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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】オーディオシステム
(51)【国際特許分類】
   H04S 3/00 20060101AFI20240104BHJP
   H04S 7/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
H04S3/00 800
H04S7/00 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019088683
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2020184704
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敬太
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑規
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-217559(JP,A)
【文献】特開2010-068536(JP,A)
【文献】特開2009-135750(JP,A)
【文献】特開2007-151173(JP,A)
【文献】特開2010-166534(JP,A)
【文献】特開2010-004520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 1/00 ー7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理するオーディオシステムであって、
作端末と、
前記操作端末の指示に従い連携してマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理する複数のオーディオ装置と、を備え、
前記操作端末は、
前記複数のオーディオ装置から、当該オーディオ装置の対応チャンネル数および信号処理時間を含む性能情報を取得する性能情報取得手段と、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置から取得した性能情報に含まれている対応チャンネル数に基づいて、当該複数のオーディオ装置のそれぞれに、処理対象のオーディオチャンネルを振り分けるチャンネル振分手段と、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置から取得した性能情報に含まれている信号処理時間に基づいて、当該複数のオーディオ装置におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングが一致するように、当該複数のオーディオ装置各々の出力遅延時間を決定する出力遅延時間決定手段と、
前記複数のオーディオ装置各々に、前記チャンネル振分手段により当該オーディオ装置に振り分けられた処理対象のオーディオチャンネルおよび前記出力遅延時間決定手段により決定された当該オーディオ装置の出力遅延時間を含む設定情報を通知する設定情報通知手段と、を有し、
前記チャンネル振分手段は、
前記複数のオーディオ装置のそれぞれに振り分けられたオーディオチャンネルをユーザに知らせるための接続ガイダンスデータとして、前記複数のオーディオ装置のそれぞれに振り分けられたオーディオチャンネルに対応するスピーカ各々の、ユーザの視聴位置に対する配置位置の推奨例を示す第一画面と、前記複数のオーディオ装置のそれぞれについて、当該オーディオ装置が備えるスピーカ接続端子と当該スピーカ接続端子に接続されるオーディオチャンネルとの関係を示す第二画面とを、ユーザの指示に従い切り替え可能に表示画面に出力し、
前記オーディオ装置は、
入力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、前記操作端末より通知された設定情報に含まれているオーディオチャンネル用のアナログオーディオ信号に復号するオーディオ信号処理手段と、
前記オーディオ信号処理手段により復号されたアナログオーディオ信号を、前記操作端末より通知された設定情報に含まれている出力遅延時間だけ遅延させて、当該アナログオーディオ信号を出力するオーディオ出力遅延手段と、を有し、
さらに、前記オーディオ装置は、
他の前記オーディオ装置との連携によってマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号およびデジタルビデオ信号を含むデジタルオーディオビジュアル信号を処理するオーディオビジュアル装置であり、自装置に表示装置が接続されている場合に、入力されたデジタルオーディオビジュアル信号を当該表示装置に出力するとともに、当該表示装置から当該表示装置の信号処理時間を含む性能情報を取得し、
前記性能情報取得手段は、
前記表示装置が接続されている前記オーディオ装置から当該表示装置の信号処理時間を含む性能情報を取得し、
前記出力遅延時間決定手段は、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置および前記表示装置から取得した性能情報に含まれている信号処理時間に基づいて、前記複数のオーディオ装置におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングが前記表示装置におけるビデオ出力と同期するように、前記複数のオーディオ装置各々の出力遅延時間を決定する
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項2】
請求項に記載のオーディオシステムであって、
前記複数のオーディオ装置は、
再生装置を起点として直列的に接続されており、
それぞれ、
前記再生装置あるいは他の前記オーディオ装置から出力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を他の前記オーディオ装置に出力する出力手段と、をさらに有する
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項3】
請求項に記載のオーディオシステムであって、
前記複数のオーディオ装置は、
再生装置、あるいは前記再生装置に接続され、当該再生装置から出力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を複数に分配する分配装置を介して、並列的に接続されており、
それぞれ、
前記再生装置あるいは前記分配装置から出力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を入力する入力手段をさらに有する
ことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のオーディオシステムであって、
前記チャンネル振分手段は、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置から取得した性能情報に含まれている対応チャンネル数に基づいて、前記マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号がサポートするチャンネル数のなかから、前記複数のオーディオ装置の連携により実現可能なチャンネル数を特定し、特定したチャンネル数のなかからユーザにより選択されたチャンネル数を構成するオーディオチャンネルを、前記複数のオーディオ装置に振り分ける
ことを特徴とするオーディオシステム
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のオーディオシステムであって、
前記チャンネル振分手段は、
対応チャンネル数の多いオーディオ装置から順番に処理対象のオーディオチャンネルを振り分ける
ことを特徴とするオーディオシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理するオーディオ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のオーディオ再生装置は、5.1チャンネルのデジタルオーディオ信号を、フロント左チャンネル用、フロント右チャンネル用、センターチャンネル用、サラウンド左チャンネル用、サラウンド右チャンネル用、およびサブウーハーチャンネル用のアナログオーディオ信号に復号して増幅して、それぞれを、対応する出力端子から出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-367290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上述の5.1チャンネルにサラウンドバック左チャンネルおよびサラウンドバック右チャンネルを加えた7.1チャンネルのデジタルオーディオ信号が主流となりつつある。また、家庭用としては、最大13.1チャンネルに対応するAuro-3D(登録商標)、および最大24.1.10チャンネルに対応するDolby Atoms(登録商標) for Home等が提案されており、オーディオチャンネルのチャンネル数がますます増加する傾向にある。
【0005】
このような状況下では、ユーザが所有するオーディオ装置の対応チャンネル数よりも多いチャンネル数をサポートする新しいデジタルオーディオ信号がすぐに利用され始める。この新しいデジタルオーディオ信号を、ユーザが所有するオーディオ装置の対応チャンネル数よりも多いチャンネル数で聴取するには、ユーザは、所有するオーディオ装置を、このチャンネル数に対応した新しいオーディオ装置に買い替えなければならない。
【0006】
しかしながら、対応チャンネル数の多いオーディオ装置は、一般に高価である。所有するオーディオ装置の対応チャンネル数よりも多いチャンネル数でデジタルオーディオ信号を聴取するために、その都度、オーディオ装置を買い替えたのではコストがかさむ。また、それまで所有していたオーディオ装置が不要となり、資源を無駄にしてしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より低コストで、かつ、資源を無駄にすることなく、所望するチャンネル数での聴取を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、操作端末が複数のオーディオ装置を連携させ、これらのオーディオ装置にマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理させる。操作端末は、これらのオーディオ装置に、処理対象のオーディオチャンネルを振り分けるとともに、各オーディオ装置の信号処理時間に基づいて、すべてのオーディオ装置におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングが一致するように各オーディオ装置の出力遅延時間を決定する。そして、オーディオ装置は、入力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、操作端末により自装置に振り分けられたオーディオチャンネル用のアナログオーディオ信号に復号し、復号したアナログオーディオ信号を、操作端末により決定された自装置の出力遅延時間だけ遅延させて出力する。
【0011】
例えば、本発明のオーディオシステムは、
マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理するオーディオシステムであって、
作端末と、
前記操作端末の指示に従い連携してマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理する複数のオーディオ装置と、を備え、
前記操作端末は、
前記複数のオーディオ装置から、当該オーディオ装置の対応チャンネル数および信号処理時間を含む性能情報を取得する性能情報取得手段と、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置から取得した性能情報に含まれている対応チャンネル数に基づいて、当該複数のオーディオ装置のそれぞれに、処理対象のオーディオチャンネルを振り分けるチャンネル振分手段と、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置から取得した性能情報に含まれている信号処理時間に基づいて、当該複数のオーディオ装置におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングが一致するように、当該複数のオーディオ装置各々の出力遅延時間を決定する出力遅延時間決定手段と、
前記複数のオーディオ装置各々に、前記チャンネル振分手段により当該オーディオ装置に振り分けられた処理対象のオーディオチャンネルおよび前記出力遅延時間決定手段により決定された当該オーディオ装置の出力遅延時間を含む設定情報を通知する設定情報通知手段と、を有し、
前記チャンネル振分手段は、
前記複数のオーディオ装置のそれぞれに振り分けられたオーディオチャンネルをユーザに知らせるための接続ガイダンスデータとして、前記複数のオーディオ装置のそれぞれに振り分けられたオーディオチャンネルに対応するスピーカ各々の、ユーザの視聴位置に対する配置位置の推奨例を示す第一画面と、前記複数のオーディオ装置のそれぞれについて、当該オーディオ装置が備えるスピーカ接続端子と当該スピーカ接続端子に接続されるオーディオチャンネルとの関係を示す第二画面とを、ユーザの指示に従い切り替え可能に表示画面に出力し、
前記オーディオ装置は、
入力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、前記操作端末より通知された設定情報に含まれているオーディオチャンネル用のアナログオーディオ信号に復号するオーディオ信号処理手段と、
前記オーディオ信号処理手段により復号されたアナログオーディオ信号を、前記操作端末より通知された設定情報に含まれている出力遅延時間だけ遅延させて、当該アナログオーディオ信号を出力するオーディオ出力遅延手段と、を有し、
さらに、前記オーディオ装置は、
他の前記オーディオ装置との連携によってマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号およびデジタルビデオ信号を含むデジタルオーディオビジュアル信号を処理するオーディオビジュアル装置であり、自装置に表示装置が接続されている場合に、入力されたデジタルオーディオビジュアル信号を当該表示装置に出力するとともに、当該表示装置から当該表示装置の信号処理時間を含む性能情報を取得し、
前記性能情報取得手段は、
前記表示装置が接続されている前記オーディオ装置から当該表示装置の信号処理時間を含む性能情報を取得し、
前記出力遅延時間決定手段は、
前記性能情報取得手段により前記複数のオーディオ装置および前記表示装置から取得した性能情報に含まれている信号処理時間に基づいて、前記複数のオーディオ装置におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングが前記表示装置におけるビデオ出力と同期するように、前記複数のオーディオ装置各々の出力遅延時間を決定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、複数のオーディオ装置に処理対象のオーディオチャンネルを振り分けるとともに、各オーディオ装置の出力遅延時間を決定することにより、複数のオーディオ装置に連携させてマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理させる。このため、マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号をオーディオ装置単体では対応できないチャンネル数で聴取することが可能となり、ユーザは、所有するオーディオ装置を買い替えるのではなく、買い増しすることで、チャンネル数を増加させることができる。したがって、本発明によれば、より低コストで、かつ、資源を無駄にすることなく、所望するチャンネル数での聴取が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るAVシステムの概略構成図である。
図2図2は、AVアンプ装置1の概略機能構成図である。
図3図3は、AVアンプ装置1の設定動作を説明するためのフロー図である。
図4図4は、操作端末5の概略機能構成図である。
図5図5は、操作端末5の動作を説明するためのフロー図である。
図6図6は、チャンネル数選択画面の表示例を示す図である。
図7図7は、接続ガイダンスの第一画面の表示例を示す図である。
図8図8は、接続ガイダンスの第二画面の表示例を示す図である。
図9図9は、図1に示すAVシステムの第一の変形例の概略構成図である。
図10図10は、図1に示すAVシステムの第二の変形例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係るAV(オーディオビジュアル)システムの概略構成図である。
【0016】
図示するように、本実施の形態に係るAVシステムは、複数のAVアンプ装置1-1、1-2(以下、単にAVアンプ装置1とも呼ぶ)と、再生装置2と、複数のスピーカ3と、モニタ4と、AVアンプ装置1を遠隔操作するための操作端末5と、を備えて構成される。
【0017】
再生装置2AVアンプ装置1、およびモニタ4は、HDMI(登録商標)を備えており、再生装置2とAVアンプ装置1-1との間、AVアンプ装置1-1とモニタ4との間、および、AVアンプ装置1-1とAVアンプ装置1-2との間が、それぞれ、HDMI(登録商標)に準拠したデジタルAVケーブル6で接続されている。また、スピーカ3は、アナログオーディオケーブル7を介していずれかのAVアンプ装置1に接続されている。また、AVアンプ装置1および操作端末5は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により接続されている。
【0018】
AVアンプ装置1は、Auro-3D(登録商標)、Dolby Atoms(登録商標) for Home等の再生方式に従い、マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号およびデジタルビデオ信号を含むデジタルAV信号を再生する。本実施の形態では、最大で7.1チャンネル(フロント左チャンネルFL、フロント右チャンネルFR、センターチャンネルC、サラウンド左チャンネルSL、サラウンド右チャンネルSR、サラウンドバック左チャンネルSBL、サラウンドバック右チャンネルSBR、サブウーハーチャンネルSW)に対応するものを想定している。
【0019】
再生装置2は、複数のチャンネル数をサポートするデジタルAV信号を再生し、HDMI(登録商標)信号として出力する。本実施の形態では、7.1.6チャンネル(フロント左チャンネルFL、フロント右チャンネルFR、センターチャンネルC、サラウンド左チャンネルSL、サラウンド右チャンネルSR、サラウンドバック左チャンネルSBL、サラウンドバック右チャンネルSBR、サブウーハーチャンネルSW、トップフロント左チャンネルTFL、トップフロント右チャンネルTFR、トップミドル左チャンネルTML、トップミドル右チャンネルTMR、トップリア左チャンネルTRL、トップリア右チャンネルTRR)を含む複数のチャンネル数をサポートするものを想定している。
【0020】
スピーカ3は、AVシステムのチャンネル数を構成する各オーディオチャンネルに対応して設けられており、対応するオーディオチャンネルのオーディオ信号を出力する。本実施の形態では、チャンネル数として7.1.6チャンネルを想定している。
【0021】
操作端末5は、AVアンプ装置1-1、1-2が連携して再生装置2から出力されたデジタルAV信号に含まれているマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理するために必要な情報をAVアンプ装置1-1、1-2に設定する。
【0022】
上記構成のAVシステムにおいて、操作端末5は、AVアンプ装置1-1、1-2に、処理対象のオーディオチャンネルを振り分ける。ここでは、7.1.6チャンネルのうち、フロント左チャンネルFL、フロント右チャンネルFR、センターチャンネルC、サラウンド左チャンネルSL、サラウンド右チャンネルSR、サラウンドバック左チャンネルSBL、サラウンドバック右チャンネルSBR、およびサブウーハーチャンネルSWをAVアンプ装置1-1に振り分け、残りのトップフロント左チャンネルTFL、トップフロント右チャンネルTFR、トップミドル左チャンネルTML、トップミドル右チャンネルTMR、トップリア左チャンネルTRL、およびトップリア右チャンネルTRRをAVアンプ装置1-2に振り分けている。また、操作端末5は、モニタ4の信号処理時間(デジタルAV信号に含まれているデジタルビデオ信号から表示データを復号するのに要する時間)およびAVアンプ装置1-1、1-2の信号処理時間(デジタルAV信号に含まれているデジタルオーディオ信号からアナログオーディオ信号を復号するのに要する時間)に基づいて、AVアンプ装置1-1、1-2のアナログオーディオ信号の出力タイミングがモニタ4のビデオ出力と同期するように(オートリップシンク)、AVアンプ装置1-1、1-2それぞれの出力遅延時間を決定する。そして、AVアンプ装置1-1、1-2に、それぞれ決定した出力遅延時間を設定する。
【0023】
AVアンプ装置1-1は、再生装置2から出力されたデジタルAV信号をモニタ4およびAVアンプ装置1-2に中継する。また、AVアンプ装置1-1は、再生装置2から出力されたデジタルAV信号に含まれているマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、自装置1-1に振り分けられたフロント左チャンネルFL、フロント右チャンネルFR、センターチャンネルC、サラウンド左チャンネルSL、サラウンド右チャンネルSR、サラウンドバック左チャンネルSBL、サラウンドバック右チャンネルSBR、およびサブウーハーチャンネルSWのアナログオーディオ信号に復号して増幅する。そして、各オーディオチャンネルのアナログオーディオ信号を、自装置1-1に設定された出力遅延時間だけ遅延させて、それから、対応するオーディオチャンネル用のスピーカ3に出力する。
【0024】
AVアンプ装置1-2は、AVアンプ装置1-1から出力されたデジタルAV信号を、自装置1-2に振り分けられたトップフロント左チャンネルTFL、トップフロント右チャンネルTFR、トップミドル左チャンネルTML、トップミドル右チャンネルTMR、トップリア左チャンネルTRL、およびトップリア右チャンネルTRRのアナログオーディオ信号に復号して増幅する。そして、各オーディオチャンネルのアナログオーディオ信号を、自装置1-2に設定された出力遅延時間だけ遅延させて、それから、対応するオーディオチャンネル用のスピーカ3に出力する。
【0025】
つぎに、本実施の形態に係るAVシステムを構成するAVアンプ装置1および操作端末5の詳細を説明する。なお、再生装置2、スピーカ3、およびモニタ4には、既存の装置を利用することができるので、その詳細な説明を省略している。
【0026】
まず、AVアンプ装置1の詳細を説明する。
【0027】
図2は、AVアンプ装置1の概略機能構成図である。
【0028】
図示するように、AVアンプ装置1は、デジタルAV入力端子100と、複数のデジタルAV出力端子101-1、101-2(以下、単にデジタルAV出力端子101とも呼ぶ)と、中継部102と、複数のアナログオーディオ出力端子103-1~103-8(以下、単にアナログオーディオ出力端子103とも呼ぶ)と、複数のアンプ104-1~104-8(以下、単にアンプ104とも呼ぶ)と、複数の遅延バッファ105-1~105-8(以下、単に遅延バッファ105とも呼ぶ)と、オーディオ信号処理部106と、近距離無線インターフェース部107と、性能情報取得部108と、性能情報通知部109と、設定情報受信部110と、振分・遅延設定部111と、を備えている。
【0029】
デジタルAV入力端子100は、デジタルAVケーブル6を介して再生装置2あるいは他のAVアンプ装置1に接続され、デジタルAV信号を入力する。
【0030】
デジタルAV出力端子101は、デジタルAVケーブル6を介してモニタ4あるいは他のAVアンプ装置1に接続され、デジタルAV信号を出力する。
【0031】
中継部102は、デジタルAV入力端子100に入力されたデジタルAV信号をデジタルAV出力端子101に中継する。
【0032】
アナログオーディオ出力端子103は、アナログオーディオケーブル7を介してスピーカ3に接続され、アナログオーディオ信号を、この接続されたスピーカ3に出力する。本実施の形態では、最大で7.1チャンネルに対応するべく、8つのアナログオーディオ出力端子103-1~103-8が設けられている。
【0033】
アンプ104は、アナログオーディオ出力端子103毎に設けられ、入力されたアナログオーディオ信号を増幅して、対応するアナログオーディオ出力端子103に出力する。
【0034】
遅延バッファ105は、アンプ104毎に設けられ、入力されたアナログオーディオ信号を、設定された出力遅延時間だけバッファリングしてから、対応するアンプ104に出力する。
【0035】
オーディオ信号処理部106は、自装置1に振り分けられたオーディオチャンネル毎に、デジタルAV入力端子100に入力されたデジタルAV信号に含まれているマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、対応するオーディオチャンネルのアナログオーディオ信号に復号する。そして、このアナログオーディオ信号を、対応するオーディオチャンネルが割り当てられたアナログオーディオ出力端子103に繋がるアンプ104へ出力する。
【0036】
近距離無線インターフェース部107は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により操作端末5に接続するためのインターフェースである。
【0037】
性能情報取得部108は、デジタルAVケーブル6を介してデジタルAV入力端子100に再生装置2が接続されている場合に、再生装置2から、対応チャンネル数(デジタルAV信号に含まれるマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号がサポートする最大チャンネル数)を含む性能情報を取得する。また、性能情報取得部108は、デジタルAVケーブル6を介していずれかのデジタルAV出力端子101にモニタ4が接続されている場合に、モニタ4から、信号処理時間を含む性能情報を取得する。なお、これらの性能情報は、HDMI(登録商標)のCEC(Consumer Electronics Control)コマンドを利用して、デジタルAV入力端子100およびデジタルAV出力端子101各々の接続機器に問い合わせることにより取得することができる。
【0038】
性能情報通知部109は、近距離無線インターフェース部107を介して操作端末5から受け付けた性能情報の問い合わせに対して、自装置1の対応チャンネル数、アナログオーディオ出力端子103の構成および信号処理時間を含む性能情報を操作端末5に通知する。この際、性能情報取得部108が再生装置2の性能情報および/またはモニタ4の性能情報を取得しているならば、これらの性能情報も併せて操作端末5に通知する。
【0039】
設定情報受信部110は、近距離無線インターフェース部107を介して操作端末5から設定情報を受信する。
【0040】
振分・遅延設定部111は、設定情報受信部110により操作端末5から受信した設定情報に含まれている、自装置1に振り分けられたオーディオチャンネルをオーディオ信号処理部106に設定する。また、振分・遅延設定部111は、設定情報受信部110により操作端末5から受信した設定情報に含まれている自装置1の出力遅延時間を遅延バッファ105に設定する。
【0041】
つぎに、AVアンプ装置1の動作を説明する。
【0042】
まず、AVアンプ装置1の設定動作について説明する。
【0043】
図3は、AVアンプ装置1の設定動作を説明するための図である。
【0044】
このフローは、近距離無線インターフェース部107が操作端末5から性能情報の問い合わせを受信することにより開始される。
【0045】
まず、性能情報取得部108は、デジタルAVケーブル6を介してデジタルAV入力端子100に機器が接続されているか否かを判断する。そして、機器が接続されているならば、この接続機器に問い合わせを送信し、その応答を受信して接続機器の種別を確認する。同様に、性能情報取得部108は、デジタルAVケーブル6を介してデジタルAV出力端子101に機器が接続されているか否かを判断する。そして、機器が接続されているならば、この接続機器に問い合わせを送信し、その応答を受信して接続機器の種別を確認する(S100)。なお、接続機器に対する問い合わせにはHDMI(登録商標)のCECコマンドを利用することができる。
【0046】
性能情報取得部108は、デジタルAV入力端子100に再生装置2が接続されていることを確認したならば(S101でYES)、中継部102を介してデジタルAV入力端子100から再生装置2に性能情報の問い合わせを送信し、再生装置2から、対応チャンネル数を含む性能情報を取得する(S102)。
【0047】
また、性能情報取得部108は、いずれかのデジタルAV出力端子101にモニタ4が接続されていることを確認したならば(S103でYES)、中継部102を介してこのデジタルAV出力端子101からモニタ4に性能情報の問い合わせを送信し、モニタ4から、信号処理時間を含む性能情報を取得する(S104)。
【0048】
つぎに、性能情報通知部109は、自装置1の対応チャンネル数、アナログオーディオ出力端子103の構成および信号処理時間を含む性能情報と、性能情報取得部108が再生装置2から性能情報を取得しているならば再生装置2の性能情報と、性能情報取得部108がモニタ4から性能情報を取得しているならばモニタ4の性能情報とを、近距離無線インターフェース部107を介して操作端末5に通知する(S105)。
【0049】
設定情報受信部110は、近距離無線インターフェース部107を介して操作端末5から設定情報が送られてくるのを待つ(S106)。そして、操作端末5から設定情報を受信したならば(S106でYES)、この設定情報に含まれている、自装置1に振り分けられた処理対象のオーディオチャンネル、処理対象のオーディオチャンネルが割り当てられたアナログオーディオ出力端子103、および自装置1の出力遅延時間を、振分・遅延設定部111に通知する。
【0050】
これを受けて、振分・遅延設定部111は、設定情報受信部110から通知された処理対象のオーディオチャンネル各々を、オーディオチャンネルが割り当てられたアナログオーディオ出力端子103ととともに、オーディオ信号処理部106に設定する。また、設定情報受信部110から通知された出力遅延時間を各遅延バッファ105に設定する(S107)。
【0051】
つぎに、AVアンプ装置1のデジタルAV信号処理の動作について説明する。
【0052】
図2において、デジタルAV入力端子100は、入力されたデジタルAV信号を中継部102およびオーディオ信号処理部106に出力する。
【0053】
これを受けて、中継部102は、デジタルAVケーブル6を介してデジタルAV出力端子101-1に機器が接続されているならば、デジタルAV出力端子101-1からデジタルAV信号を出力する。同様に、デジタルAVケーブル6を介してデジタルAV出力端子101-2に機器が接続されているならば、デジタルAV出力端子101-2からデジタルAV信号を出力する。
【0054】
また、オーディオ信号処理部106は、振分・遅延設定部111により設定されたオーディオチャンネル毎に、デジタルAV信号に含まれているマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、対応するオーディオチャンネルのアナログオーディオ信号に復号する。そして、このアナログオーディオ信号を、対応するオーディオチャンネルが割り当てられたアナログオーディオ出力端子103にアンプ104を介して繋がる遅延バッファ105に出力する。
【0055】
遅延バッファ105は、アナログオーディオ信号が入力されると、このアナログオーディオ信号を、振分・遅延設定部114により設定された出力遅延時間だけバッファリングし、それから、対応するアンプ104に出力する。アンプ104は、アナログオーディオ信号が入力されると、このアナログオーディオ信号を増幅して、対応するアナログオーディオ出力端子103に出力する。
【0056】
つぎに、操作端末5の詳細を説明する。
【0057】
図4は、操作端末5の概略機能構成図である。
【0058】
図示するように、操作端末5は、近距離無線インターフェース部50と、マンマシンインターフェース部51と、性能情報取得部52と、チャンネル振分部53と、出力遅延時間決定部54と、設定情報通知部55と、主制御部56と、を備えている。
【0059】
近距離無線インターフェース部50は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりAVアンプ装置1に接続するためのインターフェースである。
【0060】
マンマシンインターフェース部51は、ユーザに情報を提示したり、ユーザから各種操作を受け付けたりするためのインターフェースであり、例えばタッチパネル対応ディスプレイで構成される。
【0061】
性能情報取得部52は、近距離無線インターフェース部50を介して各AVアンプ装置1から、対応チャンネル数、アナログオーディオ出力端子103の構成、および信号処理時間を含む、AVアンプ装置1の性能情報を取得する。また、再生装置2が接続されているAVアンプ装置1(図1ではAVアンプ装置1-1)からは、再生装置2の対応チャンネル数を含む、再生装置2の性能情報を取得するとともに、モニタ4が接続されているAVアンプ装置1(図1ではAVアンプ装置1-2)からは、信号処理時間を含む、モニタ4の性能情報を取得する。
【0062】
チャンネル振分部53は、性能情報取得部52により取得された各AVアンプ装置1の性能情報に含まれている対応チャンネル数に基づいて、性能情報取得部52により取得された再生装置2の性能情報に含まれている対応チャンネル数のなかから、複数のAVアンプ装置1-1、1-2の連携により実現可能なチャンネル数を特定する。そして、特定したチャンネル数のなかから、ユーザにより選択されたチャンネル数に基づいて、複数のAVアンプ装置1-1、1-2のそれぞれに、処理対象のオーディオチャンネルを振り分ける。
【0063】
また、チャンネル振分部53は、AVアンプ装置1毎に、このAVアンプ装置1の性能情報に含まれているアナログオーディオ出力端子103の構成に基づいて、このAVアンプ装置1に振り分けられた処理対象のオーディオチャンネル各々に割り当てるアナログオーディオ出力端子103を決定する。
【0064】
また、チャンネル振分部53は、複数のAVアンプ装置1-1、1-2のそれぞれに振り分けられたオーディオチャンネルをユーザに知らせるための接続ガイダンスデータを、マンマシンインターフェース部51に出力する。
【0065】
出力遅延時間決定部54は、性能情報取得部52により取得された各AVアンプ装置1およびモニタ4の性能情報に含まれている信号処理時間に基づいて、複数のAVアンプ装置1-1、1-2におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングがモニタ4におけるビデオ出力と同期するように、複数のAVアンプ装置1-1、1-2各々の出力遅延時間を決定する。
【0066】
設定情報通知部55は、近距離無線インターフェース部50を介して各AVアンプ装置1に、チャンネル振分部53によりこのAVアンプ装置1に振り分けられたオーディオチャンネルおよび出力遅延時間決定部54により決定されたこのAVアンプ装置1の出力遅延時間を含む設定情報を通知する。
【0067】
そして、主制御部56は、操作端末5の各部50~55を統括的に制御する。
【0068】
つぎに、操作端末5の動作を説明する。
【0069】
図5は、操作端末5の動作を説明するための図である。
【0070】
このフローは、マンマシンインターフェース部51を介してユーザから、AVシステム構築のための所定の操作を受け付けることにより開始される。
【0071】
まず、主制御部56は、性能情報取得部52に性能情報の取得を指示する。これを受けて、性能情報取得部52は、近距離無線インターフェース部50を介して各AVアンプ装置1に性能情報の問い合わせを送信する。そして、AVアンプ装置1-1から、AVアンプ装置1-1の対応チャンネル数、アナログオーディオ出力端子103の構成、および信号処理時間を含むAVアンプ装置1-1の性能情報と、再生装置2の対応チャンネル数を含む再生装置2の性能情報と、モニタ4の信号処理時間を含むモニタ4の性能情報と、を取得するとともに、AVアンプ装置1-2から、AVアンプ装置1-2の対応チャンネル数、アナログオーディオ出力端子103の構成、および信号処理時間を含む性能情報を取得する(S50)。
【0072】
つぎに、主制御部56は、性能情報取得部52により取得された各AVアンプ装置1の性能情報および再生装置2の性能情報をチャンネル振分部53に渡して、チャンネルの振り分けを指示する。これを受けて、チャンネル振分部53は、各AVアンプ装置1の性能情報に含まれている対応チャンネル数に基づいて、再生装置2の性能情報に含まれている対応チャンネル数のなかから、複数のAVアンプ装置1-1、1-2の連携により実現可能なチャンネル数を特定する。そして、特定したチャンネル数が一覧表示されたチャンネル数選択画面データを生成し、このチャンネル数選択画面をマンマシンインターフェース部51に表示させる(S51)。
【0073】
図6は、チャンネル数選択画面の表示例を示す図である。
【0074】
図示するように、チャンネル数選択画面には、利用可能チャンル数500がチェックボックス501とともに一覧表示されている。ここで、符号502は、チェックボックス501に入れられたチェックを取り消すための取消ボタン、符号503は、チェックボックス501に入れられたチェックを確定するための確定ボタンである。ユーザは、任意のチェックボックス501にチェックを入れて確定ボタン503を選択することにより、チェックボックス501がチェックされた利用可能チャンネル数が利用チャンネル数として選択される。図6では、7.1.6チャンネルが選択された例を示している。
【0075】
つぎに、マンマシンインターフェース部51は、チャンネル数選択画面を介してユーザから利用チャンネル数の選択を受け付けると(S52)、選択された利用チャンネル数をチャンネル振分部53に通知する。これを受けて、チャンネル振分部53は、所定のルールに従って、選択された利用チャンネル数を構成するオーディオチャンネル各々の複数のAVアンプ装置1-1、1-2への振り分けを決定する(S53)。
【0076】
例えば、対応チャンネル数の多い順番にAVアンプ装置1の優先度を決定する。ここで、対応チャンネル数が同じ複数のAVアンプ装置1に対しては任意に優先度を決定する。つぎに、優先度の高いAVアンプ装置1から順番に、主要な(基本となる)オーディオチャンネルから振り分ける。例えば、利用チャンネル数がX.Y.Zチャンネルならば、X、Y、Zの順番でオーディオチャンネルを振り分ける。図1では、利用チャンネル数として7.1.6チャンネルが選択され、AVアンプ装置1-1に、7.1.6チャンネルのうちの”7.1”の部分(フロント左チャンネルFL、フロント右チャンネルFR、センターチャンネルC、サラウンド左チャンネルSL、サラウンド右チャンネルSR、サラウンドバック左チャンネルSBL、サラウンドバック右チャンネルSBR、およびサブウーハーチャンネルSW)が振り分けられ、AVアンプ装置1-2に、7.1.6チャンネルのうちの”6”の部分(残りのトップフロント左チャンネルTFL、トップフロント右チャンネルTFR、トップミドル左チャンネルTML、トップミドル右チャンネルTMR、トップリア左チャンネルTRL、およびトップリア右チャンネルTRR)が振り分けられた例を示している。それから、チャンネル振分部53は、AVアンプ装置1毎に、このAVアンプ装置1の性能情報に含まれているアナログオーディオ出力端子103の構成に基づいて、このAVアンプ装置1に振り分けられたオーディオチャンネル各々にアナログオーディオ出力端子103-1~103-8を割り当てる。
【0077】
つぎに、主制御部56は、性能情報取得部52により取得された各AVアンプ装置1の性能情報およびモニタ4の性能情報を出力遅延時間決定部54に渡して出力遅延時間の決定を指示する。これを受けて、出力遅延時間決定部54は、各AVアンプ装置1およびモニタ4の性能情報に含まれている信号処理時間に基づいて、複数のAVアンプ装置1-1、1-2におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングがモニタ4におけるビデオ出力と同期するように、複数のAVアンプ装置1-1、1-2各々の出力遅延時間を決定する(S54)。
【0078】
例えば、AVアンプ装置1-1、1-2の信号処理時間がそれぞれ50ms、70msであり、モニタ4の信号処理時間が100msである場合、AVアンプ装置1-1、1-2の出力遅延時間は、それぞれ、50ms、30msに決定される。
【0079】
つぎに、主制御部56は、チャンネル振分部53および出力遅延時間決定部54での処理結果を設定情報通知部55に通知して設定情報の通知を指示する。これを受けて、設定情報通知部55は、AVアンプ装置1毎に、チャンネル振分部53によってこのAVアンプ装置1に振り分けられた処理対象のオーディオチャンネルおよび処理対象のオーディオチャンネルが割り当てられたアナログオーディオ出力端子103と、出力遅延時間決定部54によって決定されたこのAVアンプ装置1の出力遅延時間と、を含む設定情報を生成し、近距離無線インターフェース部50を介してこのAVアンプ装置1に、生成した設定情報を通知する(S55)。
【0080】
つぎに、主制御部56は、チャンネル振分部53に接続ガイダンスの表示を指示する。これを受けて、チャンネル振分部53は、ユーザによって選択された利用チャンネル数でAVシステムを構築するための接続ガイダンスデータを生成して、マンマシンインターフェース部51に、この接続ガイダンスデータに基づき接続ガイダンスを表示させる(S56)。
【0081】
図7は、接続ガイダンスの第一画面の表示例を示す図である。
【0082】
図示するように、接続ガイダンスの第一画面には、ユーザの視聴位置510に対するモニタ4の配置位置511および利用チャンネル数を構成する各オーディオチャンネル用のスピーカ3の配置位置512の推奨例が表示される。図7では、利用チャンネル数が7.1.6チャンネルである場合の推奨例を示している。ここで、符号513は、表示中の接続ガイダンスの第一画面を閉じるための終了ボタン、符号514は、接続ガイダンスを第一画面から後述の第二画面に切り替えるための切替ボタンである。
【0083】
図8は、接続ガイダンスの第二画面の表示例を示す図である。
【0084】
この接続ガイダンスの第二画面は、図7に示す接続ガイダンスの第一画面において切替ボタン514が選択されることで表示される。
【0085】
図示するように、接続ガイダンスの第二画面には、AVアンプ装置1毎に、アナログオーディオ出力端子103とアナログオーディオチャンネルとの接続関係を示すテーブル520が表示されている。ここで、符号521は、アナログオーディオ出力端子103の識別情報を表示する欄であり、符号522は、同じ行の欄521に表示されているアナログオーディオ出力端子103に接続するアナログオーディオチャンネルを表示する欄である。また、符号523は、表示中の接続ガイダンスの第二画面を閉じるための終了ボタン、符号524は、接続ガイダンスを第二画面から第一画面に切り替えるための切替ボタンである。なお、テーブル520には、AVアンプ装置1の製品名、シリアル番号等を表示することが好ましい。このようにすることで、実際のAVアンプ装置1との対応関係の把握が容易になる。ここで、AVアンプ装置1の製品名、シリアル番号等を性能情報に含めることにより、これらの情報が、AVアンプ装置1から対応チャンネル数、アナログオーディオ出力端子103の構成および信号処理時間とともに取得されるようにすればよい。
【0086】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0087】
本実施の形態では、操作端末5が、各AVアンプ装置1に処理対象のオーディオチャンネルを振り分けるとともに、各AVアンプ装置1の出力遅延時間を決定することにより、複数のAVアンプ装置1が連携してマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を含むデジタルAV信号を処理する。このため、マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、AVアンプ装置1単体では対応できないチャンネル数で聴取することが可能となり、ユーザは、所有するAVアンプ装置1を買い替えるのではなく、買い増しすることで、チャンネル数を増加させることができる。したがって、本実施の形態によれば、より低コストで、かつ、資源を無駄にすることなく、所望するチャンネル数での聴取が可能となる。
【0088】
また、本実施の形態において、操作端末5は、各AVアンプ装置1から取得した性能情報に含まれている対応チャンネル数に基づいて、マルチチャンネルのデジタルオーディオ信号がサポートするチャンネル数のなかから、複数のAVアンプ装置1の連携により実現可能なチャンネル数を特定し、特定したチャンネル数のなかからユーザにより選択されたチャンネル数を構成するオーディオチャンネルを、各AVアンプ装置1に振り分ける。したがって、ユーザは、複数のAVアンプ装置1の連携により実現可能なチャンネル数のなかから所望のチャンネル数を選択してAVシステムを構築することができる。
【0089】
また、本実施の形態において、操作端末5は、対応チャンネル数の多いAVアンプ装置1から順番に処理対象のオーディオチャンネルを振り分ける。対応チャンネル数の多いAVアンプ装置1ほど高品質で処理能力が高いと考えられるので、対応チャンネル数の多いAVアンプ装置1から順番に、主要なオーディオチャンネルから振り分けることで、より高品質のAVシステムを構築することができる。
【0090】
また、本実施の形態において、操作端末5は、複数のAVアンプ装置1のそれぞれに振り分けられたオーディオチャンネルをユーザに知らせるための接続ガイダンスを出力する。このため、ユーザは、接続ガイダンスを参考にして、AVシステムを構築することができ、ユーザの使い勝手が向上する。
【0091】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0092】
例えば、上記の実施の形態において、AVアンプ装置1は、オーディオ信号処理部106により復号されたアナログオーディオ信号を遅延バッファ105に出力して、遅延バッファ105に、振分・遅延設定部114により設定された出力遅延時間だけバッファリングさせることにより、アナログオーディオ信号のアナログオーディオ端子103からの出力タイミングを調整している。しかし、本発明はこれに限定されない。オーディオ信号処理部106が、振分・遅延設定部114により設定された出力遅延時間に基づいて、アナログオーディオ信号への復号処理を遅延させることにより、アナログオーディオ信号のアナログオーディオ端子103からの出力タイミングを調整してもよい。この場合、遅延バッファ105を省略することができる。
【0093】
また、上記の実施の形態では、再生装置2を起点として複数のAVアンプ装置1-1、1-2が直列的に接続されているが、本発明はこれに限定されない。図9に示す第一の変形例のように、再生装置2Aを介して複数のAVアンプ装置1-1、1-2が並列的に接続されていてもよい。あるいは、図10に示す第二の変形例のように、再生装置2に接続され、再生装置2から出力されたデジタルAV信号を複数に分配する分配装置8を介して、複数のAVアンプ装置1-1、1-2が並列的に接続されていてもよい。
【0094】
また、上記の実施の形態では、2台のAVアンプ装置1-1、1-2が直列的に接続されているが、3台以上のAVアンプ装置1を直列的に接続してもよい。同様に、図9および図10に示す第一および第二の変形例では、2台のAVアンプ装置1-1、1-2が並列的に接続されているが、3台以上のAVアンプ装置1を並列的に接続してもよい。
【0095】
また、上記の実施の形態では、AVアンプ装置1と再生装置2との間、AVアンプ装置1とモニタ4との間、およびAVアンプ装置1同士の間の接続インターフェースにHDMI(登録商標)を用いているが、本発明はこれに限定されない。例えば、USB(Universal Serial Bus)等、デジタルAV信号を送受信できるものであればどのような接続インターフェースであってもよい。
【0096】
また、上記の実施の形態において、操作端末5は、再生装置2の性能情報を、デジタルAVケーブル6を介して再生装置2に接続されているAVアンプ装置1から取得しているが、本発明はこれに限定されない。再生装置2に操作端末5との接続インタフェース(近距離無線インターフェース)を設けることにより、操作端末5が、再生装置2の性能情報を再生装置2から直接取得するようにしてもよい。
【0097】
同様に、上記の実施の形態において、操作端末5は、モニタ4の性能情報を、デジタルAVケーブル6を介してモニタ4に接続されているAVアンプ装置1から取得しているが、本発明はこれに限定されない。モニタ4に操作端末5との接続インタフェース(近距離無線インターフェース)を設けることにより、操作端末5が、モニタ4の性能情報をモニタ4から直接取得するようにしてもよい。
【0098】
また、上記の実施の形態において、図2に示すAVアンプ装置1の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の通信装置と、スピーカと、マイクと、を備えたパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0099】
また、上記の実施の形態において、図4に示す操作端末5の機能構成は、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の通信装置と、タッチパネル対応ディスプレイ等の入力装置および表示装置と、を備えたスマートホン、タブレットPC等の携帯端末において、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0100】
また、上記の実施の形態では、複数台が連携してマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号およびデジタルビデオ信号を含むデジタルAV信号を処理するAVアンプ装置1およびこのAVアンプ装置1を複数台備えたAVシステムを例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、複数台が連携してマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を処理するオーディオ装置およびこのオーディオ装置を複数台備えたオーディオシステムに広く適用可能である。
【0101】
この場合、操作端末5は、各オーディオ装置に処理対象のオーディオチャンネルを振り分けるとともに、各オーディオ装置の信号処理時間に基づいて、すべてのオーディオ装置におけるアナログオーディオ信号の出力タイミングが一致するように各オーディオ装置の出力遅延時間を決定する。そして、オーディオ装置は、入力されたマルチチャンネルのデジタルオーディオ信号を、操作端末5により自装置に振り分けられたオーディオチャンネル用のアナログオーディオ信号に復号し、復号したアナログオーディオ信号を、操作端末5により決定された自装置の出力遅延時間だけ遅延させて出力する。
【符号の説明】
【0102】
1、1-1、1-2:AVアンプ装置 2、2A:再生装置 3:スピーカ
4:モニタ 5:操作端末 6:デジタルAVケーブル
7:アナログオーディオケーブル 8:分配装置
50:近距離無線インターフェース部 51:マンマシンインターフェース部
52:性能情報取得部 53:チャンネル振分部
54:出力遅延時間決定部 55:設定情報通知部 56:主制御部
100:デジタルAV入力端子 101-1、101-2:デジタルAV出力端子
102:中継部 103-1~103-8:アナログオーディオ出力端子
104-1~104-8:アンプ 105-1~105-8:遅延バッファ
106:オーディオ信号処理部 107:近距離無線インターフェース部
108:性能情報取得部 109:性能情報通知部 110:設定情報受信部
111:振分・遅延設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10