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特許7412234駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システム
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  • 特許-駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-28
(45)【発行日】2024-01-12
(54)【発明の名称】駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240104BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60W30/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020044197
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021144593
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 憲司
(72)【発明者】
【氏名】成田 達郎
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189457(JP,A)
【文献】特開2019-096086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30、30/00-60/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の自動車からそれぞれ送信された、前記自動車がそれぞれ利用した駐車場において前記自動車が走行した走行経路並びに前記自動車が取得した駐車区画及び障害物を含む駐車情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記駐車情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記駐車情報に基づいて、前記駐車区画及び前記障害物を含む地図を生成する地図生成部と、
前記地図生成部により生成された前記地図と前記記憶部に記憶された前記走行経路とを、前記地図を要求した自動車に送信する送信部と、を備え、
前記地図生成部は、前記記憶部に記憶された、前記駐車場ごとの複数の前記駐車情報のうち、同一の位置に対応した前記駐車情報の頻度に応じて、前記地図を生成する際のデータとしての適否を判定し、判定の結果が不適のデータについては、前記地図の生成に用いない、駐車情報管理サーバ。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記自動車から前記駐車情報とともに取得した、前記自動車の大きさに関する情報を、前記駐車情報と対応付けて記憶し、
前記地図生成部は、前記走行経路のうち、前記地図を要求した自動車と略同じ大きさの自動車から取得した前記駐車情報における前記走行経路を生成する、請求項1に記載の駐車情報管理サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2項に記載の駐車情報管理サーバと
前記駐車情報管理サーバから送信された前記地図を受信する受信部と、前記自動車の位置を検出する位置検出部と、前記自動車の周囲を撮影して駐車区画を検出するカメラと、前記自動車の周囲の障害物を検出する障害物検出器と、前記受信部により受信した前記地図と前記走行経路とに基づいて、前記自動車を誘導するように、前記自動車の運転を制御する車両制御装置に信号を出力する誘導信号出力部と、を前記自動車に備えた駐車支援装置と、
備えた駐車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自宅の駐車場の周辺環境を記憶し、記憶された情報に基づいて、その駐車場に自車を自動駐車する駐車支援装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、運転者による手動での駐車操作の際に、自車に装着したカメラや超音波検出器により検出された、自車の周囲の構造物の情報を記憶し、その後の駐車の機会に、記憶された情報に基づいて、自車を駐車場に自動的に誘導する。
【0003】
これにより、運転者は、車載機器やスマートフォンのアプリケーションソフトなどのボタンを押すだけの簡単な操作で、自動駐車を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-189457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術は、自宅の駐車場や勤務先である職場の駐車場など、利用頻度が高く、かつ特定の駐車場を対象としている。したがって、これらの駐車場以外の、例えば、ショッピング等で散発的又は偶発的に利用する商用施設の駐車場や、公共の有料駐車場などの不特定の駐車場については、利用頻度が高くなかったり又は利用したことがなかったりするため、上述した技術を適用することはできない。
【0006】
すなわち、運転者自身が利用したことが無い駐車場については、記憶した情報が存在しないため、記憶に基づいた自動駐車を行うことはできず、また、利用頻度の少ない駐車場についても情報を記憶しようとすると、大容量の記憶容量を有する記憶装置を必要とし、実用的ではない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、不特定又は利用頻度の高くない駐車場に対しても、特定の、利用頻度の高い駐車場と同様の自動駐車を行うことができる、駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1は、1以上の自動車からそれぞれ送信された、前記自動車がそれぞれ利用した駐車場において前記自動車が走行した走行経路並びに前記自動車が取得した駐車区画及び障害物を含む駐車情報を受信する受信部と、前記受信部により受信した前記駐車情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記駐車情報に基づいて、前記駐車区画及び前記障害物を含む地図を生成する地図生成部と、前記地図生成部により生成された前記地図と前記記憶部に記憶された前記走行経路とを、前記地図を要求した自動車に送信する送信部と、を備えた駐車情報管理サーバである。
【0009】
本発明の第2は、本発明に係る駐車情報管理サーバから送信された前記地図を受信する受信部と、前記自動車の位置を検出する位置検出部と、前記自動車の周囲を撮影して駐車区画を検出するカメラと、前記自動車の周囲の障害物を検出する障害物検出器と、前記受信部により受信した前記地図と前記走行経路とに基づいて、前記自動車を誘導するように、前記自動車の運転を制御する車両制御装置に信号を出力する誘導信号出力部と、を前記自動車に備えた駐車支援装置である。
【0010】
本発明の第3は、本発明に係る駐車情報管理サーバと、本発明に係る駐車支援装置と、を備えた駐車支援システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システムによれば、不特定又は利用頻度の高くない駐車場に対しても、特定の、利用頻度の高い駐車場と同様の自動駐車を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る駐車支援システムを示すブロック図である。
図2】サーバ装置に複数の駐車支援装置が接続することを示すブロック図である。
図3】車両が駐車場を走行した状態の平面図を示す模式図である。
図4】任意の車両が駐車場を走行して記憶部に記憶された駐車情報の一例を示す模式図である。
図5】複数の車両によって蓄積されて生成された地図及び走行経路を示す模式図である。
図6】複数の車両の走行経路の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る駐車情報管理サーバ、駐車支援装置及び駐車支援システムの具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
(構成)
図1は本発明の一実施形態に係る駐車支援システム1を示すブロック図、図2はサーバ装置300に複数の駐車支援装置100が接続することを示すブロック図である。図示の駐車支援システム1は、駐車支援装置100と、情報通信端末機200と、サーバ装置300(駐車情報管理サーバの一例)と、を有する。
【0015】
駐車支援装置100は、車両Vに搭載されている。駐車支援装置100は、通信機能により、サーバ装置300との間で情報の送受信を行い、車両Vの運転動作を制御する車両ECU510に対して、車両Vを特定の駐車区画に駐車させるための運転動作に対応した誘導信号を出力する。
【0016】
サーバ装置300は、図2に示すように、多数の車両Vの駐車支援装置100との間で、情報の送受信を行う。サーバ装置300は、多数の車両Vの駐車支援装置100が取得した、当該車両Vが駐車した駐車場Pにおける当該車両Vの走行経路や駐車区画及び障害物の情報(駐車情報)を取得して蓄積する。
【0017】
また、サーバ装置300は、駐車場ごとに得られた駐車情報に基づいて、駐車区画の境界の線(駐車区画線)や障害物の位置を含む駐車場Pの地図PPを生成し、生成された地図PP及び走行経路Kを、その駐車場Pを訪れた車両V(駐車情報を提供した車両及び駐車情報を提供した車両とは異なる他の車両)に提供して、車両Vの駐車支援装置100に利用させる。
【0018】
情報通信端末機200は、例えばスマートフォン、タブレット端末機等、通信機能を有する情報処理装置である。情報通信端末機200は駐車支援装置100と、例えば、Bluetooth(登録商標)や無線LANといった近距離無線で通信可能に構成されている。情報通信端末機200は、運転者の指示を受け付け、その受け付けた指示を駐車支援装置100の送受信部60に送信する。
【0019】
駐車支援装置100は、カメラ20と、ソナー30(障害物検出器)と、GPS受信機50(位置検出部)と、ナビゲーション装置40と、送受信部60と、駐車支援ECU70と、これらを接続したセンサ情報系ネットワーク90と、を備えている。
【0020】
カメラ20は、車両Vの前後左右にそれぞれ設けられていて、前方カメラ20a、後方カメラ20b、左側方カメラ20c、右側方カメラ20d及びカメラECU22を備えている。
【0021】
前方カメラ20aは、車両Vの周囲のうち主に前方領域を撮影する。後方カメラ20bは、車両Vの周囲のうち主に後方領域を撮影する。左側方カメラ20cは、車両Vの周囲のうち主に左側方領域を撮影する。右側方カメラ20dは、車両Vの周囲のうち主に右側方領域を撮影する。
【0022】
カメラECU22は、各カメラ20a,20b,20c,20dによって撮影された画像を、あたかも車両Vの上方から鉛直下方に見下ろしたような俯瞰画像に変換するとともに、車両Vの全周に亘って1つの画像に繋ぐように合成し、単一の俯瞰画像を生成する。
【0023】
図3は車両Vが駐車場Pを走行した状態の平面図を示す模式図である。車両Vが駐車場Pに入ると、カメラ20によって、駐車区画を仕切る駐車区画線710や周囲の障害物600(例えば、駐車場Pの敷地を固定物である仕切る壁610や、固定物ではなく移動し得る駐車中の他の車両620など)を撮影する。
【0024】
カメラECU22は、上述した単一の俯瞰画像に基づいて、画像処理により、例えば図4に示すように、駐車区画線710の角部やエッジなどの特徴点711や、障害物600の特徴点611,621を検出する。
【0025】
ソナー30は、6個のソナー30a,30b,30c,30d,30e,30fと、ソナーECU32と、を備える。
【0026】
前左角部ソナー30aは、車両Vの前左角部に設けられ、主に、車両Vの前方の左側に存在する障害物600を検出する。前右角部ソナー30bは、車両Vの前右角部に設けられ、主に、車両Vの前方の右側に存在する障害物600を検出する。
【0027】
後左角部ソナー30cは、車両Vの後左角部に設けられ、主に、車両Vの後方の左側に存在する障害物600を検出する。後右角部ソナー30dは、車両Vの後右角部に設けられ、主に、車両Vの後方の右側に存在する障害物600を検出する。
【0028】
左側部ソナー30eは、車両Vの左側部に設けられ、主に、車両Vの左側方に存在する障害物600を検出する。右側部ソナー30fは、車両Vの右側部に設けられ、主に、車両Vの右側方に存在する障害物600を検出する。
【0029】
ソナーECU32は、各ソナー30a~30fによって検出された障害物600の、車両Vからの方向及び距離を算出する。
【0030】
GPS受信機50は、車両Vの位置を検出する。ナビゲーション装置40は、通常の走行状態で、車両Vを目的地まで誘導する経路を、モニター41に表示する等して、車両Vを案内する。
【0031】
駐車支援ECU70は、駐車情報生成部71と、誘導信号出力部72と、を備える。駐車情報生成部71は、GPS受信機50により検出された車両Vの位置と、カメラ20により検出された駐車区画線710の特徴点711の位置や障害物600の特徴点611,621の位置と、ソナー30により検出された障害物600の、車両Vからの向き及び距離と、車両Vが特定の駐車区画Sに手動(運転者の操作)で駐車したときの走行経路Kとを対応付けた駐車情報を生成する。
【0032】
送受信部60は、駐車情報生成部71で生成された駐車情報をサーバ装置300に無線で送信する。また、送受信部60は、サーバ装置300から送信された地図PP及び走行経路Kを無線で受信する。また、送受信部60は、情報通信端末機200との間で、近距離無線により通信を行い、情報通信端末機200に入力された駐車支援動作を開始するための運転者の指示を受信する。
【0033】
誘導信号出力部72は、サーバ装置300から取得した地図PP及び走行経路Kに基づいて、車両Vを特定の駐車区画Sまで車両Vを自動運転するための誘導信号を車両ECU510(車両制御装置)に出力する。
【0034】
車両ECU510は、入力された誘導信号に基づいて、車両情報系ネットワーク91を介して接続された、車両Vの駆動部、制動部及び操舵部などに設けられた各種センサ530で検出された検出値を参照しながら、車両Vを特定の駐車区画Sまで経路に沿った自動運転を行うために、車両Vの駆動部、制動部及び操舵部などの各種アクチュエータ520を制御する。
【0035】
これにより、運転者が車両Vを操作することなく、自動運転により、車両Vを特定の駐車区画Sに誘導して駐車する。
【0036】
サーバ装置300は、送受信部310と、記憶部320と、地図生成部330と、を備える。送受信部310は、車両Vの駐車支援装置100の送受信部60との間で、情報の送受信を行う。
【0037】
具体的には、サーバ装置300の送受信部310は、駐車場Pを訪れた多数の車両Vからそれぞれ送信された、車両Vがその駐車場Pを走行した走行経路と、駐車場Pにおいて各車両Vが取得した駐車区画線710及び障害物600とに関する駐車情報を受信する。また、送受信部310は、後述の地図生成部330で生成した、駐車場Pごとの地図PPの情報を、対応する駐車場Pにおいて要求のあった車両Vの送受信部60に送信する。
【0038】
記憶部320は、送受信部310が各車両Vからそれぞれ受信した駐車情報を記憶する。各車両Vからそれぞれ送信される駐車情報は、同一の駐車場についての駐車情報の場合もあるし、異なる駐車場の駐車情報の場合もある。つまり、記憶部320には、複数の相異なる駐車場について、それぞれの車両Vが駐車したときの駐車情報が記憶される。
【0039】
駐車情報には、各車両Vの位置情報が対応付けられているため、複数の駐車情報がそれぞれ表す駐車場が、同一の駐車場に関するものであるか、互いに異なる別の駐車場に関するものであるかは、地図生成部330において識別可能である。
【0040】
地図生成部330は、記憶部320に記憶された、多数の駐車場Pについてのそれぞれ駐車情報に基づいて、駐車場Pにおける駐車区画Sを表す駐車区画線710や、障害物600などを配置した地図PPを生成する。
【0041】
図4は任意の車両Vが駐車場Pを走行して記憶部320に記憶された駐車情報の一例を示す模式図、図5は複数の車両Vによって蓄積されて生成された地図PP及び走行経路Kを示す模式図、図6は複数の車両V1,V2,V3の走行経路K1,K2,K3の一例を示す模式図である。
【0042】
ここで、地図生成部330が生成する駐車場Pごとの地図PPについて説明する。図3に示した任意の駐車場Pにおいて、運転者の手動操作により車両Vを、特定の駐車区画Sに運転操作を行ったとする。このとき車両Vが走行経路Kを辿った場合、図4に示す駐車情報が記憶部320に記憶される。
【0043】
すなわち、記憶部320に記憶される駐車情報は、前述したように、車両Vの位置と対応付けられた駐車区画線710の特徴点711の位置や、障害物600の特徴点611,621の位置及び特徴点611,621までの車両Vからの距離、向き並びに走行経路Kである。
【0044】
また、この特定の駐車場Pには、他の車両Vも駐車する。したがって、その駐車した各車両Vがそれぞれ駐車情報を送信し、記憶部320には、特定の駐車場Pに対して複数の駐車情報が記憶される。
【0045】
また、別の駐車場Pを利用した1台以上の車両Vがあるときは、その別の駐車場Pについても同様に、利用した車両Vから駐車情報が送信されて記憶部320に記憶される。したがって、記憶部320には、駐車場Pごとに、1以上の駐車情報が記憶される。
【0046】
地図生成部330は、記憶部320に記憶された駐車場Pごとの複数の駐車情報を読み出して、特徴点711や、特徴点611,621を、1つの座標系にマッピングしていくことにより、図5に示す仮想的な地図PPを生成する。
【0047】
ここで、地図PPは、全ての駐車情報をマッピングして生成したものではない。すなわち、記憶部320に記憶されている駐車情報には、障害物600のうち、壁610のように、常に存在する固定物の特徴点611だけでなく、駐車区画に駐車している車両620や、図示はしていないが、カート置き場に一時的に置かれているショッピングカートや、駐車区画に駐車している車両620のように、常に存在する固定物ではなく、一時的に存在し、移動する障害物もある。
【0048】
そこで、地図生成部330は、座標系を所定の大きさ(例えば、実空間の25[cm]四方に対応する領域)の複数のグリッドに仕切ったときに、一つのグリッド内の特定の範囲に、複数の駐車情報の特徴点611が重なっている(頻度が高い)ときは、固定物である障害物の特徴点611であるとして記憶部320に残す。
【0049】
一方、地図生成部330は、一つのグリッド内の複数の駐車情報の特徴点611から離れて孤立している(頻度が低い)特徴点621は、固定物ではない一時的な障害物(例えば、駐車している車両620)の特徴点であるため、固定物の障害物600としては不適のデータであると判定し、記憶部320から消去する。したがって、地図生成部330は、この特徴点621を地図PPの生成には用いない。
【0050】
これにより、地図生成部330は、移動しない駐車区画線710と障害物600のうち固定物である壁610の特徴点611とで地図PPを生成し、生成した地図PPを記憶部320に記憶させる。
【0051】
また、地図生成部330は、図6に示すように、記憶部320に記憶された、複数の車両Vの各走行経路K(例えば、車両V1の走行経路K1、車両V2の走行経路K2、車両V3の走行経路K3)についても、2つ以上の走行経路Kの交点kを、信頼性の高い通過点として選択して、これらの選択した交点kを結んだ線を、地図PPに対応した走行経路(誘導経路)Kとして記憶部320に記憶させる。
【0052】
次に、本実施形態の駐車支援システム1の動作について説明する。まず、任意の車両Vが、駐車場Pにおいて停車し、運転者が車両Vから降車して、運転者が情報通信端末機200に、駐車支援動作を開始するための指示を入力する。
【0053】
情報通信端末機200に入力された駐車支援動作を開始するための指示は、情報通信端末機200から、この車両Vに設けられている駐車支援装置100の送受信部60に入力され、駐車支援ECU70により、サーバ装置300に対する、この駐車場Pについての地図PPと地図PPに対応した走行経路Kの要求として送信される。
【0054】
サーバ装置300の地図生成部330は、この要求に応じて記憶部320に記憶されている駐車場Pについての地図PPと地図PPに対応した走行経路K(図5)を読み出し、送受信部310が、読みだされた地図PP及び走行経路Kを、要求を出した車両Vの駐車支援装置100に送信する。
【0055】
駐車支援装置100の送受信部60は、サーバ装置300の送受信部310から送信された地図PP及び走行経路Kを受信し、受信した地図PP及び走行経路Kを駐車支援ECU70に入力する。
【0056】
駐車支援ECU70に入力された地図PP及び走行経路Kは、誘導信号出力部72に読み込まれる。誘導信号出力部72は、入力された地図PPにおける特定の駐車区画Sに、走行経路Kに沿って、車両Vを移動させるための運転動作(駆動、制動及び操舵)に対応した誘導信号を、車両ECU510に出力する。
【0057】
ここで、特定の駐車区画Sは、運転者が選択してもよいし、駐車支援ECU70が自動的に選択してもよい。運転者が選択する場合は、地図PPをナビゲーション装置40のモニター41に表示する等して、運転者に駐車区画を提示し、運転者による選択を、例えばタッチパネル式のモニター41を通じて受け付けるようにすればよい。
【0058】
一方、駐車支援ECU70が自動的に選択する場合は、例えば、車両Vの現在の位置からの走行経路Kの長さが最短となるような駐車区画Sを選択することができる。駐車区画を自動的に選択する手法は、この方法に限定されない。
【0059】
なお、駐車区画Sに向かって車両Vを移動させるときは、車両Vが備えているカメラ20及びソナー30により、リアルタイムで、車両Vの周囲の様子を監視して、走行経路Kに従って移動する車両Vの軌跡範囲に、障害物600が存在しないことを監視する。そして、車両Vの軌跡範囲に障害物600を検出したときは、駐車支援ECU70が車両ECU510に対して、車両Vを停止させる信号を出力する。車両ECU510は、車両Vを直ちに停止させるように、制動のアクチュエータ520を作動させる制御を行い、車両Vを停止させて、車両Vが障害物600に当たらないようにする。
【0060】
以上のように、本実施形態の駐車支援システム1によれば、駐車場Pにおいて車両Vを駐車区画Sに駐車したときの駐車情報は、車両Vの駐車支援装置100ではなく、車両Vとは別のサーバ装置300に記憶されるため、各車両Vは、多数の駐車場Pにおける駐車情報を記憶するのに必要とされる大容量の記憶部を備えることなく、各駐車場で自動駐車を行うことができる。
【0061】
また、サーバ装置300には、自車以外の他の車両Vが取得した駐車情報を蓄積して地図PP及び最適な走行経路Kを生成するため、各車両Vは、過去に手動で駐車操作を行った実績のない駐車場においても、手動での駐車操作のティーチングを改めて行うことなく、サーバ装置300によって生成された地図PP及び走行経路Kに基づいて自動駐車を行うことができる。
【0062】
本実施形態の駐車支援システム1及びサーバ装置300は、地図生成部330が、固定物の障害物600としては不適のデータ(例えば、特徴点621)を、地図PPの生成に用いないが、特徴点621は、固定物ではなく、一時的に存在しただけの車両620等を表すものであるため、障害物600であることには変わりないため、不適のデータとして消去するのではなく、特徴点611と同様に地図PPの生成に用いてもよい。
【0063】
本実施形態の駐車支援装置100は、障害物600をソナー30で検出するが、本発明に係る駐車支援装置及び駐車支援システムは、障害物600をソナー30で検出するものに限定されない。
【0064】
したがって、本発明に係る駐車支援装置及び駐車支援システムは、障害物を検出する障害物検出器として、ミリ波レーダやライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)なども適用することができる。
【0065】
本実施形態の駐車支援システム1のサーバ装置300は、地図を要求した車両Vの駐車支援装置100に対して、地図を要求した車両Vの大きさ(全長、全幅)に拘わらず、一律の走行経路Kを出力する。
【0066】
しかし、車両Vの走行経路Kは、一般に、車両Vの大きさに応じて異なる。つまり、全長が長い車両や全幅が広い車両は、一般に、最小回転半径が大きくなるため、全長が短かったり又は全幅が狭かったりする小型の車両によって取得されて記憶部320に記憶された走行経路Kに沿った移動はできない場合がある。
【0067】
したがって、駐車支援システム1の駐車支援装置100は、サーバ装置300に送信する駐車情報に、車両Vの大きさを付加し、サーバ装置300の記憶部320は、車両Vの大きさを駐車情報と対応付けて記憶し、地図生成部330は、車両Vの大きさごとに走行経路Kを生成して、地図を要求した車両と略同じ大きさの車両に対応した走行経路Kを駐車支援装置100に送信するようにしてもよい。
【0068】
これにより、駐車支援システム1は、地図を要求した車両Vの大きさに適した走行経路Kにしたがって、車両Vを駐車区画Sに誘導することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :駐車支援システム
70 :駐車支援ECU
71 :駐車情報生成部
72 :誘導信号出力部
100 :駐車支援装置
300 :サーバ装置
310 :送受信部
320 :記憶部
330 :地図生成部
K :走行経路
PP :地図
V :車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6