(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】表示装置、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
G08G5/00 A
(21)【出願番号】P 2022513761
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2020015784
(87)【国際公開番号】W WO2021205559
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮城 了
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏記
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113940(JP,A)
【文献】特開2017-144811(JP,A)
【文献】特開2019-158635(JP,A)
【文献】特開2019-021975(JP,A)
【文献】特開2018-144765(JP,A)
【文献】特開2019-059258(JP,A)
【文献】国際公開第2017/110824(WO,A1)
【文献】特開2018-077760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G09B 23/00 - 29/14
G05D 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲を地図上に表示すると共に、当該有効範囲に含まれる圃場をドローンの飛行可能な圃場として表示し、当該有効範囲に含まれない圃場をドローンの飛行不可能な圃場として、当該有効範囲に含まれる圃場と区別可能に表示する、
表示装置。
【請求項2】
前記有効範囲に含まれる圃場と前記有効範囲に含まれない圃場を区別可能なリスト、をさらに表示する、
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記有効範囲と、前記有効範囲に含まれる圃場と、前記有効範囲に含まれない圃場をディスプレイに表示させた地図上に重畳的に表示する、
請求項1又は2記載の表示装置。
【請求項4】
前記ディスプレイに表示させた地図上において、飛行可能な前記ドローンと飛行不可能な前記ドローンとして、前記有効範囲に含まれるドローンと前記有効範囲に含まれないドローンとを区別可能に表示する、
請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記ドローンの位置情報に基づき、前記有効範囲外にある所定のドローンが飛行できないこと、をさらに表示する、
請求項1乃至4いずれかの項に記載の表示装置。
【請求項6】
ディスプレイに表示させた地図上において、
予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲と、当該有効範囲に含まれるドローンの飛行可能な圃場と、当該有効範囲に含まれないドローンの飛行不可能な圃場と、を表示させ、
前記ドローンの飛行可能な圃場と、前記ドローンの飛行不可能な圃場とを区別可能に表示させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、表示装置、ドローンの飛行可否判定装置、ドローンの飛行可否判定方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にドローンと呼ばれる小型ヘリコプター(マルチコプター)の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や液肥などの薬剤散布が挙げられる(たとえば、特許文献1)。比較的狭い農地においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い。
【0003】
準天頂衛星システムやRTK-GPS(Real Time Kinematic - Global Positioning System)などの技術によりドローンが飛行中に自機の絶対位置をセンチメートル単位で正確に知ることができるようになったことで、日本において典型的な狭く複雑な地形の農地でも、人手による操縦を最小限として自律的に飛行し、効率的かつ正確に薬剤散布を行なえるようになっている。
【0004】
この点、ドローンなどの移動体の位置情報を表示する技術として、特許文献2には、各種の移動体の現在地情報と、移動体の現在地情報に関連する多様な各種情報を、移動体の現在地に依存せぬ場所の利用者に供給する移動体情報表示システムが開示されている。
特許文献3には、高さ情報を含む地図データに基づいて、地面までの距離が所定の範囲内を飛行するように制御する飛行制御部と、飛行位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、携帯端末が受信可能な報知信号を送信するとともに、報知信号に対する応答信号を受信する通信制御部と、通信制御部が応答信号を受信した場合に、応答信号を取得したときの飛行位置を示す位置情報を含む応答信号を受信したことを示す報告情報を出力する出力部とを有する飛行装置が記載されている。
特許文献4には、航空機の運行に係わるそれぞれの空域に対して、その位置と、その高度(上下方向の範囲)とを対応づけた空域データベースを記憶手段に記憶させて、航空機の現在高度情報をもとに空域データベースを参照して、航空機の現在位置周辺に存在する空域のうち自機高度を含む空域を表示する表示器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】再公表公報 再表2017/175804
【文献】特開2019-185778号公報
【文献】特開2019-18847号公報
【文献】特開2000-309299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ドローンを安全に飛行させることができる有効範囲を容易に把握可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の観点に係る表示装置は、予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲を地図上に表示すると共に、当該有効範囲に含まれる圃場をドローンの飛行可能な圃場として表示し、当該有効範囲に含まれない圃場をドローンの飛行不可能な圃場として、当該有効範囲に含まれる圃場と区別可能に表示する。
【0008】
前記有効範囲に含まれる圃場と前記有効範囲に含まれない圃場を区別可能なリスト、をさらに表示するものとしてもよい。
【0009】
また、前記有効範囲と、前記有効範囲に含まれる圃場と、前記有効範囲に含まれない圃場をディスプレイに表示させた地図上に重畳的に表示する、ものとしてもよい。
【0010】
また、前記ディスプレイに表示させた地図上において、飛行可能な前記ドローンと飛行不可能な前記ドローンとして、前記有効範囲に含まれるドローンと前記有効範囲に含まれないドローンとを区別可能に表示するものとしてもよい。
【0011】
また、前記ドローンの位置情報に基づき、前記有効範囲外にある所定のドローンが飛行できないこと、をさらに表示するものとしてもよい。
【0012】
また、本発明の別の観点に係る表示装置は、ドローンが飛行する候補の圃場として選択された複数の圃場、もしくは選択された複数の当該ドローンと、予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲に選択された当該圃場又は当該ドローンの位置が収まる少なくとも1箇所の基地局の設置推奨位置と、をディスプレイに表示させた地図上に表示する。
【0013】
また、本発明の別の観点に係るドローンの飛行可否判定装置は、ドローン又は圃場の位置情報を取得する位置情報取得処理部と、前記ドローン又は前記圃場の位置情報に基づき、予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲に前記ドローン又は前記圃場が位置しているか否かを判定する判定処理部と、前記ドローン又は前記圃場が前記有効範囲外に位置していると判定した場合に、前記ドローンが飛行することを規制する規制処理部と、を有する。
【0014】
また、本発明の別の観点に係るドローンは、ドローン又は圃場の位置情報に基づき、予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲に当該ドローン又は当該圃場が位置しているか否かを判定する判定処理部と、前記ドローン又は前記圃場が前記有効範囲外に位置していると判定した場合に、前記ドローンが飛行することを規制する規制処理部と、を有する。
【0015】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、ディスプレイに表示させた地図上において、予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲と、当該有効範囲に含まれるドローンの飛行可能な圃場と、当該有効範囲に含まれないドローンの飛行不可能な圃場と、を表示させ、前記ドローンの飛行可能な圃場と、前記ドローンの飛行不可能な圃場とを区別可能に表示させる。
【0016】
また、本発明の別の観点に係るドローンの飛行可否判定方法は、コンピュータが、ドローン又は圃場の位置情報を取得する位置情報取得処理と、前記ドローン又は前記圃場の位置情報に基づき、予め定められた基地局から所定距離範囲である有効範囲に前記ドローン又は前記圃場が位置しているか否かを判定する判定処理と、前記ドローン又は前記圃場が前記有効範囲外に位置していると判定した場合に、前記ドローンが飛行することを規制する規制処理と、を実行する。
【0017】
また、本発明の別の観点に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに対し、ドローン又は前記圃場の位置情報を取得する位置情報取得処理と、前記ドローン又は前記圃場の位置情報に基づき、予め定めされた基地局から所定距離範囲である有効範囲に前記ドローン又は前記圃場が位置しているか否かを判定する判定処理と、前記ドローン又は前記圃場が前記有効範囲外に位置していると判定した場合に、前記ドローンが飛行することを規制する規制処理と、を実行させる。
【0018】
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0019】
ドローンを安全に飛行させることができる有効範囲を容易に把握可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図6】上記ドローンの飛行制御システムの全体概念図である。
【
図7】上記ドローンが有する機能ブロック図である。
【
図8】本願発明に係る飛行可否判定装置の機能ブロック図である。上記ドローンに接続される操作器に表示されるメイン画面の例を示す模式図である。
【
図9】本願発明に係る表示器を構成する操作器のディスプレイ上に表される画面の一例である。
【
図10】上記操作器のディスプレイ上に表される画面の一例である。
【
図11】上記操作器のディスプレイ上に表される画面の一例である。
【
図12】上記操作器のディスプレイ上に表される画面の一例である。
【
図13】上記操作器のディスプレイ上に表される画面の一例である。
【
図14】本願発明に係る飛行可否判定装置によって実行される処理の一例を示した処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図を参照しながら、本願発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0022】
●ドローン
まず、本発明にかかるドローンの構成について説明する。本願明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、および、自律飛行型であるか手動操縦型であるか等)を問わず、複数の回転翼を有する飛行体全般を指すこととする。
【0023】
図1乃至
図5に示すように、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ローターとも呼ばれる)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、電力消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成の回転翼が4セット)備えられている。各回転翼101は、ドローン100の筐体110からのび出たアームにより筐体110の四方に配置されている。すなわち、進行方向左後方に回転翼101-1a、101-1b、左前方に回転翼101-2a、101-2b、右後方に回転翼101-3a、101-3b、右前方に回転翼101-4a、101-4bがそれぞれ配置されている。なお、ドローン100は
図1における紙面下向きを進行方向とする。
【0024】
回転翼101の各セットの外周には、略円筒形を形成する格子状のプロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4が設けられ、回転翼101が異物と干渉しづらくなるようにしている。
図2および
図3に示されるように、プロペラガード115-1,115-2,115-3,115-4を支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材が回転翼の外側に座屈することを促し、ローターと干渉することを防ぐためである。
【0025】
回転翼101の回転軸から下方には、それぞれ棒状の足107-1,107-2,107-3,107-4が伸び出ている。
【0026】
モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4bは、回転翼101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4bを回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つの回転翼に対して1機設けられている。モーター102は、推進器の例である。1セット内の上下の回転翼(たとえば、101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモーター(たとえば、102-1aと102-1b)は、ドローン100の飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。
【0027】
ノズル103-1、103-2は、散布物を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、散布物とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0028】
タンク104は散布物を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。ホース105は、タンク104と各ノズル103-1、103-2とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、当該ノズル103-1、103-2を支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、散布物をノズル103-1、103-2から吐出するための手段である。
【0029】
●飛行制御システム
図6に本願発明に係るドローン100の飛行制御システムの全体概念図を示す。本図は模式図であって、縮尺は正確ではない。同図において、ドローン100、操作器401、基地局404およびサーバ405が移動体通信網400を介して互いに接続されている。これらの接続は、移動体通信網400に代えてWi-Fiによる無線通信を行ってもよいし、一部又は全部が有線接続されていてもよい。また、構成要素間において、移動体通信網400に代えて、又は加えて、直接接続する構成を有していてもよい。
【0030】
・ドローン
ドローン100および基地局404は、GPS等のGNSSの測位衛星410と通信を行い、ドローン100および基地局404座標を取得する。ドローン100および基地局404が通信する測位衛星410は複数あってもよい。
【0031】
・操作器
操作器401は、使用者の操作によりドローン100に指令を送信するための機器であると共に、ドローン100から受信した情報(たとえば、位置、散布物の貯留量、電池残量、カメラ映像等)やサーバ405等が実行したコンピュータプログラムの実行結果を表示する表示装置でもある。
この操作器401は、コンピュータプログラムを稼働する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。操作器401は、ユーザインターフェース装置としての入力部および表示部を備える。本願発明に係るドローン100は自律飛行を行なうよう制御されるが、離陸や帰還などの基本操作時、および、緊急時にはマニュアル操作が行なえるようになっていてもよい。携帯情報機器に加えて、緊急停止専用の機能を有する非常用操作器(図示していない)を使用してもよい。非常用操作器は緊急時に迅速に対応が取れるよう大型の緊急停止ボタン等を備えた専用機器であってもよい。
【0032】
さらに、操作器401とは別に、操作器401に表示される情報の一部又は全部を表示可能な小型携帯端末、例えばスマートホンがシステムに含まれていてもよい。小型携帯端末は、例えば基地局404と接続されていて、基地局404を介してサーバ405からの情報等を受信可能である。
この小型携帯端末の表示部には、ドローン100の運転に関し予測される動作の情報、より具体的にはドローン100が発着地点に帰還する予定時刻や、帰還時に使用者が行うべき作業の内容等の情報が適宜表示される。また、小型携帯端末からの入力に基づいて、ドローン100の動作を変更してもよい。
【0033】
・圃場
圃場403は、ドローン100が散布物を散布する対象となる田圃や畑等である。実際には、圃場403の地形は複雑であり、事前に地形図が入手できない場合、あるいは、地形図と現場の状況が食い違っている場合がある。通常、圃場403は家屋、病院、学校、他の作物圃場、道路、鉄道等と隣接している。また、圃場403内に、建築物や電線等の侵入者が存在する場合もある。
【0034】
・基地局
基地局404は、RTK-GNSS基地局として機能し、所定の範囲内に位置するドローン100に対してドローン100の正確な位置を生成するための情報を提供できるようになっている。また、Wi-Fi通信の親機機能等を提供する装置であってもよい。Wi-Fi通信の親機機能とRTK-GNSS基地局が独立した装置であってもよい。また、基地局404は、3G、4G、およびLTE等の移動通信システムを用いて、サーバ405と互いに通信可能であってもよい。基地局404およびサーバ405は、営農クラウドを構成する。
【0035】
・サーバ
サーバ405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアであり、操作器401と携帯電話回線等で無線接続されていてもよい。サーバ405は、ハードウェア装置により構成されていてもよい。サーバ405は、ドローン100が撮影した圃場403の画像を分析し、作物の生育状況を把握して、飛行ルートを決定するための処理を行ってよい。また、保存していた圃場403の地形情報等をドローン100に提供してよい。加えて、ドローン100の飛行および撮影映像の履歴を蓄積し、様々な分析処理を行ってもよい。
【0036】
通常、ドローン100は圃場403の外部にある発着地点から離陸し、圃場403に散布物を散布した後に、あるいは、散布物の補充や充電等が必要になった時に発着地点に帰還する。発着地点から目的の圃場403に至るまでの飛行経路(侵入経路)は、サーバ405等で事前に保存されていてもよいし、使用者が離陸開始前に入力してもよい。発着地点は、ドローン100に記憶されている座標により規定される仮想の地点であってもよいし、物理的な発着台があってもよい。
【0037】
・フライトコントローラー
図7に本願発明に係る散布用ドローン100の実施例の制御機能を表したブロック図を示す。フライトコントローラー501は、ドローン100全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリー、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。フライトコントローラー501は、操作器401から受信した入力情報、および、後述の各種センサーから得た入力情報に基づき、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モーター102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、104-a、104-bの実際の回転数はフライトコントローラー501にフィードバックされ、正常な回転が行なわれているかを監視できる構成になっている。あるいは、回転翼101に光学センサー等を設けて回転翼101の回転がフライトコントローラー501にフィードバックされる構成でもよい。
【0038】
フライトコントローラー501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、Wi-Fi通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行なわれないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、フライトコントローラー501が制御に使用する計算処理の一部が、操作器401上、または、サーバ405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。フライトコントローラー501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0039】
フライトコントローラー501は、通信機530を介して、さらに、移動体通信網400を介して操作器401とやり取りを行ない、必要な指令を操作器401から受信すると共に、必要な情報を操作器401に送信できる。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。基地局404は、移動体通信網400を介した通信機能に加えて、RTK-GPS基地局の機能も備えている。RTK基地局404の信号とGPS等の測位衛星410からの信号を組み合わせることで、フライトコントローラー501により、ドローン100の絶対位置を数センチメートル程度の精度で測定可能となる。フライトコントローラー501は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのフライトコントローラー501は別の衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0040】
6軸ジャイロセンサー505はドローン100機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段であり、さらに、加速度の積分により速度を計算する手段である。6軸ジャイロセンサー505は、上述の3方向におけるドローン100機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサー506は、地磁気の測定によりドローン100機体の方向を測定する手段である。気圧センサー507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローン100の高度も測定することもできる。レーザーセンサー508は、レーザー光の反射を利用してドローン100機体と地表との距離を測定する手段であり、IR(赤外線)レーザーであってもよい。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン100機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサー類は、ドローン100のコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサー(角速度センサー)、風力を測定するための風力センサーなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサー類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的複数のセンサーが存在する場合には、フライトコントローラー501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサーに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサーを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと見なすようにしてもよい。
【0041】
流量センサー510は散布物の流量を測定するための手段であり、タンク104からノズル103-1、103-2に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサー511は散布物の量が所定の量以下になったことを検知するセンサーである。
【0042】
生育診断カメラ512aは、圃場403を撮影し、生育診断のためのデータを取得する手段である。生育診断カメラ512aは例えばマルチスペクトルカメラであり、互いに波長の異なる複数の光線を受信する。当該複数の光線は、例えば赤色光(波長約650nm)と近赤外光(波長約774nm)である。また、生育診断カメラ512aは、可視光線を受光するカメラであってもよい。
【0043】
病理診断カメラ512bは、圃場403に生育する作物を撮影し、病理診断のためのデータを取得する手段である。病理診断カメラ512bは、例えば赤色光カメラである。赤色光カメラは、植物に含有されるクロロフィルの吸収スペクトルに対応する周波数帯域の光量を検出するカメラであり、例えば波長650nm付近の帯域の光量を検出する。病理診断カメラ512bは、赤色光と近赤外光の周波数帯域の光量を検出してもよい。また、病理診断カメラ512bとして、赤色光カメラおよびRGBカメラ等の可視光帯域の少なくとも3波長の光量を検出する可視光カメラの両方を備えていてもよい。なお、病理診断カメラ512bはマルチスペクトルカメラであってもよく、波長650nm乃至680nm付近の帯域の光量を検出するものとしてもよい。
【0044】
なお、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bは、1個のハードウェア構成により実現されていてもよい。
【0045】
障害物検知カメラ513はドローン100侵入者を検知するためのカメラであり、画像特性とレンズの向きが生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは異なるため、生育診断カメラ512aおよび病理診断カメラ512bとは別の機器である。スイッチ514はドローン100の使用者が様々な設定を行なうための手段である。障害物接触センサー515はドローン100、特に、そのローターやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の侵入者に接触したことを検知するためのセンサーである。なお、障害物接触センサー515は、6軸ジャイロセンサー505で代用してもよい。カバーセンサー516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサーである。注入口センサー517はタンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサーである。
【0046】
これらのセンサー類はドローン100のコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。また、ドローン100外部の基地局404、操作器401、または、その他の場所にセンサーを設けて、読み取った情報をドローン100に送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサーを設け、風力・風向に関する情報を移動体通信網400経由又はWi-Fi通信経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0047】
フライトコントローラー501はポンプ106に対して制御信号を送信し、吐出量の調整や吐出の停止を行なう。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、フライトコントローラー501にフィードバックされる構成となっている。
【0048】
LED107は、ドローン100の操作者に対して、ドローン100の状態を知らせるための表示手段である。LEDに替えて、または、それに加えて液晶ディスプレイ等の表示手段を使用してもよい。ブザーは、音声信号によりドローン100の状態(特にエラー状態)を知らせるための出力手段である。通信機530は、3G、4G、およびLTE等の移動体通信網400と接続されており、移動体通信網400を介して基地局、サーバで構成される営農クラウド、操作器と通信可能に接続される。通信機に替えて、または、それに加えて、Wi‐Fi、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段を使用してもよい。スピーカー520は、録音した人声や合成音声等により、ドローン100の状態(特にエラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローン100の状態(特にエラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローン100のコスト目標や性能要件に応じて取捨選択してよく、二重化・多重化してもよい。
【0049】
・飛行可否判定装置
上述した飛行制御システムは、
図8に示される、本願発明に係る飛行可否判定装置406を備えている。
飛行可否判定装置406は、予め定められた基地局404から所定の距離にある範囲であって、基地局404がドローン100の正確な位置を生成するための情報を提供できる有効範囲に基づき、ドローン100の飛行可否を判定する装置である。
この飛行可否判定装置406は、飛行制御システムを構成するサーバ405等によって構成することができるほか、サーバ405やドローン100を構成するモジュールとして組み込むこともできる。また、サーバ405やドローン100とは別に設けられたコンピュータ等の装置として、飛行制御システムの一機能部を構成させることもできる。
【0050】
飛行可否判定装置406は、その特徴的な機能を実現する機能部として少なくとも、位置情報取得処理部4061、判定処理部4062、規制処理部4063、設置推奨位置検索部4064、地図情報記憶部4065、圃場情報記憶部4066を有する。
【0051】
位置情報取得処理部4061は、ドローン100の3次元座標と圃場403の座標を位置情報として取得する。この位置情報取得処理部4061は、飛行可否判定装置406が直接、基地局404から取得することもできるし、基地局404から位置情報を取得したドローン100から取得することもできる。なお、位置情報取得処理部4061が取得する情報は、それ自体で所定のオブジェクトの位置を特定できる位置情報であってもよいし、当該所定のオブジェクトの位置を特定するために必要とされる情報であってもよい。なお、位置情報取得処理部4061が取得した情報が、所定のオブジェクトの位置を特定するために必要とされる情報である場合には、位置情報取得処理部4061は適宜の情報処理により、当該所定のオブジェクトの位置を特定するために必要とされる情報に基づいて、それ自体で所定のオブジェクトの位置を特定できる位置情報を生成することができる。
【0052】
判定処理部4062は、所定のドローン100について、ドローン100の位置情報に基づき、基地局404がドローン100へ提供する情報に基づいてドローン100が飛行に必要な精度の位置情報を生成できる有効範囲に位置しているか否かを判定する。また、判定処理部4062は、所定の圃場403について、圃場403の位置情報に基づき、基地局404がドローン100へ提供する情報に基づいてドローン100が飛行に必要な精度の位置情報を生成できる有効範囲に位置しているか否かを判定する。
【0053】
有効範囲は、予め定められた基地局404から所定の距離の範囲であって、例えば、基地局404を中心とした一定の半径に収まる範囲であり、ドローン100が飛行に必要な精度の位置情報を生成できるとみなせる範囲である。この基地局404を中心とした半径の数値は例えば、所定の参照テーブルに予め保持されており、飛行可否判定装置406はこの参照テーブルを参照することにより、基地局404ごとにその有効範囲を定めることができる。そして、ドローン100の座標に基づき、基地局404の有効範囲内にいるドローン100は飛行可能とし、基地局404の有効範囲外にいるドローン100は飛行不可能と判定することができる。また、圃場403の座標に基づき、基地局404の有効範囲に含まれる圃場をドローン100の飛行可能な圃場403とし、基地局404の有効範囲に含まれない圃場403をドローン100の飛行不可能な圃場403と判定することもできる。
なお、ここにいう「飛行可能」とは、ドローン100が正確な位置情報を基地局404からの情報に基づいて取得することができ、これにより当該ドローン100に圃場403で作業を実行させられることを意味する。
【0054】
規制処理部4063は、操作器401を介して、使用者がドローン100に対して飛行を指示する操作を実行した際、当該ドローン100又は当該ドローン100が飛行予定の圃場403が有効範囲に位置していない場合に、あるいは当該ドローン100又は当該ドローン100が飛行予定の圃場403が有効範囲外に位置していると場合に、ドローン100の飛行を規制する。
【0055】
設置推奨位置検索部4064は、使用者により、ドローン100が飛行する候補の圃場403として選択された一又は複数の圃場403について、当該一又は複数の圃場403を有効範囲に収めることのできる、少なくとも1箇所の基地局404の設置位置、即ち設置推奨位置を検索する。
設置推奨位置の検索は各種の方法によることができ、例えば、圃場403の境界線の座標に基づき、任意の位置に仮に設定した基地局404の座標と、当該基地局404の座標を中心として半径が一定の距離となる有効範囲の座標とを対比することで、圃場403が収まる基地局404の位置を求めることができる。
基地局404の設置推奨位置は、ディスプレイに表示させた地図上に表示することができる。
なお、どのような位置に基地局404を設置したとしても、全ての圃場403が有効範囲に収まらない場合には、その旨を検索結果として出力してもよいし、複数の基地局404を用い、当該複数の基地局404を設置することで全ての圃場403を有効範囲に収めることができる場合には、複数の基地局404の設置推奨位置を検索結果として出力してもよい。
【0056】
設置推奨位置検索部4064はまた、使用者により選択された一又は複数のドローン100について、当該一又は複数のドローン100を有効範囲に収めることのできる、少なくとも1箇所の基地局404の設置推奨位置を検索することもできる。
この場合の設置推奨位置の検索も各種の方法によることができ、例えば、ドローン100の位置座標に基づき、任意の位置に仮に設定した基地局404の座標と、当該基地局404の座標を中心として半径が一定の距離となる有効範囲の座標とを対比することで、ドローン100が収まる基地局404の位置を求めることができる。なお、検索結果は、圃場403に関して基地局404の設置推奨位置を検索した場合と同様に出力できる。
【0057】
地図情報記憶部4065は、圃場403の位置を把握することのできる地図に係る情報を記憶した記憶部である。この地図情報記憶部4065を参照することにより、使用者は所望の地図を操作器401のディスプレイ上に表示させることができる。また、当該地図上において、圃場4031やドローン100を重畳的に表示し、その位置を把握することができる。
【0058】
圃場情報記憶部4066は、ドローン100が飛行し、薬剤の散布作業等を行う圃場403に関する情報を記憶した記憶部である。この圃場情報記憶部4066には少なくとも、圃場403の情報として、圃場403の境界の3次元座標など、圃場403の位置を特定可能な位置情報が記憶されている。
ここで、圃場403の位置情報は、航空写真又は農地バンクのデータを参照してもよいし、作業者により入力されるデータを使用してもよい。また、RTK-GNSSの移動局の機能を有する装置により圃場403の座標情報を測量し、当該測量結果を受信することで取得してもよい。
【0059】
●操作器の画面構成
図9に、本願発明に係る操作器401のディスプレイ4011に表示される画面の実施例を示す。この画面に表示される情報は、飛行可否判定装置406が備える機能を適宜に実行させた結果として表示されているものである。
画面上には地図情報記憶部4065に記憶されている地図が表示されており、当該地図上には、圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036、基地局4041,4042を、基地局4041,4042の有効範囲の境界線4041a,4042aが重畳的に表示されている。
【0060】
なお、当該画面の表示前には、使用者の管理下にある複数の圃場403の選択を行なわせるメニュー画面が表示されてもよく、選択された圃場403周辺の地図が地図情報記憶部4065から読みだされるようになっていてもよい。
また、地図は、薬剤散布の対象となる圃場403を含む地図であり、航空写真であっても地形図であっても、または、それらの重ね合わせ表示であってよい。縮尺、および、位置が、ジェスチャー操作等で調整可能になっていてもよい。また、地図上には、ドローン100の現在の位置を示すアイコン等がリアルタイムで表示されてもよい。地図表示と切り替えて、あるいは、地図表示と共に、ドローン100のカメラ512、513が撮影した圃場403の画像を表示してもよい。ドローン100の飛行予定ルートが航空写真又は地図上に表示されてもよい。
【0061】
圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036は上述した圃場403の例である。
基地局4041,4042は地図上の設置座標に示されており、各基地局4041,4042を中心とした所定の半径の位置に、当該各基地局4041,4042の有効範囲の外縁となる境界線4041a,4042aが表示されている。
【0062】
ここで、地図上に表示されている圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036のうち、いずれかの基地局4041,4042の有効範囲内にある圃場4031,4032,4033と、有効範囲外にある圃場4034,4035,4036とは視覚的に区別可能に表示されている。本例であれば、有効範囲内にある圃場4031,4032,4033にはその画像の内側に斜線が表示されており、一方、有効範囲外にある圃場4034,4035,4036の画像の内側は何ら塗りつぶされていない状態になっている。もっとも、このような表示方法は一例であり、有効範囲の内外を視覚的に区別可能であれば、どのような識別効果が付与されていてもよい。
【0063】
なお、
図9の例においては、基地局4041の有効範囲に一部しか収まっていない圃場4034と、有効範囲に全く収まっていない圃場4035はいずれも、有効範囲内にない圃場403としてみなされ、区別されていないが、いずれであるかを区別可能となるように表示してもよい。
また、基地局404の有効範囲は、境界線によらず、その範囲を所定の色で塗りつぶして表示するなど、各種の態様によって表示することができる。
【0064】
この画面例によれば、地図上において、基地局404が有効に位置情報を提供できる有効範囲を把握することができる。また、所定の圃場403が当該有効範囲にあるか否かを把握することができ、その結果、ドローン100が飛行可能な圃場403を把握することができる。
【0065】
図10に本願発明に係る操作器401のディスプレイ4011に表示される画面の他の実施例を示す。画面上には
図9の例と同様、地図が表示されており、当該地図上には、圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036、基地局4041,4042を、基地局4041,4042の有効範囲の境界線4041a,4042aが重畳的に表示されている。なお、
図10では、圃場4036は圃場リスト810に隠れいている。
【0066】
この例では、圃場情報記憶部4066に記憶されている圃場403の圃場リスト810が表示されている。さらに、圃場リスト810では、各圃場403について、地図上の基地局4041,4042のうち、使用者が指定した基地局4041の有効範囲にあるか否かが把握可能となるようにリスト化されている。
図10の例は、基地局4041が使用者によって指定された場合を示しており、当該基地局4041の有効範囲内にある圃場4031,4032と、有効範囲にない圃場4033,4034,4035,4036とが区別可能にリスト化されている。また、地図上においても、使用者が指定した基地局4041の有効範囲にある圃場4031,4032のみ斜線で表示されており、視覚的にも把握できるようになっている。
【0067】
地図上において、使用者が指定した基地局4041は、使用者が指定していない他の基地局4042とは区別可能に表示されている。
図10の例では、使用者によって指定された基地局4041は、その有効範囲を示す境界線4041aと共に実線表示されているのに対し、使用者によって指定されていない基地局4042は、その有効範囲を示す境界線4042aと共に破線表示されている。
【0068】
なお、圃場リスト810にリスト表示されている圃場403は、個別に選択することで、選択された圃場403が地図上のどの圃場403を示すかわかるようになっていてもよい。例えば、選択した圃場403が画面の中心となるようになっていてもよいし、選択された圃場403が明滅するなど、他の圃場403と区別できるようになっていてもよい。
また、
図10の例では、圃場リスト810に表示された圃場403と地図上の圃場403の対応関係が分かるように、圃場403に番号が付されている。また、圃場リスト810では、各圃場403の座標が表示されている。
【0069】
図11に本願発明に係る操作器401のディスプレイ4011に表示される画面の他の実施例を示す。画面上には
図9の例と同様、地図上に圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036、基地局4041,4042、基地局4041,4042の有効範囲の境界線4041a,4042aが重畳的に表示されているほか、ドローン100-1,100-2,100-3,100-4の現在位置が表示されている。
なお、ドローン100-1,100-2,100-3,100-4は、上述したドローン100の例である。
【0070】
この例において、各ドローン100-1,100-2,100-3,100-4は、いずれかの基地局4041,4042の有効範囲内にいるか否かが区別可能となるように表示されており、これにより有効範囲に含まれて飛行可能なドローン100と、有効範囲に含まれず飛行不可能なドローン100とを把握できるようになっている。
図11の例では、いずれかの基地局4041,4042の有効範囲内にいるドローン100-1,100-2は、白抜き表示され、いずれの基地局4041,4042の有効範囲にもいないドローン100-3,100-4は黒く塗りつぶされている。
この例によれば、いずれかの基地局4041,4042によって有効に位置情報を取得できるドローン100を把握できると共に、当該ドローン100を飛行させられる圃場403を視覚的に把握することができる。即ち、
図11の例では、ドローン100-1に圃場4031,4032で作業させられることが分かる。
【0071】
なお、地図上に表示されているドローン100について、いずれかの基地局4041,4042の有効範囲内にいるか否かは、判定処理部4062によって判定されており、かかる判定処理部4062による処理結果が画面上に反映されている。
また、地図上のドローン100について、いずれかの基地局404の有効範囲にいるか否かを示す表示は、本例に関わらず、各種の態様によることができ、有効範囲にいるドローン100のみを地図上に表示させるといったことも可能である。
【0072】
図12に本願発明に係る操作器401のディスプレイ4011に表示される画面の他の実施例を示す。画面上には
図11の例と同様、地図上に圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036、基地局4041,4042、基地局4041,4042の有効範囲の境界線4041a,4042a、ドローン100-1,100-2,100-3,100-4の現在位置が重畳的に表示されている。さらに、この例では、飛行状況表示領域805、詳細ステータス806が設けられている。
【0073】
飛行状況表示領域805は、画面の上部に帯状に配置され、使用者が指定した所定のドローン100の飛行時間、飛行速度、高度等を表示している。また、飛行状況表示領域805の図示左側には、使用者が指定した所定のドローン100の現在のステータス、たとえば、飛行準備中、薬剤補充中、離陸中、飛行中、緊急退避中等が表示されている。
【0074】
詳細ステータス806は、使用者が指定した所定のドローン100の詳細情報として、ドローン100の位置情報に基づき、基地局4041,4042の有効範囲にいるか否か、さらには、操作器401で指定された圃場403の位置情報に基づき、これから飛行予定の当該指定された圃場403で飛行可能であるか否かを示している。
図12の例は、ドローン100-3が使用者によって指定されている場合を示している。当該ドローン100-3は、いずれの基地局4041,4042の有効範囲にもいないため、詳細ステータス806において、エラー(有効範囲外により飛行できない)と表示されている。即ち、いずれの基地局4041,4042の有効範囲にもいないため、基地局4041,4042から受信する情報に基づいて飛行に求められる精度の位置情報を取得することができず、飛行が不可能であることが示されている。
また、操作器401によって飛行予定の圃場403として圃場4034が選択されていた場合、圃場4034の一部はいずれの基地局4041,4042の有効範囲にもないため、基地局404から受信する情報に基づいて飛行に求められる精度の位置情報を取得することができず、飛行が不可能である。このような場合も、
図12に示すようにドローン100の詳細ステータスとしてエラー(有効範囲外により飛行できない)を表示してもよい。
【0075】
図13に本願発明に係る操作器401のディスプレイ4011に表示される画面の他の実施例を示す。画面上には
図9の例と同様、地図上に圃場4031,4032,4033,4034,4035,4036が表示されている。
この画面例では、使用者が指定した圃場403を有効範囲に含めることのできる基地局4043の設置推奨位置が示されている。即ち、この例では、圃場4031,4032,4033,4034のうち、圃場4032,4034が使用者によって指定され、これに応じて基地局4043の設置推奨位置が設置推奨位置検索部4064によって検索された結果を示している。
【0076】
また
図13の例では、設置推奨位置に示された基地局4043の有効範囲を示す境界線4043aも合わせて表示されている。
【0077】
この例によれば、基地局404を設置していない段階において、所定の圃場403を対象としてドローン100を飛行させるのに適した基地局404の位置を視覚的にも把握することができる。
なお、
図13の例では、基地局4043の設置推奨位置の座標も合わせて表示されている。
【0078】
●ドローンの飛行規制処理
図14により、基地局404の受信した衛星電波の情報に基づいて、ドローン100自らが飛行制御するための正確な位置情報を生成できる有効範囲にドローン100又は飛行予定の圃場403が存在しているか否かによって、飛行を許可又は規制する場合の処理を説明する。
使用者が操作器401を介して、所定のドローン100について飛行操作を要求すると、飛行制御システムはこれを受け付ける(S101)。
これに応じて、飛行制御システムは、位置情報取得処理部4061により指定されたドローン100の位置情報を取得する。ここで、位置情報取得処理部4061により、操作器401により指定された飛行予定の圃場403の位置情報を取得する(S102)。そして、判定処理部4062により、指定された当該ドローン100又は当該圃場403が基地局404の有効範囲にいるか否かを判定する(S103)。
【0079】
判定の結果、ドローン100又は圃場403が基地局404の有効範囲内にいる場合には、飛行操作を許可する(S104)。一方、ドローン100が基地局404の有効広範にいない場合には、規制処理部4063によりドローン100の飛行操作を規制する(S105)。
このような処理により、位置情報を正確に取得し、安全に飛行させることのできるドローン100のみを飛行可能とすることができる。
【0080】
(本願発明による技術的に顕著な効果)
ドローンの位置情報を提供する基地局の有効範囲を容易に把握できる。