(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】コンテナ用重量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/02 20060101AFI20240104BHJP
【FI】
G01G19/02 C
(21)【出願番号】P 2020028585
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 亘
(72)【発明者】
【氏名】中島 千鶴
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-115073(JP,A)
【文献】特開2013-154818(JP,A)
【文献】登録実用新案第3074892(JP,U)
【文献】特開2010-064574(JP,A)
【文献】特開2007-015445(JP,A)
【文献】登録実用新案第3179444(JP,U)
【文献】特開2002-293437(JP,A)
【文献】特開2010-085182(JP,A)
【文献】特開2011-116327(JP,A)
【文献】特開平10-236581(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0215466(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-9/00,19/00-23/48
B65G 63/00-69/34
B60P 1/00-9/00
B65D 88/00-90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面後部に走行輪(51)を有し荷役車両(V)により運搬可能なコンテナ(C)であって、前記荷役車両(V)の車体枠(F)に設けられ且つコンテナ(C)前部に係脱可能な荷役機構(A)により該車体枠(F)上と地面(E)との間で積み降ろし可能なコンテナ(C)の重量を測定するためのコンテナ用重量測定装置において、
前記荷役機構(A)により前記車体枠(F)上のコンテナ(C)を後下りの傾斜姿勢で地面(E)に降ろしつつ後退させる際に、そのコンテナ(C)の一部に係合して該コンテナ(C)を所定後退位置に停止させるストッパ(ST)と、
前記所定後退位置で停止したコンテナ(C)の底部を載せることで該コンテナ(C)の重量を測定可能なロードセル(SE)と
、
コンテナ(C)が前記所定後退位置に停止したときに前記ロードセル(SE)上に該コンテナ(C)の底部の所定部位(54)が載るように該ロードセル(SE)と前記ストッパ(ST)との前後方向間隔を所定間隔に保持する間隔保持部材(K)とを少なくとも備え
、
前記間隔保持部材(K)は、前記ロードセル(SE)と前記ストッパ(ST)とに亘って延びる中空部(60)を有していて、その中空部(60)に、前記ロードセル(SE)に連なる配線(61)が収納され、
前記配線(61)は、前記中空部(60)から前記ストッパ(ST)を通して外部に引き出されることを特徴とするコンテナ用重量測定装置。
【請求項2】
前記間隔保持部材(K)は、地面(E)より高い配線支持面(62f)を有して地面(E)に設置されるベース部材(62)を有することを特徴とする、請求項
1に記載のコンテナ用重量測定装置。
【請求項3】
コンテナ(C)の前記積み降ろしを行うための所定作業位置に前記荷役車両(V)を停車させた状態で、運転者が左右のサイドミラー(90)を通して視認可能な左右一対のライト(74)を備えることを特徴とする、請求項1
又は2に記載のコンテナ用重量測定装置。
【請求項4】
前記ロードセル(SE)は、地面(E)に固定される基部(80)と、この基部(80)に対し傾動変位可能に保持されて、前記所定後退位置にあるコンテナ(C)の底部を載置させる先部(81)とを備え、
前記ロードセル(SE)の少なくとも側面の一部又は全部を被覆するカバー板(82)が、前記ロードセル(SE)のうち前記先部(81)に単独で支持されていて、そのカバー板(82)と前記基部(80)との間に、前記先部(81)の前記傾動変位を許容するクリアランス(83)が設けられることを特徴とする、請求項1~
3の何れか1項に記載のコンテナ用重量測定装置。
【請求項5】
底面後部に走行輪(51)を有し荷役車両(V)により運搬可能なコンテナ(C)であって、前記荷役車両(V)の車体枠(F)に設けられ且つコンテナ(C)前部に係脱可能な荷役機構(A)により該車体枠(F)上と地面(E)との間で積み降ろし可能なコンテナ(C)の重量を測定するためのコンテナ用重量測定装置において、
前記荷役機構(A)により前記車体枠(F)上のコンテナ(C)を後下りの傾斜姿勢で地面(E)に降ろしつつ後退させる際に、そのコンテナ(C)の一部に係合して該コンテナ(C)を所定後退位置に停止させるストッパ(ST)と、
前記所定後退位置で停止したコンテナ(C)の底部を載せることで該コンテナ(C)の重量を測定可能なロードセル(SE)とを少なくとも備え、
前記ロードセル(SE)は、地面(E)に固定される基部(80)と、この基部(80)に対し傾動変位可能に保持されて、前記所定後退位置にあるコンテナ(C)の底部を載置させる先部(81)とを有し、
前記ロードセル(SE)の少なくとも側面の一部又は全部を被覆するカバー板(82)が、前記ロードセル(SE)のうち前記先部(81)に単独で支持されていて、そのカバー板(82)と前記基部(80)との間に、前記先部(81)の前記傾動変位を許容するクリアランス(83)が設けられることを特徴とするコンテナ用重量測定装置。
【請求項6】
前記ロードセル(SE)の前記基部(80)は、地面(E)に固定される台座(85)上に設置され、
前記カバー板(82)の下端と前記台座(85)との間には、前記先部(81)が傾動変位して前記基部(80)と当接する前に該カバー板(82)の下端と前記台座(85)とが当接するように隙間(86)が設定されることを特徴とする、請求項
4又は5に記載のコンテナ用重量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面後部に走行輪を有し荷役車両により運搬可能なコンテナ、特に荷役車両の車体枠に設けられ且つコンテナ前部に係脱可能な荷役機構により車体枠上と地面との間で積み降ろし可能なコンテナの重量を測定するためのコンテナ用重量測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記荷役車両の荷役機構により車体枠上のコンテナを後下りの傾斜姿勢で地面に降ろしつつ後退させて、地面に固定の載置台上にコンテナを置き、その載置台に設けたロードセル上にコンテナ底部の走行輪を載せることでコンテナの重量を測定する技術は、例えば特許文献1に示されるように従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、荷役車両の車体枠上から地面にコンテナを降ろす際に、荷役車両の停車位置や荷役機構におけるリフトアームの姿勢によっては、コンテナを降ろす位置が変動するため、降ろされたコンテナ底部と載置台上のロードセルとの位置合わせを正確に行うことが難しく、それだけ作業効率が低下する等の問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来装置の問題を簡単な構造で解決可能としたコンテナ用重量測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、底面後部に走行輪を有し荷役車両により運搬可能なコンテナであって、前記荷役車両の車体枠に設けられ且つコンテナ前部に係脱可能な荷役機構により該車体枠上と地面との間で積み降ろし可能なコンテナの重量を測定するためのコンテナ用重量測定装置において、前記荷役機構により前記車体枠上のコンテナを後下りの傾斜姿勢で地面に降ろしつつ後退させる際に、そのコンテナの一部に係合して該コンテナを所定後退位置に停止させるストッパと、前記所定後退位置で停止したコンテナの底部を載せることで該コンテナの重量を測定可能なロードセルと、コンテナが前記所定後退位置に停止したときに前記ロードセル上に該コンテナの底部の所定部位が載るように該ロードセルと前記ストッパとの前後方向間隔を所定間隔に保持する間隔保持部材とを少なくとも備え、前記間隔保持部材は、前記ロードセルと前記ストッパとに亘って延びる中空部を有していて、その中空部に、前記ロードセルに連なる配線が収納され、前記配線は、前記中空部から前記ストッパを通して外部に引き出されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記間隔保持部材は、地面より高い配線支持面を有して地面に設置されるベース部材を有することを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、コンテナの前記積み降ろしを行うための所定作業位置に前記荷役車両を停車させた状態で、運転者が左右のサイドミラーを通して視認可能な左右一対のライトを備えることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記ロードセルは、地面に固定される基部と、この基部に対し傾動変位可能に保持されて、前記所定後退位置にあるコンテナの底部を載置させる先部とを備え、前記ロードセルの少なくとも側面の一部又は全部を被覆するカバー板が、前記ロードセルのうち前記先部に単独で支持されていて、そのカバー板と前記基部との間に、前記先部の前記傾動変位を許容するクリアランスが設けられることを第4の特徴としている。
【0010】
また本発明は、底面後部に走行輪を有し荷役車両により運搬可能なコンテナであって、前記荷役車両の車体枠に設けられ且つコンテナ前部に係脱可能な荷役機構により該車体枠上と地面との間で積み降ろし可能なコンテナの重量を測定するためのコンテナ用重量測定装置において前記荷役機構により前記車体枠上のコンテナを後下りの傾斜姿勢で地面に降ろしつつ後退させる際に、そのコンテナの一部に係合して該コンテナを所定後退位置に停止させるストッパと、前記所定後退位置で停止したコンテナの底部を載せることで該コンテナの重量を測定可能なロードセルとを少なくとも備え、前記ロードセルは、地面に固定される基部と、この基部に対し傾動変位可能に保持されて、前記所定後退位置にあるコンテナの底部を載置させる先部とを有し、前記ロードセルの少なくとも側面の一部又は全部を被覆するカバー板が、前記ロードセルのうち前記先部に単独で支持されていて、そのカバー板と前記基部との間に、前記先部の前記傾動変位を許容するクリアランスが設けられることを第5の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第4又は第5の特徴に加えて、前記ロードセルの前記基部は、地面に固定される台座上に設置され、前記カバー板の下端と前記台座との間には、前記先部が傾動変位して前記基部と当接する前に該カバー板の下端と前記台座とが当接するように隙間が設定されることを第6の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、荷役機構により車体枠上のコンテナを後下りの傾斜姿勢で地面に降ろしつつ後退させる際に、コンテナの一部に係合してコンテナを所定後退位置に停止させるストッパと、所定後退位置で停止したコンテナの底部を載せることでコンテナの重量を測定可能なロードセルとを備えるので、車体枠上のコンテナを地面に降ろしつつ後退させる際に、ストッパにコンテナの一部を係合させることで、コンテナを所定後退位置に的確に停止させることができる。そして、その所定後退位置に停止したコンテナをそのまま降ろすことで、コンテナ底部をロードセルに確実に載せることができるから、コンテナの重量測定を迅速容易且つ的確に行うことができ、作業効率アップに寄与することができる。
【0013】
また第1の特徴によれば、コンテナが所定後退位置に停止したときにロードセル上にコンテナの底部の所定部位が載るようにロードセルとストッパとの前後方向間隔を所定間隔に保持する間隔保持部材を備えるので、ロードセルとストッパとを地面に設置する際に、両者間の設置距離を測る手間が不要となり、またその設置距離がばらつくリスクも少なくすることができる。
【0014】
更に第1の特徴によれば、間隔保持部材は、ロードセルとストッパとに亘って延びる中空部を有していて、その中空部に、ロードセルに連なる配線が収納され、その配線は、中空部からストッパを通して外部に引き出されるので、その配線が外部に露出する部分を極力少なくすることができ、従って、その配線が砂利等の飛散物や外力で損傷するのを効果的に防止することができる。しかもロードセルとストッパ間の間隔を所定間隔に保持する保持部材が配線保護手段に兼用されるため、それだけ装置の構造簡素化、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0015】
また第2の特徴によれば、間隔保持部材は、地面より高い配線支持面を有して地面に設置されるベース部材を有するので、地面に溜まった水に配線が浸漬するのを効果的に防止でき、従って、配線が水浸漬に因り通電不良を起こす事態の発生が効果的に抑えられ、ロードセルによる測定を安定させることができる。
【0016】
また第3の特徴によれば、コンテナの積み降ろしを行うための所定作業位置に荷役車両を停車させた状態で、運転者が左右のサイドミラーを通して視認可能な左右一対のライトを備えるので、荷役車両を所定作業位置に接近移動させる過程で、運転者は左右のサイドミラーを通して左右のライトが略均等に見えるように運転操作すれば、コンテナを降ろした際にロードセルに対する左右方向の位置ずれを効果的に抑えることができ、重量測定をより的確に行うことができる。
【0017】
また第4および第5の特徴によれば、ロードセルは、地面に固定される基部と、この基部に対し傾動変位可能に保持されて、所定後退位置にあるコンテナの底部を載置させる先部とを備え、ロードセルの少なくとも側面の一部又は全部を被覆するカバー板が、ロードセルのうち先部に単独で支持されるので、飛散した砂利等がロードセルの側面に衝突するのをカバー板により効果的に防止でき、その衝突に因るロードセル側面の破損の防止に有効である。その上、カバー板とロードセルの基部との間に、ロードセル先部の傾動変位を許容するクリアランスが設けられるので、カバー板がロードセルの先部に追従して傾動しても、そのカバー板がロードセルの基部に干渉して先部の傾動の妨げとなるのを、上記クリアランスの特設により回避可能となる。
【0018】
また第6の特徴によれば、ロードセルの基部は、地面に固定される台座上に設置され、カバー板の下端と台座との間には、ロードセルの先部が傾動変位して基部と当接する前にカバー板の下端と台座とが当接するように隙間が設定されるので、ロードセルの基部に対し先部が傾動する際に、先部が基部に干渉するよりも先にカバー板が台座に当接することで、先部と基部が相互干渉により損傷するのを効果的に防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】コンテナを搭載した走行姿勢にある荷役車両が、コンテナ積み降ろしのための所定作業位置に停車した状態を示す全体側面図
【
図3】荷役機構の全体平面図(
図2の3-3線より見た拡大平面図)
【
図4】(A)はコンテナ単体の平面図、(B)はコンテナ単体の底面図
【
図5】コンテナ用重量測定装置の一実施形態を示す全体平面図(
図1の5X矢視拡大図)
【
図6】(A)は、ストッパの要部正面図(
図5の6A矢視拡大図)、(B)は
図6(A)のB矢視図
【
図7】ロードセル及び間隔保持部材の要部平面図(
図5の7矢視部拡大図)
【
図8】(A)は
図7の8A-8A線断面図、(B)は
図7の8B-8B線断面図
【
図9】コンテナを車体枠上から降ろす途中の過程を示す工程図
【
図10】コンテナがストッパに係合する(従ってロードセルに載置される)直前の状態を示す
図9対応図
【
図11】コンテナがロードセルに載置された直後の状態を示す
図9対応図
【
図12】コンテナのダンプ上げ状態を示す
図9対応図
【
図13】ストッパの変形例を示す要部側面図であって、(A)は、ストッパが走行輪の前進限を規制する第1変形例を、また(B)は、ストッパが走行輪の前進限及び後退限を両方規制する第2変形例を示す
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施形態に基づいて以下に具体的に説明する。
【0021】
図1~
図3において、荷役車両Vは、車体枠F上において、地面Eと車体枠F上との間でコンテナCを積み降ろし可能な荷役機構Aを具備しており、この荷役機構Aを以て車体枠F上に積み込んだコンテナCを任意の運搬先まで運搬可能である。尚、本明細書において、前後・左右方向とは、荷役車両V(従ってこれに搭載状態のコンテナC)の前後・左右方向にそれぞれ相当する方向をいう。
【0022】
コンテナCとして、本実施形態では木材チップ等の湿り気のある収容物を乾燥可能な乾燥機能付きコンテナが例示される。そして、このコンテナCで乾燥処理された積載物の重量(具体的には、積載物を含むコンテナCの全体重量)を後述するロードセルSEにて測定できるようにしている。
【0023】
図4を併せて参照して、コンテナCは、直方体状のボックス体よりなるコンテナ本体Cmを主要部とする。このコンテナ本体Cmの底面には、
図4(B)で明らかなように前後方向に長く延びる左右一対の主桁53と、その両主桁53の前端間を結合する前部横桁54Fと、両主桁53の後端間を結合する後部横桁54Rとが一体的に突設される。
【0024】
主桁53は、コンテナ本体Cmの底面を補強するためのものであり、底面から下方に張り出したリブ状であればよい。即ち、主桁53の断面形状は、実施形態では矩形状に形成されるが、他の形状、例えばコ字状断面でもI字状断面でもよい。
【0025】
そして、コンテナ本体Cmの底面後部に位置する後部横桁54Rには、主桁53よりも左右方向外方側で左右一対の走行輪51が回転自在に軸支される。またコンテナ本体Cmの底面前部に位置する前部横桁54Fには、主桁53よりも左右方向外方側で左右一対の支持脚52が一体的に突設される。
【0026】
而して、コンテナCは、これを地面Eに降ろした状態では、通常は走行輪51及び支持脚52を介して接地状態に置かれる。尚、走行輪51は、コンテナ本体Cmに対し転向自在なキャスターで構成されてもよいし、或いは転向不能な転動輪で構成されてもよい。
【0027】
コンテナ本体Cmの開放後端は、リヤゲートCmrにより開閉可能に閉じられており、コンテナCを後述するようにダンプさせる際にはリヤゲートCmrを開いておくことで、積載物のダンプ排出を可能としている。
【0028】
更にコンテナ本体Cmの前端壁Cmfの前面に突設した左右のブラケット55には、平面視で前側に凸に湾曲したリフトバー56が両端支持され、このリフトバー56には、荷役機構Aのフックアーム6が係脱可能に係止できるようになっている。
【0029】
また
図2で明らかなように、コンテナ本体Cmの底面は二重底構造となっており、上側の底板が、多数の貫通孔57hを有する多孔板57で構成される。多孔板57とコンテナ本体Cmの底壁との間には通風間隙58が画成され、コンテナ本体Cmの後端部には、通風間隙58に通じる熱風取込口Cmoが開設される。従って、リヤゲートCmrは熱風取込口Cmoを避ける形状に形成される。尚、コンテナ本体Cmの後端部には必要に応じて、熱風取込口Cmoを開閉する手段、例えば開閉蓋を付設してもよい。
【0030】
熱風取込口Cmo(従って通風間隙58)は、外部の熱風源59(例えば温風ブロワ)とダクト及びジョイントに介して随時に接続される。従って、熱風源59から出た熱風が熱風取込口Cmo、通風間隙58及び多孔板57を経てコンテナC内の木材チップ等の積載物に当てられて、積載物を乾燥処理することができる。そして、この乾燥処理の進行具合が、後述するロードセルSEによる測定重量により判断可能となる。
【0031】
次に、主として
図2,
図3を参照して、荷役車両Vの一例を説明する。
【0032】
車体枠Fは、これの主要骨格をなして前後方向に延び縦横に枠組されたメインフレームFmと、メインフレームFm上に搭載、固定されたサブフレーム1とを備え、メインフレームFmの前部及び後部には、前輪及び後輪がそれぞれ軸支される。サブフレーム1は、左右の縦フレーム1Aと複数の横フレーム1Bとより前後に長い方形枠状に形成されており、そのサブフレーム1の後部には、前後方向に延びるダンプアーム3が後方にダンプ可能に設けられている。
【0033】
このダンプアーム3は、左右に並ぶ縦桁と、その両縦桁間を一体に結合する複数の横桁とを有して梯子状に形成されており、その後端部には、左右一対のブラケット3bが結合(例えば溶接)される。そして、このブラケット3b(従ってダンプアーム3)は、サブフレーム1の後端部に枢軸J1を介して後方に起伏回動可能に支持される。
【0034】
またブラケット3bには、左右一対の案内ローラ2を回転自在に支持する枢軸J2が、枢軸J1から上方に偏位した部位に固定、又は回転自在に支持される。その左右の案内ローラ2は、サブフレーム1上と地面Eとの間でコンテナCを積み降ろしする際に、コンテナC底部の所定部位(具体的には左右の主桁53)を載せてコンテナCの積み降ろしをスムーズに誘導案内するものであり、各案内ローラ2の基部外周は、サブフレーム1の縦フレーム1A上に載置、支持される。
【0035】
また、サブフレーム1の縦フレーム1Aには、これの前部において前部ガイド7が結合(例えばボルト止め)され、更にこの前部ガイド7よりも後側の中間部において中間ガイド8が結合(例えばボルト止め)される。前部ガイド7は、コンテナCの主桁53に摺動可能に当接して主桁53を縦フレーム1A上に案内可能な傾斜ガイド面を有し、サブフレーム1上でのコンテナCの左右振れを規制可能である。また中間ガイド8は、前後方向に延びる水平ガイド面を有し、コンテナCの主桁53下端を摺動可能に載置し、これにより、案内ローラ2と協働してコンテナCの主桁53を前後方向に摺動案内可能である。
【0036】
尚、前部ガイド7は、案内ローラ2と同様に、サブフレーム1に枢軸を介して回転自在に支持させるようにしてもよい。
【0037】
ダンプアーム3の前部には、これの左右の縦桁間に一体に横架させる枢軸J3を介してリフトアーム5が前後方向に起伏回動可能に支持される。このリフトアーム5は、中空の角筒状に形成されてサブフレーム1の左右中間部を前後方向に延びており、その後部はダンプアーム3と前後方向に重なり合っているが、その大部分はダンプアーム3よりも前方に延長されている。
【0038】
サブフレーム1の前部とリフトアーム5の中間部との間には、左右一対のリフトシリンダClが枢支連結される。これらのリフトシリンダClは、リフトアーム5の左右両側を前後方向に延びており、それらの同調伸縮作動により、
図9~
図11に示すように、リフトアーム5を枢軸J3回りに前後に起伏回動させることができる。
【0039】
またリフトアーム5の先部には、側面視でL字状をなすフックアーム6の基端が枢軸J4を介して前後方向に回動自在に連結される。而して、リフトアーム5及びフックアーム6は、互いに協働して荷役アーム4を構成する。
【0040】
フックアーム6は、これの主要部をなすアーム本体6Mと、そのアーム本体6Mの上端に固定(例えば溶接)されるフック6Fとを有したL字枠体で構成される。特にアーム本体6Mは、コンテナCが車体枠F上に搭載される車両走行姿勢(
図2参照)で前後方向に延びる短いアーム基部と、このアーム基部の前端より略鉛直に長く起立するアーム先部とを有する。またフック6Fは、これの前面に、側面視で後方に窪んだ係合面6Faを有しており、この係合面6Faが、コンテナCの前面上部に固定のリフトバー56に係脱自在に係止される。
【0041】
フックアーム6内には、上下方向に延びるフックシリンダCfが収容される。このフックシリンダCfの一端はリフトアーム5に枢支連結され、またその他端はフックアーム6に枢支連結される。フックシリンダCfは、これの伸縮作動により、フックアーム6をリフトアーム5に対して前後に揺動駆動することができ、またフックアーム6を前方揺動限と後方揺動源とに保持可能である。
【0042】
ダンプアーム3とリフトアーム5との間には、その両アーム3,5相互を枢軸J3で中折れせずに一体的に固縛可能な不図示のロック装置が介設される。このロック装置とフックアーム6との間には、ロック装置をフックアーム6の前後揺動に連係させる不図示の連動機構が設けられ、この連動機構は、ロック装置を、フックアーム6が前方揺動源にあるときロック作動(即ち上記固縛を実行)させ、またフックアーム6が後方揺動源にあるときロック解除(即ち上記固縛を解除して両アーム3,5の中折れを許容)する。
【0043】
尚、上記したロック装置及び連動機構は、本実施形態のようなコンテナ運搬用荷役車両において従来周知(例えば特開2007-99233号公報参照)であるため、本明細書では、図示と詳細説明を省略する。
【0044】
以上説明したダンプアーム3、荷役アーム4(リフトアーム5及びフックアーム6)、リフトシリンダCl、フックシリンダCf、案内ローラ2並びに上記ロック装置及び連動機構は、互いに協働してコンテナCを車体枠F上と地面Eとの間で積み降ろしするための荷役機構Aを構成する。
【0045】
而して、上記ロック装置のロック作動状態では、リフトアーム5とフックアーム6とが一直線状にロックされ、後述するように、それらの上に搭載されるコンテナCをダンプさせることができる。また上記ロック装置のロック解除状態では、リフトアーム5とフックアーム6とのロックが解除され、後述するように車体枠F上と地面Eとの間でコンテナCを積み降ろしすることができる。
【0046】
車体枠Fの後部にはアウトリガー19が設けられ、このアウトリガー19は、コンテナCを積み降ろし、あるいはダンプさせるときに作動されて、荷役車両Vを安定姿勢に保持することができる。
【0047】
次に、コンテナCの重量を地面E、特に荷役車両Vから降ろした直後の所定場所で測定するためのコンテナ用重量測定装置Mの一例を、主として
図1,
図5~
図8を参照して説明する。
【0048】
この重量測定装置Mは、例えば、荷役機構Aにより車体枠F(具体的にはサブフレーム1)上のコンテナCを後下りの傾斜姿勢で地面Eに降ろしつつ後退させる際に、そのコンテナCの一部に係合してコンテナCを所定後退位置に停止させるストッパSTと、所定後退位置で停止したコンテナCの底部の所定部位(具体的には前部横桁54Fの中央部)を載せることでコンテナCの重量を測定可能なロードセルSEと、コンテナCが所定後退位置に停止したときにロードセルSE上にコンテナCの上記所定部位が載るようにロードセルSEとストッパSTとの前後方向間隔を所定間隔に設定、保持するための間隔保持部材Kとを備える。
【0049】
ここで、「コンテナCの一部に係合」とは、コンテナCの一部に当接することが含まれることは勿論のこと、コンテナCの一部に係止される(例えば、引っ掛かる等して繋がり合う)ことも含まれる。
【0050】
間隔保持部材Kは、ロードセルSEとストッパSTとに亘って前後に長く延びる。本実施形態の間隔保持部材Kは、ストッパSTの左右中央から、コンテナCの所定規格の前後寸法より短い所定長さに亘り直線状に延びている。そして、この間隔保持部材Kは、これの長さ方向全域に亘って延びる中空部60を有していて、その中空部60に、ロードセルSEに連なる配線61が収納される。
【0051】
この配線61は、中空部60からストッパSTを通して外部に引き出されており、重量測定装置Mの周辺に設置された制御ボックス91に接続される。この制御ボックス91は、重量表示部92を外面に有しており、またその制御ボックス91内には、図示はしないが電源及び制御装置が収納される。その制御装置は、ロードセルSEが出力する重量測定信号に基づいてコンテナCの全体重量を推定し、且つその推定重量を重量表示部92に表示させるための信号を出力可能に構成される。
【0052】
尚、制御装置にコンテナCの空重量(無積載状態の全体重量)を予め記憶させておき、コンテナの実際の全体重量から空重量を差し引いた積載物重量を推定させて、その積載物重量を重量表示部92に表示させるようにしてもよい。
【0053】
図5、
図6で明らかなように、間隔保持部材Kは、地面Eより高い配線支持面62fを有して地面Eに設置されるベース部材62と、ベース部材62に固定されて配線支持面62fとの間に中空部60を画成する保護カバー63とを有する。ベース部材62及び保護カバー63は、何れも剛性のある板材(例えば鋼板)で構成され、ロードセルSEとストッパSTとに亘って前後方向に直線状に延びている。
【0054】
ベース部材62は、上面が前記配線支持面62fとなる横断面逆U字状のベース主体部62bと、そのベース主体部62bの左右両端に連設されて接地部となる左右のフランジ部62aとを有する。また保護カバー63は、横断面逆U字状のカバー主体部63bと、そのカバー主体部63bの左右両端に連設されてベース主体部62bの上壁に固定(例えばボルト止め)される左右のフランジ部63aとを有する。そして、ベース主体部62bの上壁とカバー主体部63bとの間に、前後両端が開放した前記中空部60が画成されている。
【0055】
またストッパSTは、本実施形態ではコンテナC底部の左右の走行輪51に係合させるべくコンテナCの左右方向に延びる車輪止めで構成される。この車輪止め、即ちストッパSTは、コンテナCの所定規格の全幅と略一致し、また荷役車両Vの全幅とも略一致している。
【0056】
特に本実施形態のストッパSTは、左右方向に延びる帯板状の台板71と、この台板71に固着(例えば溶接)される横断面コ字状の上板72と、台板71及び上板72で画成される中空部の左右両端を閉塞して台板71及び上板72に結合(例えば溶接)される左右一対の側板73とを有して、左右に長い直方体状の枠体で構成される。
【0057】
それら台板71、上板72及び側板73は、何れも剛性のある板材(例えば鋼板)で構成される。特に左右の側板73の各外面には、ストッパSTを把持運搬する際の握りとなるハンドル73aが回動可能に軸支される。
【0058】
このストッパSTとロードセルSEとの前後方向間隔は、ストッパSTに走行輪51を係合させた状態でコンテナC底部の所定部位(前部横桁54F)をロードセルSE上に載置させ得る距離に設定され、より具体的には、走行輪51と上記所定部位(前部横桁54F)との前後方向距離と略一致するよう設定される。その設定後、ストッパSTは、これの台板71が適当な固定手段(例えばアンカボルト等)で地面Eに固定される。尚、その固定手段は、必要に応じて省略してもよい。
【0059】
ストッパST、特に上板72の前側壁及び後側壁には、配線61をストッパST内に引入れ且つ引出すための孔72h1、72h2が設けられる。またストッパSTには、コンテナCの積み降ろしを行うための所定作業位置(本実施形態で言えば、
図1,
図9~
図11に示す位置)に荷役車両Vを停車させた状態で、運転者が左右のサイドミラー90を通して視認可能な左右一対のライト74が設けられる。ライト74の本体部分は、ストッパS内に収容、保護され、その発光部だけが上板72の前側の側面に露出する。ライト74用の配線の図示は省略するが、これをロードセル用配線61と束ねてハーネス化してもよい。
【0060】
また本実施形態の左右のライト74は、ストッパSTの左右中央部から左右に等間隔の位置に配設され、しかも左右のライト74の相互間隔は、コンテナCの所定規格の全幅と略一致し、また荷役車両Vの全幅とも略一致する。
【0061】
尚、このライト74は、必要に応じて省略してもよい。或いはまた、ストッパST以外の部材(例えば、ライト支持専用の支持部材等)にライト74を支持させるようにしてもよい。
【0062】
ところで荷役車両Vを、コンテナCの積み降ろしを行うための上記所定作業位置に停車させるために、地面Eには運転者から見える位置に図示しない停車位置目印(例えば白線ライン、ポール等)が設けられる。この停車位置目印は、あくまで荷役車両Vを大体の所定作業位置で停車させるためのものであり、即ち、車体枠Fにより車両後端までの寸法が異なるため、コンテナCの積み降ろし位置が変わる場合があり、また積み降ろしの際の荷役車両Vのリフトアーム5の回動姿勢によっても、コンテナCの積み降ろし位置が変わる場合がある。更に運転者の操作くせ等によって、停車位置目印に対する実際の停車位置にばらつきが生じる可能性もある。尚、停車位置目印は、省略してもよい。
【0063】
図7および
図8で明らかなように、ロードセルSEは、直方体状の剛性枠体よりなる台座85上に固定(例えばボルト止め)される基部80と、この基部80よりも上方に張出していて基部80に傾動変位可能に保持される先部81とを備えており、その構造は、従来周知のロードセルと同様である。例えば、基部80は、先部81上で受ける荷重に対応した検出信号を出力する不図示の検出部を内蔵しており、該検出部は前記配線61に接続される。
【0064】
台座85は、図示しない適当な固定手段(例えばアンカボルト等)で地面Eに固定される。尚、その固定手段は、必要に応じて省略してもよい。また、台座85の外面には、ロードセルSEを把持運搬する際の握りとなる複数のハンドル85aが回動可能に軸支される。
【0065】
ロードセルSEは、これの台座85が間隔保持部材Kの前端に隣接配置されており、ストッパSTからコンテナCの所定規格の前後寸法と略一致する位置にある。またロードセルSEの、地面Eへの設置状態での全高(即ち、後述するカバー板82の上面高さ)は、コンテナCの底面前部の支持脚52の高さよりも高く設定されており、従って、ロードセルSE上にコンテナCの前部横桁54Fを載せて重量測定を行う際に、支持脚52は地面Eより若干離れ、ロードセルSEの測定作業に支障となる虞れはない。
【0066】
ところでロードセルSEは、これの先部81の上面に、前記所定後退位置にあるコンテナCの底部(前部横桁54F)を載置させることにより、先部81が受けるコンテナCの重量(より正確には走行輪51と分担してロードセルSEが支持する重量)を測定する。従って、その測定重量(具体的には前記検出部が出力する検出信号)に基づいて前述の制御ボックス91が重量表示部92にコンテナCの重量を表示可能である。
【0067】
先部81を基部80に対し傾動変位可能とする技術手段は、ロードセルの技術分野において従来周知であり、例えば、先部81上面に載せられようとするコンテナCが多少傾く等して先部81上面に片当たりする等の場合に、先部81をこれの傾動変位によりコンテナCに無理なく追従させ得る利点がある。
【0068】
本実施形態では、ロードセルSEの上面と、側面の少なくとも一部とがカバー板82により覆われており、このカバー板82は、ロードセルSEのうち先部81に単独で支持される。即ち、カバー板82は、ロードセルSEの上面を覆う上板部82tと、上板部82tの下面外周部より一体に垂設される側板部82sとを有して有底筒状に形成される。上板部82tは、ロードセルSEの先部81上面に重合載置されると共に、先部81に複数のピン88で先部81に位置決め保持される。尚、ピン88は、先部81のピン孔に圧入固定してもよいし、或いはまた、頭部に大径鍔部を有する不図示のピンを先部81のピン孔に上方より単に差し込む等して先部81に保持させるようにしてもよい。
【0069】
そして、このカバー板82の側板部82sと、ロードセルSEの基部80の側面との間には、先部81の傾動変位を許容するクリアランス83が設けられる。また特にロードセルSEの基部80側面には、前記配線61を引き出すボス部80bが突設され、このボス部80bを逃げる切欠き部82scが側板部82sに形成される。そして、この切欠き部82scの内周縁部とボス部80bとの間にも、先部81の傾動変位を許容するクリアランス83が設けられる。
【0070】
さらにカバー板82の下端と台座85の上部との間には、先部81が傾動変位して基部80と当接するよりも先にカバー板82の下端と台座85とが当接するように隙間86が設定される。
【0071】
つぎに、前記実施形態の作用について説明する。
[車体枠F上からコンテナCを地面に降ろす場合]
例えば、荷役車両Vの車体枠F上からコンテナCを地面Eの所定場所に降ろして、そこでコンテナCの重量測定と積載物の乾燥処理を行う場合を想定する。この場合、荷役車両VがコンテナCの積み降ろしを行うための所定作業位置(本実施形態で言えば、
図1,
図9~
図11に示す位置)の直ぐ後方の地面Eには、本実施形態の重量測定装置Mが例えば
図1、
図5の設置態様で予め設置されている。
【0072】
先ず、運転者は、荷役車両Vを上記所定作業位置に停車させるために、地面Eの不図示の停車位置目印を手がかりとして、荷役車両Vを大体の所定作業位置で停車させる。この場合、運転者は、荷役車両Vを所定作業位置に向けて接近移動させる過程で左右のサイドミラー90を通してストッパSTの左右のライト74が略均等に見えるように運転操作すれば、コンテナCを降ろした際にロードセルSEに対する左右方向の位置ずれが効果的に抑えられ、これにより、後述するようなロードセルSEによるコンテナCの重量測定を的確に行うことができる。
【0073】
ところで
図1,
図2に示すように、車体枠F上にコンテナCが搭載された状態(即ち荷役車両Vが走行姿勢)にあるときは、フックアーム6は、走行位置(前方揺動限)に在って、そのフック6Fは、コンテナCのリフトバー17に係合され、またダンプアーム3とリフトアーム5間の不図示のロック装置はロック状態にある。
【0074】
この状態より
図9に示すように、コンテナCを地面に降ろすべく、フックシリンダCfを伸長作動して、フックアーム6をリフトアーム5に対してダンプ解除位置(即ち
図9鎖線の後方揺動限)まで後方揺動させる。そして、このフックアーム6の後方揺動により、不図示の連動機構を介してロック装置がロック解除状態に切り替わるので、リフトアーム5とダンプアーム3とが枢軸J3で中折れ可能な状態となって、荷役アーム4は、ダンプアーム3に対して後方への起立回動が可能になる。
【0075】
従って、この状態よりリフトシリンダClを伸長作動させると、
図9実線に示すように、リフトアーム5とフックアーム6とよりなる荷役アーム4は枢軸J3まわりに後方に回動する。これにより、コンテナCは左右案内ローラ2に案内されながら車体枠F上を後方に移動し、更に左右案内ローラ2を支点として後下がり姿勢で傾動しながら後退し、遂にはコンテナCの底面後部の走行輪51が地面に着地するに至る。
【0076】
そして、その着地後もリフトシリンダClが更に伸長を継続して伸長すれば、荷役アーム4の後方回動が進行して、これに連動するコンテナCは、走行輪51を地上走行させる後退動作を続けながら後傾角度を徐々に小さくし、遂には走行輪51がストッパSTに係合する所定後退位置で後退動作が停止する。その後、なおも荷役アーム4が後下方に回動することで、コンテナCの前部が徐々に降ろされ、遂には前部横桁54FがロードセルSE上に載置され、このロードセルSEによりコンテナ重量(従って積載物の乾燥前重量)が測定される。そして、このとき、コンテナCの底面前部の支持脚52は、地面Eから浮いているので、ロードセルSEによる重量測定に支障はない。
【0077】
尚、上記したコンテナCの降ろし過程で、もし仮に荷役車両Vの当初の停車位置が後ろ過ぎた場合(即ち正規の所定作業位置よりもストッパSTに近づき過ぎた位置で停車した場合)には、コンテナC後部の走行輪51がストッパSTに係合した時点でコンテナC前部が上がり過ぎてロードセルSEに載せられなくなる虞れがある。従って、この場合は、荷役車両Vを一旦、少し前進させてから、コンテナCの降ろし作業を再開するようにすればよい。
【0078】
而して、コンテナCの前部横桁54FがロードセルSE上に支障なく載せられた後は、次にコンテナC内の木材チップ等の積載物を乾燥させるべく、熱風ブロワ59からの熱風がコンテナCの二重床部分から所定期間、積載物に対し継続的に吹き込まれる。これにより、積載物の乾燥処理が終了したら、再度、ロードセルSEによるコンテナ重量(従って積載物の乾燥後重量)が測定され、乾燥処理の進捗度合いを判定する。
【0079】
尚、コンテナCの前部横桁54FをロードセルSE上に載置させた状態では、
図11鎖線に示すように更に荷役アーム4を下方に若干回動させることでフックアーム6先端のフック6Fをリフトバー17より外すことができ、これにより、荷役車両VをコンテナCから分離させることが可能である。
【0080】
また、地面に降ろされているコンテナCを再度、車体枠F上に積み込む場合には、荷役機構Aの各部の動作順序を、前記した積み降ろし時とは逆の順序で荷役機構Aを動作させるようにすればよい。
[車体枠F上に搭載されるコンテナCをダンプさせる場合]
図1,2に示すように、荷役車両Vのサブフレーム1上にコンテナCが搭載され、フックアーム6が走行位置、即ち前方揺動限(即ちダンプ可能な姿勢)にある状態では、リフトアーム5及びダンプアーム3間の不図示のロック装置がロック作動、即ちリフトアーム5とダンプアーム3とが一直線状にロックされた固縛状態に置かれる。従って、この状態でリフトシリンダClを伸長作動すれば、
図12に示すように、ロック装置がロック状態を維持してダンプアーム3及びリフトアーム5(荷役アーム4)は一体となって枢軸J1まわりに後方に傾動する。これにより、コンテナCをダンプ上げ動作させることができるから、コンテナC内の積載物を外部に放出することができる。尚、このダンプ排出の場合、リヤゲートCmrは予め開放しておく。
【0081】
またこのダンプ上げ状態よりリフトシリンダClを収縮作動させれば、ロック装置が引き続きロック状態を維持し、ダンプアーム3及びリフトアーム5は一体となって枢軸J1回りに前方に傾動し、コンテナCをダンプ下げ動作させて、サブフレーム1上に降ろすことができる。
【0082】
以上説明した本実施形態では、コンテナCの重量を地上で測定するための重量測定装置Mが、荷役機構Aにより車体枠F上のコンテナCを後下りの傾斜姿勢で地面Eに降ろしつつ後退させる際に、コンテナCの一部(実施形態では走行輪51)に係合してコンテナCを所定後退位置に停止させるストッパSTと、該所定後退位置で停止したコンテナCの底部の所定部位(実施形態では前部横桁54Fの中央部)を載せることでコンテナCの重量を測定可能なロードセルSEと、コンテナCが前記所定後退位置に停止したときにロードセルSE上にコンテナCの前記所定部位が載るようにロードセルSEとストッパSTとの前後方向間隔を所定間隔に規定する間隔保持部材Kとを備える。
【0083】
そして、ストッパSTは、これを走行輪51に係合させることでコンテナCが前記所定後退位置に停車する位置で地面Eに設置固定され、またロードセルSEは、ストッパSTによりコンテナCが前記所定後退位置に停車したときにコンテナCの前記所定部位が載る位置で地面Eに設置固定されるが、それらの設置固定作業に際して、間隔保持部材Kは、これの両端をストッパST及びロードセルSEに各々当接させることで、それらの設置固定作業を容易化することができる。
【0084】
このように本実施形態によれば、車体枠F上のコンテナCを後下がりの傾斜姿勢で地面Eに降ろしつつ後退させる際に、先ずストッパSTに走行輪51を係合させることで、コンテナCを所定後退位置に的確に停止させることができる。そして、その所定後退位置に停止させたコンテナCの前部をそのまま降ろすことで、コンテナCの底部の所定部位、即ち前部横桁54FをロードセルSEに確実に載せることができるから、コンテナCの重量測定を迅速容易且つ的確に行うことができ、作業効率が高められる。しかも間隔保持部材Kにより、ロードセルSEとストッパSTとを地面Eに設置する際に両者間の設置距離を測る手間が不要となり、またその設置距離がばらつくリスクも少なく抑えられる。
【0085】
しかも実施形態の間隔保持部材Kは、ロードセルSEとストッパSTとに亘って延びる中空部60を有していて、その中空部60に、ロードセルSEに連なる配線61が収納され、その配線61は、中空部60からストッパSTを通して外部に引き出される。これにより、配線61が外部に露出する部分を極力少なくすることができるため、その配線61が砂利等の飛散物や外力で損傷するのを効果的に防止可能となる。また、ロードセルSEとストッパST間の間隔を所定間隔に保持する保持部材Kが、配線保護手段に兼用されるため、それだけ装置の構造簡素化、延いてはコスト節減が達成される。
【0086】
更に上記間隔保持部材Kは、地面Eより高い配線支持面62fを有して地面Eに設置されるベース部材62と、ベース部材62に固定されて配線支持面62fとの間に中空部60を画成する保護カバー63とを有している。これにより、地面Eに溜まった水に配線61が浸漬するのを効果的に防止できるため、配線61が水浸漬に因り通電不良を起こす事態の発生が効果的に抑えられ、ロードセルSEによる測定が長期に亘り安定する。
【0087】
さらに本実施形態のロードセルSEは、地面Eに台座85を介して固定される基部80と、この基部80に対し傾動変位可能に保持されて、前記所定後退位置にあるコンテナCの底部(即ち前部横桁54F)をカバー板82を介して載置させる先部81とを備え、そのカバー板82は、ロードセルSEのうち先部81に単独で支持されてロードセルSEの上面と側面の少なくとも一部とを被覆する。これにより、飛散した砂利等がロードセルSEに衝突するのをカバー板82により効果的に防止できるため、その衝突に因るロードセルSEの破損の防止に有効である。
【0088】
その上、このカバー板82と、ロードセルSEの基部80との間には、ロードセルSE先部81の傾動変位を許容するクリアランス83が設けられるため、カバー板82がロードセルSEの先部81に追従して傾動しても、そのカバー板82がロードセルSEに干渉して先部81の傾動の妨げとなるのを、上記クリアランス83の特設により回避可能となり、ロードセルSEの測定を支障なく行うことができる。
【0089】
更にロードセルSEの基部80は、地面Eに固定される台座85上に設置され、カバー板82の下端と台座85との間には、ロードセルSEの先部81が傾動変位して基部80と当接する前にカバー板82の下端と台座85とが当接するように隙間86が設定される。これにより、ロードセルSEの基部80に対し先部81が傾動する際に、先部81が基部80に干渉するよりも先にカバー板82が台座85に当接することで、先部81と基部80が相互干渉により損傷するのを効果的に防止可能となる。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0091】
例えば、前記実施形態では、重量測定対象となるコンテナとして乾燥機能付きコンテナCを例示したが、本発明は、乾燥機能無しのコンテナに対し実施してもよい。
【0092】
また前記実施形態では、本発明のストッパとして、車幅方向一杯に延びる長いストッパSTを示したが、ストッパを左右に分割構成して、コンテナC底部の左右の走行輪51に個別に当接させるようにしてもよい。
【0093】
また前記実施形態では、ストッパSTがコンテナC(即ち走行輪51)の後退限を規制するものを示したが、ストッパSTは、
図13(A)に概略的に例示したように前進限を規制する構造(即ち後向きの段差状)でもよく、この場合は、走行輪51を、これがストッパSTを
図13(A)鎖線に示すように一旦後側に通り過ぎた後で、ストッパSTに当接するまで反転(前進)させるようにする。或いはまた、ストッパSTは、コンテナC(即ち走行輪51)の後退限・前進限の両方を規制するものでもよく、この場合は、例えば、
図13(B)に例示したように、地面Eより窪んでいて走行輪51の後退及び前進を規制可能な凹所をストッパSTとして用いてもよい。
【0094】
また前記実施形態では、ストッパSTを車輪止め、即ちコンテナC底部の走行輪51に当てるものを示したが、本発明のストッパは必ずしも車輪止めである必要はなく、例えばコンテナ本体Cmの、走行輪51以外の所定部位(例えば前壁面又は後壁面)に係合させてコンテナCを所定後退位置に停止させるものでもよい。
【0095】
尚、上記した前壁面に係合させる場合とは、例えば
図13(A)に示すようにストッパSTを一旦通り過ぎたコンテナCを反転前進させるときに、ストッパSTとして地面Eの後向き段差を用いずに、コンテナCの走行軌跡内に出没可能な可動ストッパをコンテナ本体Cmの前壁面に係合させるような場合をいう。この可動ストッパは、例えば、地面Eに出没可能に起立させる構造でもよいし、或いは、上記走行軌跡の側方に配置されて走行軌跡内に出没動作できる構造でもよい。
【0096】
また前記実施形態では、ロードセルSE上にコンテナCの前部横桁54Fを載せて重量測定を行うものを示したが、コンテナCの、前部横桁54F以外の所定部位(例えば、支持脚52、主桁53等)をロードセルSE上に載せて重量測定を行うようにしてもよい。尚、主桁53を載せる場合には、ロードセルSEの全高(地面Eからの高さ)を、支持脚52の下端と主桁53の下端との高低差より高く設定することで、測定時に支持脚52を地面Eより離して測定に支障が出ないようにする。
【0097】
また前記実施形態では、ロードセルSEを単一としたが、複数のロードセルSEを用いてもよく、例えば、前記実施形態のロードセルSEに加えて、追加のロードセル(図示せず)を、前記所定後退位置にあるコンテナCの走行輪51を載置させる位置に併設してもよい。
【0098】
また前記実施形態では、間隔保持部材Kを用いてロードセルSE及びストッパST間の前後方向間隔を所定間隔に保持するものを示したが、その間隔を、別の間隔設定手段を用いて所定間隔に定めることができれば、間隔保持部材Kを省略することも可能である。
【0099】
また前記実施形態では、間隔保持部材Kを、ベース部材62と保護カバー63とで分割構成したものを示したが、ベース部材62又は保護カバー63の何れか一方を省略して間隔保持部材Kとしてもよい。この場合、特にベース部材62を省略して保護カバー63のみを地面Eに設置する場合には、保護カバー63と地面Eとの間に、配線61を通す中空部60を画成してもよいし、又は保護カバー63の天井部下面に、地面Eから離したチャンネル枠を固着して、そのチャンネル枠と保護カバー63との間の中空部60に配線61を通してもよい。
【0100】
また前記実施形態では、間隔保持部材KをロードセルSEとは別個に構成したものを示したが、ロードセルSEの台座85に間隔保持部材Kの少なくとも一部(例えばベース部材62)を一体に形成してもよい。
【0101】
また前記実施形態では、ロードセルSEの基部80をボックス状の台座85を介して地面Eに設置固定したものを示したが、台座85を平板で構成してもよいし、或いはまた、台座85を省略して基部80を地面Eに直接固定してもよい。
【0102】
また前記実施形態では、ロードセルSEの基部80に先部81を傾動変位可能に保持したものを示したが、先部81が基部80に対し傾動変位しないタイプのロードセルSEの使用も可能である。またロードセルSEのカバー板82は、ロードセルSEの上面だけを覆うものでもよく、或いはロードセルSEの側面だけを覆うものでもよい。また特にロードセルSEの側面を覆う場合において、側面の一部だけを覆ってもよいし、或いは側面の略全部を覆ってもよい。
【0103】
また前記実施形態では、ロードセルSEから延出する配線61が、間隔保持部材K内を通して外部に引き出されるものを示したが、配線61は、ロードセルSEから間隔保持部材KやストッパSTを経由せずに地面を這わせて制御ボックス91側に取り回すようにしてもよい。この場合、その配線61を、間隔保持部材Kとは別のベース部材や保護カバーで被覆、保護するようにしてもよいし、或いは保護カバー無しで剥き出し状態としてもよい。
【0104】
また前記実施形態では、ロードセルSEのカバー板82を先部81に固定(ピン88止め)したものを示したが、カバー板82は先部81上面に単に載せるだけでもよい。
【0105】
また前記実施形態では、フックアーム6をリフトアーム5に対し前後揺動可能に支持し、そのフックアーム6の前後揺動にダンプアーム3及びリフトアーム5間のロック装置を連動させることで該ロック装置のロック・ロック解除を行うものを示したが、本発明では、フックアーム6をリフトアーム5に前後スライド可能に支持し、そのフックアーム6の前後スライドに上記ロック装置を連動させることでロック・ロック解除を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0106】
A・・・・・・荷役機構
C・・・・・・コンテナ
E・・・・・・地面
F・・・・・・車体枠
K・・・・・・間隔保持部材
M・・・・・・コンテナ用重量測定装置
SE・・・・・ロードセル
ST・・・・・ストッパ
V・・・・・・荷役車両
51・・・・・走行輪
60・・・・・中空部
61・・・・・配線
62・・・・・ベース部材
62f・・・・配線支持面
63・・・・・保護カバー
74・・・・・ライト
80,81・・基部,先部
82・・・・・カバー板
83・・・・・クリアランス
85・・・・・台座
86・・・・・隙間
90・・・・・サイドミラー