IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスシーダブリュー・システムズ・ベーフェーの特許一覧

特許7412072有機物成分を含有するスラリを処理する方法およびシステム
<>
  • 特許-有機物成分を含有するスラリを処理する方法およびシステム 図1
  • 特許-有機物成分を含有するスラリを処理する方法およびシステム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】有機物成分を含有するスラリを処理する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/08 20060101AFI20240104BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20240104BHJP
   C02F 11/12 20190101ALI20240104BHJP
【FI】
C02F11/08 ZAB
B01J3/02 C
C02F11/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017550606
(86)(22)【出願日】2016-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2016056668
(87)【国際公開番号】W WO2016151120
(87)【国際公開日】2016-09-29
【審査請求日】2019-03-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】15161194.4
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517331745
【氏名又は名称】エスシーダブリュー・システムズ・ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルドゥス・コルネリス・オットー・ベルナルト・エッシング
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・スコット・ヘンドリー
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】金 公彦
【審判官】増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-115174(JP,A)
【文献】特開2006-21069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/08
C02F 11/12
B01J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも有機物成分を含有する上流にあるスラリを処理する方法であって、前記上流にあるスラリは50%の水分量を有し、当該方法は、
前記上流にあるスラリ中の水分が超臨界状態になるように前記上流にあるスラリの圧力および温度を上昇させるステップと、
前記スラリ中の前記有機物成分の少なくとも一部を、超臨界水ガス化を介して変換して、変換されたスラリを形成するステップと、
前記変換されたスラリから気体生成物を分離するステップと、
前記上流にあるスラリ中の前記有機物成分の少なくとも一部を変換するステップの前に、前記変換されたスラリからの流体を前記上流にあるスラリと混合するステップと、
を含み、
前記流体を前記上流にあるスラリと混合するステップの前に、前記上流にあるスラリを脱水することにより、前記上流にあるスラリ中の水の割合を低減することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記上流にあるスラリ中の前記水分が超臨界状態になる前に、前記流体を前記上流にあるスラリと混合するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
変換前の前記スラリが前記変換されたスラリからの前記流体と混合された後に、前記変換されたスラリと変換前の前記上流にあるスラリとの間で熱を交換するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換されたスラリと前記上流にあるスラリとの間で熱を交換して、前記上流にあるスラリを臨界温度より高い温度まで加熱するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スラリ中の前記有機物成分の少なくとも一部を変換するステップの前に、前記スラリに燃料を添加するステップを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
有機物成分を含有するスラリを処理するシステム(1)であって、前記スラリは少なくとも50%の水分量を有し、当該システムは、
前記スラリ中の水分を超臨界状態にするためのポンプ(6)および加熱器または熱交換器(7)と、
前記スラリ中の前記有機物成分の少なくとも一部を、超臨界水ガス化を介して変換する反応器(8)と、
前記変換されたスラリから気体生成物を除去する分離器(12)と、
前記反応器(8)の上流にある前記スラリに流体を添加する混合器(5)と、
前記混合器(5)から上流にある供給スラリを脱水する固液分離器(2)と、
備え、
前記反応器の下流端部は、前記分離器(12)を介して前記混合器に接続されていることを特徴とする、システム(1)。
【請求項7】
前記混合器(5)は、前記スラリ中に前記水分を前記超臨界状態にさせる前記ポンプ(6)および前記加熱器または前記熱交換器(7)のうちの少なくとも1つの上流に配置されている、請求項6に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記変換されたスラリ中の前記流体から固体を除去する分離器(9)をさらに備える、請求項6または7に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記熱交換器(7)は、前記変換されたスラリから非変換スラリに熱を移動させるように構成され、前記反応器(8)の上流に配置されており、かつ、前記混合器(5)の下流に配置されている、請求項6から8のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%の水分量を有する、バイオマスなどの有機物成分を含有するスラリを処理する方法およびシステムに関する。本発明は、詳細には、スラリ中の有機物成分の超臨界水ガス化(SCWG: supercritical water gasification)のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機物成分を含有する原料は、特に、廃棄バイオマスが豊富である農業地域、または専用エネルギー作物が安価にかつ効率的に生産され得る農業地域において、エネルギーおよび付加価値生産物をもたらす非常に大きい潜在力がある資源である。
【0003】
Marrone, Ph. A.、「Supercritical water oxidation - Current status of full-scale commercial activity for waste destruction」、Journal of Supercritical Fluids 79 (2013年)、283~288頁において説明されている通り、超臨界水は、増え続けかつ益々多様化する用途のために研究されてきた独特な媒体である。その熱力学的臨界点(374℃、221バール)を超えると、全ての超臨界流体と同様に、水が、気体の輸送特性と同等の輸送特性および液体の溶媒特性と同等の溶媒特性を有する単一濃密相として存在する。しかし、他の超臨界流体と異なり、水は、周囲状態と超臨界状態との間で、その溶媒挙動の著しい変化を経る。水が圧力下で加熱されると、水はその水素結合の十分量を失い、高度極性溶媒から非極性溶媒に遷移する。その結果、超臨界水は非極性物質用の非常に優良な溶媒になる。
【0004】
Boukis, N.ら、「Gasification of wet biomass in supercritical water. Results of pilot plant experiments.」、14th European Biomass Conference, Paris, France 2005においては、湿潤バイオマスが超臨界状態で水と反応して、水素に富む気体を形成することが言及されている。
【0005】
Boukis, N.ら、「Biomass gasification in supercritical water. Experimental progress achieved with the VERENA pilot plant.」、15th European Biomass Conference & Exhibition 2007においては、水溶性塩が超臨界水状態下で固体を形成することが言及されている。
【0006】
Kruse, A.、「Supercritical water gasification」、Society of Chemical Industry and John Wiley & Sons, Ltd、2008年、415~437頁は、水素生成に重点を置いて、バイオマスの超臨界水ガス化に関連する研究を検討している。
【0007】
米国特許第4,113,446号は、高発熱量を有するガス組成を形成するプロセスに関し、このプロセスは、液体または固体の有機材料を水と反応させるステップであって、水の臨界濃度の達成などのために、水は少なくともその臨界温度にあり、水圧は少なくともその臨界圧にある、ステップと、顕著なチャー形成を伴わずに、この反応から気体生成物を回収するステップとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第4,113,446号
【文献】WO2010/003655号
【文献】WO81/03169号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Marrone, Ph. A.、「Supercritical water oxidation - Current status of full-scale commercial activity for waste destruction」、Journal of Supercritical Fluids 79 (2013年)、283~288頁
【文献】Boukis, N.ら、「Gasification of wet biomass in supercritical water. Results of pilot plant experiments.」、14th European Biomass Conference, Paris, France 2005
【文献】Boukis, N.ら、「Biomass gasification in supercritical water. Experimental progress achieved with the VERENA pilot plant.」、15th European Biomass Conference & Exhibition 2007
【文献】Kruse, A.、「Supercritical water gasification」、Society of Chemical Industry and John Wiley & Sons, Ltd、2008年、415~437頁
【文献】Bermejo, M.D.ら、「Supercritical Water Oxidation: A Technical Review」、AIChE Journal、2006年11月、Vol. 52、No. 11、3933~3951頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、好ましくは連続的なプロセスにおいて、バイオマスなどの有機物成分を含有するスラリを処理して、可燃性ガス、例えば水素および/または炭化水素を生成する、改善された方法およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明による方法は、
典型的には、最初に圧力および温度の一方を超臨界閾値(水の場合:それぞれ221バールおよび374℃)を超えて上昇させ、次に圧力および温度の他方を超臨界閾値を超えて上昇させることにより、スラリの圧力と温度とを上昇させて、超臨界状態においてスラリ中に液体を生じさせるステップと、
例えば、反応器内の流れをさらに加熱することにより、例えば可燃性気体生成物に、例えば水素および/またはメタンなどの炭化水素に、スラリ中の有機物成分の少なくとも一部を変換するステップと、
変換されたスラリから気体生成物を分離するステップと、
スラリ中の有機物成分の少なくとも一部を変換するステップの前に、流体、例えば液体水、超臨界(に近い)状態にある水、および/または液体燃料を、スラリと混合するステップと
を含む。
【0012】
ある実施形態では、本方法は、好ましくは変換されたスラリからの流体が臨界圧および/もしくは臨界温度より低い圧力および/もしくは温度まで減圧されおよび/もしくは冷却された後に、ならびに/または、好ましくは(上流)スラリ中の液体が超臨界状態において生じる前に、好ましくは(上流)スラリ中の液体が臨界圧より高く加圧される前に、および/もしくは臨界温度より高い温度まで加熱される前に、変換されたスラリからの流体を上流スラリと混合するステップを含む。
【0013】
別の実施形態では、スラリと混合された流体は、外部源、例えば、隣接した工場から得られる。
【0014】
本発明による方法は、比較的高含量の有機物成分および/もしくは固体を有する原料の処理を可能にし、効率的な熱回収を実現し、ならびに/またはスラリの粘度を下げることおよび/もしくは混合を強化することにより、後続のポンプでの送りおよび熱交換を強化する。
【0015】
ある実施形態では、本発明は、変換されたスラリ中の流体から気体生成物および/または固体を分離するステップと、このように得られた流体を上流スラリと混合するステップとを含む。
【0016】
別の実施形態では、全体的な熱回収をさらに向上させるために、本方法は、好ましくは変換前のスラリが変換されたスラリからの流体と混合された後に、(比較的高温の)変換されたスラリと(比較的低温の)変換前のスラリとの間で熱を交換するステップを含む。
【0017】
精製では、変換されたスラリと上流スラリとの間で熱が交換され、上流スラリを臨界温度より高い温度まで加熱する。
【0018】
ある実施形態では、本方法は、好ましくはスラリを変換されたスラリからの流体と混合するステップの少なくとも前に、好ましくはスラリを脱水することにより、および/または最初のスラリより少ない水を含有する物質を添加することにより、スラリ中の水の割合を低減するステップを含む。精製では、スラリは、少なくとも20%の、好ましくは少なくとも30%の、好ましくは少なくとも40%の総固体含量まで脱水される。最初に原料から液体を除去し、次に工程からの流体を添加することが、プロセス効率をさらに高めるための効果的な手段であると思われた。
【0019】
ある実施形態では、スラリのカロリー値を増大させるために、本方法は、スラリ中の有機物成分の少なくとも一部を変換するステップの前に、燃料、例えば(微粉)炭などの固体燃料もしくはアルコールなどの液体燃料、例えばグリセロール、または炭化水素、例えばパラフィンをスラリに添加するステップを含む。燃料は、スラリ中の水の割合を低減するための手段を兼ねることができる。
【0020】
本発明は、少なくとも50%の、好ましくは少なくとも60%の、好ましくは少なくとも70%の水分量を有する、バイオマスなどの有機物成分を含有するスラリを処理するシステムであって、超臨界状態においてスラリ中に液体を生じさせるポンプおよび加熱器または熱交換器と、スラリ中の有機物成分の少なくとも一部を変換する反応器と、変換されたスラリから気体生成物を除去する分離器とを備え、流体、好ましくは変換されたスラリからの流体を、反応器の上流にあるスラリに添加するための混合器を備える、システムにさらに関する。
【0021】
ある実施形態では、反応器の下流端部が、好ましくは少なくとも分離器を介して混合器に接続されている。
【0022】
別の実施形態では、混合器は、超臨界状態においてスラリ中に液体を生じさせるポンプおよび加熱器または熱交換器の少なくとも1つの上流に配置されている。
【0023】
別の実施形態では、システムは、変換されたスラリ中の流体から気体生成物を除去する分離器および/または固体を除去する分離器を備える。
【0024】
別の実施形態では、システムは、変換されたスラリから非変換スラリに熱を移動させ、反応器の上流に配置されており、好ましくは混合器の下流に配置されている熱交換器を備える。
【0025】
別の実施形態では、システムは、供給スラリを脱水し、好ましくは混合器の上流に配置されている固液分離器、ねじプレス、フィルタプレス、遠心脱水機、または乾燥器を備える。
【0026】
本発明は、スラリ中の液体を超臨界圧まで加圧するポンプと、加熱器または熱交換器と、反応器と、前述されているような分離器とを備えるシステムであって、ポンプは油圧ポンプであり、冷却媒体用の回路を備え、この回路は、油圧媒体をスラリから分離し、このようにして、効果的な冷却を実現し、漏れがあった場合に、スラリによる油圧媒体の汚染または油圧媒体によるスラリの汚染のリスクを低減するシステムにさらに関する。
【0027】
完全性のために、超臨界水酸化(SCWO: supercritical water oxidation)に関する以下の先行技術が注目される。
【0028】
WO2010/003655号は、石炭、ガス、油または原子力などの一次熱源およびバイオマスの形の二次熱源の両方を利用する、ハイブリッド発電火力発電所(hybrid electricity generating thermal power plant)の一部としての、バイオマス燃料から有用なエネルギーを抽出する方法および装置に関し、それにより、バイオマスは、一次熱源からのエネルギーを利用して、超臨界水酸化(SCWO)法において水溶液中で酸化され、供給水流を、その臨界点のまたはそれを超えた温度および圧力まで加熱し、圧縮する。
【0029】
WO81/03169号が、有機材料が超臨界水中で酸化されて、有用なエネルギーおよび/または結果として得られる材料を得る方法に関する。一実施形態では、従来の燃料が高効率で酸化されて、発電および/またはプロセス加熱に有用なエネルギーを得る。
【0030】
Bermejo, M.D.ら、「Supercritical Water Oxidation: A Technical Review」、AIChE Journal、2006年11月、Vol. 52、No. 11、3933~3951頁は、SCWO法用の反応器の種類を含む超臨界水酸化(SCWO)技術の態様を検討している。「その簡潔さのため、管状反応器は、新しいSCWO適用の実行可能性を試すことまたは動態パラメータもしくは反応熱を決定することを目的とする所などの、特に小実験室施設において、最も広く使用されているSCWO反応器である。しかし、また、管状反応器は重大な欠点を提示している。最初に、それらは塩の沈降の結果として詰まる傾向がある。別の重大な不都合が、高速発熱反応は反応器の内側に無制御ホットスポットを作り出す可能性があることである。」
【0031】
ここで、本発明は、本発明による実施形態を概略的に示す図を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による超臨界水ガス化のためのシステムの一実施形態の流れ図である。
図2】本発明による高圧ポンプの概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、少なくとも50%の水分量を有する、バイオマスなどの有機物成分を含有するスラリを処理するシステム1であって、供給スラリを脱水するねじプレス、フィルタプレス、遠心脱水機、または乾燥器などの固液分離器2と、脱水スラリを保持するタンク3とを含む、システム1を示す。このタンクは、スラリに液体、例えば下流(処理済み)スラリからの液体を添加する混合器5に接続されており、またはそれと一体化されているポンプ4に接続されている。混合器5の下流には、スラリ中の水を超臨界状態または超臨界に近い状態まで加圧し加熱する、図2により詳細に示されている高圧ポンプ6および熱交換器7が存在する。ある例では、熱交換器は、直列に配置されている1つまたは複数の逆流チューブインチューブ(tube-in-tube)熱交換器部分、例えば2つ、4つ以上のチューブインチューブ熱交換器部分を含む。ポンプ6および(第1の)熱交換器7の下流に、反応器8としての機能を果たすさらなる熱交換器が存在する。ある例では、反応器は、加熱炉を通って延在している1つまたは複数の管を含む。
【0034】
反応器の下流端部は、および随意に(第1の)熱交換器の下流端部も、システムから、無機物ならびに/または沈降鉱物および沈降塩などの固体を除去する固体トラップ9に接続されている。
【0035】
図1において実線10で示されている第1の実施形態では、反応器8の下流端部は、第1の熱交換器7の外管に接続されており、(比較的高温の)変換されたスラリと変換前の(比較的低温の)スラリとの間の逆流熱交換を実現する。第1の熱交換器7の外管は、気液分離器12に接続されており、液体から気体生成物を分離する。この分離器の底部は、混合器5に接続されており、(リサイクルされた)液体の少なくとも一部をスラリに添加する。
【0036】
図1において点線11で示されている第2の実施形態では、反応器8の下流端部は、混合器に、および随意に第1の熱交換器の外管にも接続されており、反応器からの流体の少なくとも一部をスラリに直接添加する。
【0037】
図2において、より詳細に示されている通り、高圧ポンプ6は、2つの区画、すなわち、第1のピストン22を収容している第1の区画21と、ピストンロッド25を介して第1のピストンに接続されている第2のピストン24を収容している第2の区画23とを含む、円筒形ハウジング20を含む。第1の区画21は、油圧式調節弁(図示せず)を介して、ピストンロッドおよび第2のピストンの後退および前進の両方のための油圧流体源に接続されている2つのポート26、27を含み、すなわち、第1の区画は複動油圧シリンダである。第2の区画23は、第1の区画に隣接した部分に冷却媒体用の入口28および出口29、第2のピストンの他方の側にスラリ用の入口30および出口31を含む。このスラリ用の入口および出口は、ピストンおよびロッドが後退した(図2において上昇した)場合、入口経由でスラリが吸引されると共に出口が遮断されるように、ピストンおよびロッドが前進した(図2において下降した)場合には、スラリが加圧され、混合器に供給されるように、逆止め弁(図示せず)を設けられている。ある例では、連続的な動作を容易にするために、システムは2つのポンプを平行に備える。
【0038】
動作中、ある例では、80%の水分量を有する湿潤バイオマス(肥料)が、ねじプレス2により、70%の水分量(総固体30%)まで脱水され、厚みを増した粘性スラリは、タンク3に供給される。そこから、スラリは、混合器5へ(1000リットル/時、15~20バール、および15℃で)ポンプで送られ、下流からの水(750~1250nL/時、15~30バール、および250~300℃で)、処理済みスラリと、83~87%の水分量および1750~2250nL/時の体積まで混合される。スラリは、次いで、加圧され、加熱され(240~250バール、および370~390℃)、反応器に供給され、そこでスラリはさらに加熱されて(550~600℃まで)、スラリ中の有機物成分の少なくとも一部を気体生成物、例えば水素およびメタンに変換する。変換後、固体トラップ内でスラリから固体が除去され、水は第1の熱交換器7に供給されて、高温熱を回収し、すなわち、より低温の上流スラリを加熱する。(1750~2250nL/時、240~250バール、および250~300℃で)熱交換器を離れた後、液体は気液分離器に供給されて、気体生成物が逃げることを可能にし、収集を可能にする。残りの水の一部がシステムから放出され、残りの水の一部(750~1250nL/時)が上流スラリと混合される。
【0039】
本発明による方法およびシステムは、比較的高含量の有機物成分および/もしくは固体を有する原料の処理を可能にし、効率的な熱回収を実現し、ならびに/またはスラリの粘度を下げることおよび/または混合を強化することにより、後続のポンプでの送りおよび熱交換を強化する。
【0040】
本発明は前述の実施形態に制限されず、特許請求の範囲の範囲内の複数の方法において変化し得る。
【符号の説明】
【0041】
1 システム
2 固液分離器、ねじプレス
3 タンク
4 ポンプ
5 混合器
6 高圧ポンプ
7 熱交換器
8 反応器
9 固体トラップ
10 実線
11 点線
12 気液分離器
20 円筒形ハウジング
21 第1の区画
22 第1のピストン
23 第2の区画
24 第2のピストン
25 ピストンロッド
26、27 ポート
28 (冷却媒体用の)入口
29 (冷却媒体用の)出口
30 (スラリ用の)入口
31 (スラリ用の)出口
図1
図2