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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】サイクロン空気濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B04C 3/06 20060101AFI20240104BHJP
   B07B 7/08 20060101ALI20240104BHJP
   B04C 3/00 20060101ALI20240104BHJP
   B04C 5/28 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B04C3/06
B07B7/08
B04C3/00 A
B04C5/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021572303
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 IB2021050393
(87)【国際公開番号】W WO2021148945
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】2020/00390
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521529879
【氏名又は名称】ビビー,ダレン リチャード
【氏名又は名称原語表記】BIBBY, Darren Richard
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ビビー,ダレン リチャード
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0343366(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0373490(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02042223(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00558091(EP,A1)
【文献】米国特許第04537608(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04C 1/00 - 11/00
B07B 1/00 - 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の隣り合うサイクロン空気分級機と、前記サイクロン空気分級機が取り付けられる枠とを備える空気濾過列であって、
各サイクロン空気分級機は、上流の入口にあって渦を誘発する入口ダクトと、前記入口の下流に配置された管状の抽出管と、少なくとも部分的に円錐状の吹出部とを有する中空の分級機本体を含み、
中空の前記分級機本体は、長手方向の軸を規定し、
前記抽出管は、前記入口と軸方向に整列した排出口を画定し、
少なくとも部分的に円錐状の前記吹出部は、前記入口ダクトから前記抽出管に向かって延び、
少なくとも部分的に円錐状の前記吹出部の下流端部と前記抽出管とは、共に、中空の前記分級機本体の長手方向の前記軸に対する横断面に廃物出口を画定し、
隣り合う前記サイクロン空気分級機の渦を誘発する前記入口ダクトは、隣り合う前記サイクロン空気分級機の中空の前記分級機本体の各々において、反対向きの渦を誘発するように構成され、
隣り合う前記サイクロン空気分級機の少なくとも部分的に円錐状の前記吹出部は、長手方向の長さが異なり、
隣り合う前記サイクロン空気分級機の前記廃物出口の各々は、同一平面になく、前記廃物出口の流れの干渉を制限し、前記空気濾過列に亘る圧力低下を一層小さくして、より効率的な粒子の除去をもたらすように、前記空気濾過列に沿って長手方向に離間し、
他の円錐状の前記吹出部の長手方向の長さと比較してより短い円錐状の前記吹出部を有する前記サイクロン空気分級機は、前記廃物出口の下流に、前記抽出管の外表面に接続された風向板を有し、
前記風向板は、隣り合う前記サイクロン空気分級機の間で前記廃物出口の流れの干渉を更に制限するように、前記抽出管から径方向において外向きに延びる、
空気濾過列。
【請求項2】
前記空気濾過列は、モジュール式であって、隣り合う前記空気濾過列に接続可能であり、
前記空気濾過列は、4個の前記サイクロン空気分級機の2×2のアレイを有し、
前記アレイにおいて斜めに対向する前記サイクロン空気分級機の前記入口ダクトは、前記サイクロン空気分級機の中空の前記分級機本体の各々において、同じ方向に渦を誘発するように構成される、
請求項1に記載の空気濾過列。
【請求項3】
前記枠に固定され、外向きに傾斜した上部の壁を備え、
上部の前記壁は、2×2の前記アレイにおいて最も上方の前記サイクロン空気分級機の前記廃物出口の周囲に内部空洞を画定し、
前記内部空洞は、前記廃物出口の周囲で圧力が過度に増大するのを防止するように構成される、
請求項2に記載の空気濾過列。
【請求項4】
外向きに傾斜した上部の前記壁は、開放可能な点検ハッチを有する、請求項3に記載の空気濾過列。
【請求項5】
各入口ダクトは、等角度に離間した複数の角度の付いた羽を有し、
前記羽は、中空の前記分級機本体内で渦を誘発するように構成され、
隣り合う前記サイクロン空気分級機の前記羽は、前記サイクロン空気分級機の中空の前記分級機本体の各々において、反対方向に渦を誘発するように構成される、
請求項2~4のいずれか1つに記載の空気濾過列。
【請求項6】
各入口ダクトは、部分的に円錐状の前記吹出部に取り外し可能に接続され、
各入口ダクトは、等角度に離間した8個の角度の付いた前記羽を有する、
請求項5に記載の空気濾過列。
【請求項7】
各入口ダクトは、矩形から円形に至る入口の囲い板を有し、
隣り合う囲い板の内縁部は、当接して配置され、
各入口ダクトは、前記羽の周囲に配置され、軸方向に延びる円筒状の囲い板を有する、
請求項5又は6に記載の空気濾過列。
【請求項8】
矩形から円形に至る前記入口の囲い板は、凹状であり、前記円筒状の囲い板に取り外し可能に接続されている、請求項7に記載の空気濾過列。
【請求項9】
方のペアの前記サイクロン空気分級機は、下方のペアの前記サイクロン空気分級機の円錐状の前記吹出部よりも短い円錐状の前記吹出部を有する、請求項2~8のいずれか1つに記載の空気濾過列。
【請求項10】
前記入口ダクトは、軸方向に整列したハブを有し、
軸方向に整列した前記ハブは、気流をより確実に滑らかにする円錐状の中央キャップを有し、
複数の前記羽は、前記ハブ上の周方向に離間した位置から径方向において外向きに延び、
各羽は、長手方向の前記軸に対して直交し、軸方向を向く直線状の上流縁部と、下流縁部又は後縁部とを有し、
各羽は、前記ハブから、前記羽の径方向において外向きの末端部又は先端部に拡がる、
請求項5~8、及び請求項5に従属する請求項9のいずれか1つに記載の空気濾過列。
【請求項11】
前記サイクロン空気分級機から排出された排除された粒子を収集するために、前記サイクロン空気分級機の環状の前記廃物出口と流れ連通するように接続された砂収集シュート又はホッパを備える、請求項2~10のいずれか1つに記載の空気濾過列。
【請求項12】
前記吹出部の円錐部は、下流方向に拡がり、
入口の直径は、排出口の直径と実質的に同一であり、
前記抽出管は、前記吹出部と同心状であり、少なくとも部分的に前記吹出部内に延び、
前記抽出管の軸方向における外端部が、後壁に接合されることにより、前記排出口が前
記廃物出口から分離される、
請求項1~11のいずれか1つに記載の空気濾過列。
【請求項13】
複数の請求項1~12のいずれか1つに記載の空気濾過列と、
各サイクロン空気分級機の前記廃物出口と流れ連通するように配置された少なくとも1個の砂収集シュート又はホッパと、
を備え、
複数の前記空気濾過列は、並んで、エアダクトに直列形式に配置されている、
空気濾過装置。
【請求項14】
前記砂収集シュートは、前記シュートのトラフに収集された砂を排出するように構成されたオーガ又はスクリュコンベアと、少なくとも1個の開放可能な点検ハッチとを有し、
前記砂収集シュートは、前記廃物出口から前記シュートへの粒子の排出が逆行する気流によって妨げられることを防止するために、前記空気濾過列に対して密封されている、
請求項13に記載の空気濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気、濾過、及び/又は空調装置に関する。より具体的には、本発明は、サイクロン空気分級機(cyclonic air classifiers)を備える空気濾過装置に関する。サイクロン空気分級機を備える空気濾過装置は、当該分級機の遠心作用によって、気流からダスト粒子や他の不純物等の大きい粒子や重い粒子を分離する。
【背景技術】
【0002】
サイクロンは、産業の至る所において、異なる用途に異なる形式で使用されている。例えば、鉱業用途には、サイクロンにおいて鉱滓(tailings)やスラリに遠心力をかけて鉱滓から重い粒子状物質を分離するために、ハイドロサイクロンがよく使用される。垂直向きの場合、重い粒子は、径方向において外向きに追いやられ、サイクロンの内部を底部に向かってアンダフロー開口部に滑り落ちる。重い粒子は、アンダフロー開口部においてサイクロンから排出され、通常は鉱滓ダムを築く成形材料として使用される。一方、微細な物質及び流体は、オーバフロー開口部として知られる、上方に配置された中央開口部から吸い出される。サイクロンは、常に垂直向きではなく、水平向きでも使用され得る。
【0003】
また、出願人は、同じ原理を利用して気流からダスト粒子や他の不純物を除去する空気サイクロンや分級機の存在を知っている。既存の空気換気装置では、サイクロンは、予備濾過段階において、物質空気フィルタの上流で、当該フィルタの寿命を延ばすために使用される。発明者は、異なる構成を有する多数の空気サイクロンの流体力学分析を通じて、空気サイクロンの特定の形状が粒子分離効率及びエネルギ効率の点で空気サイクロンの性能に重要であることを突き止めている。発明者は、ほとんどの分級機でエネルギ効率が低い点、すなわち、サイクロンに亘って大きな圧力損失が発生する点や、粒子サイズの範囲に亘って不十分な粒子分離が発生する点で、既存の空気サイクロンや分級機の性能が不十分であると考えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくともある程度、上記の欠点に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば、
少なくとも2個の隣り合うサイクロン空気分級機と、サイクロン空気分級機が取り付けられる枠とを備える空気濾過列(air filtration bank)であって、
各サイクロン空気分級機は、上流の入口にあって渦を誘発する入口ダクトと、入口の下流に配置された管状の抽出管と、少なくとも部分的に円錐状の吹出部(diffuser)とを有する中空の分級機本体を含み、
中空の分級機本体は、長手方向の軸を規定し、
抽出管は、入口と軸方向に整列した排出口を画定し、
少なくとも部分的に円錐状の吹出部は、入口ダクトから抽出管に向かって延び、
少なくとも部分的に円錐状の吹出部の下流端部と抽出管とは、共に、中空の分級機本体の長手方向の軸に対する横断面に廃物出口を画定し、
隣り合うサイクロン空気分級機の渦を誘発する入口ダクトは、隣り合うサイクロン空気分級機の中空の分級機本体の各々において、反対向きの渦を誘発するように構成され、
隣り合うサイクロン空気分級機の少なくとも部分的に円錐状の吹出部は、長さが異なり、
隣り合うサイクロン空気分級機の廃物出口の各々は、同一平面になく、廃物出口の流れの干渉を制限し、空気濾過列に亘る圧力低下を一層小さくして、より効率的な粒子の除去をもたらすように、空気濾過列に沿って長手方向に離間する、
空気濾過列が提供される。
【0006】
他の円錐状の吹出部の長さと比較してより短い円錐状の吹出部を有するサイクロン空気分級機は、廃物出口の下流に、抽出管の外表面に接続された風向板(deflector)を有してもよい。風向板は、抽出管から径方向において外向きに延びてもよい。このことにより、風向板は、隣り合うサイクロン空気分級機の間で廃物出口の流れの干渉を更に制限するのに役立つ。
【0007】
空気濾過列は、モジュール式であってもよい。空気濾過列は、隣り合う空気濾過バンクに接続可能であってもよい。空気濾過列は、4個のサイクロン空気分級機の2×2のアレイを有してもよい。アレイにおいて斜めに対向するサイクロン空気分級機の入口ダクトは、サイクロン空気分級機の中空の分級機本体の各々において、同じ方向に渦を誘発するように構成される。
【0008】
空気濾過列は、枠に固定され外向きに傾斜した、動作上(operatively)上部の壁を備えてもよい。上部の壁は、2×2のアレイにおいて最も上方のサイクロン空気分級機の廃物出口の周囲に内部空洞を画定してもよい。内部空洞は、廃物出口の周囲で圧力が過度に増大するのを防止するように構成されてもよい。
【0009】
外向きに傾斜した動作上上部の壁は、開放可能な点検ハッチを有してもよい。
【0010】
各入口ダクトは、等角度に離間した複数の角度の付いた羽を有してもよい。羽は、中空の分級機本体内で渦を誘発するように構成されてもよい。空気濾過列のサイクロン空気分級機の羽は、上から下及び側から側に向きを変えて配置される。このことにより、隣り合うサイクロン空気分級機の羽は、サイクロン空気分級機の中空の分級機本体の各々において、反対方向に渦を誘発するように構成される。
【0011】
各入口ダクトは、部分的に円錐状の吹出部に取り外し可能に接続されてもよい。各入口ダクトは、等角度に離間した8個の角度の付いた羽を有してもよい。
【0012】
各入口ダクトは、矩形から円形に至る入口の囲い板(shroud)を有してもよい。隣り合う囲い板の内縁部は、当接して配置されてもよい。各入口ダクトは、羽の周囲に配置され、軸方向に延びる円筒状の囲い板を有してもよい。
【0013】
矩形から円形に至る入口の囲い板は、凹状であってもよい。矩形から円形に至る入口の囲い板は、円筒状の囲い板に取り外し可能に接続されてもよい。
【0014】
動作上上方のペアのサイクロン空気分級機は、動作上下方のペアのサイクロン空気分級機の円錐状の吹出部よりも短い円錐状の吹出部を有してもよい。
【0015】
入口ダクトは、軸方向に整列したハブを有してもよい。軸方向に整列したハブは、気流をより確実に滑らかにする円錐状の中央キャップを有する。複数の羽は、ハブ上の周方向に離間した位置から径方向において外向きに延びてもよい。各羽は、長手方向の軸に対して直交し、軸方向を向く直線状の上流縁部を有してもよい。各羽は、分級機本体の長手方向の軸に対して約60度の角度の付いた下流縁部又は後縁部を有してもよい。各羽は、ハブから、径方向において外向きの羽の末端部又は先端部に拡がってもよい。
【0016】
空気濾過列は、サイクロン空気分級機から排出された排除された粒子を収集するために、サイクロン空気分級機の環状の廃物出口と流れ連通するように接続された砂収集シュート又はホッパを備えてもよい。
【0017】
吹出部の円錐部は、下流方向に拡がっている。入口の直径は、排出口の直径と実質的に同一であってもよい。抽出管は、少なくとも部分的に吹出部内に延びてもよい。抽出管は、吹出部と同心状であってもよい。抽出管の軸方向における外端部は、後壁に接合される。このことは、排出口を廃物出口から分離するのに役立つ。
【0018】
本発明は、複数の上記の空気濾過列と、各サイクロン空気分級機の廃物出口と流れ連通するように配置された少なくとも1個の砂収集シュート又はホッパとを備え、複数の空気濾過列が並んでエアダクトに直列形式に配置されている空気濾過装置に及ぶ。
【0019】
砂収集シュートは、シュートのトラフに収集された砂を排出するように構成されたオーガ又はスクリュコンベアを有してもよい。砂収集シュートは、少なくとも1個の開放可能な点検ハッチを有してもよい。砂収集シュートは、廃物出口からシュートへの粒子の排出が逆行する気流によって妨げられることを防止するために、空気濾過列に対して密封されてもよい。
【0020】
空気濾過列は、4個のサイクロン空気分級機のアレイを有してもよい。アレイにおいて斜めに対向するサイクロン空気分級機の入口ダクトは、サイクロン空気分級機の中空の分級機本体の各々において、同じ方向に渦を誘発するように構成される。アレイは、2×2行列であってもよい。空気濾過列のサイクロン空気分級機の羽は、上から下及び側から側に向きを変えて配置されてもよい。
【0021】
空気濾過列は、長さの異なる、部分的に円錐状の吹出部を有するサイクロン空気分級機を備えてもよい。このことにより、空気濾過列は、異なるサイズの粒子を濾過するように構成される。
【0022】
各分級機の円錐状の吹出部は、抽出管の周囲に環状の廃物出口を画定してもよい。排除された粒子は、動作上、抽出管を通じて排出される。廃物出口は、下方の砂収集シュートと流れ連通している。
【0023】
入口は、円形であってもよい。同様に、排出口は、円形であってもよい。
【0024】
空気濾過列は、動作上、1個以上の空気フィルタと直列に接続されてもよい。空気濾過列は、枠を囲む外装体を備えてもよい。外装体は、開放可能な検査ハッチを有してもよい。
【0025】
分級機は、ポリマ材料から作製されてもよい。好ましくは、分級機は、5mmの鉄等の金属から作製されてもよい。
【0026】
砂収集シュートは、排出された粒子を排出するためのスクリュコンベア、回転ベーンフィーダ、又はフラップ弁のうちいずれか1つを有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、添付図面を参照しながら、例として更に説明される。
【0028】
図1図1は、本発明の一態様に係る空気濾過列を立体視で示す図である。
図2図2は、図1の空気濾過列の下流を立体視で示す図である。
図3図3は、図1の空気濾過列の側面図である。
図4図4は、接合された複数の空気濾過列を立体視で示す図である。
図5図5は、図1に示す線A-Aに沿った縦断面図である。
図6図6は、本発明の他の態様に係る空気濾過装置の側面図である。
図7図7は、図6の空気濾過装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の本発明の説明は、本発明を教示可能にするものとして提供される。関連技術に熟練した者は、本発明の有益な結果を達成しつつ記載された実施形態に多くの変更を行うことができることを認識するであろう。また、本発明の望まれる利点のいくつかが、本発明の特徴のうちいくつかを選択することによって、他の特徴を利用せずに達成されることも明らかであろう。したがって、当業者は、本発明に対する修正及び改造が可能であり、特定の状況では望ましくさえあって、本発明の一部であることを認識するであろう。そのため、後の説明は、本発明の原理の説明となるものとして提供され、これに限定されるものではない。
【0030】
図において、符号100は、通常、本発明の第1態様に係るモジュール式空気濾過列(modular air filtration bank)を指す。本発明の第1態様に係るモジュール式空気濾過列は、図1図3に示すように2×2行列に配置された4個のサイクロン空気分級機10のアレイを備える。図4に示すように、並んで配置された一連のモジュール式空気濾過列100は、本発明の他の態様に係る空気濾過装置50(図6および図7参照)の一部を動作可能に形成する。空気濾過装置50は、気流から特大のダスト粒子や他の不純物を除去するために、空調及び/又は濾過装置において使用され、任意には、気流が物質フィルタを通過する前に使用される。図5及び図6では、空気濾過装置50及び空気濾過列100を通る気流の方向が矢印30で示されている。図5及び図6における矢印31,32は、空気濾過列100によって濾過された重い粒子が下方の砂収集シュート(grit collecting chute)又はホッパ5に排出される方向を示す。
【0031】
簡単に説明すると、ダスト粒子や他の不純物の乗った気流が列100のサイクロン空気分級機10を通過するとき、等角度に離間した複数の円弧状の羽21を有し、渦を誘発する入口ダクト13を介して、渦(らせん状又はサイクロン状の動き)が誘発される。当該入口ダクト13は、中空の分級機本体12の入口に設けられている。図1図5に示す好適な実施形態では、各入口ダクト13に、等角度に離間した円弧状又は角度の付いた(angled)羽21が8個設けられている。羽21は、軸方向に見たときに羽21の間に隙間が見えないように、角度的に互いに重複している。黙示的には、空気は、渦を誘発する羽21なしには、入口ダクト13を真っ直ぐ通過できない。結果として、重いダスト粒子や不純物は、遠心力によって径方向において外向きに回転し、環状の廃物出口25(図2及び図5参照)を介して分級機10から排出される。一方、より小さく清浄な空気粒子は、管状の抽出管16によって画定される中央排出口17を介して分級機本体12から抽出される。
【0032】
中空の分級機本体12の各々は、長手方向の軸X(図5参照)を規定する。各入口ダクト13は、気流を羽21に向ける、矩形から円形に至る入口の囲い板(shroud)14を有する。隣り合う入口の囲い板14の内縁部は、空気濾過列100を通る気流をより確実に滑らかにするように、当接している。また、各入口ダクト13は、羽21の周囲に同心状に配置された円筒状の囲い板9を有する。矩形から円形に至る入口の囲い板14は、凹状であり、円筒状の囲い板9に接続されている。入口ダクト13の下流において、分級機本体12は、円錐状の吹出部(diffuser)15を有する。円錐状の吹出部15は、一端で入口ダクト13に接続され、他端で多数の突出した脚部又はブラケット7を介して下流の後壁8に接続されている。円錐状の吹出部15は、下流方向に拡がっている。
【0033】
渦を誘発する入口ダクト13は、円錐状の吹出部15に取り外し可能に接続されている。このことは、入口ダクト13が損耗したときに、入口ダクト13を容易に除去し交換することができることを意味する。すなわち、このことにより、入口ダクト13のみが損耗したときに、分級機本体12の全体を交換する必要はない。矩形から円形に至る入口の囲い板14にも、同じことが当てはまる。
【0034】
各分級機10は、入口の下流に、円錐状の吹出部15と同心状、かつ、部分的に円錐状の吹出部15内に配置された管状の抽出管16(図5参照)を有する。排出口17は、軸方向に入口と整列している。空気濾過列100は、各サイクロン空気分級機10が取り付けられる枠18を更に有する。各空気濾過列100は、傾斜した動作上(operatively)上部の壁23を有する。傾斜した動作上上部の壁23は、枠18に固定され、外向きに突出している。傾斜した動作上上部の壁23は、2×2アレイ又は2×2行列において最も上方にあるサイクロン空気分級機10の廃物出口25の周囲に、内部空洞33を画定する。傾斜した上部の壁23は、傾斜した大壁23.1と反対に傾斜した小壁23.2とを有する。傾斜した大壁23.1と反対に傾斜した小壁23.2とは、頂部23.3で接する。図1に示すように、傾斜した大壁23.1は、開放可能な点検ハッチ24を有する。
【0035】
廃物出口25は、粒子排除ゾーン22(図6参照)に通じている。粒子排除ゾーン22は、一端部を円筒状の囲い板9と分級機本体12の円錐状の吹出部15との境界面の周囲に設けられた上流の壁6に、他端部を下流の後壁8に、上方を傾斜した上部の壁23に、下方を砂収集シュート5(図6参照)に規定されている。内部空洞33は、粒子排除ゾーン22と流れ連通しており、最も上方にある廃物出口25の周囲で圧力が過度に増大するのを防止するように構成されている。このことにより、内部空洞33は、粒子の除去と濾過列100を通る気流とを改善する。
【0036】
空気濾過列100を通る最適な気流を実現するために、渦を誘発する入口ダクト13、具体的には、隣り合うサイクロン空気分級機10の円弧状の羽21は、各円錐状の吹出部15において反対向きの渦を誘発するように構成される。
【0037】
よって、隣り合うサイクロン空気分級機10の羽21は、サイクロン空気分級機10における中空の分級機本体12の各々において、反対方向に渦を誘発するように配置されている。
【0038】
さらに、図3及び図5に示すように、各空気濾過列100において、動作上上方のペア15.1の円錐状の吹出部15と下方のペア15.2の円錐状の吹出部15では、長さが異なる。このことにより、各ペア15.1,15.2の廃物出口25は、同一平面になく、空気濾過列100に沿って長手方向に離間する。このことは、廃物出口の流れの干渉を制限するのに役立ち、結果として空気濾過列100に亘る圧力低下を一層小さくして、さらにはより効率的な粒子の除去をもたらす。さらに、円錐状の吹出部15.1,15.2の長さが異なる結果として、空気濾過列100は、異なるサイズの粒子を濾過するように構成されている。動作上上方のペアのサイクロン空気分級機10は、見られるように、動作上下方のペアのサイクロン空気分級機における円錐状の吹出部15.2よりも短い円錐状の吹出部15.1を有する(図3参照)。
【0039】
前述したように、各円錐状の吹出部15は、抽出管16の周囲の環状の廃物出口25を画定する。排除された粒子は、動作上、抽出管16の周囲の環状の廃物出口25を通じて粒子排除ゾーン22に排出される。粒子排除ゾーン22及び内部空洞33は、廃物出口25と下方の砂収集シュート5とを流れ連通するように接続する。
【0040】
さらに、短い円錐状の吹出部15.1を有するサイクロン空気分級機10、すなわち、動作上最も上方の分級機は、廃物出口25の下流に、抽出管16の外表面に接続された環状の風向板(deflector)34をそれぞれ有する。図5に示すように、風向板34は、抽出管16から離れるように径方向において外向きに延びている。そのため、風向板34は、空気濾過列100において、上方のサイクロン空気分級機10と下方のサイクロン空気分級機10との間で、廃物出口の流れの干渉を制限するのに更に役立つ。風向板34は、多かれ少なかれ、下方の円錐状の吹出部15.2の下流端部と長手方向に整列している。
【0041】
図1及び図5を参照すると、各入口ダクト13は、気流をより確実に滑らかにする円錐状の中央キャップ35を有する、軸方向に整列したハブを備えている。各羽21は、ハブ上の周方向に離間した位置から径方向において外向きに延びている。各羽21は、長手方向の軸Xに対して直交し、軸方向を向く直線状の上流縁部と、分級機本体12の長手方向の軸Xに対して約60度の角度の付いた下流縁部又は後縁部とを有する。各羽21は、ハブから、羽21の径方向において外向きの末端部又は先端部に拡がっている。
【0042】
図6に最もよく見られるように、空気濾過装置50は、ダクトに直列形式で動作可能に接続されている。装置50を通る気流の方向は、矢印30で示されている。濾過装置50の下流には、空気分級機10によって除去されなかった微細な粒子を濾過するために、1個以上の物質フィルタが設けられてもよい。動作上上部の壁23の頂部23.3には、空気濾過列100を支持体に取り付けるためのペアの取付ブラケット28が設けられている。
【0043】
図7に示すように、例示的な実施形態では、空気濾過装置50は、第1砂収集シュート5.1と、隣り合う第2砂収集シュート5.2とを備えている。各シュート5.1,5.2の末端部に接続されたトラフ27には、スクリュコンベア26.1,26.2若しくはオーガ、回転ベーンフィーダ、又はある種のフラップ弁が配置される。スクリュコンベア26.1,26.2は、トラフ27に収集された砂(grit)を排出するように構成されている。各砂収集シュートは、2個の開放可能な点検ハッチ24を有する。各シュート5.1,5.2の末端部は、濾過装置50を通過する気流から重い粒子を排出することが逆行する気流によって妨げられることを防止するために、スクリュコンベアによってシールされている。
【0044】
出願人は、上記の特徴のなかでも、本発明の一態様に係る空気濾過装置50の特定の構成が、非常に改善された粒子の分離や濾過を提供し、廃物出口の流れの干渉を制限して空気濾過列100に亘る圧力低下を一層小さくするのに役立ち、より効率的な粒子の除去をもたらすと考えている。本発明の一態様に係る空気濾過装置50は、本発明の他の態様に係る、並んで配置された一連のモジュール式空気濾過列100を備えている。一連のモジュール式空気濾過列100の各々は、長さの異なる円錐状の吹出部15.1,15.2及び反対向きに渦を誘発する入口ダクト13を有するサイクロン空気分級機10のアレイを備えている。
【0045】
空気濾過装置50は、空気濾過列100のモジュール性により、様々な動作上の要求及び設置条件を満たすように設計され得る。例えば、空気濾過装置50の濾過列100は、10ミクロン以上の粒子を濾過することができる。メンテナンスの観点では、空気濾過装置50には、動作寿命を延ばすために頻繁なメンテナンスを必要とするロータ等の可動部品を有しないという利点がある。
【0046】
また、上述のように、入口ダクト13が損耗したときには、渦を誘発する入口ダクト13を、サイクロン空気分級機10の残りの物の取外しを必要とせずに、容易に交換することができる。矩形から円形に至る入口の囲い板14は、羽の入口の間にデッドスポットがないように、羽に均一な層状の気流を生じ、入口ダクト13の損耗を一層少なくする。また、矩形から円形に至る入口の囲い板14は、気流に対して生じる抵抗が一層小さいので、入口の空力特性を向上させる。
【0047】
さらに、出願人は、羽の角度、曲率、及び数(8個)が、気流の遠心性の渦運動を最大にすることにより効率の向上をもたらすと考えている。また、広がった円錐状の吹出部15によって、サイクロン状の渦運動を最大に成熟させて、全体の効率を最大にすることができる。風向板34は、上下の空気分級機の間で、廃物出口25の気流の干渉を更に制限する。最後に、砂収集シュート又はホッパ5は、粒子の蓄積を防止し、より確実に、粒子を最も効率的かつ迅速に1個の出口から除去する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7