(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】火災検出システム及び中継器
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20240104BHJP
G08B 29/16 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B29/16
(21)【出願番号】P 2019234742
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】茶志川 孝和
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彰久
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02457307(GB,A)
【文献】特開平06-259688(JP,A)
【文献】特開2001-357481(JP,A)
【文献】特開2019-128626(JP,A)
【文献】特開昭54-083396(JP,A)
【文献】特開昭63-158691(JP,A)
【文献】特開昭63-262799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1火災感知器と、前記第1火災感知器の状態を示す情報を受信する受信機と、前記受信機と前記第1火災感知器とを接続する第1感知器配線の末端に設けられた第1中継器と、前記第1感知器配線と異なり前記第1中継器と前記受信機とを接続する中継器配線と、を備え、
前記第1中継器は、
前記第1火災感知器が火災を感知したことを検出する第1火災検出部と、
前記第1感知器配線が断線したことを検出する第1断線検出部と、
前記第1感知器配線が断線したことを前記第1断線検出部が検出した後に、前記第1火災感知器が火災を感知したことを前記第1火災検出部が検出した場合に、前記中継器配線を介して、火災を検出したことを前記受信機に通知する第1制御部と、
を有し、
前記受信機は、
前記第1火災感知器が火災を感知したことを特定する第1感知器用特定部と、
前記第1中継器が火災を検出したことを特定する中継器用特定部と、
を有する、
火災検出システム。
【請求項2】
前記第1感知器配線が断線したことを前記第1断線検出部が検出していない間は、前記第1火災感知器が火災を感知したことを前記第1火災検出部に検出させず、前記第1感知器配線が断線したことを前記第1断線検出部が検出した場合に、前記第1火災感知器が火災を感知したことを前記第1火災検出部に検出させるように前記
第1中継器の動作を切り替える切替部をさらに有する、
請求項1に記載の火災検出システム。
【請求項3】
前記第1感知器配線と前記第1中継器との間に設けられた主終端器と、
前記中継器配線と前記第1中継器との間に設けられた副終端器と、
をさらに有する、
請求項1又は2に記載の火災検出システム。
【請求項4】
前記第1火災感知器と異なる第2火災感知器と、
前記受信機と前記第2火災感知器とを接続する第2感知器配線の末端に設けられており、かつ前記中継器配線を介して前記受信機に接続された第2中継器と、
をさらに有し、
前記受信機は、前記第2火災感知器が火災を感知したことを特定する第2感知器特定部をさらに有し、
前記第2中継器は、
前記第2火災感知器が火災を感知したことを検出する第2火災検出部と、
前記第2火災感知器が接続された第2感知器配線が断線したことを検出する第2断線検出部と、
前記第2感知器配線が断線したことを前記第2断線検出部が検出した後に、前記第2火災感知器が火災を感知したことを前記第2火災検出部が検出した場合に、前記中継器配線を介して、火災を検出したことを前記受信機に通知する第2制御部と、
を有する、
請求項1又は2に記載の火災検出システム。
【請求項5】
前記第1感知器配線と前記第1中継器との間に設けられた第1主終端器と、
前記第2感知器配線と前記第2中継器との間に設けられた第2主終端器と、
前記第1中継器及び前記第2中継器のうち前記受信機から遠い中継器に設けられた副終端器と、
をさらに有する、
請求項4に記載の火災検出システム。
【請求項6】
火災感知器と前記火災感知器の状態を示す情報を受信する受信機とを接続する感知器配線と、前記感知器配線と異なり前記受信機に接続された中継器配線と、に接続される中継器であって、
前記火災感知器が火災を感知したことを検出する火災検出部と、
前記感知器配線が断線したことを検出する断線検出部と、
前記感知器配線が断線したことを前記断線検出部が検出した後に、前記火災感知器が火災を感知したことを前記火災検出部が検出した場合に、前記中継器配線を介して、火災を検出したことを前記受信機に通知する制御部と、
を有する中継器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検出する火災検出システム、及び火災検出システムが備える中継器に関する。
【背景技術】
【0002】
火災検出システムが備える火災感知器が火災を感知した場合、火災感知器と火災受信機とを接続する信号線を介して、火災感知器による感知結果が火災受信機に通知される。特許文献1には、信号線の断線により火災感知器による感知結果が火災受信機に通知されなくなることを防ぐために、信号線が断線したときは、バックアップ用途の信号線に切り替える火災警報装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された火災警報装置においては、火災受信機が、信号線の一部が断線した場合に火災を検出するためのバックアップ手段、及びバックアップ手段に切り替えるスイッチング手段を備える。したがって、スイッチング機能を備えていない火災受信機が既に設置されている場合、火災受信機を置き換えなければならないという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、既設の火災受信機に接続された信号線が断線した場合であっても火災を検出することが可能な火災検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る火災検出システムは、第1火災感知器と、前記第1火災感知器の状態を示す情報を受信する受信機と、前記受信機と前記第1火災感知器とを接続する第1感知器配線の末端に設けられた第1中継器と、前記第1感知器配線と異なり前記第1中継器と前記受信機とを接続する中継器配線と、を備え、前記第1中継器は、前記第1火災感知器が火災を感知したことを検出する第1火災検出部と、前記第1感知器配線が断線したことを検出する第1断線検出部と、前記第1感知器配線が断線したことを前記第1断線検出部が検出した後に、前記第1火災感知器が火災を感知したことを前記第1火災検出部が検出した場合に、前記中継器配線を介して、火災を検出したことを前記受信機に通知する第1制御部と、を有し、前記受信機は、前記第1火災感知器が火災を感知したことを特定する第1感知器用特定部と、前記第1中継器が火災を検出したことを特定する中継器用特定部と、を有する。
【0007】
前記第1感知器配線が断線したことを前記第1断線検出部が検出していない間は、前記第1火災感知器が火災を感知したことを前記第1火災検出部に検出させず、前記第1感知器配線が断線したことを前記第1断線検出部が検出した場合に、前記第1火災感知器が火災を感知したことを前記第1火災検出部に検出させるように前記中継器の動作を切り替える切替部をさらに有してもよい。
【0008】
前記火災検出システムは、前記第1感知器配線と前記第1中継器との間に設けられた主終端器と、前記中継器配線と前記第1中継器との間に設けられた副終端器と、をさらに有してもよい。
【0009】
前記火災検出システムは、前記第1火災感知器と異なる第2火災感知器と、前記受信機と前記第2火災感知器とを接続する第2感知器配線の末端に設けられており、かつ前記中継器配線を介して前記受信機に接続された第2中継器と、をさらに有し、前記受信機は、前記第2火災感知器が火災を感知したことを特定する第2感知器特定部をさらに有し、前記第2中継器は、前記第2火災感知器が火災を感知したことを検出する第2火災検出部と、前記第2火災感知器が接続された第2感知器配線が断線したことを検出する第2断線検出部と、前記第2感知器配線が断線したことを前記第2断線検出部が検出した後に、前記第2火災感知器が火災を感知したことを前記第2火災検出部が検出した場合に、前記中継器配線を介して、火災を検出したことを前記受信機に通知する第2制御部と、を有してもよい。
【0010】
前記火災検出システムは、前記第1感知器配線と前記第1中継器との間に設けられた第1主終端器と、前記第2感知器配線と前記第2中継器との間に設けられた第2主終端器と、前記第1中継器及び前記第2中継器のうち前記受信機から遠い中継器に設けられた副終端器と、をさらに有してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様の中継器は、火災感知器と前記火災感知器の状態を示す情報を受信する受信機とを接続する感知器配線と、前記感知器配線と異なり前記受信機に接続された中継器配線と、に接続される中継器であって、前記火災感知器が火災を感知したことを検出する火災検出部と、前記感知器配線が断線したことを検出する断線検出部と、前記感知器配線が断線したことを前記断線検出部が検出した後に、前記火災感知器が火災を感知したことを前記火災検出部が検出した場合に、前記中継器配線を介して、火災を検出したことを前記受信機に通知する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既設の火災受信機に接続された信号線が断線した場合であっても火災を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る火災検出システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る中継器の構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る火災感知器と中継器が接続された回線が断線した場合における中継器の構成を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る制御部34のフローチャートを示す図である。
【
図5】第2の実施形態に係る火災検出システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
[火災検出システムS1の構成]
図1は、第1の実施形態の火災検出システムS1の構成を示す模式図である。火災検出システムS1は、火災受信機1と、複数の火災感知器2(火災感知器2a、2b、2c)と、中継器3と、終端器4-1、4-nとを備える。火災受信機1と、火災感知器2と、中継器3とは、回線W1(第1感知器配線に対応)で接続されている。火災受信機1と、中継器3とは、回線W2(中継器配線に対応)で接続されている。
図1における火災感知器2bと火災感知器2cとの間の×印は、回線W1が断線している位置を示している。
【0015】
火災受信機1は、火災検出システムS1の各種の動作を司る装置であり、例えば、火災感知器2の状態を示す情報を受信する。火災受信機1は、例えば火災感知器2が火災を感知した際に、火災を感知したことを示す火災感知結果を受信する。火災受信機1は、地区回路11-1と、地区回路11-nと、操作部12と、表示部13と、全体制御部14とを有する。
【0016】
地区回路11-1は、回線W1を介して複数の火災感知器2に接続されている。地区回路11-1は、火災感知器2が火災を感知したことを特定する第1感知器用特定部として機能する。具体的には、地区回路11-1は、火災感知器2が火災を感知したことを示す火災感知結果を、回線W1を介して火災感知器2から取得することにより、火災感知器2が火災を感知したことを特定する。地区回路11-1は、取得した火災感知結果を全体制御部14に通知する。また、地区回路11-1は、例えば火災感知器2に電力を供給する機能を有していてもよい。
【0017】
地区回路11-nは、回線W2を介して中継器3に接続されている。地区回路11-nは、中継器3が火災を検出したことを特定する中継器用特定部として機能する。具体的には、地区回路11-nは、回線W1が断線した状態で、断線した位置よりも中継器3に近い位置に設けられた火災感知器2(
図1においては火災感知器2c)が火災を感知したことを中継器3が検出した場合、火災を感知したことを示す火災感知結果を中継器3から取得することにより火災を検出する。地区回路11-nは、取得した火災感知結果を全体制御部14に通知する。地区回路11-1と地区回路11-nとは、例えば同一の回路構成を有する。
【0018】
操作部12は、キーボード、ボタン、スイッチ等の操作部材を含む。表示部13は、ディスプレイ、ランプ等の表示部材を含み、例えば、全体制御部14から受信した火災感知結果を表示する。操作部12は、ユーザによる接触の位置について検出可能なタッチスクリーンを有していてもよい。この場合、操作部12は表示部13に重ねて設けられており、操作部12と表示部13とが一体に構成されていてもよい。
【0019】
全体制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含んでおり、地区回路11-1及び地区回路11-nから受信した火災感知結果を表示部13に通知する。全体制御部14は、回線W1の何れかの位置で断線が発生した場合、地区回路11-1と断線が発生した位置との間に設けられた火災感知器2(
図1においては火災感知器2a又は火災感知器2b)が火災を感知した結果を示す火災感知結果を地区回路11-1から取得する。また、全体制御部14は、断線が発生した位置と中継器3との間に設けられた火災感知器2(
図1においては火災感知器2c)が火災を感知した結果を示す火災感知結果を地区回路11-nから取得する。
【0020】
火災感知器2は、火災が発生したことを感知するセンサを有する。火災感知器2は、火災を感知すると、例えばインピーダンスなどの電気的特性を変化させる。地区回路11-1と中継器3とは、回線W1の電気的特性を監視しており、火災感知器2が電気的特性を変化させたことを検出することで、火災を検出する。
【0021】
中継器3は、火災感知器2と火災受信機1との間に設けられている。中継器3は、回線W1を介して火災感知器2に接続されている。中継器3は、回線W2を介して火災受信機1に接続されている。中継器3は、回線W1が断線しているかを監視しており、回線W1が断線していることを検出した場合は、断線が発生した位置と中継器3との間に設けられた火災感知器2(
図1においては火災感知器2c)が火災を感知したか否かを監視する。
【0022】
終端器4-1及び終端器4-nは、終端抵抗を備えており、終端器4-1は回線W1の終端に設けられており、終端器4-nは回線W2の終端に設けられている。終端器4-1及び終端器4-nのうち、いずれか一方又は両方は、例えば中継器3に設けられていてもよい。中継器3は、終端器4-1が有する終端抵抗を経由して回線W1を流れる微弱電流の有無に基づいて、回線W1において断線が発生したか否かを検出する。
【0023】
[中継器3の構成]
図2は、本実施形態に係る中継器3の構成を示す図である。中継器3は、断線検出部31と、火災検出部32と、切替部33と、制御部34とを有する。
【0024】
断線検出部31は、火災感知器2が接続された回線W1が断線したことを検出する。断線検出部31は、例えば回線W1の電流値の変化に基づいて、回線W1が断線したことを検出する。断線検出部31は、回線W1が断線したことを検出した場合、回線W1が断線したことを制御部34に通知する。
【0025】
火災検出部32は、火災感知器2が火災を感知したことを検出する。火災検出部32は、火災感知器2が接続された回線W1の断線を断線検出部31が検出した場合に、断線が発生した位置と中継器3との間に設けられた火災感知器2(
図1においては火災感知器2c)が火災を感知したことを検出する。火災検出部32は、例えば回線W1のインピーダンスを監視し、火災感知器2が火災を感知することにより回線W1のインピーダンスを下げたことを検出することで、火災感知器2の火災感知を検出する。火災検出部32は、火災感知器2が火災を感知したことを検出したことを制御部34に通知する。また、火災検出部32は、例えば火災感知器2に電力を供給する機能を有していてもよい。この場合、火災検出部32は、断線が発生した位置と中継器3との間に設けられた火災感知器2(
図1においては火災感知器2c)に電力を供給することで、火災感知器2cを動作させることができる。
【0026】
切替部33は、例えば制御部34の制御に基づいて動作するリレー回路であり、回線W1と切替部33とを接続する端子a、火災検出部32と切替部33とを接続する端子b、他の部位に接続されていない端子cとを備える。切替部33は、火災検出部32と回線W1とを接続する場合、端子aと端子bとを接続し、火災検出部32と回線W1とを接続しない場合、端子aと端子cとを接続する。
【0027】
切替部33は、火災感知器2が接続された回線W1が断線したことを断線検出部31が検出していない間は、火災感知器2が火災を感知したことを火災検出部32に検出させず、回線W1が断線したことを検出した場合に、火災感知器2が火災を感知したことを火災検出部32に検出させるように中継器3の動作を切り替える。具体的には、切替部33は、火災感知器2が接続された回線W1が断線したことを断線検出部31が検出していない間は火災検出部32と回線W1とを接続せず、回線W1が断線したことを検出した場合に、火災検出部32と回線W1とを接続する。
図2に示す切替部33は、回線W1が断線していない状態を示している。
【0028】
図3は、断線検出部31が、火災感知器2が接続された回線W1の断線を検出した場合の中継器3の構成を示す図である。火災感知器2bと火災感知器2cとの間の×印は、回線W1が断線している位置を示す。切替部33は、火災感知器2が接続された回線W1の断線を断線検出部31が検出した場合、切替部33が備える端子bと端子aとを接続する。
【0029】
制御部34は、例えばCPUを含み、中継器3の各部を制御する。制御部34は、火災感知器2が接続された回線W1が断線したことを断線検出部31が検出した後に、回線W1と異なる回線W2を介して、火災を検出したことを火災受信機1に通知する。制御部34は、火災感知器2が接続された回線W1が断線したことを断線検出部31が検出すると、まず、回線W1と火災検出部32とを接続することを切替部33に指示する。続いて、制御部34は、切替部33が回線W1と火災検出部32とを接続した後に、火災感知器2が火災を感知したことを火災検出部32が検出した場合は、回線W2を介して、火災感知器2が火災を検出したことを火災受信機1に通知する。
【0030】
[制御部34の動作]
図4は、制御部34の動作を示すフローチャートである。制御部34は、断線検出部31から入力される信号のレベルを監視することにより、回線W1が断線しているか否かを監視する(S11)。制御部34は、回線W1が断線したことを示す信号を断線検出部31から取得した場合(S12のYES)、切替部33を制御して、切替部33に火災検出部32と回線W1とを接続させる(S13)。制御部34は、断線検出部31から回線W1が断線したことを検出していない間(S12のNO)、ステップS11及びステップS12の動作を繰り返す。
【0031】
制御部34は、切替部33に火災検出部32と回線W1とを接続させた後に、火災検出部32から入力される信号のレベルを監視することにより、回線W1の切断位置よりも中継器3に近い位置で回線W1に接続された火災感知器2cが火災の発生を感知したか否かを監視する(S14)。制御部34は、回線W1火災感知器2cが火災の発生を感知したことを示す信号を火災検出部32から取得した場合(S15のYES)、中継器3と火災受信機1とを接続する回線W2を介して、回線W1に接続された火災感知器2が火災の発生を感知したことを火災受信機1に通知する(S16)。制御部34は、回線W1に接続されたる火災感知器2が火災の発生を感知したことを示す信号を火災検出部から取得していない間(S15のNO)、ステップS14及びステップS15の動作を繰り返す。
【0032】
[火災検出システムS1の効果]
第1の実施形態に係る火災検出システムS1が備える中継器3は、火災感知器2が接続された回線W1が断線した場合に、断線が発生した位置と中継器3との間に設けられた火災感知器2cが火災の発生を感知したことを検出する。そして、中継器3は、火災感知器2cが火災を検出したことを、中継器3と火災受信機1とを接続する回線W2を介して火災受信機1に通知する。したがって、火災検出システムS1の火災受信機1が既設の火災受信機であっても、火災検出システムS1は、断線した先に接続されている火災感知器2が火災を感知した場合に、火災が発生したことの通知を火災受信機1が受けることができる。
【0033】
<第2の実施形態>
[火災検出システムS2の構成]
図5は、第2の実施形態に係る火災検出システムS2の構成を示す図である。火災検出システムS2は、第1の実施形態に係る火災検出システムS1と比べて、火災感知器2が複数の回線W1に設けられており、複数の中継器3を有するという点で異なり、他の点で同じである。
【0034】
図5に示す火災受信機1は、地区回路11-1に加えて、地区回路11-2及び地区回路11-3を有する。
図5においては、地区回路11-k(kは1、2、3)に回線W1-k、火災感知器2-k及び中継器3-kが接続されている。回線W1-kと中継器3-kとの間(例えば回線W1-kの終端)には、終端器4-kが設けられている。また、回線W2と中継器3-kのいずれかとの間には、中継器終端部である終端器4-nが設けられている。火災感知器2-1は第1火災感知器に対応し、火災感知器2-2は第2火災感知器に対応する。中継器3-1は第1中継器に対応し、中継器3-2は第2中継器に対応する。
【0035】
地区回路11-2及び地区回路11-3は、例えば地区回路11-1と同一の回路構成を有する。地区回路11-1は、第1火災感知器である火災感知器2-1が火災を感知したことを特定する第1感知器特定部として機能する。地区回路11-2は、第2火災感知器である火災感知器2-2が火災を感知したことを特定する第2感知器特定部として機能する。火災感知器2-kは、
図2に示した火災感知器2と同一の回路構成を有する。中継器3-kは、
図2に示した中継器3と同一の構成を有する。以下、主に火災検出システムS1と相違する点について説明する。
【0036】
火災検出システムS1は、1つの中継器3に対して2つの地区回路11を必要としていた。一方、火災検出システムS2においては、複数の中継器3-kが回線W2及び地区回路11-nを共用する。したがって、使用される地区回路11の数は、中継器3の数よりも1つ多い数となる。
【0037】
回線W1-kが断線した後に、断線した位置と中継器3-kとの間に接続された火災感知器2-kが火災を感知した場合、中継器3-kが有する火災検出部32は、火災感知器2-kが火災を感知したことを中継器3-kが有する制御部34に通知する。中継器3-2が有する制御部34は、火災感知器2-2が火災を感知したことを火災検出部32から通知されると、回線W2を介して火災受信機1に火災感知器2-kが火災を感知したことを通知する。地区回路11-nは、回線W1-1、回線W1-2及び回線W1-3のいずれかが切断した場合に、切断した回線W1に対応する中継器3から、火災を検出したことが通知される。
【0038】
複数の中継器3-kそれぞれにアドレスが割り当てられており、中継器3-kは、火災を検出したこととともに中継器3-kのアドレスを地区回路11-nに通知してもよい。これにより、地区回路11-nは、火災を検出したことを通知した中継器3-kを特定することができる。
【0039】
なお、終端器4-nは、回線W2を介して中継器3-kのいずれかと回線W2との接続部に設けられている。終端器4-nが、回線W2に1つ接続されていることで、中継器3の数によらず、中継器3が回線W2の断線を安定して検出することができる。
【0040】
[第2の実施形態の効果]
このように、火災検出システムS2は、複数の中継器3-kが回線W2及び地区回路11-nを共用する。したがって、火災検出システムS2は、中継器3のそれぞれに対して中継器回線及び中継器用特定部としての地区回路11が必要なく、中継器3の数よりも1つ多い数の地区回路11を有すればよい。このような火災検出システムS2は、複数のエリアがある施設に設置されるシステムとして好適である。
【0041】
[変形例]
以上の説明においては、切替部33が物理的に接続状態を切り替えることができるリレーである場合を例示したが、切替部33は、このようなハードウェアに限定されず、ソフトウェアにより実現されてもよい。切替部33がソフトウェアにより実現される場合、例えば、制御部34が切替部33として機能し、火災感知器2が接続された回線W1が断線したことを断線検出部31が検出していない間は、火災検出部32の機能を停止させ、回線W1が断線したことを検出した場合に火災検出部32を機能させて、火災検出部32に火災を検出させる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0043】
1 火災受信機
2 火災感知器
3 中継器
4 終端器
11 地区回路
12 操作部
13 表示部
14 全体制御部
31 断線検出部
32 火災検出部
33 切替部
34 制御部