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特許7412057木軸トレーラー、木軸部材用固定金具、及び木軸トレーラーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】木軸トレーラー、木軸部材用固定金具、及び木軸トレーラーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 29/02 20060101AFI20240104BHJP
   B60P 3/335 20060101ALI20240104BHJP
   B60P 7/13 20060101ALI20240104BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
B62D29/02
B60P3/335
B60P7/13
B62D33/04 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023568743
(86)(22)【出願日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 JP2023030693
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2022152330
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518278742
【氏名又は名称】株式会社クロコアートファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】徳田 吉泰
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-75175(JP,A)
【文献】特開2020-193541(JP,A)
【文献】特開2010-281192(JP,A)
【文献】米国特許第3968989(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 29/02
B60P 3/335
B60P 7/13
B62D 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えた木軸トレーラーであって、下記構成(1)~(4)を有することを特徴とする木軸トレーラー。
(1)前記トレーラー部が、前記木軸コンテナ部を積載して固定するための基台部と、牽引車両と前記トレーラー部を連結するための連結部と、前記基台部及び前記連結部をつなぐ牽引部と、を有している構成。
(2)前記木軸コンテナ部が、主骨格としての長尺状の木軸部材と、当該木軸部材の固定金具と、複数の接合部材と、を有している構成。
(3)前記固定金具及び、前記木軸部材の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とし、かつ、前記固定金具の周囲に、前記木軸部材を装着させた場合、前記固定金具に、前記木軸部材の一部が露出する開口部を有している構成。
(4)前記複数の接合部材が、前記固定金具の本体に設けた貫通孔を介して、前記木軸部材に挿通する第1接合部材と、前記固定金具の所定方向に張り出した金属突出部に設けた貫通孔を介して、前記木軸部材に挿通する第2接合部材と、を備えている構成。
【請求項2】
前記固定金具における開口部が、前記木軸部材を挿入する方向に沿って、前記固定金具の一部を除去してなる切欠き部から構成してあることを特徴とする請求項1に記載の木軸トレーラー。
【請求項3】
前記固定金具の内部に、当該固定金具に対する、前記木軸部材の高さ方向の装着位置を決定する係止部材が設けてあることを特徴とする請求項1に記載の木軸トレーラー。
【請求項4】
前記固定金具における、前記木軸部材を挿入する方向に沿って、前記係止部材の下方に、ツイストロック機構が設けてあることを特徴とする請求項3に記載の木軸トレーラー。
【請求項5】
前記第1接合部材と、前記第2接合部材とを、平面透視した場合の交差角度をθとしたときに、当該θを80~100°の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の木軸トレーラー。
【請求項6】
前記第1接合部材が、ボトル及びナットの組み合わせであり、前記第2接合部材が、ドリフトピンであることを特徴とする請求項1に記載の木軸トレーラー。
【請求項7】
前記木軸コンテナ部の重量を300~700kgの範囲内の値とするとともに、前記木軸コンテナ部の側方部を構成する矩形状の構造体において、所定条件下で、981Nの水平力を加えた場合に、前記構造体の所定変形量を50mm以下の値とすることを特徴とする請求項1に記載の木軸トレーラー。
【請求項8】
トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えてなる木軸トレーラーにおいて、前記木軸コンテナ部の主骨格としての長尺状の木軸部材を、複数の接合部材によって、固定するための木軸部材用固定金具であって、下記構成(1´)~(5´)を有することを特徴とする木軸部材用固定金具。
(1´)前記木軸部材を挿入する本体と、当該本体から所定方向に張り出した金属突出部とを設けてある構成。
(2´)周囲に前記木軸部材を装着した場合に、前記木軸部材の一部が露出する開口部を有する構成。
(3´)前記本体が、前記接合部材としての第1接合部材を貫通させるための貫通孔を有し、前記第1接合部材を設けた場合に、当該第1接合部材が、前記第1接合部材を貫通させるための貫通孔を介して、前記木軸部材に挿通された状態となる構成。
(4´)前記金属突出部が、前記接合部材としての第2接合部材を貫通させるための貫通孔を有し、前記第2接合部材を設けた場合に、当該第2接合部材が、前記第2接合部材を貫通させるための貫通孔を介して、前記木軸部材に挿通された状態となる構成。
(5´)断面形状を、前記木軸部材の断面形状に対応する形状である多角形又は円形としてある構成。
【請求項9】
トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えた木軸トレーラーの製造方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とする木軸トレーラーの製造方法。
(1)前記トレーラー部として、前記木軸コンテナ部を積載して固定するための基台部と、牽引車両と前記トレーラー部を連結するための連結部と、前記基台部及び前記連結部をつなぐ牽引部と、を有するトレーラー部を準備する工程。
(2)前記木軸コンテナ部の部品として、主骨格としての長尺状の木軸部材であって、断面形状を多角形又は円形とする前記木軸部材と、当該木軸部材の固定金具であって、下記特性i)及びii)を有する前記固定金具と、複数の接合部材と、を準備する工程。
i)前記固定金具の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とする。
ii)前記固定金具の周囲に、前記木軸部材を装着した場合、前記固定金具に、前記木軸部材の一部が露出する開口部を有する。
(3)前記複数の接合部材のうち、前記固定金具の本体に設けた貫通孔を介することになる第1接合部材と、前記固定金具の所定方向に張り出した金属突出部に設けた貫通孔を介することになる第2接合部材とを、それぞれ前記木軸部材に挿通して、前記木軸コンテナ部を構成する工程。
(4)前記トレーラー部と、前記木軸コンテナ部とを、ツイストロック機構によって、固定し、木軸トレーラーとする工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木軸トレーラー、木軸部材用固定金具、及び木軸トレーラーの製造方法に関する。
より詳しくは、簡易構造であって、軽量性と機械的強度とのバランスが良好な木軸トレーラー、木軸部材の固定に適した木軸部材用固定金具、及びそのような木軸トレーラーの効率的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライフスタイルの多様化により、企業やワーカーは、ワークスタイルを見直し、在宅勤務をはじめとするリモートワークやシェアオフィス、更には企業移転や移住までも含めた新たな働き方を求めている。
そうした中、移動することができる小さい家を意味するモバイルハウスとしての、牽引式トレーラーへのニーズが高まっており、各種提案されている。
【0003】
一例として、牽引や搬送時の振動、衝撃、風圧等への耐性を高めるための木製トレーラーが、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、図11(a)及び(b)に示すように、木製トレーラー101は、シャーシ102と、当該シャーシ102に搭載された以下の構成の木製の居住部103とで構成されている。
そして、かかる木製の居住部103が、少なくとも、a)複数本の、木製支柱を湾曲させて形成した環状木製支柱104-1を、前後方向に配し、シャーシ102に直接的または間接的に固定して形成された中央骨格部104、b)中央骨格部104の左右方向の両側に配された環状木製支柱104-1を上下方向に連結する、複数本の木製支柱から形成された側方骨格部105-1、c)中央骨格部104に略直行する方向に、複数枚の木板110を、弾性接着剤によって固定して形成された前方壁部106、天井部107および後方壁部108、ならびにd)側方骨格部に略直行する方向に、複数枚の木板110を、弾性接着剤によって固定して形成された側方壁部109を備えていた。
【0004】
又、積載トレーラーの基台と居住空間としての積載物を支持する支持部材とを接続する接続部材によって、積載物が基台に対して上下方向への移動が規制される積載トレーラーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、図11(c)に示すように、積載トレーラー201は、支持部材206と位置決め部205とを接続する接続部材を備える。そして、位置決め部205と支持部材206とは複数備えられていた。
かかる支持部材206は、積載物250と係合する支持部材係合部230と、接続部材と係合する接続部材係合部を備える。支持部材係合部230が積載物250と係合したとき、支持部材206と積載物250とは、上下方向及び平面方向において相対的な移動が規制されていた。
更に、支持部材206が位置決め部205に積載され、接続部材によって支持部材206と位置決め部205とが接続される場合には、支持部材206と位置決め部205とは、上下方向及び平面方向において相対的な移動が規制されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-50173号公報(特許請求の範囲、図1等)
【文献】特開2021-75175号公報(特許請求の範囲、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された木製トレーラーは、木製の居住部につき、環状木製支柱を複数個固定して、中央骨格部を構成する必要があった。
更に、かかる中央骨格部の左右方向に側方骨格部を設置したり、弾性接着剤によって多数枚の木板を接着して、貼り付けたりする必要があった。
そのため、構造が複雑になるばかりか、基本的には、機械的強度に乏しく、部品点数が多いことから、製造コストが高くなったり、製造時間が長くかかったりして製造効率が著しく低下するという問題が見られた。
更には、シャーシと木製の居住部とは一体的に構成されているため、製造後に分離することができず、保守管理の点で問題が見られた。
【0007】
又、特許文献2に記載された積載トレーラーは、基台から、積載物が分離可能であるものの、積載物の大きさに応じて、実質的に、複雑な位置決め構造を有する位置決め部を設ける必要があった。
又、積載物は、十分な機械的強度を担保するために、その柱部材に、実質的に金属製の柱補助部材を設ける必要があった。
そのため、積載トレーラーとして、構造が複雑になるばかりか、軽量性と機械的強度とのバランスを得ることが極めて困難になるという問題が見られた。
【0008】
そこで、本発明の発明者は、木軸トレーラーにおいて、木軸コンテナ部を、基本的に、主骨格として長尺状の木軸部材と、所定構造の固定金具(単独取引する場合、木軸部材用固定金具と称する場合がある。以下、同様である。)と、複数の接合部材とを用いて構成することで、位置決め性能等が向上するとともに、軽量性と機械的強度とのバランスを著しく向上させられることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、複雑な位置きめ構造等を省略したような簡易構造であっても、軽量性と機械的強度とのバランスに優れた、木軸トレーラー、木軸部材用固定金具、及びそのような木軸トレーラーの効率的な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部(以下、単に木軸コンテナ部と称する場合がある。)と、を備えた木軸トレーラーであって、下記構成(1)~(4)を有することを特徴とする木軸トレーラーが提供され、上述した問題点を解決することができる。
(1)トレーラー部が、木軸コンテナ部を積載して固定するための基台部と、牽引車両とトレーラー部を連結するための連結部と、基台部及び連結部をつなぐ牽引部と、を有している構成。
(2)木軸コンテナ部が、主骨格としての長尺状の木軸部材と、当該木軸部材の固定金具と、複数の接合部材と、を有している構成。
(3)固定金具及び、木軸部材の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とし、かつ、固定金具の周囲に、木軸部材を装着させた場合、固定金具に、木軸部材の一部が露出する開口部を有している構成。
(4)複数の接合部材が、固定金具の本体に設けた貫通孔を介して、木軸部材に挿通する第1接合部材と、固定金具の所定方向に張り出した金属突出部に設けた貫通孔を介して、木軸部材に挿通する第2接合部材と、を備えている構成。
このように構成(1)~(4)を有することによって、極めて簡易構造であるにもかかわらず、木軸部材の結露や腐蝕を防止しつつ、木軸コンテナ部において、優れた軽量性、機械的強度、及び耐久性等を発揮することができる。
従って、かかる木軸コンテナ部を、トレーラー部に固定させて木軸トレーラーを構成した場合であっても、優れた軽量性、機械的強度及び耐久性等を有する、簡易構造の木軸トレーラーとして提供することができる。
更に言えば、固定金具に、開口部が設けてあることから、木軸部材を挿入する際に、所定方向から応力が加わった場合に、比較的容易に弾性変形し、ひいては、木軸部材の挿入位置を精度良く位置決めすることができる。
【0010】
又、本発明の木軸トレーラーを構成するにあたり、固定金具における開口部が、木軸部材を挿入する方向に沿って、固定金具の一部を除去してなる切欠き部から構成していることが好ましい。
このような構成とすることで、木軸コンテナ部の内部(居住空間)に露出する固定金具の一部が、所定の切欠け部として除去されるため、かかる固定金具を介し、木軸コンテナ部の内部の室温と外気温との差に起因して生じる結露の発生を更に抑制し、木軸部材の腐食を効果的に防ぐことができる。従って、長期間(例えば、20年以上の実使用可)にわたって、優れた機械的強度を有する木軸トレーラーとすることができる。
又、固定金具に、所定形状の切欠き部から構成してあることから、木軸部材を挿入する際に、所定方向から応力が加わった場合であっても、更に容易に弾性変形することができる。よって、木軸部材を挿入し、精度良く位置決めすることが極めて容易になる。
【0011】
又、本発明の木軸トレーラーを構成するにあたり、固定金具の内部に、当該固定金具に対する、木軸部材の高さ方向の装着位置を決定する係止部材が設けてあることが好ましい。
すなわち、このような構成とすることで、固定金具に装着された木軸部材の固定を、より一層、強固なものとすることができる。しかも、後述するツイストロック機構を構成するための空間を、新たな部品等を使用することなしに、固定金具において確保することができる。
【0012】
又、本発明の木軸トレーラーを構成するにあたり、固定金具における、木軸部材を挿入する方向に沿って、係止部材の下方に、ツイストロック機構が設けてあることを特徴と好ましい。
すなわち、このような固定金具とすることで、ツイストロック機構を設けるための新たな部品等を用いることなく、容易にトレーラー部と、木軸コンテナ部と、を着脱自在に分離可能な状態で固定することができる。
【0013】
又、本発明の木軸トレーラーを構成するにあたり、第1接合部材と、第2接合部材とを、平面透視した場合の交差角度をθとしたときに、当該θを80~100°の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、このような構成とすることで、固定金具を介して、複数の木軸部材を互いに水平方向や鉛直方向に設置されるように固定して、機械的強度に優れた木軸コンテナ部を構成することができる。
【0014】
又、本発明の木軸トレーラーを構成するにあたり、第1接合部材が、ボトル及びナットの組み合わせであり、第2接合部材が、ドリフトピンであることが好ましい。
すなわち、このような構成とすることで、固定金具に装着された木軸部材の固定を、より一層、簡易かつ強固なものとすることができる。
【0015】
又、本発明の木軸トレーラーを構成するにあたり、木軸コンテナ部の重量を300~700kgの範囲内の値とするとともに、木軸コンテナ部の側方部を構成する矩形状の構造体において、所定条件下で、981N(≒100kgf)の所定荷重F(水平力と称する場合がある。)を加えた場合に、構造体の所定変形量を50mm以下の値とすることが好ましい。
すなわち、このような木軸コンテナであれば、重量及び変形量が所定範囲内の値に具体的に制限されているため、より一層、軽量性と機械的強度とのバランスに優れた木軸トレーラーとすることができる。
【0016】
又、本発明の別の態様は、トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えてなる木軸トレーラーにおいて、木軸コンテナ部の主骨格としての長尺状の木軸部材を、複数の接合部材によって、固定するための木軸部材用固定金具であって、下記構成(1´)~(5´)を有することを特徴とする木軸部材用固定金具である。
(1´)木軸部材を挿入する本体と、当該本体から所定方向に張り出した金属突出部とを設けてある構成。
(2´)周囲に木軸部材を装着した場合に、木軸部材の一部が露出する開口部を有する構成。
(3´)本体が、接合部材としての第1接合部材を貫通させるための貫通孔(以降、第1の貫通孔と称する場合がある。)を有し、第1接合部材を設けた場合に、当該第1接合部材が、第1接合部材を貫通させるための貫通孔(第1の貫通孔)を介して、木軸部材に挿通された状態となる構成。
(4´)金属突出部が、接合部材としての第2接合部材を貫通させるための貫通孔(以降、第2の貫通孔と称する場合がある。)を有し、第2接合部材を設けた場合に、当該第2接合部材が、第2接合部材を貫通させるための貫通孔(第2の貫通孔)を介して、木軸部材に挿通された状態となる構成。
(5´)断面形状を、木軸部材の断面形状に対応する形状である多角形又は円形としてある構成。
すなわち、このような木軸部材用固定金具であれば、極めて簡易構造であるにも関わらず、木軸部材を固定した場合に、木軸部材の結露や腐蝕を防止しつつ、木軸コンテナ部において、優れた軽量性、機械的強度、及び耐久性等を発揮することができる。
そして、かかる木軸コンテナ部を、トレーラー部に固定させて木軸トレーラーを構成した場合であっても、優れた軽量性、機械的強度及び耐久性等を有する、簡易構造の木軸トレーラーとして提供することができる。
更に言えば、木軸部材用固定金具に、開口部が設けてあることから、木軸部材を挿入する際に、所定方向から応力が加わった場合に、比較的容易に弾性変形し、ひいては、木軸部材の挿入位置を、迅速かつ精度良く位置決めすることができる。
【0017】
又、本発明の更に別の態様は、トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えた木軸トレーラーの製造方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とする木軸トレーラーの製造方法である。
(1)トレーラー部として、木軸コンテナ部を積載して固定するための基台部と、牽引車両とトレーラー部を連結するための連結部と、基台部及び連結部をつなぐ牽引部と、を有するトレーラー部を準備する工程。
(2)木軸コンテナ部の部品として、主骨格としての長尺状の木軸部材と、当該木軸部材の固定金具であって、かつ、貫通孔を有する固定金具と、複数の接合部材と、を準備する工程。
(3)複数の接合部材のうち、固定金具の本体に設けた貫通孔を介することになる第1接合部材と、固定金具の所定方向に張り出した金属突出部に設けた貫通孔を介することになる第2接合部材とを、それぞれ木軸部材に挿通して、木軸コンテナ部を構成する工程。
(4)トレーラー部と、木軸コンテナ部とを、ツイストロック機構によって、固定し、木軸トレーラーとする工程。
すなわち、本発明の製造方法によれば、所定工程において、少なくとも、実質的に同一材料、同一形状又は類似形状の木軸部材と、実質的に同一材料、同一形状の固定金具と、を準備している。
そして、それらをもとに所定構造の木軸トレーラーを製造していることから、簡易構造でありながらも、軽量性と機械的強度のバランスに優れたトレーラーを効率的に製造することができる。
特に、簡易な構造であるとともに、部材の共通化等を図ることで部品点数が少なくなるため、更なる製造コストの低減や製造時間の短縮化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1(a)は、木軸トレーラーの主構成を説明するための斜視図であり、図1(b)は、木軸トレーラーのトレーラー部と木軸コンテナ部との分離状態を説明するための斜視図である。
図2(a)は、図1(b)における点線枠内の領域P1を拡大して、木軸コンテナ部の基本構成を説明するための図であり、図2(b)は、第1接合部材と第2接合部材とを、平面透視した場合の交差角度を説明するための図である。
図3(a)~(b)は、木軸コンテナ部の機械的強度に関する測定試験を説明するための図である。
図4(a)~(b)は、固定金具を説明するための図であり、図4(c)は、固定金具の開口部において、木軸部材の一部の露出状態を説明するための図であり、図4(d)は、固定金具における係止部材と木軸部材との固定状態を説明するための断面図である。
図5(a)~(b)は、固定金具のツイストロック機構に対して所定のジャッキを用いた場合の、木軸コンテナ部の昇降状態を説明するための図である。
図6は、木軸コンテナ部における鉛直方向の補強用木軸部材を説明するための図(斜視図)である。
図7(a)は、木軸コンテナ部の上面に接合されるFRPプレート製の屋根部材を説明するための斜視図であり、図7(b)~(c)は、それぞれ、屋根部材を構成するFRPプレートを説明するための図であり、図7(d)は、FRPプレート製の屋根部材を説明するための断面図である。
図8(a)~(b)は、木軸コンテナを建築物として使用した場合の、複数の木軸コンテナ部によって構成される連結体を説明するための図である。
図9(a)~(b)は、本発明の実施例における評価に用いた木軸枠体の形状を説明するために供する図である。
図10は、本発明の実施例におけるひずみ評価に関して、変位量に対する、荷重の関係を説明するために供する図である。
図11(a)~(b)は、従来の牽引式の木製トレーラーを説明するための図であり、図11(c)は、従来の、積載物と分離可能なトレーラーを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1~3に例示するように、トレーラー部20と、当該トレーラー部20に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部30と、を備え、下記構成(1)~(4)を有することを特徴とする木軸トレーラー10である。
(1)トレーラー部20が、木軸コンテナ部30を積載して固定するための基台部22と、牽引車両とトレーラー部20を連結するための連結部24と、基台部22及び連結部24をつなぐ牽引部26と、を有している構成。
(2)木軸コンテナ部30が、主骨格としての長尺状の木軸部材32と、当該木軸部材32の固定金具34と、複数の接合部材36と、を有している構成。
(3)固定金具34及び、木軸部材32の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とし、かつ、固定金具34の周囲に、木軸部材32を装着させた場合、固定金具34に、木軸部材32の一部が露出する開口部34cを有している構成。
(4)複数の接合部材36が、固定金具34の本体に設けた貫通孔34aを介して、木軸部材32に挿通する第1接合部材36aと、固定金具34の所定方向に張り出した金属突出部34eに設けた貫通孔34bを介して、木軸部材32に挿通する第2接合部材36cと、を備えている構成。
以下、第1の実施形態の木軸トレーラー10につき、各構成に分け、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0020】
1.主構成
図1(a)は、第1の実施形態の木軸トレーラー10の主構成例を示す図である。
より具体的には、図1(a)は、木軸トレーラー10の斜視図であって、かかる木軸トレーラー10は、主構成として、トレーラー部20と、当該トレーラー部20に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部30と、を備えている。
そして、後述の通り、トレーラー部と、木軸コンテナ部とのそれぞれが、簡易構造であって、優れた軽量と機械的強度を有している。
従って、全体として、簡易構造であって、軽量性及び機械的強度のバランスに優れた木軸トレーラーとすることができる。
なお、本発明の木軸トレーラーにおいては、木軸コンテナ部が、トレーラー部に分離可能に固定されており、着脱自在であって、事実上、強固に固定された状態で使用することもできるし、後述するように、トレーラー部と木軸コンテナ部とを分離して、それぞれ個別に使用することもできる。
【0021】
(1)外形寸法
又、木軸トレーラーとしての外形寸法は、目的、用途にもよるが、通常、長手方向の大きさ(全長)を、4500~8500mmの範囲内の値とし、短手方向の大きさ(全幅)を、1500~2490mmの範囲内の値とし、上下方向の大きさ(全高)を、2500~3790mmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0022】
(2)重量
又、本発明の木軸トレーラーの重量は、牽引車両の車両重量等にもよるが、通常、700~1900kgの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる木軸トレーラーの重量を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、軽量性と機械的強度とのバランスにより一層優れた木軸トレーラーとすることができるためである。
より具体的には、かかる木軸トレーラーの重量が、700kg未満になると、木軸トレーラーとしての機械的強度、特に後述する耐荷重が、著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる木軸トレーラーの重量が、1900kgを超えると、木軸トレーラーとしての軽量性が著しく低下したり、木軸コンテナ部の内部へ積載可能な荷物の重さが過度に制限されたりする場合があるためである。
従って、基本構成に基づき、木軸トレーラーの重量を900~1800kgの範囲内の値とすることがより好ましく、1100~1700kgの範囲内の値とすることが更に好ましいと言える。
【0023】
2.トレーラー部
(1)基本構成
図1(b)に例示するように、所定のトレーラー部20の基本構成は、木軸コンテナ部30を積載して固定するための基台部22と、牽引車両とトレーラー部20を連結するための連結部24と、基台部22及び連結部24をつなぐ牽引部26である。
すなわち、本発明の木軸トレーラーにおけるトレーラー部は、このような基本構成とすることで、木軸コンテナ部を積載して、木軸トレーラーとして利用することができる。
【0024】
(1)-1 外形寸法
又、トレーラー部としての外形寸法は、木軸コンテナ部の大きさや、目的、用途にもよるが、通常、長手方向の大きさ(全長)を、4500~8500mmの範囲内の値とし、短手方向の大きさ(全幅)を、1500~2490mmの範囲内の値とし、上下方向の大きさ(全高)を、400~1000mmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0025】
(1)-2 重量
又、トレーラー部の重量を400~1200kgの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるトレーラー部の重量を、それぞれ具体的に制限することによって、全体として、軽量性と機械的強度とのバランスにより一層優れた木軸トレーラーとすることができるためである。
より具体的には、かかるトレーラー部の重量が、400kg未満になると、トレーラー部を構成する部材の機械的強度が不足し、最大積載量が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかるトレーラー部の重量が、1200kgを超えると、木軸トレーラーとしての軽量性が著しく低下したり、木軸コンテナ部の内部へ積載可能な荷物の重さが過度に制限されたりする場合があるためである。
従って、基本構成に基づき、トレーラー部の重量を500~1100kgの範囲内の値とすることがより好ましく、600~1000kgの範囲内の値とすることが更に好ましいと言える。
【0026】
(2)基台部
又、図1(b)に示すように、トレーラー部20の基台部22は、木軸コンテナ部30を積載して固定するための構成部材である。
より具体的には、図1(b)に示すように、基台部22は、下側にタイヤ部27を有しており、四隅には、それぞれツイストロック機構28が設けられている。そして、これらのツイストロック機構28のツイストロックピン(図示せず)が、後述する木軸コンテナ部30の固定金具34におけるツイストロック機構としてのツイストロック孔に挿入され係合することで、基台部22に対して、木軸コンテナ部30を容易、かつ、強固に固定することができる。
なお、本発明において、基台部に積載して固定する木軸コンテナ部は、所定の外形寸法を有しており、その外形寸法にあわせて、基台部のサイズや四隅のツイストロック機構の位置が予め決定されている。
すなわち、本発明の木軸トレーラーのトレーラー部においては、特許文献2に記載された積載トレーラーの基台における位置決め部のような複雑な機構を、基台部に設ける必要がなく、省略することができる。
【0027】
(3)連結部
又、図1(b)に示すように、連結部24は、牽引車両とトレーラー部20とを連結するため構成部材である。
より具体的には、連結部は、移動時には、牽引車両にて、木軸トレーラーを牽引することを可能とし、木軸トレーラーを静置して使用する際には、牽引車両と木軸トレーラーとを切り離して、車両のみでの利用を可能とする。
【0028】
(4)牽引部
又、図1(b)に示すように、牽引部26は、基台部22及び連結部24をつなぐための構成部材である。
又、自動車の車両で牽引しない場合は、木軸トレーラーを安定して地面に置くことができるように、支持脚(図示せず)を備えることが好ましい。
更に又、移動時の安全性を高めるために、慣性ブレーキ(図示せず)を備えるものが好ましい。特に、メンテナンス性の観点から、機械式慣性ブレーキを備えるものがより好ましい。
【0029】
3.木軸コンテナ部
(1)基本構成
図1(b)及び、図1(b)における点線枠内の領域P1を拡大し、木軸コンテナ部の基本構成を示した図2(a)に例示するように、所定の木軸コンテナ部30の基本構成は、主骨格としての長尺状の木軸部材32と、当該木軸部材32の固定金具34と、複数の接合部材36である。
そして、固定金具34及び、木軸部材32の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とし、かつ、固定金具34の周囲に、木軸部材32を装着させた場合、固定金具34に、木軸部材32の一部が露出する開口部34cを有している。
更に、複数の接合部材36が、固定金具34の本体に設けた貫通孔34aを介して、木軸部材32に挿通する第1接合部材36aと、固定金具34の所定方向に張り出した金属突出部34eに設けた貫通孔34bを介して、木軸部材32に挿通する第2接合部材36cと、を備えていることを特徴としている。
すなわち、本発明の木軸トレーラーにおける木軸コンテナ部は、このような基本構成とすることで、軽量性と機械的強度に優れた木造ラーメン構造を構成することになる。
そのため、トレーラー部の機械的強度に依存することなく、木軸コンテナ部単体であっても、木軸部材に由来した優れた軽量性に加えて、固定金具と複数の接合部材による相乗効果により、優れた機械的強度をも有することになる。
従って、木軸トレーラー全体として、部品点数が少なく簡易構造であって、優れた軽量性と機械的強度を有することができる。
【0030】
(1)-1 重量及び外力に対する変形量
又、本発明の木軸トレーラーにおける木軸コンテナ部の重量を300~700kgの範囲内の値とするとともに、木軸コンテナ部の側方部を構成する矩形状の構造体において、所定条件下で、981N(≒100kgf)の水平力を加えた場合に、構造体の所定変形量を50mm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる木軸コンテナ部の重量、及び、所定の構造体の所定変形量を、それぞれ具体的に制限することによって、軽量性と機械的強度とのバランスにより一層優れた木軸トレーラーとすることができるためである。
より具体的には、かかる木軸コンテナ部の重量が、300kg未満になると、木軸コンテナ部を構成する木軸部材や固定金具の機械的強度が不足し、ひいては木軸コンテナ部としての機械的強度、特に後述する耐荷重が、著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる木軸コンテナ部の重量が、700kgを超えると、木軸コンテナ部としての軽量性が著しく低下したり、木軸コンテナ部の内部へ積載可能な荷物の重さが過度に制限されたりする場合があるためである。
従って、基本構成に基づき、木軸コンテナ部の重量を350~650kgの範囲内の値とすることがより好ましく、400~600kgの範囲内の値とすることが更に好ましいと言える。
又、かかる構造体の所定変形量が、50mmを超えた値になると、機械的強度が不足して、木軸トレーラーとして牽引走行時に、木軸コンテナ部の内部に設置された積載物(積載荷物)の重さ等に起因して、木軸コンテナ部が破損したり、あるいは、木軸コンテナ部単体を住居として使用した場合に、建築基準法6条1項四号に規定される建築物、いわゆる、4号建築物の条件を満たさなくなったりする場合があるためである。
従って、基本構成に基づき、かかる構造体の所定変形量を、30mm以下の値とすることがより好ましく、10mm以下の値とすることが更に好ましいと言える。
なお、目的や用途、木軸部材の大きさや、固定金具、接合部材にもよるが、かかる構造体の所定変形量が、所定値以下とならないような場合があっても、後述する補強用木軸部材を、かかる構造体に追加することで、機械的強度を向上させて、所定変形量を容易に所定値以下とすることができる。
【0031】
ここで、図3に言及して、木軸コンテナ部の側方部を構成する矩形状の構造体における、所定変形量の測定方法を説明する。
まず、図3(a)に示すように、木軸コンテナ部の側方部を構成する、矩形状の構造体70(全長(L):6058mm、全高(H):2800mm)を試験体として準備する。
ここで、構造体70は、木軸コンテナ部と同様に、主骨格としての長尺状の木軸部材32と、当該木軸部材32の固定金具34と、複数の接合部材(図示せず)から構成されている。
次いで、図3(b)に示すように、基礎72に対して、構造体70を、構造体70の下側の右隅及び左隅における固定金具34を介して固定させる。
次いで、図3(b)に示すように、構造体70の上側左隅の固定金具34に対して、加力機74にて、981N(≒100kgf)の水平力としての所定荷重Fを加えた場合に、構造体70の所定変形量であるΔLを測定する。
すなわち、このような手順で、かかる構造体の所定変形量を測定し、木軸コンテナ部の機械的強度を間接的に評価することができる。
【0032】
(1)-2 外形寸法
又、本発明の木軸トレーラーにおける木軸コンテナ部単体としての外形寸法は、通常、長手方向の大きさ(全長)を、3000~7000mmの範囲内の値とし、短手方向の大きさ(全幅)を、1500~2490mmの範囲内の値とし、上下方向の大きさ(全高)を、2000~3100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる外形寸法の長さ、幅、高さの上限値を超えると、公道において、木軸トレーラーとして牽引することができないばかりか、木軸コンテナ部の重量が過度に増加して、軽量性を損なう場合があるためである。
一方、かかる外形寸法の長さ、幅、高さの下限値未満になると、木軸コンテナ部における内部空間が十分に確保されず、居住性が著しく低下する場合があるためである。
従って、外形寸法の全長を、3500~6700mmの範囲内の値とすることがより好ましく、3700~6500mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、外形寸法の全幅を、1800~2470mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2000~2450mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、外形寸法の全高を、2300~3000mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2500~2900mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
更に、輸送性及び汎用性の観点から、ISO668:2020に準拠した20フィートコンテナのサイズ(全長:6058mm、全幅:2438mm、全高:2591mm)であることが最も好ましい。
【0033】
(2)木軸部材
図1(b)及び図2(a)に示すように、木軸部材32は、後述する固定金具34の周囲に装着された状態で、後述する複数の接合部材36のうち、固定金具34の本体に設けた貫通孔34aを介することになる第1接合部材36aと、固定金具34の所定方向に張り出した金属突出部34eに設けた貫通孔34bを介することになる第2接合部材36cとが、挿通されて、木軸コンテナ部30を構成するための、主骨格となる長尺状の部品である。
この理由は、このように、主骨格となる構成部品に、木軸部材を用いることで、簡易構造でありながらも、軽量性と機械的強度のバランスに優れた木軸コンテナ部、ひいては、そのような木軸トレーラーとすることができるためである。
より具体的には、建築物に使われる主な素材には木材、鋼材(鉄)、コンクリートが挙げられるが、鋼材(鉄)の比重は7.85、コンクリートは2.3であるのに対して、木材の比重は約0.3~0.8であって極めて軽い素材である。そして、木材がスギの場合で、比重に対する引っ張り強さは、木材が、鉄の約4倍、コンクリートの約200倍であり、比重に対する圧縮強さは、木材が、鉄の約2倍、コンクリートの約9倍である。
すなわち、木軸コンテナ部において、木軸部材を主骨格とすることで、鋼材やコンクリートを用いた場合と比較して、軽量性を維持しながら、機械的強度を十分に確保することができる。
なお、本発明において、木軸部材は、木軸コンテナ部において主骨格をなすが、具体的には、木軸コンテナ部の柱、梁、桁、土台となる部材である。
【0034】
(2)-1 種類
又、木軸部材は、典型的には、スギ、ヒノキ、カラマツ、エゾマツ、トドマツ、アカマツ、又は、クロマツ等を一種単独又は二種以上の組み合わせた、製材、集成材、直交集成板(Cross Laminated Timber、以下、CLT)、単板積層材(Laminated Veneer Lumbe、以下、LVL)、又は、平行ストランド材(Parallel Strand Lumbe、以下、PSL)、等を用いることが好ましい。
その中でも、断熱性、耐火性、耐震性等に優れていることから、CLTを用いることがより好ましい。
かかるCLTの具体例としては、JIS A 5905:2014(繊維板)に準拠したCLT又は日本農林規格であるJAS3079:2019(直交集成板)に規定されているCLTを挙げることができる。
なお、木軸部材は、長期にわたっての機械的強度を維持するために、防腐剤等を、表面に塗布して、耐食性や防虫性を向上させることも好ましい。
【0035】
(2)-2 断面形状
又、木軸部材の断面形状(長手方向に垂直な断面形状)は、後述する固定金具の断面形状や、用途等にもよるが、通常、多角形又は円形であることを特徴としている。
この理由は、これらの形状であれば、固定金具に装着させた際に、木軸部材と固定金具との密着性が高いため、強固に固定することができ、より一層、機械的強度に優れた木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができるためである。
【0036】
(2)-3 外形寸法
又、木軸部材の外形寸法は、後述する固定金具の態様や、用途等にもよるが、通常、長手方向の大きさ(全長)を、1500~7000mmの範囲内の値とし、短手方向の大きさ(全幅)を、50~350mmの範囲内の値とし、上下方向の大きさ(全高)を、80~450mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる木軸部材の全長、全幅、全高の上限値を超えると、公道において、木軸トレーラーとして牽引することができないばかりか、木軸コンテナ部の重量が過度に増加して、軽量性を損なう場合があるためである。
一方、かかる軸部材の全長、全幅、全高の下限値未満になると、木軸コンテナ部における内部空間が十分に確保されず、居住性が著しく低下したり、機械的強度が著しく低下したりする場合があるためである。
従って、全長を、2000~6500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2200~6200mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、全幅を、80~300mmの範囲内の値とすることがより好ましく、100~250mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
又、全高を、100~420mmの範囲内の値とすることがより好ましく、120~390mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0037】
(3)固定金具(単独取り引きする場合、木軸部材用固定金具と称する場合がある。)
図1(b)、図2(a)~(b)、及び、図4(a)~(c)に示すように、固定金具34は、木軸部材32を固定するための部品であって、断面形状を、木軸部材32と同様に多角形又は円形とし、かつ、その周囲に、木軸部材32を装着させた状態で、木軸部材32の一部が露出する開口部34cを有し、複数の接合部材36のうち、固定金具34の本体に設けた貫通孔34aを介することになる第1接合部材36aと、固定金具34の所定方向に張り出した金属突出部34eに設けた貫通孔34bを介することになる第2接合部材36cとを、木軸部材32に挿通させて、木軸コンテナ部30を構成するための主要な部品である。
すなわち、図1(b)、図2(a)に示すように、固定金具34は、木軸コンテナ部30の隅部において、接合部材36により、主骨格となる木軸部材32を強固に固定することができる。
従って、簡易構造でありながらも、軽量性と機械的強度のバランスに優れた木軸コンテナ部、ひいては、そのような木軸トレーラーとすることができる。
【0038】
(3)-1 材質
又、固定金具を構成する材質は、特に制限されるものではないが、通常、耐食性や機械的強度等が良好な一方、比較的軽量でありながら安価であって、かつ、経済性にも優れていることが好ましい。
そのため、かかる固定金具の材質が、ステンレス、鉄、鋼(一般構造用延鋼材を含む)、アルミニウム、銅、ニッケル、チタンの一種単独又は二種以上の組み合わせであることが好ましい。
これらの中でも、特に機械的強度に優れ、経済性にも優れた一般構造用延鋼材を用いることがより好ましい。
かかる一般構造用延鋼材の具体的としては、流通量が多く、代表的な材料であるSS400等のJIS G3101:2020に規定されている一般構造用延鋼材を挙げることができる。
【0039】
その上、各種材質から構成された固定金具の表面に、それぞれ耐食性を更に向上させるために、公知の防錆処理、例えば、リン酸亜鉛メッキ処理、アルマイト処理、クロメート処理、あるいは防錆塗料の塗布処理等の少なくとも一つを施すことも好ましい。
【0040】
(3)-2 重量
又、固定金具の重量は、軽量性と機械的強度とのバランス等を考慮して決定されるが、通常、2~20kgの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる固定金具の重量が、2kg未満になると、機械的強度が急激に低下したり、固定金具としての大きさが過度に小さくなったりして、製造が困難となる場合があるためである。
一方、かかる固定金具の重量が、20kgを超えると、木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとしての軽量性が大きく損なわれる場合があるためである。
更に言えば、固定金具の重すぎて、取り扱い性に劣り、ひいては製造効率が著しく悪化する場合があるためである。
従って、かかる固定金具の重量を、5~15kgの範囲内の値とすることがより好ましく、7~12kgの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0041】
(3)-3 断面形状
又、固定金具の断面形状(木軸部材を本体に挿入する方向に垂直な面での断面形状)は、前述の木軸部材の断面形状や、用途等にもよるが、通常、多角形又は円形であることを特徴としている。
この理由は、これらの形状であれば、固定金具として優れた機械的強度を保持することができるばかりか、木軸部材を固定金具に装着させた際に、木軸部材と固定金具との密着性が高まり、強固に固定することができ、より一層、機械的強度に優れた木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができるためである。
なお、ここで言う固定金具の断面形状とは、例えば、固定金具の本体における水平方向の断面形状を意味する。
【0042】
(3)-4 貫通孔
又、図2(a)及び図4(a)に示すように、固定金具34の本体には、後述する接合部材36のうち、第1接合部材36aを木軸部材に挿通させるための貫通孔(以下、第1の貫通孔と称する場合がある。)34aが設けられている。
更に、図2(a)及び図4(a)に示すように、固定金具34の所定方向に張り出した金属突出部34eには、後述する接合部材36のうち、第2接合部材36cを木軸部材に挿通させるための貫通孔(以下、第2の貫通孔と称する場合がある。)34bが設けられている。
この理由は、固定金具の所定部位に、これらのような貫通孔を設けることで、各木軸部材(例えば、柱用木軸部材、並びに、梁用木軸部材、桁用木軸部材、又は土台用木軸部材)を、それぞれ個別に装着させて、接合部材を挿通させて、固定金具に固定させることができるためである。
【0043】
そして、第1の貫通孔の数は、固定金具の本体の大きさ、装着させる木軸部材の大きさ、第1接合部材の直径等にもよるが、1本の木軸部材において、その一方の端部を固定するために、通常、1~8個の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる第1の貫通孔の数が1個以上でなければ、固定金具に木軸部材を固定することができないためである。
一方、かかる第1の貫通孔の数が8個を超えると、固定金具の機械的強度が部分的に著しく低下したり、位置ずれが生じて、第1接合部材を挿通させて固定することが困難となったりする場合があるためである。
従って、かかる第1の貫通孔の数を、2~7個の範囲内の値とすることが好ましく、3~6個の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0044】
又、第1の貫通孔の直径(円相当径)は、固定金具の本体の大きさ、第1接合部材の直径や、装着させる木軸部材の大きさ等にもよるが、通常、5~20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる貫通孔の直径が5mm未満になると、木軸部材に挿通させるため第1接合部材の直径(円相当径)も小さくなり、その結果、木軸コンテナ部を構成した場合の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる第1の貫通孔の直径が20mmを超えると、固定金具の本体の機械的強度が著しく低下し、その結果、木軸コンテナ部を構成した場合の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
従って、かかる貫通孔の直径(円相当径)を6~18mmの範囲内の値とすることがより好ましく、7~16mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0045】
又、第2の貫通孔の数は、固定金具の金属突出部の大きさ、装着させる木軸部材の大きさ、第2接合部材の直径等にもよるが、1本の木軸部材において、その一方の端部を固定するために、通常、2~10個の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる第2の貫通孔の数が2個以上でなければ、固定金具の金属突出部に対して、木軸部材が回転運動することなしに固定することができない場合があるためである。
一方、かかる第2の貫通孔の数が10個を超えると、固定金具の金属突出部の機械的強度が部分的に著しく低下したり、位置ずれが生じて、第2接合部材を挿通させて固定することが困難となったりする場合があるためである。
従って、かかる第2の貫通孔の数を、3~8個の範囲内の値とすることが好ましく、4~6個の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0046】
又、第2の貫通孔の直径(円相当径)は、金属突出部の大きさ、装着させる木軸部材の大きさ、第2接合部材の直径等にもよるが、通常、5~20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる貫通孔の直径が5mm未満になると、木軸部材に挿通させるための第2接合部材の直径(円相当径)も小さくなり、その結果、木軸コンテナ部を構成した場合の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる第2の貫通孔の直径が20mmを超えると、固定金具の金属突出部の機械的強度が著しく低下し、その結果、木軸コンテナ部を構成した場合の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
従って、かかる貫通孔の直径(円相当径)を6~18mmの範囲内の値とすることがより好ましく、7~16mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0047】
(3)-5 開口部
又、固定金具の周囲に、木軸部材を装着した場合、固定金具に、木軸部材の一部が露出する開口部を有していることを特徴としている。
すなわち、図4(b)~(c)に示すように、固定金具34が開口部34cを有しており、固定金具34に木軸部材32が装着されると、開口部34cから木軸部材32の一部が露出(図4(c)における点線枠内の領域P2(後述する切欠き部34dを含む)を参照)する。
この理由は、固定金具が、木軸部材の一部が露出する開口部を有することで、固定金具の機械的強度を過度に損なうことなく、木軸部材の固定金具への装着がし易くなり、木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーを効率的に製造することができるためである。
よって、図4(a)に示される斜線の領域Sのように、通常、1つの固定金具における断面形状の全面積(100%)あたり、開口部の面積比率(開口部が複数ある場合はその合計面積比率)を、5~40%の範囲内の値とすることが好ましく、開口部の数を、1~8個の範囲内の値とすることが好ましい。
【0048】
又、図4(b)~(c)に示すように、固定金具34における開口部34cが、木軸部材32を挿入する方向に沿って、固定金具34の一部を除去してなる、切欠き部34dから構成していることが好ましい。
この理由は、このような切欠き部を有することによって、木軸コンテナ部の内部(居住空間)に露出する固定金具の部位が少なくなるか無くなるため、固定金具を介し、木軸コンテナ部の内部の室温と外気温との差に起因して生じる結露の発生を抑制できるためである。
従って、木軸部材の腐食を効果的に防ぐことができ、ひいては、長期間にわたって、優れた機械的強度を有する、耐久性に優れた木軸トレーラーとすることができる。
又、固定金具における開口部が、所定形状の切欠き部から構成してあることから、木軸部材を挿入する際に、所定方向から応力が加わった場合であっても、容易に弾性変形し、左右方向に開閉することから、木軸部材を挿入し、精度良く位置決めすることが極めて容易になる。
更に言えば、かかる切欠き部によって、木軸コンテナ部の内部と外部とで固定金具を介しての熱伝導が抑制されるため、極めて断熱性に優れた木軸トレーラーとすることができるためである。
【0049】
又、固定金具の開口部における切欠き部を、概ね短冊状又はL字状として、図4(b)上、W1で示される幅、すなわち、切欠き部の縁から、もう一方の縁までの直線距離を、通常、10~200mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる切欠き部の幅が、10mm未満になると、木軸コンテナ部を構成した際に、結露の発生の抑制が不十分となったり、木軸部材を挿入する際に、適度に弾性変形しなかったりする場合があるためである。
一方、かかる切欠き部の幅が、200mm以上になると、木軸部材を固定するための機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
従って、かかる切欠き部の幅を、30~140mmの範囲内の値とすることがより好ましく、50~110mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0050】
又、固定金具の開口部における切欠き部に関して、図4(b)上、L1で示される長さ、すなわち、切欠き部の上側の縁から、下側の縁までの直線距離を、通常、20~400mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる切欠き部の長さが、20mm未満になると、木軸コンテナ部を構成した際に、結露の発生の抑制が不十分となったり、木軸部材を挿入する際に、適度に弾性変形しなかったりする場合があるためである。
一方、かかる切欠き部の長さが、400mmを超えた値になると、木軸部材を固定するための機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
従って、かかる切欠き部の幅を、50~300mmの範囲内の値とすることがより好ましく、80~200mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0051】
又、固定金具の開口部における切欠き部を設ける位置に関し、木軸部材の断面が多角形(四角形)の場合は、その少なくとも一つ角部の形状に合致する形状、例えば、図4(b)に例示するように、L字状に設けることが好ましい。
一方、木軸部材の断面が円形の場合は、かかる切欠き部を、固定金具の円周のいずれの箇所であっても良いが、そこの箇所において、木軸部材を挿入する方向に沿って、短冊状に設けることが好ましい。
【0052】
(3)-6 金属突出部
又、固定金具の所定方向に張り出した金属突出部は、設けられた第2の貫通孔を介して、第2接合部材を木軸部材に挿通させて固定するための部位である。
その際に、図2(a)に示すように、金属突出部34eは、木軸部材32の端部に設けられたスリット32aに挿入されるように装着されることが好ましい。
この理由は、このような金属突出部であれば、木軸部材の機械的強度を過度に損なうことなしに、水平方向、鉛直方向の双方から、木軸部材を挿入することができるようになるため、製造効率性を高めることができるためである。
【0053】
又、金属突出部の長さは、目的や用途、装着される木軸部材の全高や全幅、金属突出部の貫通孔の数等に応じて適宜変更されるが、通常、図4(b)上、L2で示される長さを100~350mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、金属突出部の長さが、L2で表される所定数値範囲内であれば、固定金具全体としての重量が過度に重くなることなしに、十分な強度で木軸部材を固定することができ、軽量性と機械的強度のバランスに優れた木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができるためである。
従って、L2で示される金属突出部の長さを、120~300mmの範囲内の値とすることがより好ましく、140~250mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0054】
又、金属突出部の幅は、目的や用途、装着される木軸部材の全長、全高、全幅、金属突出部の貫通孔の数等に応じて適宜変更されるが、通常、図4(b)上、W2で示される幅を70~400mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、金属突出部の幅が、W2で表される所定数値範囲の下限値未満になると、金属突出部に設けた第2の貫通孔同士が過度に近接してしまうことで、かかる第2の貫通孔に対応した木軸部材における貫通孔同士も過度に近接して機械的強度が著しく低下してしまい、その結果、木軸部材における貫通孔を起点として、木軸部材が破損してしまう場合があるためである。
一方、金属突出部の幅が、W2で表される所定数値範囲の上限値を超えた値になると、固定金具全体としての重量が過度に重くなる場合があるためである。
従って、W2で示される金属突出部の長さを、80~350mmの範囲内の値とすることがより好ましく、90~300mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0055】
又、金属突出部の厚さについても、装着される木軸部材の全高や全幅金属突出部の貫通孔の数等に応じて適宜変更されるが、通常、図4(b)上、T2で示される金属突出部の厚さを1~20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、金属突出部の厚さが、T2で表される所定数値範囲内であれば、固定金具全体として、軽量性と機械的強度とのバランスを良好に保つことができるため、結果として、軽量性と機械的強度のバランスに優れた木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができるためである。
従って、T2で示される金属突出部の厚さを2~10mmの範囲内の値とすることがより好ましく、3~8mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0056】
(3)-7 係止部材
又、図4(b)に示すように、固定金具34の内部に、当該固定金具34に対する、木軸部材(柱用木軸部材)の高さ方向の装着位置を決定する係止部材34fが設けてあることが好ましい。
より具体的には、図1(b)において、柱としての木軸部材32の中心を通り、木軸コンテナ部30の長手方向に平行に延びるA-A´線に沿って、木軸コンテナ部を鉛直方向に切断した際の、点線枠内の領域P1の断面図である図4(d)に示すように、固定金具34の内部に、係止部材34fが設けられており、当該係止部材34fが、固定金具34に木軸部材32が装着される際に、木軸部材32の端面と接して、高さ方向の装着位置を決定するように構成されていることが好ましい。
この理由は、固定金具に装着された木軸部材の固定を、より一層、強固なものとすることができ、しかも、後述するツイストロック機構を構成するための空間(ツイストロックピンがはめ込まれる空間)を、新たな部品等を使用することなしに、固定金具において確保することができるためである。
【0057】
(3)-8 ツイストロック機構
又、図4(d)に示すように、固定金具34における、木軸部材を挿入する方向に沿って、係止部材34fの下方に、ツイストロック機構34gが設けてあることが好ましい。
この理由は、固定金具の所定部位に、ツイストロック機構を設けることで、ツイストロック機構を設けるための新たな部品等を用いることなく、容易にトレーラー部と木軸コンテナ部とを分離可能に固定することができるためである。
従って、簡易構造を維持しつつ、優れた軽量性と機械的強度を有する木軸コンテナ、ひいては、木軸トレーラーとすることができる。
なお、固定金具が、木軸コンテナ部の上側の四隅で用いられる場合には、係止部材の上方に、ツイストロック機構が設けられることになる。
又、本発明において、ツイストロック機構とは、固定金具に対して、差し込むことで固定する構造体(以下、ツイストロックピンと称する場合がある。)、当該ツイストロックピンを約90°回転させるための回転機構、ツイストロックピンが差し込まれる固定金具に設けられた図4(a)~(b)に示すようなツイストロック孔(34i、34j)のうちの、少なくとも1つを含んでいる構成を意味する。
【0058】
又、図4(a)に示すように、固定金具34の本体の側面に、少なくとも1つ以上のツイストロック孔34jが設けてあることが好ましい。
そして、図4(b)に示すように、固定金具34の本体の底面に、少なくとも1つ以上のツイストロック孔34iが設けてあることも好ましい。
この理由は、木軸コンテナ部とした場合に、これらのツイストロック孔に対して、例えば、ツイストロックピンを有するジャッキ等の昇降機を取り付けて、木軸コンテナ部を持ち上げて、トレーラー部から容易に分離したり、或いは、ロープ等を通して、クレーンで木軸コンテナ部全体を持ち上げて移動させたりすることができるためである。
例えば、図5(a)~(b)に示すように、ジャッキ60であって、支持部62に対して、昇降部64を、当該昇降部64に取り付けられたハンドル66によって、操作するジャッキ60を用いて、木軸コンテナ部30を、トレーラー部から分離することができる。
すなわち、図5(a)~(b)に示すように、ジャッキ60を、木軸コンテナ部30の四隅の固定金具34の近くに設置する。そして、ジャッキ60の昇降部64のツイストロックピン68を、木軸コンテナ部30の固定金具34のツイストロック機構におけるツイストロック孔34jに、挿入して、90°回転させて固定させる。そして、各ジャッキ60のハンドル66を回転させて、昇降部64の位置をあげて、木軸コンテナ部30を、容易にトレーラー部から分離させることができる。
従って、ツイストロック孔は、固定金具の、少なくとも、木軸コンテナ部の長尺方向に沿った側面、又は、短尺方向に沿った側面のいずれか一方に設けてあることが好ましいが、両方の側面に設けてあることが更に好ましい。
【0059】
又、図示しないものの、固定金具のツイストロック機構におけるツイストロック孔に、バーリング加工部を設けることが好ましい。
この理由は、このようにツイストロック孔に、バーリング加工部を設けることで、実質的に固定金具の重量が増大することなしに、固定金具の機械的強度を更に高めることができるためである。
【0060】
(4)接合部材
図2(a)に示すように、接合部材36は複数あって、固定金具34の本体に設けた貫通孔34aを介することになる第1接合部材36aと、固定金具34の所定方向に張り出した金属突出部34eに設けた貫通孔34bを介することになる第2接合部材36cとを備えている。
そして、これらの第1接合部材36aと第2接合部材36cを、それぞれ木軸部材32の所定箇所に挿通させて固定することから、接合部材36は、木軸コンテナ部30を構成するための主要な部品である。
すなわち、図2(a)に示すように、接合部材36は、木軸コンテナ部30の隅部において、主骨格となる木軸部材32と固定金具34とを強固に固定することができる。そのため、簡易構造でありながらも、軽量性と機械的強度のバランスに優れた木軸コンテナ部、ひいては、そのような木軸トレーラーとすることができる。
【0061】
(4)-1 材質
又、接合部材を構成する材質は、特に制限されるものではないが、通常、耐食性や機械的強度等が良好な一方、比較的軽量でありながら安価であって、かつ、経済性にも優れていることが好ましい。
そのため、かかる接合部材の材質が、ステンレス、鉄、鋼(軟鋼線材を含む)、アルミニウム、銅、ニッケル、チタンの一種単独又は二種以上の組み合わせであることが好ましい。
これらの中でも、特に機械的強度に優れ、経済性にも優れた軟鋼線材を用いることがより好ましい。
かかる軟鋼線材の具体的としては、流通量が多く、代表的な材料であるSWRM8~SWRM12等のJIS G3505:2017に規定されている軟鋼線材を挙げることができる。
【0062】
その上、各種材質から構成された接合部材の表面に、固定金具と同様に、それぞれ耐食性を更に向上させるために、公知の防錆処理、例えば、リン酸亜鉛メッキ処理、アルマイト処理、クロメート処理、あるいは防錆塗料の塗布処理等の少なくとも一つを施すことも好ましい。
【0063】
(4)-2 第1接合部材と第2接合部材との関係
又、図1(b)における点線枠内の領域P1を、上方から視認した場合の図2(b)に示すように、第1接合部材36aと、第2接合部材36cとを、平面透視した場合の交差角度を、80~100℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる交差角度を、所定の数値範囲内の値に具体的に制限することによって、木軸コンテナ部のラーメン構造に起因して生じる水平方向の外力等に対抗できる機械的強度を有する木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができるためである。
従って、かかる交差角度を、85~95°の範囲内の値とすることがより好ましく、87~93℃の範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0064】
(4)-3 第1接合部材と第2接合部材の直径
又、第1接合部材の直径φ1(mm)は、固定金具の本体に設けた貫通孔の直径や、木軸部材の大きさ等にもよるが、通常、5~20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる第1接合部材の直径φ1が、5mm未満になると、木軸コンテナ部を構成した場合の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる第1接合部材の直径φ1が、20mmを超えると、固定金具の本体に設けた貫通孔の直径も大きくなることで、固定金具の機械的強度が著しく低下する場合があるためである。
従って、第1接合部材の直径φ1を6~18mmの範囲内の値とすることがより好ましく、7~16mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0065】
又、第2接合部材の直径φ2(mm)は、固定金具の金属突出部に設けた貫通孔の直径や、木軸部材の大きさ等にもよるが、通常、第1接合部材の直径φ1と同様に、5~20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0066】
(4)-4 第1接合部材と第2接合部材の種類
又、第1接合部材が、ボトル及びナットの組み合わせであり、第2接合部材が、ドリフトピンであることが好ましい。
この理由は、第1接合部材をボトル及びナットの組み合わせとし、第2接合部材をドリフトピンとすることで、所定の固定金具に装着された木軸部材の固定を、簡易かつ強固なものとすることができるためである。
しかもボトル及びナット、ドリフトピンは、取り扱いが容易かつ、安価であることから、製造効率性にも優れた木軸トレーラーとすることができる。
なお、第1接合部材が、ボルト及びナットの組み合わせの場合には、ボルトのみが、固定金具の本体に設けた貫通孔を介して、木軸部材に挿通される。そのため、図2(a)~(b)に示すように、第1接合部材36bとしてのナットが、木軸部材に挿通されることはない。
【0067】
(5)強化用木軸部材
又、図6に示すように、木軸コンテナ部30に対して、鉛直方向に沿って設けてある柱としての木軸部材32のほかに、木軸コンテナ部30の機械的強度を強化するために、鉛直方向あるいは、鉛直方向に1~30°の角度で傾斜してなる強化用木軸部材38を更に設けることも好ましい。
この理由は、かかる強化用木軸部材を更に設けた木軸コンテナ部であれば機械的強度を更に高めることができ、ひいては、木軸トレーラーとしての機械的強度を更に高めることができるためである。
更に言えば、かかる強化用木軸部材を更に設けた木軸コンテナ部であれば、木軸コンテナ部に対して、ドアや窓を設ける際に、強化用木軸部材が、ドア枠又は窓枠の一部を果たすことで、容易に、ドア等を取り付けることができ、ひいては、居住性にも優れた木軸トレーラーを極めて効率的に製造することができるためである。
なお、ここで説明した強化用木軸部材は、補助柱として機能するが、補助梁、補助桁、補助土台としての強化用木軸部材であることも想定される。
【0068】
又、強化用木軸部材の本数は、木軸トレーラーの目的、用途に応じて、適宜変更されるが、通常、1~10本の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、かかる強化用木軸部材の本数が1本以上でなければ、木軸コンテナ部の機械的強度を向上させることができないためである。
一方、かかる強化用木軸部材の本数が10本以上になると、木軸コンテナ部の機械的強度は向上するものの、軽量性が著しく低下したり、ラーメン構造体である木軸コンテナ部の設計自由度が著しく低下したりする場合があるためである。
従って、強化用木軸部材の本数を、2~8本の範囲内の値であることがより好ましく、3~6本の範囲内の値であることが更に好ましい。
【0069】
又、強化用木軸部材を構成する材質は、特に制限されるものではないが、通常、軽量性や機械的強度等が良好な一方、安価であって、かつ、経済性にも優れていることが好ましい。
従って、上述の木軸部材の原材料や構造材(形態)と、同様の物を使用することができる。例えば、かかる強化用木軸部材の原材料としては、スギを用いることができ、構造材(形態)としては、CLTを用いることができる。
【0070】
ここで、強化用木軸部材の取り付け方法は特に制限されるものではないが、木軸コンテナ部において、例えば、柱と横架材の接合用金具であるホゾパイプ(ホゾ金具)を、土台となる木軸部材と、強化用木軸部材の端部とに、更に、桁となる木軸部材と、強化用木軸部材のもう一方の端部とに、それぞれ跨るようにして双方に埋設させる。
そして、ホゾパイプに設けられているピン孔と、木軸部材に設けられているピン孔を位置合わせして連通孔を形成させ、当該連通孔に対して、ドリフトピン等を挿入することにより、取り付けることが好ましい。
この理由は、このような構造であれば、鉛直方向の強化用木軸部材が木軸部材と、ホゾパイプを介して適度に連結するため、簡易に強化効果が得られるためである。
【0071】
(6)壁部材
又、図示しないものの、壁部材は、隣接する柱としての木軸部材の間に設けられている構造体である。
そして、壁部材を構成する材料としては、目的や用途に応じて、各種使用することができるが、通常、軽量性と機械的強度に優れ、かつ、断熱性や遮音性(防音性)にも優れたものが好ましい。
そのような観点から、壁部材を構成する材料(構造体)としては、強化繊維樹脂基材と、樹脂断熱材と、強化繊維樹脂基材とからなるサンドイッチ構造体、又は木材であることが好ましい。
より具体的には、かかるサンドイッチ構造体としては、例えば、連続繊維強化熱可塑性プラスチック(以下、CFRT)の基材と、押出法ポリスチレンフォーム断熱材(以下、XPS)と、CFRT基材と、からなるサンドイッチ構造体が挙げられる。
又、かかる木材としては、例えば、木軸部材の材料と同様に、CLT等を挙げることができる。
【0072】
なお、本発明の木軸トレーラーにおける木軸コンテナ部は、前述の通り、主骨格としての長尺状の木軸部材と、当該木軸部材の固定金具と、ドリフトで構成されており、当該構成によって、建築物として必要される建築基準強度が担保されている。
従って、従来の海上コンテナ等のように、壁部材を構成する素材に対して、別途十分な機械的強度を必要とせず、その分、断熱性や遮音性を高めた素材を選択することができる。
【0073】
又、図示しないものの、木軸コンテナ部の壁部材は、例えば、パネル状であって、柱としての木軸部材の側面に、スリットを設けて、そこに差し込むように取り付けられるように構成することが好ましい。
この理由は、このような構成とすることで、極めて容易に壁部材を取り付けることができ、しかも取り付けた壁部材の特性に起因して、断熱性や遮音性(防音性)に優れた木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができるためである。
なお、柱としての木軸部材と壁部材との嵌め合い部分におけるシール性を高めるために、適宜、公知のシール部材を使用することができる。
【0074】
(7)屋根部材
又、図7(a)~(c)に示すように、木軸コンテナ部30の上面に取り付けられる屋根部材40は、第1部材40a~第4部材40dからなり、第1部材40a及び第4部材40d、並びに、第2部材40b及び第3部材40cにつき、それぞれ実質的に同一材料、同一形状のFRPプレートに由来した構成であることが好ましい。
すなわち、屋根部材を構成するFRPプレートの共通化等を図ることで、部品点数がより少なくなって、軽量性や製造容易性等に優れた木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーとすることができる。
【0075】
又、FRPプレートとしては、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂プレート(GFRP)、炭素繊維強化熱硬化性樹脂プレート(CFRP)、ナノ繊維強化熱硬化性樹脂プレート(Nano-FRP)、不織布強化熱硬化性樹脂プレート(NW-FRP)等の少なくとも一つを用いることが好ましい。
この理由は、これらのFRPプレートであれば、軽量性や機械的強度、あるいは製造容易性との間のバランスが更に良好なためである。
【0076】
又、図7(a)に示すように、屋根部材40は、その短手方向にかけて、複数の凸部40eを有することが好ましい。
この理由は、このような凸部を有することで、軽量性を維持しつつも、屋根部材の機械的強度をより一層高めることができるためである。
【0077】
又、図7(b)~(c)に示すように、屋根部材40を構成する第1部材40a~第4部材40dが、リブ40fを有していることが好ましい。
この理由は、このようなリブを有することで、屋根部材を構成した際に、機械的強度を一層高めることができるためである。
更に言えば、第1~第4部材のリブ同士を合わせて状態で、図7(a)におけるB-B´線に沿って屋根部材を切断した断面図である図7(d)の点線枠の領域P4、P5、P6の拡大図に示すように、例えば、ボルト及びナットの組み合わせ、又は、リベット等の接合部材によって、容易に接合することができるためである。
なお、第1部材~第4部材のリブ同士を合わせての接合においては、シール性を高めるために、リブ同士の間に、適宜、公知のシール部材を使用することができる。
【0078】
又、図7(d)の点線枠内の領域P3に示すように、強化繊維基材40hとして、ガラスクロス基材40iと、不織布層40jと、ガラスクロス基材40iと、からなるサンドイッチ構造体の複合繊維を含むことが好ましい。
ここで、ガラスクロス基材は、ガラスヤーンを用いて製造した織物であって、平織、斜文織、朱子織、綾織等の所定の織り方からなる織物である。
又、不織布層は、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維等をランダムに積層してなる不織物から形成されている。
すなわち、このように複合繊維を用いる理由は、一部上述したが、このような複合繊維強化物を用いることにより、かかるFRPプレートを成形する際に、複数のガラスクロス基材に挟まれた不織布層を介して硬化性樹脂を成形型の内部に円滑かつ迅速に注入することができるためである。
従って、かかるFRPプレートの厚さが、例えば、5mm以下の薄さにもかかわらず、高い機械的強度や靭性を保持することができる。
よって、複合繊維強化物を用いることによって、軽量性、機械的強度、製造容易性等に優れた、FRPプレートを安定的に得ることができる。
【0079】
又、ガラスクロス基材の厚さや不織布層の各層厚さは、かかるFRPプレートの厚さとの関係から適宜設定されることが好ましい。
従って、軽量化と機械的強度、あるいは、製造容易性等を両立する観点から、通常、それぞれの各層厚さを0.1~2mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3~1.6mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~1.2mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0080】
又、かかるFRPプレートは、それぞれの表面及び裏面あるいはいずれか一方の面に、保護層を有することが好ましい。
この理由は、このような保護層を設けることにより、FRPプレート表面を、ガラスクロス基材が所定場所から露出することなく、容易に平坦化できるためである。
【0081】
又、このような保護層を設けることにより、成形後に、成形型からFRPプレートの取り出しを容易にし、更にはFRPプレートの輸送、保管時における当該プレート表面の損傷や劣化を低減することができるためである。
従って、かかる保護層の厚さを、通常、0.1~10μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.3~5μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~2μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、保護層の構成部材としては、ガラスクロス基材の被覆性等に優れ、かつ、FRPプレートの耐久性を向上させ、更には、FRP製成形型の内面における損傷を防止するために、通常、熱硬化性ポリエステル樹脂から構成することが好ましい。
そして、保護層を形成する熱硬化性ポリエステル樹脂は、FRPプレートを構成する熱硬化性樹脂と、同一でも、異なる種類や配合比の熱硬化性樹脂であっても良い。
更に言えば、保護層を構成する熱硬化性樹脂と、FRPプレートを構成する熱硬化性樹脂と、を区別しやすいように、保護層を構成する熱硬化性樹脂中に着色剤や無機フィラー等を所定量配合することも好ましい。
【0082】
又、FRPプレートの平均厚さを、トレーラーに要求される仕様に基づいて決めることが好ましいが、通常、10mm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるFRPプレートの平均厚さが10mmを超えると、厚さの均一性が乏しくなったり、FRPプレートを構成する熱硬化性樹脂の使用量や内部歪が増加したりする場合があるためである。
その上、FRPプレートの平均厚さが10mmを超えると、熱硬化時間が過度に長くなったりして、製造コストが過度に高くなる場合があるためである。
従って、かかるFRPプレートの平均厚さの上限を6mm以下とすることがより好ましく、4mm以下とすることが更に好ましい。
一方、かかるFRPプレートの平均厚さが過度に薄くなると、厚さの均一性が乏しくなったり、機械的強度が急激に低下したりする場合がある。
従って、かかるFRPプレートの平均厚さの下限を、0.3mm以上とすることが好ましく、0.9mm以上とすることがより好ましく、1.5mm以上とすることが更に好ましい。
なお、FRPプレートの平均厚さは、測定しやすいことから、曲部を除く平坦部の厚さで代表できる。
【0083】
又、図7(d)に示すように、屋根部材40の断面形状は概ね台形であって、屋根部材40の周囲に凹部40g(図中の点線枠内の領域P7を参照)を有していることが好ましい。
この理由は、このような屋根部材であれば、木軸コンテナ部の上面から屋根部材の内面までの間に、スペースが生まれるため、このスペースを、電灯や空調設備等の設置に使用することができるため、木軸コンテナ部の内部空間が狭くなることがなく、有効に利用することができるためである。
すなわち、木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーの軽量性及び機械的強度を損なうことなく、木軸コンテナ部の内部空間を実質的に拡張することができるためである。
しかも、屋根部材の所定断面形状が台形であるため、雨天時に雨水が、凹部へと流れ込み、凹部から、木軸トレーラーの外部に設置したタンク等へとホースを接続することで、雨水を集めて、目的や用途に応じて、再利用することもできるためである。
【0084】
又、屋根部材の大きさは、木軸コンテナ部や、木軸トレーラーに要求される外観の大きさや、軽量性や製造容易性等を考慮して決定されるが、通常、屋根部材の全長を、3000~7000mmの範囲内の値とし、全幅を、1500~2490mmの範囲内の値とし、全高を、100~500mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屋根部材の全長、全幅、全高が、それぞれ所定範囲内の値であれば、屋根部材の全長や全幅にあわせて、木軸コンテナ部やトレーラー部の全長や全幅を変えてかつ機械的強度を確保した場合であっても、過度に重くならず、木軸トレーラー全体として優れた軽量性と機械的強度を得ることができるためである。
又、木軸コンテナ部の上面における内装空間を十分に確保して、外形寸法が規定されている木軸トレーラーにおいて、内部空間を無駄なく確保し、ひいては、優れた居住性や運搬性等をも得ることができるためである。
従って、屋根部材の全長を3500~6700mmの範囲内の値とすることがより好ましく、3700~6500mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
そして、屋根部材の全幅を1800~2470mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2000~2450mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
そして、屋根部材の全高を150~400mmの範囲内の値とすることがより好ましく、200~300mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
【0085】
(8)床部材
又、図示しないものの、床部材は、土台としての木軸部材に囲まれた木軸コンテナ部の底面を、木軸コンテナ部の内部から覆うように、土台としての木軸部材の側面に接合される構造体である。
そして、床部材の表面は、任意好適な床材で覆い、安全かつ快適な居住空間を確保してあることが好ましい。
この理由は、このように、安全かつ快適な居住空間を確保することができれば、トレーラーの用途の多様性や利便性をより一層高めることができるためである。
なお、本発明の木軸トレーラーにおける木軸コンテナ部の構成によっては、機械的強度を高める観点から、床部材を、更に柱としての木軸部材の下端の一部が接合されることも好ましい。
【0086】
かかる床部材を構成する材質は、特に制限されるものではないが、通常、軽量性、機械的強度(特に曲げ剛性)に加えて、断熱性に優れていることが好ましい。
そのため、かかる床部材の材質(構造体)は、木材、又は、樹脂構造体であることが好ましい。
木材の具体例としては、木軸部材の材質と同様に、CLTを挙げることができる。
又、樹脂構造体の具体例としては、内部構造体として、熱可塑性樹脂成形品から成るハニカムコア材を備えている樹脂構造体を挙げることができる。
【0087】
(9)窓/ドア
又、図示しないものの、この木軸トレーラーの木軸コンテナ部において、その周囲(側面)の所定位置に、窓やドア(以下、扉と称する場合がある。)を設けることも好ましい。
この理由は、このような構成とすることで、木軸コンテナ部ひいては木軸トレーラーの機械的強度を損なうことなく、居住空間としての利便性を高めることができるためである。
そして、設ける窓やドアの形成部の周囲において、適宜、公知のシール部材を用いて、雨水、外気、音等に対するシール性を確保していることから、窓やドアを設けることによって、木軸コンテナ部の内部全体としてのシール性を保つことができる。
【0088】
又、窓の素材としては、公知の樹脂やガラス材料等の透明性に優れた材料から構成することができる。
但し、木軸トレーラーの壁面の一部を構成することを考慮すると、軽量かつ高強度、耐蝕性、耐久性、耐候性等に富むものが好ましい。
従って、このような観点から、窓を構成する材料としては、ポリカーボネートや強化ガラスがより好ましい。
更に言えば、窓の表面の一部又は全面に紫外線吸収フィルム、赤外線吸収フィルム、装飾フィルム等を積層しても良いし、あるいは、すだれ等の遮光部材を取り付けることも好ましい。
【0089】
又、ドア(扉)の素材としては、各種樹脂、金属、木材等から選ばれる材料から構成できるが、木軸トレーラー(木軸コンテナ部)の壁面を一部となることを考えると、軽量かつ高強度、耐蝕性、耐久性、耐候性等に富むものが好ましい。
従って、このような観点から、ドアを構成する材料は、壁部材を構成する材料と同様に、強化繊維樹脂基材と、樹脂断熱材と、強化繊維樹脂基材とからなるサンドイッチ構造体、又は木材であることがより好ましい。
しかも、ドアを構成する材料を壁部材と同様にすることで、ドアを構成するに際して、壁部材にドアを設けるために追加工で、切りだした部材を転用することもできる。
【0090】
(10)電気系統及び断熱材
図示しないものの、木軸トレーラーにおいて、適宜、バッテリー及び発電機又はいずれか一方、コンバーター、電源配線、コンセント、外部電源入力用ケーブルプラグからなる電源システムを電気系統として設けることも好ましい。
この理由は、このような電気系統であれば、木軸トレーラーの後方部にあるテールランプの電源として利用するとともに、木軸コンテナ部の内部にて多様な電化製品を使用でき、居住空間としての利便性を高めることができるためである。
より具体的には、バッテリーや発電機としては、例えば、純正弦波とするAC電源であって、100V、15Aで1500Wの電力出力を有するものが好ましい。
この理由は、このようなAC電源としてのバッテリーや発電機であれば、エアコン等の大型の家電製品から、パソコン等の精密機器までの幅広い電化製品の電源として利用することができるためである。
又、コンバーターを備えることも好ましい。
この理由は、バッテリーや発電機がAC電源の場合に、コンバーターを介してDC電源とすることで、例えばテールランプ等のDC電源を必要とする電化製品を利用することができるためである。
又、外部電源入力用ケーブルプラグを備えることも好ましい。
この理由は、このようなプラグによって、木軸トレーラーに設置した電源としてのバッテリーを充電したり、バッテリーや発電機の電力出力性能以上の電力を木軸トレーラー内部で利用したりすることができるためである。
【0091】
その上、図示しないものの、この木軸トレーラーの木軸コンテナ部では、木軸コンテナ部の壁部材の内面に当たる面に対して、断熱材を設置することも好ましい。
この理由は、断熱材をエアコン等の空調設備と併用することで、季節間の寒暖差を防止し、木軸コンテナ部の内部の室温を一定温度に保ち、ひいては、居住性を高めることができるためである。
より具体的には、このような断熱材としては、繊維系断熱材(繊維断熱材)、発泡プラスチック性断熱材、天然素材系断熱材(天然素材断熱材)が挙げられる。
更に、断熱性を高める観点から、輻射熱を反射させるために、表面にアルミ蒸着処理やアルミ蒸着フィルムが積層してあることが、更に好ましい。
【0092】
(11)用途
又、本発明の木軸トレーラーにおける木軸コンテナ部は、トレーラー部から分離して、住居として使用することができる。
すなわち、かかる木軸コンテナ部は、優れた機械的強度を有しているため、建築基準法6条1項四号に規定される建築物、いわゆる、4号建築物の条件を満たしており、建築確認申請を行うことで、通常の住宅として使用可能である。
更に言えば、かかる木軸コンテナ部は、ラーメン構造であるため、強度を持たせるための壁が不要となることから、複数の木軸コンテナ部を、水平方向あるいは鉛直方向に組み合わせての多様な構成が可能となる。
例えば、図8(a)~(b)に示すように、2台の木軸コンテナ部30を、水平方向に組み合わせた連結体50や、2階建ての木造建築物として、鉛直方向に組み合わせた連結体50´を構成することができる。
従って、従来の住居としての建築物と比較して、建築期間の大幅な短縮化が可能であり、耐震性、断熱性等を配慮した住居、更には、店舗、災害時の仮設住宅など幅広い用途に使用することができる。
なお、2階建ての木造建築物とする場合、鉛直方向に組み合わせた連結体に対して、その2階部分となる木軸コンテナ部における土台に相当する4本の木軸部材は、機械的強度が十分に担保されていることから、省略することもできる。
【0093】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えてなる木軸トレーラーにおいて、木軸コンテナ部の主骨格としての長尺状の木軸部材を、複数の接合部材によって、固定するための木軸部材用固定金具であって、下記構成(1´)~(5´)を有することを特徴とする木軸部材用固定金具である。
(1´)木軸部材を挿入する本体と、当該本体から所定方向に張り出した金属突出部とを設けてある構成。
(2´)周囲に木軸部材を装着した場合に、木軸部材の一部が露出する開口部を有する構成。
(3´)本体が、接合部材としての第1接合部材を貫通させるための第1の貫通孔を有し、第1接合部材を設けた場合に、当該第1接合部材が、第1の貫通孔を介して、木軸部材に挿通された状態となる構成。
(4´)金属突出部が、接合部材としての第2接合部材を貫通させるための第2の貫通孔を有し、第2接合部材を設けた場合に、当該第2接合部材が、第2の貫通孔を介して、木軸部材に挿通された状態となる構成。
(5´)断面形状を、木軸部材の断面形状に対応する形状である多角形又は円形としてある構成。
なお、第2の実施形態における木軸部材用固定金具(固定金具)を説明するにあたり、第1の実施形態で説明した内容と重複する部分については、再度の説明を省略する場合もある。
【0094】
1.構成(1´)
構成(1´)は、木軸を挿入する本体と、当該本体から所定方向に張り出した金属突出部とを設けてある旨の構成要件である。
より具体的には、本体は、木軸部材を挿入するための挿入口を有しており、木軸部材の挿入方向に沿って、少なくとも、周囲の一部を取り囲むように側壁を有している構成である。
又、本体は、挿入口を鉛直方向上側に向けて設置した場合に、水平方向に沿って、それぞれ異なる方向に張り出した、2つの金属突出部を有していることが好ましい。
この理由は、このような金属突出部を設けることにより木軸部材の機械的強度を過度に損なうことなしに、水平方向、垂直方向の双方から、木軸部材を挿入することができるようになり、製造効率性をより高めることができるためである。
従って、金属突出部は、木軸部材の端部に設けられたスリットに挿入されるように、平板状であることが好ましい。
【0095】
2.構成(2´)
構成(2´)は、周囲に木軸部材を装着した場合に、木軸部材の一部が露出する開口部を有する旨の構成要件である。
より具体的には、木軸部材用固定金具における、水平面に沿った断面の外縁部の異なる2点を通るように、切り欠いてあることが好ましい。
この理由は、このように木軸部材の一部が露出する開口部を有することで、木軸部材用固定金具の機械的強度を過度に損なうことなく、木軸部材の木軸部材用固定金具への装着が、迅速かつ正確になり、木軸コンテナ部、ひいては木軸トレーラーを効率的に製造することができるためである。
【0096】
3.構成(3´)
構成(3´)は、本体が、接合部材としての第1接合部材を貫通させるための第1の貫通孔を有し、第1接合部材を設けた場合に、当該第1接合部材が、第1の貫通孔を介して、木軸部材に挿通された状態となる構成要件である。
より具体的には、本体の側壁に、1つ又は複数の貫通孔を設けてあることが好ましい。
この理由は、本体に木軸部材を挿入した後、本体の各貫通孔に対して、側方から第1接合部材を挿入することにより、第1接合部材を、第1の貫通孔を介して、木軸部材に挿通した状態にして、本体に対して、木軸部材を、より強固に固定することができるためである。
【0097】
4.構成(4´)
構成(4´)は、金属突出部が、接合部材としての第2接合部材を貫通させるための第2の貫通孔を有し、第2接合部材を設けた場合に、当該第2接合部材が、貫通孔を介して、木軸部材に挿通された状態となる構成要件である。
より具体的には、金属突出部に、1つ又は複数の貫通孔を設けてあることが好ましい。
この理由は、金属突出部の各貫通孔に対して、側方から第2接合部材を挿入することにより、第2接合部材を、第2の貫通孔を介して、木軸部材に挿通した状態にして、金属突出部に対して、木軸部材を、より強固に固定することができるためである。
【0098】
5.構成(5´)
構成(5´)は、断面形状を、木軸部材の断面形状に対応する形状である多角形又は円形としてある構成要件である。
ここで、断面形状とは、木軸部材を本体に挿入する方向に垂直な面で、木軸部材用固定金具を切断した場合の断面の形状である。
より具体的には、木軸部材の断面形状と相似形であり、木軸部材の外縁部の形状よりも大きくなっていることが好ましい。
従って、木軸部材用固定金具の断面形状の直径(円相当径)が、木軸部材の断面形状の直径(円相当径)よりも、0.1~20mm大きいことが好ましく、0.3~15mm大きいことがより好ましく、0.5~10mm大きいことが更に好ましい。
【0099】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えた木軸トレーラーの製造方法であって、下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とする木軸トレーラーの製造方法である。
(1)トレーラー部として、木軸コンテナ部を積載して固定するための基台部と、牽引車両とトレーラー部を連結するための連結部と、基台部及び連結部をつなぐ牽引部と、を有するトレーラー部を準備する工程。
(2)木軸コンテナ部の部品として、主骨格としての長尺状の木軸部材であって、断面形状を多角形又は円形とする木軸部材と、当該木軸部材の固定金具であって、下記特性i)及びii)を有する固定金具と、複数の接合部材と、を準備する工程。
i)固定金具の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とする。
ii)固定金具の周囲に、木軸部材を装着した場合、固定金具に、木軸部材の一部が露出する開口部を有する。
(3)複数の接合部材のうち、固定金具の本体に設けた貫通孔を介することになる第1接合部材と、固定金具の所定方向に張り出した金属突出部に設けた貫通孔を介することになる第2接合部材とを、それぞれ木軸部材に挿通して、木軸コンテナ部を構成する工程。
(4)トレーラー部と、木軸コンテナ部とを、ツイストロック機構によって、固定し、木軸トレーラーとする工程。
なお、第3の実施形態における木軸トレーラーの製造方法を説明するにあたり、第1及び第2の実施形態で説明した内容と重複する部分については、再度の説明を省略する場合もある。
【0100】
1.工程(1)
工程(1)は、トレーラー部として、木軸コンテナ部を積載して固定するための基台部と、牽引車両とトレーラー部を連結するための連結部と、基台部及び連結部をつなぐ牽引部と、を有するトレーラー部を準備する工程である。
より具体的には、基台部に対して、牽引部、連結部をそれぞれ、公知の溶接等の手法で、連結して製造されたトレーラー部を準備する。
更に、基台部の四隅には、ツイストロック機構としての部材を溶接して設けて、牽引部には、木軸トレーラーを安定して地面に置くための支持脚や、移動時の安全性を高めるための慣性ブレーキ(図示せず)を設けておくことが好ましい。
なお、トレーラー部は製造後、牽引車両にて牽引して、公道を走行させるために、車検を取得しておくことが好ましい。
【0101】
2.工程(2)
工程(2)は、木軸コンテナ部の部品として、主骨格としての長尺状の木軸部材であって、断面形状を多角形又は円形とする木軸部材と、当該木軸部材の固定金具であって、下記特性i)及びii)を有する固定金具と、複数の接合部材と、を準備する工程である。
i)固定金具の断面形状を、それぞれ多角形又は円形とする。
ii)固定金具の周囲に、木軸部材を装着した場合、固定金具に、木軸部材の一部が露出する開口部を有する。
より具体的には、後述の工程(3)における工程時間の短縮のために、特に木軸部材に関しては、所定の外形寸法に加工され、必要な、貫通孔、スリット等の加工もなされたプレカット状態で、準備することが好ましい。
更に、木軸部材には、長期にわたっての機械的強度を維持するために、防腐剤や等を、その表面に塗布しておくことが好ましい。
又、固定金具や、接合部材は、耐食性を高めるために、予め、リン酸亜鉛メッキ処理等を施しておくことが好ましい。
【0102】
3.工程(3)
工程(3)は、複数の接合部材のうち、固定金具の本体に設けた貫通孔を介することになる第1接合部材と、固定金具の所定方向に張り出した金属突出部に設けた貫通孔を介することになる第2接合部材とを、それぞれ木軸部材に挿通して、木軸コンテナ部を構成する工程である。
より具体的には、予め準備された、トレーラー部の基台部と同様のサイズの金属フレーム枠(その四隅のツイストロック機構を含む)の上面において、その四隅のツイストロック機構のツイストロックピンに対して、固定金具を設置して固定させる。
次いで、木軸コンテナ部の柱を構成するために、各固定金具に対して、柱としての木軸部材の端部を装着させた状態で、第1接合部材を、柱としての木軸部材に挿通させて固定する。
次いで、木軸コンテナ部の土台を構成するために、固定金具における金属突出部が、土台となる4本の木軸部材の端部に設けられたスリットに挿入されるようにして、各木軸部材を設置する。
そして、第2接合部材を、各木軸部材に挿通させて、固定金具に各木軸部材を固定させて、木軸コンテナ部の土台を構成する。
次いで、木軸コンテナ部の梁及び桁を構成するために、柱としての木軸部材のもう一方の端部に固定金具を装着させた状態で、第1接合部材を、柱としての木軸部材に挿通させて固定する。
そして、固定金具における金属突出部が、梁及び桁となる4本の木軸部材の端部に設けられたスリットに挿入されるように、リフト等を用いて木軸部材を所定の高さ位置に持ち上げた状態で、第2接合部材を、各木軸部材に挿通させて、固定金具に各木軸部材を固定させて、木軸コンテナ部の梁及び桁を構成し、木軸コンテナ部とする。
なお、組み立てに必要な部材が少なく、かつ、上述の通り、効率的に木軸コンテナ部を構成することができることから、工程(3)にかかる時間は、極めて短時間(例えば、30分程度)である。
【0103】
4.工程(4)
工程(4)は、トレーラー部と、木軸コンテナ部とを、ツイストロック機構によって、固定し、木軸トレーラーとする工程である。
より具体的には、工程(3)に構成された木軸コンテナ部を所定の昇降機器(例えば、ジャッキ、クレーン等)を用いて、金属フレーム枠から持ち上げて分離状態とする。
次いで、持ち上げた木軸コンテナ部の下方に、工程(1)にて準備したトレーラー部を設置し、木軸コンテナ部を持ち上げ位置を下げて、トレーラー部の基台部の上に積載し、基台部の四隅に設けられたツイストロック機構としてのツイストロックピンを、木軸コンテナ部の下方の四隅にある固定金具におけるツイストロック機構としてのツイストロック孔に挿入させ係止させることで、固定する。
【0104】
5.その他の工程
(1)壁形成工程
壁形成工程は、木軸コンテナ部の側面に対して、壁部材を立設して、壁を形成するための工程である。
より具体的には、パネル状の壁部材を準備して、柱としての木軸部材の側面に設けたスリットに差し込むように取り付けて、壁を形成する。
又、柱としての木軸部材と壁部材との嵌め合い部分や、隣接する壁部材同士におけるシール性を高めるために、適宜、公知のシール部材を使用することが好ましい。
【0105】
(2)屋根形成工程
屋根形成工程は、木軸コンテナ部の上面に対して、FRPプレート製の屋根部材を接合して、屋根を形成するための工程である。
より具体的には、屋根部材を構成するFRP製プレートである第1部材~第4部材を準備する。
そして、第1部材の端部にあるリブと第2部材の端部にあるリブとを、第2部材のもう一方の端部にあるリブと第3部材の端部にあるリブとを、第3部材のもう一方の端部にあるリブと第4部材の端部にあるとリブとを、それぞれ合わせた状態で、ボルト及びナットの組み合わせ、又は、リベットを用いて接合し、屋根部材を構成する。
次いで、構成した屋根部材を、木軸コンテナの上面に被せて、屋根部材周辺の縁部と、木軸コンテナの上面を構成する梁、桁に相当する木軸部材とを、例えば、釘等の接合部材を用いて接合して、屋根を形成する。
なお、第1部材~第4部材のリブにおける接合部分や、屋根部材周辺の縁部と、木軸コンテナ部の上面との接合部においては、シール性を高めるために、適宜、公知のシール部材を使用することが好ましい。
【0106】
(3)床形成工程
床形成工程は、土台としての木軸部材に囲まれた木軸コンテナ部の底面に、木軸コンテナ部の内部から覆うようにして、土台としての木軸部材の表面に、所定の床部材を接合するための工程である。
より具体的には、複数枚の床部材を準備するとともに、これらの床部材を、木軸コンテナ部の底面に敷き詰めて、土台としての木軸部材の表面の一部と重なり合う部分において、接合して、床を形成する。
【0107】
(4)窓/ドア形成工程
窓/ドア形成工程は、壁立て工程において、木軸コンテナ部の側面に設けられた壁部材の適正位置に窓やドアを設ける工程である。
より具体的には、まず、かかる壁部材の所定位置に所定サイズの窓やドアを設けるための切断処理(以下、穴あけ処理と称する場合もある。)を行う。
次いで、壁部材の切断された箇所において、その縁周辺に沿って、窓枠又はドア枠としての補強部材を取り付ける。
なお、補強用木軸部材が設けられている場合には、当該補強用木軸部材を窓枠又はドア枠の一部として用いることもできる。
次いで、取り付けられた補強部材を挟み込むようにパッキンを嵌合させる。
そして、最後に、予め準備された窓やドアをヒンジ手段にて取り付けて、開閉可能等の窓やドアを形成することができる。
【0108】
(5)断熱内装処理工程
断熱内装処理工程は、木軸コンテナ部の内部側の面に対して、例えば、繊維系断熱材、発泡プラスチック性断熱材、天然素材系断熱材等から選択される断熱材を設置する工程である。
より具体的には、まず、木軸コンテナ部の内部側の面に対して、主骨格としての木軸部材間を埋めるように、所定の断熱材を設置する。
次いで、設置した断熱材を覆うように、木軸コンテナ部の内部側から木軸部材に対してカバーシートを取り付けて封入し、断熱内装処理工程とすることが好ましい。
なお、木軸トレーラー又は、トレーラー部から分離して木軸コンテナ部単体で住居(建築物)として使用する場合の外環境にもよるが、木軸コンテナ部において、壁部、床部において必要な断熱性を担保できるのであれば、上述の断熱内装処理工程の一部又は全てを省略することができる。
【0109】
(6)電気配線工程
電気配線工程は、木軸トレーラーのテールランプや木軸トレーラー内部にて電化製品を使用できるようにするために、木軸トレーラーに電気配線を施す工程である。
より具体的には、木軸トレーラーに積載されたバッテリーや発電機等の内部電源、又は、木軸トレーラーの外部から供給される外部電源を使用することを前提として、それら内部電源又は外部電源入力部を起点として、木軸トレーラー内部の所定箇所に設置されたコンセント、テールランプ等までの電気配線を行うことが好ましい。
又、電気配線は、100VのAC電源用と、所定電圧のDC電源用とで電気系統を分けて配線を行うことが好ましい。
【0110】
(7)水回り整備工程
水回り整備工程は、木軸コンテナ部の内部において、給排水を使用するために、水回りを整備する工程である。
より具体的には、まず、木軸コンテナ部の内部の所定箇所にシンクを設置し、シンクの直下に給水用タンクと排水用タンクを設置する。
次いで、シンク上に設置されている蛇口の配管と給水用タンクとを吸い上げポンプ付きの給水ホースで接続する。
最後に、シンクの排水溝と排水用タンクとを排水管で接続し、所定の水回り整備工程とすることができる。
なお、給水用タンクと排水用タンクの容量は、適宜設定できるが、例えば20~200Lの範囲内の値とすることが好ましい。
又、移動を伴わず、木軸コンテナ部を、建築物として利用する場合には、給水用タンクと排水用タンクの代わりに、上下水道管を引き込んで、蛇口の配管と上水道管とを、排水溝と下水道管とを、それぞれ接続して、所定の水回り整備工程とすることも好ましい。
更に、目的や用途に応じて、別途、屋根部材から回収した水を使用するための水回りを整備することも好ましい。
【0111】
(8)外壁処理工程
外壁処理工程は、壁形成工程にて設けられた壁部材の外側面に対して、塗装等の外壁処理を行う工程である。
より具体的には、所定の塗料として、ウレタン系塗料(ウレタン塗料)、ポリエステル系塗料(ポリエステル塗料)、アクリル系塗料(アクリル塗料)等を、第1部材~第4部材の外側面に塗布し、厚さ1~100μmの塗布層を形成することが好ましい。
この理由は、こうすることで、耐候性を向上させるとともに、美観を保持させることができるためである。
又、塗装には、塗装装置、例えばハンド式のスプレー塗布装置を用いて、第1部材~第4部材の外側面の所定箇所に対して、所定厚さの塗布層を形成することが好ましい。
又、所望の箇所以外の箇所に、塗料が付着しないように、マスキング部材を所定場所に予め装着しておくことが好ましい。
又、塗装以外に、公知の各種シートやタイル等を張り付けて、耐候性を向上させるとともに、美観を保持させることも好ましい。
【0112】
(9)検査工程
製造した木軸トレーラー(壁部材、屋根部材、床部材を含む)につき、所定の検査工程を設けて、所定基準を満足することを確認することが好ましい。
すなわち、例えば、下記所定の検査工程によって、外観性、軽量性、機械的強度、シール性(防水性)、断熱性、走行安定性等を検査したり、評価したりすることによって、諸特性が安定し、かつ、製造コストが低く、実用性に富んだ木軸トレーラーを提供することができる。
1)木軸トレーラーの外観についての目視検査
2)木軸トレーラーの重量検査
3)木軸トレーラーの耐荷重試験
4)木軸トレーラーのシール性試験
5)木軸トレーラーの断熱性試験
6)トレーラー部と木軸コンテナ部とのツイストロック機構による固定検査
7)木軸トレーラーを牽引しての走行試験
8)木軸トレーラーの耐久性試験
【0113】
(10)取付け工程/分離工程/保管工程
取付け工程は、製造した木軸トレーラーを、牽引車両に取り付けて保管場所へ移動させる工程である。その際に、木軸トレーラーが軽量で扱い易いことから、トレーラー部の連結部を介して、容易に車両に取り付けることができる。
次いで、分離工程は、木軸トレーラーを保管場所へ移動させた後、牽引車両から分離させる工程である。その際にも、木軸トレーラーが軽量で扱い易いことから、車両から容易に分離させることができる。
更に、保管工程は、木軸トレーラーを保管場所にて保管する工程である。その際に、必要に応じて、トレーラー部と木軸コンテナ部とを分離して別々に保管することもできる。
その際に、木軸コンテナ部は、保管場所の広さや設備にもよるが、2台以上を積み重ねて保管することもできる。
(11)木軸コンテナ部の設置工程
木軸コンテナ部の設置工程は、製造した木軸トレーラーを、牽引車両にて設置目的地まで移動させて、トレーラー部から木軸コンテナ部を分離させて、所定の位置に設置する工程である。
トレーラー部から木軸コンテナ部を分離させる際には、第1の実施形態において説明したように、木軸コンテナ部の下側四隅の固定金具における、ツイストロック機構としての固定金具の側面のツイストロック孔に対して、所定のジャッキのツイストロックピンを挿入し固定させて、ジャッキの昇降部を上昇させることで、容易に分離させることができる。
従って、ジャッキにより、木軸コンテナ部を持ち上げた状態で、その下側に、例えばコンクリート等による基礎を作った後、ジャッキの昇降部を今度は下降させて、基礎の上に木軸コンテナ部を静置させて固定させることで、容易に建築物として設置することができる。
更に、居住空間を拡張するために、必要に応じて、複数の木軸コンテナ部を、水平方向あるいは鉛直方向に組み合わせて連結体としての建築物とすることができる。
【実施例
【0114】
以下、実施例を用いて、更に本発明を詳細に説明する。
但し、本発明は、特に理由なく、下記の実施例の記載に限定されるものではない。
【0115】
[実施例1]
1.木軸枠体の製造
上述した方法により、図9(a)~(b)に示すように、木軸コンテナ部の長尺方向に沿った1つの側面と、短尺方向に沿った1つの側面とに相当する長方形の2つの木軸枠体を製造した。
より具体的には、実施例1において、図9(a)に示すように、それぞれ断面が四角形であり、幅120mm、高さ120mmである、鉛直方向に沿ってなる木軸部材32及び強化用木軸部材38と、幅120mm、高さ180mmである、水平方向に沿ってなる下側の木軸部材33aと、幅120mm、高さ300mmである、水平方向に沿ってなる上側の木軸部材33bとを用いた。
そして、木軸コンテナ部の長尺方向に沿った1つの側面に相当する木軸枠体を製造した。
従って、木軸枠体の長さLa1を6058mm(約20フィート)とし、強化用木軸部材までの端からの距離La2を1500mmとし、高さHaを2800mm(約8フィート)として製造した。
なお、木軸部材は、鉛直方向と、水平方向とで段さができないように、幅を揃えて木軸部材同士を組んでいる。
【0116】
2.ひずみの測定
木軸枠体のひずみ評価として、図9(a)に示すように、木軸枠体の長さ方向の一辺(木軸部材33a)を固定して、長さ方向の固定されていない他の一辺(木軸部材33b)の端部を、加力機74によって、所定荷重F(kN)で、長さ方向に押圧した。
そして、水平変位量ΔL(mm)が、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、57mmとなった時点の荷重をそれぞれ測定した。測定した結果を表1に示す。
【0117】
[実施例2]
実施例2においては、図9(b)に示すように、実施例1と同様の断面を有する木軸部材を使用して、木軸コンテナ部の短尺方向に沿った1つの側面に相当する木軸枠体を製造した。
すなわち、木軸枠体の長さLbを2450mmに変更し、強化用木軸部材を設けなかった以外は、実施例1と同様に木軸枠体を製造し、ひずみを測定した。測定した結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
ここで、実施例のひずみの測定について、図10に示すように、変位量に対する、荷重の関係をグラフ化した。
すなわち、図10によれば、実施例1及び実施例2のいずれの場合も、例えば、変位量が30mmであるときに、荷重が約3kNを超える値となっていることが理解できる。
一方、通常、木軸コンテナ部の剛性を向上させる観点から、荷重を高くすることが好ましいが、木軸コンテナ部の弾性等を向上させる観点から、変位量が30mmであるときに、荷重が約6kN以下となっていることが好ましい。
又、図10によれば、変位量が10mmであるときに、荷重が約1kNを超える値となっており、約4kN以下となっていることが理解できる。
そして、変位量が57mmであるときに、約5kNを超える値となっており、約9kN以下となっていることが理解できる。
従って、このような値となっていることにより、木軸コンテナ部の剛性を、より効果的に向上させることができるとともに、耐衝撃性を、より効果的に向上させることができるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の木軸トレーラーによれば、簡易構造であって、部品点数も少なくすることができことから、下記形態の木軸トレーラー等を、効率的かつ経済的に、製造できるようになった。
(1)軽量性に関し、積載荷物も含めた総重量が、例えば、2500kg/台以下であり、積載荷物や特殊内装を除いて、例えば、1300kg/台以下である、木軸トレーラーの形態とすることができるようになった。
(2)機械的強度に関し、例えば、木軸コンテナ部の側方部を構成する矩形状の構造体において、所定条件下で、981N(≒100kgf)の水平力を加えた場合に、構造体の所定変形量を、50mm以下の値である、木軸トレーラーの形態とすることができるようになった。
(3)1台当たりの製造時間が、1.5週間/2人~3週間/2人であって、製造コストが、例えば、200万円/台~400万円/台である、木軸トレーラーの形態とすることができるようになった。
(4)牽引式のトレーラーとして、軽量性、安全性、経済性(安価)、加工性、環境特性等が、それぞれ良好なものであるため、キャンピング用のトレーラーとしての利用は勿論のこと、移動店舗用のトレーラー、災害時の仮設住宅、更には、トレーラー部から分離して木軸コンテナ部単体で建築物として利用することが期待される。
(5)しかも、木軸トレーラーを廃棄する際には、構成する木材や、固定金具等に分解して、再資源化したり、燃料等に利用したりすることも可能である。
よって、本発明によれば、幅広い分野において、木軸トレーラー等としての利用のみならず、環境利用(リサイクル利用)も考慮していることから、産業上の利用可能性が極めて高いと言える。
【要約】
簡易構造であって、軽量性と機械的強度のバランスに優れた木軸トレーラー等を提供する。
トレーラー部と、当該トレーラー部に対して分離可能に固定され、かつ、金属骨格を含まない木軸コンテナ部と、を備えた木軸トレーラーであって、下記構成(1)~(4)を有することを特徴とする木軸トレーラー。
(1)トレーラー部が、所定の基台部と、連結部と、牽引部と、を有し、(2)木軸コンテナ部が、所定の木軸部材と、当該の木軸部材の固定金具と、複数の接合部材と、を有し、(3)固定金具及び、木軸部材の断面形状を、所定形状とし、かつ、固定金具の周囲に所定の開口部を有し、(4)複数の接合部材が、固定金具の本体に設けた貫通孔と、固定金具の金属突出部に設けた貫通孔と、をそれぞれ介して、木軸部材に挿通する第1接合部材と第2接合部材と、を備えている。
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