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特許7412054ファイル転送システム、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】ファイル転送システム、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/06 20220101AFI20240104BHJP
   H04L 67/1097 20220101ALI20240104BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20240104BHJP
   G06F 16/182 20190101ALI20240104BHJP
【FI】
H04L67/06
H04L67/1097
G06Q10/10
G06F16/182 100
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023508616
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2022029565
(87)【国際公開番号】W WO2023013612
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2021127255
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521343286
【氏名又は名称】井上 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】井上 正人
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-206595(JP,A)
【文献】特開2004-334544(JP,A)
【文献】特開2015-156167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/06
H04L 67/1097
G06Q 10/10
G06F 16/182
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
登録者ごとに個別ストレージが設けられる記憶装置と、
送信者の情報処理端末において、宛先指定部とアップロード操作部が表示された送信ページにおいて、前記宛先指定部で電子ファイルの宛先を指定して、前記アップロード操作部に対し該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記情報処理端末から前記電子ファイルのアップロードを行い、(i)前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)前記記憶装置に前記電子ファイルを格納して、前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理部とを備えている、ファイル転送システム。
【請求項2】
送信者の情報処理端末において、前記電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記転送処理部は、前記電子ファイルの宛先数が1~1以上の所定数の場合に、前記電子ファイルの宛先に含まれる登録者の個別ストレージに電子ファイルを格納し、前記電子ファイルの宛先数が前記所定数より大きい場合に、前記記憶装置の共有ストレージに前記電子ファイルを格納すると共に、前記宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記共有ストレージの電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する、請求項1に記載のファイル転送システム。
【請求項3】
前記記憶装置に設けられる各個別ストレージは、前記電子ファイルの宛先として使用される前記登録者の識別情報と対応付けられ、
前記転送処理部は、前記電子ファイルの宛先に含まれる前記識別情報に基づいて、前記電子ファイルを格納する個別ストレージを特定する、請求項1に記載のファイル転送システム。
【請求項4】
本人確認に成功したユーザのみが、前記登録者として登録される、請求項1乃至3の何れか1つに記載のファイル転送システム。
【請求項5】
登録者ごとに個別ストレージが設けられる記憶装置と、
送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記情報処理端末から前記電子ファイルのアップロードを行い、(i)前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)前記記憶装置に前記電子ファイルを格納して、前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理部とを備え、
電子ファイルの送信者から送信の対価を受け取ると共に、電子ファイルの受信者が電子ファイルを閲覧した場合に、該受信者に閲覧の対価を付与する対価処理部をさらに備えている、ファイル転送システム。
【請求項6】
当該ファイル転送システムにログインした登録者に対応する個別ストレージを特定し、前記個別ストレージの蓄積ファイルに基づいて、前記登録者を宛先として転送された電子ファイルを閲覧するための受信ファイル確認ページを作成し、前記ログインした登録者の情報処理端末に、前記受信ファイル確認ページを表示する表示制御部をさらに備えている、請求項1に記載のファイル転送システム。
【請求項7】
前記受信ファイル確認ページにて閲覧可能なファイルは、分類用の属性を有し、
前記表示制御部は、前記受信ファイル確認ページにおいて、前記閲覧可能なファイルの属性に応じて、該ファイルを分類して表示する、請求項6に記載のファイル転送システム。
【請求項8】
前記受信ファイル確認ページにて閲覧可能なファイルの中には、ステータス情報を有するファイルが含まれ、
前記表示制御部は、前記ステータス情報を有するファイルを、前記ステータス情報に応じて分類して表示する、請求項6に記載のファイル転送システム。
【請求項9】
前記受信ファイル確認ページにて閲覧可能なファイルの中には、アクションの要否情報を有するファイルが含まれ、
前記表示制御部は、前記アクションの要否情報を有するファイルを、前記アクションの要否情報に応じて分類して表示する、請求項6に記載のファイル転送システム。
【請求項10】
登録者ごとに個別ストレージが設けられる記憶装置と、
送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記情報処理端末から前記電子ファイルのアップロードを行い、(i)前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)前記記憶装置に前記電子ファイルを格納して、前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理部とを備え、
送信者から受信者に転送されて前記記憶装置に格納された電子ファイルについて、該電子ファイルの送信者により削除又は編集が可能に構成されている、ファイル転送システム。
【請求項11】
ファイル転送システムに用いるプログラムであって、
前記ファイル転送システムの記憶装置では、登録者ごとに個別ストレージが設けられており、
コンピュータに、
送信者の情報処理端末において、宛先指定部とアップロード操作部が表示された送信ページにおいて、前記宛先指定部で電子ファイルの宛先を指定して、前記アップロード操作部に対し該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記情報処理端末から前記電子ファイルのアップロードを行い、(i)前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)前記記憶装置に前記電子ファイルを格納して、前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理ステップを実行させる、プログラム。
【請求項12】
ファイル転送システムに用いるプログラムであって、
前記ファイル転送システムの記憶装置では、登録者ごとに個別ストレージが設けられており、
コンピュータに、
送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記情報処理端末から前記電子ファイルのアップロードを行い、(i)前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)前記記憶装置に前記電子ファイルを格納して、前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理ステップを実行させると共に、
電子ファイルの送信者から送信の対価を受け取るステップと、
電子ファイルの受信者が電子ファイルを閲覧した場合に、該受信者に閲覧の対価を付与するステップとをさらに実行させる、プログラム。
【請求項13】
ファイル転送システムに用いるプログラムであって、
前記ファイル転送システムの記憶装置では、登録者ごとに個別ストレージが設けられており、
コンピュータに、
送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、前記情報処理端末から前記電子ファイルのアップロードを行い、(i)前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)前記記憶装置に前記電子ファイルを格納して、前記電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、前記電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理ステップを実行させ、
送信者から受信者に転送されて前記記憶装置に格納された電子ファイルについて、該電子ファイルの送信者により削除又は編集が可能に構成されている、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイル転送システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
ファイル転送システムは、電子メールに比べて大容量の電子ファイル(以下、単に「ファイル」と言う場合がある。)を送ることができる等の利点があり、ファイルのやり取りに広く利用されている。
【0003】
特許文献1には、ファイル転送システムとして、クラウドストレージシステムが記載されている。このクラウドストレージシステムのクラウドストレージには、クラウドストレージの利用が許可されているユーザ毎に割り当てたディスクスペースが設けられている。このディスクスペースには、ユーザのアカウント名が対応付けられており、アカウント名を使用するユーザがアップロードしたデータファイルが記憶される。また、データファイルを端末装置にダウンロードする受信者となるユーザが、通知メッセージに記されたダウンロードリンクで示されるデータファイルをダウンロードする操作を行うと、端末装置のブラウザ手段により、ダウンロード要求をクラウドストレージに送信する処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-36940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願発明者は、書類等を送受信するインフラとして、郵便の代わりにファイル転送システムを利用できると考えた。しかし、従来のファイル転送システムは、アップロードしたユーザのディスクスペースに、アップロードされたデータファイルが格納されるようになっており、郵便物を受け取るポスト(郵便受け)に相当するものがない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、書類等の送受信のインフラとして有用なファイル転送システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、登録者ごとに個別ストレージが設けられる記憶装置と、送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、情報処理端末から電子ファイルのアップロードを行い、(i)電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)記憶装置に電子ファイルを格納して、電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理部とを備えている、ファイル転送システムである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、転送処理部は、電子ファイルの宛先数が1~1以上の所定数の場合に、電子ファイルの宛先に含まれる登録者の個別ストレージに電子ファイルを格納し、電子ファイルの宛先数が所定数より大きい場合に、記憶装置の共有ストレージに電子ファイルを格納すると共に、宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、共有ストレージの電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、記憶装置に設けられる各個別ストレージは、電子ファイルの宛先として使用される登録者の識別情報と対応付けられ、転送処理部は、電子ファイルの宛先に含まれる識別情報に基づいて、電子ファイルを格納する個別ストレージを特定する。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、本人確認に成功したユーザのみが、登録者として登録される。
【0011】
第5の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、電子ファイルの送信者から送信の対価を受け取ると共に、電子ファイルの受信者が電子ファイルを閲覧した場合に、該受信者に閲覧の対価を付与する対価処理部をさらに備えている。
【0012】
第6の発明は、第1の発明において、ファイル転送システムにログインした登録者に対応する個別ストレージを特定し、個別ストレージの蓄積ファイルに基づいて、登録者を宛先として転送された電子ファイルを閲覧するための受信ファイル確認ページを作成し、ログインした登録者の情報処理端末に、受信ファイル確認ページを表示する表示制御部をさらに備えている。
【0013】
第7の発明は、第6の発明において、受信ファイル確認ページにて閲覧可能なファイルは、分類用の属性を有し、表示制御部は、受信ファイル確認ページにおいて、閲覧可能なファイルの属性に応じて、該ファイルを分類して表示する。
【0014】
第8の発明は、第6の発明において、受信ファイル確認ページにて閲覧可能なファイルの中には、ステータス情報を有するファイルが含まれ、表示制御部は、ステータス情報を有するファイルを、ステータス情報に応じて分類して表示する。
【0015】
第9の発明は、第6の発明において、受信ファイル確認ページにて閲覧可能なファイルの中には、アクションの要否情報を有するファイルが含まれ、表示制御部は、アクションの要否情報を有するファイルを、アクションの要否情報に応じて分類して表示する。
【0016】
第10の発明は、第1の発明において、送信者から受信者に転送されて記憶装置に格納された電子ファイルについて、該電子ファイルの送信者により削除又は編集が可能に構成されている。
【0017】
第11の発明は、ファイル転送システムに用いるプログラムであって、登録者ごとに個別ストレージが設けられており、コンピュータに、送信者の情報処理端末において、電子ファイルの宛先を指定して該電子ファイルをアップロードする操作がなされた時に、情報処理端末から電子ファイルのアップロードを行い、(i)電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを格納する、又は、(ii)記憶装置に電子ファイルを格納して、電子ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージに、電子ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する転送処理ステップを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、郵便物を受け取るポストの代わりに、ファイルを受け取る個別ストレージが、登録者ごとに設けられる。そのため、ファイルを送った側では登録者にファイルを送ったことが確認でき、かつ、郵便では郵便物を受け取った側で郵便物の処理・管理がなされるのと同様に、ファイルを受け取った側でファイルの処理・管理を行うことができ、書類等の送受信のインフラとして利用しやすいシステムとなる。本発明によれば、書類等の送受信のインフラとして有用なファイル転送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態に係るファイル転送システムの模式図である。
図2図2は、ファイル転送システムを構成するクラウドシステムのブロック図である。
図3図3は、登録処理のフローチャートである。
図4図4は、ファイルの転送方法を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、送信ページの概略構成図である。
図6図6は、受信ファイル確認ページの概略構成図である。
図7図7は、分類表示がなされた受信ファイル確認ページの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0021】
[ファイル転送システムの構成]
本実施形態に係るファイル転送システム10は、クラウドサービスとして、ファイル転送サービスを提供するシステムである。ファイル転送システム10は、システム運用事業者(サービス提供者)の管理下にあるクラウドシステム20、及び、クラウドシステム20において動作する専用プログラム(WEBアプリケーション)により実現される。クラウドシステム20は、コンピュータ群(サーバ、ストレージなど)により構成される。
【0022】
ファイル転送システム10では、図1に示すように、クラウドシステム20に対し、登録者や登録希望者などのユーザの情報処理端末5が、インターネットを介して接続される。ユーザは、個人又は企業(例えば法人)などである。情報処理端末5は、携帯端末、ノートパソコン又はデスクトップパソコンなどである。情報処理端末5は、WEBブラウザなどの画面表示機能を有するプログラムを使用して、後述するシステム専用サイトにアクセスすることで、ファイル転送システム10によるファイル転送サービスを利用することができる。
【0023】
ファイル転送システム10では、郵便物を受け取るポスト(郵便受け)が各家庭にあるように、ファイル(電子郵便物)を受け取るポストが登録者ごとに設けられる。ファイルを受け取るポストは、クラウドシステム20のクラウドストレージ(記憶装置)21に割り当てられた個別ストレージ30(図2参照)により構成されている。ファイル転送システム10は、ダイレクトメール(DM)の送付、光熱費や水道代などの請求書の送付などに利用可能である。また、後述する本人確認がなされているため、登録者同士の契約書(例えば、著作権などのライセンス契約書)の送付に利用可能である。以下では、ファイル転送システム10を「WEBポスト」と言う場合がある。
【0024】
また、ファイル転送システム10は、システム運用事業者が、ファイルを送信する登録者(送信者)から、送信の対価として送信手数料を受け取り、ファイルを受信した登録者(受信者)がファイルを閲覧した場合に、その閲覧の対価としてポイントを受信者に付与するように構成されている。以下、ファイル転送システム10について詳細に説明を行う。
【0025】
ファイル転送システム10は、クラウドシステム20において専用プログラムを実行及び解釈することによって実現される機能ブロックとして、図2に示すように、登録処理部11、転送処理部12、対価処理部13、及び、表示制御部14を備えている。また、ファイル転送システム10は、登録者ごとに設けられた個別ストレージ30と、共有で使用される共有ストレージ31と、各登録者の個人情報(氏名、住所、メールアドレスなど)等を格納する登録者データベース32とが設けられたクラウドストレージ21を備えている。
【0026】
また、システム運用事業者は、ファイル転送システム10用のWEBサイト(以下、「システム専用サイト」と言う。)を有する。上述の専用プログラムは、登録者等のユーザが情報処理端末5によりシステム専用サイトに接続した状態で、ユーザがシステム専用サイトの表示に対し入力又は操作を行うこと等で、クラウドシステム20上で動作する。この動作により、後述するフローチャート(図3図4)の情報処理がなされる。なお、システム専用サイトは、誰でも閲覧できる非ログインページと、登録者がユーザID及びログインパスワードを入力することで閲覧できるログインページとを有する。
【0027】
登録処理部11は、当該ファイル転送システム10への登録を希望する登録希望者の本人確認を行う本人確認処理と、本人確認の結果として登録を認めた登録希望者を新規の登録者として登録すると共に新規の登録者にユーザID等を発行するユーザ登録処理と、新規の登録者宛てのファイル等の格納に用いる個別ストレージ30をクラウドストレージ21に作成する個別ストレージ作成処理とを、登録処理として行う。ユーザIDは、例えば文字列であり、ファイルの宛先として使用されると共に、システム専用サイトのログイン時に使用される。また、個別ストレージ30は、ファイルの宛先として使用される登録者の識別情報(ユーザIDなど)と対応付けられる。
【0028】
転送処理部12は、登録者の情報処理端末5において、ファイル(転送対象ファイル)の宛先を指定する操作と、転送対象ファイルをアップロードする操作とがなされた時に、その情報処理端末5からクラウドシステム20へ転送対象ファイルのアップロード(送信)を行い、クラウドストレージ21における所定の領域に転送対象ファイルを格納する。
【0029】
本実施形態では、転送処理部12が、転送対象ファイルの宛先数が1~1以上の所定数nの場合に、転送対象ファイルの宛先に含まれる登録者の個別ストレージ30に転送対象ファイルを格納し、転送対象ファイルの宛先数が所定数nより大きい場合に、共有ストレージ31に転送対象ファイルを格納すると共に、宛先に含まれる各登録者の個別ストレージ30に、共有ストレージ31の転送対象ファイルを閲覧するためのリンク情報を格納する。本実施形態では、例え所定数nが1である。この場合、転送対象ファイルの格納先(所定の領域)が、転送対象ファイルの宛先数が1の場合(例えば1人宛に請求書を送付する場合。以下、「宛先が1つの場合」と言う。)、転送対象ファイルの宛先に含まれる登録者の個別ストレージ30であり、転送対象ファイルの宛先数が複数の場合(例えば複数人にDMを送付する場合。以下、「宛先が複数の場合」と言う。)、共有ストレージ31である。宛先が複数の場合、個別ストレージ30には、共有ストレージ31の転送対象ファイルを閲覧するためのリンク情報が格納される。転送処理部12は、転送対象ファイルの宛先に含まれる識別情報に基づいて、クラウドストレージ21における多数の個別ストレージ30の中から、転送対象ファイル又はリンク情報を格納する個別ストレージ30(つまり、宛先となる登録者の個別ストレージ30)を特定する。
【0030】
なお、転送対象ファイルをアップロードする操作は、転送対象ファイルを指定する第1操作(例えば、WEBブラウザの所定領域(アップロード操作部43(図5参照))に転送対象ファイルをドラッグ&ドロップする操作)と、第1操作後に転送対象ファイルの送信を指示する第2操作(例えば、WEBブラウザ上の送信ボタン44(図5参照)を押す操作)とにより構成することができるが、特にこの構成に限定されない。
【0031】
対価処理部13は、ファイルを送信する登録者(送信者)に対し、送信の対価として送信手数料を請求する請求処理と、ファイルを受信した登録者(受信者)がファイルを閲覧した場合に、その閲覧の対価としてポイントを受信者に付与する対価付与処理を行う。対価付与処理では、自らの個別ストレージ30に格納されたファイル、又は、自らの個別ストレージ30に格納されたリンク情報により開くことができるファイルを閲覧した登録者(受信者)に対し、ポイントが付与される。なお、送信手数料は、例えばファイルの宛先数に対し、切手代に相当する送信単価を掛けた金額である。また、受信者が1つの電子ファイルを閲覧した際に受け取るポイントの金銭的価値は、上述の送信単価よりも低額に設定される。本実施形態では、送信の対価によりシステムの運用資金を取得し、閲覧の対価により本システムへの登録のモチベーションを高めている。
【0032】
表示制御部14は、システム専用サイトに接続された状態の情報処理端末5の画面におけるシステム専用サイトの表示を制御する。
【0033】
[クラウドシステムにおける情報処理方法]
クラウドシステム20で実行される情報処理方法について、ユーザの情報処理端末5の操作と併せて説明を行う。
【0034】
<登録処理について>
まず図3のフローチャートを参照しながら、登録処理について説明を行う。
【0035】
ここで、システム専用サイトには、非ログインページとして登録申請フォーム(図示省略)が準備されている。登録申請フォームは、所定の個人情報(氏名、住所、メールアドレスなど)の入力欄が設けられ、また身分証明用の書類(免許証、健康保険証などのスキャンデータ)をアップロードする操作が可能に構成されている。
【0036】
登録希望者の情報処理端末5により、登録申請フォームへの個人情報の入力と、身分証明用の書類をアップロードする操作とがなされると、登録処理部11は、登録申請フォームに入力された個人情報、及び、身分証明用の書類を、登録希望者の情報処理端末5からクラウドシステム20にアップロードする。そして、所定のタイミングで、ステップST1の本人確認処理を実行する。
【0037】
本実施形態における本人確認とは、「登録申請フォームの入力欄に入力された氏名、住所等の個人情報が正しいことと、その個人情報どおりの人物がポストを開設、管理、利用していることである。本人確認の方法としては、入力欄の氏名及び住所が身分証明用の書類の記載と一致することを確認した上で、例えば、登録希望者が登録申請フォームに入力した住所に対し、システム運用事業者が書類を郵送し、その書類が登録希望者の住所に届いたことを確認することにより行うことができる。この場合、システム運用事業者が郵送する書類に、パスワード等の文字列を記入する。また、システム専用サイトにパスワードの入力部を設ける。本人確認処理は、登録希望者によりパスワードの入力部に入力された文字列が、郵送書類に記載の文字列と一致する場合に、本人確認に成功したと判定する処理となる。ステップST1で本人確認に成功した場合(本人確認がなされた場合)は、ステップST2に移行する。なお、本人確認の方法は、この方法に限定されない。
【0038】
本人確認が失敗に終わった場合は、登録処理部11は、ステップST4に移行し、登録希望者に対し本人確認失敗の通知を行う。この通知は、例えば、本人確認が失敗に終わったこと、及び、失敗に終わった理由などを記載した電子メールを、登録希望者のメールアドレス宛てに送信することにより行うことができる。なお、本人確認失敗の通知方法は、電子メールに限定されない。
【0039】
ステップST2では、登録処理部11が、ユーザ登録処理を行う。具体的に、ユーザ登録処理では、本人確認がなされた登録希望者を新規の登録者として、ユーザID及びログインパスワードが発行され、これらの発行情報が登録者に提供される。発行情報の提供は、例えば、新規の登録者の個人情報に含まれるメールアドレス宛てに、発行情報を記載した電子メールを送信することにより行うことができる。また、ユーザ登録処理では、新規の登録者の個人情報が、発行情報に対応付けて登録者データベース32に登録される。登録者データベース32では、登録者ごとに個人情報、ユーザID、及びログインパスワードが格納される。
【0040】
続いて、ステップST3では、登録処理部11が、新規の登録者宛てのファイル等の格納に用いる個別ストレージ30をクラウドストレージ21に作成する個別ストレージ作成処理を行う。個別ストレージ30は、新規の登録者の識別情報(ユーザIDなど)と対応付けられる。登録処理部11は、新規の登録者が決定する度、個別ストレージ30を作成する。クラウドストレージ21では、登録者宛てのファイルの格納に用いる個別ストレージが、登録者ごとに作成される。
【0041】
なお、登録者は、ユーザIDを他の登録者に伝えることにより、その他の登録者からの書類を郵便物ではなくファイルで受け取ることができるようになる。システム専用サイトには、企業又は個人などの他の登録者(申請先)に対し、書類の受け取り方法として、郵便からWEBポストへの変更申請を行うための申請ページが設けられている。申請ページは、複数の申請先の指定が可能となっており、複数の登録者に対して一括で変更申請を行うことができる。
【0042】
登録処理部11は、変更申請を受け付けた場合に、変更申請に含まれる各申請先に対し、申請者のユーザIDを提供する。ユーザIDの提供は、例えば、変更申請を受け付けた登録者のユーザIDリスト(電子メールシステムのアドレス帳に相当するリスト)に対し、申請者のユーザIDを自動で追加することによりなされる。ユーザIDリストは、登録者ごとにクラウドストレージ21に格納されており、登録者自らで編集することもできる。なお、ファイル転送システム10では、各登録者が、電子メールシステムのメーリングリストに相当する一括送信用リストも作成・編集することができる。
【0043】
<ファイルの転送方法について>
続いて図4のフローチャートを参照しながら、登録者から他の登録者へファイル(転送対象ファイル)を転送する方法について説明を行う。
【0044】
ここで、システム専用サイトには、送信者側が転送対象ファイルを転送する際に使用する送信ページ40(図5参照)が準備されている。送信ページ40は、ログインページの1つである。
【0045】
送信ページ40には、例えば、識別情報(ユーザIDなど)を用いて転送対象ファイルの宛先を指定する宛先指定部41と、件名などを入力可能な文字入力部42と、転送対象ファイルを指定する第1操作を行うためのアップロード操作部43と、転送対象ファイルの送信を指示する第2操作を行うための送信ボタン44とが設けられている。宛先指定部41は、ユーザIDを直接入力したり、ユーザIDリストからユーザIDを選択したり、一括送信用リスト自体を選択したりすることにより、宛先の指定が可能である。なお、宛先指定部41は、ユーザIDの代わりに、送信先の住所を識別情報として指定できるようにしてもよい。文字入力部42は、送信者が任意の文字入力をできる箇所である。本実施形態では、文字入力部42への入力は任意である。アップロード操作部43は、例えば、ドラッグ&ドロップにより転送対象ファイルを配置する領域である。
【0046】
本実施形態では、転送対象ファイルの宛先として各登録者のユーザIDが、登録が認められた全登録者により使用可能である。すなわち、各登録者のユーザIDは、全ての登録者に共通の識別子である。そのため、ファイル転送システム10は、書類等の送受信のインフラとして利用可能である。
【0047】
登録者(送信者)は、宛先指定部41における宛先の指定、及び、アップロードする転送対象ファイルを指定する第1操作を少なくとも行った後、転送対象ファイルの送信を指示する第2操作を行う。第2操作を受けて、転送処理部12は、ステップST10で転送処理を行う。転送処理では、宛先が1つの場合、情報処理端末5からクラウドシステム20に転送対象ファイルのアップロード(送信)が行われ、転送対象ファイルの宛先に含まれるユーザIDの個別ストレージ30に転送対象ファイルが格納される。この場合、個別ストレージ30には、送信者情報、送信ページ40への入力情報(文字入力部42への入力情報など)、受信日時情報などが、転送対象ファイルに対応づけて格納される。また、転送処理では、宛先が複数の場合、情報処理端末5からクラウドシステム20に転送対象ファイルのアップロード(送信)が行われ、クラウドストレージ21の共有ストレージ31に転送対象ファイルが格納される。また、宛先が複数の場合は、宛先に含まれる各ユーザIDの個別ストレージ30に、共有ストレージ31の転送対象ファイル(受信ファイル)を閲覧するためのリンク情報が格納される。この場合、共有ストレージ31には、送信者情報、送信ページ40への入力情報、受信日時情報などが、転送対象ファイルに対応づけて格納される。但し、個別ストレージ30に、送信者情報、送信ページ40への入力情報、受信日時情報などを、リンク情報に対応づけて格納してもよい。
【0048】
なお、転送処理を実施した段階では、後述する入金確認ができていないため、宛先が1つの場合も、宛先が複数の場合も、転送対象ファイルの存在は、宛先の登録者の受信ファイル確認ページ50において非表示状態とする。
【0049】
また、転送処理部12は、転送処理の際に、送信者の個別ストレージ30に、送信者自身が送信した転送対象ファイル(送信ファイル)を格納するようにしてもよい。各個別ストレージ30では、自身が送信した送信ファイルと、他の登録者から受信した受信ファイルとが分けて管理される。
【0050】
対価処理部13は、転送対象ファイルの送信者に対し、送信の対価として送信手数料を請求する請求処理を行う。請求処理では、ステップST11で、登録者データベース32の登録者の中から、送信者のユーザID(ログイン時のユーザID)に対応する登録者が、請求先として特定される。続いて、ステップST12で、請求先が選択している送信手数料の支払方法を確認し、支払方法として「クレジット決済」が選択されている場合、対価処理部13は、クレジット会社の情報処理端末との通信により送信手数料の決済を行い、ステップST14で入金確認を記録する。一方、「銀行振込」が選択されている場合は、対価処理部13は、ステップST13で、請求先に振込情報(振込金額、振込口座など)を送信し、銀行の情報処理端末との通信により送信手数料の振込みを確認できたタイミングで、入金確認を記録する(ステップST14)。
【0051】
ステップST15では、転送処理部12が、受信ファイル確認ページ50において転送対象ファイルを非表示状態から表示状態に切り替える表示切替処理と、転送対象ファイルの宛先に含まれる各ユーザIDの登録者に、ファイルの受信を知らせる受信通知処理とを行う。受信通知処理では、例えば、転送対象ファイルの宛先に含まれる各ユーザIDの登録者のメールアドレス宛てに、受信情報(受信日時、送信者など)を含むメッセージを送付する。
【0052】
なお、本実施形態では、送信者による送信手数料の支払い完了前に転送対象ファイルの送信がなされるが、送信者による送信手数料の支払いが完了しなければ、転送対象ファイルの送信の指示(第2操作)を行うことができないようにしてもよい。この場合、転送処理を実施した段階で、転送対象ファイルの存在は、宛先の登録者の受信ファイル確認ページ50において表示状態となる。表示切替処理は不要である。
【0053】
ここで、システム専用サイトには、ログインページの1つとして、個別ストレージ30に格納されているファイル、及び、個別ストレージ30に格納されているリンク情報によって閲覧可能なファイルを一覧表示する受信ファイル確認ページ50が準備されている(図6参照)。ここで、以下では、個別ストレージ30に格納されているファイル、及び、リンク情報によって閲覧可能なファイルをまとめて「閲覧可能ファイル」と言う。
【0054】
表示制御部14は、ファイル転送システム10(システム専用サイトなど)にログインした登録者のユーザIDに対応する個別ストレージ30を特定し、特定した個別ストレージ30の閲覧可能ファイルを一覧表示する受信ファイル確認ページ50を作成し、ログインした登録者の情報処理端末5に対し受信ファイル確認ページ50を表示する。受信ファイル確認ページ50は、個別ストレージ30の格納ファイル(受信ファイル、リンク情報)に基づいて作成される。具体的に、受信ファイル確認ページ50に並べられる閲覧可能ファイルは、個別ストレージ30に格納されている受信ファイル、及び、個別ストレージ30に格納されているリンク情報によって閲覧可能な共有ストレージ31の受信ファイルから構成される。受信ファイル確認ページ50における各閲覧可能ファイルの表示には、個別ストレージ30又は共有ストレージ31に格納された受信ファイルへのリンクが設けられているため、クリック等でリンクを選択することで、受信ファイルを閲覧することができる。受信ファイル確認ページ50における各受信ファイルの記述内容(図6参照)は、ファイルの名称に加え、ファイルに対応づけられた送信者情報、送信ページ40への入力情報、及び、受信日時情報を用いて作成される。受信ファイル確認ページ50では、例えば、リスト形式で、各閲覧可能ファイルが未読か既読か分かるように表示される。
【0055】
例えば、電子メールにて受信情報を受け取った登録者が、情報処理端末5によってシステム専用サイトの受信ファイル確認ページ50にアクセスし、閲覧可能ファイルの1つを選択する操作を行うと、システム専用サイト上で、選択された閲覧可能ファイル(受信ファイル)の内容が表示される。この表示をもって、登録者(受信者)によって閲覧可能ファイルの閲覧がなされたことになる。
【0056】
ステップST16では、未読の閲覧可能ファイルの閲覧がなされたか否かの判定が行われる。そして、未読の閲覧可能ファイルの閲覧がなされた場合、受信ファイル確認ページ50において未読から既読への表示変更処理(図示省略)がなされた後に、対価処理部13が、ステップST17で、未読の閲覧可能ファイルを閲覧した登録者に対し閲覧の対価としてポイントを付与する対価付与処理を行う。具体的に、対価付与処理では、登録者データベース32の登録者の中から、未読の閲覧可能ファイルを閲覧した登録者のユーザID(ログイン時のユーザID)に対応する登録者を、付与対象者として特定する。そして、登録者データベース32における付与対象者のポイント数を付与分だけ増やす。また、付与対象者のメールアドレス宛てに、ポイント情報(付与されたポイント数、及び、累積のポイント数など)を送信する。
【0057】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、郵便物を受け取るポストの代わりに、ファイルを受け取る個別ストレージ30が、登録者ごとに設けられる。そのため、郵便では郵便物を受け取った側で郵便物の処理・管理がなされるのと同様に、ファイルを受け取った側でファイルの処理・管理を行うことができる。例えば、従来のファイル転送システムは、アップロードしたユーザ(つまり、ファイルの送信者)の管理する領域にファイルが格納されるため、送信者がファイルを消去すれば、受信者はファイルを見ることができなくなるが、本実施形態では、受信者がファイルを消去しない限り、ファイルを見ることができる。本実施形態は、書類等の送受信のインフラとして利用しやすいシステムである。本実施形態によれば、書類等の送受信のインフラとして有用なファイル転送システム10を実現することができる。
【0058】
なお、メールシステムでも、ファイルを受け取った側で、メールに添付されたファイルの処理・管理を行うことができるが、ファイル転送システムは、メールシステムに比べてセキュリティが強い。ファイル転送システムではセキュリティ対策のためにシステム全体を更新することができる。そのため、メールシステムは、書類の送受信のインフラとしての利用が困難であるが、本実施形態に係るファイル転送システムは、書類の送受信のインフラとして利用することができる。
【0059】
本実施形態では、メールシステムにおける受信メールの一覧表示とは異なり、図6に示す受信ファイル確認ページ50における閲覧可能ファイル(受信ファイル)の一覧表示から、閲覧可能ファイルを直接開いたり、直接ダウンロードしたりすることができる。なお、受信ファイル確認ページ50から、全ての閲覧可能ファイルを一括してダウンロードできるようにしてもよい。
【0060】
また、メッセージの送受信ではなく、ファイルの送受信が主目的であるため、送信ページ40の文字入力部42は、省略してもよいし、入力可能な文字数を制限したり、改行が不能にしたりしてもよい。
【0061】
本実施形態では、受信ファイル確認ページ50に閲覧可能ファイルの一覧表が掲載される。ここで、メールシステムでは、添付ファイルを含まないメールが受信メールの一覧表に含まれ、添付ファイルだけを管理するためには、添付ファイルをダウンロードしてファイルだけを抽出する手間を要する。それに対し、本実施形態では、このような手間を要することはなく、ファイルの管理が容易である。
【0062】
なお、受信ファイル確認ページ50にて、所定の順番(日付順など)で閲覧可能ファイルを並べる機能を設けることで、受信者は、閲覧可能ファイルの管理がさらに容易になる。
【0063】
また、受信ファイル確認ページ50にて、閲覧可能ファイルにおける分類の属性(電気料金の通知、ガス料金の通知、請求書、DM・・・)に応じて、閲覧可能ファイルを自動で分類する機能(属性ごとに閲覧可能ファイルを分けて表示する機能)を設けることで、ファイルの管理がさらに容易になる。この場合、閲覧可能ファイルには、分類用の属性が付与される。属性の付与は、例えば送信者が転送対象ファイルを送信する際に行ってもよいし、受信者が行ってもよいし、ファイル名などから自動的に行われるようにしてもよい。表示制御部14は、受信ファイル確認ページ50において、閲覧可能ファイルの属性に応じて、閲覧可能ファイルを分類して表示する。例えば、図7(a)に示すように、タブ50aを有するシートごとに閲覧可能ファイルを分類して表示することができる。この受信ファイル確認ページ50では、タブ50aのクリック等によるシートの選択によって、表示されるシートを切り替えることができる。
【0064】
また、閲覧可能ファイルが契約書の場合に、「契約完了」と「契約未了」を分類したり、閲覧可能ファイルが請求書の場合に、「自動引き落とし」と「要振込み」を分類したりできるように、閲覧可能ファイルの種類に応じて、ステータス情報(契約未了/完了、未決済/決済済みなど)・アクションの要否情報(振込みの要否情報など)などの付加情報を付与して、付加情報に応じて閲覧可能ファイルを分類できるようにしてもよい。この場合、閲覧可能ファイルの中に、ステータス情報を有する閲覧可能ファイル(契約書など)が含まれ、またアクションの要否情報を有する閲覧可能ファイル(請求書など)が含まれている。ステータス情報の付与又は変更は、例えば送信者が転送対象ファイルを送信する際に行ってもよいし、受信者が行ってもよいし、自動的に行われるようにしてもよい。アクションの要否情報の付与又は変更も、例えば送信者が転送対象ファイルを送信する際に行ってもよいし、受信者が行ってもよいし、自動的に行われるようにしてもよい。表示制御部14は、ステータス情報を有する閲覧可能ファイルを、ステータス情報に応じて分類して表示し、アクションの要否情報を有する閲覧可能ファイルを、アクションの要否情報に応じて分類して表示する(図7(b)参照)。
【0065】
本実施形態では、転送対象ファイルの宛先に、登録者ごとに付与されて全ての登録者に共通して使用されるユーザID(識別子)が用いられる。ユーザIDは、登録者にとってバーチャルの住所となる。
【0066】
本実施形態では、本人確認に成功したユーザだけが登録者として登録される。そのため、登録者本人にファイルを送ったことが保証されるため、安心してファイルの送信を行うことができる。
【0067】
本実施形態では、宛先が1つの場合に、転送対象ファイルが個別ストレージ30に格納され、宛先が複数の場合に、転送対象ファイルが共有ストレージ31に格納されるため、クラウドストレージ21の使用領域を減らすことができる。なお、共有ストレージ31に格納されたファイルは、所定の条件(例えば、受信者全員がダウンロードしたという条件など)を満たす場合に、自動で削除されるようにしてもよい。
【0068】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、宛先が少ない場合(例えば、5未満の判定閾値以下の場合)に、転送対象ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージ30に転送対象ファイルを格納し、宛先が多い場合(例えば、上述の判定閾値を超える場合)に、転送対象ファイルを共有ストレージ31に格納すると共に、転送対象ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージ30にリンク情報を格納するようにしてもよい。また、宛先が多い少ないに拘わらず、全て転送対象ファイルについて、転送対象ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージ30に転送対象ファイルを格納するようにしてもよい。また、宛先が多い少ないに拘わらず、全て転送対象ファイルについて、共有ストレージ31に格納し、転送対象ファイルの宛先に含まれる各登録者の個別ストレージ30にリンク情報を格納するようにしてもよい。
【0069】
上述の実施形態について、送信者がファイルを誤って送信した場合などに、送信者の情報処理端末5からシステム専用サイトを通して、個別ストレージ30又は共有ストレージ31に格納されたファイルを削除する機能を設けてもよい。この機能は、例えば、送信者が、自らの個別ストレージ30に格納された送信ファイル(送信済みのファイル)を指定して「削除」の操作を行った場合に、転送処理部12が、宛先の個別ストレージ30又は共有ストレージ31に格納された受信ファイルを削除することにより実現することができる。
【0070】
また、送信者の情報処理端末5からシステム専用サイトを通して、個別ストレージ30又は共有ストレージ31に格納されたファイルを編集する機能を設けてもよい。この機能は、例えば、送信者が、自らの個別ストレージ30に格納された送信ファイル(送信済みのファイル)を編集して「再送」の操作を行った場合に、転送処理部12が、編集された転送対象ファイルによって、宛先の個別ストレージ30又は共有ストレージ31に格納された受信ファイルを上書きすることにより実現することができる。
【0071】
上述の実施形態において、ユーザIDにマイナンバー又はメールアドレスなどを用いてもよい。前者の場合、登録希望者が登録申請フォームにマイナンバーを入力できるようにし、マイナンバーを含む個人情報を受け取った登録処理部11が、マイナンバーをユーザIDに設定する。
【0072】
上述の実施形態では、身分証明用の情報の送信が、身分証明用の書類のアップロードによりなされるが、登録希望者の情報処理端末5に接続された読取り装置から、マイナンバーカードなどのICカードに格納された身分証明用の情報を読み取って送信するようにしてもよいし、登録希望者の情報処理端末5により、身分証明用の情報を含むQRコード(登録商標)などを読み取って送信するようにしてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、ファイルを送信する際に、宛先指定部41で指定済みのユーザID(識別情報)に対応する登録者の氏名や所在地が分かるように、ユーザIDに対応する登録者の個人情報(氏名、住所など)が情報処理端末5に表示されるようにしてもよい。例えば、送信ページ40に、登録者が宛先指定部41における宛先の指定を完了した後に操作する宛先確定ボタンを設け、宛先確定ボタンが押されることで、宛先指定部41で指定済みのユーザIDに対応する登録者の氏名などが、送信ボタン44と共に画面に表示されるようにしてもよい。この場合、登録者は登録者の氏名を確認した後に送信ボタン44を押すことができる。また、宛先指定部41にユーザID(識別情報)が入力される度に、宛先指定部41の周囲などにユーザIDに対応する登録者の氏名などが、自動で画面に表示されるようにしてもよい。この場合も、登録者は登録者の氏名を確認した後に送信ボタン44を押すことができる。
【0074】
上述の実施形態では、専用プログラムがクラウドシステム20で動作するが、システム運営事業者の管理下にあるクラウドシステム20で動作する第1専用プログラムと、各登録者の情報処理端末5で動作する第2専用プログラムとより、ファイル転送システム10の情報処理がなされるようにしてもよい。この場合、第2専用プログラムはユーザの情報処理端末5にインストールされる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、ファイル転送システム等に適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
5 情報処理端末
10 ファイル転送システム
11 登録処理部
12 転送処理部
13 対価処理部
20 クラウドシステム
21 クラウドストレージ
30 個別ストレージ
31 共有ストレージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7