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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】電子ペン本体部に装着されるアダプタ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021505493
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 JP2019040544
(87)【国際公開番号】W WO2020183772
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】P 2019045331
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】神山 良二
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/129614(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/173420(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/070085(WO,A1)
【文献】特開平10-214148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
前記電子ペン本体部は、前記先端部に印加される前記軸心方向の圧力を検出する筆圧検出部を備え、
前記装着用アダプタの前記弾性部材は、前記筆圧検出部で検出すべき前記軸心方向の圧力の範囲に対しては性的な変位はせず、前記筆圧検出部で検出すべき前記軸心方向の圧力の範囲を超える圧力を受けたときに、弾性的に変位するように構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の電子ペンカートリッジ。
【請求項17】
前記電子ペン本体部の先端部に印加される前記軸心方向の圧力を検出する筆圧検出部を備え、
前記筆圧検出部で検出すべき前記軸心方向の圧力の範囲は、前記装着用アダプタの前記弾性部材が、前記筆圧検出部で検出すべき前記軸心方向の圧力の範囲では弾性的な変位はせず、前記筆圧検出部で検出すべき前記軸心方向の圧力の範囲を超える圧力を受けたときに、弾性的に変位するように構成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の電子ペン本体部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置と共に使用される電子ペンに関する。また、この発明は、電子ペンの筐体に収納される電子ペンカートリッジ及び当該電子ペンカートリッジを構成する電子ペン本体部に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記用文具としてのノック式ボールペンや多色ボールペンにおいては、それら専用のボールペンの芯(替え芯)が、カートリッジやリフィルと呼ばれる形態の構成とされ、それぞれ専用の筐体に設けられている装着部に装着される構成とされている。この構成により、ノック式ボールペンや多色ボールペンにおいては、適宜、カートリッジやリフィルの形態のボールペンの芯を交換することができる。
【0003】
同様の考えから、電子ペンにおいても、当該電子ペンの主要な部分からなる電子ペン本体部をカートリッジの形式した電子ペンカートリッジが用いられるようになってきている。さらには、この電子ペンカートリッジとしての電子ペン本体部の寸法を、ボールペンの替え芯と同じ寸法とすることで、当該電子ペン本体部を、筆記用文具としてのノック式ボールペンや多色ボールペン用の筐体の装着部に装着して使用することができるものも提供されている(例えば特許文献1(再表2016/143498号公報)参照)。
【0004】
このような構成の電子ペンカートリッジとしての電子ペン本体部は、筆記用文具であるノック式ボールペンや多色ボールペン用の筐体をそのまま用いて、その装着部に対して装着することが可能となり、非常に便利である。また、筆記用文具である多色ボールペン用の筐体を用いることができるので、その筐体内に電子ペン本体部と、ボールペンの替え芯とを収納して、適宜、選択して利用することができる。このため、筆記具の機能を備えると共に電子ペンの機能を搭載した多機能電子ペンが実現でき、電子ペンと他の筆記具とを別々に携帯しなくてもよいので便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】再表2016/143498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ノック式ボールペンや多色ボールペンの替え芯は、前述したように、それぞれに専用のものとされ、長さが異なるものとされていることが多々ある。
【0007】
また、ノック式ボールペンと、多色ボールペンでは、替え芯の装着部の構造が若干異なる場合が多い。また、多色ボールペンにおいては、ノック棒をスライドすることにより、各色用の替え芯を選択する機構を備えるものの他、回転式により各色用の替え芯を選択する機構を備えるものもあり、その場合に筐体の装着部の構造が互いに異なることが多い。
【0008】
そのため、従来の電子ペンカートリッジとしての電子ペン本体部は、長さサイズや、筐体の装着部との結合部を、それぞれ装着対象の筐体に合わせて異なる構成とする必要があった。しかし、電子ペン本体部は、一般に、ボールペンの替え芯よりも高価であり、利用者は、当該高価な電子ペンカートリッジとしての電子ペン本体部を、利用する筐体に合わせて全て購入する必要があり、利用者にコス的な負担を負わせてしまうという問題があった。
【0009】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした電子ペンカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、
ペン形状の筐体内に設けられる装着部に装着される電子ペンカートリッジであって、
位置検出センサとの間で信号の授受を行うためのインタラクション部を備え、先端部が前記筐体の一方の開口部から外部に突出可能とされる電子ペン本体部と、
前記電子ペン本体部と前記装着部との間に介在される装着用アダプタと
を備え、
前記電子ペン本体部は、軸心方向において前記先端部とは反対側の端部には、前記装着用アダプタを軸心方向に結合させるための第1の結合部を備え、
前記装着用アダプタは、軸心方向の一方の端部に、前記電子ペン本体部の前記第1の結合部と結合する第2の結合部を備えると共に、前記軸心方向の他方の端部に、前記筐体の前記装着部に対して結合する第3の結合部を備え、さらに、前記第2の結合部を前記電子ペン本体部の前記第1の結合部と結合させた結合状態において、前記軸心方向に前記装着用アダプタを前記電子ペン本体部から離間させるようにする弾性力を、前記装着用アダプタと前記電子ペン本体部との間に作用させるようにする弾性部材を備えている
ことを特徴とする電子ペンカートリッジを提供する。
【0011】
上記の構成の電子ぺンカートリッジは、電子ペン本体部と、装着用アダプタとで構成されている。この構成の電子ペンカートリッジによれば、電子ペン本体部と、筐体の装着部との間に装着用アダプタが介在するので、筐体の軸心方向の長さの調整は、装着用アダプタの軸心方向の長さで調整が可能である。
【0012】
また、装着用アダプタが、筐体の装着部と結合する第3の結合部を備えるので、電子ペン本体部の第1の結合部は、筐体の装着部の構造に関係なく、装着用アダプタの第2の結合部と結合する所定の構成とすることができる。
【0013】
以上のことから、電子ペン本体部は、種々の筐体用として共用すると共に、装着用アダプタを、それら筐体の装着部の構成や軸芯方向の長さに応じて交換することで、種々の電子ペン筐体に装着可能となる電子ペンカートリッジを構成することができる。よって、使用者は、比較的高価な電子ペン本体部は、複数種の電子ペン筐体に対して共通の1個として、比較的安価な装着用アダプタを、複数種の電子ペン筐体に対応して用意すればよくなるので、コスト的な負担が軽減される。
【0014】
そして、上記の構成の電子ペンカートリッジにおいては、電子ペンカートリッジを、電子ペン本体部に対して軸心方向に装着用アダプタを結合する構成としたとしても、電子ペン本体部と装着用アダプタとを結合したときには、装着用アダプタの弾性部材により、ガタツクことなくしっかりと結合される。したがって、電子ペン本体部の先端部で入力面において位置指示したときに、電子ペンカートリッジが軸心方向にガタツクなどという違和感を生じないという特徴もある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明による電子ペンカートリッジの実施形態の構成例を説明するための図である。
図2図1の実施形態の電子ペンカートリッジを構成する電子ペン本体部の構成例を説明するための図である。
図3図1の実施形態の電子ペンカートリッジを構成する電子ペン本体部の構成例を説明するための図である。
図4図3の例の電子ペン本体部に搭載する筆圧検出部の構成例を説明するための図である。
図5図1の実施形態の電子ペンカートリッジを構成する電子ペン本体部に結合する装着用アダプタの構成例を説明するための図である。
図6】この発明による電子ペンの実施形態の構成例を説明するための図である。
図7】この発明による電子ペンの実施形態の他の構成例を説明するための図である。
図8】この発明による電子ペンの実施形態と共に使用される位置検出装置の電子回路例を説明するための図である。
図9】この発明による電子ペンカートリッジの他の実施形態の電子回路例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明による電子ペンカートリッジの実施形態を、図を参照しながら説明する。図1は、この発明による電子ペンカートリッジの一実施形態を示すものである。
【0017】
図1の実施形態の電子ペンカートリッジ1は、電子ペン本体部2と、装着用アダプタ3とからなり、図1(A)に示すように、電子ペン本体部2と装着用アダプタ3とが互いに軸心方向に結合されることで構成される。この場合に、装着用アダプタ3は、電子ペン本体部2に対して着脱可能(交換可能)に構成されている。
【0018】
<電子ペン本体部2の構成例>
この実施形態の電子ペン本体部2においては、図1(A)に示すように、芯体21と、信号送信用部材22と、後述するように、筆圧検出部を保持すると共に回路基板を保持するホルダー部23と、ホルダー部23に保持される筆圧検出部と回路基板とを収納して保護する機能を備える本体部筐体部材24とからなる。
【0019】
芯体21は、この例では比較的硬質で弾性を有する樹脂材料、例えばPOM(Polyoxymethylene)からなる棒状の部材であり、その径は、例えば1mm程度とされている。
【0020】
信号送信用部材22は、位置検出センサとのインタラクション部を構成するもので、この実施形態では、電磁誘導方式で位置検出装置と信号を送受信(インタラクション)するための共振回路を構成するコイル221と、このコイル221が巻回された磁性体コア、この例ではフェライトコア222と、このフェライトコア222の貫通孔222aに嵌合固定されている芯パイプ部材223とからなる。
【0021】
ホルダー部23は、例えば樹脂材料で構成され、後述する筆圧検出部40を保持すると共に、信号送信用部材22のフェライトコア222と嵌合する筒状部231を備えると共に、筒状部231と一体的に、図1(A)では図示を省略する回路基板載置台部232(後述の図3参照)を備える。そして、信号送信用部材22のフェライトコア222及び芯パイプ部材223の、軸心方向のペン先側とは反対側が、筒状部231に挿入嵌合されて、信号送信用部材22とホルダー部23とが軸心方向に結合される。
【0022】
本体部筐体部材24は、ホルダー部23の筒状部231の一部を除く部分をその中空部に収納するものであって、硬質の材料からなるパイプ形状の部材、この例では金属からなるパイプ形状の部材により構成され、筆圧検出部及び回路基板の電気的回路構成部分を保護する回路部保護部材を構成する。
【0023】
そして、ホルダー部23の回路基板載置台部232と筒状部231の一部とが、本体部筐体部材24の中空部内に収納されて、本体部筐体部材24とホルダー部23とが結合される。そして、軸心方向において、本体部筐体部材24の信号送信用部材22との結合側とは反対側に装着用アダプタ3が結合される。
【0024】
<装着用アダプタ3の構成例について>
この実施形態では、電子ペン本体部2に対して着脱可能な装着用アダプタ3は、電子ペンカートリッジ1を収納して装着させる電子ペンの筐体の違いに応じた複数のものが用意され、電子ペンの筐体の違いがあっても、装着用アダプタ3を交換するだけで、異なる筐体に、電子ペンカートリッジ1を収納して装着することができるように構成されている。
【0025】
また、ノック式ボールペンでは、電子ペンカートリッジ1の軸心方向の長さが、多色ボールペンや多機能ペン用の替え芯の長さと異なることを考慮する。
【0026】
図1の例では、装着用アダプタ3は、図1(B)、(C)及び(D)に示す3種が用意されている。以下の説明おいては、装着用アダプタ3の3種のものを区別するために、図1(B)、(C)及び(D)のそれぞれに示すものを、装着用アダプタ3A、装着用アダプタ3B、装着用アダプタ3Cというように、サフィックスA,B,Cを付加して示す。
【0027】
後述するように、この実施形態の電子ペンカートリッジ1は、電子ペンの筐体として、一般に市販の多色ボールペンの筐体や、多機能ペンの筐体や、ノック式ボールペンの筐体を想定している。なお、多機能ペンは、例えばボールペンとシャープペンシルなど筆記機能が異なるものが選択的に使用できるようにされている筆記用文具を意味している。
【0028】
この実施形態では、多色ボールペンや多機能ペンでは、電子ペンカートリッジ1の軸心方向の長さは、ほぼ等しいが、電子ペンカートリッジ1が装着される電子ペンの筐体の装着部の構成が異なるものがあることを考慮して、図1(B)及び(C)に示すような装着用アダプタ3Aと、装着用アダプタ3Bが用意されている。また、ノック式ボールペンの場合には、替え芯の軸心方向の長さが比較的長く、筐体の装着部は、ノック機構部に設けられているので、それに対応して図1(D)に示すような装着用アダプタ3Cが用意されている。
【0029】
すなわち、図1(B)に示す装着用アダプタ3Aは、多色ボールペンや多機能ペンの筐体の装着部と結合する結合部31Aを備える。図1(B)の例では、結合部31Aは、多色ボールペンや多機能ペンの筐体の装着部側に設けられている嵌合用突部が嵌合される嵌合凹部とされている。また、図1(C)に示す装着用アダプタ3Bは、多色ボールペンや多機能ペンの筐体の装着部と結合する結合部31Bを備える。図1(C)の例では、結合部31Bは、多色ボールペンや多機能ペンの筐体の装着部側に設けられている嵌合用凹部に嵌合される嵌合突部の構成とされている。なお、図1(A)に示す電子ペンカートリッジ1は、電子ペン本体部2に、装着用アダプタ3Aが結合されている場合である。
【0030】
また、図1(D)に示す装着用アダプタ3Cは、ノック式ボールペンの筐体の軸心方向の長さに対応すると共に、ノック機構部に設けられている装着部に対応する結合部31Cを備える。
【0031】
なお、装着用アダプタ3A,3B及び3Cの結合部31A、結合部31B及び結合部31Cは、特許請求の範囲における第3の結合部を構成する。
【0032】
この実施形態における装着用アダプタ3A,3B及び3Cの電子ペン本体部2との結合側の構成は、図1(B),(C),(D)に示すように、同様の構成とされている。すなわち、装着用アダプタ3A,3B及び3Cの電子ペン本体部2との結合側には、軸心方向の長さが所定長である棒状部材32A,32B,32Cと、これら棒状部材32A,32B,32Cのそれぞれをそのコイル巻回空間の中心に収納するようにして、棒状部材32A,32B,32Cの周囲において軸心方向に弾性的に変位可能に設けられたコイルばね33A,33B,33Cとが設けられる。
【0033】
この実施形態では、棒状部材32A,32B,32Cの軸心方向の長さは同一であると共に、コイルばね33A,33B,33Cも同一の物が用いられる。そして、装着用アダプタ3A,3B及び3Cにおいては、棒状部材32A,32B,32Cの、電子ペン本体部2との結合先端側とは反対側には、コイルばね33A,33B,33Cの径よりも大きい径を有するコイルストッパ部34A,34B,34Cが設けられている。
【0034】
このコイルストッパ部34A,34B,34Cの存在により、コイルばね33A,33B,33Cの軸心方向の位置が規制されて、装着用アダプタ3A,3B,3Cが、電子ペン本体部2と結合されたときに、コイルばね33A,33B,33Cの弾性力により、電子ペン本体部2は、装着用アダプタ3A,3B,3Cに対して常に電子ペン本体部2の先端部側に弾性変位させるようにされている。
【0035】
この実施形態では、装着用アダプタ3A,3Bは、コイルストッパ部34A,34Bに対して、上述した結合部31A、結合部31Bが取り付けられた構成とされており、また、装着用アダプタ3Cの場合は、コイルストッパ部34Cと、結合部31Cとの間に長さ調整部35Cが介在するようにされた構成とされている。
【0036】
そして、この実施形態の装着用アダプタ3A,3B,3Cの棒状部材32A,32B,32Cは筒状部の構成とされており、その電子ペン本体部2との結合側の端部には、棒状部材32A,32B,32Cの周側面の互いに180度間隔離れた位置において、軸心方向に直交する方向に弾性的に出没可能な1対の突起36A及び37A,36B及び37B,36C及び37Cが設けられている。
【0037】
図1(E)は、装着用アダプタ3Aの電子ペン本体部2との結合側の端部の断面図を示すものである。他の装着用アダプタ3B,3Cの電子ペン本体部2との結合側の端部も同様に構成されているので、それらの他の装着用アダプタ3B,3Cの電子ペン本体部2との結合側の端部の構成については説明は省略する。
【0038】
図1(E)に示すように、筒状部からなる棒状部材32Aの電子ペン本体部2との結合側の端部の周側面の互いに180度間隔離れた位置には、突起36A及び37Aを、軸心方向に直交する方向に突出させるための透孔32Aa及び32Abが形成されている。
【0039】
突起36A及び37Aは、図1(E)に示すように、透孔32Aa及び32Abから突出することが可能な突出部36Aa及び37Aaを備えると共に、透孔32Aa及び32Abから脱落してしまわないような係止部36Ab及び37Abを備える形状とされている。そして、突起36A及び37Aは、透孔32Aa及び32Abから突出部36Aa及び37Aaが突出する状態で、棒状部材32Aに対して配設される。
【0040】
そして、図1(E)に示すように、筒状の棒状部材32Aの電子ペン本体部2との結合側の開口部には、当該開口部を閉塞する閉塞用部38Aが嵌合されて設けられる。この閉塞用部38Aには、棒状部材32Aの開口部に嵌合したときに、図1(E)に示すように、突起36A及び37Aを、軸心方向に直交する方向に押圧変位させる弾性部材39Aが取り付けられている。弾性部材39Aは、図1(E)の例では、弾性を有する金属などの板状部材がΩ字状に成型されたものとされている。
【0041】
したがって、突起36A及び37Aは、これに対して軸心方向に直交する方向であって、棒状部材32Aの中心に向かう力が印加されると、弾性部材39Aの弾性力に抗して突起36A及び37Aが棒状部材32Aの中空部の方向に没するように変位することが可能である。
【0042】
装着用アダプタ3Aが電子ペン本体部2と結合されるときには、この突起36A及び37Aが、一旦、棒状部材32A側に没した後、結合状態で、弾性部材39Aの弾性力により突出することで、電子ペン本体部2と装着用アダプタ3Aとの結合状態がそのままでは解除されないように構成される。この電子ペン本体部2と装着用アダプタ3Aとの結合態様については、後述する。
【0043】
なお、前述もしたが、図1(C)及び(D)に示すように、他の装着用アダプタ3B及び3Cにおいても、棒状部材32B及び32Cの電子ペン本体部2との結合側の開口部に、弾性部材39Aと同様の弾性部材を備える閉塞用部38B,38Cの構成は、棒状部材32B及び32Cに対して嵌合装着されることで、上述した装着用アダプタ3Aと同様にして、電子ペン本体部2と結合されるように構成される。
【0044】
電子ペンカートリッジ1は、以上のように、信号送信用部材22とホルダー部23と本体部筐体部材24とからなる電子ペン本体部2に対して、装着用アダプタ3が軸心方向に結合されることで、ボールペンの替え芯と外形としては同一とされるカートリッジの構成とされる。
【0045】
図2(A)は、信号送信用部材22の全体及びホルダー部23の本体部筐体部材24との結合部を拡大して示した図である。また、図2(B)は、図2(A)の縦断面図である。また、図2(C)は、芯体21の部分を取り出して示した図である。ただし、図2(B)では、説明の便宜上、芯パイプ部材223と芯体21とは破断せずに示している。
【0046】
この例のフェライトコア222は、所定の径の軸心方向の貫通孔222a(図2(B)参照)を備え、この貫通孔222aに芯パイプ部材223が挿通されている。このフェライトコア222のペン先側には、徐々に先細となるテーパー部222bが形成されている。このテーパー部222bにより、このフェライトコア222を通る磁束は、テーパー部222bで高密度となり、位置検出装置の位置検出センサとの間の磁気的な結合を、テーパー部222bがない場合に比して、より強くすることができる。
【0047】
図2(B)に示すように、芯パイプ部材223は、この例では、金属で構成されており、フェライトコア222の軸心方向の長さよりも長いものとされており、フェライトコア222の貫通孔222aよりもペン先側及びペン先側とは反対側とに飛び出している突出部223a及び223bを備える。芯パイプ部材223は、接着材によりフェライトコア222と結合されて固定されることで、フェライトコアを補強する役割を果たす。
【0048】
芯体21は、この芯パイプ部材223の貫通孔223c(図2(B)の芯パイプ部材223の点線部参照)内を軸芯方向に移動可能に挿通することができるように構成されている。
【0049】
そして、図2(B)に示すように、ホルダー部23の筒状部231は、フェライトコア222の径とほぼ同径の嵌合凹部231aと、後で詳述する筆圧検出部40を収納する収納空間を備える収納部231bと、嵌合凹部231aと収納部231bとの間を貫通し、内径が芯パイプ部材223のペン先側とは反対側の突出部223bの外径とほぼ同径の貫通孔231cとを備える。
【0050】
そして、信号送信用部材22のフェライトコア222が、嵌合凹部231aに嵌合し、芯パイプ部材223のペン先側とは反対側の突出部223bが貫通孔231cに嵌合する状態で、フェライトコア222が、ホルダー部23の筒状部231に結合される。そして、図2(B)に示すように、筒状部231の貫通孔231cには、フェライトコア222及び芯パイプ部材223との結合に先立ち、圧力伝達部材50と、コイルばね60とが配設されている。このコイルばね60の弾性により、圧力伝達部材50が常に筆圧検出部40の圧力受付部に当接するような状態とされる。
【0051】
そして、信号送信用部材22のフェライトコア222及び芯パイプ部材223をホルダー部23の筒状部231に嵌合させた後に、芯体21を、芯パイプ部材223の貫通孔223cを貫通させて、芯体21の端部21bを圧力伝達部材50の嵌合凹部50aに嵌合させる。なお、芯体21は、ペン先部21aを引っ張ることにより、圧力伝達部材50との嵌合から離脱させて引き抜くことが可能である。したがって、芯体21は、交換可能である。
【0052】
次に、ホルダー部23と、このホルダー部23に保持される筆圧検出部40及び回路基板70と、本体部筐体部材24の部分について、図3及び図4を用いて説明する。
【0053】
図3は、ホルダー部23と、このホルダー部23に保持される筆圧検出部40及び回路基板70と、本体部筐体部材24とを分解して示した分解斜視図である。
【0054】
ホルダー部23は、軸心方向に細長で、ペン先側に上述した筒状部231を備えると共に、ペン先側とは反対側に装着用アダプタ3との結合部233を備えるボート状の部材であり、絶縁性材料、この例では、樹脂で構成されている。このホルダー部23には、筒状部231と結合部233との間に、回路基板70を載置する平面部232aを備える回路基板載置台部232が設けられている。
【0055】
ホルダー部23の筒状部231には、段差部231dが形成されている。ホルダー部23において、この段差部231dから結合部233の端部までの軸心方向の長さは、本体部筐体部材24の軸心方向の長さとほぼ同様とされている。また、この段差部231dから結合部233の端部までの部分の最大径は、本体部筐体部材24の内径よりも若干短いものとされている。したがって、この段差部231dから結合部233の端部までの部分は、本体部筐体部材24内に収納可能となるように構成されている。
【0056】
そして、本体部筐体部材24内に、ホルダー部23を挿入したとき、本体部筐体部材24のペン先側の端面が段部231dに突き当たるような状態となり、ホルダー部23の筒状部231の外径が小の部分と回路基板載置台部232と結合部233とが本体部筐体部材24内に収納される状態となる。
【0057】
そして、図3に示すように、ホルダー部23の筒状部231の外径が小の部分の収納部231bは、図3に示すように、回路基板載置台部232の平面部232aに対して直交する方向に開口部231bmを備えるものとされており、この収納部231bに、筆圧検出部40が、開口部231bmを通じて軸心方向に直交する方向から挿入される。
【0058】
そして、この実施形態においては、ホルダー部23の平面部232aとは反対側の面(曲面)には、図2(A)に示すように、コイル221の両端221a,221bを、回路基板70に接続するための2個の端子部材234及び235が、この例では、MID(Molded Interconnect Device)技術を用いた立体微細パターンとして、ペン先側から、段部231dを跨いで、回路基板載置台部232の中間部にまでに亘って、軸心方向に形成されている。なお、端子部材234及び235は、その端部234a及び235aが、図3に示すように、回路基板載置台部232の平面部232aにも現れるように形成されている。
【0059】
次に、回路基板70について説明する。回路基板70は、図3に示すように、細長形状のフレキシブル基板71が用いられて構成されている。回路基板70は、フレキシブル基板71の長手方向に沿って、筆圧検出部40の検出出力から筆圧情報を生成するための回路素子を含むと共に、位置検出用信号を位置検出装置に送出するための回路(この例では共振回路)を構成する回路素子を含む回路載置部72と、筆圧検出部40を載置する筆圧検出部載置部73と、回路載置部72と筆圧検出部載置部73との間の線路部74とを備えるように構成されている。
【0060】
フレキシブル基板71の回路載置部72には、図3に示すように、信号送信用部材22のコイル221と並列に接続されて共振回路を構成するキャパシタ75が設けられていると共に、コイル221とキャパシタ75とを並列に接続することにより共振回路を構成するようにするための導体パターン(図示は省略)が設けられている。
【0061】
また、線路部74には、図示は省略するが、筆圧検出部載置部73に載置される筆圧検出部40を、コイル221とキャパシタ75との並列共振回路に並列に接続するための線路パターンが形成されている。
【0062】
そして、この例では、回路基板70のフレキシブル基板71の回路載置部72の他方の面側(裏面側)には、両面テープ(図示は省略)が貼付されており、この両面テープにより、フレキシブル基板71が、ホルダー部23の回路基板載置台部232の平面部232a上に接着固定される。
【0063】
筆圧検出部40は、この例では、芯体に印加される圧力を静電容量の変化として検出するMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子を用いてパッケージとして構成した単一部品からなる。
【0064】
図4は、この例の筆圧検出部40の構成を説明するための図であり、図4(A)は、その圧力受付部側からみた平面図、図4(B)は、図4(A)におけるA-A線断面図である。
【0065】
この例の筆圧検出部40は、MEMS技術により製作されている半導体デバイスとして構成される圧力感知チップ41を、例えば直方体の箱型のパッケージ42内に封止したものである。
【0066】
圧力感知チップ41は、印加される圧力を、静電容量の変化として検出するものである。この例の圧力感知チップ41は、縦×横×高さ=L1×L1×H1の直方体形状とされている。
【0067】
この例の圧力感知チップ41は、第1の電極411及び第2の電極412と、第1の電極411及び第2の電極412の間の絶縁層(誘電体層)413とからなる。
【0068】
そして、絶縁層413の第1の電極411と対向する面側には、この例では、当該面の中央位置を中心とする円形の凹部414が形成されている。この凹部414により、絶縁層413と、第1の電極411との間に空間415が形成される。
【0069】
以上のような構成の圧力感知チップ41においては、第1の電極411と第2の電極412との間にキャパシタ40Cが形成される。そして、第1の電極411の第2の電極412と対向する面とは反対側の面411a側から第1の電極411に対して圧力が印加されると、第1の電極411は撓み、第1の電極411と、第2の電極412との間の距離が短くなり、キャパシタ40Cの静電容量の値が大きくなるように変化する。第1の電極411の撓み量は、印加される圧力の大きさに応じて変化し、キャパシタ40Cは、圧力感知チップ41に印加される圧力の大きさに応じた可変容量キャパシタとなる。
【0070】
この実施形態の筆圧検出部40においては、以上のような構成を備える圧力感知チップ41は、圧力を受ける第1の電極411の面411aが、圧力受付側となるような状態でパッケージ42内に収納されている。
【0071】
そして、図4(B)に示すように、筆圧検出部40のパッケージ部材421の圧力受付側とは反対側の底面には、圧力感知チップ41の第1の電極411と接続される第1のリード端子43が導出されると共に、圧力感知チップ41の第2の電極412と接続される第2のリード端子44が導出される。
【0072】
筆圧検出部40は、その第1のリード端子43及び第2のリード端子44と、回路基板70の筆圧検出部載置部73に形成されている導体パターンとがそれぞれ電気的に接続されるようにして、フレキシブル基板71の筆圧検出部載置部73に載置され、固定される。
【0073】
このようにして、筆圧検出部40が筆圧検出部載置部73上に載置及び電気的に接続されて固定された回路基板70は、コイル221と共に共振回路を構成するキャパシタ75と、筆圧検出部40で構成される可変容量キャパシタ40Cとが並列に接続された状態となる。
【0074】
このフレキシブル基板71は、図3に示すように、筆圧検出部40が載置された筆圧検出部載置部73の部分が、ホルダー部23の筒状部231の開口部231bmを通じて、軸心方向に直交する方向であって、ホルダー部23の回路基板載置台部232の平面部232aに直交する方向から、収納部231b内に差し込まれて挿入されて収納される。そして、回路基板70は、図2)に示すように、線路部74のところで折り曲げられて、回路載置部72の部分が、ホルダー部23の回路基板載置台部232の平面部232a側に押し付けられる。
【0075】
そして、回路基板70のフレキシブル基板71の裏面側に設けられている両面テープにより、筆圧検出部載置部73が壁部231eの収納部231b側の面に接着固定されると共に、回路載置部72が、ホルダー部23の回路基板載置台部232の平面部232a上に接着固定される。なお、回路基板載置台部232の後端側には、回路基板70の長手方向の端部を挟持して係止するようにするための突起232bが形成されており、回路基板70は、その端部を、この突起232bと回路基板載置台部232の平面部232aとの間で挟持されるように、回路基板載置台部232の平面部232aに配設する。
【0076】
ホルダー部23の結合部233は、図3で点線で示すように、装着用アダプタ3との結合側を開口とする円柱状凹部2331を備えている。この結合部233の円柱状凹部2331の内径は、装着用アダプタ3A,3B,3Cの棒状部材32A,32B,32Cの外径よりも若干大きい径とされて、装着用アダプタ3A,3B,3Cの棒状部材32A,32B,32Cのいずれかが挿入可能とされている。
【0077】
そして、この結合部233の円柱状凹部2331の側周面の互いに180度角間隔離れた位置には、装着用アダプタ3A,3B,3Cの棒状部材32A,32B,32Cが、当該円柱状凹部2331内に挿入されたときに、突起36A及び37A,36B及び37B,36C及び37Cが入り込むことが可能な透孔2332及び2333が形成されている。この場合に、透孔2332及び2333の軸心方向に沿う方向の長さは、装着用アダプタ3A,3B,3Cの棒状部材32A,32B,32Cの突起36A及び37A,36B及び37B,36C及び37Cの軸心方向に沿う方向の長さよりも長く選定されている。
【0078】
また、結合部233の円柱状凹部2331の深さ(軸心方向の長さ)は、装着用アダプタ3A,3B,3Cの棒状部材32A,32B,32Cを、コイルバネ33A,33B,33Cを収縮させることができる長さだけ、当該円柱状凹部2331内に挿入することができるような長さとされている。
【0079】
したがって、装着用アダプタ3A,3B,3Cは、ホルダー部23の結合部233の円柱状凹部2331内に棒状部材32A,32B,32Cを挿入することで、図5(A)~(C)に示すようにして、ホルダー部23の結合部233に結合されて係止される。なお、図5(A)~(C)は、装着用アダプタ3Aを、ホルダー部23に対して結合させる場合として示したものである。
【0080】
すなわち、装着用アダプタ3Aの棒状部材32Aを、図5(A)に示すように、ホルダー部23の結合部233の円柱状凹部2331に差し込むと、突起36A及び37Aは、弾性部材39Aの弾性力に抗して棒状部材32Aの内側に没するので、装着用アダプタ3Aの棒状部材32Aは、図5(B)に示すように、円柱状凹部2331の奥深くまで挿入することができる。この場合に、装着用アダプタ3Aの棒状部材32Aをホルダー部23の結合部233の円柱状凹部2331に挿入し、矢印RTで示すように回転させて、突起36A及び37Aの位置と、透孔2332及び2333の位置とが一致するところで、突起36A及び37Aが突出する状態となる。
【0081】
そして、その位置合わせができた状態で、装着用アダプタ3Aを円柱状凹部2331に押し込む力を除去すると、図5(C)に示すように、コイルバネ33Aの弾性力により、装着用アダプタ3Aは、結合部233の円柱状凹部2331から脱出する方向に変位するが、突起36A及び37Aが透孔2332及び2333の厚さ分の空間に突出しているため、透孔2332及び2333の壁と、突起36A及び37Aとが係合して、係止する状態となる。この状態では、コイルバネ33Aの弾性力により、装着用アダプタ3Aとホルダー部23との間には、互いに離れようとする力が働き、装着用アダプタ3Aとホルダー部23とは、互いに軸心方向にガタツクことなく結合する。
【0082】
装着用アダプタ3Aを、ホルダー部23の結合部233との結合を解除して、ホルダー部23から分離するには、装着用アダプタ3Aを、再度、円柱状凹部2331内に押し込んで、装着用アダプタ3Aの突起36A及び37Aを、透孔2332及び2333が存在しない位置とすることで、弾性部材39Aの弾性力に抗して棒状部材32Aの内側に没するようにする。そして、装着用アダプタ3Aを軸心方向に中心に回転して、突起36A及び37Aの位置と、透孔2332及び2333の位置とをずらす。すると、装着用アダプタ3Aをホルダー部23の結合部233から引き抜くことができる。
【0083】
他の装着用アダプタ3B,3Cについても、同様にして、ホルダー部23の結合部233に対して結合させることができることは言うまでもない。
【0084】
なお、実際的には、以上のホルダー部23の結合部233に対する装着用アダプタ3Aの脱着は、ホルダー部23の筒状部231の外径の大きい部分を除く部分を、本体部筐体部材24内に挿入した状態で行うようにする。
【0085】
すなわち、上述のようにしてホルダー部23に筆圧検出部40を収納すると共に、回路基板70を保持した後、本体部筐体部材24内に、ホルダー部23を、筒状部231とは反対側から挿入し、本体部筐体部材24のペン先側となる端面が、ホルダー部23の筒状部231の段部231dに衝合する状態とする。これにより、本体部筐体部材24により、結合部233の透孔2332及び2333が覆われた状態で、本体部筐体部材24に対して、ホルダー部23が結合される。このとき、ホルダー部23の結合部233の開口側の端部は、本体部筐体部材24の後端側の開口の端部とほぼ同一位置、あるいは、本体部筐体部材24の後端側開口の端部よりも僅かに突出する状態とされる。
【0086】
その後、ホルダー部23の筒状部231の貫通孔231cにコイルばね60を巻回した圧力伝達部材50を挿入する。そして、信号送信用部材22のフェライトコア222及び芯パイプ部材223を、ホルダー部23の筒状部231に挿入して嵌合させて、ホルダー部23に信号送信用部材22を結合する。そして、図2(A)に示すように、信号送信用部材22のフェライトコア222に巻回されているコイル221の一端221a及び他端221bは、それぞれ、ホルダー部23の筒状部231に形成されている端子部材234及び235に、例えば半田付け等により電気的に接続される。
【0087】
その後、芯体21を芯パイプ部材223の貫通孔223cを挿通させて、芯体21の端部21bを圧力伝達部材50の嵌合凹部50a内に挿入嵌合させる。以上で、電子ペン本体部2が完成となる。
【0088】
そして、この電子ペン本体部2の本体部筐体部材24の後端側の開口側から、装着用アダプタ3(3,3B,3C)が、前述したようにして挿入されて結合されて、電子ペンカートリッジ1が完成となる。
【0089】
ところで、この実施形態では、筆圧検出部40は、MEMSからなる半導体デバイスで構成されている。一般的に、電子ペンの使用者により加えられる筆圧を、例えば0g~500gの範囲に設定しており、筆圧検出部40では、その範囲の筆圧は精度良く検出することができるように構成されている。
【0090】
しかし、筆圧検出部40は、上記の検出すべき筆圧の範囲を超えた圧力が加わった場合、特に、電子ペンを落下させてしまった場合などに加わる大きな衝撃荷重が加わった場合、破損してしまう恐れがある。
【0091】
この実施形態では、装着用アダプタ3A,3B,3Cのコイルバネ33A,33B,33Cは、この衝撃荷重が加わった場合のショックアブソーバ(衝撃吸収部材)の役割をするように構成されている。
【0092】
すなわち、装着用アダプタ3A,3B,3Cのコイルバネ33A,33B,33Cは、検出すべき筆圧の範囲では、弾性変位を生じず、その範囲を超えた荷重が加わった場合に、弾性的に変位するような弾性力を有するものとされている。この場合に、コイルバネ33A,33B,33Cの材料、巻回する線材の太さ、などが選定されることにより、上記のような弾性力を有するものとされている。
【0093】
したがって、後述するようにして、電子ペンの筐体内の装着部に、この実施形態の電子ペンカートリッジ1が装着されて、芯体21のペン先部21aが外部に突出している使用状態において、使用者により、位置検出装置の位置検出センサ上で、筆圧が印加されながら、位置指示が行われると、その筆圧の検出範囲では、装着用アダプタ3A,3B,3Cのコイルバネ33A,33B,33Cは、弾性的に変位しないので、電子ペンカートリッジ1の芯体21のペン先部21aに印加された筆圧は、筆圧検出部40により、精度良く検出される。
【0094】
そして、この状態で、使用者が電子ペンを落としてしまった場合など、芯体21のペン先部21aに衝撃荷重が印加された場合には、その衝撃荷重は、装着用アダプタ3A,3B,3Cのコイルバネ33A,33B,33Cが弾性的に変位することで吸収され、筆圧検出部40が破損してしまうことが防止される。
【0095】
[電子ペンの実施形態]
以上のように構成された電子ペンカートリッジ1が装着されて構成される電子ペンの幾つかの実施形態を次に説明する。
【0096】
<多色ペンの例>
図6は、電子ペンカートリッジ1が装着される電子ペンの実施形態であって、多色ペンの例を示すものである。図6に示す電子ペンの実施形態の例では、装着される電子ペンカートリッジ1は、電子ペン本体部2に対して装着用アダプタ3Aが結合された場合である。そして、図6(A)は、回転式に電子ペンカートリッジ1が繰り出される構造の例、また、図6(B)は、ノック棒により、スライド式に電子ペンカートリッジ1が繰り出される構造の例である。先ず、図6(A)の例の電子ペン100について説明する。
【0097】
図6(A)に示す例の電子ペン100においては、筒状のペン形状の筐体101の中空部内に、実施形態の電子ペンカートリッジ1と、筆記具としてのボールペンの替え芯(カートリッジやリフィル)8との2本が収納されている。そして、筒状の筐体101の軸心方向の一方の端部のペン先側には開口101aが形成されており、また、ペン先側とは反対側(後端側)の開口は、後端蓋部102により閉塞されている。
【0098】
この例の電子ペン100は、回転式の切替機構部103を備え、この回転式の切替機構部103により、電子ペン本体部2のペン先部と、ボールペンの替え芯8のペン先部とのいずれかを切り替えて、電子ペン100の筐体101の開口101aから外部に突出させることができるように構成されている。
【0099】
この実施形態の電子ペン100の筐体101は、ペン先側筐体101Aと、後端側筐体101Bとの2つに分かれている。
【0100】
そして、後端側筐体101B内の後端蓋部102側には、後端側筐体101Bの内径に一致する外径を有する三角カム1031が設けられている。この三角カム1031は、円筒状の部材の上面部から底面部にかけて斜めに切断した傾斜部1031aを有するようにした形状に形成される。この三角カム1031は、ペン先側筐体101Aに対して、後端側筐体101Bを回転させたときに、これに連動して一緒に回転する。
【0101】
押し出し棒1032及び押し出し棒1033の先端側の端部には、電子ペンカートリッジ1の装着用アダプタ3Aの結合部31A及びボールペンの芯8の後端側の結合部と結合する装着部1032C及び1033Cが形成されている。
【0102】
上述したように構成される電子ペン100において、ペン先側筐体101Aに対して、後端側筐体101Bを、外部筐体101の軸心位置を中心にして回転させると、三角カム1031が、後端側筐体101Bと共に回転する。これに応じて、押し出し棒1032及び1033の後端側の端部に設けられているスライド部1032A及び1033Aが、三角カム1031の端面上をスライド移動する。
【0103】
このため、三角カム1031の先端側に移動した押し出し棒1032または押し出し棒1033に嵌合されている電子ペンカートリッジ1の芯体21のペン先部21aまたはボールペンの芯8のペン先部81が、ペン先側筐体101Aの開口101a側に押し出されて、このペン先側筐体101Aの開口101aから突出される。同時に、ペン先部が開口101aから突出していない方のボールペンの芯8または電子ペンカートリッジ1は、それが結合している押し出し棒1033または押し出し棒1032が、バネ1033Bまたはバネ1032Bにより、電子ペン100の後端側に引き込まれながら、三角カム1031の後端側に移動して、外部筐体101内に収納される状態になる。
【0104】
この場合に、図6(A)に示すように、電子ペンカートリッジ1やボールペンの替え芯8は、外部筐体101内において、その中心線位置からずれた位置に収納されている。このため、電子ペンカートリッジ1やボールペンの替え芯8は、図6(A)に示すように、軸心方向の力のみならず、軸心方向に直交する方向の力を受けながら筐体101の開口101aから先端部が繰り出される。
【0105】
ボールペンの替え芯8は、弾性を有する樹脂製の部材で構成されているので、このような軸心方向に直交する方向の力を受けた場合には容易に曲がるので、何ら支障なく、開口101aから繰り出される。
【0106】
一方、電子ペンカートリッジ1の電子ペン本体部2の本体部筐体部材24は、その内部に、回路基板70や筆圧検出部40などが収納されているため、硬質の材料、この例では、金属で構成されているので、ボールペンの芯8に比べて曲がりにくいものである。
【0107】
しかし、この実施形態の電子ペンカートリッジ1においては、電子ペン本体部2と結合される装着用アダプタ3Aの棒状部材32Aは、軸心方向に直交する方向にも変位可能な弾性を有する樹脂で構成されているので、当該棒状部材32Aの部分で軸心方向に直交する方向の力に応じて撓み変位をすることができる。
【0108】
これにより、ペン先側筐体101A及び後端側筐体101B内において、電子ペンカートリッジ1がペン先側筐体101Aの内壁に当たっても、電子ペン本体部2の本体部筐体部材24を撓ませるような大きな負荷がかかることなく、電子ペンカートリッジ1を、外部筐体101の開口101aから出没移動させることができる。
【0109】
次に、図6(B)の例の電子ペン200について説明する。この図6(B)の例では、電子ペン200の筒状のペン形状の筐体201が透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。図6(B)の例では、上述した実施形態の電子ペンカートリッジ1と、ボールペンの替え芯81,82とが筐体201内に収納されている。
【0110】
図6(B)の例の電子ペン200の筐体201は、市販のノック式の3色ボールペンの筐体及びノック機構と同一の構成を備えている。筐体201は、市販のノック式の3色ボールペンの筐体及びノック機構をそのまま用いてもよい。
【0111】
この筐体201内に、電子ペンカートリッジ1、ボールペンの替え芯81,82の装着部202a,203a,204aを備えるノック棒202,203,204を備えている。そして、筐体201の軸心方向の中間には筐体201に固定されているガイド部材205が設けられている。このガイド部205には、電子ペンカートリッジ1、ボールペンの替え芯81,82が挿通する貫通孔が設けられている。ノック棒202,203,204の装着部202a,203a,204aのそれぞれとガイド部材205との間には、復帰用バネ206,207,208が設けられている。
【0112】
この例の電子ペン200では、電子ペンカートリッジ1の装着用アダプタ3Aが、ノック棒202の装着部202aに嵌合されて装着され、例えば黒色のインクのボールペンの替え芯81が、ノック棒203の装着部203aに嵌合されて装着され、例えば赤色のインクのボールペンの替え芯82が、ノック棒204の装着部204aに嵌合されて装着されている。
【0113】
そして、ノック棒202,203,204のいずれか、例えばノック棒203を、ペン先側にスライド移動させると、筐体201の開口201aから、ボールペンの替え芯81の先端部が突出する。その後、例えばノック棒202を、ペン先側にスライド移動させると、先に開口201aから先端部が突出しているボールペンの替え芯81が装着されているノック棒203が、復帰用バネ207によりスライド前の元の状態に戻ると共に、スライド移動させたノック棒202に装着されている電子ペンカートリッジ1の先端部が、開口201aから突出する。以下、ノック棒202,203,204のいずれかをスライド移動させることで、上述の動作が繰り返される。
【0114】
この図6(B)の例の電子ペン200においても、ノック棒202をスライド移動させたときには、電子ペンカートリッジ1の筐体201内での収納位置が筐体の中心線位置からずれているので、図6(A)の電子ペン100の場合と同様に、軸心方向の力のみならず、軸心方向に直交する方向の力を受けながら筐体201の開口201aから先端部が繰り出される。
【0115】
この実施形態の電子ペンカートリッジ1においては、電子ペン本体部2と結合される装着用アダプタ3Aの棒状部材32Aは、軸心方向に直交する方向にも変位可能な弾性を有する樹脂で構成されているので、当該棒状部材32Aの部分で軸心方向に直交する方向の力に応じて撓み変位をすることができ、電子ペン本体部2の本体部筐体部材24を撓ませるような大きな負荷がかかることなく、電子ペンカートリッジ1を、外部筐体101の開口101aから出没移動させることができる。
【0116】
そして、前述もしたように、図6(A)の例の電子ペン100及び図6(B)の例の電子ペン200において、筐体101、筐体201の開口101a、開口201aから電子ペンカートリッジ1の先端部が突出している状態で、電子ペン100、電子ペン200を落下させてしまって、電子ペンカートリッジ1の先端部に衝撃荷重が加わったとしても、電子ペンカートリッジ1の装着用アダプタ3Aのコイルバネ33Aがショックアブソーバとして働き、筆圧検出部40が破壊されてしまうことが防止される。
【0117】
以上の図6(A)及び(B)の例では、電子ペンカートリッジ1は、電子ペン本体部2に、装着用アダプタ3Aが結合された場合であるが、筐体101、筐体201に設けられる装着部の形態に応じて、電子ペン本体部2に、装着用アダプタ3Bが結合された状態とされる場合もある。その場合も、上述と同様の作用効果が得られることは言うまでもない。
【0118】
<ノック式ボールペンの例>
次に、図7に、ノック式の電子ペン300に例を示す。この図7の例の場合には、電子ペン300の筐体301の中空部内に、電子ペン本体部2に対して装着用アダプタ3Cが装着された電子ペンカートリッジ1が装着されて収納される。
【0119】
この例の電子ペン300の筐体301は、電子ペンカートリッジ1を、その先端部(芯体21のペン先部21a及びフェライトコア222の一部)が、筐体301の開口301aら出し入れさせるようにするノック式の構成を備える。そのため、筐体301には、ノックカム機構部302を備える。なお、図7の例では、電子ペン300の筐体301が透明の合成樹脂で構成されていて、その内部が透けて見える状態として示している。なお、この例の電子ペン300の筐体301は、市販のノック式ボールペンと互換性が取れる構成とされている。
【0120】
筐体301内に設けられるノックカム機構部302は、周知の市販のノック式ボールペンのノックカム機構部と同一の構成とされると共に、寸法関係も同一に構成される。したがって、筐体301及びノックカム機構部302は、市販のノック式のボールペンの筐体及びノックカム機構部をそのまま用いることもできる。
【0121】
ノックカム機構部302は、図7に示すように、カム本体303と、ノック棒304と、回転子305とが組み合わされた周知の構成とされている。回転子305は、電子ペンカートリッジ1の装着用アダプタ3Cの結合部31Cが結合されて装着される装着部305aを備える。
【0122】
図7において、ノック棒304の端部304aが押下されると、ノックカム機構部302により、電子ペンカートリッジ1は、そのペン先側が、筐体301の開口301aから突出する状態になる。そして、その先端部が突出している状態から、ノック棒304の端部304aが再度押下されると、ノックカム機構部302により先端部が突出している状態のロックが解除され、復帰用バネ306により、電子ペンカートリッジ1の筐体301内の位置は、図7の状態に戻る。ノックカム機構部302の詳細な構成及びその動作は、周知であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0123】
この図7の例の電子ペン300において、筐体301の開口301aから電子ペンカートリッジ1の先端部が突出している状態で、電子ペン300を落下させてしまって、電子ペンカートリッジ1の先端部に衝撃荷重が加わったとしても、電子ペンカートリッジ1の装着用アダプタ3Cのコイルバネ33Cがショックアブソーバとして働き、筆圧検出部40が破壊されてしまうことが防止される。
【0124】
そして、電子ペン100、200、300において、装着用アダプタ3A,3B,3Cのコイルバネ33A、33B,33Cは、筆圧検出部40での筆圧検出範囲では、弾性変位しないように構成されているので、適切に筆圧の検出が可能である。
【0125】
[電子ペン100,200または300と共に使用する位置検出装置における位置検出および筆圧検出のための回路構成]
図8は、この実施形態の電子ペン100,200または300と共に使用される位置検出装置800の電子回路構成を示す図である。この実施形態の位置検出装置800は、電磁誘導方式で電子ペン100,200または300に装着されている電子ペンカートリッジ1の前述した共振回路と信号のやり取り(インタラクション)を行う。
【0126】
電子ペンカートリッジ1は、図に示すように、コイル221とキャパシタ75と筆圧検出部40で構成される可変容量キャパシタ40Cとの共振回路RCを備え、共振回路RCが位置検出センサと電磁誘導結合する。
【0127】
位置検出装置800の位置検出センサ810は、X軸方向ループコイル群811と、Y軸方向ループコイル群812とが積層された位置検出コイルにより構成されている。位置検出装置800は、位置検出センサ810を通じて電子ペンカートリッジ1のコイル221とキャパシタ75との共振回路RCに対して電磁結合により信号を送信し、電子ペンカートリッジ1は、位置検出装置800から受信した信号を共振回路RCを介して、位置検出装置800の位置検出センサ810に帰還する。
【0128】
そして、位置検出装置800では、電子ペンカートリッジ1の共振回路RCからの帰還信号を、電磁結合により受信し、その受信した信号が検出される位置検出センサ810上の位置から、電子ペンカートリッジ1により指示された位置検出センサ810上の位置を検出すると共に、電子ペンカートリッジ1の共振回路RCから電磁結合により受信する信号の位相変化を検出することより共振回路RCの共振周波数の変化を検出して、電子ペンカートリッジ1の芯体21に印加された筆圧を検出するようにする。
【0129】
送受信処理回路820には、位置検出センサ810のX軸方向ループコイル群811及びY軸方向ループコイル群812が接続される選択回路813が設けられている。この選択回路813は、2つのループコイル群811,812のうちの一のループコイルを順次選択して、共振回路RCに対して信号を送信させると共に、共振回路RCから帰還される信号を受信させる。
【0130】
選択回路813に対しては、処理制御部827により切替制御される切替回路823が接続される。この切替回路823が送信側端子Tに接続されるときには、発振器821から交流信号が選択回路813に供給され、受信側端子Rに接続されるときには、選択回路813からの信号が、アンプ824を通じて指示位置検出用回路825と、筆圧検出用回路826に供給される。
【0131】
指示位置検出用回路825は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をディジタル信号に変換し、処理制御部827に出力する。処理制御部827は、指示位置検出用回路825からのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて電子ペンカートリッジ1のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。
【0132】
一方、筆圧検出用回路826は、受信アンプ824の出力信号を発振器821からの交流信号で同期検波して、それらの間の位相差(周波数偏移)に応じたレベルの信号を得、その位相差(周波数偏移)に応じた信号をデジタル信号に変換して処理制御部827に出力する。処理制御部827は、筆圧検出用回路826からのデジタル信号、すなわち、送信した電波と受信した電波との位相差(周波数偏移)に応じた信号のレベルに基づいて、電子ペンカートリッジ1に印加されている筆圧を検出する。
【0133】
[実施形態の電子ぺンカートリッジの効果]
以上説明したように、上述の実施形態の電子ぺンカートリッジ1によれば、電子ペン本体部2に対して、装着用アダプタ3A,3B,3Cを交換して結合することができるように構成されているので、電子ペンカートリッジ1を装着する装着部の構造が異なる電子ペンの種々の筐体に対応することができると共に、軸心方向の長さが異なる種々の電子ペンの筐体に装着することができて、非常に便利である。
【0134】
そして、その場合に、電子ペン本体部2は、1個を購入し、装着用アダプタを、電子ペンの筐体に応じて交換すればよいので、使用者にとっては、高価な電子ペン本体部を、筐体の違いに応じて購入する必要がなく、コスト的な負担が軽減される。
【0135】
そして、装着用アダプタ3A,3B,3Cは、コイルバネ33A,33B,33Cを備えており、電子ペン本体部2と結合したときに、装着用アダプタ3A,3B,3Cと電子ペン本体部2とを常に互いに離間するようにする弾性力が働くので、装着用アダプタ3A,3B,3Cと電子ペン本体部2との結合部でガタツクことが防止される。そして、このコイルバネ33A,33B,33Cは、電子ペン本体部2に搭載される筆圧検出部40の筆圧検出範囲では弾性変位せず、筆圧検出範囲を超えるような荷重(衝撃荷重)が掛かった時に弾性変位するように構成されているので、電子ペンカートリッジ1の先端に衝撃荷重がかかった時のショックアブソーバとなり、筆圧検出部40が破壊されてしまうのを防止することができる。
【0136】
[その他の実施形態または変形例]
以上の実施形態は、電磁誘導方式の電子ペン(電子ペンカートリッジ)の場合であったが、この発明は、所定の信号を静電結合方式で位置検出装置に送信することで位置指示するようにする、アクティブ静電結合方式の電子ペンにも適用可能である。その場合には、装着用アダプタ3A,3B,3Cは、上述の実施形態と同様の構成することができ、電子ペン本体部2の構成が異なる。
【0137】
すなわち、芯体21が導電性部材、例えば導電性を有する金属で構成されると共に、フェライトコア222に巻回されたコイル221は不要とされ、また、共振回路RCを備える必要はない。さらに、回路基板には、共振回路RCを構成するキャパシタ75を設ける代わりに、導電性の芯体に信号を供給するための信号発信回路を設ける。
【0138】
ただし、このアクティブ静電結合方式の電子ペンにおいても、フェライトコア222に巻回されたコイル221は、電磁誘導方式で蓄電素子に充電する充電電流を得るための回路として構成することができる。そして、回路基板の信号発信回路からの信号を、芯体に供給するための電気的な接続の構成を加える。したがって、この静電結合方式の場合には、電子ペン本体部2の信号送信用部材22としては、導電性を有する芯体と信号発信回路を備える。
【0139】
この例の静電結合方式の電子ペンカートリッジ1Aの回路基板に形成される電子回路の例を図9を参照して説明する。
【0140】
図9において、901は電気二重層キャパシタ、902は整流用ダイオード、903は電圧変換回路、904は、この例の信号発信回路を構成する発振回路である。図9に示すように、この例では、コイル221の一端はダイオード902のアノードに接続され、他端は、接地(GND)されている。また、電気二重層キャパシタ901の一端はダイオード902のカソードに接続され、他端は、接地されている。
【0141】
発振回路904は、筆圧検出部40の可変容量キャパシタ40Cの容量に応じて周波数が変化する信号を発生し、その発生した信号を電極芯21Aに供給する。発振回路904からの信号は、電極芯21Aよりその信号に基づく電界として放射される。発振回路904は、例えばコイルとキャパシタによる共振を利用したLC発振回路により構成される。この実施形態の電子ペンカートリッジ1Aにより指示された座標位置を検出するタブレットでは、この信号の周波数より電極芯21Aに加えられた筆圧を求めることができる。
【0142】
電圧変換回路903は、電気二重層キャパシタ901に蓄えられた電圧を一定の電圧に変換して発振回路904の電源として供給する。この電圧変換回路903は、電気二重層キャパシタ901の両端の電圧よりも低くなるような降圧タイプのものでも良いし、電気二重層キャパシタ901の両端の電圧よりも高くなるような昇圧タイプのものでも良い。また、電気二重層キャパシタ901の両端の電圧が前記一定の電圧よりも高い場合は降圧回路として動作し、前記一定の電圧よりも低い場合は昇圧回路として動作する昇降圧タイプのものでも良い。
【0143】
この実施形態の電子ペンカートリッジ1A(あるいは電子ペンカートリッジ1Aを装着した電子ペン)を図示しない充電器に装着したときに、充電器が発生する交番磁界によりコイル221には誘導起電力が発生して、ダイオード902を介して電気二重層キャパシタ901を充電する。
【0144】
なお、上述の実施形態では、筆圧検出部40は、MEMSを用いた構成としたが、これに限られるものではなく、例えば特開2016-126503号公報に示すような板状の誘電体の一方の面側に第1の電極を設け、この一方の面とは反対側の面側に、導電性の弾性部材を設けて、印加された筆圧に応じた導電性の弾性部材と誘電体との接触面積に応じて静電容量を可変する構成のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…電子ペンカートリッジ、2…電子ペン本体部、3A,3B,3C…装着用アダプタ、21…芯体、31A,31B],31C…結合部、32A,32B,32C…棒状部材、33A,33B,33C…コイルバネ、221…コイル、222…フェライトコア、100,200,300…電子ペン、101,201,301…電子ペンの筐体、1032C,1033C…装着部、202a,203a,204a…装着部、305a…装着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9