特性などによって設定すればよい。
【0035】
(エ)(イ)項において、振動信号の平均値が予め定めた範囲の値であと判定し、かつ、(ウ)項において予め定めた値以上の信号が所定期間内に出願する回数が予め定めた範囲の値であると判定した場合には、特定の侵入者があると判定し、その結果(侵入者ありの符号)を、送信機60を介して外部に送信する。
【0036】
送信機60は、防水カバー40に内蔵された、振動センサ10で検出し、制御部50で処理した処理結果を電気信号(電波)として、アンテナ61を介して外部に出力する装置である。本実施形態では、送信機60の通信モジュールとして、無線規格:IEEE802.15.4準拠、周波数帯:2.4[GHz]、出力10[mW]のモノワイヤレス社製MW-R-Uを用いている、また、アンテナ61として、モノワイヤレス社製J-SL-006を用いている。
【0037】
バッテリ70は、防水カバー40に内蔵された、制御部50及び送信機60を作動させるための電源を供給する電源であり、リチウムイオン電池などの二次電池あるいは乾電池などの一次電池が用いられている。本実施形態では、容量:3600[mA]、電圧:3.7[V]のIMALENT社製のリチウムイオン電池を2本用いている。
【0038】
(振動検出装置の機能的構成)
次に、
図2に基づき、振動検出装置1の機能的な構成について説明する。
図2に示すように、振動センサ10の検出コイル11と制御部50との間、制御部50及び送信機60とバッテリ70との間が電気的に接続されており、バッテリ70から制御部50及び送信機60へ電源が供給される。
【0039】
(振動検出装置1の特徴)
以上に説明した振動検出装置1は、速度検出型の振動センサ10を用いているため、加速度検出型の振動センサを用いる場合に比べ、振動検出装置1を設置した領域に対する侵入者などによって発生する振動を検出する際、ノイズの影響を受けにくく、より正確に振動を検出することができる。
【0040】
また、振動センサ10を取り付ける基部20が設置部30によって、土やコンクリートなどの地表面7に密着して固定されるため、地表面7近傍を伝搬する振動が基部20を介して振動センサ10に効率よく伝達される。したがって、感度のよい振動検出装置1とすることができる。
【0041】
さらに、防水カバー40を備えているため、振動検出装置1を野外に配置する場合であって、雨や砂埃などに晒される環境下であっても長期間に亘って安定した作動が可能となる。
【0042】
[第2実施形態]
(振動検出装置の構成)
図3に基づいて振動検出装置2の構成について説明する。
図3は、第2実施形態における振動検出装置2の概略の構成を示す図であり、
図3(A)は正面図、
図3(B)は平面図、
図3(C)はA-A断面図である。
第2実施形態における振動検出装置2は、第1実施形態における振動検出装置1と類似の構成をしているため、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、振動検出装置2は、設置部30に突起部31を備えている。
突起部31は、設置部30の外側面に設けられた3本の突起体であり、3本とも先端を尖らせてある。3本の突起部31は、設置部30の外側底面において略正三角形を形成する位置に配置され、図示しないネジや溶接などで固定されている。
【0044】
また、突起部31の先端を尖らせることにより、振動検出装置2を地表面7に設置した場合、突起部31が、地中6に埋没しやすくなっている。
このように、突起部31を地中に埋没させることにより、地表面7あるいは地表面7近傍の地中6を伝搬する振動を、突起部31を介して振動センサ10に伝えやすくなっている。
【0045】
防水カバー40は、振動センサ10及び振動センサ10が取り付けられた状態の基部20及び設置部30を覆うカバーであり、アルミ合金で形成された、カバー本体41と蓋部42とを備えている。
【0046】
カバー本体41は、本実施形態では、A5056やA6063などのアルミ合金を軸方向の途中で直径及び内径が変化した肩部を有する円筒状に形成した部品である。カバー本体41の一方の底部(蓋部42を取り付ける側)の内面には、Oリングを装着するためのOリング溝が形成されている。また、Oリング溝が形成されている側の底部の端面の4か所には、蓋部42を取り付けるためのねじ穴が設けられている。
【0047】
蓋部42は、A5056やA6063などのアルミ合金を円盤状に形成した部品である。蓋部42の直径は、カバー本体41の小さい方の内径とほぼ同じであり、縁部の4か所に蓋部42をネジ43でカバー本体41に取り付けるための孔が設けられている。
【0048】
防水カバー40では、カバー本体41の一方の底部を上にして縁部内側のOロング溝にOリングを取り付けた状態で蓋部42を挿入して、4か所の孔にネジ43を通して締め付けることによって、カバー本体41に蓋部42を取り付け、カバー本体41と蓋部42とを一体化している。また、カバー本体41の他方の底部に基部20を接着剤で固定する。
【0049】
(振動検出装置2の使用態様)
次に、
図4に基づき、振動検出装置2の使用態様について説明する。
図4は、振動検出装置2の使用態様を説明するための図である。なお、
図4においては、振動検出装置2の外観を簡略化して示している。
【0050】
図4(A)に示すように、振動検出装置2を使用する場合、3本の突起部31を地表面7側にして、防水カバー40を上から押さえ、3本の突起部31が地中6へ埋没するようにする。
【0051】
このとき、設置部30の外側底面が地表面7と接触するまで3本の突起部31を地中6に埋め込む。このように3本の突起部31を地中6に埋め込むことで、振動検出装置2が地表面7に安定して設置されるため、地中6を伝搬してくる振動をより正確に検出することができる。
【0052】
また、
図4(B)に示すように、振動検出装置2の設置場所が、地中6が比較的柔らかい層6aと、その直下に岩盤など硬い層6bとで構成されている場合には、突起部31の先端が硬い層6bに当たるまで突起部31を軟らかい層6aに差し込むようにしてもよい。
【0053】
このようにしても、地中6(柔らかい層6a,硬い層6b)を伝搬してくる振動が突起部31に伝達され、設置部30及び基部20を介して振動センサ10に伝達されるため、振動を検出することができる。
【0054】
(振動検出装置2の特徴)
以上に説明した振動検出装置2は、速度検出型の振動センサ10を用いているため、加速度検出型の振動センサを用いる場合に比べ、振動検出装置1を設置した領域に対する侵入者などによって発生する振動を検出する際、ノイズの影響を受けにくく、より正確に振動を検出することができる。
【0055】
また、振動センサ10を取り付ける設置部30に、地中6に埋没する3本の突起部31を設けてあるため、地表面7近傍を伝搬する振動が突起部31により、設置部30及び基部20を介して振動センサ10に効率よく伝達されるため、感度のよい振動検出装置2とすることができる。
【0056】
さらに、振動検出装置2を設置する地表面7が柔軟であったり、湿気があったりした場合でも3本の突起部31が地中6に埋没しているため、振動を振動センサ10に伝達することが可能となる。したがって、振動を検出することができる。
【0057】
また、突起部31の先端を尖らせてあるため、振動検出装置2を設置する際に地面に穴を穿つことなく、配置した後に軽く地面側に押さえることにより簡単に埋設することができ、しかも感度よく振動を検出することができる。
【0058】
さらに、防水カバー40を備えているため、振動検出装置2を野外に配置する場合であって、雨や砂埃などに晒される環境下であっても長期間に亘って安定した作動が可能となる。
【0059】
[第3実施形態]
次に、
図5に基づき、第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態における振動検出装置3の概略の構成を示す図である。第3実施形態における振動検出装置3は、第2実施形態における振動検出装置2と類似の構成をしているため、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。また、
図45においては、振動検出装置3の外観を簡略化して示してある。
【0060】
図5に示すように、第3実施形態における振動検出装置3は、1本の突起部31を備えている。突起部31は、設置部30の底面の外側面において略中心位置に配置され、固定されている。
【0061】
第3実施形態における振動検出装置3では、円形に形成された設置部30の外径は、円筒系に形成された防水カバー40のカバー本体41の底部の外径よりも大きくなっている。このようにすることで、地表面7に設置した際に、設置部30の設置面積が大きくなるため、よりよい安定性を得ることができるようになっている。
【0062】
また、振動検出装置3では、突起部31を1本にすることにより、地表面7に差し込む際の抵抗が低くなり、地表面7が硬い状態であっても、
図5(A)に示すように、振動検出装置3を設置することが可能となるとともに、突起部31からの振動が設置部30及び基部20を介して振動センサ10に伝達されるため、振動を感度よく検出することができる。
【0063】
また、地中層6bが非常に硬い場合には、突起部31を地中層6aまで埋設させることにより、突起部31からの振動が設置部30及び基部20を介して振動センサ10に伝達されるため、振動を検出することができる。
【0064】
[その他の実施形態]
(1)上記第2実施形態では、設置部30の外径は、円筒形の防水カバー40の底部の外径と同じとなっているが、設置部30の外径を防水カバー40の底部の外径よりも大きくしてもよい、つまりフランジを形成してもよい。これにより、3本の突起部31と併せて、フランジ部分を接地させることができるため、より安定して設置することが可能となる。
【0065】
(2)上記実施形態では、基部20、設置部30や防水カバー40をA5056やA6063などのアルミ合金製としていたが、ABSなどの耐熱性、耐久性のある樹脂製としてもよい。このようにすることで、振動検出装置1,2,3の軽量化や量産性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0066】
1,2…振動検出装置 5…設置面 6…地中 ,6a,6b…地中の層 7…地表面 10…振動センサ 11…検出コイル 20…基部 30…設置部 31…突起部 32…取付孔 40…防水カバー 41…カバー本体 42…蓋部 43…ネジ 50…制御部 51…入力部 52…処理部 53…フィルタ・アンプ 54…A/D変換器 60…送信機 61…アンテナ 70…バッテリ 71…電源スイッチ。