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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】アルファウイルスレプリコン粒子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/86 20060101AFI20240104BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240104BHJP
   C07K 14/18 20060101ALI20240104BHJP
   C12N 15/40 20060101ALI20240104BHJP
   C12P 21/00 20060101ALN20240104BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N7/01
C07K14/18
C12N15/40
C12P21/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020534641
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2018046794
(87)【国際公開番号】W WO2019124441
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】62/608,213
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514207706
【氏名又は名称】ブイエルピー・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VLP Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】赤畑 渉
(72)【発明者】
【氏名】上野 隆司
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-505719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0170186(US,A1)
【文献】特表2017-523796(JP,A)
【文献】特表2001-519165(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0171249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0052225(US,A1)
【文献】Wang, E. et al.,"Chimeric alphavirus vaccine candidates for chikungunya",Vaccine,2008年,Vol. 26,pp. 5030-5039
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 7/00-7/08
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)カプシドおよびエンベロープを含むベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)構造タンパク質、ならびに
(ii)VEEV非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むアルファウイルスレプリコン
を含む、アルファウイルスレプリコン粒子(ARP)、
ここで、前記カプシドの核局在化シグナル(NLS)におけるリシンまたはアルギニンのうちの1つまたは複数がアスパラギンまたはアラニンにより置換されている、アルファウイルスレプリコン粒子。
【請求項2】
前記VEEVが、VEEV株TC-83である、請求項1に記載のアルファウイルスレプリコン粒子。
【請求項3】
前記目的の遺伝子が、抗原をコードする、請求項1または2に記載のアルファウイルスレプリコン粒子。
【請求項4】
アルファウイルスレプリコン粒子(ARP)を調製する方法であって、
i)ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むベクター、
ii)VEEVのカプシドをコードするポリヌクレオチドを含むベクター、および
iii)VEEVのE3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むベクター
を細胞に共トランスフェクトする工程、ここで前記カプシドの核局在化シグナル(NLS)におけるリシンまたはアルギニンのうちの1つまたは複数がアスパラギンまたはアラニンにより置換されている
トランスフェクトした細胞を培養する工程;および
細胞培養物からARPを精製する工程
を含む、方法。
【請求項5】
前記VEEVが、VEEV株TC-83である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目的の遺伝子が、抗原をコードする、請求項4または5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子デリバリー系として使用することができるアルファウイルスレプリコン粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子治療は、異常遺伝子を補正するためまたは有益なタンパク質を作製するために遺伝物質を細胞に導入するように設計されている。突然変異遺伝子により、必要なタンパク質が欠陥を生じるかまたは欠損を生じると、遺伝子治療によって、タンパク質の機能を回復させるために遺伝子の正常なコピーを導入することができる場合がある。
【0003】
遺伝子治療は、がん、ウイルス感染、心筋梗塞、および遺伝性障害などのような慢性疾患を処置する際のその可能性のために医学および薬学における新興分野である。
【0004】
細胞内に直接挿入される遺伝子は、通常、機能しない。代わりに、ベクターと呼ばれる担体が遺伝子をデリバリーするために遺伝子操作される。ある種のウイルスは、細胞に感染することによって新たな遺伝子をデリバリーすることができるので、しばしばベクターとして使用される。ウイルスは、人々に使用する場合、疾患を引き起こすことができないように修飾される。レトロウイルスなどの一部の種類のウイルスは、それらの遺伝物質(新たな遺伝子を含む)をヒト細胞における染色体に組み込む。アデノウイルスなどの他のウイルスは、それらの遺伝子を細胞核に導入するが、遺伝子は染色体に組み込まれない。
【0005】
ベクターは、個々の細胞によって取り込まれる特定の組織に直接注射され得るかまたは体内に静脈内投与(IVによって)され得る。あるいは、患者の細胞の試料を取り出し、実験室環境においてベクターに曝露することができる。次いでベクターを含有する細胞が患者に戻される。処置が成功すると、ベクターによってデリバリーされた新たな遺伝子は機能タンパク質を作製する。(https://ghr.nlm.nih.gov/primer/therapy/procedures, Int J Pharm Investig. 2013 Jan-Mar; 3(1): 1-7.)
【0006】
アルファウイルスは、遺伝的、構造的、および血清学的に関連する、トガウイルス科(Togaviridae family)の蚊媒介性ウイルスのセットを含む。アルファウイルスには、東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern Equine Encephalitis Virus)(EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan Equine Encephalitis Virus)(VEEV)、エバーグレーズウイルス(Everglades Virus)、ムカンボウイルス(Mucambo Virus)、ピクスナウイルス(Pixuna Virus)、西部ウマ脳炎ウイルス(Western Equine Encephalitis Virus)(WEEV)、シンドビスウイルス(Sindbis Virus)、セムリキ森林ウイルス(Semliki Forest Virus)、ミドルバーグウイルス(Middleburg Virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya Virus)(CHIKV)、オニョンニョンウイルス(O’nyong-nyong Virus)、ロスリバーウイルス(Ross River Virus)、バーマ森林ウイルス(Barmah Forest Virus)、ゲタウイルス(Getah Virus)、サギヤマウイルス(Sagiyama Virus)、ベバルウイルス(Bebaru Virus)、マヤロウイルス(Mayaro Virus)、ウナウイルス(Una Virus)、アウラウイルス(Aura Virus)、ワタロアウイルス(Whataroa Virus)、ババンキウイルス(Babanki Virus)、キジラガチウイルス(Kyzylagach Virus)、ハイランドJウイルス(Highlands J virus)、フォートモーガンウイルス(Fort Morgan Virus)、ヌドゥムウイルス(Ndumu Virus)、およびバギークリークウイルス(Buggy Creek Virus)が含まれる。単一のウイルスタンパク質である、カプシドを含有する構造サブユニットは、正二十面体ヌクレオカプシドにおいてRNAゲノムと会合する。ビリオンでは、カプシドは、膜貫通タンパク質スパイクの規則的なアレイにより覆われた脂質エンベロープに囲まれており、その膜貫通タンパク質スパイクの各々は、2つの糖タンパク質である、E1およびE2のヘテロ二量体複合体からなる。
【0007】
アルファウイルスレプリコン粒子(ARP)は細胞または培養物中で産生され、アルファウイルス構造タンパク質および膜脂質を含むビリオンシェル内で非アルファウイルス遺伝子を発現することができる「レプリコン」を組み込んでいる。
【0008】
アルファウイルスレプリコン粒子は、米国特許第7,045,335号、国際公開第2004/085660号およびVirology 239, 389-401, 1997に記載されている。それらの製造プロセスは米国特許第7,078,218号に記載されており、この段落に引用されている文献の内容は参照により組み込まれる。
【0009】
遺伝子治療の臨床応用は、細胞への遺伝子の適切な導入のための適した方法の不足のためにまだ限られており、したがってこれは多くの研究者にとって興味深い領域である。首尾良い遺伝子治療を達成するために、適切な遺伝子デリバリー系の開発が最も重要な要因の1つであり得る(Int. J Pharm Investig. 2013 Jan-Mar; 3(1): 1-7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第7,045,335号
【文献】国際公開第2004/085660号
【文献】米国特許第7,078,218号
【非特許文献】
【0011】
【文献】Int J Pharm Investig. 2013 Jan-Mar; 3(1): 1-7
【文献】Virology 239, 389-401, 1997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、改良されたアルファウイルスレプリコン粒子を含む遺伝子デリバリー系に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様では、アルファウイルスレプリコン粒子(ARP)は、
(i)カプシドおよび/またはエンベロープを含むアルファウイルス構造タンパク質、ならびに
(ii)アルファウイルス非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むアルファウイルスレプリコン
を含み、
カプシド、エンベロープにおけるE3およびE2のうちの少なくとも1つが、1つまたは複数のアミノ酸改変を含むが、エンベロープにおけるE1が、アミノ酸改変を含まない。
【0014】
一態様では、本発明は、ウイルス構造タンパク質が、アルファウイルスカプシドタンパク質核局在化シグナル(NLS)における1つまたは複数の改変を有する、ARPを提供する。
【0015】
一態様では、アルファウイルスカプシドタンパク質は、EEEV、WEEV、VEEV、CHIKV、ロスリバーウイルス、またはバーマ森林ウイルスカプシドタンパク質である。本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、1つまたは複数の改変は、EEEVカプシドタンパク質のアミノ酸67~70;WEEVカプシドタンパク質のアミノ酸67~70;VEEVカプシドタンパク質のアミノ酸64~68;CHIKVカプシドタンパク質のアミノ酸62~69;ロスリバーウイルスカプシドタンパク質のアミノ酸71~74;またはバーマ森林ウイルスカプシドタンパク質のアミノ酸64~68でのNLSにおけるものである。
【0016】
本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、改変は、NLSの荷電アミノ酸またはNLSの塩基性荷電アミノ酸における置換である。一部の実施形態では、荷電アミノ酸または塩基性荷電アミノ酸はリシンまたはアルギニンである。ある特定の実施形態では、リシンまたはアルギニンは、非リシンまたは非アルギニンアミノ酸により置換されている。具体的な実施形態では、リシンまたはアルギニンは、アスパラギンまたはアラニンにより置換されている。
【0017】
本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、EEEVウイルスカプシドタンパク質NLSはアミノ酸67において改変されている。特定の実施形態では、EEEVウイルスカプシドタンパク質NLSは置換K67Nを有する。
【0018】
本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、WEEVウイルスカプシドタンパク質NLSは、アミノ酸67、68、および69のうちの1つまたは複数において改変されている。特定の実施形態では、WEEVカプシドタンパク質NLSは、K67N、K68N、および/またはK69Nを含む。
【0019】
本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、VEEVカプシドタンパク質NLSは、アミノ酸64、65、および67のうちの1つまたは複数において改変されている。特定の実施形態では、VEEVウイルスカプシドタンパク質NLSは、K64N、K65AもしくはK65N、および/またはK67AもしくはK67Nを含む。
【0020】
本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、ロスリバーウイルスカプシドタンパク質NLSは、アミノ酸71、72、73、および74のうちの1つまたは複数において改変されている。特定の実施形態では、ロスリバーウイルスカプシドタンパク質NLSは、R71N、R72N、R73N、および/またはR74Nを含む。
【0021】
本明細書に記載されている本発明の上記態様または任意の他の態様の種々の実施形態では、バーマ森林ウイルスカプシドタンパク質NLSは、アミノ酸64、65、67、および68のうちの1つまたは複数において改変されている。特定の実施形態では、バーマ森林ウイルスカプシドタンパク質NLSは、K64A、K65AもしくはK65N、K67A、K67N、K68Aおよび/またはK68Nを含む。
【0022】
カプシドNLSにおける改変は、米国特許公開第2014-170186号または2017-073377号に詳細に記載されている。これらの公報の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0023】
一態様では、アルファウイルスE2タンパク質は、CHIKV E2タンパク質におけるアミノ酸234に対応するアミノ酸位置において非リシン残基(例えば、アスパラギン)および/またはウイルス出芽の間にE2タンパク質を不安定化するCHIKV E2タンパク質におけるアミノ酸251に対応するアミノ酸位置において修飾を有してもよい。
【0024】
一態様では、アルファウイルスE3タンパク質は、フーリン部位(Arg-X-X-Arg)にてアミノ酸配列において改変/突然変異を含んでもよい。
【0025】
「Arg-X-X-Arg」という用語はフーリンの最小の切断部位を示し、「X-X」は2つのアミノ酸の任意の組合せを含む。フーリン部位でのアミノ酸配列に対する改変の例には、Ile-Glu/Asp-Gly-Arg、Asp-Asp-Asp-Asp-LysまたはSer-Gly-Gly-Gly-Serへの改変が含まれる。フーリン部位改変に関する詳細は、米国特許公開第2016-0040134号および同第2016-0200775号(それらの引用文献は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0026】
例えば、VEEV CT83株は、そのE3領域の末端においてRKRRのフーリン部位を有し、RKRRはSGGGSと置き換えることができる。
【0027】
本発明によれば、アルファウイルスレプリコンは、アルファウイルス非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするヌクレオチド、ならびに少なくとも1つの目的の遺伝子を含む。アルファウイルス非構造タンパク質は、構造タンパク質が由来するアルファウイルスと同じアルファウイルスに由来するものであってもよい。アルファウイルス非構造タンパク質は、構造タンパク質が由来するアルファウイルスとは異なるアルファウイルスに由来するもの(キメラアルファウイルスレプリコン粒子)であってもよい。
【0028】
例えば、CHIKVに由来するアルファウイルス構造タンパク質を含むARPならびにVEEV nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするヌクレオチドならびに目的の遺伝子を含むアルファウイルスレプリコンが、本発明に従って提供され得る。
【0029】
一態様では、本発明は、
(i)カプシドおよび/またはエンベロープを含むCHIKV構造タンパク質、ならびに
(ii)VEEV非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むVEEVレプリコン
を含む、アルファウイルスレプリコン粒子(ARP)を提供する。
【0030】
目的の遺伝子は、任意の所望の供給源、例えば、ウイルス、原核生物、真核生物、古細菌に由来する多種多様の配列から選択され得る。目的の遺伝子のカテゴリーの例には、例えば、抗原タンパク質、サイトカイン、毒素、治療用タンパク質、酵素、アンチセンス配列、および免疫応答モジュレーターを含む、免疫原が含まれる。
【0031】
別の態様では、本発明は、アルファウイルスレプリコン粒子を調製する方法であって、
i)アルファウイルス非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むベクター、
ii)アルファウイルスカプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、ならびに
iii)アルファウイルスE3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むベクター
を細胞に共トランスフェクトする工程であって、
カプシド、E3およびE2のうちの少なくとも1つが、1つまたは複数のアミノ酸改変を含むが、E1が、アミノ酸改変を含まない、工程、
トランスフェクトした細胞を培養する工程、および
細胞培養物からARPを精製する工程
を含む、方法を提供する。
【0032】
一般に、アルファウイルス構造タンパク質をコードするヌクレオチドは、E1、E2、6kおよびE3をコードするヌクレオチドを含む。野生型ウイルス構造タンパク質の発現の際に、6KおよびE3は、集合のプロセスの間に天然に切断され、ARPから除去される。成熟野生型ARPは、カプシド、E1およびE2タンパク質を含み得る。アミノ酸配列の1つまたは複数の改変が、例えば、E3タンパク質のフーリン部位に導入される場合、E3は切断されず、ARPに含まれる可能性がある。本明細書および特許請求の範囲において、「ウイルス構造タンパク質」とは、6kおよび/またはE3を有するものだけでなく、6Kおよび/またはE3を有さないものも指す。
【0033】
アルファウイルスがCHIKVまたはVEEVである代表的なARPは図1に例示されている。
【0034】
一態様では、本発明は、
(i)カプシドおよび/またはエンベロープを含むCHIKV構造タンパク質、ならびに
(ii)VEEV非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むVEEVレプリコン
を含む、キメラアルファウイルスレプリコン粒子を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、ARPを産生するための概略プロトコールを示す。
図2図2は、VEEVレプリコン粒子のコンストラクションを示す。
図3図3は、VEEV_pBR322_NLucベクターを示す。
図4図4は、TC83_CMV_CAwt_ヘルパー1pベクターを示す。
図5図5は、TC83_CMV_CAmut_ヘルパー1Pベクターを示す。
図6図6は、TC83_CMV_WTgp_ヘルパー2Pベクターを示す。
図7図7は、TC83_CMV_E3gp_ヘルパー2Pベクターを示す。
図8図8は、VEE VRPへのVEEVレプリコンのパッケージング能力を決定するための概略プロトコールを示す。
図9図9は、図8に示した試験の結果を示す。
図10図10は、VEEVレプリコン粒子のコンストラクションにおける多重クローニング部位の組み込みを示す。
図11図11は、VEEV_pBR322_MCS_NLuc_推定ベクターを示す。
図12図12は、精製したVEEウイルスレプリコン粒子のウェスタンブロッティングの結果を示す。
図13図13は、IKKをコードするヌクレオチドを含むVRPにより感染した細胞のウェスタンブロッティングを示す。レーン1:VRPにより感染した細胞、レーン2、IKKプラスミドベクターによりトランスフェクトされた細胞(陽性対照)。
図14図14は、JNK2をコードするヌクレオチドを含むVRPにより感染した細胞のウェスタンブロッティングを示す。
図15図15は、ルシフェラーゼをコードする遺伝子を含むVRPに感染した細胞のルシフェラーゼアッセイの結果を示す。
図16図16は、GFPをコードする遺伝子を含むVRPに感染した細胞におけるGFPの発現を示す。
図17図17は、GFPをコードする遺伝子を含むVRPに感染したM2極性化マクロファージ細胞におけるGFP発現を示す。
図18図18は、実施例9の概略プロトコールを示す。
図19図19は、実施例9の結果を示す。
図20図20は、CHIKV構造タンパク質およびVEEVレプリコンから得られた精製したキメラARPのウェスタンブロッティングを示す。
図21図21は、図20のARPにより感染した細胞のFACS分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
定義
本明細書に使用されている場合、「アルファウイルス」は、ウイルスのトガウイルス科に属するRNA含有ウイルスを指すことを意味する。例示的なトガウイルスには、限定されないが、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、エバーグレーズウイルス、ムカンボウイルス、ピクスナウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス(WEEV)、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ミドルバーグウイルス、チクングニアウイルス(CHIKV)、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、バーマ森林ウイルス、ゲタウイルス、サギヤマウイルス、ベバルウイルス、マヤロウイルス、ウナウイルス、アウラウイルス、ワタロアウイルス、ババンキウイルス、キジラガチウイルス、ハイランドJウイルス、フォートモーガンウイルス、ヌドゥムウイルス、バギークリークウイルスおよびオケルボウイルス(Ockelbo virus)が含まれる。
【0037】
「アルファウイルス構造タンパク質」とは、天然に存在するウイルスカプシドまたはエンベロープタンパク質と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドまたはその断片を意味する。一実施形態では、アルファウイルス構造タンパク質は、東部ウマ脳炎ウイルス(EEEV)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)、エバーグレーズウイルス、ムカンボウイルス、ピクスナウイルス、西部ウマ脳炎ウイルス(WEEV)、シンドビスウイルス、セムリキ森林ウイルス、ミドルバーグウイルス、チクングニアウイルス(CHIKV)、オニョンニョンウイルス、ロスリバーウイルス、バーマ森林ウイルス、ゲタウイルス、サギヤマウイルス、ベバルウイルス、マヤロウイルス、ウナウイルス、アウラウイルス、ワタロアウイルス、ババンキウイルス、キジラガチウイルス、ハイランドJウイルス、フォートモーガンウイルス、ヌドゥムウイルス、およびバギークリークウイルスと少なくとも約85%、90%、95%またはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有する。アルファウイルス構造タンパク質の野生型アミノ酸配列は、GenBankから得ることができる。
【0038】
具体的な実施形態では、アルファウイルスは、CHIKV、例えばCHIKV株37997またはLR2006 OPY-1である。他の実施形態では、アルファウイルスは、VEEV、例えばVEEV株TC-83である。
【0039】
「アルファウイルスレプリコン」とは、標的細胞においてインビボ(in vivo)でそれ自体の増幅を誘導することができるRNA分子を意味する。レプリコンは、RNA増幅を触媒するポリメラーゼ(nspl、nsp2、nsp3、nsp4)をコードし、コードされたポリメラーゼによって認識され、利用される複製に必要とされるシスRNA配列を含有する。アルファウイルスレプリコンは典型的に以下の順序のエレメント:5’UTR、アルファウイルス非構造タンパク質(nsp1、nsp2、nsp3、nsp4)をコードする配列、3’UTR、およびポリAシグナルを含有する。アルファウイルスレプリコンはまた、目的の遺伝子の発現を誘導する1つまたは複数のウイルスサブゲノムプロモーターも含有する。これらの配列は、先行技術において教示されている1つまたは複数の突然変異を有してもよい。
【0040】
「アルファウイルスレプリコン粒子」(ARP)とは、アルファウイルス構造タンパク質とパッケージングしたアルファウイルスレプリコンを意味する。ARPは、アルファウイルス構造タンパク質のいずれかをコードするポリヌクレオチドを含有しない。
【0041】
「薬剤」とは、任意の小分子化学化合物、抗体、核酸分子、もしくはポリペプチド、またはそれらの断片を意味する。
【0042】
本明細書に使用されている場合、「アジュバント」という用語は、製剤中の特定の免疫原と組み合わせて使用される場合、得られる免疫応答を増大させるか、改変させるかまたは修飾する化合物を指すことを意味する。ある特定の実施形態では、アジュバントはARPと組み合わせて使用される。免疫応答の修飾には、抗体および細胞性免疫応答のいずれかまたは両方の特異性の強化または拡大が含まれる。免疫応答の修飾はまた、ある種の抗原特異的免疫応答の減少または抑制を意味することもある。一実施形態では、アジュバントはRibiアジュバントである。
【0043】
「改善する」とは、疾患またはその症状の発生または進行を減少させ、抑制させ、減衰させ、軽減させ、停止させるかまたは安定化することを意味する。
【0044】
「改変」とは、ポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列に関して特定の位置でのアミノ酸またはヌクレオチドの変化を意味する。本明細書に使用されている場合、改変には、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの特定の位置でのアミノ酸またはヌクレオチドの置換、欠失、または挿入が含まれる。一部の実施形態では、アルファウイルスカプシドタンパク質核局在化シグナルの改変には、非荷電アミノ酸(例えば、アラニンもしくはアスパラギン、またはリシンもしくはアルギニンなどの塩基性荷電アミノ酸を除く任意のアミノ酸)による荷電アミノ酸(例えば、リシンまたはアルギニン)の置換が含まれる。
【0045】
「改変」とは、本明細書に記載されているものなどの、標準的な技術の公知の方法によって検出される、遺伝子またはポリペプチドの発現レベルまたは活性に対する変化(増加または減少)を意味する。本明細書に使用されている場合、改変には、発現レベルにおける10%、25%、50%、75%、100%またはそれ以上の変化が含まれる。改変には、発現レベルの10、20、50、70、80、90、100、200、500、1000倍またはそれ以上の変化が含まれる。
【0046】
「類似体」とは、同一ではないが、類似の機能的または構造的特徴を有する分子を意味する。例えば、ポリペプチド類似体は、対応する天然に存在するポリペプチドの生物活性を保持するが、天然に存在するポリペプチドと比較して類似体の機能を増強するある特定の生化学的修飾を有する。このような生化学的修飾は、例えば、リガンド結合を改変することなく、類似体のプロテアーゼ耐性、膜透過性、または半減期を増加させることができる。類似体は非天然アミノ酸を含んでもよい。
【0047】
本開示において、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有している」および「有する」などは、米国特許法に帰属するそれらの意味を有することができ、かつ、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」などを意味することができ、「から本質的になる」または「本質的になる」も同様に米国特許法に帰属する意味を有し、それらの用語はオープンエンドであり、列挙されているものの基本的または新規の特徴が、列挙されているものより多くの存在によって変化しない限り、列挙されているものより多くの存在を許容するが、先行技術の実施形態を排除する。
【0048】
「検出する」とは、検出されるべき検体の存在、不在または量を同定することを指す。
【0049】
「疾患」とは、細胞、組織、または器官の正常な機能を損傷するかまたは妨げるあらゆる状態または障害を意味する。
【0050】
「有効量」とは、未処置の患者と比較して疾患の症状を改善するのに必要とされる薬剤の量を意味する。疾患の予防または処置のための本発明を実施するために使用される活性化合物の有効量は、投与様式、対象の年齢、体重、および全体的な健康に応じて変化する。最終的に、主治医または獣医が適切な量および投薬レジメンを決定する。そのような量を「有効」量と称する。
【0051】
「断片」とは、ポリペプチドまたは核酸分子の一部を意味する。この部分は、好ましくは、参照核酸分子またはポリペプチドの全長の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を含有する。断片は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000個のヌクレオチドまたはアミノ酸を含有してもよい。
【0052】
「マーカー」とは、疾患または障害に関連する発現レベルまたは活性の改変を有する任意のタンパク質またはポリヌクレオチドを意味する。
【0053】
本明細書に使用されている場合、「核局在化シグナル」または「NLS」は、ポリペプチドの表面に存在する場合、ポリペプチドを細胞核に標的化するアミノ酸配列である。NLS配列は当該技術分野において公知である。例えば、Goldfarb, D., and N. Michaud (1991) Trends Cell Biol. 1, 20-24; Gorlich, D., and I. W. Mattaj (1996) Science 271, 1513-1518を参照のこと。一実施形態では、NLSは、リシンまたはアルギニンなどの、正に荷電したアミノ酸の1つまたは複数の短い配列を含む。NLSについてのコンセンサス配列は、K-K/R-X-K/R(Schneider, J. et al. (1988) Cell 54,117-125)および約10アミノ酸のスペーサーによって離れた塩基性アミノ酸の2つのクラスター、例えば、KR[PAATKKAGQA]KKKK(Dingwall et al., / Cell Biol. 107 (3): 841-9)を含む。本発明のアルファウイルスアミノ酸配列に関して、NLSは、EEEVカプシドタンパク質のアミノ酸67~70(KRKK);WEEVカプシドタンパク質のアミノ酸67~70(KKKK);VEEVカプシドタンパク質のアミノ酸64~68(KKPKK);CHIKVカプシドタンパク質のアミノ酸62~69(RRNRKNKK);ロスリバーウイルスカプシドタンパク質のアミノ酸71~74(RKKK);およびバーマ森林ウイルスカプシドタンパク質のアミノ酸64~68(KKPKK)に存在する。例えば、VEEV TC83カプシドタンパク質のK64Nが利用されてもよい。
【0054】
本明細書に使用されている場合、「薬剤を得ること」のような「得ること」は、薬剤を合成すること、購入すること、またはそうでなければ獲得することを含む。
【0055】
「低減する」とは、少なくとも10%、25%、50%、75%、または100%のマイナスの改変を意味する。
【0056】
「参照」とは、標準または対照条件を意味する。
【0057】
「参照配列」は、配列比較のための基準として使用される規定された配列である。参照配列は、特定の配列のサブセットまたは全体;例えば、全長cDNAもしくは遺伝子配列のセグメント、または完全cDNAもしくは遺伝子配列であってもよい。ポリペプチドに関して、参照ポリペプチド配列の長さは概して、少なくとも約16アミノ酸、好ましくは少なくとも約20アミノ酸、より好ましくは少なくとも約25アミノ酸、さらにより好ましくは約35アミノ酸、約50アミノ酸、または約100アミノ酸である。核酸に関して、参照核酸配列の長さは概して、少なくとも約50ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約60ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約75ヌクレオチド、さらにより好ましくは約100ヌクレオチドもしくは約300ヌクレオチドまたはそれら付近もしくはそれらの間の任意の整数である。
【0058】
配列同一性は典型的に、配列分析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、Wis.53705、BLAST、BESTFIT、GAP、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、相同性の程度を種々の置換、欠失、および/または他の修飾に割り当てることによって同一または類似の配列を一致させる。保存的置換は典型的に以下の群内の置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的なアプローチにおいて、BLASTプログラムが使用されてもよく、e<”3>とe<”100>との間の確率スコアは密接に関連する配列を示す。
【0059】
「構造ポリタンパク質」とは、ウイルスカプシドまたはエンベロープに寄与する少なくとも2つの分離可能なポリペプチドを含む複合アミノ酸分子を意味する。一実施形態では、ポリペプチドは、ウイルス酵素[例えば、カプシドオートプロテイナーゼ(autoproteinase)およびシグナラーゼ(signalase)]により切断を起こしやすい。
【0060】
「対象」とは、限定されないが、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、またはネコなどの、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含む、哺乳動物を意味する。
【0061】
本明細書に提供されている範囲は、その範囲内の値の全てについての省略であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50を構成する群からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと理解される。
【0062】
本明細書に使用されている場合、「処置する」、「処置している」、「処置」などの用語は、障害および/またはそれに関連する症状を低減させるかまたは改善することを指す。除外されないが、障害または状態を処置することは、障害、状態またはそれらに関連する症状が完全に排除されることを必要としないことが理解される。
【0063】
本明細書に使用されている場合、具体的に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「または」という用語は包括的であると理解される。
【0064】
本明細書に使用されている場合、具体的に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」という用語は、単数または複数であると理解される。
【0065】
本明細書に使用されている場合、具体的に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、当該技術分野における通常の許容範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内と理解される。約は、記載された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。文脈から特に明らかにされていない限り、本明細書に提供されている全ての数値は、約という用語によって修飾される。
【0066】
本明細書に提供されている任意の組成物または方法は、本明細書に提供されている他の組成物および方法のいずれかのうちの1つまたは複数と組み合わせることができる。
【0067】
アルファウイルスレプリコン
アルファウイルスレプリコンは、真核細胞にデリバリーされると、それ自体からの転写によって(それ自体から生成するアンチセンスコピーを介して)複数の娘RNAの産生を導くことができる。アルファウイルスレプリコンは、細胞へのデリバリー後に直接翻訳され得、この翻訳はRNA依存性RNAポリメラーゼを提供し、そのRNA依存性RNAポリメラーゼは次いで、デリバリーされたRNAからアンチセンスおよびセンス転写産物の両方を産生する。したがって、デリバリーされたRNAは、複数の娘RNAの産生を導く。これらの娘RNAは、共線状(collinear)サブゲノム転写産物と同様に、コードされたタンパク質のインサイチュ(in situ)発現を提供するためにそれら自体で翻訳され得るか、またはタンパク質のインサイチュ発現を提供するために翻訳されるデリバリーされたRNAと同じセンスを有するさらなる転写産物を提供するために転写され得る。転写のこの配列の全体的な結果は、導入されたレプリコンRNAの数の大量の増幅であるので、コードされたタンパク質は細胞の主要なポリペプチド産物になる。
【0068】
本発明によれば、アルファウイルスレプリコンは、非構造タンパク質n1、n2、n3およびn4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含む。アルファウイルスレプリコンは、アルファウイルス構造タンパク質のいずれもコードしていない。
【0069】
アルファウイルス非構造タンパク質は、上記に説明したアルファウイルスの1つに由来する野生型タンパク質であってもよいかまたは野生型アミノ酸配列において1つまたは複数の改変を有していてもよい。アルファウイルス非構造タンパク質の改変は、種々の先行技術の参考文献に開示されており、当該技術分野は、これらの公知の情報に基づいて適切なアルファウイルス非構造タンパク質を選択することができる。
【0070】
アルファウイルスレプリコンは当該技術分野において周知であり、これらの以前に開示されたレプリコンのいずれかを利用することができる(例えば、Virology. 1997 Dec 22;239(2):389-401.、国際公開第2009/131604号、国際公開第2011/005799号、国際公開第2012/031043号、国際公開第2014/1270493号および国際公開第2015/095167号、引用文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0071】
アルファウイルス構造タンパク質
ARPは、カプシドおよびエンベロープタンパク質のアルファウイルス構造タンパク質を有する。好ましくは、アルファウイルス構造タンパク質は、カプシドタンパク質ならびにエンベロープのE2およびE1タンパク質を含み、また、エンベロープのE3タンパク質も有していてもよい。本発明によれば、カプシドおよびエンベロープの少なくとも1つは、哺乳動物細胞においてARP発現を増強する少なくとも1つの改変を有する。
【0072】
一実施形態では、アルファウイルス構造タンパク質は、アルファウイルスカプシドタンパク質NLSにおけるリシン残基に対応するアミノ酸位置にて非リシン残基(例えば、アラニンまたはアスパラギン)を有するアルファウイルスカプシドタンパク質、および/またはアルファウイルスカプシドタンパク質NLSにおけるアルギニン残基に対応するアミノ酸位置にて非アルギニン残基(例えば、アラニンまたはアスパラギン)を少なくとも含む。具体的な実施形態では、アルファウイルスカプシドタンパク質は、改変K67N、K68N、およびK69Nのうちの1つまたは複数を有するWEEV CBA87株カプシドタンパク質である。ある特定の実施形態では、アルファウイルスカプシドタンパク質は、改変K64N、K65A、K65N、K67A、およびK67Nのうちの1つまたは複数を有するVEEV TC83株カプシドタンパク質である。一部の実施形態では、アルファウイルスカプシドタンパク質は、改変K67Nを有するEEEV PE-6株カプシドタンパク質である。特定の実施形態では、アルファウイルスカプシドタンパク質は、改変R62A、R63A、R65A、K66A、K68A、およびK69Aのうちの1つまたは複数を有するCHIKV株37997カプシドタンパク質であり;アルファウイルスカプシドタンパク質は、改変R71N、K72N、K73N、およびK74Nのうちの1つまたは複数を有するロスリバーウイルスカプシドタンパク質であり;アルファウイルスカプシドタンパク質は、改変K64A、K64N、K65A、K65N、K67A、K67N、K68AおよびK68Nのうちの1つまたは複数を有するバーマ森林ウイルスカプシドタンパク質である。上記に説明したアルファウイルスの野生型カプシドタンパク質アミノ酸配列は、GenBankにて入手可能である。
【0073】
一実施形態では、アルファウイルスE2タンパク質は、CHIKV E2タンパク質におけるアミノ酸234に対応するアミノ酸位置にて非リシン残基(例えば、アスパラギン)および/またはウイルス出芽の間にE2タンパク質を不安定化するCHIKV E2タンパク質におけるアミノ酸251に対応するアミノ酸位置にて修飾を有する。
【0074】
一実施形態では、アルファウイルスE3をコードするポリヌクレオチドは、フーリン部位におけるアミノ酸配列に対する改変/突然変異(Arg-X-X-Arg)を含むように修飾され得る。
【0075】
「Arg-X-X-Arg」という用語は、フーリンの最小の切断部位を示し、「X-X」は2つのアミノ酸の任意の組合せを含む。フーリン部位におけるアミノ酸配列に対する改変の例には、Ile-Glu/Asp-Gly-Arg、Asp-Asp-Asp-Asp-LysまたはSer-Gly-Gly-Gly-Serへの改変が含まれる。詳細な説明は、米国特許公開第2016-0040134号および同第2016-0200775号(引用文献は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0076】
例えば、VEEV CT83株は、そのE3領域の末端においてRKRRを含むフーリン部位を有し、RKRRをコードするポリヌクレオチド配列は、SGGGSをコードするポリヌクレオチド配列と置き換えることができる。
【0077】
本発明の一部の実施形態では、タンパク質は、サイレント置換、付加、または欠失を生じるが、コードされるタンパク質の特性もしくは活性、またはタンパク質が作製される方法を変化させない改変を含有する突然変異を含んでもよい。
【0078】
ARPを調製する方法
ARPは、当該技術分野で公知である手順によって調製され得る。ARPを産生するための例示的な手順は、Virology 239, 389-401, 1997に開示されており、引用文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
一般に、ARPは、アルファウイルスレプリコンをコードするベクター、すなわち、nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、目的の遺伝子とを含むベクター;ならびにアルファウイルス構造タンパク質をコードする少なくとも1つのヘルパーベクターによる適切な宿主細胞の共トランスフェクションによって産生され得る。好ましくは、細胞は、アルファウイルスレプリコンをコードするベクター、カプシドタンパク質をコードするベクターおよびエンベロープタンパク質をコードするベクターにより共トランスフェクトされる。
【0080】
特に、本発明は、アルファウイルスレプリコン粒子を調製する方法であって、
i)アルファウイルス非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むベクター、
ii)アルファウイルスカプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、および
iii)アルファウイルスE3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むベクター
を細胞に共トランスフェクトする工程であって、
カプシド、E3およびE2のうちの少なくとも1つは、1つまたは複数のアミノ酸改変を含むが、E1はアミノ酸改変を含まない、工程、
トランスフェクトした細胞を培養する工程、および
細胞培養物からARPを精製する工程
を含む、方法を提供する。
【0081】
分子生物学の分野における当業者は、多種多様な発現系のいずれかを、ARPを産生するために使用することができることを理解する。共トランスフェクトされる正確な細胞(宿主細胞)は本発明にとって重要ではない。ARPは、原核生物宿主[例えば、大腸菌(E.coli)]において、または真核生物宿主[例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、昆虫細胞、例えば、Sf21細胞、または哺乳動物細胞、例えば、NIH 3T3、HeLa、COS細胞]において産生され得る。このような細胞は広範囲の供給源から入手可能である(例えば、American Type Culture Collection、Rockland、Md.;また、例えば、Ausubel et al.、前出も参照のこと)。昆虫細胞の非限定的な例は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf)細胞、例えば、Sf9、Sf21、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)細胞、例えば、ハイファイブ(High Five)細胞、およびショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞である。真菌(酵母を含む)宿主細胞の例は、サッカロマイセス・セレビシエ、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)[Kラクティス(K lactis)]、C.アルビカンス(C.albicans)およびC.グラブラータ(C.glabrata)を含むカンジダ(Candida)の種、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)[S.ポンベ(S.pombe)]、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、およびヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)である。哺乳動物細胞の例は、COS細胞、ベビーハムスター腎細胞、マウスL細胞、LNCaP細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞、アフリカミドリザル細胞、CV1細胞、HeLa細胞、MDCK細胞、VeroおよびHep-2細胞である。アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞、または両生類起源の他の細胞も使用することができる。原核生物宿主細胞には、細菌細胞、例えば、大腸菌、枯草菌(B.subtilis)、およびマイコバクテリア(mycobacteria)が含まれる。
【0082】
前記タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得る方法は当該技術分野において公知である。例えば、特定のアルファウイルスタンパク質、例えば、CHIKV、WEEV、EEEV、VEEV、ロスリバーウイルス、またはバーマ森林ウイルス構造タンパク質をコードする遺伝子は、前記ウイルスに感染している細胞から抽出したポリアデニル化mRNAからRT-PCRによって単離され得る。得られた遺伝子産物は、ベクターへのポリヌクレオチド挿入物としてクローニングされ得る。
【0083】
「ベクター」という用語は、核酸配列が生物、細胞、または細胞成分の間で伝播および/または移入され得る手段を指す。ベクターには、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、ファージミド、トランスポゾン、人工染色体などが含まれ、それらは自律的に複製するかまたは宿主細胞の染色体に組み込まれ得る。ベクターはまた、裸のRNAポリヌクレオチド、裸のDNAポリヌクレオチド、同じ鎖内のDNAおよびRNAの両方から構成されるポリヌクレオチド、ポリ-リシンコンジュゲートDNAまたはRNA、ペプチドコンジュゲートDNAまたはRNA、リポソームコンジュゲートDNAなどであってもよく、それらは自律的に複製しない。全てではないが、多くの一般的な実施形態では、本発明のベクターはプラスミドまたはバクミドである。
【0084】
典型的に、発現される核酸分子は、プロモーターおよび/またはエンハンサーに「作動可能に連結され(operably linked)」、プロモーターおよび/またはエンハンサーによって転写調節制御に供される。
【0085】
トランスフェクションの方法および発現媒体の選択は、選択される宿主系に依存する。トランスフェクション方法は、例えば、Ausubel et al.(前出)に記載されており;発現媒体は、例えば、Cloning Vectors: A Laboratory Manual (P. H. Pouwels et al., 1985, Supp. 1987)に提供されているものから選択され得る。この段落に引用されている参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
本発明のARPの産生のための種々の発現系が存在する。このようなARPを産生するのに有用な発現ベクターには、限定されないが、染色体、エピソーム、およびウイルス由来ベクター、例えば、細菌プラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、酵母エピソーム、挿入エレメント、酵母染色体エレメント、バキュロウイルスなどのウイルス、SV40などのパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスに由来するベクター、ならびにこれらの組合せに由来するベクターが含まれる。
【0087】
本明細書に使用されているコンストラクトおよび/またはベクターは、本明細書に記載されているエンベロープタンパク質またはカプシドタンパク質を含む、構造タンパク質をコードするアルファウイルスポリヌクレオチドを含む。また、本明細書に使用されているコンストラクトおよび/またはベクターは、非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするアルファウイルスポリヌクレオチドと、目的の遺伝子とを含む。
【0088】
ベクターは、例えば、ファージ、プラスミド、ウイルス、またはレトロウイルスベクターであってもよい。ヌクレオチドを含むコンストラクトおよび/またはベクターは、非限定的な例である、CMVプロモーター、ファージラムダPLプロモーター、大腸菌lac、phoAおよびtacプロモーター、SV40初期および後期プロモーター、ならびにレトロウイルスLTRのプロモーターなどの適切なプロモーターに機能的に連結されるものとする。他の適切なプロモーターは、宿主細胞および/または所望の発現速度に依存して当業者に公知である。発現コンストラクトは、転写開始、終結のための部位、および転写領域では、翻訳のためのリボソーム結合部位をさらに含有する。コンストラクトによって発現される転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきポリペプチドの始めに翻訳開始コドン、および末端に適切に位置する終止コドンを含む。
【0089】
ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含む。このようなマーカーには、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクターゼ、G418またはネオマイシン耐性、ならびに大腸菌および他の細菌において培養するためのテトラサイクリン、カナマイシンまたはアンピシリン耐性遺伝子が含まれる。ベクターの中で好ましいのは、バキュロウイルス、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アビポックスウイルス、カナリア痘ウイルス、鶏痘ウイルス、アライグマ痘ウイルス、豚痘ウイルスなど)、アデノウイルス(例えば、イヌアデノウイルス)、ヘルペスウイルス、およびレトロウイルスなどのウイルスベクターである。本発明で使用され得る他のベクターは、pQE70、pQE60およびpQE-9、pBluescriptベクター、Phagescriptベクター、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5を含む、細菌において使用するためのベクターを含む。好ましい真核生物ベクターには、pFastBacl pWINEO、pSV2CAT、pOG44、pXTlおよびpSG、pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVLがある。他の適切なベクターは当業者に自明である。
【0090】
組換えコンストラクトは、トランスフェクトするために調製され、使用され得、真核細胞および/または原核細胞内で、本明細書に記載されているものを含む、ウイルスタンパク質を発現することができる。したがって、本発明は、カプシド、E3、E2、6K、およびElまたはそれらの部分を含む、アルファウイルス構造タンパク質をコードする核酸を含有する1つのベクター(または複数のベクター)、ならびにアルファウイルスnsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードする核酸、ならびにARPの形成を可能にする条件下で目的の遺伝子の少なくとも1つを含む1つのベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0091】
一実施形態では、前記ベクターは組換えバキュロウイルスである。別の実施形態では、前記組換えバキュロウイルスは昆虫細胞にトランスフェクトされる。好ましい実施形態では、前記細胞は昆虫細胞である。別の実施形態では、前記昆虫細胞はSf9細胞である。
【0092】
ポリペプチド産生のための1つの特定の細菌発現系は大腸菌pET発現系(Novagen,Inc.、Madison、Wis)である。この発現系によれば、ポリペプチドをコードするDNAは、発現を可能にするように設計された方向においてpETベクターに挿入される。このようなポリペプチドをコードする遺伝子はT7調節シグナルの制御下にあるので、ポリペプチドの発現は宿主細胞におけるT7 RNAポリメラーゼの発現を誘導することによって達成される。これは典型的に、IPTG誘導に応答してT7 RNAポリメラーゼを発現する宿主株を使用して達成される。一旦産生されると、組換えポリペプチドは次いで、当該技術分野において公知の標準的な方法、例えば、本明細書に記載されている方法に従って単離される。
【0093】
ポリペプチド産生のための別の細菌発現系は、pGEX発現系(Pharmacia)である。この系は、機能的遺伝子産物の迅速な精製および回収と共に融合タンパク質として遺伝子または遺伝子断片の高レベル発現のために設計されたGST遺伝子融合系を利用する。目的のタンパク質は、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)由来のグルタチオンS-トランスフェラーゼタンパク質のカルボキシル末端に融合され、グルタチオンセファロース4Bを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって細菌溶解物から容易に精製される。融合タンパク質は、グルタチオンで溶出することによって温和な条件下で回収され得る。融合タンパク質からのグルタチオンS-トランスフェラーゼドメインの切断は、このドメインの上流の部位特異的プロテアーゼに対する認識部位の存在によって促進される。例えば、pGEX-2Tプラスミドにおいて発現されたタンパク質はトロンビンにより切断され得、pGEX-3Xにおいて発現されたタンパク質は第Xa因子により切断され得る。
【0094】
選択されたベクターおよび宿主細胞に依存して、ARPは、組換えタンパク質が発現され、アルファウイルスレプリコンが生成され、アルファウイルス構造タンパク質の粒子とパッケージングされているアルファウイルスレプリコンを含有するARPが形成される条件下で、ベクターによってトランスフェクトされた宿主細胞を成長させることによって産生される。一実施形態では、本発明は、アルファウイルス非構造タンパク質nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、少なくとも1つの目的の遺伝子とを含むベクター、少なくとも1つのアルファウイルスタンパク質を各々コードする少なくとも1つのベクターを、適切な宿主細胞内に共トランスフェクトし、ARP形成を可能にする条件下で前記アルファウイルスタンパク質を発現させることを含む、ARPを産生する方法を含む。別の実施形態では、真核細胞は、酵母、昆虫、両生類、鳥類または哺乳動物細胞からなる群から選択される。適切な成長条件の選択は当該技術または当業者の範囲内である。
【0095】
本発明のARPを産生する細胞を成長させる方法には、限定されないが、バッチ、バッチ供給、連続および潅流細胞培養技術が含まれる。一実施形態では、アルファウイルスレプリコンをコードするベクターおよびカプシドをコードするポリペプチドを含むベクター、ならびにCHIKVまたはVEEVに由来するものなどのエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを共トランスフェクトした細胞は、細胞が増殖し、精製および単離のためのタンパク質(例えば、組換えタンパク質)を発現するバイオリアクターまたは発酵チャンバ内で成長する。典型的に、細胞培養は、無菌の制御された温度および大気条件下で実施される。バイオリアクターは、温度、大気、撹拌および/またはpHなどの環境条件をモニターすることができる、細胞を培養するために使用されるチャンバである。一実施形態では、バイオリアクターはステンレス鋼チャンバである。別の実施形態では、前記バイオリアクターは、予め滅菌されたプラスチックバッグ(例えば、Cellbag.RTM.、Wave Biotech、Bridgewater、N.J.)である。他の実施形態では、前記予め滅菌されたプラスチックバッグは約50L~1000Lのバッグである。
【0096】
ARPは、勾配遠心分離、例えば、塩化セシウム、スクロースおよびイオジキサノール、ならびに例えば、イオン交換およびゲル濾過クロマトグラフィーを含む標準的な精製技術などによって、その完全性を保存する方法を使用して単離される。
【0097】
以下は、本発明のARPがどのようにして作製され、単離され、精製され得るかの例である。当業者は、ARPを作製し、精製するために使用され得るさらなる方法が存在することを理解する。したがって、本発明は本明細書に記載されている方法に限定されない。
【0098】
一般に、本発明のARPの産生は、哺乳動物細胞[例えば、ヒト胚腎臓(293T)細胞]またはSf9細胞(非感染)をシェーカーフラスコに播種し、細胞を拡大させ、細胞が成長し、増殖するとスケールアップすること(例えば、125mlフラスコから50L Waveバッグ)によって達成される。細胞を成長させるために使用される培地は、適切な細胞系(好ましくは無血清培地、例えば、昆虫培地ExCell-420、JRH)のために策定される。次に細胞に適切なベクター(例えば、哺乳動物発現ベクターまたはSFについて(最も効果的な感染多重度(例えば、細胞あたり約1~約3プラーク形成単位)にて細胞組換えバキュロウイルスをトランスフェクトするかまたは感染させる。ポリヌクレオチドまたはその部分は、それらがARPに自己集合する細胞において発現され、感染後約24~72時間(hpi)で細胞から分泌される。通常、トランスフェクションまたは感染は、細胞が対数成長期中期(mid-log phase of growth)(4-8.×10<6>細胞/ml)にあり、少なくとも約90%が生存している場合、最も効果的である。さらに、トランスフェクトされた細胞は、ARP産生を増加させるために細胞培養物中で高いpH条件(pH>7.2、例えば、pH7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、またはそれ以上)に曝露され得る。
【0099】
本発明のARPは、細胞培養培地中のARPのレベルが最大に近いが、広範な細胞溶解の前である場合、感染後約48~120時間で回収される。回収時の細胞密度および生存率は、色素排除アッセイによって示されるように、少なくとも20%の生存率で約0.5×10細胞/ml~約1.5×10細胞/mlであり得る。次に培地を除去し、清澄化する。ARP凝集を回避するために、NaClを約0.4~約1.0M、好ましくは約0.5Mの濃度まで培地に添加することができる。本発明のARPを含有する細胞培養培地からの細胞および細胞残屑の除去は、使い捨ての予め滅菌された中空繊維0.5または1.00μπιフィルターカートリッジまたは同様のデバイスによるタンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)によって達成され得る。
【0100】
さらに、ARPは、ARP産生を増加させるために、精製の間、高いpH条件(pH>7.2、例えば、pH7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、またはそれ以上)に曝露され得る。
【0101】
次に、清澄化した培養培地中のARPを、使い捨ての予め滅菌した500,000分子量カットオフ中空繊維カートリッジを使用して限外濾過によって濃縮する。残留培地成分を除去するために、濃縮したARPを、0.5M NaClを含有する10容量のpH7.0~8.0のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して透析濾過することができる。
【0102】
濃縮し、透析濾過したARPを、6,500×gにて18時間、約4C~約10Cでの遠心分離によって0.5M NaClを有するpH7.2のPBS緩衝液中の20%~60%の不連続ショ糖勾配においてさらに精製することができる。通常、ARPは、勾配から回収され、保存され得る約30%~約40%の間のショ糖または界面(20%および60%のステップ勾配)において特徴的な可視バンドを形成する。この産生物は、精製プロセスにおける次の工程のための調製において200mMのNaClを含むように希釈することができる。この産生物はARPを含有し、インタクトなバキュロウイルス粒子を含有することができる。
【0103】
ARPのさらなる精製は、陰イオン交換クロマトグラフィー、または44%等密度ショ糖クッション遠心法によって達成され得る。陰イオン交換クロマトグラフィーでは、ショ糖勾配(上記参照)からの試料を、陰イオンを有する培地(例えば、Matrix Fractogel EMD TMAE)を含有するカラムにロードし、他の夾雑物(例えば、バキュロウイルスおよびDNA/RNA)からARPを分離することができる塩勾配(約0.2M~約1.0MのNaCl)を介して溶出する。ショ糖クッション法では、ARPを含む試料を44%ショ糖クッションに添加し、30,000gにて約18時間遠心分離する。ARPは44%ショ糖の上部においてバンドを形成し、一方、バキュロウイルスは底部において沈殿し、他の夾雑タンパク質は上部において0%ショ糖層に留まる。ARPピークまたはバンドを収集する。
【0104】
所望の場合、インタクトなバキュロウイルスを不活性化することができる。不活性化は、化学的方法、例えば、ホルマリンまたはベータ-プロピオラクトン(BPL)によって達成され得る。インタクトなバキュロウイルスの除去および/または不活性化はまた、上記に例示したように、当該技術分野において公知の選択的沈殿およびクロマトグラフィー法を使用することによっても大部分が達成され得る。不活性化方法は、ARPを含有する試料を0.2%のBPL中で3時間、約25℃~約27℃にてインキュベートすることを含む。バキュロウイルスはまた、ARPを含有する試料を4℃にて3日間、次いで37℃にて1時間、0.05%のBPLにてインキュベートすることによって不活性化され得る。
【0105】
不活性化/除去工程の後、ARPを含む産生物を別の透析濾過工程に通して、不活性化工程からの試薬全ておよび/または残留ショ糖全てを除去することができ、ARPを所望の緩衝液(例えば、PBS)に入れることができる。ARPを含む溶液は、当該技術分野において公知の方法(例えば、滅菌濾過)によって滅菌することができ、冷蔵庫または冷凍庫に保存することができる。
【0106】
上記の技術は、様々なスケールにわたって実施することができる。例えば、Tフラスコ、振とうフラスコ、スピナーボトル、工業的サイズのバイオリアクターまで。バイオリアクターは、ステンレス鋼タンクまたは予め滅菌されたプラスチックバッグ(例えば、Wave Biotech、Bridgewater、NJによって販売されているシステム)のいずれかを含んでもよい。当業者は、それらの目的のために最も望ましいものを知っている。
【0107】
本明細書に記載されているように、所望の宿主への投与の際に、本発明のARPは、構造タンパク質が由来するアルファウイルスによって通常感染した細胞によって取り込まれる。レプリコンに含まれる目的の遺伝子は、ARP侵入時に細胞内に内在化される。この特性は、ARPが目的の遺伝子の所望の細胞へのデリバリーを可能にするので、遺伝子のデリバリー媒体として本明細書に記載されているARPの使用を容易にする。
【0108】
天然のアルファウイルスゲノムは非構造レプリカーゼポリタンパク質に加えてウイルス構造タンパク質をコードするのに対し、アルファウイルスレプリコンはアルファウイルス構造タンパク質をコードしない。したがって、アルファウイルスレプリコンは、細胞内で自身のゲノムRNAコピーの産生を導くことができるが、RNAを含有するビリオンの産生を導くことができない。これらのビリオンを産生できないことは、野生型アルファウイルスとは異なり、レプリコンは感染型では自身を永続させることができないことを意味する。野生型ウイルスにおける永続に必要なアルファウイルス構造タンパク質は、レプリコンには存在せず、それらの位置は少なくとも1つの目的の遺伝子によって決められ、その結果、サブゲノム転写物は構造アルファウイルス構造タンパク質ではなく目的のタンパク質をコードする。
【0109】
したがって、ある特定の実施形態では、ARPは、対象にデリバリーされる必要がある治療剤または診断剤、例えば、造影剤、核酸配列(siRNAおよびマイクロRNAを含む)、放射性核種、ホルモン、ペプチド、抗ウイルス剤、抗腫瘍/化学療法剤、細胞成長調節剤、細胞成長阻害剤、サイトカイン、抗原、アジュバントおよび毒素などであり得るか、またはそれらをコードし得る目的の遺伝子を含む。ウイルス構造タンパク質の粒子にパッケージングされたレプリコンは、ARPの安定性に悪影響を及ぼすべきではない。これは、所定の目的の遺伝子を含有するARPを産生し、もしあれば、ARP安定性に対するその効果を評価することによって決定され得る。
【0110】
したがって、本発明は、目的の遺伝子を細胞に導入するための方法を提供する。本発明によれば、目的の遺伝子はアルファウイルスレプリコンに含まれ、アルファウイルスレプリコンはアルファウイルス構造タンパク質の粒子とパッケージングされる。関連する実施形態では、ARPは細胞と接触する。関連する実施形態では、ARPは細胞に侵入することが可能となり、それによって目的の遺伝子の細胞へのデリバリーをもたらす。
【0111】
本明細書に使用されている場合、「処置する」、「処置している」、「処置」などの用語は、障害および/またはそれと関連する症状を低減させるかまたは改善することを指す。除外されないが、障害または状態を処置することは、障害、状態またはそれらに関連する症状を完全に排除することを必要としないことは理解される。
【0112】
本明細書に使用されている場合、「予防する」、「予防している」、「予防」、「予防的処置」などの用語は、障害または状態を有さないが、障害または状態を発症するリスクがあるかまたは発症しやすい対象における障害または状態を発症する可能性を低減させることを指す。
【0113】
目的の遺伝子は、抗原をコードする遺伝子であってもよい。本発明のARPは、液体溶液または懸濁液のいずれかとして注射可能な形態で調製され得る。注射に適した固体形態もまた、エマルションとして、またはリポソーム中に封入されたARPと共に調製され得る。ワクチン抗原は通常、担体を受容する対象に有害な抗体の産生を誘導しない任意の担体を含む、薬学的に許容される担体と組み合わされる。適切な担体は典型的に、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂質凝集体、および不活性ウイルス粒子などの、ゆっくりと代謝される大きな巨大分子を含む。このような担体は当業者に周知である。これらの担体はまた、アジュバントとして機能することもできる。
【0114】
本明細書に記載されているARPは、アジュバント(例えば、Ribi)と組み合わせて投与され得る。アジュバントはワクチンの有効性を増強する免疫刺激剤である。所望の場合、1つまたは複数のアルファウイルスポリペプチドまたはその断片もしくは変異体を含むARPは、目的の抗原に対して生じる免疫応答の有効性を増強するアジュバントと組み合わせて投与される。有効なアジュバントには、限定されないが、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、ムラミルペプチド、細菌細胞壁成分、サポニンアジュバント、および組成物の有効性を増強するための免疫刺激剤として作用する他の物質が含まれる。
【0115】
免疫原性組成物、すなわち、本明細書に記載されているARP、薬学的に許容される担体およびアジュバントはまた、典型的に、水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなどの希釈剤を含有する。湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質などの補助物質も存在してもよい。タンパク質は、中性形態または塩形態としてワクチンに製剤化され得る。免疫原性組成物は典型的に、注射によって非経口で投与され、このような注射は皮下または筋肉内のいずれかであってもよい。さらなる製剤は、座剤または経口などによる他の投与形態に適している。経口組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、または徐放性製剤として投与され得る。
【0116】
免疫原性組成物は、用量処方と適合する様式で投与される。免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の本明細書に記載されているARPおよび他の前述の成分を含む。免疫学的に有効な量とは、感染の処置または予防に有効である、単回用量、または複数回用量スケジュールで投与される組成物を意味する。投与される用量は、処置される対象、対象の健康および身体状態、抗体を産生する対象の免疫系の能力、所望の防御の程度、および他の関連因子に依存して変化する。必要とされる活性成分の正確な量は、医師の判断に依存するが、典型的に、用量当たり5μgから250μgの間の抗原の範囲である。
【0117】
医薬組成物および投与
本発明は、本明細書に記載されているARPを含む医薬組成物を特徴とする。本明細書において有用な医薬組成物は、組成物を受容する脊椎動物に有害な免疫応答の産生をそれ自体が誘導しない任意の医薬品を含み、過度の毒性なしに投与され得る、任意の適切な希釈剤または賦形剤を含む、薬学的に許容される担体、および本発明のARPを含有する。本明細書に使用されている場合、「薬学的に許容される」という用語は、哺乳動物、より特にはヒトにおける使用のために、連邦もしくは州政府の規制当局によって承認されているかまたは米国薬局方、欧州薬局方もしくは他の一般に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。これらの組成物は、脊椎動物において防御免疫応答を誘導するためのワクチンおよび/または抗原性組成物として有用であり得る。
【0118】
薬学的に許容される担体には、限定されないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、滅菌等張水性緩衝液、およびこれらの組合せが含まれる。薬学的に許容される担体、希釈剤、および他の賦形剤の詳細な説明は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co. N.J. current edition)に提示されている。製剤は投与様式に適合されるものとする。好ましい実施形態では、製剤はヒトへの投与に適しており、好ましくは、無菌の非粒子状および/または非発熱性である。
【0119】
所望の場合、組成物はまた、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有してもよい。組成物は、再構成に適した凍結乾燥粉末などの固体形態、液体溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、または粉末であってもよい。経口製剤は、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含んでもよい。
【0120】
ある特定の実施形態では、ARP組成物は、液体形態、例えば、ARP組成物の量および濃度を示す封止容器中で供給される。
【0121】
好ましくは、ARP組成物の液体形態は、少なくとも約50μg/ml、より好ましくは少なくとも約100μg/ml、少なくとも約200μg/ml、少なくとも500μg/ml、または少なくとも1mg/mlにて密閉容器中で供給される。
【0122】
あるいは、ワクチン製剤は、点滴、大粒子エアロゾル(約10ミクロン超)もしくは上気道への噴霧または小粒子エアロゾル(10ミクロン未満)もしくは下気道への噴霧のいずれかによって、鼻腔内に投与される。上記のいずれかのデリバリー経路は免疫応答をもたらすが、鼻腔内投与は、アルファウイルス、例えば、CHIKVまたはVEEVを含む、多くのウイルスの侵入部位において粘膜免疫を誘発する付加的な利益を与える。
【0123】
したがって、本発明はまた、哺乳動物に対する感染またはその少なくとも1つの症状に対する免疫を誘導するワクチンまたは抗原性組成物を製剤化する方法であって、前記製剤に有効量のARP、例えば、アルファウイルス(例えば、CHIKVまたはVEEV)を添加する工程を含む、方法を含む。
【0124】
ある特定の場合において、単回用量での免疫の刺激が好ましいが、所望の効果を達成するために、追加の投薬量も同じまたは異なる経路によって投与されてもよい。例えば、新生児および幼児では、十分なレベルの免疫を誘発するために複数回の投与が必要とされることがある。投与は、十分なレベルまたは防御を維持するために必要に応じて、小児期を通じて間隔をおいて継続してもよい。
【0125】
同様に、例えば、医療従事者、デイケア従事者、低年齢小児がいる家族、高齢者、および心肺機能または免疫系が損なわれた個体などの、反復性または重篤な感染症に特にかかりやすい成人は、防御免疫応答を確立し、および/または維持するために複数の免疫化を必要とし得る。誘導された免疫のレベルは、例えば、中和分泌抗体および血清抗体の量を測定することによってモニターされ得、所望のレベルの防御を誘発し、維持するために必要に応じて、投薬量が調節されるかまたはワクチン接種が反復される。
【0126】
医薬製剤の投薬量は、当業者によって、例えば、最初に、予防的または治療的免疫応答を誘発するのに有効な用量を同定することによって、例えば、ウイルス特異的免疫グロブリンの血清力価を測定することによって、または血清試料、または尿試料、または粘膜分泌物中の抗体の阻害比率を測定することによって容易に決定され得る。前記投薬量は動物実験から決定され得る。ワクチンの有効性を研究するために使用される動物の非限定的なリストには、モルモット、ハムスター、フェレット、チンチラ、マウスおよびコットンラット、ならびに非ヒト霊長類が含まれる。ほとんどの動物は感染因子に対する自然宿主ではないが、それでも疾患の種々の態様の研究に役立ち得る。例えば、上記動物のいずれかに、ワクチン候補、例えば、本発明のARPを投与して、誘導された免疫応答を部分的に特徴付け、および/または任意の中和抗体が産生されているかどうかを決定することができる。例えば、マウスは小型であり、それらの低コストにより研究者は規模を拡大して研究を行うことができるので、多くの研究がマウスモデルにおいて行われてきた。
【0127】
さらに、ヒト臨床研究が、当業者によってヒトのための好ましい有効用量を決定するために実施され得る。そのような臨床研究は慣用であり、当該技術分野において周知である。利用される正確な用量はまた、投与経路に依存する。有効用量は、インビトロ(in vitro)または動物試験システムから導き出される用量-応答曲線から推定され得る。
【0128】
また、当該技術分野において周知のように、特定の組成物の免疫原性は、アジュバントとして知られている、免疫応答の非特異的刺激因子の使用によって増強され得る。アジュバントは、未知の抗原に対する免疫の全般的な増加を促進するために実験的に使用されている。免疫化プロトコールは、長年にわたって応答を刺激するためにアジュバントを使用しており、したがってアジュバントは当業者に周知である。いくつかのアジュバントは、抗原が提示される様式に影響を及ぼす。例えば、免疫応答は、タンパク質抗原がミョウバンによって沈殿すると増加する。抗原の乳化もまた、抗原提示の期間を延長する。全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Vogel et al., 「A Compendium of Vaccine Adjuvants and Excipients (2nd Edition)」に記載されているいずれかのアジュバントの包含は、本発明の範囲内に想定される。
【0129】
例示的なアジュバントには、完全フロイントアジュバント[死滅結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を含有する免疫応答の非特異的刺激因子]、不完全フロイントアジュバントおよび水酸化アルミニウムアジュバントが含まれる。他のアジュバントは、GMCSP、BCG、水酸化アルミニウム、thur-MDPおよびnor-MDPなどのMDP化合物、CGP(MTP-PE)、リピドA、およびモノホスホリルリピドA(MPL)を含む。2%スクアレン/Tween-80エマルション中の、細菌から抽出された3つの成分、MPL、トレハロースジミコール酸(TDM)および細胞壁骨格(CWS)を含有するRIBIもまた、企図される。MF-59、Novasomes.RTM.、MHC抗原もまた、使用され得る。
【0130】
本発明のARPはまた、「免疫刺激因子」と製剤化され得る。それらは、免疫系の応答を増加させるための身体特有の化学的メッセンジャー(サイトカイン)である。免疫刺激因子には、限定されないが、インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-12、IL-13)などの、免疫刺激活性、免疫増強活性、および炎症活性を伴う種々のサイトカイン、リンホカインおよびケモカイン;成長因子[例えば、顆粒球マクロファージ(GM)コロニー刺激因子(CSF)];およびマクロファージ炎症性因子、Flt3リガンド、B7.1;B7.2などの他の免疫刺激分子が含まれる。免疫刺激分子は、ARPと同じ製剤中で投与され得るか、または別々に投与され得る。タンパク質またはタンパク質をコードする発現ベクターのいずれかは、免疫刺激作用を生じさせるために投与され得る。したがって、一実施形態では、本発明は、アジュバントおよび/または免疫刺激因子を含む抗原製剤およびワクチン製剤を含む。
【0131】
本発明によれば、前記ARPを含むデリバリー系は、目的の遺伝子を真核細胞の細胞質にデリバリーすることができ、それによってがん、ウイルス感染、神経障害、自己免疫疾患、移植片拒絶および単遺伝子性または多遺伝子性の遺伝性疾患を処置することができる。
【0132】
本発明は以下の実施例を参照して詳細に記載されるが、それらは本出願の範囲を限定することを意図していない。
【実施例1】
【0133】
VEEVレプリコン粒子(VRP)のコンストラクション
概略手順を図2に示す。
ルシフェラーゼを発現するVEEVレプリコンプラスミドの確立
1)完全長VEEV TC83非構造タンパク質(nsp)1、nsp2、nsp3およびnsp4断片を合成した(ThermoFisher)。
同様に、レプリコンコンストラクトの種々の断片に対応するgblocksを以下のように合成した(IDT)。
【0134】
2)VEEV gblock1-VEEV CA遺伝子のATGまでClaI-RSVp-5’UTR-nsp1(bp1-470)-RsrII-ApaI-26Sp-sgRNA。この断片は5’末端においてpBR322骨格プラスミドと36bpの重複を有した。これは断片#1である。
【0135】
3)VEEV gblock2-この断片は、ATG開始コドンまでApaI部位にて開始してVEEV gblock1と64bpの重複を有した。これに、Nano Luciferase ORF(Promega)およびVEEV 3’UTRの最初の72塩基が続いた。
【0136】
4)断片#2のクローニング-VEEV gblock2、完全長VEEV 3’UTRおよびVEEVポリAシグナル(A(n=55))を、以下の表に示したオリゴマーを使用したオーバーラップエクステンションPCRによって最初に集合させた:
【0137】
【表1】
【0138】
VEEV_Oligo2はpBR322骨格プラスミドと15bpの重複を有する。
【0139】
5)次に、VEEV gblock1(断片#1)、断片#2およびpBR322骨格(ClaIおよびNruI-HFにより消化した)を、Gibson Assemblyを使用して集合させて、pBR322-RSVp-RsrII-ApaI-26Sp-sgRNA-NanoLuc-A(n=55)-SV40 pA骨格コンストラクト(BB)を得た。この骨格コンストラクトは完全長TC83 nsp1-4断片を欠いていた。
【0140】
6)nsp1-4断片(bp470-7461)を、RsrIIおよびApaI制限部位-i)5’-ccggccCGGACCGacaagtctctatcacc-3’(配列番号11、fwdプライマー)およびii)5’-ggccggGGGCCCctctcaggtagctgaatg-3’(配列番号12、revプライマー)を含有するプライマーを使用して1)において得られた合成したThermoプラスミドから増幅させた。このPCRにより増幅させたnsp断片を、RsrIIおよびApaI部位を使用してBB骨格プラスミドにクローニングして、完全長VEEV TC83レプリコンコンストラクトを得た。(図3
【0141】
ヘルパープラスミド
VEEV TC83カプシドをコードするヘルパープラスミドコンストラクトを図4および5に示す。このコンストラクトは、野生型VEEVカプシドタンパク質(配列番号1)およびNLSにおいて突然変異を有するVEEVカプシド(K64N、配列番号2)をそれぞれ発現する。
【0142】
本明細書において使用されるVEEV TC83糖タンパク質E3-E2-6K-E1を発現するヘルパープラスミドコンストラクトを図6および7に示す。このコンストラクトは、野生型VEEV TC83糖タンパク質E3-E2-6K-E1(配列番号3)およびE3修飾E3-E2-6K-E1(E3 RKRRの末端におけるフーリン部位をSGGGSと置き換えた、配列番号4)をそれぞれ発現する。
【0143】
細胞培養物および共トランスフェクション
293T細胞を、10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有する完全DMEM入りの6ウェルプレートに播種した。PEI(各プラスミド1.7μg)を使用して、カプシドをコードするヘルパープラスミドおよび糖タンパク質E1-6K-E2-E3をコードするヘルパープラスミドと共に、nsp1-4を含有する(VR)(配列番号5)かまたはnsp1-4断片を欠く(BB)等量のVEEV RSVp-NLucコンストラクトを細胞に共トランスフェクトした。ヘルパープラスミドの組合せは、(配列番号1および3)、(配列番号1および4)、(配列番号2および3)または(配列番号2および4)であった。細胞をトランスフェクション混合物と37℃にて約3時間インキュベートし、その後、トランスフェクション混合物を除去し、細胞を1×PBSにより洗浄し、新鮮なDMEMを添加した。パッケージングしたウイルスレプリコン粒子(VRP)を48hpt(トランスフェクション後の時間)または72hptのいずれかに回収した。VRPを回収するために、トランスフェクトした細胞の培養上清を、細胞培養物を1200rpmにて5分間、4℃にて遠心分離して、全ての細胞残屑をペレット化することによって得た。0.45umフィルターを通して上清を濾過した。回収したVRPを4℃または-80℃のいずれかで保存した。
【実施例2】
【0144】
VEEウイルスレプリコン粒子(VRP)へのVEEVレプリコンのパッケージング能力の決定
感染およびルシフェラーゼアッセイ
概略プロトコールを図8に示す。
293T細胞を、1ウェルあたり約10,000細胞の密度にて96ウェルプレート中の完全DMEMに播種した。未希釈または2倍連続希釈の回収したVRPを37℃にて細胞に感染させた。感染後14時間(hpi)にて、VRPを除去し、細胞をPBSにより洗浄し、新鮮なDMEMをウェルに添加した。細胞をさらにインキュベートし、24、48および72hpiにてルシフェラーゼアッセイのために回収した。等量の感染細胞およびNano-Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega)を白色底部不透明96ウェルプレート(Costar)に添加することによってルシフェラーゼアッセイを実施した。Bio-Tek Synergy HTXマイクロプレートリーダーを使用してルシフェラーゼ活性を直ちに測定した。
【0145】
結果
結果を図9に示す。早くも24hpiにてVRP(VR)に感染した細胞においてルシフェラーゼ発現を確認した。nsp1-4(BB)を欠く骨格コンストラクトに感染した細胞はルシフェラーゼをほとんど発現しなかった。
【実施例3】
【0146】
新たなVEEVレプリコンコンストラクト
種々の「目的の遺伝子」の導入を可能にするために多重クローニング部位(MCS)を導入することによって新たなVEEV TC83レプリコンプラスミドコンストラクトを調製した。概略プロトコールを図10に示す。コンストラクトを図11および配列番号6に示す。図11のコンストラクトにおいて、ルシフェラーゼをコードするヌクレオチドを目的の遺伝子として導入する。感染させる細胞を考慮してプラスミドにおけるプロモーターを選択することができる。
【実施例4】
【0147】
カプシドおよび/またはE3-E2-6K-E1における突然変異を有する/有さず、かつ目的の遺伝子を有するVRPの調製
この実施例では、実施例1と同様に、目的の遺伝子を含有するVEEVレプリコンプラスミドを、VEEVカプシドヘルパープラスミドおよびVEEV E3-E2-6K-E1糖タンパク質ヘルパープラスミドと共に293T細胞に共トランスフェクトした。目的の遺伝子として、ルシフェラーゼ、GFP、IKKまたはJNK2をコードする遺伝子を利用した。
【0148】
以下のプラスミドを使用した:
i-1)VEEV CT83野生型カプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、または
i-2)NLSにおいて突然変異を有するVEEV CT83カプシドタンパク質(K64N)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド。
ii-1)野生型VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、または
ii-2)E3のフーリン部位において突然変異を有する、VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド
ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、ルシフェラーゼ、GFP、IKKまたはJNK2をコードする目的の遺伝子とを含むプラスミド。
【0149】
共トランスフェクション
目的の遺伝子を含むVEEV TC83レプリコンプラスミド、VEEVカプシド(WTまたは突然変異)をコードするヘルパープラスミドおよびE3-E2-6K-E1(WTまたは突然変異)をコードするヘルパープラスミドを293T細胞に共トランスフェクトした。3つのプラスミド(1μgのカプシド、1μgのE3-E2-6K-E1および10μgの目的の遺伝子を含有するVEEVレプリコン)を293T細胞にトランスフェクトし(PEI法によって)、細胞を4~7日インキュベートした。次いで、VRPを上清から回収し、オプティプレップ(optiprep)密度沈降によって精製した。
【0150】
精製したVRPは、一次抗体(1:2000)として抗VEEV抗体(ATCC)および二次抗体として抗マウスIgG(1:4000)を使用したウェスタンブロッティングによって確認した。以下のプラスミドを使用することによって得られたVRPの結果を図12に示す:
i)NLSにおいて突然変異を有するVEEV CT83カプシドタンパク質(K64N)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド。
ii)野生型VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、またGFP、IKKまたはJNK2をコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
【実施例5】
【0151】
以下のベクターを使用して実施例4において得られたVRPを使用した:
i)NLSにおいて突然変異を有するVEEV CT83カプシドタンパク質(K64N)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド。
ii)野生型VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、またIKKまたはJNK2をコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
【0152】
IKKまたはJNK2遺伝子を含有するVRPを293T細胞に感染させた。293T細胞へのVRPの感染は実施例2と同様に行った。
【0153】
VRP感染293T細胞におけるIKKの発現を、ウェスタンブロッティングによって確認した。陽性対照として、IKK発現ベクタープラスミドをトランスフェクトした293T細胞を使用した。細胞溶解物を、一次抗体(1:500)としてRb抗IKK抗体(Proteintech)および二次抗体(1:4000)としてHRP標識化抗RbIgGを用いたウェスタンブロッティングに供した。
【0154】
結果を図13に示す。図13において、レーン1はVRPに感染した293T細胞を示す。レーン2は、陽性対照、すなわち、IKK発現ベクタープラスミドをトランスフェクトした細胞を示す。この図に示したように、VRPに感染した293T細胞はIKKタンパク質を発現した。
【0155】
感染した293T細胞におけるレプリコン挿入JNK2遺伝子からのJNK2の発現を、ウェスタンブロッティングによって確認した。対照として、感染していない293T細胞を使用した。マウス抗JNK2抗体(Santa Cruz)を一次抗体(1:500)として使用し、HRP標識化抗マウスIgGを二次抗体(1:4000)として使用した。結果を図14に示す。目的の遺伝子としてJNK2を有するVRPに感染した293T細胞は、JNK2を発現することが確認された。
【実施例6】
【0156】
カプシドNLSにおける突然変異の影響
以下のプラスミドを使用して実施例4において得られた2種類のVRPを使用した:
i-1)VEEV CT83野生型カプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、または
i-2)NLSにおいて突然変異を有するVEEV CT83カプシドタンパク質(K64N)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド。
ii)野生型VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、またルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
【0157】
実施例2と同様にVRPを293T細胞に感染させた。実施例2と同様にルシフェラーゼアッセイを行った。結果を図15に示す。
【0158】
この図において、対照はルシフェラーゼ活性のバックグラウンドに対応する。NLSにおいて突然変異を有するカプシドを有するVRPは、WTカプシドを有するVRP(118063)と比較してはるかに高いルシフェラーゼ活性(900556)を示した。
【0159】
このデータは、カプシドの修飾が、カプシドにおいて修飾を有さないアルファウイルスレプリコン粒子と比較して、より高い収率および発現を導くことを示した。
【実施例7】
【0160】
以下のベクターによる293T細胞の共トランスフェクションによって実施例4において得られたVEEウイルスレプリコン粒子(VRP)を使用した:
i)NLSにおいて突然変異を有するVEEV CT83カプシドタンパク質(K64N)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド。
ii)野生型VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド。
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、GFPをコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
実施例2と同様にして得られたVRPを293T細胞に感染させた。対照は感染なしの正常細胞を示す。細胞におけるGFPの発現を確認した。結果を図16に示す。
【実施例8】
【0161】
実施例7において使用したものと同じVEEVレプリコン粒子を使用した。マクロファージJ774.A1細胞および骨髄由来マクロファージ(BMDM)細胞にVRPを感染させた。GFPをコードする目的の遺伝子は、トランスフェクトされたマクロファージ細胞において発現された。
両方の細胞をIL-4により48時間処理して極性化させ、GFP発現について分析した。結果を図17に示す。
【実施例9】
【0162】
CT26モデルに関するインビボ有効性研究
この実施例の概略プロトコールを図18に示す。この実施例において使用したVRPは、以下のプラスミドを使用して実施例4において調製したものである:
i)NLSにおいて突然変異を有するVEEV CT83カプシドタンパク質(K64N)をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、
ii)野生型VEEV CT83 E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、ヒトIκBキナーゼ(IKK)をコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
【0163】
この研究は合計で32匹の動物について、4処置群、n=8からなる。動物は与えられた。動物を、腫瘍容量が60~100mmに達した0日目に無作為化し、10mg/kg(BIW×3およびIP)にてG1:媒体、G2:抗PD-1 mAb、G3:VRPおよびG4:VRPと抗PD-1 mAbの組合せによる投与を0日目に開始する。処置開始後30日まで腫瘍成長をモニターした。
【0164】
1、3、4群に関して、0、2、4、6、8および10日目に50μlの媒体または媒体に分散させたVRPをマウスに腫瘍内注射した。VRPまたは媒体を、0.3mlインスリン型注射器を使用して右側腹部において腫瘍内に投与した。目的は1つの入口点を使用することであったが、針を出し入れすることによって腫瘍を通して物質を分配することであった。
【0165】
腫瘍サイズの測定を1週間に2回実施した。この研究についての人道的エンドポイントは、3000mmの腫瘍負荷および/または20%もしくはそれ以上の体重減少である。各群における8匹全ての動物の結果を図19に示す。
【0166】
データにより、IKKをコードする遺伝子を含むVRPおよびVRPと抗PD-1抗体の組合せが、対照および抗PD-1単独免疫療法より優れた抗腫瘍効果を実証することが示された。
【実施例10】
【0167】
キメラアルファウイルスレプリコン粒子を、以下のベクターのセットを使用して実施例4と同様に調製した。
キメラARP1
i)野生型CHIKV 37997株カプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、
ii)野生型CHIKV 37997株E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、GFPをコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
【0168】
キメラARP2
i)野生型CHIKV OPY-1株カプシドタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、
ii)野生型CHIKV OPY-1株E3-E2-6K-E1をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド、ならびに
iii)VEEV CT83 nsp1、nsp2、nsp3およびnsp4をコードするポリヌクレオチドと、GFPをコードするポリヌクレオチドとを含むプラスミド。
【0169】
得られたARPを実施例1と同様に精製した。一次抗体として抗CHIKVウサギ血清(1:2000)および二次抗体としてヤギ抗ウサギIgG-HRP(1:4000)を使用してウェスタンブロッティングによって精製したキメラARPを確認した。結果を図20に示す。両方のキメラARPの生成を確認した。
【0170】
GFPをコードするキメラARPに293T細胞を感染させた。感染後、細胞を48時間インキュベートし、GFPの発現をFACS分析によって確認した。対照として、感染していない細胞を使用した。結果を図21に示す。ARPSに感染した細胞の5.21%および4.07%がGFPを発現し、キメラARPが細胞内でGFPタンパク質(目的の遺伝子はGFPをコードするヌクレオチドである)を首尾良く発現したことが示唆される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【配列表】
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