(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】印刷画像におけるMN(ミッシングノズル)検出
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/01 205
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020002847
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-10-14
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヤン クリーガー
(72)【発明者】
【氏名】フランク シューマン
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-086565(JP,A)
【文献】特開2010-228226(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0056928(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷タスクを処理するインクジェット印刷機(7)において実施される、計算機(9)によって、印刷プロセスにおける印刷エラーを特定する方法であって、
前記印刷プロセスの間に生成された印刷製品(2)が、カメラシステム(10)によって検出され、デジタル化され、このようにして生成されたカメラ画像(13)が、前記計算機(9)上の検出アルゴリズムに供給され、印刷エラー(14)が識別されると、機器制御部(6)に通知が送信され、前記機器制御部
(6)はここ
で、前記印刷製品(2)を刷り損じゲートを介して排出する方法において、
前記検出アルゴリズムが、前記印刷エラー(14)が検出された、前記カメラ画像(13)の色分解版を選り分け、個々の前記色分解版の画像を1つの候補画像(21)に結合し、前記候補画像(21)をフィルタリングし、最後に、残っている、検出された前記印刷エラー(14)をリストに記入し、前記リストを前記印刷機(7)の前記機器制御部(
6)に送信
し、
前記印刷エラー(14)は、前記インクジェット印刷機(7)の、欠陥を有する印刷ノズルによって生じたホワイトラインエラーまたはダークラインエラー(14)である、
方法。
【請求項2】
前記計算機(9)は、別のステップにおいて、前記印刷機(7)の前記機器制御部(
6)への送信の前に、特有のテスト方法を適用することによって、ホワイトラインエラーまたはダークラインエラー(14)の前記リストから疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラー(14b)をフィルタリングする、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記計算機(9)は
、検出されたホワイトラインエラーまたはダークラインエラー(14)の前記リストから、原因となる、欠陥を有する前記印刷ノズルを求め、これに関連して、各適切な補償方法を介して、前記ホワイトラインエラーまたはダークラインエラー(14)を補償する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記計算機(9)は
、特有のテスト方法に対して、前記印刷タスクの前段階データから基準画像を作成し、前記基準画像に前記検出アルゴリズムを適用し、ここから、疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラー(14b)に対する得られた候補に関する知識を得て、前記候補を前記ホワイトラインエラーまたはダークラインエラー(14)の前記リストから除去する、または、ここから、疑わしい疑似ホワイトラインエラーまたは疑わしい疑似ダークラインエラー(14b)を有する、前記カメラ画像(13)内の領域に関する知識を得て、前記検出アルゴリズムを前記カメラ画像における前記領域に適用しない、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記計算機(9)は、前記基準画像を複数の大きさおよび/または解像度で作成し、前記検出アルゴリズムを相応に複数回、種々の前記基準画像に適用し、ここから得られた知識を統合し、適用する、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記基準画像内の、制限された、局部的な周辺におけるグレースケール値の高い変動を特徴とする領域には前記検出アルゴリズムを適用しないまたは前記領域からの結果は排除する、
請求項5記載の方法。
【請求項7】
ホワイトラインエラーまたはダークラインエラー(14)の前記リストの作成は、前記候補画像(21)内の求められた各列合計に境界値を適用することによって、フィルタリングされた前記候補画像(21)における列合計を介して前記計算機(9)によって行われる、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
個々の前記色分解版の前記候補画像(21)が前記計算機(9)によって、数学的なOR演算を用いて結合される、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記計算機(9)による前記候補画像(21)の前記フィルタリングは、モルフォロジー演算を用いて実行される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記検出アルゴリズムは前記計算機(9)によって複数回、生成された前記カメラ画像(13)に適用され、異なった特徴を有するダークラインエラーまたはホワイトラインエラー(14)を検出するために前記方法はそれぞれ異なってパラメーター化され、前記方法のすべての適用のすべての色分解版の結果が論理的に相互に結合される、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記方法の、異なってパラメーター化された適用の各々に対して、生成された前記カメラ画像(13)は各ピクセルにおいて事前に、最大のグレースケール値に制限される、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
カラーチャネルの前記候補画像(21)の生成は、生成された前記カメラ画像(13)を複数の水平のストリップ(15)に分割することによって行われ、ここでは各ストリップ(15)は、各自身の列の適切な平均化によって画像信号(18)に還元され、前記画像信号において、ホワイトラインまたはダークライン(14)が特有の捜索方法によって捜され、評価された各行が前
記候補画像(21)の行を生じさせる、
請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記ホワイトラインもしくはダークライン捜索方法は、前記画像信号(18)における、考慮されたピクセルの周辺の制限された近隣を考慮することによってダークラインまたはホワイトライン(14)の位置を識別する、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記捜索方法はまず、前記画像信号(18)を異なるフィルターコアで畳み込み、異なり得る各境界値と比較することによって結果を論理的な信号に変換し、前記信号は次に論理的な結合を用いて、ホワイトライン候補画像信号またはダークライン候補画像信号に変換される、
請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラと計算機を用いてインクジェット印刷機の印刷の質を検査する方法に関する。
【0002】
本発明は、デジタル印刷の技術領域に属する。
【背景技術】
【0003】
インクジェット印刷機の動作時に、このようなタイプの印刷機に特有の印刷エラーが生じる。最も一般的なのは、いわゆるホワイトラインエラーであり、これは使用されているインクジェット印刷ヘッドの個々の印刷ノズルが、自身の所望の標準的な動作から偏差することによって生じる。このような偏差が特定の境界を超えると、印刷画像を妨害してしまうので、該当する印刷ノズルは通常、動作しない状態にされる。しかし、このような、動作しない状態にされている印刷ノズルはこのような場合には、相応するホワイトラインエラーを生じさせてしまう。このようなエラーは、単色印刷された面の場合に、通常は白色である下地の印刷基材が現れ、最も目立ってしまうので、このような名称がつけられている。これに対して、明るい印刷色(例えば乳白色)が暗く見える下地の上に印刷される場合、このエラーは、いわゆるダークラインエラーとして現れる。しかし、異なる印刷ヘッドの複数の印刷ノズルが個々の色分解版を重ねて印刷する多色画像領域においても、関与している印刷ノズルの故障もしくは非動作化は、生成されるべき印刷画像における相応の色の歪みを生じさせてしまう。印刷ノズルは印刷方向において線状にインクを吐出するので、生成される印刷エラーも線状になる。ここから用語「ホワイトライン印刷エラー/ダークライン印刷エラー」が生じている。
【0004】
印刷ノズルの動作時のこのような偏差の発生の原因は多岐にわたるだろう。ここで、主要な問題は、相応する印刷ヘッドが過度に長い時間使用されず、適切に休止状態に置かれていなかった場合のインクの乾燥である。このような場合、乾燥したインクは、ノズル吐出口を詰まらせ、これによって該当する印刷ノズルの偏差した印刷点、もしくは極端な場合には完全な故障を生じさせてしまう。いずれの場合においても、印刷ノズルは、元来の印刷点が位置すべき箇所にもはや正確に印刷せず、印刷強度も元来の所望されている標準的な値から偏差してしまう。乾燥したインクの他に、粉塵粒子の侵入および同様の汚れも、ホワイトラインエラーを生じさせてしまうことがある。
【0005】
このようなホワイトラインエラーを見つけ出すために、従来技術から、複数のアプローチが既知である。確かに、テストパターンを印刷し、このようなテストパターンの自動化された検出および評価を介してホワイトラインを検出することが最も一般的であるが、このようなアプローチは、テストパターンの印刷が、印刷基材上の位置および大きさによっては、刷り損じの原因となってしまうという欠点を有している。したがって、生成された印刷画像自体を調べ、次にこの印刷画像から、発生しているホワイトラインエラーを検出する方法が存在している。これはさらに、目下生成されるべき印刷画像に実際に妨害を与えるホワイトラインもしくはこのようなホワイトラインの原因となる印刷ノズルだけが検出されるという利点を有している。
【0006】
独国特許出願公開第2017220361号明細書は、計算機によって、インクジェット印刷機内の故障している印刷ノズルを検出および補償する方法を開示している。ここでこれは、方法のステップとして、目下の印刷画像の印刷、画像センサによる、印刷された印刷画像の記録、計算機による、記録された印刷画像のデジタル化、列プロファイルを得るための、印刷画像の高さ全体にわたった、各列の、記録された印刷画像のデジタル化された色値の加算およびピクセルの数による、合算された色値の除算、差分列プロファイルを得るための、元来の列プロファイルからの、故障した印刷ノズルを有していない、最適化された列プロファイルの減算、それを超えると印刷ノズルの故障が定義される最大値に対する閾値の設定、それによって、各最大値の、結果として生じる列プロファイルにおいて、故障した印刷ノズルがマークされる、差分列プロファイルへの最大値に対するこのような閾値の適用および後続の印刷プロセスにおけるマークされた印刷ノズルの補償を含んでいる。
【0007】
しかしこのような方法の欠点は、実際には、この方法が安定して実施されないということである。この方法は、基準画像とカメラ画像との間に極めて僅かな相違しか存在していないということに基づいている。しかし正確には、実際には、常にこれが当てはまるわけではない。その原因は例えば、誤って較正されたカメラ、最適ではないまたは古くなったホワイトバランス、種々の紙の種類または印刷機構における最適ではないインクである。さらに、印刷画像におけるできるだけ単色で覆われた領域がホワイトラインの検出に用いられ、したがってこのような面を有していない印刷画像の場合には、この方法の使用は制限されてしまう。
【0008】
米国特許第9944104号明細書から、ホワイトライン検査システムが公知である。ここでは、ホワイトラインを検出するために、単純な境界値比較が提案されており、これは、検査されるべきモチーフがその箇所で均一であるということを前提としている。このような条件が当てはまらない画像の場合には、局部的に配向された、前段階印刷データから生成された基準画像を写し取ることによって信号を生成することが提案されている。しかし引き続き、差分画像計算が必要である。
【0009】
欧州特許出願公開第3300907号明細書は、これに対して、印刷状況に応じて、種々の方法を使用することによって、ホワイトライン検出システムがどのように高い性能を得ることができるのかを示している。これによって、特に、弱く、ひいてはクリチカルではないホワイトラインが検出されてしまうこと、または補償が良好に行われてはいないが、人間の眼には見えないホワイトラインが欠陥として識別されてしまうことを回避することができる。しかし、米国特許第9944104号明細書の場合のように、ここでも、ホワイトラインを見つけ出す基準データを生成するために、省くことが望まれているであろう基準画像生成ステップが必要となる。
【0010】
米国特許出願公開第2012/092409号明細書はさらに、インクジェット画像生成システムにおいて、欠陥を有するインク放射を識別するシステムおよび方法を開示している。このシステムおよび方法は、インクジェット画像生成システムにおける、欠陥を有するインク放射を検出する。このシステムはここで、テストパターンデータを含んでいない印刷されたドキュメントのデジタル画像を生成する。デジタル画像は、光のストリップを検出するために処理され、光のストリップの位置が、印刷ヘッドにおけるインク放射位置と関連付けされる。次に、関連付けされたインク放射位置に関連するインクの色の識別が、色分けされた画像および/または色収差の分析によって得られる。したがって本発明の課題は、従来技術から既知の方法と比べてより効率的であり、かつ印刷エラー、特にホワイトラインエラーをより良好にかつより確実に求める、インクジェット印刷機の印刷プロセスにおける印刷エラーを特定する方法を見出すことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、印刷タスクを処理するインクジェット印刷機において実施される、計算機によって、印刷プロセスにおける印刷エラーを特定する方法によって解決される。この方法では、印刷プロセスの間に生成された印刷製品がカメラシステムによって検出され、デジタル化される。このようにして生成されたカメラ画像が、計算機上の検出アルゴリズムに供給され、印刷エラーが識別されると、機器制御部に通知が送信される。機器制御部はここで場合によっては、この印刷製品を刷り損じゲートを介して排出する。この方法は、検出アルゴリズムが、印刷エラーが検出された、カメラ画像の色分解版を選り分け、個々の色分解版の画像を1つの候補画像に結合し、この候補画像をフィルタリングし、最後に、残っている、検出された印刷エラーをリストに記入し、このリストを印刷機に送信することを特徴とする。すなわち、本発明の方法の核心部分は、印刷エラーを直接的に、検出およびデジタル化された印刷製品の生成されたカメラ画像から求めることである。印刷エラーはここで、直接的に、選り分けられた色分解版において検出される。なぜなら、ここでは印刷エラーは、合成されたカメラ画像の場合よりも容易に検出されるからである。しかしここでは、生成されたカメラ画像において印刷エラーが完全に識別されることが重要である。例えば、生成されたカメラ画像の解像度が過度に低い場合、相応する印刷エラーに関する情報が失われ、検出アルゴリズム全体の作用がなくなる。カメラが通常、RGB画像を供給し、したがって、生成されたカメラ画像の個々の色分解版の選り分けが当然、個々のRGB色分解版を供給し、使用されているインクジェット印刷機の色空間に相当するCMYK色分解版を供給するのではないということに留意することも重要である。しかし、本発明の方法にとっては、これは問題ではない。なぜなら、特に、相応する印刷エラーの正確な位置が重要だからである、もしくは完全に印刷の質を妨害する印刷エラーが確実に検出されるということが重要だからである。機器色空間におけるどの色分解版、すなわちどのインク、ひいてはどの印刷ヘッドがノズル故障に関連しているのかは、計算機によって、相応する色空間変換によって確認される。検出アルゴリズムを改良するために、さらに、色分解版内での検出に続いて、個々の色分解版の画像が再び結合され、共通の候補画像になり、次にこの画像がさらにフィルタリングされる。これによって、実際においても、刷り損じにつながる印刷エラーだけが相応に検出されることが保証される。印刷エラーの原因となる印刷ノズルの後の検出を可能にするために、検出された印刷エラーを含んでいる、候補画像内のすべての列に印がつけられる。
【0012】
この方法の有利な発展形態は、属する従属請求項ならびに属する図面を用いた説明から明らかになる。
【0013】
本発明の方法の有利な発展形態では、印刷エラーは、インクジェット印刷機の、欠陥を有する印刷ノズルによって生じたホワイトラインエラーまたはダークラインエラーである。すなわち、アルゴリズムは主に、上述のホワイトラインエラーの識別のためのものである。なぜなら特に、このような印刷エラーが、印刷プロセスの印刷の質を、刷り損じが発生してしまうほど、低下させるからである。
【0014】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、計算機は、別のステップにおいて、印刷機への送信の前に、特有のテスト方法を適用することによって、ホワイトラインエラーまたはダークラインエラーのリストから疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラーをフィルタリングする。ここで重要なのは、フォールスポジティブエラーが検出アルゴリズムから出されない、ということである。特に、生成されるべき印刷画像における細く、明るい線、例えばバーコードは、極めて、疑似ホワイトラインとして印がつけられやすい。したがって、検出アルゴリズムは別のステップにおいて、特有のテストによって、検出されたホワイトラインが実際においても、本当のホワイトラインであるのか否かを検査すべきであり、これによって、意図した印刷画像構成部分が誤ってホワイトラインエラーとして検出されてしまい、ひいては意図せずに付加的な刷り損じが生じてしまうということが排除される。
【0015】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、計算機は、残っている、検出されたホワイトラインエラーまたはダークラインエラーのリストから、原因となる、欠陥を有する印刷ノズルを求め、これに関連して、各適切な補償方法を介して、ホワイトラインエラーまたはダークラインエラーを補償する。本発明の方法の元来の目的が、生成された印刷枚葉紙から刷り損じの枚葉紙を生じさせる、質を低下させるこの種のホワイトラインエラーを有する、印刷枚葉紙の形態の印刷製品を目的通りに識別することであるにもかかわらず、検出アルゴリズムによって求められた、ホワイトラインエラーに関する情報は当然、原因となる、欠陥を有する印刷ノズルを求め、これによって適切な補償方法によってこれを補償するためにも使用可能である。欠陥を有する印刷ノズルの補償によって最終的に、印刷ヘッドを交換することなく、該当するインクジェット印刷機を、継続中の印刷タスクの処理に使用し続けることが可能になる。
【0016】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、計算機は、特有のテスト方法に対して、印刷タスクの前段階データから基準画像を作成し、この基準画像に検出アルゴリズムを適用し、ここから、疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラーの得られた候補に関する知識を得て、この候補をホワイトラインエラーまたはダークラインエラーのリストから除去する、または、疑わしい疑似ホワイトラインエラーまたは疑わしい疑似ダークラインエラーを有する、カメラ画像内の領域に関する知識を得て、これに検出アルゴリズムを適用しない。有効なデータ、例えば前段階データから基準画像を作成し、次に、このような基準画像においても同様に、ホワイトラインとして検出された、見出された構造が存在するかを検査することによって、極めて容易に疑似ホワイトラインが検出される。上記の場合には、論理的に、これは疑似ホワイトラインである。このようなホワイトラインを見つけ出したという知識を、ここで二通りに扱うことができる。見つけ出された疑似ホワイトラインエラーを極めて単純にリストから除去することができ、これは確実に、最も簡単な手法である。しかし、継続して行われる本発明の方法において同じ疑似ホワイトラインエラーが再び検出アルゴリズムによって見つけ出されてしまうことを回避したい場合には、このような疑似ホワイトラインエラーが生じている、カメラ画像内の領域を本発明の検出から排除することが最良である。
【0017】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、計算機は、基準画像を複数の大きさおよび/または解像度で作成し、検出アルゴリズムを相応に複数回、種々の基準画像に適用し、ここから得られた知識を統合し、適用する。このような手法は、ホワイトラインの特有の印づけに対する検出アルゴリズムの確実性も、疑似ホワイトラインエラーの特定に対する検出アルゴリズムの確実性も高める。
【0018】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、アルゴリズムは、基準画像内の、制限された、局部的な周辺におけるグレースケール値の高い変動を特徴とする領域には適用されないまたはこのような領域からの結果は排除される。このような領域、例えばバーコードは特に、疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラーの検出につながりやすく、したがって、アルゴリズムの検査から排除されなければならない。
【0019】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、ホワイトラインエラーまたはダークラインエラーのリストの作成は、候補画像内の求められた各列合計(Spaltensumme)に境界値を適用することによって、フィルタリングされた候補画像における列合計を介して行われる。妨害する、本当のホワイトラインエラー/ダークラインエラーは通常、検出されたカメラ画像の比較的大きい領域にわたって延在する。場合によっては全く妨害せず、またはそれどころか、疑似ホワイトラインエラー/疑似ダークラインエラーである(これは、極めて短いホワイトラインエラーの場合には非常に確率が高い)のにもかかわらず、個々の印刷ノズルの単なる極めて小さい、短い中断も、印刷エラーの検出につながってしまう、ということを阻止するために、求められた印刷エラーが特定の境界値を上回る、印刷画像内の印刷列にのみ印がつけられる。
【0020】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、個々の色分解版の候補画像が計算機によって、数学的なOR演算を用いて結合される。個々の色分解版の、候補画像へのこの種の合成が、計算技術的に最も適していることが判明している。
【0021】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、計算機による候補画像のフィルタリングが、モルフォロジー演算を用いて実行される。これは特に、極めて短い印刷エラーもしくはホワイトラインのフィルタリングを可能にする。このような極めて短い印刷エラーもしくはホワイトラインは多くの場合にはいずれにせよ疑似ホワイトラインである、または、刷り損じの判断がされなければならないほど強く、生成された印刷製品もしくは印刷枚葉紙の印刷の質に影響を与えるものではない。
【0022】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、検出アルゴリズムは計算機によって複数回、生成されたカメラ画像に適用され、ここで、異なった特徴を有するダークラインエラーまたはホワイトラインエラーを検出するために、この方法はそれぞれ異なってパラメーター化され、この方法のすべての適用のすべての色分解版の結果が論理的に相互に結合される。本発明の方法の自由選択的なステップである、複数の基準画像に対する、検出アルゴリズムの複数回の適用に対して付加的に、検出アルゴリズムを複数回、生成されたカメラ画像に適用することも可能である。これによって特に、疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラーのフィルタリング時の検出アルゴリズムの精度が高まる。またこれは、本当のホワイトラインエラーまたはダークラインエラーを見つけ出す際の的中精度に対しても有利である。
【0023】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、この方法の、異なってパラメーター化された適用の各々に対して、カメラ画像は各ピクセルにおいて事前に、最大のグレースケール値に制限される。これは、平均値を誤ったものにし得る、紙白領域における明るい異常値がフィルタリングされるという利点を有している。
【0024】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、カラーチャネルの候補画像の生成が、この画像を複数の水平のストリップに分割することによって行われる。ここで各ストリップは、各自身の列の適切な平均化によって行信号(Zeilensignal)に還元(reduziert)される。この行信号において、ホワイトラインまたはダークラインが特有の捜索方法によって捜され、評価された各行がホワイトライン候補画像の行を生じさせる。これは、本発明の方法の重要な特徴である。なぜなら、このようなストリップにおける、検出アルゴリズムを用いたホワイトライン検出/ダークライン検出は、アルゴリズムが画像全体で作業しなければいけない場合と比べて、より効率的だからである。
【0025】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、計算機は、ホワイトライン捜索方法もしくはダークライン捜索方法を用いて、行信号における、考慮されたピクセルの周辺の制限された近隣を評価することによってダークラインまたはホワイトラインの位置を識別する。見つけ出されたエラーが実際に、本当のホワイトラインエラーまたはダークラインエラーであるか否かの分類は、直接的に隣接するピクセルの評価を用いて行われる。これによってはじめて、疑似ホワイトラインエラーまたは疑似ダークラインエラーを排除することができる。
【0026】
本発明の方法の別の有利な発展形態では、この捜索方法はまず、行信号を異なるフィルターコアで畳み込み、異なり得る各境界値と比較することによって結果を論理的な信号に変換する。この信号は次に論理的な結合を用いて、ホワイトライン候補行信号またはダークライン候補行信号に変換される。
【0027】
本発明自体ならびに構造的かつ/または機能的に有利な、本発明の発展形態を以降で、属する図面を参照して、少なくとも1つの有利な実施例に基づいて詳細に記載する。図面では、相応する要素にはそれぞれ同じ参照符号がつけられている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】印刷物検査に使用される画像検出システムの例
【
図5】マークされたホワイトラインを有する、検出されたカメラ画像のストリップ
【
図6】検出されたカメラ画像のストリップからの、マークされたホワイトラインを有する、拡大された部分
【
図7】マークされたホワイトライン候補を有する、画像ストリップから合成された画像
【
図8】カメラ画像におけるマークされたホワイトライン領域
【
図9】明るい紙白領域または個々の明るいピクセルによる列平均値の妨害
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示されている有利な実施形態の適用領域は、インクジェット印刷機7である。このような印刷機7の基本的な構造の例は、印刷基材2、通常は印刷枚葉紙2を印刷機構4に供給するフィーダ1から、デリバリ3までである。印刷機構では印刷ヘッド5によって印刷が施される。ここでこれは、制御計算機6によってコントロールされる枚葉インクジェット印刷機7である。このような印刷機7の動作時には、上述したように、印刷機構4内の印刷ヘッド5内で、個々の印刷ノズルが故障することがある。この結果、ホワイトライン/ダークラインもしくは多色印刷の場合には、歪んだ色値が生じる。
図3に、検出されたカメラ画像13におけるこのようなホワイトライン/ダークライン14の例が示されている。
【0030】
従来技術から既知の方法に対して、本発明の方法では、印刷プロセスの全体的なフローへの、ホワイトライン/ダークライン14に対する検出方法の埋め込みが異なっており、印刷工8の相互作用ももはや不要である。
図10に、この方法の全体的なフローが、第1の、有利な実施形態において概略的に示されている。
【0031】
1. 印刷後に、印刷が施された枚葉紙が、インライン画像検出システム12の一部であり得るカメラシステム10によってデジタル化される。
図2は、本発明の方法を使用するこのような画像検出システム12の例を示している。これは、インクジェット印刷機7内に組み込まれている、通常はカメラ10である少なくとも1つの画像センサ10から成る。少なくとも1つのカメラ10は、印刷機7によって生成された印刷画像13を記録し、評価のためにこのデータを計算機6、9に送信する。このような計算機6,9は、固有の別個の計算機9、例えば1つまたは複数の、特化された画像処理計算機9であっても、印刷機7の制御計算機6と同一であってもよい。少なくとも、印刷機7の制御計算機6はディスプレイ11を有しており、このディスプレイ上で、画像検査の結果がユーザー8に示される。有利には、以降に記載される方法に対して、画像処理計算機9が使用され、ここでは、本発明の方法を実施する画像処理アルゴリズムが動作する。このようにして生成されたカメラ画像13はここで、印刷物よりも低い解像度を有している。通常は、カメラの解像度は670dpiであり、印刷物の解像度は1200dpiである。解像度および光学系は、ホワイトライン/ダークライン14が、1~2個のカメラピクセル幅の、鉛直な、明るいストリップとして現れるように選択されなければならない。解像度が過度に高い場合には、画像13は始めに、画像処理の既知の方法によって、適切な解像度まで下げられてよい。特にピラミッド形の画像再現がここでは有用であることが判明している。
【0032】
2. カメラ画像13は、以降でより詳細に記載されるホワイトライン検出アルゴリズム/ダークライン検出アルゴリズムに供給される。付加的に、カメラ画像は並行して、さらに別の評価に供給可能である。
【0033】
3. ホワイトライン/ダークライン14が検出アルゴリズムによって識別されると、このことが画像処理計算機9によって、印刷機7の制御計算機6に通知される。これは次に、印刷機7の別のデータとともに、刷り損じを判断し、印刷が施された枚葉紙2が場合によっては刷り損じゲートを介して排出される。
【0034】
4. 自由選択的に、見つけ出されたホワイトライン/ダークライン14は、より正確に評価され、これによって、欠陥を有するノズルが識別され、この情報が、欠陥を有するノズルを補償するために利用される。
【0035】
このようなフローから、カメラ画像の13の調和した処理がシステム全体12の機能に対して本質的であるということが明らかである。
【0036】
ホワイトライン検出/ダークライン検出のための上述したアルゴリズムは、ここで、従来技術とは異なり、カメラ画像13にのみ適用される。
図3は、検出されたカメラ画像13を伴う、印刷枚葉紙2の例を示しており、ここで、これらのカメラ画像のうちの1つは、ホワイトラインエラー/ダークラインエラー14を有している。自由選択的に、別の実施形態では、基準画像を用いた付加的な、下流のフィルタリングも行われてよい。これは、以降の明細書において、さらに詳細に説明される。
【0037】
本明細書で提示される検出アルゴリズムの基本は、検出されたカメラ画像13を水平のストリップ15、15a、15bに分割することである。このアルゴリズムはここで以下のステップを含んでいる。
【0038】
1. RGB色分解版を選り分け、各色分解版Cに対して別個に、
1.1 約1~10mmの高さのストリップ15にカメラ画像13を分ける(
図4を参照)。
1.2 各ストリップ15が、枚葉紙2の走行方向、すなわちy方向において、平均化される。s個目のストリップ15に対して、信号I
s(x)が生じる。
1.3 各x位置に対して真理値が計算されることによって、各ストリップ15において、ホワイトライン/ダークライン14が別個に検出される。
1.3.1 自由選択的なステップとして、G
maxを上回るグレースケール値IC,
s(x)を有するピクセルは考慮されない。なぜなら、ホワイトライン/ダークライン14は明るい画像領域においては可視でないからである。
1.3.2 WLC(x,s)=(IC
,s(x)-IC
,s(x-1)>L)and((IC
,s(x)-IC
,s(x+1)>L)or(IC
,s(x)-IC,s(x+2)>L))or(IC
,s(x)-IC
,s(x-2)>L)and((IC
,s(x)-IC
,s(x+1)>L))
このような表現は、Lグレースケール以上明るくされた、1または2ピクセル幅のホワイトライン/ダークライン14が生じているか否かを検査し、画像内のエッジを効率的に除外する。
図5および
図6はそれぞれ、識別されたホワイトライン/ダークライン14を有する画像ストリップ15を示している。これらは相応するマーキング16を伴う。
図6は、マーキング16およびホワイトライン/ダークライン14を有するストリップ15の拡大された部分17を示している。
1.4 したがって、白黒画像WLCC(x,y)が生じ、ここではすべてのホワイトライン候補/ダークライン候補14がマークされている。
【0039】
2. 個々の色分解版の画像WLCc(x,y)がOR結合され、次に唯一の候補画像WLC(x,y)21が得られる。この候補画像は例示的に
図7に示されている。これは、マークされたホワイトライン/ダークライン候補14を有する、複数の画像ストリップ15から合成された画像21を示している。
【0040】
3. 画像WLC(x,y)21は、ここで、さらに、モルフォロジー演算によってフィルタリングされる。このようにして、以下のフォルム
010
010
の構造要素SEによる収縮が、極めて短いホワイトライン/ダークライン14をフィルタリングすることが可能になる。SEの高さは可変に調整可能であり、したがって、検出されるべきホワイトライン/ダークライン14の最小の長さを事前に調整することが可能になる。
【0041】
4. ステップ1~3において記載されたのと同じ評価が、別の実施例においては、並行して、場合によって存在している基準画像に適用される。この基準画像は、RGB画像として、直接的にRIPによって生成される。ここから生じるホワイトライン/ダークライン候補WLCREF(x,y)14は、顧客のモチーフによるフォールスポジティブホワイトライン検出/フォールスポジティブダークライン検出の可能性が高い、印刷画像の領域をマークしている。このような領域はカメラ画像13からのWLC(x,y)21から除去されるべきである。このために、まずは、WLCREF(x,y)における領域が、モルフォロジー膨張によって拡張される。これは、WLCREF(x,y)の平滑化に相応する。その後、WLC(x,y)21がWLCREF(x,y)によってフィルタリングされる。
WLC(x,y)←WLC(x,y)and(not WLCREF(x,y))
【0042】
5. 最後に、WLC(x,y)21内の、ホワイトライン/ダークライン14を含んでいるすべての列CWLが検出される。これは、列合計での境界値minWLPerColumnを介して行うことが可能であり、詳細には、符号化として行うことが可能である。つまり、WLC(x,y)21において、ホワイトライン/ダークラインがない=0、ホワイトライン/ダークラインがある=1、すなわち、WLC(x,y)21におけるホワイトライン/ダークライン14としてマークされたエントリーのカウントである。
CWL={x|ΣyWLC(x,y)>minWLPerColumn}
【0043】
本発明の方法はさらに、別の有利な実施形態において整合可能である。すなわち、
・下流のフィルターを変えることができる。
・ホワイトライン/ダークライン14として通知されるためには、ホワイトライン候補/ダークライン候補14の数が、列ごとの最小数に達しなければならない。
・ピクセルの明度値に対して最大値が定められ、これによって極めて明るいピクセルが平均値を誤ったものにすることがなくなる。なぜなら、ホワイトライン/ダークライン14は極めて明るいピクセルを670dpiのカメラ画像13において有していないからである。すなわち、50を上回る、画像におけるすべてのグレースケール値が50に制限される。
・基準画像内の関連箇所で強い構造が存在しているか否かが検査される。このような強い構造は、既に基準画像において、ホワイトライン/ダークラインに類似した構造を生じさせているので、カメラ画像13においてフェイドアウトされなければならない。このために、基準画像は、完全な解像度で存在している必要はない。なぜなら、基準画像の部分領域が構造化されているか否かまたは均一であるか否かの大まかな評価が必要なだけだからである(ステップ4を参照)。
・上述の方法は、グラフィックカード(GPU)への、調和した適用のために、計算アクセラレータとして実装され得る。
・記載された検出アルゴリズムは、画像検査を実行する画像検出システム12の部分コンポーネントとして実装可能である。次にWLC(x,y)画像21からさらに、操作者8もしくは顧客への報告のためにデータが導出され得る。これは、画像13内の連続した面(ブロブ(Blobs))が識別され、概観図において、後の評価部の操作者8のためにマークされることによって行われる。
図8は、このような報告の一部としての、マークされたホワイトライン領域/ダークライン領域20を有するカメラ画像13の例を示している。
【0044】
しかし、このような別の有利な実施形態では、多くの場合、基準画像が必要であり、上述した欠点の他に、これによって処理速度が害される。しかし基準画像の使用は、フォールスポジティブ検出されたホワイトライン/ダークライン14の回避によって、この方法の質をさらに良くする。
【0045】
したがって本発明の方法は、従来技術に対して、多くの利点を有している。例えば、目標画像とカメラ画像13との間の色の偏差が大きい場合に、例えばカメラ10、ホワイトバランス、紙の種類に関してワークフローが誤って較正されると、短いホワイトライン/ダークライン14はしばしば、画像ノイズ/信号ノイズの中に消えてしまう。本発明の方法によって、このような欠点は取り除かれる。従来技術から既知の方法でも、完全な解像度で、例えば670dpiで、基準画像が計算機9に搬送されなければならない。これは、現時点で存在する技術的な手段によっては、高いコストを用いてのみ可能である。本明細書において提示されたアルゴリズムは、基準画像を用いなくてもよい、もしくは少なくとも高解像度の基準画像を用いなくてもよいので、このようなコストを省くことができる。最後に、検出には基本的に基準画像は不要である。このことは、顧客モチーフ内に含まれている構造によるフォールスポジティブホワイトライン検出/フォールスポジティブダークライン検出を回避するために、これが使用され得る場合にも当てはまる。特にホワイトライン候補/ダークライン候補14の検出のために、基準画像とカメラ画像13との直接的な比較が行われる必要はない。
【0046】
本発明の方法に対して、さらに、別の、特に有利な実施例が存在しており、これはこの方法をさらに改良する。このために、以降の、先行する実施形態に基づく2段階のアルゴリズムが提案される。
【0047】
段階1では、所期のように、ホワイトライン候補/ダークライン候補14が捜される。
このために、先行する実施例において提示されたアルゴリズムが複数回、異なるパラメーターを伴って呼び出される。次に、アルゴリズムのこの実行の結果が論理的に結合される。さらに、アルゴリズムは自身のフローにおいてさらに改良される。これは以降のように行われる。
アルゴリズムが複数回、枚葉紙2のカメラ画像13に適用される。異なる適用の際に、パラメーターは次のように整合される。
【0048】
1. カメラ画像13は、自身のグレースケール値/カラーチャネル値において圧縮される。閾値Smaxを上回る明度値が閾値Smaxに制限されるように圧縮が行われる。これは、効果的に、画像13における、Smaxより明るいすべての構造を抑圧する。これによってこのステップにおいて、ホワイトライン/ダークライン14が暗い面において、均一な領域および不均一な領域において極めて良好に見つけ出される。この圧縮は、先行する実施例の第1のステップの前に実行される。
【0049】
2. ここでもカメラ画像13は自身のグレースケール値もしくはカラーチャネル値において圧縮される。しかしこの圧縮はここでは、閾値を上回る明度値Kmax(Kmax>Smax)が閾値Kmaxに制限されるように行われる。この圧縮は、先行する実施例の第3のステップの前に実行される。付加的に、画像13の局部的な均一性が計算される。これは、先行する実施例の第2のステップにおける、平均値のための平均化の際に、さらに列セグメントの標準的な偏差が計算されることによって行われる。相対的に均一な面における、すなわちσmaxを下回る標準的な偏差の場合のホワイトライン/ダークライン14のみが、候補リストに入れられる。このようなフィルタリングは、先行する実施例の第3のステップにおいて行われる。このようなアプローチでは、ホワイトライン/ダークライン14が明るい、均一な面において、極めて良好に見つけ出される。明るい不均一な領域におけるホワイトライン/ダークライン14は、人間の眼には、いずれにせよ見えづらく、したがって考慮されない。
【0050】
2つの結果は、論理的なOR結合によって、ホワイトライン候補リスト/ダークライン候補リストにまとめられる。別の情報とのより複雑な結合も、自由選択的に可能である。
【0051】
先行する実施例の第2のステップでは、単なる平均値形成の他に、有利な特性を有している種々の平均化方法が、生成された画像信号に適用され得る。これらは、例えば、
・平均値に代わる中央値であり、ここでの利点は、この方法が極めて安定的に異常値に反応するということである。
・最大明度値G
max,meanを上回らないピクセルだけにわたる平均値であり、ここでの利点は、平均値を誤ったものにし得る明るい異常値または紙白領域がフィルタリングされることである。これは例示的に、
図9に示されている。ここでは、明るい紙白領域または個々の明るいピクセルによる列平均値の妨害が、
図9の上方部分および下方部分において良好に見て取れる。しかしここでの問題は、疑似ホワイトライン/疑似ダークライン14bの発生ならびに検出された印刷画像13のコントラスト不足である。ここで中央部分において、カメラ10によって検出された、ホワイトラインエラー/ダークラインエラー14を有する印刷画像13が写し取られている。このような印刷画像13から、それぞれテキストを有するストリップ15aと画像縁部におけるストリップ15bとが切り取られ、ここから次に、それぞれ画像信号18、18a、18bが生成される。テキストを有するストリップ15aの画像信号18では、信号18における相応するピーク14aの形態の、信号におけるホワイトラインエラー/ダークラインエラー14の上述の作用が良好に見て取れる。さらに、テキスト表示から生じる疑似ホワイトラインエラー/ダークラインエラーのピーク14bが示されている。ホワイトラインエラー/ダークラインエラーの本当のピーク14aと、疑似ホワイトラインエラー/疑似ダークラインエラー14bのピーク14bと、の間の画像信号18における相違を区別するのが困難であるということが良好に見て取れる。なぜなら、2つのピーク14a、14bの最低検出レベル19を超えているからである。下方部分では、2つの画像信号18a、18bが、画像縁部に対する、生成された信号の場合に対して示されている。ここでは、改良されたコントラストを有する信号18aにおいてのみ最低検出レベル19を上回っており、ホワイトライン/ダークライン14が確実に識別される。低いコントラストを有する第2の信号18bにおいては最低検出レベル19を上回っておらず、ホワイトライン/ダークライン14は相応に識別されない。
【0052】
先行する実施例の第3のステップでは、閾値Lを上回るホワイトライン/ダークライン14が検出される。このような閾値に対して、この別の実施例ではさらに2つの別の改良が見出される。
【0053】
1. 1ピクセル幅のホワイトライン/ダークライン14が検出されるべきか、2ピクセル幅のホワイトライン/ダークライン14が検出されるべきかに応じて、2つの閾値が使用される。さらに、カメラの解像度に応じて、3ピクセル幅のホワイトライン/ダークライン14、4ピクセル幅のホワイトライン/ダークライン14、Nピクセル幅のホワイトライン/ダークライン14が見つけ出されるのも合理的であり得る。このような場合には相応に複数の閾値が適用されなければならない。この場合、2つの閾値L1およびL2を伴う、第3のステップからの検出表現は以下のようになる。
WLC(x,s)=((IC,s(x)-IC,s(x-1)>L1)and(IC,s(x)-IC,s(x+1)>L1))or((IC,s(x)-IC,s(x-1)>L2)and(IC,s(x)-IC,s(x+2)>L2))or((IC,s(x)-IC,s(x-2)>L2)and(IC,s(x)-IC,s(x+1)>L2))
【0054】
2. この閾値は、各ピクセルxの局部的な周辺に依存するようにされていてよく、したがって、明るい画像領域におけるホワイトライン/ダークライン14に対しては、低い明度を有する画像領域の場合よりも高い閾値が適用される。局部的な明度に対する尺度として、位置xの周りの狭い周辺におけるグレースケール値が、場合によっては存在するホワイトライン/ダークライン14を排除して、平均化され得る。択一的に、平滑化する中央値フィルターがIC,s(x)に適用可能である。
【0055】
先行する実施例の別の有利な改良として、アルゴリズムが、RGB画像13に適用可能ではなく、RGB画像13が事前に、適切な方法で、ホワイトライン/ダークライン14に対して、できるだけ良好なコントラストを有しているグレースケール画像に再計算される。これに対する適切な変換演算を以下に挙げる。
・Lab色空間からの輝度チャネルの計算
・HSB色空間からの明度値または彩度値の計算
・人間の眼に合わせられた、適切に重み付けされたRGBカラーチャネルの平均化
【0056】
段階2では、疑似ホワイトライン/疑似ダークライン14bが、1つまたは複数のフィルターを適用することによって、段階1において求められたホワイトライン候補/ダークライン候補14からフィルタリングされる。これに対して、先行する実施例に対する以降の改良が存在する。
列フィルターをホワイトライン候補リスト/ダークライン候補リストに適用することによって、少なくとも、同一の画像列において、別のホワイトライン候補/ダークライン候補14を数Ncol,min有していないすべてのホワイトライン候補/ダークライン候補14が、ホワイトライン候補リスト/ダークライン候補リストから除去される。このようなフィルターの背後にある考えは、極めて短いまたは散発的に生じているエラー検出を排除することである。なぜなら、ホワイトライン/ダークライン14は、多くの実際の印刷モチーフにおいて、列の複数の領域に作用するからである。これに対してエラー検出は局部的に、散発的にしか発生しない。
【0057】
先行する実施例において、ステップ4において記載された、基準画像を用いたフィルターは、ここでも、すべての上述した変更を伴って実行される。ここでは、改良として、基準画像が事前に、自身の大きさにおいて整合される。同様に、基準画像を異なる解像度において複数回処理し、このような段階の結果をフィルタリングの前にまとめることが合理的であり得る。これは、「完全な」基準画像上での質の損失をカメラシステム10によってシミュレートし、このようにして効果的に、カメラ画像13におけるホワイトライン状の構造/ダークライン状の構造につながり得る種々の構造を検出することが可能になる。
【0058】
別の、特に有利な実施例は、先行する実施例に対して特に、ホワイトライン/ダークライン14のより高い識別能力を有しており、これと同時に疑似ホワイトライン/疑似ダークライン14bの数がより少ない、という付加的な利点を有している。しかしこのためには、基準画像の評価が必要であり、その付加的な処理ステップは、使用されている計算機6、9の比較的長い計算時間を生じさせ得る。すなわち、どの有利な実施例を使用するかの判断は、特有の適用ケースの要求に基づいて行われるべきである。ホワイトライン検出/ダークライン検出が時間的にもしくは性能的にクリチカルである印刷タスクは、むしろ、第1の提示された実施例を使用するべきであり、これに対して、その印刷画像にとって、ホワイトライン/ダークライン14の徹底的な検出が特に重要である、かつ/または疑似ホワイトライン/疑似ダークライン14bが発生する確率が高い印刷タスクは、むしろ第2の提示された実施例を用いるべきである。
【符号の説明】
【0059】
1 フィーダ
2 印刷基材
3 デリバリ
4 インクジェット印刷機構
5 インクジェット印刷ヘッド
6 インクジェット印刷機の制御計算機
7 インクジェット印刷機
8 ユーザー
9 画像処理計算機
10 画像センサ/カメラ
11 ディスプレイ
12 画像検出システム
13 検出された印刷画像
14 ホワイトライン印刷エラー/ダークライン印刷エラー
14a 生成された画像信号におけるホワイトライン/ダークラインのピーク
14b 生成された画像信号における疑似ホワイトライン/疑似ダークラインのピーク
15 検出された印刷画像のストリップ
15a テキストコンテンツを含んでいる、検出された印刷画像のストリップ
15b 画像縁部における、検出された印刷画像のストリップ
16 識別され、マークされたホワイトライン/ダークライン
17 検出された印刷画像のストリップからの拡大された部分
18 テキストコンテンツを含んでいる、検出された印刷画像のストリップから生成された画像信号
18a 画像縁部における、検出された印刷画像のストリップから生成された画像信号
18b 画像縁部における、検出された印刷画像のストリップから生成された画像信号
19 生成された画像信号におけるホワイトライン/ダークラインの最低検出レベル
20 マークされたホワイトライン領域/ダークライン領域
21 複数のストリップから合成された候補画像