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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】マットレス装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240104BHJP
   A47C 27/10 20060101ALI20240104BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
A61H7/00 322J
A47C27/10 Z
A47C27/08 C
A47C27/08 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019154764
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021029723
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】599083411
【氏名又は名称】株式会社 MTG
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 剛
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-275317(JP,A)
【文献】特開2001-061918(JP,A)
【文献】特開2003-126198(JP,A)
【文献】特開2005-334283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A47C 27/08
A47C 27/10
A61M 21/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張又は収縮する複数のセルを備え、使用者の身体に運動を行わせる運動付与部と、
運動コースに基づいて前記運動付与部の動作を制御する運動制御部と、
前記使用者に応じた前記運動コースを生成する生成部と、を備え、
前記生成部は、
前記使用者の睡眠情報、日中の活動に関する情報、使用履歴、過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果、体格、年齢、及び体調に関する情報の少なくとも1種を含む情報であり、かつ、前記使用者の身長の情報を含む情報に基づいて、
一連の動きをブロック化した複数種類のブロックから複数の前記ブロックを選択し、選択した前記ブロックを配列することにより、前記運動コースを生成し、
下半身の運動に関連する前記ブロックを選択する場合に、前記使用者の身長に応じた前記ブロックを選択して前記運動コースを生成することを特徴とするマットレス装置。
【請求項2】
前記使用者の睡眠情報を取得する取得部と、
通信ネットワークを介して、外部にデータを送信し、外部のデータを受信する送受信部と、を更に備え、
前記生成部は、前記使用者の睡眠情報を更に含む所定の情報に基づいて、前記運動コースを生成しており、
前記送受信部は、前記所定の情報のうち前記使用者に送信を許可された情報を外部のサーバ装置に送信することを特徴とする請求項1に記載のマットレス装置。
【請求項3】
複数種類の前記ブロックの1種以上を記憶する記憶部と、
通信ネットワークを介して、外部にデータを送信し、外部のデータを受信する送受信部と、を更に備え、
複数種類の前記ブロックの1種以上は、前記通信ネットワークを介して接続される外部のサーバ装置のサーバ記憶部に記憶されていることを特徴とする請求項1に記載のマットレス装置。
【請求項4】
前記生成部が、選択した前記ブロックの各々に含まれる動きに関する実行時間、及び、選択した前記ブロックの各々に含まれる動きに関する大きさの少なくとも一方を更に設定することにより、前記運動コースを生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマットレス装置。
【請求項5】
前記情報は、前記使用者とは異なる使用者の睡眠情報、日中の活動に関する情報、使用履歴、過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果、体格、年齢、及び体調に関する情報の少なくとも1種を更に含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のマットレス装置。
【請求項6】
睡眠時、入眠潜時、及び離床潜時に用いられる寝床であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマットレス装置。
【請求項7】
音楽を出力する音楽出力部と、
選択された前記ブロックに対応付けられた前記音楽を出力するように前記音楽出力部を制御する音楽制御部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマットレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マットレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、睡眠深度判定手段によって判定された睡眠深度に基づいて、部屋に配置された空調装置及び寝具を制御して睡眠環境温度を制御する温度制御部を備える睡眠環境温度制御装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、使用者の睡眠状態を検出する検出部と、検出部によって検出された睡眠状態に応じて、設定温度を調整する調整部と、を備える温熱器具が開示されている。
【0004】
特許文献3には、人の睡眠の質を向上させるための装置が開示されている。この装置は、信号処理器が、集音マイク、加速度センサといった検出手段による検出結果に応じて、利用者のいびきまたは無呼吸状態を判定すると、例えば、バイブレータ、エアパッド、スピーカ、およびライトといった複数の刺激手段のうちの何れか1つを起動させて、利用者のいびきの停止、または、無呼吸状態から呼吸状態への復帰を促す、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6078899号公報
【文献】特開2010-201001号公報
【文献】特開2017-202022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、健康志向の高まりに伴って、高機能なマットレス装置が求められている。マットレス装置に求められる機能は使用者によってさまざまであり、機能をパーソナライズ化する技術が要求されている。
【0007】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機能をパーソナライズ化することができるマットレス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1態様のマットレス装置は、
使用者の身体に運動を行わせる運動付与部と、
運動コースに基づいて前記運動付与部の動作を制御する運動制御部と、
前記使用者に応じた前記運動コースを生成する生成部と、を備え、
前記生成部は、所定の情報に基づいて、
一連の動きをブロック化した複数種類のブロックから複数の前記ブロックを選択し、選択した前記ブロックを配列することにより、前記運動コースを生成することを特徴とする。
【0009】
このマットレス装置によれば、運動コースをパーソナライズ化することができ、使用者が最適な運動を行えるように支援することができる。
【0010】
本開示の第2態様のマットレス装置は、
マット本体と、
前記マット本体の所定位置に設けられ、発熱又は吸熱して使用者の体温を調整する複数の体温調整部と、
複数の前記体温調整部の動作を制御する温度制御部と、を備え、
前記温度制御部は、前記使用者の体格に応じて、複数の前記体温調整部から発熱又は吸熱させる前記体温調整部を選択することを特徴とする。
【0011】
このマットレス装置によれば、使用者の体格に応じて、体温調整部により体温を調整する部位を最適化することができる。
【0012】
本開示の第3態様のマットレス装置は、
マット本体と、
前記マット本体の所定位置に設けられ、膨張又は収縮して使用者の身体に運動を行わせる複数のセルと、
複数の前記セルの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記使用者の体格に応じて、複数の前記セルから膨張又は収縮させる前記セルを選択することを特徴とする。
【0013】
このマットレス装置によれば、使用者の体格に応じて、セルにより運動を付与する部位を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】マッサージ装置の斜視図である。
図2】マッサージ装置の分解斜視図である。
図3】エアセルの取り付け位置を示す平面図である。
図4】マットレス装置の構成を示すブロック図である。
図5】運動コースについて説明するための図である。
図6】ブロックの一連の動きを説明するための図である。
図7】コース生成部で生成される一の運動コースについて説明する図である。
図8】コース生成部で生成される別の運動コースについて説明する図である。
図9】マットレス装置の使用方法の一例について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1態様のマットレス装置において、前記生成部が、選択した前記ブロックの各々に含まれる動きに関する実行時間、及び、選択した前記ブロックの各々に含まれる動きに関する大きさの少なくとも一方を更に設定してもよい。この構成によれば、運動コースをきめ細かくパーソナライズ化することができ、より一層、使用者が最適な運動を行えるように支援することができる。
【0016】
第1態様のマットレス装置において、前記所定の情報は、前記使用者の睡眠情報、日中の活動に関する情報、使用履歴、過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果、体格、年齢、及び体調に関する情報の少なくとも1種を含んでもよい。この構成によれば、効率よく運動コースをパーソナライズ化することができる。
【0017】
第1態様のマットレス装置において、前記所定の情報は、前記使用者とは異なる使用者の睡眠情報、日中の活動に関する情報、使用履歴、過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果、体格、年齢、及び体調に関する情報の少なくとも1種を更に含んでもよい。この構成によれば、使用者とは異なる使用者の情報を活用することにより、例えば、使用者の情報が十分に蓄積される前の段階等において、使用者が最適な運動を行えるように支援することができる。また、使用者とは異なる使用者の情報を活用することにより、双方の情報の類似点や相違点から、使用者に新規で効果的な運動コースを提供する機会を設けることができる。
【0018】
第1態様のマットレス装置において、睡眠時、入眠潜時、及び離床潜時に用いられるものとしてもよい。本願発明者らは、入眠前と覚醒時におけるマットレス装置による運動が使用者の睡眠の質を向上するうえで効果的であるという新たな知見を得た。上記のマットレス装置によれば、運動コースをパーソナライズ化することにより、使用者の睡眠の質をより向上することができる。
【0019】
第1態様のマットレス装置において、音楽を出力する音楽出力部と、選択された前記ブロックに対応付けられた前記音楽を出力するように前記音楽出力部を制御する音楽制御部と、を更に備えてもよい。このマットレス装置によれば、選択されたブロックに対応付けられた音楽による精神をリラックスさせる作用、精神をリフレッシュさせる作用、ヒーリング作用等と運動との相乗効果を得ることができる。
【0020】
次に、本開示のマットレス装置を具体化した実施形態1について、図1~9を参照しつつ説明する。なお、鉛直方向(上下方向)をZ方向とし、Z方向に垂直な一方向(左右方向)をX方向とし、Z方向及びX方向に垂直な方向(前後方向)をY方向とする。X方向は、マットレス装置1に仰向けに横臥した状態の使用者から見た左右方向である。
【0021】
マットレス装置1は、図1及び図4に示すように、マット本体15と、運動付与部53、体温調整部54、音楽出力部55、映像表示部56、睡眠情報検知部57、制御ユニット8と、を備える。このマットレス装置1は、睡眠時、入眠潜時、及び離床潜時に用いられるものであり、使用者が横臥できる構成となっている。
【0022】
マット本体15は、使用者がその上面に横臥するための身体支持部である。マット本体15は、図2に示すように、例えば、第1クッション層5、ベース層4、第2クッション層10、カバー層(図示せず)がこの順に積層された構成をなす。マット本体15は、各層が前後左右方向に亘ってひとつなぎになって構成されている。マット本体15は、全長195mm程度とされ、使用者の頭部から足部までが収まるサイズとされる。
【0023】
運動付与部53は、使用者の身体に運動を行わせる。運動としては、ストレッチングと称される、全身の筋肉と関節と伸長するような運動を例示できる。その他にも、整体の施術によって付与される骨格のゆがみや異常を整える動きに類する運動、マッサージの施術によって付与される血行をよくし緊張をほぐす動きに類する運動、使用者の体全体あるいは特定の部位を揺らして使用者に気持ちよさや爽快さを感じさせる運動、睡眠時において使用者を覚醒させるような運動、横臥した使用者の起き上がりを補助する運動等を例示できる。
【0024】
運動付与部53は、複数のエアセル(セルの一例)2とエア供給部6とを含む。複数のエアセル2は、ベース層4と第2クッション層10との間に配置される。複数のエアセル2は、マット本体15の所定位置に設けられ、膨張又は収縮して使用者の身体に運動を行わせる。
【0025】
エアセル2は、図2に示すように、エアホース12を介してエア供給部6に連結されている。エアホース12は、マットレス装置1の側面に配設された側材13の内側に沿って配設される。エアセル2は、エア供給部6からエアが供給されることにより膨張するように構成されている。エアセル2には、開閉切り換えが可能である電磁弁が設けられている。電磁弁は、エア供給部6の駆動した状態で開放されることでエア供給部6からのエアをエアセル2に供給し、エア供給部6の駆動を停止した状態で開放されることでエアセル2のエアを排出する。エアセル2は、供給されたエアが抜けると収縮するように構成されている。また、複数のエアセル2は、隣接するエアセル2同士を電磁弁で接続して、一方のエアセル2から他方のエアセル2にエアを移動させる構成としてもよい。このような構成によれば、所定のエアセル2を短時間で大きく膨張又は収縮させることができ、使用者に効果的に運動を付与することができる。
【0026】
複数のエアセル2は、図3に示すように、エアセル22L,22R、エアセル23L,23C,23R、エアセル24L,24R、エアセル25、エアセル26L,26R、エアセル27L,27Rを含んでいる。マット本体15の上面に使用者が仰向けに横臥したときに、エアセル22L,22Rは使用者の頭部の左右に、エアセル23L,23Rは左右の肩部の下に、エアセル23Cは背中の下に、エアセル24L,24Rは腰部の左右に、エアセル24Cは腰部の下に、エアセル25は太ももの下に配置されることが想定されている。エアセル26L,26Rとエアセル27L,27Rは、使用者の体格に応じて配置されることが想定される部位が異なる。例えば、所定の身長以上の使用者においては、エアセル26L,26Rとエアセル27L,27Rのうち、頭部側に位置するエアセル26L,26Rが膝裏付近に、頭部から遠い側に位置するエアセル27L,27Rがふくらはぎ付近に配置されることが想定されている。所定の身長としては、例えば、身長160cmを例示することができる。以下、所定の身長が身長160cmの場合を例にとって説明する。身長160cm未満の使用者においては、エアセル26L,26Rとエアセル27L,27Rのうち、頭部側に位置するエアセル26L,26Rがふくらはぎ付近に配置され、頭部から遠い側に位置するエアセル27L,27Rについては体から外れた位置に配置されることが想定されている。複数のエアセル2は、エアセル保持板3とベース層4と一体化されている。
【0027】
体温調整部54は、図1に示すように、通電によって発熱する複数のヒータ9を含む。複数のヒータ9は、複数の体温調整部の一例である。複数のヒータ9は、第2クッション層10の上面に配置される。第2クッション層10には、複数のヒータ9が配置される位置にヒータ9の外形に倣った凹形状が付与されている。このような構成により、マット本体15に横臥した使用者がカバー層を介してヒータ9に接触して、違和感を覚えないようになっている。複数のヒータ9は、マット本体15の所定位置に設けられ、発熱して使用者の体温を調整する。詳細には、マット本体15の上面に使用者が仰向けに横臥したときに、ヒータ91は使用者の背中の下に配置されることが想定されている。ヒータ92とヒータ93は、使用者の体格に応じて配置されることが想定される部位が異なる。例えば、身長160cm以上の使用者においては、ヒータ92とヒータ93のうち、頭部から遠い側に位置するヒータ93がふくらはぎ付近に配置されることが想定されている。身長160cm未満の使用者においては、ヒータ92とヒータ93のうち、頭部側に位置するヒータ92がふくらはぎ付近に配置されることが想定されている。
【0028】
音楽出力部55は、デジタル信号の音楽43を生成(再生)し、図示しないスピーカから音響出力する。この音楽出力部55は、スマートフォン61等の外部器機に設けられていてもよい。音楽43は、後述する制御ユニット8の記憶部40に予め記憶されていてもよく、また、通信ネットワーク60を介して外部から取得してもよい。音楽43については、後に説明する。
【0029】
映像表示部56は、実行される運動コースに関する映像や、出力される音楽に関する映像を表示する。この映像表示部56は、スマートフォン61等の外部器機に設けられていてもよく、操作部7に設けられてもよい。映像は、後述する制御ユニット8の記憶部40に予め記憶されていてもよく、また、通信ネットワーク60を介して外部から取得してもよい。映像は、特に限定するものではないが、運動コースに関する映像として、模式的な人体において運動が付与されている部位を表す表示を例示できる。また、出力される音楽に関する映像として、出力される音楽のテンポを表す表示を例示できる。
【0030】
睡眠情報検知部57は、図3に示すように、体動センサ11とマイク14(図4参照)を含む。体動センサ11は、空気圧の変化を読み取るためのエアバック状の圧力センサであり、マット本体15の左端部から右端部までX方向に伸びた棒形状をなしている。体動センサ11は、エアセル23L,23C,23Rとエアセル24L,24C,24Rの間に配置され、使用者の背中と腰部との間に配置されることが想定されている。体動センサ11は、睡眠時の使用者の体動(体の動きや振動や呼吸数や心拍数や脈拍数によっての微妙な変化)を検知するように構成される。マイク14は、睡眠時の使用者から生じる音(いびき等の睡眠情報)を検知するように構成される。このマイク14は、スマートフォン61等の外部器機に設けられていてもよい。マイク14は、音声認識機能のために用いられてもよく、その場合には操作部7のかわりに音声によりマットレス装置1を操作することもできる。
【0031】
制御ユニット8は、図4に示すように、制御部30、記憶部40、送受信部51、取得部52を備えている。制御ユニット8は、図示しないCPU(Central Processing Unit)及びメモリを含み、マットレス装置1全体を制御する。
【0032】
制御部30は、運動制御部31、コース生成部32、温度制御部33、音楽制御部34、表示制御部35、睡眠状態評価部36を有している。本実施形態では、サーバ装置70のサーバ制御部73も、コース生成部32を有している。これらのコース生成部32は、使用者に応じた運動コースを生成する生成部の一例である。運動制御部31とコース生成部32は、複数のエアセル2の動作を制御する制御部を構成する。各部の構成については、後に説明する。
【0033】
記憶部40には、ブロック群41、ユーザ情報42、音楽43、起床予定時刻44等のデータが格納されている。
送受信部51は、スマートフォン61、通信ネットワーク60等を介して外部にデータを送信し、外部のデータを受信する。送受信部51は、外部のサーバ装置70のサーバ記憶部71に記憶された他のユーザ情報72や、サーバ制御部73のコース生成部32で生成された運動コースを受信する。他のユーザ情報72は、使用者とは異なる使用者の睡眠情報、日中の活動に関する情報、使用履歴、過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果、体格、年齢、及び体調に関する情報の少なくとも1種を含む。「使用者とは異なる使用者」とは、マットレス装置1を使用する特定多数の使用者のことである。「使用者とは異なる使用者」が使用するマットレス装置1は、このマットレス装置1と同じ仕様の他のマットレス装置1を含む。以下、「使用者とは異なる使用者」のことを単に、他の使用者と称する。他の使用者の睡眠情報等は、後述する使用者の睡眠情報等と同様でありその説明を省略する。また、送受信部51は、ユーザ情報42のうち使用者に送信を許可された情報を外部のサーバ装置70に送信する。
取得部52は、睡眠情報検知部57で検知した使用者の睡眠情報を所定時間間隔で取得する。取得された睡眠情報は、ユーザ情報42として記憶部40に記憶される。これにより、ユーザ情報42として、当日1日の睡眠時の使用者の睡眠情報が記憶されるとともに、過去の睡眠時の使用者の睡眠情報が蓄積されることになる。
【0034】
ブロック群41は、コース生成部32で運動コースを生成するための情報を含む。ブロック群41は、一連の動きをブロック化した複数種類のブロックA,ブロックB・・・からなる。各ブロックは、エアセル2の膨張及び収縮のテンポにより分類されていてもよい。また、各ブロックは、例えば、リラックス、リフレッシュ、ヒーリング等の種類に分類されていてもよい。ブロック群は、サーバ装置70のサーバ記憶部71に記憶されていてもよい。図5は、運動コースの初期設定の一例を表す図であり、コース名が各運動コースに相当し、コースの流れに記載の「からだ揺らし」等がブロックに相当し、これらのブロックの順番が運動コースの流れを表す。図6は、複数種類のブロックの具体例について説明するための図であって、ブロックの一例として「腰ひねり」、「クロスひねり」、及び「上半身起こし」を示した図である。図6は、左から右に向かって時間経過を示し、左から順に、時間t1,t2,t3,…とする。なお、図6において、ハッチングされたエアセルは膨張していることを示し、ハッチングされていないエアセルは膨張していないことを示している。
【0035】
図6を参照して、「腰ひねり」のブロックの動きについて説明する。運動制御部31は、時間t1に左右腰及び腰中央の下のエアセル24L,24C,24Rを膨張させ、時間t2に左腰及び腰中央の下のエアセル24L,24Cを膨張させ、時間t3に右腰及び腰中央の下のエアセル24C,24Rを膨張させ、時間t4に左腰及び腰中央の下のエアセル24L,24Cを膨張させ、時間t5に右腰及び腰中央の下のエアセル24C,24Rを膨張させる。時間t2~t5の制御により、使用者には、腰部が左右にひねられるストレッチが実行される。なお、時刻t1の制御により、使用者は腰部がエアセル24L,24C,24Rによって持ち上げられた位置に一致するようにマット本体15上面での位置を調整することができる。
【0036】
図6を参照して、「クロスひねり」のブロックの動きを説明する。運動制御部31は、時間t1に左右肩及び左右腰の下のエアセル23L,23R,24L,24Rを膨張させ、時間t2に左肩及び右腰の下のエアセル23L,24Rを膨張させ、時間t3に右肩及び左腰の下のエアセル23R,24Lを膨張させ、時間t4に左肩及び右腰の下のエアセル23L,24Rを膨張させ、時間t5に右肩及び左腰の下のエアセル23R,24Lを膨張させる。時間t2~t5の制御により、使用者には、腰部と肩部とが互いに逆側に左右にひねられるストレッチが実行される。なお、時刻t1の制御により、使用者は左右肩及び左右腰部がエアセル2によって持ち上げられた位置に一致するようにマット本体15上面での位置を調整することができる。
【0037】
図6を参照して、「上半身起こし」のブロックの動きを説明する。運動制御部31は、頭部左右、左右肩、及び背中の下のエアセル22L,22R,23L,23C,23Rを膨張させる。この制御により、使用者には、上半身が持ち上げられる向きの力が働く。
【0038】
ブロック群41は、使用者の体格に応じたブロックセットを含んでいてもよい。ブロック群41は、身長160cm未満の使用者に対応したブロックGと、身長160cm以上の使用者に対応したブロックHを含んでいる(図8参照)。ブロックHは、ブロックGの一連の動きの中でエアセル26L,26Rを駆動するのに変えて、エアセル27L,27Rを駆動する動きとなっている。このような身長に応じたブロックG,Hのセットを含むことで、例えば、上半身の運動に関連するブロックについては身長が高い使用者と身長が低い使用者とで共通とし、下半身の運動に関連するブロックについては、身長に応じたブロックを適宜選択して、運動コースを設定することができる。
【0039】
ユーザ情報42は、使用者の睡眠情報、日中の活動に関する情報、使用履歴、過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果、体格、年齢、及び体調に関する情報の少なくとも1種を含む。使用者の睡眠情報は、取得部52によって取得された使用者の睡眠情報(一次情報)や、後述する睡眠状態評価部36で評価された使用者の睡眠情報(二次情報)を例示できる。日中の活動に関する情報は、日中に行った運動コースに関する情報や、日中に行ったマットレス装置1以外の運動器具の使用に関する情報、日中に歩いた歩数に関する情報、職業(デスクワーク、立ち仕事、外回り等)に関する情報等を例示できる。なお、「日中」とは、使用者が目覚めてから、就寝するまでの間の期間とすることができる。マットレス装置1以外の運動器具の使用に関する情報、日中に歩いた歩数に関する情報、職業に関する情報は、スマートフォン61等を介して、送受信部51を介して取得することができる。使用履歴は、使用者がマットレス装置1において実行した運動コースに関する情報であり、運動コースを実行した頻度や、運動コースを中断した頻度等を例示できる。運動コースを実行した頻度が高い程、運動コースの好ましい評価として参酌され、運動コースを中断した頻度が高い程、運動コースの好ましくない評価として参酌され得る。過去に使用した際に取得した官能評価の評価結果は、運動コースが良かった否かについて、使用者自身がスコア付けした結果等に関する情報を例示できる。官能評価の結果は、使用者自身がスマートフォン61等に備えられたアプリケーションに入力することにより、送受信部51を介して取得することができる。使用者の体格、年齢、及び体調に関する情報は、使用者自身がスマートフォン61等に備えられたアプリケーションに入力することにより、送受信部51を介して取得することができる。体格には、身長、体重、脚の長さ、胴体幅、腕の長さ等を含み得る。
【0040】
音楽43は、特に限定するものではないが、一般的な音楽の他に、自然音(波の音や、風の音など)、音声などを含みうる。音楽43は、ブロックに対応付けられている。例えば、音楽43のテンポが、ブロックの動作のテンポと対応付けられてもよい。また、音楽43のリラックス、リフレッシュ、ヒーリング等の種類が、ブロックの運動効果の種類と対応付けられてもよい。具体的に、1/fの揺らぎのリズムを含むリラクゼーション効果を奏する音楽43が、1/fの揺らぎの動作を実行するリラクゼーション効果を奏するブロックと対応付けられてもよい。その他にも、音楽43の音量が、ブロックの動作の大きさと対応付けられてもよい。
【0041】
音楽43は、自律神経のバランスを整えるという観点、あるいは、リラクゼーション効果を高めるという観点において、538Hzの周波数音を多く含む音楽であることが好ましい。538Hzの周波数の音は、一般的に、自律神経のバランスを整える効果やリラクゼーション効果があるといわれている。このような音楽を、自律神経のバランスを整える作用を奏するブロックと対応付けたり、リラクゼーション作用を奏するブロックと対応付けたりすることにより、運動と音楽の相乗効果が期待できる。
【0042】
続いて、運動制御部31、コース生成部32、温度制御部33、音楽制御部34、表示制御部35、睡眠状態評価部36の構成について説明する。
運動制御部31は、運動コースに基づいて、運動付与部53の動作を制御する。運動制御部31がエアセル2の電磁弁を開放し、かつ、エア供給部6を駆動させることで、複数のエアセル2のうちの開放した電磁弁に接続されているエアセル2が膨張する。これにより、マット本体15の上面に横臥していた使用者の、膨張したエアセル2の上方に位置する部位が持ち上がる。運動制御部31がエア供給部6を駆動し続けることでエアセル2の最大の膨張状態を維持することができる。また、運動制御部31がその後にエア供給部6の駆動を停止し、かつ、エアセル2の電磁弁を閉鎖することによって上記エアセル2の膨張状態が維持され、その結果、使用者の身体の一部が持ち上げられた状態が維持される。運動制御部31が、エア供給部6の駆動を停止した状態でエアセル2の電磁弁を開放することで、複数のエアセル2のうちの開放した電磁弁に接続されているエアセル2内の空気が排気され、膨張が収縮する。これにより、マット本体15の上面に横臥していた使用者の、このエアセル2に押し上げられていた部位が元の位置に戻る。
【0043】
コース生成部32は、所定の情報に基づいて、一連の動きをブロック化した複数種類のブロックから複数のブロックを選択し、選択したブロックを配列することにより、運動コースを生成する。本実施形態のコース生成部32は、選択したブロックの各々に含まれる動きに関する実行時間、及び、選択したブロック各々に含まれる動きに関する大きさの少なくとも一方を更に設定することにより、運動コースを生成する。「複数種類のブロック」は、少なくとも2種以上であり、マットレス装置1において実行し得る最大数Nのブロックとして規定することができる。「複数種類のブロック」の各々は、ブロック群41に備えられていてもよく、販売元等から随時提供されてもよく、また、AI機能を用いて新規に生成してもよい。以下の説明では、「複数種類のブロック」がブロック群41に備えられてるものとして、コース生成部32で実行される制御について説明する。「複数のブロック」は、2以上であり、マットレス装置1において実行し得る最大数N以下の任意の数nのブロックとすることができる(2≦n≦N)。「複数のブロック」は、2種以上のブロックであってもよく、複数の同一種類のブロックであってもよい。「所定の情報」は、ユーザ情報42、他のユーザ情報72、マットレス装置1の使用地域に関する情報、気温、湿度等を含むマットレス装置1の使用環境に関する情報、販売元より提供される各種情報等を含みうる。マットレス装置1の使用地域に関する情報、マットレス装置1の使用環境に関する情報、販売元より提供される各種情報等は、通信ネットワーク60を介して外部のサーバ装置70から取得してもよい。
【0044】
図7を参照して、コース生成部32による運動コースAの生成を説明する。運動コースAは、初期設定においてブロックA、ブロックB、ブロックC、ブロックD、ブロックEを含み、この順番で運動が実行される。コース生成部32は、このマットレス装置1の使用者の運動コースAとして、所定の情報に基づいて、ブロック群41からブロックA、ブロックD、ブロックE、ブロックFを選択する。コース生成部32によるブロックの選択の制御については、後に例を挙げて具体的に説明する。
【0045】
コース生成部32は、所定の情報に基づいて、選択したブロックA、ブロックD、ブロックE、ブロックFの順番を設定し、例えば、運動コースAをブロックA、ブロックF、ブロックE、ブロックDの順番とする。ブロックの順番は、初期設定におけるブロックの順番を基本として、所定の情報に基づいて新たに選択したブロックを初期設定から削除されたブロックに変えて行うようにしてもよい。例えば、初期設定において削除されたブロックBの番に、新たに選択したブロックFを行うようにしてもよい。また、ブロックの順番は、考え得るブロックの順番の各々について所定の情報から優先度を算出し、最も優先度の高いブロックの順番に決定してもよい。例えば、初期設定のようにブロックDの後にブロックEを行う順番の優先度より、ブロックEの後にブロックDを行う順番の優先度が高く算出された場合に、ブロックEの後にブロックDを行う順番としてもよい。
【0046】
コース生成部32は、所定の情報に基づいて、選択したブロックA、ブロックF、ブロックE、ブロックDの各々の実行時間を設定し、例えば、運動コースAにおいてブロックAを2回繰り返して実行することにより、ブロックAの実行時間を初期設定より長くする。なお、ブロックの実行時間は、各ブロックの繰り返し回数を変える他にも、各ブロックが実行される時間を指定するタイマを設定し、タイマが終了するまで所定の動きを繰り返すようにして変更してもよい。例えば、上述した「腰ひねり」や「クロスひねり」のブロックの動きにおいて、タイマが終了するまで時間t2~t5を繰り返し行うようにしてもよい。さらに、ブロックの実行時間は、各ブロックにおけるの一つの動きに要する時間tの長さを調整するものであってもよい。例えば、上述した「腰ひねり」、「クロスひねり」、又は「上半身起こし」のブロックの動きにおいて、所定のエアセル2の膨張及び収縮に要する時間t1,t2,・・・の時間を長くし、あるいは短くしてもよい。
【0047】
コース生成部32は、所定の情報に基づいて、選択したブロックA、ブロックF、ブロックE、ブロックDの各々の動きの大きさを設定し、例えば、運動コースAにおいてブロックDの動きの大きさを初期設定のブロックDの動きの大きさより小さくする。なお、ブロックの動きの大きさが予め設定されている場合には、膨張及び収縮するエアセル2が同様で膨張及び収縮の大きさが異なるブロックセットを用意しておき、これらのブロックセットから選択するブロックの種類を変更して、ブロックの動きの大きさを変えてもよい。
【0048】
なお、コース生成部32は、選択したブロックの順番、選択したブロックの各々の実行時間、及び選択したブロック各々の動きの大きさ以外の運動コースの内容を設定してよい。例えば、コース生成部32は、所定の情報に基づいて、選択したブロックの各々の動きの速さを設定してもよい。図5に示す運動コース「めぐりケア」において、ブロック「肩揺らし3」はブロック「肩ひねり3」の動きを速くした内容である。コース生成部32は、所定の情報に基づいて、ブロック「肩揺らし3」とブロック「肩ひねり3」のいずれかを選択して、選択したブロックの各々の動きの速さを設定することができる。
【0049】
選択したブロックの順番の変更は、ブロックの調整(例えば、ブロックの一連の動きの時間、大きさ、速さの変更)をすることなく行うことができる。また、選択したブロックの各々の実行時間、及び、選択したブロック各々の動きの大きさの変更は、各部ブロックを適宜調整することにより行うことができる。
【0050】
図5を参照して、コース生成部32で生成される運動コースの具体例について説明する。コース生成部32は、例えば、後述する睡眠状態評価部36で評価した使用者の睡眠情報に基づいて、睡眠が深い眠りであったと判定されたときには、適切な運動コースとして「おはようコース」に記載の各ブロックを選択し、生成された「おはようコース」が、使用者が起床し操作部7のSTARTボタンを押圧した際に実行されるようになっている。一方、睡眠状態評価部36で、評価された使用者の睡眠情報に基づいて、睡眠が浅い眠りであったと判定されたときには、適切な運動コースとして「気分スッキリコース」に記載の各ブロックを選択し、生成された「気分スッキリコース」が、使用者が起床し操作部7のSTARTボタンを押圧した際に実行されるようになっている。
【0051】
コース生成部32は、AI機能を有し、このAI機能に基づいて、複数のブロックを選択して、運動コースを生成してもよい。このような高度な演算が要求される機能は、サーバ装置70のコース生成部32に具備されることが好ましい。従来のマットレス装置1では、マットレス装置1に予め装備される機能について検討されていたとしても、AI機能を用いて、マットレス装置1に予め装備された機能とは異なる機能を発揮させることについては十分に検討されていない。このAI機能は、マッサージ装置の他の使用者に関する情報である他のユーザ情報72の解析に好適である。他のユーザ情報72は、マットレス装置1の普及や各使用者における使用期間の増大により膨大なデータ(ビックデータ)として蓄積される。このマットレス装置1は、他の使用者の情報を活用することにより、例えば、ユーザ情報42が十分に蓄積される前の段階等において、使用者が最適な運動を行えるように支援することができる。また、他の使用者の情報と使用者情報の双方を活用することにより、双方の情報の類似点や相違点から、使用者に新規で効果的な運動コースを提供する機会を設けることができる。
【0052】
コース生成部32は、生成した運動コースが使用者に対して与える影響を学習するものであってもよい。例えば、コース生成部32は、所定の運動コースを実行した場合に得られた客観的な評価、主観的な評価、及び他の使用者の評価を、予め定められた重み付けした配分で加算し、その加算結果が閾値以上であるか否かによって、運動コースの評価が良かったか否かを判断する。客観的な評価は、睡眠状態評価部36で得られた評価等である。主観的な評価は、使用者の官能評価の評価結果等である。他の使用者の評価は、通信ネットワーク60を介して取得された、他の使用者における客観的な評価及び官能評価の評価結果の少なくとも一方である。コース生成部32は、運動コースの評価が良ければ、実行された運動コースを良好なものとして学習する。この場合、例えば、選択されたブロックの優先順位やこれらのブロックの順番、実行時間、動きの大きさの優先順位を上げて、次回以降の運動コース生成時に候補順位を高くするような構成とする。コース生成部32は、運動コースの評価が良くなければ、実行された運動コースを良好でないものとして学習する。この場合、例えば、選択されたブロックの優先順位やこれらのブロックの順番、実行時間、動きの大きさの優先順位を下げて、次回以降の運動コース生成時に候補順位を低くするような構成とする。このような学習によって使用者に適合するブロックが選択されやすくなり、使用者に最適な運動コースを生成することができる。
【0053】
また、コース生成部32は、使用者の体格、年齢、及び体調に関する情報に基づいて、予め定められ条件式から選択するブロックを決定してもよい。このような基本的で、かつ、比較的簡易な演算で実現される機能は、制御ユニット8のコース生成部32に具備されることが好ましい。例えば、コース生成部32は、使用者の身長に基づいて、選択するブロックを決定してもよい。また、コース生成部32は、体調に関する情報に基づいて、腰痛の既往歴があるか否かを判断して、腰部の運動に関するブロックの運動の大きさを設定してもよい。
【0054】
具体的には、コース生成部32は、図8に示すように、ユーザ情報42に含まれる使用者の身長に基づいて、使用者の身長が160cm以上か否かを判断し、身長160cm未満の使用者に対応したブロックGを含む運動コースBと、身長160cm以上の使用者に対応したブロックHを含む運動コースCを生成する。このコース生成部32で生成された運動コースに基づいて、運動制御部31がエアセル2及びエア供給部6を駆動する。このようにして、運動制御部31及びコース生成部32で構成される制御部は、使用者の体格に応じて、複数のエアセル2から膨張又は収縮させるエアセル2を選択する。
【0055】
温度制御部33は、複数のヒータ9の動作を制御する。温度制御部33は、使用者の体格に応じて、複数のヒータ9から発熱させるヒータ9を選択する。具体的には、温度制御部33は、使用者の身長が160cm以上か否かを判断し、身長160cm未満の使用者についてはヒータ92を発熱させ、身長160cm以上の使用者についてはヒータ93を発熱させる制御を実行する。温度制御部33は、マットレス装置1の販売元等によって作成されたプログラムや、使用者が操作部7を操作することによって、ヒータ9のON/OFFや加熱の程度を設定する。温度制御部33も、コース生成部32と同様に、AI機能に基づいて、発熱させるヒータ9の選択や、ヒータ9の設定温度について学習してもよい。
【0056】
音楽制御部34は、選択されたブロックに対応付けられた音楽43を出力するように音楽出力部55を制御する。音楽制御部34は、運動コースを構成するブロックの流れに沿って一連の音楽を生成し、所定のブロックと同期して対応付けられた音楽が出力されるように制御する。音楽制御部34は、コース生成部32で生成された運動コース全体で発生するのエアセル2の膨張及び収縮のテンポを運動コースの実行前に分析し、分析結果に基づいて、複数の音楽43の中から所定の音楽を選択してもよい。例えば、この分析結果に基づいて、運動コースにおけるブロック間で生じるのテンポと音楽のテンポとのギャップが少なくなるような音楽を選択し、出力することで、運動と音楽によるリラクゼーション効果を高める作用が期待できる。
【0057】
音楽制御部34は、例えば、エアセル2が膨張及び収縮するテンポと音楽43のテンポを同調させる制御をおこなってもよい。仮に、エアセル2が膨張及び収縮するテンポと音楽43のテンポがズレている場合には、使用者が違和感を覚え、リラックス状態が中断されることが懸念される。マットレス装置1は、エアセル2が膨張及び収縮するテンポと音楽43のテンポを調和させることにより、使用者に意図しない外部刺激を与えることなく、使用者をリラックス状態に導くことができる。また、睡眠前のストレッチ(例えば、図5のおやすみコース)に関しては、ブロック間のテンポ及び音楽43のテンポをスムーズに推移させ、意図的に使用者に運動内容の変更を認識させないようにすることができる。また、起床後や日中などのストレッチ(例えば、図5のおはようコースや姿勢改善コース)に関しては、実行されるブロックが変わった場合、音楽43のテンポが変わることで、使用者に運動内容の変更を認識させるようにすることができる。
【0058】
また、音楽制御部34は、例えば、1/fの揺らぎの動作を実行するブロックと同期して、1/fの揺らぎのリズムを含む音楽が出力されるように制御してもよい。この場合には、聴覚と触覚とにより1/fの揺らぎを感知することができ、リラクゼーション効果を高める作用が期待できる。
【0059】
表示制御部35は、選択されたブロックに対応付けられた映像を出力するように映像表示部56を制御する。このような映像としては、選択されたブロックにおいて、運動が付与される部位を示す表示等を例示できる。また、表示制御部35は、出力される音楽に対応付けられた映像を出力するように映像表示部56を制御する。このような映像としては、出力される音楽のテンポに同調して、経時変化する映像等を例示できる。表示制御部35は、運動に関する映像と音楽に関する映像が同時に表示させることで、使用者に運動と音楽がリンクする様子を視覚的に認識させることができる。
【0060】
睡眠状態評価部36は、記憶部40に記憶された使用者から生じる音(睡眠情報の一例)及び使用者の体動情報(睡眠情報の他の例)に基づいて、使用者の睡眠状態を評価する制御を行う。例えば、使用者から生じる音(睡眠情報)及び使用者の体動情報(睡眠情報)を用いて、就寝時刻、入眠時刻、入眠潜時、覚醒時刻、起床時刻、離床潜時、中途覚醒時間、中途覚醒回数、総睡眠時間、寝返り回数、体動数、無呼吸時間、呼吸数、脈拍数、心拍数を、例えばカーネル法等を用いて睡眠状態として算出する。このとき、生じる音(睡眠情報)だけで睡眠状態を評価してもよく、使用者の体動情報(睡眠情報)だけで睡眠状態を評価してもよく、生じる音(睡眠情報)と使用者の体動情報(睡眠情報)とで睡眠状態を精度良く評価することができる。
【0061】
尚、就寝時刻とは、使用者が寝床に入った時刻である。入眠時刻とは、使用者が寝入った時刻である。入眠潜時とは、使用者が寝床に入ってから寝入るまでの時間である。覚醒時刻とは、使用者が最終的に覚醒した時刻である。起床時刻とは、使用者が最終的に寝床を離れた時刻である。離床潜時とは、使用者が最終的に覚醒してから寝床を離れるまでの時間である。中途覚醒時間とは、入眠時刻から覚醒時刻までの間の覚醒時間の合計である。中途覚醒回数とは、入眠時刻から覚醒時刻までの間の覚醒回数である。総睡眠時間とは、入眠時刻から覚醒時刻までの時間から中途覚醒時間を引いた時間である。寝返り回数とは、中途覚醒時を含まない入眠時刻から覚醒時刻までの間の寝返りの回数である。体動数とは、中途覚醒時を含まない入眠時刻から覚醒時刻までの間の体動(粗体動と細体動)の回数である。無呼吸時間とは、入眠時刻から覚醒時刻までの間の無呼吸状態の合計時間である。呼吸数とは、睡眠中の使用者の呼吸数である。脈拍数とは、睡眠中の使用者の脈拍数である。心拍数とは、睡眠中の使用者の心拍数である。
【0062】
次に、本発明に係るマットレス装置1の使用方法の一例について、図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、使用者は、マットレス装置1の上面に横臥すると、睡眠する前に操作部7を用いて起床予定時刻44(例えば平日7時)を設定する(ステップS101)。
尚、マットレス装置1に、毎日の起床予定時刻として、起床予定時刻(例えば7時)は予め設定されていてもよい。
【0063】
次に、使用者が、睡眠する前に心地よい就寝が提供されるようにマッサージを行うために、操作部7のSTARTボタンが押圧されたか否かを判定する(ステップS102)。
STARTボタンが押圧されたと判定したときには、操作部7を用いて選択された「おやすみコース」が実行される(ステップS103)。この「おやすみコース」は、コース生成部32によって使用者に応じて生成された運動コースの一例である。
そして、「おやすみコース」が所定時間(7分~10分)、実行されると、「おやすみコース」が実行されることを終了する(ステップS104)。
これにより、使用者の副交感神経が刺激されて、入眠が促進される。
【0064】
ステップS104の処理が終了するか、若しくは、ステップS102の処理においてSTARTボタンが押圧されていないと判定したとき(すなわち、睡眠する前に何もせず睡眠したとき)には、使用者が睡眠すると、マイク14によって使用者から生じる音(睡眠情報)が所定時間間隔で取得されて記憶部40に記憶されるとともに、体動センサ11によって使用者の体動情報(睡眠情報)が所定時間間隔で取得されて記憶部40に記憶される(ステップS105)。
【0065】
次に、制御部30は、設定された起床予定時刻44の前(例えば6時50分)で、睡眠情報から使用者を起床させるのに最適となった状態であるか否かを判定する(ステップS106)。
最適となった状態でないと判定したときには、ステップS105の処理に戻る。
一方、最適となった状態であると判定したときには、制御部30は、睡眠している状態から使用者を起床させるために、身体をひねる様なマッサージ動作ではなく、頭部~足部にかけて順番に動かす動作(起床させる動作)となる「おはようウェーブ」を行う(ステップS107)。この「おはようウェーブ」は、コース生成部32によって使用者に応じて生成された運動コースの他の例である。
【0066】
次に、制御部30は、使用者が起床し操作部7のSTOPボタンが押圧されたか否かを判定する(ステップS108)。
STOPボタンが押圧されていないと判定したときには、ステップS107の処理を繰り返す。
一方、STOPボタンが押圧されたと判定したときには、おはようウェーブを停止させる(ステップS109)。
【0067】
次に、制御部30は、操作部7のSTARTボタンが押圧されたか否かを判定する(ステップS110)。
STARTボタンが押圧されたと判定したときには、睡眠状態評価部36は、記憶部40に記憶された使用者から生じる音(睡眠情報の一例)及び使用者の体動情報(睡眠情報の他の例)に基づいて、使用者の睡眠状態を評価し、制御部30は、使用者に爽快な目覚めが提供されるように、複数のマッサージコースの内から一のマッサージコースを選択し、選択したマッサージコースを実行させる(ステップS111)。このマッサージコースは、コース生成部32によって使用者に応じて生成された運動コースの他の例である。
これにより、使用者の副交感神経が刺激されて、すっきり目覚めることができる。
【0068】
ステップS111の処理が終了するか、若しくは、ステップS110の処理においてSTARTボタンが押圧されていないと判定したとき(すなわち、朝時間がなくマッサージを実行しなかったとき)には、本フローチャートを終了させる。
【0069】
以上説明したように、本開示に係るマットレス装置1によれば、運動コースをパーソナライズ化することができ、使用者が最適な運動を行えるように支援することができる。運動コースをパーソナライズ化する手法としては、予め設定された運動コースの種類を増やす手法も考えられる。しかし、そのような手法では、記憶部40の容量を大きくせざるを得ず、また、きめ細かいパーソナライズ化に限界がある。本開示のマットレス装置1は、ブロック群41からブロックを選択して、運動コースを生成する手法を採ることにより、記憶部40の容量を過度に大きくすることなく、きめ細かいパーソナライズ化を実現することができる。この際、特に、使用者の睡眠の質(使用者に合った睡眠)を判定評価して、評価結果に基づいてエアセル2の制御方法(最適なマッサージコース)を示すことで、睡眠の質を向上させることができる。例えば、使用者が睡眠する前にマッサージを行うことで、心地よい就寝を提供し、使用者が起床した後にマッサージを行うことで、爽快な目覚めを提供する。
【0070】
なお、本発明に係るマットレス装置1は、使用者の睡眠情報とは関係なく、単にマッサージ装置として使用することができ、上述したように使用者の睡眠情報に基づいて、使用者に適切なマッサージを施すように動作するマッサージ装置としても使用することができる。
【0071】
<他の実施形態>
マット本体は、ベッド用のマットレス等であってもよい。マット本体は、前後又は左右に分割された複数の部分を有して構成されてもよい。マット本体は、いわゆるダブルサイズとされ、左右に2人の使用者が横臥できる構成であってもよい。この場合には、マットレス装置は、互いに独立した2つの運動付与部を有していてもよい。
【0072】
マットレス装置は、エアセルに替えて、アクチュエータで構成されたセルや液体などの流体を充填するセル(流体セル)を備えてもよい。アクチュエータは、たとえば、モータ駆動アクチュエータ、エアシリンダ又は油圧シリンダなどの流体アクチュエータを例示できる。
【0073】
マットレス装置は、ヒータに替えて、吸熱して使用者の体温を調整する調整部を備えてもよい。そのような調整部は、ペルティエ素子や、マットレス装置外の空気を送風して気化熱により吸熱する構成等を例示できる。
【0074】
マットレス装置は、体温調整部、音楽出力部、映像表示部を備えていなくてもよく、また、その他の機能部を更に備えていてもよい。
【0075】
送受信部はスマートフォンに変えて、タブレット端末等の情報通信機器を介して通信ネットワークに接続されてもよい。
【0076】
睡眠情報検知部は、マイク及び体動センサを含むものに限定されない。睡眠情報検知部は、体動センサのみを含んでいてもよく、その他に、体温計、脳波測定器、超音波検出器等を更に含んでいてもよい。
【0077】
コース生成部は、マットレス装置の制御部及びサーバ装置のサーバ制御部の一方に設けられていてもよい。また、コース生成部は、スマートフォンに設けられていてもよい。また、コース生成部が運動コースを生成する態様は上記した以外にも変更可能である。例えば、コース生成部は、選択したブロックの順番、選択したブロックの各々の実行時間、及び選択したブロックの各々の動きの大きさのうち、選択したブロックの順番のみを設定してもよい。また、コース生成部は、マットレス装置が通信ネットワークに接続されない使用環境等において、他のユーザ情報を含まない情報のみから運動コースを生成してもよい。
【0078】
制御部の各部が実行する制御は上述したものに限られない。また、制御部は、運動制御部、コース生成部、温度制御部、音楽制御部、映像制御部、睡眠状態評価部のうち一部の機能のみを備えていてもよく、また、その他の制御を行う機能を更に備えていてもよい。また、制御部の各部は、制御ユニットの制御部以外に設けられていてもよい。例えば、睡眠状態評価部は、サーバ装置やスマートフォンに設けられていてもよい。
【0079】
上記実施形態では、温度制御部が身長に応じて、複数の体温調整部から発熱又は吸熱させる体温調整部を選択する制御を例示したがこれに限られない。温度制御部は、身長以外の脚の長さ、胴体幅、腕の長さに応じて体温調整部を選択してもよい。また、選択される体温調整部の位置は脚部に対応する位置に限られない。
【0080】
上記実施形態では、温度制御部が身長に応じて、複数のエアセルから膨張又は収縮させるエアセルを選択する制御を例示したがこれに限られない。温度制御部は、身長以外の脚の長さ、胴体幅、腕の長さに応じてエアセルを選択してもよい。また、選択されるエアセルの位置は脚部に対応する位置に限られない。
【符号の説明】
【0081】
1…マットレス装置
2…エアセル(セル)
9…ヒータ(体温調整部)
15…マット本体
31…運動制御部(制御部の一部)
32…コース生成部(生成部、制御部の他の一部)
33…温度制御部
34…音楽制御部
42…ユーザ情報
53…運動付与部
55…音楽出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9