(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】アクセス者色覚認証システム、アクセス者色覚認証システムの色覚認証方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/36 20130101AFI20240104BHJP
【FI】
G06F21/36
(21)【出願番号】P 2020195517
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520463444
【氏名又は名称】市島 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】市島 慎吾
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-250911(JP,A)
【文献】特表2020-502639(JP,A)
【文献】特開2020-046998(JP,A)
【文献】特開2009-169476(JP,A)
【文献】特開平09-212459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して、アクセス者のアクセス端末と、コンテンツのサービスサイトサーバと、色覚認証サービスを行う色覚認証サイトサーバとが通信するアクセス者色覚認証システムであって、
前記サービスサイトサーバは、
前記アクセス端末からのログイン認証のための色を含む色覚情報を
前記色覚認証サイトサーバに登録する色覚登録
手段と、
前記色覚認証サイトサーバからの問い合わせに応じて、前記アクセス者に質問し、
前記色覚認証サイトサーバに登録された色覚情報を含む複数の色から特定の色を選択可能に
前記アクセス端末に提供する色覚提供
手段と、
前記アクセス端末により選択された色
を前記色覚認証サイトサーバに通知して、前記アクセス者が選択する可能性が高い色であるか
について色覚認識モデル
を用いた解析
を前記色覚認証サイトサーバに対して指示する解析
指示手段と、
前記色覚認証サイトサーバより前記アクセス者が選択する可能性が高い色との解析結果を受けて、前記アクセス端末に対して色許可として、アクセスを受け付ける色許可
手段を備え、
前記色覚認証サイトサーバは、
前記アクセス端末からの写真画像、この写真画像に関連する好みの色と、地域と、年齢と、性別と、撮影日とを含むアクセス者色覚登録情報をメモリに登録して構築された前記色覚認識モデルを備えることを特徴とする
アクセス者色覚認証
システム。
【請求項2】
前記サービスサイトサーバは、
前記アクセス端末からのアクセスに伴って、色アイコン群を含むログイン画面を前記アクセス端末に
ログイン画面を提供する画面提供手段と、
前記アクセス端末により選択された色アイコンが前記色許可されて前記アクセスを受け付けた場合は、
前記アクセス端末から要求されたコンテンツを提供する
コンテンツ提供手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の
アクセス者色覚認証
システム。
【請求項3】
前記サービスサイトサーバは、
前記ログイン画面には、更にIDコード入力欄とパスワード入力欄とを有することを特徴とする請求項2記載の
アクセス者色覚認証
システム。
【請求項4】
前記色覚認証サイトサーバは、
前記色覚認識モデルは、好みの色の特徴量であることを特徴とする請求項1~
3に記載の
アクセス者色覚認証
システム。
【請求項5】
通信ネットワークを介して、アクセス者のアクセス端末と、コンテンツのサービスサイトサーバと、色覚認証サービスを行う色覚認証サイトサーバとが通信するアクセス者色覚認証システムの色覚認証方法であって、
前記サービスサイトサーバは、
前記アクセス端末からのログイン認証のための色を含む色覚情報を前記色覚認証サイトサーバに登録する色覚登録ステップと、
前記色覚認証サイトサーバからの問い合わせに応じて、前記アクセス者に質問し、前記色覚認証サイトサーバに登録された色覚情報を含む複数の色から特定の色を選択可能に前記アクセス端末に提供する色覚提供ステップと、
前記アクセス端末により選択された色を前記色覚認証サイトサーバに通知して、前記アクセス者が選択する可能性が高い色であるかについて色覚認識モデルを用いた解析を前記色覚認証サイトサーバに対して指示する解析指示ステップと、
前記色覚認証サイトサーバにより前記アクセス者が選択する可能性が高い色との解析結果を受けて、前記アクセス端末に対して色許可として、アクセスを受け付ける受付ステップと、を備え、
前記色覚認証サイトサーバは、
前記アクセス端末からの写真画像、この写真画像に関連する好みの色と、地域と、年齢と、性別と、撮影日とを含むアクセス者色覚登録情報をメモリに登録して構築された前記色覚認識モデルを備えることを特徴とするアクセス者色覚認証システムの色覚認証方法。
【請求項6】
請求項5記載のアクセス者色覚認証システムの色覚認証方法を前記サービスサイトサーバにより実行させるためのプログラム。
【請求項7】
請求項5記載のアクセス者色覚認証システムの色覚認証方法を前記色覚認証サイトサーバにより実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色覚認証方法、色覚認証システム及び色覚認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
web(World Wide Web)サイトから様々なサービスの提供を受けるには、登録したアカウント(ID、パスワード)でログインする必要がある。
【0003】
しかし、ID、パスワードは、盗まれたり、忘れたりするため、ID、パスワードを用いなくてもログインできるようにしたものが特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1の認証処理システムは、端末からウェブサーバへのアクセスに伴って、ウェブサーバがこの端末のログイン画面に、認証キーと、メッセージアプリの起動ボタンと表示させる。
【0005】
そして、起動ボタンの操作に伴って、メッセージアプリが起動し、このメッセージアプリがそのメッセージ本文入力画面を表示する。
【0006】
この画面に認証キーを入力して、メッセージを認証補助サーバ宛に送信し、この認証補助サーバがそのメッセージに含まれるアプリIDと認証キーとを、ウェブサーバへ送り、ウェブサーバが、そのアプリIDが登録ユーザのものであると認証した場合に、この認証キーに基づいて端末を特定して、ログインを許可するものである。
【0007】
また、他の認証方法としては、特許文献2の画像を用いた認証方法が挙げられる。この特許文献2の認証方法では、利用者の知らない画像をランダムに提示して選択認証すると、ユーザにとって見たくない、あるいは判別することができない画像が提供されてしまうという問題点を解決したものである。すなわち、宗教的背景や身体的障害などユーザの特性が十分に考慮されない画像や、利用者の年齢によって描かれている人物やものを判別することができない画像が認証に用いられることを避けるため、画像認証において、利用者が見たくない、あるいは判別することができない画像を排除し、利用者に適した画像認証を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第6080282号公報
【文献】特開2014-115910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ID、パスワードでWebサイトにログインする方式は、現在の主要方式であり、今後も当分この方式は変わらない。ID、パスワードによる方式は、他人に盗まれる可能性があり、セキュリティの観点で問題がある。
【0010】
入力パスワードの桁数を増やしたり、入力パスワードに半角英数字以外に記号なども含めてセキュリティレベルを改善したものもあるが、パスワードを複雑化すると、認証に手間取るという問題もある。
【0011】
また、認証のセキュリティレベルを向上させた生体認証方法として、認証元に登録された本人の身体的特徴に固有のパターンにより本人確認する認証方法や、指紋認証、静脈認証、虹彩認証、声紋認証、顔認証などの認証方式があるが、他人に盗まれる可能性がある。例えば、指紋認証であれば、不正な手段(例えば、睡眠薬で眠らせる等)で本人(例えば、アクセス者等、以下同じ)の指の指紋が写し取られ、シリコン指紋を作製されて認証が突破される可能性がある。静脈認証であれば、本人の手のひら静脈画像が近赤外カメラで撮影され、人工静脈が作成された義手により突破される可能性がある。虹彩認証であれば、虹彩カメラで本人の虹彩が撮影され、精巧な人工義眼により突破される可能性がある。声紋認証であれば、本人の声紋(声)が録音され、デジタル合成処理により本人の声をまねて発音し電話応答して認証を突破されたりする可能性がある。顔認証であれば、本人の特殊メイクによって模倣突破可能である。
【0012】
これに対して、色の見え方(色覚)というのは、年齢の経過と共に脳に強く残るものであるので、基本的に大きく変わらない。
【0013】
本発明は、以上の課題を鑑みてなされたものであり、サービスサイトのログインを色覚を用いることで認証して、セキュリティを向上させることができるアクセス者色覚認証システム、アクセス者色覚認証システムの色覚認証方法およびプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る第1の発明は、通信ネットワークを介して、アクセス者のアクセス端末と、コンテンツのサービスサイトサーバと、色覚認証サービスを行う色覚認証サイトサーバとが通信するアクセス者色覚認証システムであって、前記サービスサイトサーバは、前記アクセス端末からのログイン認証のための色を含む色覚情報を前記色覚認証サイトサーバに登録する色覚登録手段と、前記色覚認証サイトサーバからの問い合わせに応じて、前記アクセス者に質問し、前記色覚認証サイトサーバに登録された色覚情報を含む複数の色から特定の色を選択可能に前記アクセス端末に提供する色覚提供手段と、前記アクセス端末により選択された色を前記色覚認証サイトサーバに通知して、前記アクセス者が選択する可能性が高い色であるかについて色覚認識モデルを用いた解析を前記色覚認証サイトサーバに対して指示する解析指示手段と、前記色覚認証サイトサーバより前記アクセス者が選択する可能性が高い色との解析結果を受けて、前記アクセス端末に対して色許可として、アクセスを受け付ける色許可手段を備え、前記色覚認証サイトサーバは、前記アクセス端末からの写真画像、この写真画像に関連する好みの色と、地域と、年齢と、性別と、撮影日とを含むアクセス者色覚登録情報をメモリに登録して構築された前記色覚認識モデルを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る第2の発明は、前記サービスサイトサーバは、前記アクセス端末からのアクセスに伴って、色アイコン群を含むログイン画面を前記アクセス端末にログイン画面を提供する画面提供手段と、前記アクセス端末により選択された色アイコンが前記色許可されて前記アクセスを受け付けた場合は、前記アクセス端末から要求されたコンテンツを提供するコンテンツ提供手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る第3の発明は、前記サービスサイトサーバは、前記ログイン画面には、更にIDコード入力欄とパスワード入力欄とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第4の発明は、前記色覚認証サイトサーバは、前記色覚認識モデルは、好みの色の特徴量であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る第5の発明は、通信ネットワークを介して、アクセス者のアクセス端末と、コンテンツのサービスサイトサーバと、色覚認証サービスを行う色覚認証サイトサーバとが通信するアクセス者色覚認証システムの色覚認証方法であって、前記サービスサイトサーバは、前記アクセス端末からのログイン認証のための色を含む色覚情報を前記色覚認証サイトサーバに登録する色覚登録ステップと、前記色覚認証サイトサーバからの問い合わせに応じて、前記アクセス者に質問し、前記色覚認証サイトサーバに登録された色覚情報を含む複数の色から特定の色を選択可能に前記アクセス端末に提供する色覚提供ステップと、前記アクセス端末により選択された色を前記色覚認証サイトサーバに通知して、前記アクセス者が選択する可能性が高い色であるかについて色覚認識モデルを用いた解析を前記色覚認証サイトサーバに対して指示する解析指示ステップと、前記色覚認証サイトサーバにより前記アクセス者が選択する可能性が高い色との解析結果を受けて、前記アクセス端末に対して色許可として、アクセスを受け付ける受付ステップと、を備え、前記色覚認証サイトサーバは、前記アクセス端末からの写真画像、この写真画像に関連する好みの色と、地域と、年齢と、性別と、撮影日とを含むアクセス者色覚登録情報をメモリに登録して構築された前記色覚認識モデルを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る第6の発明は、アクセス者色覚認証システムの色覚認証方法を前記サービスサイトサーバにより実行させるプログラムを特徴とする。
【0020】
本発明に係る第7の発明は、アクセス者色覚認証システムの色覚認証方法を前記色覚認証サイトサーバにより実行させるためプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、サービスサイトやハードウェアのログインを色覚を用いることで認証して、従来の認証システムに比べて、セキュリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】アクセス者色覚認証システムの概略構成図である。
【
図3】アクセス者色覚認証システムのシーケンス図(登録時)である。
【
図7】集計した色のRGBのヒストグラムの説明図である。
【
図8】アクセス者色覚認証システムのシーケンス図(利用時)である。
【
図9】(a)及び(b)は、色選択の説明図(利用時)である。
【
図10】本実施形態の色覚認証方法の処理フローチャートである。
【
図11】本実施形態の他の例を示す色覚認証方法の処理フローチャートである。
【
図12】本実施形態の他の例を示す色覚認証方法の処理フローチャートである。
【
図13】本実施形態の他の例を示す色覚認証システムのハードウェア構成例を示す図である。
【
図14】携帯端末のハードウェア構成例を示す図である。
【
図15】サービスサイトサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0024】
<本発明の原理的な説明>
本発明は、アクセス者のアクセス端末からのサービスサイトなどへのログイン認証のために、色覚情報(個人が好む色など)を用いて認証を行うものである。色覚には、色の弁別と色の見え方という大きく分けて2つの側面が存在すると言われている。一般に、色とは、主として、光のスペクトルの違いによって生じる視覚的感覚を指すが、視覚は、個人の脳内における主観であり、その感覚/視覚的体験自体を他者と共有することが難しい。すなわち、ログイン情報(アカウント情報)が他人に盗まれる可能性が低いと考えられる。色に関する情報を他者と交換する際には、色名(赤、青等)が用いられる。
ここでいうログイン認証には、サービスサイトなどへのWEBログイン認証やアクセス端末へのハードウェア認証なども含まれるが、以下では主にサービスサイトなどへのWEBログイン認証について説明する。
【0025】
このような色の見え、すなわち色に関する主観的体験である知覚が担っている色覚(色覚情報)をアクセス者のWEBログイン認証に用いることにより、ログイン情報(アカウント情報)が他人に盗まれる可能性を低減し、セキュリティを向上させるものである。
【0026】
アカウント登録時にいくつか色の見え方を判断するための質問をする。たとえば、後述する
図4に示すように、複数の色合いの色(たとえば青系)のうち、「あなたにとって「鮮やかな青」といえば?」と聞く。また、例えば過去の旅行の景色の画像データをアップロードさせる。
図4の例では、画像が5個白黒で表示されているが、実際は左端から、「濃い紫色」、「少し薄い紫色」、「濃い少し小さい紫色」、「濃い青」、「少し薄い青」などの色を表している。
【0027】
そして、これらの画像の内で選択された画像の色素を解析し、ユーザ(アクセス者)に画像データを色と場所とで認識させることにする。例えば、「あなたがアップロードした沖縄の風景画像と最も近い印象の色を以下から選んでください」。これを、蓄積されたデータをAI(人工知能)画像解析により解析(分析)することで、色の見え方の違いを定量的に表現し、認証に用いる。そして、登録時の質問と蓄積されたデータを比較することで、ユーザ(アクセス者)ごとの色の見え方を特徴量として抽出する。
【0028】
認証時には複数の質問を用意する。解析したデータから、その人を一意に特定するための質問を用意する。後述する
図5の色のうち、「あなたのイメージに最も近い「鮮やかな青」を選択してください。」と聞く。
図5の例では、画像が3個白黒で表示されているが、実際は左端から、「少し薄い青色」、「濃い紫色」、「濃い青」などの色を表している。
【0029】
また、例えば、「あなたが沖縄の景色と言われて最もイメージする色を以下から選択してください」と聞く。基本的に、色の見え方と過去の経験/記憶で認証を行うものである。必要なのは世間一般的な色の見え方データである。世間一般の「鮮やかな青」と特定の個人の「鮮やかな青」の差異を取得する必要があるため、ユーザから入力されたデータはクラウド型データウェアハウス(DWH)に蓄積する。データウェアハウスとは、データ分析用の時系列に整理された大量の統合データ(保管庫)を指す。クラウド型データウェアハウスの具体例としては、例えば、Google Big Query(BQ)、Enterprise data warehouses(WDWs)、Amazon Redshiftデータウェアハウスなどを利用することができる。例えば、データ分析用のグーグルデータウェアハウスBQに蓄積されたデータをGoogle AI Platformの推論用AIで処理し、ユーザごとの色の見え方を特徴量(度合い)として定量的に評価する。
【0030】
認証時には、ユーザの「色の見え方」と世間一般の「色の見え方」が乖離している色を質問として用意し、想定している色が適切に選択されるかで認証の可否を返す手段を設けるのが好ましい。具体的には(ア)色はRGB表示系(16×16×16=4096色、または256×256×256=1680万色)で定量的に表すことができる。俗に言うカラーコード(256の3乗の1680万色)で示した方がより細かく表現できるが、人間の目では判別がつかない。
【0031】
このため、データ収集時は色を提示し、後述する
図6のようなフォームで選択してもらうのが好ましい。集計すると「鮮やかな赤」に対するヒストグラムが出来上がる頻度RGB手段で行うのが好ましい。(イ)ヒストグラムには山が複数個でき、複数個の山から代表値(中央値、偏差値など)を求めることができる。
【0032】
その代表値が「鮮やかな赤」の世間一般的な色の見え方を定量的に表した値となる。例えば「鮮やかな赤」なら(R240,G48,B0)である。一方、ユーザは登録時に色に関する質問をいくつか答えることになる((ア)を参照)。上記では、ヒストグラムの複数個の山から代表値を求めたが、収集したデータから「鮮やかな色」という言葉を入力し、RGB値とした深層学習モデルに回答させても良い。
【0033】
すなわち、ユーザの色の見え方をここで定量的に把握し、他ユーザのデータも含めてクラスタリング(グルーピング)を行う。クラスターの傾向から、ユーザが「くすんだ青」を考えたときに選びそうな色を推定する。また、ユーザ認証の際に、推定した色から外れていないかを検証の材料にする。従って、ユーザのデータが増えれば増えるほど、よりパーソナライズされた、より高精度な推定ができるようになる。このパーソナライズされた推定は、例えば動画配信サービスのNetflix社が提供するレコメンデーション機能やアマゾン社が提供するリアルタイムのパーソナライズレコメンデーションサービス(Amazon Personalize)のようなものである。
【0034】
より具体的には、(ウ)推定した結果に合致しているかだけだと検証材料に乏しいので、ユーザに過去の旅行の写真などをアップロードしてもらう。そして、画像を解析し、物ごとに色分けする。
【0035】
「沖縄の海と人の写真」なら、海はくすんだ青、人は茶色のイメージである。アップロード時に解析結果を見せて、アップロードした画像と色を結び付かせてユーザに記憶してもらう。ユーザ認証時に「ユーザにとっての沖縄の海」の色に最も近い色を選ばせる。選択肢に紛らわしい色を入れない若しくは多少のズレを許容する。
【0036】
以上の手順により、クラスタリングによる推定+抽象化したパスワード(ここではアップロードした画像の色イメージ)による検証を行う。
【0037】
ID(例えば、サービスサイトのユーザID)/パスワード(PW)による分析が「0」か「1」の検証ならば、上記の検証は積み上げ式の検証を行う。例えば「くすんだ青」に正解で0.3ポイント、沖縄の海の色に0.5ポイントとし、合計で0.8ポイント以上あれば、選択する可能性が高い色と判定し、当該サービスサイトなどのユーザだと認証する。
【0038】
<実施形態>
以下に上述した本発明の原理を実施するための実施の形態の具体例を説明する。
【0039】
図1は本実施形態のアクセス者色覚認証システムの概略構成図である。
図1に示すように、アクセス者色覚認証システムは、アクセス端末である携帯端末(携帯電話(スマートフォン),携帯情報端末(PDA)を含む)10a、10bと、コンテンツのサービスサイト20(サーバ)と、本実施の形態の主要部である色覚認証サービスサイト30(サーバ)とを通信ネットワーク40(インターネット等)で接続したシステムである。
【0040】
色覚認証機能は、サービスサイト20に設けてもよいが、本実施の形態では、サービスサイト20の負担を低減するために色覚認証サービスサイト30を設けて、このサイトで実施する例として説明する。
【0041】
サービスサイト20は、携帯端末10a、10bからのサービスサイト20のアクセスに伴ってIDコード入力欄とパスワード入力欄と、複数の色アイコン(色アイコン群)を含むログイン画面(アカウント画面)を携帯端末10に通信ネットワーク40を送信して表示させる。
【0042】
この色アイコン群を得るために本実施の形態では、サービスサイト20がIDコード入力欄に入力されたIDコードとパスワード入力欄に入力されたパスワードと、携帯端末10a、10bの端末ID等(アクセス者識別コード)を色覚認証サービスサイト30に送信する。
【0043】
そして、色覚認証サービスサイト30がアクセス者識別コードのアクセス者の複数の色アイコン(色アイコン群)を受け取っている。また、色覚認証サービスサイト30が色許可と判定した場合は、アクセスを受け付けて、サービスコンテンツを携帯端末10に提供する。
【0044】
色覚認証サービスサイト30は、
図1に示すように、色覚を登録するための色覚登録部300と、色を選択させるため提供する色覚提供部310と、選択された色覚を解析する選択色覚解析部320と、質問に対する入力された色を判定する色許可部330と、入力された色の判定の基準となる色覚認識モデル340とを備えている。
【0045】
図2は選択色覚解析部320の概略構成図である。
図2に示すように、初期入力部31と、利用時入力部34と、出力部35と、利用時出力部36と、AI(artificial intelligence)解析部32と、データ蓄積部33(メモリ)等を備えている。初期入力部31は、ID(identification)、パスワード、性別、年齢、地域等を入力する入力部である。この入力により登録される。AI解析部32は利用時入力部から入力された会員情報と選出した色を受け取り本人か否かを判定する処理を行う。データ蓄積部33は学習した判定モデルを記憶する。利用時入力部34は利用する際に色情報等を入力する機能を有する。出力部35及び利用時出力部36は結果を出力する。
【0046】
<実施形態 色覚認証システム>
<実施形態 作用:ハードウェア的構成>
図13に示すように、色覚認証システムの計算機の構成は、CPU131と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ132と、D-RAM等の主メモリ133と、インターフェース134とから構成されている。不揮発性メモリ132には色覚登録プログラム、色覚提供プログラム、選択色覚解析プログラム、色許可プログラム、ログイン画面提供プログラム、コンテンツ提供プログラム、色覚認識モデル構築サブプログラム等のプログラムが格納されている。データとしては、アクセス者ID情報(1,2,3,・・・)、アクセス者識別情報(1,2,3,・・・)、アクセス者パスワード情報(1,2,3,・・・)、アクセス者色覚情報(1,2,3,・・・)、アクセス者色覚登録情報(1,2,3,・・・)、色アイコン群情報、色覚認識モデル、個人別色好み(好みの色)特徴量(1,2,3,・・・)、色許可情報、色覚解析情報、上述したようなデータウェアハウスなどがある。これらのプログラムやデータは、主メモリ133の保持領域に読み込まれ、作業領域で実行される。また、インターフェース134には、ネットワークインターフェース135、ディスプレイインターフェース136、ディスクインターフェース137、画像入力インターフェース138、マウス入力インターフェース139、キーボード入力インターフェース140などがある。これらのインターフェースに対応したデバイスが接続されて使用される。
【0047】
<実施形態 携帯端末>
<実施形態 作用:ハードウェア的構成>
図14に示すように、携帯端末10の計算機の構成は、CPU110と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ111と、D-RAM等の主メモリ112と、ディスプレイ113と、キーボード114と、通信インターフェース115と、カメラ116と、マイク117と、スピーカ118とを有し、システムバス119に接続されている。携帯端末によるアクセスは、3G、4G、5Gモバイル無線ネットワークサービスや、WIFI無線接続など、通信環境に応じて適宜選択的にネットワーク接続される。
【0048】
以上の構成は、一般的な携帯端末のハードウェア構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0049】
携帯端末10は、通信インターフェース115を介してインターネット等の通信ネットワーク40経由で、サービスサイト20にログインすることができる。このログイン時の色覚認証は、色覚認証サービスサイトサーバ30にて行われる。ログイン認証は、サービスサイトサーバ20にて行われる。
【0050】
<実施形態 サービスサイトサーバ>
<実施形態 作用:ハードウェア的構成>
図15に示すように、サービスサイトサーバ20の計算機の構成は、CPU210と、HDD、ROM等の不揮発性メモリ211と、D-RAM等の主メモリ212と、大量のコンテンツ等を蓄積しているディスク213(ハードディスク、シリコンディスク等)と、ディスプレイ214と、キーボード215と、マウス216と、ネットワークインターフェース217と、プリンタ218と、USBインターフェース219とを有し、システムバス220に接続されている。
【0051】
サービスサイトサーバ20は、ネットワークインターフェース217を介して通信ネットワーク40経由で、携帯端末10a、10bや色覚認証サービスサイトサーバ30と接続され、アクセス者の携帯端末10a、10bからのWEBログイン認証時に、色覚認証を行い、本人確認後にアクセスを許可する。
【0052】
色覚認証サービスサイトサーバのハードウェア構成も、基本的には
図15に示すサービスサイトサーバと類似な構成であり、色覚認証機能が異なる点が相違している。
【0053】
<実施形態 色覚認証方法 処理の流れ>
以下、
図10により本実施形態の色覚認証方法について説明する。
【0054】
まず、アクセス者のアクセス端末からのアクセスに従って、色覚情報の登録有無の判断ステップを実行する(ステップS1)。色覚登録判断ステップS1において、アクセス者の色覚情報がまだ登録されていない場合は、色覚情報の登録ステップを実行する(ステップS2)。ここで、アクセス者の携帯端末からのWEBログイン認証のための色を含む色覚情報を登録する。色覚登録の詳細については、後述する。
【0055】
また、色覚登録判断ステップS1において、色覚情報が登録されていた場合、または色覚登録ステップS2において、色覚情報が登録された場合は、色覚提供ステップを実行する(ステップS3)。すなわち、色覚認証サービスサイトサーバから、前記アクセス者に質問し、登録された色覚情報を含む複数の色から特定の色を選択可能に提供する。
【0056】
次に、選択された色が、前記アクセス者が選択する可能性が高い色であるかを色覚認識モデルによって解析させる選択色覚解析ステップを実行する(ステップS4)。
【0057】
次に、アクセス者が選択する可能性が高い色である否かの色許可判断ステップを実行する(ステップS5)。
【0058】
次に、選択する可能性が高い色と判定した場合は(ステップS5)、色許可として、アクセスを受け付ける色許可ステップを実行する(ステップS6)。選択する可能性が低い色と判定した場合は(ステップS5)、アクセス者の携帯端末からのログイン認証を失敗として、アクセス者からのアクセスを拒否する。
【0059】
終了した場合は(ステップS7)、以後のアクセス者からのアクセスを許可し、サービスサイトサーバ20からコンテンツなどの提供やデータ閲覧等のサービスを受けることができる。
【0060】
また、本実施形態の色認証方法に加えて、従来の認証元に登録された本人の身体的特徴に固有のパターンにより本人確認する認証方法や、指紋認証、静脈認証、虹彩認証、声紋認証、顔認証などの認証方法を適宜選択的に組み合わせて、ログイン認証を行ってもよい。
【0061】
このように、本実施形態によれば、色覚(好みの色)をアクセス者のWEBログイン認証に用いることにより、ログイン情報(アカウント情報)が他人に盗まれる可能性を低減し、セキュリティを向上させる色覚認証方法を提供することができる。
【0062】
<実施形態 色覚認証方法(他の例) 処理の流れ>
以下、
図11により本実施形態の色覚認証方法の他の例について説明する。
【0063】
図11は、
図10の処理ステップに加えて、色覚登録ステップS12の後にログイン画面提供ステップ(ステップS13)を追加し、色許可ステップS17の後にアクセス許可受付判断ステップS18、コンテンツ提供ステップS19を追加した点を除いて、
図10の処理の流れと同様であるので、同様な点は説明を省略し、相違する点について説明する。
【0064】
図11の例では、アクセス者のアクセス端末からのWEBログイン認証時に、サービスサイトに対するアクセス者のID(ユーザID等)やパスワードを要求するログイン画面をサービスサイトから提供する。このとき、サービスサイトと色覚認証サービスサイトは、ログイン認証時に連携して一体的に動作するか、サービスサイト内に色覚認証サービスナイトの機能を内蔵させてWEBログイン認証を行う。
【0065】
図11の色許可ステップS17において、色許可がされると、アクセス許可受付判断がなされ、サービスサイトからコンテンツ提供ステップS19が実行される。これにより、アクセス者はサービスサイトからコンテンツ提供サービスを受けることができる。
【0066】
ここで、上述した処理ステップに限定されず、ログイン画面を提供し、ユーザーのID、パスワード認証を行った後に、色覚認証を行ってもよい。色覚登録処理ステップS12において、ユーザ(アクセス者)が色覚障がい者の場合は、その色覚情報を登録しておくことにより、色覚障がい者に対するログイン認証がスムーズに行えるようになる。
【0067】
このように、本実施形態の他の例によれば、本実施形態に加えて、ID、パスワードなどを複雑にしなくても、色覚認証処理によりセキュリティを向上させることができる。
【0068】
<実施形態 色覚認証方法(他の例) 処理の流れ>
以下、
図12により本実施形態の色覚認証方法の他の例について説明する。
【0069】
図12は、
図11の処理ステップに加えて、選択色覚解析ステップS25において、更に色覚認識モデル構築サブステップS26を有する点を除いて、
図11の処理の流れと同様であるので、同様な点は説明を省略し、相違する点について説明する。
【0070】
色覚認識モデル構築サブステップS26は、携帯端末からの写真画像、この写真画像に関連する好みの色(単に色でもよい)と、地域と、年齢と、性別と、撮影日とを含むアクセス者色覚登録情報をメモリに登録して色覚認識モデルを構築させる。これにより、アクセス者に対してよりパーソナライズされた推定が可能となるので、色覚認証の精度を向上させることができる。
【0071】
<色覚初期登録>
図3はアクセス者色覚認証システムのシーケンス図である。携帯端末10aはサービスサイト20に対してアクセスする(d10)。
【0072】
このアクセスに伴って、サービスサイト20はアカウント登録画面(ID、パスワード)、アクセス者識別情報(図示せず:氏名、住所、電話番号、性別、年齢、好みの地域、等)を携帯端末10aに送信して表示させる(d12)。
【0073】
携帯端末10aの利用者であるアクセス者は、この画面にIDと、パスワードとを入力する。
【0074】
携帯端末10aは、このIDと、パスワードと、アクセス者識別情報と、端末番号等からなる情報をアクセス者情報としてサービスサイト20に送信する(d14)。
【0075】
サービスサイト20は、このアクセス者情報を仮アカウント登録情報(ID、パスワード、アクセス者識別情報、端末番号等)としてメモリに記憶する(d16)。
【0076】
そして、サービスサイト20は、サイト識別コード、年月日、時刻、仮受付コード等を仮アカウント登録情報に付加し、アクセス者色覚登録要求情報(氏名、住所、電話番号、性別、年齢、好みの地域、ID、パスワード、端末番号)として色覚認証サービスサイト30に送信する(d18)。
【0077】
色覚認証サービスサイト30は、アクセス者色覚登録要求情報(氏名、住所、電話番号、性別、年齢、好みの地域、ID、パスワード、端末番号)を受信してメモリに記憶する(d20)。そして、色覚提供部310が色覚認識モデルを起動させて、AIでアクセス者が選択する可能性の高い複数の色を推定させる(d21)。
【0078】
この推定には、色覚認識解析部が
図2に示すように、初期入力部31に、アクセス者色覚登録要求情報(氏名、住所、電話番号、性別、年齢、好みの地域、ID、パスワード、端末番号)に含まれているID、パスワード、性別、年齢、好みの地域、アクセス者の住所などを入力してAI解析部32に出力する。
【0079】
AI解析部32は、データ蓄積部(メモリ)33に記憶されている性別、年齢、好みの色、アクセス者の住所に関連付けられている色分類を読み込み、色覚認識モデルを生成し、アクセス者色覚登録要求情報に基づく、色の見え方の違いを定量的に求める。すなわち、アクセス者毎の色の見え方を特徴量として抽出し、これに該当する複数の色情報(例えば、青系、:鮮やかな青、暗い青、・・:RGB)を出力部35から色覚提供部310に出力している。具体例については後述する。
【0080】
次に、色覚提供部310は、複数の色情報のRGB値を読み込み、これらのRGB値の複数の色アイコン(色アイコン群)の情報(色覚サイトアドレス、サービスサイトアドレス、仮受付番号等)をサービスサイト20に送信する(d22)。
【0081】
サービスサイト20は、これを受信して、これらの複数の色アイコンを携帯端末10aに提供する(d24)。つまり、好みの色を問い合わせしている。例えば、
図4に示すように、「↑の色のうち、あなたにとって「鮮やかな青」といえば?」というメッセージ付で問い合わせる。このとき、
図6のようなフォームで選択してもらうのが好ましい。
【0082】
携帯端末10aのアクセス者は、画面に表示されたアイコン群から自分が鮮やかな色とする色アイコンを指定する。これにより、携帯端末10aはサービスサイト20に選択した色アイコン情報(選択した色アイコンコード、仮受付コード、サービスサイトアドレス等)を送信する(d26)。
【0083】
サービスサイト20は、選択された色アイコン情報を直ちに色覚認証サービスサイト30に送信する(d28)。
【0084】
色覚認証サービスサイト30は、選択された色アイコン情報を受信し、選択色覚解析部320がこれをメモリに記憶する(d30)。
【0085】
これを、アクセス者毎に、集計すると例えば、
図7に示すような「鮮やかな赤」に対するヒストグラムが出来上がる頻度RGB手段で行うのが好ましい。ヒストグラムには山が複数個できるので、複数個の山から代表値(中央値,偏差値など)を求めることができる。その代表値が「鮮やかな赤」の世間一般的な色の見え方を定量的に表した値となる。例えば「鮮やかな赤」なら(R240,G48,B0)である。
【0086】
そして、例えば、過去の旅行の景色の写真画像の転送要求(以下、写真画像要求情報という)をサービスサイト20に送信する(d32)。
【0087】
サービスサイト20は、この写真画像要求情報を携帯端末10aに送信する(d34)。これを受け取った、携帯端末10aのアクセス者は、携帯端末10aを操作して過去又は現在撮影した風景写真情報(仮受付コード付)をサービスサイト20に送信する(d36)。サービスサイト20は、この風景写真情報(仮受付コード付)を色覚認証サービスサイト30に送信する(d38)。
【0088】
色覚認証サービスサイト30の選択色覚解析部320は、この風景写真情報(仮受付コード付)をメモリに記憶し、この風景写真の画像データと、選択された色アイコン情報とに基づいてアクセス者にとって最も印象深い色とするだろうとする複数の色を色覚認識モデルで推定させる(d39)。
【0089】
選択色覚解析部320は、この推定した複数の色情報をサービスサイト20に直ちに送信する(d40)。
【0090】
サービスサイト20は、これを携帯端末10aに転送し、携帯端末10aの画面上に
図5に示すような色アイコンを表示させる(d42)。例えば、「あなたがアップロードした沖縄の風景画像と最も近い印象の色を以下から選んでください」というメッセージ付で表示させる。
【0091】
アクセス者は、携帯端末10aを操作して、最も近い印象の色を選択する。この選択に伴って、携帯端末10aは選択された風景画像上最も印象深い色の情報をサービスサイト20に送信する(d44)。サービスサイト20はこれを色覚認証サービスサイト30に送信する(d46)。
【0092】
色覚認証サービスサイト30の選択色覚解析部320は、これをAI解析部32のデータ蓄積部(メモリ)33に登録する(d48)。
【0093】
そして、選択色覚解析部320は、色覚認識モデル(AI)にこの風景画像上最も印象深い色の情報を送信して、その特徴を解析させて(d50)、データ蓄積部(メモリ)33に登録させる(d52)。
【0094】
<登録後のアクセス>
次に、登録後のアクセスの処理を
図8のシーケンス図を用いて説明する。
【0095】
アクセス者は携帯端末10aを操作して、サービスサイト20にID、パスワードでアクセスする(d60)。
【0096】
サービスサイト20は、メモリのアカウント情報と照合して会員認証を行う(d62)。会員の場合は、この会員情報(氏名、年齢、性別、地域、年別日時刻等)を色覚認証サービスサイト30に送信する(d64)。
【0097】
色覚認証サービスサイト30の選択色覚解析部320は、色覚認識モデル(AI)により、この会員情報に基づくアクセス者が選択するであろうとする複数の色を推定させる(d65)。すなわち、
図2に示す利用時入力部34が会員情報を受け取り、これをAI解析部32に渡して推定させて、利用時出力部36によって出力する。
【0098】
そして、推定された複数の色をサービスサイト20に送信する(d66)。サービスサイト20は、これを受信して、これらの複数の色アイコンを携帯端末10aに提供する(d68)。つまり、アクセス者を一意に特定するための色を色覚認証サービスサイト30の解析データに基づいて提供している。
【0099】
携帯端末10aの画面は、例えば
図9(a),(b)に示す。携帯端末10aのアクセス者は、
図9(a),(b)に示すメッセージに基づいて色を選択する。
図9(a)の例では、画像が5個白黒で表示されているが、実際は左端から、「濃い紫色」、「少し薄い紫色」、「濃い少し小さい紫色」、「濃い青」、「少し薄い青」などの色を表している。
図9(b)の例では、画像が3個白黒で表示されているが、実際は左端から、「少し薄い青色」、「濃い紫色」、「濃い青」などの色を表している。
【0100】
これにより、携帯端末10aはサービスサイト20に選択した色アイコン情報(選択した色アイコンコード、仮受付コード、サービスサイトアドレス等)を送信する(d70)。サービスサイト20は、選択された色アイコン情報を直ちに色覚認証サービスサイト30に送信する(d72)。
【0101】
色覚認証サービスサイト30の選択色覚解析部320は、選択された色アイコン情報を受信し、色覚認識モデル(AI)によってこのアクセス者の選択色の特徴でアクセス者かどうかを解析する(d74)。すなわち、
図2に示す利用時入力部34が選択した色情報を受け取り、これをAI解析部32に渡して特徴を解析させて、利用時出力部36によって出力する。
【0102】
色許可部330は、解析した色の特徴がアクセス者であると判定された場合(d76)は、サービスサイト20にアクセス許可を出力する(d78)。
【0103】
このとき、色許可部330は、 例えば「くすんだ青」に正解で0.3ポイント、沖縄の海の色に0.5ポイントとし、合計で0.8ポイント以上あれば、当該サービスサイトなどのユーザだと認証する。すなわち、選択する可能性が高い色と判定した場合である。
【0104】
サービスサイト20は、アクセス許可の場合は、携帯端末10aからのアクセスを受け付けて、サービスサイトが提供するコンテンツを送信する(d80)。
【0105】
従って、色の視覚が個人によって相違していても、その個人の色が選択するであろうとする色を精度よく推定し、これをサービスサイトへのログインに用いているので、セキュリティが格段に向上する。つまり、ID/パスワード(PW)に加えて、色覚も多要素認証の要素としている。
【0106】
上述した実施形態の説明においては、主にサービスサイトへのWEBログイン認証について説明したが、これに限らず、携帯端末10、10a、10b等(
図1、
図3、
図8、
図14参照)に色覚認証機能を実装し(色覚認証データの登録・分析はクラウド型データウェアハウスとAI解析を利用(
図3を参照)、携帯端末内にデータを保存し、携帯端末へのハードウェアログイン認証に色覚認証を適用し、データアクセスを許可する構成を採用しても良い。
【0107】
さらに、記憶容量が大容量でコンピュータ処理能力の高い携帯端末であれば、色覚認証機能に加えて、色覚認証データの登録・分析及びAI解析機能も実装し、全ての色覚認証に関連する処理を携帯端末内で処理する構成としても良い。詳細には、上述したような色覚認証処理により、アクセス者の携帯端末へのハードウェアログイン認証を行い、データアクセスを許可する構成としても良い。
【0108】
このようなハードウェアログイン認証に適用できる装置の例としては、上述した携帯端末以外にデスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレットPCなどが挙げられる。
【0109】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
10、10a、10b 携帯端末
20 サービスサイト(サーバ)
30 色覚認証サービスサイト(サーバ)
31 初期入力部
32 AI解析部
33 データ蓄積部(メモリ)
34 利用入力部
35 出力部
36 利用時出力部
40 通信ネットワーク
300 色覚登録部
310 色覚提供部
320 選択色覚解析部
330 色許可部
340 色覚認識モデル