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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】表面摩擦と粘着性が低減された弾性繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/94 20060101AFI20240104BHJP
   D01F 1/10 20060101ALI20240104BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
D01F6/94 A
D01F1/10
A61F13/49 310
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019555809
(86)(22)【出願日】2018-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018027042
(87)【国際公開番号】W WO2018191345
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】62/484,634
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519355758
【氏名又は名称】ザ ライクラ カンパニー ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】ビング-ウォ,ロナルド ディー.
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-158502(JP,A)
【文献】特開昭57-051816(JP,A)
【文献】特表2012-521498(JP,A)
【文献】特表2001-509847(JP,A)
【文献】特開2008-133548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
D01F1/00-6/96
9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンまたはポリウレタン尿素および0.5重量%~4重量%のワックス組成物を含み、
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルと、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の添加剤とを含み、
前記ワックス組成物は、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックスを含む、
弾性繊維。
【請求項2】
前記ワックス組成物はポリオレフィンワックスを含む、請求項1に記載の弾性繊維。
【請求項3】
前記ワックス組成物は、モンタンワックス酸のエステルを含む、請求項1に記載の弾性繊維。
【請求項4】
ポリウレタンまたはポリウレタン尿素および0.5重量%~4重量%のワックス組成物を含み、
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルと、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の添加剤とを含み、
前記ワックス組成物はポリオレフィンワックスを含み、
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたメタロセンベースのポリプロピレンワックスである、弾性繊維。
【請求項5】
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたポリエチレンワックスである、請求項2に記載の弾性繊維。
【請求項6】
少なくとも1つの粒子状粘着防止剤をさらに含む、請求項1に記載の弾性繊維。
【請求項7】
前記繊維は、紡績仕上げ剤を除外する、請求項1に記載の弾性繊維。
【請求項8】
局所適用された鉱油もしくはシリコン油、または適用後の最終繊維の0.5重量%~2.0重量%の量の紡糸仕上げ剤としての鉱油もしくはシリコン油を含むブレンドをさらに含む、請求項1に記載の弾性繊維。
【請求項9】
弾性繊維を調製するためのプロセスであって、
(a)少なくとも1つのポリウレタン、ポリウレタン尿素、またはそれらの混合物を含む組成物を調製することと、
(b)前記組成物に0.25重量%~4重量%のワックス組成物であって、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルを含むワックス組成物を添加することと、
(c)前記組成物に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加物を添加することと、
(d)湿式紡糸、乾式紡糸、および溶融紡糸からなる群から選択される紡糸プロセスによって前記組成物から繊維を調製することと、を含み、
前記ワックス組成物は、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックスを含む、
プロセス。
【請求項10】
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックスを含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項11】
弾性繊維を調製するためのプロセスであって、
(a)少なくとも1つのポリウレタン、ポリウレタン尿素、またはそれらの混合物を含む組成物を調製することと、
(b)前記組成物に0.25重量%~4重量%のワックス組成物であって、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルを含むワックス組成物を添加することと、
(c)前記組成物に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加物を添加することと、
(d)湿式紡糸、乾式紡糸、および溶融紡糸からなる群から選択される紡糸プロセスによって前記組成物から繊維を調製することと、を含み、
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたメタロセンベースのポリプロピレンワックスであるプロセス。
【請求項12】
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたポリエチレンワックスである、請求項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記ワックス組成物は、モンタンワックス酸のエステルを含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項14】
ポリウレタンまたはポリウレタン尿素および0.25重量%~4重量%のワックス組成物を含む弾性繊維を含み、
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルと、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の添加剤とを含
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックスを含み、
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたメタロセンベースのポリプロピレンワックスである、
布地。
【請求項15】
前記布地は、編物、織物、または不織布の構造を含む、請求項14に記載の布地。
【請求項16】
請求項14に記載の布地を含む、衣服。
【請求項17】
積層体構造であって、
ポリウレタンまたはポリウレタン尿素と、0.25重量%~4重量%のワックス組成物と、を含む、弾性繊維を含み、
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルと、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の添加剤とを含み、
前記繊維は、布地、不織布、フィルム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される基材の1つ以上の層に接着され、
前記ワックス組成物は、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックスを含む、積層体構造。
【請求項18】
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックスを含む、請求項17に記載の積層体構造
【請求項19】
積層体構造であって、
ポリウレタンまたはポリウレタン尿素と、0.25重量%~4重量%のワックス組成物と、を含む、弾性繊維を含み、
前記ワックス組成物は、ポリオレフィンワックス、無水マレイン酸を含むC24~C36ポリマーを含む変性ポリマーワックス又はモンタンワックス酸のエステルと、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の添加剤とを含み、
前記繊維は、布地、不織布、フィルム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される基材の1つ以上の層に接着され、
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたメタロセンベースのポリプロピレンワックスである積層体構造
【請求項20】
前記ワックス組成物は、モンタンワックス酸のエステルを含む、請求項17に記載の積層体構造
【請求項21】
前記ポリオレフィンワックスは、微粉化されたポリエチレンワックスである、請求項17に記載の積層体構造
【請求項22】
前記積層体構造は、接着剤、超音波接着、熱接着、機械的接着、またはそれらの組み合わせにより接着される、請求項1721のいずれか一項に記載の積層体構造
【請求項23】
使い捨て衛生用品を含む、請求項1721のいずれか一項に記載の積層体構造を含む使い捨て衛生用品。
【請求項24】
おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用品、および女性用衛生用品からなる群から選択される、請求項23に記載の使い捨て衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スパンデックスエラストマー糸は、横糸ニット、縦糸ニット、織物、および他のテキスタイルなど、高い伸縮性、伸びからの良好な回復、およびそれらから作製される物品への良好な適合性を提供することができる。しかし、スパンデックス基材は、従来の非弾性繊維と比較して高い粘着性と摩擦に悩まされており、これは、商業用途を制限する可能性がある。粘着性が増加するため、スパンデックスフィラメントは互いに凝集したり、あるいはさまざまな表面に接着したりする場合がある。高い粘着性は、スパンデックスフィラメントがコアの周りに巻かれているパッケージングで特に問題になる。繊維が近接しているため、特にコアの近くで繊維に圧力が加わると、隣接するフィラメントが互いに接着させ得、巻かれているパッケージから破損することなく繊維を取り除くことが困難になり得るため、影響を受けたフィラメントを使用不可能なままにする場合がある。繊維が破損しない場合でも、粘着性ポイントおよび関連する張力スパイクにより、依然として、非常に可変性の伸びが発生する可能性がある。使用不可能なフィラメントは一般に、コアで発生し、「コア廃棄物」と称される。パッケージング後、時間と温度に応じて保管中にフィラメントの粘着性が増加する場合がある。より長い保管時間とより高い温度は、新たに紡績されパッケージされたスパンデックスよりも粘着性が増加し、コア廃棄物が多くなることに等しい。したがって、スパンデックスの粘着性を減らすと、コア廃棄物が減り、巻き戻し性能が向上し、費用対効果が向上する。
【発明の概要】
【0002】
簡単に説明すると、本開示の実施形態としては、クリープ性能に悪影響を与えることなく表面摩擦およびオーバーエンドテイクオフ粘着性を低減するために繊維に組み込まれたワックスを含む弾性繊維、繊維の調製方法、この繊維の使用方法、繊維、繊維を含む布地、衣服、繊維を含むテキスタイルなどを含む積層体が挙げられる。
【0003】
1つの非限定的な例示的弾性繊維は、とりわけ、ポリウレタンもしくはポリウレタン尿素またはそれらの混合物および約0.25重量%~約4重量%のワックス組成物を含む。非限定的な一実施形態では、ワックス組成物は、ポリオレフィンワックスを含む。非限定的な一実施形態では、弾性繊維は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む。さらに、本開示の非限定的な実施形態は、本明細書に記載される弾性繊維を含む布地を含む。さらに、本開示の非限定的な実施形態は、本明細書に記載される弾性繊維を含む積層体を含む。さらに、本開示の非限定的な実施形態は、本明細書に記載される弾性繊維を含む衣服を含む。
【0004】
とりわけ、弾性繊維を調製するための非限定的な例示的なプロセスは、a)少なくとも1つのポリウレタン、ポリウレタン尿素、またはそれらの混合物を含む組成物を調製することと、(b)組成物に約0.25重量%~4重量%のワックス組成物を添加することと、(c)任意選択的に、組成物に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を添加することと、(d)湿式紡糸、乾式紡糸および溶融紡糸からなる群から選択される紡糸プロセスにより組成物から繊維を調製することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の弾性繊維をINVISTAによる対照(T837 LYCRAHyFit(登録商標)繊維)および開発中の(D59)繊維と比較した表面摩擦係数の区間プロットである。
図2】INVISTAによるcntrl(T837 LYCRAHyFit(登録商標)繊維)および開発中の(D59)繊維と比較した本発明の弾性繊維のパッケージ表面およびコア付近で測定されたオーバーエンドテイクオフ粘着性または張力(OETOT)を比較した棒グラフである。
図3】本発明の弾性繊維をINVISTAによるcntrl(T837 LYCRAHyFit(登録商標)繊維)および開発中の(D59)繊維と比較した糸クリープ性能の区間プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示をより詳細に説明する前に、本開示は説明した特定の実施形態に限定されず、したがって当然ながら変化する可能性があることを理解されたい。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0007】
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料も本開示の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。
【0008】
本明細書で引用されるすべての出版物および特許は、各出版物または特許が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されているように参照により本明細書に組み込まれ、出版物が引用された関連する方法および/または材料を開示および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。いかなる出版物の引用も、出願日前のその開示に関するものであり、本開示が事前の開示によりそのような出版物に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、提供される出版日は、実際の出版日とは異なる可能性があり、個別に確認する必要がある場合がある。
【0009】
本開示を読むと当業者には明らかなように、本明細書で説明および図示する個々の実施形態のそれぞれは、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離または組み合わせることができる個別の構成要素および特徴を有する。列挙された方法は、列挙されたイベントの順序、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0010】
本開示の実施形態は、別に示されない限り、化学、布地、テキスタイルなどの技術を使用し、これらは当該技術分野の技術の範囲内である。そのような技術は、文献で十分に説明されている。
【0011】
以下の実施例は、本明細書に開示および特許請求される方法の実施方法ならびに組成物および化合物の使用方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示される。数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされてきたが、いくつかの誤差と偏差は考慮されるべきである。特に指定のない限り、部は重量部であり、温度は℃であり、圧力は大気圧である。標準の温度および圧力は、25℃および1気圧として定義されている。
【0012】
本開示の実施形態を詳細に説明する前に、特に指定のない限り、本開示は、特定の材料、試薬、反応材料、製造プロセスなどに限定されず、したがって変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。本開示では、論理的に可能な場合、ステップを異なる順序で実行することも可能である。
【0013】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示す場合を除き、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。したがって、例えば、「支持体」への言及は、複数の支持体を含む。本明細書および後続の特許請求の範囲では、反対の意図が明らかでない限り、以下の意味を有すると定義されるいくつかの用語を参照する。
定義
【0014】
本明細書で使用されるとき、「繊維」という用語は、布地および糸ならびにテキスタイル製造で使用することができるフィラメント状材料を指す。1本以上の繊維を使用して、布地または糸を製造することができる。糸は、当該技術分野で知られている方法に従って完全に延伸またはテクスチャー加工することができる。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「スパンデックス」とは、繊維形成物質が約85重量%以上のセグメント化ポリウレタンで構成される長鎖合成エラストマーである合成繊維を指し、ポリウレタン尿素はそのようなポリウレタンのサブクラスとみなされる。このような合成繊維は、供給パッケージを形成するために円筒状のコアに巻き付けられてもよい。スパンデックス組成物は、湿式紡糸プロセスまたは乾式紡糸プロセスによって調製することができ、円形断面または平坦な「テープ状」断面などのさまざまな断面のいずれかを有することができる。あるいは、ポリウレタン溶液を注型し、乾燥させて「テープ」構成を形成することができる。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「ワックス組成物」という句は、弾性繊維に添加された場合、表面摩擦および/またはオーバーエンドテイクオフ粘着性もしくは張力を、ワックス含有添加剤を含まない弾性繊維の場合と比較して減少させるワックス含有添加剤を包含することを意図する。
考察
【0017】
本開示の実施形態は、繊維に組み込まれたワックス組成物を含む弾性繊維、繊維の調製方法、この繊維の使用方法、繊維を含む積層体、繊維を含む布地、繊維を含む衣服、繊維を含むテキスタイルなどを提供する。本開示の実施形態は、パッケージまたはコアからの繊維の良好な送達を提供する弾性繊維を提供する。本開示の実施形態は、繊維の不規則な送達を引き起こす他の弾性繊維とは対照的に、繊維の挟み込み、破損、および/または他の損傷を低減し得る、弾性繊維の滑らかで均一な送達を提供する。
【0018】
本開示の実施形態は、ワックス組成物を含む弾性繊維またはスパンデックス繊維を含む。ワックス組成物は、繊維に局所仕上げを加えることなく繊維を使用することができるように、粘着防止効果および/またはスパンデックス繊維の表面摩擦の減少をもたらす任意のワックスを含むことができる。さらに、ほとんどの粘着防止組成物とは異なり、弾性繊維のワックス組成物の含有は、繊維または糸の接着性に有害な影響を与えず、ホットメルト弾性貼り付け接着剤を使用して布地への糸の接着性を高めることさえできる。非限定的な一実施形態では、ワックス組成物はポリオレフィンワックスを含む。非限定的な例としては、ポリプロピレンもしくはポリエチレンワックス、または無水マレイン酸、モンタンワックス酸のエステルを含むC24~C36ポリマーを含む他の高度に修飾されたポリマーワックスが挙げられる。商業的な例としては、CLARIANTが製造するCeridust5551、Ceridust8020、およびCeridust6050が挙げられる。非限定的な一実施形態では、ワックス組成物は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物などの追加の添加剤をさらに含む。繊維の紡糸前に、ワックス組成物および任意選択的に添加剤(複数可)をポリウレタンまたはポリウレタン尿素ポリマーに添加する。
【0019】
非限定的な一実施形態では、本開示の弾性繊維は、ポリウレタンまたはポリウレタン尿素およびワックス組成物、ならびに任意選択的に1つ以上の添加剤を含む。好適な添加剤としては、有機ステアリン酸(例えば、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウム)、鉱油、シリコン油、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、弾性繊維またはワックス組成物は、本明細書に記載のワックス組成物に加えて、少なくとも1つの追加の粒子状粘着防止剤を含むことができる。
【0020】
非限定的な一実施形態では、本開示の弾性繊維は、例えば、繊維の約0.25重量%~4重量%のワックス組成物を含む。
【0021】
非限定的な一実施形態では、本開示のワックス組成物は、微粉化されたメタロセンベースのポリプロピレンワックスである。
【0022】
非限定的な一実施形態では、本開示のワックス組成物は、微粉化されたポリエチレンワックスである。
【0023】
非限定的な一実施形態では、本開示の弾性繊維は、添加剤を含む。非限定的な一実施形態では、弾性繊維は、約0.1%~1.0%、約0.1%~2.0%、約0.1%~3.0%、約0.1%~4.0%、約0.1%~5.0%、約0.1%~6.0%、約0.1%~7.0%、約0.1%~8.0%、約0.1%~9.0%、または約0.1%~10.0%の添加剤(例えば、ステアリン酸、シリコン油または鉱油)を含み得る。
【0024】
本開示の実施形態は、本明細書に記載される弾性繊維のいずれか1つを調製するためのプロセスを含む。本プロセスは、少なくともポリウレタン、ポリウレタン尿素、またはそれらの混合物を含む組成物を調製することを含む。その後、本プロセスは、ワックス組成物を組成物に添加することを含む。次に、本プロセスは任意選択的に、組成物に添加物(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、またはそれらの混合物)を添加することを含む。次に、本プロセスは、紡糸プロセス(例えば、湿式紡糸、乾式紡糸、および溶融紡糸)によって組成物から繊維を調製することを含む。
【0025】
非限定的な一実施形態では、繊維の生産のための紡糸プロセスは、乾式紡糸である。乾式紡糸とは、ポリマー溶液を紡糸口金のオリフィスからシャフトに押し込んでフィラメントを形成するプロセスを指す。加熱された不活性ガスがチャンバーを通過し、フィラメントがシャフトを通過するときに、フィラメントから溶媒を蒸発させる。次いで、得られた弾性繊維を円筒形コアに巻き付けて、スパンデックス供給パッケージを形成することができる。湿式紡糸プロセスも、ポリマー溶液のキャスティングおよび乾燥と同様に使用されてもよい。
【0026】
非限定的な一実施形態では、本プロセスは、少なくとも1つのポリウレタンもしくはポリウレタン尿素、またはそれらの混合物を含む組成物を調製することと、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物から選択される組成物に添加剤を添加することと、約0.25%~4%のワックス組成物を組成物に添加することと、ならびに得られた組成物から、湿式紡糸、乾式紡糸、および溶融紡糸から選択される紡糸プロセスにより繊維を調製することと、を含む。
【0027】
一実施形態では、本開示の弾性繊維を作製するために使用されるポリマーは、高分子グリコールを、例えば、ジイソシアネートでキャッピングし、次いで、得られたキャッピングされたグリコールを好適な溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなど)に溶解し、キャッピングされたグリコールを、ジオールなどの連鎖延長剤で鎖延長してポリウレタンを形成するか、またはジアミンを使用してポリウレタン尿素を形成することによって調製される。
【0028】
少なくとも85重量%のセグメント化されたポリウレタンを含む繊維または長鎖合成ポリマーの調製に有用なポリウレタン尿素組成物。通常、これらには、ジイソシアネートと反応してNCO末端プレポリマー(「キャッピングされたグリコール」)を形成する高分子グリコールが含まれ、次いで、これを、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはN-メチルピロリドンなどの好適な溶媒に溶解し、二次的に二官能性連鎖延長剤と反応させる。
【0029】
ポリウレタンは、連鎖延長剤がジオールである場合の第2ステップで形成される(および溶媒なしで調製することもできる)。ポリウレタンのサブクラスであるポリウレタン尿素は、連鎖延長剤がジアミンの場合に形成される。スパンデックスに紡糸することができるポリウレタン尿素ポリマーの調製において、グリコールは、ヒドロキシ末端基とジイソシアネートおよび1つ以上のジアミンとの連続的な反応によって延長される。いずれの場合も、粘度を含む必要な特性を備えたポリマーを提供するために、グリコールは、鎖延長を受けなければならない。所望される場合、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズ、鉱酸、トリエチルアミンなどの第三級アミン、N,N’-ジメチルピペラジンなど、および他の既知の触媒を使用して、キャッピングステップを支援することができる。
【0030】
好適な高分子グリコール成分の例としては、ポリエーテルグリコール、ポリカーボネートグリコール、および数平均分子量が約600~3,500のポリエステルグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上のポリマーグリコールまたはコポリマーの混合物を含めることができる。
【0031】
使用することができるポリエーテルグリコールの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、および3-メチルテトラヒドロフランの開環重合および/もしくは共重合からの、またはエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールおよび1,12-ドデカンジオールなどの各分子に12個未満の炭素原子を含む、ジオールもしくはジオール混合物などの多価アルコールの縮合重合からの、2つのヒドロキシル基を有するグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。分子量が約1,700~約2,100のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、例えば2の官能基を有するTerathane(登録商標)1800(カンザス州ウィチタのINVISTA)が、具体的な好適なグリコールの例である。コポリマーには、ポリ(テトラメチレン-コ-エチレンエーテル)グリコールが含まれ得る。
【0032】
使用することができるポリエステルポリオールの例としては、各分子に12個以下の炭素原子を含む低分子量の脂肪族ポリカルボン酸およびポリオールまたはそれらの混合物の縮合重合によって生成される2つのヒドロキシル基を有するエステルグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。好適なポリカルボン酸の例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、およびドデカンジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエステルポリオールを調製するための好適なポリオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールおよび1,12-ドデカンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。約5℃~50℃の融解温度を有する線状二官能性ポリエステルポリオールが、具体的なポリエステルポリオールの例である。
【0033】
使用することができるポリカーボネートポリオールの例としては、各分子に12個以下の炭素原子を含む低分子量のホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリルカーボネートおよび脂肪族ポリオール、またはそれらの混合物の縮合重合によって生成される2つ以上のヒドロキシ基を有するカーボネートグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。ポリカーボネートポリオールを調製するための好適なポリオールの例としては、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールおよび1,12-ドデカンジオールが挙げられるが、これらに限定されない。約5℃~約50℃の融解温度を有する線状二官能性ポリカーボネートポリオールが、具体的なポリカーボネートポリオールの例である。
【0034】
非限定的な一実施形態では、ジイソシアネート成分はまた、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)および2,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)を含有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の異性体混合物を含む単一のジイソシアネートまたは異なるジイソシアネートの混合物を含む。任意の好適な芳香族または脂肪族ジイソシアネートを含めることができる。使用することができるジイソシアネートの例としては、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-ジイソシアナト-4-メチル-ベンゼン、2,2’-トルエンジイソシアネート、2,4’-トルエンジイソシアネート、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの非限定的な実施形態で使用され得る連鎖延長剤は、水またはポリウレタン尿素用のジアミン連鎖延長剤のいずれかであり得る。ポリウレタン尿素および得られる繊維の所望の特性に応じて、異なる連鎖延長剤の組み合わせを含めることができる。好適なジアミン連鎖延長剤の例としては、ヒドラジン、1,2-エチレンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,2-ブタンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,3-ジアミノ-2,2-ジメチルブタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチルシクロヘキサン、2,4-ジアミノ-1-メチルシクロヘキサン、N-メチルアミノ-ビス(3-プロピルアミン)、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、メタテトラメチルキシレンジアミン、1,3-ジアミノ-4-メチルシクロヘキサン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,1-メチレン-ビス(4,4’-ジアミノヘキサン)、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ペンタンジアミン(1,3-ジアミノペンタン)、m-キシリレンジアミン、およびJeffamine(登録商標)(Texaco)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
ポリウレタンが所望される場合、連鎖延長剤はジオールである。使用することができるそのようなジオールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、および1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオールおよびその混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
非限定的な一実施形態では、ポリマーの分子量を制御するために、単官能性アルコールまたは第一級/第二級単官能性アミンを任意選択的に含めることができる。1つ以上の単官能性アルコールと1つ以上の単官能性アミンとのブレンドも含めることができる。本開示で有用な単官能性アルコールの例としては、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、N-(2-ヒドロキシエチル)スクシンイミド、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、メタノール、エタノール、ブタノール、ネオペンチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール、オクタノール、オクタデカノール、N、N-ジエチルヒドロキシルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、2-ジメチルアミノエタノール、および4-ピペリジンエタノール、およびそれらの組み合わせを含む、1~18個の炭素を有する脂肪族および脂環式第一級および第二級アルコール、フェノール、置換フェノール、分子量500未満を含む分子量750未満のエトキシ化アルキルフェノールおよびエトキシ化脂肪族アルコール、ヒドロキシアミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル置換第三級アミン、ヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル置換複素環式化合物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。好適な単官能性ジアルキルアミン遮断剤の例としては、N,N-ジエチルアミン、N-エチル-N-プロピルアミン、N,N-ジイソプロピルアミン、N-tert-ブチル-N-メチルアミン、N-tert-ブチル-N-ベンジルアミン、N,N-ジシクロヘキシルアミン、N-エチル-N-イソプロピルアミン、N-tert-ブチル-N-イソプロピルアミン、N-イソプロピル-N-シクロヘキシルアミン、N-エチル-N-シクロヘキシルアミン、N,N-ジエタノールアミン、および2,2,6,6-テトラメチルピペリジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
非限定的な一実施形態では、本開示のポリマー溶液を合成した後、粘着防止添加剤が溶液に組み込まれる。中に粘着防止添加剤を分散させた溶液を乾式紡糸して、本開示の弾性繊維を形成することができる。乾式紡糸とは、ポリマー溶液を紡糸口金のオリフィスからシャフトに押し込んでフィラメントを形成するプロセスを指す。加熱された不活性ガスがチャンバーを通過し、フィラメントがシャフトを通過するときにフィラメントから溶媒を蒸発させる。次いで、得られた弾性繊維を円筒形コアに巻き付けて、スパンデックス供給パッケージを形成することができる。湿式紡糸プロセスも、ポリマー溶液のキャスティングおよび乾燥と同様に使用されてもよい。
【0039】
非限定的な一実施形態では、本開示の弾性繊維は、特定の目的のために添加される追加の従来の添加剤(複数可)をさらに含んでもよい。例としては、そのような添加剤が本開示のスパンデックスエラストマーまたはワックス組成物と拮抗効果を生じない限り、酸化防止剤、熱安定剤、UV安定剤、顔料および艶消し剤(例えば、二酸化チタン)、染料および染料エンハンサー、潤滑剤(例えば、シリコーン油)、塩素分解に対する耐性を高める添加剤(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、およびハンタイトとハイドロマグネサイトの混合物)などが挙げられるが、これらに限定されない。二酸化チタンなどの従来の添加剤の中には、弾性繊維の粘着性を判断するために使用されるパラメータであるオーバーエンドテイクオフ張力(OETOT)測定にわずかな効果を示すものがあるが(以下の実施例で説明されるように)、そのいずれも、OETOT測定に目に見えるほどの効果はなく、粘着性を減らすような量でスパンデックスに添加されることはない。
【0040】
本開示の実施形態は、本開示の弾性繊維を含む製品を含む。これらの製品としては、布地、衣服、および積層構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
非限定的な一実施形態では、本開示は、ポリウレタンまたはポリウレタン尿素および約0.25重量%~4重量%のワックス組成物を含む弾性繊維を含む布地を提供する。ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物などの追加の添加剤を含めることができる。本発明の布地としては、編物、織物、または不織布の構造を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
非限定的な一実施形態では、積層構造は、ポリウレタンまたはポリウレタン尿素、約0.25重量%~4重量%のワックス組成物、およびステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、有機ステアリン酸、シリコン油、鉱油、およびそれらの混合物などの少なくとも1つの追加の添加剤を有する本開示の弾性繊維を含む。特定の実施形態では、繊維は、布地、不織布、フィルム、およびそれらの組み合わせなどの基材の1つ以上の層に接着される。積層構造は、接着剤、超音波接着、熱接着、機械的接着、またはそれらの組み合わせによって接着されてもよい。本発明の弾性繊維で形成された積層構造は、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁用品、または女性用衛生用品などの使い捨て衛生用品に使用することができるが、これらに限定されない。
実施例
【0043】
本開示の実施形態を説明したが、一般に、以下の実施例は本開示のいくつかの追加の実施形態を説明する。本開示の実施形態は以下の実施例および対応する本文および図に関連して説明されるが、本開示の実施形態をこの説明に限定する意図はない。それどころか、その意図は、本開示の実施形態の趣旨および範囲内に含まれるすべての代替物、修正形、および等価物を網羅することである。
実施例1
【0044】
表面摩擦係数は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,487,889号、11列57~68行および12列1~14行に記載されているとおりに決定した。46m/分の速度と最初のロールから最後のロールまでの2.78倍のドラフトを使用して、長さ100mにわたって5cmごとに読み取り値を収集して測定を行う。
【0045】
ワックス組成物を有する弾性繊維を、以下の合成方法に従って調製した。Ceridust5551、Ceridust8020、およびCeridust6050を、乾燥紡績機で仕上げることなく、約486デニール(540デシテックス)のポリウレタン尿素繊維に紡糸した。図1に示すように、ワックス組成物は糸の表面摩擦係数を大幅に低下させた。
【0046】
この実施例で使用されるポリマーを、分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコールを1.69のモル比でMDIでキャッピングすることにより作製した。得られたキャッピングされたグリコールを、エチレンジアミンと2-メチル-1,5-ペンタンジアミンの混合物((90/10モル比)でDMAc溶媒中で連鎖延長し、ジエチルアミンで終端した。ワックス組成物に加えて、ポリマーには、1.4重量%のCibaから入手可能なIrgonox酸化防止剤、0.5重量%のE.I.du Pont de Nemours,Incから入手可能なMethacrol 2462B UV安定剤、3.9%のMicrofine Minerals,Ltd.から入手可能なハンチッテ/ハイドロマグネサイト鉱物混合物Ultracarb、96%のポリジメチルシロキサンと4重量%ポリジアミルシロキサンからなる0.42重量%のシリコン油、0.3重量%のE.I.du Pont de Nemours,Inc.から入手可能な二酸化チタン艶消し剤も含まれていた。
実施例2
【0047】
オーバーエンドテイクオフ張力(OETOT)を、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,296,174号、4列20~45行、および図6に記載されているとおりに決定した。測定は、糸の管状供給パッケージから183mの長さのスパンデックス糸のサンプルを45.7m/分の送り速度で取り除くのに必要な平均引張荷重で行われる。以下の実施例では、パッケージの表面とコアで測定を行った。例えば、数グラムの繊維を取り除いて意図した巻き付けパターン(すなわち「表面」)を確立した後に測定を行い、また、約100gを除くすべての繊維がパッケージから取り除かれた後に測定を行う(すなわち「コア」)。
【0048】
ワックス組成物を有する弾性繊維を、以下の合成方法に従って調製した。Ceridust5551、Ceridust8020、およびCeridust6050を、乾燥紡績機で仕上げることなく、約486デニール(540デシテックス)のポリウレタン尿素繊維に紡糸した。図2のOETOTによって定量化されるように、ワックス組成物は糸の粘着性を著しく減少させた。
【0049】
この実施例で使用されるポリマーを、分子量1800のポリテトラメチレンエーテルグリコールを1.69のモル比でMDIでキャッピングすることにより作製した。得られたキャッピングされたグリコールを、エチレンジアミンと2-メチル-1,5-ペンタンジアミンの混合物((90/10モル比)でDMAc溶媒中で連鎖延長し、ジエチルアミンで終端した。ワックス組成物に加えて、ポリマーには、1.4重量%のCibaから入手可能なIrgonox酸化防止剤、0.5重量%のE.I.du Pont de Nemours,Incから入手可能なMethacrol 2462B UV安定剤、3.9%のMicrofine Minerals,Ltd.から入手可能なハンチッテ/ハイドロマグネサイト鉱物混合物Ultracarb、96%のポリジメチルシロキサンと4重量%ポリジアミルシロキサンからなる0.42重量%のシリコン油、0.3重量%のE.I.du Pont de Nemours,Inc.から入手可能な二酸化チタン艶消し剤も含まれていた。
実施例3
【0050】
糸のクリープを、2層の不織布(通常はポリプロピレン)の間に弾性貼り付け接着剤を使用して伸びて接着されたスパンデックス繊維からなる積層体を作製した後に決定する。積層体を緩めて収縮させる。積層体を、不織布層が滑らかになるように引き伸ばし、次いで端部で支持フレームに取り付ける。支持フレーム内の所定の長さのスパンデックス繊維を測定し、マークする。個々のスパンデックス繊維の端部をマークで切断する。積層体と支持フレームを40℃で4時間保管する。スパンデックス繊維の長さを保管後に測定する。切断されたスパンデックスの収縮長さと所定の長さとのパーセント差を、糸のクリープ率として報告する。
【0051】
図3は、糸のクリープ率がすべてのサンプルと対照繊維で非常に似ているため、繊維にワックスを添加してもスパンデックス繊維の接着性が低下しないことを示している。
【0052】
本明細書では、比率、濃度、量、および他の数値データは、範囲形式で表現され得ることに留意されたい。そのような範囲形式は、便宜のためおよび簡潔さのために使用されており、したがって範囲の限界として明示的に列挙された数値だけでなく、あたかも各数値とサブ範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値またはサブ範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例示すると、「約0.1%~約5%」の濃度範囲は、明示的に列挙された約0.1重量%~約5重量%の濃度だけでなく、個々の濃度(例えば、1%、2%、3%、および4%)ならびに示された範囲内のサブ範囲(例えば、0.5%、1.1%、2.2%、3.3%、および4.4%)も含むように解釈されるべきである。「約」という用語は、修正される数値(複数)の±1%、±2%、±3%、±4%、±5%、±8%、または±10%を含むことができる。さらに、「約「x」~「y」」という句は、「約「x」~約「y」」を含む。
【0053】
上記の実施形態に対して多くの変形および修正を行うことができる。そのような修正および変形はすべて、本明細書において本開示の範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
図1
図2
図3