(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】水中油型組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/33 20060101AFI20240104BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240104BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20240104BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240104BHJP
C09K 23/14 20220101ALI20240104BHJP
C09K 23/28 20220101ALI20240104BHJP
C09K 23/32 20220101ALI20240104BHJP
C09K 23/38 20220101ALI20240104BHJP
C09K 23/42 20220101ALI20240104BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20240104BHJP
【FI】
A61K8/33
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/365
A61K8/37
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/55
A61Q17/04
A61Q19/00
A61Q19/02
A61Q19/08
C09K23/14
C09K23/28
C09K23/32
C09K23/38
C09K23/42
C09K23/52
(21)【出願番号】P 2017178222
(22)【出願日】2017-09-15
【審査請求日】2020-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2016244356
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】内山 智哉
(72)【発明者】
【氏名】大道口 則子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一明
(72)【発明者】
【氏名】薮崎 裕介
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】冨永 保
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126705(JP,A)
【文献】特開2013-116884(JP,A)
【文献】特開2010-229068(JP,A)
【文献】特開2009-242326(JP,A)
【文献】特開2012-82151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):0.1質量%~5質量%の親水性非イオン性界面活性剤と、
成分(B):0.02質量%より大きく0.5質量%未満のアニオン性界面活性剤と、
成分(C):0.5質量%~6質量%の
、炭素数14~22の高級アルコールと、
成分(D):
クエン酸、4-メトキシサリチル酸、コウジ酸、1-ピペリジンプロピオン酸、及びこれらの塩、並びにL-アスコルビン酸2-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つと、
成分(F):0.1質量%~2質量%の親油性非イオン性界面活性剤と、を含有し、
前記成分(A)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを含み、
前記成分(D)の含有率は、水中油型組成物100gに対して2mmol~30mmolであり、
前記成分(F)は、ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルを含み、
前記成分(B)の質量を前記成分(A)及び前記成分(F)の合計質量で除した値が0.003~0.2であり、
乳化粒子(ただし、高圧乳化法による乳化粒子を除く)の平均粒径が5μm未満である(ただし、0.15μm以下の平均粒径を除く)、水中油型組成物。
【請求項2】
前記成分(A)のHLBは9以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分(B)は、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルグルタミン酸塩、及びリン酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分(C)は
、直鎖状飽和アルキル基を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分(E):0.2質量%~1質量%の増粘剤をさらに含有する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記成分(E)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸もしくはその塩のホモ重合体及び/又は共重合体を含む、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
前記親油性非イオン性界面活性剤のHLBは2~5である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分(A)はポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含み、
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるポリオキシアルキレン基の平均付加モル数が10~40である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記成分(A)はポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを含み、
前記ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルにおけるポリアルキレングリコール基の平均付加モル数が25~55である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
8~22の硬度を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本発明は、日本国特許出願:特願2016-244356号(2016年12月16日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、水中油型組成物に関する。例えば、本開示は、皮膚外用剤及び化粧料に適用可能な水中油型組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1には、脂肪酸部分が炭素数14~18の直鎖飽和脂肪酸を由来とするポリオキシエチレン脂肪酸ソルビタン0.2~5.0質量%と、N-アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、アシル乳酸塩および脂肪酸石鹸から選ばれるアニオン性界面活性剤およびI.O.B値1.6以上の非イオン性界面活性剤より選ばれる1種または2種以上と、炭素数14~22の非分枝高級アルコールより選ばれる1種または2種以上0.2~6.0質量%と、グリセリンモノアルキルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、ソルビタンモノアルキルエステル、ソルビタンモノアルキルエステル、ステロール類および分枝高級アルコールから選ばれる1種または2種以上3.0質量%以下と、0.1~3.0質量%の有機酸またはその塩と、を含有する水中油型乳化化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記各特許文献の内容は引用をもって本書に繰み込み記載されるものとする。以下の分析は、本開示の観点から与えられる。
【0006】
特許文献1に記載の水中油型乳化化粧料は、みずみずしい使用感を得ることを目的としている。したがって、特許文献1に記載の水中油型乳化化粧料によって、みずみずしい使用感とは異なる使用感、例えば、「ふっくら感」、「しっとり感」及び「止まりがよい」というような使用感を実現することは困難である。
【0007】
また、特許文献1に記載のような、高級アルコール及び非イオン性界面活性剤を含有する水中油型組成物に、有機酸(塩及び誘導体含む)の薬剤を添加すると、乳化粒子が合一化して安定な乳化物を得ることが困難となる。
【0008】
そこで、上述のような使用感を有する共に、上述のような薬剤を含有しても高い乳化安定性を有する水中油型組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1視点によれば、成分(A):0.1質量%~5質量%の親水性非イオン性界面活性剤と、成分(B):0.02質量%より大きく0.5質量%未満のアニオン性界面活性剤と、成分(C):0.5質量%~6質量%の、炭素数14~22の高級アルコールと、成分(D):クエン酸、4-メトキシサリチル酸、コウジ酸、1-ピペリジンプロピオン酸、及びこれらの塩、並びにL-アスコルビン酸2-グルコシドからなる群から選択される少なくとも1つと、成分(F):0.1質量%~2質量%の親油性非イオン性界面活性剤と、を含有する水中油型組成物が提供される。成分(A)は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを含む。成分(D)の含有率は、水中油型組成物100gに対して2mmol~30mmolである。成分(F)は、ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルを含む。成分(B)の質量を成分(A)及び成分(F)の合計質量で除した値が0.003~0.2である。乳化粒子(ただし、高圧乳化法による乳化粒子を除く)の平均粒径が5μm未満である(ただし、0.15μm以下の平均粒径を除く)。
【発明の効果】
【0010】
本開示の組成物によれば、使用者は、「ふっくら感」、「しっとり感」及び「止まりがよい」という使用感を得ることができる。また、本開示の組成物は、有機酸等の薬剤を含有する場合であっても、高い乳化安定性を有している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記各視点の好ましい形態を以下に記載する。
【0012】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(A)のHLBは9以上である。
【0013】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(B)は、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルグルタミン酸塩、及びリン酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0014】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(C)は、炭素数14~22の直鎖状飽和アルキル基を有する。
【0015】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(D)は、クエン酸、4-メトキシサリチル酸、L-アスコルビン酸、コウジ酸、及び/もしくは1-ピペリジンプロピオン酸、並びに/又はこれらの塩及び/もしくは誘導体を含む。
【0016】
上記第1視点の好ましい形態によれば、組成物は、成分(E):0.2質量%~1質量%の増粘剤をさらに含有する。
【0017】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(E)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸もしくはその塩のホモ重合体及び/又は共重合体を含む。
【0018】
上記第1視点の好ましい形態によれば、組成物は、成分(F):0.1質量%~2質量%の親油性非イオン性界面活性剤をさらに含有する。
【0019】
上記第1視点の好ましい形態によれば、親油性非イオン性界面活性剤のHLBは2~5である。
【0020】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(F)は、ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルを含む。
【0021】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(B)の質量を成分(A)及び成分(F)の合計質量で除した値が0.003~0.3である。
【0022】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(A)はポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるポリオキシアルキレン基の平均付加モル数が10~40である。
【0023】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(A)はポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを含む。ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルにおけるポリアルキレングリコール基の平均付加モル数が25~55である。
【0024】
上記第1視点の好ましい形態によれば、成分(D)の含有率は、組成物100gに対して2mmol~30mmolである。
【0025】
上記第1視点の好ましい形態によれば、乳化粒子の平均粒径が5μm未満である。
【0026】
上記第1視点の好ましい形態によれば、組成物は8~22の硬度を有する。
【0027】
本開示の第1実施形態に係る組成物について説明する。本開示の組成物は、水中油型組成物である。本開示の組成物は、例えば、化粧料、皮膚外用剤等に適用することができる。
【0028】
以下の説明において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンの略記である。POE又はPOPの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPOE基又はPOP基の平均付加モル数を表す。
【0029】
PEGはポリエチレングリコールの略記である。PEGの後ろのカッコ内の数字は当該化合物中におけるPEG基の平均付加モル数を表す。
【0030】
本開示の組成物は、(A)親水性非イオン性界面活性剤と、(B)アニオン性界面活性剤と、(C)高級アルコールと、(D)有機酸並びに/又はその塩及び/もしくは誘導体と、を含有する。
【0031】
[(A)親水性非イオン性界面活性剤]
親水性非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又はポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを含む。成分(A)のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)は9以上であると好ましい。このような非イオン性界面活性剤を用いることによって、使用者に「ふっくら感」、「しっとり感」及び「止まりが良い」という使用感を与えることができる。
【0032】
本開示において、ふっくら感とは、保湿剤に基づく潤った感覚と塗布膜のオクルージョン効果による肌に水分が保持されているような感覚のことをいう。止まりが良いとは、肌の上でヌメリ感が長引かず、素早く崩れて(ゲルゾル転移点が早く現われる)すぐに肌になじむ感触のことをいう。
【0033】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等を挙げることができる。ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数は、10以上であると好ましく、20以上であるとより好ましい。ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数は、40以下であると好ましく、30以下であるとより好ましい。ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数がこの範囲にあると、乳化安定性を高めることができる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの市販品の例としては、NIKKOL(登録商標) BB-20、BB-30等(日光ケミカルズ社)を挙げることができる。
【0034】
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等を挙げることができる。ポリアルキレングリコール基の平均付加モル数は、25以上であると好ましい。ポリアルキレングリコール基の平均付加モル数は、55以下であると好ましく、40以下であるとより好ましい。ポリアルキレングリコール基の平均付加モル数がこの範囲にあると、乳化安定性を高めることができる。ポリエチレングルコール脂肪酸エステルの市販品の例としては、NIKKOL(登録商標) MYS-40V、MYS-55V等(日光ケミカルズ社)を挙げることができる。
【0035】
本開示の組成物は、本開示の組成物の効果を阻害しない範囲において、HLBが9以上の別の親水性非イオン性界面活性剤を含有することができる。別の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE(2)ラウリルエーテル、POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(5.5)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(7)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(2)(C12-15)アルキルエーテル、POE(4)(C12-15)アルキルエーテル、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル、POE(5)2級アルキルエーテル、POE(7)2級アルキルエーテル、POE(9)アルキルエーテル、POE(12)アルキルエーテル等のPOEアルキルエーテル類を挙げることができる。
【0036】
別の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE(1)ポリオキシプロピレン(POP)(4)セチルエーテル、POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル、POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類を挙げることができる。
【0037】
別の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール(以下、PEGと略す)(10)、モノステアリン酸PEG(10)、モノステアリン酸PEG(25)、モノステアリン酸PEG(40)、モノステアリン酸PEG(45)、モノステアリン酸PEG(55)、モノステアリン酸PEG(100)、モノオレイン酸PEG(10)、ジステアリン酸PEG、ジイソステアリン酸PEG等のPEG脂肪酸エステル類を挙げることができる。別の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類を挙げることができる。
【0038】
別の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(POE)(5)グリセリル、モノステアリン酸POE(15)グリセリル、モノオレイン酸POE(5)グリセリル、モノオレイン酸POE(15)グリセリル等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類を挙げることができる。
【0039】
別の親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、イソステアリン酸PEG(8)グリセリル、イソステアリン酸PEG(10)グリセリル、イソステアリン酸PEG(15)グリセリル、イソステアリン酸PEG(20)グリセリル、イソステアリン酸PEG(25)グリセリル、イソステアリン酸PEGグリセリル(30)、イソステアリン酸PEG(40)グリセリル、イソステアリン酸PEG(50)グリセリル、イソステアリン酸PEG(60)グリセリル等のイソステアリン酸POEグリセリル類を挙げることができる。
【0040】
成分(A)は、組成物の質量に対して、0.1質量%以上であると好ましく、0.4質量%以上であるとより好ましい。成分(A)が0.1質量%未満であると、油性成分を安定に乳化させることができない。成分(A)は、組成物の質量に対して、5質量%以下であると好ましく、2質量%以下であるとより好ましく、1質量%以下であるとさらに好ましい。成分(A)が5質量%を超えると使用感が悪化してべたついてしまう。
【0041】
[(B)アニオン性界面活性剤]
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N‐ステアロイル‐N‐メチルタウリンナトリウム、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸、セチルリン酸カリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等を使用することができる。
【0042】
このうち、アニオン性界面活性剤は、例えば、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルグルタミン酸塩、及びリン酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1つを含むと好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアロイルメチルタウリン塩、ラウロイルメチルタウリン塩、ミリストイルメチルタウリン塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩、N-ミリストイル-L-グルタミン酸塩、N-ステアロイル-L-グルタミン酸塩、セチルリン酸塩等を好適に使用することができる。アニオン性界面活性剤を添加することによって、後述する有機酸等の成分(D)を添加しても、安定な乳化状態を得ることができる。
【0043】
成分(B)は、組成物の質量に対して、0.02質量%よりも多いと好ましく、0.03質量%以上であるとより好ましく、0.04質量%以上であるとさらに好ましい。成分(B)が0.02質量%以下であると、成分(D)の含有率が高いときに安定な乳化状態を得ることができない。成分(B)は、組成物の質量に対して、0.5質量%未満であると好ましく、0.4質量%以下であると好ましく、0.3質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以下であるとより好ましく、0.1質量%以下であるとさらに好ましい。成分(B)が0.5質量%以上であると、肌への塗布時にヌメリ感が長引いてしまう。
【0044】
[(C)高級アルコール]
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等を使用することができる。
【0045】
本開示の組成物においては、特に、直鎖飽和アルキル基を有する炭素数14~22の高級アルコールが好ましい。例えば、ステアリルアルコール及び/又はベヘニルアルコールを好適に使用することができる。このような高級アルコールを使用することによって、使用感を高めることができる。
【0046】
成分(C)は、組成物の質量に対して、0.5質量%以上であると好ましく、1質量%以上であるとより好ましく、2質量%以上であるとさらに好ましい。成分(C)が0.5質量%未満であると、使用感を高めることができない。成分(C)は、組成物の質量に対して、6質量%以下であると好ましく、5質量%以下であるとより好ましく、4質量%以下であるとさらに好ましい。成分(C)が6質量%を超えると硬度が高くなり、使用感が悪化してしまう。
【0047】
[(D)有機酸並びに/又はその塩及び/もしくは誘導体]
成分(D)は、肌に塗布すると肌質を改善する等の効果を組成物に付与するものである。ここで有機酸とは、カルボキシル基を有し、電離して水素イオンを生じる有機化合物である。この化合物には、アミノ酸やその類縁体も含まれる。成分(D)としては、例えば、クエン酸、4-メトキシサリチル酸、L-アスコルビン酸、コウジ酸、カルノシン、トラネキサム酸及び1-ピペリジンプロピオン酸、並びにこれらの塩及び誘導体のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0048】
成分(D)は、組成物100gに対して、2×10-3mol以上であると好ましく、4×10-3mol以上であるとより好ましく、6×10-3mol以上であるとさらに好ましい。成分(D)が2×10-3mol未満であると、成分(D)に基づく効果が低下してしまう。成分(D)は、組成物100gに対して、3×10-2mol以下であると好ましく、2.5×10-2mol以下であるとより好ましく、2×10-2mol以下であるとさらに好ましい。成分(D)が3×10-2molを超えると、乳化安定性が低下してしまう。
【0049】
[(E)増粘剤]
本開示の組成物は、上記成分に加えて、(E)増粘剤をさらに含むことができる。
【0050】
増粘剤としては、例えば、タウレート系合成高分子及び/又はアクリレート系合成高分子を使用することができる。
【0051】
例えば、タウレート系高分子系増粘剤としては、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(アクリロイルジメチルタウリン酸)又はその塩(AMPS構造)を構成単位として有する重合体及び/又は共重合体(架橋重合体含む)を使用することができる。このような増粘剤としては、例えば、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー(Aristoflex(登録商標) HMB、クラリアントジャパン社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー(Aristoflex(登録商標) AVC、クラリアントジャパン社)、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシルエチル)クロスポリマー(Aristoflex(登録商標) TAC、クラリアントジャパン社)、ポリアクリレートクロスポリマー-11(Aristoflex(登録商標) Velvet、クラリアントジャパン社)、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー(SEPINOV EMT10ピノブ、SEPPIC社)、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー(SEPINOV P88、SEPPIC社)、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー(SIMULGEL EG、SEPPIC社)、(アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/メタクリルアミドラウリン酸)コポリマー(AMO-51、大東化成工業社)、及び(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム/アクリル酸)コポリマー(アキュダインSCP、ダウケミカル社)から選択される少なくとも1つを使用することができる。
【0052】
例えば、アクリレート系合成高分子系増粘剤としては、(アクリレート/メタクリル酸ステアレス-20)共重合体(ACULYN(登録商標)22、ダウケミカル社)、(アクリレーツ/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー(PEMULEN(登録商標)TR-2)等を使用することができる。
【0053】
別の増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルメチルエーテル(PVM)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0054】
本開示の組成物における増粘剤の含有率(総量)は、組成物の質量に対して、0.2質量%以上であると好ましく、0.3質量%以上であるとより好ましい。増粘剤の含有率が0.2質量%未満であると乳化安定性及び使用感が低下してしまう。増粘剤の含有率は、組成物の質量に対して、1質量%以下であると好ましく、0.6質量%以下であるとより好ましい。増粘剤の含有率が1質量%を超えると使用感が低下してしまう。
【0055】
[(F)親油性非イオン性界面活性剤]
本開示の組成物は、(F)親油性非イオン性界面活性剤をさらに含有することができる。成分(F)のHLBは2~5であると好ましい。
【0056】
HLB2~5の親油性非イオン性界面活性剤としては、例えば、POE(2)ステアリルエーテル、自己乳化型モノステアリン酸プロピレングリコール、ミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、モノステアリンソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、ヘキサステアリン酸POE(6)ソルビット、POE(3)ヒマシ油、モノステアリン酸PEG(2)、モノステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸PEG(2)等が挙げられる。
【0057】
このうち、本開示の組成物においては、成分(F)は、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル及び/又はグリセリン脂肪酸エステルであると好ましい。成分(F)としては、例えば、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル等を使用することができる。
【0058】
成分(F)は、組成物の質量に対して、0.1質量%以上であると好ましい。成分(F)が0.1質量%未満であると、乳化安定性が低下してしまう。成分(F)は、組成物の質量に対して、2質量%以下であると好ましい。
【0059】
[成分(A)及び成分(F)と成分(B)との質量比]
本開示の組成物においては、非イオン性界面活性剤である成分(A)及び(F)によって使用感が向上していると考えられる。また、アニオン性界面活性剤である成分(B)によって乳化が安定していると考えられる。使用感及び乳化安定性を高めるために、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との質量比である「成分(B)の質量/(成分(A)及び成分(F)の合計質量)」は0.003以上であると好ましく、0.02以上であるとより好ましい。また、「成分(B)の質量/(成分(A)及び成分(F)の合計質量)」は0.3以下であると好ましく、0.2以下であるとより好ましく、0.1以下であるとさらに好ましい。
【0060】
[(G)その他]
本開示の水中油型組成物は、本開示の効果を阻害しない範囲において、他の成分、例えば、水性溶媒、両性性界面活性剤、カチオン界面活性剤、粉体、保湿剤、水溶性高分子、油性成分、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、シリコーンエラストマ、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等を必要に応じて適宜含有することができる。
【0061】
水性溶媒としては、例えば、水、アルコール、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0062】
水としては、化粧料、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。水相は、目的に応じて、水溶性アルコールをさらに含有することができる。
【0063】
水溶性アルコールとしては、例えば、低級アルコール、多価アルコール、多価アルコール重合体、2価のアルコールアルキルエーテル類、2価アルコールアルキルエーテル類、2価アルコールエーテルエステル、グリセリンモノアルキルエーテル、糖アルコール、単糖、オリゴ糖、多糖およびそれらの誘導体等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0064】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0065】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0066】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等)、四炭糖(例えば、D-エリトロ-ス、D-エリトルロ-ス、Dートレオ-ス、エリスリトール等)、五炭糖(例えば、L-アラビノ-ス、D-キシロ-ス、L-リキソ-ス、D-アラビノ-ス、D-リボ-ス、D-リブロ-ス、D-キシルロ-ス、L-キシルロ-ス等)、六炭糖(例えば、D-グルコ-ス、D-タロ-ス、D-ブシコ-ス、D-ガラクト-ス、D-フルクト-ス、L-ガラクト-ス、L-マンノ-ス、D-タガト-ス等)、七炭糖(例えば、アルドヘプト-ス、ヘプロ-ス等)、八炭糖(例えば、オクツロ-ス等)、デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボ-ス、6-デオキシ-L-ガラクト-ス、6-デオキシ-L-マンノ-ス等)、アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等)、ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0067】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0068】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0069】
その他のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンメチルグルコシド(グルカムE-10)、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド(グルカムP-10)等から選ばれる少なくとも1つを挙げることができる。
【0070】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0071】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0072】
本明細書において使用する用語「粉体」は「粉末」と同義である。粉体は、化粧料用途等、一般に用い得るものであれば特に限定されるものではない。粉末としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、焼成雲母、焼成タルク、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、ガラス、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末、シリコーン樹脂粉末、シルクパウダー、ウールパウダー、ウレタンパウダー等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(γ-酸化鉄等)、無機黄色系顔料(黄酸化鉄、黄土等)、無機黒色系顔料(黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等)、無機紫色系顔料(例えば、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等を使用することができる。
【0073】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、アルキレンオキシド誘導体、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0074】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0075】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0076】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,0000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0077】
油性成分としては、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、合成エステル油等を使用することができる。
【0078】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0079】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0080】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0081】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0082】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0083】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0084】
皮膜剤としては、例えば、アニオン性皮膜剤(例えば、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸高重合体等)、カチオン性皮膜剤(例えば、カチオン化セルロース、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体等)、ノニオン性皮膜剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリルアミド、高分子シリコーン、シリコーンレジン、トリメチルシロキシケイ酸等)が挙げられる。
【0085】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルメトキシシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノ;2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート;2,4-ビス-{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-(1,3,5)-トリアジン等が挙げられる。
【0086】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0087】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0088】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0089】
高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0090】
シリコーンエラストマには、例えば、シリコーンポリマーが三次元的に架橋した架橋型シリコーンが含まれる。シリコーンエラストマとしては、例えば、ジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー、ビニルジメチコン/ラウリルジメチコンクロスポリマー、ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコンクロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー等が挙げられる。
【0091】
pH調整剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0092】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0093】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0094】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0095】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、クロルフェネシン、フェノキシエタノール等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0096】
さらに、本開示の組成物は、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸及びその誘導体、甘草、カリン、イチヤクソウ等の各種生薬抽出物、酢酸トコフェロール、グリチルレジン酸、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、アルギニン、リジン等のアミノ酸及びその誘導体、も適宜含有することができる。
【0097】
本開示の組成物において、乳化安定性の観点から、乳化粒子の平均粒径は、室温(RT)において、5μm未満であると好ましく、3μm以下であるとより好ましい。
【0098】
本開示の組成物の硬度は8以上であると好ましく、10以上であるとより好ましい。本開示の組成物の硬度は22以下であると好ましく、20以下であるとより好ましい。硬度が上記範囲内にあると、組成物を指で軽く触れるだけで組成物を指に採ることができる。また、組成物を肌に塗布したときにしっとり感が生じると共に、塗布時に止まりを良くすることができる。硬度は、25℃のレオメーター(針11.3φ、荷重200g、針入度10.0mm、針入速度300mm/min)によって測定することができる。
【0099】
本開示の組成物によれば、使用者は、肌に塗布したときに心地よいなめらかな使用感を得ることができる。また、塗布後に、使用者は良好な潤いを感じることができる。
【0100】
本開示の組成物においては、有機酸等の薬剤を含有しても、安定な乳化状態を維持することができる。また、薬剤の含有率を高くすることができるので、薬剤による効果を高めることができる。
【0101】
次に、本開示の水中油型組成物の製造方法について説明する。本開示の組成物は特定の方法にされることなく、一般に公知の方法によって作製することができる。例えば、油溶性成分を溶解させた油相を、水溶性成分を溶解させた水相に添加撹拌することによって水中油型組成物を作製することができる。
【実施例】
【0102】
本開示の組成物について、以下に例を挙げて説明する。しかしながら、本開示の組成物は以下の例に限定されるものではない。また、本開示の組成物は化粧料に限定されるものでもない。各表に示す含有率の単位は質量%である。表に記載の評価項目については、以下の基準に基づいて評価した。
【0103】
組成物の製造方法について説明する。成分(A)、成分(C)、成分(F)等の油溶性成分を油性成分(成分(G)の一部)に高温で溶解させて油相を作製した。他方、成分(B)、成分(D)、成分(E)等の水溶性成分を、精製水等の水性溶媒(成分(G)の一部)に高温で溶解させて水相を作製した。次に、水相に油相を添加撹拌後、冷却して水中油型組成物を得た。
【0104】
[使用感]
各試験例の組成物を10名の評価者の肌に塗布し、「ふっくら感」、「しっとり感」及び「止まりが良い」についてこれらを実感できた評価者の人数によって使用感を評価した。
A:10名
B:7~9名
C:3~6名
D:0~2名
【0105】
使用感の各評価項目について実感できた評価者の平均人数を算出し、以下の基準を基に総合評価を求めた。
A:8名以上
B:6~7名
C:4~5名
D:3名以下
【0106】
[乳化性]
乳化直後の組成物を顕微鏡で観察して乳化粒子の平均粒径を測定し、乳化粒子の平均粒径でもって乳化安定性を評価した。
A:3μm以下
B:3μmより大きく、5μm未満
C:5μm以上
【0107】
[硬度(11.3φ)]
上記に記載の方法に準じて硬度を測定した。
A:10以上20未満
B:8以上10未満、又は20以上22未満
C:8未満、又は22以上
【0108】
[試験例1~3]
試験例1~3に係る組成物の組成及び評価を表1に示す。試験例1においては、成分(2)の(B)アニオン性界面活性剤を含有していなくても高い乳化安定性が得られた。しかしながら、試験例2において、有機酸である成分(5)の(D)ピペリジンプロピオン酸の含有率を高くすると、乳化性が低下してしまった。これは、成分(D)が乳化性に悪影響を及ぼしたものと考えられる。そこで、試験例3において、試験例2の組成物に対して成分(2)の(B)アニオン性界面活性剤をさらに添加すると、試験例1のように乳化性を高めることができた。組成物の使用感も試験例1と同等の評価が得られた。これより、成分(D)によって乳化性が阻害される場合には、成分(B)を添加することによって乳化性を高めることができることが分かった。試験例3より、成分(B)の含有率は、0.03質量%以上であると好ましく、0.04質量%以上であるとより好ましいと考えられる。
【0109】
【0110】
[試験例4~10]
試験例4~10に係る組成物の組成及び評価を表2に示す。試験例4~10においては、成分(B)アニオン性界面活性剤の含有率を変動させた。
【0111】
試験例4においては、成分(B)を0.5質量%添加した。その結果、乳化安定性は得られたが、ふっくら感及び止まりの良さが低下してしまった。しかしながら、成分(B)の含有率を低下させると、乳化安定性を維持したまま、使用感を高めることができた。これより、成分(B)の含有率は、0.5質量%未満であると好ましく、0.4質量%以下であるとより好ましく、0.3質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以下であるとより好ましく、0.1質量%以下であるとさらに好ましい。
【0112】
成分(B)の含有率を0.02質量%とした試験例10においては、成分(D)による乳化低下作用のほうが強くなって、乳化状態が不安定となってしまった。また、硬度も低下してしまった。これより、成分(B)の含有率は、0.02質量%よりも高いと好ましく、0.03質量%以上であるとより好ましい。
【0113】
【0114】
[試験例11~17]
試験例11~17に係る組成物の組成及び評価を表3に示す。試験例11~15においては、試験例1~10における成分(D)ピペリジンプロピオン酸に代えて、有機酸の塩である4-メトキシサリチル酸カリウム及びクエン酸緩衝液を添加すると共に、4-メトキシサリチル酸カリウムの含有率を変化させた。試験例16及び17においては、成分(D)として、有機酸誘導体であるL-アスコルビン酸2-グルコシドを添加した。成分(B)を添加していない試験例12、14及び17においては、乳化安定性が得られなかった。一方、成分(B)を含有する試験例11、13、15及び16においては乳化安定性を得ることができた。これより、有機酸のみならず、有機酸の塩及び有機酸の誘導体であっても乳化性を低下させることが分かった。また、有機酸の塩及び誘導体によって乳化性が低下する場合であっても、成分(B)を添加することによって乳化性を改善できることが分かった。
【0115】
試験例1~10においては、成分(A)親水性非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いていたが、試験例15においてはポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを用いた。その結果、試験例15においても、乳化安定性及び所望の硬度を得ることができた。これより、成分(D)による乳化性低下に対して、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルも有用であることが分かった。
【0116】
【0117】
[試験例18~21]
試験例18~21に係る組成物の組成及び評価を表4に示す。試験例18~21においては、試験例1~10で用いたピペリジンプロピオン酸の代わりに、別の有機酸としてカルノシン又はトラネキサム酸を用いた。その結果、試験例11~17と同様にして、成分(B)を添加していない試験例19及び21においては、乳化安定性が得られなかった。試験例19においては硬度も低下した。一方、成分(B)を含有する試験例18及び20においては乳化安定性を得ることができると共に、硬度も改善した。これより、他の有機酸であっても乳化性及び硬度が低下することがあることが分かった。また、有機酸によって乳化性が低下する場合であっても、成分(B)を添加することによって乳化性及び硬度を改善できることが分かった。
【0118】
【0119】
[試験例22~25]
試験例22~25に係る組成物の組成及び評価を表5に示す。試験例22~24においては、成分(A)親水性非イオン性界面活性剤の含有率を変動させた。試験例22は試験例8と同じである。いずれの組成物においても良好な乳化性及び硬度を得ることができた。これより、成分(A)の含有率は少なくとも0.4質量%以上であると好ましいといえる。また、成分(A)の含有率は少なくとも0.7質量%以下であると好ましいといえる。
【0120】
試験例25においては、試験例1~24で用いた成分(A)親水性非イオン性界面活性剤とはポリオキシエチレン鎖の長さが異なる界面活性剤を用いた。試験例25においても、試験例7と同等の結果を得ることができた。これより、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのポリオキシエチレンの平均付加モル数は、少なくとも、15以上であると好ましい。また、ポリオキシエチレンの平均付加モル数は、少なくとも、40以下であると好ましく、35以下であるとより好ましい。
【0121】
【0122】
[試験例26~27]
試験例26~27に係る組成物の組成及び評価を表6に示す。試験例1~25では、成分(B)アニオン性界面活性剤としてN-アシルメチルタウリン塩を用いたが、試験例26においては、成分(B)としてN-アシルグルタミン酸塩を用いた。試験例27においては、リン酸エステル塩を用いた。試験例26においても試験例27においても、所望の乳化性及び硬度を得ることができた。これより、成分(B)として、N-アシルメチルタウリン塩のみならず、N-アシルグルタミン酸塩及びリン酸エステル塩も成分(D)による乳化性低下及び硬度低下に対して有用であることが分かった。
【0123】
【0124】
[試験例28~29]
試験例28~29に係る組成物の組成及び評価を表7に示す。試験例28~29においては、試験例1~17に対して成分(C)高級アルコールの含有率を変動させた。試験例28及び29においても、所望の乳化性及び硬度を得ることができた。これより、成分(C)の含有率は、0.5質量%以上であると好ましく、0.8質量%以上であるとより好ましい。成分(C)の含有率は、6質量%以下であると好ましく、5質量%以下であるとより好ましく、4質量%以下であるとさらに好ましい。
【0125】
【0126】
本開示の水中油型組成物の処方例を以下に挙げる。本開示の水中油型組成物の適用例は、以下の処方例によって限定されるものではない。
【0127】
処方例1 日焼け止めスキンケアクリーム(表8)
【0128】
【0129】
処方例2 ハンドクリーム(表9)
【0130】
【0131】
処方例3 アンチエイジングクリーム(表10)
【0132】
【0133】
処方例4 ボディクリーム(表11)
【0134】
【0135】
処方例5 美白クリーム(表12)
【0136】
【0137】
処方例6 日焼け止めスキンケアクリーム(表13)
【0138】
【0139】
処方例7 下地クリーム(表14)
【0140】
【0141】
本開示の水中油型組成物は、上記実施形態及び実施例に基づいて説明されているが、上記実施形態及び実施例に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の基本的技術思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。
【0142】
本発明のさらなる課題、目的及び形態(変更形態含む)は、請求の範囲を含む本発明の全開示事項からも明らかにされる。
【0143】
本書に記載した数値範囲については、別段の記載のない場合であっても、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし範囲が本書に具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本開示の組成物は、肌に塗布する皮膚外用剤及び/又は化粧料に好適に用いることができる。