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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】無人航空機制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20240104BHJP
   B64D 25/00 20060101ALI20240104BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20240104BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64D25/00
B64U10/13
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022538500
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2020028049
(87)【国際公開番号】W WO2022018790
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】515019537
【氏名又は名称】株式会社ナイルワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100139778
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(72)【発明者】
【氏名】和氣 千大
(72)【発明者】
【氏名】柳下 洋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏記
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/138882(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/212035(WO,A1)
【文献】特表2020-520838(JP,A)
【文献】特開平06-312700(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 25/00
B64U 10/13
G01C 21/00-21/36
G05D 1/02
G08G 1/00-99/00
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、操作端末装置とを備える無人航空機制御システムであって、
前記操作端末装置は、
圃場の地図データに対して前記無人航空機の位置情報をマッピングしたドローンマップを表示する表示手段と、
前記ドローンマップにおいて、前記複数の無人航空機の中から無人航空機の選択を受け付ける受付手段と、
前記複数の無人航空機の中から選択された無人航空機に選択信号を送信する送信手段と、を備え、
前記複数の無人航空機の各々は、
前記選択信号を受信する受信手段と、
光の発光、文字の表示及び音の発音の少なくとも1つにより報知を行う報知手段と、
前記受信手段が前記選択信号を受信した場合に、前記報知手段に報知を行わせる報知制御手段と、を備える、
無人航空機制御システム。
【請求項2】
対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、操作端末装置と備える無人航空機制御システムであって、
前記操作端末装置は、
圃場の地図データに対して前記無人航空機の位置情報をマッピングしたドローンマップを表示する表示手段と、
前記ドローンマップにおいて、前記複数の無人航空機の中から無人航空機の選択を受け付ける受付手段と、
前記複数の無人航空機の中から選択された無人航空機を示す選択信号を送信する送信手段と、を備え、
前記複数の無人航空機の各々は、
前記選択信号を受信する受信手段と、
光の発光、文字の表示及び音の発音の少なくとも1つにより報知を行う報知手段と、
前記受信手段が、当該受信手段を備える前記無人航空機の識別情報を含む前記選択信号を受信した場合に、前記報知手段に報知を行わせる報知制御手段と、を備える、
無人航空機制御システム。
【請求項3】
前記ドローンマップにおいて、前記複数の無人航空機はアイコンによりマッピングされており、
前記表示手段は、前記アイコンにより前記無人航空機の選択が受け付けられると、選択されたアイコンを他のアイコンと異なる態様で表示する、
請求項1又は2に記載の無人航空機制御システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記ドローンマップにおいて、選択された無人航空機が実行可能な動作を含むメニューを、当該選択された無人航空機を示すアイコンの視認を妨げない位置に表示する、
請求項3に記載の無人航空機制御システム。
【請求項5】
前記メニューには、アイコンにより選択された無人航空機がユーザの意図した無人航空機とは異なるものであった場合に他の無人航空機の選択操作に戻るための項目が含まれている、
請求項4に記載の無人航空機制御システム。
【請求項6】
前記メニューに含まれる項目には、選択されている無人航空機による実行状況に応じた情報又は識別効果が表示される、
請求項4又は5に記載の無人航空機制御システム。
【請求項7】
前記送信手段は、所定の順序で前記複数の無人航空機に対して前記選択信号を順次送信する、
請求項1乃至6いずれか1項に記載の無人航空機制御システム。
【請求項8】
ホバリング指示の操作を受け付ける操作受付手段を備え、
前記送信手段は、前記操作受付手段が前記操作を受け付けた場合、飛行中の前記複数の無人航空機の全て又は一部にホバリングを指示する制御信号を送信する、
請求項1乃至7いずれか1項に記載の無人航空機制御システム。
【請求項9】
前記複数の無人航空機の各々は、前記対象エリアの上空に加え、着陸又は離陸の際に前記対象エリア外の上空を飛行し、
前記送信手段は、前記操作受付手段が前記操作を受け付けた場合、前記対象エリアの上空を飛行中の前記無人航空機のみに対して、ホバリングを指示する制御信号を送信する、
請求項8に記載の無人航空機制御システム。
【請求項10】
前記複数の無人航空機の各々は、前記対象エリアの上空に加え、着陸又は離陸の際に前記対象エリア外の上空を飛行し、
前記送信手段は、前記操作受付手段が前記操作を受け付けた場合、前記対象エリア外の上空を飛行中の前記無人航空機のみに対して、ホバリングを指示する制御信号を送信する、
請求項8に記載の無人航空機制御システム。
【請求項11】
前記報知手段は、自装置を備える無人航空機のプロペラを回転させるモータの上部、下部又は側部に配置されている、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の無人航空機制御システム。
【請求項12】
対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、操作端末装置とを備える無人航空機制御システムにおいて実行される方法であって、
前記操作端末装置が、
圃場の地図データに対して前記無人航空機の位置情報をマッピングしたドローンマップにおいて、前記複数の無人航空機の中から無人航空機の選択を受け付けるステップと、
前記複数の無人航空機の中から選択された無人航空機に選択信号を送信するステップと、を実行し、
対象エリアの上空を同時に飛行している複数の無人航空機の各々が、
前記選択信号を受信するステップと、
前記選択信号を受信した場合に、所定の態様で光の発光、文字の表示、音の発音の少なくとも1つを行うステップと、を実行する、
無人航空機制御方法。
【請求項13】
対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、操作端末装置とを備える無人航空機制御システムにおいて実行される方法であって、
前記操作端末装置が、
圃場の地図データに対して前記無人航空機の位置情報をマッピングしたドローンマップにおいて、前記複数の無人航空機の中から無人航空機の選択を受け付けるステップと、
前記複数の無人航空機の中から選択された無人航空機を示す選択信号を送信するステップと、を実行し、
対象エリアの上空を同時に飛行している複数の無人航空機の各々が、
前記複数の無人航空機の中から選択されたいずれかの無人航空機を示す選択信号を受信するステップと、
前記選択信号が自装置の選択を示す場合、所定の態様で光の発光、文字の表示、音の発音の少なくとも1つを行うステップと、を実行する、
無人航空機制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドローン等の無人航空機を飛行させ、無人航空機に各種の作業を実行させる無人航空機制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンと呼ばれる無人航空機の応用が進んでいる。その重要な応用分野の一つとして農地(圃場)への農薬や肥料などの薬剤散布が挙げられる。欧米と比較して農地が狭い日本においては、有人の飛行機やヘリコプターではなくドローンの使用が適しているケースが多い(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-46272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の無人航空機の各々が自律飛行をしている状況下で、無人航空機の下方のエリア内に例えば予期せぬ人、車両等が進入してくる場合がある。このような場合、万一、無人航空機が故障等により落下すると、エリア内に進入してきた人、車両等にぶつかり、事故を引き起こす危険がある。また、無人航空機が農薬等の散布物を上空から下方のエリアに散布している場合、散布物がエリア内に進入してきた人、車両等にかかると望ましくない。
【0005】
このような場合、無人航空機の動作モードを自律飛行モードから手動操縦モードに切り替えることが好ましい。この切り替えを行うと、ユーザは、状況に応じて、無人航空機に移動の停止、着陸、散布物の散布の停止等の指示を行い、事故等を回避できるからである。
【0006】
しかしながら、複数の無人航空機が同時に、1つのエリアの上空を自律飛行する場合がある。例えば、無人航空機を用いて、農地(圃場)に農薬や肥料等の散布物を散布したり、農地に作付けされている農作物の生育状況をカメラで撮影したりする際に、役割の異なる複数の無人航空機を同時に飛行させたり、同じ役割の複数の無人航空機を互いに他の無人航空機の飛行ルートの間の縫うように飛行させたりする場合である。これらの場合、短時間で所定の作業を完了させることができる。しかしながら、これらの場合、複数の無人航空機は、1つのエリアの上空を互いに衝突しない間隔を維持しながら、同時に自律飛行することになる。
【0007】
このように複数の無人航空機が自律飛行している状況下で、その下方のエリアに予期せぬ人、車両等が進入してきた場合、ユーザは複数の無人航空機を同時に手動で操縦することはできない。
【0008】
特許文献1に開示されているように、全ての無人航空機を緊急着陸させることも考えられる。しかし、緊急着陸した無人航空機がエリア内に進入した人や車両に衝突する可能性がある場合もある。また、複数の無人航空機の全てがエリア内に進入した人や車両に被害を及ぼす可能性は一般的に少ない。従って、全ての無人航空機を緊急着陸させることが常に最善策であるとは限らない。
【0009】
この発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、自律飛行中の複数の無人航空機の中から手動操縦を行う無人航空機を容易に選択可能にする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一態様による無人航空機制御システムは、対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、前記複数の無人航空機の中から選択された無人航空機に選択信号を送信する送信手段と、を備える無人航空機制御システムであって、前記複数の無人航空機の各々は、前記選択信号を受信する受信手段と、光の発光、文字の表示及び音の発音の少なくとも1つにより報知を行う報知手段と、前記受信手段が前記選択信号を受信した場合に、前記報知手段に報知を行わせる報知制御手段と、を備える。
【0011】
この発明の他の態様による無人航空機制御システムは、対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、前記複数の無人航空機の中から選択された無人航空機を示す選択信号を送信する送信手段と、を備える無人航空機制御システムであって、前記複数の無人航空機の各々は、前記選択信号を受信する受信手段と、光の発光、文字の表示及び音の発音の少なくとも1つにより報知を行う報知手段と、前記受信手段が自装置を備える無人航空機の選択を示す前記選択信号を受信した場合に、前記報知手段に報知を行わせる報知制御手段と、を備える。
【0012】
この発明のさらに他の態様による無人航空機制御システムは、ユーザが狙った方向に指向性のある電波又は光を送波する送波手段と、前記送波手段から送波された前記電波又は前記光を受波する受波手段を備え、対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機と、を備える無人航空機制御システムであって、前記複数の無人航空機の各々は、光の発光、文字の表示及び音の発音の少なくとも1つにより報知を行う報知手段と、前記受信手段が前記電波又は前記光を受波した場合に、前記報知手段に報知を行わせる報知制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第1実施形態である無人航空機制御システムの構成を示す図である。
図2】同実施形態におけるドローンの構成を示す図である。
図3】同ドローンの構成を示す図である。
図4】同ドローンの構成を示す図である。
図5】同ドローンの構成を示す図である。
図6】同ドローンの構成を示す図である。
図7】同ドローンの構成を示すブロック図である。
図8】同ドローンにおけるデータ処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図9】同実施形態における操作端末装置の構成を示すブロック図である。
図10】同操作端末装置のCPUの機能構成を示すブロック図である。
図11】同操作端末装置の動作を示すフローチャートである。
図12】同操作端末装置のタッチパネルの表示例を示す図である。
図13】同操作端末装置のタッチパネルの表示例を示す図である。
図14】同操作端末装置のタッチパネルの表示例を示す図である。
図15】同操作端末装置のタッチパネルの表示例を示す図である。
図16】同操作端末装置のタッチパネルの表示例を示す図である。
図17】この発明の第2実施形態である無人航空機制御システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながら、この発明を実施するための形態について説明する。図はすべて例示である。以下の詳細な説明では、説明のために、開示された実施形態の完全な理解を促すために、ある特定の詳細について述べられている。しかしながら、実施形態は、これらの特定の詳細に限られない。また、図面を単純化するために、周知の構造および装置については概略的に示されている。
【0015】
<第1実施形態>
図1はこの発明の第1実施形態である無人航空機制御システムの構成を示す図である。圃場403(対象エリアの一例)は、農作物が作付けされる田圃や畑等の農地である。基地局404は、RTK-GPS基地局としての機能を有している。操作端末装置401は、ユーザ402により操作される端末であり、ネットワーク(例えば、移動体通信網)を介してドローン100a~100dまたはサーバ405と通信を行う。ユーザ402は、例えば農業従事者である。操作端末装置401は、ネットワークを介してドローン100a、100b、100c、100d(以下、これらのドローンの各々を区別する必要がない場合、ドローン100と総称する)と通信を行うことにより、ドローン100の制御を行う。この操作端末装置401は、コンピュータプログラムを実行する一般的なタブレット端末等の携帯情報機器によって実現されてよい。
【0016】
ドローン100(対象エリアの上空を同時に飛行する複数の無人航空機の一例)の各々は、操作端末装置401による制御の下、自律飛行モードと、手動操縦モードのいずれかの動作モードで動作する。具体的には、ドローン100の各々は、自律飛行モードにおいて、各々に与えられた個別的な飛行計画に従って、圃場403の外部にある基地(図示略)から離陸し、圃場403内の各々の担当区画を飛行しつつの薬剤散布等の作業を行い、作業終了時、あるいは、充電等が必要になった時に基地に帰還する。また、ドローン100の各々は、手動操縦モードにおいて、操作端末装置401から送信される制御信号に従い動作する。図示の例では、無人航空機制御システムに4台のドローン100が設けられているが、ドローン100の台数は5台以上であってもよく、3台以下であってもよい。
【0017】
本実施形態において、操作端末装置401が送信する制御信号には、全てのドローン100を対象としたものと、ドローン100のうちの特定のドローンを対象としたものがある。前者の制御信号は、全てのドローン100に実行させる動作を指示する動作指令情報を含む。前者の制御信号の一例として、例えば圃場403内への人の進入等に応じて送信される緊急停止等に関する制御信号がある。また、後者の制御信号は、対象となる特定のドローンの識別情報と、当該ドローンに実行させるべき動作を指示する動作指令情報とを含む。例えばドローン100aの識別情報を含む制御信号が操作端末装置401からブロードキャスト送信されたとする。この制御信号を受信した4台のドローン100のうちドローン100aは、受信した制御信号に自装置の識別情報が含まれていることから、制御信号が自装置宛であると判断する。
【0018】
そのような特定のドローンの識別情報を含む制御信号の一例として、選択信号がある。選択信号には、4台のドローン100の中からユーザ402により選択されたドローン100の識別情報と、ドローン100が備える発光部(後述)の発光を指示する動作指令情報が含まれている。自装置の識別情報を含む選択信号を受信したドローンは、発光部を発光させて、自装置が選択されたドローンであることをユーザ402に知らせる。
【0019】
サーバ405は、典型的にはクラウドサービス上で運営されているコンピュータ群と関連ソフトウェアで構成される。このサーバ405は、4台のドローン100の各々の飛行ルート及び当該飛行ルートに沿った飛行の態様を示す個別的な飛行計画を各々決定し、4台のドローン100に対し、各々の飛行計画を与える機能を有する。
【0020】
次に、図2乃至図6を参照して、ドローン100の構成を説明する。この明細書において、ドローンとは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか等)を問わず、複数のプロペラを有する無人航空機全般を指すこととする。本実施形態において、4台のドローン100は同じ構成を有する。
【0021】
プロペラ101-1a、101-1b、101-2a、101-2b、101-3a、101-3b、101-4a、101-4b(ロータとも呼ばれる)(以下、これらのプロペラの各々を区別する必要がない場合、プロペラ101と総称する)は、ドローン100を飛行させるための手段であり、飛行の安定性、機体サイズ、および、バッテリ消費量のバランスを考慮し、8機(2段構成のプロペラが4セット)備えられている。
【0022】
モータ102-1a、102-1b、102-2a、102-2b、102-3a、102-3b、102-4a、102-4b(以下、これらのモータの各々を区別する必要がない場合、モータ102と総称する)は、プロペラ101を回転させる手段(典型的には電動機だが発動機等であってもよい)であり、一つのプロペラ101に対して1機のモータ102が設けられている。モータ102は、推進器の例である。1セット内の上下のプロペラ(たとえば、プロペラ101-1aと101-1b)、および、それらに対応するモータ(たとえば、モータ102-1aと102-1b)は、ドローン100の飛行の安定性等のために軸が同一直線上にあり、かつ、互いに反対方向に回転する。なお、プロペラ101-3b、および、モータ102-3bが図示されていないが、それらの位置は自明であり、もし左側面図があったならば示される位置にある。図3及び図4に示されるように、プロペラ101が異物と干渉しないよう設けられたプロペラガードを支えるための放射状の部材は水平ではなくやぐら状の構造である。衝突時に当該部材がプロペラ101の外側に座屈することを促し、ロータと干渉することを防ぐためである。
【0023】
薬剤ノズル103-1、103-2、103-3、103-4(以下、これらの薬剤ノズルの各々を区別する必要がない場合、薬剤ノズル103と総称する)は、薬剤を下方に向けて散布するための手段であり4機備えられている。なお、本願明細書において、薬剤とは、農薬、除草剤、液肥、殺虫剤、種、および、水などの圃場403に散布される液体または粉体を一般的に指すこととする。
【0024】
薬剤タンク104は散布される薬剤を保管するためのタンクであり、重量バランスの観点からドローン100の重心に近い位置でかつ重心より低い位置に設けられている。薬剤ホース105-1、105-2、105-3、105-4(以下、これらの薬剤ホースの各々を区別する必要がない場合、薬剤ホース105と総称する)は、薬剤タンク104と4つの薬剤ノズル103の各々とを接続する手段であり、硬質の素材から成り、薬剤ノズル103を支持する役割を兼ねていてもよい。ポンプ106は、薬剤をノズルから吐出するための手段である。
【0025】
本実施形態におけるドローン100は、各々LEDからなる8個の発光部111-1a、111-1b、111-2a、111-2b、111-3a、111-3b、111-4a及び111-4b(以下、これらの発光部の各々を区別する必要がない場合、発光部111と総称する)を備えている。発光部111は、ドローン100が自装置の識別情報を含む選択信号を操作端末装置401から受信した場合に、操作端末装置401を操作するユーザ402に対して、その受信の事実を知らせるために報知する報知手段として機能する。本実施形態において、これら8個の発光部111は、8個のプロペラ101を回転させる8個のモータ102の上部又は下部に配置されている。さらに詳述すると、ドローン100の通常の飛行状態において、4枚のプロペラ101-1a、101-2a、101-3a及び101-4aを駆動するモータ102-1a、102-2a、102-3a及び102-4aが鉛直方向上側に位置し、4枚のプロペラ101-1b、101-2b、101-3b及び101-4bを駆動するモータ102-1b、102-2b、102-3b及び102-4bが鉛直方向下側に位置する。そして、発光部111-1a、111-2a、111-3a及び111-4aは、モータ102-1a、102-2a、102-3a及び102-4aの鉛直方向直上に各々配置され、発光部111-1b、111-2b、111-3b及び111-4bは、モータ102-1b、102-2b、102-3b及び102-4bの鉛直方向直下に各々配置される。このような各位置に発光部111を設けるのは、操作端末装置401を操作するユーザ402による発光部111の発光の視認を容易にするためである。
【0026】
図7はドローン100の制御機能を表したブロック図である。データ処理装置501は、ドローン全体の制御を司る構成要素であり、具体的にはCPU、メモリ、関連ソフトウェア等を含む組み込み型コンピュータであってよい。データ処理装置501は、ESC(Electronic Speed Control)等の制御手段を介して、モータ102の各々の回転数を制御することで、ドローン100の飛行を制御する。モータ102の各々の実際の回転数はデータ処理装置501にフィードバックされ、正常な回転が行われているかを監視できる構成になっている。あるいは、プロペラ101に光学センサ等を設けてプロペラ101の回転がデータ処理装置501にフィードバックされる構成でもよい。
【0027】
データ処理装置501が使用するソフトウェアは、機能拡張・変更、問題修正等のために記憶媒体等を通じて、または、移動体通信やUSB等の通信手段を通じて書き換え可能になっている。この場合において、不正なソフトウェアによる書き換えが行われないように、暗号化、チェックサム、電子署名、ウィルスチェックソフト等による保護が行われている。また、データ処理装置501が制御に使用する計算処理の一部が、操作端末装置401上、または、サーバ405上や他の場所に存在する別のコンピュータによって実行されてもよい。データ処理装置501は重要性が高いため、その構成要素の一部または全部が二重化されていてもよい。
【0028】
バッテリ502は、データ処理装置501、および、ドローン100のその他の構成要素に電力を供給する手段であり、充電式であってもよい。バッテリ502はヒューズ、または、サーキットブレーカー等を含む電源ユニットを介してデータ処理装置501に接続されている。本実施形態におけるバッテリ502は電力供給機能に加えて、その内部状態(蓄電量、積算使用時間等)をデータ処理装置501に伝達する機能を有するスマートバッテリである。
【0029】
データ処理装置501は、通信部503を介して、操作端末装置401及びサーバ405と通信を行うことができる。本実施形態において、通信部503は、複数のドローン100の各々に配置され、操作端末装置401から制御信号(選択信号を含む)を受信する受信手段としての役割を果たす。この場合に、通信には暗号化を施し、傍受、成り済まし、機器の乗っ取り等の不正行為を防止できるようにしておいてもよい。上述したように基地局404は、RTK-GPS基地局としての機能を有する。従って、RTK基地局の信号とGPS衛星からの信号を組み合わせることで、GPSモジュール504-1、504-2、504-3(以下、これらのGPSモジュールの各々を区別する必要がない場合、GPSモジュール504と総称する)により、ドローン100の絶対位置を2センチメートル程度の精度で測定可能となる。GPSモジュール504は重要性が高いため、二重化・多重化されていてもよく、また、特定のGPS衛星の障害に対応するため、冗長化されたそれぞれのGPSモジュール504は互いに異なる衛星を使用するよう制御されていてもよい。
【0030】
6軸ジャイロセンサ505はドローン100の機体の互いに直交する3方向の加速度を測定する手段(さらに、加速度の積分により速度を計算する手段)である。6軸ジャイロセンサ505は、上述の3方向におけるドローン100の機体の姿勢角の変化、すなわち角速度を測定する手段である。地磁気センサ506は、地磁気の測定によりドローン100の機体の方向を測定する手段である。気圧センサ507は、気圧を測定する手段であり、間接的にドローン100の高度も測定することもできる。レーザセンサ508は、レーザ光の反射を利用してドローン100の機体と地表との距離を測定する手段であり、用いるレーザ光は、例えばIR(赤外線)レーザである。ソナー509は、超音波等の音波の反射を利用してドローン100の機体と地表との距離を測定する手段である。これらのセンサ類は、ドローン100のコスト目標や性能要件に応じて取捨選択されてよい。また、機体の傾きを測定するためのジャイロセンサ(角速度センサ)、風力を測定するための風力センサなどが追加されていてもよい。また、これらのセンサ類は、二重化または多重化されていてもよい。同一目的の複数のセンサが存在する場合には、データ処理装置501はそのうちの一つのみを使用し、それが障害を起こした際には、代替のセンサに切り替えて使用するようにしてもよい。あるいは、複数のセンサを同時に使用し、それぞれの測定結果が一致しない場合には障害が発生したと判定するようにしてもよい。
【0031】
流量センサ510は薬剤の流量を測定するための手段であり、薬剤タンク104から薬剤ノズル103に至る経路の複数の場所に設けられている。液切れセンサ511は薬剤タンク104内の薬剤の量が所定の量以下になったことを検知するセンサである。
【0032】
可視光カメラ512a、第1スペクトルカメラ512b及び第2スペクトルカメラ512c(以下、これらのカメラの各々を区別する必要がない場合、カメラ512と総称する)は、各々農作物を撮影するためのカメラであり、農地に作付けされている農作物の状態を示す物理用を測定する測定手段として機能する。ここで、可視光カメラ512aは、農作物によって反射された太陽光の全波長帯域を撮影対象とする。また、第1スペクトルカメラ512bは、農作物によって反射された太陽光のうち赤色光、例えば680nm付近の波長帯域の成分を分光して撮影する。また、第2スペクトルカメラ512cは、農作物によって反射された太陽光のうち近赤外光、例えば780nm付近の波長帯域の成分を分光して撮影する。ドローン100では、これらのカメラ512から得られる画像に基づいて、農作物の病気への罹患に関する診断が行われる。
【0033】
障害物検知カメラ513はドローン100の障害物を検知するためのカメラである。スイッチ514はドローン100を使用するユーザ402が様々な設定の操作を行うための手段である。障害物接触センサ515はドローン100、特に、そのロータやプロペラガード部分が電線、建築物、人体、立木、鳥、または、他のドローン等の障害物に接触したことを検知するためのセンサである。カバーセンサ516は、ドローン100の操作パネルや内部保守用のカバーが開放状態であることを検知するセンサである。薬剤注入口センサ517は薬剤タンク104の注入口が開放状態であることを検知するセンサである。これらのセンサ類はドローン100のコスト目標や性能要件に応じて取捨選択されてよく、二重化・多重化されてもよい。また、ドローン100の外部の基地局404、操作端末装置401、または、その他の場所にセンサを設けて、読み取った情報をドローン100に送信してもよい。たとえば、基地局404に風力センサを設け、風力・風向に関する情報を基地局404から移動体通信網経由でドローン100に送信するようにしてもよい。
【0034】
データ処理装置501はポンプ106に対して制御信号を送信し、薬剤吐出量の調整や薬剤吐出の停止を行う。ポンプ106の現時点の状況(たとえば、回転数等)は、データ処理装置501にフィードバックされる構成となっている。また、データ処理装置501は、通信部503、GPSモジュール504、地磁気センサ506、気圧センサ507、レーザセンサ508及びソナー509を利用して、ドローン100の3次元位置を測定する位置測定手段としての機能を備えている。また、データ処理装置501は、この位置測定手段により測定されるドローン100の3次元位置と、6軸ジャイロセンサ505により測定されるドローン100の姿勢に基づき、3つのカメラ512の各々により撮影される農作物の作付位置(又は領域)を特定する作付位置特定手段としての機能を備えている。
【0035】
発光部111の各々は、LEDにより構成されている。ブザー518は、音声信号によりドローン100の状態(例えば、エラー状態)を知らせるための出力手段である。通信部519は操作端末装置401とは別の装置、たとえば、ソフトウェアの転送などのために通信する外部のコンピュータ等と通信するためのオプショナルな構成要素である。通信部519に替えて、または、それに加えて、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、NFC等の他の無線通信手段、または、USB接続などの有線通信手段が使用されてもよい。スピーカ520は、録音した人声や合成音声等により、ドローン100の状態(例えば、エラー状態)を知らせる出力手段である。天候状態によっては飛行中のドローン100の視覚的表示が見にくいことがあるため、そのような場合には音声による状況伝達が有効である。警告灯521はドローン100の状態(例えば、エラー状態)を知らせるストロボライト等の表示手段である。これらの入出力手段は、ドローン100のコスト目標や性能要件に応じて取捨選択されてよく、二重化・多重化されてもよい。
【0036】
図8はドローン100のデータ処理装置501の機能構成を示すブロック図である。図8に示すように、データ処理装置501は、CPU710と、不揮発性メモリ及び揮発性メモリからなる記憶部720とを有する。CPU710は、通信処理部711と、自律飛行制御部712と、手動操縦制御部713を備える。これらはCPU710が記憶部720内のプログラム(図示略)を実行することにより実現される機能である。
【0037】
通信処理部711は、通信部503により操作端末装置401との間で通信を行い、操作端末装置401から受信される制御信号に基づき、ドローン100内の各部の制御を行う手段である。通信処理部711は、発光制御部714を備える。この発光制御部714は、受信手段である通信部503により操作端末装置401から選択信号が受信され、その選択信号に当該ドローン100の識別情報が含まれていた場合に、当該ドローン100が備える発光部111を所定の態様で発光させて報知を行わせる報知制御手段である。なお、所定の態様での発光には、所定色での点灯、点滅等が含まれる。
【0038】
記憶部720には、当該ドローン100用の飛行計画721が格納される。この飛行計画721は、ドローン100の飛行開始前にサーバ405によって生成され、記憶部720に格納される。飛行計画721は、当該ドローン100が飛行すべき圃場403上の飛行ルートを示す情報と、この飛行ルートに沿った複数の位置における飛行の態様(飛行速度、または、飛行ルート上の基準点の通過時刻等)を示す情報とを含む。
【0039】
CPU710において、自律飛行制御部712は、記憶部720に記憶された飛行計画721に従って当該ドローン100を飛行させ、農薬等の薬剤の散布を行わせる手段である。手動操縦制御部713は、通信処理部711により操作端末装置401から受信される制御信号に従って、当該ドローン100の動作を制御する手段である。通信処理部711は、操作端末装置401から受信される制御信号に従って、自律飛行制御部712を起動して当該ドローン100の動作モードを自律飛行モードとし、または手動操縦制御部713を起動して当該ドローン100の動作モードを手動操縦モードとする。手動操縦モードにおいて、通信処理部711は、操作端末装置401から受信される制御信号を手動操縦制御部713に引き渡す。本実施形態では、自律飛行モードにおいても、各種の動作を指示する動作指令情報を含む制御信号が操作端末装置401から受信される場合がある。その場合、通信処理部711は、その受信された制御情報を手動操縦制御部713に引き渡す。
【0040】
図9は操作端末装置401の構成を示すブロック図である。なお、図9には操作端末装置401の機能を分かり易くするため、操作端末装置401とともに、ドローン100a、100b、100c及び100dが示されている。
【0041】
図9に示すように、操作端末装置401は、全体を制御するCPU810と、プログラムやデータを記憶する記憶部820と、ドローン100等の通信相手と通信を行う通信部830と、タッチパネル840とを含む。記憶部820は、不揮発性メモリ及び揮発性メモリからなる。タッチパネル840は、液晶表示パネル等からなる表示部841と、表示部841に設けられた2次元タッチセンサからなる操作部842とを有する。本実施形態において、タッチパネル840の表示部841は、4台のドローン100に各々対応した複数のアイコン(表示物の一例)を表示する表示手段として機能する。
【0042】
図10はCPU810の機能構成を示すブロック図である。なお、この図10にはCPU810の機能構成を分かり易くするため、記憶部820に記憶された各種のデータがCPU810とともに示されている。
【0043】
図10に示すように、記憶部820には、ドローンテーブル821と、ドローンマップ822が記憶される。ここで、ドローンテーブル821は、4台のドローン100の各々の識別情報に対し、圃場403内の各ドローン100の2次元位置情報を対応付けたテーブルである。2次元位置情報とは、圃場403の上空を飛行する各ドローン100を圃場403に投影した位置を示す情報、すなわち、ドローン100の3次元位置情報(緯度、経度、高度)に含まれる2次元位置情報(緯度、経度)である。ドローンマップ822は、圃場403の地図データに対し、ドローンテーブル821に示される各ドローンの2次元位置情報をマッピングした画像データである。
【0044】
図10に示すように、CPU810は、通信処理部811と、マップ生成部812と、ドローン制御部813を備える。これらはCPU810が記憶部820内のプログラム(図示略)を実行することにより実現される機能である。
【0045】
通信処理部811は、通信部830によりドローン100等の通信相手と通信を行う手段である。通信処理部811は、制御信号送信部814を有する。この制御信号送信部814は、4台のドローン100の全てを対象とする制御信号、あるいは4台のドローン100のうちの特定のドローンを対象とする制御信号を通信部830から送信する送信手段である。前者の制御信号は、全てのドローン100に実行させる動作を指示する動作指令情報を含む。後者の制御信号は、宛先となるドローンの識別情報と、当該ドローンに実行させる動作を指示する動作指令情報とを含む。
【0046】
マップ生成部812は、4台のドローン100の各々が自律飛行を行っている間、通信処理部811によって各ドローン100から受信される各ドローン100の位置情報(緯度、経度、高度)に基づいて、記憶部820内のドローンテーブル821を更新し、このドローンテーブル821に基づいて、ドローンマップ822における各ドローン100の所在位置を更新する手段である。
【0047】
ドローン制御部813は、タッチパネル840の操作部842に対する操作を受け付ける操作受付手段として機能する。ドローン制御部813は、操作部842に対する操作に従って、4台のドローン100の全てを対象とする制御信号または特定のドローン100を対象とする制御信号を生成して、通信処理部811の制御信号送信部814に引き渡す。
【0048】
図11は4台のドローン100が同時に自律飛行を行っている間に圃場403内に予期せぬ人が進入してきた場合における操作端末装置401の動作例を示すフローチャートである。以下、図11を参照し、本実施形態の動作を説明する。
【0049】
4台のドローン100が自律飛行を行っている間、各ドローン100から操作端末装置401に対し、各ドローン100の3次元位置(緯度、経度、高度)を示す位置情報が継続的に送信される。操作端末装置401において、マップ生成部812は、通信処理部811により各ドローン100から受信される3次元位置情報に基づいて、ドローンテーブル821を更新し、更新後のドローンテーブル821に基づいてドローンマップ822を更新する。そして、マップ生成部812は、ドローンマップ822をタッチパネル840に表示する(ステップS1)。図12はこのときのタッチパネル840の表示画面を例示する図である。図12に示すように、各ドローン100が圃場403の上空を自律飛行している間、タッチパネル840には、ドローン100a、100b、100c、100dの2次元位置(圃場403に投影した各ドローン100の位置)に応じたアイコンIC1、IC2、IC3、IC4が表示される。また、タッチパネル840には緊急停止ボタン901が表示される。この緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われない間は、緊急停止の指示があったか否かの判断(ステップS2)の結果が「NO」となり、マップ生成部812は、ドローンマップ822の表示を継続する。
【0050】
圃場403内に人が進入した場合、それに気が付いたユーザ402は、タッチパネル840に表示されている緊急停止ボタン901に対するタッチ操作(ホバリング指示の一例)を行う。この結果、ステップS2の判断結果が「YES」となり、操作端末装置401のドローン制御部813が、全てのドローン100を対象として、ホバリングと散布停止を指示する制御信号を生成し、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814はこの制御信号を通信部830から送信する(ステップS3)。
【0051】
この制御信号は、4台のドローン100の各々に受信される。各ドローン100の通信処理部711は、受信した制御信号を手動操縦制御部713に引き渡す。手動操縦制御部713は、当該ドローン100が農薬等の散布を行っていた場合にはその散布を停止する。また、手動操縦制御部713は、当該ドローン100の移動を停止させ、ホバリング状態で待機させる。
【0052】
ステップS3の処理が終了すると、操作端末装置401のドローン制御部813は、アイコンIC1~IC4のいずれかが選択されたか否かを判断する(ステップS4)。ユーザ402がアイコンIC1~IC4に対するタッチ操作を行わない間、ステップS4の判断結果は「NO」となり、ドローン制御部813は、ステップS4の判断を繰り返す。
【0053】
ユーザ402がアイコンIC1~IC4のいずれかを選択し、選択したアイコンに対しタッチ操作を行うと、ステップS4の判断結果は「YES」となる。この場合、ドローン制御部813は、アイコンIC1~IC4のうちユーザ402によって選択されたアイコンを強調表示(他のアイコンと異なる表示態様の一例)で表示する(ステップS5)。
【0054】
次にドローン制御部813は、ドローンテーブル821を参照することにより、ユーザ402によって選択されたアイコンの位置に対応した圃場403内の2次元位置に所在するドローン100の識別情報を求める。そして、ドローン制御部813は、この識別情報を含む選択信号を生成して、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814は、この選択信号を通信部830から送信する(ステップS6)。
【0055】
この選択信号は、4台のドローン100の各々によって受信される。各ドローン100において、通信処理部711は、受信した選択信号に当該ドローン100の識別情報が含まれているか否かを判断する。そして、選択信号に当該ドローン100の識別情報が含まれている場合、当該ドローン100の発光制御部714は発光部111を所定の態様で発光させる。
【0056】
ステップS5およびS6の処理が終了すると、タッチパネル840の表示画面は図13に例示する画面となる。この例では、ユーザ402によってアイコンIC3が選択され、ステップS5においてアイコンIC3が強調表示されている。また、この段階では、ユーザ402によって選択されたアイコンIC3に対応するドローン100cが実行可能な1以上の動作を含むメニュー902をタッチパネル840に表示する。好ましい態様において、ドローン制御部813は、ユーザ402が選択したアイコンIC3の視認を妨げない位置にメニュー902を表示する。メニュー902に含まれる項目1~4は、ユーザ402が選択したアンコンに対応したドローン100に行わせるべき動作に関する項目である。項目5の「他のドローンの選択」は、ユーザ402が現在選択しているドローン100以外のドローン100に動作を指示したい場合に選択する項目である。また、ドローン制御部813は、終了ボタン903をタッチパネル840に表示する。この終了ボタン903は、ドローン100に対する必要な全ての動作指示が終了した場合に操作されるボタンである。
【0057】
ステップS6が実行されることにより、ユーザ402が選択したアイコンIC3に対応したドローン100cは、発光部111を所定の態様で発光させる。ユーザ402は、発光部111を発光させているドローン100と、タッチパネル840において強調表示されているアイコンIC3とを見比べ、意図したドローン100が選択されているか否かを判断する(ステップS7)。そして、ユーザ402は、意図したドローン100が選択されていると判断した場合には、メニュー902における項目1~4のいずれかを選択し、意図したドローン100が選択されていないと判断した場合には、項目5を選択する。
【0058】
ユーザ402がメニュー902の項目5を選択した場合、選択がOKか否かに関するステップS7の判断結果は「NO」となる。この場合、操作端末装置401は処理をステップS4に戻し、タッチパネル840の表示状態を図12の表示状態に戻して、ユーザ402にアイコンIC1~IC4の選択を再度行わせる。
【0059】
ユーザ402がメニュー902の項目1~4のいずれかを選択した場合、ステップS7の判断結果は「YES」となる。この場合、ドローン制御部813は、ステップS4において選択されたアイコンに対応したドローン100の識別情報と、ステップS7において選択された項目に対応した動作を指示する動作指令情報とを含む制御信号を生成し、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814は、この制御信号を通信部830から送信する(ステップS8)。
【0060】
さらに詳述すると、ステップS7において例えば項目1が選択された場合、ステップS8において、ドローン制御部813は、ステップS4において選択されたアイコンに対応したドローン100の識別情報と、基地に戻って着陸する動作を指示する動作指令情報とを含む制御信号を生成し、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814は、この制御信号を通信部830から送信する。
【0061】
この制御信号は、4台のドローン100の各々によって受信される。各ドローン100において、通信処理部711は、受信した制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれているか否かを判断する。そして、制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれている場合、通信処理部711は制御信号に含まれる動作指令情報の内容に基づき、その動作指令情報の引き渡し先を決定する。この場合、通信処理部711は動作指令情報を自律飛行制御部712に引き渡す。自律飛行制御部712は、動作指令情報に従い、当該ドローン100を基地に戻して着陸させる。
【0062】
自律飛行制御部712が動作指令情報に従って当該ドローン100を動作させる間、通信処理部711では、発光制御部714が発光部111を継続的に発光させる。また、この間、通信処理部711は、動作指令情報により指定された動作の実行中であることを示す実行通知信号を継続的に操作端末装置401に送信する。操作端末装置401において、ドローン制御部813は、この実行通知信号が通信処理部811により受信される間、タッチパネル840に表示されたメニュー902の各項目のうちステップS7において選択された項目、すなわち、実行中の項目を強調表示する。図14はこの場合におけるメニュー902の表示例を示すものである。この例では、ステップS7において項目1が選択されたため、「1.基地に戻り着陸」の文字が強調表示されている。
【0063】
また、自律飛行制御部712が動作指令情報に基づく当該ドローン100の動作の制御を完了すると、通信処理部711では、発光制御部714が発光部111の発光を停止させる。また、当該ドローン100の動作指令情報に基づく動作が完了すると、通信処理部711は、動作の完了を示す完了通知信号を操作端末装置401に送信する。操作端末装置401において、この完了通知信号が通信処理部811により受信されると、ドローン制御部813は、タッチパネル840に表示されたメニュー902の各項目のうちステップS7において選択された項目の左横に「完了」を示す文字または画像を表示する。図15はこの場合におけるメニュー902の表示例を示すものである。この例では、ステップS7において項目1が選択されたため、「1.基地に戻り着陸」の文字の左横に「完了」の文字が表示されている。
【0064】
ステップS7において項目2が選択された場合、ステップS8において、ドローン制御部813は、ステップS4において選択されたアイコンに対応したドローン100の識別情報と、その場で着陸する動作を指示する動作指令情報とを含む制御信号を生成し、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814は、この制御信号を通信部830から送信する。
【0065】
この制御信号は、4台のドローン100の各々によって受信される。各ドローン100において、通信処理部711は、受信した制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれているか否かを判断する。そして、制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれている場合、通信処理部711は制御信号に含まれる動作指令情報の内容に基づき、その動作指令情報の引き渡し先を決定する。この場合、通信処理部711は動作指令情報を自律飛行制御部712に引き渡す。自律飛行制御部712は、動作指令情報に従い、当該ドローン100をその場で着陸させる。
【0066】
ドローン100による実行通知信号及び実行完了信号の送信に関する動作と、実行通知信号及び実行完了信号の受信に関連した操作端末装置401の動作は、項目1が選択された場合と同様に実行される。また、この点は、他の3つの項目が選択された場合についても同様である。
【0067】
ステップS7において項目3が選択された場合、ステップS8において、ドローン制御部813は、ステップS4において選択されたアイコンに対応したドローン100の識別情報と、モータ102の停止を指示する動作指令情報とを含む制御信号を生成し、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814は、この制御信号を通信部830から送信する。
【0068】
この制御信号は、4台のドローン100の各々によって受信される。各ドローン100において、通信処理部711は、受信した制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれているか否かを判断する。そして、制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれている場合、通信処理部711は制御信号に含まれる動作指令情報の内容に基づき、その動作指令情報の引き渡し先を決定する。この場合、通信処理部711は動作指令情報を自律飛行制御部712に引き渡す。自律飛行制御部712は、動作指令情報に従い、当該ドローン100の全てのモータ102を停止させる。これにより当該ドローン100は落下する。
【0069】
また、ステップS7において項目4が選択された場合、ステップS8において、ドローン制御部813は、ステップS4において選択されたアイコンに対応したドローン100の識別情報と、手動操縦モードへの切替を指示する動作指令情報とを含む制御信号を生成し、通信処理部811に引き渡す。通信処理部811の制御信号送信部814は、この制御信号を通信部830から送信する。
【0070】
この制御信号は、4台のドローン100の各々によって受信される。各ドローン100において、通信処理部711は、受信した制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれているか否かを判断する。そして、制御信号に当該ドローン100の識別情報が含まれている場合、通信処理部711は制御信号に含まれる動作指令情報の内容に基づき、その動作指令情報の引き渡し先を決定する。この場合、通信処理部711は手動操縦制御部713を起動し、動作指令情報を手動操縦制御部713に引き渡す。その結果、当該ドローン100の動作モードが手動操縦モードとなる。
【0071】
ドローン制御部813は、ステップS8において、いずれかのドローン100を手動操縦モードに切り替えた場合、手動操縦モード用画面をタッチパネル840に表示する。図16はこの手動操縦モード用画面を例示する図である。図16に示すように、手動操縦モード用画面には、前進、後退、右旋回、左旋回等、ドローン100に各種の動作を指示するボタンが表示される。ドローン制御部813は、これらのボタンに対するタッチ操作による動作指示をタッチパネル840から受け取り、その動作指示に対応した制御信号を当該ドローン100に送信する。この制御信号は、動作指示に対応した動作指令情報と、宛先であるドローン100の識別情報とを含む。
【0072】
この制御信号は、4台のドローン100の各々によって受信される。これらのドローン100のうち制御信号に含まれる識別情報により識別されるドローン100の通信処理部711は、その制御信号に含まれる動作指令情報を手動操縦制御部713に引き渡す。手動操縦制御部713は、この動作指令情報に従って当該ドローン100を動作させる。このようにして、圃場403に進入した人の安全を確保するためのドローン100の手動操縦制御が行われる。この手動操縦が行われる間、手動操縦の対象であるドローン100の発光制御部714は、発光部111を継続的に発光させる。
【0073】
操作端末装置401において、タッチパネル840の手動操縦モード用画面には、自律飛行モードへの切替ボタン904が表示される。ユーザ402がこの自律飛行モードへの切替ボタン904に対しタッチ操作を行うと、ドローン制御部813は、手動操縦の対象となっているドローン100に対し、動作モードの自律飛行モードへの切替を指示する制御信号を当該ドローン100に送信する。これにより当該ドローン100の動作モードは自律飛行モードとなる。この場合、操作端末装置401において、ドローン制御部813は、タッチパネル840の表示状態を図13に示す表示状態に戻し、メニュー902の「4.手動操縦モードに切替」の項目の左横に「完了」の文字を表示する。
【0074】
図13に示す表示状態において、ユーザ402は、必要であれば、メニュー902の「5.他のドローンの選択」に対するタッチ操作を行う。その結果、ドローン制御部813は、各ドローン100の最新の位置情報に基づいて、図12に例示したような各ドローン100のマップをタッチパネル840に表示し、ドローン100の新たな選択を受け付ける。この場合、新たに選択されたドローン100に関し、上述した処理が実行される。
【0075】
図13に示す表示状態において、ユーザ402が終了ボタン903に対するタッチ操作を行うと、ドローン制御部813は、図11に示す一連の処理を終了し、緊急停止ボタン901が指示される前の状態に戻る。
【0076】
以上のように、本実施形態によれば、操作端末装置401の制御信号送信部814は、ユーザ402が選択したドローン100の識別情報を含む選択信号を送信し、選択信号を受信した各ドローン100のうち選択信号に含まれる識別情報により識別されるドローン100の発光制御部714は、当該ドローン100に設けられた発光部111を発光させる。従って、ユーザ402は、自律飛行中の複数のドローン100の中から、基地への帰還等のイレギュラーな自律飛行を行わせるドローン100や、手動操縦を行うドローン100を容易に選択することができる。
【0077】
<第2実施形態>
図17はこの発明の第2実施形態である無人航空機制御システムの構成を示すブロック図である。なお、図17において、上記第1実施形態において示された各部と同一の部分には共通の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、上記第1実施形態におけるドローン100a、100b、100c及び100dが、ドローン1000a、1000b、1000c及び1000d(以下、これらのドローンの各々を区別する必要がない場合、ドローン1000と総称する)に、また、操作端末装置401が操作端末装置4001に置き換えられている。なお、図17において、サーバ等、上記第1実施形態において設けられていた他の要素は図示が省略されている。
【0078】
上記第1実施形態と同様、操作端末装置4001は、CPU810と、記憶部820と、通信部830と、タッチパネル840とを有する。上記第1実施形態と同様、タッチパネル840は、複数のドローン1000に各々対応したアイコンを表示する表示手段として機能する。また、上記第1実施形態と同様、この表示手段は、ドローン1000が実行可能な1以上の動作を含むメニューの表示を行う。
【0079】
本実施形態において、操作端末装置4001は、ユーザ402が狙った方向に光線(指向性のある電波又は光の一例)を送波する送波部850を有する。また、ドローン1000の各々は、操作端末装置4001の送波部850から送波された光線を受波する受波部530を有する。操作端末装置4001の送波部850は、例えば、操作端末装置4001に接続されたレーザ照射器である。この場合、ユーザ402は、レーザ照射器から照射されるレーザ光が対象のドローン1000に向かうように、レーザ照射器の姿勢を調整する。
【0080】
圃場内に人や車両が進入した場合において、ドローン1000の各々を一斉に緊急停止させ、ホバリングさせる動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
上記第1実施形態においては、緊急停止及びホバリング完了後、ユーザ402は指定した動作の実行を指示する対象のドローン100の選択を、操作端末装置401に表示されるアイコンをタッチすることにより行った。これに対し、本実施形態においては、ユーザ402は4台のドローン1000の中から選択したドローン1000を狙って送波部850から光線を送波する。送波部850から送波された光線は、ユーザ402によって選択されたドローン1000の受波部530により受波される。
【0082】
受波部530が光線を受波すると、当該ドローン1000の発光制御部714(図8参照)は、発光部111を発光させる。また、当該ドローン1000の通信処理部711(図8参照)は、自装置が選択されたことを示す選択信号を送信する。選択信号には、当該ドローン1000の識別情報が含まれる。操作端末装置4001は、選択信号を受信し、受信した選択信号に含まれる識別情報に基づき、ユーザ402により選択されたドローン1000を認識する。その後、操作端末装置4001は、選択されたドローン1000に対応したアイコンを強調表示する。そして、ドローン制御部813(図8参照)は、そのドローン1000が実行可能な1以上の動作を含む選択メニューを表示する。
これ以降の動作は上記第1実施形態と同様である。
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0083】
<変形例>
以上、この発明の第1及び第2実施形態について説明したが、この発明には様々に変形され得る。以下にそれらの変形の例を示す。
【0084】
(1)上述の実施形態において、ドローン100は、自装置が選択されたことを認識したことをユーザ402に対し報知する報知手段として、光の発光により報知を行う発光部111を備える。報知手段が報知を行う形態は光の発光に限られない。例えば、ドローン100が、発光部111に加えて、もしくは代えて、文字の表示により報知を行う表示部を備えてもよい。なお、ここで「文字」とは、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット等に加え、数字、記号等を含む広義の文字を意味する。また、ドローン100が、発光部111に加えて、もしくは代えて、音の発音により報知を行う発音部を備えてもよい。
【0085】
(2)例えば、緊急停止ボタン901のタッチに応じて全ドローンがホバリングを開始した後、ユーザによりいずれかのドローンが選択されるまでの間、操作端末装置が、所定の順序で複数のドローン100に対して選択信号を順次送信してもよい。
【0086】
この変形例によれば、操作端末装置に表示されている強調表示されているアイコンが順次変更されるとともに、強調表示されているアイコンに応じたドローンが順次発光する。そのため、ユーザはアイコンとドローンの対応関係を容易に知ることができ、タッチするアイコンを間違う確率が下がる。
【0087】
(3)人や車両の進入により全てのドローンを緊急停止した際、人や車両の進入した領域の近くに所在するドローンに当該領域の撮影を行わせ、当該領域の画像を操作端末装置に送ってタッチパネルに表示させるようにしてもよい。この変形例によれば、進入した人や車両に対して、より適切な対応を行うことができる。
【0088】
(4)上述の第1実施形態において、操作端末装置401はドローン100に対し制御信号(選択信号を含む)をブロードキャスト送信により送信する。これに代えて、操作端末装置401が制御信号の宛先のドローン100と通信接続を確立し、当該通信接続を介して制御信号の宛先のドローン100のみに制御信号を送信する構成が採用されてもよい。この変形例においては、通信接続により通信相手が予め特定されるため、送信される制御信号に宛先のドローン100の識別情報は含まれなくてよい。また、制御信号を受信したドローン100は、受信した制御信号に自装置の識別情報が含まれているか否かの判断を行う必要がない。
【0089】
(5)上述の第1実施形態において、各装置(操作端末装置401、ドローン100、サーバ405等)は移動体通信網等のネットワークを介して互いに直接通信を行う。それらの装置が通信に用いるネットワークの種類はいずれであってもよい。例えば、基地局404がWiFi基地局の役割を兼ね備え、基地局404を介して操作端末装置401と各ドローン100の間の通信が行われてもよい。
【0090】
(6)上述の実施形態の説明において、ユーザ402が圃場403内における人の進入等に応じて操作端末装置401(又は4001)に表示される緊急停止ボタン901に対するタッチ操作を行うと、操作端末装置401は飛行している複数のドローン100の全てを対象として、ホバリングを指示する制御信号を送信し、それらの制御信号に応じて、飛行中の全てのドローン100がホバリングを開始する。これに代えて、緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われたときに、操作端末装置401が飛行している複数のドローン100のうちの一部のみを対象に、ホバリングを指示する制御信号を送信してもよい。
【0091】
例えば、農薬散布等の作業を行うために圃場403の上空を飛行する複数のドローン100の各々は、作業開始前に圃場403外にある基地から離陸し圃場403の上空に向かい飛行する。また、それらのドローン100は、作業終了後に圃場403の上空から基地に向かい飛行した後、基地に着陸する。また、それらのドローン100は、作業中にバッテリ502の交換、薬剤タンク104に対する薬剤の補充等の目的で、一時的に基地に戻り、再度、圃場403の上空に向かう。これらの基地からの離陸及び基地への着陸に際し、ドローン100は圃場403外の上空を飛行する。
【0092】
そこで、例えば、緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われた際、操作端末装置401が、圃場403の上空を飛行中のドローン100のみを対象としてホバリングを指示する制御信号を送信してもよい。もしくは、緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われた際、操作端末装置401が、圃場403外の上空を飛行中のドローン100のみを対象としてホバリングを指示する制御信号を送信してもよい。
【0093】
なお、操作端末装置401は、例えば、ドローン100の各々から継続的に送信されてくるドローン100の位置情報により更新されるドローンマップ822に基づき、各ドローン100が現在、圃場403の上空を飛行しているか、圃場403外の上空を飛行しているか、を判定することができる。
【0094】
緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われた際、圃場403の上空を飛行中のドローン100のみを対象としてホバリングを指示する制御信号が送信される場合、圃場403の上空を飛行していたドローン100はホバリングを開始し、作業を停止するが、圃場403外の上空を飛行していたドローン100は、圃場403から基地へ向かう飛行、又は、基地から圃場403へ向かう飛行を継続する。
【0095】
また、緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われた際、圃場403外の上空を飛行中のドローン100のみを対象としてホバリングを指示する制御信号が送信される場合、圃場403の上空を飛行していたドローン100は、飛行と作業を継続するが、圃場403外の上空を飛行していたドローン100は、ホバリングを開始する。
【0096】
また、緊急停止ボタン901に対するタッチ操作が行われた際、圃場403外の上空を飛行中のドローン100のうち、基地に向かうドローン100に対してはホバリングを指示する制御信号が送信されず、基地から圃場403に向かうドローン100に対してはホバリングを指示する制御信号が送信される構成が採用されてもよい。
【0097】
なお、操作端末装置401は、例えば、継続的に更新されるドローンマップ822に示されるドローン100の位置の経時変化に基づき、圃場403外の上空を飛行するドローン100のうち、圃場403から基地に向かうドローン100と基地から圃場403に向かうドローン100を判別することができる。
【0098】
(7)上述の実施形態において、発光部111で例示される報知手段は、モータ102の上部又は下部に配置されている。報知手段が配置される位置はこれに限られない。例えば、報知手段が、モータ102の側部(例えば、側部のうち、ドローン100の薬剤タンク104等が配置される本体から見て外側の部分)に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
401,4001……操作端末装置、402……ユーザ、403……圃場、404……基地局、405……サーバ、406……基地、100a,100b,100c,100d,1000a,1000b,1000c,1000d……ドローン、101……プロペラ、501……データ処理装置、503,519……通信部、504-1,504-2,504-3……GPSモジュール、505……6軸ジャイロセンサ、506……地磁気センサ、507……気圧センサ、508……レーザセンサ、509……ソナー、510……流量センサ、511……液切れセンサ、512a……可視光カメラ、512b……第1スペクトルカメラ、512c……第2スペクトルカメラ、513……障害物検知カメラ、514……スイッチ、515……障害物接触センサ、516……カバーセンサ、517……薬剤注入口センサ、102-1a,102-1b,102-2a,102-2b,102-3a,102-3b,102-4a,102-4b……モータ、106……ポンプ、111……発光部、518……ブザー、520……スピーカ、521……警告灯、710,810……CPU、720,820……記憶部、830……通信部、840……タッチパネル、841……表示部、842……操作部、721……飛行計画、711,811……通信処理部、712……自律飛行制御部、713……手動操縦制御部、714……発光制御部、821……ドローンテーブル、822……ドローンマップ、812……マップ生成部、813……ドローン制御部、814……制御信号送信部、850……送波部、530……受波部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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