(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】緩み検知ラベル及び緩み検知構造
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20240104BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20240104BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20240104BHJP
H01Q 9/16 20060101ALI20240104BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240104BHJP
H01Q 1/38 20060101ALN20240104BHJP
【FI】
G06K19/07 170
G06K19/077 220
G09F3/00 M
G09F3/00 Q
H01Q9/16
H01Q1/22 Z
H01Q1/38
(21)【出願番号】P 2020033383
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2019051128
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521475989
【氏名又は名称】川崎車両株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菰田 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】松保 諒
(72)【発明者】
【氏名】宮本 格
(72)【発明者】
【氏名】都成 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西村 武宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 與志
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特許第5324325(JP,B2)
【文献】特表2007-533562(JP,A)
【文献】特開2011-152932(JP,A)
【文献】特表2018-529119(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0184390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/07
G06K 19/077
G09F 3/00
H01Q 9/16
H01Q 1/22
H01Q 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みを、非接触通信を介して検知する緩み検知ラベルであって、
一方の面に接着層が積層され、前記締め付け部材の側面に沿うようにして貼着される帯状の第1の領域と、前記第1の領域の長手方向に直交する方向に延びるように前記第1の領域に連接し、前記締め付け部材の上面から側面に亘ってこれらに対向するように貼着される第2の領域と、前記第2の領域の前記第1の領域とは反対側に連接し、前記締め付け対象部品に貼着される第3の領域とを具備するベース基材と、
前記ベース基材の前記第1の領域に該第1の領域の長手方向に延びるように形成された通信用アンテナと、
前記ベース基材の前記第2の領域と前記第3の領域とに跨って形成された緩み検知用配線と、
前記
ベース基材の前記第2の領域に前記通信用アンテナ及び緩み検知用配線と接続されて配置され、前記緩み検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記第1の領域は、当該緩み検知ラベルが前記締め付け部材と前記締め付け対象部品とに跨って貼着された場合に前記第2の領域に重ならない長さを有する緩み検知ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の緩み検知ラベルにおいて、
前記締め付け部材の上面の形状と略同一の外形を具備し、前記ベース基材の前記第2の領域の一部に前記接着層によって貼着された非導電性部材を有し、
前記第1の領域の長手方向に直交する方向の幅が、前記非導電性部材の厚さと略同一である、緩み検知ラベル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の緩み検知ラベルにおいて、
前記通信用アンテナは、前記第2の領域にも形成されている、緩み検知ラベル。
【請求項4】
締め付け対象部品と、
前記締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材と、
前記締め付け部材の上面の形状と略同一の外形を具備し、前記締め付け部材の上面に貼着された非導電性部材と、
一方の面に接着層が積層され、前記非導電性部材の側面に巻き付けられて前記接着層によって貼着された帯状の第1の領域と、前記第1の領域の長手方向に直交する方向に延びるように前記第1の領域に連接し、前記非導電性部材の上面から側面、さらには前記締め付け部材の側面に亘って前記接着層によって貼着された第2の領域と、前記第2の領域の前記第1の領域とは反対側に連接し、前記締め付け対象部品に前記接着層によって貼着された第3の領域とを具備するベース基材と、
前記ベース基材の前記第1の領域に該第1の領域の長手方向に延びるように形成された通信用アンテナと、
前記ベース基材の前記第2の領域と前記第3の領域とに跨って形成された緩み検知用配線と、
前記
ベース基材の前記第2の領域に前記通信用アンテナ及び緩み検知用配線と接続されて配置され、前記緩み検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記第1の領域は、前記非導電性部材の側面に巻き付けられて貼着された状態において、前記非導電性部材及び前記締め付け部材の側面に貼着された前記第2の領域に重ならない長さを有する、緩み検知構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みを、非接触通信を介して検知する緩み検知ラベル及び緩み検知構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道等の車両においては、走行中にボルトが外れた場合に大きな事故に発展する可能性が高い。そのため、従来より、打音検査やチェックマークによる目視検査を熟練作業者が定期的に行うことで、ボルトに緩みが生じていないかを検査している。ところが、このような検査では、作業者の熟練度や人手不足等の人的要因による点検ミスが発生する虞がある。そこで、センサを用いることでボルトの緩みを検査することが考えられるが、大掛かりな装置や、専用のボルトや座金、治具等が必要となってしまう。
【0003】
近年、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことが可能なICチップが搭載された非接触型ICラベルや非接触型ICタグ等のRFID技術を利用した非接触通信媒体がその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。そこで、上述したボルトの緩みを検知する場合にも、このようなRFID技術を利用することが考えられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ボルトのキャップ部分にICタグを取り付けるとともに、ボルトが締め付けられる部材に固定されたリングに、その一部に開口部を有する金属等からなる導体片を取り付け、ボルトに緩みが生じていない場合は、ICタグが開口部に対向することでICタグに対する読み取りを可能とし、ボルトに緩みが生じた場合は、ボルトが回転することでICタグが開口部に対向しなくなってICタグに対する読み取りを不可能とし、それにより、ボルトの緩みを検知する技術が開示されている。この技術を用いることで、大掛かりな装置や、専用のボルトや座金、治具等を必要とすることなく、ボルトの緩みを検知することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなRFID技術を利用したシステムにおいては、通信距離が実用上の重要な要素となる。通信距離を延ばすためには、通信用アンテナの長さを長くすることが考えられるが、上述したようにボルトの緩みを検知するためにRFID技術を利用した場合、通信用アンテナの長さがボルトの大きさに依存してしまうことになるため、ボルトが小さなものにおいては、通信距離が短いものとなってしまうという問題点がある。
【0007】
アンテナパターンを工夫することでアンテナの長さを長くすることも考えられるが、ボルトが小さなものにおいては、狭い面積の中でアンテナパターンを工夫するにも限度があり、十分な通信距離を得ることができないという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みを非接触通信を介して検知する緩み検知ラベルにおいて、締め付け部材が小さな場合であっても十分な通信距離を得やすい緩み検知ラベル及び緩み検知構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材の緩みを、非接触通信を介して検知する緩み検知ラベルであって、
一方の面に接着層が積層され、前記締め付け部材の側面に沿うようにして貼着される帯状の第1の領域と、前記第1の領域の長手方向に直交する方向に延びるように前記第1の領域に連接し、前記締め付け部材の上面から側面に亘ってこれらに対向するように貼着される第2の領域と、前記第2の領域の前記第1の領域とは反対側に連接し、前記締め付け対象部品に貼着される第3の領域とを具備するベース基材と、
前記ベース基材の前記第1の領域に該第1の領域の長手方向に延びるように形成された通信用アンテナと、
前記ベース基材の前記第2の領域と前記第3の領域とに跨って形成された緩み検知用配線と、
前記ベース基材の前記第2の領域に前記通信用アンテナ及び緩み検知用配線と接続されて配置され、前記緩み検知用配線の導通状態を検出し、その検出結果を前記通信用アンテナを介して非接触送信する検出手段とを有し、
前記第1の領域は、当該緩み検知ラベルが前記締め付け部材と前記締め付け対象部品とに跨って貼着された場合に前記第2の領域に重ならない長さを有する。
【0010】
上記のように構成された本発明においては、締め付け部材が締め付け対象部品に締め付けられた状態で、ベース基材の帯状の第1の領域が締め付け部材の側面に沿うようにして貼着されるとともに、ベース基材の第2の領域が、締め付け部材の上面から側面に亘ってこれらに対向するように貼着され、さらに、ベース基材の第3の領域が、締め付け対象部品に貼着され、その後、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材に緩みが発生すると、第2の領域と第3の領域との間にてベース基材に歪みが生じる。ベース基材には、第2の領域と第3の領域とに跨って緩み検知用配線が形成されており、ベース基材に歪みが生じていない状態においては緩み検知用配線が導通状態となっているものの、ベース基材に歪みが生じると、その歪みによってベース基材が破断することで緩み検知用配線が断線して非導通状態となる。そして、検出手段によって緩み検知用配線の導通状態が検出され、その検出結果が通信用アンテナを介して非接触送信されることで、締め付け対象部品に締め付けられた締め付け部材に緩みが発生していることが検知されることになる。その際、緩み検知用配線の導通状態を非接触送信するための通信用アンテナが、帯状の第1の領域の長手方向に延びるように形成されているので、通信用アンテナが、締め付け部材の側面に沿うような形状を有するものとなり、それにより、十分な通信距離が得やすくなる。
【0011】
また、締め付け部材の上面の形状と略同一の外形を具備し、ベース基材の第2の領域の一部に接着層によって貼着された非導電性部材を有し、第1の領域の長手方向に直交する方向の幅が、非導電性部材の厚さと略同一であれば、締め付け部材が導電性材料からなるものであっても、それによって通信距離が短くなってしまうことを回避できる。ここで、導電性材料からなる部品に取り付けられた場合に通信距離の低下を抑制するために、いわゆる金属対応アンテナというものが実用化されている。しかしながら、金属対応アンテナにおいては、誘電体やメタマテリアルが焼結体から構成されているため硬構造物となる場合が多く、立体構造となって取り付けが煩雑となってしまうとともに、車軸への取り付けを想定した場合、走行車に脱落すると硬構造物が高速で吹き飛んで周囲に危険が及んでしまう。そこで、非導電性部材を用いることで、金属対応アンテナを用いることなく、締め付け部材が導電性材料からなるものであっても、それによって通信距離が短くなってしまうことを回避できる。
【0012】
また、通信用アンテナが、第2の領域にも形成されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緩み検知用配線の導通状態を非接触送信するための通信用アンテナが、帯状の第1の領域の長手方向に延びるように形成されているため、通信用アンテナが、締め付け部材の側面に沿うような形状を有するものとなり、それにより、締め付け部材が小さな場合であっても十分な通信距離を得やすくなる。
【0014】
また、締め付け部材の上面の形状と略同一の外形を具備し、ベース基材の第2の領域の一部に接着層によって貼着された非導電性部材を有し、第1の領域の長手方向に直交する方向の幅が、非導電性部材の厚さと略同一であるものにおいては、締め付け部材が導電性材料からなるものであっても、それによって通信距離が短くなってしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の緩み検知ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図2】
図1に示した緩み検知ラベルが貼着される被着体の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示す矢印A方向から見た側面図である。
【
図3】
図1に示した緩み検知ラベルが
図2に示した被着体に貼着された状態の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図4】
図1に示した緩み検知ラベルが
図3に示したようにボルトと土台とに跨って貼着された状態においてボルトに緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図5】
図1に示した緩み検知ラベルにおいて
図4に示したようにスペーサの側面とボルトのヘッド部の側面とに貼着された貼着領域と土台に貼着された貼着領域との間に歪みが生じた場合の作用を説明するための図である。
【
図6】
図1に示した緩み検知ラベルを用いて土台に対するボルトの緩みを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【
図7】
図6に示したシステムにおいて
図1に示した緩み検知ラベルを用いて土台に対するボルトの緩みを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の緩み検知ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図9】
図8に示した緩み検知ラベルが
図2に示した被着体と同一の形状の被着体に貼着された状態の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図10】
図8に示した緩み検知ラベルが
図9に示したようにボルトと土台とに跨って貼着された状態においてボルトに緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図11】本発明の緩み検知ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図12】本発明の緩み検知ラベルの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【
図13】本発明の緩み検知ラベルの第5の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の緩み検知ラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0018】
本形態は
図1に示すように、フィルム基板10の一方の面にスペーサ20が貼着されて構成された緩み検知ラベル1である。
【0019】
フィルム基板10は、本願発明におけるベース基材となるものであって、例えば、70μmの厚さのPETフィルム等から構成されている。フィルム基板10は、一方の面の全面に粘着剤が塗布されることで、貼着層となる粘着層30aが積層されており、4つの貼着領域10a~10dがこの順で連接して構成されている。
【0020】
貼着領域10aは、本願発明における第1の領域となるものであって、帯状形状を具備し、その長手方向に等間隔に折り部16a~16dが設けられている。貼着領域10aの粘着層30aが積層された面とは反対側の面には、貼着領域10aの長手方向において貼着領域10bとの連接辺側の側辺に沿って延びた通信用のアンテナ12が形成されている。アンテナ12は、例えば、3×50mmの形状とすることが考えられる。
【0021】
貼着領域10bは、貼着領域10aの折り部16b,16c間の側辺に、貼着領域10aの長手方向と直交するに延びるように折り部15aを介して連接している。貼着領域10bの粘着層30aが積層された面とは反対側の面には、アンテナ12に接続されたループ部14が形成されているとともに、貼着領域10b~10dに跨って緩み検知用配線13がループ状となって形成されている。さらに、貼着領域10bのループ部15及び緩み検知用配線13が形成された面には、ICチップ11が搭載されている。貼着領域10bのループ部15及び緩み検知用配線13が形成された面とは反対側の面には、スペーサ20が粘着層30aによって貼着されている。
【0022】
ループ部14は、例えば、6×10mmの外形を有するループ状の配線からなり、アンテナ12とICチップ11とに接続されている。
【0023】
緩み検知用配線13は、一方の端部がICチップ11に接続され、そこから貼着領域10b及び貼着領域10cを介して貼着領域10dまで延び、貼着領域10dにて折り返して貼着領域10d及び貼着領域10cを介して貼着領域10dまで延び、他方の端部がICチップ11に接続されて形成されている。
【0024】
ICチップ11は、本願発明における検出手段となるものであって、2つのアンテナ端子(不図示)と、2つの緩み検知用端子(不図示)とが設けられており、これらアンテナ端子及び緩み検知用端子が設けられた面が搭載面となって、フィルム基板10のループ部15及び緩み検知用配線13が形成された面に搭載されている。ICチップ11のアンテナ端子はそれぞれ、ループ部14を介してアンテナ12に接続されており、ICチップ11の緩み検知用端子は、緩み検知用配線13の両端部にそれぞれに接続されている。ICチップ11は、アンテナ12を介した非接触通信によって得た電力による電流を緩み検知用配線13に流すことで緩み検知用配線13の抵抗値を検出し、その抵抗値に基づいて緩み検知用配線13の導通状態を検出し、その検出結果をデジタル情報に変換してアンテナ12を介して非接触送信する。
【0025】
スペーサ20は、本願発明における非導電性部材となるものであって、緩み検知ラベル1が貼着される締め付け部材となるボルトの上面の形状と略同一の正六角形の形状を具備するとともに、フィルム基板10の貼着領域10aの長手方向に直交する方向の幅と略同一の厚さを具備し、例えば、発泡性アクリル樹脂等のように柔らかい非金属の材料から構成されている。スペーサ20は、その一辺が折り部15aに重なり、それに対向する辺が貼着領域10bの貼着領域10cとの連接辺に重なるように貼着領域10bに粘着層30aによって貼着されている。スペーサ20の貼着領域10bとの貼着面とは反対側の面には、その全面に粘着剤が塗布されることで粘着層30bが積層されている。
【0026】
貼着領域10cは、貼着領域10bの折り部15aと対向する辺に、貼着領域10aとは反対方向に延びるように折り部15bを介して連接している。これら貼着領域10bと貼着領域10cとから、本願発明における第2の領域が構成されている。
【0027】
貼着領域10dは、本願発明における第3の領域となるものであって、貼着領域10cの折り部15bと対向する辺に、貼着領域10bとは反対方向に延びるように折り部15cを介して連接している。
【0028】
なお、折り部15a~15c,16a~16dとして、フィルム基板10を折り曲げやすいようにミシン目や筋押し等を形成してもよい。
【0029】
以下に、上記のように構成された緩み検知ラベル1の利用方法及びその際の作用について説明する。
【0030】
図2は、
図1に示した緩み検知ラベル1が貼着される被着体の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示す矢印A方向から見た側面図である。
【0031】
図1に示した緩み検知ラベル1は、例えば、
図2に示すように、締め付け対象部品となる金属製の土台3と、この土台3に締め付けられる締め付け部材となる金属製のボルト2とからなる被着体に貼着されて使用される。この被着体は、正六角形からなるヘッド部2aとヘッド部2aの一方の面から伸びたねじ部2bとから構成されるボルト2が、土台3に形成されたねじ孔3aにねじ部2bがねじ込まれることで、ボルト2が土台3に締め付けられることになる。その際、外部から加わる振動等によってボルト2が緩む可能性があり、その緩みを検知するために
図1に示した緩み検知ラベル1が利用されることになる。
【0032】
図3は、
図1に示した緩み検知ラベル1が
図2に示した被着体に貼着された状態の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0033】
図1に示した緩み検知ラベル1を
図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、
図3に示すように、スペーサ20をボルト2のヘッド部2aの上面と重なるようにして粘着層30bによって貼着するとともに、フィルム基板10の貼着領域10aをスペーサ20の側面に巻き付けて粘着層30aによって貼着し、さらに、フィルム基板10の貼着領域10cを、スペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに亘って粘着層30aによって貼着するとともに、フィルム基板10の貼着領域10dを、土台3の表面に粘着層30aによって貼着する。その際、貼着領域10aの折り部16a~16dによって分割される5つの領域のそれぞれが、ボルト2のヘッド部2aの正六角形の側面のうち5つの側面のそれぞれに対応するものであるため、貼着領域10aの長手方向の長さが、緩み検知ラベル1が上記のようにボルト2と土台3とに跨って貼着された場合に、貼着領域10aが貼着領域10cに重ならないものとなっている。このように、フィルム基板10の貼着領域10aをスペーサ20の側面に巻き付けて貼着することで、貼着領域10aがスペーサ20の側面に沿って貼着された状態となるが、スペーサ20をボルト2のヘッド部2aの上面と重なるようにして貼着するとともに、フィルム基板10の貼着領域10aをスペーサ20の側面に巻き付けて貼着することで、フィルム基板10の貼着領域10aは、ボルト2のヘッド部2aの側面に沿うように貼着された状態となる。また、貼着領域10bが貼着されたスペーサ20をボルト2のヘッド部2aの上面に貼着することで、貼着領域10bがボルト2のヘッド部2aの上面に対向するとともに、貼着領域10cがボルト2のヘッド部2aの側面に対向する。これにより、第2の領域となる貼着領域10b,10cは、ボルト2のヘッド部2aの上面から側面に亘って対向するように貼着された状態となる。なお、本形態においては、スペーサ20として、ボルト2のヘッド部2aの上面の形状と略同一の正六角形の形状を具備するものを例に挙げて説明したが、ボルト2のヘッド部2aの上面よりも大きなサイズや小さなサイズのものであってもよい。
【0034】
このようにしてボルト2と土台3とに跨って貼着された緩み検知ラベル1においては、緩み検知用配線13が、ループ状に形成されていることで導通状態となっている。そして、緩み検知ラベル1が上記のようにしてボルト2と土台3とに跨って貼着されることで、土台3に対するボルト2の緩みを検知する緩み検知構造が構成されることになる。
【0035】
図4は、
図1に示した緩み検知ラベル1が
図3に示したようにボルト2と土台3とに跨って貼着された状態においてボルト2に緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0036】
図1に示した緩み検知ラベル1が
図3に示すようにボルト2と土台3とに跨って貼着された状態において、外部から加わる振動等によってボルト2が
図4(a)に示すように反時計回りに回転して土台3に対して緩みが生じると、
図4(b)に示すように、スペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに貼着された貼着領域10cと、土台3に貼着された貼着領域10dとの間に歪みが生じる。
【0037】
図5は、
図1に示した緩み検知ラベル1において
図4に示したようにスペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに貼着された貼着領域10cと土台3に貼着された貼着領域10dとの間に歪みが生じた場合の作用を説明するための図である。
【0038】
上述したように、スペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに貼着された貼着領域10cと土台3に貼着された貼着領域10dとの間に歪みが生じた場合、
図5に示すように、その歪みによって緩み検知ラベル1が破断し、それに伴って緩み検知用配線13が断線して非導通状態となる。そして、この緩み検知用配線13の非導通状態を検出することで、土台3に締め付けられたボルト2に緩みが生じた旨が検知されることになる。
【0039】
このように、土台3に締め付けられたボルト2に緩みが生じていない場合は、緩み検知用配線13が導通状態となっており、一方、土台3に締め付けられたボルト2に緩みが生じた場合は、緩み検知用配線13が非導通状態となるため、緩み検知用配線13の導通状態を検出することで、ボルト2に緩みが発生していることを検知することができる。その際、土台3に締め付けられたボルト2に緩みが生じた場合に緩み検知ラベル1が破断することを利用して、ボルト2に緩みが発生していることを検知することにより、土台3に締め付けられたボルト2の緩みが小さな場合であってもその緩みを検知することができる。
【0040】
以下に、上述した作用を利用して土台3に対するボルト2の緩みを検知する具体的な方法について説明する。
【0041】
図6は、
図1に示した緩み検知ラベル1を用いて土台3に対するボルト2の緩みを検知するためのシステムの一例を示す図である。
【0042】
図1に示した緩み検知ラベル1を用いて土台3に対するボルト2の緩みを検知するためのシステムとしては、
図6に示すように、緩み検知ラベル1に対して非接触通信が可能な読取手段となるリーダライタ5と、リーダライタ5と有線または無線を介して接続された処理手段となる管理用パソコン6とを有するシステムが考えられる。なお、読取手段のみならず処理手段が内蔵されたハンディターミナルをリーダライタとして用いることも考えられ、その場合、管理用パソコンが不要となる。
【0043】
図7は、
図6に示したシステムにおいて
図1に示した緩み検知ラベル1を用いて土台3に対するボルト2の緩みを検知する方法を説明するためのフローチャートである。
【0044】
図1に示した緩み検知ラベル1においては、リーダライタ5が緩み検知ラベル1に近接され、リーダライタ5にて緩み検知ラベル1が検出されると(ステップ1)、まず、リーダライタ5から、緩み検知ラベル1に電力が供給されるとともに、緩み検知用配線13の導通状態の検出及びその検出結果の送信をする旨の命令が緩み検知ラベル1に対して送信される(ステップ2)。この際、緩み検知ラベル1においては、アンテナ13が形成された貼着領域10aが、ボルト2や土台3に直接貼着されているのではなく、スペーサ20の側面に巻き付けられ、このスペーサ20がボルト2のヘッド部2aの上面に貼着されているため、緩み検知ラベル1が金属からなるボルト2に貼着された場合でも、金属による影響を大きく受けることなくリーダライタ5にて緩み検知ラベル1との間にて非接触通信を行うことができる。
【0045】
リーダライタ5から供給された電力が緩み検知ラベル1にて得られるとともに、リーダライタ5から送信された命令が緩み検知ラベル1のアンテナ12を介してICチップ11にて受信されると(ステップ3)、リーダライタ5から供給された電力によって緩み検知用配線13に電流が供給される。
【0046】
ICチップ11においては、供給された電流を用いて緩み検知用配線13の抵抗値が検出されることで、緩み検知用配線13の導通状態が検出されることになる(ステップ4)。ここで、緩み検知ラベル1がボルト2に貼着され、
図3に示したようにボルト2が緩んでいない場合は、緩み検知用配線13が導通状態となっているため、ICチップ11においては緩み検知用配線13自体の抵抗値が検出されることになる。
【0047】
ICチップ11においては、検出された抵抗値が緩み検知用配線13自体の抵抗値である場合は、緩み検知用配線13が導通状態にあると判断され、その判断結果が緩み検知用配線13の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される(ステップ5)。なお、緩み検知用配線13が非導通状態となっている場合にICチップ11にて検出される抵抗値が、後述するようにほぼ無限大となることから、ICチップ11において、緩み検知用配線13が導通状態にあると判断するための抵抗値として、緩み検知用配線13自体の抵抗値ではなく、一定の閾値以下のものを用いてもよい。
【0048】
一方、緩み検知ラベル1がボルト2に貼着され、
図4に示したようにボルト2に緩みが生じることにより
図5に示したように緩み検知ラベル1が破断して緩み検知用配線13が断線している場合は、緩み検知用配線13が非導通状態となっている。その状態においては、リーダライタ5から供給された電力によって緩み検知用配線13に電流が供給されても、緩み検知用配線13が非導通状態となっていることから緩み検知用配線13には電流が流れず、それにより、ICチップ11において検出される抵抗値は、ほぼ無限大となる。
【0049】
ICチップ11においては、検出された抵抗値がほぼ無限大である場合は、緩み検知用配線13が非導通状態になっていると判断され、その判断結果が緩み検知用配線13の導通状態の検出結果としてデジタル情報に変換されてアンテナ12を介してリーダライタ5に非接触送信される。なお、緩み検知用配線13が非導通状態である場合にICチップ11にて検出される抵抗値がほぼ無限大となることから、ICチップ11において、緩み検知用配線13が非導通状態であると判断するための抵抗値としてほぼ無限大ではなく、緩み検知用配線13自体の抵抗値よりも大きな一定の閾値以上のものを用いてもよい。
【0050】
このように、リーダライタ5においては、緩み検知ラベル1にて検出された緩み検知用配線13の導通状態を、アンテナ12を介して非接触送信させることになる。
【0051】
上記のようにして緩み検知ラベル1からリーダライタ5に非接触送信された検出結果がリーダライタ5にて受信されると(ステップ6)、リーダライタ5にて受信された検出結果は管理用パソコン6に転送される(ステップ7)。
【0052】
リーダライタ5から転送されてきた検出結果が管理用パソコン6にて受信されると(ステップ8)、管理用パソコン6において、緩み検知ラベル1からリーダライタ5に非接触送信され、管理用パソコン6に転送されてきた検出結果に基づいて、ボルト2に緩みが生じているかが判断されることになる(ステップ9)。具体的には、リーダライタ5から管理用パソコン6に転送されてきた検出結果において、緩み検知用配線13が導通状態である場合はボルト2に緩みが生じていないと判断され、緩み検知用配線13が非導通状態である場合はボルト2に緩みが生じていると判断されることになる。
【0053】
このように構成された緩み検知ラベル1は、例えば、鉄道車両の台車等において、台車を固定するボルトの緩み検知に用いることができる。その場合、スペーサ20が発泡性アクリル樹脂等のように柔らかい材料から構成されていれば、鉄道車両が走行中に緩み検知ラベル1が風で飛ばされたり振動で脱落したりした場合でも、緩み検知ラベル1が人体等に当たることによる被害を小さくすることができる。
【0054】
ここで、緩み検知ラベル1を構成するフィルム基板10の貼着領域10aが帯状となっており、アンテナ12が貼着領域10aの長手方向に沿って延びて形成されていることによる効果について説明する。
【0055】
まず、アンテナ12がボルト2のヘッド部2aの上面に対向する領域に形成されたラベルを、上記同様にボルト2と土台3とに跨って貼着した場合の通信距離を測定した。なお、通信距離の測定は、リーダライタとして、デンソーウェーブ社製BHTシリーズを用い、0.1Wの出力で行った。
【0056】
その場合、緩み検知用配線13が断線していない状態においては、通信距離が10cmであり、緩み検知用配線13が断線した状態においては、通信距離が5cmであった。
【0057】
一方、
図1に示した緩み検知ラベル1を、
図3に示したように、貼着領域10aがスペーサ20の側面に巻き付けられるとともに、スペーサ20がボルト2のヘッド部2aの上面に貼着されることにより、貼着領域10aがボルト2のヘッド部2aの側面に沿うように貼着された場合の通信距離を測定したところ、緩み検知用配線13が断線していない状態においては、通信距離が17cmであり、緩み検知用配線13が断線した状態においては、通信距離が8cmであった。
【0058】
上述したように、通信距離を延ばすためには、通信用のアンテナの長さを長くすることが考えられるが、アンテナ12をボルト2のヘッド部2aの上面に対向する領域に形成する場合、ボルト2のヘッド部2aの最大径を有する領域にアンテナを形成したとしても、その長さはボルト2のヘッド部2aの最大径までしか長くすることはできない。
【0059】
一方、本形態の緩み検知ラベル1においては、スペーサ20の側面に巻き付けられるとともに、スペーサ20がボルト2のヘッド部2aの上面に貼着されることにより、ボルト2のヘッド部2aの側面に沿うように貼着された帯状の貼着領域10aを有することで、この帯状の長手方向に沿って延びるようにアンテナ12を形成すれば、アンテナ12の長さが、ボルト2のヘッド部2aの最大径を超えるものとすることができ、それにより、上記のように通信距離を長くすることができる。
【0060】
また、本形態のように、金属製のボルト2と土台3に跨って貼着される構成において、ボルト2のヘッド部2aの上面にスペーサ20が貼着される場合、スペーサ20の側面に貼着される貼着領域10aにアンテナ12を形成することで、アンテナ12とボルト2とが電気的に結合し、さらなる通信距離の向上の可能性がある。その場合、スペーサ20の厚さを50mmとすると、アンテナ12の幅は10mm~40mm程度が好ましく、さらには、30mm~40mm程度がより好ましい。
【0061】
上述したように本形態においては、緩み検知用配線13の導通状態を非接触送信するためのアンテナ12が、帯状の貼着領域10aの長手方向に延びるように形成されているため、緩み検知ラベル1がボルト2と土台3とに跨って貼着された場合、アンテナ12がボルト2のヘッド部2aの側面に沿うような形状を有するものとなり、それにより、ボルト2が小さな場合であっても、アンテナ12の長さを長くすることができ、十分な通信距離を得やすくなる。また、ボルト2のヘッド部2aに貼着される貼着領域10bに非金属製のスペーサ20を貼着し、このスペーサ20の側面に沿ってアンテナ20を配置することで、ボルト2が導電性材料からなるものであっても、それによって通信距離が短くなってしまうことを回避できる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の緩み検知ラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0063】
本形態は
図8に示すように、
図1に示した緩み検知ラベル1に対して、スペーサ20及び粘着層30bを有さない点が異なる緩み検知ラベル101である。
【0064】
図9は、
図8に示した緩み検知ラベル101が
図2に示した被着体と同一の形状の被着体に貼着された状態の一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0065】
図8に示した緩み検知ラベル101は、
図1に示した緩み検知ラベル1のスペーサ20を有さない構成であるため、貼着される被着体としては、
図9に示すように、
図2に示した金属製のボルト2の代わりに非金属製のボルト102を用いたものが考えられる。そのような被着体において
図8に示した緩み検知ラベル101を用いてボルト102の緩み検知に利用する場合は、
図9に示すように、フィルム基板110の貼着領域110bをボルト102のヘッド部102aの上面に粘着層30aによって貼着するとともに、フィルム基板110の貼着領域110aをボルト102のヘッド部102aの側面に巻き付けて粘着層30aによって貼着し、さらに、フィルム基板110の貼着領域110cを、ボルト102のヘッド部102aの側面に粘着層30aによって貼着するとともに、フィルム基板110の貼着領域110dを、土台3の表面に粘着層30aによって貼着する。その際、貼着領域110aの折り部16a~16dによって分割される5つの領域のそれぞれが、ボルト102のヘッド部102aの正六角形の側面のうち5つの側面のそれぞれに対応するものであるため、貼着領域110aの長手方向の長さが、緩み検知ラベル101が上記のようにボルト102と土台3とに跨って貼着された場合に、貼着領域110aが貼着領域110cに重ならないものとなっている。このように、フィルム基板110の貼着領域110aがボルト102のヘッド部102aの側面に巻き付けられて貼着されることで、フィルム基板110の貼着領域110aは、ボルト102のヘッド部102aの側面に沿うように貼着された状態となる。
【0066】
このようにしてボルト102と土台3とに跨って貼着された緩み検知ラベル101においては、緩み検知用配線13が、ループ状に形成されていることで導通状態となっている。そして、緩み検知ラベル101が上記のようにしてボルト102と土台3とに跨って貼着されることで、土台3に対するボルト102の緩みを検知する緩み検知構造が構成されることになる。
【0067】
図10は、
図8に示した緩み検知ラベル101が
図9に示したようにボルト102と土台3とに跨って貼着された状態においてボルト102に緩みが生じた際の作用を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0068】
図8に示した緩み検知ラベル101が
図9に示すようにボルト102と土台3とに跨って貼着された状態において、外部から加わる振動等によってボルト102が
図10(a)に示すように反時計回りに回転して土台3に対して緩みが生じると、
図10(b)に示すように、ボルト102のヘッド部2aの側面に貼着された貼着領域110cと土台3に貼着された貼着領域110dとの間に歪みが生じる。
【0069】
すると、
図1に示したものと同様に、その歪みによって緩み検知ラベル101が破断し、それに伴って緩み検知用配線13が断線して非導通状態となる。そして、この緩み検知用配線13の非導通状態を検出することで、土台3に締め付けられたボルト102に緩みが生じた旨が検知されることになる。
【0070】
このように、土台3に締め付けられたボルト102に緩みが生じていない場合は、緩み検知用配線13が導通状態となっており、一方、土台3に締め付けられたボルト102に緩みが生じた場合は、緩み検知用配線13が非導通状態となるため、緩み検知用配線13の導通状態を検出することで、ボルト102に緩みが発生していることを検知することができる。その際、土台3に締め付けられたボルト102に緩みが生じた場合に緩み検知ラベル101が破断することを利用して、ボルト102に緩みが発生していることを検知することにより、土台3に締め付けられたボルト102の緩みが小さな場合であってもその緩みを検知することができる。
【0071】
(第3の実施の形態)
図11は、本発明の緩み検知ラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0072】
本形態は
図11に示すように、
図1に示した緩み検知ラベル1に対して、第1の領域が2つの貼着領域210a-1,210a-2に分割されている点が異なる緩み検知ラベル201である。
【0073】
2つの貼着領域210a-1,210a-2はそれぞれ、帯状形状を具備し、折り部215a-1,215a-2を介して貼着領域10bに連接している。貼着領域210a-1,210a-2にはそれぞれ、その長手方向に延びたアンテナ212-1,212-2が形成されており、これらアンテナ212-1,212-2は、ループ部14を介して互いに接続されている。また、貼着領域210a-1,210a-2には、
図1に示したものと同様に折り部16a~16dが設けられている。
【0074】
上記のように構成された緩み検知ラベル201においても、
図1に示したものと同様に、
図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、スペーサ20をボルト2のヘッド部2aの上面と重なるようにして粘着層30bによって貼着するとともに、フィルム基板210の貼着領域210a-1,210a-2をスペーサ20の側面にそれぞれ巻き付けて粘着層30aによって貼着し、さらに、フィルム基板210の貼着領域10cを、スペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに亘って粘着層30aによって貼着するとともに、フィルム基板210の貼着領域10dを、土台3の表面に粘着層30aによって貼着することになる。
【0075】
本形態の緩み検知ラベル201においても、緩み検知用配線13の導通状態を非接触送信するためのアンテナ212-1,212-2が、帯状の貼着領域210a-1,210a-2の長手方向に延びるようにそれぞれ形成されており、緩み検知ラベル201が、
図2に示したボルト2と土台3とに跨って貼着された場合、アンテナ212-1,212-2がボルト2のヘッド部2aの側面に沿うような形状を有するものとなり、それにより、ボルト2が小さな場合であっても、アンテナ212-1,212-2の長さを長くすることができ、十分な通信距離を得やすくなる。
【0076】
(第4の実施の形態)
図12は、本発明の緩み検知ラベルの第4の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0077】
本形態は
図12に示すように、
図1に示した緩み検知ラベル1に対して、第1の領域が2つの貼着領域310a-1,310a-2に分割されており、それぞれが貼着領域310bの互いに異なる辺に連接している点が異なる緩み検知ラベル301である。
【0078】
2つの貼着領域310a-1,310a-2はそれぞれ、帯状形状を具備し、折り部315a-1,315a-2を介して貼着領域310bの互いに異なる辺に連接している。貼着領域310a-1,310a-2にはそれぞれ、その長手方向に延びたアンテナ312-1,312-2が形成されており、これらアンテナ312-1,312-2は、ループ部314を介して互いに接続されている。また、貼着領域310a-1,310a-2には、スペーサ20の側面に貼着された場合にスペーサ20の側面の角部に対向する領域に折り部16a,16dが設けられている。
【0079】
上記のように構成された緩み検知ラベル301においても、
図1に示したものと同様に、
図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、スペーサ20をボルト2のヘッド部2aの上面と重なるようにして粘着層30bによって貼着するとともに、フィルム基板310の貼着領域310a-1,310a-2をスペーサ20の側面にそれぞれ巻き付けて粘着層30aによって貼着し、さらに、フィルム基板310の貼着領域10cを、スペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに亘って粘着層30aによって貼着するとともに、フィルム基板310の貼着領域10dを、土台3の表面に粘着層30aによって貼着することになる。
【0080】
本形態の緩み検知ラベル301においても、緩み検知用配線13の導通状態を非接触送信するためのアンテナ312-1,312-2が、帯状の貼着領域310a-1,310a-2の長手方向に延びるようにそれぞれ形成されており、緩み検知ラベル301が、
図2に示したボルト2と土台3とに跨って貼着された場合、アンテナ312-1,312-2がボルト2のヘッド部2aの側面に沿うような形状を有するものとなり、それにより、ボルト2が小さな場合であっても、アンテナ312-1,312-2の長さを長くすることができ、十分な通信距離を得やすくなる。
【0081】
(第5の実施の形態)
図13は、本発明の緩み検知ラベルの第5の実施の形態を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示すA方向から見た側面図である。
【0082】
本形態は
図13に示すように、
図1に示した緩み検知ラベル1に対して、貼着領域410bが、貼着されるボルト2(
図2参照)の上面の形状と同一の正六角形の形状であるとともに、通信用アンテナとして、貼着領域10aに形成されたアンテナ12以外に貼着領域410bにも2本のアンテナ412として形成されている点が異なる緩み検知ラベル401である。
【0083】
貼着領域410bに形成された2本のアンテナ412はそれぞれ、ループ部14とアンテナ12との接続点から貼着領域410bの1つの端辺に沿うように円弧状に形成されている。
【0084】
上記のように構成された緩み検知ラベル401においては、
図1に示したものと同様に、
図2に示した被着体に貼着してボルト2の緩み検知に利用する場合は、貼着領域410b及びスペーサ20をボルト2のヘッド部2aの上面と重なるようにして粘着層30bによって貼着するとともに、フィルム基板410の貼着領域10aをスペーサ20の側面に巻き付けて粘着層30aによって貼着し、さらに、フィルム基板410の貼着領域10cを、スペーサ20の側面とボルト2のヘッド部2aの側面とに亘って粘着層30aによって貼着するとともに、フィルム基板410の貼着領域10dを、土台3の表面に粘着層30aによって貼着することになる。
【0085】
本形態の緩み検知ラベル401においても、緩み検知用配線13の導通状態を非接触送信するためのアンテナ12が、帯状の貼着領域10aの長手方向に延びるように形成されており、緩み検知ラベル401が、
図2に示したボルト2と土台3とに跨って貼着された場合、アンテナ12がボルト2のヘッド部2aの側面に沿うような形状を有するものとなり、それにより、ボルト2が小さな場合であっても、アンテナ12の長さを長くすることができ、十分な通信距離を得やすくなる。さらに、本形態の緩み検知ラベル401においては、フィルム基板410の貼着領域10aのみならず、貼着領域410bにもアンテナ412が形成されていることにより、通信距離を延ばすことができる。
【0086】
なお、本形態の緩み検知ラベル401は、貼着領域410bが、貼着されるボルト2(
図2参照)の上面の形状と同一の正六角形の形状を有するものであるが、貼着領域410bの形状はこれに限らず、貼着されるボルト2(
図2参照)の上面からはみ出さないような形状であればよい。
【0087】
なお、本形態の緩み検知ラベル401は、
図1に示したものと同様に貼着領域410bの緩み検知用配線13が形成された面とは反対側の面にスペーサ20が貼着されているが、
図8に示したものと同様に、スペーサ20を有さない構成とすることも考えられる。その場合、
図8に示したものと同様に、非金属製のボルトに貼着されることが考えられる。また、本形態の緩み検知ラベル401は、上述したように、貼着領域410bが、貼着されるボルトの上面の形状と同一の正六角形の形状であることから、スペーサ20を有さない構成であっても、貼着領域410bとボルトとの位置合わせが容易なものとなる。また、貼着領域410bが、貼着されるボルトの上面の形状と同一の正六角形の形状でなくても、正六角形の1つの角部となる120°の角部を有するものであれば、その角部を、貼着されるボルトの上面の1つの角部に重ね合わせて貼着することで、貼着領域410bとボルトとの位置合わせが容易なものとなる。
【0088】
また、本形態においては、ボルト2のヘッド部2aの上面と重なるように貼着される貼着領域410bに形成された2本のアンテナ412として円弧状のものを例に挙げて説明したが、その形状は円弧状に限らない。
【0089】
また、上述した実施の形態においては、アンテナ12,212-1,212-2,312-1,312-2が、貼着領域10a,110a,210a-1,210a-2,310a-1,310a-2の長手方向の一端から他端までに亘って形成され、ボルト2に貼着された場合にボルト2のヘッド部2aの2つ以上の側面に対向する構成となっているが、第1の貼着領域に形成される通信用アンテナとしては、第1の貼着領域の長手方向に延びるように形成されていれば、ボルト2に貼着された場合にボルト2のヘッド部2aの1つの側面のみに対向する構成であってもよい。なお、そのような構成においては、
図13に示したもののように、貼着領域410bにおいて、ループ部14とアンテナ12との接続点から貼着領域410bの1つの端辺に沿うように円弧状に形成された2本のアンテナ412を有する構成とすれば、十分な通信距離を確保しやすくなる。
【符号の説明】
【0090】
1,101,201,301,401 緩み検知ラベル
2,102 ボルト
2a,102a ヘッド部
2b,102b ねじ部
3 土台
3a ねじ孔
5 リーダライタ
6 管理用パソコン
10,110,210,310,410 フィルム基板
10a~10d,110a~110d,210a-1,210a-2,310a-1,310a-2,410b 貼着領域
11 ICチップ
12,212-1,212-2,312-1,312-2,412 アンテナ
13 緩み検知用配線
14,314 ループ部
15a~15c,16a~16d,215a-1,215a-2,315a-1,315a-2 折り部
20 スペーサ
30a,30b 粘着層