(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】シート加工用カッター及びシートの加工方法
(51)【国際特許分類】
B26B 3/08 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
B26B3/08
(21)【出願番号】P 2020083295
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】316012876
【氏名又は名称】桜田 昌弘
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】桜 田 昌 弘
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-093179(JP,A)
【文献】実開昭59-162879(JP,U)
【文献】実開昭56-017059(JP,U)
【文献】実開昭58-106070(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下のシートの上に位置する上シートの端部の耳を切断するシート加工用カッターであって、
前記上のシートの下面に当接する底面部を有した本体と、
この本体に回動自在に支持された回動部と、
この回動部に接続された把手と、
前記底面部に接続され、前記底面部より下方に垂下し、前記下のシートの端部に当接する当接部と、
正面視、前記回動部の一側面に沿って取り付けられ
、刃先Bを有し、刃先Bの一方に刃部AB、刃先Bの他方に刃部BCの両刃の第1の刃と、
この第1の刃を前記回動部に固定する第1の固定手段とを備え、
前記第1の刃の
刃部BCは、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の先端部より突出し、
前記把手を把持した作業者から見て前記第1の刃の刃部の先端のなす∠ABCは、鋭角に形成され、
前記回動部を回動させて、前記第1の刃の
刃先Bを前記一側面の下方より突出させ、前記第1の刃の
刃部ABで、
前記第1の刃の
刃部ABに対向する前記上シートに向かって移動させて、前記第1の刃の
刃部ABに対向する前記上シートの部位を切断し、
前記回動部を回動させて、前記第1の刃の
刃部BCに対向する前記上シートに向かって移動させ
ると共に、刃部BCの移動前方にある壁に向かって移動させて、
前記第1の刃の
刃部BCに対向する前記上シートの部位を切断する
ことを特徴とするシートの加工方法。
【請求項2】
正面視、第1の刃が取り付けられた一側面の部位から遠い側の前記一側面の端部の先端部より突出して取り付けられ、刃先B’の一方に刃部A’B’、刃先B’の他方に刃部B’C’の両刃の第2の刃と、
前記第2の刃の刃部は、A’B’、B’C’であり、
把手を把持した作業者から見て前記第2の刃の刃部の先端のなす∠A’B’C’は、鋭角に形成され、
この第2の刃の刃部B’C’は、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の端部の先端部より突出し、
回動部を回動させて、前記第2の刃の刃部B’C’で、前記第2の刃の刃部B’C’に対向する前記上シートに向かって移動させると共に、刃部B’C’の移動前方にある壁に向かって移動させて、
前記第2の刃の刃部B’C’に対向する前記上シートの部位を切断する
ことを特徴とする請求項1記載のシート
の加工方法。
【請求項3】
下のシートの上に位置する上シートの端部の耳を切断するシート加工用カッターであって、
前記上のシートの下面に当接する底面部を有した本体と、
この本体に回動自在に支持された回動部と、
この回動部に接続された把手と、
前記底面部に接続され、前記底面部より下方に垂下し、前記下のシートの端部に当接する当接部と、
正面視、前記回動部の一側面に沿って取り付けられ
、刃先Bを有し、刃先Bの一方に刃部AB、刃先Bの他方に刃部BCの両刃の第1の刃と、
この第1の刃を前記回動部に固定する第1の固定手段とを備え、
前記第1の刃の
刃部BCは、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の先端部より突出し、
前記把手を把持した作業者から見て前記第1の刃の刃部の先端のなす∠ABCは、鋭角に形成され、
前記回動部を回動させて、前記第1の刃の
刃先Bを前記一側面の下方より突出させ、前記第1の刃の
刃部ABで、
前記第1の刃の
刃部ABに対向する前記上シートに向かって移動させて、前記第1の刃の
刃部ABに対向する前記上シートの部位を切断し、
前記回動部を回動させて、前記第1の刃の
刃部BCに対向する前記上シートに向かって移動させ
ると共に、刃部BCの移動前方にある壁に向かって移動させて、
前記第1の刃の
刃部BCに対向する前記上シートの部位を切断する
ことを特徴とするシート加工用カッター。
【請求項4】
正面視、第1の刃が取り付けられた一側面の部位から遠い側の前記一側面の端部
の先端部より突出して取り付けられ、刃先B’の一方に刃部A’B’、刃先B’の他方に刃部B’C’の両刃の第2の刃と、
前記第2の刃の刃
部は、A’B’、B’C’であり、
把手を把持した作業者から見て前記第2の刃の刃部の先端のなす∠A’B’C’は、鋭角に形成され、
この第2の刃の
刃部B’C’は、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の端部の先端部より突出し、
回動部を回動させて、前記第2の刃の
刃部B’C’で、前記第2の刃の
刃部B’C’に対向する前記上シートに向かって移動させ
ると共に、刃部B’C’の移動前方にある壁に向かって移動させて、
前記第2の刃の
刃部B’C’に対向する前記上シートの部位を切断する
ことを特徴とする請求項3記載のシート加工用カッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート加工用カッター及びシートの加工方法に係り、特に、使用勝手を向上させたシート加工用カッター及びシートの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本件発明者は、先に、シート加工用カッターを開示した(特許文献1 )。
このシート加工用カッターは、本体と、この本体に設けられ、壁又は巾木に当接する当接部材と、前記本体の第1の側面に取り付けられた第1の刃と、前記本体の前記第1の側と反対側の第3の側面に取り付けられた第2の刃とを備え、前記本体の側面は、平面視、時計回りに、前記第1の側面、第2の側面、前記第3の側面、第4の側面であり、前記当接部材は、前記第2の側面に設けられ、平面視、前記第1の刃先と前記第2の刃先を結ぶラインと前記当接部材の外側のラインとが一致し、前記第1の刃は、平面視、前記第1の側面に沿うと共に、前記第1の刃の先端は、前記第1の側面と前記第2の側面のコーナーより突出し、前記第2の刃は、平面視、前記第3の側面に沿うと共に、前記第2の刃の先端は、前記第3の側面と前記第2の側面のコーナーより突出しているものである。従来、床材に貼着されるシートは、巻き尺状に形成されると共に、巻き尺状の一端を立設した状態で保管される。
そのため、巻き尺状の下端は、シートの重量により変形を受けることとなり、シートを床材に貼着される際、変形を受けたシートを切断する必要がある。
そして、シートの耳を切断するシートの耳の長さ、厚みが一定でないため、シートの耳の長さ、厚みに余裕をもたせて切断することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のシート加工用カッターにあっては、第1の刃及び第2の刃の刃部は、それぞれ、一面であるため、刃部の使用により、摩耗が早く、その分、取り外し、取り付けしなければならず、使用勝手が良好でないという問題点をあった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたもので、刃の刃部を二面設けて、上記問題点の改善を図ったシート加工用カッター及びシートの加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のシートの加工方法は、下のシートの上に位置する上シートの端部の耳を切断するシート加工用カッターであって、前記上のシートの下面に当接する底面部を有した本体と、この本体に回動自在に支持された回動部と、この回動部に接続された把手と、前記底面部に接続され、前記底面部より下方に垂下し、前記下のシートの端部に当接する当接部と、正面視、前記回動部の一側面に沿って取り付けられ、刃先Bを有し、刃先Bの一方に刃部AB、刃先Bの他方に刃部BCの両刃の第1の刃と、この第1の刃を前記回動部に固定する第1の固定手段とを備え、前記第1の刃の刃部BCは、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の先端部より突出し、前記把手を把持した作業者から見て前記第1の刃の刃部の先端のなす∠ABCは、鋭角に形成され、前記回動部を回動させて、前記第1の刃の刃先Bを前記一側面の下方より突出させ、前記第1の刃の刃部ABで、前記第1の刃の刃部ABに対向する前記上シートに向かって移動させて、前記第1の刃の刃部ABに対向する前記上シートの部位を切断し、前記回動部を回動させて、前記第1の刃の刃部BCに対向する前記上シートに向かって移動させると共に、刃部BCの移動前方にある壁に向かって移動させて、前記第1の刃の刃部BCに対向する前記上シートの部位を切断するものである。
【0007】
また、請求項2記載のシートの加工方法は、請求項1記載のシートの加工方法において、正面視、第1の刃が取り付けられた一側面の部位から遠い側の前記一側面の端部の先端部より突出して取り付けられ、刃先B’の一方に刃部A’B’、刃先B’の他方に刃部B’C’の両刃の第2の刃と、前記第2の刃の刃部は、A’B’、B’C’であり、把手を把持した作業者から見て前記第2の刃の刃部の先端のなす∠A’B’C’は、鋭角に形成され、この第2の刃の刃部B’C’は、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の端部の先端部より突出し、回動部を回動させて、前記第2の刃の刃部B’C’で、前記第2の刃の刃部B’C’に対向する前記上シートに向かって移動させると共に、刃部B’C’の移動前方にある壁に向かって移動させて、前記第2の刃の刃部B’C’に対向する前記上シートの部位を切断するものである。
【0008】
また、請求項3記載のシート加工用カッターは、下のシートの上に位置する上シートの端部の耳を切断するシート加工用カッターであって、前記上のシートの下面に当接する底面部を有した本体と、この本体に回動自在に支持された回動部と、
この回動部に接続された把手と、前記底面部に接続され、前記底面部より下方に垂下し、前記下のシートの端部に当接する当接部と、正面視、前記回動部の一側面に沿って取り付けられ、刃先Bを有し、刃先Bの一方に刃部AB、刃先Bの他方に刃部BCの両刃の第1の刃と、この第1の刃を前記回動部に固定する第1の固定手段とを備え、前記第1の刃の刃部BCは、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の先端部より突出し、前記把手を把持した作業者から見て前記第1の刃の刃部の先端のなす∠ABCは、鋭角に形成され、前記回動部を回動させて、前記第1の刃の刃先Bを前記一側面の下方より突出させ、前記第1の刃の刃部ABで、前記第1の刃の刃部ABに対向する前記上シートに向かって移動させて、前記第1の刃の刃部ABに対向する前記上シートの部位を切断し、前記回動部を回動させて、前記第1の刃の刃部BCに対向する前記上シートに向かって移動させると共に、刃部BCの移動前方にある壁に向かって移動させて、前記第1の刃の刃部BCに対向する前記上シートの部位を切断するものである。
【0009】
また、請求項4記載のシート加工用カッターは、請求項3記載のシート加工用カッターにおいて、正面視、第1の刃が取り付けられた一側面の部位から遠い側の前記一側面の端部の先端部より突出して取り付けられ、刃先B’の一方に刃部A’B’、刃先B’の他方に刃部B’C’の両刃の第2の刃と、前記第2の刃の刃部は、A’B’、B’C’であり、把手を把持した作業者から見て前記第2の刃の刃部の先端のなす∠A’B’C’は、鋭角に形成され、この第2の刃の刃部B’C’は、前記把手を把持した作業者から見て、前記一側面の端部の先端部より突出し、回動部を回動させて、前記第2の刃の刃部B’C’で、前記第2の刃の刃部B’C’に対向する前記上シートに向かって移動させると共に、刃部B’C’の移動前方にある壁に向かって移動させて、前記第2の刃の刃部B’C’に対向する前記上シートの部位を切断するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例のシート加工用カッターの使用状態を示す概略的正面図である。
【
図4】
図4は、
図1のシート加工用カッターの第1、第2の刃の取り付け状態を示す概略的斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1のシート加工用カッターの使用形態を示す概略的斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1のシート加工用カッターの使用形態を示す概略的斜視図である。
【
図7】
図7は、
図1のシート加工用カッターの使用形態を示す概略的斜視図である。
【
図8】
図8は、
図1のシート加工用カッターの実施品を第1、第2の刃が取り付けられた一側面部と反対側の面の斜め上方から撮影した写真である。
【
図9】
図9は、
図1のシート加工用カッターの実施品を第1、第2の刃が取り付けられた一側面部と反対側の面から撮影した写真である。
【
図10】
図10は、
図1のシート加工用カッターの実施品を第1、第2の刃が取り付けられた一側面部と反対側の面から撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施例のシート加工用カッター及びシートの加工方法を図面(
図1乃至
図10)を参照して説明する。
【0016】
図1に示す100は、下のシート1の上に位置する上シート2の端部の耳を切断するシート加工用カッターでで、シート加工用カッター100は、上のシート2の下面に当接する底面部3を有した本体4と、この本体4に回動自在に支持された回動部5と、この回動部5に接続された把手6と、底面部3に接続され、底面部3より下方に垂下し、下のシート1の端部に当接する当接部31とを有する。
【0017】
また、7は、回動部5の一側面51に沿って取り付けられた第1の刃で、8は、第1の刃7が取り付けられた一側面51の部位から遠い側の一側面51の端部に取り付けられた第2の刃である。
9は、第1の刃7を回動部5に固定する第1の固定手段で、11は、第2の刃8を回動部5に固定する第2の固定手段である。
【0018】
第1の刃7の先端BCは、把手6を把持した作業者から見て、一側面51の先端部より突出し、把手6を把持した作業者から見て第1の刃7の刃部の先端のなす∠ABCは、鋭角に形成されている。第1の刃の刃部の先端は、AB、BCである。
そして、回動部5を回動(
図1で言えば、X方向に回動)させて、第1の刃7の先端ABで、第1の刃7の先端ABを一側面51の下方より突出させ、第1の刃7の先端ABに対向する上シート2に向かって移動(移動方向は、
図5に示す2Aから2Bに至る方向)させて、第1の刃7の先端ABに対向する上シート2の部位を切断(切断部位は、
図5に示す2Aから2Bに至る部位)する。
また、回動部5を回動(
図1で言えば、X方向に回動)させて、第1の刃7の先端BCで、第1の刃7の先端BCに対向する上シート2に向かって移動(移動方向は、
図6に示す2Aから2Cに至る方向)させて、第1の刃7の先端BCに対向する上シート2の部位を切断する(切断部位は、
図5に示す2Aから壁W1に至る上シート2の末端2Cに至る部位)。
【0019】
従って、上述したシート加工用カッター100(シートの加工方法)によれば、第1の刃7の先端ABのみならず、第1の刃7の先端BCをも用いることができ、しかも、第1の刃7の先端ABで、第1の刃7の先端ABに対向する上シート2に向かって移動させて、第1の刃7の先端ABに対向する上シート2の部位を切断(切断部位は、
図5に示す2Aから2Bに至る部位)し、第1の刃7の先端BCで、第1の刃7の先端BCに対向する上シート2に向かって移動させて、第1の刃7の先端BCに対向する上シート2の部位の端部まで切断(切断部位は、
図5に示す2Aから2Cに至る部位)することができる。
【0020】
また、
図1に示す8は、第1の刃7が取り付けられた一側面51の部位から遠い一側面51の端部に取り付けられた第2の刃である。
把手6を把持した作業者から見て第2の刃8の刃部の先端のなす∠A’B’C’は、鋭角に形成され、第2の刃8の刃部の先端は、A’B’、B’C’である。
この第2の刃8の先端B’C’は、把手6を把持した作業者から見て、一側面51の端部の先端部より突出している。
回動部5を回動(
図1で言えば、Y方向に回動)させて、第2の刃8の先端B’C’で、第2の刃8の先端B’C’に対向する上シート2に向かって移動させて、第2の刃8の先端B’C’に対向する上シート2の部位を切断(切断部位は、
図7に示す2Bから壁W2に至る上シート2の末端2Dに至る部位)する
【0021】
従って、上述したシート加工用カッター100(シートの加工方法)によれば、第2の刃8の先端B’C’で、第2の刃8の先端B’C’に対向する上シート2に向かって移動させて、第2の刃8の先端B’C’に対向する上シート2の部位の端部まで切断(切断部位は、
図7に示す2Bから壁W2に至る上シート2の末端2Dに至る部位)することができる。
なお、第2の刃8の先端B’C’に対向する上シート2の部位の端部2Dは、上シート2の一方の端部であり、第1の刃7の先端BCに対向する上シート2の部位の端部2Cは、上シート2の他方の端部である。
【0022】
なお、第1の刃7の先端ABで切断(切断部位は、
図5に示す2Aから2Bに至る部位)したが、逆に、第1の刃7の先端BCで切断(切断部位は、
図6に示す2Bから2Cに至る部位)するようにしても良い。
また、第2の刃8の先端B’C’で切断(切断部位は、
図7に示す2Bから2Dに至る部位)したが、逆に、第2の刃8の先端A’B’で切断(切断部位は、
図7に示す2Dと2Bの中途から
図7に示す2Bに至る部位)するようにしても良い。
【0023】
また、
図8~
図10に示す50、60は、第1の刃7、第2の刃8が、下のシート1の下方にある施工面(例えば、床)に当たるのを防ぐために、回動部5の動きを規制する規制部材(例えば、座金)であり、101は、回動部5の回動を支える軸である。
【符号の説明】
【0024】
100 シート加工用カッター
10 本体
1 下のシート
2 上のシート
7 第1の刃
8 第2の刃