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特許7412012個別指導支援システム、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】個別指導支援システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 5/12 20060101AFI20240104BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20240104BHJP
【FI】
G09B5/12
G06Q50/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021102588
(22)【出願日】2021-06-21
(62)【分割の表示】P 2020052076の分割
【原出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152675
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】503128216
【氏名又は名称】株式会社フォーサイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩司
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197778(JP,A)
【文献】特開2017-117379(JP,A)
【文献】特開2015-18427(JP,A)
【文献】特開2009-9120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56
17/00-19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の指導者のそれぞれに対して、該指導者の過去の学習履歴を示す学習履歴情報と、該指導者の属性を示す属性情報と、を対応付けた指導者情報を予め保持する指導者情報管理部と、
生徒に対して、該生徒の過去の学習履歴を示す学習履歴情報と、該生徒の属性を示す属性情報と、該生徒が属性の適合を重視する度合いである属性重みと、を対応付けた生徒情報を記録する生徒情報記録部と、
前記指導者の学習履歴と前記生徒の学習履歴とに基づいて、重み付けをせずに、前記学習履歴の一致の度合いを計算し、前記指導者の属性と前記生徒の属性と前記生徒の属性重みとに基づいて、前記属性の一致の度合いを計算し、前記学習履歴の一致の度合いと前記属性の一致の度合いとに基づくマッチング情報を提示するマッチング部と、
を有する個別指導支援システム。
【請求項2】
前記個別指導支援システムは、大学受験の学習指導を支援するシステムであり、
前記指導者の学習履歴は、出身の高等学校に関する高等学校情報と、前記高等学校における部活動に関する部活動情報と、利用した受験指導機関に関する受験機関情報と、現役で合格かあるいは浪人したかに関する浪人情報とを含み、
前記生徒の学習履歴は、在籍あるいは出身の高等学校に関する高等学校情報と、前記高等学校における部活動に関する部活動情報と、利用している受験指導機関に関する受験機関情報と、現役の受験生か浪人しているかに関する浪人情報とを含み、
前記マッチング部は、前記指導者と前記生徒について、前記高等学校情報、前記部活動情報、前記受験機関情報、および前記浪人情報のそれぞれの一致の度合いを計算し、前記一致の度合いを総合することにより、前記学習履歴の一致の度合いを計算する、
請求項に記載の個別指導支援システム。
【請求項3】
前記個別指導支援システムは、資格試験の学習指導を支援するシステムであり、
前記指導者の学習履歴は、前記資格試験のための学習をしていたときの職業に関する職業情報と、前記資格試験のための学習をしていたときの年齢に関する年齢情報と、前記資格試験に初回で合格したか2回目以降に合格したかに関する受験回数情報と、を含み、
前記生徒の学習履歴は、職業に関する職業情報と、現在の年齢に関する年齢情報と、前記資格試験への初回の挑戦か2回目以降かに関する受験回数情報と、を含み、
前記マッチング部は、前記指導者と前記生徒について、前記職業情報、前記年齢情報、および前記受験回数情報のそれぞれの一致の度合いを計算し、前記一致の度合いを総合することにより、前記学習履歴の一致の度合いを計算する、
請求項に記載の個別指導支援システム。
【請求項4】
複数の指導者のそれぞれに対して、該指導者の過去の学習履歴を示す学習履歴情報と、該指導者の属性を示す属性情報と、を対応付けた指導者情報を予め保持し、
生徒に対して、該生徒の過去の学習履歴を示す学習履歴情報と、該生徒の属性を示す属性情報と、該生徒が属性の適合を重視する度合いである属性重みと、を対応付けた生徒情報を記録し、
前記指導者の学習履歴と前記生徒の学習履歴とに基づいて、重み付けをせずに、前記学習履歴の一致の度合いを計算し、前記指導者の属性と前記生徒の属性と前記生徒の属性重みとに基づいて、前記属性の一致の度合いを計算し、前記学習履歴の一致の度合いと前記属性の一致の度合いとに基づくマッチング情報を提示することを、
コンピュータが実行する個別指導支援方法。
【請求項5】
複数の指導者のそれぞれに対して、該指導者の過去の学習履歴を示す学習履歴情報と、該指導者の属性を示す属性情報と、を対応付けた指導者情報を予め保持し、
生徒に対して、該生徒の過去の学習履歴を示す学習履歴情報と、該生徒の属性を示す属性情報と、該生徒が属性の適合を重視する度合いである属性重みと、を対応付けた生徒情報を記録し、
前記指導者の学習履歴と前記生徒の学習履歴とに基づいて、重み付けをせずに、前記学習履歴の一致の度合いを計算し、前記指導者の属性と前記生徒の属性と前記生徒の属性重みとに基づいて、前記属性の一致の度合いを計算し、前記学習履歴の一致の度合いと前記属性の一致の度合いとに基づくマッチング情報を提示することを、
コンピュータに実行させるための個別指導支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習を行う生徒に対して個別に指導者が学習を指導する個別指導を計算機システムを利用して管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オンライン英会話、オンライン家庭教師、大学受験や資格試験の学習をサポートするチューターなど、講師やチューターと生徒とが通信回線を通じて対話しながら、生徒に個別の指導を行う学習指導サービスがある。講師およびチューターを含む指導する側の人材を指導者ということもある。この種の学習指導サービスでは、生徒と指導者との間に相性が存在する。生徒と指導者の相性がよければ、より良い指導ができ、学習の効果が高まる。
【0003】
特許文献1には、講師と生徒のマッチングを行う技術が開示されている。特許文献1の個別学習指導システムは、講師のクライアント及び生徒のクライアントが通信手段を通してアクセス可能なサーバを備える。前記サーバは、講師情報を登録する講師データベースと、前記講師データベースの登録内容を前記生徒のクライアントに公開する講師情報公開手段と、希望する講師の指名を前記生徒のクライアントから受け取ると、前記通信手段を通じてこの指名された講師に指名承諾の可否を問い合わせるマッチング手段と、前記マッチング手段による前記指名承諾の可否を前記通信手段を通じて指名した生徒に通知する通知手段と、前記生徒のクライアントから入力される講師に対する評価情報を前記講師データベースに登録する評価管理手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-279727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の個別学習指導システムは、過去の生徒あるいは父兄による講師に対する評価を示す評価情報を講師データベースに登録し、生徒と講師のマッチングに利用するものである。
【0006】
しかしながら、新たに登録された講師には過去の生徒や父兄からの評価がない。また、経験の浅い講師には過去の生徒や父兄からの評価が少ない。一方、ベテランの講師であれば、過去の生徒や父兄から多くの評価がある。しかし、その評価は生徒との相性よりも講師の能力が強く反映されている可能性がある。その場合、能力の高い講師に生徒が集中する可能性がある。
【0007】
本開示のひとつの目的は、個別指導の生徒と指導者との好適なマッチングを支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のひとつの態様による個別指導支援システムは、複数の指導者のそれぞれに対して、該指導者の過去の学習履歴を示す学習履歴情報を対応付けた指導者情報を予め保持する指導者情報管理部と、生徒に対して、該生徒の過去の学習履歴を示す学習履歴情報を対応付けた生徒情報を記録する生徒情報記録部と、前記指導者の学習履歴と前記生徒の学習履歴との一致の度合いに基づくマッチング情報を提示するマッチング部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示のひとつの態様によれば、指導者と生徒の過去の学習履歴の一致の度合いに基づいてマッチング情報を提示するので、個別指導の生徒と指導者との適正なマッチングを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の個別指導支援システムのブロック図である。
図2】実施形態の指導者生徒マッチング処理のフローチャートである。
図3】実施例1における指導者の属性情報の一例を示す図である。
図4】実施例1における指導者の学習履歴情報の一例を示す図である。
図5】実施例1における生徒の属性情報の一例を示す図である。
図6】実施例1における生徒の学習履歴情報を示す図である。
図7】属性情報の項目毎のスコア算出方法を示す図である。
図8】学習履歴情報の項目毎のスコア算出方法を示す図である。
図9】実施例2における指導者の学習履歴情報の一例を示す図である。
図10】実施例2における生徒の学習履歴情報を示す図である。
図11】実施形態の個別指導支援システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態として、中学、高校大学等の受験、国家資格、民間資格等の資格試験、公務員試験等の学習を行う生徒に対して個別に指導者が学習に関する指導を行う個別指導を計算機システムを利用して支援する個別指導支援システムについて説明する。
【0013】
個別指導においては生徒と指導者との相性が重要である。本実施形態の個別指導支援システムは、生徒と指導者との良好なマッチングを支援する。
【0014】
図1は、本実施形態の個別指導支援システムのブロック図である。図2は、本実施形態の指導者生徒マッチング処理のフローチャートである。
【0015】
図1を参照すると、個別指導支援システム10は、指導者情報管理部11、生徒情報記録部12、マッチング部13、および提示部14を有している。
【0016】
図2のステップS101にて、指導者情報管理部11は、複数の指導者のそれぞれに対して、その指導者の過去の学習履歴を示す学習履歴情報を対応付けた指導者情報を指導者情報データベース(DB)15に予め登録する。
【0017】
ステップS102にて、生徒情報記録部12は、指導者を割り当てる対象の生徒(以下「対象生徒」ともいう)についてその生徒の過去の学習履歴を示す学習履歴情報を対応付けた生徒情報を取得し、生徒情報DB 16に記録する。生徒の過去の学習履歴は、生徒自身が入力してもよいし、生徒が申告した情報を管理者が個別指導支援システム10に投入することにしてもよい。
【0018】
ステップS103にて、マッチング部13は、指導者情報DB 15と生徒情報DB 16を参照し、各指導者の学習履歴と対象生徒の学習履歴との一致の度合いを算出し、その一致の度合いに基づいて、対象生徒と指導者の組合せに関するマッチング情報を生成する。マッチング情報は、例えば、対象生徒と各指導者との一致の度合いを示す情報を含んでいてもよい。また、マッチング情報は、対象生徒との一致の度合いの高さによる指導者のランキングを示す情報を含んでいてもよい。
【0019】
ステップS104にて、提示部14は、マッチング情報に基づき、対象生徒に割り当てる指導者に関する推奨情報を示す画面を表示する。推奨情報は、対象生徒に割り当てる指導者として推奨される指導者のリストを含んでいてもよい。当該リストは、一致の度合いの高さのランキングが高い上位所定人の指導者をリストであってもよい。
【0020】
本実施形態によれば、指導者と生徒の過去の学習履歴の一致の度合いに基づいてマッチング情報を提示するので、個別指導の生徒と指導者との適正なマッチングを支援することができる。
【実施例1】
【0021】
実施例1では、資格試験の学習指導を支援する個別指導支援システムを例示する。
【0022】
実施例1の個別指導支援システム10は、基本的には、図1に示した構成を有し、図2に示した処理を実行する。
【0023】
実施例1の個別指導支援システム10は、生徒および指導者の学習履歴だけでなく、生徒および指導者の属性の情報も、生徒と指導者との相性を測るために用いる。また、実施例1の個別指導支援システム10は、指導者および生徒の学習履歴として、資格試験の指導における生徒と指導者の相性を判断するのに好適な情報を用いる。
【0024】
ステップS101にて、指導者情報管理部11は、各指導員の属性情報および学習履歴情報を含む指導者情報を指導者情報DB 15に登録する。
【0025】
図3は、実施例1における指導者の属性情報の一例を示す図である。属性情報51には、各指導者を個々に識別する指導者番号に対応付けて、性別、住所地、年齢、学歴、外見、料理嗜好、趣味特技、および夢目標が登録される。例えば、指導者番号が001の指導者は、性別が男性、住所地が東京、年齢が30歳、学歴が修士、外見がまじめ・・・といった属性を備えている。
【0026】
生徒が重視する項目の属性が指導者と類似していると、その生徒と指導者は相性がよい可能性が高い。例えば、性別については、同性に指導を受けたという生徒もいれば、そうでもない生徒もいる。住所地については、大都市か中堅都市か地方かという住む都市の大きさによって学習環境や情報量が異なり、それに合った学習の進め方も異なる。年齢については、自分に近い年齢の指導者に教えてもらいたいという生徒もいれば、それを問題としないという方もいる。学歴については、自分と同程度の学歴の指導者に教えてもらいたいという生徒もいれば、学歴にこだわらない生徒もいる。外見については、外見が自分に似たタイプの指導者に教えてもらいたいという生徒もいれば、外見にこだわらないという生徒もいる。料理嗜好については、食べ物の好き嫌いが似ていると会話が弾みやすい。ただし食べ物に興味な薄い生徒は料理嗜好にこだわらない。趣味特技が近いと会話が弾みやすい。ただし趣味や特技の話をあまりしない生徒はそれらにこだわらない。夢目標については、将来の夢や目標が同じだと会話が弾みやすい。ただし夢や目標の話をあまりしない生徒はそれらにこだわらない。
【0027】
図4は、実施例1における指導者の学習履歴情報の一例を示す図である。学習履歴情報52には、指導者番号に対応付けて、学習時職業、学習時年齢、および受験回数が登録される。例えば、指導者番号が001の指導者は、職業がデスクワークの会社員、学習時の年齢が26歳、1回目の受験で合格したという学習履歴を持っている。
【0028】
資格試験の学習における生徒の学習履歴が指導者の学習履歴と類似していると、その生徒と指導者は相性がよい可能性が高い。例えば、職業については、職業によって、デスクワークか肉体労働かといった働き方、勤務時間、休日が異なるので、資格試験の学習の効果的な進め方も異なる。職業が似ていれば指導者の経験が生徒への指導に活きる。学習時年齢については、年齢により記憶力に違いがあるので、年齢によって好適なカリキュラムが異なる。学習時年齢が近ければ、指導者はカリキュラムに関して自身の経験で指導をすることができる。受験回数については、初回の資格試験に向けた学習と、2回目以降の学習とでは好適なカリキュラムが異なる。初回挑戦で合格したのか2回目以降に合格したのかで経験したカリキュラムが異なる。1回の受験回数で合格した指導者は1回目の資格試験のための学習の指導に向いている。2回目以降の受験回数で合格した指導者は2回目以降の資格試験のための学習の指導に向いている。
【0029】
ステップS102にて、生徒情報記録部12は、対象生徒の属性情報および学習履歴情報を含む生徒情報を生徒情報DB 16に記録する。具体的には、生徒情報記録部12は、学習履歴と、属性と属性重みの組との入力を促すアンケート画面を表示し、アンケート画面からの入力に基づいて、学習履歴と属性と属性重みとを生徒情報に登録する。
【0030】
図5は、実施例1における生徒の属性情報の一例を示す図である。属性情報61には、各生徒を個々に識別する生徒番号に対応付けて、性別、住所地、年齢、学歴、外見、料理嗜好、趣味特技、および夢目標と、それらの各項目を重視する度合いと、が登録される。各項目を重視する度合いは、生徒自身がアンケートへの回答を入力することにより取得した情報であり、図5では各項目の右側の欄に、A、B、Cで示されている。Aは「非常に重視する」ことを示す。Bは「まあまあ重視する」ことを示す。Cは「重視しない」ことを示す。
【0031】
ここでは、生徒番号が003の生徒が新たに属性情報を入力した対象生徒であるとする。その生徒番号が003の生徒は、性別が男性であり、性別を非常に重視し、住所地が東京であり、住所地を非常に重視し、年齢が32歳であり、年齢を非常に重視し、学歴が修士であり、学歴をまあまあ重視し、外見が真面目であり、外見を非常に重視する。
【0032】
図6は、実施例1における生徒の学習履歴情報を示す図である。学習履歴情報62には、生徒番号に対応付けて、職業、年齢、および受験回数が登録される。職業は、現在学習を行っている生徒の職業なので、図4に示した指導者における学習時職業に対応する。年齢は、現在学習を行っている生徒の年齢なので、図4に示した指導者における学習時年齢に対応する。本実施例1では、生徒の年齢は、図5の属性情報61と、図6の学習履歴情報62の両方に同じものが含まれている。しかし、いずれか一方だけに登録し、他方についてはそれを参照することにしてもよい。
【0033】
ステップS103にて、マッチング部13は、対象生徒の属性情報51および学習履歴情報52と、各指導者の属性情報61および学習履歴情報62との一致の度合いを示すマッチングスコアを算出する。
【0034】
マッチングスコアの算出方法は、生徒と指導者の相性を判定するという目的から定められる。本実施例におけるマッチングスコアは、属性情報に含まれる各項目のスコアと、学習履歴情報に含まれる各項目のスコアとの合計値である。
【0035】
属性情報に含まれる各項目は、生徒がその項目を重視するか否かで相性への影響が変わるので、生徒による重視の度合いに応じてスコアに重み付けがされる。一方、学習履歴情報の各項目は、生徒が重視するか否かに関わらず、一致していることが相性へ影響するので、生徒による重視の度合いによる重み付けはされない。
【0036】
属性情報に含まれる各項目の一致の判定基準は、生徒と指導者の相性を判定するという目的から個々に定められる。性別については、その一致をその項目の一致とし、不一致をその項目の不一致とする。住所地については、学習環境や情報量の違いを反映させるため、住所地を大都市、中堅都市、地方に分類し、その分類の一致をその項目の一致とし、分類の不一致を項目の不一致とする。年齢については、同年代の指導者かどうかを反映させるため、年齢差が所定値(例えば5歳)以内であればその項目の一致とし、年齢差が所定値を超えていたらその項目の不一致とする。学歴については、修士、大卒、現役院生、などに分類し、その分類の一致をその項目の一致とし、分類の不一致を項目の不一致とする。外見、料理嗜好、趣味特技、夢目標については、複数の選択肢から該当するものを生徒および指導者が選択することで情報を取得するものとし、その選択肢の一致をその項目の一致とし、選択肢の不一致を項目の不一致とする。
【0037】
図7は、属性情報の項目毎のスコア算出方法を示す図である。図7のスコア算出テーブル71は、項目の重み付けと一致か不一致かの組合せに対するスコアの一覧である。ある項目の重み付け(生徒による重視の度合い)がAであり、その項目について生徒と指導者が一致する場合、その項目のスコアは10点となる。また、ある項目の重み付け(生徒による重視の度合い)がAであり、その項目について生徒と指導者が不一致する場合、その項目のスコアは0点となる。ある項目の重み付け(生徒による重視の度合い)がBであり、その項目について生徒と指導者が一致する場合、その項目のスコアは5点となる。ある項目の重み付け(生徒による重視の度合い)がBであり、その項目について生徒と指導者が不一致する場合、その項目のスコアは0点となる。ある項目の重み付け(生徒による重視の度合い)がCであれば、その項目について生徒と指導者が一致してもしなくても、その項目のスコアは0点となる。
【0038】
学習履歴情報に含まれる各項目の一致の判定基準も、生徒と指導者の相性を判定するという目的から個々に定められる。指導者の学習時職業と生徒の職業とについては、複数の選択肢から該当するものを生徒および指導者が選択することで情報を取得するものとし、その選択肢の一致をその項目の一致とし、選択肢の不一致を項目の不一致とする。指導者の学習時年齢と生徒の年齢とについては、同年代の指導者かどうかを反映させるため、年齢差が所定値(例えば5歳)以内であればその項目の一致とし、年齢差が所定値を超えていたらその項目の不一致とする。指導者の受験回数と生徒の受験回数とについては、初回の受験で合格した指導者と初回の受験のために学習を行う生徒とが相性よしとし、2回目以降の受験で合格した指導者と2回目以降の受験のために学習を行う生徒とが相性よしとするものである。したがって、受験回数が1回の指導者と、受験回数が0回の生徒とを一致とする。また、受験回数が2回以上の指導者と、受験回数が1回以上の生徒とを一致とする。
【0039】
図8は、学習履歴情報の項目毎のスコア算出方法を示す図である。図8のスコア算出テーブル72は、項目について一致か不一致かに対するスコアの一覧である。ある項目について生徒と指導者が一致する場合、その項目のスコアは10点となる。また、ある項目について生徒と指導者が不一致する場合、その項目のスコアは0点となる。
【0040】
ステップS104にて、提示部14は、マッチング部13で算出された対象生徒と各指導者とのマッチングスコアに基づいて、対象生徒に割り当てる指導者に関する推奨情報を示す画面を表示する。推奨情報は、対象生徒に割り当てる指導者として推奨される指導者のリストを含んでいてもよい。当該リストは、一致の度合いの高さのランキングが高い上位所定人の指導者をリストであってもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施例によれば、個別指導支援システム10は、資格試験の学習指導を支援するシステムである。そして、指導者の学習履歴は、その資格試験のための学習をしていたときの職業に関する職業情報と、その資格試験のための学習をしていたときの年齢に関する年齢情報と、その資格試験に初回で合格したか2回目以降に合格したかに関する受験回数情報と、を含んでいる。また、生徒の学習履歴は、職業に関する職業情報と、現在の年齢に関する年齢情報と、その資格試験への初回の挑戦か2回目以降かに関する受験回数情報と、を含んでいる。そして、マッチング部13は、その指導者とその生徒について、職業情報、年齢情報、および受験回数情報のそれぞれの一致の度合いを計算し、その一致の度合いを総合することにより、学習履歴の一致の度合いを計算する。
【0042】
職業によって、デスクワークか肉体労働かといった業務形態、勤務時間、休日等が異なるので、それに合った学習の進め方が異なる。年齢によって知識を記憶する記憶力に違いがあり、それぞれの記憶力に応じた学習の進め方を採るのが良い。資格試験の学習では初回の受験の場合と2回目以降の場合とでは好適なカリキュラムが変わる。これの一致の度合いを考慮することにより、資格試験の指導者と生徒の適切なマッチングを支援することができる。
【0043】
また、本実施例では、指導者情報は、指導者に対して、更に、その指導者の属性を示す属性情報を対応付けている。生徒情報記録部12は、生徒に対して、その生徒の属性を示す属性情報と、その生徒が属性の適合を重視する度合いである属性重みと、を対応付けて、生徒情報に更に記録する。マッチング部13は、指導者の学習履歴と生徒の学習履歴とに基づいて学習履歴の一致の度合いを計算し、指導者の属性と生徒の属性と生徒の属性重みとに基づいて、属性の一致の度合いを計算し、学習履歴の一致の度合いと属性の一致の度合いとに基づくマッチング情報を生成する。
【0044】
指導者と生徒との学習履歴の一致の度合いは基本的に学習指導において重要であるが、属性の一致の度合いは生徒が重視する場合に重要となるものである。本実施例では、属性については生徒が重視するか否かを考慮し、学習履歴については生徒が重視するか否かを考慮せずに一致の度合いを計算することにより、指導者と生徒との適切なマッチングを支援することができる。
【0045】
また、本実施例では、生徒情報記録部12は、学習履歴と、属性と属性重みの組との入力を促すアンケート画面を表示し、アンケート画面からの入力に基づいて、学習履歴と属性と属性重みとを生徒情報に登録する。
【0046】
また、本実施例では、属性重みは、重視する度合いを3段階で表す指標である。指導者との属性の一致の度合いを重視するかどうかをマッチングの基礎情報として十分かつ選択しやすい3段階の指標とし、生徒に負担をかけずにマッチングに有効な情報をアンケート形式で得ることができる。
【0047】
また、本実施例では、指導者の属性は、性別に関する性別情報と、住所地に関する住所地情報と、年齢に関する年齢情報と、学歴に関する学歴情報と、外見に関する外見情報と、食べ物の嗜好に関する食べ物嗜好情報、趣味および/または特技に関する趣味特技情報と、将来の夢または目標に関する目標情報とを含んでいる。生徒の属性は、性別に関する性別情報と、住所地に関する住所地情報と、年齢に関する年齢情報と、学歴に関する学歴情報と、好みの外見に関する外見情報と、食べ物の嗜好に関する食べ物嗜好情報、趣味および/または特技に関する趣味特技情報と、将来の夢または目標に関する目標情報とを含んでいる。マッチング部13は、指導者と生徒について、性別情報、住所地情報、学歴情報、外見情報、食べ物嗜好情報、趣味特技情報、および目標情報のそれぞれの一致の度合いを計算し、それらの一致の度合いを総合することにより、属性の一致の度合いを計算する。
【実施例2】
【0048】
実施例2では、大学受験の学習指導を支援する個別指導支援システムを例示する。
【0049】
実施例2の個別指導支援システム10は、基本的には、図1に示した構成を有し、図2に示した処理を実行する。また、実施例2の個別指導支援システム10は、実施例1のものと同様に、対象生徒と各指導者との属性および学習履歴の一致の度合いを総合して、対象生徒と各指導者とのマッチング情報を生成する。ただし、実施例2の個別指導支援システム10は、属性情報としては実施例1と同じ項目の情報を用いるが、学習履歴として、大学受験の指導における生徒と指導者の相性を判定するのに好適な情報を用いる。
【0050】
図9は、実施例2における指導者の学習履歴情報の一例を示す図である。学習履歴情報52には、指導者番号に対応付けて、出身高校属性、塾予備校、部活、および現役/浪人の情報が登録される。出身高校属性は出身高校の属性であり、複数の選択肢から選択される。塾予備校は大学受験に利用した熟または予備校である。部活は高校で所属していた部活動、現役/浪人は大学に現役合格したか浪人して合格したかである。
【0051】
例えば、指導者番号が001の指導者は、出身高校の属性が上位私立一貫校、大学受験に利用していた塾あるいは予備校が□□塾、高校での部活動が科学部、現役で大学に合格したという学習履歴を持っている。大学受験の学習における生徒の学習履歴が指導者の学習履歴と類似していると、その生徒と指導者は相性がよい可能性が高い。
【0052】
図10は、実施例2における生徒の学習履歴情報を示す図である。学習履歴情報62には、生徒番号に対応付けて、高校属性、塾予備校、部活、および現役/浪人の情報が登録される。高校属性は、出身あるいは在学の高校の属性である。塾予備校は、現在利用している塾あるいは予備校である。部活は高校で所属している部活動である。現役/浪人は現役高校生か浪人生かの情報である。
【0053】
学習履歴情報に含まれる各項目の一致の判定基準も、生徒と指導者の相性を判定するという目的から個々に定められる。指導者の出身高校属性については、複数の選択肢から該当するものを生徒および指導者が選択することで情報を取得するものとし、その選択肢の一致をその項目の一致とし、選択肢の不一致を項目の不一致とする。出身高校の属性により、高校での学習カリキュラムやレベルが異なるので、選択肢によ高校での学習カリキュラムやレベルの近い同士を一致とすればよい。塾予備校については、大学受験に利用した塾や予備校の一致をその項目の一致とし、その不一致を項目の不一致とする。指導者は自分と同じ塾あるいは予備校を利用している生徒に、その塾あるいは予備校の好適な利用方法を指導できる。部活については、大学受験では受験勉強と部活動との両立が問題となることがある。部活動への参加の有無の一致をその項目の一致とし、参加の有無の不一致をその項目の不一致とする。現役/浪人については、現役の高校生と浪人生とでは学習の進め方が違う。現役合格した指導者は、現役高校生に好適な学習指導ができ、浪人して合格した指導者は、浪人生に好適な学習指導ができる。
【0054】
ステップS103における、マッチング部13によるマッチングスコアの算出方法は、実施例1と同様である。属性情報には生徒の重視の度合いにより重み付けし、学習履歴情報については生徒の重視の度合いを考慮せずにスコアを算出する。
【0055】
以上、説明したように実施例1の個別指導支援システム10は、大学受験の学習指導を支援するシステムである。指導者の学習履歴は、出身の高校に関する高等学校情報とその高等学校における部活動に関する部活動情報と、利用した受験指導機関に関する受験機関情報と、現役で合格かあるいは浪人したかに関する浪人情報とを含んでいる。また、生徒の学習履歴は、在籍あるいは出身の高等学校に関する高等学校情報と、高等学校における部活動に関する部活動情報と、利用している受験指導機関に関する受験機関情報と、現役の高校生か浪人しているかに関する浪人情報とを含んでいる。そして、マッチング部13は、指導者と生徒について、高等学校情報、部活動情報、受験機関情報、および浪人情報のそれぞれの一致の度合いを計算し、その一致の度合いを総合することにより、学習履歴の一致の度合いを計算する。
【0056】
出身高校によって学習のカリキュラムやレベルが大きく異なる。利用した予備校や塾などの受験機関に共通点や類似点があると、その受験機関の有効な活用方法の指導ができる。大学受験において学習と部活動との両立が課題となりやすい。これの一致の度合いを考慮することにより、大学受験の指導者と生徒の適切なマッチングを支援することができる。
【0057】
図11は、本実施形態の個別指導支援システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0058】
個別指導支援システム10はインターネット等の通信ネットワーク経由でパーソナルコンピュータやスマートホン等の端末装置から利用可能であってもよい。その場合、ユーザ90は、端末装置上のブラウザを用いて個別指導支援システム10に接続し、そのサービスを利用する。
【0059】
個別指導支援システム10は、ハードウェアとして、プロセッサ81、メインメモリ82、記憶装置83、通信装置84、入力装置85、および表示装置86を有し、それらがバス87に接続されている。
【0060】
記憶装置83は、書込みおよび読み出しが可能にデータを記憶するものであって、この記憶装置83によって、図1に示した指導者情報DB 15および生徒情報DB 16が実現される。プロセッサ81は、記憶装置83に記憶されたデータをメインメモリ82に読み出し、メインメモリ82を利用してソフトウェアプログラムの処理を実行するプロセッサである。プロセッサ81がソフトウェアプログラムを実行することにより、図1に示した指導者情報管理部11、生徒情報記録部12、マッチング部13、および提示部14が実現される。
【0061】
通信装置84は、プロセッサ81にて処理された情報を有線または無線あるいはそれら両方を含む通信ネットワークを介して送信し、また通信ネットワークを介して受信した情報をプロセッサ81に伝達する。受信した情報はプロセッサ81にてソフトウェアの処理に利用される。
【0062】
入力装置85は、キーボードやマウスなどオペレータによる操作入力による情報を受け付ける装置であり、入力された情報はプロセッサ81にてソフトウェア処理に利用される。例えば、アンケート結果は通信装置84や入力装置85を介して記憶装置83に入力される。表示装置86は、プロセッサ81によるソフトウェア処理に伴って画像やテキストの情報をディスプレイ画面に表示する装置である。
【0063】
上述した本発明の実施形態および実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態および実施例のみに限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
10…個別指導支援システム、11…指導者情報管理部、12…生徒情報記録部、13…マッチング部、14…提示部、15…指導者情報DB、16…生徒情報DB、51…属性情報、52…学習履歴情報、61…属性情報、62…学習履歴情報、71、72…スコア算出テーブル、81…プロセッサ、82…メインメモリ、83…記憶装置、84…通信装置、85…入力装置、86…表示装置、87…バス、90…ユーザ
図1
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