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特許7412003アルツハイマー病に罹患している患者の特定の亜集団を治療するためのNSAID及びドネペジルについてのコンパニオン診断
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】アルツハイマー病に罹患している患者の特定の亜集団を治療するためのNSAID及びドネペジルについてのコンパニオン診断
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240104BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240104BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240104BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20240104BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20240104BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20240104BHJP
【FI】
G01N33/68
A61P25/28
A61K45/00
A61K31/192
A61P29/00
A61P43/00 111
A61K31/365
C12Q1/06
C12Q1/68 100Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020540254
(86)(22)【出願日】2019-01-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019013498
(87)【国際公開番号】W WO2019143562
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/618,857
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509278081
【氏名又は名称】ユニバーシティー オブ ノース テキサス ヘルス サイエンス センター アット フォートワース
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF NORTH TEXAS HEALTH SCIENCE CENTER AT FORT WORTH
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(72)【発明者】
【氏名】オブライアント シド イー.
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500551(JP,A)
【文献】特表2015-535249(JP,A)
【文献】特表2016-524168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0129488(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0208507(US,A1)
【文献】O'Bryant, S., Rissman, R.A. and Lyketsos, C.,O4-11-03: A PROINFLAMMATORY ENDOPHENOTYPE PREDICTS TREATMENT RESPONSE IN A MULTICENTER TRIAL OF NSAIDS IN AD,Alzheimer's & Dementia,2014年07月12日,Volume 10, Issue 4S_Part_5,P273-P274
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によるアルツハイマー病の治療に対する患者の反応を同定するためのデータを作成する方法であって、
前記患者から得られた血液又は血清試料におけるTNFαバイオマーカー、CRPバイオマーカー、IL6バイオマーカー、及びIL10バイオマーカーの発現のレベルを測定することによって、炎症誘発性エンドフェノタイプの存在又は非存在を決定するステップ、及び
前記炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、前記NSAIDに対する前記アルツハイマー病の治療反応を予測するためのデータを作成するステップを含み、
前記治療反応が、反応者の治療反応、安定な反応者の治療反応、非反応者の治療反応、又は有害反応者の治療反応であり
93、94、95、96、97、98、99%を超える、又は100%の予測値の精度を有する、
前記方法。
【請求項2】
炎症誘発性エンドフェノタイプが、IL5バイオマーカー、IL7バイオマーカー、及びIL18バイオマーカーの発現のレベルをさらに測定することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炎症誘発性エンドフェノタイプが、タンパク質バイオマーカー、核酸バイオマーカー又はそれらの両方の発現レベルを検出することによって決定される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
NSAIDが、ナプロキセン、ロフェコキシブ、イブプロフェン、ケトプロフェン、トルメチン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、エトドラク、ケトロラク、インドメタシン、ナブメトン、オキサプロジン、又はメフェナム酸のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
炎症誘発性エンドフェノタイプが、
(i)1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルを測定し、前記1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の前記発現レベルをランク付けし、前記ランキングをNSAIDに対する反応と相関させることによって;
(ii)1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルを測定し、以下の順序:CRP、TNFα、IL5、IL6、IL7、IL18、及びIL10で前記1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の前記発現レベルをランク付けし、前記ランキングをナプロキセンに対する反応と相関させることによって;又は、
(iii)1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルを測定し、以下の順序:IL10、CRP、IL6、IL18、IL7、TNFα、及びIL5で前記1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の前記発現レベルをランク付けし、前記ランキングをロフェコキシブに対する反応と相関させることによって;
決定される、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
アルツハイマー病の患者を、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による治療に対する反応性と相関するサブグループに分類するためのデータを作成するステップをさらに含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
抗アルツハイマー病(AD)薬により、アルツハイマー病を以前に治療された患者の反応を分析する方法であって、
抗AD薬により治療された患者からバイオマーカー発現データのデータベースを得るステップであって、任意に前記データベースが臨床試験データベースである、ステップ、
各患者から得られた血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在又は非存在を、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10、及びIL18を含む7種のタンパク質アルゴリズムにより決定するステップ、及び
前記炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、前記抗AD薬に対する治療反応を検出するステップを含み、前記治療反応が、反応者の治療反応、安定な反応者の治療反応、非反応者の治療反応、又は有害反応者の治療反応である、前記方法。
【請求項8】
AChE阻害薬が、アンベノニウム、デメカリウム、ドネペジル、エドロホニウム、ガランタミン、ヒューペルジンA、ラクチュコピクリン、ラドスチギル、メマンチン/ドネペジル、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、リバスチグミン、テトラヒドロアミノアクリジン、又はウンゲレミンのうちの少なくとも1つから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
炎症誘発性エンドフェノタイプが、
CRPバイオマーカー及びTNFαバイオマーカーの発現レベルを決定することによって;又は
TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10、及びIL18から選択される4又は5以上のバイオマーカーの発現レベルを決定することによって;
決定され、前記バイオマーカーがタンパク質、核酸、若しくはそれらの両方として検出される、請求項又はに記載の方法。
【請求項10】
炎症誘発性エンドフェノタイプが、
1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルを測定し、前記1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の前記発現レベルをランク付けし、前記ランキングをドネペジルに対する反応と相関させることによって;又は、
1又は2以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルを測定し、前記炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の前記発現レベルを以下の順序:IL7、IL18、CRP、IL6、TNFα、IL10、及びIL5でランク付けし、前記ランキングをドネペジルに対する反応と相関させることによって
決定される、請求項又はに記載の方法。
【請求項11】
臨床試験において以前に失敗しているか又はアルツハイマー病若しくは他の神経変性疾患に対する効果を有さないことが示されているNSAIDが、アルツハイマー病又は前記他の神経変性疾患に対する効果を有するかどうかを決定するためのデータを作成するステップをさらに含む、請求項1~のいずれかに記載の方法であって、前記ステップが、
アルツハイマー病又は前記他の神経変性疾患を有する患者の血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在又は非存在を決定するステップ、及び
前記炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、NSAIDによるアルツハイマー病又は前記他の神経変性疾患の治療反応を検出するステップであって、前記治療反応が反応者の治療反応又は安定な反応者の治療反応である場合、NSAIDによるアルツハイマー病又は前記他の神経変性疾患の治療に前記患者を選択することを示す、ステップを含む、前記方法。
【請求項12】
アルツハイマー病と診断された患者におけるNSAIDによる治療の薬理学的有効性の可能性の増加を決定するためのデータを作成するステップをさらに含む、請求項1~のいずれかに記載の方法であって、前記ステップが、
炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を使用して、前記患者が、反応者、安定な反応者、非反応者、又は有害反応者の炎症誘発性エンドフェノタイプを有するかを検出するステップ;及び
前記患者の炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、前記患者における前記NSAIDの薬理学的有効性の前記可能性を決定するためのデータを作成するステップであって、反応者又は安定な反応者の炎症誘発性エンドフェノタイプが、前記患者における前記NSAIDによる治療の薬理学的有効性の可能性の増加を示す、ステップ
を含む、前記方法。
【請求項13】
反応者が12カ月にわたって1又は2点以上のMMSEスコアの増加を伴って反応する患者であり、安定な反応者が12カ月にわたってMMSEスコアの変化を伴わずに反応する患者であり、非反応者が12カ月にわたって1~2点のMMSEスコアの低下を示す患者であり、及び有害反応者が12カ月にわたって3又は4点以上のMMSEスコアの低下を示す患者である、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
アルツハイマー病の患者が非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によるどの治療群に属するか予測するためのデータを作成する方法であって、
患者から得られた血液又は血清試料におけるTNFαバイオマーカー、CRPバイオマーカー、IL6バイオマーカー、及びIL10バイオマーカーの発現のレベルを測定することによって、炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を決定するステップ、及び
前記炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、前記NSAIDによる治療について、前記患者が反応者、安定な反応者、非反応者、又は有害反応者のサブグループに属するかどうか予測するためのデータを作成するステップ
を含む、前記方法。
【請求項15】
アルツハイマー病の患者がAChE阻害薬によるどの治療群に属するか予測するためのデータを作成する方法であって、
患者から得られた血液又は血清試料におけるTNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10、及びIL18から選択される、4又は5以上のバイオマーカーの発現のレベルを測定することによって、炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を決定するステップ、及び
前記炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、前記AChE阻害薬による治療について、前記患者が反応者、安定な反応者、非反応者、又は有害反応者のサブグループに属するかどうか予測するためのデータを作成するステップ
を含む、
前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
連邦政府の資金による研究に関する声明
本発明は、国立衛生研究所によって授与されたAG039389、AG051848の下で政府の支援により行われた。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本発明の技術分野
本発明は概して、どのアルツハイマー病患者が、NSAID又はアセチルコリンエステラーゼ(AchE)阻害剤治療により反応性があるか又は安定であり、NSAID又はAChE阻害剤治療に反応する可能性が低く、及びNSAID又はAChE阻害剤治療が禁忌となる患者を決定する分野に関する。
【背景技術】
【0004】
本発明の範囲を限定することなく、その背景はアルツハイマー病に関連して記載されている。
【0005】
現在、500万人以上のアメリカ人がアルツハイマー病(AD,Alzheimer's disease;神経変性認知症の最も一般的な形態)に罹患しており(Association As. 2013 Alzheimer's Disease facts and figures. Alzheimers Dement. 2013;9:1- 72)、これらの数は指数関数的に増えると推定されている。ADは心血管疾患(CVD,cardiovascular disease)と同等の年間医療費を有し、がんより多い(Hurd MD, Martorell P, Delavande A, Mullen KJ, Langa KM. Monetary costs of dementia in the United States. N Engl J Med. 2013;368:1326-1334)。CVD及びがんに起因する死亡率はここ数十年で低下しているが、ADに起因する死亡率は、効果的な疾患修飾療法の欠如に起因して着実に増加している(Association As. 2013 Alzheimer's Disease facts and figures. Alzheimers Dement. 2013;9:1- 72)。ADは不均一な状態であり、特定の治療的に関連する亜集団の同定は、治療選択肢を有意に増強することができる(Lyketsos CG, Szekely CA, Mielke MM, Rosenberg PB, Zandi PP. Developing new treatments for Alzheimer's disease: The who, what, when, and how of biomarker-guided therapies. Int Psychogeriatr. 2008;20:871-889)。
【0006】
神経変性疾患と関連する生物学的経路のプロファイリングは、療法についての新規経路を明らかにすると仮定されており(Henchcliffe C, Dodel R, Beal MF. Biomarkers of Parkinson's disease and Dementia with Lewy bodies. Prog Neurobiol. 2011;95:601-613、Hu WT, Chen-Plotkin A, Arnold SE, Grossman M, Clark CM, Shaw LM, McCluskey L, Elman L, Karlawish J, Hurtig HI, Siderowf A, Lee VM, Soares H, Trojanowski JQ. Biomarker discovery for Alzheimer's disease, frontotemporal lobar degeneration, and Parkinson's disease. Acta Neuropathol. 2010;120:385-399)、炎症が主要な関与経路である(Durrenberger PF, Fernando FS, Kashefi SN, Bonnert TP, Seilhean D, Nait-Oumesmar B, Schmitt A, Gebicke-Haerter PJ, Falkai P, Grunblatt E, Palkovits M, Arzberger T, Kretzswchmar H, Dexter DT, Reynolds R. Common mechanisms in neurodegeneration and neuroinflammation: a BrainNet Europe gene expression microarray study. J Neural Transm. 2014、Heneka MT, Kummer MP, Latz E. Innate immune activation in neurodegenerative disease. Nat Rev Immunol. 2014;14:463-477)。多数の研究が炎症をADと関連付けている(O'Bryant SE, Xiao G, Zhang F, Edwards M, German D, Yin X, Como T, Reisch J, Huebinger HM, Graff-Radford N, Dickson D, Barber RC, Hall J, O'Suilleabhain P, Grammas P. Validation of a serum screen for Alzheimer's disease across assay platforms, species and tissues. J Alzheimers Dis. 2014;42:1325-35、O'Bryant SE, Johnson L, Edwards M, Soares H, Devous MD, Ross S, Rohlfing G, Hall J; Texas Research and Care Consortium. The link between c-reactive protein and Alzheimer's disease among Mexican Americans. J Alzheimers Dis. 2013;34:701-706)。例えば、本発明者らの以前の調査において、炎症がADの検出のための血清ベースのプロテオームプロファイルにおいて重要な役割を果たすことが見出された(O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081、O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Huebinger R, Wilhelmsen K, Edwards M, Graff-Radford N, Doody R, Di. A blood-based screening tool for Alzheimer's disease that spans serum and plasma: Findings from TARC and ADNI. PLoS ONE. 2011;6:e28092、O'Bryant S, Xiao G, Barber R, Reisch J, Hall J, Cullum CM, Doody R, Fairchild T, Adams P, Wilhelmsen K, Diaz-Arrastia R. A blood based algorithm for the detection of Alzheimer's disease. Dement Geriatr Cogn Disord. 2011;32:55-62)。したがって、この分野における主要な仮説は、抗炎症化合物がAD及び他の神経変性疾患を治療する可能性を有するということである(O'Bryant SE, Waring SC, Hobson V, Hall JR, Moore CB, Bottiglieri T, Massman P, Diaz- Arrastia R. Decreased C-reactive protein levels in alzheimer disease. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2010;23:49-53、Anthony JC, Breitner JC, Zandi PP, Meyer MR, Jurasova I, Norton MC, Stone SV. Reduced prevalence of AD in users of NSAIDs and H2 receptor antagonists: the Cache County study. Neurology. 2000;54:2066-2071、Etminan M, Gill S, Samii A. Effect of non-steroidal anti-inflammatory drugs on risk of Alzheimer's disease: Systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ. 2003;327:128、Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Pfeiffer E, Sano M, Davis KL, Farlow MR, Jin S, Thomas RG, Thal LJ, Alzheimer's Disease Cooperative Study. Effects of rofecoxib or naproxen vs placebo on Alzheimer disease progression: a randomized controlled trial. JAMA. 2003;289:2819-2826、Gasparini L, Ongini E, Wenk G. Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) in Alzheimer's disease: Old and new mechanisms of action. J Neurochem. 2004;91:521-536、Hirohata M, Ono K, Naiki H, Yamada M. Non-steroidal anti-inflammatory drugs have anti- amyloidogenic effects for Alzheimer's B-amyloid fibrils in vitro. Neuropharmacology. 2005;49:1088-1099、Klegeris A, McGeer PL. Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) and other anti- inflammatory agents in the treatment of neurodegenerative disease. Curr Alzheimer Res. 2005;2:355-365)。しかしながら、NSAIDを使用した複数のランダム化臨床試験のいずれも、有望な初期臨床試験データにもかかわらず、ADを治療又は阻止するのに成功していない(Thal LJ, Ferris SH, Kirby L, Block GA, Lines CR, Yuen E, Assaid C, Nessly ML, Norman BA, Baranak CC, Reines SA; Rofecoxib Protocol 078 study group. A randomized, double- blind, study of rofecoxib in patients with mild cognitive impairment. Neuropsychopharmacology. 2005;30:1204-1215、Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Knopman D, Tabet N. Neither rofecoxib nor naproxen slows cognitive decline in people with mild-to-moderate Alzheimer's disease. Evidence- Based Healthcare. 2003;7:200-201、ADAPT Research Group, Lyketsos CG, Breitner JC, Green RC, Martin BK, Meinert C, Piantadosi S, Sabbagh M. Naproxen and celecoxib do not prevent AD in early results from a randomized controlled trial. Neurology. 2007;68:1800-1808)。したがって、ADに対する特定の患者の反応に合わせてカスタマイズされる効果的な治療についての必要性が依然として存在している。また、コリンエステラーゼ阻害剤は一部の患者に有用であるが、他の患者には有益ではないか、又は有害作用でさえあるという長年の臨床的認識が存在する。しかしながら、これまで、これらの転帰を予測することは成功していない。また、コリンエステラーゼ阻害剤に対して最大限に反応する患者のサブグループが存在し、炎症マーカーによりこれらの患者が同定され得るという仮説も立てられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Association As. 2013 Alzheimer's Disease facts and figures. Alzheimers Dement. 2013;9:1- 72
【文献】Hurd MD, Martorell P, Delavande A, Mullen KJ, Langa KM. Monetary costs of dementia in the United States. N Engl J Med. 2013;368:1326-1334
【文献】Lyketsos CG, Szekely CA, Mielke MM, Rosenberg PB, Zandi PP. Developing new treatments for Alzheimer's disease: The who, what, when, and how of biomarker-guided therapies. Int Psychogeriatr. 2008;20:871-889
【文献】Henchcliffe C, Dodel R, Beal MF. Biomarkers of Parkinson's disease and Dementia with Lewy bodies. Prog Neurobiol. 2011;95:601-613
【文献】Hu WT, Chen-Plotkin A, Arnold SE, Grossman M, Clark CM, Shaw LM, McCluskey L, Elman L, Karlawish J, Hurtig HI, Siderowf A, Lee VM, Soares H, Trojanowski JQ. Biomarker discovery for Alzheimer's disease, frontotemporal lobar degeneration, and Parkinson's disease. Acta Neuropathol. 2010;120:385-399
【文献】Durrenberger PF, Fernando FS, Kashefi SN, Bonnert TP, Seilhean D, Nait-Oumesmar B, Schmitt A, Gebicke-Haerter PJ, Falkai P, Grunblatt E, Palkovits M, Arzberger T, Kretzswchmar H, Dexter DT, Reynolds R. Common mechanisms in neurodegeneration and neuroinflammation: a BrainNet Europe gene expression microarray study. J Neural Transm. 2014
【文献】Heneka MT, Kummer MP, Latz E. Innate immune activation in neurodegenerative disease. Nat Rev Immunol. 2014;14:463-477
【文献】O'Bryant SE, Xiao G, Zhang F, Edwards M, German D, Yin X, Como T, Reisch J, Huebinger HM, Graff-Radford N, Dickson D, Barber RC, Hall J, O'Suilleabhain P, Grammas P. Validation of a serum screen for Alzheimer's disease across assay platforms, species and tissues. J Alzheimers Dis. 2014;42:1325-35
【文献】O'Bryant SE, Johnson L, Edwards M, Soares H, Devous MD, Ross S, Rohlfing G, Hall J; Texas Research and Care Consortium. The link between c-reactive protein and Alzheimer's disease among Mexican Americans. J Alzheimers Dis. 2013;34:701-706
【文献】O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081
【文献】O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Huebinger R, Wilhelmsen K, Edwards M, Graff-Radford N, Doody R, Di. A blood-based screening tool for Alzheimer's disease that spans serum and plasma: Findings from TARC and ADNI. PLoS ONE. 2011;6:e28092
【文献】O'Bryant S, Xiao G, Barber R, Reisch J, Hall J, Cullum CM, Doody R, Fairchild T, Adams P, Wilhelmsen K, Diaz-Arrastia R. A blood based algorithm for the detection of Alzheimer's disease. Dement Geriatr Cogn Disord. 2011;32:55-62
【文献】O'Bryant SE, Waring SC, Hobson V, Hall JR, Moore CB, Bottiglieri T, Massman P, Diaz- Arrastia R. Decreased C-reactive protein levels in alzheimer disease. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2010;23:49-53
【文献】Anthony JC, Breitner JC, Zandi PP, Meyer MR, Jurasova I, Norton MC, Stone SV. Reduced prevalence of AD in users of NSAIDs and H2 receptor antagonists: the Cache County study. Neurology. 2000;54:2066-2071
【文献】Etminan M, Gill S, Samii A. Effect of non-steroidal anti-inflammatory drugs on risk of Alzheimer's disease: Systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ. 2003;327:128
【文献】Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Pfeiffer E, Sano M, Davis KL, Farlow MR, Jin S, Thomas RG, Thal LJ, Alzheimer's Disease Cooperative Study. Effects of rofecoxib or naproxen vs placebo on Alzheimer disease progression: a randomized controlled trial. JAMA. 2003;289:2819-2826
【文献】Gasparini L, Ongini E, Wenk G. Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) in Alzheimer's disease: Old and new mechanisms of action. J Neurochem. 2004;91:521-536
【文献】Hirohata M, Ono K, Naiki H, Yamada M. Non-steroidal anti-inflammatory drugs have anti- amyloidogenic effects for Alzheimer's B-amyloid fibrils in vitro. Neuropharmacology. 2005;49:1088-1099
【文献】Klegeris A, McGeer PL. Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) and other anti- inflammatory agents in the treatment of neurodegenerative disease. Curr Alzheimer Res. 2005;2:355-365
【文献】Thal LJ, Ferris SH, Kirby L, Block GA, Lines CR, Yuen E, Assaid C, Nessly ML, Norman BA, Baranak CC, Reines SA; Rofecoxib Protocol 078 study group. A randomized, double- blind, study of rofecoxib in patients with mild cognitive impairment. Neuropsychopharmacology. 2005;30:1204-1215
【文献】Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Knopman D, Tabet N. Neither rofecoxib nor naproxen slows cognitive decline in people with mild-to-moderate Alzheimer's disease. Evidence- Based Healthcare. 2003;7:200-201
【文献】ADAPT Research Group, Lyketsos CG, Breitner JC, Green RC, Martin BK, Meinert C, Piantadosi S, Sabbagh M. Naproxen and celecoxib do not prevent AD in early results from a randomized controlled trial. Neurology. 2007;68:1800-1808
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態では、本発明は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID,non-steroidal anti-inflammatory drug)によるアルツハイマー病の治療に対する患者反応を同定する方法であって、患者から血液又は血清試料を得るステップ、患者の血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を決定するステップ、炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、治療反応(反応者[responder]、安定[stable]、非反応者[non-responder]又は有害反応者[adverse responder])を検出するステップ、及び患者が反応者若しくは安定な治療反応の表現型の群である場合、NSAIDにより患者を治療するステップ、又は患者が非反応者若しくは有害反応者である場合、NSAIDによる治療を阻止するステップを含む、方法を包含する。一態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプが、CRP及びTNFαを使用して決定される。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプが、TNFα、CRP、IL6及びIL10バイオマーカーを使用して決定される。別の態様では、アッセイされる炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質が、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18である。別の態様では、治療反応が、反応者、安定、非反応者又は有害反応者から選択される。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルが、タンパク質を検出することによって決定される。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルが、核酸を検出することによって決定される。別の態様では、NSAIDが、ナプロキセン、ロフェコキシブ、イブプロフェン、ケトプロフェン、トルメチン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、エトドラク、ケトロラク、インドメタシン(imdomethacin)、ナブメトン、オキサプロジン又はメフェナム酸のうちの少なくとも1つから選択される。別の態様では、この方法は、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらをNSAIDと相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:TNFα、CRP、IL6及びIL10で炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらをナプロキセンに対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:TNFα、CRP、IL6及びIL10で炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらをロフェコキシブに対する反応と相関させるステップをさらに含む。一態様では、この方法は、IL5、IL7及びIL18の発現レベルを決定するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値の精度を有する。別の態様では、この方法は、NSAIDによる治療から患者を除外するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、NSAIDが禁忌となる患者に対するNSAID治療を中止するステップをさらに含む。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病を、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による治療に対する反応性と相関するサブグループに分類する方法であって、患者から血液又は血清試料を得るステップ、血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を、TNFα、CRP、IL6及びIL10の発現から決定するステップ、及び炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、NSAIDによる治療に対する治療反応(反応者、安定、非反応者又は有害反応者)を決定するステップを含む、方法を包含する。一態様では、TNFα、CRP、IL6及びIL10の発現レベルが、タンパク質及び/又は核酸を検出することによって決定される。別の態様では、この方法は、タンパク質及び/又は核酸を検出することによって決定される、IL5、IL7及びIL18の発現レベルを検出するステップをさらに含む。別の態様では、治療反応が、反応者、安定、非反応者又は有害反応者から選択される。別の態様では、NSAIDが、ナプロキセン、ロフェコキシブ、イブプロフェン、ケトプロフェン、トルメチン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、エトドラク、ケトロラク、インドメタシン、ナブメトン、オキサプロジン又はメフェナム酸のうちの少なくとも1つから選択される。別の態様では、この方法は、7種のタンパク質の発現をランク付けし、それらをNSAIDに対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、4又は5以上のタンパク質の発現をランク付けし、ある特定の場合において、以下の順序:CRP、TNFα、IL5、IL6、IL7、IL18及びIL10で7種のタンパク質が決定され、それらをナプロキセンに対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:IL10、CRP、IL6、IL18、IL7、TNFα及びIL5で7種のタンパク質の発現をランク付けし、それらをロフェコキシブに対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、治療反応が、反応者、安定、非反応者又は有害反応者から選択される。別の態様では、この方法は、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値の精度を有する。別の態様では、この方法は、NSAIDによる治療から患者を除外するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、NSAIDが禁忌となる患者に対するNSAID治療を中止するステップをさらに含む。
【0010】
別の態様では、本発明は、AChE阻害薬(例えば、ドネペジル、アリセプト)によるアルツハイマー病の治療に対する患者反応を同定する方法であって、患者から血液又は血清試料を得るステップ、患者の血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を決定するステップ、炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、治療反応(反応者、安定、非反応者又は有害反応者)を検出するステップ、及び患者が反応者若しくは安定な治療反応の表現型の群である場合、AChE阻害剤により患者を治療するステップ、又は患者が非反応者若しくは有害反応者である場合、AChE阻害剤による治療を阻止するステップを含む、方法を包含する。一態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプが、CRP及びTNFαを使用して決定される。別の態様では、アッセイされる炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質が、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18である。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルが、タンパク質を検出することによって決定される。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現レベルが、核酸を検出することによって決定される。別の態様では、AChE阻害剤が、ドネペジル、アリセプト、リバスチグミン及びガランタミンのうちの少なくとも1つから選択される。別の態様では、この方法は、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらをAChE阻害剤に対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:IL7、IL18、CRP、IL6、TNFα、IL10及びIL5で炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらをドネペジルに対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値の精度を有する。別の態様では、この方法は、AChE阻害剤による治療から患者を除外するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、AChE阻害剤が禁忌となる患者に対するAChE阻害剤治療を中止するステップをさらに含む。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病を、AChE阻害薬(例えば、ドネペジル、アリセプト)による治療に対する反応性と相関するサブグループに分類する方法であって、患者から血液又は血清試料を得るステップ、血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18の発現から決定するステップ、及び炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、AChE阻害剤による治療に対する治療反応(反応者、安定、非反応者又は有害反応者)を検出するステップを含む、方法を包含する。一態様では、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18の発現レベルが、タンパク質を検出することによって決定される。別の態様では、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18の発現レベルが、核酸を検出することによって決定される。別の態様では、AChE阻害剤が、ドネペジル、アリセプト、リバスチグミン及びガランタミンのうちの少なくとも1つから選択される。別の態様では、この方法は、7種のタンパク質の発現をランク付けし、それらをAChE阻害剤に対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:IL7、IL18、CRP、IL6、TNFα、IL10及びIL5で7種のタンパク質の発現をランク付けし、それらをドネペジルに対する反応と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値の精度を有する。別の態様では、この方法は、AChE阻害剤による治療から患者を除外するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、AChE阻害剤が禁忌となる患者に対するAChE阻害剤治療を中止するステップをさらに含む。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、抗AD薬によりアルツハイマー病に対して以前に治療された患者の反応を分析する方法であって、抗AD薬により治療された患者からバイオマーカー発現データのデータベースを得るステップ、血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を、7種のタンパク質アルゴリズムにより決定するステップ、炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、治療反応(反応者、安定、非反応者又は有害反応者)を検出するステップ、及び薬物の有効性が炎症誘発性エンドフェノタイプを有する患者と相関するかどうかを決定するステップを含む、方法を包含する。一態様では、この方法は、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値の精度を有する。別の態様では、血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプが、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18の発現から決定される。別の態様では、データベースが、臨床試験から得られる。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、NSAID治療に対する非反応者又は有害反応者について患者をスクリーニングすることによって臨床研究への採用から患者を除外する方法であって、患者から血液又は血清試料を得るステップ、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18の発現レベルを決定するステップ、患者が炎症誘発性エンドフェノタイプを有するかどうかを決定するステップ、及び患者が非反応者又は有害反応者の治療反応の表現型の群であるという決定に基づいて患者が排除される場合、臨床研究への採用から患者を除外するステップを含む、方法を包含する。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、臨床試験において以前に失敗しているか又はアルツハイマー病若しくは神経変性疾患に対する効果を有さないことが示されているNSAIDが、アルツハイマー病又は神経変性疾患に対する効果を有するかどうかを決定する方法であって、アルツハイマー病又は神経変性疾患を有する患者の血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在を決定するステップ、治療反応が反応者又は安定な治療反応の炎症誘発性エンドフェノタイプである場合、NSAIDによる治療のための患者を選択するステップ、及びNSAIDが患者のアルツハイマー病又は神経変性疾患に対する効果を有するかどうかを決定するステップを含む、方法を包含する。一態様では、この方法は、NSAIDにより患者を治療するステップ、例えば、炎症誘発性エンドフェノタイプを決定する前に患者を治療するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、臨床試験において以前に失敗しているか又はアルツハイマー病若しくは神経変性疾患を有する集団に対して統計的に有意な効果を有さないことが示されているNSAIDを選択するステップをさらに含む。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプが、TNFα、CRP、IL6及びIL10バイオマーカーを使用して決定される。別の態様では、アッセイされる炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質が、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18である。別の態様では、この方法は、患者が非反応者又は有害反応者のエンドフェノタイプの群であると決定される場合、NSAIDによる治療から患者を除外するステップをさらに含む。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病と診断された患者におけるNSAIDによる治療の薬理学的有効性の可能性の増加を決定する方法であって、患者から血液又は血清試料を得るステップ、患者の血液又は血清試料における炎症誘発性エンドフェノタイプの存在又は非存在を決定するステップ、及び炎症誘発性エンドフェノタイプを使用して、患者におけるNSAIDの薬理学的有効性の可能性を決定するステップであって、反応者又は安定な炎症誘発性エンドフェノタイプが、患者におけるNSAIDによる治療の薬理学的有効性の可能性の増加を示す、ステップを含む、方法を包含する。一態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプが、CRP及びTNFαバイオマーカーから決定される。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプが、TNFα、CRP、IL6及びIL10バイオマーカーを使用して決定される。別の態様では、アッセイされる炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質が、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18である。別の態様では、非反応者又は有害反応者のエンドフェノタイプが、患者におけるNSAIDによる治療の薬理学的有効性の可能性の低下を示す。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプの発現レベルが、2又は3以上の炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質を検出することによって決定される。別の態様では、炎症誘発性エンドフェノタイプの発現レベルが、2又は3以上の炎症誘発性エンドフェノタイプ核酸を検出することによって決定される。別の態様では、NSAIDが、ナプロキセン、ロフェコキシブ、イブプロフェン、ケトプロフェン、トルメチン、ジクロフェナク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ピロキシカム、エトドラク、ケトロラク、インドメタシン、ナブメトン、オキサプロジン又はメフェナム酸のうちの少なくとも1つから選択される。別の態様では、この方法は、炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらをNSAIDによる治療の薬理学的有効性の可能性の増加と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:CRP、TNFα、IL5、IL6、IL7、IL18及びIL10で炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらを患者におけるナプロキセンによる治療の薬理学的有効性の可能性と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、以下の順序:IL10、CRP、IL6、IL18、IL7、TNFα及びIL5で炎症誘発性エンドフェノタイプタンパク質の発現をランク付けし、それらを患者におけるロフェコキシブによる治療の薬理学的有効性の可能性と相関させるステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値の精度を有する。別の態様では、この方法は、患者が反応者のエンドフェノタイプを有する場合、NSAIDにより患者を治療するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、患者が安定なエンドフェノタイプを有する場合、NSAIDにより患者を治療するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、患者が非反応者又は有害反応者のエンドフェノタイプを有する場合、NSAIDによる治療から患者を除外するステップをさらに含む。別の態様では、この方法は、非反応者又は有害反応者のエンドフェノタイプを有する患者に対するNSAID治療を中止するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、添付の図面と共に本発明の詳細な説明に対する参照がここでなされる。
図1】心疾患、具体的にはアテローム性動脈硬化症の一般的な疾患状態への脱構築、及びアテローム性動脈硬化症を同定するために使用されるマーカーを示す図である。
図2】本発明の知見に基づいてアルツハイマー病をサブグループに脱構築するためのモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の各種実施形態の作成及び使用について以下で詳細に論じるが、本発明は、多様な特定の状況において実施可能である多くの適用可能な発明概念を提供するものと理解されるべきである。本明細書で論じられる特定の実施形態は、単に本発明を作成及び使用する特定の方法を例示するに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する当業者により通常理解される意味を有する。「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その」などの用語は単数形の物を指すだけでなく、特定の実施例が例示のために使用可能である、一般的な種類も含むことを意図される。専門用語は、本明細書では本発明の特定の実施形態について記載するために使用されるが、特許請求の範囲において説明される場合を除き、それらの使用により本発明が限定されることはない。
【0019】
数十億ドルが費やされたにもかかわらず、アルツハイマー病(AD)のための新規薬物は10年以上にわたって規制上のハードルを越えていない。本発明者らの以前の調査において、彼らは、がんにおけるものと同様に、ADについての精密医療モデルの創出のためにパラダイムシフトが必要であることを提案した。具体的には、本発明者は、生物学的機能障害に基づいてADに罹患している患者のサブグループを同定した。最終的な目標は、ADに罹患している所与の患者が被っている特定の生物学的機能障害に対処する特定の医薬を使用してガイド治療計画(又はその変更)を提供することであった。
【0020】
より詳細には、本発明は、ADに罹患している患者の特定の亜集団を同定する方法を包含する。1つのサブグループは、炎症系の機能不全(炎症誘発性エンドフェノタイプ)に基づく。炎症誘発性エンドフェノタイプが療法をガイドすることができるかどうかを決定するために、本発明者は、ADにおけるNSAID(ロフェコキシブ、ナプロキセン;プラセボ治療群は、ARICEPT(登録商標)として市販されているAChE阻害剤であるドネペジルであった)の治験に参加したAD患者からのベースライン(ランダム化前)血液試料を調べた。この調査では、各療法に対する治療反応を特異的かつ確実に予測する薬物特異的コンパニオン診断を創出した。
【0021】
本明細書に使用されている場合、「炎症誘発性エンドフェノタイプ」という用語は、炎症を駆動する免疫反応を示す、核酸又はタンパク質レベルにて検出可能な反応を指す。炎症誘発性エンドフェノタイプにより同定されたこれらの対象に対して治療を提供する場合、その治療には以下が含まれ得る。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID):非選択的NSAID-非選択的NSAIDは、炎症誘発性エンドフェノタイプの上限に該当するこれらの患者のために選択される。本明細書に示しているように、非選択的NSAID(ナプロキセン)は選択的NSAID(セレコキシブ)よりも優れた治療であった。非選択的NSAIDは炎症誘発性エンドフェノタイプの上限に該当する人であれば誰でも試すことができる。
【0022】
炎症誘発性エンドフェノタイプを決定するために、試料における以下のバイオマーカーのうちの2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15又は16以上を分析のために選択した。1つの特定の例において、4つのバイオマーカー、すなわち、TNFα、CRP、IL6及びIL10が炎症誘発性エンドフェノタイプを決定するのに効果的であり、93、94、95、96、97、98、99又は100%超の予測値を達成することが示されている。具体的には、バイオマーカーには、インターロイキン(IL,interleukin)-7、腫瘍壊死因子-アルファ(TNFα,tumor necrosis factor-alpha)、IL-5、IL-6、C反応性タンパク質(CRP,C-reactive protein)、IL-10、テネイシンC(TNC,tenascin C)、細胞内接着分子-1(ICAM1,intracellular adhesion molecule-1)、凝固因子VII(FVII,coagulation factor VII)、I309、腫瘍壊死因子受容体-1(TNFR1,tumor necrosis factor receptor-1)、アルファ-2マクログロブリン(A2M,alpha-2 macroglobulin)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド17(TARC)、エオタキシン3、血管細胞接着分子-1(VCAM1,vascular cell adhesion molecule-1)、トロンボポエチン(TPO,thrombopoietin)、脂肪酸結合タンパク質(FABP,fatty acid binding protein)、IL-18、ベータ-2ミクログロブリン(B2M,beta-2 microblogulin)、血清アミロイドA1クラスター(SAA,serum amyloid A1 cluster)、膵ポリペプチド(PPY,pancreatic polypeptide)、パーキンソンタンパク質7(DJ1)、ベータアミロイド(Aβ,beta amyloid)、タウ、又はα-シヌクレイン、IL7、TNFα、IL5、IL6、CRP、IL10、TNC、ICAM1、FVII、I309、TNFR1、A2M、TARC、エオタキシン3、VCAM1、TPO、FABP、IL18、B2M、SAA、PPY、DJ1、Aβ、タウ、又はα-シヌクレインが含まれる。核酸又はタンパク質発現レベルでのこれらのバイオマーカーの検出からの結果に基づいて、高い又は低い炎症誘発性エンドフェノタイププロファイルが、2又は3以上のバイオマーカーの発現のレベルから決定される。本発明の1つの特定の実施形態では、炎症誘発性エンドフェノタイプマーカーは、TNFα、CRP、IL6及びIL10であり、別の例では、バイオマーカーは、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18である。
【0023】
本明細書に使用されている場合、「マーカー」、「検出可能なマーカー」及び「検出可能な標識」という用語は、例えば、増幅させるか又はさせずに、直接的又は間接的に検出され得る、核酸、タンパク質、抗体、酵素、放射性同位体、高電子密度粒子、磁性粒子又は発色団などの、それらの特異的な機能特性及び/又は化学的特徴に起因して検出され得る化合物及び/又はエレメントを指すために交換可能に使用され、それらの使用は、それらが結合している薬剤を検出することを可能にし、及び/又は所望の場合、さらに定量することを可能にする。容易に取り扱われ、安価で、無毒性である蛍光標識を含む、多くの種類の検出可能な標識が存在する。
【0024】
データソース。アルツハイマー病共同研究(ADCS,Alzheimer's Disease Cooperative Studies)抗炎症臨床試験からの預けられていた血漿試料(Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Knopman D, Tabet N. Neither rofecoxib nor naproxen slows cognitive decline in people with mild-to-moderate Alzheimer's disease. Evidence- Based Healthcare. 2003;7:200-201)を使用した。この試験、そのエンドポイント及びインフォームドコンセントの十分な記述は、参照により本明細書に組み込まれる関連部分である、他の文献に公開されている(Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Knopman D, Tabet N. Neither rofecoxib nor naproxen slows cognitive decline in people with mild-to-moderate Alzheimer's disease. Evidence- Based Healthcare. 2003;7:200-201、Grundman M, Thal JL. Treatment of Alzheimer’s disease: rationale and strategies. Neurologic Clinics. 2000;18:807-827)。これは、ADCSに所属している40の外来治療センターにわたって医薬を研究するために1年間曝露した、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験であった。ADの可能性があると診断された個体(n=351)を1999年12月から2000年11月まで採用し、以下の治療による治療群のうちの1つにランダム化した:ロフェコキシブ(25mg、1日1回)、ナプロキセン(220mg、1日2回)又はプラセボ。組み入れ基準は以下の通りであった:50歳又はそれ以上、13~26のMMSEスコア及びADの可能性があると診断。コリンエステラーゼ阻害剤の安定な使用を許可した。除外基準は以下の通りであった:NSAID治療に関連する有害事象(アスピリン又はNSAIDに対する過敏症、活動性消化性潰瘍疾患(5年)、腎不全[血清クレアチニン値>1.5mg/dL又は>132.6umol/L]、臨床的に重大な肝疾患、コントロール不良の高血圧、うっ血性心不全又は出血性潰瘍)についてのリスクを増加させる併発状態の存在;NSAIDに反応する可能性のある併発状態(例えば、炎症性関節炎);炎症性医薬(1日用量≦325mgでのアスピリンは許容した)、神経弛緩薬、抗うつ薬、鎮静薬、抗パーキンソン病医薬又はADについての任意の治験治療の定期的使用歴(2カ月)。合計88例がプラセボ治療群を完了し(111例のランダム化)、90例がナプロキセン治療群を完了し(118例のランダム化)、89例がロフェコキシブ治療群を完了した(122例のランダム化)。今回の研究では、今回の分析に組み入れられた156人の参加者(ナプロキセンn=51、プラセボn=51、ロフェコキシブn=55)について、プロテオーム及び必須臨床データを入手した。
【0025】
アッセイ。全てのランダム化前の血漿試料を、参照により本明細書に組み込まれる関連部分である、本発明者らの以前に公開されたプロトコール(O'Bryant SE, Xiao G, Zhang F, Edwards M, German D, Yin X, Como T, Reisch J, Huebinger HM, Graff-Radford N, Dickson D, Barber RC, Hall J, O'Suilleabhain P, Grammas P. Validation of a serum screen for Alzheimer's disease across assay platforms, species and tissues. J Alzheimers Dis. 2014;42:1325-35)に従って、Meso Scale Discovery社製(MSD;www.mesoscale.com)のSECTOR Imager 2400Aを使用した電気化学発光によるマルチプレックスバイオマーカーアッセイプラットフォームによって二重にアッセイした。血液試料を収集し、ADCSバイオレポジトリーにおいて中心的に保存した試料を用いて元の臨床試験方法(Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Knopman D, Tabet N. Neither rofecoxib nor naproxen slows cognitive decline in people with mild-to-moderate Alzheimer's disease. Evidence- Based Healthcare. 2003;7:200-201)に従って処理した。アッセイしたタンパク質は、以前にADの検出と関連付けられている、TNFα、CRP、IL5、IL6、IL7、IL10及びIL18を含んだ(O'Bryant SE, Xiao G, Zhang F, Edwards M, German D, Yin X, Como T, Reisch J, Huebinger HM, Graff-Radford N, Dickson D, Barber RC, Hall J, O'Suilleabhain P, Grammas P. Validation of a serum screen for Alzheimer's disease across assay platforms, species and tissues. J Alzheimers Dis. 2014;42:1325-35、O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081)。
【0026】
統計分析。参照により本明細書に組み込まれる関連部分である、以前に公開されたプロトコール(O'Bryant SE, Xiao G, Zhang F, Edwards M, German D, Yin X, Como T, Reisch J, Huebinger HM, Graff-Radford N, Dickson D, Barber RC, Hall J, O'Suilleabhain P, Grammas P. Validation of a serum screen for Alzheimer's disease across assay platforms, species and tissues. J Alzheimers Dis. 2014;42:1325-35、O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081)に従ってBox-Cox変換を使用してバイオマーカーデータを変換した。サポートベクターマシーン(SVM,support vector machine)分析を利用して、参照により本明細書に組み込まれる関連部分である、本発明者らの以前に公開された方法(O'Bryant SE, Xiao G, Zhang F, Edwards M, German D, Yin X, Como T, Reisch J, Huebinger HM, Graff-Radford N, Dickson D, Barber RC, Hall J, O'Suilleabhain P, Grammas P. Validation of a serum screen for Alzheimer's disease across assay platforms, species and tissues. J Alzheimers Dis. 2014;42:1325-35、O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081、O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Huebinger R, Wilhelmsen K, Edwards M, Graff-Radford N, Doody R, Di. A blood-based screening tool for Alzheimer's disease that spans serum and plasma: Findings from TARC and ADNI. PLoS ONE. 2011;6:e28092、O'Bryant S, Xiao G, Barber R, Reisch J, Hall J, Cullum CM, Doody R, Fairchild T, Adams P, Wilhelmsen K, Diaz-Arrastia R. A blood based algorithm for the detection of Alzheimer's disease. Dement Geriatr Cogn Disord. 2011;32:55-62、O'Bryant SE, Xiao G, Edwards M, Devous M, Gupta VB, Martins R, Zhang F, Barber R; Texas Alzheimer's Research and Care Consortium (TARCC). Biomarkers of Alzheimer's disease among Mexican Americans. J Alzheimers Dis. 2013;34:841-849)に従って、Rにおける全ての転帰群を同時に分類するプロテオームプロファイルを構築した。SVM分析は、大容量データを同時に考慮して、バイナリ転帰のみではなく、複数の転帰を最も正確に分類する全体的なプロファイル(例えば、選択タンパク質の過剰発現及び過少発現)を生成することができる。MMSE変化スコアを研究のための転帰変数として利用した(すなわち、MMSEスクリーニング-MMSE12カ月追跡=MMSE変化)。参加者を12カ月にわたるMMSEスコアの変化に基づいて4群に分類した:反応者(12カ月にわたって1点以上のMMSEスコアの改善)、安定(12カ月にわたってMMSEの変化なし)、非反応者(12カ月にわたって1~2点のMMSE低下)又は有害反応者(12カ月にわたって3点又は4点以上のMMSE低下)。治療反応の炎症性プロファイルを構築するために、予測変数としてランダム化前の炎症性タンパク質を用いてSVMモデルにおいて群の状態(すなわち、治療反応)を転帰変数として利用した。治療反応の炎症誘発性プロファイルが薬物特異的であるかどうかを決定するために、特定の研究治療による治療群内だけでなく、全試料を利用して分析を行った。
【0027】
コホートの人口学的特徴は表1に見出され得る。コホートの完全な特徴付けは、参照により本明細書に組み込まれる関連部分である、他の文献(Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Knopman D, Tabet N. Neither rofecoxib nor naproxen slows cognitive decline in people with mild-to-moderate Alzheimer's disease. Evidence- Based Healthcare. 2003;7:200-201、Grundman M, Thal JL. Treatment of Alzheimer’s disease: rationale and strategies. Neurologic Clinics. 2000;18:807-827)に見出され得る。参加者の合計34人(22%)が追跡の過程にわたって改善されたMMSEスコアを示し、19人(12%)が安定したままであり、30人(19%)がわずかに低下した(1~2点)が、参加者の73人(47%)は、12カ月の期間にわたってMMSEの3点又は4点以上の低下を実証した。最初に、コホート全体の間の治療反応を予測するためにSVMベースの炎症誘発性プロファイルを生成した;結果は表2にある。治療反応群のメンバーシップを予測する際の炎症誘発性プロファイルの全体の精度は93%であった。治療反応の予測に関して、SVMベースの炎症誘発性プロファイルは、改善した認知機能を経験したそれらの参加者を検出する際に88%(34人の中から29人)の正確さ、安定したままであった参加者を検出する際に89%の正確さ、わずかな低下を検出する際に100%(30人の中から30人)の正確さ、及び経時的にMMSEが3点又は4点以上低下した参加者を検出する際に89%の正確さであった(表2)。
【0028】
【表1】
【0029】
次に、SVMベースの炎症誘発性プロファイルを各治療による治療群について別々に生成した。ナプロキセン治療群では、参加者の合計10人(20%)が12カ月にわたってMMSEスコアの改善を実証し、4人(8%)は安定したままであり、10人(20%)はわずかな低下を実証したが、26人(51%)は3点又は4点以上低下した。ナプロキセン特異的炎症誘発性プロファイルは、全ての治療反応群を予測する際に100%の正確さであった。ロフェコキシブ治療群では、9人(16%)の参加者が経時的に改善されたMMSEスコアを実証し、8人(15%)が安定したままであり、14人(25%)がわずかに低下し、23人(42%)が12カ月にわたって3点又は4点以上低下した。ロフェコキシブ特異的炎症誘発性プロファイルは、全ての治療反応群を予測する際に100%の正確さであった。プラセボ群(すなわち、コリンエステラーゼ阻害剤)では、14人(27%)がMMSEスコアの改善を実証し、6人(12%)が安定したままであり、11人(22%)がわずかに低下し、20人(39%)が12カ月にわたって3点又は4点以上低下した(表2)。プラセボ特異的炎症誘発性プロファイルは、全ての治療反応群を予測する際に100%の正確さであった。
【0030】
【表2】
【0031】
次に、炎症誘発性プロファイルの重要なプロットを各研究治療群にわたって検討した(表3を参照のこと)。表3に見られ得るように、薬物特異的アルゴリズム内の各マーカーの相対的重要度は異なっていた。例えば、ナプロキセンに対する治療反応を予測する際の3つの最も重要なマーカーは、それぞれCRP、TNFα及びIL5であった。
【0032】
【表3】
【0033】
あるいは、プラセボ(すなわち、AChE阻害剤)群及びロフェコキシブ群についての上位3つのマーカーは、それぞれIL7、IL18、CRP並びにIL10、CRP及びIL6であった。したがって、治療反応を同定した炎症誘発性プロファイルは、仮説通り、薬物特異的であった。
【0034】
最後に、本発明者は、ナプロキセン治療群内の治療転帰を予測するためにバイオマーカーカットスコアについての相対的重要度プロットデータを適用した。この治療群内の上位2つのマーカーはCRP及びTNFαであった。CRP及びTNFαの両方は治療反応に応じて過剰発現した(すなわち、より高いレベルがナプロキセンに対する治療反応と関連していた)。したがって、これらの2つのマーカーのみを使用して炎症誘発性エンドフェノタイプのレベルごとのカットスコアを作成するために両方のマーカーについて三分位スコアを作成した。ナプロキセンの炎症誘発性エンドフェノタイプに組み入れるためのカットスコアは以下の通りであった:低炎症誘発性エンドフェノタイプ=CRP<335.64及びTNFα<0.49(治療群の10%);中等度の炎症誘発性エンドフェノタイプ=335.64~1015.51のCRP及び0.49~0.63のTNFα(ナプロキセン治療群の74%);高炎症誘発性エンドフェノタイプ=CRP>1015.52及びTNFα>0.64(ナプロキセン治療群の16%)。炎症誘発性エンドフェノタイプの上限内で治療群を特異的に検討した場合、ナプロキセン群は、プラセボ群と比較して12カ月の期間にわたってMMSEスコアの有意に低減した低下を実証した(F[1,6]=8.2、p=0.03;偏イータ二乗=0.58、観察検定力=0.7)。次に、MMSE変化スコアを、12カ月の期間にわたって改善対安定又は低下に二分した。平均スコアはプラセボ群では0.25(25%改善)であり、ナプロキセン群では0.63(63%改善)であった。ナプロキセン群は、年齢、性別、教育及びAPOE4遺伝子型を共変量として入力して、プラセボ群と比較して12カ月にわたってMMSEスコアの有意な改善を経験した(F[1,6]=10.9、p=0.02、偏イータ二乗=0.65、観察検定力0.79)(表4を参照のこと)。プラセボ(すなわち、AChE阻害剤)により治療した炎症誘発性エンドフェノタイプの上限内の治療群は経時的に認知機能が顕著に悪化する傾向があった(p=0.07)。
【0035】
【表4】
【0036】
これらの結果は、NSAID療法が、AD患者及びとりわけ有害な反応の選択サブグループに対して認知機能の安定性及び有益性と関連することを初めて実証する。
【0037】
具体的には、ADCS AD NSAID試験では、参加者の22%が経時的に改善されたMMSEスコアを実証したが、43%が経時的に3点又は4点以上の認知の悪化を経験した。ナプロキセン治療群内の追跡分析では、積極活動療法を受けている高炎症誘発性ADの間のMMSEスコアの変化は、プラセボ群において観察されたものよりも有意に良好であった。したがって、NSAID医薬による治療は、患者の選択サブセットのみに対して臨床的に適切である。これらのデータはまた、AD症例のかなりの部分が、NSAID薬物を服用した結果として、より急速な進行に対するリスクがあること、すなわち、NSAIDが禁忌となることを示している。
【0038】
この知見は、NSAIDについての臨床エンドポイントを満たさないことを説明している。他方で、現在の知見は、AD患者内のサブグループが存在すること、及びベースラインの炎症誘発性プロファイルが患者の選択部分についての治療反応を予測することを実証している。
【0039】
本発明者はさらに、新規の4つのバイオマーカープロファイルに基づく分析を行った。この研究のために選択したバイオマーカーは、TNFα、CRP、IL6及びIL10であった。これらの分析では、経時的なMMSEスコアの変化に基づいて以下のように患者を分類した。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
治療群内での治療反応を検討すると、炎症誘発性プロファイル(1)は投与された薬物に基づいて有意に変化し、(2)はより正確になった。可変重要度プロットは有意に改善された性能を説明する。具体的には、全体的なアルゴリズムは、薬物特異的効果を考慮に入れておらず(しかし、考慮することはできる)、可変重要度プロットは治療群ごとに異なるパターンを明らかに示す。ナプロキセン特異的アルゴリズムからのバイオマーカーのうちの2つのみ(CRP及びTNFα)を使用して、カットスコアを生成して治療反応を予測するサブグループを創出した。炎症誘発性エンドフェノタイプの上限の治療群は有意な改善を経験するが、下限の治療群は有意な低下を経験する傾向があった。この2つのマーカーアプローチは、概念実証を実証するためのより単純化した方法を提供するが、マルチマーカーSVMアプローチはより正確であり、臨床試験の質を高めるために利用され得るプロファイルを生成することにとって好ましい。
【0046】
以前に行われた臨床試験の状況において採用される場合、本発明はまた、これらの試験からのデータを評価し、治療が成功したAD患者のサブグループについて選択するために使用され得る。他の試験からのランダム化前のバイオバンク試料からのアッセイは、検証目的のために使用され得、患者は本発明のサブグループに細分される。炎症誘発性バイオマーカープロファイルはまた、標的化された患者エンリッチメント(patient enrichment)のために利用される現在の方法を用いてADを治療し、おそらく阻止するためにNSAID療法を利用する新規臨床試験のための患者選択及び層別化のために利用され得る。すなわち、炎症誘発性プロファイルのベースライン変化を有するそれらの患者のみが研究に登録される。このような標的化された集団のエンリッチメントは、(1)予測される反応を検出するために必要とされる患者の数を低減させること、及び(2)効果の大きさがはるかに大きくなり、より短い試験において検出可能になるので、市販までの時間を低減させることによって、試験の全体のコストを有意に低減させる。さらに、薬物により害を受ける可能性が最も高いそれらの患者を除外することは極めて有益である。
【0047】
炎症を含む生物学的経路のプロファイリングは、ADに関連する新規経路を明らかにする。さらに、炎症のバイオマーカーは疾患存在の血液ベースのアルゴリズムにおいて一貫して重要である(O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081、O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Huebinger R, Wilhelmsen K, Edwards M, Graff-Radford N, Doody R, Di. A blood-based screening tool for Alzheimer's disease that spans serum and plasma: Findings from TARC and ADNI. PLoS ONE. 2011;6:e28092、O'Bryant S, Xiao G, Barber R, Reisch J, Hall J, Cullum CM, Doody R, Fairchild T, Adams P, Wilhelmsen K, Diaz-Arrastia R. A blood based algorithm for the detection of Alzheimer's disease. Dement Geriatr Cogn Disord. 2011;32:55-62、O'Bryant SE, Waring SC, Hobson V, Hall JR, Moore CB, Bottiglieri T, Massman P, Diaz- Arrastia R. Decreased C-reactive protein levels in alzheimer disease. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2010;23:49-53)。病理組織学的に、炎症マーカーが、AD組織において神経原線維変化(Duong T, Nikolaeva M, Acton PJ. C-reactive protein-like immunoreactivity in the neurofibrillary tangles of Alzheimer's disease. Brain Res. 1997;749:152-156)及び老人斑(Iwamoto N, Nishiyama E, Ohwada J, Arai H. Demonstration of CRP immunoreactivity in brains of Alzheimer's disease: immunohistochemical study using formic acid pretreatment of tissue sections. Neurosci Lett. 1994;177:23-26)の両方と関連して見出されている。長期的に見ると、研究はまた、炎症とADとの関連も支持する。例えば、Schmidt及び同僚ら(Schmidt R, Schmidt H, Curb JD, Masaki K, White LR, Launer LJ. Early inflammation and dementia: a 25-year follow-up of the Honolulu-Asia Aging Study. Ann Neurol. 2002;52:168- 174)は、ホノルル老化研究(Honolulu-Aging Study)及びホノルル心臓研究(Honolulu-heart study)からのデータを分析し、中年におけるCRPレベルの増加は25年後のVaDと同様に、ADの発症についてのリスクの増加と関連することを見出した。
【0048】
抗炎症性化合物がADを発症するリスクを低減させるという概念を支持する疫学的証拠に関する大規模な基盤が存在する。55歳及びそれ以上のほぼ7,000人の個体のプロスペクティブな集団ベースのコホート研究では、それらの全ての人は、ベースラインにおいて認知症ではなく、NSAIDの長期使用はADを発症するリスクの低減と関連していた(相対リスク=0.20、CI=0.05~0.83)(In't Veld BA, Ruitenberg, A, Hofman, A, Launer, LJ, van Duijn, CM, Stijnen, T, Breteler MM, Stricker BH. Nonsteroidal antiinflammatory drugs and the risk of Alzheimer's disease. N Engl J Med. 2001;345:1515-1521)。Cache County Studyからのデータを分析すると、Anthony及び同僚らは(Anthony JC, Breitner JC, Zandi PP, Meyer MR, Jurasova I, Norton MC, Stone SV. Reduced prevalence of AD in users of NSAIDs and H2 receptor antagonists: the Cache County study. Neurology. 2000;54:2066-2071)、非アスピリンNSAID単独の使用がADを発症するリスクを低減させること(オッズ比[OR,Odds Ratio]=0.43、CI=0.23~0.75)、並びに非アスピリンNSAID及びアスピリンの使用がそのリスクをさらにもっと低減させること(OR=0.17、CI=0.04~0.48)を見出した。9つの公開されている研究のメタ分析(プールされた試料サイズ=14,654)は、AD発症に関してNSAID使用による保護効果の概念をさらに支持し、長期使用と関連する相対リスクは0.27(95%CI=0.13~0.58)であった(Etminan M, Gill S, Samii A. Effect of non-steroidal anti-inflammatory drugs on risk of Alzheimer's disease: Systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ. 2003;327:128)。
【0049】
これらの知見に基づいて、抗炎症性化合物は、AD及び他の神経変性疾患に罹患している個体を治療する可能性を有し(O'Bryant SE, Waring SC, Hobson V, Hall JR, Moore CB, Bottiglieri T, Massman P, Diaz- Arrastia R. Decreased C-reactive protein levels in alzheimer disease. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2010;23:49-53、Anthony JC, Breitner JC, Zandi PP, Meyer MR, Jurasova I, Norton MC, Stone SV. Reduced prevalence of AD in users of NSAIDs and H2 receptor antagonists: the Cache County study. Neurology. 2000;54:2066-2071、Etminan M, Gill S, Samii A. Effect of non-steroidal anti-inflammatory drugs on risk of Alzheimer's disease: Systematic review and meta-analysis of observational studies. BMJ. 2003;327:128、Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Pfeiffer E, Sano M, Davis KL, Farlow MR, Jin S, Thomas RG, Thal LJ, Alzheimer's Disease Cooperative Study. Effects of rofecoxib or naproxen vs placebo on Alzheimer disease progression: a randomized controlled trial. JAMA. 2003;289:2819-2826、Gasparini L, Ongini E, Wenk G. Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) in Alzheimer's disease: Old and new mechanisms of action. J Neurochem. 2004;91:521-536、Hirohata M, Ono K, Naiki H, Yamada M. Non-steroidal anti-inflammatory drugs have anti- amyloidogenic effects for Alzheimer's B-amyloid fibrils in vitro. Neuropharmacology. 2005;49:1088-1099、Klegeris A, McGeer PL. Non-steroidal anti-inflammatory drugs (NSAIDs) and other anti- inflammatory agents in the treatment of neurodegenerative disease. Curr Alzheimer Res. 2005;2:355-365)、1つはAD(Aisen PS, Schafer KA, Grundman M, Pfeiffer E, Sano M, Davis KL, Farlow MR, Jin S, Thomas RG, Thal LJ, Alzheimer's Disease Cooperative Study. Effects of rofecoxib or naproxen vs placebo on Alzheimer disease progression: a randomized controlled trial. JAMA. 2003;289:2819-2826)、1つはMCI(Thal LJ, Ferris SH, Kirby L, Block GA, Lines CR, Yuen E, Assaid C, Nessly ML, Norman BA, Baranak CC, Reines SA; Rofecoxib Protocol 078 study group. A randomized, double- blind, study of rofecoxib in patients with mild cognitive impairment. Neuropsychopharmacology. 2005;30:1204-1215)、及びアルツハイマー病抗炎症予防試験(ADAPT,Alzheimer’s Disease Anti-inflammatory Prevention Trial)(ADAPT Research Group, Lyketsos CG, Breitner JC, Green RC, Martin BK, Meinert C, Piantadosi S, Sabbagh M. Naproxen and celecoxib do not prevent AD in early results from a randomized controlled trial. Neurology. 2007;68:1800-1808、Breitner JC, Baker LD, Montine TJ, Meinert CL, Lyketsos CG, Ashe KH, Brandt J, Craft S, Evans DE, Green RC, Ismail MS, Martin BK, Mullan MJ, Sabbagh M, Tariot PN, ADAPT Research Group. Extended results of the Alzheimer's disease anti-inflammatory prevention trial. Alzheimers Dement. 2011;7:402-411)の3つの臨床試験が完了している。入手可能な文献に基づいて、これらの研究は従来のNSAID(ナプロキセン)及びCOX-2阻害剤を利用した。ナプロキセンは複数の理由に基づいて利用された。まず、複数の疫学研究(上記参照)により、神経変性に対する非選択的NSAIDの保護効果が示唆されている(McGeer EG, McGeer PL. The importance of inflammatory mechanisms in Alzheimer disease. Exp Gerontol. 1998;33:371-378)。
【0050】
NSAIDはインビトロでミクログリア活性化を遮断し(Gottschall PE. Beta-amyloid induction of gelatinase B secretion in cultured microglia: inhibition by dexamethasone and indomethacin. Neuroreport. 1996;7:3077-3080、Netland EE, Newton JL, Majocha RE, Tate BA. Indomethacin reverses the microglial response to amyloid beta. Neurobiol Aging. 1998;19:201-204)、AD脳において活性化したミクログリアの蓄積を低減させるように見える(Mackenzie IR, Munoz DG. Nonsteroidal anti-inflammatory drugs use and Alzheimer-type pathology in aging. Neurology. 1998;50:986-990)。他方で、非選択的NSAIDはまた、毒性及び高い中断率とも関連しており(Rogers J, Kirby LC, Hempelman SR, Berry DL, McGeer PL, Kaszniak AW, Zalinski J, Cofield M, Mansukhani L, Willson P et al. Clinical trial of indomethacin in Alzheimer's disease. Neurology. 1993;43:1609-1611)、これにより、AD患者の研究にとってそれらを困難にしている。ロフェコキシブ、COX-2阻害剤が複数の理由のために利用された。まず、COX-2は、興奮毒性(グルタミン酸及びカイニン酸)経路を介して神経変性において中心的な役割を果たしている可能性がある(Tocco G, Freire-Moar J, Schreiber SS, Sakhi SH, Aisen PS, Pasinetti GM. Maturational regulation and regional induction of cyclooxygenase-2 in rat brain: implications for Alzheimer's disease. Exp Neurol. 1997;144:339-349)。したがって、本発明は、NSAID治療にプラスに反応するこれらのAD患者の詳細な分析及び決定を初めて提供する。
【0051】
COX-2発現(mRNA及びタンパク質)はまた、ヒトAD脳において上方制御されることが見出されている(Pasinetti GM, Aisen PS. Clycooxygenase-2 expression is increased in frontal cortex of Alzheimer's disease brain. Neuroscience. 1998;87:319-324)。その時には、また、COX-2阻害剤は非選択的NSAIDよりも毒性が低いと考えられていた。ADにおけるNSAIDの使用を支持する重要な基礎的、臨床的及び疫学的文献にもかかわらず、それらの試験のいずれも目標とされた臨床転帰を満たすことに成功しなかった。したがって、ADに対するNSAIDの効果は、以前は混合されていた。
【0052】
本発明は、これらの試験のいずれにも見出されなかったこと(及びそれらが失敗したと考えられる理由);炎症が認知障害において顕著な役割を果たし、試験から最も利益を得る可能性が高かった患者の特定のサブセットに取り組む。現在の結果は、NSAID医薬による標的化治療が、他の患者には禁忌となるが、ADを有する患者の選択サブセットに利益をもたらし得ることを実証している。さらに、プラセボ群がコリンエステラーゼ阻害剤により治療されたことを考慮すると、現在のアプローチは、このような医薬に対する治療反応のプロテオームプロファイルの生成を示す。
【0053】
現在の知見は以下の通りである:(1)ADを有するある特定の個体を効果的に治療するためのNSAID(例えば、ナプロキセン)の使用、さらに重要なことは、(2)ADにおける臨床試験のための新規方法を提供することである。具体的には、本発明は、AD患者のサブグループがADの異種分類内に存在すること、及びこれらのサブグループが、どの患者が特定の医薬に対して最も良く反応するかを決定する際に有用であることを実証する。また、どの患者が特定の医薬に対して反応しないか、又は有害に反応する可能性があるかを実証するのにも役立つ。
【0054】
これらの結果は、ADに対する治療的アプローチの概念化におけるパラダイムシフトである。説明として、及び決して本発明を限定するものではないが、本発明者は、患者が属するサブグループに基づいて選択患者を特定の介入に標的化するモデルを提案する。例示として、本明細書におけるアプローチは、心血管疾患の成功的治療において利用されるアプローチから採用される。例えば、図1は、心疾患の1つの形態にすぎない、アテローム性動脈硬化性心疾患に対する治療的アプローチの概要を示す。心臓病学では、診断カテゴリーとして、「アテローム性動脈硬化症」を治療するのではなく、むしろ特定の種類のアテローム性動脈硬化因子を治療する。しかしながら、ADの治療のための普及しているモデルでは、全ての患者は一般的な臨床診断に基づいて臨床試験に登録される。
【0055】
図2において、本発明者は、ADを治療するためのより洗練されたモデルへ向けた第1のステップを提案する。本発明者の以前の調査において、AD患者の複数のサブグループが、プロテオーム及び神経精神医学的データに基づいて同定された。他の知見と組み合わせると、このモデルにおいて現在提案されている特定のサブグループには、炎症(O'Bryant SE, Xiao G, Barber R, Reisch J, Doody R, Fairchild T, Adams P, Waring S, Diaz- Arrastia R; Texas Alzheimer's Research Consortium. A serum protein-based algorithm for the detection of Alzheimer disease. Arch Neurol. 2010;67:1077-1081、O'Bryant S, Xiao G, Barber R, Reisch J, Hall J, Cullum CM, Doody R, Fairchild T, Adams P, Wilhelmsen K, Diaz-Arrastia R. A blood based algorithm for the detection of Alzheimer's disease. Dement Geriatr Cogn Disord. 2011;32:55-62、O'Bryant SE, Waring SC, Hobson V, Hall JR, Moore CB, Bottiglieri T, Massman P, Diaz- Arrastia R. Decreased C-reactive protein levels in alzheimer disease. J Geriatr Psychiatry Neurol. 2010;23:49-53)、APOE4遺伝子型(Hall JR, Wiechmann AR, Johnson LA, Edwards M, Barber RC, Cunningham R, Singh M, O'Bryant SE. The impact of APOE status on relationship of biomarkers of vascular risk and systemic inflammation to neuropsychiatric symptoms in Alzheimer's disease. J Alzheimers Dis. 2014;40:887-896)、代謝機能不全(O'Bryant SE, Johnson L, Reisch J, Edwards M, Hall J, Barber R, Devous DM Sr, Royall D, Singh M. Risk factors for mild cognitive impairment among Mexican Americans. Alzheimers Dement. 2013;9:622-631)、アミロイド、酸化ストレス(Cunningham RL, Singh M, O'Bryant SE, Hall JR, Barber RC. Oxidative stress, testosterone, and cognition among caucasian and mexican-american men with and without Alzheimer's disease. J Alzheimers Dis. 2014;40:563-573)及びうつ病(Johnson LA, Hall JR, O’Bryant SE. A Depressive Endophenotype of Mild Cognitive Impairment and Alzheimer’s Disease. PLoS ONE. 2013;8:e68848、Johnson LA, Sohrabi HR, Hall JR, Taddei K, Edwards M, O'Bryant SE, Martins RN. A depressive endophenotype of poorer cognition among cognitively healthy community- dwelling adults: Results from the Western Australia Memory Study. Int J Geriatr Psychiatry. 2015 Aug;30(8):881-6)が含まれる。現在の知見は、炎症サブグループによるヒト中心のAD治療モデルを検証している。さらに、CVDと同様に、1つのサブカテゴリーにおける機能不全の存在は、別のサブカテゴリーにおける異常の存在を排除するものではなく、現在のモデルは併用療法についての概念的枠組みを直接的に提供している。総合すると、これらの知見は、AD患者の特定のサブセットを治療するための新規アプローチを示す。例えば、本発明は、以前に行われた臨床試験にわたって20,000を超える試料の既存のバイオレポジトリーをアッセイするために使用され得、これは、AD及び他の神経変性疾患の治療及び阻止に対するヒト中心の治療的アプローチの生成に向けた第1のステップであり得る。
【0056】
したがって、本発明は以下を提供する:(1)療法に反応する可能性が最も高い患者の特定の集団を同定するためのコンパニオン診断;(2)有害事象に罹患する可能性が最も高い(及び治療を処方すべきではない)特定の患者を同定するためのコンパニオン診断;(3)療法に反応する可能性が高いそれらの患者のみを登録し、それによって試験の試料サイズ(及びコスト)を有意に低減させるための、ADにおける臨床試験において革命をもたらすために使用され得る新規技術;(4)これらの最も可能性の高い利益を登録するだけで試験を完了するのに必要な時間枠を低減させることによって臨床試験に対して多大な影響を及ぼす技術(#3及び#4の両方はコスト抑制に重大な影響を及ぼす);及び/又は(5)よりゆっくり低下しているだけではなく、療法から安定なままになるか又は改善する可能性が高い患者を同定するために使用され得るコンパニオン診断(すなわち、介入の治療的影響がはるかに大きい)。
【0057】
本明細書において論じられるいかなる実施形態も、本発明のあらゆる方法、キット、試薬又は組成物に関して実施可能であり、逆もまた然りであると企図される。さらに、本発明の組成物は本発明の方法を達成するために使用され得る。
【0058】
本明細書に記載されている特定の実施形態は、本発明を限定するものとしてではなく、例示のために示されることが理解される。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく各種実施形態において利用され得る。当業者であれば、通常の実験、本明細書に記載されている特定の手順との多数の同等物のみを使用することを認識、又は確かめることができる。このような同等物は本発明の範囲内であると考えられ、特許請求の範囲に含まれる。
【0059】
本明細書において言及されている全ての出版物及び特許出願は、本発明が属する技術分野の技術者の技術レベルを示す。全ての出版物及び特許出願は、各出版物又は特許出願が具体的に及び個々に参照により組み込まれることを意図されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
特許請求の範囲及び/又は明細書において「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合の「一つの(a)」又は「一つの(an)」という語の使用は、「1つ」を意味し得るが、「1又は2以上」、「少なくとも1つ」及び「1又は1超」という意味とも一致する。特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、いずれか1つのみ又は互いに独立ないずれか1つを指すものと明確に意図されない限り「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示はいずれか1つのみ及び「及び/又は」を指すという定義を支持する。本出願を通して、「約」という用語は、値がデバイス、値を決定するために利用される方法についてのエラーの固有のばらつき、又は研究対象の間で存在するばらつきを含むことを示すために使用される。
【0061】
本明細書及び特許請求の範囲に使用されている場合、「含む(comprising)」(並びに含む(comprising)のあらゆる形態、例えば「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」)、「有する(having)」(並びに有する(having)のあらゆる形態、例えば「有する(have)」及び「有する(has)」)、「包含する(including)」(並びに包含する(including)のあらゆる形態、例えば「包含する(includes)」及び「包含する(include)」)、又は「含有する(containing)」(並びに含有する(containing)のあらゆる形態、例えば「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」)という語は包括的又はオープンエンドであり、追加で言及されていない要素又は方法のステップを除外しない。本明細書において提供されている組成物及び方法についてのいずれの実施形態においても、「含む」は「~から本質的になる」又は「~からなる」で置き換え可能である。本明細書に使用されている場合、「~から本質的になる」という語句は、特定の整数又はステップ、及び請求項に係る発明の特性又は機能に実質的に影響を及ぼさない特定の整数又はステップを必要とする。本明細書に使用されている場合、「~からなる」という用語は、言及された整数(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は制限)、又は整数群(例えば、特徴、要素、特性、性質、方法/プロセスステップ又は制限)のみの存在を示すために使用される。
【0062】
本明細書に使用されている場合、「又はそれらの組合せ」という用語は、その用語に先行して列挙される項目の全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C又はそれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABC、特定の文脈において順序が重要であればさらに、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC又はCABのうちの少なくとも1つを含むことを意図される。引き続きこの例を用いて、1又は2以上の項目又は用語の繰り返しを含有する組合せ、例えば、BB、AAA、AB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどが明確に含まれる。当業者であれば、別に文脈から明らかでない限り、いかなる組合せにおいても項目又は用語の数には典型的に限りがないことを理解する。
【0063】
本明細書に使用されている場合、近似の語、例えば限定されないが、「約」「実質的な」又は「実質的に」などは、そのように修飾された場合に、必ずしも絶対又は正確である必要はなく、提示される条件を指定する保証をするのに十分に近いと当業者には考えられるものと理解される条件を指す。記載が変化し得る範囲は、どれくらいの大きさの変化が定められ得、必要な特性及び未修飾の特徴の性質を未だ有する特徴の修飾が当業者になお認識されるかに依存する。一般に、ただし先行の考察に従って、本明細書において「約」などの近似の語により修飾される数値は、記載された値から少なくとも±1、2、3、4、5、6、7、10、12又は15%変化してよい。
【0064】
本明細書において開示及び特許請求される組成物及び/又は方法の全てが、本開示に照らして過度な実験なしに作成及び実施可能である。本発明の組成物及び方法は好ましい実施形態に関して記載されているが、当業者には、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されている組成物及び/又は方法、並びに方法のステップ又は一連のステップに対し、変更が適用可能であることが明らかである。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲及び概念の範囲内であるとみなされるこのような類似の代替及び修飾全てが、当業者には明らかである。
【0065】
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図1
図2